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1965-02-03 第48回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月三日(水曜日)    午後二時十二分開議  出席委員    委員長 岡  良一君    理事 佐々木義武君 理事 前田 正男君    理事 田中 武夫君 理事 原   茂君    理事 三木 喜夫君       秋田 大助君    荒木萬壽夫君      小宮山重四郎君    坂田 英一君       野呂 恭一君    渡辺美智雄君       石野 久男君    日野 吉夫君       内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         科学技術政務次         官       纐纈 彌三君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    梅澤 邦臣君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    江上 龍彦君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君  委員外出席者         科学技術事務次         官       井上啓次郎君     ————————————— 二月二日 委員小渕恵三君辞任につき、その補欠として野  呂恭一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の  基本施策及び昭和四十年度科学技術庁関係予算  に関する説明聴取)      ————◇—————
  2. 岡良一

    岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、愛知国務大臣より科学技術行政に関する所信を承ることといたします。愛知国務大臣
  3. 愛知揆一

    愛知国務大臣 現代は、科学技術時代であり、科学技術発展の成否が国の繁栄を支配する時代であるといわれております。  戦後の荒廃からすみやかに立ち直った今日のわが国繁栄がいまや世界の驚異の的となっておりますことは、御承知のとおりでありますが、このことは、わが国における科学技術の目ざましい進歩発達に負うところきわめて大であったことは申すまでもありません。しかしながら、従来の科学技術発達は、わが国先進諸国のすぐれた技術を導入し、よくこれを消化し得たことによることもいなみ得ない事実であります。  科学技術庁長官といたしまして、私は、科学技術進歩の上に重要な役割りをになうべき政府の使命を深く肝に銘じ、科学技術振興をはかることこそ今日における政府に課せられた急務であると確信し、いまやわが国は、まず先進諸国に伍していくことを念じ、さらに進んではこれに先がけて平和利用に徹した独創的科学技術開発に向かって格段の努力を傾注しなければならないときであることを痛感する次第であります。  このような観点に立ちまして、私は、昭和四十年度におきましては、次の諸施策を強力に実施してまいる所存であります。  まず第一は、原子力平和利用であります。最近における海外諸国原子力開発利用に対する意欲にはまことに驚嘆すべきものがあり、その技術は一段と進歩しておる状況であります。  エネルギー資源に乏しいわが国におきましても、エネルギー政策上、原子力開発利用をさらに積極的に推進することがきわめて肝要であると考える次第であります。このため、国内における原子力平和利用研究開発体制整備強化につとめ、特に、その中核的役割りを果たす原子力開発機関の一そうの充実をはかってまいる所存であります。  すなわち、日本原子力研究所におきましては、組織運営改善をはかって研究体制整備を進めるとともに、動力炉国産化に必要な材料試験炉及び高速増殖炉研究開発促進することといたしております。また、原子燃料公社におきましては、今後わが国原子力発電推進し、自主的な核燃料利用体制を確立する上できわめて重要な使用済み燃料の再処理施設建設及びプルトニウム燃料有効利用をはかるために必要な研究開発等を一段と促進いたしたいと存じております。  