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1965-02-17 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十七日(水曜日)    午後一時三十四分開議  出席委員    委員長 岡 良一君    理事 佐々木義武君 理事 中曽根康弘君    理事 田中 武夫君 理事 原   茂君    理事 三木 喜夫君       秋田 大助君    小沢 辰男君      小宮山重四郎君    坂田 英一君       田川 誠一君    野呂 恭一君       山内  広君  出席国務大臣         国 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君  委員外出席者         宇宙開発推進本         部長      高木  昇君         参  考  人         (経済団体連合         会宇宙平和利用         特別委員会委員         長)      大屋  敦君         参  考  人         (東京大学教         授)      谷  一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(宇宙開発に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 岡良一

    岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  宇宙開発に関する問題調査のため、本日、経済団体連合会宇宙平和利用特別委員会委員長大屋敦君、東京大学教授谷一郎君を参考人として意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡良一

    岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  4. 岡良一

    岡委員長 この際、参考人各位一言あいさつを申し上げます。  本日は、まことに御多用のところ、本委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございました。  御存じのように、世界宇宙開発発展はまことに目ざましいものがあります。気象衛星通信衛星に見られますように、いまや宇宙開発成果はすでに実用化段階にまで達したのであります。  この世界趨勢に比べ、わが国のこの分野における予算あるいは施設の規模等はきわめて小さいものでございますが、この限られた条件の中で先進国に伍していくためには、その開発体制を整備強化しなければならないことはもちろんでございますが、総合的かつ能率的な宇宙開発計画の策定こそ喫緊の要務であろうかと存ぜられます。  そこで、本日は、高木宇宙開発推進本部長よりまず説明を聴取し、次に谷参考人大屋参考人のお二人から参考意見を聴取するのでありまするが、どうか、宇宙開発を総合的、効率的に推進するという立場から、それぞれの忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いを申し上げます。  それでは高木宇宙開発推進本部長よりお願いいたします。
  5. 高木昇

    高木説明員 ただいま御紹介にあずかりました高木でございます。昨年十二月三日に、はからずも御推薦いただきまして、推進本部長に任命されましたものでございます。  任につきましてからまだ時間もそれほどたっておりません。したがいまして、十分な御説明をできるかどうか、はなはだ危ぶまれますが、私といたしまして、本部をながめて、こういうことを続けていきたいということを御説明申し上げます。  本部ができましてからまだ日も早々でございまして、昨年度予算を十分に拝見いたしましたし、また四十年度予算の動きも拝見いたしまして、すでに長官から御説明がありましたように、今後まず早急に解決しなくちゃならないことは、気象ロケット、これをぜひ完成する。続いて、でき得れば実用衛星を国の施策としてなるべく早くまとめるように、こういうことでございます。  そこで、本部といたしましては、三十九年来の実績を慎重に私検討中でございますが、その線に沿ってこれをまとめますようにいま立案をしておる状況でございます。  つきましては、このロケット——ロケットばかりでなく、それに関連する産業あるいは工学が非常に広いものでございます。私一人ではとうてい適切な判断ができないことをおそれまして、本部の中に、まだ仮称でございますが、技術部会のようなものを設けまして、それに学識経験者あるいは大学関係研究者、そういう方にお集まりいただきまして、また各省庁のそれぞれの御専門分野の方にもお集まりいただきまして、まず各省庁のいろいろな計画を持ち寄りまして、そこの企画を相互に出し合いまして、具体的に有効的に進めるにはどうしたらいいか、それのお世話役本部長としてさしていただきたい。そろそろ緒についたところでございます。もちろん、全体としてそれを推進するには、在来宇宙開発審議会というものがございます。それにかけまして、やはりまた高い次元で御判断をいただかなければならないと思います。とりあえずは技術的に十分これを練らなければならない、こう考えまして、それを進める予定にいたしておるのでございます。  大学との関係は、私が兼任ということで一つ接触点ができましたので、大学——これは東大はもちろんでございますが、東大ばかりでなく、現在国立研究所方々も、あるいは私的な研究者方々も、いろいろ参加していただいておりますので、そういう方々ともよく企画を出し合いまして、できれば国として重複しないで有効に国費が使えるように、そう考えて進めておりますので、この点も御了承願いたいと思います。  ただ、まだ時間が十分たっておりませんので、たったいまどんなふうに進んでおるかということについては、もう少し時間をかしていただきたいと考えております。
  6. 岡良一

    岡委員長 次に、谷参考人にお願いいたします。
  7. 谷一郎

    谷参考人 ただいま御紹介にあずかりました東京大学宇宙航空研究所の谷でございます。  わが国における宇宙開発方向につきましては、宇宙開発審議会答申に述べられているものがありまして、私としましても、大体においてそれに同感でございます。特に昭和三十九年二月諮問第三号に対する答申においては、五年間に達成すべき重点目標として、人工衛星開発製作気象等実用化ロケット早期開発ロケット能力涵養、他国の衛星による宇宙利用技術開発観測ロケットによる宇宙科学研究各種観測計測機器開発、こういう六項目が掲げられておりますことは御承知のとおりであります。  ただ、この中で人工衛星開発製作と申しますのは、人工衛星を国内で開発製作しまして、場合によっては外国ロケットを使って短期間内に打ち上げることを考慮すべきであるというだけのものでありまして、最近東京大学宇宙航空研究所の中の研究グループ計画しているような科学人工衛星、または愛知科学技術庁長官所信表明で明らかにされたような実用人工衛星のように、これを打ち上げるロケットまで含めてわが国開発製作しようと考えたものではございません。つまり、いま申しましたような、最近話題になっております人工衛星計画は、宇宙開発審議会具体的目標として答申されたとおりのものではないので、それからの自然な発展として、しかも、宇宙科学研究ロケット能力涵養などのほかの重点目標の達成も兼ねて醸成されたものといえるように思います。このことは、きわめて進歩の早い宇宙開発の過程として当然のことでありますし、私たち宇宙航空科学研究に携わる者としてまことにけっこうなことと考える次第であります。  ただしかし、この科学衛星実用衛星とは、その目的とするところがかなり異なったものでありまして、これを比較評価することは不可能であります。  東大科学衛星計画は、国際地球観測年以来の観測ロケット技術の延長として立てられたものでありまして、宇宙空間自然現象観測目的としております。そういう意味で、この衛星の軌道にある幅の誤差が許されますから、ロケットには観測ロケットとして開発されてきた固体燃料によるものを使い、最小限度に必要な姿勢制御を行なうものであります。こういうわけでありますから、比較的に短い期間人工衛星を打ち上げる体制ができるのではないかと思われます。  一方、科学技術庁実用人工衛星は、気象衛星通信衛星などの実用化段階に達した世界趨勢に対処して計画されたもので、昭和四十五年度に打ち上げることが目標とされております。私あまり詳細なことは存じませんが、この計画においては、固体燃料ロケットでなしに液体燃料を使うロケットが使われるように聞いております。この液体燃料ロケットは、わが国としては新しくこれから開発されなければならないものであります。液体燃料ロケット固体燃料のものに比べて非常に複雑でありますけれども、そのかわり比推力というような性能が一般に高く、しかも精密にコントロールすることができる点ですぐれておると思います。科学技術庁衛星計画にこの液体燃料ロケット開発が織り込まれておりますのは、一つには実用衛星としての使命を達成するために必要であるのと、もう一つには、将来の利用あるいは工業界への寄与というようなことに考慮が払われたためではないかと推察されます。ただ、外国の例などから考えまして、液体燃料ロケット開発には少なからぬ年月を要するものと思われますので、計画どおりの時期に打ち上げの体制が整うであろうかどうか疑問に思われるのでございます。  そこで、もしわが国として一日も早く人工衛星を上げることが望ましいとするならば、液体燃料ロケットを使うことは避けるべきであろうと思います。しかしまた、そうではなくて、終局において実用人工衛星の実現というものがぜひ望ましいならば、それはその固体燃料ロケットと最小限の姿勢制御を行なうという簡単な東京大学計画だけでは不十分でありまして、それと、それにつけ加える計画、たとえばそれと並行に液体燃料ロケット開発を進めるというようなことが必要ではないかと思われます。  こういうことを申しましたのは、つまり、二つ計画がこのように目的が違っておりまして、性格も全く違っております。こういう二つのものを同じ基準で評価する、比べるということは不可能だということを申し上げたかったからであります。私としましては、もしできることならば、この二つ計画をあわせて取り上げていただきたいと思うのでありますが、もし二者択一ということであるならば、それは政府においてこれを決定すべきものであると思います。二つ計画の特徴とするところは、いま私が申し上げたほかにもまだいろいろ数えられると思います。そういういろいろの点を十分に調査、参照された上で政府としての方針によって採択されるのが妥当ではないかと考えます。  次に、そのようにして方針が決定されましたならば、たとえば字再開発審議会のような組織に、その採択された計画細部立案実行方法まで含めて諮問されるのが適当ではないかと思うのであります。これは計画推進になるべく多くの関係者意見が反映し、多くの人が納得できる形で行なわれることが望ましいと思われるからであります。  人工衛星計画の遂行は、わが国の持つ科学技術、資金、いろいろの面を総合的かつ効率的に活用することによって初めて可能と思われますので、各省庁の区画に、セクショナリズムにとらわれない理想的な実行組織が考えられなければならないと思います。かりに東京大学科学衛星計画が採択されるとしましても、それは東大だけでできることではありませんで、多くの関係機関協力をまたなければなりません。しかも、大学研究室機構は、大規模開発事業を遂行するのに、少なくとも現在の形のままでは適当でない面を持っております。従来の観測ロケット計画でさえ、打ち上げるための要員などきわめて不十分でありまして、いろいろ大学としては算段を重ねているのであります。こういう無理は短い期間ならばよろしゅうございますが、あまり長い期間にわたって継続いたしますと、その結果、大学でなければできないような種類のほかの研究活動大学研究することが当然期待されるようなほかの研究活動に何か影響があらわれるのではないか、そういうおそれがございます。人工衛星計画にあたっては、いまのは一例でございますが、たとえばこのような点まで十分に考える必要があると思います。  なお、先ほどちょっと触れましたが、宇宙開発審議会は、各省庁に分かれておりますところの宇宙開発関係のいろいろの機関、こういうものを連係する中枢の組織として、ますますその重要性が認識されなければならないと思います。従来のいささか微温的な性格に対しては失望と不満の声も聞こえておりますので、これがその使命にふさわしいような形に改善されることを願ってやみません。  いまさら申すまでもございませんが、宇宙開発は、非常に広い範囲科学技術の前線の開拓と総合化にまたなければならないものであります。宇宙開発に参加しております世界の国々は、平時経済ピースタイム経済のもとに研究開発を急速に促進し、それぞれの国の科学技術の水準を高めつつあります。こういうことは、従来は戦争がなければ絶体に達成されなかったような発展であると思います。しかも、この平時における科学技術進歩の価値は、それが直ちに国民の福祉と経済に反映するものでありますから、わが国としても、格段の努力を傾注して、この宇宙開発の促進をはかるようになってほしいということを希望しております。  一言所信を述べてごあいさつといたします。
  8. 岡良一

