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1965-04-27 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 大西 正男君 理事 進藤 一馬君    理事 關谷 勝利君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       浦野 幸男君    小渕 恵三君       川野 芳滿君    佐々木義武君       塚原 俊郎君    田澤 吉郎君       西村 英一君    増田甲子七君       山村新治郎君    小川 三男君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君       竹谷源太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 松浦周太郎君         国 務 大 臣 小泉 純也君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第四部長)  田中 康民君         運輸政務次官  大久保武雄君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         運輸事務官         (航空局監理部         総務課長)   紅村  武君         運 輸 技 官         (航空局技術部         官制課長)   泉  靖二君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 四月二十三日  港則法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇八号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  港則法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇八号)(参議院送付)  新東京国際空港公団法案内閣提出第一〇三  号)     ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  港則法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由の説明を聴取することといたします。大久保政務次官。     —————————————
  3. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま議題となりました港則法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  近時、経済発展に伴う港湾取り扱い貨物量の増大、大型船新型船出現等により港を利用する船舶質量ともに大きく変動し、港内における船舶交通は著しくふくそうの度を加えております。一方、政府といたしましても、このような事態に対処するため、港湾整備の促進に鋭意をつとめておりますことは御承知のとおりであります。このため、主要港湾はもちんのこと、地方港湾におきましても、その事情は大きく変化してまいっているのであります。  ひるがえって、港内における船舶交通の安全を確保し、港湾の機能を十分に発揮させるためには、港内における船舶交通規制を変動する港湾事情に応じて遅滞なく実施していかなければならないことは申すまでもありません。  現行法のたてまえでは、港の区域及び特定港は、法律によって直接定めることになっておりますが、最近の港湾事情の実態にかんがみますと、前述のようにその著しい変化に対応して港の区域を定めあるいは特定港を指定して、臨機に、必要な交通規制を加えるためには、これらを政令で定めることといたす必要があるのであります。なお、これに伴いまして、港則法を適用する区域を定めております港域法を廃止いたしますとともに、従来同法の規定によっております港湾運送事業法港湾法関税法等における港の区域につきましても、本改正により港則法に基づく政令で定めることとなる港の区域によらしめることによって関係法律における港の区域統一を維持することといたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、新東京国際空港公団法案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。竹谷源太郎君。
  6. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今度の国会新東京国際空港公団法というものが提案されてまいりました。しかし、この公団というものは、従来法律として成立しているものが十ほどございます。日本鉄道建設公団特定船舶整備公団日本道路公団日本住宅公団、このようなものが十ほどありますが、これらの法律ではすべて公団役職員となることについて、国会議員地方議会議員兼職が禁止されておる。また政党員も排除されておる。こういうふうに、これらの公団法には一貫してそういう規定があるのでありまするが、今国会に提出された新東京国際空港公団法においては、国会議員地方議会議員公団兼職は差しつかえない、また政党員欠格にはならない、こういう規定になっておるのであります。これは従来の方針と変わったのはどういうわけであるか、その理由をまずお尋ねしたいと思います。
  7. 田中康民

    田中(康)政府委員 この点は、今度の国会から法制局と申しますか、内閣方針として変えた点でございますので、私のほうから御答弁申し上げます。  ただいま先生が御指摘のように、公団と称せられる特殊法人は今日十個ございますが、十個とも国会議員及び地方議会議員につきまして兼職禁止規定しております。この公団を含めまして、今日特殊法人、国が特別の目的をもちまして設立いたします特殊法人は約言法人ございますが、この特殊法人規定は、一見きわめて統一があるようにそれぞれ規定されておるようでございます。が、その中身に入りますと、実はいろいろの点で不統一が非常に目立っておるわけでございます。そのために昨年から法制局におきましては、この不統一をある程度排除してもっと統一できるものは統一しようじゃないかということで鋭意検討いたしてきたわけでございます。その検討した結果、結論を得ましたものにつきましては、法律を従来と変えていこうということでやってきたわけでございますが、その一つがいま御指摘になりました役員欠格条項規定でございます。  役員欠格条項規定は、いま仰せられましたように、公団につきましては、国会議員及び地方議会議員はすべて欠格となっておりまするけれども、特殊法人すべてにつきましてはこれが区々にわたっておりまして、あるものとないものと実はあったわけでございます。そこで統一できるものであるならば統一したほうがいいじゃないかということで検討いたしたわけでございますが、われわれといたしましては、これを今後欠格としないということで、こういうことにいたしたわけでございます。  その理由といたしましては、国会議員あるいは地方議会議員は、特に法律をもちまして本来的にそれを排除して役員としないというふうなものではなくて、むしろそういうことが適当でないならば任命権者なりが任命をする場合に、実際問題としてそういう任命を避けたらいいではないかというようなことを私たち考えまして、本来的に法律をもって欠格とするというような性質ではございませんものですから、一応今後は国会議員及び地方議会議員欠格条項からはずす、こういうことにいたしたわけでございます。  なお、この点につきまして国会法の三十九条というのがございます。国会法三十九条におきましては、国会議員政府職員とそれから公共企業体役員及び職員との兼職を禁止しているわけでございます。この趣旨も、公共企業体職員までは国会議員兼職を禁止するという趣旨だとわれわれ推測いたしまして、それ以外の公団以下の特殊法人につきましては、そこまでの兼職法律でもって初めから禁止するというまでの必要性はないではないか、こういうように国会法三十九条との関連を考えまして、いまみたいの措置を講じたわけでございます。
  8. 竹谷源太郎

    竹谷委員 いま答弁の中に出た国会法第三十九条におきましては、国の各種の公務員の兼職はもちろんのこと、公共企業体役員もしくは職員と兼ねることができないと、こうある。そうしますと、公共企業体以外は全部こういう兼職禁止規定を今後は削除する、こういう方針政府はきめた、こういう趣旨の御答弁ですか。
  9. 田中康民

    田中(康)政府委員 先生のおっしゃいますように、国会法三十九条に公共企業体役員及び職員までが欠格として禁止されておりますので、政府といたしましては、今後は公団以下の特殊法人につきましては、いま先生おっしゃいましたように、欠格とはしないというふうに考えておるわけでございます。
  10. 竹谷源太郎

    竹谷委員 しからば、この国会法第三十九条の公共企業体は何をさすのか。
  11. 田中康民

    田中(康)政府委員 この公共企業体は現在ございます三公社——日本電信電話公社日本国有鉄道及び日本専売公社三つをさすものと考えております。
  12. 竹谷源太郎

    竹谷委員 いま指摘された三つ公共企業体、これは公共企業体に間違いありませんが、国会法三十九条にいわれる公共企業体とはいまの三つだけじゃないのじゃないかと私は考える。いまの三つ公共企業体等労働関係法規定された公共企業体にすぎない、公共企業体というものはこの三つの、労働関係法規定された以外の公共企業体概念に該当するものは、やはり国会法第三十九条の適用を受けるものと考えるのですが、政府は、公共企業体等労働関係法三つだけで、その他には公共企業体はない、こういう前提に立っておるのかどうか。
  13. 田中康民

    田中(康)政府委員 国会法三十九条におきます公共企業体観念は、全く形式的に申しますならば、ただいま私が申しましたように、三公社だけである、かように考えておりまするが、ただその三十九条の趣旨をもっとそんたくして、それに近いような公共的な特殊法人についてもある程度考えるべきであるという御議論は確かにあろうかと思いますけれども、しかし明文上三十九条の規定解釈いたしますとするならば、公共企業体は三公社だけというふうに解釈できるものと考えます。
  14. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それでは公共企業体という意味は一体どういうことなんですか。公共企業体というのは、いわゆる法律その他ではっきり公共企業体と書いたものだけではなくて、この国会法第三十九条の趣旨公共企業を行なう団体をいうのであって、そのように狭く解釈することは国会法三十九条の誤った解釈ではないかと私は思うのです。これはもっと本質を書いたものである。単にことばだけではなくて、公共企業体というものの本質を三十九条には規定してある。そのゆえにただし書きでもって、法律で差しつかえないものを特にこれを規定しているという意味は、このただし書きは要らないはずだ、ただし書きのあるゆえんのものは、公共企業体等労働関係法規定した三つ公共企業体だけではない、その前提に立って初めてただし書きが必要になってくる、そのような狭い解釈は間違いじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  15. 田中康民

    田中(康)政府委員 この国会法三十九条のただし書きは、「行政各部における各種委員、顧問、参与その他これらに準ずる職」ということを申しておりまして、公共企業体に関する職務につきましては、実はこのただし書きでは規定しておらないわけでございますが、ただし書きからすぐにさかのぼって本文の公共企業体はもっと広いというふうには、これは文理解釈としておしかりを受けるかもしれませんけれども、文理上はそこまで読むのは非常に無理ではないかというふうに実は考えるわけでございます。
  16. 竹谷源太郎

    竹谷委員 公共企業体というのは一体どういうものなんですか、三十九条の公共企業体という概念は……。
  17. 田中康民

    田中(康)政府委員 公共企業体と申しまするのは、それぞれ公共目的に基づきまして設立するものを、非常に広く申しますれば、そういうものまで指称することはあるいは可能かと思いまするけれども、今日公共企業体法律で指称いたしまする場合には、すでに公共企業体という観念が、昭和二十何年でございますか、いわゆる公労法ができましてから確立いたしておりまするので、確立しておりまする観念から考えますると、先生のおっしゃいまするようなものまで、しかも明文公共企業体とありまするものを、そのように広く解することは非常に無理があるのではないかというふうに考えるのでございます。
  18. 竹谷源太郎

    竹谷委員 いままであります公団の中でも、たとえば日本道路公団とか、水資源開発公団とか、こういう種類のものは重要なる国家公共的な事業団ですね。道路は建設省の所管で、国家事業としてこれを新設し、管理し、運営をする、あるいは水資源などはなおさら非常に重要な国家的な公共的な開発の仕事をやる。こういうものが公共企業体パブリックコーポレーションでないということになると、これは国家が当然行なうべきものを、特殊の理由で、あるいは財政上独立採算制の必要その他から、またその仕事を能率的に、そうして独立性を持たせて運営さすためにつくった国家事業なんです。こういうものが国家公共的な事業でない、企業でないということになるとおかしな話なので、この点は私は三十九条の解釈は、そのように狭く解釈せらるべきものではないと思うのだが、これは議論になりまするからあとにいたします。  しからば、今度の国会新東京国際空港公団それから公審防止事業団農地管理事業団、八郎潟新農村建設事業団小規模企業共済事業団オリンピック記念青少年総合センターそれから先般当委員会を通りました日本自動車ターミナル株式会社、これは会社ではあるけれども、非常に公共的なものであるが、このような七つ公共的な事業を行なう事業団公団のようなものをつくる法律案が提案されており、小規模企業共済事業団法案はきょうにも商工委員会を通って本会議にかけられ、賛成多数で成立するということになっておる。ところがこの七つ公共的な事業団体のうち、小規模企業共済事業団オリンピック記念青少年総合センター、この二つは相変わらず従来の公団法と同じように国会議員兼職禁止政党員就任禁止規定しており、他の五つ、すなわち新東京国際空港公団を含めて兼職は差しつかえないことになっておるが、これは一体どういう区別があるのですか。今国会政府がたくさんの法案を出し、同じ佐藤内閣ならば、その内閣を通じて意思統一されてなければならぬから、会期が違っても同じ意思でいかなければならぬと思います。少なくとも国会は一会期意思があるものとするならば、この七つの同じ性質法律案公団をつくるのに、五つは従来と違って兼職禁止を解除して、二つだけは従来のとおり兼職を禁止する。これは首尾一貫をしない。精神分裂症だ。これは一事再議の原則にも反する。きょう小規模企業共済事業団法案が本会議を通れば、衆議院としてはこうしたものには兼職禁止をやるという方針でこの法案を可決する。新東京国際空港公団はこれは差しつかえない。一体オリンピックだの小規模企業だのよりも新東京国際空港公団国家的でないのか、これは私立会社にやらしてもいいかどうか。これは公共性においては非常に重大なものだと思うんです。こうなってきまして、われわれ国会において、政府提案の同様な問題を別々に決定をしなければならぬということになると、これはどうも、きょう小規模企業共済事業団法案を可決すれば、新東京国際空港公団兼職禁止をしないと賛成ができない、こういうことになるのでございますが、いかがでございますか。
  19. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいま御指摘のように、本国会政府から提出いたしました法案のうちで、オリンピック関係団体法案小規模企業共済法案、この二つに基づきまして設立されまする法人に関する役員につきましては、国会議員その他が兼職禁止ということで出しておりまして、それ以外の別の四つ事業団等法律につきましては兼職禁止になっておらないという、確かにちぐはぐがございます。この点につきましては、今国会のまん中におきまして実はそういうような措置をとることの決定がございましたので、それ以前の二つと、それ以後の四つにつきまして実は変わったことに相なってしまいました。ただ私たちといたしましては、これらの法律案及びすでに昨年以前の国会におきまして成立いたしました各種公団等特殊法人につきましても、今後その改正法案等が出されます場合には、いま言ったように兼職禁止に関するものは新しい措置統一することを考えておりますので、先ほど御指摘の今国会提出二つ法律に基づきます事業団等につきましても、この次にあらためて改正機会にその改正をしてもらうという立場をとっておるわけでございます。  なお、一事再議ということを先生がおっしゃいましたが、実はこの点につきましては、この前の国会におきまして鉄道建設公団法が通過いたしましたそのあとに、同国会における新しい事業団等法律が通過いたしましたが、その場合に、鉄道建設公団につきましては監事に関する規定を実は入れておらなかったのを改めて、その次に出しました事業団法からは監事が直接に主務大臣等に意見を提出することができるという規定を入れまして、二つが全然別個の形で通過したという例がございますので、一事再議ということは、そういうような例もございますので、まあこの場合不適当ではないのではないか、かように考えておるわけでございます。
  20. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それじゃ国務大臣あるいは国務大臣代理にお伺いしたいんだが、これは政府が、いま法制局答弁によれば、国会法第三十九条の公共企業体は三公社だけだ、それ以外は、国会議員地方議員公団その他公共的な国家的な団体役職員たることは差しつかえない、こういう方針をきめたと、こう言うのでありますから、政府はその方針に従うならば、新東京国際空港公団法案修正いたしまして、第十三条で兼職禁止を解いたと同じように、小規模企業共済法案及びオリンピック記念青少年総合センター法案修正して、あらためて出すか、あるいは今国会においてはすでに従来の兼職禁止方向でいったとするならば、新東京国際空港公団法案修正して兼職禁止規定を置いて出すか、これはどっちか統一した方針をとらなければ私はいかぬと思う。同じ国会に同じ趣旨のことで別々の議決を求めるというのは、これは間違っていると思うのだが、いかがでございますか。
  21. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど法制局からお答えを申し上げましたように、今国会の半ばにおきまして、さような方針をきめましたような次第でございますので、国会に提案いたしております法律案が二、三になっておりますことは、まことに残念でございますが、今後におきましては法制局答弁どおり一定方針をもって進むということに相なっておりますので、この点御了承を願いたいと考えておる次第でございます。
  22. 竹谷源太郎

