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1965-03-31 第48回国会 衆議院 運輸委員会安全輸送対策に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午後零時十七分開議  出席小委員    小委員長 進藤 一馬君       小渕 恵三君    佐々木義武君       關谷 勝利君    小川 三男君       久保 三郎君    泊谷 裕夫君       内海  清君  出席政府委員         海上保安庁長官 今井 榮文君  小委員外出席者         運輸委員長   長谷川 峻君         運輸事務官         (海運局参事         官)      高林 康一君         運 輸 技 官         (船舶局首席船         舶検査官)   近藤武之助君         海上保安官         (警備救難部         長)      猪口 猛夫君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月三十日  小委員泊谷裕夫君及び内海清君同日委員辞任に  つき、その補欠として泊谷裕夫君及び内海清君  が委員長の指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  安全輸送対策に関する件      ————◇—————
  2. 進藤一馬

    進藤委員長 運輸委員会安全輸送対策に関する小委員会を開会いたします。  安全輸送対策に関する件について調査を進めます。  本日は海運関係船舶安全確保について、政府当局より説明を聴取することといたします。今井海上保安庁長官
  3. 今井榮文

    今井政府委員 それではただいまお手元へ私どものほうでつくりました最近の要救助海難の現状につきましての資料を御配付申し上げたわけでございますが、これにつきまして簡単に御説明を申し上げたいと思います。  一ページ並びに二ページについてはきわめて簡単でございますので、最近の海難傾向というものにつきまして、これを読み上げて御説明申し上げたいと思います。  一 海難の現況  近時、船舶近代化および航海環境の整備が着々と進められているが、最近五ケ年間の海難についてみると、その発生隻数とは別表にみるごとく、横ばいないしわずかながら減少傾向を示しているに過ぎない。ちなみに昭和三十九年における要救助海難隻数二千八百六十五隻、人員二万四千二十一名の多数に及び、その見積もり価格は七百四十四億円となっており、このうち百十二億円の財産と千三百十一名のたっとい人命が失われている。  これを陸上における建物火災と比較してみると、建物火災発生率〇・一九%に対し、海難保有隻と数に対する発生率は〇・六一%で、死亡、行方不明者数建物火災の七百七十六名に対し約二倍に当たっている。  このうち台風等異常気象による海難を除いた一般海難特徴は次とのとおりである。  二 最近における一般海難特徴  (1) 小型網船海難増加   汽船海難は、昭和三十六年以来、逐年上昇傾向をたどり、昭和三十九年は六百五十一隻に及び、前年に比べ若干減少をみたが、全体として増加傾向をたどっている。  このうち、百ないし五百トンのいわゆる小型綱船海難の急増が著しく、汽船海難に占める割合も年々上昇の一途をたどり昭和三十九年は二百五十二隻で、汽船海難の三九%を占めている。   小型網船海難発生数は、その保有隻数増加したこともあるが、保有隻数に対する発生率汽船の約二・五倍、一一%となっている。  (2) 三十九トン型かつおまぐろ漁船海難多発   漁と船全体の海難は年々減少傾向にあるが、かつおまぐろ漁船海難は三十七年を最低として再び増加傾向を示している。このうち三十九トン型かつおまぐろ漁船海難は年々増加していたが、三十九年は五十六隻と前年比十隻の減となったが、これは三十八年十二月、関係法令改正との関連として注目されているが、依然としてかつおまぐろ漁船の総海難隻数の約四〇%を占めている。  (3) 港内および三海里未満海域にける海難多発   全海難のうち、港内、および三海里未満海域において発生した海難は全海難の七七%(二千六十九隻)に達しており、このうち汽船の占める割合は五百五十五隻で、汽船海難の八五%、機帆船は七百十二隻で、機帆船海難の九二%、漁船は六百六隻、五五%である。  (4) 全損海難増加   海難隻数のうち全損となった海難は年々増加してきたが、三十九年においては六百三十二隻と前年より六十九隻減となった。