○鯨岡
委員 政府のお
考えは、自由陣営というものは多元化し、自由陣営ばかりではなく共産陣営のほうも多元化して昔日のものでないように一見見えるけれ
ども、しかしやはり根本は東西の対立というものはまだぬぐい切っておるものではない、そのあらわれは、アジアの対立にしても根本は東西の対立になっておる、これがなければこんなふうな騒ぎにはならなかったはずだ、そういう意味で、変わっておるように見えてまだ変わっておらない、こういうような御見解のようであります。そういう御見解の中から自由陣営の一員としての
日本の
態度があるとするならば、ベトナム問題などは、
アメリカの
考えも十分にわれわれもわかりますけれ
ども、
フランスや
イギリスがいろいろ心配しておる以上に、やはり積極的に意欲的に
日本が心配して、
アメリカに忠告すべきところは勇敢に忠告するということがなければ、この自由陣営の一員とは言えないのではないか、こんなように思いますので、御見解を教えていただいたこの機会に私の
考えを申し上げておく次第であります。
次に、アジアの一員という問題ですが、外交三
方針のうちの一番最後、
わが国の外交
方針のうちのアジアの一員ということについてですが、佐藤総理は、この国会の施政
方針演説で、アジアは世界の悩みを集約していると表現なさっておるのであります。そして、アジアの緊張緩和に寄与すべき意味におきまして責任の重大さを深く感ずるというようなことも言われておるわけであります。私は全くそのとおりであると思うのであります。また、
外務大臣は、同じく施政演説で、アジアにおいて、国際的緊張と対立が日に日に高まっていく現象はまことに残念である、同じくアジアに位置する
わが国は、アジアの諸国民の願望に深い理解と同情を寄せ、アジアにおける
わが国独自の立場を十分に生かして、永続的な親交
関係をつくり上げるように、努力すべきであると思う、こういうふうに力強い演説をなさっておるわけであります。私は全くそのとおりであると思います。特に、
外務大臣は、アジアにおける恒久的平和を確立するために最も
考えなければならないことは中国問題であると言明され、さらに、ベトナムの政情に深い同情を寄せ、インドネシア、マレーシア問題を人ごとではない、むしろこれらの諸国はいずれも
わが国に大きな期待を寄せていますので、
政府としてはこれら諸国との友好
関係には一段と努力してその期待にこたえるということを強調なさっておるのでございます。私は
外務大臣のこの
考え方に全く大
賛成であります。総理の言われるごとく、いまだけのことを言うなら、世界の政治のむずかしい問題は全部アジアに集まっているような気がいたします。本来
一つであるべきのに、二つに分かれている国が世界に四つあります。そしてそのうちの三つはアジアにあるのであります。南北朝鮮がそれであり、中国、台湾がそれであり、南北ベトナムがそれであります。いずれも
わが国の近隣の国であります。
日本の平和のために、
日本の経済のために直接影響を受ける近隣の国でございます。アジアは
一つであるということばがありますが、アジアは
一つどころか、五つも六つも七つも八つにも分われておる。同じ民族の血を流して争っているのがアジアの現実の姿であります。その現実を直視して、総理大臣も
外務大臣も、その状態を憂慮する、その解決に
日本として責任をさえ感ずると演説なさっておられるのであります。
私がここで残念に思いますことは、
日本の外交は行動として総理や
外務大臣の演説のように必ずしもいっていないのではないかと思われる点であります。
外務大臣は、アジアの苦悩する諸国は
わが国に大きな期待を寄せていると言われておりますが、
外務大臣は、
日本の外交がその期待にこたえているというふうに思われるでしょうか。インドネシアがマレーシアとの紛争解決のために
わが国に期待しているであろうことは容易に
考えられることであります。さきに、この問題については川島
先生に行ってもらうのだといって、まずその前に小笠
先生だったか出かけてまいりましたが、そして向こうは非常に期待しておったのに、何かその
あとが続かないような気がいたします。タイやビルマがやっているから様子を見ようというようなことでは、私は、演説のようなものではない、こんなふうに
考えます。
中国問題だって、私はそうだと思います。これこそ重要な問題だ。この問題の解決なくしてアジアの平和はないとまで演説で御表明なさっておりながら、そして総理は、
ジョンソン大統領との会談で、
アメリカの中国に対する
考え方は理解するけれ
ども、
日本は近隣の国として
アメリカの
考え方に全く同調することはできないのだと力強く御表明なさっておりながら、
外務省の行動は必ずしもことばのようには行動しているとは思えないのがまことに残念であります。
日韓問題
早期妥結は私
どもの最も強く希望するところであります。しかるに、中国や北朝鮮は、この
日韓会議の
早期妥結は
日本の軍国主義の再現であるとか侵略の野望であるとか非難をいたしております。
日本の
国内だってそんなことを言う人がいます。共産主義の連中の言っていることだからほっておけというなら別ですが、アジアの一員であるという基本の
方針から言えば、中国や北朝鮮の言っていることはほっておけという立場は出てまいらないと思います。これに対して協力してもらわなくてもいいですけれ
ども、少なくとも理解させるような努力が引き続いて念を入れて同時に行なわれなければいけないと思うのであります。
そこで、
外務大臣にお尋ねをいたしますけれ
ども、まことに僭越ですが、アジアの一員である、アジアの平和に責任を持つという
日本の外交の基本
方針の
考え方から、今日のベトナムに対する処置は何か、
日本政府はベトナム問題がどう発展すると予想しておるのか、さらに、この時点に立って
日本のしなければならないことは何か、
日本のできることは何か、私が申し上げましたような個個の問題を集約して、
日本がアジアの一員としての立場を忘れない外交というのは何か、それを伺いたいと思うのでございます。