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1965-05-26 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月二十六日(水曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 岡  良一君    理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君    理事 福井  勇君 理事 前田 正男君    理事 原   茂君       秋田 大助君    坂田 英一君       野呂 恭一君    渡辺美智雄君       日野 吉夫君    三木 喜夫君       内海  清君  出席政府委員         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君  委員外出席者         総理府技官         (国立防災科学         技術センター企         画課長)    福沢 久勝君         厚 生 技 官         (環境衛生局水         道課長)    大橋 文雄君         参  考  人         (東京大学助教         授)      新沢嘉芽統君         参  考  人         (栗田工業株式         会社常務取締         役)      松田 俊彦君         参  考  人         (菅谷水資源研         究所所長)   菅谷 重二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(水資源総合的  利用に関する問題)      ————◇—————
  2. 岡良一

    岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  水資源総合的利用に関する問題調査のため、本日菅谷水資源研究所長菅谷重二君、東京大学助教授新沢嘉芽統君及び栗田工業株式会社常務取締役松田俊彦君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡良一

    岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 岡良一

    岡委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日はまことに御多用のところをわざわざ本委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございました。どうか、それぞれの立場において忌憚のない御意見をお述べ下さるようお願い申し上げます。  なお、参考人の御意見の開陳はおおむねお一人約十五分程度といたしまして、あとはまた委員の質問にお答え願って十分御意見を尽くしていただくようにお願いしたいと思います。  それでは、あらかじめ水資源の問題について橘資源局長より説明を承りたいと思います。橘局長
  5. 橘恭一

    橘政府委員 本日の趣旨を前提としまして概括的なことを申し上げます。  まず、水の需給のマクロ、大ざっぱな全体の水需給についてでございますが、年間降水量は、雨も雪も入れまして六千億トンということになっております。一般に通っている数量は、雨量に直しますと年間千六百ミリ。この六千億トンの降水がどのように使われているかということを申し上げます。  六千億トンの中で、蒸発するものが二千四百億トン、洪水等で一挙に放流されるものが千六百億トン、残りの約二千億トンというのが実は利用が可能であるものなんであります。ところが、現在実際にどのくらい使っているか、利用量は非常に正確なものがわからないのですが、国会等でもずっといままでお答えしているところは六百億トンというところであります。六百億トンというのは河川水地下水もございますが、かりに河川水のほうを申し上げますと、現在はほぼ四百十七億トン程度であります。そのうち農業用水が三百四十五億トン程度、これは八割、それから工業用水がまだ比較的少なくて三十四億トン、それから上水道が三十八億トン。そういうことで、六百億トンのうち河川水は約四百億トンという状況でございます。これからわかりますことは、繰り返して申しますが、農業用水が八割以上である。上水道用水というものは河川水のうちで一0%以下の程度。なお、工業用水は、昭和四十五年には現状よりもかなり大幅に伸びるということが倍増計画で推定されておるわけであります。  千六百ミリの雨量と申しますのは、雨量そのものとしてかなり大きい数字でございますが、人口一人当たりで割りますとさほどでもない。日本は一人当たり六千トンくらいのもので、外国に比べて決して多いほうではございません。  その次は、水資源問題点でございます。  どういうことがあるかというと、新規水資源開発するほうはかなり積極的に、これは純粋の土木技術をもってどんどん進められておりますが、どっちかというと利水面に問題が残されている。明治からの河川法もやはり利水面が弱くて、治山とか治水のほうを主としている。それから、やや関連して水質汚濁の問題が出ておりますが、これは一般公害問題として本日は触れることはいたしません。  しからば、利水面問題点というのはどういうことか。新規水資源開発を進めるということは当然で、それと同時に既往の水資源の、かりに再開発とでも申しましょうか、都市の再開発といったのと同じような意味で、そういうことが必要である。  利用面から言えることは、かなり河川流量がありながら、これが有効に利用されていないということ。たとえば俗に言います水利権でございます。毎秒何トンという数値が帳簿上あるわけです。それとは別に実際の使用量、どういうぐあいに、いつごろ、どう使うかという使用状態、そういうものが一つ。それから、いろいろその河川計画を立てる場合の、どこの地点における流量という公称の数値がある。それとは別に現実流量がどうであるかという問題もある。この数値の開きが相当あり、かつ矛盾がある。たとえば、実際の流量よりも水利権に示された数値を足したほうが多くなる、そういう問題が一つございます。それから、たとえば利根川のように各県にまたがって流域を持つ、いまで言えば一級河川、そういうものが依然として、知事に分断管理されてきたその問題のあとが新河川法の実施後も尾を引いて、必ずしも明確に解決していない。三番目としましては、河川法に基づく水利使用許可、こういうものがあまりきめがこまかくない。もともと電力需給とこの水の需給は非常に似ているのです。電力のほうは、オン、オフというのですか、いつでもとめたり、流したり、計量がしっかりしておる。そういうことで、非常にきめのこまかい合理的な利用、やりくりができる。ところが、水の場合には、まだ計量技術等がおくれておりまして、きめのこまかい需給ができない。したがって、水利使用許可も、ロードカーブと申しますか、時間ごと期間ごと月ごと、そういう時間を考えたこまかい許可があまり行なわれていない。  それから、この再開発ということは、ややネガチブな印象で、何となく進みにくいという、たとえば再開発をやれば新規の分がそれだけ少なくて済むとかなんとか、いろいろうしろ向き的な話になってみたり、あるいは河川法をめぐる知事の権限とか、これは自治省関係でございますが、その他必ずしもやや前向きでないような印象を場合によっては持つ人がある、そういう点がございます。ただいま資源局資源調査会では、こういう具体例を中心によく調査して、せっかくありながら使えない、また金はあっても急場の間に合わない場合は、やはりこういう現実に使い得るものを使う。金と時間の両方の問題から、もう少し有効利用ができるのではないか。  それから三番目としては、やや最近技術的に出てきた問題で、海水淡水化というか、真水化の問題がございます。これは御存じのとおり、ソ連とかアメリカではかなり大規模に、またクエート等のああいうどうしても水のないところ、しかも天然ガスがただみたいなところでは、実際に大規模なものをやっておる。日本では、水不足が出るとよくその話が出ますが、これはあまり過当に評価すべきでもなく、過小に評価すべきでもない。結局やはり降水、天水を主にしなければいけない。そういうものにどうしてもたよれないような特殊の地域におきましては、これはピーク時の補いとして併用すれば平均単価そのものはあまり上がらないんじゃないか。そういうことで、少し実用するようなケースを前提に検討する必要が生じておる。  大体以上のような点を概略として申し上げます。
  6. 岡良一

    岡委員長 それでは、参考人の御意見を聴取したいと思います。  まず、新沢参考人にお願いいたします。
  7. 新沢嘉芽統

    新沢参考人 きょうは何をお話しすればよいのか、何か問題になっているようなことでも聞いていただきますと、知っていることをお答えできるわけですけれども、漫然といたしておりますので、東京の水の問題につきまして感じております点を、一、二意見を申し述べてみたいと思います。  そこにあります表を使いますので、その表の近くに行ってしゃべらせていただきますが、よろしゅうございましょうか。
  8. 岡良一

