運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-04-14 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十四日(水曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 大西 正男君 理事 關谷 勝利君    理事 田邉 國男君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       佐々木義武君    田澤 吉郎君       増田甲子七君    小川 三男君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       内海  清君    竹谷源太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  深草 克巳君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         参  考  人         (産業計画会議         委員)     伊藤  剛君         参  考  人         (日本航空株式         会社理事)         (航務整備本部         副本部長付(機         長))     江島 三郎君         参  考  人         (航空審議会委         員長)     平山  孝君         参  考  人         (法政大学教         授)      松浦 四郎君         参  考  人         (日本航空株式         会社社長)   松尾 静麿君     ――――――――――――― 四月十四日  委員内海清君辞任につき、その補欠として本島  百合子君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  新東京国際空港公団法案内閣提出第一〇三  号)  日本国有鉄道の経営に関する件(小口貨物の集  約に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  新東京国際空港公団法案を議題とし、審査を行ないます。  本日、参考人としてお呼びいたしております方々は、産業計画会議委員伊藤剛君、日本航空株式会社理事航務整備本部本部長付機長江島三郎君、航空審議会委員長平山孝君、法政大学教授松浦四郎君、日本航空株式会社社長松尾静麿君、以上五名の方々であります。  この際、一言委員会を代表いたしまして私よりごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、御多忙中にもかかわらず、御出席くださいましてまことにありがとうございます。申すまでもなく、世界航空機進歩発展に伴って、わが国の航空も目ざましい発展を示しておりますが、将来旅客需要の伸びと航空機発着回数増加傾向及びSST使用等によって、その能力の限界に達するものと思われますので、この際、世界主要国国際空港並みの新空港建設が必要とされております。  つきましては、新空港候補地選定立地条件規模施設、完成時期及び航空機事故防止等の観点について、それぞれの立場から忌憚のない御意見を承り、もって本案審査の貴重な参考に供したいと存じます。  なお、御意見の開陳はお一人十分程度お願いいたします。  それでは伊藤参考人からお願いいたします。
  3. 伊藤剛