さらに、日本原子力船開発事業団におきましては、原子力第一船の開発推進するため原子炉本体製作及び船体の建造に着手いたす所存であります。  第二は、宇宙開発であります。宇宙開発につきましては、気象衛星通信衛星等に見られるように宇宙開発の成果がすでに実用化の段階にまで達しております世界の趨勢に対処し、国として昭和四十五年度国産実用人工衛星を打ち上げることを目途に、その研究開発を一段と強化してまいる所存であります。このため、昭和四十年度におきましては、大学関係協力のもとに宇宙開発を総合的かつ効率的に遂行するための具体的な宇宙開発計画を策定するとともに、昨年発足いたしました宇宙開発推進本部及び航空宇宙技術研究所ロケッ卜部門充実をはかることといたしております。  第三は、科学技術振興基盤強化であります。すなわち、かねて懸案の科学技術長期計画の策定につきましては、所要体制整備し、本格的にこれに取り組むことといたしております。さらに、研究学園都市建設につきましては、昨年十二月総理府にこれが推進本部の設置を見、当庁といたしましても、計画のとおり完成を目ざして鋭意努力いたす所存であります。  また、原子力宇宙開発電子技術等の諸分野での科学技術進歩発達に不可欠な非金属無機材質基礎的総合的研究を飛躍的に推進するため、非金属無機材質基礎研究所を設立すべくその準備を進める考えであります。  なお、科学技術振興のためには不可欠なすぐれた科学技術者を養成し、確保するため、研究公務員の資質の向上並びに処遇の改善につきましても一段と努力いたす所存であります。  第四は、防災科学技術公害防止科学技術等重要総合研究推進であります。当庁といたしましては、昭和四十年度におきましては、特別研究促進調整費を大幅に増額し、その積極的な推進をはかる所存であります。特に、自然災害及び公害問題につきましては、昨年六月の新潟地震や例年大きな被害を及ぼしておる豪雪、豪雨、台風などに見られますようにわが国はまれに見る自然災害の多い国であり、これらによる被害はまことに甚大なものがあります。また、近年における産業の急速な発展に伴う大気汚染水質汚濁騒音振動等公害国民日常生活に大きな影響を与えておりますことは、まことに遺憾とするところであります。  私は、今後とも社会開発の一環といたしまして自然災害ないし公害防止あるいはこれら被害の軽減をはかり、経済発展と調和のとれた住みよい生産環境を実現するため、前申し述べました特別研究促進調整費大幅増額あるいは国立防災科学技術センター強化等を通じて防災科学技術並びに公害防止科学技術の確立を促進してまいる所存であります。  第五に、国産技術開発につきましては、国立試験研究機関の一そうの活用をはかるとともに、新技術開発事業団及び日本科学技術情報センター強化拡充し、発明実施化助成科学技術者顕彰等一連の措置を実施する考えであります。  さらに、科学技術映画製作地方科学技術会議開催等を通じ、国民全般に対する科学技術知識普及啓発を一そう推進いたす所存であります。  第六に、最近の急激な資源利用構造の変動に対処するために必要な諸調査の一そうの拡充を行なうとともに、今後は、国際的視野に立って、資源総合的利用を強力にはかってまいりたいと考えております。  最後に、科学技術国際交流についてでありますが、近年科学技術研究は、宇宙原子力分野における研究に見られますように国際的規模における共同研究情報交換が必須の要件となっておるのであります。このため、昭和四十年度におきましては、科学技術に関する対OECD活動強化するため、OECD日本代表部科学技術アタッシェを常駐させ、また、国際原子力機関の第九回通常総会を東京において開催し、その他科学技術者交流を一段と活発化する等、科学技術に関する国際協力を強力に推進してまいる所存であります。  以上、当面考えておりまする施策の大綱を申し述べたのでありますが、わが国科学技術振興重要性に思いをいたし、微力ながらあらゆる努力を傾けてまいりたいと存じております。何とぞ本委員会皆さまにおかれましても一そうの御指導、御鞭撻を賜わりますよう心からお願いを申し上げます。
  4. 岡良一