    岡委員長 どうぞ。   〔新沢参考人、図を示す〕
  9. 新沢嘉芽統

    新沢参考人 東京の水の問題につきまして、利根川から水を持ってくるということで、利根川荒川水系緊急水利連絡会決定事項というものがございます。これは関係官月及び関係府県の代表が集まりまして、そこで利根川から荒川に水を落としまして、そして荒川から東京都に水を取るという利根川からの緊急水利——まだ東京都は利根川から取る水利権を持っておりません。これが利根流域ですが、関宿地点から江戸川が分岐して東京湾に入っております。ここの地点から見沼用水というのがございまして、その見沼用水の途中から荒川まで、御承知のように、武蔵水路というものを昨年つくりまして、そして荒川下流秋ケ瀬頭首工というのをつくりまして、それから今度は東村山に送水しているわけであります。この武蔵水路を通して、水利権はないけれども、余った水を使おうというわけであります。  どういうふうな使い方をその決定事項として定めたかと申しますと、栗橋地点、ここで申しますと、この赤まるのところでありますが、ここで毎秒二百トン以上の場合にここから取る。そういう条件がございます。それからそれより下流地点、これは布川でございますが、布川で毎秒百二十トン以上のときには取る。それから江戸川野田地点、ここで八十トン以上の場合に取る。こういうふうにきめたわけであります。栗橋地点布川地点の中間に鬼怒川小貝川が入っておりますが、この鬼怒川小貝川が不確定な要素になっておりますから、その流量は見ないわけであります。  こういうことの根拠はどういうことかと申しますと、流況の悪い場合を過去の記録によって想定いたしまして、その悪い場合でも大体百五十日間をかんがい期間といたしまして、そしてそのうち五十日は取れる。そうすると大体そういう数字になるという想定であります。したがって、利根川から、状態の悪いときでも五十日はかんがい期間にも取れる、こういうことを取りきめたわけであります。  ところが、私はこの数字に対して非常に疑問に思うわけであります。ということは、ここの秋ケ瀬東京都へ水を取るわけでありますが、その場合、利根川から荒川へ落ちた水だけが秋ケ瀬から取られるわけではなく、荒川自体の水も取られるわけであります。したがって、荒川のほうに十分の水のある場合には利根川から取る必要はないわけであります。したがって、その五十日を取れるというのですが、五十日のうち荒川流量が少なくて不足するような日数は何日あるかということが問題になるわけであります。  それを数字で見るためにつくった表でありますが、この「利根」とございますのはこの地点栗橋流量でございます。それから荒川の「荒」と書いてありますのは、この赤い地点、ちょうど秋ケ瀬取り入れ口よりちょっと上流になりますが、の流量であります。それを三十年から三十四年まで、これは流量表の私の手元にあるのを使ったので、その前後の数字はどういうものか、これはやっても同じことになると思うのでありますが、ただ偶然にありましたから使ったわけでありますが、その間に、昭和三十三年、これは非常に流況の悪い年で、渇水の年であります。そういうのを一年含んでおりますから、大体この表をもって流況を代表していいと私は考えております。その流況を見ますと、この黒と赤と青で書いてありますが、その利根川系で赤で書いてある数字は、これは大体二百トン以下で、つまりこのときには取れないわけであります。黒いときだけが取れるわけであります。それから荒川の赤で書いてあります数字は、これは十トン以下の場合でありまして、それから青で書いてあります数字は二十ドン以下の場合であります。それから黒で書いてありますのが二十トン以上。  そうした場合に、ここからどうなるかと申しますと、この秋ケ瀬のせきのところで下流に対して五トンを放流する、これは下流で何か使うところがあるだろうから五トンを放流する、これは一つ約束ごとであります。それから東京都のほうへは、これは鉄管の太さがきまっておりまして、五トンしか取れないわけであります。したがって、その五トンと五トンを合せますと十トンになるわけで、これが十トン以下のときのものが赤になるわけであります。この赤になったときを対象にしてごらんになればわかりますが、二百トンをこえているときはほとんど全くないのであります。つまり荒川ほんとうに必要のあるときは利根川からも取れないというわけであります。そういうことを各関係官庁が集まっておきめになった。要るときは取れない、要らないときは取れるという、これは実に奇妙なことであります。それから十トン以上になりますと、これは少し余りますから、それは隅田川浄化に使えるのでありますが、そういうときを対象にいたしましても、二十トンまでの流量ではほとんど利根川のほうが赤になっているわけであります。ということは、要らないときばかり利根川から取れるけれども、要るときは取れないということであります。これは隅田川浄化に使う場合でも大体そういうことが言える。実に奇妙なことを取りきめたものだと感じております。  それでは二百トンという数字が妥当であるかどうかということが一つの問題でありますが、矢木沢ダムと、それから下久保ダムもいま建設中でありますが、それができますと東京水利権が確定するわけであります。そうした場合に、栗橋地点流量を、一番流況の悪いときにどういうふうにその二つのダムから放流するかと申しますと、栗橋地点において百四十トンといっておるのであります。ところが、そのダムのない前に二百トン、ダムができると百四十トン、これは実に奇妙なことであって、ダムができて百四十トンでいいものなら、ダムができない前だって百四十トンそこにあれば下流に障害が起きないと考えていいのではないかと思われます。そういう意味で、この連絡会決定事項は非常に有効に働いておって利根川から水をもらって東京都が助かっておるというのは、これはどういう意味か、私にはわからないわけであります。専門家であるつもりでありますが、そういうことは私には理解できない。それがきょう私の申し上げたかった一つ意見であります。  それからもう一つは、この秋ヶ瀬地点から東村山までの導水路が、先ほど申しましたように五トンであります。それに対してこの武蔵水路導水能力は五十トンのキャパシティーを持っているわけであります。ですから、ほんとうに水が余っているときはここから流し込んで、この五トンをもっと多く、しかも村山貯水池がすぐ近くにあるのですから、村川貯水池の中にそれをため込めるということになっておりますと、東京の事情はずいぶんよくなるわけでありますが、どういうわけか、せっかく新しい水路をこの間東京都はおつくりになっているのに、みみっちい五トンなんというものをおつくりになって、これはベースに使われるつもりでこういうことをなさっているのでしょうが、あまりにも短見者流であると私は感じております。これも一点の理由でございます。  第二点は、長期計画に関するものであります。昨年の水飢饉のときに東京都はしきりに長期計画について一つ具体案を宣伝いたしました。それは山梨県の山岳部、これはこちらへ流れていっておりますのが千曲川でありまして、こちらに出ておるのが富士川の上流笛吹川になりますが、千曲川笛吹川から水を取りまして、それを小河内のダムに流し込む、その間に発電所をつくるという計画で、そこで八トンの水が取れるのだということを言ったわけであります。  ところが、前々これは松永さんの産業計画会議で、東京の水は沼田ダム、この地点ダムをつくって持ってこいという計画があります。それとの優劣比較をちょっと表にして示したのがこれでございます。  そういたしますと、沼田ダムの場合には事業費が七百五十億、山梨の案の場合は三百八十億であります。流域の広さは、こちらは四百五十平方キロ、こちらは千七百平方キロであります。しかもこちらの沼田ダムの場合には、農業用水の足らないときにだけここから流せばいいのですから、下流流域も、こういうものを比べますと、これはこれだけの流域しかありませんから、沼田ダムは非常に有効に水が使えるわけであります。水道水沼田ダムの場合には四十五トン。現在東京の水が最高で三十トン程度しか使っておりませんから、現在の東京の一・五倍の大都会ができてもだいじょうぶの流量であります。山梨の案は八トンしか上水道は取れません。沼田ダムの場合はそのほかにかんがい期だけ三十トンの農業用水が取れる。洪水調節は、三千トンの洪水調節ができる。ということは、つまりここの流量洪水時に三千トンですから、ここから出てくる洪水はここで全部押えてしまって一滴も流す必要がないということであります。そういたしますと、ここで押えますと、いままでここへたくさんつくってあるダムは全部利水専用に使えるようになるわけであります。それから、発電はどうかと申しますと、沼田ダムの場合は百三十万キロワット。片方は二十万キロワット。年間で申しますと三十五億キロワットアワー、片方は六億であります。  それから、これが非常に大きなファクターでありますが、沼田ダムの場合は、ここにできますダムの大きさは箱根芦ノ湖の三倍の面積があります。しかも、水上温泉を控え、伊香保温泉を控え、赤城を控える日本第一級の観光地になることが予想されるわけであります。こちらはそういう要因はゼロであります。  都内導水を考えてみますと、都内導水はここから入れるのですから、こっちは何もする必要はないのです。都内導水は、先ほどお話ししましたように、水路は五十トンの容量にできておりますから、直す必要がありません。そちらはこれを直す必要がある。これは先ほど申し上げましたように、いまでも面すべき性質のものでありますから当然であります。それから、朝霞のポンプが、ここでもってポンプでもって揚げておりますので、ポンプ運転費がかさむということがあります。  こういうふうに有利なこちらのほうが具体化しないで、実に不利な、経費の高いこういうものが具体的になってまいりますのは、どこに原因があるかと申しますと、もちろんこれは水没補償の問題であります。片方農業用水と対立しますが、これはあまり大きな問題として取り上げられておりませんが、やってみると相当むずかしいと思います。こちらは水没が二千戸、人口で申しますと約一万であります。上越線のつけかえと国道のつけかえがございます。しかし、二千戸と申しますが、これは山の中で、このあたりのようなダムでありますとそこにおる人たちは生活の根拠を失うことになりますので大問題になるわけですが、この場合には、この人たちは観光的に有利になるとか、いろいろな点でもって経済的に自分の立場を判断しているわけであります。したがって、戸数が多いということは、私からしますと、むしろやさしいということであって、むずかしいということではありません。政府関係機関は、戸数が多いということでもってそれに対して非常な警戒心とおそれを抱いておる。それがつまり有利な開発をおくらせておる最大の要因であります。この点はよく御認識いただきたい。これがきょう私の申し上げたかった二点であります。  まだありますが、またあとで申し上げます。
  10. 岡良一

