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1965-02-10 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十日(水曜日)    午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 岡  良一君    理事 菅野和太郎君 理事 佐々木義武君    理事 福井  勇君 理事 前田 正男君    理事 原   茂君 理事 三木 喜夫君       木村 剛輔君   小宮山重四郎君       野呂 恭一君    渡辺美智雄君       山内  広君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    梅澤 邦臣君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    江上 龍彦君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君  委員外出席者         科学技術事務次         官       井上啓次郎君 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術行政に  関する問題)      ————◇—————
  2. 岡良一

    岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、科学技術庁設置法の一部改正について概要説明を聴取いたします。愛知国務大臣
  3. 愛知揆一

    愛知国務大臣 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  改正の第一は、科学技術庁付属機関である航空宇宙技術研究所支所を設けることができることとすることであります。  同研究所は、航空技術及び宇宙科学技術向上をはかるため必要な試験研究を行なうことを主たる任務とするものでありますが、近年における世界の航空技術等の急速な進展に対処して、わが国におけるこれらの水準を飛躍的に向上させるため、昭和四十年において、同研究所拡充強化一環として、垂直離着陸機試験研究等を行なう実験所支所として設けることといたしたく、これに伴なって所要の改正を行なうものであります。  第二は、科学技術庁の職員の定員を改めることでありまして、同庁の付属研究機関強化をはかるため、定員を四十七人増加する一方OECD日本代表部に新たに科学技術アタッシェ一名を派遣するための定員移しかえを行ない、差し引き四十六人の増加となり、新定員を千八百六十人に改めるものでございます。  以上本法案の概要について御説明申し上げた次第でございます。
  4. 岡良一

    岡委員長 以上で説明の聴取は終わりました。      ————◇—————
  5. 岡良一

    岡委員長 科学技術行政に関する問題について質疑の通告がございますが、その前に、愛知国務大臣に対し私より若干質疑をいたしたいと思いますので、御了承願います。  昨年の四月十五日、本委員会原子力政策に関して出しました結論の第一項におきまして、「原子力委員会はその指導力企画力強化する必要がある。」とうたっております。  たまたま本月二十二日には原子力委員方々の半数が交代されることとなりました。私、わが国における原子力草創期において払われました委員各位の御労苦には、もとより本委員会としても厚く感謝をいたすものでございますが、この際政府としては、さきに述べました趣旨にかんがみまして、原子力委員会の人事に関し御善処せられる御意思がございましょうか、大臣の御所信を伺いたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま委員長から御指摘がございましたように、昨年の四月十五日の小委員会の報告にもございますとおり、原子力委員会企画力指導力強化する必要がある、この御趣旨には私も全面的に御同感でございます。  ただいま委員長のおことばにもありましたように、従来原子力委員として原子力政策についていろいろと御協力を願っております委員各位に対しましては、私どもといたしましても心から感謝申し上げているわけでございますが、たまたま今月末委員の任期の切れる方もございます。この機会に、ただいま申しましたように一そう原子力委員会の機能を充実強化するために、できるだけりっぱな方々をお迎えいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 岡良一

    岡委員長 次には、選任にあたりまして原子力物理学方面権威者を加えていただきたいことでございます。  この点、各国の原子力委員会の顔ぶれを見ましても、それぞれその国の権威者が参加しておられるようであります。基礎研究充実強化のためにもこのような御配慮をお願いをいたしたいと思いまするが、いかがでございましょうか。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 原子力委員に特に原子力物理学専門権威のある学者にぜひ参加していただきたいということは、これまた私も全く御同感でございまして、ただいま具体的にその方面から原子力委員として御就任を願いたい方に内交渉をすでにいたしておるような次第でございます。いずれ御承諾をいただきますれば、国会の御承認をいただきたい、かような心組みでおりますような次第でございます。
  9. 岡良一

    岡委員長 次には、委員会運営についてでございます。  国務多端な国務大臣委員長兼任をしておられる現状におきましては、やはりほんとうにしっかりした方が委員長代理となっていただい三原子力委員一体となった、そうして事務ベースをこえた責任体制を確保していただきたいことでございます。指導力企画力強化ということも、ひっきょうは自主的な委員会責任体制の確立を意味するものとも存じますので、この機会政府の御所信を承っておきたいと存じます。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点につきましても御同感でございまして、原子力委員長が法制上国務大臣兼任になっております関係もございますので、たとえば自主的な体制責任体制強化するという意味からも、経験豊かな人材にたとえば委員長代理として大いに御活躍を願い、委員会運営がスムーズにいくようにぜひ考えたいと思っておる次第でございます。
  11. 岡良一

    岡委員長 以上で私の質疑を終わります。  次に原茂君。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 前々委員会で、政府所信の表明をいただきまして、あと予算項目別説明もいただきましたし、なお予算案につきましての補足説明もいただきましたので、その資料をもとにいたしまして、一応これはと思う点だけ簡潔にお伺いしておきたいと思います。その後、必要のある問題は、別の委員会におきまして別途に堀り下げていきたいと思いますから、その趣旨に沿った御答弁をお願いしたいと思います。  最初にお伺いしたいのは、いまも、種類は違いますが、一つ設置法の御提案がございまして、同じように科学技術振興長期計画策定するという前提に立ちまして、それを専門に担当するための調査官を一名増員したい、その必要な経費を計上したと、こう御説明がありました。予算にもあるようでございますが、国として総合的な科学技術振興長期計画策定しようというのに、とりあえずかもしれませんが、一名増員をするということで、一体一名だけで何ができるのだろうか。オールマイティーがいれば別ですが、われわれから見ますと、何を考えて一体どういう長期計画策定しようとされているのか。どうせこうして基本的な問題を提案されるなら、まだまだおそらく理想的には二名、三名というものがほしいという気持ちが隠れておるのではないかと思うのですが、一名で十分だとおっしゃるのか、この点をひとつ。
  13. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはただいまも御指摘がございましたように、もっと実は人員も充実したい気持ちはやまやまでございますけれども予算関係、それから特に四十年度におきましては、各省庁を通じて欠員不補充というようなところまで政府全体として考えておるくらい、人員増加についてはできるだけ自粛をしたい、こういう考え方でございますので、本年度一名ということでがまんをいたしたわけでございます。  なお、この長期計画につきましては、御案内のように、科学技術会議専門委員等中心にして作業をいたしております関係もございますので、学術会議その他の方々に非常な御協力をいただいておりますので、現有勢力と今回一名増員をするこの構成でもって、一そう学術会議等の御協力を得て、長期計画策定に邁進いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  14. 原茂

