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田辺参考人 血液事業の
運営につきましての今後のかまえでございますが、
赤十字は
中央血液センターをつくったのは、おそらく
全国で最も早かったのではないかと思います。それで、これは
赤十字の
事業としてまことにふさわしい
事業であり、また国際
赤十字会の決議等もあって、こういうものは公益
事業でやるのが望ましいという決議もございましたので、逐次
血液銀行といいますか、その制度を進めておったわけでございますが、何ぶんにも新しく
血液銀行をつくり、これを
運営していくためには、相当お金がかかりますので、その諸条件の備わったもとに、
事業を進めていくという方針で参ったわけでございます。ことに白紙のところから
血液事業を進めるものでございますから、比較的技術的な問題は少なくございませんけれ
ども、御
承知のとおり、日本におきましては、いわゆるコマーシャル
血液銀行というものがありまして、相当根を張った販路を持っておるわけでございます。この中に割り込んでまいりまして、これを伸ばしていくということは、容易なことではないのでございます。しかも、御
承知のとおり、採血量が少なければ少ないほど経費はたくさんかかります。赤字にもなります。こういった赤字を一体どうやって埋めていくかという問題もございますので、
赤十字としましては、その間、慎重なる配慮のもとに、将来こういった手当てができ、開設する際の設備費に十分な準備が要るということ、並びに開設早々二、三年は赤字を覚悟して、これを埋める覚悟でなければすぐつぶれてしまう、こういうことになりますので、この要件が備わった後に逐次
仕事をしていくという方針をとってきたわけでございます。昨年
閣議決定がありまして、一挙に、急速にこの
事業を伸ばす必要があるんだということで、
全国的に
血液銀行を設置するということになりましたので、したがって従来のように、いわば
病院事業の片手間として、この
事業を行なうということではいけないので、
本社に
血液事業部を独立してつくる必要がありますので、今月十一日に
血液事業部を新設いたしました。ここにおきまして、今後さらに詳細なる計画を立て、検討を加えて
仕事を進めていきたいと思っております。
血液の
仕事は、何と申しますか、
一つの
事業でございます。
病院は明治の初めから古い歴史を持っておりますし、それなりにそれぞれ力を備えてきたわけでございますが、
血液事業は
一つの
事業であるのみならず、一種の企業的要素をたくさん持っておりますので、その
事業の経営にあたりましては、従来
赤十字でやっております
事業とはよほど違った覚悟とかまえを持って進めなければならぬ。公益性と同時に経済的な効率性というものも十分
考えなければなりませんので、
業務の
運営の面におきましても、
経理の面におきましても、その他いろいろの面において、民間の
事業でやっておりますような
経理の
やり方を
事業の
運営面に採用していかなければならぬ。ところが、これにつきましては、御
承知のとおり
赤十字はしろうとでございます。非常に弱いのでございます。逐次勉強はいたしておりますが、今後
事業部を新設いたした機会に一そうそういった研究をさらに深くし、地方に対しましても、研究の成果を十分に伝えまして、相携えて公益性と同時に経済的な効率性も発揮するようにつとめてまいりたいと思っております。
なお、
血液の
仕事はなかなか段取りがむずかしゅうございまして、
血液の採血の申し込みがあって検査をして、医者の診断によって不適格者と適格者がきまりますが、不適格者といえ
どもそのまま帰さずに、ある程度の
血液の検査をいたします。適格者については採血した後にこれを検査に移しまして、諸検査を経た上で合格をいたします。合格して入ってきたものを別の冷蔵庫に入れる等、これに伴う
事務の運びや
経理に緻密さを要しますし、またそのつど点検をして、帳簿と照らし合わせてやるということが非常に必要なのでございます。何と申しますか、今回まではいわばなれない
事情もございましたが、そういった研究も十分ではないままに、たとえば何と申しますか、非常に大福帳的な
やり方をとっておる。こういった問題が起こった機会に、災いを転じて福となす意味におきましても、そういった点を詳細緻密に立てまして、各
血液銀行——すでにできておる
血液銀行についてはもちろんのこと、今後つくります
血液銀行に対しましても、そういった
会計経理その他の
方法を詳細に
指示をいたしまして、今後この不安なきを期してまいりたいということだけ申し上げておきます。
なお、
血液銀行の中にはそれぞれ
運営委員会というものをつくってございます。その
運営委員会をたびたび開催いたしまして、これは
監督官庁の方もその他外部の方も入っておりますので、ここに
実情を詳細に御
報告申し上げまして、血銀
内部における
監査ということも厳重に行なわれるような
仕組みにしてございますので、
血液運営委員会というものを十分に活用いたしまして、こういった不正が起こることを未然に防止するとともに、
仕事の効率を発揮するように
指導してまいりたいと思います。