    岡委員長 それでは、次に松田参考人から御意見を承りたいと思います。
  11. 松田俊彦

    松田参考人 松田でございます。  水資源を有効に利用いたしまして、現在すでに局部的に発生しております深刻な水不足、また近い将来に予想されております全般的な需給逼迫に対する解決策といたしましては、水利土木工事による水源開発によるものを別といたしますれば、  一、消極的な対策といたしましては、a、プロセス合理化による使用水量の節減、b、廃水の回収、再使用、c、蒸発防止などがございます。  二番目の積極的な対策といたしましては、a、河口湖の造成、b、人工降雨、c、海水淡水化などが考えられます。  ここで、世界水分布を考えてみますならば、現存する水のうち陸地の川、湖及び地下水を合計した全水量が0・六三%、万年氷及び氷山が二・一%であります。一方、世界の海、海水でございますが、これは実に九六・六%を占めているという事実がございます。  ここに、アメリカ大統領ジョンソンをして、人類が永続的に豊富な水を確保すること、これが新しく、かつ肝要な領域であると述べまして、海水淡水化推進へのことばとした理由があると存ずるわけであります。  海水淡水化について最も力を入れておりますのは、御承知のとおりアメリカでございます。国内の都市砂漠、または半砂漠開発されつつある地帯、この部分に対しては地下かん水海水ではなくて地下かん水を処理するのであります。及び島嶼、海岸地帯対象とし、かつ、ただ単に米国内のみではなく、広く海外のこれらの地域をも対象として活動がなされつつあります。ここにやや詳しくその状況を説明してみたいと思います。  いま述べましたような目的をもちまして、昭和二十七年、一九五二年に塩水転換法に基づいて内務省に塩水局、オフィス・オブ・サラインウォーター、略称OSWといっておりますものが設置されまして、昭和二十八年から今年、昭和四十年までに研究開発に四千四十六万五千ドル、約百四十六億円、実証工場建設運転維持に一千四百六十万八千ドル、約五十三億円、合計いたしまして五千五百七万三千ドル、約百九十九億円を投入しております。昭和四十一年から昭和四十五年までの五カ年間には、今年度の約一千二百万ドル、邦貨換算約四十三億円に比較いたしまして、飛躍的に増額し、毎年平均三千七百万ドル、約百三十四億円を支出する計画大統領に提出されております。いままでこの資金は公共機関、学校、民間などに研究委託費として支出され、基礎研究から開発に至るまでの広い範囲で約百種類ほどの淡水化プロセス方法が検討され、また別に蒸発法で三件、イオン交換膜電解透析法で一件の、四つの実証工場建設され、主として実用規模、大体日量約四千トンの造水への経済性の検討がなされております。  カリフォルニア州サンディエゴに六億円の建設費設置——昭和三十六年十一月三日完工でありますが、されました多段フラッシュ蒸発法による造水装置、これは日量約四千トンの造水でありますが、実証工場の中で最も順調に成果をあげ、ここでつくられた水はサンディエゴ市の上水にまぜられて供給されておりました。しかしキューバ紛争に関連いたしまして、水源を断たれたグアンタナモ海軍基地の危急を救うべく、昨昭和三十九年二月二十六日午前八時に運転が停止され、海軍省に移管、解体してグアンタナモへ移設されました。テキサス州フリーポートの垂直多重効用蒸発装置、ニューメキシコ州ロズウエルの強制循環蒸気圧縮装置、及びサウスダコタ州ウェブスターのイオン交換膜電解透析装置、これはわが国の旭化成が納入いたしております。これなども、いずれも市民への飲料給水として用いられております。  これらの開発経過において判明したことは、昨年九月二十二日付で内務長官から大統領へのプログラム・フォア・アドバンシング・デソールティング・テクノロジーと題しました報告書に要約されております。この中で、今後の方向として、水の価格を安くするという点で、多段フラッシュ蒸発法に重点を置き、かつ原子力熱エネルギーを利用した大規模装置、これは二重目的造水装置と称せられておりますが、の開発を目標とし、原子力委員会が参加して、昭和四十五年までに熱出力一千メガワットの原子炉により日量にいたしまして約二十万トンの造水をし、また昭和五十年ごろまでに三千五百メガワットの原子炉で日量約六十万トンの造水をしたいという計画であります。いずれも水と電力の両方を供給することを目的としたものであります。この内容の詳細については、昨年九月のジュネーブでの第三回原子力平和利用国際会議で紹介されております。  また、将来技術という点では、いろいろの淡水化の方法のうち、逆浸透法を最も有望なものとして取り上げております。これらのためにすでに述べましたような巨額の研究投資計画がつくられたわけであります。  なお、アメリカは、法改正により海外との共同研究開発の道も開いており、イギリスW社への研究委託、メキシコ、イスラエル、サウジアラビアその他での計画作成につきまして技術援助をし、またソビエトとの情報交換をなし、わが国とは天然資源の開発利用に関する日米技術交換会議の第一議題として取り扱うなどの海外技術協力体制をしいております。今年十月には首都ワシントンで、内務省及び原子力委員会が主催いたしまして第一回国際脱塩会議が開かれ、現在のところ世界各国、七十カ国以上の参加が予定され、わが国からも五名の代表参加が準備されております。  他の諸外国の状況について簡単に触れますと、ソビエトの詳細は不明でありますが、原子力利用発電併用造水装置はすでに建設中であるとされております。また、アメリカ視察団の報告では、カスピ海東岸砂漠都市シェブチエンコでは日量的六千トンの造水装置が二万人への給水をしているとのことであります。  イスラエルは、最も活発な国の一つであって、海水転換委員会をつくって、今年春には六千キロワットの発電タービンと併置しました白蟻約四千トンの造水装置が運転に入ったはずでございます。そのほか蒸発法、冷凍法及びイオン交換膜電解透析法などの研究がなされつつあるのであります。  イギリスは、古くから蒸発造水装置を製作し、クウェートには日最約一万トンの多段フラッシュ蒸発装置を設置し、その他にも多くの実績を持っております。また、国際的には、半かん水からの脱塩法研究委員会の一員といたしまして、ドイツ、フランス、イタリア、オランダなどとの共同研究をしております。  