    ○原(茂)委員 この長期計画策定といっておりますが、長期計画をどういう方向で、どんな内容策定しようとしているのでございますか。そういうプランはもうあるわけでございますか。
  15. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その基本的なプランを持って推進しておるわけでございますが、なお具体的な点につきましては政府委員から御説明申し上げます。
  16. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 長期計画につきましては、去年の九月に科学技術会議の本会議四つ部会をつくっていただきまして、その第一の部会は総括的、それからもう一つ前々から継続の基本法の問題、これも長期計画関係いたします。その全体を受け持つ部会。第二部会のほうでは、研究活動と称しまして研究の題目、それから重点的に進めるもの、そういう研究課題、そういうことを重点的に検討していただく部会。それから第三のほうでは人材処遇関係、これの抜本的なやり方というものを考えなければいけないじゃないか、それの関係。それから第四部会につきましては、国際交流が非常に盛んになって、それと国際間の情報の交換、こういう問題を取り上げるということで、部門を分けて四つでやっております。  それから、考え方といたしましては、そう長いことはできない。したがって、五カ年先の問題まで計画を立てまして、それから先につきましてはさらに五カ年のビジョンをつけたいということを目途といたしまして、現在学術会議もともに協同していただきまして進めている現状でございます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの一部、二部、三部、四部というのは大体わかったわけですが、いまの一名の増員分が担当する分野、これはそのうちの全体を担当するのですか。  それから、この人をどこから求めるのですか。新しく学校出たばかりではしょうがないでしょうし、どういう程度の人をどこから……。
  18. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 現在私たちのほうに、これにかかる調査官が三人ございます。それプラスのいま一名いただいたわけでございます。したがって、できるだけいまの部会の範囲の責任を持ってやるということで、一、二、三、四の責任調査官をきめたいと思っておりまして、そのためには一人足りないので一人とったわけでございます。それで、とります段階の人は、現在おります人から考えますと、大体大学を卒業しましたが二十年以降の、そういう関係関係していました人。したがいまして、それをこれから各省にも御連絡いたしまして、その中から一番有望な人を人選していきたいという考え方でございます。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 研究学園都市建設の問題ですが、「本年度に引き続き、試験研究機関等集中移転に伴う共同利用研究施設のあり方及びその規模並びにその運用方法等について調査を行なうため必要な経費を計上」したというのですが、この研究学園都市そのものの全体の構想は、もう本年度一応アウトラインは発表されたようですが、その中における当庁のいわゆる共同利用施設あるいは研究施設というものが、大体どの規模で、どの程度のものを移すのだということを、もうすでに策定されているのかどうか。そういう一応の腹案があるとするならば、中心的にはいま持っております上研究なり試験その他の施設でどういうものを持っていこうとするのか。全部持っていってしまうのか。その三つをひとつ……。
  20. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 第一につきましては、この前、閣議で今後おおむね十年先までにこれをやるということをきめていただきまして、それに伴いまして推進本部というものをつくったわけでございます。それの前提といたしましてわれわれのほうが各省と打ち合わせいたしまして、約三十五以上の機関が移る場合としての金額、内容の見積りはいたしました。しかし、これはまだはっきりした確定の数字ということではなくて、今後十年間に進む方針を立てるための目安ということで組んだわけでございます。したがいまして、今度推進本部ができまして、その推進本部のほうでそのいまのものをもう一度見直しまして、そしてほんとうの確定した形に持っていく。  それから、行きます研究所につきましては、東京に近いところの研究所は大体大部分参りますが、終戦後におきまして相当な設備をつくりました航空宇宙技術研究所のようなものにつきましては、今度の十年の中にしては非常にもったいない問題もございますしする関係で、一次は抜いております。しかし、原則といたしましてはできるだけたくさんのものが行く。ただ、現在各省ともその研究所研究所名前のままに移るのか、あるいはある程度機構改革を考えていくか、その点は目下検討中でございます。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一度、この問題で二つお伺いしたい。  一つは、大体どことどこが移転をするということ、それから期限、あるいは順序は、どこが何年に移転するというような内容がいつごろきまるのか。一応プランがあるはずですから、その計画をひとつ。  それからもう一つは、首都圏整備関係と非常に密接なものがあるわけです。したがって、建設省かどこか知りませんが、そういうところとも事前の折衝等も行なっているものかどうか。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この研究学園都市につきましては、従来からいろいろ計画され、検討されておったわけですが、ただいま梅澤局長から申しましたように、昨年末あらためて積極的に研究学園都市建設を促進したいという政府全体の意向を取りまとめまして、閣議了解推進本部をつくったわけでございます。その中には、もとより首都圏整備委員会もいわば大株主でございますので、したがって、首都圏整備委員会委員長本部長にいたしまして、建設省その他ももちろんこれに参加いたしておるわけであります。科学技術庁といたしましても、文部省といたしましても、大よその移転をさせたいというところは、たとえば先ほど話が出ましたように、国立研究所で申しますと、数において大体三十五カ所、それから国立大学一カ所という程度のところで、寄り寄りこの推進本部中心にいたしまして具体的な検討を始めつつあるわけであります。  しかし、何ぶん最初に手をつけなければならないのは、土地取得と、それからその土地に対する都市計画と申しましょうか、こういう関係、あるいは先行投資的な諸種の設備も要るものでありますから、四十年度におきましては、土地取得関係では、大体住宅公団中心として、住宅公団関係ではほぼ六十億円程度予算が見込まれておるわけであります。それに対しまして、科学技術庁にいたしましても、文部省にしても、通産省にしても、農林省にいたしましても、主としてはただいまの四十年度段階においては、調査費、つまり具体的にどういうところをどの年次移転計画し、実行すべきであるかということを本式に取りかかる経費をまず四十年度に計上しているわけであります。  完成の目標は十年を目標にいたしておるわけでございますので、できるだけすみやかにその十年計画年次計画をつくって、その中で各研究所あるいは国立大学移転ということをつくり上げてまいるわけであります。ここにも一応移転を予定いたしております研究所等名前はわれわれも用意はいたしておりますけれども、さような次第でございますから、的確に御説明申し上げますのにはまだまだ時間の猶予をいただいたほうがより適切ではなかろうかと考えるわけであります。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 これは別途の問題にして、またあとでお伺いいたします。  次に、「非金属無機材質基礎研究所を新設する必要があるので、明年度は、さしあたりその建設等に必要な各般の調査を行なうため必要な経費を計上するとともに、設立準備室を新設する」、こういう御説明があったわけです。これはずいぶん迂遠な質問なのですが、非金属無機材質基礎研究所、仮称ですが、この種の仕事というものをどこかでいままでやってこられたのでしょうか。科学技術庁関係、または関係ある他の官公署の中でこの種の研究というものをやってきているのかどうか。やっているとするなら、新たにこういう名称の研究所を新設する必要がどこから生じてきたのか。  こういう質問を申し上げる理由は、ややもすると各官庁がおのおの繩張り根性を出しまして、本来既存のものがあるならそこに思い切った手当てをすれば急速な伸びが期待できるはずのものを、それはどうも手を加えられたくない、ほかに移したくないというようなことで、既存のものがあるのだけれどもまた別途に違った名前屋上屋を架するようにこういうものをつくるという傾向がいままでなきにしもあらず、その逆の傾向もある、ということがこの裏にあるのかないのかを知りたいために、いま質問したわけです。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一に、私どもの理解しておりますところでは、非金属無機材質基礎研究について、特にこれををテーマとして取り上げて独立研究所でやっているところは日本にはございません。  それから、その次に、これは私も常識的な御答弁で恐縮なのでありますけれども、それではどこか伸ばせばこれに向くところがあるかどうか、間接的あるいは一部局でもやっているところがなかったかどうかということでございますが、この点についても、専門権威者方々の御意見も私自身レクチュアを聞いたわけでございますけれども、これも、外国などに比べまして、これを伸ばしていけばこの目的にかなうというようなところも実はないと断定して常識的によろしいのではないか、こういうような結論を持ったわけでございまして、まあ申すまでもないことでございますけれども原子力電子技術宇宙開発、これからいよいよ発展する諸分野の今後の発展性を考えました場合に、これに不可欠である材質の品質、性能の向上あるいは新材質の創製の必要ということから考えますと、どうしてもこれは独立研究所を特に国において持つことが必要である、こういうふうに考えたわけでございますが、なお念を入れまして、一年間準備室で十分検討してりっぱなものをつくりたい。これは先ほど申しました研究学園都市にも関係いたすわけでございますが、こういう新たなものにつきましては実は研究学園都市というようなものと結びつけて新設をいたしたい、こういう方向をとっておるわけでございます。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  次に、ページが変わったところに「試験研究機関人づくり」という説明がございます。従来海外留学制度があったが、「新たに国内留学制度を設ける」のだ、そのために必要な経費を計上しているのですが、理工学関係研究者国立大学に再教育のために派遣する、選ばれる対象一体どういうものなのか。何か特別の資格があるのか。  それから、これだけじゃよくわかりませんが、きわめて大ざっぱでけっこうですから、もう少し、何年とか、あるいはその派遣されているときの待遇というようなものに関しても、あわせて御答弁をいただきたい。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点につきましては、前々から各方面から必要性が要望されております。それから、科学技術会議の累次の答申等から見ましても、ぜひ必要というか、拡充いたさなければならぬと考えておりましたので、こうした若干の予算等計上いたしたわけでございます。  その人員規模、あるいは待遇等につきましては、高橋局長から御説明いたさせます。
  27. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 ただいま大臣からお答えのございました国立研究機関研究員国内研修内容につきまして申し上げたいと思います。  派遣の予定人員は二十名でございまして、これは国立大学で行なっておりますところの受託研究員制度一環といたしまして研修を行ないたいと思います。期間は一カ年でございまして、大体大学院程度内容研修を受け得るように考えております。具体的な資格等につきましては、今後各省とさらに検討いたしたいと思っております。予算の内わけにつきましては、研修料といたしまして国庫に納入いたしますものが十二万円、そのほか旅費、滞在費等を考えております。以上でございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 これもまた必要なことですから、別途に後日の委員会で、もう少し掘り下げてお伺いをいたします。  その次に、科学技術普及啓発活動一環として、「テレビにより放送し、または地方巡回用利用する」映画づくりも行なう、こういう説明ですが、この「テレビにより」というそのテレビは、NHKもありますし、民放もあるわけですが、これは両方とも使う計画ですか。それとも、どちらかに片寄るのか。  ついでに私の意見も申し上げておきますが、やはり現在は人によりましてNHKをほとんど見ない人、テレビといえばNHKばかりな人もあります。したがって、両方を同じ回数使えるようにすべきではないだろうかと思うのですが、テレビ利用内容について……。