しかしながら、全損率(全損隻数/総海難隻数)については、二三・三%で前年とほぼ同様の割合を示している。   特に機帆船の全損海難が多いのは、一般に船体の老朽化によるものと考えられ、また、漁船においては、かつおまぐろ漁船の全損率が三四%と高くなっている。   なお、これら全損海難は三海里未満における乗り上げ、港内における衝突、浸水によるものが多くなっている。  大体以上のような傾向でございます。その次にただいま申し上げたようなことが具体的に表で書いてございますが、この表について簡単に御説明申し上げますと、まず第一表は要救助海難船舶推移でございまして、先ほど申しましたように大体において横ばい状況、三千隻内外というところで今日まで推移してまいっております。三十九年は、先ほど申し上げましたように、総計で二千八百六十五隻、一般海難が二千七百十五隻、台風等による海難が百五十隻、こういうことになっております。  それから要救助海難に遭遇した人員推移というのが第二表になっておりますが、これも大体二千名以上を、大体同じところで動いておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、一般海難につきましては二万一千五百五十七名というのが海難に遭遇しておるということでございます。  それから、その中の人のみの海難というのは、船から転落したとかあるいは岸壁から落ちたとかいうふうな、人だけの海難でございまして、船自体が損害を受けてない場合でございます。  それから第三表は、要救助海難船舶の大体の見積もり価格の表でございます。この見積もり価格先ほど申し上げましたように三十九年度は七百四十三億、この中で海上保安庁が助けました船の価格が百九十七億、約二百億でございまして、それ以外の協力によりまして、あるいは僚船その他の漁船汽船あるいはまた米軍その他でございますが、これが二百八十四億、自力で入港するというふうなことで自力救助をいたしたものが百三十九億で、結局トータルとしては百二十二億程度のものが失われるという、先ほど申し上げたとおりでございます。  その次のページでございますが、一般海難発生状況でございます。これで第一は一般海難、つまり台風等異常気象による海難を除いたものでございますが、船種別発生状況が一表に出ておりまして、これを見ますと、三十九年度に例をとつてみますと、全体で二千七百十五隻のうちで、漁船が千九十四隻ということで、全体の海難の約五割というものは漁船であるというふうに先ほど説明申し上げたとおりでございます。  それから、その次が海難種別発生隻数でございまして、これは衝突、乗り上げ、その他ずっと原因別に書いてございますが、これでごらんになってもわかりますとおり、衝突、乗り上げ、それから機関故障というふうなものが圧倒的に多いということでございます。  それからその次が第三表でございますが、原因別発生隻数でありまして、その原因につきましては、二千七百十五隻、先ほど昭和三十九年のトータルの数字の中で、やはり運航上の誤りというものが千三百三十一隻というふうに、大体において約五〇%を占めているということでございます。  それから最後のページの表でございますが、トン数別発生隻数の表が第四表に掲げてございますが、これも先ほど申し上げましたように、二十トンから百トン未満というふうなところが圧倒的に多いということでございます。全体の海難の約半数は、大体二十トンから百トンの間の船であるということでございまして、千トン以上になると、隻数としては非常に少なくなるわけでございます。  その次が距岸別の発生隻数でございますが、先ほど申し上げましたように、三海里未満海域あるいは港内というものの海難が圧倒的に多うございまして、先ほども七〇%というふうに御説明申し上げましたとおり、ほとんど大部分は非常に近いところで海難が発生しているということでございます。  それからその次が、そういった海難船に対する船舶救助状況でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、海上保安庁財産につきましての救助と大体同じような比率でございますが、全体の二千七百十五隻のうち海上保安庁救助が九百四十三隻、それから海上保安庁以外の救助が七百八十一隻、自力入港が三百五十九隻、こういうことになっております。  それから人のみの海難につきましては、先ほど説明申し上げましたように、陸上から転落したりあるいは船から転落したりというふうなものについての統計でございます。  以上で説明を終わります。
  4. 進藤一馬

