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1965-05-18 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十八日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 大西 正男君 理事 進藤 一馬君    理事 關谷 勝利君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君       浦野 幸男君    小渕 恵三君       加藤常太郎君    佐々木義武君       壽原 正一君    田澤 吉郎君       塚原 俊郎君    山村新治郎君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君       竹谷源太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 松浦周太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  大久保武雄君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局参事         官)      高林 康一君         運輸事務官         (海運局外航課         長)      住田 正二君         運 輸 技 官         (船舶局検査制         度課長)    内田  守君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 五月十七日  委員山口丈太郎辞任につき、その補欠として  栗林三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として山  口丈太郎君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員増田甲子七君辞任につき、その補欠として  加藤常太郎君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員加藤常太郎辞任につき、その補欠として  増田甲子七君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 五月十五日  地下鉄九号線に団子坂駅または千駄木開設に  関する請願肥田次郎紹介)(第四六八一号)  同(有田喜一紹介)(第四八五九号)  同(玉置一徳紹介)(第四九一九号)  国鉄丸森線北福島設置に関する請願亀岡高  夫君紹介)(第四八六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(参議院送付)  請 願   一 大阪外環状線高架建設等に関する請願     外一件(押谷富三紹介)(第八八号)   二 北陸線筒石駅の存置に関する請願田中     彰治君外二名紹介)(第二七九号)   三 東海道新幹線の騒音等防除対策に関す     る請願宇野宗佑紹介)(第三五〇号)   四 大阪外環状線高架建設等に関する請願     外一件(和爾俊二郎紹介)(第四一五号)   五 交通政策抜本的改善等に関する請願     (西宮弘紹介)(第四三五号)   六 国鉄第三次長期計画における盛岡鉄道管     理局管内資金確保に関する請願鈴木     善幸君紹介)(第六九六号)   七 臨時行政調査会答申における運輸行政     に関する請願山田彌一紹介)(第七七     八号)   八 同(大西正男紹介)(第八四〇号)   九 同(大野明紹介)(第八四一号)  一〇 同(高橋清一郎紹介)(第八四二号)  一一 同(中村幸八君紹介)(第八四三号)  一二 同(栗山礼行紹介)(第八五五号)  一三 同(内海安吉紹介)(第八五六号)  一四 同(菅野和太郎紹介)(第八五七号)  一五 同(小坂善太郎紹介)(第八五八号)  一六 同(笹山茂太郎紹介)(第八五九号)  一七 同(坪川信三紹介)(第八六〇号)  一八 同(永末英一紹介)(第八六一号)  一九 同(西村英一紹介)(第八六二号)  二〇 同(福井勇紹介)(第八六三号)  二一 同(湊徹郎紹介)(第八六四号)  二二 同(山口喜久一郎紹介)(第八六五号)  二三 同(和爾俊二郎紹介)(第八六六号)  二四 同(天野光晴紹介)(第九一五号)  二五 同(岩動道行紹介)(第九一六号)  二六 同(逢澤寛君紹介)(第九一七号)  二七 同(小川平二紹介)(第九一八号)  二八 同(金丸徳重紹介)(第九一九号)  二九 同(正力松太郎紹介)(第九二〇号)  三〇 同(肥田次郎紹介)(第九二一号)  三一 同(松田竹千代紹介)(第九二二号)  三二 同(山本幸一紹介)(第九二三号)  三三 同(渡辺栄一紹介)(第九二四号)  三四 同(松井政吉紹介)(第九二七号)  三五 同(上村千一郎紹介)(第九四七号)  三六 同(小渕恵三紹介)(第九四八号)  三七 同(金子一平紹介)(第九四九号)  三八 同(始関伊平紹介)(第九五〇号)  三九 同(中山榮一紹介)(第九五一号)  四〇 同(根本龍太郎紹介)(第九五二号)  四一 同(藤山愛一郎紹介)(第九五三号)  四二 同(細田吉藏紹介)(第九五四号)  四三 同(森田重次郎紹介)(第九五五号)  四四 同(井岡大治紹介)(第九八三号)  四五 同(大平正芳紹介)(第九八四号)  四六 同(鈴木一紹介)(第九八五号)  四七 同(田口誠治紹介)(第九八六号)  四八 同(高橋重信紹介)(第九八七号)  四九 同(辻寛一紹介)(第九八八号)  五〇 同(西村榮一紹介)(第九八九号)  五一 同(福田繁芳紹介)(第九九〇号)  五二 同(穗積七郎紹介)(第九九一号)  五三 同(赤澤正道紹介)(第一〇一三号)  五四 同(伊東正義紹介)(第一〇一四号)  五五 同外一件(上村千一郎紹介)(第一〇一     五号)  五六 同(高橋禎一紹介)(第一〇一六号)  五七 同(野田卯一紹介)(第一〇一七号)  五八 同(野原覺紹介)(第一〇一八号)  五九 同(服部安司紹介)(第一〇一九号)  六〇 同(古川丈吉紹介)(第一〇二〇号)  六一 同(粟山秀紹介)(第一〇二一号)  六二 同(山本幸雄紹介)(第一〇二二号)  六三 同(今松治郎紹介)(第一〇三八号)  六四 同(唐澤俊樹紹介)(第一〇三九号)  六五 同外一件(橋本龍太郎紹介)(第一〇四     〇号)  六六 同(進藤一馬紹介)(第一〇四一号)  六七 同(大坪保雄紹介)(第一〇六三号)  六八 同(木村武千代紹介)(第一〇六四     号)  六九 同(齋藤邦吉紹介)(第一〇六五号)  七〇 同(坂田英一紹介)(第一〇六六号)  七一 同(松原喜之次紹介)(第一〇六七     号)  七二 大阪外環状線高架建設等に関する請願     外三件(肥田次郎紹介)(第一〇三七     号)  七三 同外四件(井岡大治紹介)(第一〇六     二号)  七四 臨時行政調査会答申における運輸行政     に関する請願堀川恭平紹介)(第一     〇七四号)  七五 同(有田喜一紹介)(第一〇九九号)  七六 同(阪上安太郎紹介)(第一一〇〇     号)  七七 同(砂田重民紹介)(第一一〇一号)  七八 同(藤本孝雄紹介)(第一一〇二号)  七九 同(丹羽兵助紹介)(第一一〇三号)  八〇 同(稲富稜人君紹介)(第一一二〇号)  八一 同(加藤高藏君紹介)(第一一二一号)  八二 同(砂原格紹介)(第一一二二号)  八三 同(進藤一馬紹介)(第一一二三号)  八四 同(中島茂喜紹介)(第一一二四号)  八五 同(中村寅太紹介)(第一一二五号)  八六 同(原健三郎紹介)(第一一二六号)  八七 同(三原朝雄紹介)(第一一二七号)  八八 同(山下榮二紹介)(第一一二八号)  八九 同(浦野幸男紹介)(第一二六八号)  九〇 同(宇都宮徳馬紹介)(第一一六九     号)  九一 同(藏内修治紹介)(第一一七〇号)  九二 同(河野密紹介)(第一一七一号)  九三 同(河本敏夫君紹介)(第一一七二号)  九四 同(堀内一雄紹介)(第一一七三号)  九五 同(佐々木義武紹介)(第一一九六     号)  九六 同(壽原正一紹介)(第一一九七号)  九七 同(三池信紹介)(第一一九八号)  九八 同(江崎真澄紹介)(第一二〇六号)  九九 同(佐々木秀世紹介)(第一二二九     号) 一〇〇 同(島村一郎紹介)(第一二三〇号) 一〇一 同(中垣國男紹介)(第一三三四号) 一〇二 同(荒木萬壽夫紹介)(第一三五九     号) 一〇三 同(清瀬一郎紹介)(第一三六〇号) 一〇四 同(鯨岡兵輔紹介)(第一三六一号) 一〇五 同(小島徹三紹介)(第一三六二号) 一〇六 同外一件(志賀健次郎紹介)(第一三     六三号) 一〇七 同(伊能繁次郎紹介)(第一四〇二     号) 一〇八 同(東海林稔紹介)(第一四〇三号) 一〇九 同(田中正巳紹介)(第一四〇四号) 一一〇 同(角屋堅次郎紹介)(第一四二〇     号) 一一一 大阪外環状線高架建設等に関する請願     外四件(井岡大治紹介)(第一〇九六     号) 一一二 同外四件(阪上安太郎紹介)(第一〇     九七号) 一一三 同外四件(菅野和太郎紹介)(第一一     二九号) 一一四 同外三件(栗山礼行紹介)(第一一三     〇号) 一一五 同外三件(久保田鶴松紹介)(第一一     三九号) 一一六 同外二件(大倉三郎紹介)(第一一七     四号) 一一七 同外二件(野原覺紹介)(第一一七五     号) 一一八 同外十件(井岡大治紹介)(第一一九     五号) 一一九 国鉄第三次長期計画北海道内資金優先     確保に関する請願壽原正一紹介)(     第一四二一号) 一二〇 青函トンネル、石勝線、岩内線建設促     進に関する請願壽原正一紹介)(第     一四二二号) 一二一 川西市の大阪国際空港による騒音防止     に関する請願山口丈太郎紹介)(第     一四二三号) 一二二 臨時行政調査会答申における運輸行政     に関する請願島村一郎紹介)(第一     四四一号) 一二三 同外一件(高瀬傳紹介)(第一四六一     号) 一二四 同(舘林三喜男紹介)(第一四九〇     号) 一二五 同(井出一太郎紹介)(第一七三七     号) 一二六 同(成田知巳紹介)(第一七三八号) 一二七 同(三木喜夫君紹介)(第一七三九号) 一二八 同(中垣國男紹介)(第一七九二号) 一二九 川西市の大阪国際空港による騒音防止     に関する請願原健三郎紹介)(第一     四六二号) 一三〇 臨時行政調査会答申における運輸行政     に関する請願灘尾弘吉紹介)(第一     八六六号) 一三一 同(福井勇紹介)(第二一七〇号) 一三二 同外一件(淡谷悠藏紹介)(第二四八     九号) 一三三 国鉄嬉野新線建設に関する請願大坪保     雄君紹介)(第二二三一号) 一三四 同(三池信紹介)(第二二三二号) 一三五 同(八木昇紹介)(第二三一四号) 一三六 同(井手以誠君紹介)(第二四四七号) 一三七 自動車運送事業免許制度維持強化等     に関する請願四宮久吉紹介)(第二     三一五号) 一三八 同(岡崎英城紹介)(第二四四八号) 一三九 同(田中榮一紹介)(第二四四九号) 一四〇 同(宇都宮徳馬紹介)(第二四七一     号) 一四一 国鉄生保内線秋田県田沢湖町出口部落に     簡易駅設置に関する請願川俣清音君     紹介)(第二五三二号) 一四二 自動車運送事業免許制度維持強化等に     関する請願天野公義紹介)(第二五     四七号) 一四三 臨時行政調査会答申における運輸行政     に関する請願川村継義紹介)(第二     七九七号) 一四四 同外二件(天野公義紹介)(第二八三     一号) 一四五 同(内田常雄紹介)(第二八三二号) 一四六 同外一件(千葉三郎紹介)(第二八三     三号) 一四七 同(濱野清吾紹介)(第二八三四号) 一四八 同(福田篤泰紹介)(第二八三五号) 一四九 国電大崎駅の貨物取扱い縮小反対に関す     る請願宇都宮徳馬紹介)(第二八三     〇号) 一五〇 自動車運送事業免許制度維持強化等に     関する請願外一件(中村梅吉紹介)(     第二八四二号) 一五一 同(四宮久吉紹介)(第二八五四号) 一五二 同外一件(岡崎英城紹介)(第二八八     三号) 一五三 同(鯨岡兵輔紹介)(第二八八四号) 一五四 同(中村梅吉紹介)(第二八八五号) 一五五 同(天野公義紹介)(第三〇一三号) 一五六 道路運送法の一部を改正する法律案反対     に関する請願加藤進紹介)(第二九     六一号) 一五七 同(島上善五郎紹介)(第二九六二     号) 一五八 同(谷口善太郎紹介)(第二九六三     号) 一五九 自動車運送事業免許制度維持強化等     に関する請願天野公義紹介)(第三     六八六号) 一六〇 地下鉄九号線に団子坂駅または千駄木駅     開設に関する請願山田彌一紹介)(     第三七六〇号) 一六一 臨時行政調査会答申における運輸行政     に関する請願加藤清二紹介)(第三     八八六号) 一六二 地下鉄九号線に団子坂駅または千駄木駅     開設に関する請願川野芳滿紹介)(     第四四〇四号) 一六三 同(久保三郎紹介)(第四四〇五号) 一六四 同(四宮久吉紹介)(第四四〇六号) 一六五 同(田中榮一紹介)(第四四五一号) 一六六 同(山田彌一紹介)(第四四五二号) 一六七 同(浦野幸男紹介)(第四五三三号) 一六八 同(佐々木義武紹介)(第四五三四     号) 一六九 同(壽原正一紹介)(第四五三五号) 一七〇 同(塚原俊郎紹介)(第四五三六号) 一七一 同(西村英一紹介)(第四五三七号)一七二 同(野田卯一紹介)(第四五三八号) 一七三 同(鯨岡兵輔紹介)(第四六二五号) 一七四 同(小山省二紹介)(第四六二六号) 一七五 肥薩線経由急行列車運行等に関する     請願池田清志紹介)(第四六二四     号) 一七六 地下鉄九号線に団子坂駅または千駄木駅     開設に関する請願肥田次郎紹介)(     第四六八一号) 一七七 同(有田喜一紹介)(第四八五九号) 一七八 同(玉置一徳紹介)(第四九一九号) 一七九 国鉄丸森線北福島設置に関する請願     (亀岡高夫君紹介)(第四八六〇号)      ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程請願全部を議題とし、審査を行ないます。  本日の請願日程に掲載されております請願は百七十九件でございます。これらの各請願につきましては、委員各位ともすでに文書表でその内容は御承知のとおりと存じます。  これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、直ちに採決いたします。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第一ないし第一五五及び第一五九ないし第一七九の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 長谷川峻