    伊藤参考人 産業計画会議伊藤でございます。  本院が新しく設けられる国際空港建設につきまして、私ども考えを御聴取いただける機会を与えられましたことをまず感謝いたします。  私どもは、当初新空港がかなり早い時期に必要になるのではないかと考えておりまして、昨年三月、私どもの構想を取りまとめたものを発表いたしました。それは皆さんのお手元にパンフレットとして差し上げてございます。その後、若干情勢が変わりまして、かえって好都合になったと思っております。といいますのは、超音速機開発米国一国に限られてくるような形勢となったことと、四十五年ころに就航可能と見られていましたものが、二、三年先に延びる見込みとなったことでございます。したがって、国際空港建設に対して基礎になる技術的調査を十分慎重に行ない得る時間が与えられたと思うのであります。ただ、羽田空港のキャパシティが急激に飽和に近づきつつありますので、この点からいいますと、新空港建設は先ほどのSST開発関係なく、適当の時期までに開始すべきものだと考えております。  一昨年、航空審議会が新空港候補地として千葉県の富里、茨城県の霞ヶ浦地区などを御答申されまして、最近では政府部内にも有力な候補地が固まりつつあると聞いておりますが、霞ケ浦富里とも、気象地質その他についてまだ不明確な点が非常に多く残っていると思います。候補地点につきましては、実際に調査を行ないまして、そのあとで結論を出す時間的余裕が生じたことは、この意味におきまして検討を十分にできますものですから、政府当局におきまして十分調査をしていただきたい、こう思う次第なんでございます。  私ども産業計画会議が、技術的には、候補地について、交通気象地質等実態調査を要望したのでありますが、経済的には特に利用者便宜を第一義的に考えていただくよう要望してまいりました。その最大の条件は、都心と新空港間の距離のことでございます。現在既設の世界各国国際空港を見ますと、まれには都心との距離が四十キロ、例といたしまして、ロンドンガドウィック空港、ミラノのアルペンサ空港、ストックホルムのアルラシド空港のように四十キロ以上あるところもございますけれども、おもな空港は、たとえばニューヨークの国際空港ロンドンヒースロウ空港、アムステルダムやコペンハーゲン、パリ、それから東南アジアのバンコック空港等を見ましても、いずれも都心から二十キロ台のところにございまして、超音速機用に新しく計画されている米国、フランス、これはおそらく超音速機時代の欧州のエアポートというべきところになると思いますが、これらの空港でも大体この程度距離のところに限定されているように思われます。これは新空港の第一条件といってもよいと思われますが、都心から可能な限りの最短地点につくることを私ども要望してきたのでございます。  私どもの計算によりますと、年間千四百ないし千五百万人の旅客数になりますと、空港連絡のための交通費は一キロ当たり年間十億円を要し、十キロにいたしますと百億円にもなりますから、新しい空港位置が近いところであれば、建設費が多少高くなりましてもたちまち償却できる勘定になると思うのでございます。  一例をあげますと、霞ケ浦に設置された場合、稲敷台地になることと思いますが、直線ではかっても都心から六十キロ以上になります。都心高速自動車専用道路をつくるとしますと、七十キロ以上になります。現在のタクシー料金で計算いたしますと、片道で三千七、八百円になります。ハイヤーで参りますと片道七千円にもなります。これは片道料金で、往復、待ち時間を入れますともっと、二倍以上になるのであります。したがいまして、私どもといたしましては、新空港建設については、その連絡用高速道路と一体と考えて、その建設費を検討されんことを希望しております。  その点に関して申し上げますが、現在東京都内におきまして、交通混雑が、一部の交差点ばかりでなく、かなりの広い地区にわたってございまして、ことに都内東北部、すなわち江戸川、足立、荒川、各方面にかけて非常に交通混雑しております。これらの地帯はまた人口が稠密しておりますから、高速道路をつくらなければなりませんが、もしつくるといたしましても、その用地買収費がたいへんになると思います。空港自体建設費よりも道路建設費が高くなるとは申しませんが、ほとんど同じくらいになるおそれがあると思われます。これは富里に選ばれた場合でも同じでございます。  さらにこの両地点につきまして私どもが持っております疑問点を申し上げます。それはさきに申し上げましたように、この地点はまだ気象の実際を十分調べたものがございません。最も近いところのものは、富里の場合では三里塚の牧場、霞ケ浦の場合は土浦真鍋町の気象が観測されておりますが、気象庁が発行した気象旬報別冊について調べてみますと、過去十年間の平均で、一年の雨の日数が、土浦では百三十九日、三里塚は百四十二日、霧の日数が、土浦では一年間に十七・七日、三里塚では十六・四日、それから暴風日数が、土浦では六・一日、三里塚では十四・六日それから結氷、氷が張ることですが、土浦では六十三日、三里塚では六十一・八日となっております。霞ケ浦はかなり霧の多いところでございます。日本人では霧と霞の区別をあまりしておりませんが、霞ケ浦の名前も霧の多いところから起こっているように思われるのでございます。この土浦真鍋地区観測地点は湖岸から一・六キロの地点で、海抜二十三メートルのところでございますが、実際の霧は湖面ではもっと多いものと思われます。これに引きかえまして、東京湾木更津沖は、雨の日数は大体同じですが、霧のごときは年間わずか二日ぐらいでございます。暴風日数結氷日数積雪日数とも、富里霞ケ浦に比べますと、非常に好条件になっております。富里につきましては、また別の疑問もございます。それはこの地方では人家がそれぞれ防砂林あるいは防風林を持っておりますが、非常にこまかい砂が飛ぶ地帯でございます。それは関東ローム地帯でも最も粒のこまかい土質からなっている地帯でございまして、その地盤の下には良好な成田層もございます。それから飛行場はもちろん草地あるいは舗装をいたしますが、それでも航空機にとってはやっかいな問題を秘めていることと思います。その上に、この富里におきましては地層が非常に複雑でございまして、均質を欠いておりますので、滑走路をつくるなどという場合、意外に金がかかる工事になるおそれがあります。非常に安くあがるということは、慎重に検討した上でないと結論できない、こう考えておるのであります。この意味におきまして、木更津沖は、東京湾木更津沖でございますが、地盤はあまりよくないんですが、それは均質な洪積層からなっておりまして、地盤の悪い沖積層のところはごくわずかで、わずか一割程度にすぎません。また埋め立てするための土も容易に得られます。その上に、木更津の場合、私どもの主張しております木更津-川崎間の横断堤建設を前提といたしますが、この横断堤は、やはりパンフレット皆さんのお机にお配りしておきましたが、これは東京湾に来襲します高潮の防止と、それから千葉との間の交通路として、効果の点からいってもぜひ早急に実現されるべきものと考えております。これは運輸省ですでに一部海底の調査を始められております。  それから次にまた新しい国際空港七百万坪といっても、さしあたっては四百万坪くらいで十分間に合うと考えます。それから以後必要に応じまして用地を造成していけばいいわけで、この点海面では非常に自由にできます。  それから超音速機になりますと、騒音が現在のジェット機より少なくとも小さくなるとは思われませんが、その騒音海面に抜ける被害も最小にするという便宜がございます。  さらに航空機事故はおおむね離着陸の前後が多いのでありますが、周囲東京湾のような海面ですと、万一の際の第三者の被害を避け得る点では非常にまさっているものだ、こういうふうに考えております。これら保安上の利点は、非常に大切なことだと考えます。  次に、霞ケ浦飛行場を御選定なさった場合特に御注意願いたいのは、治水利水の問題でございます。治水とは洪水防止それから利水とはその水の利用の問題であります。霞ヶ浦は底が非常に浅くて、それから水面の標高が非常に低く海と大差ございません。したがって、ダムによってつくる人工の貯水池とは、だいぶ趣を異にしておりまして、したがって、霞ケ浦治水利水効果考えます場合面積の大小が決定的の要素になります。もし水面埋め立てる場合、一割埋め立てれば一割だけ効果が落ちまして、沿岸の洪水被害が増し、また利根本川にすら悪影響を生じてくるのでございます。利水についても同じでありまして、湖の面積が減ればそれだけ効果が減ります。  それからまた霞ケ浦観光漁業としてワカサギその他の漁業がございますが、埋め立てにより相当マイナス面があると思われます。といいますのは、実はいま建設省が琵琶湖に横断堤をつくられる計画のもとに治水利水漁業影響調査をやっておりますが、その規模は何億というオーダーの金をかけまして、非常に大ぜいの専門家を動員しまして、三年くらいかけております。したがいまして、もし霞ケ浦埋め立てによる空港建設されるならば、このような十分な調査が必ず必要だと考えるのでございます。その点、現在の運輸省の御当局調査に対する熱意がはなはだ少なくて、三十九年度にわずかながらでも調査予算がついたと伺っておりますが、ほとんどその調査費を使わなかった由であります。これは由でございまして、確実なことではなく、またそれを希望しておるわけでございますけれども、そのような調査に不熱意だった点は、私ども非常に心外としておるところであります。  私ども意見は大体以上のようでございます。どうぞ御了承願います。
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に平山参考人お願いいたします。
  5. 平山孝