さて、しからばわが国の状況はどうでありましょうか。わが国は、四面環海ということで、古くから食塩を海水にたよっておりまして、製塩に関しては十分の技術と実績を有しております。この方面の研究機関が、用水事情の悪化に伴って造水の研究に転換しました。ただ、製塩においては、海水中に含まれる二・五%程度の塩化ナトリウムを濃縮することが目的であり、一方、造水では、これを除いて残りの九六%程度の水をとることが目的であるという相違点に注意しなければならないと思います。  以上の次第で、現在は、専売公社(小田原製塩試験場——蒸発法及びイオン交換膜電解透析法、防府製塩試験場——ハイドレート法)、通産省工業技術院東京工業試験所(冷凍法)などの公共機関で研究がなされ、イオン交換膜電解透析法の旭化成、旭硝子など、蒸発法の栗田工業などの民間会社でも研究が継続されております。  また、資源調査会海洋資源部会海水利用小委員会が、昭和三十八年五月三十一日、第一回会合を持ちましてから、特に海水淡水化経済性と将来性に重点を置きまして検討、審議中であり、日本工業立地センターからは工業用水を中心とする用水需給関係からの海水淡水化に関する調査報告書が三十八年に出されております。  海水からの造水のコストは、アメリカにおける実例で見ましても、現在程度規模の装置、日量約四千トンの造水では、トン当たり百十円から百五十円であり、従来の淡水の価格、上水道の場合で二十円から五十円と比較いたしますと、きわめて割り高であります。もっとも、陸水の不足分を海水からの造水で補うということで料金プール制を考慮すれば、十分実用できるであろうとは思います。将来的には 先ほど述べました二重目的装置で四十ないし五十万トン日量のものをつくれば、二十円ないし三十円でできるという試算がアメリカでなされております。このことも念頭に置いて、将来構想として考えなければならないのではないかと存じます。  コストの面でのわが国の特殊性といたしましては、金属資源、燃料などが輸入で、当然コストが高く、それらからつくられる金属機器、電気、蒸気などのコストも高い。また災害が多く、金利が高く、土地が狭く、地価が高い。しかし、一方、人件費は比較して安いなどの条件を勘案いたしまして、建設費は対米比二0ないし三五%低いのでありますが、生産水価格は二0ないし四0%加算せねばならないという点がございます。  実績面を見ますと、長崎県崎戸島におきましては、製塩装置からあわせて水を採取し、毎日約二千トンの給水がなされております。また香川県仁尾町でも、仁尾塩田でのドレン水を飲料として、一日当たり、夏六百トン、冬二百トンの給水をしておる例がございます。  海水淡水化に強い関心を寄せている例としましては、長崎県本土部においては、極端な水不足に見舞われ、今年初めごろは一日六時間、最近には二日に三時間給水というところまで追い込まれたとのことであります。地形的に水源に恵まれず、人口都市集中、使用量の増大と貯水池にたよらざるを得ない条件下で、降雨量が少なかったなどの理由がございます。また、県下には六百有余の離島があり、いずれも飲料水の確保には非常な苦労をしております。そのほかに香川県瀬戸内地区、愛知県束三河地方のごとく、水不足がはなはだしく、至急な解決が迫られている地域も存在しております。こういう地域では、極論すれば高い水でも必要なのでありまして、将来需給という点からはさらに問題は深刻になるのではないかと考えられます。  結局のところ、海水淡水化の決定要素は経済性でありまして、造水コストの低減のためには、一、合理的プロセス開発及び現存あるプロセス合理化、二、スケールコントロール法の開発、三、安価なエネルギーの利用、内容といたしましては低品位炭、排蒸気、廃熱などの回収利用及び原子力エネルギーの利用、四、副産物の総合利用などに努力する必要があると考えられます。  造水のみを対象といたしましては、装置の大規模化、発電との併設、原子力エネルギーの利用などによる将来方向がきめられており、この面ではアメリカはすでに申し上げましたとおり多額の研究投資をしておりますので、われわれも大いにその成果を取り入れて学べばよいであろう、このように考えます。  しかし、製塩につきましては、わが国はすぐれた技術を持っており、海水中に含まれる塩以外のカルシウム、マグネシウム、カリウム、バリウム、臭素、硫酸根などを回収いたしまして、もって水の単価を低減することについては、技術的な面あるいは副産物の需要の面などに困難な問題があると思われますが、着想としては有望なものであって、アメリカにおきましても近年わが国からの情報に刺激されて、遅効性燐酸肥料でありますところの燐酸マグネシウム、アンモニウムの生産を兼ねました造水方式が、またサイアナミッド・インターナショナル中央研究所が塩素、臭素、マグネシウム、苛性ソーダ、精製塩と水とを総合的に生産することを開発しつつあります。最近の関係文献中にも、この方面の研究とスケールコントロールに関するものが増加しつつあり、これはわが国の影響ではないかと考えます。この面ではわが国の独自技術が今後の努力によって確立し得るものと予想し、また海外への技術並びにプラントの輸出として有望なものであると確信し、またそうなることを熱望する次第であります。  海水淡水化ということは、適切な表現ではないかもしれませんが、規模という点を度外視いたしますと、原子力開発と非常によく似た性格を持つものと私は考えます。とにかく水不足現実であり、造水しなければならないという必要性が厳然と存在しております。水と電気にしろ、水と海水中有効成分の副産にしろ、コンビネーションを考えなければいけないので、そのいずれに重点を置くかによって政策は異なるでありましょうが、この問題は民間だけで解決されるものではなく、アメリカの例で見るごとく、政府の強力な施策の早急な推進を望む次第であります。  具体的な方策の私見といたしましては、一、アメリカ塩水局ごとき専門担当政府機関の設置による国内研究開発の総合調整推進、二、実証兼実用プラントの設置、三、海外事情調査視察団の派遣——過去において公式にこういうものが派遣されたことは、私の記憶にはございません——などを考えております。もとより私自身そういう衝にない一民間人でございまして、一民間人としての私の意見であるということを重ねて申し述べて、意見発表を終わります。
  12. 岡良一

