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1965-02-17 第48回国会 衆議院 決算委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十年二月十七日(水曜日) 午前十時四十四分
開議
出席委員
委員長
堀川
恭平君
理事
壽原
正一君
理事
田中
彰治君
理事
田村 元君
理事
竹山祐太郎
君
理事
勝澤
芳雄君
理事
田原 春次君
根本龍太郎
君
福永
健司
君 湊
徹郎
君 栗原 俊夫君
森本
靖君 吉田 賢一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣
田中
角榮
君 国 務 大 臣 増原
恵吉
君
出席政府委員
総理府事務官
(
行政管理庁行
政監察局長
) 山口 一夫君
大蔵政務次官
鍛冶
良作君
大蔵事務官
(
主計局次長
) 中尾 博之君
大蔵事務官
(
国有財産局
長)
江守堅太郎
君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
行政管理庁行
政管理局審議
官) 松本 操一君
会計検査院長
小峰
保榮
君
会計検査院事務
総局次長
白木
康進
君
会計検査院事務
官 (第一
局長
) 保川 遜君
会計検査院事務
官 (第五
局長
) 宇ノ
沢智雄
君
日本専売公社総
裁 阪田 泰二君
国民金融公庫
総 裁
石田
正君 日本開発銀行副
総裁
石原 周夫君 日本
輸出
入銀行
総裁
森永貞一郎
君 専 門 員 茨木 純一君
—————————————
二月十六日
委員堂森芳夫
君、
森本靖
君及び
山田長司
君
辞任
につき、その
補欠
として
石田宥全君
、
島上善
五 郎君及び
石橋政嗣君
が
議長
の
指名
で
委員
に
選任
された。 同日
委員石田宥全君
、
石橋政嗣君及び島上善五郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
堂森芳夫
君、
山田
長司
君及び
森本靖
君が
議長
の
指名
で
委員
に
選任
された。 同月十七日
委員福永健司
君
辞任
につき、その
補欠
として湊
徹郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に
選任
された。 同日
委員湊徹郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
福永
健司
君が
議長
の
指名
で
委員
に
選任
された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
昭和
三十八
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
三十八
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
三十八
年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
三十八
年度
政府関係機関決算書
昭和
三十八
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算
書
昭和
三十八
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
昭和
三十八
年度
物品増減
及び現在額総
計算書
————◇—————
堀川恭平
1
○
堀川委員長
これより
会議
を開きます。
昭和
三十八
年度
一般会計歳入歳出決算
、
昭和
三十八
年度
特判会計歳入歳出決算
、
昭和
三十八
年度
国税収納金整理資金受払計算書
、
昭和
三十八
年度
政府関係機関決算書
、
昭和
三十八
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
、
昭和
三十八
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
、
昭和
三十八
年度
物品増減
及び現在額総
計算書
を一括して議題といたします。 まず
大蔵政務次官
より各件について
概要説明
を求めます。
鍛冶大蔵政務次官
。
鍛冶良作
2
○
鍛冶政府委員
昭和
三十八
年度
一般会計歳入歳出決算
、同
特別会計歳入歳出決算
、
同国税収納金整理資金受払計算書
及び同
政府関係機関決算書
を、
会計検査報告
とともに本
国会
に提出し、また、
昭和
三十八
年度
末における国の
債権
の現在額について本
国会
に
報告
いたしましたので、その大要を御
説明
申し上げます。
昭和
三十八
年度
予算
は、
昭和
三十八年三月三十日に成立いたしました本
予算
と、
昭和
三十八年十二月十八日及び
昭和
三十九年二月十四日に成立いたしました
補正予算
とからなるものであります。
昭和
三十八
年度
本
予算
は、
通貨価値
の安定と
国際収支
の
均衡
に留意しつつ、
経済
の正常な
発展
に資することを目途とし、
健全均衡財政
の
方針
を堅持して編成いたしました。一方、
財政投融資
においては、
政府資金
、
民間資金
を通ずる積極的な活用について配意することとしたものであります。その
内容
といたしましては、将来にわたる
国力発展
の基盤を
充実
するため、
輸出力
の増大を第一義とし、
社会資本
の
整備
、
文教
、
社会保障
の
充実
につとめる等、引き続き
重要施策
を着実に推進することに重点を置き、
経費
及び
資金
を効率的に配分、運用することをもって
基本
といたしました。 この
基本方針
に基づき、
一般会計予算
は、
租税負担
の軽減をはかるとともに、
社会資本充実
のための
公共投資
の
拡大
、
文教
及び
科学技術
の
振興
、
社会保障関係施策
の拡充、
輸出
の
振興
、
農林漁業
、
中小企業対策
の推進、
地方財政
の
充実等
の
重要施策
を推進することとして、編成されたものであります。 なお、本
予算成立
後、
政府職員
の
給与改善
に必要な
経費
、
食糧管理特別会計
へ
繰り入れ
に必要な
経費
、
災害復旧
に必要な
経費
及び
地方交付税交付金財源
の
繰り入れ
に必要な
経費等
について、
予算補正
を行なったのであります。
昭和
三十八
年度
におけるわが国の
経済
を振り返ってみますと、
昭和
三十七年十月の
引き締め解除
後、
昭和
三十八
年度
に入って予想を上回るテンポで
拡大
を続けたのでありますが、その結果再び
国際収支
の不
均衡
がもたらされ、
公定歩合引き上げ等
の措置がとられたのであります。
国際収支
不
均衡
の
原因
は、
輸入
の
急増
であり、
輸入急増
の最大の
原因
は、
生産
の
上昇
であったと考えられます。 一方、
卸売り物価
はおおむね安定的に推移し、また、
消費者物価
はほぼ前年並みの
上昇
を見せましたが、
年度
後半にはかなり鎮静化いたしました。 以上のような
経済
の推移の結果、
昭和
三十八
年度
の国民総
生産
は二十二兆四千五百三十八億円に達し、前
年度
に対し一六・三%、実質一二・一%の
拡大
となりました。また
鉱工業生産
においても同じく一五・三%の
増加
を示す一方、
経常収支
は、八億二千二百万ドルの
赤字
、
資本収支
を含めた
総合収支
でも四千七百ドルの
赤字
となって、
昭和
三十八
年度
末
外貨準備
は、十九億九千六百万ドルとなったのであります。 以下、
決算
の
内容
を数字をあげて御
説明
申し上げます。 まず、
一般会計
におきまきまして
歳入
の
決算額
は三兆二千三百十二億円余、
歳出
の
決算額
は三兆四百四十二億余でありまして、
歳入歳出
を
差し引き
ますと千八百六十九億円余の
剰余
を生ずる
計算
であります。 この
剰余金
千八百六十九億円余のうち九億余円は、
国立学校特別会計法附則
第三項の
規定
によりまして、
国立学校特別会計
の
昭和
三十九
年度
の
歳入
に
繰り入れ
、
残額
千八百五十九億円余は、
財政法
第四十一条の
規定
によりまして、翌
年度
すなわち、
昭和
三十九
年度
の
歳入
に
繰り入れ済み
であります。 なお、右の
剰余金
千八百六十九億円余から
昭和
三十九
年度
に繰り越しました
歳出
の
財源
に充てなければならない
金額
四百十二億円余及び前
年度
までの
剰余金
の
使用残額
七百六十億円余を
差し引き
ますと、六百九十六億円余が
昭和
三十八
年度
に新たに生じた純
剰余金
となるのであります。しかして、
昭和
三十八
年度
に新たに生じた純
剰余金
六百九十六億円余から
地方交付税
及び
道路整備事業費
の
財源
に充てられることとなる額四十六億円余を控除した
残額
六百五十億円余につきましては、
現行財政法
第六条第一項の
規定
によれば、さきに提出いたしました
決算説明
において、御
説明
申し上げているとおり、その二分の一を下らない額に相当する
金額
を公債または借入金の
償還財源
に充てなければならないこととなるわけでありますが、この点につきましては、今回別途、本
国会
に
財政法
の一部を改正する
法律案
を提出しておりますので、幸い、御
審議
の上
原案どおり国会
の
議決
を得られれば、その五分の一を下らない額に相当する
金額
を
償還財源
に充てなければならないこととなるので念のため申し添えます。 以上の
決算額
を
予算額
と比較いたしますと、
歳入
につきましては
予算額
三兆五百六十八億円余に比べて千七百四十四億円余の
増加
となるのでありますが、このうちには、
昭和
三十六
年度
剰余金
の
受け入れ
が、
予算額
に比べて千二百八十三億円余を
増加
しておりますので、これを
差し引き
ますと、
昭和
三十八
年度
歳入
の
増加額
は四百六十億円余となるのであります。そのおもな
内訳
は、
租税
及び
印紙収入
における
増加額
百八十一億円余、
専売納付金
における
増加額
八十三億円余、
官業益金
及び
官業収入
における
増加額
六億円余、
政府資産整理収入
における
増加額
五十九億円余、雑
収入
における
増加額
百二十九億円余となっております。 一方、
歳出
につきましては、
予算額
三兆五百六十八億円余に
昭和
三十七
年度
からの
繰り越し額
五百二十二億円余を加えました
予算
現額三兆千九十一億円余から
支出済み額
三兆四百四十二億円余を
差し引き
ますと、その差額は六百四十八億円余でありまして、そのうち、翌
年度
に繰り越しました額は、
前述
のとおり四百十二億円余、
不用額
は二百三十六億円余となっております。 次に、翌
年度
への
繰り越し額
の
内訳
を申し上げますと、
財政法
第十四条の三第一項の
規定
により、あらかじめ
国会
の
議決
を経、これに基づいて翌
年度
へ繰り越しましたものは三百八十八億円余、
財政法
第四十二条ただし書きの
規定
により避けがたい事故のため翌
年度
へ繰り越しましたものは十六億円余、
財政法
第四十三条の二第一項の
規定
により
継続費
の
年割り額
を繰り越しましたものは七億円余であります。 なお、これらの
繰り越し額
のうち九億円余は、
国立学校特別会計法附則
第二項の
規定
により
国立学校特別会計
に繰り越したものであります。 次に、
不用額
のおもなものは、食糧庁の
農産物等価格安定費
につきまして、
飼料用輸入小麦
の
買い入れ価格
の低下、
輸入
ふすまの
売却数量
の
減少
、
農産物
、
輸入飼料
、砂糖についての
経費
の
減少等
により
農産物等価格安定勘定
の損失が少なかったので
食糧管理特別会計
へ
繰り入れ
を要することが少なかったため
不用
となったもの二十七億円余、
大蔵本省
の
政府出資金
につきまして、
国民金融公庫法
の一部を改正する
法律案
が成立しなかったので
国民金融公庫出資金
を要しなかったため
不用
となったもの二十億円、
文部本省
の
学校給食費
につきまして、
義務教育
諸
学校
で
ミルク給食
の開始がおくれたので
義務教育学校給食用脱脂粉乳購入費補助金
を要することが少なかったこと等のため
不用
となったもの十六億円余、
大蔵本省
の
国債費
につきまして、
大蔵省証券
を発行しなかったこと、
国債利子
の
支払い
が
予定
より少なかったこと等のため
国債整理基金特別会計
へ
繰り入れ
を要することが少なかったため
不用
となったもの十五億円余、
防衛本庁
の
防衛本庁
につきまして、
職員
の充員が
計画
を下回ったので
職員俸給
を要することが少なかったこと及び
契約価格
が
予定価格
を下回ったので
油購入費
を要することが少なかったこと等のため
不用
となったもの十二億円余であります。 次に、
予備費
でありますが、
昭和
三十八
年度
一般会計
における
予備費
の
予算額
は二百億円であります。その
使用総額
は百九十八億円余でありまして、そのうち、
昭和
三十八年十二月までの
使用額
百五十九億円余につきましては、すでに第四十六回
国会
におきまして、御
承諾
をいただいております。 また、
昭和
三十九年一月から三月までの
使用額
三十八億円余は、本
国会
に別途提出いたしております
予備費使用承諾案
について御
審議
をいただきます際、御
説明
申し上げることといたしております。 次に、
一般会計
の
国庫債務負担行為
について申し上げます。
財政法
第十五条第一項の
規定
に基づく
国庫債務負担行為
の
権能額
は五百八十六
額円余
でありますが、このうち実際に負担いたしました
債務額
は五百五十九億円余でありますので、これに
既往年度
からの
繰り越し債務額
千百四十六億円余を加え、
昭和
三十八
年度
中に
支出
その他の理由によって
債務
が消滅いたしました額七百十一億円余を
差し引き
ました
金額
九百九十三億円余が翌
年度
以降に繰り越されたことになります。
財政法
第十五条第二項の
規定
に基づく
国庫債務負担行為
の
権能額
は三十億円でありますが、本
年度
実際に負担いたしました
債務額
はございません。 次に、
昭和
三十八
年度
特別会計
の
決算
でありますが、これにつきましては、
特別会計歳入歳出決算
によって御了承願いたいと思います。 なお、同
年度
における
特別会計
の数は、四十一でありまして、これら
特別会計
の
歳入決算総額
は五兆三千八百三十三億円余、
歳出決算総額
は四兆七千八百五十八億円余であります。 次に、
昭和
三十八
年度
における
国税収納金整理資金
の
受け入れ
及び
支払い
でありますが、
資金
への
収納済み額
は二兆五千六百十九億円余でありまして、この
資金
から
支払い命令済み額
及び
歳入
への組み入れ額は二兆五千五百四十七億円余でありますので、七十一億円余が、
昭和
三十八
年度
末の
資金残額
となるのであります。これは主として
国税
にかかる
還付金
のうち、
支払い決定済み
であって
支払い命令未済
のものであります。 次に、
昭和
三十八
年度
政府関係機関
の
決算
でありますが、
日本専売公社
、
日本国有鉄道
及び
日本電信電話公社
の
決算
の
内容
につきましては、別途それぞれの
主務大臣
から御
説明
申し上げる
予定
であります。 また、その他の
政府関係機関
の
決算
の
内容
につきましては、それぞれの
決算書
によって御了承願いたいと存じます。 次に、国の
債権
の現在額でありますが、
昭和
三十八
年度
末における国の
債権
の
総額
は、四兆八百二十九億円余でありまして、その
内訳
の詳細につきましては、
昭和
三十八
年度
国の
債権
の現在額総
報告
によって御了承願いたいと存じます。 以上、
昭和
三十八
年度
一般会計
、
特別会計
、
国税収納金整理資金
及び
政府関係機関
の
決算等
につきまして、その概略を御
説明
申し上げた次第であります。 なお、
昭和
三十八
年度
の
予算
の執行につきましては、
予算
の効率的な
使用
、
経理
の適正な運営に極力意を用いてまいったのでありますが、なお、
会計検査院
から
不当事項
につきましては、六百十六件にのぼる御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。 これにつきましては、今後一そう
経理
の
改善
に努力を傾注いたしたい所存であります。 何とぞ御
審議
のほどお願いいたします。 次に、
昭和
三十八
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書並び
に
昭和
三十八
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。 まず、
