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1965-05-12 第48回国会 衆議院 運輸委員会安全輸送対策に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十二日(水曜日)     午前十時二十五分開議  出席小委員    小委員長 進藤 一馬君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       關谷 勝利君    久保 三郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       内海  清君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運 輸 技 官         (船舶局長)  芥川 輝孝君         運輸事務官         (船員局長)  亀山 信郎君  小委員外出席者         運 輸 委 員 山村新治郎君         厚生事務官         (社会保険庁医         療保険部船員保         険課長)    岩佐 武雄君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      山中 義一君         運 輸 技 官         (船舶局検査制         度課長)    内田  守君         海上保安官         (警備救難部         長)      猪口 猛夫君         郵政事務官         (電波監理局無         線通信部航空海         上課長)    赤塚新三郎君         労働事務官         (職業安定局失         業保険課長)  道正 邦彦君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 四月二十六日  小委員小渕恵三君同月九日委員辞任につき、そ  の補欠として小渕恵三君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  小委員内海清君同月十四日委員辞任につき、そ  の補欠として内海清君が委員長指名で小委員  に選任された。 五月十一日  小委員内海清君同月七日委員辞任につき、その  補欠として内海清君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  安全輸送対策に関する件      ————◇—————
  2. 進藤一馬

    進藤委員長 運輸委員会安全輸送対策に関する小委員会を開会いたします。  安全輸送対策に関する件について調査を進めます。  本日は海上における安全輸送について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 厚生省最初にお伺いしたいのでありますが、現在の海難というか、そういうものの原因には労働力不足というものが一つございます。労働力不足が直ちにではありませんが、それと関連して労働の質というか、そういうものの低下、これがあるわけであります。そういうことからして、たとえば操船の誤り、知識の欠如、そういうことが原因になって海難事故がかなり多いというのは御案内のとおりであります。そこで、それに関連してお伺いしたいのは、いわゆる船員の質を高めていくということであります。これはとりもなおさず再教育、再訓練、たとえば海技免状にすれば上級のものを取らせていく、こういうようなことも一つあるわけです。  そこで現在の船員保険法にきめられておる失業保険あるいは訓練手当、そういうものについてお伺いするのでありますが、一般の失業保険船員保険法の中での失業保険制度というか、そういうものの大きな差異はございますか、大体同じですか。
  4. 岩佐武雄

    岩佐説明員 概略的には差異はないと存じております。ただ、保険金を支給いたします期間につきまして、船員保険におきましては資格期間船員に限って一カ年のうち六カ月以上承継者であることを要し、かつその保険金支給期間が六カ月である。この一種類しかないわけであります。陸上におきましては三カ月、六カ月、九カ月というふうに各期間が分かれております。その辺が大きな違いであろうと存じます。
  5. 久保三郎

    久保委員 その違いというのは、何か理論的に根拠があるわけでしょうか。いまお話しのとおり、船員のほうは六カ月限度陸上においては九カ月限度、この理論的な根拠はございますか。
  6. 岩佐武雄

    岩佐説明員 船員の場合におきまする失業保険適用に関しましては、船員保険の被保険者にするということは、強制保険でございますので当然でございますが、その中から船員失業保険関係だけの適用を除外する規定が設けられております。これはなぜかと申しますと、臨時的業務であるとか、期間を四カ月に限って雇用されるとか、そういった方々は除外するという形になっておるわけであります。そういたしまして、なお一方漁船関係におきましては、特に年間におきまする操業規制が加えられておると思います。したがいまして、その間、従来の形からまいりますと、当然失業ということが起こり得るわけでございます。その辺のところに関連いたしまして、六カ月間一本の形をとっておるのではないかと存じます。
  7. 久保三郎

    久保委員 これは、いまのような理屈というか、そういう理由で差があるということでありますが、実は、この差は、理論的にもそう大きな根拠はないと私は思うのですね。制度として失業保険制度ということになりますれば、当然、陸も海も同様ということのほうが妥当だと思うのです。  これに対して、船員局長がお見えになりましたから、関連してお尋ねするのでありますが、こういう制度について厚生省との間にいままで意見の開陳があったかどうか、交換があったかどうか、いかがですか。
  8. 亀山信郎

    亀山政府委員 特にこの問題、つまりただいま御質問の船員保険法立法政策の根本にかかわる問題について、私は失業保険について意見は交換したことはございませんけれども、失業保険の運用については、具体的な問題としてはしょっちゅう保険課長のほうと連絡はとっております。
  9. 久保三郎

    久保委員 これを陸上と同様に九カ月を限度にするということについて、厚生省当局としては考えておられないのですか。
  10. 岩佐武雄

    岩佐説明員 御承知のように、船員保険法改正にあたりましては、事前に社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会等に諮問をするわけでございますが、そういった際の従来の経過の中には、九カ月にしたらどうだという話は出ておったことはございます。ただいまのところまだ具体的にはそういう考えをかためておるわけではございません。
  11. 久保三郎

    久保委員 実は先ほど冒頭に申し上げたように、失業保険といわゆる再教育訓練というか、そういうものとの関連を考えた場合、たとえば遠洋に出るカツオマグロというか、そういうものを一つ例にとりますと、これは海外におけるところの漁場にいくものが大半であります。その航海日数というか、操業日数は、御承知のように、長いものは三年近くもかかる、短くても大体二年だろうと思うのです。ところがいま申し上げたように、再教育訓練をする、あるいは海員免状をさらに上級のものをとるという場合に、その機会が実はなかなか得られないということが一つ原因になっているわけです。でありますから、そういうものを全部九カ月にしてカバーできるかというと、これはなかなかむずかしいと思うのです。しかしある程度そういう面からも九カ月という制度が片方にあるのだから九カ月にしていくことが妥当ではないか、そうして多少なりともそういう再教育なりあるいは訓練機会を与えるということが当然とられるべきではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。その問題についてあまり考えておられないようだけれども、今後検討をすべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  12. 岩佐武雄

    岩佐説明員 先生のおっしゃるとおり、再教育ということはいま時代の要請になっておるやにお伺いいたしております。これは必要であろうと存じます。目下のところ、船員保険におきます扱いといたしましては、社会保険庁長官の指定いたしました教育機関につきまして、安定所長あるいは海運局長等指示に基づいてそこに入ります場合に、失業保険支給期間を一年まで延長する措置が講じられておるわけでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 それは御説明のとおりの制度になっておりますが、いわゆる海運支局長というものの指定するところへ入所するということになれば御説明のとおりですが、実はそうばかりはいかないわけですね。たとえば訓練とは直接関係ございませんが、国家試験を受ける場合に、たしかこれは一年に一回程度かと思うのですが、船員局長どうですか。
  14. 亀山信郎

    亀山政府委員 一回ではございませんで、甲種免状につきましては年に定期試験を各海運局、本局で年に四回行なっております。それから臨時試験になりますと、これは年間延べで本年度は二百二十回ぐらいを予定しておりまして、定期試験以外の月に各地で出張って試験を行なっております。これは乙二以下の下級免状試験でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 一回ではないというのだが、受験者そのもの——各地でやっておられるというが、たとえば漁船の例などをとりますれば、そう簡単に各所でというわけには機会がないわけなんです。そうなりますと、たとえは近海に乗り出す船にしても百五十日ぐらいいるということになりますと、当然下船しなければならぬ。その間二口か三日か知りませんが、そういう受験のたびに下船して賃金をもらえない、こういう問題が出るわけなんでありまして、そういうことをカバーすることが可能かどうか。いまの厚生省の御答弁では、指定する訓練機関に入れば失業保険は支給するということでありますが、これはそういうところに入所するのではなくて試験を受ける、受験をする場合についてはどうですか。
  16. 岩佐武雄

    岩佐説明員 ただいまのところにおきましては、そういった際におきまする特別の失業保険金を支給するという規定にはなっておらないわけでございます。失業保険法関係の趣旨といたしますところは、やはり再就職ということとの密接なつながりを持って運営をされております。したがって、広義に考えてみますと、上級試験等を受けましてさらに有利な就職をするということ、これに対しまして失業保険金を考えるということは、広義に解しますれば考えて考えられぬことではないとは存じまするが、ただいまのところはそうなっておらないのでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 船員局長これはどうですか。いま私が厚生省にお尋ねした問題ですが、そう長い期間でなくてもいいと思うのですけれども、たとえば以西底びきあたりは、たしか二カ月ぐらい下船しなければならぬ場合が出てくる、こういうふうにも聞いているのです。だから、そういう期間ぐらいはある程度失業保険というか、訓練手当というかわかりませんが、そういうものでめんどうを見ていくということをしないと、なかなかこの質の向上というか、船舶職員法で望まれている船員を配置するということは、現況においてはむずかしいのではないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  18. 亀山信郎

    亀山政府委員 現在の漁船船員についての免状授与者を増加させる問題は、特に五級免状甲種免状よりも乙種以下の免状が問題でございます。乙種以下は大体いま申し上げましたように昭和四十年度では定期試験以外に臨時試験二百二十回を予定をしておりますが、この試験期間はおおむね一週間ないし十日の間に試験をやるわけです。実は、この試験を受ける前に必ず講習を受けなければなりませんから、船に乗っておってさっと試験を受けるわけにまいりません。その講習期間免状種類によって違いますが、長いものは三カ月程度いたしますので、実はその期間及び時期が問題でございます。漁業の合い間つまり漁期になりますと一斉に出てしまいますので、講習のほうも実はその間にやるということで、そういう漁閑期と申しますか、漁期の間にやらざるを得ない。ところがこれが時期的に各地一斉になる、試験も同様に講習が済んだ直後行なわなければ、なかなか試験を受けられない。そういう点で実は漁船につきましてはいろいろな努力をいたしておりますが、各地から講習会あるいは臨時試験開催要求がございますけれども、これが一時期に集中する傾きがある。そこでこれの調整に現在非常に苦労をいたしております。ただいま仰せのように、試験及び講習期間を含めて失業保険金を給付できるようにするということは、私どもとしては非常に歓迎すべきことであるというように考えます。
  19. 久保三郎

    久保委員 その講習会というのは、運輸省主催でおやりになるわけでしょうが、これを先ほど厚生省船員保険課長説明されたように、船員保険法にいうところのいわゆる海運局長ですか、支局長ですか、そういう者の指示に従って訓練を受けるというふうに認定し、解釈すれば可能ではないかと思うのです。試験期間は別としても、講習期間くらいはそういう方法がとれると思うのです。だから試験も一週間ないし十日というのですが、陸上勤務者なら、たいしたというか、影響はその期間だけなんでありますが、海のほうは船が出ていってしまうのでありますから、やはりそのあとも就労の機会というものはないわけですね。そういうことを考えれば、いま船員局長は歓迎すべきことだと言うが、歓迎すべきことなんでありますが、講習会だけやろうといったって、これに乗ってこなければどうにもなりませんので、これは厚生省においても十分考える点ではないかと思うのですが、どうなんですか。
  20. 岩佐武雄

    岩佐説明員 船員保険法に基づきまして指定しております職業補導所というのは、実は当初運輸省とも御相談申し上げまして、五種類程度を選んであるわけでございます。やはりその際もお話がございましたが、再教育期間として権威あるものについてまずやっていただきたいというような意見の一致が見られまして、そして狭い範囲に限定されておるわけでございます。いまのお話しの点につきましては、そういった意味合いから、この指定という形をふやすかどうかという観点からのお話し合いは運輸省ともしてみたいと存じます。
  21. 久保三郎

    久保委員 権威のあるものという御答弁でありますが、運輸省主催講習会をやるのでしょう、船員局長
  22. 亀山信郎

    亀山政府委員 民間の行なっております講習会でございまして、運輸省がやっておりますのは、海技学校及び海員学校で行なっておる講習でございます。これは全体のうちのごくわずかでございまして、年々、たとえば四十年度乙一以下約三万三千人の受験者を見込んでおりますが、これの大部分民間と申しましても、これは都道府県あるいは漁業団体等主催でございまして、運輸省主催海技学校及び海員学校で行なうものだけになっております。ただいま申し上げました講習会の大部分民間のもの及び公共団体主催、そう御了承願います。
  23. 久保三郎

    久保委員 民間公共団体主催だとおっしゃるが、これは先ほど岩佐課長から御答弁があったように、受験期間を含めて配慮をしてもらうことがやはり一番最良というか、当面とるべき方策だと考えていますので、来年度からでも制度改正というか、これは改正でいかなければいかぬのか、解釈でいけばいいのかわかりませんが、その辺のことは十分考えてもらいたいと実は思っているわけです。  次に関連して労働省道正課長にお伺いしますが、あなたのほうの失業保険というのは、海の関係では二十トン以下の船ですか。
  24. 道正邦彦

    道正説明員 失業保険法第十条の適用について規定がございまして、一般的には三十トン未満、政令で定める特殊の場合は二十トン未満になっております。
  25. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これは受給期間というのは、やはり最高限度九カ月ですか。
  26. 道正邦彦

    道正説明員 漁業に対しまする失業保険法適用につきましては、農林業等と同じく、業種が非常に季節的に雇用に繁閑があるという点、あるいは雇用関係が非常に複雑であるというような点等がございまして、法律の適用任意加入に相なっております。したがいまして、加入にあたりましては、加入申請があり、認可があって、加入が認められることになっておりますが、その加入が認められました場合には、六カ月の被保険者期間に対しまして、九十日というのが最低でございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 そうしますと岩佐課長、やはり船の中でも違うのですね。だからその面はやはり調整していただくことが一番いいと思うのです。  それから船員職業訓練というのは船員局主管事項ですね。労働省には関係ないのですね。
  28. 亀山信郎

    亀山政府委員 船員教育訓練運輸省の所管でございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 厚生省労働省はよろしゅうございます。  船員局長あとに残ってもらいますが、岩佐課長あとまたこちらに来ていただくかもわかりません。おそらく臨時国会のころになると思うのですが、それまでに先ほど私から要望した事項についてもう一ぺん検討して、実情に合うようにしてもらいたい。  それからもう一つは、いままで運輸省船員保険などについては、特に漁船の問題については、あなたも御承知のように、厚生省自体として必ずしも実態がつかみにくいということが問題の解決をおくらしたことがあります。今度のいま私が提起した問題についても、十分あなたのほうでも積極的に実態を調べていただくと同時に、船員局長のほうからもその実態について近いうちに厚生省のほうに出していただく、その上に立って検討していただく、こういうふうにしていただきたいと思います。  以上です。  それから次に保安庁にお尋ねするのでありますが、きのういわゆる海難白書というものが出たそうであります。これは後刻報告書というか、そういうものがわれわれの手元にも来ると思っておりますが、概括的にこの報告で取り上げたものは特徴的に何があったろうということです。いわゆるこの海難現況という報告書で従来に見られない特徴とは何か、簡単にひとつお答えいただきたい。
  30. 猪口猛夫