    長谷川委員長 なお、本委員会参考のため送付されました陳情書は、全部で二十九件でございます。念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  7. 長谷川峻

    長谷川委員長 閉会審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道の経営に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件  気象に関する件を、閉会中も引き続き審査を行ないたいと存じますので、その旨、議長に申し出たいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、これらの閉会審査案件が本委員会に付託されました場合、委員を現地に派遣して実情を調査する必要があります場合には、その委員派遣承認申請に関する件の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、閉会審査案件が付託されました場合には、現在本委員会設置されております中小私鉄振興対策に関する小委員会航空に関する小委員会及び安全輸送対策に関する小委員会閉会中もなおこれを存置し、その調査を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長から辞任の申し出がありました場合には、委員長においてこれを決することとし、また委員の異動、小委員及び小委員長辞任等によって欠員が生じた際、小委員及び小委員長補欠選任についても、委員長においてこれを指名することに御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、閉会中の委員会及び小委員会において緊急やむを得ず参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、その参考人招致に関する件の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  13. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、海上運送法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  14. 久保三郎

    久保委員 きょうは、運輸大臣そのものの発言に質疑があるのでございますが、運輸大臣は御出席がないようでございますが……。
  15. 長谷川峻

    長谷川委員長 ただいま参議院に行っておりますが、御期待に沿うようにいたしますから……。
  16. 久保三郎

    久保委員 時間の制限もあるようでありますが、その中で連れてこなければ質疑が進みませんので、あらかじめ断わっておきます。
  17. 長谷川峻

    長谷川委員長 大臣が来たときにはその要項について御質問願って、お互いに時間を節約したいと思います。
  18. 久保三郎

    久保委員 それでは、これは政務次官で御答弁できると思うのでありますが、きのう貿易外収支会議をおやりになりました。これについて、四十年度の海運収支についてどう見通しをされたのか、いかなる対策を講じようとするのか、その点だけさしあたり伺っておきたい。
  19. 若狭得治

    若狭政府委員 ただいま手元に貿易外収支全体の資料を持っておりませんけれども、海運収支につきましては大体昨年度の横ばいでございます。それから航空関係につきましは昨年度よりも約五千万ドル程度赤字がふえる。それから観光収支につきましても昨年度よりも海外の渡航がふえるという見通しで、それらを合計いたしまして本年度よりも多少赤字が増大するという見通しでございまして、貿易外収支全体といたしましては五億二千万ドル程度赤字になるという見通しでございます。なお数字の詳細につきましては資料をもちまして後ほどお答えいたします。
  20. 久保三郎

    久保委員 そこで海運収支改善対策というか、これは中期経済計画赤字は三十八年度と大体横ばい状態に押えておる。そのためには七百三十四万総トンの新造をするということでいるわけでありますが、四十年度の見通しとしては、いまお述べになったように、海運収支においても多少これは悪くなるということでありますね。その一つの理由としては、いわゆる海上輸送量に応じた邦船船腹量がないからだ、こういうことをお述べになっているようであります。これは従来の主張であります。そこで聞きたいのでありますが、いま一年になりますが、集約いたしまして、六社というか六つのグループに集約したわけであります。その効果として、かなり成績のいいものも出てきたということに報告されているわけです。ついては、この海運企業企業基盤強化あるいは国際競争力強化、こういうことは多少集約メリットとして今日評価しているようでありますが、これと並行して、いわゆる国際収支改善海運収支改善ということで船腹を拡大していくという方向は、これは必ずしも一致するものではないだろうと私は見ているのであります。そこで、この集約一年後の海運界の実態として、こまかいことは別として、この好転したという原因についてはどのように見ていますか。われわれが見るのは、なるほど集約メリットも多少あるけれども、大きく海運界が伸展してきたという条件は外的な条件が非常に多い。言うならば、海運市況が非常によくなってきたという一語に尽きるのではなかろうかと思います。ところが集約メリットとこれを混同してまいりますと、残念ながら問題は別な方向へ発展して、再び海運企業の悪化を予想せざるを得なくなる、こういうふうに思うのであります。この点については海運当局はどう見ているか。
  21. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど御質問海運収支につきまして、詳細な数字を申し上げたいと思います。  三十九年度の実績の見込み、これはほとんど実績が固まっておりますが、まだ最終的な確定数字になっておりませんけれども、三十九年度の実績見込みについて申し上げますと、貨物運賃におきまして一億九千六百万ドルの赤字でございます。それから港湾経費につきましては二億一千百万ドルの赤字合計四億七百万ドルの赤字というのが海運関係国際収支の三十九年度の実績見込みでございます。これに対しまして四十年度の見通しでございますが、貨物運賃にして二億四千百万ドルの赤字、それから港湾経費等につきましては一億九千三百万ドルのマイナス合計四億三千四百万ドルでございます。大体三千三百万ドル程度マイナスの増になっております。御指摘のとおり赤字横ばいというのがわれわれの計画でございます。いま御質問海運集約というものと海運集約の成果でございますけれども、御指摘のように昨年から本年にかけまして非常に運賃市況が好転しておりまして、そのための収益増というものが非常に大きな力になっておることは事実でございます。ただその市況の好転の波に乗って現在企業整備を行なっておるというところに非常なメリットがあるのではないかというようにわれわれは考えておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、三十八年の七月一日から特備計画を実施いたしているわけでございまして、それを基準日とわれわれ称しておりますけれども、当時四十五社が整備計画を提出しておりまして、会社の償却不足というのは六百六十億あったわけでございます。これが四十年の三月末でございますけれども、二百十億に減少いたしておるわけでございます。したがいまして、この減価償却不足が解消するのも非常に早い将来であろうというように考えられるわけでございます。ただ、これは海運界整備計画を提出いたしております四十五社のトータルについての数字でございますので、各社別に見ますと償却不足の解消というものはなお数年を要するというところの会社数は相当多うございます。全体的に申し上げますと、三十八年の七月から四十年の三月までの約一年半の期間の間に、償却不足が過去の三分の一になってしまっているというような状況でございます。これは御指摘のように運賃市況の好転ということはもちろんございますけれども、同時にやはり好採算の船舶の建造を多量にやっておるというような点とか、あるいは企業協調によって過当競争を押えておるというような点が非常に生きてきておるのではないかというようにわれわれは考えております。
  22. 久保三郎