昭和
三十八
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
の
概要
について申し述べます。
昭和
三十八
年度
中に
増加
しました
国有財産
は、
行政財産
二千九十億円余、
普通財産
千六百四十一億円余、
総額
三千七百三十二億円余であり、また同
年度
中に
減少
しました
国有財産
は、
行政財産
六百二十七億円余、
普通財産
四百八十五億円余、
総額
千百十三億円余でありまして、
差し引き総額
において二千六百十九億円余の
増加
となっております。これを
昭和
三十七
年度
末現在額三兆四千百九十三億円余に加算いたしますと、三兆六千八百十二億円余となり、これが
昭和
三十八
年度
末現在における
国有財産
の
総額
であります。 この
総額
の
内訳
を
分類別
及び
種類別
に申し上げますと、
行政財産
においては、
公用財産
一兆八百七十八億円余、
公共用財産
二百三十四億円余、
皇室用財産
二百五十億円余、
企業用財産
八千九百三十二億円余、
合計
二兆二百九十五億円余となっており、
普通財産
においては一兆六千五百十六億円余となっております。なお、この
普通財産
のうち一兆三千四百七十九億円余は
政府出資等
となっております。 また、
国有財産
の
総額
の
内訳
を
区分別
に申し上げますと、
土地
七千二百六十五億円余、
立木竹
六千百三十六億円余、建物四千三百九十八億円余、
工作物
二千八百八十五億円余、
機械器具
十五億円余、船舶千百五十億円余、航空機千四百七十二億円余、
地上権等
三億円余、
特許権等
四億円余、
政府出資等
一兆三千四百七十九億円余、
合計
三兆六千八百十二億円余となっております。 次に、
国有財産
の
増減
の
内容
について、その
概要
を申し上げます。 まず、
昭和
三十八
年度
中における
増加額
を申し上げますと、
前述
のとおりその
総額
は三千七百三十二億円余であります。この
内訳
を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の
異動
によって
増加
した
財産
は二千九百十八億円余でありまして、このうち、
購入
、新営
工事
、
政府出資等歳出
を伴うものは二千七百三億円余、
寄付交換
、
現物出資等歳出
を伴わないものは二百十四億円余となっております。 第二に、国の
内部
における
異動
によって
増加
した
財産
は八百十四億円余でありまして、このうち、
各省
各庁または
各省
各庁の
部局等
の間における
財産
の
移管等調整
上の
増加
は五百七十九億円余、
土地
の
実測
、
立木竹
の実
査等整理
上の
増加
は二百三十四億円余となっております。 次に、
減少額
について申し上げますと、その
総額
は一千百十三億円余であります。この
内訳
を申し上げますと第一に、国と国以外の者との間の
異動
によって
減少
した
財産
は三百七十八億円余でありまして、このうち、売り払い、
出資金回収等歳入
を伴うものは百八十七億円余、
交換
、
譲与等歳入
を伴わないものは百九十億円余となっております。 第二に、国の
内部
における
異動
によって
減少
した
財産
は七百三十四億円余でありまして、このうち、
各省
各庁または
各省
各庁の
部局等
の間における
財産
の
移管等調整
上の
減少
は六百六十億円余、
土地
の
実測
、
立木竹
の実
査等整理
上の
減少
は七十三億円余となっております。 以上が
昭和
三十八
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
の
概要
であります。 次に、
昭和
三十八
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
の
概要
について申し述べます。
昭和
三十八
年度
中に
増加
しました
無償貸付財産
の
総額
は五十八億円余であり、また同
年度
中に
減少
しました
無償貸付財産
の
総額
は四十一億円余でありまして、
差し引き
十六億円余の純
増加
となっております。これを
昭和
三十七
年度
末現在額二百二十八億円余に加算いたしますと、二百四十五億円余となり、これが
昭和
三十八
年度
末現在において
無償貸し付け
をしている
国有財産
の
総額
であります。 この
増減
のおもなものを申し上げますと、
増加
したものは、
公園
の用に供するもの五十四億円余、
生活困窮者
の
収容施設
の用に供するもの三億円
余等
であります。 次に
減少
したものは、
公園
の用に供するもの三十六億円余、
生活困窮者
の
収容施設
の用に供するもの四億円
余等
であります。 以上が
昭和
三十八
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
の
概要
であります。 なお、これらの
国有財産
の各総
計算書
には、それぞれ
説明書
が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。 何とぞ御
審議
のほどお願い申し上げます。 次に、
昭和
三十八
年度
物品増減
及び現在額総
計算書
の
概要
を御
説明
申し上げます。
昭和
三十八
年度
中における
物品
の
増加額
は千四百十七億円余、
物品
の
減少額
は九百九十九億円余でありまして、
差し引き
四百十八億円余の
増加
となっております。 また、右のほか本
年度
における
物品
の
価格改定
による
増加額
は六億円余でありますので、これらを前
年度
末現在額二千八百八十二億円余に加算いたしますと、
昭和
三十八
年度
末現在における
物品
の
総額
は三千三百六億円余となります。 この
総額
の
内訳
をおもな
品目別
に申し上げますと、
防衛用車両
五百二十四億円余、
試験
及び
測定機器
四百九十一億円余、
車両
及び
軌条
三百六十五億円余、
土木機器
二百八十四億円余となっております。 次に、
物品
の
増減
の
内容
でありますが、
昭和
三十八
年度
中における
増加額
のおもなものは、
車両
及び
軌条
二百十七億円余、
土木機器
百八十五億円余、
試験
及び
測定機器
百五十八億円余であります。 また、
減少額
のおもなものは、
土木機器
二百十一億円余、
車両
及び
軌条
百六十八億円余であります。 以上が、
昭和
三十八
年度
物品増減
及び現在額総
計算書
の
概要
であります。 何とぞ御
審議
のほどお願い申し上げます。
堀川恭平
3
○
堀川委員長
次に、
会計検査院当局
より各件の
検査報告
に関する
概要
の
説明
を求めます。
小峰会計検査院長
。
小峰保榮
4
○
小峰会計検査院長
昭和
三十八
年度
決算検査報告
に関しまして
概要
御
説明
申し上げます。
昭和
三十八
年度
歳入歳出決算
は、三十九年十月二十四日
内閣
から送付を受け、その
検査
を終えまして、
昭和
三十八
年度
決算検査報告
とともに三十九年十二月三日
内閣
に回付いたしました。 まず、
決算額
について申し上げます。 国の
会計
についてであります。
昭和
三十八
年度
の
一般会計決算額
は、
歳入
が三兆二千三百十二億余円、
歳出
は三兆四百四十二億余円、各
特別会計
の
決算額合計
は、
歳入
五兆三千八百三十三億余円、
歳出
四兆七千八百五十八億余円でありまして、
一般会計
及び各
特別会計
の
決算額
を
総計
いたしますと、
歳入
が八兆六千百四十五億余円、
歳出
は七兆八千三百一億余円となりますが、各
会計
間の
重複額
及び前
年度
剰余金受け入れ
などを控除しまして、
歳入歳出
の純
計額
を概算いたしますと、
歳入
が五兆二千五百九十二億円、
歳出
は五兆五百四十六億円となり、前
年度
に比べますと、
歳入
において五千七百二十九億円、
歳出
において六千八百三十六億円の
増加
となっております。 なお、
国税収納金整理資金
は、
収納済み額
二兆五千五百十九億余円
歳入
組み入れ額二兆五千二十四億余円であります。 次に、
政府関係機関
の
会計
について申し上げます。
政府関係機関
の
昭和
三十八
年度
決算額
の
総計
は、
収入
が二兆六千七百二十億余円、
支出
は二兆四千七百二十一億余円でありまして、前
年度
に比べますと、
収入
において三千二十七億余円、
支出
において二千九百七十三億余円の
増加
となっております。 次に、未
確認額
及び
検査
未
完了額
について申し上げます。 ただいま申し上げました国の
会計
及び
政府関係機関
の
会計
の
決算額
のうち、
会計検査院
におきましてまだ確認するに至っていないものは
総計
三百三十八億六千四百万余円でありまして、そのおもなものは、
総理府
の
航空機構入費
の項で二百十九億九千六百万余円、
防衛本庁
の項で七十三億五千八百万余円などであります。 次に
不当事項
について申し上げます。
会計検査
の結果、
経理
上不当と認めた
事項
として、
検査報告
に掲記しました
件数
は
合計
六百十六件にのぼっております。三十八
年度
の
不当事項件数
が、三十七
年度
の六百五十一件に比べて
減少
いたしましたのは、主として
補助金
において
減少
したためであります。 いま、この六百十六件について、
不当経理
の
態様別
の
金額
を概計いたしますと、
租税収入
で
徴収決定
が漏れていたものが四億六千七百万円、
工事費
、
物品購入代金
の積算にあたり
処置適切
を欠いたため
契約額
が高価に過ぎたり、または
物件売り渡し代金等
が低額に過ぎたと認めたものが八千四百万円、右のほか、
工事
の
施行
、
物件
の
購入
などにあたり
計画等
が適切を欠いたため
経費
の
使用
が不
経済
となっていると認めたものが二千百万円、
工事
の
施行
または
物品
の
購入
などにあたり
検収処置
が適切でなかったなどのため
支払い
が過大となっているものが八千三百万円、
保険金
の
支払い
が適切を欠いたり、
保険料等
の
徴収額
が不足したりなどしているものが二億千万円、
補助金
で
交付額
が適正を欠いているため返納または
減額
を要するものが二億六千三百万円、
災害復旧事業
に対する
早期検査
の結果
補助金
の
減額
を要するものが十一億千百万円、
職員
の
不正行為
により国に損害を与えたものが四千三百万円、その他が三千七百万円、
総額
二十三億二千二百万円にのぼっておりまして、三十七
年度
の二十四億九千百万円に比べますと約一億六千九百万円の
減少
となっております。
検査
の結果につきましては、
租税
、
工事
、
物件
、役務、
保険
、
補助金
、
不正行為
などの各項目に分けて
検査報告
に記述してありますが、これらのうち、
会計経理
を適正に執行するについて、特に留意を要するものとして、
工事
、
物件
、
保険
及び
補助金
に関してその
概要
を
説明
いたします。 まず、
工事
及び
物件
について御
説明
いたします。
工事
の
施行
並びに
物件
の調達、管理及び処分において不
経済
な結果となったと認められるなどの事例については、毎年指摘してきたところでありますが、三十八
年度
におきましても、なお、
総理府
、農林省、建設省、
日本国有鉄道
、
日本電信電話公社
などにおいて見受けられております。
工事
の
施行
につきましては、
工事
の
計画
などが実情に沿わないため不
経済
となっているもの、
工事費
の積算が適切を欠いたためひいて
契約額
が高価となったと認められるもの、
工事
の出来形が設計と相違しているのにそのまま竣工
検査
を了しているものがあります。
物件
の調達、管理及び処分につきましては、契約にあたってその
購入
方法または仕様に十分な検討を加えなかったため不
経済
な結果を来たしているもの、評定価格の算定が適切でなかったため売り渡し価額が低廉となっていると認められるものなどがあり、また、
国有財産
の管理が当を得なかったため
土地
を無断で売却されたり、
使用
されたりしているもの、
土地
の貸し付け料が時価に比べて低廉となっているものなど適切を欠く事例が見受けられるのであります。 次に
保険
についてであります。 国が、
特別会計
を設けて経営する各
保険
事業における
保険
事業の運営、
保険金
の
支払い
または
保険
料などの徴収につきましては、従来、厚生省、農林省、労働省の所管するものにつき、適正を欠いていると認められる事例を多数指摘して注意を促してきたところでありますが、三十八
年度
においても、依然として、健康
保険
、厚生年金
保険
、船員
保険
、労働者災害補償
保険
または失業
保険
の
保険
料などの徴収不足を来たしているものや、健康
保険
、失業
保険
の
保険金
または漁船再
保険
の再
保険金
の給付が適切でないものや、農業共済再
保険
において農業共済組合の共済金の
経理
に適正を欠いたものが見受けられるのであります。 次に
補助金
についてでございます。
補助金
につきましては、その
経理
が当を得ないものを毎年多数指摘して注意を促してきたところでありますが、三十八
年度
においても、なお、多数の不当な事例が見受けられるのであります。 まず、農林、運輸、建設
各省
の公共事業関係のものにつきましては、補助の対象となる
工事
の監督及び
検査
が十分でなかったため、その
施行
が不良となり
工事
の効果を著しく減殺していたり、設計に対して
工事
の出来高が不足したりしているもの、または
工事費
の積算が過大となっているものなどが依然として多数にのぼっているのであります。 また、
災害復旧事業
の事業費査定の状況につきまして、
工事
の完成前に早期に
検査
を行ないましたところ、採択された
工事
のうちには、関係
各省
間で重複して査定しているもの、災害に便乗して改良
工事
を
施行
しようとしているもの、現地の確認が十分でなかったため設計が過大となっているもの、
計算
を誤ったため
工事費
の積算が過大となっているもの、こういう種類のものが多数見受けられましたので、これを指摘して
工事費
を
減額
させることといたしました。 次に、その他の
補助金
につきましても、厚生省の簡易水道事業関係、農林省の農業構造
改善
対策事業関係などにおきまして、精算額を過大に
報告
して
補助金
の交付を受けているもの、補助の対象として不適当なものに
補助金
を交付しているもの、補助の目的を達していないものなどの不当な事例が見受けられております。 最後に、是正
改善
の処置を要求しまたは
改善
の意見を表示した
事項
について御
説明
いたします。 ただいままでに申し上げました
不当事項
のほか、三十八年十二月から三十九年十一月までの間に、
会計検査院
法第三十四条または第三十六条の
規定
に基づき
主務大臣
等の責任者に対して是正
改善
の処置を要求し、または法令、制度もしくは行政に関して
改善
の意見を表示したものは十四件であります。 これらの
内訳
は、国の機関につきましては、国家公務員宿舎新築
工事
の
施行
に関するもの、厚生
保険
、船員
保険
両
特別会計
における保健、福祉施設の管理運営に関するもの、農業
委員
会の特別事業に対する
補助金
等の
経理
に関するもの、二
年度
以上にわたり継続
施行
する国営
土地
改良
工事
に対する
予算
等の措置に関するもの、林産物
検査
の取り扱いに関するもの、中小企業近代化促進費
補助金
を
財源
とする設備近代化
資金
の運営に関するもの、はきものにかかる普通
輸出
保険
包括
保険
の運営に関するもの、機械類賦払信用
保険
の運営に関するもの、道路改良
工事
における機械
経費
及び諸
経費
の積算に関するもの、並びにアスファルト舗装
工事
の設計及び
施行
に関するものの十件でありまして、
政府関係機関
その他の団体につきましては、
日本国有鉄道
の自営電力施設の管理に関するもの、日本道路公団の高速自動車国道のコンクリート
工事
に関するもの、首都高速道路公団の
工事
用材料の支給等に関するもの、及び帝都高速度交通営団の新線建設
工事
の
予定価格
の積算に関するものの四件であります。 以上をもって
概要
の
説明
を終わります。
会計検査院
といたしましては、適正な
会計経理
の執行について、機会あるごとに関係
各省
各庁などに対し是正
改善
の努力を求めてまいりましたが、なお、このように不当な事例が多数見受けられますので、関係
各省
各庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。 次に、
昭和
三十八
年度
国有財産
検査報告
につきまして、その
概要
を御
説明
いたします。
昭和
三十八