    平山参考人 私、航空審議会委員長をいたしております平山でございます。実は本日は何か御質問によって、それにお答えをするのかと思っておったのでございますが、ただいま委員長からお話がございましたので、航空審議会国際空港を決定いたしました経過につきまして、ごく簡単に申し上げてみたいと思うのでございます。  もう先生方承知のように、この国際空港の問題はいわゆる純技術的な問題でございます。また国際的な問題であると思うのでございます。国際的に通用いたしません飛行場をつくりましても、これは何もならないのでございます。世界各国飛行機会社が安心して来れるような飛行場でございませんと、これは何もならないと思うのでございます。ことに超音速旅客機東京-大阪十分というような高速飛行機が飛びます飛行場でございますので、最も注意をしなければなりませんことは安全性であろうと思うのでございます。したがいまして、航空審議会といたしましては、国際空港位置選定する場合に、気象条件でございますとか、あるいは滑走路をつくるための地質とか地盤の問題、それから、最も重点を置きましたのはいわゆる航空管制上の問題、飛行機安全性の問題でございます。それから、そのほかに、都心との距離でございますとかあるいはジェット機によります騒音防止の問題、それから、さらに周囲地形の問題、たとえば人口稠密なところが周囲にございますと、事故でもありますとたいへんなことになりますので、周囲地形の状態、あるいは将来の飛行機発着回数の増加問題、一体どの程度飛行機発着回数が増加するか、それに対応できるものでないといけませんので、そういうものの予想でございます。それから最後には、やはり建設費が安くできるほうがよろしゅうございますから、建設費の問題、それから都心との道路の問題、そういったように非常に問題が多いのでございます。  そこで、航空審議会といたしましては、これらの点に関します各専門方々、現在日本で得られます最も権威のある方々専門委員お願いをいたしまして、八名の方々専門委員お願いをいたしたのでございますが、それらの方々意見を十分に聴取いたしまして、それら全委員の御賛成を得まして政府当局にお出しをいたしましたのが、皆さまごらんになったと思いますが、航空審議会答申なのでございます。  その中に、富里を第一候補といたしまして、第二候補霞ケ浦ということで答申を出したのでございます。この答申ならば、おそらく――世界のどこの国が見ましても、これならばだいじょうぶ、安心して飛行機が発着できるというようなものでございませんと、第二国際空港の問題は国家百年の大計であろうと思いますので、十分に安心のできるものでないといけないと思いますことと、それからもう一つは、SST世界に飛びます時期が一体どの程度で、いつごろになるだろうかということにつきましては、いろいろお話もあるようでございますが、しかし、それに十分間に合うように飛行場をつくりませんと、日本は取り残されてしまうのではないかというような考えで、実は答申をつくるにつきましても各先生方に非常に御努力を願いまして、早急につくったわけでございます。  以上のような経過によりまして答申案をつくりましたので、航空審議会といたしましては、御答申申し上げましたとおり、いろいろの建設上の困難はございましても、航空管制上最も安全で、そうして将来性のある富里地点が一番いいのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。  簡単でございますが、経過を御報告申し上げまして、また御質問でもございましたらお答えを申し上げたいと存じます。
  6. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、松浦参考人お願いをいたします。
  7. 松浦四郎