    猪口説明員 仰せのとおり、海上保安庁は本日で満十七周年を迎えましたので、例年の例にならいまして、いわゆる白書と申しますか、「海上保安現況」という冊子を出したわけでございます。これにつきまして特徴と申し上げていいのかどうかわかりませんが、過去一年間に起きました海難の実相並びに海上犯罪等につきましてその事実のみをつぶさに述べてある次第でございます。たまたまその実態をよく振り返ってみますと、海難につきましては大体横ばいと申しますか、少し減少数字を示しております。しかし、その内容につきましては、依然といたしまして汽船ことに小型鋼船海難がふえているというのが海難のうちの特徴でございます。それから漁船海難は漸次減っているのでございますが、問題のカツオマグロ船等につきましては依然として海難はふえておる。ただし奇異な現象と申し上げてはおかしいのでございますが、いろいろ手を打たれたせいだと思いますが、問題の三十九トンのカツオマグロ船につきましては、三十九年は海難が減っておるということが一つ特徴だと思います。これは三十八年の十二月でございますか、従来届け出のみでよかったのを大臣許可制にするとか、あるいは区域の規制に若干の改正をみたとか、あるいは救命設備につきまして相当な措置がとられたというようなことが功を奏したのではないかと思う次第でございます。  一方、海上犯罪につきましては、漸次ふえると申しますか、実績的には増加の数字を示しております。ことに密貿易につきましては非常に手口が巧妙であるということがはっきりいえると思います。一番顕著なことは、密航が非常にふえております。密航のやり方につきましても、私たち専門官がそれぞれ容疑船を調べましても、なかなか密室等をはっきり確かめることができないので、時に大きな見のがしをするというような事例も過去一年にはございました。そういうことが非常に特徴だと思います。  また、海上保安庁全体と申しますと、航路標識関係につきまして、従来のロランのほかにデッカーシステムを採用したということが三十九年度の大きな特徴だと思います。  以上、簡単ではございますが、海上保安白書の中で従来のものよりも若干特徴づけられるような傾向は以上のとおりでございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 いま保安庁からお話がありましたが、事故原因というものについてはあまり究明されておらないようにみえるのだが、これはどうなんですか。
  32. 猪口猛夫

    猪口説明員 私たち立場といたしましては、それぞれの海事関係諸法令に基づきまして取り締まったり、あるいは海難が起きましたときにその海難を救助する、あるいは海難調査をするということが任務でございまして、その調査の結果に基づきましては、それぞれの関係の省庁あるいは機関に適時御通報したり、あるいは海上保安現況等によりまして提示いたしまして、それに基づきましてそれぞれ適切な措置が行なわれておると信じておるものでございます。しかし、海上保安庁といたしましても、若干、かくあったらいいだろうということは持っておりますが、それを公式なものにして取り扱う立場ではございませんので、それぞれの部局に口頭なりあるいは何らかの機会をとらえまして意見を申し上げるということでございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 三十九トンの問題は少なくなったというのが水産庁から来ておりますが、三十九トンのカツオマグロの船の数は減ってきているのですか。
  34. 山中義一

    山中説明員 特に減じておるというようなことはございません。しかし、先ほど警備救難部長からお話がありましたように、許可制をしきまして、その後申請期間を限って一斉に締め切るという措置をとったものでございますから、そのときに若干アウトになった、落ちてしまったというものがございます。しかし、それほど大きな減少ということは考えられないと思います。
  35. 久保三郎

    久保委員 順序が飛び飛びになりますが、船舶局にお尋ねを最初にいたしましょう。こちらに資料として出していただきました「船舶安全法第十二条による臨検結果」でありますが、これについては、大体二月から三月にかけて約一カ月間臨検したことになっておりますが、この一表、二表、三表、四表について、この見方をちょっと御説明いただきたいと思います。
  36. 芥川輝孝

    芥川政府委員 冬季海難防止ということを重点に置きまして二月二十日から三月二十日の一カ月の間、二十トン以上百トン未満漁船につきまして、主として救命設備消防設備開口閉鎖装置等検査いたしました。検査根拠は、船舶安全法によりまして臨時立ち入り検査ができるように権限を与えられておりますので、船舶安全法第十二条による臨時検査をやったわけであります。臨検の結果を大ざっぱに申し上げますと、全国五十四カ所、対象として検査いたしました漁船は四百五十六隻の小型漁船でございまして、検査の結果は、ただいま詳細技術的な問題を申し上げますが、比較的良好であったということでございます。  なお、この第一図以下表の見方等詳しく御説明申し上げます。
  37. 内田守

    内田説明員 ただいまの表について説明いたしますと、ここに書いてあります図は、いま局長から説明のありました四百五十六隻の地域的な隻数の分布でございます。これらの隻数の四百五十六隻がどういう種別漁業種類になっているかというのが第一図でありまして、種別の一種、二種、三種と申しますのは従業制限種類でございます。これらの臨検の結果の成績、たとえば救命設備が配置が悪かったとか、あるいは消火器消化剤が入っていなかったとか、千差万別でございますので、それを数量的にあらわすために第二表について一つ採点基準を置いてみたわけであります。たとえば救命設備救命胴衣が悪かったというような場合は二十五点というような採点基準をつくりまして、それらの臨検の結果を整理いたしました結果が第三表でございます。ここにございまするように、総数四百五十六隻のうち、詳細についても何ら欠陥がなかった船というのが百五十四隻でございます。たとえば救命胴衣一つ状況が悪かったというようなものは第二表の採点基準で減点してまいりまして、ここに書いてありますような隻数全体の頻度は、その下に書いてありますパーセンテージになります。これをわかりやすく表にいたしましたのが第二図でございます。これは総隻数を頻度的に分布したものでございまして、横軸は第三表の採点点数でございます。  それから第四表の見方でございますが、たとえば一隻の船について消火器欠陥があり、かつ救命胴衣にも欠陥があったというようなものは、この欠点数では、救命設備救命胴衣消火器の欄に二つになってあらわれてまいります。したがいまして、その合計は先ほどの四百五十六隻をこえる五百五十三隻ということになります。一隻の船がたとえば三つの設備について欠陥あれば、それぞれの欄に一つずつ出てくるわけです。それでその欠陥の頻度をその下に書いてありますのはパーセンテージでございますが、そこにございますように、消火器救命胴衣についての欠陥が比較的多かったということであります。これらの臨検の結果、欠点のあった事項につきましては直ちに是正を指示いたしまして、その欠陥を除去するような措置をとっております。
  38. 久保三郎

    久保委員 まあ一応わかりましたが、ただ漁業制限の種別による、どの漁種がどういう点でというのは出てないですね。これはあとでけっこうでありますから、たいへんめんどうなことを注文するようでありますが、特徴的なものを実はほしいのであります。でありますから第一種、第二種、第三種、その三つの種類の中で、たとえば四十八隻のうちでひき網はどういう欠点の特徴があるか、まあそういうのはないかもわかりませんが、そういうものをひとつお願いしたいと思うのです。それからもう一つは、いまの御説明では、発航前にそれぞれ是正せしめたというが、たとえば脱出設備とかいうようなものは発航前に手直しができるような程度のものでありましょうか。実例をひとつあげていただきたいと思うのです。
  39. 内田守

    内田説明員 ここに書いてあります脱出設備の欠陥の例は、たとえば脱出設備の閉鎖装置がさびついていたとか、ロックしていたとか、この四百五十六隻については、欠陥といってもその程度のものが大部分でございまして、いずれも直ちに手直しさせた程度であります。
  40. 久保三郎

    久保委員 いまおあげになった欠点の多いのは救命胴衣というか、救命設備消火器の問題、これはこの前お尋ねしたかと思うのでありますが、近く省令を出して強化をするということでありますが、そのとおりでありますか、その内容はどういうふうにいたしますか。
  41. 内田守

    内田説明員 ここの第二表で比較的多かった救命胴衣欠陥と申しますのは、救命胴衣の配置の問題でありまして、たとえば油、ネズミにかじられたとか、そういう問題であります。それから消火器の消火設備の欠陥は、消火液の取りかえが十分でなかったというものが比較的多かったわけでございます。今度五月二十六日施行を目標にいたしまして省令、特に漁船関係につきましては漁船特殊規程等を改正するわけでございますが、救命設備及び消防設備についての基準は格段にレベルアップするわけでございます。ここに掲げてございます救命胴衣であるとか、消火器であるとかは、いま申し上げましたような問題ではなくて、たとえば膨張式救命いかだの強制とか、この第二表でいま申しました種類の点とはちょっと食い違っております。
  42. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これからの救命設備というのは、いままであるブイとか救命胴衣とか、そういうものも強化していくことは事実だが、それ以外に、いまおあげになった救命ボートというかゴムボート、あるいはいかだというものを今回は省令で強化していこう、こういうことなんですか。それは漁船特殊規程でおやりになるのではなくて、別な面でおやりになるのか、漁船特殊規程の中でおやりになるのですか。
  43. 内田守

    内田説明員 漁船特殊規程を改正して、いま申し上げましたような点を改正するわけでございます。
  44. 久保三郎

    久保委員 それじゃもうその案はおできになって手続だけを待っておられる段階ですか。
  45. 内田守

    内田説明員 案はすでにでき上がっております。
  46. 久保三郎

    久保委員 案はすでにでき上がったというのは、関係個所との合議はもう済んだというのでありますか。
  47. 内田守

    内田説明員 正式の文書による合議はまだ終わっておりません。
  48. 久保三郎

    久保委員 特に漁船の場合は漁政部長のほうにも関係がありますし、小型の場合は海運局長にも関係がございますが、小型船あるいは漁船全体をとっても、この二つの経営実態はあまり芳しくないというふうに言っていいと思うのです。もちろん漁船の中で大会社、大企業がやっておるものはそういう省令が出ようが出まいが大体ある程度やっておると思うのですが、言うならば、中小あるいは零細企業等の小型船あるいは漁船だということだと思うのです。いつも問題になるのは、これらの救命設備を備えつけたからといって収入が増すということはございません。だからどうしても、規則はできても、たとえば、この臨検にあらわれたような結果として出てくるわけですね。規則、法令というものが守り切れないものが中には出てくる。これがいつも問題になるわけですね。だからこれらについては、財政援助というか、何がしかのそういう制度が必要だと思うのです。この裏づけなくしてはなかなかむずかしいと思うが、これについてどう考えておりますか。
  49. 山中義一

    山中説明員 水産庁のほうの漁船等につきましては、農林漁業金融公庫等から融資の道を開いて、比較的市中の利子よりも安い利子で購入の資金を融通するように措置したいと考えております。
  50. 若狭得治

    ○若狭政府委員 事業経営に対する圧迫であることは当然でございますけれども、金額的に見て大きいものではございませんし、人命安全ということは第一の条件でございますので、われわれとしては、できるだけそういう方向で業界にも協力するように努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 そこで、漁政部長に、もう一ぺんこの問題でお尋ねするのですが、漁船保険がありますね。この保険財政はかなりいいんじゃないですか。いいでしょう。いいとするならば、農林漁業資金を持っていくのもけっこうでありますが、言うならば、そういう保険で、もっと低利なもので措置するということも考えるべきじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  52. 山中義一

    山中説明員 そういう考え方もあるのでございますが、いまの漁船保険の余ったと申しますか、剰余の金の使途につきましては、現在関係漁船保険組合の代表の人々あるいはその他の学識者等も入れまして、研究会を設けてやっております。その中でも、いまの先生のお話のような御意見も、ぼつぼつ聞いております。これは必ずそういうふうにいたしますというふうにこの場でお答えすることはできないのでございますけれども、一つの考え方であろうか、ただ、漁船保険の考え方から申しますと、やや間接的というかっこうになりますので、その点がちょっと問題である。船そのものの安全性をはかるための装置に対する融資でありますと、最もスムーズにいきやすいのでございますけれども、やや間接的になる点が若干考えなければならぬ点だと思います。
  53. 久保三郎

    久保委員 おっしゃるとおり間接的でありますが、もっと直接的なものもあとで出てまいりますけれども、漁船保険のいわゆる余裕金といってはおかしいのでしょうが、そういうものの使途については御研究なさっているそうでありますが、われわれのほうとしては、さしあたりそういった面でも考えてみたらどうか、こういうように考えているわけです。  そこで、次に問題点としては、遭難をしたときの通信、無線の問題ですね、これは今後強化する考えでいるのかどうか。最近海難事故がありましても、全然音さたなしで沈没していったものもあるようであります。こういうことについては、それぞれ関係個所において考えているのかどうか、いかがですか。
  54. 芥川輝孝

    芥川政府委員 遭難いたしました場合には、自動発信機によりまして遭難信号を出すことを考えておりまして、先ほどの案に含めることをただいま論議しております。
  55. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これはある程度強制力をつけるわけですか。
  56. 芥川輝孝

    芥川政府委員 船舶安全法によって、その中の法令にありますので、当然強制力がございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 たしか船舶安全法では、船舶安全法にかからぬ船というのは何でしたかね。
  58. 芥川輝孝

    芥川政府委員 ただいま船舶安全法適用しないと申しております船は、総トン数五トン未満の船舶、ただし、旅客運送の用に供するものを除きます。それから櫓かいをもって運転する船等でございます。
  59. 久保三郎

    久保委員 船舶安全法で無線の問題ももっと強化していく、いまこう御答弁があったのでありますが、船舶安全法第二条の中には無線のことはないんですね。強制的にないわけだと思うのですが、これはどういうふうになりますか。
  60. 芥川輝孝

    芥川政府委員 その点につきましては、第二条六号「救命及消防ノ設備」で読むように考えております。
  61. 久保三郎

    久保委員 なるほど第六条の「救命及消防ノ設備」ということですね。局長のおっしゃるのはSOSを出す救命ブイですか、その救命ブイの到達距離はどの程度になるのですか。
  62. 内田守