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
及び
国有財産無償貸付状況
総
計算書
は、三十九年十月二十八日
内閣
から送付を受け、その
検査
を了して、十二月三日
内閣
に回付いたしました。 三十七
年度
末の
国有財産
現在額は三兆四千百九十三億四百万余円でありましたが、三十八
年度
中の増が三千七百三十二億三千五百万余円、同
年度
中の減が千百十三億千七百万余円ありましたので、
差し引き
三十八
年度
末の現在額は三兆六千八百十二億二千百万余円となり、前
年度
末に比べますと二千六百十九億千七百万余円の
増加
となっております。 次に、
国有財産
の無償貸付状況について申し上げますと、三十七
年度
末には二百二十八億四千三百万余円でありましたが、三十八
年度
中の増が五十八億七千百万余円、同
年度
中の減が四十一億九千九百万余円ありましたので、
差し引き
十六億七千百万余円の
増加
を見まして、同
年度
末の
無償貸付財産
の
総額
は二百四十五億千四百万余円となっております。
国有財産
の管理及び処分につきまして不当と認めましたものは、
国有財産
の取得に関するもの三件、同じく維持及び運用に関するもの六件、同じく処分に関するもの三件、計十二件であります。また、
国有財産
の管理について、
会計検査院
法第三十四条または第三十六条の
規定
に基づき是正
改善
の処置を要求し、または
改善
の意見を表示したものは、国家公務員宿舎新築
工事
の
施行
に関するものほか一件でありまして、これらはいずれも
昭和
三十八
年度
決算検査報告
に掲記しております。 次に、
昭和
三十八
年度
物品
検査報告
に関する慨要の
説明
でございます。
昭和
三十八
年度
物品増減
及び現在額総
計算書
は、三十九年十月二十四日
内閣
から送付を受け、その
検査
を了して、十二月三日
内閣
に回付いたしました。 右
物品増減
及び現在額総
計算書
における三十八
年度
中の
物品
の
増減
等を見ますと、三十七
年度
末現在額は二千八百八十二億三千五百万余円でありましたが、三十八
年度
中の増が千四百十七億三千九百万余円、同
年度
中の減が九百九十九億三千百万余円あり、また、同
年度
中の
価格改定
による
差し引き
増が六億千百万余円ありましたので、
差し引き
三十八
年度
末現在額は三千三百六億五千四百万余円となり、前
年度
末に比べますと四百二十四億千九百万余円の
増加
となっております。
物品増減
及び現在額総
計算書
に掲げられております
物品
の管理について、
会計検査院
法第三十六条の
規定
に基づき
改善
の意見を表示しましたものは厚生
保険
、船員
保険
両
特別会計
における保健、福祉施設の管理運営に関するものでありまして、これは
昭和
三十八
年度
決算検査報告
に掲記しております。 以上で
説明
を終わります。
—————————————
堀川恭平
5
○
堀川委員長
次に、大蔵省所管
決算
及び大蔵省関係各
政府関係機関
決算
の
概要
の
説明
を求めます。
鍛冶大蔵政務次官
。
鍛冶良作
6
○
鍛冶政府委員
昭和
三十八
年度
大蔵省所管
決算
及び大蔵省関係各
政府関係機関
の
決算
概要
につきましては、お手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知をいただきたいと存ずるものであります。 何とぞ御
審議
のほどをお願いいたします。
堀川恭平
7
○
堀川委員長
委員
各位のお手元に配付してあります大蔵省所管
決算
及び大蔵省関係各
政府関係機関
の
決算
の
説明書
は、便宜
委員
会議
録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承を願います。 続いて、
会計検査院当局
より各
決算
の
決算
概要
について
説明
を求めます。保川
会計検査院
第一
局長
。
保川遜
8
○保川
会計検査院
説明
員 大蔵省所管
決算
の
検査
の
概要
につきまして簡単に申し上げます。 三十八
年度
におきます書面並びに実地
検査
におきまして指摘いたしましたものは、
租税
の徴収不足を来たしたもの九百九
事項
、四億六千七百万円でございます。昨
年度
に比べまして、
件数
においては減っておりますが、
金額
総額
におきましては若干
増加
をいたしております。 それから、
国有財産
の売り払い処分に関しまして評定が適切を欠いたために低額となったもの東海財務局所管で一件掲げてございまます。 なお、
改善
事項
といたしまして、国家公務員宿舎の建設
工事
に関しまして監督並びに検収が適当ではないということでその体制をすみやかに整えられるよう
改善
の意見を表示いたしました。 以上でございます。
堀川恭平
9
○
堀川委員長
宇ノ沢
会計検査院
第五
局長
。
宇ノ沢智雄
10
○宇ノ沢
会計検査院
説明
員 大蔵省所管の
政府関係機関
の
決算
検査
の
概要
につきましては、
昭和
三十八
年度
の
決算検査報告
にそれぞれその
検査
の結果の
概要
を掲記してございます。これらの機関につきましては、
概要
を
検査報告
に記述してございますが、特に不当と認めた
事項
はこれらの機関につきましてはございませんでした。 以上、簡単でございますが……。
—————————————
堀川恭平
11
○
堀川委員長
次に、
政府関係機関
当局である
日本専売公社
、
国民金融公庫
、日本開発銀行、日本
輸出
入銀行よりの
資金
計画
、事業
計画等
につきましての
説明
は、便宜
委員
会議
録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承を願います。 これにて
説明
聴取を終わります。
—————————————
堀川恭平
12
○
堀川委員長
これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。
勝澤
委員
。
勝澤芳雄
13
○
勝澤
委員
最初に
会計検査院長
にまずお尋ねいたしますが、
会計検査院
の
検査
のやり方といいますか、それから
検査
の対象、三十八
年度
どういうところが対象とされて、全体の
検査
個所の
検査
をする割合といいますか、比率といいますか、こういう点についてまず最初に御
説明
願いたい。
小峰保榮
14
○
小峰会計検査院長
三十八
年度
の
検査
を実施いたしました個所と申しますか、全体のうちでどのくらい
検査
したか、こういうような御質問かと思いますが、
会計検査
は、御承知のように書面
検査
と実地
検査
に分かれるわけでございます。書面
検査
は全官庁、公共企業体あるいは公団、事業団、こういうものにすべて書面
検査
として
検査
をやっているわけでございます。それから実地
検査
を全面にわたって実施しておりますが、これも大体
検査
対象で、ぜひ毎年
検査
をしなければいけないところもございます。それから、そういうような大きなところも多いわけでございますが、
検査
対象の大体八割方というのは、郵便局とかあるいは国鉄の小さい駅とかそういうあまり実地
検査
に行けないところが八割方実はあるわけでございます。ぜひ
会計
実地
検査
をやらなければいけないという
支出
官がいたり、あるいは
歳入
徴収官がいたりというような大きな
会計
単位、
検査
単位と申しますか、こういうところは二割方になるわけなんですが、この二割方の重要個所に対しましては実地
検査
を三四%くらいやっております。それから残りの八割の小さい、あまり
検査
に行けないようなところ、これらに対しては三%くらいしか実はやっていない、こういうのが三十八
年度
の実際の
検査
状況でございます。
勝澤芳雄
15
○
勝澤
委員
そうしますと、おおむね三四%必要なところは行なわれているといわれますから、
検査
しなければならぬ、大体対象になるところは三年に一回は回っておる。こういうふうに理解してよろしいのですか。
小峰保榮
16
○
小峰会計検査院長
これも実はそう算術でやるようにいかないのであります。毎年行かなければいけないところがあります。東京の各本省とか大阪とかあるいは九州で必ず毎年
会計検査院
として実地
検査
に行かなければいけないところが相当あるのでございます。そういうところは毎年行っております。それから
支出
官がいたり
歳入
徴収官がいたりしまして、重要な
検査
単位ではありますが、なかなか手が及ばない、いろいろな関係で三年に一ぺんも行けないところもあるのであります。五年に一ぺんというようなところもございます。平均しますと、
勝澤
先生おっしゃるとおり三分の一、こういうことになりますが、毎年行っているところがある反面、五年に一ぺんか、六年に一ぺんしか行っていないというところも実はあるわけでございます。
勝澤芳雄
17
○
勝澤
委員
それから
検査
の
報告
書に掲載するものあるいはしない軽微なものといいますか、こういう区別というものはどういう振り分けがされてここにあがってくるのですか。
小峰保榮
18
○
小峰会計検査院長
書面
検査
で見つけて
検査報告
事項
になるものも少数はございますが、大部分は実地
検査
で見つけたものがそこにあがってくるわけであります。実地
検査
で各
検査
官、派出官が参りまして、見つけてまいりますと、これについて
局長
名でまず相手の意見、こちらの見解というものを相手官庁に照会いたしまして、回答をとるわけであります。まず
局長
段階でこれの取捨をいたします。案外こちらの認識不足もございますし、照会を一ぺん出して回答をとると消えてしまうものもございます。それから非常に軽微だ、また程度もあまり悪くないというので、
局長
段階で消えるものが相当実は多いのであります。それから
局長
段階で通りますと、これが事務総長の段階でもう一ぺんこれを取捨いたします。事務総長の段階で消えるものもございます。それから事務総長の段階で通りましたものは
検査
官
会議
に実は出てくるわけであります。
検査
官
会議
で出てきましたものはかなり強いもの——強いといいますか、
検査報告
にあげてしかるべしということで事務総長が
検査
官
会議
に出すものでございますから、わりあいに強いものが多いわけであります。
検査
官
会議
で不問になるというのは少ない。毎年数件はございますが、
検査
官
会議
で消えるものは非常に少ないのが実情でございます。
勝澤芳雄
19
○
勝澤
委員
最近ここ数年、是正
改善
の処置要求なりあるいは
改善
意見というものがたくさん指摘されました。ただ単なる意見を出すだけでなくて、それを是正させていこうという意向が
検査
院として見えているのは喜ばしい現象だと思うのですが、この意見に対するあるいは処置要求に対する回答を見てみますと、相当われわれとしては不十分といいますか、不満足といいますか、こういう回答がなされているように思うのです。
検査
院がここまで重要なものを下から積み上げてきて、そうして
検査報告
書に載せるということに対しては相当それについての批判、意見をもって出しているわけです。それについての原局の扱い方というのはどうも私はいままでと同じようにただ単なるおざなりの回答というふうに実は見えてしかたがないのです。そういう点で、この処置要求をしたものあるいは
改善
要求をしたものというものについては、それがきっちり
検査
院の意向に沿ったといいますかあるいは処置がされる、あるいは
改善
される、こういうことが明確になるまで
検査
院としてはやはり
検査報告
の中で、あるいは原局に対する指導といいまますか監督といいますか指示といいますか、こういうものを私はすべきじゃないかと思うのです。最近、意見といいますか原局の回答を持っていますけれども、抽象的になっておるのがたくさんあるわけです。たとえば一つの例を言いますと、郵政犯罪の問題なんかでも指摘をしました。その指摘をまじめに受け取って実施をすれば、いまもなお続いていないわけでありますけれども、その取り上げ方が、半年たち一年たち、やかましく
検査
院からも言われ、
決算
委員
会からも言われ、まあしかたがないからぼつぼつやろう、こういうことで一年、二年おくれになっているわけであります。そのほかのところもたくさんあるわけであります。こういうものに対してせっかく意見を出す。あるいは処置要求したのですから、やはりきっちりした処置というものを最終的にさせるような方策というものをすべきじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
小峰保榮
20
○
小峰会計検査院長
いまお話のございました
改善
要求というのは、ちょうど四年ほど前にこの
委員
会から非常なハッパをかけられまして、これが
会計検査院
がそちらのほうを向く一つの大きな導火線になったのであります。当時
会計検査院
におきましても、もう世界各国の
会計検査
というものが第二次大戦以後だいぶ変わってきておりますので、そちらのほうを見たりなんかしておりますと、いまのままの
会計検査
、明治以来の
会計検査
ではいけないのではないかというような機運が実は
会計検査院
内にも強かったわけであります。そういうときに、この
委員
会から相当強い御意見が出まして、私どもも一挙に向きを変えたわけでございます。それで
改善
要求は
決算検査報告
に載っておりますが、三十六
年度
八件、三十七
年度
十一件、三十八
年度
十四件、こういうふうにだんだんふえている状況でございます。これが批難、
不当事項
としてしかりつけるというのと違いまして相当に効果をあげているのでございます。いま
勝澤
先生御指摘のように、あと始末をどうするかということ、あとどうしていくか、ただ出しっぱなしでそのままにしておいたのではこれは何にもならないのであります。あとを
検査
院としても忠実にトレースしていく、こういう
方針
をきめまして、それのあらわれが
検査報告
に出ている。前
年度
の
改善
要求に対する処置状況を一章設けまして、これを書くように実はしたのであります。これは文章にいたしますと木で鼻をくくったような非常に簡単なものになりがちではなはだ恐縮でございますが、これは相当
会計検査院
があとをよく見守っております。ただ出しっぱなしでそのままにしてしまうというようなことでは何にもならぬというので、あとを絶えず追いかけていくという態度を三十六
年度
以降とっております。それで私どもの見るところでは、大体
改善
要求をしたものについては、程度の差はございますが、完全によくなるというものも全部では決してございませんが、いい方向に直りつつある、こういうふうに私どもとしては考えております。 それから先ほど例におあげになりました郵政犯罪なども、これは非常にむずかしい、
検査
院としてもずいぶん苦心してあの
改善
意見を出したのでありますが、なかなかこれは直りにくい、むずかしいケースでございます。昨年すでに郵政省も
会計検査院
の意見に従いまして定額貯金というものについて、いろいろな用紙とか、こういうものの取り扱いを改正しようということになりまして、たしか最近これはもう具体化したのではないかと思いますが、
検査報告
をごらんになりますと、定額貯金の犯罪というものが非常に多うございます。普通預金も多いのですが、定額貯金はさらに多いというような状況でございまして、これは制度の上で相当大きな欠陥があるというのを私どものほうで指摘したわけであります。郵政省当局もこれに従って制度の
改善
、いろいろな書類の書式というようなものの
改善
も、もうすでに実行の緒についております。決して
改善
要求を
会計検査院
は出しっぱなしにしているということではないのでありまして、また
各省
批難
事項
よりも
改善
要求に対してはよく意見をいれてくれます。今後とも
改善
要求ということは
会計検査
の一つのあり方として、大いに力をそそいでいきたい。それからまたこれのトレース、あとどうなるか、出しっぱなしには決してしないということで
会計検査院
もやっていきたいと考えておる次第であります。
勝澤芳雄
21
○
勝澤
委員
次に臨時行政調査会で
予算
、
会計
の改革に関する意見が出されて、その中の勧告の中で、
会計検査院
においては
内閣
から独立した地位にあることにかんがみて、
予算
の執行結果から判断して、
予算
が効率的に執行されたかいなかのみならず、広く
予算
そのものの批判に及ぶべきである、こういう勧告がなされております。そこで私は
予算
が効率的に執行されたかいなかということもありますけれども、
予算
をこう使えば効率的になる、こういう批判というものは可能だと思うのです。いまの
検査
院の中でできると思うのです。
予算
をこう使えば効果的だという一つの意見というのは出ると思うのです。そうしてなおかつ
予算