    岡委員長 次に、大屋参考人にお願いいたします。
  9. 大屋敦

    大屋参考人 私は経団連宇宙平和利用委員長をやっておりますけれども、専門家ではありませんので、私の申し上げたいことはお二方がもうすでに大体触れておられるように思いますので、もう少し別の見地から宇宙開発というものについての私の意見を申し上げたいと思うのであります。  ちょうど一年ほど前と思いますが、ここで私が参考人として呼ばれまして、当時宇宙開発審議会委員でもありましたものでございますから、宇宙開発審議会が内閣の諮問に対する答申が非常におくれて一年もかかって、三十九年度の予算の大体きまったころに初めて総理大臣諮問に対する答申を出したというような不手ぎわがあったことにつきまして、今日の委員長の岡さんからえらいしかられたことを私記憶しておるのであります。それほど宇宙開発というものについての考え方が、まあ認識とでも申しますか、まだはっきりすることがむずかしい時代であったのでありまして、その時代がいまも続いておるのであります。  その答申の主眼は、いまお話のありましたとおり、やはり日本の力で人工衛星を上げようじゃないか、またそれに必要な大型のロケット開発もやろうじゃないか、それから実用人工衛星に対する開発も進めよう、科学衛星のことも、また宇宙のいろいろの観測問題等につきましても、大いに国として力を入れようじゃないかというふうな、きわめて普遍的な答申をしたわけであります。いま五年後に人工衛星というお話がありましたけれども、当時も、私の記憶しておるところでは、実は五年という字を使わなかったのでございまして、近い将来というような字で発表したのでありますが、それは、まだ周囲の情勢がどこまでこの問題に協力してくれるかということの見当がまるでつかない時分でありましたから、一例をいえば、予算等につきましても、当時はまあ五年間に三百億円くらい、あるいは五百億円くらいというふうなことで、先の予算も全く見当のつかない時代であったものですから、なるべく近い将来に人工衛星を上げよう、そういうことになっておったのであります。しかし、最近では五年という数字がいつの間にか、まあやや具体的な問題のように取り扱われるようになったのであります。  そのときに一番問題になりましたのは、東大の生技研がやっております現在の内之浦のロケット研究、これはある意味において八、九年前から東大の生技研というものがほとんど独力で、わずかばかりの予算をやりくりして今日までのところ持っていった、この実績については十分尊重しなければいかぬ。それであるから、東大計画というものを、ただ理論的に、これをみな御破算にして一元的な機構にしたほうがいいというふうな議論はやるべきものじゃない、というふうな考えがありまして、当時の審議会委員もみな、現にやっているものは、そのところでやれる限りはやっぱりやらせようじゃないか、しかしながら、目標一元機構にあるんだから、先々はそういう一元機構に統一をすべきものであるけれども、現在のところは、いままでやっているものはそのまま進めたらいいじゃないかというような意見が多数でありました。しかし、それにはまあ条件とでも申しますか、いまもそのことにちょっと触れておられますけれども、大学がやるということにつきましてはおのずから事業限度があるわけでありますから、その限度範囲において大学が現在のロケットの打ち上げというものの研究を大いに推進していく。もっと具体的に申しますと、当時ラムダロケットも打ち上げておられましたけれども、ラムダからミューにまでいくことはどうだろうかというような意見もあったのでありますけれども、せっかく大学が力を入れてやっておられるんだから、ミューロケット研究というものは、従来どおり生技研にやってもらおうじゃないかということになったのでありますが、しかし今後は、それぞれの機関研究成果をみんなお互いに発表交換して、あまり遠くないうちにこれをできるだけ一元的なものに持っていこう、こういうことであったのであります。  何ゆえにその一元的ということがいわれておったかと申しますと、申すまでもなしに、人工衛星というものは国際協力ということが非常に大事でありますし、日本みたいに予算の乏しいところは、ばらばらにやっておるというわけにはいかぬ事情もありますから、その点から考えても、日本宇宙開発というものは一本でいく。具体的にいえば、事業団というふうなものをこしらえたらどうかというふうな説もあったのでありますけれども、いまお話ししましたような、現在の段階では生技研がやっておるあの研究をいくところまでいかせる、それからまた科学技術庁のほうも、研究すべきことがあればそれでもってやらせる、それが適当の時期に一緒になるように、ふだんから目標両方とも了解し合おうじゃないかというようなことであったのであります。これが、どちらも国でやっておるものですから、国の予算ということになれば、自然、大蔵省両方予算を出すということが、大蔵省としていろいろ困るわけでありますので、なかなか予算面でそういう理想論が思うようにいかなかったのが実情であります。  しかし、この二つ研究を、私が仄聞しておるところによりますと、大学のほうはもともとこれは宇宙開発基礎研究でありまして、いまもお話のありましたように、IGY、国際地球観測年というのですか、そういうような国際的の行事に参画しようということが目的で始まったのでありまして、今日に至るまで、あくまで宇宙空間観測ということであったのであります。それで、そのときに私は個人的に、そうむやみに高いところへばかりロケットを打ち上げてもつまらぬじゃないか、やはり究極はもっと広いスペース観測を伸ばすためには人工衛星という問題も考えなければいけないのじゃないか、ロケットの打ち上げだけでは不十分じゃないかというふうなことを、しろうと論を言ったことを記憶しておるのでありますが、いまお話ししましたように、当時としては、大学は一応まっすぐに打ち上げる。当時は高度百キロまで行っておったと思いますが、それが最近のラムダの3型では千キロを越すということになりましたし、ミューまでいけば、一万キロとかあるいは一万五千キロというところまでロケットを打ち上げるということの大体の見通しはつかんだようであります。しかし、それはあくまで垂直の線に沿うての観測でありますから、目的は全く観測だけであります。いま谷参考人から、そういう観測では不十分であるから、ほんとうの精密の人工衛星ではなくとも、その観測を少し広げまして、科学衛星を先にくっつけて、もっと幅広く観測をするというふうにいくべきだというお話がありましたが、それも私まことにごもっともだと思います。ミューロケットを上げる時代には、そのミューロケットを基本にいたしまして、科学衛星を打ち上げる、その科学衛星によってスペースとしての観測をする、こういう御方針は、もしも大学の機能が許せば、そういう方向へ進まれるということは、私は最初審議会での打ち合わせと矛盾をしておるとは思っておりません。  それなら、もうそれだけで日本宇宙開発はいいのかというと、それはだいぶ違うのでありまして、ことしの一月でありますか、もう皆さん御承知と思いますが、ジョンソン大統領宇宙教書というのですか、発表しましたときにも、宇宙征服というものは平和に連なるのだ、それで、この機会に各国がこれに参加してもらうことを大いに歓迎する、こういうことを言っておるのでありまして、宇宙征服という字を使っておりますけれども、宇宙開発というものは、一国の問題じゃなくて、各国がみな協力してやるべきものだというふうにアメリカも自認をしておるのであります。日本のような力の弱いところが、はたしてどこまでお役に立つかわかりませんが、そういう体制にはどうしても入っていかなくちゃならぬ。それから、その体制に入るためには、人工衛星なりロケットに対するいろいろの資材を供給する、あるいは機械、計測器と申しますか、そういうものを供給する日本のメーカーの仕事からいいましても、そういう新しい仕事に移っていってもらわなければならぬ、われわれのほうの仕事を恒久化するという面からいってもそれが希望である、こういうのが経団連のメンバーとしての希望であります。  それで、宇宙開発という広い意味の問題に日本がだんだん参画していくということになりますと、いまお話のあった、ただ宇宙空間観測という問題だけでは済まないのでありまして、いろいろな種類人工実用衛星を打ち上げるという段階にどうしてもなっていく。いまの、たとえばテレビの中継にしましても、アメリカの打ち上げているシンコム衛星を使ってやっておるのでありますが、そういうような通信衛星にしましても、気象衛星にしましても、そのほかいろいろな実用衛星日本としては打ち上げて、そして国際協力に入っていくということになるに違いないと思っておるのであります。そういう場合には、いまの固体燃料を使っているロケットを使っては——これも私は専門家でありませんからわかりませんけれども、アメリカあたりの例から見ましても、むずかしくても人工衛星の進路を精密にコントロールすることのできる液体燃料ロケット開発していく必要が、どうしても当然起こってくるのであります。それで、いま科学技術庁が、小型ではありますが液体燃料の試験もやっておられるようでありますが、そういうものが母体になりまして、日本も相当大きなロケットというものは液体燃料推進するということでなければ、世界宇宙開発のお仲間入りはできぬということがかりに事実であるとするならば、私は、大学にそれまで一緒にやれということは無理でありますから、それはひとつ科学技術庁がやっていこうじゃないかということは、非常にうまく考えた方法であって、片方だけでやらせるというようなことにきめないほうがいいのだ。しかしながら、先は一本になるのだという頭を持っておることは前に申し上げたとおりでありまして、そういう意味合いで、いまの科学技術庁のやっております液体燃料を使っての打ち上げは、ほかにもいろいろ目的はありますけれども、その一事だけを見ましても、そういう研究は等閑視してはいかぬ、こういう考えを持っておるのであります。おそらくいま東大開発しておりますミューであるとかラムダとかいうものと、液体燃料開発したものとをコンバインしまして、そういうコンバインしたものでもって本式の宇宙衛星を打ち上げるということに先々はなるだろうと思っておるのであります。それで私は、国の予算等関係で制約は受けておりますけれども、進み方については、いまの進み方は間違いないんだというふうに信じておるのでございます。  日本宇宙開発というものは、東大がやっておりますいろいろの観測の結果を新聞等で見まして、いかにももう日本宇宙開発世界に誇示すべきものであって、あれだけでもうお仲間入りができるというふうにあまり得意になってはいかぬと思っておりますのは、大体いまアメリカでやっておりますロケットの大きさと、日本でいま試験しておりますロケットの大きさというものは、ほとんどもう問題にならぬほど大きさが違うのであります、これは、高木先生はじめおられるところでそういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、ロケットの大きさにしましても、日本ロケットは、何トンですか、六トンとか七トンとかいうものでありますが、アメリカロケットは六百トンとか、つまり百倍のスケールの大きなものであります。したがって、長さも三倍も長いというふうな巨大なロケットを使っていく状態でありますから、日本宇宙開発というものは、固体燃料を使っての東大研究というものが、即日本としてあれが目標だというふうに考えるのはどうかと思いますので、どうか、先の問題はわかりませんけれども、そういう段階まで日本宇宙開発を持っていくということが、これは国として国際問題から必要であるばかりでなしに、日本の電子工学とでも申しますか——日本の電子工学というのはこれからも非常な大きな将来を持っておるのでありますけれども、日本の電子工学というものを世界並みに持っていこうというのには、やはりそこまで宇宙開発というものを進めてくれなければ、外国とは同じレベルにはいかはい。こういう点から考えましても、いま申し上げましたような、いまの宇宙開発の進め方というものは適当のものである。  今年、政府案は幾らでありますか、二十六億でありましたか二十八億でありましたか、昨年は二十二億でありましたので、関係各省全部合わせまして二十八億とかなんとかという、それでもほかの仕事よりは幾ぶん増加率は高いようでありますが、もう少し日本の財政当局者もその事情をよく了承をしてもらって、そして科学技術庁の考えている宇宙開発というふうなものと並行的に進めていくということが望ましいと思うのであります。  以上でございます。
  10. 岡良一

