○西村(関)
委員 何が戦争の
原因であるかということについて検討する必要がある、その
原因を突きとめなければ対策が講じられないということを言われたのでありますが、一体
ベトナムの戦争がいつから始まったか、
ベトナムの歴史についていまさら私がここで述べるまでもなく、フランスの植民地時代から、支配者に対して立ち上がって独立を戦ったということ、さらに、フランスの旗色が悪くなってきたときに、
アメリカがフランスに対してばく大な軍事援助を行なったという事実、また、場合によれば原子爆弾も用いてもいいというようなことまで言った事実、そして、さらに、ディエンビエンフーにおいてフランスが敗退をいたしましたあと、
アメリカがばく大な軍事援助を行ない、また軍事顧問団を送り、今日まで及んできておるというその歴史的な事実、それと、南
ベトナム民族解放戦線がいつ組織されたか、その綱領が何であるか、そしてその目的が何であるか等、歴史的な事実に照らして検討しなければ、
ベトナム戦争の
原因、また、その
原因によってどう解決するかという
結論は私は出てこないと思うのです。あえてそういう歴史的な事実に目を閉じて、ただ一方的に
アメリカ側の言うことだけを聞いてそれに従っていくというのでは、私は、
アジアの大国としての、しかも
日本に非常な
期待を寄せておるところの東南
アジアの諸国の人々の
期待に反すると思うのです。歴史的な事実に立って戦争の
原因を突きとめていく。戦争がどこから来ているかということをきわめなければ解決への手が打てないと言うから、私はあえてこういうことを申し上げるのであります。そういう点について、大臣もお読みになっておられると思いますが、私は克明に切り抜きをいたしておりますが、
日本の新聞で
アメリカの
ベトナム政策を支持しているととろの論調はほとんど見当たらないのです。現地の
日本の特派員の報道を見ましても、少しも見当たらないのであります。だが
日本政府だけが
アメリカのジョンソン声明を支持するということでは、
国民がついていかない。
アメリカの
世論でさえも、いまは非常に変わりつつある。
アメリカの上院における論議の経過を見ましても、必ずしもジョンソン大統領の声明を全部が全部支持しているとは言えない。むしろこれに対して反対の
態度をとっているところの
世論がかなり強く出てきておるのであります。それだのに、
アジアの大国を自任し自主外交を主張するところの
日本政府が、いつまでも金科玉条のようにジョンソン声明の線だけをもって、あるいは
アメリカの
ベトナム白書だけをたよりにして外交をやるというのは、私はどうしても前向きの外交だとは言えないと思うのであります。もちろん、われわれの
態度と
政府の
態度と必ずしも一致しないということは、私は当然だと思います。残念ながら、そういうことは現状においてはいたし方ないと思います。しかし、それにしても、何とか前向きの解決をとる必要がある。いまこうやってここで論議しているこの瞬間においても残虐な戦闘が繰り返されておるのであります。私は
外務大臣が非常な苦慮をしておられるという点はわかります。何とかして解決へ乗り出したいというような意図を持っておられるという点はわかります。しかし、いつまで、いまはその時期でない、いまはその時期でないと言っておられるのでありましょうか。いつまでそういう
態度を続けられるのでありましょうか。この瞬間においても多くの無事の民が殺されておる。また、北爆によって北
ベトナムの多くの人たちがむざんな最期を遂げておる。また、このことによって南
ベトナム解放民族戦線の勢力が弱まったか。決して弱まっていない。
アメリカが軍事力を増強すればするほど、北爆を続ければ続けるほど、これを倍にして返していこうという、いわゆるベトコンの声明をそのとおりやっておる。ますます戦争は苛烈になっているじゃありませんか。こういうことを繰り返していくならば、はたしてどうなるであろうかということに対して、
外務大臣は非常な憂いを持っておられると思うのです。痛みを感じておられると思うのです。そういうことに対して、私はその心境を述べていただきたいのです。何とかして解決しなければいかぬ。ただ抽象的な問題抽象的な取り上げ方じゃなくて、具体的にどうすればいいか。必ずしも野党側の私どもの
意見と一致しない点があってもこれはやむを得ませんが、しかし、そこに、進歩と言いましょうか、
前進と言いましょうか、そういうものを何も私は認めることができないので、非常に遺憾に思うのです。その点いかがでございましょうか。