批判に及ぶかどうかという点については、いろいろ問題があると思うのですけれども、こういう点についてやはり
検査
院としては、臨時行政調査会の線に沿った
予算
批判まで及ぶような、
予算
の効率的な執行という方向に向かっての行き方といいますか、こういうものもやはり検討され、実施すべきじゃないだろうか、こう思うのです。その、いかがでしょう。
小峰保榮
22
○
小峰会計検査院長
会計検査院
が
予算
批判ができるか、臨調の答申の中にそうすべきだというあれがあったわけでございます。
予算
批判という意外がどういう範囲かという点については、ちょっとむずかしい問題でございます。
予算
は御承知のようにまず編成、それから
国会
の
議決
、配賦、執行、こういう段階を踏んで成立し、使われるのでのりますが、これ全体を
予算
、こういうふうに考えますと、配賦段階、執行段階、これにつきましては、
会計検査院
は御承知のようにたくさんいろいろなことを批難したり、あるいは
改善
要求したりやっております。それから最初の編成段階、大蔵省でおやりになるわけですが、この段階におきましても、私どもとしては
会計検査
をしておりまして、ただ
検査
をしていればよい、そして悪い
事項
をつかまえて文句を言うというだけで終わってしまうというのでは、これはもうはなはだ至らないわけであります。何とかしてこれを
予算
のよき執行に反映させたいということは、
会計検査院
は常日ごろ考えておるわけであります。編成におきましては、
検査
の結果を編成のためのよき資料として活用してもらいたい、こういうことで大蔵省当局などとは常に連絡を保っていろいろお話を申し上げているというのが実情でございます。それから効率的な
使用
という点になりますと、これは従来から実は心がけて
検査
をやっておるつもりでおります。ただ
予算
批判というものが、
国会
がおきめになりました
予算
がいいとか悪いとか、こういう段階まで含むといたしますと、これは現在の
会計検査院
としては、その権限はまずないというほかないのでありまして、そこまでの
予算
批判ということはやっておりませんが、ただ、
検査
の結果がよりよき
予算
のできるための一助となる、こういう方向に向かっては、絶えず心がけておりますし、従来もやっております。またこの
改善
意見が盛んに出るようになりましてから、相当突っ込んだ、将来の
予算
に響くような
改善
意見も幾つか出しております。
勝澤芳雄
23
○
勝澤
委員
そこで、
鍛冶
政務次官にお尋ねしたいのですが、せっかく
会計検査院
が是正、
改善
の処置の要求あるいは
改善
意見というのを出しているわけです。やはり原局は、
検査
院から言ってきたから、少しはまじめに取り上げて、
予算
の中でその問題を解決しようという部分があるわけです。そのときに
予算
編成の中で、いわゆる大蔵省としてはそういう問題は優先的に取り上げて解決するという方向に向かわなければ、結局
予算
がなかったからという逃げ道になる。われわれとしては
予算
があるないというよりも、その原局の熱意と思いますけれども、そういう点でやはり大蔵省としても
予算
の編成の上に、特に
検査
院から指摘されている一番重要な問題であるこの
改善
意見あるいは是正要求というようなものについてはやはり優先的に取り上げた
予算
の編成というものをしなければいかぬと思うのですが、そういう点についていかがですか。
鍛冶良作
24
○
鍛冶政府委員
御注意がありまして、たとえば
補助金
を出さぬものを出しておったということがあれば、その次の年はそれを重く置いて、それに従って
予算
の編成をしなければならぬことは当然だと思います。
勝澤芳雄
25
○
勝澤
委員
そこで、行管長官にもお尋ねしたいのですが、
会計検査院
とまたうらはらな関係で、この行政管理庁というのは、行政の簡素化といいますか、あるいはむだをなくすという面でいろいろな調査なり研究をされているわけです。それがいろいろな形でまた発表されているわけであります。また今度は、勧告に基づく原局の取り扱い方というのが私は不十分だと思うのです。よく言うのですけれども、行管で取り上げて、二年ぐらいたって今度は
検査
院で取り上げる、
検査
院で二年ぐらい取り上げて、しかたがないから
報告
書に載ってくる、
報告
書に載ってきて
決算
委員
会でやる。
決算
委員
会で一回じゃだめで、二回、三回もやれば、何とかしなければならないから直さなければならぬというので、五、六年かかるわけですね。一つの一番いい例は、何回も問題になりましたけれども、東大の検見川のゴルフ場なんというのは有名ないい例です。行管でもひっかかり、
会計検査院
でもひっかかり、
決算
委員
会でもひっかかった。調べてみたら担当者がみんな東大出身者で、どこもかしこも東大だから、灯台もと暗しじゃございませんが、何ともならなかった。それじゃしょうがないというので、
決算
委員
会で問題になって、ようやく東大としても希望どおりな解決をしたわけですね。ですから、行管がせっかく——最近もいろいろ出しているわけです。たとえば血液行政の問題につきましても出しているわけでありますけれども、そういう問題が実は出しっぱなしで埋もれてしまっておる。それが何年かたって問題になってきているということなんです。ですからそういう点でも行管というのがもう少し力を入れて、一番原局で困るのは
予算
の編成の上なんですから、やはり
予算
の編成の上でそういうものが影響するのだということを明確にさしてやるべきだと思うのです。そういう点についての意見をまず最初に長官からお聞きしたいと思うのです。
増原恵吉
26
○増原国務大臣 行管の監察なり調査なりの締めくくりというのですか、あと実効を確保する問題について御指摘の点が十分反省されるわけでございます。行管としては、調査監査をいたしまするのは、
会計検査院
でおやりになるようなものとは重複しないというような方向は一応考えて、全般的な機構の
改善
なり制度の運用の
改善
なりというふうなところへ問題をもっていくようにし、個々具体的な問題は行政相談というような形でこれを取り上げるというふうなことで大体やっておるわけでございます。査察をし勧告をしてまいりましたものが、そのとおりに実行されることが御指摘のとおり一番大事でございます。この点については、勧告をいたしますると、勧告しました
各省
からはその措置の回答をもらうことになっております。回答がおおよそ半年、ものによるとさらに長くかかるものもあるようでありますが、五、六カ月、半年程度かかって回答がまいるわけでございます。回答は、大体勧告の趣旨に沿って具体的な
改善
策を示し、もうすでに
改善
をしたという形で
報告
を受けるものもあるわけでございます。そういうものについて、さらに若干の間隔を置いて、特に重要と思われるものについてはさらに監察を繰り返すということも実は考えなければならないという考え方をいましておるのでございます。 ただいま進行中の状況は、勧告に対する
報告
は
各省
それぞれ真剣に取り上げてもらって、具体的な
改善
策の
報告
をしてもらっておるという大体の方向であるわけでございます。仰せのとおり、勧告がそのまま
各省
において実現されるように一そう行管としても努力をし、くふうをしてまいりたい、かように考えております。
勝澤芳雄
27
○
勝澤
委員
そこで長官に続けてお尋ねいたしますが、この臨時行政調査会の意見書が出まして、これの意見については政府はいちはやくこの意見に従って尊重する、実践をする、こういう意見を出しているようであります。これは当然なことであります。一体尊重するとはどういうことなのかということが、この間の
予算
委員
会でも質問されておったようでありますけれども、尊重されるというのは、一〇〇%やるのか、あるいは一〇%も尊重するのか、よくわかりませんけれども、私は、この臨時行政調査会の意見を政府が尊重するという立場であるならば、四十
年度
の
予算
の中で少しぐらいはこれが尊重されておるべきだと思うのです。しかし、残念ながら公社や公団、事業団、こういうものを見た場合は、ますますこれはふえているじゃございませんか。政府が尊重するということと、何々株式会社とか何々事業団とかいうものが今度の四十
年度
の
予算
の中で新設されるということはどう関連があるのか。臨時行政調査会の答申を実践しようとするあなたとしては、どうお考えになるかという点について、お答え願いたいと思います。
増原恵吉
28
○増原国務大臣 臨時行政調査会の答申はこれを尊重するというたてまえは、総理からも申し上げておるとおりでございます。尊重の
内容
は、八〇%やるのか三〇%か、一〇%でも尊重かと言われますると、なかなかそういう言い方では表現がしきれないように思うのでございます。
国会
における現在までの御質疑を通しましても、臨時行政調査会の答申はもとより尊重するという政府の態度はそれでやってもらわなければならぬが、これは答申をそのままやってもらっては困るという御意見も出ておりまして、また御意見の
内容
を承ってごもっともと思うところがたくさんあるわけでございます。したがいまして、尊重をするというたてまえは、臨調の答申のとおりに全部を行なうという趣旨ではございません。しかし、臨調の出しました答申というものを
基本
として、これが具体的な実行についてはなお考える余地があると思われる点があるし、あるいは考え方の方向として賛成できないところがあるというふうなものについては、臨調答申はこうあるがこういう理由でこの点は採用ができないのだという形で、その変更といいますか
改善
の結論を出すという意味でまいりたいわけでございます。しかし、全体の方向は臨調の答申を尊重していくのだという考え方でまいりたいと思うのでございます。 〔
委員長
退席、
田中
(彰)
委員長
代理着席〕 四十
年度
予算
編成にあたりまして、機構の問題等で局部等の新設、昇格あるいは公団、公社等の問題について認めたものがある。これは臨調答申も絶対認めてはならぬというておるものではございませんで、必要なもののみを認めて、不必要なものを認めてはならぬという趣旨でございます。局部あるいは公団、公社等特殊法人等につきましても、個々具体的に審査をいたしたのでございます。審査の結果、行政需要の面から考えてこれは認めることを適当と認めるというものに限って、新設あるいは昇格等を承認をいたしたということになるわけでございます。全体の機構については、中央省庁等の機構について臨調としては大きい方向を、たとえば中央官庁
各省
庁については企画事務と実施事務を分けるという形で、中央のトップマネージメントを強化するという形で、企画、実施の事務を分けて、何といいますか、相当に地方支分部局に権限を委譲するなり、なおできるだけ多く地方公共団体に実施事務を委譲するような形で、大きい機構の整理統廃合ができるという答申がございまするが、この点は非常に根本的な重要問題で、四十
年度
予算
にこれを盛り込むまでに消化がまだできておらぬということで、そういう
基本
的な整理統廃合の筋は今度残念ながら四十
年度
には出すことができなかったという形でございます。
勝澤芳雄
29
○
勝澤
委員
尊重するというたてまえから、新設したのも尊重したことだというような意見らしいのですけれども、具体的にどうなんですか。四十
年度
で公団、事業団等を新設したのはどういうのがあるのですか。
局長
でもいいですから。長官でなくてもおわかりになったところでひとつ答弁してください。
松本操一
30
○松本
説明
員 ただいまお尋ねの本
年度
新設を認められました特殊法人でございますが、名前を申し上げますと、文部省関係でオリンピック記念青少年総合センター、それから厚生省と通産省との共管で公害防止事業団、それから農林省の関係で農地管
理事
業団、それから八郎潟農村建設事業団、この二つがございます。それから通産省関係では小規模企業共済事業団、それから運輸省関係では新東京国際空港公団と日本自動車ターミナル株式会社、この二つがございます。以上、
合計
いたしまして七つのものにつきまして新設が認められたわけでございます
勝澤芳雄
31
○
勝澤
委員
この臨時行政調査会の意見というものをまじめに取り上げようとするならば、この七つのものはいまの機構の中で消化しようとすれば消化できると私は思うのです。消化できなくて新設しているから、これはつくり過ぎている、必要でないじゃないか、こういうことが議論の中心になっているわけですよ。たとえば私は、鉄道建設公団をつくるときに、公団をつくらなくてもやる法があるじゃないか。公団をつくれば
予算
を出すけれども、国鉄へは
予算
を出さぬという大蔵省の
方針
が公団というものをつくる。もう少し逆にいうと、もうそろそろ定年になった人たちのはけ口を探さなければならぬから公団をつくろうじゃないかということだと思うのです。この七つの人事は行監長官わかると思うのですが、でき上がったらみんなこれは
各省
から行くんでしょう。金をもらうために大蔵省から一人入れよう、あとは通産省、文部省、みんな役人がここへ振り分けで行かなければならぬから、こうやってつくっているのでしょう。これが
基本
なんですよ。ですからそういうことから考えたら、臨時行政調査会の答申を尊重しますと片一方で言っていて、七つも新設して、これでのほほんと私は臨時行政調査会の答申を尊重しますと、長官はよう言えぬと思うのです。これは私は何といいますか、この行政改革をやる熱意があるかないかという問題だと思うんです。いつかここで各公社、公団の監事の任務の問題について質問いたしました。そのときに、各公団の監事は直接大臣に意見の具申ができる、こういうところと、
総裁
なり
理事
長を経由して意見の具申ができる、こういう二つに取り扱いがなされておりました。それが行管が監査をした結果、これは直接大臣に意見具申ができるのが正しいという勧告をしたわけです。ところが去年の通常
国会
に出てきた各公社、公団、事業団等の監事の任務の法律改正は、一様に
理事
長なり
総裁
を通じて
主務大臣
に意見を出す、 こういう改正が出されて、当時の山村国務大臣に私は質問したのです。結局山村大臣との質問の間では、やむを得なかったということで、従来監事が直接意見具申を大臣にしておったにもかかわらず、法律改正によって
理事
長なり
総裁
を経由しなければ意見具申ができないというふうに改悪をしたわけです。そうして行管の長官は、しかたがないということでおりたというわけです。ここの
委員
会をやっていて腹が立ったから、隣の建設
委員
会に行きまして、建設大臣の河野さんに私は質問いたしました。そして建設省は、いままで監事というのは、意見の具申は大臣直接にやっていたじゃないか、なぜ
理事
長や
総裁
を通じなければ意見の具申ができないのかと言ったら、理論負けをして、しまいに善処しますといって、結局建設大臣の河野さんが言い出して、約十八の法律がこの間の前回の通常
国会
でみな修正されました。これは行管の長官がやる気があってやればできたと思うんです。やる気があったかなかったか、
局長
にまかしておったか知らないけれども、いいかげんにやっておったから、まあそれでしかたがない。たまたま河野さんに私が質問をして、理屈でいま建設省がやっている現実からいってそれは当然だ、監事が大臣に意見具申するのはあたりまえだ、それでもとに戻って法律改正がなされたわけです。それを見ても、やはり行管の長官がだれがなるのかということが一番問題です。河野さんが建設大臣になれば、もう池田
内閣
は建設行政だけで、ほかの行政は何もないように目立つでしょう。私は佐藤総理に言ったのですけれども、佐藤総理のやらなければならぬことは何ですか。この臨時行政調査会の意見をどう実施をするかということがあなたの使命ですよ。これは政党
内閣
だからできる、役人やあるいは労働組合から出ている代表ではできないのですよ。国民的立場でものを考えなければ、これはできないのですよ。だから私はそう言っているわけです。それを中心にやろうとするのがあなたなんですから、あなたがいまのような七つも新設さして、これで尊重しているんですと言ったら、臨時行政調査会というのは、長い年月何億という金をかけて日本の一番優秀な人たち、保守、革新を問わず、とにかくこれをつくり上げた人たちについて、これは国民を愚弄するもはなはだしいと私は思うのです。この七つの新設の理由について、せめて
決算
委員
会の中で与野党が一致をして、これならしかたがないだろうという
説明
をひとつ私はしていただきたいと思うんです。ぜひひとつ次の機会に、これならしかたがないだろうという納得のいく私は
説明