    竹谷委員 しからば、きょう小規模共済事業団法案は通るのですよ。そして国会意思兼職を禁止するんだという方向議決がきょう行なわれるのです。そうなることが必至なんだ。そうならば新東京国際空港公団法案をわれわれ衆議院としては修正をして、兼職禁止規定を置くようにしなければならないことになりますよ。これは方針がきまったならばそのきまった方針に基づく法案を全部出せばいいじゃないですか。途中だからほったらかしていいということはない。もし政府がそういう怠慢ならば、われわれ衆議院においてどちらかに方針をきめて、そしてこれらの七つ法案に対する態度を一貫させなければならぬ。政府は自分からの方針の変わったことを国会に押しつけて、国会にめちゃめちゃな議事をやらせるような措置をつくるのはけしからぬと思う。これはどう措置しますか。
  23. 田中康民

    田中(康)政府委員 先ほど政務次官が御答弁をいたしましたが、私たちといたしましては、すべて性質が同じようなものにつきましては同じような法律規定を置くべきであるということにつきましては、お説のとおりだと思っております。しかしながら、すべてそういうことが可能であるかどうかはそのときの判断によって異なるものでございまして、前のことを申して恐縮でございますけれども、この前の四十六国会におきまして鉄道建設公団法が御審議になられましたときに、鉄道建設公団法におきましては監事権限を強化します規定を実は欠いておりましたわけでございますが、その点につきましてはそのままおとがめもなく通過をいたしました。そのあと出しました事業団法につきましては、同じ国会でございますけれども、監事権限をそれぞれ強化する規定を入れまして、これまた審議の上通過させていただいておる。こういう状況でございますので、これは御判断の問題でございますけれども、われわれとしては前例のあることであり、この際この二つが違っておるということのみをもちまして——これはあまり理由にもならないことかもしれませんけれども、このまま御審議をいただきたい、かように考えるわけでございます。
  24. 竹谷源太郎

    竹谷委員 事務官答弁は、それでもうたくさんです。それで政府方針を聞きたいのでありますが、国会の途中において兼職禁止はやらない、こういう方針になったとすれば、そういう方針で全部法案を整備して国会に提案すべきである。任きわまるといわなければならぬ。そこで政府としてどういう措置をとるか、これをひとつお答え、願いたい。国会にその責任をおっかぶせるようなことをしないので、政府提案法律案でございますから、あやまちがわかったならばそれを是正するにやぶさかでないように、前国会においてそのような前例があったというようなことは意味をなさない。悪い前例はやめればいい。政府の一貫した方針でもって国会に臨むという責任ある態度をとってもらいたい。非常に無責任といかなければならぬ。国会にその責任をなすりつけて、国会に適当にやってくださいというようなことは無責任きわまる。方針がきまったとすれば、そのきまった新しい方針に基づいて、法案も全部撤回するなり、あるいは新たに修正した案を出すなり、そういう方針をきめてもらいたい。これを閣議にはかって、早急にこれら各種七つ法案に対する態度決定せられるように政府に要望します。いかがですか。
  25. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、今回の国会に御提案申し上げております法律案が二、三になっておりますことは、まことに遺憾でございますけれども、すみやかなる機会におきまして、またこれらの法律案修正するような時期におきましては、先ほど来法制局から御答弁申し上げておりますように、今後一定方針に合わせる、かような修正をいたしたいと存じておりますので、今回の場合におきましては、御提案申し上げております法律案によって御審議を賜わりますようにお願い申し上げます。
  26. 竹谷源太郎

    竹谷委員 いま何べんも言うとおり、小規模企業共済事業団法案が、きょう衆議院を通るんですよ。そうすると、その方針でいくと、これも兼職禁止規定国会修正をしなければならぬと思う。そうでなければ、国会分裂症状的な法案議決をしいるというような結果になる。この点は、当委員会としても、十分政府与党の諸君も考えてもらわなければならぬ。はっきり分裂症状方針が全然違ったものを同一国会会期において議決しろなんというわけにはいかない。われわれ議員を、衆議院を非常にばかにする。これはぜひひとつ考慮を願いたい。早急に決定した方針に基づいてこの法案修正するなり、撤回するなり、そういう措置をとってもらいたい。小泉さんどうです。国務大臣として……。
  27. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、今後は、一定方針をきめておりますので、すみやかなる機会あるごとに決定いたされております方針に従って前法を修正していくかような考え方でございますので、御了承賜わりますようお願い申し上げます。
  28. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうすると、あくまで国会に対して間違った決定を、ばらばらの精神分裂症状的な意思決定をさせようというんですか。はっきりわかっていることは改めたらいいじゃないですか。
  29. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますとおり、今後におきましてはあらゆる法律案を、定まりました一定方針に従いまして措置いたし、改正機会におきましては、すみやかに統一の機を持っていく、かような考え方でございますので、どうか御了承を賜わりますようお願い申し上げます。
  30. 竹谷源太郎

    竹谷委員 兼職禁止は、こういう規定は置かないという方針決定しておるならば、小規模企業共済事業団オリンピック記念青少年総合センター、この二法案は、これはすぐ撤回して修正したらどうですか。これは当然とるべき措置だと思う。二つなんだ。あと五つ兼職差しつかえなし、こういうことで出ている。その規定に反する法案が出ておる。これは撤回したらどうか。政府責任ある答弁を求めたい。
  31. 大久保武雄

    大久保政府委員 所管外の問題でもございまするが、御提案申し上げております次第でございまするから、国会の御審議によってすみやかに御可決をいただきますよう切望いたしておるような次第でございます。
  32. 長谷川峻

    長谷川委員長 私から発言しますが、田中第四部長、この委員会での竹谷委員の発言というものは非常に重要だと思いますから、法制局法律の調査をし、立法をする一番大事なところですから、この発言を重要参考発言として、将来の法律をつくる場合によく御勘考願いたいと思います。  竹谷さん、ひとつ次の質問を願います。
  33. 竹谷源太郎

    竹谷委員 言うことはいま十分言っちまいましたから、どうか政府の中で検討して、改めることは改める方針を至急立ててもらいたい。  そこで、この国会議員並びに地方議員兼職は差しつかえない、それから政党員公団役職員になっても差しつかえない、こういう二つの問題を含んでおりますが、これは、いままでは私は法律論を述べたのでありますが、政治的に見まして、国会議員及び地方議会議員が、その所属の国家もしくは地方団体の下にある公共企業体公団公共的ないろいろな団体役職員になれば、一体結果はどうなるか。一官庁の局長や課長や事務官、あるいは公団の監理官というような一公務員による自由な監督を受けて、きりきり舞いさせられるような、そういうようなものに国会議員がなるということは、三権分立の精神にも反するということで、国会議員については公務員の兼職が禁止されているわけだ。それ以下の役人の監督指導を受けなければならぬ。それは職務が違うといえば違いますが、同じ国会議員たるものが、そういう団体で公務員の監督指導下にあるというようなことになると、これは三権分立の憲法の精神に全く反する結果になる。この点については理論上も非常におかしいし、それからいろいろな弊害が起こってくる。政務官の猟官運動に失敗した者に、おまえは公団の総裁にしてやろう、副総裁にしてやろう、年俸何十万円やろう、二、三年つとめれば何千万円の退職金をやろうというようなことになったら、これはますます弊害がはなはだしくなる。また、政党員につきましては、公認漏れになった者や落選した者みな公団公社にほうり込む、そうして多額の報酬をやる、そして養老院をつくってやる、こういう非常な弊害がこれは起こってくる。そういう事実上の非常な弊害を抜きにしましても、理論的に言っても、一公務員によって、国会議員地方議員という、国民あるいは地方団体の住民の代表者が監督指導を受けるようなことがあっては、立法府の権威というものは失墜する以外の何ものでもない。非常にこれは重大な問題ですよ。理論上から言っても、また実質的な問題から言っても、これについては政府はどう考えているか。公共企業体、それも三公社だけなんだ、それ以外の公共的な国家的な事業を行なうところの各種公社公団には兼職差しつかえないということになりましたならば、これは立法府と行政府の区別なんて必要なくなってしまう。三権分立の日本国憲法の精神というものは全く踏みにじられてしまう。これは非常に大事な問題だ。この点については、法制局並びに政府はどう考えているのか。政府与党の議員のために、あるいは政党員のためにこういうポストを設けるとするならば、これは非常な大問題だ。それによって憲法の精神はじゅうりんせられる結果になる。これに対する政府並びに法制局の理論的な方面からの判断はどうですか。
  34. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいま仰せられましたように、実際問題としまして役員国会議員の方々がなられるということは確かにいろいろな問題がございまして、不適当であることは、これは先生が仰せられるとおりでございます。そこで、われわれといたしましては、法律上本来的に兼職をするということができないというような、そういう全くの欠格にするというようなことをいたしますることも一つの方法とは考えまするけれども、しかし、あそこに書いてありまするように、国会議員政府職員あるいは請負者というように並べて書くこと自体たいへんおかしいので、形式的に申しますならばおかしいというようなこともございますし、本来的に国会議員兼職にするということよりは、任命権者が、ただいま竹谷先生が仰せられますような理由がございますから、その任命をしないというようなことで済ましていったほうがよりいいのではないかというように考えたわけであります。
  35. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま法制局からお答え申し上げましたとおりでございまして、国会議員が本来不適格であるというふうに法律に書きますことはいかがなものであろうか、かような観点から発足いたしておりますが、私どもといたしまして御審議をいただいておりまする新東京国際空港公団にさような措置をする具体的な考え方はございません。
  36. 竹谷源太郎

    竹谷委員 法制局答弁は、政府答弁を代弁したもので、法制局らしい答弁が一つもなかった。国会法第三十九条に対するいろいろな学説や何かありますが、おもなる学説がその兼職禁止理由として述べられているところは、国会議員をしてその職務に専念せしめるためだ。国会議員の上に公団なんぞはやりません、これはそのとおり。もう一つは、一番大事なことは、立法府の行政府からの独立を保持する、これは一体どうなる。三権分立の精神から言いまして、立法府というものを行政府から独立をさせて、そして厳然たる態度政府を監視し、そして重要な国家意思決定をする立場にある者が、国家公務員の下であごで使われるような公団の総裁や理事になって、その言うなりにならなければならぬ。ならなければ首になる。そんなことで一体立法府の権威なり、また行政府に対する独立を保持されるかどうか。そういう理論上の重大問題がある。それを法制局はどう考えるのですか。
  37. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいま仰せられました実際上の影響は確かにそのとおりかと心得ます。ただ国会法三十九条は、私どもが考えまするのは、いま先生がおっしゃいましたのとは逆に、政府職員とそれから公共企業体というように特に列記したものだけについては、やはり三権分立の精神がまともにかぶるから、そういうものについて兼職してはいけないというふうに実はわれわれ考えたわけでございます。そこでそれよりももう少し国から離れると申しますが、公共性が薄いようなものにつきましては、これをどうするのかということは、あの国会法趣旨から申しましても、国会法はただ公共企業体職員までを規定しておりますので、それ以外は一応法律問題として兼職禁止までする必要はないのではないか、実はこういうように考えたわけでございます。
  38. 竹谷源太郎

    竹谷委員 その国会法第三十九条の法制局解釈が間違っている。ここに言う公共企業体というのは、三公社だけを言うのじゃないのです。国家的な業務を執行する公の団体をさすのですよ。それを三公社五現業の三公社だけだ、公共企業体労働関係法規定する三公社だけなんだという考えは間違っている。その最初にあなたが述べた三十九条の解釈を改めますか。公共企業体とは三公社だけではない、そういうふうに私の説に同意しますかどうか。
  39. 田中康民

    田中(康)政府委員 これは議論になるのでございますけれども、今日公共企業体という観念先生がおっしゃいまするように広げることは、少なくともこの三十九条の明文に関しまする限りは非常に無理があるのではないかというふうにやはり考えております。
  40. 竹谷源太郎

    竹谷委員 文理解釈公共企業体とのみ解釈することに非常に無理がある。だれが考えたって、三公社だけだと考えません、この条文を読んでです。それは牽強付会の説といわなければならぬ。そうしたところに間違いを起こした原因がある。ともあれ、この問題は非常に重要でございまして、ここに国務大臣も一人おられるし、これはぜひ政府において御勘考願いたい。政府の新しくとった兼職差しつかえないという方針は、再検討を要する非常な大問題でございますので、十分に御検討を願いたい、こう思うのでございます。時間の関係で、後日にまたこの問題を譲りまして、他のこの法案の実体に関する御質問をいたしたいと思います。  次は、この法律はいつからほんとうに施行になるのかわからぬ、こういう規定でございます。いつから施行するかということは全く政府の恣意にかかっている。こういう無責任な白紙委任状的な法案国会としては通すわけにはいかぬと思う。これについて運輸省はどう考えます。
  41. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいま御質問の施行期日の問題でございますが、この附則第一条にございますように、「第二条の規定は公布の日から、その他の規定は同条の政令の公布の日後において」云々と規定してございまして、この法律が公布になりますと、第二条の規定、すなわち政令でもって場所を決定するという点につきまして、この法律は動き出すわけでございまして、この場所がきまりますと、その政令の出ました後において、各条につきまして「政令で定める日から施行する。」ということになっております。したがって、まず場所の決定ということが行なわれ、そしてその場所の決定に伴いましてこの法律が動き出す、具体的に申しますと、公団の設立準備が開始される、こういうことになっております。
  42. 竹谷源太郎

    竹谷委員 全く無期限の停止条件につきの法律なのです。とんでもない法律なのです。このままではとうていこれは認容できないものでございまして、まあ施行期日が条件にかかっている法律は多々あります。しかしそれは確定された条件もしくは何カ月以内というように、期限もしくは必ず起こるはっきりした確定的な期限を条件とするものであって、こうした政府が場所を決定するということがおくれればいつになるかわからぬ、十年先か二十年先かわからぬというような法律は、通す必要のないものである。この点はわれわれも十分考えなければならぬと思います。次に、第九条に総裁一人、副総裁一人、理事六人、こういうふうに相変らずえらい人たちがたくさんごろごろいて、これは何をするのかとこう思うのです。こういう公団公共企業体などというものは、二、三人おれば、ごく少数の人に全責任を負わせて、身命を賭してやらせる、でなければ効果があがらぬ、責任が分散して、だれが負うのかわからぬ、そしてろくな仕事をやらないというのが、いままでの公社公団、特殊会社の通弊であります。これは総裁もしくは理事長一人、そして理事二人の三人ぐらいでやればいい。ことに、この新東京国際空港公団は、空港をつくり、維持管理するという特定——事業量は多いかもしれませんが、ごく狭い範囲の仕事であるので、なおさら少ない人で責任をもってやらせるほうが実効が上がる。だから役員は、監事は別といたしまして、三人ぐらいにする、そういうふうにしたほうがいいと考えますが、これは運輸政務次官、どう思い面すか。
  43. 大久保武雄

    大久保政府委員 私も、本来竹谷委員の御説のように、できるだけ簡素にいたしますことがよろしいと存じますが、この公団に関しましてはいろいろ重要な航空の安全輸送に関する措置並びにこれが建築、土木、用地の取得、経理というようなものがございますので、これをまた非常に簡素にいたしますとその間支障も起こるおそれがございますので、総務、経理、計画、用地、土木建築、その他と、こういったようなことに分担をきめまして、措置いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  44. 竹谷源太郎