    進藤委員長 質疑はございませんか。——關谷勝利君。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 この原因別発生隻数ですが、これを見ておりますと、運航誤り機関取り扱い誤りということになりますと、これは乗り組み員の質が低下していると申しますか、乗り組み員の素質がよくない、こういうことに起因するのであろうと思います。きょうは船員局長は見えておりませんが、参事官が見えておりますから、船員局長のほうにひとつ連絡をとって——これはこれだけの事件が起きておる中で、ほんとうに資格のない、ような者が取り扱っているようなものが多いのではないかと思いますが、そのようなことの説明のよくできるような方に出ていただきたい。これは海上保安庁のほうでわかりますか。
  6. 今井榮文

    今井政府委員 もし何でしたら、知っている範囲で警備救難部長のほうからでも……。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 この運航誤り機関取り扱い誤りというようなことが大部分を占めておりますので、これは船員素質がどういうふうなのであるか、それから有資格者であったかなかったか、それからこういうような事故をなくすためには海上保安庁ではどういうようなことをしておられるのか。これはもう海難原因をなくすことは海上保安庁は知らぬのだ、助けさえすればいいというのが、そこらの点をひとつ詳しく説明していただきたいと思います。
  8. 猪口猛夫

    猪口説明員 私たちのほうでは、御承知のように、海事諸法令違反等につきまして、それを確認する意味において、船舶立ち入り検査をやっておるのでございますが、毎年大体二十万件くらいの船舶立ち入りをやっております。そのうち海事関係法令違反として検挙、立件いたしましたものが大体一万八千件くらい毎年ございます。そのうち、いま御指摘になりました船舶職員法令違反関係の毛のが四千件から五千件くらいあります。その内訳を申し上げますと、三十八年の例によりますと、法定責任定数を満たさないで船舶運航したものが半分の約二千件くらいございます。また先ほどお話しのありました資格外の業務に従事したもの等につきましても、約半数の二千件はあるというようなことでございまして、そういうものにつきましては、そのつど送致しております。  ちょっと補足して申しておきますが、海上におきましては、陸上におきますそれのごとく簡易手続ができませんので、要するに説諭処分等がございませんので、すべて違反件数は全部送致することに相なっております。そういうことで、これらの船舶職員法関係違反につきましても、実際にそれを事件として取り上げるということにつきまして、一大啓蒙をしておるわけでございます。またそのほか海運局あるいは船舶局とも連携をとりまして、各地で、年に四、五回、海難防止講習会等もやりまして、これらの違反あるいは違反に基づきます海難防止のためにそれぞれ努力しておる次第でございます。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 いまのお話を聞いておりますと、事故があったことに対して処分をすることと事故をすなという、何といいますか、講習といいますか、そのような措置はとっておられるのでありますが、これから見ますと、いまの御説明によれば、立ち入り検査をやったものが二十万、その中で海事関係法令違反が一万八千だ、そしてその中で船舶職員法違反が四千ないし五千、こういうことになっておりますが、その職員法違反の内容を見ますと、法定数未満の乗員で運航しておるもが二千件、資格外の者を乗せておるものが二千件、こういうことになっております。これは結局船員不足しておるということが原因だということがはっきりわかるのですが、この船員不足対策をどのようにしておるのか。私たちもあちらこちらで一番よく聞きますのは、内航の船員不足をしておるというのですが、その内航船員の充足の対策がどういうふうにできておるのか。これは船員局長にお尋ねしなければなりませんので、これは次の機会にでも船員局長から答弁をお願いをすることにしたいのであります。これは小委員長から船員局長のほうに、次に答弁をさせるようにお願いいたします。
  10. 進藤一馬

    進藤委員長 承知しました。  久保三郎君。
  11. 久保三郎

    久保委員 いま關谷委員からお話がありましたが、船舶職員法違反の問題、大体小型鋼船海難事故は、そういうものが多いのではなかろうかと思うのです。そのほかにもあると思うのですが……。  そこで原因別の中で、いま御指摘があった運航誤り——機関取り扱い誤りというか、この運航誤りが直ちに船航職員法違反とはならぬと思うのでありますが、こういう事故を起こした場合に、船舶職員法違反がどの程度あるのか。いまのお話だと全体で二千件ほどあるという話でございますから、これを船の種別ごとにおわかりでしたら、次の機会でけっこうですから、仕分けしてほしい。というのは、小型鋼船漁船あるいは機帆船というか、そういう区別にひとつお願いしたいということであります。  それから、つい最近も、実は北海道だと思いますが、タラ漁船で、船長が乗らぬままに出航して海難にあった事件がありましたね。これはたしか第八栄和丸ですか、この場合はどういうことになるのですか。船主はどういう関係になりますか。これは船員局じゃないとわかりにくいですか。
  12. 猪口猛夫

    猪口説明員 御指摘事案は、タラ漁船の第八栄和丸のことではないかと思います。これは船主船長でございまして、船主船長が乗らずに出たという事案だと覚えております。この問題につきましては、それぞれの手続をとって送致せざるを得ないということで、いま調査していると思います。
  13. 久保三郎

    久保委員 法律的な問題をちょっと参考にお尋ねしておきたいのですが、船長にあらざる者が船を出しておるという場合は、常識的に考えれば船長が乗らぬのに出たのでありますからなにですが、まあ申し立ていかんによっては船主船長は何らの罪がない、こういうふうになると思うのであります。そういう抜け穴というか、そういうのがございますか。
  14. 猪口猛夫

    猪口説明員 ただいまの御質問の御趣旨に沿うかどうかわかりませんが、私たちといたしましては、あくまでも船員法あるいは船舶職員法違反事件としてこれを取り扱っておるわけでございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、申し立ていかんによっては船主船長は何ら関係ない、こういうことになるかとお尋ねしているのです。
  16. 猪口猛夫

    猪口説明員 先ほども申しましたように、私たち立場でいけば、船長である何がしでございます。船主である何がしにつきましては別途海上運送法なりそれらで該当事項がありますれば、それによって処分さるべきだろうと思います。
  17. 久保三郎

    久保委員 ただその場合、船主でなくても船長でありますから、いまの具体例船主船長だというのでありますから、私は非常に微妙だと思うんですね。単なる船長ならば問題はまた別かもしれませんが、そういう場合に私が聞いておるのは、申し立ていかんによっては、たとえば船主船長でなくても関係がないということもあり得るかと聞いておるのです。仮定の問題です。この問題に関係なくしましょう。
  18. 猪口猛夫

    猪口説明員 申し立ていかんによらず、私たちのほうではそれぞれの訴訟手続によりまして証拠を固めまして、送致いたしますので、仮定とか言わないで、正式の訴訟手続をとりますれば申し分ないと思います。
  19. 久保三郎

    久保委員 実際論が入ると、いま捜査中ということで御答弁ができにくいと思うので、仮定の問題をお尋ねしたわけでありますが、ありますね、そういう場合は。たとえば船長にあらざる者がかってに出したということになれば、船長関係なしということですね。船員法からいって、そうですね。その場合どうなんですか。
  20. 今井榮文

    今井政府委員 ちょっと先生の御趣旨がよくわからないので、もう一度……。
  21. 久保三郎

    久保委員 船舶職員法違反でそういう事例が間々あるわけです。これは最小限、船長が当然乗らなければいけない。それが乗らぬで、機関長か、甲板長か、あるいは漁掛長か知らぬが、そういう者が乗って船を出したという場合、それは遭難があるかないか、そんなことは関係ないですね。実際に常識的に考えて、知らないで船を出すはずはないのですよ。だけれども、法律上はそういう場合も仮定としてはあり得るということですね。
  22. 今井榮文