  29. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは現在こまかく検討中でございまして、的確にお答えできませんけれども、御案内のように、たとえば十二チャンネルは主として科学技術教育普及啓発ということに特に力を入れてやっておるわけでありますから、十二チャンネルも大いに活用いたしたいし、同時にまた、ただいまお話もございましたが、NHK等活用いたしたい、協力をお願いしたい、かように考えておるわけであります。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 これは十二チャンネルを主体にしようとなさるのかもしれませんが、逓信委員会のほうでまた必要があれば、違った意見の人も出てくると思いますので、後刻また質問いたします。きまってからひとつ内容をお伺いいたします。  次に、新技術開発事業団、これについて、引き続いて国産新技術開発促進のために、「調査部門人員増加をはかることとし、五億六千六百万円の政府出資金を計上いたしております。」この新技術開発事業団に関連してちょっと大臣のお考えをお伺いしておきたいのです。ややもしますと、新技術、新技術といってこれに目を向け、力を注ぐ傾向が、国の立場で見ても多いように思うのです。ただ、既存技術がその陰に没し去っていくようなきらいがあるように思いますが、新技術開発に力を入れるということは、同時に旧技術にもう一度思い切ったメスを入れ、それを土台にしていくところに新しい技術が生まれてくる場合もあるわけです。この既存の旧技術というものに対して、もう一度一応振り返るような、目を向ける機関、あるいはそのような方針を具体的にとっていく考え方、そういうものがなければ、新技術開発ということを考えるときに、一番必要な点が抜けているのじゃないだろうか、こう思うのです。旧技術既存技術に対して、やはりこれに思い切った、いまの新しい角度、新しい科学分野から検討を加える、再検討するということも、国としては忘れていけないことだと思うのですが、こういう点に何か機関があるのか、あるいはそういう方向を持った検討でもされているのか。いないとするなら、新たにそうすべきではないかと私は思うのですが、大臣所信を伺いたい。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともなお尋ねでございます。既存技術の、何といいますか、新しい活用ということを大いに考えなければならないと思います。  ただ、ここで具体的に御提案申し上げておりますのは、従来からやっておりますような、新規の技術開発ということになっておりまして、たとえば原子力等関係で若干継続的な補助対象になるものもあろうかと思いますけれども原委員のおっしゃっているような意味既存技術活用につきましては、ここに御提案しているものの中には入っておらないわけでございます。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣のおっしゃる点はわかっているので、関連していまちょっとお伺いしたのですから、それでけっこうです。ひとつあと検討を加えていただくように、この際特にお願いしておきます。  次に、四ページに、第三に宇宙開発の推進について説明があったわけです。これも、これに関連してちょっとお伺いしたいのですが、さきに中共が核爆発実験を行なったわけです。あの前後の学者あるいは新聞等の見解もそうなんですが、爆発物はできても、中共には運搬の手段がまだ未開発だ、したがって、爆発物ができても、運搬に対する技術開発というものが中共に完成されない限り、これが有効にといっていいのかどうか知りませんが、戦争等に効果を発揮するというわけには当分いかない、早くてもその面の開発に三、四年はかかるだろうというようなことをいわれたのを、聞いたり見たりしたことがございます。これは、科学技術庁でございますから、少なくともそういう種の意見が出ますと、日本科学技術庁当局としても、一体その説が当たっているのかどうか、これは私は全然わかりませんから、いろいろと国際交流もやっているでしょうし、中共直接には調べたことはないでしょうが、他の各国との交流の中から、ほかの国が知り得た資料等に基づいて、一応も二応も考えたのじゃないかと思うのです。一体いまここにロケット関係研究を相当力を入れてこれから日本もやるわけですが、これに関連した意味で、直接関係はないことなんですが、一体いまの中共の爆発に関する前後のその部分の所見に対して、科学技術庁としてはどういうふうに見ておられるか。これは私に教えていただく意味で、わかっている範囲でお答えをいただきたい。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは実はいろいろの意味で興味のある問題でございますので、私どもも、どういう規模でどういう見込みでどういうふうになるだろうかということは、非常に知りたいところなんでありますけれども、御案内のように、これという情報網もございませんので、ただ単に新聞に発表された外国側の情報その他で、憶測を入れて、こうではあるまいかという程度の見方をするにとどまるわけでございます。その点につきまして、私も専門的に御説明ができませんことを非常に遺憾と思いますけれども、一応外国側の情報から想像するところによると、初めに伝えられたよりはよほど充実した、高度の研究開発ではなかろうかというように、おおよそ想像ができるという程度でございますが、なおもう少し詳しくは、原子力局長もおりますから、御説明いたさせます。
  34. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま大臣から御説明がございましたように、特に私どものほうで中共の原子力研究開発、ことに軍事利用面を積極的に調べたわけでもございませんし、またおそらく調べましてもなかなか資料はないと思うのでございますが、平和利用面につきまして、私どもが承知しておりますことから類推いたしまして、ただいま大臣が申されたようなことが一応言えるんじゃなかろうかと思います。  それは、私どもの承知しておりますところでは、中共は一九五四年ころから、ソ連との間に原子力開発利用につきまして協力関係を持ちまして、一九五八年でしたかには、ソ連の供給しました熱出力で七千ないし一万キロワットの重水型の原子炉を北京郊外に建設され、これが運転されております。そのほか、未確認情報によりますと、重慶とか四川とかあるいは潘陽とかいうところに研究用原子炉があるというようなことも耳にいたしておりますし、さらに、最近中共が核実験をやりました前後に、アメリカ筋からの報道といたしまして、ずっと奥地の蘭州とか包頭とかウルムチとか、こういったところにもいろいろの原子力施設がある。たとえば再処理工場とかプルトニウム生産炉とか、あるいはまたウラン濃縮工場というようなものがあるようである。こういうこともごく最近に、アメリカあたりの報道として新聞などに載っておるようでございます。  その実態がはたしてどのようになっておりますかは、私ども確認の方法もございませんし、これらの未確認情報の正確性を申し上げる能力もございませんが、もしそのようなことが事実でございますとしますと、相当急速に原子力関係技術の水準が、ここ十年くらいの間に行なわれたんじゃなかろうかと想像されるわけでございます。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 どうもありがとうございました。  次に、第四の中ほどに、「このほかアイソトープ工場の整備、既設原子炉の維持運転、動力炉開発研究、燃料及び材料に関する試験研究等を本年度に引き続き実施することにいたしております。」このため日本原子力研究所に対して総額六十六億六千万円の政府出資を行なうことにした。  これには直接関係のないことなんですけれども、たしか原子力開発に公式に手を出し始めたのは、日本では三十一年だと思うのです。それ以来、国際原子力会議その他を通じても、いろいろの取り組みができて、特に日本の場合は、アメリカとイギリスとの技術交流というものが正式に約束され、定期的かどうか知りませんが、行なわれているはずだと思うのです。いま日本が新たに手をつけようとし、つけつつある問題かもしれませんが、高速増殖炉に関する関心は非常に高いし、当然これに手をつけなければいけないわけです。すでにこの面の研究においては、アメリカ、イギリス等は、日本と比べると非常に進んでおります。技術交流が正式に約束され、行なわれているとしますと、たとえばこの種の問題、高速増殖炉のごとき問題も、日本が新たに一からスタートして研究するのか、あるいは何かしようとしたときにこの技術交流という約束は非常に有効に働いて、現にアメリカ、イギリス等の持っているところまでの技術水準なり、これを中心にした施設等に関してまで、細部の技術交流という形で技術交換がお互いにできるものかどうか。これは一例ですが、原子力全体を考えましたときに、この技術交流というものを生かしていく形で——アメリカ、イギリスがすでに十年前からやっていたと同じように日本が何か新しくやるときには全部やらなければいけないという状態なのか、その点を一つお聞きしたいと思うので、たとえのために高速増殖炉を引いたわけです。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘のように、高速増殖炉の関係などが日本としては非常におくれているところであると思いますけれども、今回の予算でも御提案申し上げておりますように、日本原子力研究所においては、高速増殖炉の、たとえば臨界実験装置を完成する、それから建屋の建設を完成するというようなものを目標にいたしまして、具体的に着手をしておる段階でございます。先進外国とのいろいろの意味の経済協力は、できるだけこれを活用いたしたいと思いますけれども、同時にやはり日本としては自主的な立場で、原子力基本法に定められているようなところで、主体性というものはあくまで堅持してまいりたいというふうな考え方で、高速増殖炉も自力で、技術的な協力が必要なものはもちろん協力をもらうにいたしましても、自主的に建設していきたい、こういう考え方で進んでおるわけでございます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 長官おっしゃることはわかるのですけれども、自主的にもちろん当然判断もしなければいけませんし、取捨選択もしなければいけないのですが、自主的な判断をする材料として、少なくとも米英がいま持っている技術水準までを技術交流という立場で知り得ることができるのか、そこまではお互いに公開交流ができないのかということを知りたいわけです。
  38. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私の理解しておりますところでは、平和利用ということにわれわれは徹していきたいと思っておりますので、平和利用に関する限りにおいては、先方としても協力は惜しまないであろうと期待しております。しかし、同時にこれは相互的でございますから、だんだん進歩してくるに従っては、こちら側からの協力も惜しむべきではなかろう。これはしかし、あくまで平和利用ということで徹底していきたいと考えておるわけでございます。  たとえば、よけいなことになるかと思いますけれども原子力関係ではいろいろの意見も国内にあるようでございますけれども、現にたとえば原子炉関係の原料といいますか、ウランの関係などにいたしましても、日本がアメリカ、カナダあるいはイギリス等と条約、協定を結んでおります。こういうことについても、徹底して平和利用をやるということで協力を受け、かつこれに対しては国際原子力機関の査察も受けるということで、非常に徹底した、こちらとしては平和利用に限定しておりますから、そういう点から申しましても、平和利用ということに関する限りこちらも協力を受け、こちらも向こうに協力しなければならない、こういう、体制でいこうと思います。先ほど御指摘がございましたが、平和利用ということならば向こうは協力を惜しまないであろう、こういう期待を私は持っておるわけであります。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 炉そのものの問題を取り上げるときに、またもう少しこれもお伺いしてみたいと思います。  次に、原子船開発事業、このために、また新たに政府出資を七億一千五百万計上したわけです。大臣説明によりますと、「原子炉本体の製作及び船体の建造に着手」する、こういう御説明があったわけです。原子炉本体の製作という、その原子炉本体の内容一体何でしょうか。要するに、日本で製作するという、製作に関しても日本の国産技術で製作をするという意味なのか。本体とは一体どういうことを言うのか、原子炉の本体ですね、それをひとつ……。
  40. 愛知揆一