    久保委員 そこで大臣にお伺いするのでありますが、先般大臣は瀬戸内に何かの会議でいらっしゃった際に、大臣のビジョンをお出しになりました。昭和五十五年までに外航船腹量三千四百万総トンを保有しなければいかぬということでございます。なるほど船は今日の海運市況では多いにこしたことはないかと思います。大体慢性的な船腹過剰というのがここ一年ぐらいの間に慢性的な船腹過剰でなくなってきた、いわゆる船腹不足の傾向になってきた、この傾向について分析をされたかどうかであります。国際貿易にしてもかなりの伸びを示している、これに応じての船腹の拡大がなかったというところがこの一年間の傾向ではなかろうかと思います。そこにたまたま先ほど海運局長が答弁したように、海運集約方向が軌道に乗ってきたということでありまして、たとえばいま局長から説明されたように、大体集約の効果が出てきた、企業そのものも多額の償却不足あるいは延滞金等の解消も計画年次である四十三年を待たずして、大体解消するのではなかろうかというのが言いたいところだと思うのです。あるいはそういうふうになるし、またならなければいかぬと思うのであります。しかしながら、たとえば海運企業そのものの体質、狭い意味での体質、延滞金や償却不足をかかえているのも体質でありますが、これが切れたといっても、海運企業そのものの体質改善はいまだしであります。というのは、たとえば資本構成一つとりましても、今後いまのような旺盛な建造意欲をそのまま充足していくならば、残念ながら資本構成はもっと悪くなるのではないか。いわゆる自己資本の比率、こういうものはいま大体二割ぐらいだと思いますが、二割を切って一割にダウンするのではなかろうかという心配もあるわけであります。しかも二十一次船一つ見ましても、大体百五十万総トンを計画した。ところが建造意欲というか、申し込みというか、二十次からの予約船も入れてでありましょうが、二百万総トン以上になる。これまた予約で二十二次に回すということでありましょうが、船舶建造からいえばそのとおり必要かもしれません。しかし、海運集約の大きなねらいというものは何であったろうか。まず第一に企業体質を変えていく、強化していくということであります。企業そのものの体質が弱ければ、その他の使命は達成できないのであります。でありますから、まず第一に集約の目標というものは、われわれの考えでは、企業体質を改善するという方向ではなかったか。かたがた、これによっていわゆる海運収支改善にも役立てていこう、こういうことであったと思うのです。ところがいまだ企業基盤というか、体質改善が中途において、今日実際はあまりはっきりしておりません。いわゆる外的条件であるところの海運市況の好況によって今日うまくいっているという傾向なんであります。これがいつまで続くかという予想はだれしもできません。そういう外的条件をいわゆる集約メリットと勘違いして、船腹増強、いわゆる中期経済計画というか、そういうものを七百三十四万トン、これを目標にすること自体私はあぶないのではないかと思う。ところが、あなたは三千四百万総トンにしなければならぬというビジョンでありますが、小業体質の改善船腹拡大の関係はどういうふうにお考えでありますか。
  23. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 いままでの局長の答弁の趣旨と食い違うかもしれませんが、当時あのビジョンを出したというのは、港湾計画をどうしたらいいかということに対してのビジョンであって、それはほんとうに真剣に——と言ってはおかしいのですが、まだ造船の保有計画ではないのです。それは瀬戸内海の洋上会談の場合に、今後の港というものは一体どういう計画をしたらいいか、つまり十年、十五年たって仕上げる港であるから、港の計画というものは今後の日本の海運のあるべき方向に向かって、基礎的な考え方の上に立たなければいかぬ。だから貿易国家として立っている日本は、一体どのくらいの船を持たなければならぬかということが当時の質問を受けたものでありまして、でありますから、そういう面でそのときはじきました考え方は、現在の予算その他は七・五%ぐらいの経済の伸び率でやっておりますが、今後実際の伸び率はあるいは八・五%ぐらい——予算上では六・五%ぐらいに下げるかもしれませんが、実際は八・五%くらいの経済の伸びは伸びるでしょう。しかしいま佐藤内閣の方針でやっておりますように、社会開発とかあるいは経済のひずみを直すとか、言いかえるならば中小企業並びに農林漁業の立ちおくれを構造改善によって直していくということになれば、平均の日本の経済の伸びというものは非常に小幅になるわけです。その小幅になる計数で、四・五%なりあるいは五%ではじきましても、そういう伸びで見合いますと、今後十年、十五年の先には、日本の総生産、すなわち貨物の輸送量というものは、いまおっしゃったような数字の船をつくらなければ貨物の輸送はできないという計数が出るわけであります。それからもう二面、現在御承知のように、三十九年は、いま書類を持っておりませんから記憶だけでやっておりますので、数字が少しぐらい違うかもしれませんが、大体輸出が七十億三千五百万ドル、輸入が六十五億ちょっと出ておると思います。そこで輸出入の差し引きのバランスが大体五億二、三千万ドルということになると思うのです。それへ持ってきて、今年度の手持ち外貨のほうに計算できるものは五千万ドルそこそこ、四千五百万ドルか五千万ドルしか手持ちにならないと思うのです。その四千五百万ドルあるいは四千七百万ドルくらいのものは、主として運輸省の船、飛行機及び観光というようなもので、貿易外赤字というもので食われていっておりますから、それを是正する上からいっても、バランスがとれるという数字は二千九百万トンないし三千万トンということでいきましても、船運賃のほうではとんとんもしくは一億ドルくらいの黒字になりますが、港の経費その他のほうではじいてみますと、これまた二億ドルないし三億ドルの赤字になるということになりますから、そういうものも全部解消できるという線はやはり三千四百万トンくらいのものでないと全部黒字にならないという線も出てくるわけであります。でありますから、三千四百万トンという建造計画あるいは外国船の集約、運航会社に対する手持ちに対する計画というものを立ててから言ったものではなくて、そういうふうになるだろうというビジョンを申し上げただけでございます。
  24. 久保三郎

    久保委員 大臣の三千四百万トンというものは、港湾収支その他いわゆる貿易外収支海運収支の面だけではじけば三千四百万トン程度持てばとんとんというか、赤字はなくなる、こういうことでありますが、そこでそれは一つのビジョンというより計算でありまして、いうなればこれは目標というか、そういうこともあり得るという一つの試算であると思うのです。そのことについては問題は別にありませんが、しかし大臣が現在の海運界の動向というものを十分見られて、しかも海運行政のトップでありますから、そういう発言をさるべきだと私は考えているのであります。  というのは、何でそういうことを申し上げるかと申しますと、たとえば中期経済計画にいたしましても、これはなるほど倍増計画のアフターケア、手直しということでありましょう。ところがこういうものが実際、計画という名にふさわしいものであるかどうかは疑わしいのであります。言うなればこれは目標であります。目標で定めたところの七百三十四万総トンの建造にしても、たとえば二十一次船一つとりましても、百五十万総トンということに政府はそろばんをはじいておる。ところがすでに二百万総トンをこえている建造意欲、こういうことがありますと、そのさなかに三千四百万トンというような膨大な数字を、単なる試算にしてもお出しになることは、かえってこれは害あって益ないものではなかろうかと思う。  そこで私が言いたいのは、今日の建造意欲の旺盛なのは何に基因しているか、どういう理由でこの政府の、いわゆるわれわれが目標と見るべきところの中期経済計画から割り出した百五十万総トンをさらに上回るような建造意欲というのはどこからきているか。海運界がはたして自分の企業体質、そういうものが、この波に乗れば必ず改善ができるというような自信を持ってこの建造意欲を出してきているのかどうか。これはどういうふうに見ておられますか。
  25. 若狭得治