    今井政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
  23. 久保三郎

    久保委員 わかりました。いまの船員法のたてまえが船長中心ということになっていますので、問題はかなり多いと思うのです。この船員法ができたのは汽船重点に考えているから、船長を特殊な地位として認めているのであります。しかし時代も変わるし、いまのような海難がある場合、船員法改正のときにも私からいろいろ申し上げたわけでありますが、船主船長とか、船主漁掛長とかいろいろある実態からいってはたしていいのかどうか。この間の捜査段階でありましょうが、タラ漁船にしても、あまりにもばかばかしい形だと私は思うのです。こういうものを厳重に取り締まるというか、処罰するということは、私は人間の命を尊重するたてまえからいって当然だと思うのです。抜け穴のあるような法はやはり改正しなければならぬ。こういうふうにも考えるわけですが、いずれにしてもそういう問題が非常に多い。  それからもう一つ、これは資料関係がありますが、海難船主別で見ると漁船が大半ですね。それに小型機帆船を入れると大体全部になってしまうということでありまして、全体の件数が二千七百十七件のうち、千九百四十件というものが漁船ですね。だから漁船に対しての問題点ももっと掘り下げる必要がある。これは単に運輸省だけじゃなくて、関係庁である水産庁におきましても相当関心を持たなければいかぬと思うのです。  そこでお尋ねしたいのは、きょうの新聞ですかに載っておりますゴムボートで漂流を長く続けたというのでありますが、これはSOSブイは積んでいてもこの距離では到達しないのですか。積んでいたのかいないのか。
  24. 猪口猛夫

    猪口説明員 御承知のようにラジオブイは大体到達距離が五十キロでございますが、問題の船の遭難推定位置が本州から約八百五十マイルくらいの地点でございますので、当然本上には到達いたしません。またおそらく五十キロ以内におる僚船に有効であるということだと思います。四日に遭難者が入ってまいりますので、それによって直接一詳細に調査することにしておりますが、百十トンの船でございますので、おそらくラジオブイは積んでいたと私は信じたいと思っております。
  25. 久保三郎

    久保委員 無線関係はどうなっているのですか。百十トンくらいの船なら無線は持っているでしょうね。
  26. 猪口猛夫

    猪口説明員 これは持っておりまして、洋上で沈没するたぶん直前くらいまではかすかながら音信をしておった、それから僚船と話し合いをしておったようでございます。該船の世話をしておりましたのが日魯漁業鹿児島支社だったと思います。そこでは音信が切れます二日ほど前までは何か通信をしておったようでございますから、当然無線は持っておったと思います。ただし遭難通信を発したとか、そういうことは全然なかったわけでございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 これは出漁途中でありましたか、帰港中ですか。
  28. 猪口猛夫

    猪口説明員 サモア島の漁業に向かう途中でございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 これはあとで資料としていただきたいのでありますが、この間じゅうから一カ月間にわたって船舶臨時検査というか、そういう指導検査をやりましたね。立ち入り検査ですか。その結果は概要わかりますか。
  30. 近藤武之助

    近藤説明員 立ち入り臨検につきましては、二月の二十日から一応三月二十日までの一カ月間、各地方検査官を動員いたしまして、それぞれの地区でやらせておりますので、一部結果が報告されたのもございますが、全部集まっておりませんので、目下集計中でございます。いずれ近くまとめたいと思っております。
  31. 久保三郎

    久保委員 いま作業の段階だそうでありますから、できたらば資料として出していただきたい。その中でできるだけこまかい資料としてほしい、こういうように思っております。というのは、大体が漁船対象におやりになったと思うのですが、そうですね。
  32. 近藤武之助

    近藤説明員 大体百トン以内の漁船を直接臨検対象にして、項目といたしましては、救命施備消防設備、それから閉鎖装置でございますか、大体そういうところに重点を置いてやれということでやっております。その他気づいたところは報告が参っております。
  33. 久保三郎

    久保委員 たとえば出港時における立ち入り検査で、火災の問題、トップヘビーの問題ですね。これもおたくのほうの検査ですか。これはどうなんですか。
  34. 近藤武之助

    近藤説明員 それにつきましては、直接検査官として立ち入ってやるべきことかどうかは知りませんけれども、船舶の安全という立場で今後大いにやっていかなければならないことだと思っております。
  35. 久保三郎

    久保委員 いまのお話だと、法的には火災についての検査権限はない。いうなら指導くらいというお話なんだが、それじゃ海上保安庁では、このトップヘビーについてはこの検査でこれをやめさせるとか、処罰するとかいう権限は持っていないのですか。
  36. 猪口猛夫