    内田説明員 SOS発信機につきましてはいまの二条の六号で読みますが、これらの基準につきましては、船舶安全法の見地から運輸省令で定めるもの、それから電波法に基づきまして有効通達距離を定めるものとございまして、いま案に入っておりますSOS発信機の有効通達距離は省令の上では郵政省令で改正をはかるはずと聞いております。
  63. 久保三郎

    久保委員 次に、この前もこの席でお伺いしましたが、満載吃水線の設定の問題であります。これについては最近何らかの措置をとりましたか。
  64. 芥川輝孝

    芥川政府委員 小型線の満載吃水線の指定の問題と考えまして、その小型船に対する分を申し上げますが、それは造船技術審議会の中に安全部会を設けて、さらにその中に小型船部会というものを置きまして、技術的にどういう制限をしたらいいか、それをただいま審議しております。それで原案は、船舶局としての第一次原案のようなものはすでに手元に持っておりますけれども、いろいろ関係方面、御承知のとおり多いものでございますので、それを中心にしまして、ただいま御説明申し上げました小型船の部会におきまして論議しておるところでございます。
  65. 久保三郎

    久保委員 それはいつごろ結論をお出しになりますか。
  66. 芥川輝孝

    芥川政府委員 これは問題がいろいろ関連するところが多いものでございますので、若干期間は要しますが、大体本年度末ぐらいまでに成案を得るようにしたいと考えております。
  67. 久保三郎

    久保委員 海運局長にお尋ねしますが、小型線の満載吃水線をきめるという場合、当然その経営の問題にからんでくる。しかし安全が第一でありますから、当然いままでの主張どおりつけてもらいたい、われわれはこう思っているわけです。ついては、これの意見調整というのは船舶局の間でもうできたのですか。
  68. 若狭得治

    ○若狭政府委員 まだ船舶局の案が出ておる段階でございまして、われわれのほうとの最終的な意見調整というものはできておらない状態でございます。ただ、全般的に、小型船については満載吃水線がないために沈没したりというような事例は比較的に少ない。むしろそういう事例は漁船等の場合に非常に多いわけでございます。そういう点につきまして、小型船の海運をやっておるものからは、できるだけそういう満載吃水線の規制についてゆるい規制をお願いしたいというような意見が出ていることは事実でございます。
  69. 久保三郎

    久保委員 いま海運局長からの答弁だと、小型船については満載吃水線をつけるほど事故はない、こういう話でありますが、先ほど海上保安庁からの報告では、小型船の事故が多い、こういう報告がございましたね。これは原因は何ですか。操船の誤りというのですか。
  70. 猪口猛夫

    猪口説明員 小型鋼船海難の大部分は乗り上げ衝突が多いのでありまして、荷物の過載等によるものはほとんどないようでございます。それらの原因はおおむね乗り組み員の不注意と申しますか、もう少し慎重に操船すれば事故はなかっただろうと思われるようなものが過半数でございます。
  71. 久保三郎

    久保委員 乗り上げとかいろいろおあげになりまして、それが操船の誤りと、こういうふうに解釈しているようでありますが、必ずしもそういうことではないのじゃないかと思うのです。たとえば、乗り上げの原因が何であるか、その先の原因ですね。こういうものも考えなければいかぬと思うのです。それから、乗り上げても、あるいは操船の誤りがあっても、復元性が余裕を持っているということになれば沈没は免れる。それには、適正な積み荷が、いわゆる積載をした荷物が満載喫水線できちっと押えられれば助かる、こういうふうにも考えるわけですが、そういう点ほどうなんですか。
  72. 猪口猛夫

    猪口説明員 私の申し上げましたのは、直接にオーバーロードによりまする浸水とか転覆等による海難小型鋼船の場合はほとんどないということでございます。乗り上げというものは、もちろん喫水が深ければ乗り上げる機会はございますので、先生のおっしゃるとおりだと思いますけれども、先ほど申し上げましたのは、直接オーバーロードによる浸水とかあるいはそれがために重心が均衡を失いまして転覆したというような直接的なものにつきまして、直接的な原因につきましてはほとんどないということを申し上げた次第でございます。
  73. 久保三郎

    久保委員 船舶局としては、いま海運局長なり海上保安庁からお話があったように考えておられるのですか。海運局長答弁は、満載喫水線をつけるほどの事故はないというふうなお話——これはそういう要望があるという答弁なんですが、そうなると、船舶局一人で満載喫水線をつけろ、つけろと言っているように聞こえるわけなんです。それはどうなんです。どういうふうに考えるのですか。
  74. 芥川輝孝

    芥川政府委員 満載喫水線をつける必要があるかどうかという問題につきましては、いますぐつける必要があるかどうかはさておきまして、とりあえず技術研究を進めておく、少なくとも技術研究を進めておきまして、すぐつけろと言われましても、この線がよろしゅうございますと言うことはなかなかできない。技術は御承知のとおり過去のデータの積み上げでございますので、そこで船舶局としては最小限度そういうふうな、ただいま申し上げましたような意味で原案をつくりまして、関係方面が多いと申し上げましたが、具体的に申しますと、造船技術審議会におきましては、全国海運組合連合会、それから日本船主協会、日本造船工業会、日本海事協会、日本海難防止協会、全日本海員組合、そういう関係方面の意見を徴しまして——ただいま申し上げた団体は場合によっては利害相反する面もあるかと存じますので、いろいろの角度から技術的な満載喫水線の制限案を検討していただいておきまして、必要ならば直ちにそれによって制限するというふうに考えてまいりたいと思います。  ただ過載問題その他につきましては、実は海難白書を私まだ勉強して読んでおりませんので、何とも申し上げられませんが、一、二隻の過載でも、場合によっては重大な海難を引き起こしまして、それによって船全体の航行の安全に対して疑問を持たれるような場合もあるかと存じますので、過載の場合につきましても、十分これは制限すべきものであるというふうに考えております。
  75. 久保三郎

    久保委員 そこで、過載については、漁船も含めて、これは取り締まるという法的根拠はいまのところどこにもないと思うのですが、いかがでしょう。
  76. 芥川輝孝

    芥川政府委員 船舶安全法につきましては、ただいまその船に満載喫水線に関する規定適用をしておりません。船舶安全法におきましては、これを取り締まることはできません。
  77. 久保三郎

    久保委員 船舶安全法ばかりではなくて、その他についても、水産庁所管の分野でも、過載については取り締まる法的根拠は何もないですな。あるいは海上保安庁も同様ですな。
  78. 山中義一

    山中説明員 法的根拠はございませんので、行政指導で過載におちいらないように注意はだいぶしております。
  79. 猪口猛夫

    猪口説明員 過載の取り締まりにつきましては、船舶安全法に基づく満載喫水線表示制度のない船につきましては取り締まりの方法はないわけであります。
  80. 久保三郎

    久保委員 これはいまさら言うまでもありませんが、陸上においても、御承知のようにトラックなり何なりは積載トン数の表示があり、その表示を越えての過載は取り締まるということが一つあるわけです。もっとも、せんだって来、ここでの答弁では、砂利トラについては、何か三割くらいは目こぼししてくれるのだという話があるのでありますが、これはいかがかと思うのであります。例外でありましょうが、いずれにしても、そういうものの存在価値というか、それは当然認めなければいかぬと思うのですね。これは海運局長に一言申し上げるのでありますが、いまたとえば小型船内航の問題一つとりましても、経営が苦しいから過載までおかして過当競争する、いわゆる運賃を実質的にダンピングしていく。お互いに自分の身を細らせて、危険をおかして運送するというような事態があるわけですね。だから内航二法も通った今日、適正船腹量の策定もされたようでありますから、そういうものは、そういう制度によってこれを規制していくということが一つでありますが、中身が、いわゆる過載もやむを得ないというような観念でやられていく限りは、内航二法で適正船腹量をきめたり、最高限度をきめても、これは意味がないと思うのですね。しかも、そういう経営上の問題ばかりでなくて、先ほど船舶局長答弁のように、一隻の船がたまたま事故を起こしても、たいへんな事故になる。これは当然あり得ることですね。でありますから、ここは内航二法の外ワクと、中身は満載喫水線という内ワクで、やはりきちっと輸送秩序を固めていくと同時に、安全航行をさせるということが一番大事かと思うのでありまして、そういうことについて考えてもらわねばならぬ時期だろうと思うのであります。十分この点は考えていただきたい、こういうように思います。  そこで漁政部長にお尋ねしますが、いわゆる漁船事故であります。先ほど答弁のように、過載については、行政指導でやっておるので、法的根拠に基づく取り締まりというか、規制というものはないという。ところがいろいろな原因漁船海難事故にはいわれておりますが、中身をよく調べていくと、やはり過載という問題がいろいろなところに波及しているわけですね。たとえば漁船実態からいくと、漁船船員の賃金形態は歩合給が基礎である。歩合給が基礎である限りはいわゆる満船主義で操業をしなければならぬ。満船主義で操業すると長期に洋上で操業をしなければならぬというようなこと。そうしますとやっと満船になった、これから基地に帰ろうというときには、船員全体が疲労こんぱいしている。疲労こんぱいしているところに満船でありますから、これはたいへんな荷物を持ってくるわけですね。そうしますと当然、疲労と満船と二つ合わさって操船の誤りということで海難事故を起こすわけです。ところが海上保安庁で調べた結果としては、操船の誤りという原因だけしか出てこない。しかしその操船の誤りは、いま申し上げたようなことがあるわけです。だからこの際やはり漁船についても満載喫水線を設けるべきじゃないか、こういう主張をわれわれは年来しているわけですが、水産庁としてはどういうふうに考えておりますか。
  81. 山中義一

    山中説明員 この二、三年来そのための調査を続けておりますが、この一両年の間に満載喫水線を漁船のある程度の規模以上のものについてはやはり実施したい。それからなお、いまの満載喫水線だけでは漁船はまだ積み過ぎるというおそれもございますので、重心の位置の規制というような点も、漁船の性能基準というような点ではっきりきめて、指導及び取り締まりをしてまいりたいと思っております。
  82. 久保三郎

    久保委員 それは一、二年かかるのですか。今年中というならまだ話はわかる。ここ一両年かかりますというのでは、ちょっと遠い話になりまして……。
  83. 山中義一

    山中説明員 鋭意やっておりますが、やはり一両年はかかる見込みだということであります。
  84. 久保三郎

    久保委員 それは研究調査ですか、それとも業界指導ですか、どちらですか。
  85. 山中義一

    山中説明員 調査でございます。
  86. 久保三郎

    久保委員 満載喫水線を漁船につける場合には水産庁の所管ですか、船舶局関係ないのですか。
  87. 芥川輝孝

    芥川政府委員 所管の問題でございますと、満載喫水線の表示は、運輸省の所管でございます。
  88. 久保三郎

    久保委員 適当な乾舷というと、これは水産庁ですか。
  89. 芥川輝孝

    芥川政府委員 もちろん運輸省でございます。
  90. 久保三郎

    久保委員 じゃ、漁政部長のいま一両年かかるというのは、適当な乾舷のことですか。
  91. 山中義一

    山中説明員 そのとおりでございます。
  92. 久保三郎

    久保委員 適当な乾舷というのは、適当なことだと思うのでありますが、なかなか的確にはいかぬだろうと思うのであります。もちろんそれは技術的に、先ほどおっしゃるような重心の問題を重点に考えていくことでありましょうが、一両年かかるというのはちょっとどうかと思うのです。これはどうなんですか。最近だってそうでしょう。どこかあの辺で横波を食ってひっくり返るというのがしょっちゅうありますね。横波を食ってひっくり返れば、これを海上保安庁では操船の誤りだというのです。重心がとれなかったからという報告はございません。だからそういうことを考えると、どうも水産庁は、業者団体というか、そういうものとの意見調整が非常に困難ではなかろうか、こうわれわれは見ているわけなんです。しかし、この際申し上げておきたいのは、漁船船員実態につきましても、まあこれは全部船はそうでありますが、大きい汽船は別でありますが、あと労働者の需給関係というのは、これはだんだん老朽化し、減っていくわけですね。そうなった場合、いままでのような経営なりそういうあり方ではたしてうまくいくかというと、いかぬですね。経営からいっても、もちろんこれは人命の安全からいけば、たいへんなことなんですね。  きのう発表された海上保安庁の昨年度一ぱいの海難にしても、沈没した内訳の一番多いのは何かというと、機帆船と漁船が大体同じ程度ですね。沈没したのがたしか全部で七百十三隻のうち、二百二十四隻が漁船なんですね。それには原因がいろいろあると思うのでありますが、そういう実態を見ますと、この辺でもう思い切ってやらなければいかぬと思うのです。これは調査研究というのは、そんなにかかりますか。私もしろうとで、技術的によくわかりませんが、どうなんでしょうか。
  93. 山中義一

    山中説明員 調査研究は今年度で終わるようにスピードをかけまして、そのあとはむろん先生のおっしゃるように調整その他をとりましてきめていきたい、こういうように考えております。
  94. 久保三郎

    久保委員 漁政部の中のどの課でやっていますか。
  95. 山中義一

    山中説明員 こういうきわめて技術的な問題は漁船課というのがやっております。
  96. 久保三郎

    久保委員 この適当な乾舷というのと満載喫水線というのは同意義ではないですね。適当な乾舷というのは、これは省令施行になりますか、行政指導ですか。満載喫水線となれば強制的なものですね。
  97. 山中義一

    山中説明員 いまの点につきましては、漁船の建造許可というものを水産庁ではやっております。その場合に、その設計を見まして過載にならないような条件をつけるようにして基準をきめる、こういうことになっております。
  98. 久保三郎

    久保委員 建造の際に、いわゆる設計の段階で乾舷をどこに置くかということをきめるというのでありますが、実際には漁船というのはしょっちゅう構造を、改善というか改良か知りませんが、やっていくわけですね。そうしますと、あなたが先ほどぼくの質問より先回りしておっしゃった、いわゆる重心の問題、たとえば最近の船の改造を見ておりますと、下の土台といってはおかしいが、何と言うのか知りませんが、船体そのものは木造であって、上にはこれからは鋼鉄のものを取りつけるということになるわけですね。それで今度は洋上に出発するときには、ドラムカンなり網なりを全部甲板の上に積み上げていくということなんですね。だから、あなたがおっしゃる建造の場合のそれだけでは、残念ながら漁船の安全性は保たれないと思うのです。改造の場合は当然許可なんでしょうが、これはたいてい青写真で、図面で許可されるんでしょう。現地でこれをそのとおりやったかどうかという確認はあまりやっておらぬでしょう。どうなんですか。
  99. 山中義一