    愛知国務大臣 原子力船の問題については、原子炉もわれわれの手で自主的に建造をいたしたい。それから、船体は最も得意とするところだと思いますので、船体はもちろん建造を自主的にやるということで、すでに昨年の二月に原子炉の炉型も間接サイクル軽水型ということに決定されておりますので、これで進めていきたいというので、ただいま事業団のほうから会社側に発注、入札等の措置をとりつつあるわけでございます。  そこで、ただいまの御質問の要点だと思いますが、原子炉と船の本体と、どこに限界があるかということも関連すると思いますが、いままでの考え方といたしましては、これを一体として関係会社に建造してもらいたい、こういう考え方で現在まで進んできておるわけであります。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題の詳細は、三木委員からあとで御質問があるそうですから、そこでお答えを願いたいと思いますから、ペンディングしておきます。  それから、「以上のほか、原子力関係については、民間企業等の試験研究に対する助成費三億一千五百万円、国立機関試験研究費五億八千四百万円及び放射能安全対策の強化に必要な経費一億三百万円を計上」する、こう説明があるのです。民間企業の試験研究に対する助成費三億一千五百万というものを出そう、あるいは国立機関試験研究費に五億八千四百万を出す、これはいずれも継続的な研究費目の一部として出すようになっているのでしょうか。新しく何かいままでやっていないところに出すようになるのか、その点、明確に願いたい。継続的なものなのか、あるいは全然新たに、いままでにそういう助成をしていなかったところに出そうとするのか、これをひとつ伺いたい。
  42. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この民間企業等の試験研究の助成でございますけれども、これはまず研究委託費を交付する分がございますが、これは三十九年度に引き続いて原子炉施設の安全基準、その評価、それから動力炉の解析評価、放射線障害防止に関する試験研究というようなことが主たる内容でございます。  それから新規のテーマといたしましては、高速増殖炉関連技術開発、それから動力炉の解析評価の一環として新型舶用炉も研究対象とするということにしておるわけでございます。  それから 補助金を交付して実施させます分は、動力炉、の設計製作技術それから燃料及び材料の照射試験、それから放射線利用に関する試験研究、これらはおおむね三十九年度と同様の内容になるかと思います。  それから、国立試験研究機関原子力試験研究費でございますが、これは国立試験研究機関における原子力関係試験、これも大体前年度と同様で、核原料物質の調査、原子炉用材料の試験原子力船に関する試験研究、放射線化学並びにRI利用研究等でございます。それから、ヘリウム資源に関する調査については、今年度最終試験として試錐試験を実施する予定になっております。  概要は以上のような内容でございます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。  その次に 国立防災科学センターの予算もまた出されているわけですが、これに関連しまして、「地震に対する防災研究は一段と強化する必要がある」、こういっております。この地震に関する防災研究は、かつてこの委員会で何回も地震の予知という問題を中心に、当時の長官等からも御意見を伺ったり、参考人に来ていただいていろいろ論議したことがございました。古い話ですから、お伺いになっていないと長官にはわからないかもしれませんが、地震に対する防災研究一環として地震予知に関して、ちょうど三年半くらい前からの問題ですが、あの当時提案されたようなものがいま相当進んでいって予知というものに一歩前進した科学技術が何か生まれているのかどうか、あのままであまり進歩していないのか。必要があれば、やがてもう一度この予知という問題を別個に取り上げてみたいと思いますが、一応当時から見て予知という問題で少し前進したかどうか、これをひとつ、簡単でけっこうです。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 今度の防災センター関係の四十年度予算で申し上げますと、大型震動の実験装置を三カ年計画建設する、その初年度といいましょうか、四十年度におきましては調査費を計上するにとどめてあるわけでございまして、これから本格的な建設のための調査を行なうことになっております。  特に予知ということについての従来からの考え方の変化につきましては、局長から御答弁いたします。
  45. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。  去る三十八年の十一月に、御承知おきのとおり、日本学術会議から地震の予知に関します勧告が出されました。これに沿いまして、昭和三十九年に文部省の測地学審議会におきましてこの予知に対しますところの具体的な計画もお成りになりまして、同年の七月十日に建議がなされております。  ただし、御承知おきと思いますけれども、地震の予知ということにつきまして十年の計画ということがいわれておりますが、これはかって和達防災センター所長が当委員会におきまして参考人においでになりましたときのお話にもございましたように、十年たちますと予知が必ずできるというのではなくて、十年間種々の資料の収集並びにそれの解析研究を進めることによりまして、大体十年くらいのめどで、予知ができるかどうかというような科学的な判断の時期がくるだろうというような意味でございます。  したがいまして、そのような段階で進んでおりますが、予知に関します予算につきましては、四十年度に全体で一億六千万ほど予算が計上されておるのでございますが、そのうちの九千八百万ほど、一億に近いものは文部省関係の基礎的な研究費用でございます。  以上でございます。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、和達さんのおっしゃったあのときから見て、まだ十年たって予知ができるかどうかわからぬというのですから、あの当時と比べてみて、予知という点ではいまもてんで進んでいない。予知ができるようになりそうだとか、なったとかいうことさえも現在は目鼻がついていない、ということになるわけですね。
  47. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 おことばのとおりだと思います。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、大型震動実験装置の開発を三カ年計画でこれからやろうというのは、地震が起きたあと、ちゃんとはっきりつかまえようということをいまやる段階で、およそ予知に関係がない。やがてこれが集積されて、十年くらいたつと、予知ができるかどうかがわかる、その一部分としてこの大型震動実験装置をいま計画している、こういう理解でよろしゅうございますか。
  49. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 地震に対します科学技術的な対応のしかたといたしまして、一つは先ほど原先生の御質問がございました地震予知の問題、もう一つは現実に起きました場合の被害の軽減という立場からの研究でございますが、今回の防災センターの計画というものは後段でございます。
  50. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 関連。あとで私が質問することと関連がありますので、ちょっととっぴな質問でおそれ入るのですが、昨年地震が起こりましたときに、当然震度二くらいのものであるのに震度ゼロだというようなことを責任ある機関から報告された、そうしてどっちかといいますと、世間の笑いものになったというようなことで、われわれとしては非常に恥ずかしい思いがするのです。こういうところの責任なり、政府部内においての責任の所在はどこにあるのか。  それから、精巧な機械をもってやっておるはずなのに、なぜこんなことが起こり得るのだろうか。こういう点を私非常に疑問に思うわけであります。その点、簡単にひとつ伺いたいと思います。
  51. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 ただいまの問題につきましては、気象庁の業務関係のものだろうと思っておりますけれども、まことに申しわけございませんけれども、観測器装置そのものの技術的な問題であるかどうかということは、私ちょっとお答え申し上げられません。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 もう相当年数がたっているので、予知の問題だけを専門に、また一度ゆっくり伺わしてもらいます。  その次に、「一般的な資源の総合的利用方策の調査」という項目の中に、「東南アジア一次産品の資源的評価」をするのだということがいわれております。東南アジアの一次産品の資源的評価をしようというその材料、それから調査をする手段、そういうものをちょっと聞かしていただきたい。それだけでいいのです。
  53. 橘恭一