    若狭政府委員 たとえば二十一次の例がございましたけれども、現在われわれのところに出ております建造希望は二百二十九万トンになっております。それでその内容を検討いたしますと、鉄鉱石、石炭等のいわゆる専用船でございますが、これは運賃及び積み荷を決定いたしまして、最小限十年間の積み荷による運賃の保証を行なっておるものでございます。これが八十八万トン、それから油送船——タンカーでございますが、これが百万トン、したがいまして、これにつきましてもやはり十年以上の長期の運賃及び積み荷保証を行なっておる、そういうものだけで百九十万トンあるわけでございます。それ以外に一般貨物船といたしまして二十二万トンございます。これにつきましても、その相当部分がやはり長期保証を持っておるもの、したがいまして、そういう保証のない船舶というものは二十万トンに足りない、いわゆる定期船だけでございます。そういう面から見まして、二百二十九万トンの大部分のもの、約二百万トン程度のものは長期の運賃、積み荷保証を持っておるものでございますので、われわれといたしましては、運賃及び積み荷保証というものははたして採算的に見て有利なものであるかどうか、海運企業の健全化という面から見まして支障のないものであるかどうか、またそれがはたして確実なものであるかどうかというような点を十分審査いたしまして、これは運輸省においても審査いたしますし、また関係金融機関においても慎重な検討をいたします。そういう点から、これは海運企業の健全化の見地から見まして支障がないというもののみを融資の対象として決定する方式をとっておるわけでございます。したがいまして、大量建造と申しましても、決して海運企業の健全化の見地から見まして問題になるというようなことは、われわれとしてはないというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほど三千四百万トンの数字が出ておりましたけれども、これは昭和五十年までは経済企画庁の中期計画の策定の際のモデル計画参考としております。しかしまた五十年以降につきましては、成長率を五%に押えまして算定いたしておるわけでございまして、その目標といたしましたのは、現在の海運国際収支赤字幅の横ばいというところを目標にしたわけでございます。こういう程度船腹量が保有できるならば、現在程度赤字幅は維持することができるであろうというわれわれの考え方でございます。  したがいまして、今後長期の見通しでございますので、はたして現在のように一船別に長期の契約保証というものを持った船だけつくっていくことができるかどうか、その点に問題があるのじゃないかというような気がいたしますけれども、それは今後の問題といたしまして、日本の経済成長というものにマッチいたしました船腹計画ということになりますれば、最小限度あの程度のものではなかろうかというようにわれわれ考えておるわけでございます。  なお、専用船が八十八万トンというように非常にふえてきております。あるいは輸送船が百万トンというようにふえてきておるわけでございますけれども、これはわれわれが一昨年以来、わが国の輸入物資の契約の形態をCIFからFOBに変えていきたいということを非常に強く経済界に対してお願いしてまいったわけでございます。それがようやく実を結びまして、大量の長期の輸入物資につきましては、ほとんど大部分のものがFOB契約に切りかえられつつある。そういうところから日本船の需要が急激にふえてきておるというところにあるだろうというふうに、われわれ考えております。
  26. 久保三郎

    久保委員 いまのお話では、二百二十九万トンの建造規模で、そのうち積み荷保証のないものが二十二万トンである。だから、十分審査の結果これは積み荷保証も確実である、船会社にとっても不利はないということから、無理がない、こういう御意見であります。なるほど積み荷保証のあるものとないものでは、積み荷保証のあるものが堅実であります。しかし、積み荷保証をするところの荷主の経済の実態というものは、今後十年間このままで伸びていくのかどうか。企業によっても、最近のように、たとえば山陽特殊綱でありますか、そういうものを一つとっても問題が出てくるのですね。そういう際に手放しで、積み荷保証があるから、荷主の要請に基づいて建造するのだから問題ないということは、はたしていかかがと思います。  それからもう一つは、今日あるところの海運助成政策の上に乗って、未来永劫これが続くものという前提において建造することが、はたして国民的要求であるかどうか、これも考えなければいかぬ。  それからもう一つは、海運収支の問題でありますが、この海運収支赤字解消というか、赤字を全然なくすということは不可能事にひとしい。いまの御答弁でも、大臣がおっしゃったところの三千四百万総トンにしても、これは現在の赤字幅を横ばいにしていくためだ、こういうことなんですね。だから、この横ばいというか、いまの日本の貿易構造からいくならば、当然海運収支が未来永別、赤字としてつきまとうのであります。貿易構造を変えていく、そういう意欲がない限りは、船を幾らつくっても赤字は解消できない。と同時に、その船をつくることがはたして海運企業の体質の強化になるか。強化にならぬ。いわゆるいまの制度の上に乗っていく限りはそうでしょう。自己資本で建造していくということになるのなら、これは別です。ところが、他人資本によって大半をまかなっていくということになれば、船はつくればつくるほど、いわゆる自己資本の比率というのは御案内のとおり下がっていく。下がっていけば、当然のごとく企業体質は弱くなっていく。しかも、海運はいわゆる波動性の多い産業であります。いま、海運市況が好転しているからというその前提に立ってものごとを判断するのは当然危険なんですね。だから、この辺でもう一ぺん政策の目標というものをもう少しきちっとすべきであろうと私は思う。国際収支改善をこれによってはかっていくということも、国策上必要であります。しかし、これは貿易構造を変えていかない限り絶対に改善ができない。とするならば、貿易構造を変えるという、私が年来申し上げておるような方向を外交政策上とるべきだ。これが一つ。  もう一つは、いわゆる海運の今日の政策は、ます第一に最小限——大きなことを望むことはできませんが、ならば、国民の協力によってできたところの集約方向は、いわゆる体質改善というものに焦点を合わせてのみ処理すべきものであって、いわゆる船腹拡充と体質改善と、二つを追うがごときは断じてこれをやるべきでないし、できるはずがないのであります。だからこの辺で、もはや一年間の実積はある程度わかったとするならば、これは今年度一ぱいかけて、来年度は海運政策のあり方について再検討すべきであると私は思うのですが、どうですか。
  27. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 貿易の体質改善、構造を改善しようという問題、緻密な計画を立てるということ、これはいま局長がいろいろと答弁いたしたような緻密な計画を立て、中期経済計画に基本を置いて立ててやっております。しかし、大ざっぱな考え方でもう一つ別に考えてみると、私が昭和十二年に出まして、あの大戦に参加いたしました。あの大戦の起こる前の日本の経済といまの日本の経済はどうかというと、物によっては違いますが、総合して、いまの経済は当時の経済の三倍以上になっておると思うのです。物によっては六倍以上になっておるものもありますが、大体三倍以上になっておると思う。当時の船の保有量は大体六百五十万トンありました。そこで第三国間の輸送が相当できまして、貿易外収入というものが日本の経済の上に大きな働きをいたしたのであります。でございますから、当時の日本のあり方と同じような状況に置かれるならば、日本の生産力が三倍になったとするならば、二千万トンの船をいま持っておることがほんとうなんです。  なぜその船が持てなかったかというと、私どもはこのときやっておったんですからよくわかっております。私、当時逓信省におったんですから特にわかっておりますが、ほとんど紙切れ一枚で船は全部徴発されたのです。それで、船団を組んで全部輸送に使われました。そこで全部、乗り組み員から船長まで海底のもくずとなってしまった。ところが、一銭でも賠償されたかというと、ほとんど賠償されない。でてありますから、船がいま一千万トンになったのですけれども、これがほとんど——いろいろな政府の資金も貸与いたしておりますけれども、政府の賠償というものはもらってないのです。だから、せめて利子の補給とか政府の長期資金を貸してやるとかというぐらいの資金は貸してやるべきだと私は思うのです。英米及びドイツあるいはフランスにおきましても、全部賠償金は払っております。だから海運の復興は早かったので歩。でございますから、日本の経済の生産能力の戦前の割合と同様に船の手持ちをしておるならば、私は貿易外赤字というものはそんなに出ないと思うのです。けれども、三分の一しか持っていないからそういう現状になると私は思っておる。昨年、綾部さんの努力によって集約されたことは非常に大きなお仕事であったと思う。けれども、資金がないものですから、これは賠償しなかったんだから、せめて長期低利の資金ぐらいは見てやって、そうして戦前の日本の経済と船の割合と同様なくらいに船を持たせるということが——祖国の立地条件が海国日本である以上は、船を持たない貿易国策というものはないと思うのです。だから、貿易国策をほんとうに立てていき、海国日本を打ち立っていくとするならば、やはり従来日本がとってまいりました経済政策は船を中心にして貿易政策がとられてきたのでありますから、船の足りない点は、何かの方法によってやっていかなければならぬ。その手が打たれたのがこの船会社の集約であり、造船技術の進歩であり、世界に先んじて大型船をつくるということになったゆえんのものであると思いますから、この政策の、御指摘になりましたいろいろの足らぬ点は直すにやぶさかではございません、足らざる点は直すにやぶさかではございませんが、ともかく海国日本として、船なしにはこの国の経済は進歩いたしませんから、船はどこまでもやはり経済の伸びていくに従ってふやしていかなければならぬという私は考えを持っておる次第であります。
  28. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣のお話はいろいろございましたが、一つについては、戦時補償をやっていないからというので、農地報償と同じようなものでありまして、そういう思想から出ればそのとおりでありますが、すでに海運については長いこと助成いたしまして、昨年の集約においては、御案内のとおり大幅な助成をいたしております。私はこの助成はいま否定をしようとしてはいません。けれども、未来永劫、こういうものが続くとは考えていないということを申し上げたのです。それを一言申し上げたのです。誤解のないように……。  それからもう一つは、船腹は、昭和十三年大臣在官中のときから見ればもっと足りないというお話、足りるか足りないかというのは、それは日本国の立地条件あるいは産業の実態、こういう変わったものに応じて、やはり船の位置づけというものは新たな観点からやるべき筋合いでありまして、決して他の物とスライドして船腹量をこの程度にしなければならぬということはないと思うのであります。これはお話でありますから聞いておくだけにいたしますが、少なくとも私の質問しておるのはそこじゃないのであります。海運政策の今日的課題は、やはり企業体質を改善する、強化していくというところに焦点を合わせるというと、問題があとまで残るということを私は心配して申し上げているのであります。決して私はとやかく申したわけではないのであります。しかし、貿易外収支海運収支改善をはかっていくというならば、やはり貿易構造も変えていく。あなたが在官中の海運と今日の海運とはだいぶ違うのであります。いわゆる海運のシェア、行動半径についても御案内のとおりたいへん違うのであります。だからそういうことを考えずして、遠い距離から原材料をうんと運ぶ、片道はから船だということになってきますれば、これはいつまでたったって赤字は解消できないですね。だからいまの外交政策なり何なりを前提に置くならば、海運収支赤字というのは、いわゆる国内産業の黒字によって相殺されて、なおかつ余りあるというところまで日本の国内の産業が発展しなければいかぬのです。そういうことにすればいいのです。だから海運収支だけ目のかたきというか、赤字だから何とかしょうというのは短見、いわゆる近目、近視眼的な見方であろう。だからそれをどうしても気にするとすれば、今日の経済外交を改めるということが一つであります。この話はだいぶ長くなりますからこの程度にしますが、私は後刻また政策転換についてお話を伺いたいと思うのであります。  そこで、聞くところによれば、海上運送法の改正を今日海造審に諮問をなされているそうでありますが、いかなる点を諮問されているのですか。
  29. 若狭得治