    山中説明員 設計時にはやるのでございますが、使用する場合には、水産庁としてはタッチしておりません。これはもう船舶安全法による規制になります。
  100. 久保三郎

    久保委員 つくるときの責任は持っているが、あと船舶局の責任だ、こういうことなんですね。
  101. 山中義一

    山中説明員 漁業を健全にやるという点につきましては、総合的な指導として、先ほど申し上げましたように、積み過ぎで操船のちょっとしたミスから直ちに非常に危険な状態におちいらないようにというような行政指導はしてまいっておりますけれども、法に基づく厳格なる取り締まりという点は私どものほうの権限内にはございません。
  102. 久保三郎

    久保委員 どうもこういう制度はえてして責任の限界というか、そういうものが明瞭を欠くと思うのですね。これはいま直ちに運輸省水産庁の間でどうやるかといったってむずかしい問題だと思うのでありますが、船舶局長にお尋ねしますが、適当な乾舷というのは、さっきぼくが申し上げたように、これは行政指導事項みたいなものだと思うのですね。設計段階で大体この辺でということらしいですが、そういう程度のものでよろしゅうございますか。これは御意見ありますか。
  103. 芥川輝孝

    芥川政府委員 適当な乾舷という内容は非常にむずかしいと思うのでございますが、結局深さから乾舷を引けば満載喫水線になるわけです。したがって、満載喫水線で抑えるか、適当な乾舷ということで押えるか、技術的に非常にむずかしいと思うんでございますが、ただ、一般常識のようなことを申し上げて恐縮でございますが、船をつくります場合には、必ずデザインの基準になる喫水がございます。そこで、その基準になる喫水と申しましても、それを一センチオーバーしたからすぐ沈むというものではないと思います。ただいま申し上げたデザインの基準に採用した喫水に対応した乾舷があるいは適当な乾舷ということの内容であろうかと存じます。船舶安全法で取り締まりを将来やる場合には、この程度の乾舷というふうに考えておりますのは、それよりはもう少し具体的にいえば若干ゆるくなるような線ではないかというふうに考えております。
  104. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、適当な乾舷かどうかわかりませんが、そういうものを設定しなきゃならぬという時期に来ていることは事実でございますから、その作業が水産庁であるかどこであるかは別にして、やはり早急な対策をとる必要がわれわれとしてはある、こういうふうに思うわけです。  そこで先ほどお話に出ました特に漁船でありますが、合理化というか近代化というか、そういうことが最近かなり多くなってきたわけですね。たとえば、いままでなかったようなベルトコンベアを甲板につけるとかいうようなものもあるわけですね。あるいはサイドロープにしても、いままでなかったようなものをくっつけるというようなことがあるわけなんですが、これと、いわゆる船員の災害という問題、そういうふなれというか、あるいは構造上からいって無理な場所にそういうものを設置するということで、実は事故が起きていることを聞いているわけなんでありますが、そういう指導はどこがおやりになるわけですか。水産庁ですか。
  105. 亀山信郎

    亀山政府委員 船内における労働災害の防止は、船員法に基づきまして、船員労働安全衛生規則の規定する範囲内にございます。いまのような船内の作業用の機械、器具、用具等を安全のために整備し、整とんするというふうなことは、労働安全衛生規則に規定がございます。
  106. 久保三郎

    久保委員 労働安全衛生規則にあるにはあると思うんでございますが、実際に、陸上においては、御承知のように、職場における安全装置、こういうものはかなり神経を使って最近はやり出してきたわけです。たとえば歯車の回っておるところにはカバーをつけろとか、これは一つの例であるが、漁船についてはそういうものまで実は配慮しないで、漁獲率をどうしたら上げ得るか、あるいは人間をどうしたら減らせるかというような面だけに集中されておる傾向が多いわけです。最近、局部的には多少違いますが、おおむね漁獲率は減ってきておる。減ってきておるから、どうして本採算ベースをさらに上げようということになりますから、そういう面から合理化あるいは省力化というか、近代化というか、そういうものが船や船員の安全性を無視してやられる場合が多いと思うのです。これらについては水産庁としてはいかなる指導をしておりますか。
  107. 亀山信郎

    亀山政府委員 ただいま申し上げました船員労働安全衛生規則の十八条に、やはり陸上と同様な規定を設けてございます。
  108. 山中義一

    山中説明員 水産庁といたしましては、いまの漁獲率を上げるということと機械装置を備えつけるということにつきましては、機械装置を備えつけて労働を節約するという方向の一応奨励的なことは言っておりますけれども、具体的に金融をつけるとか、あるいは規則できめるとかいうことはまだやっておりません。そういう装置をつけるというような点につきましては運輸省と協議しながら指導するようにやっております。
  109. 久保三郎

    久保委員 最近漁船の近代化、合理化というか、そういう方向を検討されておるそうでありますが、そうですか。
  110. 山中義一

    山中説明員 カツオマグロにつきましては、カツオマグロの団体が主になりまして、その関係の者あるいは学識経験者等を入れまして研究会をやっております。
  111. 久保三郎

    久保委員 これは水産庁が主宰でなくて関係団体が主として主宰するのですか。
  112. 山中義一

    山中説明員 日本鰹鮪漁業協同組合連合会、日経連と申しておりますが、これが主体になっております。
  113. 久保三郎

    久保委員 この傾向はどういうところからそういう近代化、合理化を考えておりますか。それはお考えになったことがございますか。
  114. 山中義一

    山中説明員 これはまだ会が発足したばかりで、実は中で具体的にどのようなことが論議されたかというような点は明らかになっておりませんけれども、大体いままで問題になっている点は、漁船の乗り組み員の不足、あるいは釣獲率の低下に伴います合理化、こういうような点がおもなるねらいであるというように聞いております。
  115. 久保三郎

    久保委員 言うならば経営の合理化からもちろん出発しているのでありまして、もう一つ掘り下げれば、最近の漁船船員の給与というか労働条件の改善、その中で固定給部分が非常に多くなってきたということから一つは発想しているんじゃないかとわれわれは見ているわけです。これはもちろん全面的に否定するわけじゃございませんが、近代化、合理化のねらいはそれだけであってはならぬと思うのです。いまある各種の問題を集約して、近代化、合理化の方向へ持っていくということでないと、ゆがんだままで日本の漁業なり、漁船というか、漁業経営の方向がとられる、こういうふうに思うわけです。でありますから、当然のごとく先ほどもちょっと触れましたように、睡眠時間もない、一日たしか二十時間程度も働くとかいうような者も間々あるわけです。だから、結局近代化、合理化が、一つにはそういう労働条件の改善、そうして一つには労働の質を高めていくというならば、労働時間の短縮あるいは養成、その近代化する船に見合うところの再訓練、そういう計画、あるいはもう一つは船舶の安全性の問題、このおよそ三つに分けて並行してやらぬと、まさにこれはトップヘビーでありまして、過載ぎみでありまして、ひっくり返るというふうにわれわれは考えます。そういう指導が当然なされなければならぬと思うのでありますが、これは水産庁だけじゃなくて、特に運輸省にも関係がございますが、これらについての指導をただ日鰹連がやっておるからそれでよろしいというだけのものじゃないと思うのですが、どうですか。
  116. 山中義一

    山中説明員 お話しのとおりで、政府としてそういう点については十分総合的に考えていかなければいけないというふうに考えます。機械化は必ずしもこの労働の作業員の数を減らせということだけに主体を置いておるわけではございませんで、もちろん船内労働は重労働でございますので、これをできるだけ軽くするとか、あるいは機械その他の装備等を新しくして、合理的にするというような点で考えておって、人手を減らすということだけを主体に考えておるわけではないのであります。
  117. 久保三郎

    久保委員 たとえば以西底びき一つをとってみましても、夜間の操業がかなり続くわけです。大体もう寝る時間がないというふうな状態もあるわけです。しかし漁船船員の年齢というか、これは老化の方向をたどっておる。そこにさらに過重労働が加わる、当然の帰結として災害が起きる、こういうことが最近言われるわけです。これは以西にしても、たとえば十回から十一回投網するそうですね。これを八回か九回にすればだんだん寝る時間も出てくる。ところが最近は、さっき言った、いわゆる漁獲率というか、そういうものが非常に少ないというよりは、魚の型が小さくなっていく、そうなりますと、どうしても網をいままでよりは数多く入れなければならぬ、そこに問題があるということなのです。だから当然近代化、合理化というようなものは、先ほど申し上げたように、そういう労働条件の問題も考えていかなければならぬ。ところがそういう指導というか、そういう方向はあまりとらぬで、魚をたくさんとる方向だけを考えておる。以西にしても、いま申し上げたように、魚が小さくなるということは、いわゆる魚族資源というものが減ってきておるということです。とる率が多くなる。片方が減ってくるのに片方は網の回数を多くしょうというのでありますから、これは長持ちしないと思うのです、魚族資源の面から言って。だからやはりこの魚族資源の問題と操業の問題、これを合わせ考えていかなければならぬと思うのです。そういう問題についての指導は、水産庁はしておるのかどうか。
  118. 山中義一

    山中説明員 その点は水産庁といたしましては、資源については、たいへん重きを置いて考えております。資源とこれをとります操業量、それから個々の経営体の経営内容というような点が相当均衡のとれたものでないと、漁業は健全に長く続けることができないというのが、最も中心的な考え方で考えております。
  119. 久保三郎

    久保委員 そういうことは考えていないという話ですが、たとえば洋上転載ですね、これなどはかなり慢性化している傾向がある。洋上転載を認めれば、これは乱獲と言うと語弊がありますが、とるほうが非常に頻度が多くなるということなんでありまして、いまの答弁とはだいぶ違ってくるのです。だから御答弁と、許可しておるというか、指導されておる面とはだいぶ違うのじゃないかとわれわれは見ておるわけです。それからたとえば以西について、洋上転載などはどういうふうに許可されておるのですか。
  120. 山中義一

    山中説明員 以西の場合には、一般には転載は禁じております。ただ特殊な漁獲物、大正エビのように鮮度保持のためにこれだけに限って許しております。ただしカツオマグロのようなものは、許可船同士の問での転載は許しております。
  121. 久保三郎

    久保委員 いまの鮮度が落ちるからということでありますが、操業しておる船がそのまま持って帰れば鮮度が落ちないのです。実際はその辺がいわゆる経営と労働とのかね合いだろうと思うのでありますが、あまりにもそういう鮮度が落ちるということで、実は慢性化しておる。こういう取り締まりというか、それはいまおあげになった魚種だけに限定してやっているのかどうか。実態はどうなっておるか。それ以外の魚も入ってきておるのじゃないですか。
  122. 山中義一

    山中説明員 あるいは例外的には違法の部門もあるかもしれませんけれども、大体は、以西のほうの水産庁の取り締まり船も出ておることでありまして、そう一般化し、かつ慢性化しておるというふうには考えられないと思います。
  123. 久保三郎

    久保委員 以西だけでなくて、たとえば洋上補給あるいは転載、こういうものは従来もこの委員会で取り上げてきたのでありますが、ちっともよくならぬ、あるいは悪くなっておるというふうにわれわれは見ておるわけです。これは経営の実態からいってやむを得ない面も多少あろうかと思いますが、これがどんどん洋上補給なり転載というものがやられれば、先ほど申し上げたことを二度繰り返すようなことなんですが、結局過重労働になってくる。過重労働が直ちに今度は海難になってくるということがあるわけですね。だからこの洋上転載あるいは補給については、水産庁はどういう方針をとり、あるいはこれからどういうふうに改善しようと思っていますか。
  124. 山中義一

    山中説明員 独航船型の洋上転載のものは、数はだんだん少なくなってきております。いまのお話の、いままでだいぶやっておった点もあったのでございますけれども、現在このような形式をとっております船団は、数がだんだん減ってきておりまして、今後は水産庁としても、なるべくそういうことで、非常に航海が長くなるとか、あるいは労働過重のための事故が起こるというようなことが考えられる場合は、それをなるたけやめるような方向で考えていきたい。直ちにいまやめるということは申し上げかねますけれども、そういう方向で考えていきたいということを考えております。
  125. 久保三郎

    久保委員 やめる方向で考えていくという御答弁でありますが、これはどういうふうに具体的におやりになりますか。
  126. 山中義一

    山中説明員 新たなるそういう許可申請が出てきたときには、チェックするということでございます。
  127. 久保三郎

    久保委員 チェックするということは許可しないということでありますか。
  128. 山中義一

    山中説明員 そのような方法で考えるわけであります。具体的に直ちに全部をチェックするということは申し上げませんが、個々の場合につきましてそういう姿勢で検討していきたいと考えております。
  129. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、現在やっておる者は、これは最小限そのまま残るということですね。
  130. 山中義一

    山中説明員 これは先ほども申し上げましたように、だんだんなくす方向でございますから、許可の切りかえその他がございます、そういうような点についても、だんだんなくすような方向で指導していきたいと思います。
  131. 久保三郎

    久保委員 切りかえのときには既得権というのがございまして、許可を受けるときは何年ときまっておるわけです。ところがそれだけで終わりなんで、白紙還元するわけなんですが、実際は再度免許をもらいたい、許可してもらいたい、しょうというときには、既得権を、前にこれをやっていたのだからこの程度というのが、いままでの水産庁の方針じゃないですか。それは改めるということですね。
  132. 山中義一

    山中説明員 必ずしもいままでも必ずその前のとおりというようには言えないのじゃないか、いままでどおりの許可が出て、許可の単なる更新であったという事例、これは必ずしも少なくはなかった。大部分はそうであったかもしれませんけれども、今後も全部そうでなければならぬということはないと思います。
  133. 久保三郎

    久保委員 次に、半搭載の問題でありますが、半搭載の漁艇、これは大体二十トン未満ですね。二十トン未満は、これは船舶局にお伺いするのですが、検査の対象にはなりませんでしたか。
  134. 芥川輝孝