    ○橘政府委員 東南アジアの一次産品は、現在十八品目をこちらとしては考えております。たとえばコプラ、砂糖をしぼったサトウキビのかす、バガス、あるいは特殊の豆類、廃糖蜜、そういうようなもの十八品目を対象にしております。従来とも、それを対象にしまして、そういう品目ごとに、国別にどういうようなことをやれば実際に役に立つか、効果があるかという処方せんのようなものを作成するというのがねらいでございます。  従来は、御存じのとおり輸入できるだけはしておったわけでございますが、過日の国連の貿易会議で、とにかく先進国はもっと買うべきであるというような結論が出て、これに対応するためには、何かそこに新規の科学技術的な活用ができない限りは、やはり従来だめであったものはだめであろう。したがって、何か科学技術による資源の用途開発、用途転換、そういうものを生み出して局面の展開に資そうと考えております。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、国家的な経済目途といいますか、国際的な経済競争力、そういうようなものを高めたい、あるいはまた、それを利用するときに一体どういうものがあるのかをよく知りたいという、一にかかって経済的な目的、理由でこの資源的な評価をするのだということになるわけですね。
  55. 橘恭一

    ○橘政府委員 当然経済的な採算が立つという見通しをほぼ立てることに限って調査結果を発表したいと思っております。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 この調査結果の発表、調査段階、そういうものはどういう手段で発表しますか。国内に一般にやるのですか。それとも、何か機関誌等で、調査をするとその発表が自動的になされるようになっておりますか。特定の会社、特定のいわゆる業者などから依頼があったものに関して、その業者にのみ回答をするというようなことになるのか。一般的な公表の手段か。どういうふうに発表していくのか。
  57. 橘恭一