    岡委員長 次に、菅谷参考人にお願いいたします。
  13. 菅谷重二

    菅谷参考人 両参考人がたいへん精密な準備をしてこられたのに対して、私はさっぱり用意をしてまいりませんでしたので、まことにざっぱくな意見を申し述べることになると思いますが、私は、当委員会科学技術振興対策特別委員会であるということを前提にしまして、水資源の総合利用問題について、わが国において現存何か欠けているところはないかという点を述べてみたいと思います。  東京に限らず、現在の日本のあらゆる部門における水不足の問題、これは厳然たる事実でありまして、これに対していろいろな対策、研究等がなされていることは言うまでもありません。ですが、私は、現在やられております土木工学的な技術的ないろいろな水の利用方法といったようなものが、何か一本くぎが抜けているような感じがしてならないのであります。そういう水不足のためにいろいろな工がなされておりますが、先ほど新沢参考人が述べられましたように、たとえば東京利根川導水工事をとってみても、五十トンもある導水路で引いてくる水のうちの約一〇%、五トンをポンプアップしてそれを直接浄水場に入れて使わなければ他に転用する方法がない、これを村山、山口貯水池に入れて使えばもっとよけい使えるんだろうというような御意見を述べられましたが、まさにそのとおりでありまして、非常にたくさんの国の金を使いながら、でき上がったいろいろな施設が非常にラフな使い方、というよりもむしろその建設一的にそぐわないような使い方をされているという感じを受けてならないのであります。そのために多くの税のむだ使いが行なわれているばかりでありませんで、水のコストが非常に高くなってきている。しかも十分な水を使うことができないという状態を来たしているわけであります。私は、こういう事態が起きるのは、国全体としまして、水資源利用の基本方針といったようなものが確立していないためだというふうに考えております。  当面のいろいろな計画や事業の具体的な批判はさておきまして、私はここで、先ほども申しましたように、わが国が水資源利用の根本的な方策をどういうぐあいにきめたらいいかということを申し述べてみたいと思います。  技術の振興と申しましても、何でもやみくもにやったらよいというものではないはずです。科学技術と申しましても、これは人間の思考をもとにしまして実際の行動にかかわるものでありますから、何をどういうぐあいにして、どういう方法でやるのかという初めの考え方がしっかりしていなければ、間違った方向へ進むおそれは十分にあるのでございます。そういうことを具体的に取り上げますと切りがございませんが、水の総合利用をはかることでも、多くの技術や研究の開発が重要なことは申すまでもありません。実際にそういう水を開発利用する方法、これは幾つもあると思います。  たとえば貯水をする方法を考えてみますと、一番に上中流にダム貯水池をつくって、ここに水をたくわえる。これはおもに、ふだんの水は川に流さなければならぬわけですから、増水のときの水を貯蔵するという方法です。  そのほかに、河口に貯水池をつくって、ふだんでも海にむだに流れていく水を抑えていって、これを利用するという方法があります。  第三番目に、最近米国の東海岸などで考えられている方法でありますが、海域、特に湾とか入り江を海中ダムで締め切りまして、海水を真水と置換させてそこを貯水池にするという、海域貯水池と名前をつけておりますが、そういう貯水の方法も考えられております。  第四番目には、地下に貯水するという方法であります。地下にある一つの水がたまる層、これを帯水層といっておりますが、その帯水層に水を圧入するなり浸透させまして、そこにたくわえて利用するという方法でございます。この地下水の圧入の方法、また帯水層をつくる方法にはいろいろございまして、自然の帯水層を利用する方法もございますし、最近では地下で原爆を爆発させまして——これはきれいな原爆、水爆でありますが、爆発させまして、地下に大きな空洞、これは完全な空洞ではなくて、ポーラスな非常に空隙の多い空洞をつくって、そこに水を入れる、こういう方法も考えられて準備されております。こういう方法も結局は豊水の水を利用するという方法でございます。  こういう四つの貯水の方法があるわけでございますが、現在客観的に日本のやり方を見れば、私は、一の上中流にダムをつくってそこに水をたくわえるという方法だけがやられていて、河口貯水池、海域貯水池、地下貯水池というようなことは全く顧みられていないといっても過言でないと思います。  水資源利用する場合に、ためるだけでなくて、その水を実際に使うところまで引いてくるという導水の問題もございますが、この導水の問題も、人工的に水路をつくって、管路、いわゆるパイプライン、開水路を掘るとか、トンネルをつくって水を引いてくるとか、こういう人工水路を使う方法が考えられますが、そのほかに自然の河川をそういう導水路利用するという方法もあるわけでございます。第三番目に、先ほど申しましたような地下の一つの水脈、地下水の流れる道筋、これを地下水脈といっておりますが、この地下水脈を利用するという方法もあるわけでございます。  日本では、前の貯水法と同じように、自然の河川導水路利用するという方法は非常に不完全でありまして、あとで述べますように、まあ行なわれていないといっても過言でなかろうかと思います。三番目の地下水脈の利用などということに至っては、これは全く考えられていない。  こういう貯水法、導水法にかかわらず、多くの土木工学的な技術があるわけですが、あまりその一つの方法にこだわって他の方法を顧みないということになりますと、これは水資源の総合利用などはとうていできないことでありまして、そこらあたりに何かわが国において一つの大きな欠陥があるような気がしてなりません。現在のように水の非常な不足に追われてまいりますと、そういう、どういう方法で水を取ったらよいかなどという。プリンシプルを考えるひまがないということを言う人がおります。ですが、どういう方法をとったならば早く、安く、豊富に水をわれわれが利用することができるか、そういう方法のうちのどの方法が日本の実情に、これは実情といいましても自然条件と社会条件がありますが、それに最も適した方法かという、こういうことを研究することが、私は一つ水資源の総合利用の根本命題だろうと考えております。ともかく、こういうぐあいに水不足に追われてまいりますと、プリンシプルなどを考えるひまがない、とにかく何でもやることだというようなやり方を続けている限り、私は、百年たっても日本水不足は解決できないだろうと思います。そしてまた、そういう安易な水のつくり方に終始している限り、コストは次第に高くなってまいりますし、また量の点でも、先ほど橘さんが、利用できる二千億トンの水があると申されましたが、それにプラス千六百億トンの洪水の水、三千六百億トンの水を持ちながら、現在そのうちの六百億トンを使っておるわけですが、それが一千億トンくらいになったら、もう従来の土木工学的な方法では水の利用ができなくなる、そういう終局が早くくるような気がしてなりません。私は、こういう当面のいろいろな水不足対策などは、それは他の委員会や実際の当事者たちにまかせておいて、こういう委員会ではゆっくり時間をかけて、日本の現状に最も適した水利用のプリンシプルを研究、決定されることを望みたいと思います。  それでは、将来の問題として、日本の国でどういう水利用のプリンシプルがあるかということを、御参考までに申し上げてみたいと思います。  第一には、河水の完全利用の問題についてであります。これは先ほど数子をあげられた橘さんの意見どおりに、われわれがいろいろな方法でつくり出す水に比べて、天然が与えてくれる水の量というものはけた違いに多いのであります。この三千六百億トンという実際の水がわが国のいろいろな河川を流れておりまして、たとえば利根川にしましても、利根川に流れている年間百数十億という水のうち一0%未満が使われているにすぎないのでありますから、この川水を完全に利用するということが第一の命題だろうと考えます。  これを可能にするには、まず第一に、河川を上水路として使うというプリンシプルをきめなければいけないと思います。現在はこの河川に下水をどんどん放出しておりますから、私が先ほどこの河川は不完全だと申しましたのはこのことを言ったのでありまして、この河川の水が汚濁されましていろいろな公害問題を生じていることは、皆さんすでに御承知のとおりだと思います。  しからば、そういう河川を上水路に使うためには、どういうプリンシプルをとらなければいけないかということになると思います。これは、河川を上水路とするためには、河川のほかに排水路を掘らなければいけないことは当然であります。すべての下水をこの排水路に入れて、それを下流に導き、一括して処理をしてこれを海に流す。そうしますと、非常にばく大な水をそのまま上水として利用することができるわけであります。現在やられております方法で、この下水をさらに精製処理して工業用水に使おうとするようなやり方は、私が先ほど申しましたように、一つの大きな間違いではなかろうかというぐあいに考えております。その意味は、結局精製上水のためにはばく大な投資を必要とするわけであります。しかも、その投資によって回収される水は非常にわずかな量で、たとえば三河島の下水の工業用水を見ましても、わずか二十万トンの水がとれるにすぎません。ところが、そういう水を河川に流すために、河川ではその数十倍に相当するものが上水として使えないという事実がたくさん起きているわけであります。  第二番目に、地下水利用、これをもっと考え直そう。現在行なわれております地下水利用というのは、地下水は無限にあるものだという考え方で、その略奪に終始しているといって過言でないと思います。これを地下水利用そのものではなくて、地下水の層、いわゆる帯水層の貯水能力、これを地下の貯水池として利用することを主体にして考えるべきだというぐあいに考えております。そうしますと、その貯水池に豊水時の水をどんどん注入して、これを先ほど申しましたように池下水脈の下流からポンプでくみ上げて使いますと、いわゆる水路も要りませんし、パイプラインも要らないというわけで、非常な有効利用ができるわけであります。そういう例は、米国のオレンジ郡で非常にじょうずにやって成功しておりまして、世界の各国から非常にたくさんの参観人を毎年集め、実際にそれに見習った地下水利用が、世界水不足の各国で行なわれておることは事実でございます。  第三番目に、海水利用でありますが、これは先ほど松田参考人が申されたように、私は将来の問題だろうと考えます。その場合、わが国では、淡水化を主体としてやるということにはまだまだ時間がかかるのでありますが、こういう科学技術対策委員会でひとつ研究していただきたいことは、わが国の塩の需要供給の問題です。  一九六三年に工業塩が二百九十万トン、これは工業塩だけであります。そのほかの食料塩は、国産塩にわずか輸入塩を加える程度で間に合っておりますが、工業塩だけで二百九十万トン。これが毎年ここ数年間三、四十万トンずつ増加しているのであります。世界の自由市場にある塩の量というのは、日本のこの増加量をまかなうことはとうていできないのであります。一九七0年にはこの工業塩の需要が四百五十万トンになるという推定がなされております。これが一九八0年には六百七十万トン、一九九0年には一千百万トン。工業塩のほかに、いろいろな道路その他の塩の需要を考えますと、約一千五百万トンの塩の需要があるというぐあいに、これは私の推定でありますが、推定をしておるわけでございます。たとえばCIFで十二ドルで買うとしても約二億ドルの外貨支出になるわけであります。  海水の総合利用の場合、淡水化もさることながら、この塩の供給その他のミネラル資源の確保という点から、わが国の海水淡水化並びに海水の総合利用というものが大きく進展していかなければならないと思います。  いずれにしても、わが国の水の総合利用のいろいろな技術的なやり方、その他を見ておりますと、先ほど申しましたように、何か一本くぎが欠けている。何かわが国のほんとうのいろいろな天然条件、河川の自然条件、天然資源としての水の利用というものを忘れた方向に進んでいるような気がしてなりません。こういう意味で、水資源に対する技術研究の一つの転換期に到来しているような感じを受けているのであります。委員会のしかるべき御配慮をひとつお願いする次第でございます。
  14. 岡良一