    猪口説明員 お尋ねの件につきましては、漁船に関する限り搭載基準と申しますか、それが規定されておりませんので、それに基づいて法を執行するということは海上保安庁でもできません。しかし海上保安官署のある港等におきましては、港内。パトロール中にそれらしきものがございますときには、海難予防のために技術的なアドバイスをする見地から、そういうオーバーロードにつきましては忠告を与えたり、あるいは燃料等をおろせというようなことを、実際的には勧告しておるようでございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 船舶局でも指導、保安庁でも指導というのだが、言うならば、船舶局関係法律、いわゆる船舶安全法ですね。この中には、そういう検査項目——安全規則というか、そういうものは入っていないのですか。大体いまのお話しのように、われわれ常識から見て、幾ら積んでもいいということじゃないのですね。搭載基準というものがないからということですが、大体船舶構造からいって、デッキの上にどの程度のものを積めばかさ高になる、あるいはトップヘビーになる、これでは船舶復原性からいってまずいということが常識的にあるべきはずだと思いますが、これは基準はあるのでしょう。船舶構造からいってどうなんですか。
  38. 近藤武之助

    近藤説明員 ただいま御指摘の問題につきまして、出航時並びに漁を済んで帰るときの過載の問題がございますが、それにつきましては、満載喫水線をできるだけ漁船にも表示したい。現に自主的にやられておるところもございますので、この点、取り上げまして目下準備を進めておりますので、近く少なくともドラフトの問題につきましては、目鼻をつけたいと思っております。
  39. 久保三郎

    久保委員 満載喫水線のことは、当委員会でもたびたび言及し、決議もしていますので、そういう方向でやられることはけっこうだと思うのです。ただ、しろうとから考えて、満載喫水線だけで漁船の過載、トップヘビーを防げるかどうかというと、事実逆なので、ちょっとわかりかねるのですが、常識的に見て、下のほうは軽くて上に荷物が乗っかっていれば、いわゆる満載喫水線は上がらぬ。上がらぬが、だるまを逆にしたかっこうということになりますな。そういう問題は満載喫水線では解決できないと思うのですね。これはどうなんですか。  それからもう一つは、デッキの上に積まれた荷物が軽くても、かさ高のものであったら、これは風をまともに受けるということからいって、これまた常識的にしろうとが考えると、あぶないということだと思うのですね。だからそれは、積載の高さですか、そういうものが基準にあって、あるいはデッキに積む重量についても一つの基準があって、そして満載喫水線ということにならぬと、過載の問題は必ずしも解決しないと思うのだが、どうでしょうか。帰ってくるときは主たる荷物は重くなりますから、満載喫水線について押えれば、上へ積むのをおろすか、下に積むのを投げるか、どっちかするでしょうが、帰ってくるときは満載喫水線でも多少いいと思うのですが、出航時の過載はどうも満載喫水線では完全じゃないと思うのですが、技術的にどうですか。
  40. 近藤武之助

    近藤説明員 漁船の安全対策につきまして、いま久保先生から満載喫水線のことについてお話がございましたが、それらの漁船の安全対策といたしまして、満載喫水線の指定をするということ、それから船を実際に新造する過程におきましてのいわゆる船固有の復原性でございますが、この点につきましても、目下造船技術審議会に部会を設けまして、復原性の問題も検討しております。生まれるときの復原性その他船として具備すべき安全対策を一応とりますが、御指摘にございましたように、船ができたあと船主船長がどのような積み方をするか、非常にデリケートな問題でございますので、われわれのほうだけでも非常にこまかい問題になりますので、具体的にどのようにしていくか、今後考えたいと思います。いろいろ人の面とも関連が出てくるのじゃないかと思います。
  41. 久保三郎

    久保委員 それはあなたのほうだけではいかぬので、魚をとるほうですから、どうしても水産庁の関係が出てきます。それはわからぬわけじゃないが、魚をとるのに命をなくしてもいいという理屈はないのであるが、最近の漁船遭難は、どうもそれでもしかたがないのだという考え方に変わってきたように見えるわけですね。しかもこの漁船遭難などは、昔から板子一枚下は地獄だということで当然のごとくなっているのかしらぬが、世間もあまり注目しない。飛行機が事故を起こすと、新聞、テレビも全部報道する。報道してもらうのはけっこうなんでありますが、漁船については報道機関も、もちろん洋上でできたことでありますから、取材がなかなか困難なせいか、これが世間の注目をなかなか浴びない。そういうことを幸いにして、依然として過載、トップヘビーというか、あるいは船長にあらざる者が船を出すとか、当然積んでいくべき救命設備もつけてないまま出るとかいうようなことがあるわけなんで、そういうことも考えると、この際やはり抜本的に姿勢を正させねばいかぬとわれわれは思うのであります。そういう危険なことをしなければ漁業企業が成り立たぬ者は、そういう企業をやってはいけないというふうに私どもは考えているわけなんです。人の命もたまには損ずるかもわからぬというような企業は、もう企業としての責任はとれないのでありますから、そういう企業はやめてもらう、こういうシビアな気持ちで問題を解決しなければ、根本的に解決しないと思うのです。  そこで、ほかに関係もあるというが、あとでまた詳しく論議をいたしますが、たとえば船の性能に応じて、航行区域というか、操業区域を指定するということがまず一つありますね。いまの重量制限のものの考え方を変えていく。そうしないと、三十九トンのマグロ漁船で、出港時には網も一ぱい積み、ドラムかんもうんと積む、食糧もうんと積むということで、もうにっちもさっちも動かぬようなかっこうで出航するから、少しぐらいの横波やあるいは風によってひっくり返る、こういうことが多いのではないかと思うのです。だからこれは船舶局としては、船舶の安全ということを主にしての担当でありますから、やはりもっと勇気を出してものを考えていただきたい、こう思うのです。あなたがおっしゃるように、それは業者の関係で水産庁もありますよ。しかし私はさっき申し上げたように、人の命は二の次という企業はこの際もうやめてもらうことですよ。それは結局三十九トンが大西洋のまん中に行ってもいいし、どこへ行ったっていいことになっているのです。こんなべらぼうな話はないのです。行くまでに油がなくなってしまうから、無理でも油をうんと積んでいく。そうすると必ずトップヘビーになる。そうすると途中で漁場に着くまでに遭難する。遭難したときは、救命ボートもないし、SOSのブイも積んでいない。何らの連絡がないから、そこでみんなおだぶつになる。これではあまりかわいそうだと思うのです。だからそういう意味でひとつ御研究をいただきたいと思うのです。この問題は水産庁をこの次に呼んでいただいて、漁船中心の海難についてはまたやりますが、そういうことを一応申し上げておきたいと思います。
  42. 關谷勝利