をしていただきたいと思う。それはいままでつくられたものと、やはりこの調査会の意見書が出た現在とは時限が違うのですから、時限が違う立場でこの解明をしてくれなければ、一体行政管理庁長官というのは何のために長官をやっているんだ、一体何をやるのだということに私は疑問を持つ。もしそうだったら、行政管理庁長官なんという国務大臣を一つふやす必要はないと思うんです。ほかの人にやってもらったらいい。そういう点を特に私は次の機会に、これはもっと詳しくお聞きしたいと思いますから、ぜひひとついま私が言いました七つの理由を明確にしていただきたいと思うんです。 次に今度は
補助金
の問題であります。
補助金
の問題につきましても、これは
補助金
等合理化
審議
会で出されました。しかし、出された
内容
を見てみましても、これもまたおざなりなんです。もうおざなりに、やる気がなかったら、私はこういうものをつくらぬほうがいいと思うのです。いつ私が質問しても、
田中
大蔵大臣は、いや、合理化
審議
会の答申があるまで待っています、答申があったらやりますと言う。やるかとみたら、何にもやっていない。やらぬならやらぬと初めから言ったほうがいい。やれなくてもやれるように言うのが政治家かもしれませんが、それでは国民がたまったものじゃありません。そういう点で、この
補助金
の合理化
審議
会の答申の取り扱いをどうするのか。やるのかやらぬのか、やるとすればどうやるのかという点について、これはどちらなんですか、御
説明
願いたいと思います。
鍛冶良作
32
○
鍛冶政府委員
もちろん、合理化
審議
会の意見を尊重するたてまえでいっておることは間違いないのです。ないのですが、大蔵省で責任転嫁するわけではありませんが、大蔵省としては、
各省
から要求せられて、それを
受け入れ
るかどうかを決定するところなので、要求する
各省
でどうあってもやらなければいかぬという
説明
に、大蔵省が負けたのだと私は思っている。しかし、ぜひやらなければならなかったなら、大蔵省の当局の者は
各省
から聞いておりましょう。先ほどからおっしゃったように、この新しい公団をつくるのに、どうあってもつくってもらわなければいかぬと要求せられたその責任者のほうから、どうあってもやらなければならぬ理由を聞いていただいたほうがいいのじゃないかと思います。
勝澤芳雄
33
○
勝澤
委員
そこで、政務次官の言われることもよくわかりますから、ひとつ大蔵省と行管のほうで、この
補助金
は要らぬと思うという資料を出していただきたいと思うのですよ、大蔵省は大蔵省なりに、行管は行管なりに。そうすれば、これは
各省
全部やりますから、やったときに、一体いかなる理由で必要なんだという
説明
を聞いて、われわれのほうで判断しましょう。われわれのほうがきめて、やめさせるようにしたいと思うのです。ひとつその資料をぜひ
決算
委員
会に出していただきたいと思うのですが、それはよろしゅうございますね。
中尾博之
34
○中尾政府
委員
いまのお話でございますが、
補助金
の整理は非常にむずかしい問題ではございますが、やっておるわけでございます。しかし、これは
補助金
が現にあるわけでございます。ございます以上は、やはりそれは必要であるから実はある。ところが、
補助金
と申しますのは、御承知のようにいろいろ批判があるものでございます。 〔
田中
(彰)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 その効果はまた効果といたしまして、一方におきまして、いろいろな弊害もあるというようなことから御批判があるのでありますが、その間のかね合いが問題になるわけでございます。それにつきましては、四十
年度
予算
の編成におきましても、特に本
年度
は御答申をいただいた際でもございましたので、
予算
編成に先立ちまして、大臣折衝をまず手続的に開始をするということにいたしました。それで、事務段階に
予算
をお渡しをいただいて、折衝を前に始めたのでございます。それによりまして、要するにどちらが間違っているとか間違っていないということではございませんで、この
補助金
を、若干問題になる点はあるかもしれない、しかし、現時点におきまして、こういうものはそれにもかかわらず必要であるということの判断がつきますれば、それを存置する。ただし、その弊害が指摘されておりますれば、それにつきましては、その弊害を最小限度、できればなくするようにという、いろいろなくふうをこらしたわけでございます。その場合に、
補助金
の目的をいたしますところを達成するのになるべく支障のないように、しかも弊害のないようにということで検討いたしたのでございます。その結果、廃止すべきものは廃止し、統合すべきものは統合し、現在廃止することは時期尚早であるが、いずれある時点には廃止しなければいかぬというようなことにつきまして、それぞれ関係省との間の検討によりまして——どちらがどうということではございません。それぞれの立場からの議論を総合して結論を得まして、それが
予算
に盛り込んである次第でございます。したがいまして、大蔵省としてはこれはやめるべきだ、あるいは主管省としてはこれはどうしてもあるべきだというようなたてまえの議論ではございませんで、それぞれの立場を理解しながら、どうしたらいい制度に持っていけるかということについてお互いに努力を払っておるというのが実情でございます。したがいまして、資料といたしまして、ほかの考え方その他はどうであるか——やみくもに、これを廃止すべきであるといったような考え方は、大蔵省としてもとっておりません。すべての
補助金
につきまして検討はいたしております。おりますが、大蔵省としては責任を持って、これは無条件に廃止すべきであるというような意見は、実は持っておらないのでございます。すべては実情に即しまして、関係の大臣は、それぞれ行政を遂行して、その関係省の仕事を全からしめるところの最終の責任を持っておられる方でありますから、それらの方々の責任とその御意見というものとからみ合わせまして、初めて結論が出るのでございます。大蔵省といえども、それを差しおきまして、是が非でもこれはやめるべきであるというような結論を出す立場にございませんし、またそういう見識を持つべきものでもないのでございます。実際問題といたしましては、そういうものはございません。御了承をいただきたいと思います。
勝澤芳雄
35
○
勝澤
委員
なかなか出しにくいでしょうけれども、ひとつ大蔵省と行管のほうで、廃止すべきものであるという意見でなくても、検討しなければならぬという程度のものは、私はぜひ検討して出していただきたいと思うのです。国と地方との
補助金
というものは大まかになっております。 そこで、今度はもう一つ、外部団体に対する
補助金
と委託費、こういうものも臨時行政調査会の中で問題になっております。この
決算
委員
会でも、個々的な問題については三、三問題になったことがある。たとえば外務省の国際問題研究所でしたか、委託費を渡した、その委託費の
使用
方法がでたらめだということで、外務省の
会計
裸の
職員
を半年も出向さして、委託費の
受け入れ
、
経理
のやり方について指導をした、こういうことがこの
決算
委員
会で明確になりました。今日、外郭団体依託費の使い方については、このようなことが相当あると思う。私は、委託費をもらうために外郭団体をつくったということを外務省に指摘したことがありましたけれども、まさにそういう点があると思う。それも、考えてみると、だれか退職しなければならぬ、退職した人の就職口を探してやらなければならぬ、あるいは月給が安いから、内職の原稿を書かせるためにそういう委託費の団体をつくらなければならぬ、補助団体をつくらなければならぬ。そういうものが、実にクモの巣のようにあるわけです。これも私は何回も何回も——あなた方のほうでも研究をし、あるいは調べはしているようでありますけれども、外郭団体に対する
補助金
あるいは委託費という問題についても、いまの地方と国という関係以上に、私はもっと徹底した監査をすべきだと思う。ある団体へは委託費を出している、そのかわりに、役人が外国に行くときにはせんべつを出しているという例があるわけです。われわれが調べようとすると、委託費ではない。委託費以外の会費で払っているから、調べようがない。
決算
に出てきても、そうは出てまいりません。
会計検査院
もなかなか調べない。しかし、委託費なり
補助金
というものは何のために出ているかといえば、結局見返りのために逆に出ているわけであります。実に知能犯的犯罪だと思う。ひとつこういう点についても、この際次の
予算
を盛るまでに十分な検討を、これは大蔵省と行管のほうでやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
増原恵吉
36
○増原国務大臣 御指摘のように委託費についてそういう問題があることは、私ども承知をしておりますが、現在までのところ、と申しても実は三十八年でございますが、
補助金
等についての監査をやりましたが、委託費については、そのとき監査をやっておらないようでございます。この点ひとつ研究をいたしまして、御趣旨に沿うようにやっていきたいと思います。
勝澤芳雄
37
○
勝澤
委員
いま長官も言われましたように、この委託費は、私の承知している状態についても十分了知されているようでありますから、ぜひこの問題は、私は必要なものはやっぱりやらねばなりませんけれども、必要のないもの、あるいは何の目的でやっておるか目的がわからないものについては、当然改むべきだと思う。これはやはり
補助金
をなくす、あるいは委託している団体がその委託費を中心に運営されているわけでありますから、その意味からいえば、その団体をなくす、人の問題にも波及するでしょうけれども、やはり国の税金がそういうむだなところに使われているということは許すわけにはまいらないと思うのです。 そこで
会計検査院
にお尋ねしたいのですが、理工系の
検査
職員
ですね。この間私は、この
検査報告
書で、制御系解析機を防衛庁の防衛大学で買ったということについて中身を詳しく聞いたわけでありますけれども、たまたま
検査
院にこういうものがわかる理工系の
検査
官がおったからこれがわかったと思うのです。もし
検査
院にこういう人がおらなければ——教授がこの機械を買ってくれ、この会社から買ったらどうだ、そして買わして仕様書を書かして発注をさして、でき上がったものについて
検査
はおれがやってやる、そして動かない機械が入っているというような例というのは、これはまたたま
検査
院にこういう人がおったからわかったということ、こういう意味で、私は、これから防衛関係にいたしましても、あるいはそのほかの関係におきましても、複雑になってくると思うのです。ですから、やっぱり専門的な知識を持った者を
検査
院の中でも十分取り入れていかなければならぬと思うのですが、今日そういう点はどういうふうになっておりますか。
小峰保榮
38
○
小峰会計検査院長
会計検査院
に技術
職員
が置けるようになりましたのは、いまの法律になってからであります。旧法時代には技術
職員
は置けなかったのでありますが、現在の法律になりまして、手近なところから、また
会計検査院
で種々役に立つというような建築とか土木、電気、機械、化学、こういうような技術者を実は相当とったのであります。現在技術者としては三十数名、
会計検査院
におります。それで先ほど御指摘がありました防衛の課とか、鉄道の
検査
とか、こういうところにわりあいたくさん集まっているわけであります。先ほど御指摘のありましたのは、防衛の課には機械の技術者も電気の技術者もおります。こういう人が見つけたのかどうか私は実は承知しておらぬのですが、
会計検査院
に長くおりますと、動かない機械を買ったとか、使えないものを買ってそのままにしてあるとかいうのは、事務官でもいままで見つけた例がございます。
会計検査院
に技術者を相当数置くということはぜひ必要なことでございます。現在も、先ほど申し上げましたように各専門を網羅していると思いますが、三十数名技術
職員
が配属されております。
堀川恭平
39
○
堀川委員長
吉田
委員
。
吉田賢一
40
○吉田(賢)
委員
いま問題になりました臨時行政調査会の結論が昨年の九月下旬に政府に向かって答申せられた。これは近来にまれな非常に大きな期待もかけられたが、同時に国民が注目した現象でございます。そこでこの成り行きいかんということは、
国会
といたしましても最も大きな関心を持たねばならぬ案件でございます。そこで、去年できました行政改革本部、これは去年の夏、八月の閣
議決
定で行管の中に設置されたようでございますが、この行政改革本部におきましては、この答申が出るや直ちに相当な作業が開始されたと思うのです。これはいま長官からだんだんお話がございましたけれども、要約いたしまして、どのような
方針
で、どのような趣旨、
内容
をもってこれに対処するものか、あるいはまたどのような経過をたどって今日に至っておるか、
概要
でありますから、これらについて御
説明
を得たいと思います。
増原恵吉
41
○増原国務大臣 御承知のように、臨時行政調査会の答申は九月の末に出ております。行政改革本部は、実はこれも御承知かと思いまするが、首都圏庁に関する答申が一つ切り離されてその前年になされておりまして、これを処理するということで行政改革本部は設けられました。したがって、これも前年に設けられておるものでございます。臨時行政調査会の全答申は、まとめて十六項目にわたりまして答申が出ましたので、これをこの行政改革本部で受けとめるという形で処理をしようというふうに政府の
方針
がきまったのでございます。そうして行政改革本部では、まず全体の扱い方としては、この答申を関係
各省
庁がそれぞれ自分の所管にかかわる観点において検討をして、これに対する所見を出してもらうということを、およそ年末までかかりまして一応の大ざっぱな作業をいたしたわけでございます。それと関連をして、行政改革本部で全般的に直ちに問題をこなすことはたいへん困難である。しかし緊急と認めるもので相当早期に実行可能なものは多く法律改正、法律制定等を要することになるので、現在の通常
国会
に提案できるように努力しようということで、緊急で実行可能なものを幾つか取り上げてみようということで、首都圏庁の問題、行政管理
委員
会の問題等を具体的に取り上げまして、その法案作成、具体化に努力する一方、許可、認可
事項
の整理等、たいへん広範にわたって相当具体的な
方針
もありますので、この許可、認可
事項
は、
各省
庁で具体的検討をする中で、特にこれを取り上げてもらって、実行可能なものから
法律案
を作成するものは作成してもらうし、そうでないものは、政府限りでできるものは、直ちに実行に移すという措置をとったわけでございます。しかし、今日、通常
国会
に提案するという形で準備のできるものはきわめて少ないので、あと全般的な検討を本年の八月三十一日までに
各省
でしてもらって、特に機構の統廃合等に関する問題は、大体八月三十一日までに全体としてのめどをつける。全部が処理できるという形にはならぬと思うのです。めどをつけて、処理可能な状態にできるだけのものをしてもらうということを八月三十一日を目途といたします。これは次の
予算
編成あるいは法案の
国会
提出ということをにらんで八月三十一日を目途を立てておるわけでございます。そういう形で、現在行政改革本部は進行をいたし、具体的に若干の問題をいまこなしつつあるという形でございます。
吉田賢一
42
○吉田(賢)
委員
すでに
国会
に消費者行政の改革に関する意見、第十二項でありますが、これにつきましては国民生活局設置に関する
法律案
として提案されておるわけであります。そういたしますと、いま四十八回
国会
に出されようとするものは、この消費者行政の改革に関する件そのほか許認可の整理に関する件、このようなものが出るのみにとどまるわけでしょうか。すでに厚生省では、三十ばかりの許認可の整理に関する
法律案
を出すとか出さないとか言っているのですが、この二つにとどまるのでしょうか。
増原恵吉
43
○増原国務大臣 臨時行政調査会の答申に出ました趣旨に沿って出まするものは、許認可だけではございませんで、その他の法律改正にも、臨時行政調査会の趣旨を盛り込んだものが、若干は提案される見込みでございます。国民生活局が機構改革の問題として一つ出ておるわけでございます。これに関連をして、青少年に関する問題を論議してみたのでございまするが、これは臨調答申は、
内閣
に、
各省
でやっておる青少年問題の調整、推進の機構を設けるがよかろうということで、一時やはり青少年局という形で具体化する話がだいぶ進みましたが、
各省
の意見との間に調整がうまくつきません。調整官というよう形の調整の能力を持つものではどうもうまくいかないという
総理府
の考え方で、これは残念ながらまとまらなかったのでございます。なお、許認可以外に、若干のものは、臨調答申の御趣旨を盛り込んだものがある見込みでございます。
吉田賢一
44
○吉田(賢)
委員
そういたしまするというと、青少年問題は、これはもうすでに佐藤
内閣