    竹谷委員 これはそういうふうに分けるのならば、全体を総裁する事務的な社会的な政治的な手腕を持った総裁と、いわゆる飛行機関係と建設関係、この三つが一番いいじゃないですか。そんなにたくさんありて、事務分担をして、意見が分かれて統一のない、また責任のがれのような、六人も七人もの人たちがおってごしゃごしゃやってはかえって能率が下がる、三人くらいに整理する考えはありませんか、三人くらいでいいという考えはありませんか、賛成だと思うのですが。
  45. 大久保武雄

    大久保政府委員 優秀なる総裁、副総裁が任命されるはずでございますので、その総裁のもと一糸乱れず、六人一丸となって業務の運営をいたしてまいるつもりでございます。
  46. 竹谷源太郎

    竹谷委員 政府は今後こういうものをたくさんつくると思うのです。つくることにわれわれは反対はしますが、つくる場合にも、こうした簡素でしかも能率の高い、六人の月給を出すより月給を倍にして三人にしたらどうですか。一そうりっぱな人が集められる。政府は、公団などには来手がおらぬということをいっているが、それならば三十万円ずつ六人に出すよりも、六十万円ずつ三人に出したらどうですか。これはぜひそういうふうに考えてもらわなければならぬと思います。  それから附則の第三条で「設立委員」というようなものを任命することになっているんだが、これは学識経験者とか何とかいろいろいるだろうが、もっと具体的に、どういう人を設立委員に何名くらい任命するつもりか。
  47. 大久保武雄

    大久保政府委員 設立委員の選任は、本格的な公団設立準備の段階になりましてから行なわれるわけでございますが、既存の公団の先例等も参考といたしますれば、関係行政機関の事務次官、金融界の代表などおおむね十名程度をもって構成することになろうかと考えております。
  48. 竹谷源太郎

    竹谷委員 もっと突っ込んで聞きたいけれども、これはその程度にいたしまして、先般参考人の意見等を聞きました点を総合しますと、大体この空港を建設するために二千億もしくはそれ以上かかる。またそれに付帯する道路は一千億前後かかろう。三千億くらいの資金がどうしても必要ではないかと思う。一体この資金計画はどうなっておるのか、大蔵省から答弁を願いたい。
  49. 長岡実

    ○長岡説明員 新東京国際空港の建設に、公団を設立いたしまして公団でこの事業を実施するということに方針をきめましたのは、先生指摘のように、相当短期間に巨額の資金を要するというような点から財源調達面等に弾力性を持たせる必要がある。また施設ができたあかつきには、その施設の管理によって相当の収入も上げ得る、このような点を総合的に勘案いたしまして、公団事業として実施することが適当であろうという判断政府としていたしたわけでございます。  そこで、それではその巨額な資金をどういうふうに手当てするつもりかという御質問と存じますが、実のところまだ私どもも、位置がどこにあって、どの程度の規模にするか、これによって事業費は幾らになるかというようなことについて具体的な結論を得ておりません。その結論を得たあかつきには、大体五年ないし六年で完成を余儀なくされておる実情でございますので、それに間に合わせるように総合的に資金の調達を考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  50. 竹谷源太郎

    竹谷委員 資金計画もまだできていないようだが、この資金はほとんど政府、国民の税金でまかなうことになろうと思うのだが、そうであるかどうか、他の方法によるかどうか、かりによそから借りても政府あと全部しりぬぐいをしなければならない非常に大きな国家事業公共的な事業だと思いますが、この点どうですか。
  51. 長岡実

    ○長岡説明員 政府の出資と資金運用部等の借り入れ金によってまかなわれることになろうと存じます。ただその割合等については、目下検討中でございます。
  52. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それから一体収支はどうなるのですか。いま東京国際空港と大阪国際空港、この収支に関する調書を見ますと、東京のほうは一年に三億六千八百万くらい黒字になっております。大阪のほうは四千五百万の赤字ということになっておるのですが、これは維持管理の費用、人件費「そういう通常の経費だけであって、金利や償却費などは全然見ておらない。そういうものを見ますと、この国際空港は三千億円もかけて一体どういうことになるか、これは将来大きな国民の負担になるだろうと思いますが、その見通しはいかがですか。
  53. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいま御指摘になりました点は、確かに償却等を見ておりません。しかし東京におきまして、御指摘のように収入が人件費、庁費、通信施設、土木、照明維持費等を補って余りがございます。大阪につきましては、償却を見ませんでも収入をもって支出をまかなうということが現在ではできない状況でございますが、これは利用回数その他の問題ということに帰するわけでございまして、このような経理でいたしますれば大阪もやがて収支がまかなう、東京はさらに収入がふえるということになるかと思います。問題は、今度の新空港は公団方式でやりますので、ただいま大蔵省のほうから御説明がございましたように、資金運用部資金等からの借り入れということ、その他の借り入れも考えざるを得ないということになりますと、この償還の問題が出てまいります。したがって、いまの東京や大阪とは別個の経理になりますが、その場合でも今後の需要の増加あるいは収入につきましても着陸料だけでなくほかの収入も見ておりますので、長期的には収入はまかなえる。そして収入が支出を越える場合には、国庫に納付するというようなことも法律にございます。長年の間にはむしろ国庫に収入が入ってくる、こういうふうに考えております。
  54. 竹谷源太郎

    竹谷委員 資金の計画あるいは収支の見通しはきわめて不確定であるのだが、鉄道建設公団や何かと同じように非常に国家的な事業であり、もし赤字が出れば国民の税金でまかなわなければならぬ、こういう非常に重要な公共的な企業でございますので、こういうものが三公社と違った全然公共的な行政とは縁の遠いものであるというようなことは、国会法第三十九条の公共企業体という解釈からいってもおかしいということを法制局は認識していただきたい。これは非常に大きな、国民の税金でまかなっていかなければならぬ大事業であるということをひとつ銘記してもらいたいと考えるのであります。  次に、空港の建設と維持管理と道路の関係はどうなるのであるか、時間を短縮するために結論を申し上げたいが、私の考えでは、空港の経営というものは道路をはずしては成り立たない。今日ことに都心から相当離れた距離に空港を必然的に建設せざるを得ないような情勢下にありましては、道路と空港とは一体でなければならない。建設するのはだれであろうとも、今後の運営上、空港と都心のターミナルまでの道路は一体として公団において運営しないとうまいこといかない。空港の位置をどこにきめるかによっても影響がありますけれども、いずれにせよ今回の新東京国際空港は都心から相当離れたところにならざるを得ない、そうだとすれば都心と空港とを結ぶところの道路というものが自然に空港の一部になる、そうすることによって空港というものがほんとうに東京の空港として生きてくるわけです。そういう意味で、道路を空港の一部として今後これを建設し、運営、管理をしていくほうが一番妥当ではないか、こう思うのでありますが、この点いかがですか。
  55. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいま仰せになりましたように、空港と道路あるいは考えようによりましては今後鉄道という問題も重要になってくると思いまして、これは一体としてやるというのも確かに一つのお考えでございますが、今度の空港だけでも相当大規模な事業でございますので、むしろ道路あるいは鉄道というものはそれぞれ専門のところがございますので、その専門の機関に道路、鉄道等につきましてはお願いいたしまして、航空局あるいは公団と一体となって全体の計画と密接な連携のもとにやっていくということのほうがむしろ私は能率的じゃないかというふうに考えております。先生のお考えも一つのお考えと思いますが、いまの考え方としましては、やはり現在のおのおのの所管に従って、相互の連絡によってやっていくということでまいりたいと考えております。
  56. 竹谷源太郎

    竹谷委員 所管は、道路は建設省、空港は運輸省ときまってはおりますけれども、これは一体となって初めてほんとうの効果と能率をあげるのであって、運輸省の立場としては人の所得を侵すようなことはいけないことはよくわかります。しかし、そういう方向で今後政府が考えていくことによって、初めて新国際空港として生きてくる、私はそう確信をいたします。そういう方向で進んでもらうことを希望いたします。  次に、空港をどこに設置するかという問題でありますが、いままで政府答弁なり参考人の陳述なりを聞いた結論は、千葉県の富里・八街地区を第一候補、第二候補に霞ケ浦、そして産業計画会議ですか、あすこでは木更津沖の埋め立て、こういうふうなことにしぼられてきているのですが、政府としては千葉県の富里が第一順位、第二順位霞ケ浦、このように考えておるのかどうか、全く白紙であるかどうか、それを承りたい。
  57. 大久保武雄

    大久保政府委員 航空審議会の御答申を尊重いたして決定いたしたいと申しますことを先般来しばしばお答え申し上げておりますので、私どもといたしましては、ただいまもその考え方をもって進んでおりますような次第でございます。
  58. 竹谷源太郎

    竹谷委員 と申しますと、航空審議会の答申の趣旨にのっとって富里地区を第一候補とする、こういう考えですか、遠回しじゃなしに具体的に答弁してください。
  59. 大久保武雄

    大久保政府委員 航空審議会の答申は富里地区を適当と認める、しかし、百里飛行場との調整が可能な場合におきましては霞ケ浦地区も適当である、かような御答申でございますから、この議を尊重いたしまして決定いたしたいと考えておるような次第でございます。
  60. 竹谷源太郎

    竹谷委員 防衛庁長官おられますか。
  61. 長谷川峻

    長谷川委員長 防衛庁長官はいま帰られました。
  62. 竹谷源太郎

    竹谷委員 百里浜の自衛隊の飛行場との調整ができれば富里よりも霞ケ浦がいいというのですか、それとも対等になるという意味ですか。
  63. 大久保武雄

    大久保政府委員 その場合におきましては、諸般の問題を検討いたしまして、将来有利な適当な方向決定いたしたいと考えておりますような次第でございます。
  64. 竹谷源太郎

    竹谷委員 運輸省の調べによると富里の場合千五百戸ぐらいの立ちのきが必要であるといっておるようでありますが、千葉県庁の調べたところでは三千八百戸もしくはそれ以上になるであろう、こういう調査が出ておるのでありまするが、これはいずれが真実であるか、また将来拡張をしなければならぬような事態が起きた場合に、富里の場合一体拡張が困難なしにできるのかどうか、それをお尋ねしたい。
  65. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいま御質問の富里村に候補地がきまった場合に、何戸が立ちのきを要するかという点で、運輸省としましてはもちろん千五百戸以内ということで申し上げておりますが、これは前にも御説明したと思いますけれども、富里村付近にしましても、どこの部分ということをまだはっきりきめておるわけでございませんが、あの辺の地形から申しまして、どの部分にきまりましても、大体人家の戸数は同じであろうということで、空中写真によりまして建物の数を調べた。これはもちろん七百万坪を前提としておりますので、第一期計画では七百万坪は必要じゃないのでございますが、いまおっしゃいましたように拡張の問題がございますので、ともかく用地としては七百万坪、この場合に建物を数えますと千五百戸程度あるということでございまして、この場合には納屋であるとかあるいはそのほかの建物というものも、空中写真では、そういうような建物としてあらわれております。したがって千五百戸以内というふうに考えております。それから千葉県のほうの御調査、これは私どもの伺っておるところでは、七百万坪以外の周辺の立ちのき戸数というものも千葉県は千葉県としてお考えからお調べになっておるというふうに伺っております。したがって、その辺に数字上の差は出てくる、かように考えております。
  66. 竹谷源太郎

    竹谷委員 運輸省は空中写真による調査にすぎない、千葉県庁は現実にあの地域を管轄する役所といたしまして、足で調査をした精密な調査であるので、われわれは千葉県庁の調査を信用せざるを得ない。しかも、立ちのきをしない地域も自然立ちのきをしなければならないような騒音や危険やいろいろな関係から何千戸、何万戸に大きな被害と犠性を与えるかわからない、こういうところを、もはや今日飛行場として選ぶべきではないと私は考える、むしろ霞ケ浦もしくは九十九里浜埋め立てをして、そうして新たに狭い国土を広げて、そこを飛行場に使うという構想をとるべきではないか。百里浜の問題は、いま防衛庁長官は帰られましたが、これはいかにも調整が可能である。米軍が使っている四つの東京都の西北にある地域の一つか二つ返してもらえばいい、これが調整困難だということはないはずだ。その点を私は防衛庁長官にお尋ねしたかったのでありますが、百里浜の問題はこれは解決できる。関東地方の防衛のためではございましょうが、これは他にも適当な地域が、新国際空港と違いまして求め得る。また、いま米軍が使っておる一カ所を返してもらってもいい、これは可能だと思う。多くの犠牲を払わせずにまた今後飛行場を拡張するのに便益な地域を選ぶべきである。  そういう意味で、私は道路と空港を一体にして東京から九十九里まで大トンネルをつくって、そこで二百キロの東海道新幹線のようなスピードアップされた交通機関を使えば、あそこは何キロありますか、かりに百キロあるとしても三十分でいける。七十キロなら二十分か二十五分でいける、こういうことになるのであるから、都心と空港をつなぐ交通機関を空港の一部として、空港までの距離がたとえ遠くても、遠くないような、スピードアップによって近いと同じような効果をあらわすような施策をもってこの新空港をつくれば、空域がもっと安全な、都心から離れた条件のよいところで、しかも幾らでも今後拡張できるような土地として、九十九里浜の海岸を埋め立ててやる、少なくとも霞ケ浦の埋め立て等をやって、これを使う。千葉県は地域も狭い県であり、ことに八街・富里地区は比較的新しく開発された、開拓者が非常に営々辛苦してやっとりっぱな農地、市街地をつくったところなんです。これを取っ払ってしまうということは、国家的に見ましても非常に惜しいところなんです。もっと大きな観点から政府としては新空港の位置を決定すべきである。私個人としては九十九里浜を埋め立ててやるべきであると思う。九十九里浜から半里か一里離れれば、あそこは三十メートルか五十メートルの台地になっておって、幾らも土がある。また海の中の土砂を使ってもよろしい。ことに私の主張するように、都心から空港まで大トンネルを掘れば、そのトンネルの土を使えばよろしいし、将来また飛行場を拡張する場合には、東京都において一日何百万トシのゴミが出てくるであろう。そういうものを持っていって埋め立てをすれば、今後の大きな埋め立てもできる。こういう大きな構想のもとに今度の計画を——どうせ金がたくさんかかるのですから、いままで国民が苦心さんたんをして開拓をした土地や市街地や家を取っ払うことなしに、住民に犠牲を払わせないで、しかも新しい国土を広げて、よりよい空港をつくる方向をこの際考えるべきではないか、こう思うのでございまして、いたずらに富里地区などにこだわらず、もっと大きな大所高所からひとつ新空港の位置を決定すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
  67. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま竹谷委員の雄渾壮大なる御構想を御開陳いただきまして、まことにありがたく拝聴いたしたような次第でございますが、九十九里浜地区は検討いたしたのでございますけれども、ここはかなり海が深い、また陸地にかかりました場合におきましては、人家がかなり稠密である、また東京からの距離は、富里、霞ケ浦に比較いたしまして遠距離である、かような点からなかなか候補地として取り上げることにまた踏み切るまでに至っていないわけでございます。霞ケ浦地区に関する御構想につきましては、有力なる御意見としまして、私どももつつしんで拝聴いたしまして、今後の参考にいたしたいと存ずる次第でございます。
  68. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に、ついででありますから、ちょっとお伺いしておきたいのだが、日ソ航空協定はその後どんな運びになっておるか、簡単に答弁していただきたい。去年の秋、長谷川委員長などが同行してシベリア経由でモスクワを訪問しようということがあったが、そうすると九時間で行ける。われわれカラチを通っていったところが、実は飛行時間が十六時間、倍もかかった。聞くところによると、ハバロフスクーモスクワ間をソ連の飛行士を雇ってくれればよろしいとかいうところまで進んでいる、こういうのですが、いままでの交渉の過程はどうなっておるか、ちょっと伺っておきたい。
  69. 大久保武雄