    松浦参考人 私の考えでは、空港を選ぶ場合にはやはり安全性と申しますか、大きな事故防止することを第一の要件にいたします。もちろん、先ほどお話がありましたように、都心からの交通の便というようなことも重要なことであります。それもさることながら、まず事故防止するということのほうがより大きいのではないか。これまでの航空事故は、大体において離陸の場合あるいは着陸の場合、航空機自身事故であったのでありますが、これからは空中衝突といいますか、空中での航空機航空機との事故、つまり現在地上の自動車その他で盛んに見られておりますが、そういうふうな空中衝突事故もかなり考えなくちゃならない。この空中で衝突しましたときには、衝突した当事者と申しますか、その両方の航空機が大きな被害を受けるだけではない。事故があってから、安全な場所を選んで着陸するというような余裕はとてもございません。直ちにその下へまっさかさまに落ちる。こういうことになりますと、その下の住民の被害が非常に大きくなります。そういうことも考えなくちゃならないと思います。  それでは、具体的にどこがどうかということになりますと非常に困難でありますけれども、まず東京の周辺、東京湾の中、そういうところでは、先ほど申し上げました管制上、空域が非常に狭くなっております。そういう空中衝突に対する心配もかなり強いのではないか、このように考えられます。事故をいろろろ分析してみますと、操縦士過失ということがだいぶパーセンテージが多いというふうに見られておりますが、この操縦士過失というのも、必ずしも操縦士自身過失だけではないのでありまして、やはり空域の設定とかあるいは航空保安施設、そういうようなものが十分に行なわれていないと、安心して操縦することができない。操縦士が多少の不安でも持ったときには、いろいろの事故の誘因になるようなことも起こり得ると考えます。そういう点では、やはり空域が豊かにとれていて、空中衝突などの心配のないようなところ、そういうところをお選びになるのではないかと思います。  なお、御質問がございますれば、お答えいたしたいと思います。
  8. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、江島参考人お願いをいたします。
  9. 江島三郎

    江島参考人 私、日本航空に勤務中の江島でございます。私からは、実際飛んでいるものの側から、この問題について皆さま方お願いしたいと思う次第でございます。  前のお二方の御意見にもありますように、民間機というのは安全性優先第一だと思います。軍用機と違いまして、たくさんのお客も乗せている。軍用機だったら、任務のためには、ある程度安全性ということは犠牲になるときもあるかもしれませんけれども、一応民間機安全性優先第一、これを考えて、私は皆さまお願いする次第でございます。  この第二空港をつくる前に、私は第一の飛行場規模、それとこの飛行場位置、この二つについて、私の知っている限りのことで御説明申し上げたいと思うのでありますけれども、一応この規模については、航空局のほうから大体七百万坪のいわゆる空域が要るということがありまして、これにつきましては、私、説明を省きまして、では、どこにつくったほうが一番いいかというふうなことをお話ししたいと思うのです。  第一に、現在できている空港とそれから現在使用しているわれわれの航空路との相互関係、それともう一つはいわゆる大気条件、いわゆる気象問題、次に騒音、この三つを検討する必要があるんじゃないかと思います。  現在、この関東平野の地図、少々狭うございますけれども関東平野西側のすぐ東側、ここに軍用基地が、入間、立川、横田、厚木という四基地がありまして、これがこれらの離発着のために、御承知かと思うのですけれども、ブルー14という航空路がありまして、結局現在私らが使わしていただいておる東京空港西側が全部これでブロックされておる。われわれが現在離発着でき得るものはこの東側ばかり、北を少々使わしてもらっていますけれども、ということで、現在の羽田空港にして大体大ざっぱに言いますと、五〇%程度利用度しかない。だから今度第二空港をつくるにあたっては、いわゆるこれを一〇〇%の利用率ができるというところを皆さまお願いしたいわけでございまして、現在羽田飛行場を現在のまま生かすといたしますと、これよりやはりどうしても東側になる。じゃ、どのくらい離したらいいかということで、大体三十から四十マイルぐらい離せば、現在の羽田飛行場も十分活用できて、今度新空港も十二分に活用できるかと思います。  特に、また新空港位置として、私らが非常に気になるのは、まずわれわれの敵であるいわゆる気象、いわゆる霧、スモッグ、こういうようなことを頭に入れてぜひつくっていただきたい。と申しますのは、現在私らが羽田飛行場を使用する場合に、御承知のように多摩川の西側のほうにはコンビナートができておる。この煙で大体南、南西の風で相当障害を受けておる。その次に、現在また千葉のほうにコンビナートができ上がりまして、これが今度は風の場合には、いわゆる東京東側千住付近工場地帯と相待って、この千葉のほうのコンビナートの煙が東京湾一ぱいに広がるといったような状況で、現在東京湾に面したところではすでにこのスモッグによってある程度制約を受けるんじゃないかと思います。また現在非常に制約を受けています。そうすると、やはり東京湾以外の土地というふうなところになりますと、飛行場のそばにすぐ山があったり何かしたら、これは皆さん承知のように、いわゆるダウン・ドラフトとわれわれ申しておりますけれども、いわゆる風の擾乱と申しますか、これによって一番緊張いたします離陸着陸において非常な困難性考えられます。と言いますと、結局現在私らのほうで東京飛行場を使用するにあたりまして、東京飛行場着陸、おもに着陸を申しますけれども着陸のためには木更津に、北、東、南、西全部一応木更津に集まりまして、木更津から一本で東京のほうに向かっているというふうな状況であります。そこでよく飛行機がたまりまして、われわれはホールディングと申していますけれども、いわゆるほかの早く木更津に着いた飛行機のために、われわれは木更津の上で待期させられるというふうな状況が非常に多うございまして、この場合風が少し強いと・千葉の南のほうの、現在青く塗ってあるところ、この山もわりあい高うございまして、非常に気流が悪いというふうなところで、この飛行場位置選定については、私らが安心して離陸着陸ができるようなところというふうなことをお願いしたいわけでございます。と申しますのも、これは結局、飛行場のいわゆる設備といたしまして、ILSレーダーあたりで飛行機を誘導するというふうなことが今後活用されると思うのですけれども周囲に山があったり何かした場合には、飛行機の形が山に隠れて全然見えなくなるというふうな障害が出てくるわけで、現在候補地として富里霞ヶ浦、二つ選ばれておりますけれども、先ほどの御説明にちょっとありましたように、少々遠うございますけれども、この点は、われわれパイロットとしたら、やはりああいうふうな平たんな地であり、いわゆる他に障害のない土地をぜひ一応選んでいただきたいと思います。
  10. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、松尾参考人お願いいたします。
  11. 松尾静麿