が組閣当初所信表明においても織り込まれましたような重大な
事項
であります。それから昨年の十二月の当
委員
会における佐藤総理の私の質問に対する答えも、青少年問題につきましては積極的に善処なさるというお約束がありました。かつまた人間尊重ということは、
内閣
の大きな看板ですから、人間尊重の場合に、青少年問題がつぶれるということはちょっと意外です。これは主計局も来ておられるのだが、主計局は青少年問題に関する
予算
要求を、大蔵省は認めないという方向に出たのでしょうか。いかがですか。
中尾博之
45
○中尾政府
委員
青少年局の問題は、もう実は臨調の答申以前に、中央政府といたしましては局をつくるという
方針
がございまして、その際に、私どもは大蔵省といたしまして検討いたしまして、これを設置するという
方針
にもちろん同調いたしておったわけでございます。したがいまして、今回におきましても、もし臨調の問題がなければそのままいったものと存じます。
予算
の際には、この問題は機構の問題であるからということで、機構の問題で御議論になっておきめになったわけでございますが、財政の見地からこれを必要としない、あるいはしかるべからずというような意見を差しはさんだということは決してございません。できるならばそのとおりに
予算
をつける、で、機構の見地からこの結論が得られなければつけない、という次第に従って処理をするという立場でございます。
吉田賢一
46
○吉田(賢)
委員
この件は四十六
国会
において
内閣
委員
会におきましても政府が
法律案
として提案をし、それから臨調の答申待ち、こういうことでこれは流してしまったという経過を持っておるのであります。いろいろな意味において全国的に非常に重大な影響のあることでありますので、この点はなお大蔵大臣にも聞いてみたいと思います。 それからなお、当
委員
会におきましても重大な関心を持っておりますことは、臨調の答申の第十八項の
予算
・
会計
の改革に関する意見の件でありますが、これもきわめて重大なことでございますし、どのような程度で、どのような範囲においてこれを実現するかということは一応問題といたしましても、相当答申後すでに五カ月も経過をいたしておるのでありますが、大蔵省におきましても、今度財政制度調査会の一部改正を提案せられて、
委員
も特別
委員
をつくり、定員十二名が二十五名になる、こういうことも承知いたしておりますが、大蔵省といたしましては積極的にこれに取り組むべき主管庁でなければならぬと思うのでありますが、この点に対する回答はまだ出ないのですか。何かひとつ、これは大臣に聞いてもよろしいのでございますけれども、事務的に進行していることでもあれば聞いておきたいと思います。
中尾博之
47
○中尾政府
委員
答申をちょうだいいたしまして、これは財政、
会計
制度の点でございますから、主として大蔵省におきまして取りまとめるという立場にございますので、目下慎重にこれを検討いたしております。ただ事柄は相当多岐にわたります。したがいまして相当大きな作業になるということでございます。それで、いま
予算
関係の法案に忙殺されておりまして、若干そちらに人手をとられておる関係もございますので、その係の者を置きまして検討を続けておりますが、あっちのほうが一段落いたしますと、ほかの者もそれに全部手を貸しまして、全力をあげてこれを検討していくことになると思います。 なお答申そのものの中でも、法律改正あるいは制度改正というようなことを待ちませんでも実行できる、あるいは不完全ではあっても多少とも早く実施に移したほうがよろしいといったような問題につきましては、とりあえずそういうようなことに同調いたしたいと考えまして、若干の努力を払っておる次第でございます。
吉田賢一
48
○吉田(賢)
委員
なお、この行革の問題でございますが、これは臨調の構成なり、臨調の今度の答申というものに一体なぜ国民的重大な関心を持ったかということも、政府としてやはり真剣にお考えになったほうが私はいいと思うのです。一体、戦後しばしば行政調査会ができて、開会をせられ、いろいろな答申が出たようでありますが、二年数カ月かかって膨大な資料をもって調査をし、そしてしごく大がかりな調査もしたらしいのだが、その結論というものはやはり相当尊重しなければならぬと私は思うのです。こういうことを尊重しないようなことであっては、私は、政治家というものはやはり時の推移によって政策を立てたり、機構をいじったりするだけに終わる危険があると思う。そこで伺っておきたいのですが、これは従来の行政調査会に比較して格段の重要さを持っておると国民は大体考えておるのですが、その点につきまして、長官どのような背景で、どのような機構で、どう
経費
を使って、どんなに調査したのか、これも要点だけでよろしゅございます、ひとつ御設明をしていただきたい。
増原恵吉
49
○増原国務大臣 臨時行政調査会の調査の実態ということは、吉田
委員
はすでに御承知と思いますが、従来の行政機構改革、運営改革というものは、行政機構というものの持つ一つの宿命的なものともいえましょうか、ときどき思い切った検討と反省、改革をやる必要があるわけでございます。戦後だけをとってみましても、何度かこのことについての調査会、
審議
会等も設けられ、検討をいたし、答申も出てきたのでございますが、十分な成果をあげたとはいえない実情であることは御承知のとおりでございます。そういう経緯にかんがみまして、行政
審議
会の五回目の
審議
でございましたかで、臨時行政調査会というふうな何といいますか、有力な組織、機構をつくって、ここで全般的な行政機構改革、運営改革を
審議
し、その答申をつくるということになったことは御承知のとおりでございます。そういうことで七人の
委員
を
内閣
において
選任
をし、両議院の承認を得て
委員
を任命をする。広く国民の全般の意見を吸収できるというふうなたてまえで
委員
を人選されました。この
委員
が二年有半にわたって、仰せのとおりたいへんな努力をされました。特に専門調査員なり特別調査員なり多数の方々の協力をえまして、非常に綿密な、広範にわたる実証的調査を積み上げてこれをまとめ上げ、最後の段階では、七人の各
委員
がそれぞれの分担を定め、会長統括のもとではありますが、集計されました実証的調査をもとにし、有力な補助者の補佐によりまして、それぞれ分を定めて討議をし結論をまとめられた全体を七人
委員
の全会一致という形で推進をする。しかも調査会としては、当初から、御承知のようにこの問題は国民の声を聞き、これを反映をするという手だてを具体的にとるべきものとして、臨調の趣旨を全国にPRをし、意見の申し出を慫慂されました。また現実に各地方に出張をして意見聴取の機会をたいへん具体的に綿密に持つというふうなこともやられまして、国民の全体の意見をできるだけ的確に把握するという面を努力をされたことは御承知のとおりでございます。 そういう形ででき上がりました臨時行政調査会の答申でございますので、政府としては答申を受けました——受ける前からもとより法律そのものに答申の尊重をすべきことをうたっておるわけでございますが、答申を受けまして、当時の池田総理もこれを尊重をしてまいることを言明をいたしましたし、佐藤総理もそのあとを受けまして答申尊重を言明をし、その努力をいたしておるということでございます。
吉田賢一
50
○吉田(賢)
委員
国会
では臨時行政調査会の基礎法、根拠法をつくるときは絶対多数だったと思うのです。それから進行過程におきましても、国民は相当な声援を送ったと思いますし、また新聞、雑誌その他のマスコミがほとんど支持した、こう思うのです。また構成の七人のメンバーを見ましても、財界のトップの方があり、全体を代表するような方があり、それから進歩的な学者が出ておられるし、労働組合の代表も出ておられる。しかして全会一致、そして二年数カ月かかった、あらゆる実証的な調査検討の結果であった、こういうことであるのだから、もうすでに半年近くたつのですが、これに対して具体的な反響が実施面においてもっと起こってきそうなものですが、どういうわけなんだろうか。もしこういうことであるならば、またがっての行政調査会の結論のような、いつの間にやら消えていくようになるのではないだろうかということをひそかに心配するものであります。したがいまして
経済
界あたりにおきましても、すみやかにこの答申の趣旨の実現を望むとか、あるいは行政監理
委員
会をつくることを希望するとかいうことが、特別にいろんな声明なり陳情が出されておるようでございますが、何となくこれに対しまして冷淡といいますか、気乗りが薄いんじゃないだろうか。佐藤
内閣
は相当な意気込みをもって社会開発をやるというようなことを言っておられるときでありますので、社会開発はあらゆる面で織り込まれておるようなことであるから、何も全部そのままうのみにする必要は決してありませんから、積極的に取り組んでいくという熱意と努力がないといかぬと思います。これは行管の長官にお聞きするのはいかがかと思うのですけれども、やはり閣僚のお一人でございますから、
内閣
が積極的にこれと前向き、建設的に取り組んでいくというふうにやるべきだと思うが、なぜおくれておるのでしょうか。その辺は
国会
でひとつ解明しておいてもらいたいと思います。
増原恵吉
51
○増原国務大臣 臨調答申を尊重し、これを実現するために十分の努力をすることは、
予算
委員
会の質問の際、総理からも御答弁申し上げておるところでございます。政府全体としてその方向へ十分な決意を持って努力するということは、はっきり申し上げておきたいと思うのであります。
吉田賢一
52
○吉田(賢)
委員
どうも
国会
は言いっぱなしみたいになることがしばしばございまして、努力する、善処します、一生懸命やりますということをよく聞くのですけれども、しかしてあとから何ができたのかとなりますと、あれやこれやの陳弁をせられるというのが従来の例でございまして、これは
予算
を使いっぱなし、
決算
でとやかく言っても、理屈があってそれぞれと御答弁になるのと同じでございますので、私ども、そういう傾向は遺憾なことであります。事実おくれておりますことはそのとおりでございますし、具体的にこの項目を見ましても、早急を要する問題がたくさんにございますが、具体的にはさっきお述べになりましたような程度にしかいまは進行しない、そういうことになりますと、八月にということになれば、八月の末に
各省
において調査を終了する。そうすると、来
年度
はある程度の締めくくりがつくというような見通しでも立つのでございましょうか。
増原恵吉
53
○増原国務大臣 八月末までに
各省
における一応の検討を締めくくってもらうというつもりは、仰せのとおり、
予算
の問題なり
法律案
提案の問題なりで、次の通常
国会
でできるだけ多くのものを処理をしようというつもりでございます。したがいまして、八月三十一日までには少なくとも方向としては大きい方向を定めることができ、具体的な事案もなるべく多くのものを処理を完了することにしたいと考えておるわけでございます。
吉田賢一
54
○吉田(賢)
委員
それではその問題につきましては、さらに回を重ねまして、十六項目各問題につきまして、相当われわれとして知っておかねばならぬ点もありますので、追っての機会を利用したい、こう考えるのであります。 そこで、大臣も見えておりませんので、事務御当局に伺ってみたいと思うのですが、臨調にも触れておりましたし、しばしば各種
委員
会におきましても、また
国会
においても触れておりましたが、
予算
の獲得にはずいぶん骨折るけれども、
決算
を軽んずるということ、これはこの
委員
会でも何回も皆、口がすっぱくなるほど言うておるが、これは一向に改まらない。臨調などもこれに触れておるのであります。 そこで、なぜそうなんだろうかということは、いろいろな
原因
があるのでありますが、私ども全部をこの場合に検討するつもりはございませんけれども、
予算
の
内容
につきまして、たとえば
補助金
が問題になっておりますが、
地方財政
も枯渇する、だんだん
赤字
が累増していくという問題のよってきたるところを見ましても、
予算
単価というものが相当混乱しておることが一つの
原因
ではないだろうか、こういうふうに思うのです。 そこで主計局のほうに伺いたいのですが、一体
予算
単価というものは各事業団体、あるいは事業の部局が省に要求するときにも、
予算
の単価があろうと思います。また省におきましても、省自身の
予算
の単価もあろうかと思いますが、大蔵省、また査定する単価も持っておると思いますが、この単価は、統一的にものさしがあるということになっておるのでしょうか、それはいかがなんでしょうか。
堀川恭平
55
○
堀川委員長
大蔵大臣が見えられましたから……。
吉田賢一
56
○吉田(賢)
委員
それでは主計局のいまの御答弁はちょっと待っていただきまして、大臣が見えましたから
勝澤
さんに譲って、この問題はあとにします。
勝澤芳雄
57
○
勝澤
委員
一般的な問題は、先ほどやりましたので、また大蔵省のときに大臣にはこまかいものを聞きたいと思いますが、とりあえず
国有財産
の処理の問題でお尋ねいたします。今度の三十八
年度
の
会計検査報告
にも
会計検査院
から載せられておりますが、名古屋の東海財務局で随意契約によって三十八年四月に東洋プライウッドという会社に
国有財産
の払い下げをしたわけであります。それが一週間たって約一億五千万円もうけて、松下電器に転売された。こういうことがあるわけでありますが、大臣、お聞きになっておりますか。
田中角榮
58
○
田中
国務大臣 まことに申しわけありませんが、聞いてはございまません。ここに書いてありますので、いま読んでおるわけであります。
勝澤芳雄
59
○
勝澤
委員
大臣、これは昨年
決算
委員
会で問題になりまして、また大蔵
委員
会でもこれが問題になりまして、管財
局長
から、これは不当な処理であるから東洋プライウッド株式会社から返納させるという答弁が大蔵
委員
会におきましてあったようであります。その結果、いろいろ取り立てを行なったようでありますけれども、取り立てが不可能で、何か別の形で、約四千万円ですか、徴収をしたという話を聞いております。そのために用途指定がしてなかったということで法改正もやられたということも聞いております。ただ、ここで考えなければならぬことは、大蔵省に
国有財産
の払い下げの申請をして理由書もいろいろ書いて、
委員
会にもかけて、これならいいだろうということで許可したのが、一週間たって転売をされた。そうしてこの取り立てが何もできないんだということでは、はなはだもって私はけしからぬと思うのです。しかもこの
土地
が一億五千万もうけて売ったわけでありますから、注意して見れば第一次に払い下げた分は延納で、第二番目に払い下げた分が即納で、この即納の分が転売されたわけであります。こういうことになっておるわけであります。 そこで、大臣のほうはゆっくり読んでいただいて、
会計検査院長
にお尋ねしたいのですが、これが事件になって、
決算
委員
会で問題になったというのは、
会計検査院
では御存じなんです。それに基づいて実は
検査
が行なわれたと思うのですけれども、その
検査
院の
報告
書によりますと、
土地
の売買価格が低かったという実は指摘しかしてないのです。それが第一次に払い下げたのが二月前だった。第二次に払い下げたのが四月だから、第二次に払い下げた分が約二千四百万、とにかく評価が低かった、こういう実は指摘しかないわけです。第二次が二千四百万低かったら、第一次の払い下げについても評価が低いのはあたりまえなんです。これが転売されたということも知っておるか知ってないかよくわからぬけれども、これを見ると、一体
検査
院が、
決算
委員
会で問題になったものに対してすら、
検査
のしかたについては私は不十分さがあると思う。この間の経過について院長おわかりにならなければ
局長
でもけっこうです。わかるほうがいいですから、わかるほうから、御答弁願いたい。
保川遜
60
○保川
会計検査院
説明
員 ただいまのお尋ねの第一次の売り払いについて、なぜ指摘しないか、こういうお話だと思います。第一次分は、三十八年の一月、三十七
年度
の
検査
でこれは
検査
をいたしております。いたしておりますが、
財産
の評価の問題としまして、評価時点がほぼ十カ月程度前の、たしか三十七年三月であった。その基準で評価する。そういうことでたしか第一次の売り払い分、これは宅地と非常に安い道路敷でございます。それらのものを込みにして、たしか三千四十円でありましたか、第一次とほぼ変わらない値段でございましたが、三十七
年度
の
検査
といたしましては、その価格の点につきましては、ほぼ妥当ではないかということで検了いたした次第であります。
勝澤芳雄
61
○
勝澤
委員