    岡委員長 以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。     —————————————
  15. 岡良一

    岡委員長 御質疑があったらお願いします。——それでは、この際、私から若干お尋ねをいたしたいと思います。  新沢参考人菅谷参考人からは、特にわが国の現在のいろいろな矛盾を指摘され、また御自身のオリジナルな独創的な構想を御発表になりましたが、そうした合理的な科学的な水資源確保がなぜ一体日本でできないのか。どこにできない根本の原因があるか。その点率直に両参考人から御意見を聞かしていただきたいと思います。
  16. 新沢嘉芽統

    新沢参考人 東京の問題に限って言いますと、私なんかの感じでは、大体いい方向にいっていると思っております。できないというふうに見ておりません。  ただ、長期対策でありますと、沼田ダムというものに対して政府はおそれておって、真剣には取り組もうとしているのでしょうけれども、表面には出さない。東京都は、何か国全体の利根川利用の中に自分たちがはめ込まれて、いままでのような、小河内ダムをつくって自分たちだけで独自にやるというものがなくなったことに対して不安を持っております。それで笛吹川とか、そういう小さな、私なんかから見れば、極端に申しますと無意味計画を、自分だけでできるということでもって立てるというようなことで、水のコストを高めようとしているという面がありますが、利根川東京都の関係につきましては、あと残るところは沼田ダム建設ということであろうと思っておりまして、大体うまくいく。  もう一つ、さっき利根川から余剰水をとると申しましたが、これは緊急対策の問題でありまして、数年で解消する問題でありますが、やはり緊急対策はここ数年が問題ですから重要ですが、それに対して、たくさんの官庁で集まってものを考えられるということはけっこうなんですけれども、何かピンチを切り抜けるという考え方からするともの足らないものがある、あらゆる状況をよく検討していないんじゃないかという技術的な欠陥があるということを申し上げたわけでありまして、利根川開発というものについては大体において軌道に乗っている、それをただ注意深くわれわれは外からアドバイスすべきであるというように私は考えております。
  17. 菅谷重二