    芥川政府委員 船舶安全法におきましては、先ほど申し上げましたとおりでございますが、附則をもちまして、附則の三十二条で、総トン数二十トン未満漁船は当分の間これを適用しないということで、現在も船舶安全法適用しておりません。
  135. 久保三郎

    久保委員 大体十六トンぐらいの漁艇が多いようでありますが、実は私はこれを現実に見たわけではなくて、これはある漁業会社の映した映画をあるところで見たのでありますが、その漁艇は実はぼろ船ということでしょうね。ところでこれは言うまでもございませんが、それは操業中だけ漁艇として使うのでありますが、実際にはそれにかなりの人数が常時乗っているわけですね。これはもちろん推進機関が動かぬものであります。そういうほろ船が——ぼろ船といっては語弊があるかもしれませんが、浮かぶには浮かんでいるのですが、そういうものを検査の対象外にしておくこと自体がおかしいじゃないか、こういうふうに思うわけです。検査しないというが、水産庁でもいわゆる漁艇についてはあまりごらんにならないですか。
  136. 山中義一

    山中説明員 漁艇の検査的なことはあまりやっておりません。ただこれもいろんな点で好ましくない点もございますので、代船建造その他の機会を利用いたしまして、なるべく改善さすようにという点で、完全搭載型に移行するように指導していきたいというふうに考えております。
  137. 久保三郎

    久保委員 完全搭載型にしても半搭載にしても同じだと思うのですね。大体常時十四人ぐらい乗り組んでいるらしい。これは船の安全性からいっても問題があると思うのです。これは船舶局にも関係があると思うのでありまして、実態をもう少しお調べになって適切な方法をとってほしいと思う。これは船舶局水産庁両方に関係があると思いますが……。
  138. 芥川輝孝

    芥川政府委員 総トン数二十トン未満漁船を除いております理由は、これは陸岸をたいして離れないで、したがって、何かの場合にはさしたる海難を起こさぬであろうということ等から発しまして、そこらの技術取り締まりは厳重にやる必要はないということだろうと思います。ただいま先生の御指摘のような船でも、母船を離れることはさしたる距離ではないかと存じますが、そこらにつきましては、現在のところ船舶安全法適用しないことになっておりますけれども、御指摘の点はよく考えまして、関係方面といろいろ協議してまいりたいと存じております。
  139. 久保三郎

    久保委員 母船を離れないだろうと思うのですが、ロープで曳航している場合もありましょう、あるいは綱を投げる場合には網を持ってずっと回るようでありますから、そういう場合には当然母船からそう遠くはないと思うのでありますが、言うならばそこで常時居住しているのでありますから、これは海難があってしけが来たというときに、母船との間に遭難した母船から救助といっても、荒天時においてはこれはなかなかむずかしいだろうと私は見ているのです。だからこれはいま局長の御答弁のように、実態をもう少し調べてやるべきだと思うのです。水産庁も単に漁艇であるから、こういうものまでということでなくて、もっと前向きで、これは調査して検討を加えてほしい、こういうように思います。  そこで時間もだいぶたちましたから、次に申し上げるのは、従来から私が申し上げておる漁船の航行区域の問題であります。三十九トンについては、先般水産庁から赤道以南には行ってはいかぬというような通達を出しているそうでありますが、実際に赤道から越えていかないのかどうか知りませんが、一つにはいまの漁業従業制限というか従業規則というか、そういうものはもう時代に合わぬと私は思うのです。だからこれを改善すべきだと主張しているのですが、水産庁としてはどういうふうに考えているのですか。
  140. 山中義一

    山中説明員 従業制限に関しましては、従業する漁船漁業種類によりまして操業海域がいろいろ異なっておりますので、それぞれの海域に応じた適切な構造で、またそれにふさわしい設備を整えるというような点で船の安全性を保持することが必要であろうと考えまして、こういう考え方で従業制限というものは考えていきたい。もしも不合理な点がある場合には、これは合理的な方向で改善をはかっていくように考えたいというふうに思っております。
  141. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これも検討中で、近くいまお話のとおり直していくということにとってよろしいのですか。
  142. 山中義一

    山中説明員 内容をよく検討しまして、不合理の点は改めてまいりたい、ただし従業制限制度という考え方はこれは続けてまいりたいと思います。
  143. 久保三郎

    久保委員 従業制限制度は、それはいいとしても、それと船との関係をもう一度見直さなければいかぬというのです。魚によって規制するというのか、海域によって規制するというのか、これは問題だと思うのです。これは船舶局としては安全性からいってどう考えておりますか。
  144. 芥川輝孝

    芥川政府委員 ただいまの点につきましては、造船技術審議会の安全部会の中にさらに漁船の部会を設けまして、漁船に対する制限喫水の問題、それから操業許可の海域の問題、その他あわせて論議をしてまいりたいというふうに考えております。
  145. 久保三郎

    久保委員 大体いつのころまでにこの問題を解決しようという考えでおるのですか。
  146. 芥川輝孝

    芥川政府委員 この問題は非常に関係方面も多いものでございますし、漁船分科会のメンバーも水産業界の方々を大ぜい入れておりますので、相当論議に時間がかかる見通しでございまして、ただいまのところ、ちょっといついつまでというふうなことは申し上げられない現状でございますが、問題も重要なことでございますので、これを取り上げまして、十分データを積み重ねて討議をしてまいりたいと考えております。
  147. 久保三郎

    久保委員 この問題については、御答弁としては両方とも前向きであるようでありますから、早い時期に結論を出して漁船の安全を確保してもらいたい、こういうふうに思う。また魚族資源の問題と経営の問題からいっても、これは戦線整理をする時期だと思うので、水産庁においても、単にいまの答弁では気にかかるのでありまして、従業制限はそのままにしてという話だけを力こぶを入れているようでありますが、それはそれで値打ちがあるかもしれませんが、もう時代は変わっておりますので、そういうことを十分考えて前向きに解決をしてもらいたい、こういうふうに思います。次に、衛生管理者の問題であります。これは船員局だろうと思うのでありますが、百トン未満の船については衛生管理者は船長が兼務というふうにしてあるのですか。
  148. 亀山信郎

    亀山政府委員 百トン未満漁船につきましては、衛生管理者の乗り組みを義務づけておりません。百トン未満の遠洋カツオマグロ漁船につきましては、船員労働安全衛生規則に基づいて衛生担当者というものの乗り組みを義務づけております。その場合、いま御指摘のように乗り組み員が二十人未満の場合には船長が兼務してよろしい、二十人以上になった場合には船長以外のものを衛生担当者にしなければならない、こういうようになっております。
  149. 久保三郎

    久保委員 はたして船長が衛生担当者か知りませんが、そういうことは形式的じゃないかと私は思うのですが、それはどういうふうに考えておりますか。制度があるからやろうというだけですか。どうもそういうふうにとれます。これは船員改正のときもドクターとの関係で問題があったのであります。しかもこれは船員局長の通達がいつ出たかわかりませんが、遠洋カツオマグロ船については特例が出ておるわけですね。特例はなんですか。
  150. 亀山信郎

    亀山政府委員 衛生管理者制度はこの四月一日から適用のある漁船全部について実施することにいたしたわけであります。しかしながら、講習養成を大いに努力をしましたけれども、若干おくれぎみであったために、衛生管理者の適任証書の交付について特例を設けまして、講習を受けて実際に乗船してもう一回講習を受けて、それから試験を受けて免状を出すという複雑なやり方のうちで一部を緩和するという特例措置カツオマグロ船について設けました。
  151. 久保三郎

    久保委員 これは、言うならば少し気やすくそういうものを出しているというふうにわれわれはとっているわけです。遠洋カツオマグロ船でありますから、この近くでやっているわけじゃないですね。過渡期でありますから、特例もけっこうであります。しかし、制度をつくったのでやむを得ずだれかをつけようということでやったのでは、何も法をつくった値打ちはないわけですね。これは乱発の傾向があるんじゃないですか、いかがですか。
  152. 亀山信郎

    亀山政府委員 現状において乱発か乱発でないかという問題でございますが、いずれも衛生管理者試験もしくは認定という網をくぐり抜けないと、衛生管理者の適任証書を出しておりませんので、その限りにおいては、現状においては乱発はしていないということでございます。これを非常に程度の高い試験を行なう、あるいは経歴を要求いたしますと、かえって法律の実施ができなくなる。一歩でも二歩でも前進していこうというときでございますので、現状において最も適当と思われる試験及び認定の方法をとっておるわけでございまして、逐次充足するに従って、衛生管理者の技能と申しますか、知識と申しますか、そういったもののレベルアップを今後も続けていきたい、かように考えております。
  153. 久保三郎

    久保委員 次に、衛生問題に関連して、これは水産庁に聞いたほうがいいと思うのですが、北洋のサケ・マスの時期にどの程度の船が出ているのですか。総数です。
  154. 山中義一

    山中説明員 正確なる数はいまちょっと記憶しておりませんが、千百隻弱だと思っております。
  155. 久保三郎

    久保委員 その船員の数はどの程度でございますか。
  156. 亀山信郎

    亀山政府委員 四十八度以北におきまして、これは三十九年度でございますが一万一千九百十三人、四十八度以南の流し網、はえなわで一万二千二百六十七人、合わせて二万四千余りでございます。
  157. 久保三郎

    久保委員 これらの衛生問題でありますが、安全衛生というかこの問題はやはり相当施策として考える時期だろうと思うのです。ついては、いつかこの席でも言ったが、病院船を、たとえば密集地区、その時期、こう言うと北洋が一番対象になろうかと思うのでありますが、来年度からでも病院船というか、そういうものの配置を考えているかどうか。
  158. 亀山信郎

    亀山政府委員 北洋の病院船につきましては、四十八度以北は母船に必ず医師が乗っておりまして、母船が昨年度で申しますと十一隻、ベッドの数も相当ございますので、まずまず。それから独航船は、ほとんど毎日サケを揚げるために母船へ帰ってまいります。したがって、以北のほうについては特に病院船の必要の問題がないと思いますが、問題は四十八度以南の方面に七百隻近いものが昨年は出ておりまして、一万二千名の船員が働いておりますが、これについて病院船があってほしいという要望が労働組合のほうからございましたので、先般関係厚生省水産庁、私ども、それから海上保安庁というふうな関係省及び関係業界と数回にわたっていろいろ打ち合わせをいたしまして、チャーターした場合の経費はどうなるか等々検討いたしましたが、現状において船員保険においても、また業界自体においても、それらの経費的な負担にたえられないということでございました。そこで昨年もやっていただきましたのですが、海上保安庁の巡視船に医師を乗せて、これは業界が雇ったと申しますか、嘱託した医師を海上保安庁の巡視船に乗せまして、これによって以南の地区の漁船に急病人が発生した、けが人が発生したという場合の救急の医療を行なうという方法を今年度もとってもらいたいということで、海上保安庁のほうでもそのような措置をとってくれることに相なっております。
  159. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、船員局長、病院船については協議が整わないままになっている。さらにもう少し協議をするということになっているのか、どっちなのですか。
  160. 亀山信郎

    亀山政府委員 現在のところはいま申し上げましたような事情で、抜本的な措置をどうするかということになるかと思いますけれども、これは海上医療全般にかかる問題でございますので、実は船員労働委員会からも現在の漁船のみならず、一般船舶全体ついて海上における医療問題をどう改善し、発展さしていくかということについて至急に検討をするような建議がつい最近船員中央労働委員会から当方に出されております。したがいまして、医療問題でございますので、特に厚生省、また漁船につきましては水産庁とも関係がございますので、病院船の問題を含めてひとつ基本的な問題として取り上げていきたい、あるいはそのために必要であるならば新しい審議会を設けるというふうなことで現在考えております。具体的に北洋の病院船ということにつきましては、先ほどのような事情で早急な実現は困難でございますので、この海上医療全体を研究していく過程において取り上げていきたい、かように考えております。
  161. 久保三郎

    久保委員 少なくとも来年度予算の要求の時期ごろまでには、一応そういう答申もあったとするならば、建議ですか、話を煮詰めてもらって、テストケースとして一隻なら一隻を配置するという方向で持っていってもらいたい、こういうように思います。次に、やはり衛生の問題でありますが、最近というか、これは最近かどうかわかりませんが、ここ一年ぐらいの間にいわゆるドクターを乗せぬでもいい区域を追加しましたか。
  162. 亀山信郎

    亀山政府委員 船医を乗船すべき航路のうちでことしの三月三十一日までというふうになっておる航路がございました。それで自然に消滅するわけでございますけれども、一応船員労働委員会で御検討順いました結果、いろいろ議論はございまたけれども、船員労働委員会意見としては三月二十一日で指定がはずれる航路、これはすでに前からそうなっておりましたのですが、それにつきましては、そのように措置するのもやむを得ないだろう。そこで、しかしながら、医師を乗せるということも含んで海上医療全般について十分な対策を講ずるように至急検討すべし、こういう建議がそのときに出たわけであります。
  163. 久保三郎

    久保委員 その三月一ぱいではずれた航路はどこですか。
  164. 亀山信郎

    亀山政府委員 アフリカの東岸航路及びヨーロッパ航路でございます。
  165. 久保三郎

    久保委員 これはその当時なぜ三月一ばいということにしたんでしょう。
  166. 亀山信郎

    亀山政府委員 これは当初告示が出ましたときから、この航路につきましては必要があるかないかということについていろいろ議論がございまして、その議論が尽くされなかったために、しばらく暫定的に置く、その間に、特に病気の発生状況あるいは陸上の医療施設等が他に比べてはなはだしく不十分であったり、病気の発生率が高いという具体的な証拠があるかどうかを検討してみろということで期間を限っておったわけです。その期間内に特に病気が他の航路に比べて多いとか、あるいは陸上の医療施設が他の航路に比べてきわめて不十分であるというふうな結論には到達しなかったので、この間に廃止になったということであります。
  167. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから、それはあとにしましょう。そこで、船員労働災害防止に関する法律というのを当初予定法案にしておったのだが、いまだに出てこぬで、もう会期は幾日もないのだが、これから出すつもりですか。
  168. 亀山信郎

    亀山政府委員 労働災害防止に関する法律につきましては、予算上の措置がついにできませんでしたので、これは船員保険からの補助金を当然予定を組んで厚生省並びに大蔵省に折衝いたしましたけれども、現在、船員保険の財政全体の状況が相当の額の補助金を法律によって長期にわたって毎年出すという決断をすることができないということでございましたので、今国会には提出できないということに相なりました次第であります。
  169. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、次回までには出すつもりでやるわけですか。
  170. 亀山信郎

