○帆足
委員 私は、バンドン
会議からは、いろいろの
現実の矛盾もありますけれ
ども、
日本政府として学ぶべきことが非常に多いのではないかと思います。したがいまして、過去の軍国主義
日本の歴史から見て、オオカミが手袋をはめて出席するというようなことにならないように、すなわち、いまわれわれは植民地を持っておりませんし、植民地開放そのものに、
日本の憲法も、それから与党の皆さんも、その原則に異存はないわけでありますから、どうか
政府におかれては、植民地解放、そして長い間圧迫されていた民族がいまおおらかに自治を叫んでおるという、この偉大な歴史の一こまに対して深い
理解を持って対処されることを要望する次第でございます。
先日私は北海道にまいりました。そのほうの御担当の
局長に質問したいのですが、沿岸貿易ということが言われますが、
日本は
世界と貿易をいたさなければなりません。しかしまた、沿岸相互の親善を深め、近きところより貿易を拡大するということは、特にその友好を深め、また中小企業のためにも非常によいことであると思っております。先日稚内にまいりましたが、私は漁船の拿捕事件が稚内の沖合いから樺太の沖にかけてたびたびああったことを聞いております。樺太はとても遠い場所であるのに、よくぞそこまで
日本の漁船が出かけていった、いかに魚のためとはいえ、やはり勇み足で度が過ぎたのであろう、どうももう少し自粛しなければならぬというような漫然たる感を持っておりましたが、稚内にまいりまして、さて海を見ますと、ちょうどデンマークのエルノシアのハムレットの古城からスエーデンを望むような風景でありまして、目の前に樺太が見えます。したがいまして、漁民諸君といたしまして魚を追っかけまして樺太沖に至るということは、潮流の
関係から言いましても、また風が吹きましても、また魚の群れに心を引かれましても、きわめて自然にあり得ることである、こう思いました。また、ソ連の引き船があの沖合いで遭難いたしまして、そして救われて稚内に上陸いたしまして、手厚いもてなしを受けて、しばらく滞在して健康を回復して帰るというような話もたくさん聞きました。また、同時に、
日本の漁船が遭難いたしまして、樺太の真岡、大泊、豊原等で、病院で非常に手厚い看護を受けまして、稚内の市長さんや漁業組合の代表者などがその病院に見舞いに行って、お礼にまいっているというような、心のあたたまる話も数多く聞きました。百聞は一見にしかずで、この
日本最北端の町、かって間宮林蔵があそこから出かけてシベリアを探検したという
日本最北端の町、その町に初めて私は外務
委員としてまいりまして、多くのことを学びました。ところが、驚いたことには、ソビエトから通商代表部の人も大使館の人も、いまだかつてあの港の見学を許されたことがないということであります。どうしてそういうことになっているかと聞きましたら、あそこに
アメリカのレーダーがあるからということでございました。なるほど三つ四つの白い回教徒の寺院のようなかっこうのものがございました。しかし、実際問題といたしましては、引き船が遭難いたしましたときなどはたくさん船員が上陸いたしまして、そして稚内のホテルに滞在しているのでありますから、そういうようないろいろな事例が必ずしも米軍当局または
外務省当局に知られていないのではあるまいか、すなわち人跡未踏の場所のように
考えられているのではあるまいかというふうに私は
考えました。また、樺太と北海道の貿易におきまして非常に重要な港でありまして、将来、北樺太は寒いところでありますから、
日本から冬季のたくわえ用のリンゴとか蔬菜とか、ミカンなどを輸出いたしまして、
先方からワカメやコンブをとる権利を、一定の使用料を払って、もらうとか、また、ニシン、かずのこなどを輸入するというようなことも適当なことでなかろうかと思います。御
承知のように、フランスはアルジェリアを捨ててから栄光がふえました。すなわち、他国の領土を占有する、地球上の一領土を占有するということも仕事には便利なことですけれ
ども、貿易をすれば、その土地を占有したと同じように、しかも平和のうちにほとんど同じ経済的効果をもたらすわけでございます。戦前満州、
朝鮮、台湾を占有していました
日本が鉄鋼の産額最高七百万トンでありましたが、いまでは四千万トンの鉄鋼をつくり得る。すなわち、必ずしも領土を持たなくても、隣邦諸国と安定した
友好関係があり、合理的な貿易
関係があれば十分に補い得るわけでございますから、平和
日本にとっては、やはり貿易ということが非常に重要でございます。したがいまして、樺太との貿易におきまして稚内の港は非常に重要でございますし、常にソビエトの高級船員諸君も稚内に大ぜいいろいろなことで上陸しておるような次第でありますから、通商代表部の方や駐日大使館の書記官・参事官諸君がときとして稚内の視察、また遭難者の慰霊祭などに出席いたしましても、そう軍事機密上の問題に触れるというようなことはない状況であることを私は現地で見てまいりました。したがいまして、ただ漫然と
日本の最北の場所であるから旅行が許可されないというようなことではなくて、もう一度再検討のほどをお願いしたい。貿易上非常に重要な場所であるということをひとつお心にとめていただきたいと思う次第でございます。
それから、もう
一つは、そこに島がありまして、その島は満潮時には潮をかぶって隠れてしまいますが、しかし、島は島でありますから、それから十二海里までが領海ということになって、航海が不自由になっております。この問題な
ども、
話し合いで特例を設けて、航海の便宜上ここは自由に通って差しつかえないとか、また、一定の場所は漁業あるいはコンブの採取を許すとかいうような
話し合いもできると思いますから、御研究のほどをお願いしたいと思います。
以上の点について御
答弁を願いたい。