    菅谷参考人 たぶん昭和三十年だと思いましたが、私は利根川の総合利水計画の構想というものを企画庁から頼まれまして、私が長年研究していたものをまとめまして提出したことがございます。それにも十分書いておきましたのですが、わが国では広域利水ということが全く考えられていないし、また考えようともしないこと、もう一つは、水政の一元化ということを申しますけれども、とうてい望み得ない状態が長年続いてきたし、今後も続くであろうということ、この二つが私は日本の国のあらゆる水利用の問題の障害になっていると思います。  例をあげることは、はなはだ差しつかえがありますが、たとえば水資源開発公団をつくりましても、単に水資源開発公団に仕事をさせる、その仕事を考えるのが行政官庁のやる仕事だというようなものの考え方で、しかも、水資源開発公団が野方団に自分たちでオリジナリティーを出して仕事をすることを防ぐために、水資源開発公団の担当する河川をきめるという非常な多くのワクをかけた、その事実からも、こういうことがうかがわれるのであります。  先ほど申しました広域利水の問題も、東京都のような大きな都市になりますと、これは自分の行政区域内の水だけでは足らないことは当然でございますし、また東京に限らず、少なくとも今世紀の終わりになりましたら関東の人口は私は四千万になるだろうというぐあいに考えております。そういう将来のことを考えました場合、水源県とか利用県ということや、厚生省だとか建設省だとか農林省だとか、そういうことでこの多くの人間と、その人間の生活の根拠になりますいろいろな生産設備、都市用水をまかなっていくようなことはとうていできないと思います。ですから、いち早くわが国には広域利水、要するにたくさんの河川を集めて、その水を一元化してだれかが管理し、それができるだけ安いコストで早くみんなの手に渡るように考え方を立てる、こういうことに取りかからなければならないと思います。  もし日本の国の水の総合利用を妨げていることがあるとすれば、いま申したようなそういう思想の欠除ではなかろうかと考えております。
  18. 岡良一

    岡委員長 ありがとうございました。  それでは、環境衛生局長にお伺いします。  ことしもまた夏場は水が少ないであろうという予想が出ておるようです。特に東日本においては顕著で、たしか三十七年でございましたか、九月は平年度二百二十ミリ程度の降雨があったのが、四ミリ程度という異常渇水が出て、住民も困惑し、産業も非常な迷惑をこうむったように思います。ことしもいろいろな当面の対策だけは整えられたようですが、水資源の確保については、こうした東日本の水が少ないという予報に対して、十分な施策が講ぜられてありますか。
  19. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 東京都を例にとってみますと、けさ七時の貯水量は約五千二百万トンに達しております。昨年の今日が四千七百万トンでございますから、昨年に比べますと五百万トン程度はふえております。  そこで、ことしの見通しでございますが、ことしの気象庁の長期予報によりますと、ことしは雨量は必ずしも多くないという予報でございますし、また従来の経験に徴しましても、かなりきびしい予想を立てる必要がございますので、東京都は、第一グループと申しまして、過去水道の歴史始まって以来の記録の中で最も雨量の少なかった五年間平均雨量をとりまして、それを想定のもとに今後の水の計画を立てております。それによりますと、きょう今日五千万トンをこえておれば、ことしの憂は過去の最低の雨量のグループに属する雨量でありましても、現在以上に給水制限をしなくても乗り切れる、かような見通しでございます。  それは、昨年に比べまして五百万トン多いということのほかに、先ほど来いろいろお話のありました利根川からの給水が一日平均九十万トンとれますので、これが昨年に比べれば完全にプラスの条件であるのが一つと、いま一つ、昨年非常に東京都が困りましたのは、江東方面は荒川から相当量の水を取っておりましても、そうとった水を新宿あるいは世田谷というような方面に回す水路が非常に管が細かったわけでありますが、昨年来突貫工事で水路を太くいたしております。したがいまして、江東方面で取りました水をかなり大量に東京都の西のほうに回せるということから、昨年に比べてかなり条件がよくなっておりまして、その意味でことしの夏は昨年のようなはなはだしい水不足にならないで乗り切れるであろう、かような見通しでございます。  なお、神奈川県の貯水は主として相模湖によっておるわけでありまして相模湖も一時かなりな水不足状態になりましたけれども、相模湖の雨の集まる地域の広さは小河内に比べてはるかに広いために、同じ雨が降りましてもかなり大量たまるわけでございまして、最近では相模湖の水は非常に大量たまっております。したがいまして、神奈川県系統では水不足は来たさないであろう、かような見通しでございます。
  20. 岡良一

    岡委員長 いまの環境衛生局長の御説明でございますが、これに対して、あるいは新沢参考人なり菅谷参考人の御意見がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  21. 菅谷重二

    菅谷参考人 私は地球物理学者で、雨の統計のことはいろいろやっておりますが、雨はいろいろな同期がございまして、十年とも十三年ともいう大周期と、六年くらいの小周期と、いろいろございます。ここ数年来は、雨の量がだんだん少なくなっておる周期に相当しております。もちろんその間でも多少の出入りはございますが、大体雨の少なくなる周期に相当している。そういうことはいまさらわかったことではなくて、ずっと前からわかっていることであります。  ですから、水道局でもそういう雨の少ないグループの年としてその対策を考えているということでございましたが、雨の多い周期でも、単に水があるとかないとかいうことではなしに、ダム、貯水池の管理、この不手ぎわのために非常にたくさんの水をむだに流していたのがいままでの東京水不足の原因だと思います。ですから、いろいろな応急対策を講じられておりますが、もっとわかりやすく都民に実情を知らせる、そしてわれわれは現在こういう対策をしている、それでもなおかつ悪いところもあるかもしれないから、これをひとつ都民の皆さまから指摘していただきたいというような、相当謙虚な気持ちでものを考えていただかなければ、東京水不足はことしはだいじょうぶだなどと言われても、とうてい都民は信頼できないと私は思います。私は相当疑問に思っております。また当然来るだろう、来たら、また冬になれば忘れるだろう、また来年はそういう問題を起こすだろう。  そこで、先ほどの新沢参考人の申しましたことをもう一度繰り返したいのであります。これは荒川の水をポンプで揚げなければ朝霞に行かないのでありますが、同じ荒川に入る水を一部——これは入間川という川がございます。この川の水を導水路で引けば、村山、山口の貯水池に自然落差で入るのであります。そういうことを私は昔から指摘しているのでありますが、そういうことはさらに行なわれない。それから、たとえば小河内という大きなダムがありながら、同じ相模川の水を金を出して買ってきているわけでありますから、相模川の水を東京利用することは本質的には変わらないのであります。この相模川の支流に葛川という川がございます。この川の水は、わずか四キロぐらいのトンネルを掘りますと、小河内の貯水池に入るのであります。これは非常なわずかな金で、おそらくこれは神奈川県へ一年間に払う水代でそのトンネルができると思います。それと同じようなことは、日原川という川の水を小河内へ入れることでも起きますし、また、先ほど申しました荒川の支流の川の水をトンネルで引いてきても小河内へ入れることができるのであります。  そういうやって効果のあることと、やってあまり効果のないことと、この区別をつけないで、何かやみくもにやっているというような感じを受けるのでありまして、こういうことを改めないうちは、私はとうてい都民の信頼をかちうることはできないと思います。  私自身も長年、水のことに関与しておりまして、多くのアドバイスその他の勧告等をいたしておりますが、現在では、はなはだ申しわけないが、さじを投げた形であります。そういうことですから、もう一段の努力をなさらなければ水不足は解消されないというぐあいに断言してはばからない次第であります。
  22. 新沢嘉芽統