    若狭政府委員 海上運送法の改正は、現在も御審議をいただいているわけでございまして、外航関係につきましては、不定期航路の秩序が盟外船によって非常に脅かされているということで、不定期船の経営につきまして運輸大臣が勧告をすることによって、この航路秩序を守っていきたいというのが現在の改正の趣旨でございます。  現在の各国のいろいろな動きを見ておりますと、そういう面だけではとうていまかない切れないものがあるのじゃないかということで、アメリカの法制その他ヨーロッパの考え方等をいろいろ検討いたしまして、現在わが国の海上運送法というものは、すでに制定いたしましてから二十年近くの歳月がたっておるわけでございまして、また規定の中にも相当いろいろな問題点がございます。そういう点で海上運送法の外航関係部分を抜本的に改正すべき時期に到達しておるというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、さしあたりの問題といたしまして、定期航路の秩序の安定をはかるために、海運業者と荷主の団体との間の協議というものを主体にいたしまして、そこで相談のできたものにつきましては、独占禁止法の適用を排除する、国家の干渉をできるだけ避けていきたいというような考え方で、そういう考え方ができるかどうかということにつきまして合理化審議会に現在諮問をいたしておるわけでございます。
  30. 久保三郎

    久保委員 海運会社と荷主との間の輸送協議会というか、そういうもので同盟運賃の安定をはかろうということを諮問しておるということでありますが、そういうことがはたして妥当であるかどうか、これはかなり疑問の残る点だと思うのですね。これは慎重に扱ってほしいと思います。  そこで集約後の傾向として、たとえば郵船等の三社はかなり好転してきた、あるいは山下新日本といいますか、ジャパンライン、そういうものはあまり芳しくない。すでにそこで企業の格差というものが多少出てきたと私は見ておるのです。この企業格差を拡大するような方向にこの問題がいくのかどうか、これはどういうようなお見通しですか。
  31. 若狭得治

    若狭政府委員 われわれは、直接各企業体の問題を現在考えておるわけでございませんで、もつばら定期航路の安定をはかっていくためにはどうしたらいいだろうか、特にアメリカのシッピングアクト等によるいろいろな干渉というものがございますので、これを排除する方向として荷主協議会というような制度を創設いたしまして、これによって定期航路の運営についての国家の干渉を排除するという方向をとったらどうかということで現在考えておるわけでございます。御指摘のように、中核体六社の企業力にはそれぞれ格差がございます。また市況の関係によりまして、業務の範囲の中で相当大部分を定期航路の経営で占めておるというところにつきましては、先ほど申し上げましたように、市況が好転いたしておりますので、収益が非常に上がっておるというのが実情でございますけれども、たとえば専用船等を中心にやっておるような中核体につきましては、そういうような市況の好転になかなか乗り得ないという点で多少おくれておるものがあることは事実でございます。ただ久保先生が先ほど御指摘のように、海運市況というものが非常に変動いたしておりまして、またその中でもたとえば定期船が非常に好採算のときがございますし、あるいは専用船が非常に採算がいい場合もございます、安定しておる場合もございます。そういう意味で非常に短い期間の市況を見まして、とやかく今後の判断をすることは差し控えたいとわれわれは考えておるのでございます。集約をいたしましてまだ一年そこそこでございますので、さらに今後の推移を見守ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  32. 久保三郎

    久保委員 そういうことでありますから、先ほど申し上げたように、計画を上回るような建造意欲というものがどこから出てきたのかと聞いたらば、積み荷保証があるから、これは完全だからやらせるのだ。こういうことでは安定した海運市況というものはないのだから、不安定なんだから、やはり石橋をたたいて渡るというような方向でこの際はやるべきだというのが私の主張なんですが、これはこのままにしておきましょう。  そこで、いまのようなお話でありますが、現行海上運送法の外国人に対する適用除外、四十二条の三、これで外国人には適用除外がしてあるわけであります。この適用除外をしたのでありますが、いわゆる適用条項は、二十八条から三十一条までの規定は外国人にも適用するわけですね。ところがこれには罰則がついているわけだが、この罰則は、この法律からいくと罰則も適用されないというふうにわれわれは考えているが、それはどういうふうに解釈しますか。
  33. 住田正二

    ○住田説明員 海上運送法の二十八条から三十一条までのうち罰則がついておりますのは三十条の三号だけでございまして、あとは罰則がないわけです。この三十条の三号の規定は「虚偽の運賃請求書を作成し、」というようなことで、海上運送に固有の問題ではなくて、一般の商取引上不公正な方法を用いるということで罰則を残しているわけでございまして、この点については当然適用があるというように考えております。
  34. 久保三郎

    久保委員 住田課長に聞きますが、たとえばいまの御説明だと、三十条の三は適用がある、これは罰則じゃない、やってはいけないという禁止条項であります。私は罰則を言っているのです。二十八条ないし三十一条までの禁止条項というか、これに対して違反したら、結局罰則の第六章のところで、特に四十八条というようなところでの罰則はない、外国人には適用しない、こういうふうに理解してよろしいかと言うのです。
  35. 住田正二

    ○住田説明員 法律的には問題があると思いますけれども、二十八条から三十一条までについて適用いたしておりまして、三十条の三号だけについて罰則をつけているわけでありまして、この点については、外国人に対しても適用があるというように考えております。
  36. 久保三郎

    久保委員 外国人に対して適用があると思うということでありますが、これはどんなところから考えても、適用はしませんよ。罰則はない。だから外国人については、この二十八条ないし三十一条までは、何をやっても同じなんで。罰則がないのですよ。罰則も除外される。もしも罰則を適用したいというのなら、やはり四十二条の三と同じように罰則の条項に入れなければならぬ。そういうふうに思っていらっしゃるのはかってだが、実際はそうじゃない。これはいつ改正したかおわかりですか。——どこをめくってもそれは適用できない。だからいまさら気がつくのはおそいのでありまして、二年ほど前に、私どものほうから、海上運送法の改正を出したときには、これを適用する方向に実は改正案を出した。そのときは野党提案だから、これは全部点検をされなかっただけの話でありまして、だから、こういう抜けた法律をつくっておいて、いまさらシッピングアウトがどうのこうのといっても、これは筋違いじゃなかろうかと言うのです。いかがですか、局長。
  37. 若狭得治

    若狭政府委員 御指摘のとおりでございますので、われわれといたしましは、シッピングアウトの関係の改正をやりたいと思っておりますけれども、それとあわせまして、もう戦後二十年たっておりまして、いまなお外国人に対する適用除外の規定を盛り込んでいる法律は、おそらく海上運送法のほかには日本国にはないんじゃないかとわれわれ考えますので、合理化審議会の答申が出ましたならば、それとあわせまして、現在の外国人に対する適用除外の規定というものを再検討したい、できるだけ早い機会に、外国人に対する適用除外の規定を削除いたしました海上運送法の改正案を御審議いただきたいということを考えておるわけでございます。
  38. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから、それはお認めになったようですから——お認めというより気かついたかどうか知りませんが、一応そういうことでありましょうから……。  ただ問題は、そうなりますと、いまの局長の口吻ですね、口ぶりからいきますと、従来政府が唱えていた海洋の自由というのは多少筋としては変更せざるを得ない、こういうふうにとってよろしいかどうか。われわれがここで主張したときには、いわゆる全くの自由、こういうことでいままでの海運当局は答弁された。ここで大きくといっては語弊があるが、いわゆる海洋の自由についても政策として転換せざるを得ない状況にあるということを認めますか。
  39. 若狭得治

    若狭政府委員 いわゆる海洋の自由につきましてはいろいろな問題点がございますけれども、先ほどから申しておりますような海上運送についての取引の自由につきましては、原則的にその自由を守っていくという態度には従来変わりないわけでございます。ただ、法規制の面につきまして、たとえばアメリカの法制等に見ますような傾向が漸次強くなってくるような傾向がございますので、やはりそれに対応するような措置というものは世界各国でとられつつあるわけでございます。その一つの例がいわゆる荷主協議会制度による業者間の自主的な調整によって、それを国が認めるという方式でございますけれども、そういう方向で原則的には業者間の取引の自由というものを守るということでございますが、具体的には、たとえば届け出の問題等の法律的なこまかい問題がいろいろあり得るかと存じます。そういう点につきましては、御指摘のように、従来の考え方を改めなければいかぬということをわれわれとしては現在検討いたしておるわけでございます。
  40. 久保三郎

    久保委員 そこで先ほどお答えが先回ってありましたが、今回の改正案では、定期航路事業に対する不定期航路事業もあわせていわゆる規制をする、そういうふうにやるというんだがこれは具体的にどういう事象が出ていますか。
  41. 住田正二

    ○住田説明員 現在定期航路と不定期航路の間の競争が激しいのは、ニュージーランドから運んでおりますマトンの輸送、輸出の場合ですと鋼材輸送などございまして、ニュージーランドから運んでおりますマトンの場合には、漁船あるいはマトン専用船というものが出てきまして定期船で運んでおりまして、マトンをそういうふうに漁船あるいは専用船がとってしまうということで運賃上の問題その他が起きております。それから鋼材のほうは、現在鋼材は同盟貨物になっておるわけでありますが、それを運賃競争をいたしまして不定期船が鋼材を運んでいるというようなことで、現在運賃競争が起きております。その辺で航路上の秩序が混乱しておるというのが現状であります。
  42. 久保三郎

    久保委員 こういう一つの問題だけでなくて、先ほどお話があったように、海上運送法全体を改正する時期に来ているということなんでありますから、こういう一つ一つを改正していくというのはどうかと思うので、これは緊急に必要だからしかたなくここに入れた、こういうふうに了解していいですか。そうですか。
  43. 若狭得治