    大久保政府委員 御承知のように、国際航空の交渉はレシプロカルの原則がございますので、私どもといたしましては、あくまで相互主義の原則に立ちまして交渉を続ける方針でございますが、ソ連との航空交渉につきましても、これは首都相互間ということを前提といたしまして、今後も交渉を続けていく決心でございます。
  70. 竹谷源太郎

    竹谷委員 もうちょっといまの問題でお尋ねいたします。そういう交渉がいまどの辺まで進んでいるのですか。公開の席上では言明をはばかれるのですか、そうでもないのでしょう。
  71. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 昨年の五月ミコヤン氏が参りましたときに、随員と当方の代表の間で話し合いが行なわれましたが、これは不調に終わりました。その後、年末にコスイギン首相から総理大臣に手紙が参りまして、航空交渉を再開しないかというような趣旨がございましたので、年があけましてから、総理大臣から先方に、時期が来たならば再開をいたしたいというような趣旨の返事を出した、こういう状況でございます。
  72. 竹谷源太郎

    竹谷委員 ソ連は、ハバロフスクーモスクワ間はソ連の飛行士を使う、日本ではそれを二年間に区切ってくれというようなところで交渉が暗礁に乗り上げておる、こういうようなことを聞くのであるが、これはできるだけ短期間できめることが国家のために望ましいと思います。しかし二年もそれをやっているうちに、もういいじゃないかということになって、案外早く向こうも日本の飛行士に操縦させてよろしい、こういうことになるのじゃないか、こう私は思う。ソ連はその点たいへんおとなになっておる。われわれが従来想像したよりもはるかにおとなになっておる。だから従来外交上の交渉は少しでもこちらの権利、利益を多く守って協定するのが当然でございますが、ああいう国柄でございますから、一応二年というような期限をできるだけ早い機会にということにして協定し、その後の折衝でソ連飛行士を使わなければならぬということをはずすように持っていくほうがむしろこの際は有利じゃないか。イギリスその他の国々も、中国を通って日本に乗り込れるとかいろいろなことが進んでおるが、こっちがうっかりしているうちに他の国から先を越されるようなことにもなるかもしれないと思うので、この点はソ連の従来の国家の行き方とだいぶん違う点も考えながら、早くひとつシベリア航空路を日本の飛行機によって開設すべきものではないか、こう思うのでありますが、運輸省はどう考えますか。
  73. 大久保武雄

    大久保政府委員 部分的な交渉を解決して本交渉を獲得したい、それがむしろ交渉のやりやすい方法じゃないかという御質問でございましたが、これは外交の方針でございますから、とやかく申すこともあれでございますけれども、逆に申しますと、交際している間に結婚までいくこともございますし、交際でとまってしまうということもございますので、この辺はやはり東京という世界航空路における価値というものを私たちは深く自覚をいたしまして、東京というものは、それに相当する価値のあるところを獲得しなければ開放しないということが今後日本としては確信を持っていくべき筋ではなかろうか、かように考えておるような次第でございます。
  74. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私が最初に質問をした公団役職員議員兼職をしていいかどうか、政党員の問題、これにつきましては平行線で、なかなか意見が一致しません。政府におかれては、われわれ議員に対して一種の分裂するような議決を強要することなく、適切な措置をとられんことを希望して、質問を終わります。
  75. 長谷川峻

    長谷川委員長 山村新治郎君。
  76. 山村新治郎

    ○山村委員 まず最初に、先日四月十四日、産業計画会議の伊藤剛参考人が、千葉県の代議士が全部木更津地区に賛成であるというようなことを申しておりましたが、これは私も一年生ですが、千葉県の代議士でございます。私以下大部分が反対でございまして、一部が賛成というのが実態でございます。  御質問いたしますが、いままでの長い間の調査で新国際空港の候補地として霞ケ浦、木更津、羽田拡張もそれぞれ難点があるようですが、なぜ航空審議会が第一候補地として答申した富里がむずかしいと考えるのか。この理由は何でしょうか。これは他の地点と難点が違うようですが、これについてお伺いしたいと思います。
  77. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 富里につきましては、私ども、航空審議会の答申を尊重し、また事務当局としましても第一候補地としてかねてから考えておるところでございますが、これについて、難点としてただいま批判を受けておりますのは、立ちのき戸数が千五百戸に及ぶのではないか。この戸数の点につきましては、先ほど竹谷先生からの御質問でお答えしたとおりでございますが、いずれにしても相当の立ちのき戸数がある。この点が用地取得の点でむずかしいのではないかということが難点でございまして、その他の点につきましては、私はほとんど難点らしい難点はないというふうに考えております。
  78. 山村新治郎

    ○山村委員 また、富里村でございますが、これは全村で五千三百町歩ほどございまして、全戸数が二千三百五十七戸です。これが二千三百町歩の用地が必要な場合に、千五百戸というのは半分以上かかってしまいます。どういうふうな計算になっておりますか。
  79. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 先ほど答弁いたしましたように、千五百戸という数字は、七百万坪をかりにどの部分にとりましても、大体千五百戸程度の、戸と申しますか、千五百ぐらいの建物の数が空中写真で数えられるということでございまして、先ほど申しましたように、二戸でも三軒の建物があるというような点はもちろんあるわけでございます。これを、それではつぶさに調べればいいではないかという御質問もあるかと思いますが、何ぶんにも富里にまだ決定したわけではない。しかも、かりに富里にきまりましても、どの部分を空港用地に充てるかということは今後の問題でございますので、いまのような段階に、個別訪問をして運輸省の役人が戸数を調べるということは、非常ないろいろな問題がございます。したがって空中写真によりましておおよそのめどをつけたということでございます。したがって、幾ら多くても千五百の建物程度ということが私どものほうの考え方でございます。
  80. 山村新治郎

    ○山村委員 反対が多過ぎるというような御答弁でございますが、これは三十九年の九月の二十八日に富里村、八街町の賛否住民投票の結果でございます。これは役場の職員が、一戸一戸を投票箱を背負って、背中を向けて投票をしてもらったものでございますから、間違いないものと思いますが、これによりましても、当局としては何ら資料を出さない場合にでも、約七割対三割、すなわち、賛成が七割で絶対反対は三〇%だというような状態でございまして、日本全国どこをさがしましても、資料を何も出さないで、空港をここにつくるけれどもどうだというところで調査をしてこのような好条件が出るような地域がほかにあるとお考えでしょうか。
  81. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 この点は、他の地方との比較はあれでございますが、確かに条件は私のほうでもまだ確定してもおりませんし、また、かりにこれを確定しましても、出す段階でございませんので、その点が不明確なままであっても、いわゆる絶対反対という方が三十数%程度ということでございますので、今後富里にきまりまして、具体的な案が提示できるというような場合、あるいはさらに折衝を続けるという場合には、これらの現在御反対になっている方も、条件いかんによっては御賛成いただけるのではないか、また、さような努力をいたすべきであろう、かように考えております。
  82. 山村新治郎

    ○山村委員 この富里の実態からすれば、いまおっしゃったような用地の買収及び補償の条件が問題点でございまして、これに対する案がいまおっしゃったように示せないと申すのでは、あとお聞きしてもしようがありませんが、離農対策というようなことはどういうようなことを考えておりますか。
  83. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 立ちのきの方で、この際補償によって転業したい、また新しい飛行場が建設されますと、それに伴っていろいろな企業が起こる、そういうものも、あるいはみずからやられたり、あるいはそこで働きたいという方のほかに、やはり農業を続けたいと言われる方がかなりあることは予想されるところでございます。したがいまして、これらの方には代替地をお世話するということで私どもは考えております。現在、国有地あるいは県有地というものも付近にございます。それからまた付近の町村で、もし公団が代替地として買収を希望するならば、買収に応じてもいいというようなお話も、非公式でございますが、ございます。そういうような方から買収した土地あるいは国有地、県有地というようなものでもって、引き続き農業を継続されたいという方には農地をお世話することができるんではないか、また公団ができましたときには、公団を督励して、ぜひそういうような方向で円満に離農ができるというように指導いたしたい、かように考えております。
  84. 山村新治郎

    ○山村委員 近隣の市町村長から、非公式にと申しましたが、非公式でなく、公式に来ておりますから、この点ここで申しますが、香取郡の一市九カ町の市町長及び議長、または印旛郡におきましては佐倉市長、印西町長、また海上郡のほうでは旭市長、海上町長、これらはみな協力すると申しておりますから、その点御記憶にとどめていただきたいと思います。  それから、地元の騒音の影響でございます。一応反対をなさる方々は、鶏が卵を生まなくなる、乳牛の乳の出が悪くなると申しておりますが、具体的な資料がありましたらひとつお示しいただきたいと思います。
  85. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 この鶏が卵を生まなくなる、あるいは乳牛の乳が出なくなるというような問題につきましては、現在までいろいろな調査結果がございますが、二、三の調査によりますと、非常に静かなところから空港の周辺に乳牛を移した場合、一時的には乳産量が若干下がるということも調査があるようでございます。その調査によりますと、その後また回復する、あるいはその地域で成長した乳牛についてはほとんど影響はないというふうな調査がございます。また鶏の問題につきましてもほとんど影響ないといわれておりますが、乳牛問題につきましても、やかましいところに来たときには影響があるが、しかし次第に回復するというような点で、もちろん多少の影響はある場合もあるかと思いますが、それほどの問題じゃないのじゃないか、かように考えます。
  86. 山村新治郎

    ○山村委員 この空港が来て地元の利益になる点を、具体的にあげていただきたいと思います。
  87. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 これが利益となるという点でございますが、空港ができますと、土地の周囲は空港の従業員が非常に多くなるわけでございまして、現在羽田でも約一万人というものが、これはだいぶ前の調査でございますが、就業しております。今度の空港におきましては、さらに規模が大きくなるわけでございまして、ここで営まれるいろいろな営業活動というものは非常に多くなりまして、相当な雇用力が生まれるというふうに考えます。それから、これらの雇用力が、ふえますと、付近のいろいろな農業その他は、大きな商市場が付近にできるというようなことで、農業にしましても、商業にしましても、かなり有利な影響が出ます。また、先ほど来問題になっております道路の問題あるいは鉄道の問題、これらは空港と一体としての機能を発揮すべきものでございますので、空港完成までには、りっぱな道路、あるいは鉄道にしましても、東京から短時間で来るところの鉄道ができてくるというふうに考えております。  それから空港をつくりました場合の営業の問題でございますが、今度御審議中の公団によって空港の運営をいたしますけれども、この公団が一から十まで自分でもってあらゆる事業を直営するということは、実際問題は不可能であり、また非能率になる面もございますので、大きなもの、基幹となるものは公団がやります。いわば公団がやっては能率が上がらないというようなものは民営にして、たとえば場所を貸すということでやるというようなことになりますので、いろいろな段階に応じまして、現地の方々の営業の機会あるいはそこにおいて雇用される機会が多くなるのではないか。それから、これも大きな問題と思いますが、固定資産税その他の地方税が相当な額に上るのではないかというふうに考えております。以上が、空港ができました場合の地元における有利な条件であるというふうに考えております。
  88. 山村新治郎

    ○山村委員 地方財政そのほかで、数字的に、この新東京国際空港ができた場合にはどのくらいになるということを示すことはできませんか。
  89. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 現在のところ税額を数学的に申し上げるまだ段階でござませんので、数字の点はひとつ御容赦願いたと思っております。
  90. 山村新治郎

    ○山村委員 いずれにしましても、地元の人々の気持ちは極度に不安定で、富里に新国際空港が来るか来ないか、これは早急に決定をすべきものであると私は思います。また、現に八街・富里地区両町村議会より意見書が関係各省へ提出してございますが、この地の肥料屋さんとか、農機具屋さんとか、種屋さんなどは、肥料を買った場合、また農機具を買った場合、種を買った場合には、空港ができたときには必ず引き取るというような条件を出されておるように聞いておる。また大工さんの場合には、新築や改築がなくて出かせぎに行っているような状態です。また子弟の教育のことですが、農業高等学校へ入れるのか、それとも普通高等学校へ入れたらいいのか、そういうようなことでとても迷っておりますし、当局として県と協かして具体的に進めるような気持ちがあるかどうかをお伺いしたいと思います。
  91. 大久保武雄

    大久保政府委員 こういう大きな公共事業計画が未決定のままに非常に長年月を経過するということは、私はたいへん国民に御迷惑をかけることであると考えます。そこで、この法律案を御決定いただきましたならば、政府といたしましてはすみやかに候補地を決定いたしまして、用地の取得に進みたいと考えておりますような次第でございます。
  92. 山村新治郎

    ○山村委員 いままでの御答弁で、この新国際空港候補地の決定が急がれるとするならば、公団だけは、候補地決定前といえども、候補地がきまればすぐ動き出せるような状態とすべきであると思いますが、これはどうでございましょう。
  93. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 これは現在御審議をいただいております法案によりますと、まず場所がきまりまして、それから公団の準備ということになることになっておりますが、これはいろいろな考え方がございますけれども、現在御審議願っております提出法律案におきましても、それほど問題はないのじゃないかというふうに考えております。あるいはいまのお説のような方向であっても、これはもちろん円滑に仕事が進んでいく、かように考えております。
  94. 山村新治郎

    ○山村委員 最後に、この前に反対派の陳情としまして七百余名の方が血判そのほかで参っておるそうでございますが、また賛成派といたしましても、ここに参ってきておるわけでありますが、二千四百十八名の人が来ております。少し自信を持ちまして空港を促進していただきたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  95. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま地元の非常に有力なる御賛成があって、空港建設に協力をいただくという事実をお示しくださいましたことは、私どもといたしましても非常に心強い次第でございます。私どもといたしましては、先ほど来答弁いたしておりますように、すみやかに用地の候補を決定いたしまして、所期の目的に邁進いたしたいと存じておりますような次第でございます。
  96. 長谷川峻

    長谷川委員長 久保三郎君。
  97. 久保三郎

    ○久保委員 いままで各方面から質問がありましたようで、私は簡潔にお尋ねをするわけですが、私から要求した大臣がまだお見えになっておらぬ。総理大臣と河野国務大臣を要求しておるのですが、これは委員長どうなっておりますか。
  98. 長谷川峻

    長谷川委員長 それぞれ連絡をとりましたが、向こうの委員会の関係とかいろいろなものがありまして、きょうは小泉防衛庁長官が来ております。予算委員会をやっていまして、予算委員会に出ておるのです。
  99. 久保三郎