    岡委員長 以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。     —————————————
  11. 岡良一

    岡委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  12. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 先般、東大宇宙航空研究所において、ラムダ3型2号の発射の成功があったわけであります。国民も非常にこの点については、何といいますか、喜びをもって迎えた。そこで、私は、当時科学技術庁のほうに、東大ロケットを打ち上げたこの成功は、一体どういう点が成功したか、新聞には、あるいは電離層だとか何だとかいろいろ書いてありますが、そういう具体的な点を資料として要求したわけであります。いろいろなことが書いてあるわけです。ロケットに搭載されておる機器、測定の特徴、それから打ち上げ実験の結果。しかし、これをもう少し国民にわかりやすく、われわれしろうとにもわかりやすく、ひとつ説明ができましたら、せっかく高木先生がおいでいただいておりますので、御説明いただきたいということ。  それからもう一つは、いただきました宇宙開発推進本宇宙開発研究委託費及び、試作品費総括表、この資料を見ますと、この研究開発を委託されておる先がいろいろ書いてあります。三菱重工とか、旭化成とか、日本油脂とか、プリンス自動車とか、川崎航空機、松下電器産業、こうなっておるわけなんですが、科学技術庁関係宇宙開発推進本部というものはそれ自体では開発には参加されないのか、こうした委託だけで終わるのかどうかということです。さきがたは、いろいろな技術部を設けて、そこで技術に対するところの考えを出し合い、今後の方法もコントロールしていきながらやっていきたい、こういうお話でしたが、それが第二点。いわゆる推進本部の本来の使命目的ですね。それがどのようになっておるか。  それからもう一つ、私ずっと疑問に思ってきておることがあるのですが、ほかの方もおられますからあとで御質問申し上げることにして、最初高木先生からこの点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  13. 高木昇

    高木説明員 ただいま三木先生からたいへんラムダロケットについておほめのことばをいただきましたが、同時にもう少し内容を詳しく説明して、どの点が成功であったかということでございます。  観測目的は、地球を取り巻く宇宙の様相を直接ロケット観測するわけでございますが、ラムダロケット目標は、地球のまわりに、ちょうど日本の上あたりで千キロメートル以上に放射能帯がございますので、ラムダはその放射能帯まで入って、人間がほんとうに通り得るかどうか、非常に危険な放射能帯の強さ、時々刻々どうなっているかというようなことを調べるためにラムダというものは開発したものでございます。  それより小型のカッパーは、電波を反射する電離層がちょうど百キロメートルから二、三百キロメートルまで分布しておりますが、それを突き抜けてその外側ではどうなるか、こういうふうな目的をもってカッパー・シリーズが開発されておるのでございます。  そこで、どんなものをこれではかったかということは、差し上げました資料に出てございますが、日本としては千キロメートル級までいく観測ロケットはこのラムダで初めてつくられまして、地上からそこまでのいろいろな物理現象をはかりたい。御承知宇宙科学が米ソをもとにして進んでまいりまして、地球ばかりでなく、つまり空気層を抜けてから、いわゆる宇宙は真空でなくて、プラスとマイナスの粒で充満しておる、プラズマというものが宇宙を充満しておるということがわかりました。しかも、太陽から時々刻々非常に激しい放射能の風が吹いてきておる。地球には幸い磁力線、磁場がございます。地球は磁石なものですから、その磁石の作用によりまして、そういう高速の放射能粒子が磁界にとらえられて、日本の上空あたりにはそのまま落っこちてこなくて、むしろ極のほうに曲げられて、そして放射能帯ができる、こういわれております。元来、米ソとも北側に発射点が偏しておりますので、その辺の事情はわかりますが、赤道地帯の観測ロケットというものが現在日本だけでやっておる状況でございますので、やはりどうしても研究方向上、できるだけ高く上げたい、というのが希望でございます。  そこで、時間の関係もありますので、二、三結果だけ申し上げますが、この結果の解析にたいへん時間が要る。そのために前回、局長が十分御説明申し上げられなかったと思いますが、事実そのとおりでありまして、まずロケットを飛ばしたときにレーダーで時々刻々の高さを求めなくちゃなりません。それは実験場できわめてラフにはカーブに書けておりますが、実はそれを一こま一こまフィルムで撮影しておりますので、その何万こまかに相当するこまを焼いてから非常に正確な高さを求めます。それが一カ月ないし現在二カ月ぐらいかかっております。その高さをもとにして、二十五の計測をいたしましたが、そのデータをグラフに書くのにまたかかるというわけで、三カ月ぐらい実際のデータはかかっております。しかし、ロケットを飛ばすと同時に、大ざっぱの高さとそれから記録がずっと出てまいりますので、その記録を見ますと、それぞれが全部とれておったというので、一応観測には成功した、こういうふうに新聞発表になっております。  そこで、どういうものをやったかということでございますが、まず、ずっと日本世界で一応アプリシエートされております電離層の測定、これは毎回続けておりますので、特に取り立てて言うことはございません。それから、千キロメートルの高さに放射能帯がありますから、そこまでにいろいろな強度の宇宙線がございます。その数とか早さとか、そういうものを調べる三種類観測器を載せましたが、日本の上空では、まだ千四十キロメートルではその放射能帯に入っておりません。もうちょっと高いようでございますので、もう少しラムダを強力にして、実際、中に入れるということを次回から考えなくちゃならない。過去二回やりましたが、その非常に強いところの下に静かなところもあるとか少し層があるとかいうのは、日本科学者も理論的に予言しているのでございますが、それを確かめるのも目的で、いま進めておりますが、まだ理論と実験の照合は正しく行なわれておりません。  その次に、超極低周波磁波測定器という、わけのわからないことを書いてありますが、地球のまわりに約地球の半径の十倍ぐらいの空間、これが地球のなわ張りといまいわれております。つまり地球は非常に早い速度で太陽を回っております、そのまわりに空気を引きつけて自分で回りながらこう行っておりますが、先ほど申し上げましたように、宇宙にはプラズマが太陽から降っておりますので、そのプラズマの中を地球が回りながら、空気を引きつけながら走っております。したがって、どこから地球の圏外かというのは、いま地球の半径の大体十倍といっております。そこで、そういう空間がありますと、やはりときどき息をついて振動をしております。その振動がプラズマの振動でありますので、結局電波の振動になりまして、電離層から上へ出てまいりまして、地球の領分の空間のひずみをこれによってはかろう、こういうのでございます。これも実際はかれておりますが、その結果をどう解釈するかはしばらく時間がかかるかと思います。  それから、地球の磁場がずっと外側に延びておりますので、それがほんとうに理論上の延びと正しいかどうかということを調べておりますが、これもずっと進んでおります。  それから、あとは大気光でありますが、太陽の紫外線その他で特別な波長の光が昼間でも出ております。それを電離層を突き抜けてからはかる。  大体以上のような観測ができまして、現在IQSY、太陽の静かな年でありますが、その結果を来年五月ブエノスアイレスにあります宇宙空間研究国際会議に提出する運びになるかと考えております。  本部性格でございますが、設置法上はロケットの設計、試作、あるいは打ち上げ、追跡、そういうようなことが行ない得るようになっておりますが、これは委託もあり、またみずからもできるというふうになっております。現状では本部の中に開発部というのがございまして、若干調査研究ができるような体制になっております。まだ昨年七月出発以来人数も十分でございません。主として委託によりましてまず気象ロケットをまとめ上げる、そういう方向に進んでおります。
  14. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 東大宇宙航空研究所の谷先生がおいでになってありますが、東大として何か特別に宇宙観測の特徴点といいますか、内之浦で打ち上げられたロケットに対していまのほかに補足して御説明していただくことがありましたら承りたいと思います。
  15. 谷一郎