    若狭政府委員 そのとおりでございます。なお、ほかに、たとえば北米の綿花の積み取りにつきましていろいろな動きがございまして、荷主が自家用船を行なっておるというような情勢もございます。それから鋼材の積み取りにつきましても、日本船の積み取り比率は急激に低下してきておるというような実情でございます。そういうようないろいろな情勢がございますので、海上運送法の抜本的改正というものは、われわれはできれば明年度の通常国会にお願いしたいと思っておりますけれども、先ほど御指摘のように、荷主協会制度の創設につきましては、産業界につきましても、貿易界につきましても、いろいろ御意見があるところでございまして、また独禁法との関係等につきましても、今後政府部内においてもいろいろな問題が出てくるだろうというように考えられますので、それまで、今日非常に混乱している状態をそのまま放置することはできないというふうに考えまして、取り急いで改正をお願いしたいということでございます。
  44. 久保三郎

    久保委員 そういたしますと、この法案が幸いに通過して成立すれば、たとえばいまのニュージーランドのマトンの輸送についていかなる方法をとりますか。
  45. 若狭得治

    若狭政府委員 現在は法律的には何ら規制はございませんし、また、そういう秩序を守ることが国家の利益になるんだというような観念もございません。したがいまして、われわれといたしましては、定期航路を中心にした取引の安定ということをはかることが日本の国家利益にも合致するという考え方でございますので、その点を関係業者にも十分周知徹底させて、定期航路との協調ということをはかるように説得を続けてまいりたいと考えておるわけであります。
  46. 久保三郎

    久保委員 次に、今回の海上運送法の改正によりまして、一応フェリーの問題が規制される。それはいいとして、こう内航海運業法あるいは組合法、こういうものにはこの航送事業というか、これは関係ない、こういうことになっているわけであります。そういたしますと、内航二法で当面きめられているいわゆる船腹量の策定あるいはこれの調整、こういうものについては、これは従来どおりワク外に渇くわけですね。そうですね。
  47. 若狭得治

    若狭政府委員 現在フェリーの建造が内航海運業法の最高限度の適用除外であるという考え方をとっておりませんで、これは当然同一に考えておるわけでございます。現状におきましては新しい登録の受付はいろいろ需給状況その他を検討した上で行なっておりまして、場合によってはスクラップの義務づけ等の措置も行なっておるところもあるようでございます。ただ、今度の法律改正によりまして許可制になります場合におきましては、その許可の際に内航海運との調整を十分検討いたしまして、それによって措置することを考えておりまして、直接内航海運業法によって規制するということではなしに、その許可制度の運用につきまして内航海運の面も十分考えながら許可をするということを考えておるわけでございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、許可の際に勘案して許可していくから心配ない、こういうことでありますが、従来もそうかと思いますけれども、法律的には何ら規制がないのでありまして、許可というのも一つの権限でありますから、これで縛ればいいということでありましょうが、なかなか問題が多いと思います。たとえば運賃一つ取ってもなかなかむずかしい。あるいは貨物の輸送量一つ取っても、これもなかなか問題であるということなので、許可の場合は内航二法との関係、いわゆる船腹量との関係、こういうものを十分慎重に勘案しないと、かえってこれが災いして、現在災いしておりますから、当然この規制に入れるということでありましょうが、一歩前進かもしれませんが、二歩前進にはならぬ、こういうふうに思うので、これは具体的にいままでどうやっておりましたか。たとえばいま一番フェリーの多いのは瀬戸内かもしれませんが、そういうところの輸送体系、輸送の実態というか、そういうものを十分にらみ合わして、いままでは許可なり承認してきておるのか、これはどうなんです。
  49. 若狭得治

    若狭政府委員 今日まで許可したものにつきましては、輸送需要、旅客の輸送需要のみならず、貨物の輸送需要につきましても、十分検討を加えた上で許可いたしておるわけでございます。免許の基準の中に、輸送需要に対して供給が過剰にならないということは、貨物及び旅客双方につきましてそういうふうにわれわれ考えておりますので、そういう許可基準の運用によりまして貨物の輸送需要を十分勘案しながら許可を行なっておるわけでございます。
  50. 久保三郎

    久保委員 本来ならば、この内航二法によるところの適正船腹量あるいは最高限度量というか、そういうものの場合は、たとえばワク外にしても、このフェリーの船腹量というか、輸送量というか、そういうものを十分織り込んで考えていくべきだと思うのですね。というのは、いわゆる適正船腹量なり最高限度というのは、それぞれの機関にかけて運輸大臣が決定するわけなんでありますが、フェリーの問題はなるほど横目でにらみながらきめるということでありましょうが、いうならば、運輸大臣一個の認可権でもっていくという場合には問題がありはしないかということなんですね。その辺の、たとえば船腹量を策定する場合にもフェリーの条項というものを十分それぞれの機関に示して、その上できめていくという方向でなければ、ほんとうじゃないだろうと私は思うのです。それはどうなんですか。
  51. 若狭得治

    若狭政府委員 ただいま先生の御指摘のとおりでございますので、従来免許制度になっておりますものにつきましても、建造の規制ということはやっておらなかったわけでございます。したがいまして、船ができましてから、その船をもうつくってしまってから、どうしても許可してもらいたいという事例が多々あったわけでございます。しかし、現在内航につきましては、すでに最高限度の設定がございまして、新規の造船についてはすべて登録を一時停止しておるわけでございますが、そういう点から見まして、貨物フェリーの建造につきましても、新規登録の場合には厳重なる審査を行なうということになったわけでございまして、その点から今後の免許あるいは許可の指導というものはわれわれとしては非常にやりやすくなってきたのではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、いま御指摘のとおり今後の内航の適正船腹量あるいは最高限度量の設定等につきましては、もちろんこのフェリーの輸送量を十分勘案しながら設定してまいりたいと考えております。また新しい免許の申請が出てまいりました場合には、内航との輸送の調整ということを十分勘案しながら事案の処理をしてまいりたいと考えます。
  52. 久保三郎

    久保委員 そこで、そのフェリーのかけ込み申請というものがあるそうでありますが、どの程度かけ込んできておるのか、どうなんですか。
  53. 高林康一

    ○高林説明員 現在本省扱いのものと、地方扱いのものとがございますけれども、本省へ現在免許申請がございますものが十七件ございます。そのほかに現在現行法の適用対象にはなりませんが、いわゆる貨物フェリー、今回の改正によりまして対象になりますような、現在は内航海運業法の適用のございますもの、これにつきましては五件の登録の申請がございます。
  54. 久保三郎

    久保委員 そういうかけ込み申請については、どう処理されますか。
  55. 高林康一

    ○高林説明員 現在この法律を私ども立案いたしましたころから、この種の新たな申請につきましては、これは法律そのものが許可制になる前にやろうというようなことがありますと非常に秩序をこわすもとになるおそれがございますので、そういうようなものは抑制するように通達をいたしますと同時に、それが先ほど局長が申しましたように、内航海運業法の適用対象になっております関係上、最高限度の設定に伴いまして、この種の船舶の建造につきましては、これは必要かいなかというようなことについて審査を進めておるという現状でございます。
  56. 久保三郎

    久保委員 今度のこの法改正が成立すれば、多少フェリーの規制というか、秩序というか、そういうものはできる、こう思うのであります。また時代の趨勢でありますから、フェリーを抑圧するというか、そういうこともいかがかと思う。しかし、先ほど言及したように、内航機帆船の問題等と彼此勘案して考えなければならぬ問題なんですね。それから一方現在定期旅客船をやっている業者というか、企業、こういうものとの関係、こういうものを十分考えてやらぬと、いわゆる海上輸送の秩序混乱を来たす。さらにもう一つは、たとえば瀬戸内のごときは、まあ何年後かわかりませんけれども、海峡の橋梁をつくるという問題も出てきている。これはすでにもう日程にのぼっているものも出てきている。そうなった場合に、ここに多数のフェリーを就航させることは、この企業の将来に対してまた問題を残す、こういうことがあると思います。だからそこらのところを十分勘案しておやりになるのかどうか、方針としてはどうなんですか。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕
  57. 若狭得治

    若狭政府委員 いま御指摘のとおりでございまして、機帆船等との関係につきましては、われわれといたしましては十分需給関係を調査した上でこのフェリーの許可の事案処理をいたしたいと考えておるわけでございます。  なお、瀬戸内海の架橋の問題につきましては、時代の趨勢でございますので、そういう事態ができましたために内航海運に非常に大きな影響が出てくるということも考えられますけれども、その問題につきましては、今後の推移というものを十分考えながら、業者の補償関係という問題もあるいは出てくるかと存じますけれども、新しい免許の申請にあたりましては、その件も今後十分考えながら、企業採算その他の点で十分な指導をしてまいりたいと考えております。
  58. 久保三郎

    久保委員 特に定期船の運航をしているその地点に、新たなフェリーが就航するというような問題は、非常に深刻な問題が一つは出てくると思うのですね。いま定期船をやっているものが必ずしもいい企業体でないのでないのでありますから、そうなった場合に、大資本というかそういうものの資本力にまかせて、そこにいわゆるフェリーを就航させるというようなことになると、長年そこの定期船をやっていたものが苦境におちいる、これであってはならぬと思うのですね。だから原則としてやはり定期船をやっているこの航路に対しては、その定期船を優先すべきである、こういうふうにやってもらわぬと混乱が起きると思うのです。  それからもう一つは、機帆船との関係であります。これはいまの御答弁のように、機帆船には直接定期航路というものはございませんけれども、そういう地帯に対して大量のフェリーを投入することは、これは一挙にして機帆船の壊滅を来たす。そうなった場合に、業者の、中小企業というか零細企業というか知りませんが、こういうものの救済が政策としては何もないのでありますね。ほとんどない。だからこれはあわせて、いまこのフェリーの一つの認可、許可というか、そういうものを規定づけるとするならば、時代の趨勢に応じてこれを伸展させることも当然でありますが、裏づけになる定期船の問題あるいは内航の問題、こういう対策が必要だと思うのです。ついては、たとえばこの機帆船対策というか、そういうものに対する対策はいままでどういうものを考えておりますか。
  59. 若狭得治