第一次と第二次の評価が、たった三カ月か四カ月ですよ、実際払い下げた、登記したのが。それで第二次の評価が二千四百万円低いと言っていながら、第一次については何も手をつけていないのですよ。これは、こまかいことはこの次にもっと聞こうと思う。きょうはもっと大まかなことを、
検査
院の
検査
のしかたについて私は言っているわけです。ですから、あれだけ大きな問題になりながら、
検査
院の
検査
のしかたというものは、部分的にしか問題を取り上げていないというのです。このお金が、松下から契約と同時に一億一千五百万円支払われている。その金は即納金として東洋プライウッドから東海財務局に支払われた。それから登記が終わったときに一億五千万払われているわけですから、その金の流れも、私は調べればわかると思うのです。これは明らかに不当利得したわけでありますけれども、この不当利得の税金はどうなっているのでしょうか、おわかりになりますか。
江守堅太郎
62
○江守政府
委員
その譲度所得について、どのような課税をしたか、私はまだ聞いておりません。
勝澤芳雄
63
○
勝澤
委員
これは大蔵省の局間の問題なんですね。
会計検査院
もよく聞いておいてもらいたいと思うのですよ。この取り扱いはこうなっているわけですね。とにかく一億五千万もうけて売ったというのは。公文書が出されておるわけですから、大蔵省も知っていると思うのですが、
局長
御存じですか。
江守堅太郎
64
○江守政府
委員
承知しております。また、その当時、
国税
庁のほうから譲渡所得関係について照会がありまして、私どもの知っていることを申し上げたのでございます。
勝澤芳雄
65
○
勝澤
委員
先般の大蔵
委員
会で、この問題について、刑事
局長
はどういう答弁をされておりますか、
局長
聞いておられるでしょう。
江守堅太郎
66
○江守政府
委員
刑事局の何課長であられたか忘れましたが、御質問は、背任にはならないかという御質問でございます。お答えは、こういうことはいろいろ事実を調べてみなければわからないけれども、もし何かに当たるとすれば背任であろう、ただし——私がいま申し上げたことを聞いておられてのお話でございますが、先ほどからいろいろ言っておられることを聞いておると、なかなか背任ということにも当たらないのじゃないだろうかということを申された……。
鍛冶良作
67
○
鍛冶政府委員
きのう私は聞いておったが、そのことで私に質問がなかったから私は黙っておったのですが、第一番に詐欺で告訴したようでございます。そうしたら、それが成り立たぬという検察庁の決定で、いま検察
審議
会へ回っておる。その点まだ未定で、そこで背任にならぬかという議論が出たんですが、どうも背任にならぬのじゃないか——ちょっとむずかしいところです。私は、あまり詳しいことは知らぬ。聞いておっただけですけれども、考えますのに、財務局で払い下げした根本は、通商施業省で、この事業は大事な事業であるからそれを払い下げしてもらいたい、事業の拡張をやらせたい。それから名古屋市からも、ぜひとも、この事業はりっぱな事業であるから、払い下げをして拡張さしてやってくれといった。さらに進んで、
審議
会でもそれを信じて、やるべきものだという、こういうことで財務局へ答申した。それで財務局が払い下げをした。こういう事案のようです。そうなると、通雄省の証明や名古屋市のそういう申請や
審議
会の決定がなかったらやらなかったのだろうと思うのです。 そこで問題は、払い下げを受けて売るつもりであるのに、事業を拡張するんだといってそういう証明を出させたり答申を出させたりしたということになると、これは詐欺になる。そこで私きのう考えておりますのに、第一次の払い下げから三月もたちますが、第二次の払い下げはたった一週間かそこらだと思います。そうだとすれば、よもや第一次の金を払って、それから急いでやって一週間の間に話がまとまるものではないと私は常識的に考える。そうすると、前からそういう話があったのじゃなかろうか。もしそういう話があったにもかかわらず、それを隠して事業を拡張するんだ、自分で使うんだ、こういうことならば詐欺になりはせぬか、こう私は考えました。これはもう一ぺん、私も意見を言ってみたいと思っております。 それから問題は、なぜ取り返しできぬか、こういうことですが、これは、かりに詐欺といたしましても、買った第三者が善意であれば、これは法律上取り返すことができない。それで向こうへいかれぬ、こういうことになっているのだが、どうもそういう、あれだけの大きな問題を一週間や十日で話しできるものではない。私は相当前からやっておりはせぬかと思う。そうすると買う者も、これはうまくいけばおれは買うんだということを払い下げる先に知っておるのじゃないか。このような疑念を私は持っておる。そういうことはありますが、いままでのところはそういうことで詐欺にはならぬ、背任罪にもならぬのじゃないか。それでもう一ぺん詐欺になるかどうかを審査会で審査してみる、こういう状態になっております。
勝澤芳雄
68
○
勝澤
委員
法律の専門家の政務次官の御
説明
ですから……。そのとおりですよ。これは
計画
された犯罪ですよ。知能犯ですよ。しかもこの東洋プライウッドには、東海財務局をおやめになった方が五人も入っておるということでありますから、たいへん問題だと思うのです。これが題問になって、処理の仕方として、用途指定をした場合に三割の違反を取るんだというおきめがあとからきまったそうで、これに基づいて三十八年十月二日に三千百万円を徴収をし、第一次分を含めて四千六十六万円取った、こういう処理があるわけです。
検査
院長、第一次分を含めて四千六十六万円取った、ここに意味があるわけです。あなたのほうの
検査
というのは第二次分しか指摘をしてないわけです。これはこの次に質問するまでにもう少しどういう取り扱いをしたほうがいいか、研究をしていただきたいと思う。四千六十六万円取ったということと一緒に、
検査
院は
検査
の結果、二千四百万低額だ。ここらを見てみると
検査
院ももう少ししっかりしてもらわなければ困る。大蔵省の金とばかに
金額
が似かよっているということです。そこで、この問題はもっと掘り下げて私は質問をいたしますので、大臣にいま
国有財産
の払い下げがこういうことがあるということを知っていただきたい。私はこの間、あるところで、昔の軍用地にある住宅の払い下げをしてくれといって頼まれて、行ってみました。いつ申請したのだと言ったら、三年前に申請した。三年前に申請したのをいまの時点で、昨年の暮れで払い下げをする。三年前にその所を払い下げたときには、建物と
土地
で約三十二、三万で払い下げた
土地
が、三年たったらとにかく二倍半ないし三倍でなければ払い下げないといって評価をしているわけです。評価が正しいとは思いますけれども、三年間に二倍半ないし三倍にもとにかく大蔵省の
財産
がなった。払い下げ申請書はいつ出したといったら、三年前に出している。三年前、二年前に出しているのです。庶民の出した払い下げについては二年も三年もほったらかしておいて、そしてなおかつ、大きな会社で、しかも大蔵省から入っている役員がおるところはちょこちょことうまいことやつちゃって、転売までされて、不当利益を得ておる。これは国民として黙っておるわけにはいかないと思う。とにかく
国有財産
の払い下げあるいは
国有財産
の処理、これは競願なりいろいろ込み入っていることは一月や二月、一年や二年ではできません。しかし、庶民が住んでおって、そこを自分のところへぜひ払い下げてくれというのは、どこからもいざこざがつかないことでありますから、こういうものの処理はやはりもっと即決してやらなければならぬと思う。申請してから三年たった。評価はいつやるかといえば、とにかく払い下げる時点でやるというのです。申請した時点でやるべきだと私は論争したわけです。申請した時点でやるべきだ。とにかく役所側の失態によって三年間もほうっておいたのじゃないか。ですから、管財のほうは、
国有財産
が減っていけば人が減って困るから、なるべくゆっくり仕事をやっているのじゃないだろうかということまで私は質問したことがあるわけですが、そういう点で、個人の、問題のない払い下げについてはやはりもっとテンポを早めてもらいたい。それから
財産
の処理の問題についてはひとつ十分注意をしていただきたいと思う。このこまかい問題につきましては大臣もゆっくりおられるときにもっとこまかくやりますから、その問題を一つだけ。
田中角榮
69
○
田中
国務大臣
国有財産
の処分につきましては、適正を期さなければならぬのは、もうそのとおりでございます。同時に早くやれということは、これは私が就任後口をすっぱくしてやっておるのですが、私のところにあがってくるのは全く何年も、中には十何年もたって、一体どうするんですかというのがくるので、処分しなければしない、それから却下するなら却下する、払い下げるなら払い下げる、そういうふうにきめなさいということで、財務局の
局長
会議
を開きまして——約一年六、七カ月前に財務
局長
が大体かわりましたから、とにかく
国有財産
の分野は、これは全く専門の分野であって全然
局長
が手をつけないというようなことはおかしいから、いままでたなの上でほこりをかぶっているようなものを全部
局長
自身が取り上げて、どういう意味で未処理になっているのかということで、
局長
の権限でもって処分できるものは処分しなさい。いままで処分できなかったものに対しては、どういう事情でもって処分できなかったかということは明らかにしなさい。それでなお
局長
で裁量できないものは、
国有財産局
へあげてきて、それで協議を早めろということを、口をすっぱくして言っておるわけです。ですからいろいろな問題でも、裁判になっておるもの、裁判所の意向を聞いたり、また相当の部分処分いたしたものがございます。ございますが、まだまだあなたがいま指摘をされたように、小さい問題、特に同じような地域にあって、十年前に払い下げたものと、それから五年前に払い下げたものと、いまのものと、非常に差があるということで、払い下げてからなお非常に不満を買うというものに対しては、適切に措置をすべしということを強く要求をしております。それだけではなく、重要な問題でありますが、なかなかそう言っても——あなたがいま暗に御指摘になりましたが、まあそんなことを大蔵省の出先は考えておるわけではございませんが、適正を期そうと思うが、だんだんおそくなる。あまり同じ部署に何年もおるということになると、どうしてもそういう事情がからんでくるので、できるだけひとつ人事交流を行なう。人事交流を行なって、少なくとも二年、三年以上同一部署に置かないということをいま真剣に官房で検討さしておるわけであります。でありますので、私が二年半振り返ってみますと、相当ピッチは上がっておるわけでございますが、まだまだ御指摘のような事実はあると思いますから、できるだけこのような長い問題は、
局長
が承知をする、財務
局長
も承知をする。各部長の合議でもって処理をするというような、いわゆるスピーディーに合理的にものを解決するということを強く命じておるわけであります。 それから、いまの
国有財産
の問題、私もあまりこれはよく知りませんから、知らないことを申し上げてはあれですから、これを十分読んでみたり、いま
国有財産局
長にも聞いてみましたが、問題は、用地指定をしておらなかった、ですから転売を禁じてはおらないわけですが、指摘をされた事情を見ますと、当時の実情をもっとよく調べて、売り渡し価格というものをもう少し高くすればよかったという指摘でございます。これは第一次分が九千五百坪、第二次分が三万三千坪、計四万二千五百坪を単価八千円で売り渡しておるわけでありますから、その意味からいきますと、東洋プライウッド株式会社は、約二億円の差益を受けておるということになっております。これは当時の条件として、転売の地上
物件
は東洋プライウッド側でもって撤去、整地をしたということで、この
不用
物件
の払い下げについては、撤去費や整地費は約九千万円くらいかかっておるようであります。なお、
会計検査院
で先ほども申しましたが、道路の部分がありますので、こういうものを
計算
をいたしまして清算をして、なお四千万円余を徴収をしておるということで、当該会社の差益金というものは、現在の時点においては非常に圧縮されておる、こういうことのようであります。
勝澤芳雄
70
○
勝澤
委員
大臣、いまのことは、答弁されるとまだいろいろ深い質問があるわけですが、まだほかの
国有財産
の問題がありますから、私はこの次にします。この次にしますので、それはとれないならとれないでやったようでありますけれども、やはりまだいろいろ方法があると思うのです。別の機会に申し上げますが、とにかく、庶民の払い下げてくれという申し込みが三年も四年もあるいは五年もたって、そして評価になって、出したときよりも三倍も四倍にもなって買えないということのないようにだけはやはりしてもらいたいと思う。そういう大きい問題はまた別の機会にお聞きします。
森本靖
71
○
森本
委員
せっかくの機会ですから……。大蔵大臣がいま答弁せられたとおり、そのとおり大蔵省の
内部
がやっていただければけっこうですが、あなたは郵政大臣もやったし大蔵大臣もやっておるので、それで官吏の使い方のこつというものは十分知っておると思うのです。あなたがいま言ったような形に財務局あたりになるとなかなかそうはいかぬ。わずか十坪か二十坪の庶民の住宅を払い下げる問題については、半年も一年も二年も三年もかかる。しかも、それが課長補佐から財務
局長
に至るまでの判のつき方が実際問題としては六カ月もかかるという経験も私は持っておるわけであります。その辺については、大臣がよく下僚の使い方を知っておると思うので、そういう点についてはよく下部まで徹底さしてもらいたい。 それから、特に大蔵省の役人ははっきり言いますと横着です。これはあなたも郵政大臣をやって、両方の官僚を比べたらよくわかると思うが、何というか、大蔵省の官僚というものは権力機構であるという頭がある。それから、大蔵省の役人というものは、大体ほかの
各省
の役人よりもおれたちは上であるというような考え方が非常にある。この点はあなたがここで答弁は要りませんが、郵政大臣をやっておったときと大蔵大臣をやってみて、官僚の
内部
をよく見ていただいたらわかると思うのです。確かにそれは大蔵省は優秀な者ばかりおるかもしれませんけれども、そういう点、確かに官僚の中の官僚です。だから、その点の使い方というものをひとつ、いまあなたが言ったように、いかぬものはいかぬ、いくものはいく、それからさらに処理の敏速についても、大臣の命令によって下部末端に至るまで徹底をさしてもらいたい。このことをひとつ要望しておきます。 大臣、帰られるようですが、前の部分だけちょっと答弁をしていただきたい。
田中角榮
72
○
田中
国務大臣 郵政省も大蔵省も大体同じであります。ただ外から見られると、大蔵省がかたいといわれるのは、これは財政の衝に当たっておりますのと、国損を起こさせてはならない、そういう職能からでございますから、これはひとつ特別に御予解願いたいと思います。 ただ、実際において十何年間も未処理だったというものがございます。これは各市町村で、特に伊豆七島の中で飛行場として農地を戦時中買い上げて、飛行場に使わない場合はこれを当該農村に返す、これは皆一円で買い上げて、一円で返せという問題と、いまの法律の解釈でいうと二千円や三千円になるということで、非常にめんどうだから長くかかったということもありますが、確かに十年も五年も三年もということは、これは行政の渋滞、やはり財政の衝にあっても、適切にスピーディーにこれを裁いてその責任はみずから負うという
基本
的な態度をとるべきだと考えております。いままでは、率直に申し上げますと、窓口に出されてもなかなか上にあがってこないというところに非常に長い時間がかかったのですが、今度は大小にかかわらず、窓口で受け付けたものに対しては、いわゆる一覧表をつくって財務
局長
まであげなさい、そして財務
局長
にあげるだけではなく、
国有財産局
でもその
件数
や状態を何らかの形において承知をする。そしてその表を見ておると、なぜこれは解決せぬのか、こういうようにスピーディーに解決をしようということを二年半ぐらい前から相当徹底しておりますので、きょうまたおしかりがあればこれからまた徹底をいたしますし、私自身も、
決算
委員
会でも早くやれ、こういうことなんだからもっとやりなさい、こう強く行政的にも措置いたすつもりでありますから、以後また何年もほうっておくというようなことがないように、適切な処置をいたしたいと思います。
堀川恭平
73
○
堀川委員長
吉田君にちょっと申し上げますが、大臣が次の
委員
会もおくれておりそうですから、できるだけ簡単にひとつ……。
吉田賢一
74
○吉田(賢)
委員
なるべくひとつ簡潔にやりましょう。そのつもりで問答お願いしましょう。 大臣にお伺いするのですが、大蔵省所管関係です。実は例の臨調の結論として——これは特に