    ○久保委員 総理は予算委員会、河野大臣は連絡  したのですか、どうなんですか。
  100. 長谷川峻

    長谷川委員長 しました。
  101. 久保三郎

    ○久保委員 いかなる理由で出席しないのですか。
  102. 長谷川峻

    長谷川委員長 忙しいのでしょう。政務多端で、連絡はしたのですが……。
  103. 久保三郎

    ○久保委員 連絡したと言うが、連絡の返事はどういうふうになりておるのですか。河野国務大臣は新東京国際空港の問題では、関係閣僚懇談会の座長をつとめられておる、これは大久保政務次官に聞きましょう、そうですな。
  104. 大久保武雄

    大久保政府委員 これは運輸大臣が御答弁を申し上げましたとおり、さようでございます。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 だから当然関係大臣でありますから、御出席を願わなければ審議は進まぬのである。これは従来から私から要求をしておりまして、まぎわに要求したものではないのです。だから河野国務大臣の出席をひとつ後刻でいいですから、要求しておきます。  そこで防衛庁長官は御都合もあるようでありますから、関係の問題を先にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  一つは、われわれは、第二国際空港の選定をする場合は、日本の空と日本の土地は日本のものであるという前提に立って、国家百年の大計から選定すべきである、こういうふうに考えているわけであります。これについて防衛庁長官はどのように考えられますか。
  106. 小泉純也

    小泉国務大臣 第二国際空港建設の場合に、土地も日本のものであり、空も日本のものであるというような考え方に立って決定すべきではないかという御趣旨には、もちろん私もさように考えます。ただしかし、現在、日本の土地、日本の空ではございますけれども、安保条約による日米防衛共同体制というような立場から、米軍が基地として飛行場を使っておる場所もございますし、また当然その飛行場に関連をしての空というものも使うのでございますので、そういう点もやはり考慮の中に入れて考えなければならないのでございます。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 安保条約は一九六〇年に批准をしたわけですね。そうしますと、この条約は十年間でありますから、残すところ五年、そして猶予期間というか一年間置いてこれはいずれにするかきまるわけだと思うのです。そういうことを考えあわせますと、しかし、第二国際空港というのは将来に向かっての問題であります。防衛の問題についてはいろいろ考えはあると思うのでありますが、たとえば防衛をする場合に、その防衛の形態はやはり日進月歩、言うなら国際情勢の変化、あるいは兵器の発達、こういうものによっても変わってくると思うのです。そういうことを前提に考えますれば、片や、第二国際空港はそういう変化を前提に置いて考えなければいかぬと思うのです。そうじゃないというと、窮屈ないまの安保の網の中で問題を処理するということになりますと、非常にへんぱなものができる、将来にわたって禍根を残すということも考えられるわけです。あのときもう少しこういうふうにしたらよかったものをという悔いが残りはしないかというふうにわれわれは考えている。そういう点はどのように考えますか。
  108. 小泉純也

    小泉国務大臣 久保委員の申されますとおり、情勢の変化というものも当然考慮に入れなければならないのでございますが、日米安保条約というものが、十年間でこれがおしまいになるとか、あるいは継続するとかいうことは、これはその当時の情勢において政府決定する最も重要なる国策の基本に関することでございますので、私は一今日、安保条約の将来の問題について責任があるお答えを申し上げるわけにはいかないのでございます。と申しましても、またそういう情勢の変化、兵器の進歩発達というようなこともございますが、十年、二十年というような長い間には相当の変化もございましょうけれども、二年や、三年、五年で、多少の変化はあっても基本的に防衛の基本的な構想というものが変わるともわれわれは考えておらないのでございます。一例を申し上げますれば、ジェット飛行機が非常に発達をした、また、もう滑走路をば要しないで、すぐまっすぐ、きわめて狭い短距離な滑走路で飛び立つことのできる飛行機ができつつあるではないか、だから将来の飛行場というものは滑走路は長きを要しないんだというような議論も世上ございます。もちろんそういうような飛行機も開発されつつあることは事実でございますが、それが開発されたからといって、滑走路は長いものは一切要らないというようなことにはならないのでございまして、大勢というものは、また一方にはむしろ大型航空機というものであって、三百人、五百人、六百人というような大輸送機の建造も行なわれておって、そういう飛行機には現在よりもかえって長距離の滑走路が必要だというようなこともありますので、一がいに申し上げることはできないのでございます。そこでこの日米安保体制における米軍の飛行場というものも、安保条約の期限がきたらばあるいはこれが解消されるから、そういう飛行場が返還になるのではないかというような、いわゆる単なる予想や想定をもって国の重大な問題をそういうことにきめてかかって第二国際飛行場の建設というものを考えることは妥当ではない。やはり少なくとも現実に即して建設の場所と一いうようなものは考えていかなければならないのではないかと思う次第でございます。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 見解の相違ということでありましょうが、それではもう一つ関連してお伺いしたいのでありますが、いまの特に航空機の話でありますから、防空というか自衛隊と米軍の配置、こういうものは、未来永却といってはたいへん失礼でありますが、国際空港がどこにできるかわかりませんけれども、つくるということでありますから、つくる時期まで少しも変わりない、こういうふうにお考えでございますか。
  110. 小泉純也

    小泉国務大臣 いま計画されております第二国際空港が何年何月までにでき上がるかということは別にいたしまして、だれが考えましても一年や二年ではでき上がらない。四年かかるとか五年かかるとかいわれておりますけれども、そのでき上がるまでに何らの変更がないかというお尋ねに対しましては、これも全然変更がないとは申されません。現に日本の航空自衛隊の整備、充実、力の発展ということによって、だんだん日本の自衛隊で空の守りをする部分はふえてきておることは事実でございます。といっても、現状においては日本の航空自衛隊だけで日本の空の守りを期しておるということにはいかないのでございまして、やはり在日米軍との関係において空の防衛をやっておるという現状でございます。それが何年先になったらば日本だけでできるとか、あるいは米軍の力を借りなくてもよろしいとかいうようなことは、今日これも断定するわけにいかないのでございまして、遠い将来は別といたしましても、ここ数年の間に日本の航空自衛隊だけで空の守りが完ぺきである、米軍の力は借りなくていいということは今日申し上げられません。といって現状のまま、これがあと三年も五年もやはり在日米軍の力を借りるということに何らの変化がないかということになりますと、多少の変化は予想することができますけれども、根本的な大きな変化はないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 そこで航空局にお尋ねしますが、日本の空で自由にならない、いわゆる自衛隊を入れて自由にならない空域というのはどの程度になっていますか。
  112. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 現在が三沢、横田、岩国及び板付、この点につきまして米軍が管制を行なっております。
  113. 久保三郎

    ○久保委員 その基地のいわゆる飛行場管制というか進入管制というか、そういうものだけが自由にならないというか、米軍が専有しているということにとってよろしいのですか。たとえばブルー14のごときものはやはり自由にならぬ空域ですね。これはどんな程度にあるのか聞いているのです。
  114. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいまお尋ねのブルー14、航空路そのものは運輸大臣の告示でやっておりますが、ブルー14付近に米軍を主とした軍用飛行場がございまして、これらの管制を横田でもって現在一元的にやっておるというような意味におきまして、米軍がこの空域において管制をやっておる、こういうことでございます。
  115. 久保三郎

    ○久保委員 どういうことかわからない。そこでこちらからひとつ資料を出してお尋ねしますが、私がお尋ねしたいのは、いわゆる日米合同委員会で航空交通管制の取りきめがございます。そこで昭和三十四年六月の合意を基づく第二号、これにはこう書いてある。「防空任務に従事する軍用機に対しては交通管制上、最優先権を与えることに同意している。これらの軍用機の離着陸に際しては、その迅速な行動を可能ならしめるため予め定められた一定の空域をあけるように他の航空機の管制が行なわれる。」すなわちこの最後のくだり、一定の空域をあけるようにという、そのあけている部分はどの程度あるのか、こういうことを聞いているのです。
  116. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 この部分につきましては、横田、入間川、立川、厚木の付近におきまして、大体の範囲としまして、これから北のほうは新潟付近まで、新潟近くまででございますが、それから入間川あるいは大宮あたりの部分につきましては東西につきまして約百六キロというような空域、それからいまの新潟の関係で申しましたが、南北にわたりまして約三百キロというような空域につきましては横田でもって管制を行なっておる、こういう現状でございます。
  117. 久保三郎

    ○久保委員 東京周辺だけを聞いているのじゃないのでありまして、日本の空を聞いているのであります。その他にはございませんか。
  118. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 その点は、先ほど申しましたように、三沢につきましては、三沢を中心として、これは半径で大体七十数キロ——場所によって違いますが、大体七十数キロの半径、それから岩国と板付これにつきましては不整形でございます。岩国から九十二キロぐらいの半径の部分がございますが、これは一部でございまして、不整形になっております。それから板付につきましても、板付から一番遠いところで百十キロ程度、これも不整形になっておる、こういうようなかっこうになっておるわけでございます。
  119. 久保三郎

    ○久保委員 いまお話のような空域は今後も——というよりは、いまさしあたっていろいろな問題がありますね。たとえばブルー14一つとっても問題がある。こういう点については、日米合同委員会で最近はもう話としては持ち出さぬ、日本の民間航空の立場からはあまり話を持ち出さぬということになっているのですか。
  120. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 この点につきましてはいろいろ技術的な問題もございます。そこで私どもとしましては、できるだけ民間航空の便利になるようにということで米側と折衝いたしまして、これはこの委員会であるいはすでに御説明していると思いますが、一定の高度によりまして東京から西のほうにいくジェットのルートをつくるというような点は米軍のほうと合意ができました。この点は単に米軍が譲歩したというよりも、むしろ羽田の航空局関係のレーダーが整備したというような点、すなわちわがほうの施設が整備したことによってセパレーションが可能になったというような技術的な理由というものと、米軍のほうは日本の民間航空に対して協力しようというような点と、両方からこの問題が解決したわけでございます。今後民間航空関係のレーダーというような施設をさらに強化していくというようなことになりますれば、技術的な面でさらに、運輸省側のやっておる管制する空域をふやすということは可能であろうと思っております。  ただ、この点、どこまでふやせるかという問題につきましては、そういう施設の整備というものをもとにしまして、先方と技術的な意見の交換をやって、しこうして可能でございまして、米軍の管制空域をただいちずに減らそうというだけじゃなく、十分技術的な裏づけが必要であろう、かように考えております。
  121. 久保三郎

    ○久保委員 防衛庁長官がお待ちでありますから、そこで候補地らしきものが、たとえば、先ほどお話しがあったように富里とか霞ケ浦とか——九十九里というのも一応出ましたが、木更津とか、当委員会中心に、らしきものが、大体その辺が出ておるわけです。そして、その中で防衛庁に直接関係があるようなのは、霞ケ浦の湖面に埋め立て案というものがございます。これは航空審議会の答申には一つあるわけですが、この場合にも、答申は百里の航空基地と両立はしないと、こういう答申がついておりまして、あなたの御見解はそういうのと同じでありますか。
  122. 小泉純也

    小泉国務大臣 いま久保委員が申されましたとおり、航空審議会の答申においては第二国際空港が湖面埋め立ての場合はと、これは霞ケ浦をさすものと私どもは了承いたしております。百里飛行場とあまりにも接近するので両立し得ないという答申があるのでございまして、私どものほうでも次官会議その他を通じて、会議のたびごとにこの航空審議会の答申どおりというのが防衛庁航空自衛隊の見解でございまして、関係閣僚会議におきましても、私はこの旨を説明いたし、航空管制上、自衛隊の百里飛行場と霞ケ浦に飛行場建設ということは両立し得ないということをはっきり申し上げて今日に至っておるわけでございます。なお念のため地図によって御説明申し上げますると、航空管制上両立し得ないという防衛庁の見解は、いま申しましたように、霞ケ浦の埋め立てというものは、この場所につくられるというふうに私どものほうでは予想をいたしておるのであります。もし、霞ケ浦埋め立てという場合は、こういうことはあり得ない。いままでの事務次官会議等の結果においてでございます。百里飛行場がこれでございます。いま百里飛行場の自衛隊機はこういうふうな経路を通ってこちらのほうから、この矢じるしの着陸態勢をとって着陸をいたしておるのであります。そういたしますと、霞ケ浦の埋め立てということで、ここで飛行場ができるというような場合には、風の方向からいたしまして、これはわが航空自衛隊の専門的な見解でございますが、当然こういうふうに第二国際飛行場には民間の飛行機というものは入ってこなければならない。そうすると、一番曲がり角で両方がぶつかるから、エリアにおいて両立しないという見解でございます。
  123. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、両立しないという御見解はわかりました。ところが両立しないのでありますから、第二国際空港を霞ケ浦埋め立てということに選定しなければ、問題は出ないのです。しかし、いままでの当委員会質疑応答を聞いておりますと、埋め立てについても、運輸大臣はあとからまた聞きますけれども、大臣は必ずしも捨ててはおらない、こういうことなんであります。そうなりますと、ここであなたにお伺いしたのは、事と次第では、百里基地を放棄するというお考えを持っておりますか。
  124. 小泉純也

    小泉国務大臣 この霞ケ浦の湖面埋め立てをした場合と自衛隊の百里基地の両飛行場の運用に関して調整の可能性があるかどうかということについて、運輸省との間で検討を続けておることは事実でございまして、いま、にわかに全然検討の余地もないということではないのでございます。しかしながら、検討を続けてはおりますけれども、私のほうで見るところでは、検討してみましても、両用という可能性は出てこないのではないかということでございまして、いま検討の途中でございまするので、全然余地はないと断言はできませんけれども、見通しといたしましては、航空自衛隊としての見解では、可能性はきわめて少ない、こういうことで検討は続けておるのでございます。
  125. 久保三郎

    ○久保委員 まあ運用については検討を続けられておるということでありますが、ただいまの図面をもっての御説明では、どちらも高速の航空機でございます、しかも空域もお互いに広くとらなければならぬ航空機でありまして、しろうと目にも危険千万だし、そういうことは可能性が薄いだろう、こう思うのです。そこでお尋ねしているのは、どうしても霞ケ浦湖面埋め立てしかないと、こういう判断をいたした場合に、自衛隊の百里基地はもうやめる、撤去する、そういうことでなければ話は進まぬのであります。だから、まあ航空審議会から出した答申自体も私はおかしいと思います。先ほど来大臣あるいは航空局長等の御答弁を聞いていますと、既成事実はそのまま認めておいて、どこかに穴はないかということでさがしているのでありますが、霞ケ浦湖面埋め立てばもう穴じゃないのですね、ふさがっているかっこうです。ところが、答申は、運輸大臣はじめ航空関係の皆さんからは、これも何か可能性があるような話をしておりますが、そうしますと小泉防衛庁長官のいわゆる裁量によって百里航空基地は撤去するなり移転しますということが、可能性があるのかどうかということなんですね。どうなんですか。
  126. 小泉純也