    若狭政府委員 機帆船につきましては、老朽船の代替ということをわれわれとしては大きな政策として考えておるわけでございまして、たとえばいま御指摘のような大きなフェリーが出てきて、そのために機帆船業者が失業するという問題につきましては、われわれできることならば、そういう機帆船の共同体というようなものを勧奨いたしまして、それによって新しい経営を行なうというような近代化の方向をとらせるということを主体に行政指導を行なっておるわけでございます。具体的な例といたしましては、たとえば特定船舶整備公団の貨物船の建造について、機帆船の協同組合がこれに応募いたしまして、すでに決定しておるというところも数社ございますが、今後はそういう方向でものごとを処理してまいりたいと考えておるわけでございます。
  60. 久保三郎

    久保委員 大体そういうことでありますが、最後にひとつ、具体的な例をちょっとお伺いしておきたいのであります。鳴門の公団フェリーがございますが、この公団フェリーというものは、いうならば関係の機帆船業者というか、そういう業者に運航なり何なりを払い下げるということが考えられる。先般来、徳島を中心にしたフェリーの就航によって多くの機帆船業者が企業として成り立たなくなるというような問題が起きているわけなんです。ついては、これについても、公団フェリーの関係業者に対する払い下げというものをもってかえていくことも一つではないかとわれわれ考えておる。これについて、海運局長はどういうふうに考えてやっておられるか。
  61. 若狭得治

    若狭政府委員 現在、道路公団が鳴門−福良間及び明石−岩屋間の鳴門海峡に公団のフェリーを運航いたしておるわけでございますが、これにつきまして経営の実態を調べてみますと、明石海峡フェリーのほうは多少の収益をあげておりますが、鳴門海峡フェリーのほうは過去ずっと赤字でございまして、三十八年に至ってようやく黒字になってきておるというような状態でございます。これは現在の経営形態というものが、事業組合を業者につくらせまして、それに経営を委託するというかっこうをとっているわけでございます。公団は船舶を建造するだけでございまして、収支は公団に帰属いたしますけれども、具体的な経営というものは業界の組合に委託されておるというようなかっこうをとっているわけでございます。そういう関係でなかなかその運営がうまくいっておらないというふうに考えられるわけでございます。従来ここは独占航路でございまして、ほとんど独占的にフェリーの経営を行なっていたにもかかわらず、こういうような状態になったことにつきましては、やはり官庁的な経営の問題点があるのじゃないかというようにわれわれは考えるわけでございます。現在公団のフェリーは十二航海やっておりますが、それ以外に日本海洋開発というのがやはり福良−徳島間を八航海、それから大阪湾航送というのが深目−洲本間を八航海、それ以外に鳴門−阿那賀間というのをさらに今月中に開業するような状態になっております。そういう状態から見まして、この航路につきましては、なお公団自身の経営によって経営しなきゃならぬという状態ではない。他の民営の競争航路が今日のように多数開設している状態におきましては、どうも公団はこの経営から手を引いて、これを民営にゆだねるほうが適当であるというふうにわれわれ考えているわけでございます。その際に、やはりこのフェリーの開発によって非常に影響を受けますところの地元の機帆船業者その他がその経営のあとを引き受けてこれを経営するような方針になることが、先ほどから申しておりますように、内航海運の近代化と機帆船の近代化という二つのことを同時に達成する意味からいきまして、非常に望ましいことであるというふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。
  62. 進藤一馬

    進藤委員長代理 内海清君。
  63. 内海清

    内海(清)委員 先ほどいろいろ論議されました中で、特に久保委員海運集約によりまする経営基盤の強化、それから船腹の増強、いわゆる大量建造、こういう問題でいろいろ論議があったわけでございますが、これについて私はただ一つこの際お伺いしておきたいと思うのは、経営基盤の強化という点から見ますと、やはりそれぞれ経済船を増強していくということが体質改善の大きな一つの柱である、これははっきりしたことだと思うのであります。しかし、特に二十一次船で予定建造量を八〇%も上回っているような状況になったときに、やはりそういうものによってはたして今日まで軌道に乗りかけておる経営基盤の強化というものが幾分後退するおそれはないか、こういうようにいろいろ心配されてこれが論議の対象とになっておるようなことも考えるわけでございます。すなわち償却の不足の解消がおくれるとか、あるいは延滞の解消がおくれるとかというふうなことが出てくる。ひいては復配の時期もおくれるのではないかというようなことも論議される向きが出てくると思うのであります。この点についての一応の見通し、これをまず第一にお伺いいたしたい。
  64. 若狭得治

    若狭政府委員 大量建造と企業体力の問題でございますけれども、先ほど久保先生が自己資本の比率が非常に少なくなっているということを御指摘でございました。御指摘のように、現在整備計画を実施しております会社の平均の自己資本比率は一七%でございます。これが企業経営に今後どういうような影響を及ぼしていくかというような問題点は確かにあるわけでございます。ただ現在のように国内の金利水準が国際的に見まして非常に割り高であるというような情勢では、とうてい自己資本の充実ということによって企業体力を強化する、あるいは船腹拡充を行なうということは困難でございまして、われわれとしては、そういう面からいきましても、現在の国際的な金利水準と国内的な水準に非常な相違がある現状のままでは、やはり現在の海運助成の体制というものを継続してもらいたいということを強く感じておるわけでございます。  同時にこの大量建造を行なうことによって企業体力にいかなる影響がまいるかということでございますが、われわれがいろいろ検討いたしました結果、償却前利益その他の面から見ましても、この程度の建造量は十分消化し得るというように考えておるわけでございます。なお、現在各金融機関に対して約定返済の延滞が相当ございますが、これにつきましては新造船をさらに強化することによってこの延滞というものは早急に解消できるんじゃないかというように考えておるわけでございます。そういう点から見ましても、大量建造の推進ということと企業体力の強化ということは決して背反することではございませんで、われわれといたしましては、つくります船舶が高採算のものであれば十分両立し得るものであるということを考えておるわけでございます。
  65. 内海清

    内海(清)委員 その問題は論議すればいろいろ時間がかかりますから、きょうはただ一応御意見を拝聴しておくにとどめまして、いずれまた他の機会にいろいろ論議申し上げたいと思います。  そこで、この海上運送法の一部改正に集約して質問いたしますが、自動車航送をする貨物定期航路事業が最近非常にふえてきた。ことに瀬戸内等ではそれが顕著なものがあるのでありますが、そのために自動車航送に関しまする秩序が乱れる、こういうふうなことでこの法の改正が主として行なわれたと思うのであります。この自動車航送が現在どういうふうにふえていっておるのか、この際具体的な数字をあげてお示し願います。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 若狭得治

    若狭政府委員 現在の自動車航送の状況でございますが、昭和二十九年以前にはわずか四航路でございました。その後逐年増加してまいりまして、四十年の三月末現在におきましては全国で七十航路あるわけでございます。そのうち貨物のみをやっておるものは三十二航路、その他のものは旅客の輸送もやっておりまして、すでに旅客の免許を受けたものが三十六航路あるわけでございます。
  67. 内海清

    内海(清)委員 この自動車航送が非常にふえておりまして、これは、いわば時代の要請だと思うのであります。確かにこれによりまして島嶼部、こういう方面におきまする産業開発につきましてはきわめて重要な役割りを果たしておると思うのであります。しかし、今日はなお比較的近距離のものが多いので、遠距離のものはもちろんあまりないと思うのでありますが、この今回の改正によりまして自動車航送をいたしまする貨物の定期航路事業が許可制になるわけであります。そこでこの際内航海運業法の第二条第三項第一号に自動車航送貨物定期航路事業が一つ加えられて、そうして内航海運業法の適用を受けないものの中に自動車航送が入ると思うのでありますが、それはそういうふうになるわけでありますか。
  68. 高林康一

    ○高林説明員 そのとおりでございます。
  69. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、内航海運業法にいうところの最高限度の船腹量の規定は、これに当たらぬと思うわけであります。そこで今回の改正で事業が許可制になる。そうして運賃及び運送約款が認可制になりまする以上、自動車航送をいたしまする貨物定期航路事業にかかりますところの船舶につきましては現状著しく増加しつつあると認めているのでありますから、その建造について、先ほど内航と見合ってということもありましたが、何らかの規制が行なわれなければならぬのじゃないか。法的な規制はここにはないのじゃないかと思いまするが、それらの点はどうでございますか。
  70. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど久保先生の御質問にお答えいたしましたように、最高限度あるいは規制船腹量の設定にあたりましては、内航のフェリーの輸送力を十分検討いたしまして、また具体的に許可の際には内航の輸送状況を十分勘案しながら許可を審議することにいたしたいと考えておるわけでございまして、法律的には内航海運業法からはずれておりますけれども、それは具体的な許可制度を新しくとっております関係上、その際に内航との調整を十分はかっていくということで処理できると考えておるわけでございます。
  71. 内海清

    内海(清)委員 法的な規制はないけれども、許可いたします際に、内航関係を勘案してこの規制をしていこうということでありますが、この点、従来、フェリーと内航業者との間における問題は、やはりこういうところにあると思うのです。でありますから、そればはっきりした基準があり、みなが納得するような線で行なわれればいいけれども、ただ許可することにもろもろを勘案してこれを許可する、あるいは許可しないという、その辺に私は今後非常な問題が出てくると思うのでありますけれども、その点いかがですか。
  72. 若狭得治