予算
会計
につきましてはきわめて重要な関係にある省でありますので、主管庁の大蔵省といたしましてこの臨時行政調査会の答申に対するお考え方を聞いておきたい。増原長官も、
各省
はこの答申につきまして本年八月ごろまでに大体いろいろな結論を得るような、そのような答弁をせられておりますが、特に大蔵大臣から一音この点につきましてはっきりとしておいていただきたいと思います。
田中角榮
75
○
田中
国務大臣 臨時行政調査会から答申をいただいておりますが、この答申は尊重するということで閣議でも申し合わせをしておるわけでございます。
基本
的には行政の簡素化、行政整理の方向を確認をいたしておるわけでございます。しかし、この
内容
につきましては、なかなか長い歴史の上で現業としてはのみ得ないようなものもあるようでありますし、議論があります。しかし、
基本
的にはこの答申を尊重しながら合理的な行政機構の改正を考えておりますので、
基本
的な姿勢に対しては御理解いただきたいと思います。 なお、
補助金
の整理その他は、三十八年、九年、四十年の
予算
編成につきましても合理化、統合等も相当
件数
行なっております。 なお、機構上の大きな問題につきましては、これが実現までにはある程度時間はかかると思いますが、政府部内で慎重に検討をいたしております。
吉田賢一
76
○吉田(賢)
委員
ことしの八月の末までに重要な
事項
は、大蔵省所管
事項
については結論を得るのでしょうね。
田中角榮
77
○
田中
国務大臣 大蔵省の関係のものにつきましても、今度は貴金属処理部などを廃止しなさいということでありますから、四十
年度
の
予算
で廃止いたすことをいま御
審議
いただいております。しかし財政制度の問題等法律の問題もございますし、大蔵省の中にもいろいろ議論がございます。議論がございますが、より合理的な方向を確立するために鋭意勉強いたしております。八月までに全部これができるかどうか、いま確言は申し上げられませんが、いずれにしましても慎重かつ勇気をもって検討いたしたいと思います。
吉田賢一
78
○吉田(賢)
委員
そこで、
予算
が正確でなければならぬ、特に
予算
の執行が適正でなければならぬという問題につきまして、よって来たるところは、一つは
予算
を執行する事業主体あるいは
部局等
におきまして、当初の
予算
についての単価の問題があります。これがまちまちであり、もしくは実勢に適しないというところに
原因
があるのではないか。そういったことから正確な
予算
が組まれぬ、適切にかつ適正に
予算
の執行がせられないということになるのではないか、こう思うのです。そこで一体各種の
予算
の積算の単価というものは、これはたとえば建設等につきましても、官庁の営繕あるいは公営の住宅あるいは労務費とか食糧費とかその他等々につきましては、これは
各省
あるいは地方これを統一して一つの単価を持っておるのか、持っておらぬとするならば統一はできないものかどうか、この点についてはどうなんですか。
田中角榮
79
○
田中
国務大臣 労務賃金につきましては、御承知の労働省の基準単価がございましてきめております。しかし、これが物価がどんどん下がるような状態におりますと、一率的な単価を資材においても労務費においてもきめられるわけでございますが、現在労働省できめておりますPWによりましても、各地域間によってみな違うということでございます。ですから東京と名古屋、大阪、九州等、みな違うわけであります。そういう意味で、いまでも同じ建設省の中でも、関東地方建設局と近畿地方建設局また九州地方建設局では立米当たりの単価さえ違うのではないか、おかしいという御指摘がございます。同じ時代に発注されるセメントでも単価が違うということが、非常に不合理だという御指摘でございますが、実行いたすときに適正な
購入
し得る単価できめるということでありまして、いまの段階においてこれを
各省
とも一カ所でもって国費支弁に基づく営繕
工事
その他全部一カ所でやれるということでありますれば別でありますが、戦後は
各省
各庁で別々にやっておるということで単価が違うということがございます。御指摘のとおりであります。これをいまの時代に直ちに統一をするということは、非常にむずかしいことでございます。この合理化というものに対しては検討はいたしております。
吉田賢一
80
○吉田(賢)
委員
たとえば示した単価、査定された単価と実勢市場値があるようなものは、その実勢の単価に合うようにすべきではないか、あるいはまた法律命令によって規制されておるようなものがありますならば、それはその角度からまた検討すべきではないであろうか、補助単価につきましてもやはり同様にいわれるので、事業主体であるとかあるいはその部局であるとか省であるとか、大蔵省、みんな一つのある仕事をするのに、たとえば
土地
の改良事業等にいたしましても、一つの仕事をするのにも事業主体と終局の査定とがだんだんとみな違っていく、だから
計画
それから査定また次の査定、みな違っていくというところに、あるいは水増しになったり不信が起こったりあるいは長引いたり対立したり、こういうことが
予算
の混乱を来たすのではないだろうか、こういうふうに思うのでありますが、そういう意味において何も一律一ぺんに公定価格のようにせよという意味じゃないのです。要するに、実勢に応じてやらなければならぬものは実勢本位で合理化してはどうか、法律で割合をきめておるというのであるならば、これは厳格に割合分担額というものを尊重すべきたてまえを持つべきではないだろうか、補助につきましても同趣旨でございます。そういう意味で私は伺っておる次第であります。
田中角榮
81
○
田中
国務大臣
予算
単価、補助単価、実施単価との間に開きがある、いわゆる実施事業体において直轄単価という問題が起こってくる、こういうことを御指摘でございます。これもなかなかむずかしい問題でございます。これも毎年の
予算
編成につきまして、実情に合うように
予算
の単価補正を行なっております。本
年度
もいろいろな単価、特に例をあげますと国民健康
保険
の事務費を百五十円から二百円にと大幅に値上げをいたしました。値上げをいたしましたけれども、実際にはある市町村においては二百七十一円もかかっておる、最も低くとも二百一円かかっておるということで、大幅に上げたけれどもまだ実際の単価とは違うということがございますが、これは標準の事業体で最も合理的に行なった場合の標準単価、こういうことで基準単価をきめて補助をいたしておるわけでございます。でありますから、精算をして、これに対して法律で定める負担率まで国が補てんをするという法制のたてまえにはなっておらないわけであります。でありますから、この問題は、
国会
でいろいろ問題がありますので、これはこういうものなんだというひとつ定義をはっきり下して、そして六百億も八百億も超過負担がありますと、こういうようなお互いの不信というものが起きないように何らかの措置をしなければならぬと思っております。ただ、何らかの措置というものが、
生産
費に対して補助をするということには国の財政の上でもどうしてもできがたいと思います。これは率直に申し上げると、今度三兆六千五百億の国の
予算
と、それから
地方財政
が三兆六千億、ほぼ同等だといっておりますが、実質的には
地方財政
は国の二倍であります。三兆六千五百億の中で約七千数百億の交付税がまいります。そのほかに国の
支出
金が約九千数百億ありますので、一兆七千五百億というものは国の
予算
には組んでございますが、
地方財政
に行く金であります。ですから、これを
差し引き
ますと一兆九千億余でございます。
地方財政
は三兆六千億のうちから国に対する納付金は五百余億であります。五百億引くだけということになりますと国の財政が一兆九千億、それから
地方財政
が三兆六千億、約倍である。こういう実態を見ますときに、国が精算をして、法律どおり三割補助、六割補助、八割補助、こういうところまでなかなかできない、こういうことで、実際問題からいいまして、やはり標準単価による補助と
予算
単価と実施単価の間に開きのあることはやむを得ないんじゃないか。ですから、できるだけ実情に合うように、トラブルが起きないように、また地方団体から文句をいわれないようにということで、年々の
予算
編成におきましては幾らかでも前向きで補正をいたしておるわけであります。
吉田賢一
82
○吉田(賢)
委員
もう一点だけで終わります。大臣に伺いたいんですが、実はそれにつきまして、やはりできるだけ努力をするということでは原則が確立しませんから、依然として繰り返しになるんじゃないだろうか。たとえば、地方の超過負担について見ましても、私のとった資料によりますというと、農業の改良普及事業なんかは八四%の超過負担になっております。
文教
施設なんかは二割五分で比較的少ない。しかし国民健康
保険
の事務費などは一三四%、国民年金の運営費は一二八%、これが超過負担になっております。こういうことになってきますと、私は、地方と中央との財政の統一的な
計画
というものが立たぬ、お互いに一つの混乱の中でこのような超過負担なり、あるいはまた
予算
単価は何がほんとうやらわからぬというようなものをめぐって争っておるような感がするんですが、一体、そこで大蔵省は
予算
単価とかいうようなものは客観性がなくてもいい、何かいわゆるそういうものだ、現実的には
予算
の単価ではなくてもいいんだというのがほんとうの腹でないんだろうかということさえ実は疑うんです。そこで、この問題につきましては、何とか合理化するという目標で相当な決意を持って進んでいっていただくことが必要ではないか。これが、たとえば
補助金
制度の合理化の問題にいたしましても、これの関連が生じておるんです。また
予算
の執行の適正化を期する上におきまして、
予算
自体の適正
予算
を組む上においてもこの問題を解決しなければ解決できない。また
各省
にもつながって同様だろうと思う。だから、この点は前向きに何とか合理化するという方向を打ち出して、大臣は何らかの手を打ち出しになってはどうか、この際、絶好のチャンスじゃないか、こう思うのです。それだけを伺っておきます。
田中角榮
83
○
田中
国務大臣 実施単価と
予算
単価が同一であるということが一番好ましいことであります。私もそう思っておりますが、これはどうも物価が幾らかでも上がっていくような状態で、いわゆる一年も前に
予算
を組む。それから
予算
の概算要求は一年半前である、こういうことからいいますと、どうしても標準単価、基準単価といいますか、そういうもので
予算
を組まざるを得ないわけであります。しかも地方の中では非常にデラックス部分もございます。これは西ドイツがやったように、またイタリアがやったように、同じものを、規格品をつくるということは、日本はなかなかやらないのであります。とにかく隣がA案をつくったら、今度、B案でつくろう、同じものでも別な設計を行なう、こういうところにまだ合理化をする面があると思います。 もう一つは、言いづらい話なのですが、率直に
国会
がございますから申し上げますと、どうも戦後、補助率というものがどんどん上がる方向にばかりいって、下がるということはないんです。とにかく、国というものが全然別なところから
財源
を持ってくるなら別でありますが、国は国民の代表であり、国民の納税によってまかなわれておる財政でございますから、その間のバランスというものはやはり当然
基本
的に考えなきゃならぬわけであります。ところが、
国会
でも、国民の声を聞きましても、補助率を下げてもいいという議論はなかなか出てこないわけでありまして、だんだん上がって、八割、九割という補助が出てくる。九割補助になると全額のほうがかえっていいというような状態になっておるわけでありますから、少なくとも十年くらいは
国会
で十分
審議
をして、この単価は動かさない、補助率は動かさないんだ、こういうことでないと、
予算
編成そのものは非常にむずかしくなるわけであります。そういうところに、お互いが何とか現在の情勢で、ここらでちょうどいいな、ちょうどよくなくともやむを得ずということで標準単価ということになってはおるわけでありまして、実情と理想というものをどこでマッチさせるかということについては真剣に取り組んでいくべきだと思います。私たちも、いま申し上げたとおり、三兆六千五百億といいながら一兆七千五百億はそのまま地方にやっておるのです。しかも、地方の人員は、百三十万人、 こう言っているうちに百五十万人になり、ことしは百八十万人になっておるそうであります。こんなに無制限に人をふやしておる。ふやすのは仕事があるからふやすのでありましょうが、やはり国の
予算
よりもいままで自然増収がありましたので、どうも地方自治体の
予算
が柔軟性があり過ぎる面も多少あると思います。そういうところも、だんだん安定成長になってきた、また
財源
が限られてくるということになれば正常な状態にいかざるを得ない。一つの合理化の時期ではあろうと思います。
堀川恭平
84
○
堀川委員長
大蔵大臣は次の
委員
会が待っておりますからお引き取り願います。
吉田賢一
85
○吉田(賢)
委員
ちょっといまの関連でありますけれども、大蔵省では、人件費などの単価につきましては、たとえば超勤とか期末手当とか、そういうようなものは一切考慮しないのですか。あるいはまた、臨時
職員
としてアルバイトが四百円というような資料が出ておりますが、こういう辺は実情にそぐわないと思いますが、この点はどうなんですか。
堀川恭平
86
○
堀川委員長
吉田さん。ちょっと申し上げますが、あと
理事
会をやるので、それで社会党の連中はすぐ用事があるそうですから、次の
委員
会にひとつお願いしたいと思いますがいかがでしょう。
中尾博之
87
○中尾政府
委員
ただいまの点でございまするが、人件費の補助の問題であろうと思います。人件費の補助につきましては、若干ニュアンスの相違がものによってございまするけれども、要するに手間を見まして、ある仕事に従事させる人をこれだけ従事さしてほしい。これは何も県庁の中の
職員
を絶対的にふやしてくれというのじゃないのです。それらの仕事に関与さしてくれという意味で大体補助をいたすという趣旨になっておりますが、この場合に、通常その業務を維持いたします場合に必要とする手間、それによる員数、どの程度の経験年数を要するかということからグレードを見まして算定いたしております。なお、その仕事は、要するにこれだけの人をそれに従事さしてほしい、そういうような配置は元来知事さんがなさればいいことなのです。それをあえて
補助金
という形でもってお願いするということでございます。そういう意味で、悪いことばでいえばひもつきでございます。ひもをつけるという意味でありまして、そういうことが実態であろうかと存じます。したがいまして、その
補助金
の出し方につきましても、たとえば、賞与でございますとか、あるいは公務災害、退職金、そういうようなところまでは大体見えない。一応経常の給与というものに目をつけまして、それの何割かを補助するというような形で処理いたしておるものであります。なお実際には、人事の都合その他でもって
予算
どおりの人はおらない、もっと年とった人がおるという例もございます。 ————◇—————
堀川恭平
88
○
堀川委員長
次に、資料要求に関する件についておはかりいたします。例年大蔵省当局に対して、
決算
の
検査報告
に掲載された
会計検査院
の批難
事項
に対する関係責任者の処分状況調べの提出を求めておりますので、
昭和
三十八
年度
決算
についても、同様その提出を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
堀川恭平
89
○
堀川委員長
御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 なおまた、資料要求について
森本
委員
から発言を求めておられますから、これを許します。
森本靖
90
○
森本
委員
大蔵省所管の専売公社のたばこと塩の専売についての許可の基準、これをひとつ資料としてお出し願いたい。 それから
国税
庁の酒の小売店の許可基準の
内容
——内規にあると思いますから、これの許可基準。それから、塩、酒、たばこ小売人のそれぞれ自主的な組合というものがあると思います。その組合の全国的な組織、その組合の運営方法、そういうものに対する大蔵省並びに専売公社の指導方法。それから、専売公社の葉たばこ納入の際における納入基準、これについての資料をお願いしたい。 それから、三十八
年度
の印刷局と造幣局のこしらえた
物品
の一覧表、これを資料としてお出し願いたい。
堀川恭平
91
○
堀川委員長
了承いたしました。 本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十二分散会