    小泉国務大臣 それは重大な問題でございまして、霞ヶ浦に決定をされた場合とか、あるいは決定前提において自衛隊の百里基地を撤去するとか、そういうことは毛頭考えておりません。また考えられることではございません。百里基地は御承知のように十年間かかって四十億の金を費やして、東京を中心とする関東一帯の空の防衛上欠くべからざる飛行場だ、ことしじゅうには104ジェット戦闘機部隊をば配属することで、着々準備をいたしておるのでございまして、これを撤去するとかやめるとかいうことは全然考えておらない、また考えられることではないのでございまして、東京を中心とする関東一帯の空の防衛が欠陥を生じてもよろしいというような前提がない限り、百里基地の撤去とか移転ということは、私ども防衛の責任者といたしましては考えておらないのでございます。
  127. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、これは大久保政務次官にお尋ねをいたしますが、ただいま防衛庁長官から明快な答弁がありました。そうしますと候補地らしきものの中で霞ケ浦湖面埋め立てば一つ落ちましたな。そう考えてよろしいですか。
  128. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど防衛庁長官からもお話がございましたように、運輸省、防衛庁間におきましていろいろ方途を検討いたしております段階でございますので、まあ長官も、全然ないとは保しがたい、こういう留保で御答弁になったようでございますが、私どももこれらの点につきましては詳細検討いたしておるところでございます。
  129. 久保三郎

    ○久保委員 どうも日本語というのは聞く人の立場でいろいろ理解のしかたが違うようでございまして、いまの防衛庁長官のずっと一連した御答弁は、とにかく十中八、九、そんなことを運用の面で考えるということはおそらく不可能だと思うが、検討しています、そういうことなんですよ。それでも、もう自衛隊の百里基地は撤去しません、もしもそれを撤去してもいいという防空上の問題があれば別でございますが、という前提がついておる。だから、これは落ちたかっこうですね。  そこで次に移りましょう。第二国際空港が、先般来の御答弁、あるいは説明では、いわゆる国際空港の分野でもあるいは国内航空の分野でも、非常に離着陸が増加してくる、さらにマッハ二のスーパーソニックというような時代が近く到来する、だからこの空港をつくらなければならぬというような御説明でございます。そこで、次は、どういう方向からどんなに国際線としては多くなってくるのか、全体として多くなってくるのか、それとも違った形で多くなってくるのか、こういう点はどういうふうにお見通しですか。
  130. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 私は国際線の将来につきましては、現在の既設の路線につきまして日本側もこれは増便をする、また外国も増便をするというふうに考えておりますが、そのほかに現在行なわれておらないような新しい路線というものももちろん開設される。特に日本としましては、新しい路線を開設していくべきである、かように考えております。
  131. 久保三郎

    ○久保委員 どうもいまの答弁も無理だろうと思うのですがね。それに関連して、どんなふうにふえてくるのかという、ふえる数の答弁はこの前ありましたか。一日に国際線はどのくらい離着陸するのか、国内線はどの程度か、これは答弁がございましたか。答弁したのなら、その中身はあとで資料として、そういう計算の基礎、要素を出してください。国際線については方面別ですね。それで、これに関連してお伺いしたいのでありますが、それじゃ、日本の国際航空のいわゆるキャリアとしては日航があるわけですが、いわゆる日本の国際線の拡張、そういう方向はどういうふうに考えられておりますか。
  132. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 日本の航空のほうの路線の拡張問題でございますが、これは先般三カ年計画を策定いたしまして、これは既存路線の拡充というもの、それから新規路線ということになっておりますが、新規路線につきましては、マニラ線また豪州線、それからニュヨーク・ビョンドのいわゆる世界一周路線というようなものを計画しております。ただ、この点につきまして、まことに残念でございますが、シドニー線というむのが先般の交渉で獲得できませんでしたが、もちろん計画としましては四十二年度からシドニー線をやるというふうになっておりまして、いま申しました世界一局線あるいはマニラ線よりも一年あとにやるというような計画になっておりますので、今後またさらに機会を見て、この交渉はやる、かように考えております。
  133. 久保三郎

    ○久保委員 日航の三カ年計画というのはいつからいつまでですか。
  134. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 三十九年度にこしらえましたもので、四十年から四十二年ということになっております。
  135. 久保三郎

    ○久保委員 その中身はあとで資料として出してほしい。いま答弁で言及されましたシドニーの問題はイギリスとの協定で貫徹できなかったということでありますが、日英の航空協定改定についての交渉の大きな柱はシドニー線を開設するということに承知をしていたわけでありますが、これがだめになったおもな原因を簡単に答弁してください。
  136. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 確かにシドニー線と申しますのは香港・ビョンド・シドニーという問題でございまして、豪州との関係では、日本はシドニーにポイントを持っておりますが、香港・ビョンド・シドニーというものをイギリスとの関係で持っておらなかった。これをぜひ四十二年度に開設するためには、できるだけ早く権利だけは確保しておきたいということで交渉が始まったわけでございますが、先方としましては、香港ーシドニー間というものはイギリス側の航空企業、主としてBOACの非常に有利な路線であるというような点から、この点、日本側の要求をなかなか入れないということでございました。ただシドニー線が今回獲得できないということだけで問題を決裂させるということもまたとるべきでないというようなことで、一応の妥結はいたしましたけれども、最も熱望しておりました点は、イギリス側の立場からどうしてもぐあいが悪いということで、残念ながら今回は獲得できなかった、こういうことでございます。
  137. 久保三郎

    ○久保委員 次に、国際航空協定で、わがほうは相手側に対して乗り入れをしてない、だが相手側が日本に乗り入れをしているというのはどことどこですか。
  138. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 現在の協定では、いま申しました豪州はカンタスが東京に来ておりますが、わがほうは行っておりません。それからカナダはカナディアン・パシフィックが東京へ来て、ビョンド・香港をやっておりますが、日本はカナダに行っておりません。それからヨーロッパにつきましては、オランダのKLMが北極回りと南回りで東京に参っておりますが、わがほうは行っておりません。それからもう一つ、スイスが南回りでもって東京に参っておりますが、日本では現在のところ行っておらない、こういう状況でございます。おもなものはその程度でございます。
  139. 久保三郎

    ○久保委員 その原因は、日航の拡張計画というか、そういうものに関係があって、わがほうの利益というか、そういうものは延ばす必要はないというふうな当方の考えだけで延ばしていない、こういうふうに了解してよろしいか。
  140. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 これは、現在において行ってないということでございまして、将来は行くべきである、かように考えております。ただ重要なものから逐次やっていくというような点で、先ほど申しました豪州等はなるべく早く行きたいということ、あるいは今後、南回りヨーロッパ線の増便の場合に、スイス経由というようなものも考えたい、かように考えておりますので、わがほうの都合といえば都合でございますが、これは採算上の点、その他全般的な都合で逐次やっていくということでございます。
  141. 久保三郎

    ○久保委員 そういう航空協定の締結のしかたはわが国に利益があると思っていますか、いかがですか。
  142. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 この点につきましては利益はない、あるいはすぐ始めるのでありますれば、先方が乗り入れて数年にしてこちらが行くということであるならば、いわゆるレシプロカルでございますが、こちらは当分行けないというような状況であるならば、そんなに早く相手国と協定を結ばぬでよかったのではないかというような問題につきましては、私は一つの議論が残り得る、かように考えます。
  143. 久保三郎

    ○久保委員 その議論とは何ですか。
  144. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 これは非常に古い話になりまして、いわば戦争直後のいろいろな事情というような点までさかのぼらざるを得ないということでございますが、当時としては、やはり日本としてできるだけ早く国際航空社会に乗り出したいというような考え方があったと思います。それで、こちらとしても、たとえば、あるいはもっと早くやりたいというような気持ちもあったんじゃないか。当時のことはだいぶ古い話でございますので詳細は私も存じませんが、こちらとしてもやろうという気持ちがあった。その点あるいは国際社会に早く復帰したいという点もあったと思いますが、そのほかに、やはり平和条約によって既得の権利を先方に認めざるを得なかったというような点も、もちろん背景としてはあったんではないか、かように想像しております。
  145. 久保三郎

    ○久保委員 わが国の政府の中で航空政策はない。あるものはいわゆる空——から政策だというようなきびしい批判が今日まであるわけです。これは、いま航空局長が言うように、占領当時なりの激動というか、そういうさ中にやったということでありますが、そこらに無定見のそしりをまぬがれないところがあると思うのです。先方に利益を与えておいて、わがほうは必要性はあるけれども行けない。たとえば、これを代表する日航の経営の実態からいって、そこまで行けないというのもあるだろうし、また当分その必要は日本としては考えられないものがある。そういうものを、わがほうの立場は別にして、先方の要求を形の上だけで相互乗り入れとなっているのは、実際は不可能なものを求めるというふうなことで、まず第一にこれは航空政策として基本的に間違いだと私は思うのであります。  そうしますと、過去の問題は別として、それじゃこれから将来にわたってあなたの考えはどうなんですか。
  146. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 過去の問題は別としまして、将来におきましては、日本と先方との間で協定を結ぶ場合は、日本に現実は必要がある。現実な必要と申しますのは、何も来年、再来年ということに限りません。非常にいいチャンスには将来の相当長期に考えて協定を結ぶという必要があると思いますが、あくまで日本側の一つの短期あるいは長期の見通しに立った確固たる方針のもとに協定を結ぶということである。そうしてまた、そういう協定は相互平等なものでなければならない、かように考えております。
  147. 久保三郎

    ○久保委員 次に空港の建設でありますが、その前に一つ政務次官にお尋ねしましよう。日本の空域というか、日本の四つの島は小さいのでありますが、その中で、軍隊の飛行機が最近のようにジェット機を主とした演習が可能なような空域は私はなかなかないと思うのです。いままで防衛庁長官にもお尋ねしたのでありましたが、空域の問題、いわゆる米軍や自衛隊の使用する空域、こういうものが、現代の防空というか、戦闘力としての航空機の演習、こういうものを許しておくような広い範囲は実際において日本にはないと私は思うのです。たとえばアメリカのごときものであれば、なるほど自由に演習ができる空域を設定することができる。ところが無理に日本の中で米軍あるいは自衛隊の飛行機が演習するというので、これは十分にやろうというたてまえでしょう、だからさっき質問したように、必然的に民間航空の空域というのは狭められてきた。ところが片方は、御承知のように、第二国際空港をつくらねばならぬような増加を示している。こうなると、いまあるところの民間航空以外に使用している空域というものを前提に考えて言うならば、第二国際空港を建設したところで十分な運営はできかねると思うのです。そういう点についてどう考えていますか。たとえばわれわれのほうにも関係はございますが、横田から出ていって水戸の射爆場で爆撃演習をする、これはアメリカの国の中なら何ら差しつかえないところがたくさんあります。三沢についても同様ですね。海岸というか、海域に向かって爆撃演習をする、そのために民間航空は函館の上を通らなければならぬ。これがだんだん函館ルートというか、そういう管制路が一ぱいになったときには、それだけでは足りないから当然千歳なら千歳に直通するところの管制路が必要になってくる。しかしこれは米軍の演習に阻害される。空港はできたが飛行機は飛べないという現実が出やしないかと思うのです。だから私は冒頭に申し上げたように、日本の空と日本の土地は日本のものであるという前提に立ってものを先に考える。ところが防衛庁長官のような考え方では、残念ながら第二国際空港をどこにつくるにしても十分な運用はできないだろうと思うのです。たとえば現在の羽田は五〇%しか利用できない。そういうことを考えた場合に、まず第一に考えるのは、この空域を自分の手によって白紙に還元して、いわゆる空域の再編成をする、そのためには日米安保条約もあるから、その中の条項にはいわゆる協議事項もある。日本の政府として、やはり米側に当たって最良の道を選ぶというのが正しいと思うのです。戦争が激しくなって、たとえば今日ベトナムの問題がある、そうなればいわゆるブルー14のトンネルは使えないじゃないか。トンネルをわずかにあけてもらったといっておりますが、使えないのじゃないか、そういうことも考えていらっしゃるのかどうか。いかがでしょうか。
  148. 大久保武雄

    大久保政府委員 アメリカ空軍の日米防衛体制に基づく管制空域を一挙に取りはずすことはできないわけでごござます。しかし、新東京国際空港との関連はどうだという御質問でござましたならば、新東京国際空港はアメリカの一番近いブルー14とは重なり合わないような形で新東京国際空港の空域設定ができますし、また新東京国際空港に離着陸する航空機は、大部分が相当大型の超音速あるいはジェット機で、しかも国際空港にこれが使用されるということでございますから、できるだけすみやかに海域に出て行くということに相なるかと存ずる次第でございますので、現在のブルー14とそれほどこれが交錯して支障を生ずるということは考えられない次第でございます。もちろん日本の空を日本の翼のもとにと言いたいわけでございますが、今日の状況下におきましては、日米安保条約と両立する最大限可能な範囲におきまして、日本の民間航空を伸ばしていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  149. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ちょっと関連して政務次官に質問をいたしますが、この国際空港は、もちろん将来の大型ジェット機の離着陸を想定して早くつくらなければならぬというわけで急いでおられるのですけれども、私は国際空港はつくるなと言うのではありません。けれども、つくるところの場所にあると思うのです。現に私どもの経験からいきますと、内陸にこういう大型のジェット機が離着陸する航空基地を設けるということは、よほど慎重に考えなければならぬと思うのです。現に伊丹空港で、土曜日でありますけれども、飛行場周辺の有力者が百人余り集まったところに行って、現在の航空行政について説明しろというわけで、いろいろ騒音の防止その他について説明をいたしましたが、何としても地方民の了承を得たいと考えて私は話をしてきたわけであります。ところが実際問題として、あの離着陸をする空路に当たっている伊丹の飛行場は、御承知のとおり、あの周辺は、約六十万を突破しておると思いますけれども、それだけの住民が住んでおる都市のまん中でありますので、大型のジェット機が通れば、ほんとうに寝ておっても、子供などは飛び上がるような状態で目をさましてしまいますし、いわんや家畜類やその他についても、満足に牛乳も出ない、あるいは鶏は卵を生まない、病人、子供は騒音でどうにも収拾のつかない状態にあります。あれ以上に大きな飛行機が内陸を基地とする内陸飛行場に離着陸するということになれば、おそらくその飛行場の周辺四キロ以上の住民は、伊丹の飛行場と同じような収拾すべからざる被害を受けると私は思うのです。したがってこれにはよほど慎重でなければならぬと思うのです。なるほどいままでの討議を聞いておりましても、またその当該地区でも、賛成、反対の討論があるようであります。その中には、なるほど私も百姓ですが、あそこらの百姓なんかは、もうからないから手放してもいいという人は、自分の利害から考えて賛成する。しかしこういう一、二の利害によって悔いを千載に残すようなことがあってはならぬと私は思うのです。ですからそういう点、伊丹の飛行場をながめてきたのですけれども、固定資産税、市民税の不払い運動をやろうということです。これはたいへんなことです。もしそういうことになればこれは申しわけないので、ぜひともそういうことがないようにということでいろいろ話をしてきましたけれども、国際空港の運用についても、あるいはそういう弊害が出たときに——出るにきまっておるんですから、そういう場合には、その周辺の住民に対して、どういう補償をされるつもりで国際空港を選定されるか、ゆゆしい問題でありますから、これは一時の目先の賛成、反対で自分の利害がどうのこうのという問題じゃありません。したがって、それはいまの政治家の責任だと私は思うのです。ですから、悔いを千載に残すようなことだけはぜひともしたくはない。また、協力をする点については、これは厳に協力をしなければならぬと私は思う。そういう意味で私は言っておるのですが、これはどういうお考えで対処されますか。これは責任者からはっきり言明をとっておかないといかぬと私は思うのですが、いかがですか。これは関連をして、事務当局並びに運輸大臣からしっかりした答弁を聞いておきたいと思います。
  150. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいま山口先生から伊丹空港の実例をおあげになりまして御説明でございましたが、羽田においても騒音の問題は確かに大きな問題でございまして、また最近はジェット機が飛び出しました伊丹におきましても大きな社会問題になっていると思います。新しい空港をつくります場合にはやはりこの問題が非常に重点でございまして、全く騒音をなくするということは現在の技術段階ではできません。できるだけ騒音の被害が少なくなるようなまず場所を選ぶということ、それから選んだ場所につきまして、できるだけのくふうをするということ、この二つをやる。それからどうしてもその騒音で耐えられないというような場合には、それを取り除く方法をさらに考えるというようなことで、いろいろな実害というものをよく考えて、これに対処していくべきである、かように考えております。何と申しましても、やはり場所の選定ということは、できるだけ密集地を避けるというようなこと、これが一番必要なことではないか、かように考えております。
  151. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま航空局長が申しましたように、新東京国際空港を建設するにあたりまして、その進入方向並びに離陸方向、そういう方向につきまして、これはいま山口委員から御質問がございましたように、できるだけ騒音にかかわりのないような考慮を払っていくということが必要であろうと考えます。また離陸いたしましたならば、できるだけ早く海上に出るということを考えていかなければならない、かように考えておるような次第でございます。また騒音につきまして、それにもかかわらず起こります支障につきましては、できるだけ万全の措置を講じまして、その防止対策を考究いたしたいと考えておるような次第でございます。
  152. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は関連ですから、深くは聞きませんれけども、いまの答弁じゃ何の保障もないと私は思うのですよ。これは日本のような人口過密なところでは、内陸に飛行場を設けるというのは大体不適当ですよ。ですから羽田のように、上がればすぐ海上だ、少なくとも離陸する方向は海上に向けてやるとかいうことにしなければ、これはたいへんなことです。とにかくある滑走路の先へ住居を持って、そして子供のある家庭を実際持ってみなさい。それははらわたがえぐれてしまいますよ、私もあそこに住んでおって、逃げ出した口なんですから。とにかくおれませんよ。それでも国際空港を日本はつくらなければならぬのですから、それについては理解を持っています。けれども、その場所の選定については、よほどしっかりとした考えでもって、どうだこうだというのじゃなくて考えなくちゃならぬ。当面の利害などは考えるべきでない。この点についてはわしらは責任があると思うのです。同時に、設けられた場合にも、あらかじめそういう騒音などが出た場合にはどういう補償をする、たとえば税金を安くするとか免除するとか、そしてまた公共施設に対してはどういうことをやるとか、しっかりした具体的な言明をこの際とっておかないと承知ができない。——われわれはどんな被害をこうむっていますか。われわれは政治生命までも奪われるような立場にある。わしらの政治生命はどうなろうとこうなろうと、そんなことは問題でないけれども、しかし、それによって常人がそれだけの被害をこうむるようなことは政治的に防止しておく必要があるから言っておる、はっきりしてもらわなければ困る。
  153. 大久保武雄