    谷参考人 高木所長の御説明に尽きているように思います。特に私からつけ加えることはございません。
  16. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 非常に俗っぽいことを申し上げて失礼なんですけれども一、いま週刊誌なんかにも、東大の成功のあと特集の記事を載せております。その中にこういうことがあるのです。これは素朴な意見ですが、こういう意見もわれわれとしては知っておく必要があると思うのです。  「ところで両者は、いったい何のために人工衛星を打ち上げようというのか。東大では名目どおり宇宙空間観測用だという。しかし肝心の観測の方では、米ソ両国が、あれだけボカスカ打上げたあとで、日本が独自にやられるものに何があるか、悲観的な見方もある。「まア、低緯度地帯を飛ぶものができれば、放射能帝の観測ぐらいには役立ちそうですが……」と観測陣の方もおぼつかない。  いっぽう科学技術庁の方は「多目的衛星」だという。「多目的とは、実はまだ目的がきまっていないということのお役所的表現さ」という意見もある。通信衛星、航海衛星気象衛星、いろんな案はあるが、まだ何もきまっていない。」  こうなっておるのですね。  そこで、いま目的なり経過を聞きまして、われわれとしましても、これは当然の帰結で、それに成功されることは望ましいことだと思うのですけれども、こういう批評があるのですね。いまさら何を研究するのか、こういう批評はやはり素朴なる意見ですからして、国民の知りたいところでしょうから、これには答えていただきたいと思うのです。こういう週刊誌はずっと行き渡っておりますからね。  御両人にひとつお願いいたします。
  17. 高木昇

    高木説明員 実は、科学衛星につきまして、二、三年前までは確かに日本科学者の中でそういう意見——そういう意見というのは、現在米ソが科学衛星を百個とかあるいは毎年何個とか上げておるのに、さらに日本ではかる何ものがあるだろうか、こういうことは科学者自体が非常に反省をいたしました。そこで、二年前ぐらいから、日本科学衛星を上げたほうがいいかどうか、こういうことの研究班をつくりまして、学術会議とか、学術会議以外に日本地球電気磁気学会とか、いろいろ地球物理、宇宙物理をやっている学会がございますので、その辺でインフォーマルなシンポジウムをつくりましてやりました。その結果、日本科学衛星をやっていいのではないか。その目的は、先ほどちょっと低緯度と書いてございましたが、日本は確かに赤道に近いので、人工衛星を上げますと、赤道のまわりに回るようにどうしてもなります。米ソが上げますと、北にありますので斜めに南北に回る。しかし、どちらもぐるぐる回れば、あるいは何年かは世界じゅうをおおうことになりますが、日本としては地理的に赤道まわりを常時はかる。はかるものは、放射能よりはむしろ低いところをねらっておる。電離層あたりをたんねんに調べたほうがいいのではないか。やはり米ソはどうしても最終目標を月旅行に向けておりますので、科学衛星ではかるものも、たとえば放射能の時々刻々の変化、あるいは太陽から来る軟エックス線の強さ、あるいは途中で隕石がどのくらいあるかということに、どうしても重点が置かれておる。われわれはもっと地球のまわりの数百キロメートルのところを詳細にはかったほうがいいのではないか。こういうふうなことでございますので、それもずいぶん時間をかけて、もし日本でやれるとしたならば、こういう科学衛星をまず最初にやるべきだということに結論が出まして、その共通の基盤に立って、そういう目標で、しからば、現在開発しているミューロケット人工衛星のほうに延長する、科学衛星のほうに延長する、ミューロケットをそちらのほうに延長したらどうだというようなことで、それはまだ先の話でございますし、十分宇宙開発審議会で議論していただく予定でございますが、昨年すでにそういう科学衛星計画宇宙開発審議会で発表しているわけでございます。  次に、実用衛星のほうでございます。実用衛星は、確かに御説のとおり、まだどれというふうにきめてございませんが、しかし、そういうものを将来上げるための基礎開発を進めていこう。実用衛星は常に相手あっての衛星でございまして、科学衛星のように、自分だけで上げて、そして常時科学データを世界に放送するというふうなものでなくて、たとえば通信でいえば通信の相手が必要でございますし、気象衛星というとそれを下で受けてくれる地上局を世界じゅうに配置しなければならぬというふうなわけでございまして、やはり世界の年々の動きと合わせながら実用衛星というものの考え方が変わっていくように思われます。そういうようないきさつでございまして、確かに科学技術庁のほうとしてこういう実用衛星をやるのだというようなことを発表することができませんことは、もう少し時間をかけまして、宇宙開発審議会あたりで多目的のうちのどれをやるのかということがきまれば、その方向に進んでいきたいと考えます。
  18. 谷一郎

    谷参考人 高木教授の説明でもう尽きているように思いますが、私も、いまの御質問に対して、別の面から意見を申し上げたい、お答えしたいと思います。  週刊誌に出ました記事は私たちも読みまして、宇宙科学観測に深い関心を持っている人たちと話し合いました。あの記事はかなり曲げて書いてあるようにも思われます。  まず、いままで東大観測ロケット宇宙科学としてはほとんど何も成果をあげていないというふうに書いてありますが、あれは間違いだろうと思います。現に、国際地球観測年の間の仕事としていろいろの成果があげられまして、それは国際会議その他で発表されております。特に前田教授のグループの気温風の分布は、今日たいていの関係する論文には引用されているように、国際的に認められた成果が、それは一例でございますが、たくさんあがっているように思うのであります。それは間違いであります。  あとの、人工衛星が上がりましてもはかるものがないということは、これは全然ございませんと思います。それは、いまの高木教授の説明にもありましたように、アメリカとソ連の観測目標は、月旅行というような比較的地球から遠いところに重点を置いておりますけれども、地球に近いところにまだいろいろの問題がありまして、ことに日本科学者がある理論を立てて世界をリードしている面もございます。そういうものをやはりみずからの手で調べたいと考えるのは当然のことでございます。  私はこの機会に申し上げたいと思うのですが、日本科学が何か外国の二番せんじのようなことばかりやっているというような批評を聞くことがございます。それは確かにそういう面もございますが、たとえば宇宙科学のような問題にいたしますと、外国ではかられたものが論文になって出てきて、それから日本で取り上げるのでは、どうしても時間的に二番せんじになります。大事なところは、たとえばまずい方法ですでに解かれてしまっている、だからそれをもっと手ぎわよく解くというようなことをやりますと、これは明らかに二番せんじであります。だれもがまだ知らない観測事実を見せられて、それに対する理論をつくるというようなことが外国の人はかなり恵まれているように思うのであります。  一例を申し上げますと、もう十年以上前でございますが、私たちのグループのアメリカの人たちが、物体が熱のために溶けながら飛んでいく問題をやっておりました。それを見たときには、なぜそういう研究をやるのかわれわれにはわからなかったのでありますが、しかし、それがあとで、人工衛星の大気突入のとき、再突入のとき、固まったものが熱で溶けます。その問題をどうやって防ぐかということに関連していることが、実は私たちあとからわかったのです。  もしも日本でそういう計画が実際にありましたら、理論グループもそれをすぐに解くような問題、第一線の研究課題といいますか、そういうものができるのじゃないか。日本の国力から考えまして、すべてのことにそういうことはできないにしましても、日本の理論がわりあいに盛んで、実験のほうがおくれているということは、これはやはり科学の発達として健全でないと思いますので、できるならばそういう機会が科学者のために与えられることを希望しております。
  19. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 なるほど、大気圏、あるいは成層圏、放射能帯をさぐるために東大宇宙航空研究所が三十九年四月、科学技術庁宇宙開発推進本部が三十九年七月に発足して、それぞれの成果科学的におさめている、こういうお話、よくわかりました。  その次に疑問になっておる点ですが、これは先がたから大屋さんのお話でややはっきりしてまいったわけですが、私たちの見ておりますのには、防衛庁はロケット研究をすでにもうかなりの国費を使ってやっております。これは東大やあるいは科学技術庁の使っておる金にとても比すべくもございません。そうしてMAT対戦車誘導弾、それから30型ロケット弾、さらにAAM空対空ミサイル、SAM地対空ミサイル、こういうものの開発まで、もはややっておる。そして前に読み上げました二つは、すでにもう実用段階に入っておる、こういうことなんですね。それを一つ考えにおかなければならぬ。  それから、科学技術庁は、さきがたお話にもありましたように、 三菱、東芝、日立、石川島、日本油脂、松下電器、こういうところへ技術開発を担当させておる。一方東大は、どんどん糸川教授によりましてペンシルロケットから発達して、このたびのような成功をおさめてきておる。  そこで、幸いに科学技術庁宇宙開発推進本部ができたので、やっぱりこうした調整的な、統合的な役所の仕事として、さきがた大屋さんもおっしゃったように、調整的な役割りをしていただかなければならない。これは新聞にも載りまして、私この委員会でも指摘して御質問申し上げたのですが、日本はばらばらである。東大は四十二年に人工衛星を打ち上げる。科学技術庁は四十五年に人工衛星を打ち上げる。片方は固体であり、片方は液体である。ばらばらにやるところに、競合するところに技術進歩があるということも考えられますけれども、国費を効率をあげて使うということにおいては非常に不経済な面が出てきておるのではないか。高木先生のお話では、そういう技術開発を経て、その間に調整していくのだというお話があったのですが、国論として、あるいは世論として、あるいは新聞あたりの先駆的な意見としては、そういう意見があるわけなんです。今後の調整的な考え方、あるいは両者の話し合いの広場をどこへ求めるかというような点について、高木先生に御答弁いただきたい、こう思います。  それから、愛知科学技術庁長官がおいでになっております。愛知さんも今度の所信表明で、宇宙開発にうんと力を入れる、こういうことを表明しておられるわけです。政策として、いわゆる近代科学日本がおくれをとらないようにするということは、これは最も大事なことです。大事なことですけれども、政策として打ち出すときには、いま申し上げたようなことが当然考えられなければならないのではないか。国費を効率をあげて使っていくということの必要を私は感ずるわけなんです。これは大臣からもひとつ御答弁をいただきたい。
  20. 高木昇