    ○橘政府委員 役所の刊行物をもって一般に発表します。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 次のページの、今度「OECD関係について、科学技術アタッシェ一名を日本代表部に常駐させる」、そのための経費を計上しているわけですが、このアタッシェ一名は、お聞きするところによりますと、何か国内における資格といいますか、待遇どもきまったものがあって、一号、二号とか号俸がきまっていて、その給料は、海外に行ってもそれに手当がどのくらいかついているというような、国内における同じ資格の者と同じ待遇をしているということになるのか。それが一つ。  それから、特に一般大使館員なら大使館員がいままで動いているために使っている費用のほかに、科学技術関係の特殊な調査、特殊な仕事というものも勘案した上で、特にこのアタッシェに対する費用の行動範囲といいますか、金の使い方の範囲というものが思い切って増額をされているというようなことになっているのか。その配慮がされているか。たぶん昨年でしたが、三木委員などがあちらに行って、帰ってこられた報告の中にも、この種のアタッシェの活動をしようとするときも、何か非常に旅費の問題もあり、費用の問題もあり、あるいは地点の遠いところから、いきなりあっちにもこっちにも飛んでいかなければならないということで、費用の面でも制約をされるというようなこぼし話を聞いたように記憶しているのです。そういうことをお聞きになったあと、特別にそういうことを少しでも考慮しようということを入れて、この一名の常駐を考えて予算の計上をしておられるかどうか。
  59. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはまあ結論的に申しますと、実はOECDに科学技術アタッシェ一名を常駐させることがようやく努力の結果できたわけでございます。それで、今回のこの定員増と申しますか、予算に関連して、格といたしましては大使館の二等書記官ということで常駐させることにいたしております。二等書記官、これは新三等級でございまして、ちょうどその格に該当する優秀な人に常駐させたいと考えております。  これは別のことになりますけれども、いま各省関係から、たとえば通産関係とか、農林関係、その他在外公館に常駐勤務者を出しておりますが、外交一元化というようなことから、全部これは外務省の系統に駐在中は入るわけでございますから、この二等書記官に特に科学技術調査費として金を渡すことはできないわけでございまして、その所属するOECD常駐の日本代表部員として、そして代表部の機構の中に入るわけでございますから、事実上大使等の協力を得て活動ができるようにしてもらいたいと、これはお願いをする立場にならざるを得ないわけでございます。将来の問題としては、御指摘のような点にさらに何らかの知恵を出さなければなるまいかと考えております。  それからなお、OECD関係では最近非常に会議も多うございますので、常駐する人のほかに、なるべくりっぱな人を長期出張をさせるようにしたい。そして、その人も、そのときどきにかえないで、できるだけ特定の人が長期に出張してOECD関係の諸外国の人たちと交わりを深めるようにしたい。こういうこともあわせこの年度にはぜひ実行してまいりたいと考えております。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 私も、原子力会議で実はその前後にあちらに行っておられる人々にお会いしたときも、やはりそういうこぼし話といいますか、非常に困難があることを聞いて、やはりこの委員会だったと思いますが、あとでお話をしたことがあるのです。昨年行かれた御報告を聞くと、まだ同じことを言っているんだなという感じがしたものですから、いま申し上げたのです。やはり特別扱いは無理かもしれませんが、お願いをする立場だというのですが、閣議などでもやはり科学技術振興というものを重点施策に考えている以上、海外におけるこの種の人々を常駐させようとか、あるいはずっと長く置こうというような考え方があればあるほど、その人の動きやすいように、費用の面では思い切ったその種の行動費というものが大幅に増額されるような努力を一段としていただかなければいけないんじゃないかという気がいたします。この点はお願いになりますが、ぜひひとつ、いま長官がおっしゃったように今後努力していただきたいと思います。  それから最後に、何といっても、いつのこの委員会でも言われることなんですが、技術者の待遇というものを相当程度改善しませんと、せっかく養成し、育成し、いよいよこれからほんとう研究ができると思われるような技術者が本腰が入らない、腰がきまらない。うっかりすると引っこ抜かれるというようなことすら起きやすいし、起きつつある。問題もちょいちょい起きる。原因は、やはりある意味では、国家的に見て、人材という点では科学技術者の払底という形が遺憾ながら出ている。そういうときに、特に科学技術庁あたりは、率先してこの技術者の優遇措置というものを思い切って推進をしていかない限り、国全体の科学技術振興というようなことも、逆にブレーキがかかるおそれがある。そういう意味の任務も科学技術庁は持っておられなければいけない。そう思うわけですが、大臣説明の中に、あるいは予算説明を見ましても、具体的に毎年言ってこられましたこの科学技術者の優遇措置が、きわ立って、これだけ苦労をして優遇するんだという予算ども見られませんし、そのことを配慮したあとが、極端にいいますと全然ないように思うのです。いつも毎年繰り返す当委員会における重要な討議の中でも、技術者の優遇というものを非常に大きく取り上げて、長官は歴代、ごもっともです、何とかしなければいけないと思っていますと言うのですが、思ったばかりで、それが一つもこの予算その他にもあらわれてこない。まことに遺憾だと思うのですが、それはやはり基本的に姿勢を直し、腹を据えて技術者の優遇措置というものはやはり考えていただかないといけないんじゃないかと思うのです。この点、もし私が見そこなっているなら説明を受けたいし、同時にそのお考えをお聞かせいただきたい。
  61. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは全くごもっともでございまして、実は私も昨年の夏就任して直後に、みずから人事院に出向きまして、研究職の待遇改善について特に努力を具体的に始めたわけでございます。なかなか思うにまかせませんけれども、その一つのあらわれかと思いますのは、昨年八月の人事院の勧告におきまして、これは研究職をどうするというところにはいきませんでしたけれども、俸給の中だるみの是正、それから研究の室長に対する俸給の特別調整額の適用の範囲を拡大するというような程度の改善は、人事院でも織り込んでくれたわけでございます。これは特別の款項をもって具体的に姿はあらわれておりませんけれども、こういったような点について、ほんのわずかという御批評を受けるかもしれませんが、努力のあとは若干は出ておるわけでございます。私はまだこんなものでとても満足はできませんので、さらにさらに一段の努力を続けたいと思っております。  それからなお、等級別定数を確保する、あるいは外国留学を多くする、あるいは在外研究員制度を拡大する、あるいは表彰制度を考えるとかいうような点につきましても、あわせて今後幅広く先端を拡大していって、政府部内の関心を高め、何とか所期の目的が貫徹できるようにやってまいりたい。その後も引き続き人事院等については、おりあるごとに——給与担当の機関である大蔵省との折衝というよりは、まず給与制度の上でこういうことを確立してもらうことが先決であると思って、その努力は今後もずっと続けてまいりたいと思っておるわけでございます。
  62. 福井勇

    ○福井委員 簡単に、希望を申し述べたいと思います。  最近、原子力船の設計が事業団でできて、いよいよ入札ということになってきたやさきに、各原子力会社がその提示を受けたところ、とてもこんなシビアななには請け負いかねる、また完成後の保証などについてもこれだけのものはのみ込めない、ということを新聞で発表しております。これが一社ならとにかく、日本の現在の各メーカーたちがそろって、これはとてもできないということは、もちろんこれは新聞面の活字において私は見ておるだけでございますが、非常に残念に思っております。すでに御存じのとおり、サバンナ号は非常に好調で、原子力商船、あるいはまたほかの平和利用の面における一つの代表選手としてりっぱな運航を続けておりますし、原子力砕氷船はソ連においてもりっぱに運航しておるようであります。日本は、今度の原子力船については、技術関係の人たちだけでなくて、日本国民の、平和利用における先駆としての非常に大きな期待を持っておるところでありますが、そこへ持ってきてああいう事態が起きるというのは、私たちは非常に残念に思っております。  と申しますのは、いままでに青写真をつくるのに、大体テンポがおそ過ぎる。日本で設計の資料は、ことごとく日本のものでやるわけではなくて、サバンナ号にしても、原子力潜水艦などにいたしましても、これは決して戦力のものではございませんから、アメリカにおいても数十隻の経験があり、またソ連においても二、三十隻の経験があるもので、基礎がその背景をなしておりますから、その青写真を今日までどのくらいかかってつくったかということについて、私は確かな資料をきょうここに持っておりませんが、受ける印象では非常にスローモーだ、そして慎重過ぎる。おそいことならだれでもやりますから、それらの点について、よく窓口である原子力局長のほうにおいて——私たちはその内容をいま説明してもらおうと思うのではありません。速度を上げて、りっぱな船を早くつくってもらいたいものだという国民の輿望にこたえるために努力が願いたいということが主体でありますから、おそくならないように、とくとその窓口において御注意をお願いたしたい。これで終わります。
  63. 愛知揆一

