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松浦国務大臣 これは海難審判所で審判しないと、うっかりしたことは
ほんとうは言えないのですけれども、
タグボートを使う選択の自由権があるといっても、
タグボートを使えばそれだけ係留中の経費がかかるのですね。そうすると、
船長は経済上の問題で、君の腕がそんなにあるのなら、そんなら要らぬだろうと、
船長に選択権が最後にあるのですよ。それで、いま問題になるのは、
船長がどう言ったかということが問題なんです。
船長が
タグボートは要らぬだろうと言ったとすれば、これは
船長のほうに責任が重くなると私は思う。それは審判がある前ですから何とも言い切れません。だけれども、おっしゃるように自由選択権があるにいたしましても、これはあんなに狭い港で、自力で、相当速力がなければ船は
かじがききませんから、あれだけの大きな船が
かじの十分きくだけの速力を出しておいて、あの狭い
埠頭へとめようと思うのが私はどだい無理だろうと思うのです。
私は造船
会社に
関係したことがあるので多少そういうことがわかるのですが、そこで私は先ほどからのいろいろなことで考えますことは、まず
室蘭の応急手当てと将来の問題と二つあると思うのです。この絵を見て、火がついてあぶない、ほかの
タンクに移ると困るということをすぐ考えたものですから、ゴースターンをかけているのです。ゴースターンをかけておいて、こういう態様でかけたのじゃないと思うのです。ずっと沖へ出ようとしたものが、動き出すのがおそいものですから、風かなんかに寄せられて岸のほうに寄った。そうしたらすぐ座礁した。こんな狭いところで、もっとやるならば、十一メートルなら十一メートルをもっと広くしておくべきだと思うのです。それが経済上の問題でということでございますから、これはまず外港をつくって
パイプを通って送れるようにするまでの間には、この十一メートルなら十一メートルのしゅんせつの幅を広くすることが、この港については第一問題だと思うのです。
それから
タグボートのもっと
馬力の大きいやつを準備することが第二だと思います。
それから今度は、国の仕事といたしましては、この
防波堤を、いま仰せになりましたように、
審議会できめたように、もっと沖へ出して、それでこのいまの
防波堤と沖へ出した
防波堤との間にブイを置いて、そこに
タンクヘ送る
パイプなども出しておくということにすれば、これは五万トンでも七万トンでも平気で
荷役ができると思います。
それから、こちらの
富士製鉄のほうは五万トンぐらい横づけできるそうですから、これは十分やれる。またこれは
接岸できなければ、石ですとどうにもならないというような状況でありますから、
室蘭の港については、沖でとめて、それで引っぱって入ってくるという
タグボートを設備することと、それからしゅんせつをもっと広くするということが先決問題であると思います。
それから、もう
一つ、これは全国的に考えなければならぬ問題は、こういうことが起こらないようにすることは当然のことでございますけれども、起こった場合における防災について、今度のすぐ火を化学消防でやろうとしても、材料が幾らもないのです。新潟の
昭和石油のときでも米軍の薬品を借りていってやったというようなことでございますから、やはりこういう化学工業があるところには、それに対する反応的な消防、防災のできる薬品を、ある
程度の
災害を予測して、それをためておく必要がある、その設備、ポンプを用意しておく必要があるということを痛感します。これは、全体を調べてみますと、幾らもそういうものが日本の港全体にないのですよ。
ということでございますから、それは、来年度の予算の場合に、ひとつわれわれのほうでも強く大蔵省に要求いたしまして、万全なことは、予算上の問題ですからできませんけれども、現在よりも安心してやれるような方向に予算を獲得していきたいと思っております。