    高木説明員 ただいま三木先生からお話がございましたことにつきまして、私からお答え申し上げたいと思います。  私、東大宇宙研でやっておりますが、全国の大学が共同利用でやっておりますし、東大はもちろん科学のためにやっておりますので、完全に平和利用ということに徹しておるわけでございます。また、科学技術庁のほうも平和利用ということになっております。したがいまして、私が本部長を兼任をするときの条件といっては、はなはだなんでございますけれども、東大全体あるいは学術会議全体が、私が本部長を兼任する前提といたしまして、科学の探究であるとか、あるいは科学技術庁分野においても平和利用ということに徹しておりますので、この点御了承を願いたいと思います。  また、技術的に申しましても、観測用のロケットというものは、空気中を速く垂直に上へ上がりまして、そうして真空の中で飛ぶという性質のロケットでございます。空気摩擦を非常にいやがります。そこで、非常に加熱したためにロケットの温度が上がってこわれるということをおそれまして、空気中を飛ぶときには非常にゆっくり燃えるような燃料を使っておる。そうして、胴体もせいぜい二ミリとか三ミリとかいう、非常に薄く軽くして、高く垂直に上げる。しかも、羽で十分安定をとるというようなことで、おそらく防衛目的ロケットとは、これは空気中を非常に速く飛ぶ、あるいは自由に方向を変えるというようなことで、全然構造なり燃料の組成その他も違っておる。その点も承知しており、かつ、私たちとしては平和利用に徹しておりますので、どうかその点は御了承願いたいと思います。  第二は、東大のほうと科学技術庁とばらばらで、何か国費のむだ使いではないかというようなお話でございましたが、まだ私どものほうでは短期間でございますし、今後の調整という役割りは、先ほど三木先生のおっしゃったように、本部内の技術委員会みたいなもので十分素案を練りまして、各省庁と納得のいった線で重複を避けて、そうしてその上に宇宙開発審議会というのがございますので、そこでまた高い次元で御批判をいただいて、総理大臣答申する。こういう道をずっと貫いていきたいと考えておりますので、第一の御質問とあわせて、そういう点の御心配もないし、重複も極力避けるつもりでおりますので、これもひとつ御了承願います。  以上でございます。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま高木教授からお答えいたしましたとおりでございまして、私もその二つの問題については大きな関心を持っているわけでございます。  第一の、平和目的に何としてもこれは限定して平和目的に徹底するのであるということにつきましては、いまお話がありましたように、特に一番大事なことであると思いましたので、実は高木教授に科学技術庁宇宙開発推進本部長に併任のお願いにあがりましたそのお話し合いのときにも、文部事務次官、科学技術庁の事務次官、それから東大の大河内総長にもお立ち会いを願いまして、この点はかたく申し合わせておるようなわけであります。  それから、第二の点は申し上げるまでもございません。本日もお三人の方から、それぞれのお立場から御意見が開陳されたわけで、私ももちろん技術的にはしろうとでございますし、技術的にいえば、先ほど谷先生のお話にもございましたように、東大のかねがねの研究、あるいは実験というものと、それから従来科学技術庁が考え、あるいは私が所信表明として申し上げたところにも若干の、何といいますか、ニュアンスの相違はあろうかと思いますけれども、そういう点を、これからひとつ御専門の先達のお知恵も十分フランクにお聞かせを願いまして、そしてできるだけ国費を効率的に使っていきたい、こういう点についてもかねがね意見が一致しているわけでございます。そして、宇宙開発審議会の御審議を経て、これをだんだんと実践の工程にのぼせていきたい、こういうことにいたしておるわけでございます。
  22. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 新しい科学研究、あるいは技術開発という問題になってきますと、未踏の地を行くのでございますから、いろいろトラブルもあろうと思います。すでにわが国におきましては、原子力行政において多少混迷をみたわけです。そこで、これについて前科学技術庁大臣は非常に苦心をされ、いまの総理大臣の佐藤さんもこれについてはいろいろ気を配られましたけれども、まだ問題は残っております。そうしたところの配慮から高木先生を本部長として御就任いただいたのだと思いますので、科学技術庁仕事はどこまでも交通整理の役もつとめていただき、国費を使われるのですから、効率的な効果をひとつあげていただく、このことに徹していただきたいと思います。  そこで、大屋さんにお伺いしたいのです。あなたのいまのお話では、私はこのお話で納得がいったわけですが、技術庁のほうも東大のほうも、どんどんその開発なり研究をやるだけやらして、そしてある時点がくると両者を一緒にできるものは一緒にしていくほうがいいんじゃないだろうかというお話と、それからなお一つほどありました。  その一つは、高きを望むだけが能じゃなかろう、もっと基礎科学とか、それに付随したところの根本的な技術研究というようなものもあるだろう。言いかえますならば、私もそう思っておったのですが、この気象問題にいたしましても、あるいは機器の問題にいたしましても、それとロケットとを結合さしていく場合にはどういうふうにしたらいいだろうか。地上観測の機器というものは非常に大きいものですが、それを圧縮して小さいものにするときには、どうしたら効率をあげるかということも並行して研究していかなかったら、いま当初目的に申されましたように、宇宙のいろんな現象を調べようとしても、ロケットだけ先にいってしまうということになると思いますので、大屋さんもそういう考え方から言われたと思うのです。それから、大きさを誇るなかれ。これは、アメリカに持っていきますと、とてもその比ではない、もっともっと大きなものだという警告的な意味がありまして、私はそれは非常に同感なんです。  そうしたところで、いま技術庁と東大の先生とのお話を聞きましたような点で、あるいは愛知大臣に質問いたしたような点で、大屋さんのお考えがあれば……。大体私はあなたのお考えはわかったんですが、御意見がありましたら、ひとつ聞かしていただきたい。
  23. 大屋敦

