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石田(宥)
委員 物価問題として
考える場合は、これは局長のいまの答弁はなっちゃいないです。バナナというものは、栄養も高く、子供などにも非常に嗜好の高いもの。レモンというものは庶民的なものではありませんから、レモンなどはもっと高くとも国民全体から見れば大した痛痒を感じないもの。バナナというものはそうじゃなくて非常に庶民性のあるもの。そういう点ではいまの御答弁の中で物価問題としての
考え方はやはり筋を通しておかなければならないと思う。そこで、レモンなどについてはもっと
関税を上げても差しつかえがない、私はこう
考える。しかし、バナナについては、いろいろな事情がありましょうけれども、——だから私さっき農林
大臣に言ったのです。そういう事情があるから、競合するような場合における国内の生産体制を整備し、生産費を下げるような政策を行なうべきであるということを言ったのです。話が逆になるからすっきりしなくなったわけですけれども、こういう実例の基礎の上に立ってその議論に発展していけば、いかに
政府が農業基本法体制をなおざりにし、かつまた怠慢であったか、農業の近代化というものに対する怠慢ぶりが明らかになると思うのです。それとの関連なしには、われわれはこのガットの改正というものに賛成することはできないのです。さっき私が言ったように、基本的には賛成すべき
条約です。しかし、そういうもろもろの
関係がありまして、国内の農業に深刻な打撃と影響を与えるということになると、これは
考えざるを得ない。バナナのごときは、私は台湾も訪問しましたし、その他の国も聞いておりますが、
関税の高いことを非難しております。今度このガットの改正が行なわれたとするならば、直ちにこの問題が出てくるであろうことは想像にかたくない。いますぐといっても、いま局長が御答弁になったような事情がございましょう。いますぐはやれない事情でしょう。しかし、いますぐやれないような情勢をもたらした
政府の責任を追及したいのです。基本法ができて、畜産、果樹は成長作目だといって
政府が奨励しだしてからもう五年になります。そして、改めなければならない点は少しも改まらないで、悪い面だけがかえって助長されたような形になっておる。私はその点をほんとうは
外務大臣なり農林
大臣に反省を促したかったのです。時間がないといってほんとうの議論ができなかったのでありますけれども、私は、
日本の
政府としては、やはりそういう総合判断の上に立って
条約にも取り組むべきであるということをかたく信じておる。今後機会がありましたならば、やはり
大臣に対してもそういう点を強調してもらいたい。そして初めて、
日本の農業というものの方向がどうあるべきか、農民がみずから判断して誤りなきを期していこうと努力し、勉強もするでしょう。いままでの
政府の言われたことは、一口に言えば全くでたらめだったと言わざるを得ないのです。奨励をしておきながら、安い畜産物をどんどん輸入してきておる。乳製品は入れないと言いながら、脱粉を大量に入れておる。ナチュラルチーズを
日本の全生産量の半分も入れておる。しかも値段は非常に安い。脱粉のごときは五分の一という安い値段のものが入ってきておる。酪農は一体立つ瀬がないじゃないですか。そういう点も総合して
政府は農政なりあるいは
関税政策なりというものと取り組んでおるかどうか、はなはだ私は疑問に思うのです。少なくとも農政に関する限りは行き当たりばったりで、全くどこをつかまえていいかわからない。私は、これは
政府当局の責任であり、また与党の責任でもあると思うけれども、一面農林省の高級官僚の責任というものは許すことはできないと思うのです。
大臣が一々そんなこまかなことを知っておるわけはないので、農林省の高級官僚はやはり一定の見通しを立てて、そして自信と勇気を持って、やるべきはやる、予算措置も要求すべきは要求する、そういうき然たる
態度が見受けられないのははなはだ遺憾です。西ドイツをごらんなさい。西ドイツのグリーンプランというものは、
日本もそれを手本にしたのでありますけれども、あのグリーンプランに対しては相当な抵抗があった。しかし
政府は押し切った。相当な予算の増額をやって押し切った。今日、農業人口は三〇%以上も減ったけれども、農産物の生産は三倍になったといわれておる。そういう基礎の上に立って、
フランス農業と競合ができるという自信を持って、あのEECの中で農産物についての取りきめを行なっておるのです。
日本の農林省は何ですか。農林省の高級官僚はもっと勉強して、自信を持って与党にも
大臣にもきちっと進言をして、いま私が二、三指摘をしたようなこういう矛盾をなくさなければなりませんよ。それが国の正しい政治の姿勢でなければならないと私は
考える。いま
大臣も次官もいないから、私は皆さんに答弁を求めようとしませんが、これはひとつ肝に銘じておいていただきたい。機会があれば、私は予算
委員会その他でこの問題は何回でも議論をしなければならない問題だと
考えております。
あともう一、二伺いたいのでありますが、これは外務省と大蔵省ですか、ガットの
関税一般についてですが、
アメリカとEECとの間で若干
意見の相違がありまして、
アメリカ案では一括引き下げを強く
主張しておりますし、それからEEC案では一定品目の保護水準を固定させてやりたいという
意見のようです。これについてのいろいろな動きが最近あるようでありますが、これの結論が出るということは容易でないとは思いますけれども、最近新聞の伝うところによると、今年の八、九月ごろまでにはほぼ何かまとまるのではないかというような報道もございます。これについての動きについて、また見通し等がございましたならば、承っておきたいと思います。