    愛知国務大臣 全く御同感でありまして、過去の経緯その他は福井先生よく御承知でございますから、特に申し上げませんけれども、ごく最近の状態は、二月一日にも事業団から造船七社に対して仕様書の説明を行ないまして、見積もりを要請したわけでございます。そして三月一日に指名競争入札を行なう予定で現在おるわけでございます。実はかた苦しく申し上げますと、事業団から正式に中間報告を私受けておりませんけれども、重大な関心をもって成り行きを見守っておるところでございます。ただいまも御指摘がございましたように、これは日本の国民をあげての期待でございます。大事業でございますから、ひとつ関係会社においても大いに奮発をしてもらって、予定どおり建造ができますように、またいろいろの点でひとつ大勉強してもらいたいとひそかに期待しておるようなわけでございます。この上ともに事業団と十分連絡をとりながら、必要によりましては、科学技術庁としてもひとつ何らかのあっせん工作を講じなければなるまい、かように考えております。
  64. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 科学技術振興に対する施策、このことに対する質問は、私、十六日の予算委員会でできればやりたいと思っておりますので、そういうことは省略いたしまして、ただ感じました点、それから最近の事象を一つ質問したいと思います。  それは、いま原さんの質問の中にありましたように、科学技術庁のあり方です。どこまでも人だ、特に技術を推進するのには、人材養成、確保、流出の防止をするということにあるという話がいま出たのです。もう一つ、私がいま何の気なしのような、とぼけたような御質問を申し上げましたけれども科学技術庁としては科学に対しては自信を持ってやっていただきたい。われわれは科学に対しては非常に無知でありますので、こうした新しい政府機関ができておるのですから、この機関が、いま地震の問題について質問いたしましたところが、これについても、気象庁のことであってわれわれとしてはあずかり知らぬ、ということでした。からに閉じこもることはやすいのですが、こういう古いからをひとつ破っていただいて、科学についてはわれわれは十分に注意しておるのだ、気象庁だろうが何だろうが、非科学的なものに対してはわれわれは断固としてあとに引かないのだ、ひとつこういう態度、気がまえを持っていただけたらと私は思うのです。政治に対する不信は、やはり非科学的なものに対する不信から出てくると思うのです。あるいは自由を束縛されたり、そういう問題に対しては非常に政治不信が最近出てきております。震度ゼロといって新聞に漫画がかかれ、いろいろやゆされました。それは単なるやゆじゃないと思います。政治不信の一つのあらわれだと思います。いまの原さんのお話につけ加えて、自主性を確立するだけじゃなくして、科学に対する矜持をもってこれをとっちめてもらいたい。科学技術庁から文句が出れば、国民は喜びますよ。私たちも、あれについて科学技術庁の見解をひとつ出してもらいたかったと思うのです。  その次の問題に移ります。原子力船の問題です。これはいま福井さんが言われましたように、私たちも、ああして三十八年八月ですか、日本原子力開発事業団が発足して、非常に国民は期待を持たされたわけです。私たち社会党としましては、平和利用なれば非常にけっこうなことではないかということで、これについては賛成してきたわけです。これで三十八、三十九、四十と三年たって、とにかく炉について研究開発して、いよいよ設計着工、こういう段階がきたときに、事業団が発注をしようとして入札をもくろむ、これに対して総スカンといいますか、拒否される。これでは私たちは心配でならないわけです。  そこで、そういう段階にないのか、なぜ拒否されたのかということを、もう少し明確にしてもらいたい。
  65. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ごもっともな御質問でございますが、ただいま福井委員の御質疑にお答えいたしましたように、新聞にああいうふうに報道されておりますけれども、現在のところ事業団として説明につとめると申しますか、何ということばが適当でございましょうか、関係会社に対していろいろと事業団としても一生懸命やっておるときでございますので、その内容等についてわれわれも承知しないわけではございませんけれども、事業団から正式の連絡がない今日におきましては、一つは契約の内容あるいは数字等の問題にもなりますので、ただいまの時点で私どもから数字をあげてその内容等につきましてお話し申し上げることはちょっと時期尚早かと思いますので、その点はひとつ事柄の性質上御理解をお願いいたしたいと存ずるわけでございます。  それからなお、ちょうどいい機会でございますので、科学技術者の待遇や海外流出について最初お触れになりましたので、実は私どももこの点について、たとえば日本科学技術者がどのくらい海外に流出しておるだろうか、具体的な調査も必要だと考えまして、文部省科学技術庁とが協力していろいろ調査をいたしております。不日大体の状況は発表いたしたいと思っておるのでありますが、たまたま中間的に科学技術庁の担当した調査を一応集計してみますと、海外に就職してしまいました研究者の数は、大学関係を除いた国立研究機関、民間企業等の関係では、十五人。それから、研究者の海外渡航は年々増加しておりまして、三十八年にはやはり大学関係を除いて約三百七十人を数えております。しかし、幸いにしてほとんどの渡航研究者は最長四年くらいで、先ほど申しました就職してしまった研究者を除きましては滞在最長四年未満で帰国しておるというふうに、科学技術庁の担当しました調査の中間的な集計ではなっておりますので、いい機会でございますから、ちょっと御報告申し上げておきます。
  66. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 大臣のそういう御説明でございますので、たって内容に入ろうというふうには思いません。ただ、私が思うのは、概観的なものでございますけれども、落札した一社だけが船体から原子炉まで全責任を負うということは、競争入札の方法は危険過ぎて引き受けられない、これはいま大臣がお触れになったようなことが原因で危険というのか。炉あるいは安全性、こういうものの上に立ってものを言っておられるのか。あるいは採算というために将来の見通しが立たないし、事業的に失敗すれば、金の面で失敗すれば、こういう意味か。その辺だけひとつはっきりしてもらいたいと思います。
  67. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは先ほど申しましたような事情でございますので、私の想像が入っておりますし、これを公式の説明とお聞き、取り願いますと、あとで取り消したり訂正したりしなければなりませんが、まあ、やはり採算の関係が一番大きな要素ではなかろうかと想像しておるわけであります。もちろん採算ということを申しましても、これはやはり私どもの大方針でございます安全性ということが関連すると思いますけれども、安全性を十二分に守って、そうして船体と一緒に採算を考えました場合に、民間会社としてこういう程度の入札に応じ得るかどうかということがかりに問題になるとすれば、やはり採算の問題じゃなかろうかというふうに想像いたしております。これらの点については、先ほど申しましたように、現在事業団がほんとうに一生懸命折衝してくれて、努力いたしておるわけでございますので、これ以上は、またいま申しましたことも私の想像でございますので、そういう意味合いでお聞き取りおき願いたいと思います。
  68. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 採算性の問題でしたら、どうせ第一船というものは採算性というものを無視して、日本原子力船の先駆となるのですから、そういった気がまえが朝野にあろうと思うのです。朝野ということばは悪いかもしれませんが、政府部内でも、民間のほうでも、そういう気がまえの上に立ってこれは計画されたものだろうと思いますので、いよいよの段がきて採算が合わぬからということでは私たちはどうかと思うのですが、その点はそのくらいにしておきたいと思います。  それから、第二点としてお聞きしたいのは、これはいま福井さんもお触れになりましたように、原子炉というもの、これはなかなか日進月歩の今日でありますので、日本原子力船に備えつけるためにはまだ開発が十分でないのかどうか。これは計画なり、いままでの話では、大体開発と建造、こういう問題は並行していこうという考え方ですけれども、何といいましても、われわれ一番重要に考えることは原子炉です。これが新聞によりますと、いま炉の種類といいますか、それは大臣も明らかにされましたけれども、しかしこれさえも明らかにしていないということが書いてある。それはぼかしてあるというようなことが書いてあるのです。そうすると、原子炉の開発あるいは見通しというものが立っていないのだろうかという心配を持つのです。その点どうですか。
  69. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一点でございますけれども、先ほど申しましたように、私の憶測の入った見解なんでございます。したがって、先ほど福井さんにお答えしましたように、造船会社はじめ、大いにここは勉強してもらいたいということを私は心から期待しておるわけであります。  それから、原子炉あるいは原子炉メーカーの立場で、安全性とか開発とかいうことについて若干の問題があるのではなかろうかというような趣旨のお話でございましたが、先ほど申し上げましたように、すでに昨年の二月、いまから一年前に間接サイクル軽水型ということにきめて、詳細な検討を進めておるわけでございますので、この点については、私は原子炉自体については心配はない、こういうふうに考えております。
  70. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 次に予算の執行状況ですが、三月に入札、大体そういう予定なんですが、本年政府の出してまいります予算は七億二千八百万円ですか、これだけ予算に計上しておりますが、これの執行状態は、三月一日に入札をするということになれば、これが執行できるという立場に立たなければならない。その執行にあたってのそれに対する国の予算ですから、その関係がどうなるのか。  なお続いて、三十六億ですから、残余の問題についてはどういう支払い状況になっているか。これも国民に明らかにしていただく必要があると思うのです。
  71. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは予定といたしましては、三月一日に競争入札をして、契約はできるだけ本年度中にしたいということであります。  それから、これには国庫債務負担行為の御承認をいただいておりますので、支払いの関係年次別に十分できるつもりでございます。その内容は村田局長から御説明いたします。
  72. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま大臣が申されましたとおり契約は本年度中にいたしたい、こういうことでございます。  四十年度予算に計上しております政府出資七億一千五百万円、これに民間出資二億三千八百万円を加えまして、約九億四千万円を四十年度の事業量として現在予算上予定いたしておるわけであります。  船価は、炉を含めて、ただいまお話しございましたように三十六億円を現在予定いたしまして、三十九年度の債務負担行為に掲げられておるわけでございます。この船価の支払い条件でございますが、これはもとより契約の際の契約のきまり方にもよるわけでありますが、四十年度一応九億四千万円の事業童を予定いたしましたときに、船価といたしましては約六億八千万円を考えております。これは大体実際に建造に着手いたしますときに四分の一というような従来の商方式を考えまして、その線からはじき出したものでございます。
  73. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 この原子力船につきまして、われわれが一番心配するのは安全性の問題です。この安全性の問題で、いま大臣の御答弁では、その研究も非常に着実に進んでいる。それから、安全性についても、船の構造とかあるいはそういう問題についても、確実に計画を立ててやっている、こういうことなんですけれども、要はこの原子炉がいかに自信に満ちたものであっても、それから出るところの放射能による海水の汚染、その対策、事故、原子炉それ自体の安全性、こういうものが私たちとしては非常に心配するわけなんです。そういう点については、一体この事業団がその責任を持つのか、あるいは政府が持つのか、さらにはこれを引き受けたところの会社が持つのか。これは将来事故が起った場合にはきっと問題になろうと思うので、この三者の責任を明らかにしていただかなければならない。  私たちも、この問題についてはスムーズなかっこうで進捗していると思っておった。そうしたところが、伏兵があったというか、けつまずいたわけです。けつまずいたということになれば、われわれとしては非常に新しい科学利用しよう、技術の先端を行こうとする者としての弱点にぶつかったと思うのです。それは危険な場合がありますし、採算がとれぬという場合があります。そういう問題にぶつかっておりますから、さて採算の点はいまちょっと伏せてくれという話ですから、伏せまして、安全性の面で非常に心配するわけなんです。そういう点は、法的にわれわれも研究していないので申しわけないのですが、一体こういう状況になればどこかに責任が転嫁されないかという心配を持つわけです。
  74. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この原子炉の安全性の問題につきましては、これは法律の規定するところに基づきまして、従来から原子力船の場合においては発注者であるところの事業団が、法規に従って原子炉の安全審査を求める。そして安全審査委員会の承認がなければ運航ができない。ですから、原子炉の安全審査につきましては、法律の命ずるところに従って厳格にやるということ、これはもう第一の必須条件であると考えます。そして、ただいままでのところは、この型の、現在設計になりましたこの原子炉は、十分日本の厳重なる安全審査に合格するものであるという確信で進めてきておるわけでございます。
  75. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そういたしますと、技術もだいじょうぶだ、十分開発できた、それから責任の所在は法に従って安全審査会に求められるのだから、国の責任においてその安全は保証するということですね。その責任の所在は明らかになりました。  そこで、もう一つ安全性について、サバンナ号についてもかなりの規制があるわけなんですが、日本においても、この安全規制というものを当然立てなければいかぬのではないかと思います。いま道路建設がどんどん行なわれまして、高速道路が東京都にもどんどんふえました。しかしながら、それと同時に人命の安全という措置がなされていないということが、いま非常に世論になっているわけです。道路だけ先へいった。そしてその次の施策というものがあとになったために、各地に問題が起こっておるというところでして、やはりこういうような先端的なものができるということになれば、建設、建造計画と同時に、国としてもそれに対するところの安全規制というものを並行させていかなければならぬと思うのです。これについて大臣所信をひとつ明らかにしてもらいたい。
  76. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまお話の中にもございましたが、たとえばサバンナ号が日本に来るというようなことをかりに考えてみますと、国際条約はできておりますし、十分の審査はできる体制にあると私思いますけれども、さらに運航上の安全その他という点から申しますと、よりよくするために、場合によればさらに立法が必要ではなかろうか。この点につきましては寄り寄り検討中でございます。場合によりましたら、あまり遠からざる機会以内に、そういったような法律案等の御審議をあるいは願うことになろうかもしれない。そういうような気組みでいまいろいろと勉強いたしているところでございます。
  77. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 原子力船の問題につきましては、これでおきます。  この前私が要求いたしましたスレッシャー号の沈没事件、米国は、原子力潜水艦についてはやはり安全性に危惧の念を持っておるという発表をいたしました。したがって、日本としても、米国の言っておることをそのまま受けて、原子力委員会が、米原子力潜水艦は原子力委員会の総合見解として安全であるという判定をされた。しかしながら、その判定というものは、情勢が変わったと見られるのかどうかということから、その見解を求めたわけですが、いつ見解の表明をいただけるのか。私は十六日に予算委員会でその問題も触れてみたいと思いますので、できれば早くその見解をいただきたいのですが、どういう見通しかということ。  それから、いま原委員質問の中にもありましたように、宇宙ロケットの打ち上げをめぐりまして、東大のロケットが非常に成功した。具体的にどんな面で成功したのかという点も文書によって委員会に御報告いただきたい、これを要求しておったんですが、それはいつになるんですか。  この二点を質問いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  78. 愛知揆一