    大屋参考人 一番先に今の東大——東大のといいますか、大学ロケット研究というものを、それはそれでもってもっと進めていくがいい、必要が起こればそれから科学衛星という、それは観測用でありますけれども、科学衛星というところまで発展していくということはあり得ると思います。しかし、そのときにも申し上げたように、大学がする仕事というものは、大学というのは本来そう言ってはなんですが、学生を養成するのが本務であって、それに必要な研究をするということから発足しておるのでありますから、科学技術庁がやったほうがいいというところの領分まで、大学が過去にそういう経験を持っているからといって、それでどこまでも行ってもいいんだというふうな意味で申し上げておるのではございません。それでありますから、その自然の制約というものを考えつつ、従来の経験を大学は生かしてやらなければならぬ、こういうふうに申し上げたのであります。  それから、基礎的なことをもっと研究しろというお話でありますが、これは先ほど、この前の審議会答申のときも、人工衛星を打ち上げるほかに、観測用の機器のようなものの開発をもっとせいということを書いてあります。一番大事なものは実は内臓が大事であって、いまのお話のような、ごく狭いところに非常に精密な内臓を結め込む、その内臓の製作というものが非常に大事である。日本人はまたそういうことには得意なところがありますが、そういう意味で、ただロケットを高く打ち上げるということは目的一つにすぎないのでありまして、それはお話のように、多分大学宇宙航空研究所もその点を十分考えておられると思うのであります。  しかし、それにつきましては、できるだけ、ある特定のメーカーと政府機関というものが抱き合い、手を結んで、それだけが独走するということがないように、日本全体のそういうものに対する技術を向上するということを目標にしてやられるのがいいのじゃないかと思うのであります。科学技術庁はそういう点は十分了解しておると思いますけれども、大学もやはり同様の態度をとっていきたいというふうに考えるわけです。  大体いまのあれで尽きておると思いますが、なおことばが足りぬところがありましたら、また御指摘を願いたいと思います。
  24. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 愛知大臣もおられますし、本部長もおいでになりますし、これは科学技術庁の方が、おられるところで、そういうことを申し上げるのは悪いのですが、しかし、科学技術庁は行政の府です。大学は学術の府です、研究の場所ですから、ここでどんどん研究していくことは当然なんです。行政の府としての交通整理のことは、私はいま要望いたしました。しかし、いまの大屋さんのお話では、研究の府としての限界があるだろう、学生を対象にしていかなければならぬ、こういうお話ですが、一方科学技術庁も、これは開発推進ということで打ち上げるだけが主体であるというようなことになっても困ると思います。いま、技術推進本部にこういう方面の専門家を入れてというお話もありましたけれども、専門家はないという話を世間では往々しておるわけでございます。この点が、私は科学技術庁一つの弱みじゃないかと思います。こういう点、いわゆる行政の府と研究の府というものをどう調合していくか、これは推進本部に課せられた仕事じゃないかと私は思いますが、この点はひとつ要望しておきたいと思います。  そこで、あと質問をされる方がありますので、私、もう一つ質問しておきたいと思います。これはまだ論議を掘り下げていかなければなりませんし、さきがたも技術あるいは開発、こういう問題で、まだまだ問題点はあろうと思いますけれども、何か三時半までという時間が限られておりますから、一応これくらいに前半の問題をおきまして、後半として申し上げたいことがあります。  いま高木先生のほうから、防衛庁がどれだけのロケットを、まあいわばミサイルですね、ミサイルを研究しようと、われわれのほうとしてはそれは全然ノータッチだ、わが道を行くで、平和目的に徹して、私たちは東大研究東大研究として進める、科学技術庁科学技術庁として進軍ラッパを吹いて行くんだ。そうして、愛知大臣は、平和に徹するんだ、平利目的以外の何ものでもない、こうおっしゃいます。  しかしながら、さきがたも申し上げましたように、東大は富士精密、現プリンス自動車一本やりです。科学技術庁は三菱、東芝、日立、石川島播磨重工、日本油脂、松下電器。防衛庁は富士グループと三菱グループ、このミサイルは実用的になっておりますが、それに川崎グループに、MS会グループ、この四つのグループがありまして、表では平和だ平和だというて進軍しておるところの研究体制二つあります。防衛庁のほうは、これは防衛目的でやりますから、これは平和だ平和だなんかいうておられません。その三つの体制が、下ではメーカーによって連なっておるということですね。このことはどうしても国民としても、あるいはまたわれわれ政治の湯におる者としても、ことばだけではどうにもならぬ。頭隠してしり隠さずのたとえのとおり、底で結合してくるところの心配があるわけです。  そこで、これにもそういう意味合いで非常にセンセーショナルな書き方をしておりますけれども、「ミサイルは日本の空を凝視する」、いわゆる国産によってミサイルがどんどんできてきまして、そして軍事目的化することが、すでに金の面においても一兆何千億という金が投入されて先行しておりますあとから、平和目的でよろよろ、と言うと悪いですけれども、よろよろと進んでおる。したがって、この情勢を見て、この週刊誌にも書いてあることが、私も非常に気にかかる。どうせこういうことを言っても、技術開発だ何だ、打ち上げだ何だといっても、最終的には自衛隊のお世話になるんだろうということが、これは落としとして書いてあります。そういう点が、確信だけではとてもいける問題ではありませんので、体制だけでもそういう平和目的に徹するというような行き方をしてもらわなければならぬと私は思うのです。ここにはこう書いてありますから、ちょっと読んでみます。  「人工衛星打上げにも、南極観測と同じように、しょせんは防衛庁の手助けを求めなければ実現できまいとする考え方が、防衛庁内部にもある。「クサイものにフタや、さわらぬ神にたたりなしの態度がいつまでも許されてはならない。政治家も学者も、もっとハッキリしてもらいたい」と説く軍事通もいる。軍事利用と平和利用の前途に待ちかまえるこの奇妙な結合。中国の核武装が予想され、日米安保条約がふたたび更改される昭和四十二年からの五年間にその成行きは、いったいどうなるのか。私たちはここ当分、日本のミサイルから目をそらすことはできまい。」  こう書いてあるのです。この最後に結んであることが、いまの時点ではどうにもいまの程度のことしか言えないかもしれませんけれども、こういうことに対するお考えを聞いておきたい。これは愛知大臣からもお聞きし、あと参考人のお方からも、そういう点について確信がおありになるならば、この際聞かせていただくことが、このような国民の疑問なり、あるいは一般識者の疑問に答える道でもあると思いますので、最後にお伺いをいたします。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは確信はもちろんでございますし、何とかして平和目的に徹するということを、形の上でも、あらゆる面におきましても、はっきりあらわしていきたいということをかたく考えまして、実績の面でそのような誤解を受けないようにということは、いろいろのくふうもあろうかと思いますので、十二分に注意してまいりたいと思っております。
  26. 大屋敦

    大屋参考人 いまの御懸念は、そういうふうなめがねをかけてみますと、いろいろなことに何かすっきりせぬ問題が、原子力問題など大いにありまして、ずいぶん苦労したのですが、しかし、そういう軍事目的だということであれば、スタートからやり方が違うのであって、先ほど御説明したように、ミサイルとこれとはまるでものが違うのでありますから、そういう御懸念は、われわれは少しも持っておりませんし、また政府としても、そういうことにけじめをはっきりつけて進んでいく、こういうことではないかと思います。  週刊誌あたりが書こうと思えば、それこそ幾らでも、石炭でも鉄でもその議論が起こるわけでありますから、その点は、われわれは平和利用というものに徹しておる。経団連でもわざわざ宇宙開発平和利用委員会として、平和利用という名前をつけたくらいでありまして、防衛庁関係の人と共同で相談し合ったりすることもしておりません。まあその心配には及ばぬと思います。
  27. 高木昇

    高木説明員 何回も申し上げておりますように、確信を持って主張を続けてまいりたいのです。  東京大学宇宙科学技術研究グループ、これはいままで生産技術研究所、現在は宇宙航空研究所が取りまとめ役をやっております。研究所は、御承知と思いますが、東大に十幾つの研究所があり、生産技術研究所はたしか定員は五百人くらいで、大学院その他で八百人くらい。宇宙航究研究所は、定員は三百人くらいだったと思いますが、大学院その他でやはり四百人くらいになっております。したがって、非常に優秀な科学技術者がおりますために、内之浦でラムダを上げる場合ですと、各大学関係者、東大ばかりではございませんが、東北とか京都とか全部を糾合しまして、約百二十人くらい実験に出かけておるような現状であります。そして非常に多数の観測ロケットを上げておりますが、東大、学者グループだけでやっておりますのをひとつ御了承を願いたいと思います。したがって、今後ともMを上げるというようなことにつきましても、それだけの人数は出し得る状況にあります関係上、Mから科学衛星になりましても、まあ学者グループだけでそういうことができる、こう考えておりますので、この点も私、自信を持って、われわれだけでできるのではないかと思います。  それから、ロケットが非常に強調されてまいりましたが、大屋先生の御説明のとおり、中身もエレクトロニクスの粋を集めておりますし、そういう基礎研究から派生して、ロケットに乗るような優秀な電子機器が過去十数年間開発されておりますし、この点は、今度はほかの平和利用に、たとえば電子交換機だとか、あるいはそういう方面にもずいぶんと利用されております。また、この間のオリンピックの中継でも、シンコムこそアメリカでございますが、地上局は全部国産でやりましたために、あの地上局設備一切がだんだん外国へも出ていくだろうというふうでございますので、関連産業が、たいへんロケットがクローズアップいたしますと、まことにそういう誤解を受けるかとも思うのでございますが、この点も御了承願いたいと思います。  東大で主としてやっておりますロケットは、たとえば外側の非常に強力な鉄などはなるほどラムダ用に開発されましたが、それは東京タワーだとか、あるいは橋だとか、非常に軽くて強いスチールを要求する分野にも応用されておりますので、むしろそういうふうな平和利用にずいぶんと寄与するのではないかとも考えております。
  28. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私もこれでおきたいと思いますが、先ほど大屋さんのお話で、何もかもそういうぐあいに見れば石炭でもそうだ。確かにそうですけれども、国民にいろいろアピールするたてまえをとりますと、やはり政治家としての姿勢もはっきりせぬことには、石炭の話だけではこれはどうにもならぬと思います。週刊誌には、ミサイルとロケットとは女湯と男湯の違いだ、囲いさえ取りはずしたらすぐだというようなたとえ話がしてあります。そういうことがありましたから申し上げたのであります。  原子力に関しましては、これは原子力基本法に平和目的など三原則がきちっときまっております。したがって、原子力船についても、どうしても規制の問題は考えなければならぬ。これにはやはり放射能という非常に危険なもの、原子炉という国民の生命、財産、運命に関するようなたいへんなものもひっついておりますから、そういう点が大事だと思いますけれども、やはり国産化し、そうして国内の技術をどんどんとロケットによって開発するというならば、やはりそうした面についても、何とか法律の上でも規制をしていく、こういうことも一つ方法ではないかと思うのです。もちろんこの三つを踏まえて、今後当委員会でも問題になり、学術会議でも問題になり、あるいは科学技術会議でも問題になってくるだろうと思いますけれども、大いにこういうところで問題を起こしていって、そうして科学技術基本法というもので締めくくらなければならぬときがくるだろうと思います。そうしたことも必要じゃないかと思うのです。そういう意見を述べて、私の御質問は終わりたいと思います。
  29. 岡良一