    亀山政府委員 財政当局並びに厚生省とよく打ち合わせをしまして、次の国会にはぜひ出したいと私どもは念願しております。
  171. 久保三郎

    久保委員 これだけ船員の災害というのは非常に多いわけですね。ただ、あまり世間の目につかぬところで起きるから関心が薄いのでありますが、かなりの事故があるわけです。だから、これは、いうならばおかと一緒に出すべきはずのものであったわけです。ところが、これでまる一年おくれておるわけですね。この辺の熱意は、船員局長だけの責任でないと思うのでありますが、政府全体として考えてもらわなければならぬと思うのです。  そこで次の問題でありますが、海運局長の御答弁をいただくことが一つございます。それは、この間じゅう参考人を呼んでベトナム海域の航行安全について——これは船員局長でしょう。どちらでもいい。きょうは外務省を呼んでなかったが、外務省は、アメリカ局長は、それぞれ手を尽くすという話だったのだが、手を尽くしているかどうか、そういう返事がありましたが、どちらでもいいです。
  172. 若狭得治

    ○若狭政府委員 実はこの前、久保先生の御質問がございましてから、いろいろ関係の団体あるいは外務省等々と打ち合わせをいたしました。日本の船に特別のマーク、たとえば甲板上に大きなマークをつけるというような措置を講じた場合に、アメリカ軍がその安全を保障するような措置をとるということに、そういうような方法で外務省から米策に対して安全保障の取りつけができないかというような点で、外務省と相談いたしました。これは、外務省はそういう方法で米軍と折衝いたしましようということでございましたけれども、その前提となります経費の問題その他がございまして、この前の委員会でも御指摘があって、御説明申し上げたわけでございますが、保険料が非常に高額になっておる、あるいは乗り組み員の特別の就航手当等の問題があるわけでありまして、そういう問題を解決したあとでなければ、米軍とそういう折衝をいたしましても実効があがらないであろうということで、そういう折衝を待っておったわけでございます。しかし、その後、当時、この前の委員会の当時は、外国船は従来どおり就航いたしておったわけでございますけれども、その後、外国船も就航しなくなる、またアメリカ軍自体もベトナムを戦争区域というような指定を——これは国内的な問題でございます。アメリカの国の制度としての戦争区域に指定するというような事態がございました。さらにまた、先日はベトナム海域について各国の船を臨検するというような措置もとられたようであります。そういう情勢からいたしまして、むしろ現在のところは、北ベトナムに対して配船を促進するという方向でさらに進めるというような情勢で関係業界のほうでもそういう希望は強く出してきておりませんし、目下のところは、今後の推移をしばらく見たいというのが実情でございます。
  173. 久保三郎

    久保委員 経過としてはわかりましたが、この問題はあらためて取り上げますが、米国がかってにいわゆる戦争区域というようにきめているそうでありますが、あそこは交戦地域じゃないですね。敵側であるというふうに見ている北ベトナムからは、米軍への攻撃は一切してない。来たものを迎え撃つということでやっている。だから戦争放棄というか何かわかりませんが、少なくともそういうものでわれわれの経済行為が阻害されることは、国際正義あるいは国際法からいっても問題があると思うのですね。これはいずれにしても次の機会にいたしましょう。  そこでせっかくでありますから、お許しをいただいて二つほどお尋ねするのでありますが、船員法第七十三条でいわゆる漁船船員労働条件等についての、いわゆるこれを省令できめる作業というものは今日どうなっているか。
  174. 亀山信郎

    亀山政府委員 労働時間及び休日の規定漁船船員は現行法で除外されておる問題でございますが、これにつきましては、現在船員労働委員会において労働時間小委員会を設けて、漁船も含めて検討をいたしております。その答申を待って、船員法の改正でいくか、この七十三条に基づく命令でいくかということもあわせて、そこで検討をして、その検討の結果によって措置をとりたい、かように考えております。現在漁船労働時間を審議するために関係者の専門家の説明調査等をいろいろいたしておりますが、大体の方向といたしましては、休憩時間、つまり労働時間より逆に休息時間を規定する、それからできれば航行中漁場へ行くまでの間は労働時間をきめる、漁場に到達して漁労になった場合には最小限の休息時間をきめるか、あるいは休息時間もきめられないかという点で、検討をしておる段階でございます。
  175. 久保三郎

    久保委員 およその見通しで、大体いつごろ答申が出る見込みですか。
  176. 亀山信郎

    亀山政府委員 漁船以外の七百トン以下の小型船につきましては、来月中には委員会としての態度がきまると思います。そういたしますと、すぐ引き続き漁船を、いままで小型鋼船労働時間の間に挾んで検討しておりましたが、七月以降はおそらく漁船一本にしぼって審議をいたしますので、今年度内には結論が出るようなことを私どもは期待をいたしております。
  177. 久保三郎

    久保委員 次に船員の最低賃金制でありますが、これはきめられたものはございますか。
  178. 亀山信郎

    亀山政府委員 最低賃金法によりまして、現在まで業者間協定方式で進めてまいりまして、おおむね機帆船につきまして九〇%程度業者間協定による最低賃金ができましたけれども、すでに陸上におきましても職権決定方式も労働委員会から答申が出ておるような状況でございますので、もっと——業者間協定では大体一万二千円が機帆船の最低賃金になっておりますが、一般の状況から見まして一万二千円では低いのじゃないか、実行性に乏しいということから、最低賃金法に定める勧告の制度ないしは職権による決定ということで、現在まず地方の海運局におきまして引き上げを勧告する、それがうまくいかない場合には中央で一本できめるという両面作戦で審議を続けております。
  179. 久保三郎

    久保委員 漁船についてはどうなっておりますか。
  180. 亀山信郎

    亀山政府委員 漁船については最低賃金はまだ取り上げておりません。
  181. 久保三郎

    久保委員 それはどういう理由で取り上げておらないのでしょうか。
  182. 亀山信郎

    亀山政府委員 漁船の賃金体系は御承知のように非常に複雑でございます。漁業種別によって非常にバラバエティーに富んでいるということで、これについて最低賃金をきめるということは、陸上、つまり労働基準法の分野になります二十トンあるいは三十トン以下の漁船につきましてもなかなか困難であるような状況でございますが、農林漁業については、現状においては最低賃金制を実効あるやり方できめていくのは困難な状況ではないかというふうに考えております。しかし、私どもの行政指導といたしましては、ここ数年来漁船の歩合制による最低保障賃金をだんだん高めていくという方向で進んでまいりますので、当分はこれでいきたいというふうに考えております。
  183. 久保三郎

    久保委員 最低保障、いわゆる固定給プラス歩合給ということで指導されることは、それはそれなりにいいと思うのです。だんだんそういう方向がとられつつあると思うのですが、しかしいまお話しの中で千差万別であってなかなかむずかしい、こうおっしゃるけれども、なるほどこれは漁種あるいは船の種類、いろいろありますが、言うならば重量制限に出ている一つ漁業のグループ、たとえばカツオマグロならカツオマグロですね、そういう形態をとらえて業者間協定を進めさせるというようなことは可能だと思うのです。だから固定給を上げていくということと、反面固定給と最低賃金、これは違いますから、その辺のところを両者かみ合わせてやらぬと、これはますますほかの進展に比べて非常に前進がおそい。それからいい労働力も確保できない。よって、経営も困難になるということが循環してくるわけです。だからいま私が申し上げるような形をとれば、それは必ずしも不可能ではない、かように思うのですが、どうですか。漁業にはそれ以外の要素があるのでしょう。たとえば水産庁の所管であるような経営の問題もあるのですか、単に問題がむずかしいというのではなくて…。どうですか。
  184. 亀山信郎

    亀山政府委員 水産庁のほうから最低賃金をきめては困るとか、そういうお話は全然私どもは聞いておりません。私ども自体がいま言ったような漁業種別漁業経営の現状、そういうものから見て、実効性ある最低賃金を早急の機会に決定するのは困難であるというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、機帆船について進めてまいりましたので、他の分野について現在の最低賃金法に基づく最低賃金の決定をやる必要があるか、またそれが実効ある効果を生み出すであろうかということについては、今後も検討を続けてまいりたい、かように考えております。
  185. 久保三郎

    久保委員 次にもう最後でありますが、大仲経費というものがありますけれども、大仲経費として計上すべきものはどれとどれであるかということが非常に不明確なままに実は混乱があると思うのですね。これについてはどういうふうに考えておりますか。統一見解というか、そういうものは出ておるのですか。
  186. 亀山信郎

    亀山政府委員 統一見解は出ておりませんけれども、私どもの労働条件改善指導要領では、大仲経費方式よりも漁獲高、いわゆる基礎は大仲経費を差し引く前の漁獲高によるのがいい方法であるという方向で指導をいたしております。その場合に市場手数料のみは、差し引くことは、ある場合にはいいであろう、しかしこれも行政指導でございまして、大仲経費の内容を、これとこれは大仲経費として認める、そういうことには、各地漁業の長年の習慣もございますので、一気にはなかなかまいらないと思いますが、一定の方向としては漁獲高による、できれば理想としては量による、それにいくためには魚価も変動いたしますが、大仲経費を差し引く前の総水揚げ高を基準にして歩合をはじく、一部はすでにそういう形態で進んでおります。
  187. 久保三郎

    久保委員 船員局長のおっしゃるように、漁獲高に対して歩合をはじき出すということも一つの方法かもしれませんが、それじゃ、その漁獲高に対して何%と、パーセントの置き方によっては同じだと思うのですね。別に大仲経費でパーセンテージをきめるのと、いまのお話のとおりにきめるのとあんまり差はないですね。しかも実態を見ますと、あなたの御答弁ではだんだんそういう傾向になりつつあるという御指摘があったようですが、私の見る目では、旧態依然として大仲経費というものは歩合給がある限りはつきまとってきている。これが非常に多い。局長の言うように漁獲高でやったらいいだろうということが、それは一つか二つはあるかもしれませんが、大半が大仲経費で歩合給、これはどうなんですか。見方が違うのですか。あなたのほうの調査か、水産庁調査ですか。水産庁調査も二年続けてやりましたが、大体傾向はそうでしょう。
  188. 山中義一

    山中説明員 まだただいまのところ、大仲経費を——全然水揚げ高でというふうなものは、統計上そうあがってくるほどには至っておりません。
  189. 久保三郎

    久保委員 そこで、その総漁獲高、水揚げ量でやるかどうか、これは検討していくべきだと思うのです。必ずしも総水揚げ高でいって、そこでやればうまくいくというわけにはいかぬと思うのですね。パーセンテージの置き方によってこれは違ってきますから、これが問題だと思う。そこで、さしあたり現状を是認するわけじゃないけれども、大仲経費といい、歩合給という、だけれども、あるものだから、これについて私は質問をしたいのは、大中経費というのは何だということ、いうならばこれは水産庁運輸省関係がございますから、少なくともきっちりと、大仲経費というのは、これこれの費目は大仲経費に入れていい、それ以外は入れちゃいかぬ、こういう指導方針なり規定というか、そういうものがあってしかるべきだと思います。むしろこれは責任は船員局長のほうかもしれませんね。大仲経費として差っ引いて、それから最近——水産庁に聞きますが、漁価安定法の調整資金まで引くというじゃないですか。大仲経費に入れるのはこれはどうなんですか。
  190. 山中義一

    山中説明員 まだそこまで聞いておりませんが、そんなことをやっておりますか。
  191. 久保三郎

    久保委員 やっています。そういうことがあって、だんだん大仲経費がふくらんでくるんです。だから、常識的にみて大仲経費とは何か、これはやっぱりきっちりときめるべきだと私は思うのです。これは国の態度として、方針としてきめるべきだと思うのですよ。というのは、いま漁船船員などは全体の組織率はかなり低いのです。しかも組織されているところはかなりいいところもあります。団体交渉あるいは団体協約によって大仲経費を一つ制限していく方法はあるけれども、実際はそういうことばかりやっておられない。組織の力も非常に弱いものがある。そうなると、やはり大仲経費というものをある程度規制していく——といっては語弊があるが、きっちりときめる、そうして指導していくということでないと、これはなかなか固定給を上げて歩合給プラスといっても、大仲経費でごっそりいまのように調整資金まで引いていくということでやられたんでは、これは何にもならぬ。固定給が上がっても歩合給がうんと少なくなっちゃう。そういうことがある。これはどうですか。
  192. 亀山信郎

    亀山政府委員 大仲経費の内容を明確にするということは仰せのとおりでございまして、これは当然、雇われるときの労働条件の賃金条項においてはっきり明示しなければ、大仲経費の中に何が入っておるのかさっぱりわからない。また、雇うほうでそれを明示しないということは、私は、船員法に違反をする、かように考えておりますので、その点については、労働条件のうちの賃金条項、ことに歩合制はその内容をはっきり雇われるほうに知らせる、これがないために途中で紛議が起こった例もございます。これは行政指導として、これこれのものが大仲経費として差し引かれるということを就業規則等ではっきりさせていくという方向で指導をいたしております。  なお、根本的には、仰せのとおり、健全な労働組合と船主との団体協約によってこういうものはきめられるべきであると私どもは考えておりまして、今年度の予算上、わずかではございますが、労務管理の近代化を指導するための経費が若干船員局につきましたので、各地海運局が中心になりまして、県の水産課等の協力も得て、特に漁船船主を主たる対象にして、こういう面の労務管理の近代化ということの講習をしていきたい、かように考えて、ことしはぜひともそれを進めていきたい、かように考えております。
  193. 久保三郎

    久保委員 この大仲経費はきちんと就業規則の中へ明示しろという指導をしているというが、明示するだけではだめなんです。明示された中に、いかがわしいものが入ったら何にもならぬです。しかも就業規則などは、規則の上ではこれを土台にして雇用関係を結ぶということになっていますが、大体において就業規則を初めから終わりまで、しかも大仲経費の中を逐一見て、これは不当であるとか、これはいいとかいうようなことを逐一点検して、それでは雇われません、雇われましょう、ということを言う人は実際あまりいないです。そうでしょう。だから私が言いたいのは、いわゆる船員労働委員会なんかに諮問し三そうして大仲経費はどうあるべきかをやはり結論をつけてもらうのが一番いいのじゃないですか。どうなんですか。
  194. 亀山信郎