    松尾参考人 日本航空松尾でございます。  四参考人方々からいろいろ御意見がございましたが、私も航空運送事業を営んでいる会社の責任者といたしまして、やはり安全が第一だというぐあいに考えるわけでございます。したがいまして、われわれ第一に考えますことは空域が一〇〇%生かされるということをぜひお願い申し上げたい、こういうぐあいに存ずるわけでございます。  いまも江島君のほうからお話がありましたとおり、羽田が現在五〇%しか空域が使われていない。私は、羽田は将来国内線の専用の空港として、これはどうしても使っていくべきだ、こういう便利な空港は二度と得られない、こういう前提に立って、新しい国際空港をぜひお選び願いたい、こういうぐあいに考えます。  それでは、東京では大きな飛行場をつくれば一つ飛行場でもいいかという問題が起こるのでありますが、私は、一つでは、どんな大きな空港をつくりましても、やはり将来まかない切れないと思います。ニューヨークをお調べになっても、ニューヨークは第四の飛行場SSTのために建設中、それからロンドン、パリをお調べになっても、第三のSSTのための空港建設している。それからドイツにいたしましても、第二の空港建設計画している。こういう大都市では、一つ空港ではどうしてもまかない切れない、やはり二つないし三つの空港が必要だということは、外国の大都市で実証されていると私は思うのであります。東京は御存じのとおり、人口からいきますと、世界的な大都市であり、少なくとも、私は、二つの空港は絶対に必要ではなかろうか、こういうぐあいに考えるわけであります。特に羽田でござますが、現在でも、御存じのとおり、羽田は非常に過密状態にございまして、航空局長がここにおいでになりますが、航空局長は、四十五年くらいまで羽田は使える、こういう見解のようでございます。私はもっと早く使えないようになるんじゃないかという気がしているわけでありまして、そういう意味からいきましても、私は国際空港建設はできるだけ急いでもらいたい、こういうことを熱望いたします。  と申しますのは、SSTは、先ほどもお話がありましたとおりに、英仏で計画しておりますコンコード、これも若干おくれております。私の得ました情報では、昭和四十四年にコンコードは初飛行する――実はこれは四十二年の計画であったのが四十四年に初飛行する。四十六、七年ころに実用化の予定だ、こういうぐあいに聞いております。それから日本航空が注文しておりまするアメリカのSST、これは音速の二・七倍と三倍――マッ八二・七、マッハ三・〇、この二つを試作しておるのでございますが、これが若干おくれる見込みでありまして、初飛行は昭和四十三年ころに、実用化は昭和四十七年以後昭和五十年の間、こういう目標で実施されているようでございます。  しかし、その前に私が特に申し上げたいことは、ジェット機の大型化が実現されつつあるという実情でございます。御存じのとおり日本航空で使っております一番大型機はDC8でございますが、DC8の新型機が計画されておりまして、すでに製造中でございます。これが明年の十一月から、昭和四十一年の十一月暮れから昭和四十二年の夏ころまでには実用化してくる。この飛行機は三十三万五千ポンドの重量でございまして、客席が二百五十くらい、こういう大型のジェット機でございまして、現在のDC8は三十一万五千ポンドでございますが、二万ポンドもふえておるということでございます。この大型機は、夏の八月の摂氏三十三度程度羽田の温度では、いまの羽田滑走路では足りない。一万二千フィートは必要だ。一万二千フィートと申しますと三千六百メートル、羽田の現在の滑走路は一万五百フィートでございますが、約二千フィートばかり足りないということが、現実に明年の暮れから明後年の夏までには起こってくる。したがいまして、ハンアメリカンあるいはノースウエストの航空会社はボーイング707の貨物機を使用しておりますが、これもやはり一万二千五百フィートくらいは滑走路が要る。そこで、この両社は近く日本政府に対しまして、羽田滑走路を二千フィート延ばしてくれということを国際機関を通じて申し入れをするというような情報も入っております。  こういうぐあいにジェット機は非常に合理化された輸送原価の安い輸送機でございますので、だんだんこれを大型化してくる、ますます輸送原価は安くなってくる、こういう傾向にありまして、なお、またSSTの前にもう一つ申し上げたいことは、米国軍用機といたしまして重兵たん輸送機、兵員なり軍用資材を送る輸送機、ジェットでございます。非常に大型のジェットC5Aと申しますが、これをアメリカ軍が試作命令を出しているという情報でございます。この飛行機は全備重量がいまのDC8の倍以上である七十二万五千ポンドというジェット機になるわけでありまして、これが昭和四十四年、いまから四年ぐらいで実現してくるといわれております。そしてまたアメリカでこの軍の兵たん輸送機を民間用にする計画を立てておりまして、これがおそらく民間の大型ジェット輸送機としてスーパーソニックよりも前に実現してくるということをお考え願いたいと存じます。これを民間の航空機に改造いたしました場合、お客は五百名から大体七百名を予想しておるということでございまして、こういう非常に大型ジェット機がスーパーソニックよりも前に実現してくるということもお考えに入れていただいて、滑走路の長さあるいは空域の問題、羽田を将来国内専用の空港として使うという前提に立って場所を選定してもらいたい、私はこういうぐあいに熱望いたします。御存じのとおり東京を中心とした空域は非常に狭いのでありまして、駐留軍の軍用基地、それから自衛隊の基地東京周辺にはたくさんございまして、おのずから空域が一〇〇%使える場所というものは限定されるわけでございます。  それからもう一つ、ここで申し上げたいことは、スーパーソニックの騒音の問題でございます。これは私が昨年ロッキードとボーイングのスーパーンニックの研究所を視察いたしましたが、私はロッキードの研究所長の技師にスーパーソニックを使う場合の空港位置はどういうぐあいに考えているかという質問をしたわけでございまして、彼が言いましたことは、スーパーソニック用の空港は都市から大体一時間ハイウェーで離れたところが適切であろう。それはなぜかと申しますと、先ほどもちょっと話に出ておりましたが、スーパーソニックのエンジンは離陸時に非常な大きな爆音を出す、少なくともいまのジェット機のおそらく二倍から三倍の爆音を出す。こういう爆音に対する点から考えても都市からできるだけ離れたほうがよろしいということが一つ。それから空中に上がって音速を突破するわけですが、音速を突破する場合は御存じのとおり非常に大きな衝撃波が出るわけであります。これは人畜に被害を及ぼすというものでございますが、この音速を突破する場合はできるだけ海の上でできるような場所が望ましい、こういうことをしきりに言っております。そういう点から考えまして、しかも東京の周辺、そして他の軍用基地なり羽田空域が接触しないという点から考えますと、もちろん気象問題も考えねばいけませんが、そういう点から考えますと、東京の周辺で、大体一時間行程というところになりますとおのずから場所はきまってくる、私はそういうぐあいに考えております。
  12. 長谷川峻