    關谷委員 ちょっと関連して。——いま満載喫水線の話が出ておりまして、久保委員は大賛成だというお話でありましたが、私はこれは慎重に考えていただきたい。瀬戸内海あたりを航行しております小型鋼船機帆船等については慎重な配慮をやっていただきたいということを、まずお願いをしておきたいと思います。この満載喫水線々定めるということで瀬戸内海小型鋼船機帆船等内航の関係者が非常に神経をとがらしておるのがいまの実情であります。技術的にといいますか、理論的にあなた方が決定をいたしますのは、これはあらゆる悪条件が重なり合った場合にでも、なおかっこの事故のないようにという配慮から、実際の積載量と異なった満載喫水線をきめられるおそれがあるということで、非常に心配をいたしておるのであります。事故の面からの人命尊重をもとよりしなきゃなりませんけれども、生活ができないというようなことになってきますことも、これもまたたいへんなことでありますので、瀬戸内海あたりが重視しておるのはそういう点からきておるのであります。いま久保委員は、そういうふうな成り立たない企業は、これはやらしてはならぬのだと言いますけれども、昔からやってきております機帆船小型鋼船あたりが瀬戸内海あたりで成り立たないから、そんなものはやめてしまえといったところで、これは経済の実情に合わないのであります。どうしても置いておかなきゃなりません。ことにこれが引き合わないからというので、引き合わない責任は企業自体の責任じゃないかというふうなことを言われては困るのでありまして、国鉄が運賃を安く押えておる、そういうふうな余波を受けて内航運賃あたりが制限を受けておる。その中で生きていかなきゃならぬこの内航あたりの苦心は、これはたいへんなものであります。その中に技術的にただ一本の線を引いて、満載喫水線がこれだとやられたのでは、安い運賃にわずかの荷物を積んで航行しなければならないような状態が出てきた場合に、内航というものは一たまりもなくついえていくというような結果になってくるのでありますので、この点満載喫水線を決定する場合には、この事業が成り立つような政策と並行してやってもらわなければたまらないということになってまいりますし、これは実際問題といたしましては、大きな問題でありますので、満載喫水線をそう軽々にきめてもらったのでは困ります。経済の実情に合った満載喫水一線をきめてもらわなければなりませんので、この点は強く要望しておきますから、軽々に満載喫水線を決定しないように、久保委員は大賛成だと言いましたが、これは漁船に関する限りではそうではあろうと思います。わずか三十九トンや四十トンのあの柴船のようなものに大きなものを積んでいって航行できるはずはないのでありまして、漁船と内航船との区別というふうなものをどこかでつけるというふうなことにもしなければならないということも一つの問題であります。  重ねて私は満載喫水線を決定をいたします上には慎重なる御配慮を願いたいと思いますが、この点についてのお考えをひとつ承っておきたいと思います。
  43. 近藤武之助

    近藤説明員 いま關谷先生から御指摘のございましたように、先ほど説明のあった海難状況を見ましても、いわゆる問題点となるのは、小型の漁船それから内航船の関係でございまして、これにつきまして、船舶安全の見地からわれわれは何らかの対策をとるべく目下検討中でございますが、まっ先に考えられるのは満載喫水線の問題、それから漁船につきましては、航行区域の問題、それを第一に取り上げまして、安全部会で検討してもらっております。  内航船の満載喫水線の問題につきましても、各地区ごとの詳細な波浪調査、気象状況の調査、そういったものの其礎資料を準備しておりますし、また海難の実情と申しますか、瀬戸内がどうであるか、北海道周辺がどうであるかという海難の実際にいままでにあらわれた実情等を十分考えまして、満載喫水線を同じ指定するにしても、そこの満載喫水線のきめ方ですか、そういったものに幅を持たせるか、または全然必要ないものは考えないか、その船の大きさその他につきまして今後安全委員会で十分検討してもらって、その上でわれわれのほうで十分お話しのございましたことを勘案いたしまして、慎重に処理してまいりたいと思っております。
  44. 關谷勝利