    亀山政府委員 やはり賃金、一種の労働の報酬でございますので、これはやはり労働者と雇うほうとの合意によって決定をする。しかもこれらの大仲経費は、先ほど申し上げましたように、地域によっていろいろの習慣と伝統がございます。これを一挙に無視して、役所が、これこれが大仲経費で、ほかのものは一切認めないというようなことがはたして実態に合うかどうか、雇われるほうにとってもそれが喜ばしいことであるかどうか、私は疑問だと思います。迂遠なことかもしれませんけれども、やはり大仲経費の内容をはっきりさしていく、そうして納得づくで雇われていくということで、手間はかかりますけれども、先ほど申し上げました講習会その他の方法によって、近代的なと申しますか、きちんとした労使関係を打ち立てていくというのが私どもの基本的な方向ではないか、かように考えております。
  195. 久保三郎

    久保委員 あなたと論争しても始まらぬけれども、歴史と伝統というか、そういうものがあるから、やはり私は否定しない。だけれども、自由に大仲経費がこの業者とこの業者で違っているということも、実際を言うと、これはいかがかと思うのですね。あなたがおっしゃるとおり、これは労働条件ですから、雇用される者と雇用する者との間のいわゆる約束でやったらいい。それはそのとおりなんです。だけれども、社会正義というか、社会的に見てこれは正しいとか正しくないという、そういう基準は国としてはやはり明示する必要がある。たとえば労働条件は相対できめるのだからというので、過酷な労働もやっていいかどうか。これはいまあるところの法律からいっても、そうは許していませんぞ。許していません。しかも国の政策とすれば、やはりこれは公正な基準を設けて、フェアにやるだけの基準は設けなければいかぬ。これが反面にあるわけです。だから、私は、混乱するようないわゆる大仲経費を全部整理しろとは言っていない。しかし、やはり公平に見て、だれが見ても判断のできるような体系にひとつきちんとしたらどうかということです。あなたはどうもぼくの意見には賛成しかねるようだけれども、それじゃ反面聞くが、固定給をどんどんどんどん上げていってうまくいくと思いますか。おそらくこの漁業の問題は、ここ十年くらい大仲経費、歩合給というものは残っていく。だから私は言う。水産庁はどうなんですか、きちんとしたほうがいいのじゃないですか。
  196. 山中義一

    山中説明員 ただいまの点につきましては、水産庁としては、固定給プラス歩合給というような点は好ましいという指導をしておりますが、まだ大仲経費の内容その他について十分研究して、この分は組むべきであり、この分は組むべきではないという点につきましては、結論を出し得ないのであります。ただし、御説のように、これがほかの産業その他と比べてみて、はたして経営上適切なものであるかどうかという点については、私もこれは大いに研究してみなければいかぬのじゃないか、決して好ましいようなものではないのじゃないかと考えております。
  197. 久保三郎

    久保委員 おっしゃるとおりなんで、好ましいものじゃないのですね。歩合給というのは、ほかの職種にもございます。陸上においても、たとえば町の中を走っておるタクシー、これは水揚げ、しかし大仲経費はございません。大仲経費というのは、魚をとるほうだけなんです。だから、これは歴史もあることだし、直ちに全部否定はできないから、それならば中身についてやはり検討を加えて、きちっとしろ、こう言っておるわけです。船員局長、どうなんですか。
  198. 亀山信郎

    亀山政府委員 別に久保先生の御意見に反対しておるわけではありませんが、中央労働委員会で、全国一本の大仲経費はこれとこれだというふうにぴしっときめて、強制するやり方はやるべきではないということで、個々の場合についてあいまいな経費が介入してくるというふうなことは当然避けるべきだ、そういう行政指導については、仰せのとおり、全く久保先生の御意見に賛成でございます。そういう方向で指導していきますが、指導の目標としては、大仲経費よりも全漁獲高でいきたいということを先ほどから申し上げておる次第であります。
  199. 久保三郎

    久保委員 それでは資料要求を一つしておきますが、大仲経費としてあげられておる費目はどんなものがあるか。基本的には、どの企業をとっても差し引かれる大仲経費に入るもの、企業によっては入らぬものもありますが、これは千差万別ですから、それをサンプルとして十種類出していただきたいと思います。それだけです。
  200. 進藤一馬

  201. 内海清

    内海(清)小委員 よほど時間がたちまして、政府委員のほうでもだいぶくたびれておられるようですが、せっかくの機会でございますし、特にこの十五日から北洋に一斉に出漁する。さらに二十六日からは昨年の国会で審議いたしました国際人命安全条約、これが発効するときで、きわめて重要なときでございますので、ただいま久保委員から各方面にわたって詳細な御質問、御討議がございましたが、私はいろいろ申し上げたいことがございますけれども、特に私どもの感じております数点にしぼって御質問を申し上げたいと思うのであります。  その前に、私、一言申し上げておきたいと思いますことは、実は、昨年の暮れの四十七臨時国会の運輸委員会で、私が船舶安全法に基づきます船舶検査官の問題、それから船員法に基づく労務官の問題で、ここでいろいろ論議をいたしました。その後、その際に強く要望を申し上げましたようなことについて、運輸省のほうから地方の局に通達が出て、その結果、きょう御報告いだだきましたような船舶安全法の第十二条によります臨検が行なわれた、こういうふうなことに相なっておりまして、これが通達が出まして、以前と以後の検査の状態が非常に違ってきております。厳重に画期的にやられたということが、すでに御承知のように、この三月三十日に発生した事故でありますが、それによって船員が十五名救助された、こういう事態が起きておるのであります。このことはきわめて重要なことだと思うのでありまして、これは時間がございませんから、簡単に申し上げますけれども、運輸当局におきましても、その後いろいろ御努力を願っておるようでありますが、この三月三十日に起きましたのは、第十一日進丸の件でございます。これは出航前の船舶検査にあたりまして、現地の船舶検査官が特に入念に検査を行なった。そうして救命具の積みかえを命じたというふうなことでございます。出航後四日で遭難して、このおかげで、十二日間漂流しながら救助されたということがあるわけでございます。これに対しましては、その十一日進丸の浅野船長が検査に当たってくれた検査官の名前、これは横浜だと思いますが、安田あるいは石井というふうな検査官の名前は一生忘れぬだろうという感想さえ述べておるのであります。このことはきわめて重要なことだと思うのです。特に北洋に多くの漁船も出てまいりますし、多くの乗り組み員が出ていくときであります。この出航前の検査ということにつきましては、一そう意を用いて、そのことによよって少しでも人命が救助されるならば、これはきわめてとうといことである、かように考えておるのであります。この点につきましては、この国会で私どもの要望いたしましたことが十分理解されて、行政指導のほうで大きな効果をあらわしたというふうに考えております。北洋の出航にあたりましても特段の御配慮を願いたい、こういうことをまずお願いしておきたいと思うのであります。  それでは、さっそく問題点をしぼって御質問を申し上げますが、昨年の十二月十七日の私の質問におきましても、この検査についても、五月の二十六日から国際条約が発効するので、それに適応するようにいま準備しておる。したがって、救命具その他についても、今後はすべて一〇〇%の設備ができるようになるであろう、特にそれの中でも救難その他の場合の連絡方法としては、いわゆる自動的な救難発信機、つまりSOSブイというようなものも備えられるだろうという答弁もあったわけであります。いまのようなことがこの発効に備えまして、運輸当局におかれましてもいろいろ関係の整備が現在行なわれておるのじゃないかこういうことを考えるのであります。そこで特に通常言われておりますSOSブイであります、この遭難の自動通信設備でありますが、この点について、これは船舶救命設備の完備からいたしまして、当然私どもは完全自動式が設備されるべきじじゃないか、こういうふうに考えておるのでありますが、この点についてはいまどういうふうにお考えになっておりますか。
  202. 芥川輝孝

    芥川政府委員 先生御指摘のように、完全自動式というのが最も望ましいと考えておるわけであります。その開発をどうするかいろいろこまかい点がございますが、現在のところいわゆる完全自動式と言えるものはないのではないかというふうに考えておりまして、ことばは悪いのでございますが、中途はんぱなものを強制するよりも、もう少し開発の進むのを待ちまして、いわゆる完全自動式になってからこれを強制したらいいのではないかというふうに考えております。
  203. 内海清

    内海(清)小委員 これはいろいろ船舶局関係では技術的な問題からもお考えでございましょうが、現在私どもの承知しておるのでは、いわゆる完全自動式というものをすでに装備して、これに依存しておる、しかもこれは完全自動式であるけれども、万一故障があった場合には、これはいわゆる空中線の伸長の問題が一番大事な問題でございますけれども、これはやはり手動でもできる、こういうものが現在すでに開発されておるわけです。そういう点から考えますならば、ことに漁船その他の小型船の海難状況から考えてみますと、はたして手動でこれがそういう海難というような緊急の場合に間に合うか。しかも海難という場合は、多くは海上がしけておるような場合であります。そういう点から考えますならば、これはいわゆる完全自動式で手動もかね備えるというふうなもの、これこそ実は最も大事なんです。これは実際海難の状況から考えて、その救難に当たられる海上保安庁あるいはまた漁船と特に関係のある水産庁、これらのほうはその点はどう考えておるのでしょうか。  さらにまたこれは結局は運輸省の態度によると思いますけれども、無線の設備規則の関係もあって、郵政省関係電波監理局関係も出てくるわけです。それらの関係の部局においてこれをどう考えられるか。船舶局としては、それでは現在どういうものをこれには装備さすべきかというお考えがきまっておりますかどうですか、その点ひとつお聞きいたしたい。
  204. 芥川輝孝

    芥川政府委員 ただいまのいわゆる完全自動式という点につきましでは、御指摘のとおりでございまして、たとえばアンテナなんか、水圧を利用してアンテナが伸びていく範囲等につきましては、若干疑問の点もございます。その他いろいろな問題がまだあるようでございまして、その点、運輸省の研究所のほうで強化試験をただいまやっておる途中でございます。したがいまして、とりあえず強制いたしますのは手動式のものを強制しておきまして、そしていわゆる完全自動式のものは、これならば強制しても差しつかえないというところまで開発されましたときに切りかえる、というふうなことをやりたいと考えております。
  205. 内海清

    内海(清)小委員 これはまあ手動でもいけるというのであれば、完全自動式ということばが適切でないのかもしれませんが、要するに手動式であって、万一それに故障があった場合には手動でもできるというものが現在開発されておるわけであります。私はこれが当然装備されるべきであると思うのですが、これらにつきまして、先ほど申し上げました保安庁なり、水産庁なり、あるいは電波監理局のほうの御意見があればひとつお伺いしたい。
  206. 猪口猛夫

    猪口説明員 海上保安庁といたしましては、この問題につきましては、御承知のように、海難事故というのはとっさの間に起きますので、できるだけといいますか、自動式のものを強制したい、していただきたいという希望を申し上げたのでございますが、先ほど船舶局長がおっしゃいましたように、自動式の現在開発されておるものにつきましては、若干機構的に無理があるのじゃないか。事実、私たちが巡視船あるいは航空機等で使用したものにつきましても、若干故障等が起きた事例もございまして、そのメーカーにつきましては、その都度その事実を指摘いたしまして、改善をはかっているという段階でもございますので、現在執行しております規則の内容で進むよりほかはないであろう。要するに、手動でアンテナが上がるということは絶対に強制する、しかし自動式のものを拒否するということではございませんので、できるだけ自動式のものでいいものができ上がりましたならば、すみやかに自動式のものを強制するようにいたしまして、当分の間はある程度行政指導で進んでいく、進まざるを得ないのではないかと思っておる次第でございます。ただ私たちのほうで、この点だけは強く要望いたしましたのは、到達距離が五十キロ以上のものが好ましいということは強く要望いたしまして、その点は大体認められて、そういう内容になっているように記憶しております。
  207. 山中義一

    山中説明員 水産庁といたしましても、できるだけ完全自動式が理想的だと思っておりますが、いろいろ技術的な問題もございますので、その辺は運輸省あるいは郵政省などとも御相談の上、取り上げたい。なお水産庁といたしましては、そういう救難の救命用のいかだでございますとか、ラジオブイでございますとか、そういうものにつきましては公庫の融資対象として取り上げたいというふうに思っております。
  208. 赤塚新三郎

    ○赤塚説明員 郵政省といたしましては、いわゆるSOSブイというものを強制しますところの根拠をつくります運輸省のほうとも関連がございますので、打ち合わせをしました結果、これは必ずしもいわゆる救難ブイの外だけで、使うのではない、救難ブイその他いかだにあげて使う場合もあり、そういうことも大いに強調されたところでございまして、したがいまして、もしそういういかだなどの外に使う場合は、おそらく完全自動式のほうが有利であると思います。しかし、いかだの中に拾い上げて使う場合には、必ずしも完全自動式でなくとも、かえって手動である場合のほうが非常に確実である。  この自動の部分の一番問題になっておりますところのものは、電源の開閉部分とそれからアンテナの伸長でございます。したがいまして、もしたとえば何か表面に浮いている場合に、下から浮かび上がってくるときにアンテナが途中で出たということがあったりすると、浮かび上がれないということも考えられます。その面で先ほど保安庁の方とか運輸省の方が申し上げましたように、完全自動でございますと、たとえばガスボンベに衝撃を与えてそのガスによってアンテナが伸長するというようなこと、それから沈みました場合に三メートルくらいのところで船体から離れて浮き上がる、そういうようなことにつきまして、精密であればあるほどいわゆる故障ということも考えに入れなければいけない、こういう立場から現時点におきましては、手動もできさえすれば自動であってもよろしいと考えておる次第でございます。
  209. 内海清

