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村田政府委員 船価の三十六億円というものの妥当性についてでございますが、前にも二度御
説明申し上げたかと記憶いたしますが、約六千総トンの海洋観測船が
原子炉を含めてどのくらいの
価格でできるだろうかという点につきましては、
先生ただいま御指摘の
原子力船研究協会当時からいろいろと国の委託費で試
設計を行なったりいたし永して、専門家の
意見を聞きまして検討していただいてきておりましたが、昭和三十六年に
原子力船専門部会というものを
原子力委員会に置きまして、具体的にわが国として
原子力第一船を建造する計画そのものを御検討いただきました。三十七年の六月まで一年余り御検討いただいたわけでありますが、その際にもさらに専門家の
方々に
お願いしまして、一応の基本的な要目に基づき
船価をはじいていただいたわけでございます。そのときに
原子力委員会に出てまいりました答申では、
船価はいろいろ炉まわり等の
設計の詳細によって違ってはくるが、大体三十億五千万円から三十四億五千万円くらいの間であろう、このような答申が出てまいっておったと記憶いたしております。そこで、この専門部会の答申に基づきまして、第一船の計画を
原子力委員会で御検討になり、その結果がただいまの
事業団法の成立、
事業団による第一船の建造というふうに進んでまいったわけでございますが、
事業団に話がいきますときには、大体三十四億五千万円という
船価を一応の基礎といたしまして、総
事業費六十億円というものをはじいておったわけでございます。
事業団が成立いたしましてからは、これは
甘利専務理事からも後ほど御
説明があるかと思いますが、三十九年度の予算に関連しまして、
事業団から
船価の
見積もりをあらためてお出しいただきまして、その線に沿って大蔵省と折衝いたしました結果、現在ここにございますような三十六億円という一応の
見積もりが出てきたわけでございます。もちろんこの三十六億円の内訳としまして、船体が幾ら、機関が大体どのくらい、
原子炉まわりがどのくらいということは
見積もりいたしてあるわけでございますし、当然のことながら、これを受注いたしましました
会社側の
利益といいますか、妥当な
利益というものも見込みまして、大体三十六億くらいのところでおかしなものではないだろう、こういう判断によりまして今日の
船価が一応計上された、こういうことでございます。
先ほど
サバンナ号の
お話がございました。確かに
サバンナ号の場合は、当初計画から比べまして非常に大幅に
船価が上がっております。このようなことが
日本の第一船に絶対にないか、こう言われますと、それは私はあながちそうは言い切れないものではないかと思います。たとえば、先ほど申し上げましたが、これから
安全審査を行ないまして、
安全審査の際の
条件等がもしございますと、その
条件を満たすための新たなる支出もございましょうし、あるいは建造の途中におきましても、重要なる
設計の変更ということも、その後の実験
開発等によりましては出てくるかもしれません。そういった点は、またあらためて
安全審査を受けましてそのように変えていく。こういうものはまた新たなお金を必要とするわけでございますけれ
ども、それがどのようなものであるかということは、ただいまの
段階では全然わからない
要素でございまして、今後はっきりしてまいりますにつれて
考えてまいらなければならないと思っております。サバンナの場合につきましても、いろいろ
要素はございますが、私
どもの
承知している範囲でも、たとえば制御系の問題で大幅の改造を行なっております。こういった問題は当初の
船価に当然見込んでございませんので、新たなる支出を必要とする。試運転な
ども、御指摘のとおり何十回もやるとは思っていなかったと思うのですが、そういうことが必要になれば
船価にそれだけのはね返りがある、こういうのが事実であろうと思います。私
どもの場合は、幸いにしてこのサバンナのアメリカにおける
経験ということもございますけれ
ども、これらの情報も漸次入ってきておりますので、そういったものを十分
参考にしてできるだけ円滑にやっていきたい、このように
考えております。
それから、
民間出資の問題でございますが、昭和三十七年の米に、
原子力船開発事業団を設立するにつきまして
事業計画をつくりまして、これは当時
船価三十四億五千万ですか、これを含め総額六十億ということで大蔵省といろいろ折衝いたしました。その際に、この
事業団は
政府、
民間の総合的な
協力によってつくる、そういう趣旨から
民間出資も入れた特殊法人である、このたてまえで折衝いたしたわけでございます。法律もそのようになっておるのですが、そこで、当初
原子力船を実際に建造してまいることについて非常に積極的な意欲を持たれ、折衝してこられておりました
造船工業会のほうでも、
民間出資のことについてはある程度のことはこれを持っていかなければならぬということで、いろいろ役所のほうにも
お話があったわけでございます。そのころのことは担当者もかわっておりますのでなんでございますが、私
ども聞いておりますのでは、たとえば総額の一〇%から十数%というようなものは
民間で持っていかなければならぬだろう、こういう話があったと聞いておるのでありますが、実際に大蔵当局との
交渉の
段階におきまして、これは当特大臣折衝まで持ち上がったわけでございますが、大蔵省側としましては、新しい特殊法人というものが続々できていくという一般的傾向に対処しまして、必要不可欠のもの、しかも
民間との
協力ということが非常に重要なもの、そういったようなものに限って認めていく、こういう方針もあったようでございまして、そういった点から話し合いの結果、総額の四分の一、二、五%を
民間出資をもって充てることに努力する、このような了解線で一応
事業団設立を見るような経緯があったわけでございます。最初の、昭和三十八年八月に設立しましたが、そのときの予算は総額一億五千万円でございましたが、そのうちの三分の一、五千万円を民側が出資され、三十九年度、今年度は
民間出資約一億七百万でございましたが、先般御報告ございましたところでは、約九千九百万程度の
民間出資をもって充てられたと聞いております。
しからば今後このような割合でいけるかどうかということでございますが、この点につきましてはただいま
事業団からもいろいろ御相談がございます。
造船、工業会のほうからも御相談がございます。せっかく運輸省とも協議いたしまして、いろいろと
考えておるところでございます。