    長谷川委員長 これにて各参考人の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。
  14. 關谷勝利

    ○關谷委員 伊藤参考人にお尋ねをしてみたいと思うのですが、きょうあなたがお述べになりましたことは、これはこの新東京国際空港という産業計画会議の出しております中に詳しく書いてあるわけでありますが、この書物を拝見をいたしましたところが、どうも私たちのふに落ちないところがあるのでございます。最初に、これは失礼なことがたびたび中にあるかと思いますが、これは位置を決定する重大な問題でお尋ねをいたしますので、その点お許しを願いたいと思いますが、この産業計画会議委員のお名前を見ておりますと、この中には航空専門家の方はおられないようであります。私が寡聞にして知らないのかもわかりませんが、おいでにならないような気がいたしまするが、それはどうでございましょうか。それが一点。  それからこの計画をお立てになりまする際に専門家の御意見を聞いておつくりになりましたのかどうか。  この二点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  15. 伊藤剛

    伊藤参考人 産業計画会議委員の中に航空専門家がない、しかもこのパンフレットをつくったときにそのようなしろうとでつくったものではないかという御心配の御質問だと思いますが、私ども産業計画会議といたしまして、何か研究するときの課題はこの常任委員あるいは委員皆さんに伺いますが、研究をスタートいたしましてからはそれぞれの専門家、それは必ずしも日本国内だけとは限りません。そのような方の御意見を伺いながら、それから研究所その他のスタッフを利用いたしまして十分検討するわけであります。一例を申し上げますと、この航空のことではございませんが、たとえば東京湾横断堤のときはオランダからヤンセンという世界の第一人者を招きましたし、それからダムとかその他のときにつきましてはアメリカからそのほうの専門家を招いた、そういうことでやっておりますので、この常任委員及び委員の顔ぶれだけでこの研究を全部やり上げたのではないことを御了承願いたいと思います。
  16. 關谷勝利