    關谷委員 これも久保委員が保安庁に対してお尋ねした問題に関連してでありますが、無線電話の件であります。この事故関係を見ておりましても、港内、それから三海里未満、三海里ないし五十海里というふうなところが一番多いわけでありますが、以前から内航海岸無線局がいま九つでありますか、そのうちことし期限がまいりますのが三つもあるはずであります。それを電波監理、局に対して再免許といいますか再延長といいますか、どちらが正しいのかわかりませんが、手続をいたしておりますのに、来年期限がほかのものも来るから、それと一応歩調を合わして来年考えようということを言っておりまして、再免許を確実にするかどうか、これは裏ではいろいろやりとりがあるようでありますので、大体の意向はわかっておりますが、はっきりとした答弁をいたしておりません。  そこで私たちは郵政大臣や電波監理局長と話をいたしておりますので、来年からまた再免許はいたしますと、こう言うてはおるのでありますが、あれは海上保安庁の波長と同じもので、二メガサイクルというのですか、そういうふうなもので、これが遭難の際等には一番連絡がとりやすい、しかも非常に経費が安くつくというようなことで、内航あるいは沿岸の汽船はみんなこれにたよっておるのであります。これを、何か聞くところによりますと、電電公社あたりは自分のところで今度変わった波長のものでやるんだというようなこと、そしてこれをなくすんだというふうな方向に動いておるというふうなことを聞いておるのでありますが、これはどうしても存続しなければならないと、内航あるいは沿岸の船主がみんな考えておるので、これは海上保安庁といたしましても、波長が同じで連絡がとりやすいのでありますから、これは存続するということを強く主張をしていただきたいと思いますが、これについてどういうふうに考えておられるか。  それと、これは検査官のほうに関係があるわけでありますが、検査官のほうでもこの点は十分強く主張してもらいたいと思いますが、検査官のお考えはどうか。両方からお答えを願いたいと思います。
  45. 猪口猛夫

    猪口説明員 ただいまの内航の無線の件でございますが、現在私のほうで通信できます波長でごいますので、私は好都合だと思っております。それを廃止するとか解消するとかいうことについては、私たちのほうでは何ら意見を申し上げたことはございません。ただ御承知のように、現在海上電話網が新設されましたので、それのほうのなにも十分使えるように設備していきたいというので、昭和三十九年度から内航無線のなににプラスすいたしまして、VHFの設備を整えておるというのが海上保安庁の近況でございます。
  46. 近藤武之助

    近藤説明員 ただいまの内航無線の問題でございますが、この組合は現在十二組合ございます。免許切れになるものが四十年度に二局ですが、それからそのほかで四十一年度に出てまいりますが、これにつきましては、われわれの立場といたしまして、十分有効なものでございますので、電波監理局のほうに対しまして、これを当然存続すべきである、存続していただきたいということで、再三申し入れはしてございます。
  47. 關谷勝利

    關谷委員 検査官の御答弁は、私たちの満足する答弁でありますが、いまの警備救難部長お話は一向——それはどうしても多々ますます弁ずると言っただけで、このほうへ変えいてくんだというようなことではないのですか。あとはなくなっていいというような気持ちですか。このVHFに変えてしまうということは、これはたいへんな経費がかかるはずで、船主負担としてはたえられないというので、従来のものを存続するように強く申し入れをしてもらいたいということですが、いままで申し入れをしたことはないわけですか。
  48. 猪口猛夫

    猪口説明員 内航無線関係につきましては、私たち立場からは、実を申し上げますと、まことに申しわけないことでございますが、この話を聞きましたのは、私自身は先生からいま初めて聞いたようなことでございますので、この点につきましては、関係者とよく話し合いをいたしたいと思います。私の申しました多々ますます弁ずということは、存続しておくべきだという意味の多々ますます弁ずるという意味合いでございますので、そういうぐあいにとり計らいたいと思っておる次第でございます。
  49. 關谷勝利

    關谷委員 電波監理局のほうへもそのように強い申し入れをしていただきたいと思いますが、どうですか。
  50. 今井榮文

    今井政府委員 ただいまの先生のお話、まことにごもっともでございまして、実はいま猪口君からお話がありましたように、いわゆる無線電話によります通話方式というものを新しく電波監理局のほうで考えておるわけでございますが、これも非常に便利なものであるので、海上保安庁立場からすれば、当然そういったものも大いに普及させてほしいという考え方を持っておるわけでございます。しかしながら、従来からある通信方式について、これはわれわれとしては、あらゆる場合に海難を救うというたてまえからすれば、当然存続を希望し、要求すべき筋のものだと思いますので、先生の御趣旨のとおり、私どもとしては郵政省に対して強く申し上げたい、かように考える次第でございます。
  51. 關谷勝利

