○帆足
委員 驚くべきおことばをお伺いしまして、私は
日本国民のために悲しむものでございます。残念ながら、
日本政府のいま置かれておる
立場は、身も心も
アメリカの極東戦略にゆだねて、そして
日本政府の首脳部は意識的に
日本の軍需資材を
アメリカ軍に提供し、そしてそれが
沖繩を経て爆撃に使われておる、こういう悲しむべき現状でございます。これが抽象論、
一般論のときには
アメリカの圧力のためにやむを得なかったとも言えましょうけれども、こうして具体的にベトナムの
民衆、農民また小学校の子供の上に
日本の軍需物資に
関係のある戦力、銃火を浴びせるということになりますと責任重大でありますから、この辺でとどまるところを考えて、
アメリカに対して、自由世界にお手伝いしてきたけれども、こういう限界以上のことは、同じ
アジア人として、
アジア人の頭上に
日本国民がつくった軍需物資が圧力を及ぼすことは避けたい、こういう態度に出ることをわれわれは望んでおるのでありまして、
外務大臣のいまの御
答弁は、私はまことに遺憾であると思うのでございます。時間がありませんで、
あと一、二分ですから、やむを得ませんが、同僚の
委員もさらに声を大にして
政府に反省を促すことでございましょう。われわれは他意があって申し上げておるのではなくて、私どものいま憂えておることは国民大部分が心配しておることですから言っているのです。きょうの朝日
新聞の投書欄なんかも、
外務大臣、虚心たんかいにごらんくださいまして、何とか
日本がこの戦争の中に火中の栗を拾わないように、いまからでもひとつ反省され、そして
日本の安全のために、
日本民族、それから
アジアの一員の
立場に立って
日本政府の態度をもう少し変えてもらいたいと思うわけであります。
時間がありませんから、ついでに一括してお尋ねしておきまして、
あとは明日お尋ねしますが、
日韓会談で、拿捕された
日本漁船の補償のことが問題になっておりましたが、その結末はどうなったか。また、
漁船の補償がありました節は、船主並びに
漁民に対しまして、その過去の苦しみの償いにその賠償金が今後追加されて使われるかどうか、それを伺っておきたいと思います。
第二には、在日
朝鮮人の処遇につきましては、私は、当面は、長い軍国主義の圧力のもとに民族的な偏見にさらされて、そして
朝鮮の諸君の給料は同じ場所で働いても三割も四割も低いというような気の毒な
状況にありますから、金融の道まで含めまして、外国の友でありますけれども、過去の植民地同化
政策の償いといたしましても、よい待遇をしてあげたらいいと私は思うのです。ただ、それが永久というのでは原則にもとりますし、
朝鮮の恥となりますから、ここ十年とか十五年の間は、むしろいま
政府がお考えになっておる以上に、国費の一部を償いとして使っても、そのために生活が明るくなり、犯罪も減り、
朝鮮の友が
日本に対して旧怨を忘れて
日本の国民に友情を感ずるというふうになってもらうならば、私は予算を使っていただいてもいいと思うのです。しかし、それはそういう歴史的
事情によるものであって、永久のものであってはならぬと思うのです。それは
政府も考慮されておられると思いますが、しかし、その場合に、災いを拡大しませんために、南北
朝鮮の国民に対しまして同じような待遇をすることが望ましいと思います。
政府はたびたび、それは同じように取り扱うということで、
後宮アジア局長から伺っておりますが、それを重ねて明確にしておいていただきたいと思います。
最後に、この前
朝鮮から金さんという少年がおかあさんをたずねてまいりました。これはかねて
入国管理局長さんに御了解を得てありますが、親子、夫婦の間の問題は、
朝鮮海峡を泳いで渡ってきてでも、それはやはり人情美談としてもてなすべき性質のものであって、
ほんとうの親子、
ほんとうの夫婦の場合には、それを断ち切ることはいけないのではないか。年に百人や二百人のそういう特別の例の場合ならば、現在すでに八万人も
朝鮮の諸君がふるさとに帰って、ずいぶん在日
朝鮮人の数は減ったわけでありますから、そういう特別の例に対しては人道的配慮が望ましい。このたびは、そのおかあさん自身がまた前に密入国したようなこともあって、合法性が疑わしいというようなことがあったそうですか、それもすでに
日本に参って結婚しており、そして善良な生活をしておられるとするならば、母の合法性をまずきめてあげて、そしてそのむすこさんを呼んであげるというくらいのことはしてあげたい。人道に関する限りは、南北の区別なく、
韓国の皆さんに対しても同じように親切にしてあげたい。前に長谷川さんが
韓国に参りまして政治的に違う見解を述べたようですが、人情の上から申しますと、長谷川さんは
韓国の京城などには深い思い出を持っておりますから、そういう面から彼が言ったことであろうと私は思っておりますが、人情の点から言いますと、
ほんとうに
韓国の人でも北
朝鮮の人でも同じように気の毒な
立場にあるわけです。それに対しては
ほんとうの真心をもって処遇することが必要であると思いますから、
入国管理局長、ひとつ特別の親切な人道的な計らいをしていただきたいと思います。
以上です。