    ○關谷委員 それでは少しお尋ねをいたしますが、この書類を読んでみますと、SSTができるんだから新しい空港をつくらなければならないのだというふうなことが強く主張をせられております。ところがまた一方には、あなたが書いておられますのは、昭和四十四年には羽田空港はもう限界にきて使えなくなるんだ。こういうふうに書いておるのです。羽田空港は四十四年で使えなくなるのに、SST開発がおくれればそれだけ慎重に考慮してのんでもよろしいのだ、こういうふうなことになりますと、四十四年から新しい空港ができるまでのその間のブランクはどのような処置をとられるのか、これで見ますとそこに妙なブランクができてくるのですが、これはどんなにお考えですか。
  17. 伊藤剛

    伊藤参考人 私の先ほどの説明が、多少その点不備であったと考えるわけなのでありますが、新しい空港といいますか、空港のキャパシティをふやす時期は、SST開発されるであろう時期と、それから羽田空港のキャパシティが足りなくなった時期、その両方をかみ合わせて考えるべきだ、一方的ではいけない、こう考えるわけなんです。  それで、羽田空港のいまの定期の数は、ここにほかの専門家参考人も御出席になっておりますが、大体現在七、八万台だと考えますが、いまキャパシティの約半分ぐらいまできております。今後の航空機の発着の伸びから見ますると、いままでのデータ以上にスピードアップいたしまして、その点先ほどの参考人の方のお話のように、四十四、五年までにあるいはもうキャパシティが満ぱいになるかもしれません。その際は二案があると思います。SST開発にかかわらず新しい空港を直ちに着工して、そっちのほうで吸収するという考え方と、SST開発というのに応じてそれにふさわしい最もいい空港をつくるためには、十分念入りにSSTの性能に応じた飛行場をつくる、こういう考えで多少新しい空港建設を延ばしまして、その間過渡的に羽田空港の、あるいは滑走路の増設、あるいは滑走路の延長、そういうことによりましていまのキャパシティを多少ふやす努力をしたらどうか。そのいずれかによってこの過渡期は過ごすべきだ、こう考えるわけでございます。
  18. 關谷勝利

    ○關谷委員 その過渡期が問題なのでありまして、私たちの考えておりますのは、羽田はもうほどなくあなた方の言われるように四十四年ないし四十五年には限界に達します。それで、その限界に達する、空域がなくなるから、新しい飛行場をつくるんだ、そのゆえに急がなければならぬのだ、もう少しの余裕もないんだ、ただしその飛行場をつくります際にSSTがあらわれてくるということを予想して、設計内容が、その規模が、そのSSTに対応のできるものになるべきだ、こう考えるとすなおに理解できるのです。ところが、これを見ますと、その矛盾が解決せられていないのです。航空局あたりでも、この産業計画会議あたりでも、SSTということが頭にきてしまって、そのためにこの表現のしかたがちょっと迷った、変な表現のしかたをしておるというから、私、ちょっとそういうふうになっておるんではないかということでお尋ねしたので、それはその程度でとどめます。  それから、これを読んでおりますと、管制問題に触れておらないようであります。また、触れておりますところが一ヵ所ありますが、そこは一番大事なことであるのに、管制を無視しても差しつかえないとこれに書いてある。これはたいへんなことなんです。安全性というようなことを考えなくてよろしいということばに通じるのでありますが、管制というふうな面につきましては考えたことがあるのかどうか。かりに――これでは羽田を廃止していいというようなことも書いてあります。これも私たちはたいへんなことで、先ほど松尾さんの言われたのと私たちは同じ意見なんですが、羽田は廃止しても差しつかえない、これは暴論でありますけれども、これも一応そういうふうなことがありと仮定いたしましても、ブルー14との関係というような抵触問題というようなことは避けられないのですが、こういうふうな点は一切お考えにならないのでございましたか、どうでしたか。
  19. 伊藤剛

    伊藤参考人 非常に短い時間にこのパンフレットを全部読んでいただいて、しかも非常に的を得ました御質問で、私答弁にあるいはちぐはぐになるかもしれませんが、もちろん航空ということは、ことに民間航空におきましては安全が第一だ、これは私もそう思います。それで管制が何々ということばがどっかにあったという御指摘ですが、私は実はまだその場所を発見できないのですが、管制というのは非常に必要です。ただし、私ども意見は、羽田空港の廃止を前提としておるわけです。羽田空港というのは第二空港としてなかなか価値がある、こういうお話でございますが、価値と同時に、いまの東京-横浜間の過密都市に対して非常にマイナス面を及ぼしているものだと思います。そういうような点がございまして、しかもこの羽田空港の百万坪は新しいその他の利用面が非常にございますので、管制につきましてはもちろん現実の米空軍の航空路ですか、それには木更津へ移した場合、羽田よりもよほどあぶなくなる、こう思います。先ほど羽田のホールディング・パターンが非常に米空軍の空路と接近しているというようなお話がありましたが、木更津に移しますと、その点もっと離れるわけでございます。  以上、私の正式の答弁は終わりますけれども、ちょっとつけ加えさしていただきたいのは、アメリカの空軍の飛行場の全部が現位置で絶対今後ともいなければならないという問題に対して、多少私疑問を持っているのでございます。
  20. 關谷勝利