    關谷委員 港内とか、三海里未満とか、それから三海里から五十海里というようなところでやっている小さい船が非常多いはずなのであります。そういうふうな船は、負担にたえられないので、そういうふうなものが便利であっても、取りつけることができない。大きい船になりますと、それを取りつけることができますけれども、これは大きい船は遠方へ出て行きますが、あれは五十海里ぐらいしか、今度の新しいVHFというのですか、それは届かない。この二メガサイクルの従来のものは百五十キロ到達するというふうなことで、非常に内航、沿岸あたりではこのほうが便利なので、たとえVHFというような新しいものができても、これだけはぜひ存続さしてもらいたいというのが本旨でありますので、ひとつこの点、重ねて要望申し上げておきます。  それと、もう一点だけ、これも久保君の質問に対しての関連でありますが、簡易手続の方法がないので、説諭処分ができないという先ほどの御答弁がありました。これは私たちはよくあちらこちらの海上のいろいろな船を取り締まる現場の海上保安部あたりから聞く声でありまするが、陸上説諭処分等ができるのに、海上でその説諭処分等ができないということは、まことに不公平な片手落ちなことだと思います。海上でのいろいろな漁業違反というようなことでも、これはわずかのことであり、また故意のものでない場合等のものがありますが、そういうふうな場合には、これは説諭等で済ませてやるべきだというような、かわいそうな事例もたくさんあります。私たち現に国へ帰ったときあたりには、そのような場面に出会うことがあるのでありますが、そういうふうな場合に、説諭で済まされない、簡易手続がないというようなことでありますが、それはなぜないのか。それと簡易手続をするためには、どのような点を法律改正をすればいいのか、それはまた改正の意図が、海上保安庁としてはあるのかないのか、その点を承っておきたいと思います。
  52. 猪口猛夫

    猪口説明員 先生の御質問の点は、私たちが毎日非常に苦しんでおるところでございまして、現在法務省と鋭意折衝中でございまして、陸上と同じように、簡易手続ができることを強く要望しておりますような次第でございます。  そもそもどうして海上においてはできないのかという点につきましては、法務省の解釈は、御承知のように、警察官としての職務執行法におきます海上保安官は、準ずるということになりまして、準警察員ということになりますので、その準警察吏員に簡易手続をとらせるのは、まだ無理だという法務省のほうの解釈で、簡易手続は実はできないということでございます。でありますので、私どもは過去のいろいろな送検手続なり、あるいは訴訟手続の実績を法務省にお示しいたしまして、法務省のそのお考えを陸上と同じように改めていただきたいということで、目下法務省と折衝しておる次第でございます。おそらく、新しく法律を云々という問題ではないので、法務省との折衝で問題が解決するということでございます。
  53. 關谷勝利

    關谷委員 法律ではなく、警察官と準警察官というふうな区別をしておるということでありますが、大体それが間違いであります。ことに警察官と海上保安官と比較いたした場合に、これはいろいろな点を比較して、何といいますか、教育程度その他を比較いたしてみましても、私は遜色がないと考えておるのでありますが、これはおそらく政令とか、解釈か何かでそういうふうにいっているのだろうと思いますが、早急にこれは改めてもらいたいと思います。そのために、海上で説諭で済ませてやれば済むものが、処分を受けておる。一度処分を受けますと、そのために「何じゃい」というような反抗的な気持ちで、若い海上生活者あたりはなおさら犯罪を犯すということになりますので、その点よく実情を勘案されて、早急に簡易手続のできるようにひとつ取り運んでいただきたいと思います。その点、長官からこのお見通しについて伺っておきたいと思います。
  54. 今井榮文

    今井政府委員 この問題につきましては、全く私どもは先生と同じように苦心をいたしておりまして、ただいま警備救難部長とも実は話し合いをいたしておるわけでございますが、目下法務省の事務当局と折衝しておる段階であり、適当な時期に長官自体が向こうのトップレベルと話し合いをしてもらいたいというふうな事務当局の要望がございまして、私どもとしては、そのタイミングをいま見ておるという状況でございます。  いまおっしゃられましたような点につきまして、私どもとしても十分理解いたしておりますので、私自身が陣頭に立って、ひとつ大いに推進をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  55. 進藤一馬

    進藤委員長 久保君。
  56. 久保三郎

    久保委員 もう時間もあれですから、資料をひとつまたお願いしたいと思うのです。「原因別発生隻数」の中で「積載」という項目がありますが、これも先ほど言った船種別に区分けしてほしい、こう思うのです。これはようございますね。  それから、關谷委員から私の意見に対して多少違ったというか、そういう御意見がございますので、明確に私からも申し上げておきたいと思うのですが、満載喫水線は当然これは設けるべきだという原則をくずしてはならぬ、こういうふうに思うのです。それによって、關谷委員の御指摘のように、企業が成り立たぬというものは、これは安全の問題と別な、おいでになっている海運局等が中心の政策をもってカバーすることが当然でありましょう。しかしカバーできないから満載喫水線はやめるのだということでは、話は違うのでありますから、その辺のところも十分かみ合わせて、これは運輸省内部でありますから、水産庁の関係もございましょうが、やってほしい、こういうふうに一言だけ申し上げておきます。
  57. 進藤一馬

    進藤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会