    新沢参考人 昨年のいまごろの状況と現在の状況を比べますと、少しよいということは確かだと思います。  それから、昨年のような状況が今後生じたらどうなるかということになりますと、やはり水圧などの問題で相当深刻な地域が出るのじゃないかという不安を持っております。その点はともかくとして、先ほど申しました一点を早急にやっていただきたいと思うのは、つまり水路のような工事というものは、結局用地買収でもってなかなか難航するのですが、用地買収ができてしまえば、あとは金の問題で、短期間にできるわけで、これは昨年やられた例でわかるのであります。つまり朝霞から東村山、それから山口、村山両貯水池に対して、荒川から二十トン程度の水がとれるように早急にやるべきだ。ということは、いま小河内と村山、山口の両貯水池を合わせますと、二億二、三千万トンのキャパシティーがあるわけです。だのに、いまのお話だと、五千万トンたまったというわけなんですね。四分の一なんです。つまりあとは遊んでいるわけです。こういうことではいけない。やればできることをやらないでいる。しかも、荒川からとった水を——荒川の水は変動するわけですが、それなのに、ベースにそれを使って、あとをいわゆる既設の貯水池で補うという短見者流の考え方は、非常にこそくだと思うのです。変動する流量の大きいものをため込めるようになっているのですから、そのわずかなところを管を太くする、二本を三本にすることをなぜ急速にやられないのかということが疑問に思います。  もう一つは需要の面です。これは、農業水利専門家ですから、そういうことに立ち入るのはちょっと違っているかもしれませんが、しろうとの感想としてお聞き取り願いたいのであります。これは需要の伸びが非常に急激でありますから、それに追いつかないわけであります。  そこで、需要の伸びは何によって生じているかということを考えてみますと、一般家庭で使われているものは日常百万トンをちょっとこえている程度だろうと思います。ということは、要するに給水管のある戸数を数えればすぐわかると思います。ところが、マキシマムにおいてどれだけ水を供給しているかというと三百万トンであります。つまり二百万トンというものは一般家庭とは関連のないところで使われている。ですから、水を節約させるのを、一般家庭で節約させるような考え方で給水管のバルブを締めて圧力を低下さして、そうして一般家庭に非常な苦労をかけておる。しかも、大きなものはじゃんじゃん水を使っている。こういうことをやったところで、需要は減るわけはないのであります。やはり二百万トンを使っている大口の消費者に節約させる以外にはないわけです。  そこで、それをどうやって節約させるかということになりますと、それは非常にむずかしいのですが、やはり需要は価格によって変わるものでありますから、価格政策によってそれを変えていくよりしようがない。そうなりますと、やはりそういう営業用であるとか、工場に使っているとか、私のおる東大なんていうのは非常に乱費しておりますが、そういうところが使いたくないくらい高くする。そして一般家庭の値上げを最小限度にとどめる。つまり人件費の値上がり程度にとどめるということで市民の協力を仰ぐべきである。  ところが、料金値上げを見ますと、確かにそういう大口は高くする。率は高いようになっておりますが、せいぜい二倍であります。ところが一般住民は四0%程度であります。こういうことではいけないので、これはただ料金が高いとか安いとかいうことではなく、家計に響くとか響かぬとかいうことではなくて、つまり市民の協力を得るということと、需要がむやみやたらに伸びることを押えるという意味で、料金の差をうんとつける必要があると思っております。  もう一つ、またそれはどういう理論的根拠かと申しますと、需要の伸びが参りますと新規開発が必要であります。新規開発というものは金がかかるわけであります。金のかかった水を新しい需要の伸びによって買わせる。つまり高い価格で買わせるというのは、給供側から見ても理に合ったことであると思います。
  23. 岡良一

    岡委員長 参考人の方々の御意見を承って感ずることですが、水資源の不足は産業にも国民生活にも一番大きな災害といわなければならない。  これについては、やはり科学技術庁としても、研究調整局あたりで調査費を支出しながら、長期の展望に立って各省庁の協力の中で計画を進めておる、そのための基礎的な研究なり調査をやっておられると思うが、水の問題は現在研究調整局としては取り扱っておられますか。
  24. 福沢久勝

    ○福沢説明員 防災センターでは、防災科学技術に関する研究を行なっているわけでございまして、防災という立場から、たとえば水害防止という問題が主体になっておるわけでございますが、治水の問題と利水の問題はうらはらの問題でございまして、たとえば降雨量、降雪量から河川流量、これは洪水流量ばかりでなく、渇水の流量も含めまして、そういったものを算出する方法の研究を進めておるわけでございます。現在特別研究としまして、プロセスモデルの研究というものをやっておるのでございまして、これがそれに当たるわけでございまして、洪水研究用のシュミレーターをつくりまして、それで先ほど申しました河川流量を算出する方法の研究を進めておるわけでございます。  それから、これは特別研究調整費による研究でございますが、有明海北岸低地の水害防止の研究と、そういった問題で土地利用と水の問題とを含めた総合研究をやっておるわけでございます。  以上でございます。
  25. 岡良一

    岡委員長 纐纈政務次官にお尋ねしますが、こうして防災科学センターはおおむね水があり余ったときの対策ということが研究の中心であります。ところが、現実には水が足りない。いかにして水資源を確保するかということが問題になってきた。ところが、実際の施策はそれぞれの自治体の関係、水に伴う長い伝統的な水利関係、あるいはまた各省庁のセクト、こういうようなものによって、長期にわたる、しかも合理的、科学的な対策の確立に対する用意が十分政府に整えられておらないという感じをきょう受けたわけであります。これについては、やはりせっかく防災センターもでき、研究調整局もあって、その任務に携わっておられるので、自後水資源の確保についてやはり真剣に取っ組んでいただいて、各省庁、各関係都道府県の協力を得つつ、長期の展望に立った水のための政策を立てるべきではないか、こう思うが、どういう見解でしょう。
  26. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 本日は、水資源利用につきまして参考人の皆さんから非常に有意義な御意見を賜わりまして、参考になりました。  実は、防災センター等におきましても、洪水に対します災害の研究というものが中心になっておるようでございますけれども、やはり水が足らぬということも一つの災害でございまして、ことに今後わが国産業発展のために、また人口増加というような問題につきましても、この水が足らぬということは、将来でなく現実の問題として皆さまに御迷惑をかけておるような状態でございますので、ただいま委員長の申されました長期的な見通しの対策も、科学技術の観点からいたしまして、関係各省庁とも十分の連絡をとりまして、いわゆる災害というようなものの意味をもう少し広く扱って、そういう中におきまして特段の研究を進めていきたいと思います。
  27. 岡良一

    岡委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  28. 岡良一

    岡委員長 参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。      ————◇—————
  29. 岡良一

    岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  明五月二十七日木曜日午前十時より、核実験に伴う放射能に関する問題調査のため、東京教育大学教授三宅泰雄君を、また、午前十一時より、防災科学に関する問題調査のため、東京大学教授戸刈義次君を参考人として招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 岡良一

    岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明五月二十七日木曜日午前九時三十分より理事会、十時より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会