    若狭政府委員 従来の旅客船の経営につきましては、やはり航路規制の維持ということを非常に大きな基本条件として考えておりまして、その事業を行なう場合には、必ず既存の業界と十分な話し合いをつけた上で免許申請を出しているのが従来からの例でございます。ただ、その点だけではなかなかまいらないものがございますので、やはり運輸審議会におきまして公聴会を開く等のいろいろな措置を講じて最終的に決定いたしているのが現状でございますので、この問題につきましても、やはり新しい許可が出てまいります前段階におきまして、まず第一に先ほど申しましたような新造船の登録受付の問題があるわけでございます。その点について内航海運業界との十分な了解というものがなければ新造船ができないということになっておるわけでございます。したがいまして、その点から見まして、まず一応の新造船につきましてはそういうような措置を講じておりますし、また、新しい免許あるいは許可の申請の事案が出てまいりました場合には、先ほどから申し上げておりますように、内航の輸送事情を十分勘案するということが免許基準の中にもすでに現在入っておりますので、その条項の運用によって処理してまいりたいと考えております。
  73. 内海清

    内海(清)委員 時間がございませんから簡単にやりますが、いまの問題は、今日まですでに御承知のような内航海運業者とフェリー業者の間には、かなりいわば感情的というところまでいっておる面もあると思うのです。したがって、この法の運用にあたりましては、そういうところを十分勘案してやらなければさらに問題を起こすおそれがある。この点をひとつ十分要望いたしておきたいと思います。  それでは次に移りますが、この法の改正によりましていろいろな自動車航送事業の規制が行なわれることになるわけでありますが、フェリー等の事業としての秩序が一応整えられ前進の方向にいくと思うのであります。船舶安全法はたしか五総トン以上の船舶に適用されると思うのでありますが、今日、瀬戸内等のフェリーにおきましては小型のものもあるわけであります。ところがこの点については今回は一つも触れていないと思うのでありますが、これはどういう理由でございますか。これは船舶局の関係だと思いますけれども、お聞かせ願いたいと思います。
  74. 内田守

    内田説明員 安全法に基づきますもろもろの施設の基準につきましては、特別の基準を課しております。具体的に申しますと、自動車航送船なるがゆえに重要視しなければならないスタビリティであるとか、自動車の緊締用具であるとか、それから危険物——ガソリンを搭載したまま自動車が乗りますので消防の関係であるとか、特に旅客船につきましては、通常の場合ですと、国際航海に使用する船にしか適用しないような区画の問題であるとか、そういう特別の安全基準を付加しております。
  75. 内海清

    内海(清)委員 特別なものを考えたいということでありますけれども、このフェリーほど、積み荷の問題あるいは船型等から考え、あるいは海洋気象等の変化にあって、海上危険のおそれの多いものはないと私は考えるのであります。したがって、もちろん五トン以上のものにつきましては、はっきりとした安全法が適用されて、それによって処理されると思いますけれども、それ以下の船についてはやはり安全法の規定というものを特に考えるべきではないかというふうに思うのですが、それに対する御意見はございますか。
  76. 高林康一

    ○高林説明員 この点につきましては、五トン以上、以下ということではなしに、海上運送法では考えておるわけであります。現行法の四十三条でございますけれども、総トン数五トン未満の船舶につきましては、海上運送法の適用は、旅客定期航路事業または旅客不定期航路事業については適用がございませんので、すべて海上運送法において規定されておるという状況になっております。
  77. 内海清

    内海(清)委員 貨物のものについてもございますか。
  78. 高林康一

    ○高林説明員 貨物についてはございません。
  79. 内海清

    内海(清)委員 やはりそこが問題だと思うのであります。ことに積み荷は非常に移動しやすいものであり、船型等から申しましてもなおかつ非常に狭い海峡などを渡るのできわめて多いわけであります。そういう点から考えて、旅客は安全法の適用があるにいたしましても、貨物フェリーについてこれがないということは、一般貨物船よりさらに重要なものではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  80. 高林康一

    ○高林説明員 フェリーをやりますものは、自動車を相当程度入れますものですから、実際問題としてそういうような五トン未満の貨物フェリーというようなものはございませんし、今後もおそらく構造上の関係から出てこないだろうというふうに私どもは考えておりまして、それについては一応現行法のままでこれを考えておる次第でございます。
  81. 内海清

    内海(清)委員 これは実情を御存じないのだ。私ども瀬戸内の島に住んでいる者では、これはかなりある。これは御存じないでしょうが、川程度の海峡を渡るものがずいぶんあるわけです。そういう点から考えて、これは何か特別な規制がされて、ことにこの点については今後実際の運用にあたって、これは建造許可の際でも十分その点は勘案できると思うのでありますけれども、将来にわたって特に考えられなければならぬのじゃないかと思うのです。
  82. 高林康一

    ○高林説明員 現在までのところ、貨物フェリーで一番小さいのは九トンという事例がございます。これは貨物車一台という事業計画であります。おそらく今後もあまりないとは思いますけれども、今後の実態の推移によりまして、その点については安全性の確保についてまた検討を重ねていきたいと考えておる次第でございます。
  83. 内海清

    内海(清)委員 これは海運局の調査でそういうふうになっておるようでありますけれども、私ども今日までやっておりますもので、私どもの住んでおりますほうにもこれは小さいものがあるわけです。そういうことでありますから、今後につきましては、この点をひとつ十分勘案して、現実にそのいうことによっての海上災害の起きないように特別に御注意願いたい、これは強く要望しておきたいと思います。  それから最後ですけれども、海上運送法の全般についてでありますが、一つだけお伺いしてお伺いしたいのは、運送秩序に関する運輸大臣の勧告というものでございます。海上運送法の第三十二条のこの規定、これはこれまでどのように運用されてきたのか、本法に基づきます勧告例をひとつあげて御説明願いたいと思います。
  84. 若狭得治

    若狭政府委員 現在までの例をあげてという御質問でございますが、一船的には現在定期航路か行なっておるものにつきましては、大部分が海運業再建整備法あるいは造船利子補給法等の規定の対象になっております関係上、この条項自体によるものは少のうございますけれども、ニューヨーク航路の経営の合理化につきまして運輸大臣の勧告を出しまして、それによってニューヨーク航路の運営会社というものを創設いたしまして、現在合理化事業を行なっておるのが例としてございます。
  85. 内海清

    内海(清)委員 この大臣の勧告については、従来は定期船等に対しまして主としてあったと思うのですが、不定期船についてはどういうふうな関係になっておりますか。
  86. 若狭得治

    若狭政府委員 不定期船については従来規定がございませんで、実態は定期航路の紛争というものは大部分不定期航路と定期航路との関係において生ずるわけでございますので、今度の法律改正によってこれを補完していただくということをお願いいたしたいと思っておるわけであります。
  87. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、今度の法の改正によりまして、定期航路、さらに不定期航路についても勧告がなされる、こういうことに了解してよろしいですね。
  88. 若狭得治

    若狭政府委員 定期航路の秩序の安定をはかるために、不定期航路の経営者に対して勧告をするわけでありまして、不定期航路というものと定期航路というものと全然関係なしに経営しておるものまでこれを適用することは考えておりません。定期航路の経営の安定ということのために不定期航路との競合について大臣が勧告するという考え方であります。
  89. 内海清

    内海(清)委員 いま一つ、貨物運送の過当競争の防止、こういうものについてはこの大臣の勧告権というものは及びませんか。
  90. 若狭得治

    若狭政府委員 具体的には、たとえば集貨競争なりあるいは運賃のダンピングというような問題について大臣の勧告を出したらどうかという御質問ではないかと存じますけれども、先ほども申しましたように、現在の主要な海運業者には海運業再建特備法あるいは造船利子補給法等によりまして、その勧告制度というものがあるわけでございます。したがいまして、それによって措置することによって大部分の問題は解決するということを考えておるわけでございまして、今度海上運送法によって特別にこういう勧告権を挿入いたしましたのは、海運業者でない事業者であって、定期航路と競合関係にある不定期航路の経営をやっておるというものがございますので、それを抑制する必要を感じたからでございます。一般的には過当競争等の問題につきましては、海運業再建整備法あるいは造船利子補給法によって処理してまいりたいと考えております。
  91. 内海清

    内海(清)委員 これで終わりますが、先般非常に論議されました旅客フェリーと貨物フェリーの問題、ことに人員の問題、これが十三名以上、十三名以下ということで、非常に論議があったのであります。これは実際問題として、今度の法改正で一番ポイントになるのはここだと思うのです。このことは、これからこの法が施行されれば実際問題として出てくるわけだけれども、現実にはなかなかここにきめられたようないわゆる旅客フェリーと貨物フェリーというもののはっきりした規制はむずかしい、これは現実の問題で、これはひとえに小さい瀬戸でありますけれども、二十回も二十何回も往復しておるというようなところで、一々それができるものではなかなかないと思うのであります。この点が今後法の運用にあたって一番問題であるし、同町にこの点は実際に合った法の改正をすべきであり、そのことがもちろん内航の貨物あるいは旅客にいろいろ問題を起こすことは当然であるけれども、実情に合わない規定をつくることこそが一そう問題を複雑にすると私は思うのであります。しかし、これはいまさら言ってもなかなか時間的に間に合わないものでございますが、この点は早急に検討されたい。この問いろいろ論議されたから私は申しませんけれども、実情を十分調査の上、できるだけ早い機会に改正されることが必要であろう、このことをひとつ強く要望して、質問を終わります。
  92. 長谷川峻

    長谷川委員長 他に質疑はございませんか。−他に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  93. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  94. 長谷川峻

    長谷川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 長谷川峻

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  96. 長谷川峻

    長谷川委員長 松浦運輸大臣より発言を求められております。
  97. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 長時間にわたりまして慎重御審議、御決定いただきましたことをありがたくお礼を申し上げます。  なお、御質疑中に、いろいろわが国海運に対する示唆に富んだ御発言がありましたが、これに対しましては、十分に皆さんの御意思を体しまして、万全を期したいと思います。
  98. 長谷川峻

    長谷川委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十一分散会