    岡委員長 以上で大臣の所信表明は終わりました。     —————————————
  5. 岡良一

    岡委員長 この際、纐纈科学技術政務次官及び井上事務次官より発言を求められておりますので、これを許します。纐纈政務次官
  6. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 私は、佐藤内閣成立直後新しく科学技術政務次官を拝命いたしました纐纈彌三でございます。  科学技術の問題につきましては全然無知でございまして、その任ではないことを痛感いたしておりますが、今後勉強いたしまして、長官女房役として、よき女房役には足りないかもしれませんが、十分努力をいたして重責を果たしたいと考えておりますので、今後とも皆さまの御鞭撻と御指導を切にお願いいたしまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。(拍手
  7. 岡良一

  8. 井上啓次郎

    井上説明員 私は、昨年の十一月二十日付で科学技術庁事務次官に任命されたものであります。  微力ではございますが、わが国科学技術振興のために全力を尽くす所存でございますので、何とぞ今後ともよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 岡良一

    岡委員長 引き続き、昭和四十年度科学技術庁関係予算の概況について、小林官房長より説明聴取することといたします。小林官房長
  10. 小林貞雄

    小林(貞)政府委員 昭和四十年度科学技術庁予算案について御説明を申し上げます。  昭和四十年度科学技術庁予算要求額は、歳出予算額百八十四億七千万円、国庫債務負担行為額十七億八千七百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳出予算額で十五億四千八百万円の増額、比率において九・一%増となっており、国庫債務負担行為額七十一億一千八百万円の減額となっております。  次に、予算要求額中おもなる経費につきまして、その大略を御説明申し上げたいと思います。  第一に、科学技術振興基盤強化につきましては、一億九千万円を計上いたしました。  まず、科学技術の画期的な振興をはかるため、国として総合的な科学技術振興長期計画を策定することとし、これを担当するため新たに調査官を一名増員するとともに、必要な経費を計上することにいたしました。  次に、研究学園都市建設につきましては、本年度に引き続き、試験研究機関等集中移転に伴う共同利用研究施設等のあり方及びその規模並びにその運用方法等について、調査を行なうため必要な経費を計上いたしました。  また、最近における原子力電子技術及び宇宙開発等の諸分野における科学技術発展に伴い、これに不可欠である材料の品質、性能の向上及び新材料創製等をはかるため非金属無機材質基礎研究所、仮称でございますが、これを新設する必要がありますので、明年度は、さしあたり、その建設等に必要な各般の調査を行なうため必要な経費を計上するとともに、その設立準備室を新設することにいたしました。  試験研究機関人づくり推進につきましては、従来の海外留学制度のほか、新たに国内留学制度を設けることとし、理工学関係研究者等国立大学に再教育のため派遣するために必要な経費を計上いたしました。  科学技術普及啓発活動強化につきましては、本年に引き続き、地方ブロック別科学技術振興会議開催するほか、新たに青少年及び婦人を対象に科学技術普及啓発用映画製作し、これをテレビにより放送し、または地方巡回用利用することといたしました。  第二に、国産技術開発促進情報活動強化につきましては、九億九千百万円を計上いたしました。  まず、新技術開発事業団につきましては、本年度に引き続き国産技術開発促進するとともに、将来一そうの発展を期するため新たに実験調査費を計上するとともに、調査部門の人員の増加をはかることとし、五億六千六百万円の政府出資金を計上いたしております。  次に、発明実施化試験助成につきましては、最近における実施化試験規模拡大化傾向にかんがみまして、その円滑な実施をはかるため、補助単価を改定することにいたしました。  日本科学技術情報センターにつきましては、情報活動を一そう強化充実するため、情報発行回数及びページ数増加をはかるほか、新たに中小企業向け海外技術情報を発行することにいたしております。また、三十九年度より継続しております合同ビル建設につきましても必要な経費を計上することとし、総額三億九千五百万円の政府出資金及び補助金を計上いたしました。  第三に、宇宙開発推進につきましては、宇宙開発推進本部及び航空宇宙技術研究所ロケット関係研究費を合わせて総額七億六千百万円を計上いたしました。  宇宙開発推進本部におきましては、従来から開発してまいりました気象観測等実用化ロケット研究について、明年度において一応の結論を出す計画のもとに試作ロケットの本数を増加し、実験強化をはかることといたしました。また、人工衛星の打ち上げにつきましては、国として、大学関係協力のもとに、国産実用人工衛星を打ち上げることを目途研究開発促進いたしてまいりたいと考えております。  第四に、原子力研究開発利用推進につきましては、百三億四千三百万円を計上いたしております。  