    岡委員長 田中武夫君。
  30. 田中武夫

    ○田中(武)委員 きわめてしろうとの質問なんですが、先ほど高木本部長は、いわゆるロケットとミサイルといいますか、これは違うのだ、こういうことだったのですが、たとえばラムダ、これに誘導装置をつければ中距離弾道弾になるのじゃないですか。
  31. 高木昇

    高木説明員 たびたび申し上げるように、ラムダ観測ロケットにつくっておりまして、御承知のように、非常に薄いものを使っておって、それに武器が乗るとかということは、毛頭われわれ考えないでおりますので、誘導装置をつけると申しましても、固体燃料ロケットをわれわれは使っております。完全な誘導ということじゃございません。それで、私はそういうことはあり得ないと思っておりますけれども……。
  32. 田中武夫

    ○田中(武)委員 愛知大臣、先ほど三木委員も触れておりましたが、われわれが原子力基本法をつくり、原子力委員会設置法をつくったときには、いま大臣をはじめ本部長、二人の参考人方々が口をそろえて平和目的ということを強調されましたそれ以上だ、法をもってあれだけ明確に三原則を立て、原子力委員会の所掌事務の中にもそれぞれ平和利用ということを頭にかぶせておっても——ここに見解の相違が出るのかしりませんが、先日来議論をしておりますアメリカの原子力潜水艦の入港に際しての安全性の確認が、いわゆる平和利用としての原子力委員会の権限に服するかどうかということになったときに、潜在的権能とかなんとかいったような、あまり法律的な学説にも出てこないような字句を弄しておやりになったわけです。したがいまして、いま三木委員が質問をし、大臣はじめ皆さんが御答弁をなさいましたが、ただこれだけでは、私やはり、どこまでが平和利用であり、どこからが軍事目的になる、こういうことについて危惧の念が残るわけなんです。といって、ここで大臣がもう一度それは間違いありませんと言われても同じことなんだ。  そこで私は、先ほど三木委員も申しましたが、やはりもっと明確な法律か何かでぱちっとしておく必要があるのじゃないか。原子力委員会設置法ではあれだけ文句が書いてあっても、疑問を残したわけなんです。たとえばこの宇宙開発推進本部の設置に関する科学技術庁設置法の二十条の二、これだけ見ただけでは、はっきりと平和利用に限るということは出てこないわけです。そうでしょう。原子力委員会では、はっきりと平和利用ということが出てきておる。これだけでは出てこない。ましてや、高木さんが本部長のときに約束をした、何年か先に人がかわった、あるいは先ほどちょっと聞き漏らしましたが、高木さんを本部長に迎えるにあたって文部次官がどうとか、確約書がどうとかいうことがありましたが、そういうことがかりにあっても、これをはっきりと国会において確認もしていない。そこで、高木さんが就任にあたって何かその点をだめを押したとか、あるいはどうとかいわれるようなことを、何か確認書でもあるならば一応ここへ提出をしてもらって、念のために当委員会の記録にとどめたいと思うのですが、いかがでしょう。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほどお話し申し上げたとおりでございまして、念には念を入れてそういう申し合わせをしておるわけでございますけれども、書いたもので判こをついたとかなんとかいうものじゃなくて、これは行政運営上の問題でございますから、私どもとしては、推進本部長にお迎えをする以上は、高木さんにとくとそういうお気持ちであたっていただきたい。高木さんのほうも、学術のわれわれのほうのやっている研究はあくまで平和目的に限定しているのであるということで、両方の気持ちがぴったり合っている。こういうことでございますから、何といいますか、書類の上で判こをつき合って、それをどうこうといって申し上げるほどのことはない。当然すぎるくらい当然のことでありますと私も考えております。  それからなお、原子力潜水艦の原子力基本法の問題につきましては、また別の機会もあろうかと思いますし、若干問題のとらえ方が違う点もあろうかと思いますけれども、それはそれとして、先ほど三木委員お話もございましたが、宇宙開発の基本法とかなんとかいうようなことは、私も真剣に考えるべき問題である、かように考えております。
  34. 田中武夫

    ○田中(武)委員 高木本部長の意思、こういうことじゃないのですよ。問題は政府の姿勢だと思うのですよ。  そこで、これ以上となると、ILOのドライヤー調査団長のことばじゃないですが、お互いに信頼するかせぬかということになると思います。ところが、いままで、愛知さんが技術長官になられたのは最近でありますけれども、ずっと続くところの内閣のやり方を見ているときに、やはりその当時いかに口で言おうと、私に言わしむるならば、先ほど言ったように、法律の明文があってもゆがめるときにはゆがめるのだ。だから、結局は、信頼感以外にないと思うのですがね。この点は、週刊誌も取り上げて、それを三木君が引用いたしましたが、国民の中に一つの疑問として残っており、あるいは東大というか、大学技術庁とがロケットの面における目的が違って対立しておるとか、こういうようなこともよくいわれておるわけなんです。たとえば東大のほうはあくまでも技術の探究である、ところが、技術庁は国威の宣揚、言いかえるなら日の丸をあげるためだというようなことをいわれておる。そのことについてあえて答弁を求めませんが、そういう誤解を受けておるといいますか、そういう危惧を受けていることは事実なんです。そこで、そういうことについての国民の疑惑を除くようなはっきりとしたものをひとつ示してもらわなくちゃいけないだろうと思うのです。  それから、大屋参考人一言お伺いいたすのですが、先ほど三木君の質問に対して、明確な答弁をなさいました。ことに、平和利用委員会だということで、特に平和を掲げておる、こういうことを強調せられました。その平和と掲げているところに、むしろわれわれとしては何かあるのじゃないかという感じすら受けるわけなんです。  と申しますのは、先ほど三木君がそれぞれのメーカー等をあげましたが、いわゆる防衛庁の仕事をやっておる会社といいますか、防衛庁から受注を受けておる会社も、それから、この宇宙開発推進本部の受託を受けている会社も、ともに経団連からいうならば、組織内といいますか、傘下の企業でしょう。しかも、双方から受託なり受注を受けておるという会社もあるわけなんです。そこで、いかに平和利用でございますといったって、それは男湯と女湯の本質が変わるかというのと一緒で、平和利用平和利用といったって、軍事目的に使わないのだということを幾らいったって、それはもう証明にはならぬわけですよ。そういう点で申すならば、あなたの委員会がどういう理念でもってやっておられるかということだけが問題だと思うのですよ。それから下へ下がって、各企業の中で、片や推進本部から受託を受けてものをつくっておる。同じような系統のものを防衛庁から受けておる。同じ会社がつくっておれば、これはそうでありませんといったって、そうなんですよ。  そこで、そういう防衛庁から受注を受けた軍事目的のための生産、これはやはり経団連の傘下企業だと思うのですが、それに対して、このあなたの平和利用委員会がどういう理念で指導しておられるのか、それをお伺いいたします。石炭でも、使いようによっては列車でも軍事目的に使える、マッチでも軍事目的に使おうと思えば使えるわけです。われわれはそういうことを言っているのじゃないのです。新しい分野における問題であり、これが新しい兵器につながるということ、さらには、同じことを繰り返しますが、原子力利用の問題についていまわれわれが疑惑に至ったということ、そういうことについての体験というか、あるいはわれわれの感じというか、日本国民の感情から、もう一度指導理念といいますか、運営理念というものをはっきりしていただきたい。大臣と大屋参考人からお伺いいたします。
  35. 大屋敦

    大屋参考人 いま御指摘のように、これは理念の問題であって、実際、防衛庁のものをつくっているものは、船にしても、商船をつくるのと全く別の会社で別の船台でやるのだ、そういうことをしなければ安心ができないのだと言われれば、日本の産業は成り立たぬということになります。そこで、日本の産業を成り立たせるために、いまのような混同を起こさぬためには、やっている人間の理念よりほかないと思うのですよ。われわれは平和利用のためにやるという理念を持ってやっているのだ。どうも平和利用なんて看板をあげているのはかえってあやしいぞ、こう言われたらどうにもならぬわけでありますから、そういう点は目下のところ御配慮には及ばぬような気がします。しかし、これはもっと大きな政府の最高政策の問題でありますから、われわれが云々する問題じゃないと思います。それだけひとつ……。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま大屋さんのお話のとおりであると思います。これはもうほんとうに最高の、ほんとうに真剣に考えなければならない問題だと思います。私は、そういう点につきましては、あなたと憂いをともにして、ともにひとつ考えたいと思います。
  37. 岡良一