    大久保政府委員 山口委員の実情に即した御発言に対しましては、十分私どもはさようなことがあろうかと存じております。そこで超音速ジェット機等から起こってまいります公害の防止については、山口委員の御意見を十分考慮いたしまして今後善処いたしたいと考えております。
  154. 久保三郎

    ○久保委員 要求大臣が来ないが、きょう来なければあと回しにしますから、そのつもりで審議してもらいましょう。  先ほどの話がちょっと中断した形でありますが、答弁が提案説明とだいぶ違っておるようであります。というのは、この空港設置については国家百年の大計の観点から考えていかなければならぬ、こういうことでありますが、いまのような空域を制限された形で持っていくことは、私はどうしても納得ができないのでありまして、この点については水かけ論というか、そういうことになるから、その程度にいたします。  次には空港の問題であります。日本の国内の空港というものは、よその国に比べると、かなり空港の数は多いと思うのです。いわゆる面積のわりには空港の数は非常に多いと思いますが、そう理解してよろしいかどうか。
  155. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 数の問題は、諸外国と申しましてもいろいろございますし、また面積その他いろいろの事情も異なりますので、一がいに比較できないと思いますが、私は、まず他国に比べて数の点ではそう遜色はないのじゃないか、こう考えております。
  156. 久保三郎

    ○久保委員 ところが、数の点では遜色ないというのは、数が多い、比較すればそうでしょう。それでこの国際空港を含めてでありますが、特に地方のローカル空港とか、二種三種の空港についてはいまやっておる建設計画というものは、政府のいわゆる総合交通計画というか、そういうものがあって、その観点において空港を選定し、整備しているのかどうか、いかがです。
  157. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 政府決定いたしました具体的な内容というものは、たとえば道路計画あるいは港湾計画というような性質決定というものは、空港につきましては残念ながら現在のところできておりません。ただ、空港をつくります場合に、従来から無計画につくってきたということではございませんので、地方の実情に応じてつくってまいったわけでございますが、現在のところ、ただいま申し上げましたように、数の上ではそう遜色がないというような点もございますし、この二年間ばかりにつきましては、新設空港というものはほとんど認めませんで、主として既設空港の整備という点に一昨年度あたりから重点を置くというようなことでやっておるわけでございまして、今後も数をふやすというよりは、むしろ既存空港を逐次質を整備をしていくという方向で対処していきたい、かように考えております。
  158. 久保三郎

    ○久保委員 私がお尋ねしているのは、総合交通政策というものがあって、その中で空港をおつくりになっているのかということを聞いているのですよ。地方の実情に即してとおっしゃいましたが、地方の実情も一つの要素にはなるが、いわゆる国内空港というか、特にこれを考えました場合に、陸においては御案内のとおり鉄道もあり、あるいは自動車、バスもある、そういうものを総合して、空は航空機、いわゆる交通政策というか、そういうものがあって、それで空港は、いわゆる航空機の輸送分野はどうあるべきか、地域的にはどう配置すべきか、そういう基本的なものがあって、ここに空港をつくってきた、こういうことなんですかと聞いているのです。そうじゃなくて、あなたがおっしゃるように地方の実情に即してという、わかったようなわからぬような形で、とにかくまあ腰だめ鉄砲でこの辺に空港が必要だろう、誘致運動があった、政治的な圧力というか、そういう発言もあったからここへつくりましょうということでつくっていらっしゃったのかどうか、こう聞いているのです。
  159. 大久保武雄

    大久保政府委員 久保委員の御指摘はまことにごもっともでございまして、これは従来の配置計画等におきまして、若干久保委員の海陸空の交通の総合調整の計画の上に立っていなかったうらみのありますことは、率直にこれを認めます。今後におきまして、できるだけいま航空局長答弁いたしましたように、鉄道でやるもの、道路でやるものあるいは航空でやるもの、あるいは海運に付するもの、そういうものを総合調整いたしました計画に基づきまして、先ほど航空局長答弁いたしました重点主義で整備いたしていきたいと考えております。
  160. 久保三郎

    ○久保委員 総合交通政策の中の航空機の分野というものは、もう一つ裏づけがなくちゃいけないと思うのです。それは御承知のように、いわゆる航空を担当する企業の体質、能力の問題があるわけですね。この裏づけがあるのかどうか、そういうものを考えてこれからやっていくのかどうか、これはどうなんです。
  161. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいまの空港の問題との関連において企業の問題の御質問がございましたが、企業の問題につきましては、現在日本航空、全日空、国内航空と、三社が主として幹線をやっております。これらにつきましては、今後は企業のおのおのの経営基盤を強化するという意味におきまして、幹線における増加需要の三分の一を原則として各企業に担当せしめて、これを育成していきたいというふうに考えております。
  162. 久保三郎

    ○久保委員 ちょっと、がやがやしていてよく聞き取れないのですが、会議録であとで読んで質問を続けましょう。  そこで、たとえば、これはほんとうかどうか知りません、調査はしていませんが、松本の空港には企業が進出しないという話を聞いているのです。飛行機の飛ばぬ空港をなぜつくっているのかを聞きたいのです。
  163. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 松本の問題につきましては、他の委員会でも問題になりまして、いろいろ御批判があったところでございます。この松本の空港は、現在ほとんど竣工近いということになっておりますが、現在までのところこれの路線をやるという航空会社が出ておりません。この点は従来の例でございますと、新設空港ができるという場合にはかなり前からこの路線を開設したいというような希望が出まして、多くの場合には競願というような形になる場合もかなりあったのでございますが、今回の場合はまことに残念ながらいままでのところ路線開設の希望が出ておらないのは真実でございます。
  164. 久保三郎

    ○久保委員 空港をつくったのでありますから、飛行機を飛ばす考えでつくったのでしょうね。そうすると、飛行機を飛ばす会社がだれも申し出がないというのだが、その場合、そのまま空港は遊ばしておく、それとも命令か何かで——命令はできる立場にないと思いますが、この間、国内線の調整については、半分命令的なものをやったようだが、ああいうことでやって、おまえのところは幹線乗り入れをさすから、あそこへ飛んでいけということでやりますか、いかがです。
  165. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 新規路線の開設をやるという場合に、命令の権限法律的にはございません。なお、現在この路線についてできるだけ航空会社のほうで全体の関連において路線を開設するということが望ましいということで、話し合いはしでおりますけれども、まだ、それでは開設しようというような段階には至っておりません。
  166. 久保三郎

    ○久保委員 それはどういうふうにおやりになるか。無理に進めて——実際全部、どれも体質はあまりよくないのです。それに採算が合わぬから企業としては乗り出さぬのでしょう。それ以外に理由は私は考えられないと思うのです。そんな計算もできないで、なぜ空港をつくったかと言いたくなる。これはあなたの責任じゃない。政府責任だ。あなたは政府の一部局の担当者だから、あなたを責めるわけにはいかぬと思いますが、大久保政務次官、これはどうなんです。こんなことをして政府責任を感じていないのか。大体そういうところは乗り入れないという。乗り入れないというのは、採算がとれないということなんでしょう。そういうところに空港をつくっておいて、あと必要な空港の整備は中途はんぱになっている。さらに私が言いたいのは、空港で、たった一日一往復一便しか出ないところがたくさんありますね。こういうのはいわゆる需給関係の検討が非常に薄かった、こう思うのです。もっとも離島航路のごときは、別な政策上から必要でしょう。一日一回にしても、海が荒れるときには船は出ないのでありますから、そういう離島のごときは当然必要だ、こう思うのです。ところが、いまの一つの例などは、全く国民をばかにした空港の建設をやったものだと私は思うのです。これは政務次官、どう考えられますか。
  167. 大久保武雄

    大久保政府委員 ローカル空港につきましては、航空交通の開発という面も含まれておるわけでございます。そこで、当初は一便飛んでおりましても、それによりまして、地方の航空開発ができまして、だんだん増便をしていくということにも相なる場合もあるわけでございます。いま御設例になりました特定の空港につきましては、先ほど私がまことに申しわけないと申しましたように交通総合政策の上から若干遺憾な点があったのが、あるいは今日その事業が開始されないということであるのかもしれないと存じております。  そこで、今後におきましては、さようなことがないように、総合政策の観点に立ちまして重点的に空港の整備をしていきたい、先ほどお答え申し上げましたとおりでございます。
  168. 久保三郎

    ○久保委員 もう一つこの問題で航空局長にお尋ねしたいのですが、航空機の輸送分野というものは、距離にして大体どの程度と考えておりますか。そういうのが一つありますね。陸上交通の面との分野を分かち合うというたてまえからいって、どの程度までが大体航空機の分野であると考えておられますか。
  169. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 これは離島の関係その他もございますので、一がいには申せませんが、鉄道との関係におきましては、やはり現在の例でございますと、仙台あるいは新潟というような距離以上というものが適当ではないか。もちろん、特殊な事情によりまして、それより近距離というものも必要でございますし、現にそれより近い航空路線も存在するわけでございますが、やはり長距離になれば航空の利便というものがさらに大きくなるわけでございますので、具体的にはそのくらいのところが適当ではないか、かように考えております。
  170. 久保三郎

    ○久保委員 その問題ははっきりした御答弁が出ないようでありますから、これはまたあとで引き続き質問をさせてもらいましょう。  そこで要求大臣がまだ見えないようでありますが、おいでなりますか。なければこの辺で打ち切っておいて、あとで、後刻またしたいと思います。  次に、ひとつ大臣が見えるまで関連して御答弁を聞きますが、管制の問題ですね。米軍との間では管制は円滑にいっているのかどうか。それからもう一つは、合同委員会の取りきめによって緊急の場合は日本の管制は全部移譲するわけですね。そうですね。これはいままでにそういう実例があったかどうか聞きたい。
  171. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 米軍との間の管制の調整の問題でございますが、これは円滑にいっております。そこでこれにつきましては、両方の専門家間で随時協議をやっております。この点については、先ほど申し上げましたように、東京から西に行くジェットルートというようなものの流通というものが羽田で整備されましたのに応じまして開設を見たというような点から見ましても、かなり先方もこちらの実態を把握しておるというふうに考えられます。  それから、米軍に管制の権限を移譲したというようなことはございません。
  172. 久保三郎

    ○久保委員 それでは合同委員会の合意でありますが、三十四年六月の合意の四号「防空上緊急の必要があるときは、防空担当機関が保安管制を行なうことに同意している。」というのをこの中で言っているのです。防空担当機関とは何をさしているのか。
  173. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 いまの防空担当機関の定義につきましては、管制課長から説明させます。
  174. 泉靖二

    ○泉説明員 お答えいたします。ここで申します保安管制というのは、航空交通管制ではございませんで、緊急な国家非常の事態が生じた場合に、航空交通管制に対しましてある種の優先権を要求する、そのような行為でございます。航空交通管制ではございません。
  175. 久保三郎

    ○久保委員 保安管制とは何を言うのか。
  176. 泉靖二

    ○泉説明員 これは航空交通管制機関に対して国家非常の際にある種の制限を加える、たとえば、具体的に申しますれば、ここの空域には民間機は飛んでくれるな、あるいは防空に従事するものに最大の優先権を与えてくれ、このような要求をすることだと了解いたしております。
  177. 久保三郎

    ○久保委員 優先権の問題は別なところに言及してますね。そうしますと、もう一つ聞きますが、先ほど聞いたのですが、わかりませんでしたが、防空担当機関というのは何をさすのですか。
  178. 泉靖二

    ○泉説明員 これは米空軍及び日本の防衛機関をさすと思います。
  179. 久保三郎

    ○久保委員 日本の自衛隊ですね、それも入る。そうしますと、混乱いたしますが、航空自衛隊のどこです、司令官ですか、あるいは米軍の場合はどこの司令官——そういう機関ですね。そうでしょうな。どうなんですか。
  180. 泉靖二

    ○泉説明員 明確にどこの機関からということは規定されておりません。一応常識的には防空を担当しておる機関、これの具体的なあらわれといたしましては、管制木部に対してそのような要求をする場合には、防衛庁のAMISという機関が隣にございます、これがこの要求をいたす、あるいは別個の機関からこのような要求があるか、その辺は明瞭にはきまっておりません。
  181. 久保三郎