    愛知国務大臣 スレッシャー号の問題につきましては、ただいま原子力委員会で文書をつくりつつありますので、なるべくすみやかに御提出申し上げます。これはそのときにいろいろ御議論を承ることにいたしたいと思います。  要するに昨年八月、わが国原子力委員会が統一見解というものを出しました。あの内容は、御承知のように、アメリカ側がこれこれこれこれの保証をそのまま実行する場合においては国民生活に安全であろうという、こういう見解を出したわけでありますが、あの見解の出されました前のアメリカとの外交ルートを通しての累次にわたる往来のときには、すでに一昨年六月から昨年の七月にかけて行なわれたスレッシャー号没沈に関する米国の両院原子力合同委員会公聴会の内容というものは、アメリカ側としては十分承知をして、それを検討した上で、昨年八月にアメリカ側が日本に保証を与えておったということがあらためて判明いたしたわけでございます。したがって、本年の一月にアメリカ側が発表いたしましたあの文書は、あの内容は、すでに一昨年の六月から昨年の七月当時までの間におきまして、十分承知の上でアメリカとしては日本に保証を与えたということがはっきりいたしておりますので、この問題については、原子力委員会の昨年八月の統一見解というものは、何ら変更する必要はない、こういうのが御回答申し上げる内容になろうかと思います。  それから、東大の打ち上げましたロケットの関係につきましては、実は文書で御要求がありましたことを、私うっかりしておりまして、いままで知りませんでしたけれども宇宙開発推進本部あるいは東大自体に照合いたしまして、さっそく書類で御報告することにいたしたいと思います。
  79. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 ただいまの東大のラムダ3型2号機の打ち上げに関しまして、さっそくに東大の宇宙航研のほうに連絡いたしましたところ、観測の結果のデータの解析につきましてはなお三カ月余を要するそうでございますので、その点につきましての結果についてはまだ入手することができません。したがいまして、打ち上げ後、観測の開始までに至りますところの工学的な過程と申しますか、その点につきまして二、三連絡がございましたので、この機会に御報告申し上げたいと思います。  今度の観測におきまして、四つほど特徴があったわけでございます。その一つは、ロケットの二段目と三段目にそれぞれ観測機器を備えておりますけれども、これを同時に、要するに一基をもちまして二基分の観測をすることができたというのが一つの特徴だそうでございます。そのほか少し技術的にわたりますけれども、たとえば三段目のロケットの燃焼を終わりましたあとに、ロケットの先端のノーズコーンの開披というものを事前に行ないまして、これが空気中に暴露されるとか、あるいは三段目の搭載機器によりますところの、いろいろな約十五種類にわたりますところの科学的な観測の結果を、十二チャンネルのテレメーターで全部観測いたしましたようなこと、あるいは二段目の受信用のアンテナがロケット切り離し後、自動的に外部に対する伸展、あるいは大気光を従来は昼間のみに測定いたしておりましたものを、今度は夜間におきましても初めて観測することができた、こういうような点がおもなる工学的な過程におきまするところの結果でございます。  物理的な観測のデータにつきましては、先ほど申しましたとおり、なお解析に三ないし四カ月かかる。入手次第御報告申し上げます。
  80. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 南方洋上にその観測機器が落とされて、それから出てくるデータというものは当然時日を要すると思うです。いま現在で非常に精巧であった点を、いま概略的なお話がありましたけれども、たとえば十五種類の機器を積んで、それはどういうものであるかということも、新聞程度の発表だけしていただかぬと、科学技術の特別委員会ですから、もう少し詳しく文書でお願いしたい、こういう意見を持っております。  以上です。
  81. 愛知揆一

    愛知国務大臣 よくわかりました。文書で御報告申し上げます。  それからなお、場合によりましたら、高木教授から機会を見てお聞き取りを願いたいと思います。
  82. 岡良一

    岡委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十一日木曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。         午後三時二十二分散会