    岡委員長 この際、高木推進本部長並びに両参考人の御意見に関連して、せっかく愛知国務大臣が御出席でございますので、皆さまの御了承を得て若干質疑をさせていただきたいと思います。  まず第一の問題は、人工衛星の打ち上げ、これにわが国もおくればせながら取りかかろうという、これはまことに国家的な大事業と存じます。もちろんわれわれ委員会としても、これを支持するにやぶさかではございませんが、しかし、このような人類の世界観にも大きな変革をもたらし得るような大事業であってみれば、大きな、政府も国会も国民も一体となったような国家的な盛り上がりが私は必要ではなかろうかと思います。  その大前提としては、やはりこのことに直接従事される現場の科学者の方々政府の試験研究機関方々も、あるいは大学研究室にいそしまれる方も、民間企業におられる方々も、ほんとうに一体となった協力体制を築かれることが、国民の大きな支持を得る大前提だと私は思いますが、たまたま愛知国務大臣は文部大臣も兼任しておられますので、ひとつこの際、持にこの面において積極的な御配慮をお願いいたしたいと思いますが、御所信を承りたいと思います。
  38. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまの委員長のお尋ねは、まことにごもっともでございまして、私もほんとうにこうした大事業について、学界も官界も実業界も、その他一般の国民も、ほんとうに盛り上がった協力関係仕事をしていかなければならない、これには積極的な意欲をもって当たってまいりたいと思います。  ただ、先ほど来からもお聞き取りのように、事は技術的な問題でもあり、また、ただいま田中委員の御心配のような問題もあり、私どもとしても、そう軽々に発言することも控えなければならない。私の乏しい体験を申し上げて恐縮なんでありますが、私どもはしろうとの一方において政治家であり、たとえばビジョンというようなことを考えていくということが必要であると思いますけれども、従来からのいろいろの技術的な御苦心その他の面からまたこれが御心配になって、私は政治的なビジョンからいえばこういうふうにありたいなあということをちょっと口にいたしますと、それがまた非常な波紋を起こす原因にもなるということを痛切に感じておりますので、私といたしましては、真剣で積極的であるがゆえに、今後言動にも大いに注意しなければならない。そして、宇宙開発審議会の権威の方々にほんとうにフランクに意見を戦わせていただいて、そこからりっぱな結論が出てくる。これを期待し、これを政治的行政的に育て上げていくということに今後徹してまいりたい。ちょうどいい機会を与えられましたので、そういう私の真剣な、かつ注意深い態度が必要であるということを痛切に感じておりますことを申し上げて、御答弁にかえたいと思います。
  39. 岡良一

    岡委員長 次にお尋ねをいたします。かつてアイゼンハワー大統領が、宇宙開発の平和利用という観点においてNASAに一本にしぼられたことは御存じのとおりかと思います。昨年の三月にはヨーロッパ七カ国が宇宙開発協力機構をつくっております。おくれて発足をしようとする日本宇宙開発人工衛星打ち上げの事業が、何か国内におけるイニシアチブをとることのための対立というふうなものによってわずらわされることがもしあれば、たださえおくれているものがますますおくれるということになることは火を見るよりも明らかでありますが、その点、ぜひ御奮発を願いたいと思います。  なお、この際、谷参考人の御意見に関連してでございますが、宇宙開発推進本部は、行く行くは総理府段階のものとして設置しながら宇宙開発審議会の機能と有機内に吻合せしめるような配慮が機構的に必要ではないでしょうか。この点、御所信をお伺いしておきたいと思います。
  40. 愛知揆一

    愛知国務大臣 前段で御指摘の点は、私も十分の配慮と奮発をいたしたいと思います。  それから、第二段のお尋ねは、これまたきわめてむずかしい問題でございまして、いまにわかにお話を申し上げる段階ではなかろう。現在は東大研究所と科学技術庁側とがそれぞれに相助け合いというか、あるいは科学技術庁とすれば御指導をいただきながら現在のやり方を続けていくということであろうかと思うのでありまして、先ほど申しましたように、宇宙開発審議会その他で今後いろいろとまた将来長きにわたってのやり方等について議せられることもあるでありましょうが、これは注意深く見守ってまいりたいというような現在は段階ではなかろうかと考えております。
  41. 岡良一

    岡委員長 次にお尋ねいたします。予算の問題でございますが、本年度の要求予算を拝見いたしますと、宇宙開発に関する予算科学技術庁で七億六千万円、文部省が二十一億七千万円プラスアルファ、通産省が七千五百万円、その他運輸省、郵政省、建設省等に分割されております。  当委員会では、重点的な研究開発に関する予算については一括計上すべきではないかという意見がしばしば与野党を通じて論議され、主張されておるのでございますが、この点について国務大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  42. 愛知揆一

    愛知国務大臣 予算の一括計上については、かねがね当委員会で御熱心に与野党ともに御提案になっておることは私もよく存じております。また、私のかねがねの私見といたしましても、そのことを非常に要望しておるわけでございます。しかし、四十年度の予算についてはそこまで至りませんでしたけれども、ただ、たとえば大学側と科学技術庁側とのロケット関係予算要求のやり方あるいは査定の受け方等については、三十九年度までに比較すれば、私はもうこれは格段の前進ができたのではないかと思います。結果におきましては、東大側のほうは、ただいまお示しのとおり学術研究関係としては二十億余りでございますけれども、国立文教施設費のほうで数億入っておりますから、これはほとんど東大側の御要望のとおり——まあ糸川博士にはしかられるかもしれませんけれども、私が見ておりますところでは一〇〇%これは予算がついたと私は信じております。それから、科学技術庁の側におきましても、高木先生はじめ諸先生方の御配慮によりまして、液体燃料を使用して開発研究をやるというたてまえのもとに相当の予算が計上されたということになりますので、私はこれを一つのスタートにいたしまして、今後とも——予算制度を根本的に財政法等にわたって解決することはなかなかむずかしいことだと思いますけれども、さらにこういったようなやり方を四十一年度以降に十分、それこそ開発してまいりたい、かように考えております。
  43. 岡良一

    岡委員長 次には、予算の額並びにその運用の問題でございますが、本年度は各省合わせて大体三十数億ということになっております。NASAの六一年度の予算が年間四千五百億、ヨーロッパの協力機構にいたしましても五カ年計画で約七百億を計上しておると聞いております。もちろんこれらの数字と日本の現実に即しての現状の数字とを直ちに比較することはきわめて冒険なことでもあり、またいささか行き過ぎかと存じますが、それにしても予算規模がこれで三年後あるいは五年後に人工衛星が打ち上げられるかどうかという問題。  もう一つは、この予算の運用の問題でございます。これも当委員会においていつも論議されておることでございますが、一括計上とともに、いわゆる単年度主義というふうな形式的な運用が科学技術、特に新しい科学技術の問題の解決にはしばしば大きな障害となることは大臣もよく御存じのとおりだと思いますが、この点について重ねて大臣の御所信を承っておきたいと思います。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず、額の大小の問題については、これはまことに情けない状態で、結局は日本の財政事情全体に関連する問題かと思いますが、これはひとつ超党派的に、こうした予算の増額についてはいろいろとお力添えをいただきたいと思います。  それから、予算の制度の問題は、ほんとうに私もこれは持論なんでありまして、研究開発、学術研究というようなことについては単年度制はいかぬ、それから一括計上がぜひ必要であるということは、私のかねがね希望しておるところでありますが、先ほど申し上げましたようになかなか直ちには解決できない。たとえばイギリスのころがし予算と申しますか、ああいうやり方を日本にもぜひ取り入れたいというのは、科学技術庁はもちろんでありますが、科学技術会議等におきましても取り上げられている問題でありまして、一括計上、そして年度を越えて使用運営ができるようにするということを目標にして、たとえば国庫債務負担行為の拡充活用でありますとか、なし得る限りそれにアプローチし得るような手段方法を今後とも取り入れてまいりたいと思っておりますが、なかなかわれわれの力が微力でございまして、思うにまかせるような進捗を見ていない、これらの点は非常に非力を痛感しておるような次第でございます。
  45. 岡良一

    岡委員長 最後に、高木推進本部長に、これは御要望申し上げたいと思います。日本における科学研究あるいは技術開発における一種のマイナスは、それぞれの分野における発展段階の不均衡というところにあるかと思われるのです。たとえば人工衛星と申しますと、頂点に人工衛星を置けば底辺にはあるいは推進力、あるいはまたその制御あるいは誘導のもろもろの装置、この研究開発、また数カ月あるいは数年間これは宇宙にとどまるものでございます以上、やはり宇宙のきびしい諸条件の中で耐え得るかいなかという理学的な、工学的ないろいろの基礎研究というものが十分に充実されることが必要かと思います。こういう点で、もう少し具体的な計画をぜひひとつ各界の御協力を得て立てられて、もちろんこれは宇宙開発審議会の御答申にも抽象的には盛られておりますけれども、なお具体的に年次計画をおつくりになるように、この際御希望申し上げておきたいと存じます。  以上で参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位一言あいさつを申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  なお、本日、御出席くださいました高木宇宙開発推進本部長の御尊父が本朝おなくなりになられました。つつしんで哀悼の意を表します。職務柄とはいえ、まげて本委員会に御出席くださいましたことを、ここに厚く御礼申し上げる次第でございます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後三時四十一分散会