    ○久保委員 管制課長ですから御専門だと思うのでありますが、明瞭にきまっていないが、米軍の防空を担当するものと言えば、広い意味ではたくさんいますね。あるいは自衛隊もいますね。自衛隊の航空司令官というのか何か知りませんが、幕僚もおりますね。それからそれぞれの師団か連隊か知りませんが、そういうもののいわゆる責任者もおりますね。もっとも、一々そういうことになりますと、どこから来てもということになりますね。そういうことなんですか。それぞれのところからそのときに応じて来るのでございますから、そうすれば、はいと返事をすればいい、これはこういうことですか。
  182. 泉靖二

    ○泉説明員 現在までそのような例がございませんので、明瞭にどの機関を通じてどの手続でやるということはきまっておりません。
  183. 久保三郎

    ○久保委員 いままで防衛上緊急の必要がなかったわけですね。全然ない。たとえば先年キューバでは米ソの緊急の問題があった。そのときには航空自衛隊を含めてスクランブルに入るというか、緊急防衛体制というか、要撃体制に入ったわけですね。そういう場合は、これはないのですか。
  184. 泉靖二

    ○泉説明員 そのような場合には別の項目でブロック・アルティチュードという項目がございます。これは一定の空域を専有させてくれ、短時間あるいは空域を限りまして、ある空域を専有させてくれという申し出がございます。このケースはございますが、そこにございます保安管制というものが直接発動された例は存じておりません。
  185. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、あなたがおっしゃるのはいわゆる三十四年六月の合意で第.二号ですか。先ほど質問を航空局長にした、いわゆる「防空任務に従事する軍用機に対しては交通管制上、最優先権を与えることに同意している。これらの軍用機の離着陸に際しては、その迅速な行動を可能ならしめるため予め定められた一定の空域をあけるように他の航空機の管制が行なわれる。」これですか。
  186. 泉靖二

    ○泉説明員 その項目ではございませんで、一定の高度制限の項目でやっております。
  187. 久保三郎

    ○久保委員 それはいつの合意で何号ですか。
  188. 泉靖二

    ○泉説明員 お答えいたします。第三章のg、「在日合衆国軍の要求に基づき、民間、軍を問わず、すべての航空機関に優先する航路制限を航空交通管制木部を通じて提供する。」これでやっております。
  189. 久保三郎

    ○久保委員 それはちょっと持っておらないから、あとで見せてもらいます。そこで、大臣がいらっしゃったから、河野大臣とあわせて質問をしたいのだが、河野大臣がまだおくれているようだから、あとからまた別途にやります。  先般来、大臣にも各方面からお尋ねがありましたが、この第二国際空港、いわゆる新東京国際空港の位置の選定は、組織法かによって運輸大臣の専管事項である、しかし、問題が大きいので、政府の内部においては関係閣僚懇談会か知りませんが会議によってきめていく、こういうことになっているわけですね。そこでこの座長というのは運輸大臣でなくて、いわゆる河野国務大臣というふうになっておるのですね。そこで運輸大臣にお尋ねしたいのは、この第二国際空港をいまの時期までにきめられなかった原因というのは大ざっぱに見て何ですか。なぜ専管事項できめないのか、単にこの問題は大きいからということできめられなかったのか、それとも別な理由できめられないまま、本末転倒であるが、空港公団法を出してきた、こういうことなんでありますか、どちらでしょう。
  190. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 御承知のように七百万坪もの大きな、羽田の七倍もあるような国際新空港でございますからしたがって資金も国費も膨大に使わなければならぬというので——なるほど運輸大臣の専管事項ではありますが、結局関係閣僚懇談会を開くほうがいいというのが佐藤総理大臣の考えでございまして、佐藤総理大臣と相談いたしまして、もちろん皆さんのいろいろな意見を取り入れてやることのほうがいいと私も考えましたから、そこで七大臣の協議の一致する点に持っていこうということを考えて、関係閣僚懇談会を開いたのであります。それでいろいろやっている間にどうしてもこれは公団でなければ、役所の片手間ではとてもできない、ということは、まず第一に場所を選定するとすぐ土地が上がるのです。役所には予算があったりいろいろの制限があるものですから自由に値段をきめたり、土塊をきめたりすることができない、でございますから役所が決定する前にいろいろなスタンバイをしておきまして、それで決定しましたならばすぐ公団を組織して土地の買収をする、同時に工事も公団がやる。さらにできた後の管理、経営も公団がやるということで、いままで他の国の例を調べましたが、これだけの空港であれば相当国際収支の均衡の上の貿易外収入も相当にあるという見通しで、公団は黒字でいくことができるだろうという見通しもついております。そういう諸般の関係から、私はこの閣僚懇談会に案を提案することはいたします。しかし、これはやはり相談の上で、皆さんの御了解を得なければ、農地の場合は農林省の御協力を得なければならぬ、道路の場合は建設省の御協力を得なければならぬ、その他科学技術の問題については文部省の了解を得なければならぬというように、いろいろな関係がありますし、また防衛庁にも相談しなければならぬ事項も起こってくるというようなことで、一省で専管事項であるから黙ってきめてもいいということではございますが、やはり閣内は平和のうちに一致協力してやるべきであるという点から、閣僚懇談会を開くに至ったのであります。
  191. 久保三郎

    ○久保委員 一致してということでありますから——これは一致していったほうがいいのですが、そこでいまだに閣僚懇談会も結論をお出しにならぬが、問題点は何ですか。いろいろ候補地を運輸大臣のほうではお出しになるのですが、運輸大臣のほうでお出しになったのは、航空審議会の答申に基づくものをお出しになっておられるのですが、そのほかに候補地らしきものがいろいろ話題にのりて、それを逐次検討しておられるのですか、いずれですか。
  192. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 この間もここで発表いたしましたが、第一候補地は何といりても富里及び霞ケ浦であります。そのほかに、その閣僚懇談会の中で東京湾の埋め立ても候補として一応調査するほうがいいということになりましても現在は三つあります。しかし、航空審議会の答申が優先的のものであると認めております。
  193. 久保三郎

    ○久保委員 どうも運輸大臣ベースのものの考え方でお話ですが、私は閣僚懇談会の全体の空気をお尋ねしておるわけです。全体としてはどうなんですか。いわゆる閣僚懇談会というものの意向は那辺にありやとこう聞いておるのです。運輸大臣はその中のメンバーの一人でありますから……。
  194. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 いま申し上げましたようなことが最終的の閣僚懇談会の意向でありまして、その後、この決議に基づきまして、次官会議においてそれぞれ部門を分けていま検討中でありまして、大体話はきまっておりますから、一日も早で法案を通していただけば、第二条に基づいて個所を決定し、同時に公団を発足さして、そうして予定のコースに進んでいきたいと思っております。
  195. 久保三郎

    ○久保委員 早く法案を通せばきめるというのだが、なるほどこの法案はそういう形でできていますね。法案が通って政令で場所をきめればこの公団は動き出す、こういう法律もあるもんかなと思って実はふしぎに思っているくらいなんでありまして、政令で場所がきまればあとは自動的に公団ができる、ものの順序が違いやしないか。まあ佐藤内閣になりましてもらしばらくになるが、池田内閣の引き継ぎでありますから、なかなかそううまくはいかぬだろうとは思いますけれども、ものの順序ぐらいは、大臣、閣僚でありますから、おわかりのとおりだと思う。候補地を決定してきて、候補地がここにきまった、ついては公団でやるかいままでの方式でやるか、この是非を問うべきだと思うのです。そういうところがどうもわれわれとしては納得しがたい一つの大きな点であります。  それじゃいつごろにめどをつけるのですか、運輸大臣としては。国務大臣じゃなくて運輸大臣としてはいつごろに政令できめるのですか。それは大体いつきまるとは書いてありませんから、いりごろまでにはきまりそうだ、きまる、こういうのはお見通しはどうなんですか。
  196. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 さっき申し上げましたように、どこにやるということをいま言えばすぐ土地が暴騰いたしますからそれはいよいよのときでなければ発表することはできないと思いますから、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  197. 久保三郎

    ○久保委員 土地が暴騰するとおっしゃるけれども、大臣、それは違うじゃないですか。結局目あてがないということですよ。たとえば国会が終わってこの法案が幸いにして通過した、そのとたんに発表されても、公団が動き出して、それは測量もしないとならぬ、買収の手続もしなければならぬ。そのうちにはどんどん上がりますよ。やはりたいした暴騰——時間の問題は、いま発表できるものならこれは当然あとでも発表できるのです。あとで発表できるものならいま答弁できるのですね。それは閣内でなかなかまとまりがつかぬということにとらざるを得ないと思うのであります。いずれにしても、先ほど来からいろいろ話が出ておりますが、これは国家百年の計の上に立ってやるべき仕事でありますから、十分国民が納得するように、利用者が便利ということだけでやるべきではないのです。これは国民生活に非常な影響をもたらすものでありますし、しかも国費を使ってやるのでありますからね。何か、提案理由の説明か、この間じゅうの参考人の話を聞くと、利用者が一番便利便利と言う。利用者が便利なのはけっこうなことでありますが、その前に国民大衆が理解と納得を持つような形で決定しなければいかぬ。だからいまの手続は全(逆であるというふうに言いたいのであります。  時間がありませんから、次に事務的なことを聞きましょう。航空局長にお尋ねしたいのは、要員の確保についてはどうなんですか。おおよそ要員は何人くらい、この公団ができたら必要なのか。そして附則のほうを見ると、国有鉄道のほうの共済組合員の身分の問題について言及しているが、国鉄のほうから要員を確保するつもりなのかどうか、どうなのか。簡単に答弁してください。
  198. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 公団職員数につきましてはまだ最終的に決定しておりません。腹案としましては三百数十名ということを考えておりますが、これはまだ大蔵省と最終的にきまった数字ではございません。  それから、要員でございますが、これは各種の専門技術者を要しますので、運輸省の技術者はもちろんのことでございますが、そのほか国鉄あるいは他官庁の専門家という人々あるいは民間の専門家というような人にもぜひ来てもらいたいというふうに考えております。
  199. 久保三郎

    ○久保委員 国鉄は、先般この委員会にも運輸大臣もいらっしゃって、たとえば建設公団法案のときに建設公団は多量に技術者が要るということ、国鉄当局はやはり長期計画の中で要員、特に工事要員が不足である、こういうことで話は合わなかったわけです。これまたどの程度の要員を、国鉄あるいは運輸省に——運輸省というと航空局管内だと思うのでありますが、特に国鉄から要員をどの程度希望されるかわかりませんが、これはなかなか容易ではないだろうと私は見ています。いずれにしても、これは参考のために聞いておきましよう。  それから資金調達の方法でありますが、これはこの中には公団債を発行するということになっておりますが、おおよそどんな程度に発行し、予算支出はどの程度に考えているのか、どういつだ規模になるのか、いわゆる資金調達方法はどういうふうに考えているか。
  200. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 この点につきましては、先ほど大蔵省のほうからの説明がございまして、具体的な数字の発表はもちろんなかったのでございますけれども、この点まだ大蔵省と最終的な調整はついておりません。ただ、私どものほうとしましては政府出資というものを当初は五億でございますが、今後相当の額を要求いたしたい。そして、それが認められましても不足資金が出ますので、これらの財源というようなことで民間資金を導入していきたい、かように考えておりますが、まだ大蔵省との間で調整中であります。
  201. 久保三郎

    ○久保委員 時間がきたようでありますから一応この程度にしますが、この公団法は、いうならば佐藤内閣の政治力の弱さの表現だろうと私は思うのです。たいへん失礼でありますが。国際空港というものを選定しないままに、いわゆる公団だけをやってくれという——ものには順序がございます。空港の候補地はこの辺につくりたい、ついては建設の方式としては公団方式、資金の調達はこうこう、要員はこのとおりというのが順序でございまして、いままでの御説明からいくならば、候補地については残念ながら決定はしていない、いつきまるかもわからないということでございまして、これはたいへんな間違いだろうと私は思うのであります。いずれにしても河野大臣はまだ見えておりませんけれども、次会に来るでしょうから、そのときにでも政府部内におけるところの座長にお考えのほどを聞きたい、こう思います。
  202. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 佐藤内閣の微力だというお話については反対であります。微力か微力でないか、やらしてみなければわからぬじゃありませんか。私どもは真剣に国務に取り組んでおりまして、簡単に質問応答の場合のことばを使われるについてはどうも不満であります。早く決定するといっても、法案を出しておる以上、法案がきまらなければこれは決定できないのです。法案がきまればすぐもうやれるだけに七人の閣僚の相談も、総理の了解も得ておりますから、法案さえきめていただけばすぐ発動することができるのであります。でありますから、どうも佐藤内閣が弱体だなんということをひとつ言わぬようにしてもらいたい。
  203. 久保三郎

    ○久保委員 それは、弱体でなければ、別に本末転倒のように思われるような法案はお出しにならぬほうがいいじゃないですか。  それじゃお尋ねしますが、第二国際空港の選定の位置は政令でなくちゃきめられないのですか、いかがですか。政令だけでしかきめられないのですか。これは、国際空港の位置決定は運輸大臣の専管事項で、政令は必要ないのです。必要なら単独で政令でおやりになったらいいでしょう。何もこの法案は要らないのですよ、そういうことをおっしゃるなら。
  204. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 それは、考え方によってはそうなんです。しかし、閣議の了解事項として出しても、ひとりの閣僚が反対したら、これはこわれてしまうのです。だから、やはり閣議に出す前に、これは政令でやることになっておりますが、政令でやることでなくても閣議の了解を得なければならない大きな問題なんです。その場合に、ひとりの閣僚なり三人の閣僚が反対すればできないのです。だから、専管であっても、やはり事前に相談するということが必要なんです。私は、それがほんとうの民主政治だと思うのです。
  205. 久保三郎

    ○久保委員 それは大臣、あなたがおっしゃる気持ちはわかるんですよ。だけれども、結局そんな話が煮詰まってからお出しになって、これはおそくないんですよ。そうでしょう。
  206. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 煮詰めるためにやっているのです。
  207. 久保三郎

    ○久保委員 煮詰めるためにといったって、大体手順がおそいんです。だから閣僚の中で反対する者があるからいま閣僚懇談会を開いているんでしょう。
  208. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 いや、あまり反対じゃありません。
  209. 久保三郎

    ○久保委員 筋からいけば、いわゆる第二国際空港はあなたが選定するというんだね。きめるのでしょう。きめる場合には、航空審議会の答申に基づいてきめるというのが一つの筋なんです。その答申を尊重するかしないかが筋として一つの問題があります。あがってきた候補地については、必ずしも私は問題がないということじゃないのですよ。筋からいけばそうなんです。それが押し通せないところにいわゆる佐藤内閣の弱さがあるんじゃないかということは、これは当然言われていいんじゃないんですか。強かったら、とっくにきまっていますよ。いや、運輸大臣が弱いとか、強いとかいうのじゃないですよ。佐藤内閣自体が弱いからだ、こう言っているのです。誤解のないようにしてください。
  210. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 運輸大臣は佐藤内閣の下におりますから、佐藤内閣が弱いということは、同じですよ。
  211. 長谷川峻

    長谷川委員長 他に御質疑はございませんか。——他に質疑もございませんので、本案に付する質疑はこれにて終局いたしました。  明二十八日午後一時より開会することとし、大日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会