    内海(清)小委員 もちろん海難の場合に手動で間に合う場合はそれでもいいわけでありますが、実際の海難の状況を考える場合には、これは非常に困難な場合が多いということです。特にこれは水産庁関係ではそうのう完全自動といいますか、全自動といいますか、そういうふうなものを備える場合には、これは資金的にも援助も考えておるということであります。しかしこれが自動設備の強制される船で、特に小型漁船や小型貨物船、こういうふうなものの遭難を考えると、やはり自動式というものをどうしても備えるべきではないかと私は考える。完全自動というものはいま技術的になかなか困難な問題で、現在もこれがいろいろ試験をやっておるということであります。私どもの承知いたしておりますようないわゆる自動式であるが、もしそれに故障があれば手動でもいくというふうなものが備えられることが、これは経済面から申しましても当然必要なことである。それは完全自動のものができたらそれも全部取りかえさすというわけにも、これはことに漁船とかあるいは小型の貨物船というふうなものを考える場合には、二重の経済的な負担もある。ただこれは海運局もそういう点はそれぞれお考えになると思いますけれども、そういう面から見て、どうしてもこれはこの際自動式といろものに統一して、これをそうさすべきじゃないかということを私どもは考える。ことに私ども伺っておるところによりますと、全日本海員組合でも現在すでに船主との協約によりまして、このいわゆる自動式のSOSブイをすべての小型船に装備するように、搭載するようにということが行なわれておるようであります。したがって、ここで運輸省の態度が旧態依然として手動式でもいいということになりますと、その辺にもいろいろ問題が起きてくるのではないか。  でありますから、この際、運輸省関係においても、手動式を廃して自動式にする、こういうことにこの際はっきり踏み切るべきではないか、こう考えるのであります。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  210. 芥川輝孝

    芥川政府委員 先ほども申し上げましたように、自動式でいいものがあれば、これはもちろんそれを備えることはいいと思うのでありますが、ただいまのところは、自動式として備えるべきいわゆる規格と申しますか、そこらの点で若干不満足なものがございまして、したがいまして、運輸省研究所の艤装部のほうでこれの開発に鋭意、意を注いでおるという状況でございます。そういうものが完成いたしましたならば、これを搭載するということはやりたいと思うのであります。不完全なものを強制するということは避けまして、やむを得ず手動式のみを強制するというような法律上の形にはなっておりますけれども、ただ手動式を強制をしておりますが、自動式を自発的に備えられることは一向妨げておりませんので、その点やむを得ず手動式の強制にとどまっておるというふうに御了解いただきたいと存ずる次第でございます。
  211. 内海清

    内海(清)小委員 重ねてもう一回伺っておきたいと思いますが、私はこの面ではしろうとですから、十分技術的な面はわかりませんけれども、私どもが現在まで承知いたしておりますのでは、いわゆる自動式で、もしそれに故障があれば手動でもいくというものが開発されておるということでございます。そうするならば、現在完全なものではないかもしれぬけれども、もし自動に故障があって、これは手動でもやれるということであるならば、当然それを搭載すべきではないか、こういうふうに考えるのです。これは確かに自動でも手動でもどちらでもいいということになれば、おそらくこれは価格的には差があるのだ、特に漁船とかあるいは小型船の場合を考えるというと、やはり安くてつけやすい、こういうことでありますので、人命の尊重という点から考えるならば、ことに漁船、それから小型船の海難の場合を考えるときには、どうしてもこれは自動式を搭載すべきではないか、こういうふうに考えるのであります。それらの技術的な面についても御検討中かもしれませんけれども、もう一度その点について明らかにしておいていただきたいと思います。
  212. 芥川輝孝

    芥川政府委員 手動式ののみ強制ということで、手動、自動といわず、併用式のものはこれは妨げないと申し上げましたが、結局自働式と称せられる部分の信頼性と申しますか、故障率の問題でございまして、ただいまのところでは故障率がまだ相当のパーセンテージにのぼる結果、したがって、自動式を強制して、それがあまり信頼できないとなりますと、法で強制するのは少し行き過ぎではないか。したがいまして、もう少し信頼性が自動式の部分が増してまいりましたときに、自動式の部分も強制してつけるというふうにやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  213. 内海清

    内海(清)小委員 これは実際の海難の場合、自動式にしても手動式にしても、あるいはその併用のものにしても、いずれにしても、これが役立たなければ、それは装備しても何にもならぬということです。実際、漁船あるいは小型船の海難の状況を考えたときに、よりどちらがプラスであるかということが、この際判断の基準にならなければならぬと思う。その点で、なお自動式は故障もあるし、十分自信が持てないということであっても、どちらがより人命救助の面において役立つかということが一番重要なことじゃないかと思う。その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  214. 芥川輝孝

    芥川政府委員 信頼性がないといっても、ゼロではないわけでございまして、結局、低いけれども、自動式で役立つ場合も当然あるわけでございますが、ただそうなりました場合に、政府で採用いたしますと、一つの規格がきまりまして、せっかく、もう少し進歩したらばこれを採用すると言えば一〇〇%の開発ができたものを、低い限度でとどまるというふうなことになりましても、はなはだかえって申しわけないかと存じますので、せっかく船舶研究所の艤装部におきましても、これらにつきまして開発の体制もできたように聞いておりますので、これらの指導のもとに、メーカーと十分協力いたしまして、自動式の完全な開発を急ぎたいという方針でまいりたいと考えております。
  215. 内海清

    内海(清)小委員 どうも私十分納得いかない。その辺、船舶研究所としては、こちらがいいと言えば、それがもし故障があった場合に、そこに責任問題が起きるというふうな、あまりに役所的な考え方ではないか。より人命救助に役立つのは、いずれも完全でなくても、どれが一番いいか、現在十分なる信頼性がなくても、自動、手動の併用にいたしましても、手動式よりも、実際海難の場合にこのほうが役立つとするならば、当然それをとるべきではないか、私はそう考える。その点について、もう一度ひとつ……。
  216. 芥川輝孝

    芥川政府委員 内海先生のお話、よくわかっておりますが、くどいようでございますが、法律で強制します場合には、やはり一定の技術水準以上のものを強制しませんと、ときたま——ことばが非常に悪くて恐縮でございますが、ときたまあるいは役に立つだろうという程度でございますと、やはり開発実験の段階ではないかと存ずる次第でございまして、開発実験の段階のものは、もうしばらく、その開発段階が過ぎまして実用段階に達してから、これを強制して装備するというふうにしてまいるのが本筋ではないかと考えておる次第でございます。
  217. 内海清

    内海(清)小委員 これは私どもしろうとですから、いま自動式のものは開発の段階であるという、この点については私どもも今後より一そう調査もしたいと思いますけれども、一般的に考えますならば、先ほど来申し上げましたようなことにならなければならぬのではないかと私は考えるわけです。特に、これがいま開発段階で、現在すでに海員組合と船主の問においても協約でこれが認められておるということは、少なくともそれらの船主関係においては、手動よりも自動、手動併用にしても、そのほうがより有効であるという判断の上に立っておると思うのです。ことに海員組合の立場からいえば、実際船に乗って今日までも海難に遭遇した人々の体験からこれが出ておる。でありますから、そういう点につきましては、私は、先ほど来申し上げましたことについての御研究を十分願って、そしてこれを御決定願わなければならぬと思います。私どもは、あるいはしろうとの考えといわれるかもしれませんけれども、よし開発段階にあるとしても、手動よりも自動式あるいは手動の併用のものにいたしましても、より人命救助にこれが有効である、役立つということであるならば、当然この際その方向に向かうべきだ、こういうことを考えるのであります。この点は今後きめられるわけでありましょうが、十分ひとつ考慮に入れて、あとに悔いを残さぬように要望したいと思います。もしこれが併用にしてもそのほうが助かって、手動のほうは海難の状況で操作できなくて、それで大命が失われたということになるならば、これは大きい問題になってくると思うのであります。だから、それらの点につきましてもひとつ十分なる御配慮をお願いしたい。これを強く要望申し上げておきたいと思います。  次に移りますが、特に漁船海難ですが、小型漁船海難と最も関係が深いものは気象条件であります。普通の場合、陸上では、台風が発生して本土に近づくということになると、これが逐一放送網を通じて放送される、あるいは警察庁から地方の警察に流されるというふうなことによって、国民にその進路を知らせるとともに、それに対します万全の備えを指示するということであります。国民にできるだけ周知徹底させるという指導が行なわれておる。ところが、海上においては、この気象変化についての各漁船等に対します警報あるいは通知等につきまして、一体どこがやるか。その一つの例は、ことしの一月九日、これを中心に日本海あるいは三陸沖でいわゆる一・九暴風というものが起きた場合に、これらの問題が実際に論議されておるわけであります。この一・九暴風の場合には、漁船の沈没が四十三隻、これを含めまして千三百五隻という船が遭難しておる。乗り組み員は、その当時のあれで申しますと、三名死亡で七十二名が行方不明という悲惨な結果を生んでおる。しかもその後において、数日して、またこういうふうなものが来るのではなかろうかというふうな気象関係がありましても、これを一体どこが責任を持って、それぞれ警報を発して注意を喚起し、そして海難事故の起こらないようにこれを処置していくか。気象庁にいわせればこれは気象の関係だ。海上保安庁にいえば海上保安庁ではそういう予防よりも救助が本職だ。予防はほかのところでやるべきだ。船員局関係にいけば船員のことをやればいいということである。船舶関係からいえば船舶検査が本職だという。あるいは海運局関係では海運課でいわゆる港則法でありますとか海上の衝突予防をやればいいということで、総合的なこれらに対しまする予報といいますか通報というか、そういう処置をする場所がないように思う。こういう問題は一体どういうふうになるのか。これは責任の所在を明らかにしておらぬので、どなたにお尋ねしていいかはっきりしませんけれども、これは運輸省関係でひとつ御答弁願いたいと思いますが、そういう場合に実際にいままではどういう実情になっているか。
  218. 猪口猛夫

    猪口説明員 気象の伝達につきましては、御承知のように気象業務法できめております。ことにただいまの御質問のケースのような予報につきましては、気象庁がその予報を出しまして、気象業務法によりまして、それぞれの伝達機関が指定されております。たとえば海上保安庁一つの伝達する機関になっております。あるいは漁業無線局もそれになっております。ですからその予報が出ますと、それぞれ海上保安庁海上保安庁の持っております海岸局を通じまして一般に伝達放送をいたします。漁業無線局もおそらくやっておると思います。ただし、問題は受けるほうの側に無線設備があるかどうかということが一番のキーポイントになるのだろうと思われる次第でございます。三十八年の一つの実例を申し上げますと、漁船関係海難が千百八十六件あったわけなんでございますが、その中で無線設備のない船が四百七十一隻ございます。しかも二十トン未満のものが四百五十四隻もあるという事実がむしろ問題になるんではないかと思う次第でございます。
  219. 内海清

    内海(清)小委員 結局いまのお話によりますと、受けるほうに設備がないじゃないかということでありますが、この一・九暴風の場合には、そういう的確な警報措置が行なわれなかったということは事実だと思うのです。これはすなわち、海員組合ではなくその当時運輸省の広瀬次官にもこの問題を持ち込んだ。大久保政務次官にもこの問題を持ち込んだ。ところが、これは何とかせなければならぬだろうというて会議も開かれたようであるけれども、実際に処置はどう行なわれたか明らかになっていない、これが実情であります。でありますから、こういうふうなものは、どうしてもどこかに総合的な調整をして、そういう処置をとるところが、責任のあるところが決定されなければならぬと思います。この点につきまして、今後気象警報についての責任の所在を明らかにされなければならぬと考えるのであります。きょうは大臣も次官もおいでになっておりません。したがって、そういうことに対するはっきりした責任のあるお答えがちょうだいできないかもしれませんけれども、これにつきましては時期を新たにいたしまして究明したいと思いますが、運輸省当局において早急に十分御検討になって、責任の所在を明らかにして処置ができるようにやっていただきたい、これも強く要望しておきたいと思うのであります。それから小型漁船の就業許可区域、これは従業制限の問題でありますが、これは久保委員からお尋ねがございましたので私は省略いたしますが、いずれにいたしましても今後十分研究して、早急に処理されなければならない問題だと考えておりますので、この点をよろしくお願いいたしたい。  いま一つは、これは船員局水産庁関係があると思いますが、船舶職員法の違反船主に対する問題であります。いわば海技免状等が売買されているということも聞くわけであります。金銭によって融通されているということも聞くわけであります。われわれ新聞等にも見るわけであります。これは海での十分なる経験のない人が船をあやつるということが最も危険なのであります。これほど危険なことはないのであります。こういうものにつきましては、即時漁業許可を取り消す等の処置が行なわるべきではないかと私は考えるのであります。この点に対しまする水産庁の御見解を承りたい。
  220. 山中義一

    山中説明員 現在いろいろ労働力不足その他の経営の関係もございまして、船主あるいは乗り組み員に、その資格のない者が乗るというようなことが行なわれている事例が遺憾ながら若干はあるようにも見受けられます。水産庁といたしましては、素質の向上とか技術の練成といいますか、こういうような点につきましては先ほど久保委員からもお話しのときに船員局長からも御答弁がございましたが、府県へ委託いたしまして、補助金を出して、技術の養成、海技技術員の養成、船の運航とか機関の整備あるいは無線通信等の技術に対する講習会、研修会をやるための費用の二分の一を補助してやっております。しかしながらいま御質問の、違反をした船主については取り締まりの上からどうするか、これは許可の取り消しというような点にはいままでまだ踏み切れておりません。ただし、許可が昭和四十二年度に一斉に切りかわることがございますので、そういうような場合には、許可の希望者がたくさん出てまいりますと、優先順位に基づいて一定の数を許可するという形になりますので、そういったような場合に法律を順守する精神が著しくない者というような者は資格がないとか、優先順位が落ちるとかいう条項がございますので、その際に勘案したいと考えております。
  221. 内海清

    内海(清)小委員 もちろん、現在、ことに漁船あるいは小型船につきましては、船員不足の時代で、たまたま海難等によって、その船長が無資格であったというようなことが暴露される場合もあるのであります。しかし、これがこのままで放置されることは、人命に関する問題であります。したがって、それらの違反船主に対しては厳重な処分によって、やはり人命を尊重していくという態度がとられなければならぬと思うのであります。この点につきましては、ひとつ、今後十分なる御検討とはっきりした態度で臨んでいただきたいと強く要望しておきたいと思います。  時間がたちましたので、いろいろ申し上げたいことがございますが、またの機会に譲って、一応きょうはこれで終わりたいと思いますけれども、最初に申し上げましたように、この十五日には北洋に一斉に出漁するわけであります。この際、この海難防止ということにつきましては、関係の役所において万全の処置をとっていただきたいと考えるわけであります。そのことをひとつ強く要望いたしまして、きょうの私の質問を終わります。
  222. 進藤一馬

    進藤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時四十二分散会