まず、日本原子力研究所におきましては、本年度より本格的整備に着手いたしました材料試験炉の工事を年次計画に従って進捗させるほか、高速炉開発では臨界実験装置完成、建家の着工等を行なうことにいたしました。また、高崎研究所におきましては、大型加速器完成をはかって工業材料試験を本格的に実施することとし、このほかアイソトープ工場整備既設原子炉維持運転動力炉開発研究燃料及び材料に関する試験研究等本年度に引き続き実施することにいたしております。このため日本原子力研究所に対し総額六十六億六千万円の政府出資を行なうことにいたしております。  次に、原子燃料公社におきましては、本年度完成する山元製錬試験工場本格的操業に必要な経費を計上するほか、人形峠及び倉吉地区等における核原料物質の探鉱を本年度とほぼ同様の規模実施することにいたしております。また、使用済み燃料の再処理施設建設につきましては、これに必要な技術開発を行なう経費として二億円及び国庫債務負担行為三億九千九百万用を計上いたしました。その他原子燃料研究費等を含め原子燃料公社に対し、総額十九億六千六百万円の政府出資を行なうことにいたしております。  次に、日本原子力船開発事業団につきましては、原子力第一船の建造費を大幅に増額いたしましたほか、第一船建造に関連する開発研究費等を含めまして政府出資金七億一千五百万円を計上いたしました。  以上のほか、原子力関係につきましては、民間企業等試験研究に対する助成費三億一千五百万円、国立機関試験研究費五億八千四百万円及び放射能安全対策強化に必要な経費一億三百万円を計上いたしております。  第五に、防災科学技術等重要総合研究推進につきましては、七億二千八百万円を計上いたしました。  まず、国立防災科学技術センターにおきましては、本年度より着工いたしました雪害実験研究所の諸施設完成させるとともに、波浪等観測塔施設整備をはかることにいたしております。また、地震に対する防災研究は一段と強化する必要がありますので、大型震動実験装置開発を三カ年計画実施する計画のもとに、その調査費を計上いたしました。  また、特別研究促進調整費につきましては、防災公害その他重要総合研究につき一そうの推進をはかるため、本年度予算額より一億円増額し、五億円を計上いたしました。  第六に、資源総合的利用方策調査につきましては、五千八百万円を計上いたしました。  まず、一般的な資源総合的利用方策調査につきましては、従来からやっております継続調査のほか、新たにわが国が当面しております諸問題のうち、水資源関係、東南アジア一次産品の資源的評価及びわが国資源国際競争力等に関する調査実施することにいたしております。また、資源総合利用方策実証的調査につきましては、LPガス冷凍漁船への利用及び炭焼き廃煙有効利用について助成することにいたしました。  七第に、国際交流促進につきましては、五千八百万円を計上いたしました。  まず、経済協力開発機構OECD関係につきましては、科学技術アタッシェ一名をOECD日本代表部に常駐させるとともに、各種委員会に積極的に参加することとし、また、わが国科学技術政策について調査するため明年度機構から派遣される調査団に対しまして協力するための必要な経費も計上いたしました。  次に、国際原子力機関につきましては、本年秋ごろわが国開催予定の第九回通常総会に対する協力費を計上いたしました。また、日米科学委員会天然資源開発利用に関する日米協力等につきましては、それぞれ所要経費を計上いたしましたほか、科学技術者交流につきましてもその増員をはかっております。なお、第三回アジアエレクトロニクス会議開催について必要な経費を計上いたしております。  最後に、所管研究所整備充実につきましては、四十八億四千百万円を計上いたしました。  まず、航空宇宙技術研究所におきましては、ロケット関係並びに垂直及び砂距離離着陸機関係研究施設整備を重点的に実施することとし、宮城県角田市に支所を新設する等、垂直離着陸研究設備及び営繕等施設費二億円を含めて総額十六億三千九百万円を計上いたしました。  次に、金属材料技術研究所におきましては、材料試験部の建物の一部完成クリープ試験機整備等をはかるため、三億二千万円、その他一般試験研究施設整備等に六億六千二百万円、合計九億八千二百万円を計上いたしました。  放射線医学総合研究所につきましては、特別研究強化養成訓練部における研修課目増加等をはかるため、五億二千六百万円を計上いたしました。  次に、理化学研究所におきましては、建設中の研究本館大型サイクロトロン等につきまして、年次計画に従い八億三千百万円を計上するとともに、農薬研究室の増設、宇宙線測定研究特別事業等に必要な経費等をあわせて総額十六億九千四百万円の政府出資金を計上いたしました。  以上、昭和四十年度科学技術庁予算のうち重要項目についてその大略を御説明いたしましたが、このほか、原子力損害賠償補償契約に関する法律の施行に必要な国の契約限度額一般会計予算総則において八億円と定めることにいたしております。  以上が予算の大要でございます。
  11. 岡良一

    岡委員長 以上で説明聴取を終わりました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明四日、木曜日、午前十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十九分散会