    ○關谷委員 その点大事な問題でありますが、羽田を廃止するといたしましても、ブルー14との接触は避けられません。同じような結果になってまいりますので、この点重大な欠陥がここにある、私はこういうふうに考えております。  それからいま申しおくれましたが、管制上の影響を無視して差しつかえないと書いてあるかどうかというのでありますが、六ぺ-ジに書いてあるのです。これははっきりと書いてありますので、その点申し上げておきます。  それからいまちょっとお話が出ましたが、これにも、羽田東京及び川崎の臨海工業地帯を分断しておる、こう書いてある。木更津空港をつくる場合は、これまた五井とか姉崎の臨海工業地帯木更津の臨海工業地帯、これを分断することになってくるのです。現在あるところの分断はぐあいが悪いが、これからそこへ大きくつくっていこうとするあの木更津の、八幡製鉄がすでにきまっておりますが、そういうふうなもの、ごく近い将来にこれがやはり臨海工業地帯になろうとしておるのに、羽田がそれを分断してぐあいが悪、というのなら、千葉においてもまた同じ議論がここから出てこなければならぬ。一方はいいが一方は悪いということは、産業会議のこれを見ますと、木更津というところをまず想定をして、その木更津へやらなければならぬためにつくった作文がこれなんだというふうな気がどうしても私は離れません。そう思って読みますと、まことにこれはじょうずにできた本だ、かように考えるのでございますが、いまの臨海工業地帯を分断することが悪いというなら、千葉においても同じ、木更津においても同じことが言い得られるのではないか、こう思いますが、どうでございましょうか。
  21. 伊藤剛

    伊藤参考人 いまの二つの質問に答えます。  一つ管制路を無視するというのは六ページに確かにございます。しかしこれは羽田空港特有の管制システムを無視しても差しつかえない、何となれば、羽田空港の廃止を私どもは前提とし、かつそれが必要だと考えておる、こういうことなのでございます。  それから問題は第二の工業地帯の分断で、いろいろ私ども考えている以上の意のあるところを御推察願ったような御質問でございますが、そういうような気持ちはございません。全く純真に考えまして、東京湾都心から一等近いところ、しかも木更津付近がよろしかろう、こういう考えなんでございます。と申しますのは、羽田工場地帯を分断しているその分断のしかたでございますね。あれは、南のほうは川崎のほんとうの重工業地帯がございますし、それから北のほうはそれに応じてそれに匹敵するような工業地帯があるし、それを分断しているんで、非常に交通その他についてじゃまになるんだ、交通と申しましても陸上交通、海上交通その他全部を含めてのものでございます。  それから今度木更津の問題になりますと、木更津はもしあそこが工場地帯になるといたしましても、その南は相当の区間工場地帯にならない地帯が続きまして、それから相当離れまして八幡製鉄その他の工場地帯ができる計画になっておりまして、滑走路の選び方によって十分分断しないような、つまりお互いに妨害し合わないような方法がとれると思います。したがって、御質問の、分断しているのは同じことだということに対しましては、いささか考えが違う点と、もう一つ初めから木更津を選んでそれに合うような説明でこのパンフレットをまとめたということについては、全く違うということを御返事申し上げざるを得ないのでございます。
  22. 關谷勝利

    ○關谷委員 まずその御答弁はすなおに伺っておきます。ただ管制の問題につきましてはまだ納得がいきませんし、はっきりとした御答弁はないようでございます。またこれは技術的にもできるものでもなかろうと思います。  それから次にお尋ねをいたしますのは気象条件でありますが、私は、きょう江島参考人からのお話もございましたし、参議院の源田実君、これはパイロットとしての最高権威者でありますが、その源田元空将等からお話を聞きますと、とにかくこの気象条件は、富里霞ケ浦あたりがいいのだ、いままで飛んでみて富士山麓のほうは気象が非常に悪いのだ、西側のほうもそれに寄ったほうは悪い、北のほうは雷雨が多いのだ、房総の南に行くとまた非常に濃霧といいますか、何かが多いのだ、どうしてもこの富里霞ケ浦あたりがいいんだということを、これは実際のいままでの体験から割り出してそうなんだ、気象庁がどんな発表しておるのか知りませんが、私この表を見てみますと、この中にあなたのほうが出されておりますこの五十四ページに書いてあります気象調査というものは、私はおかしいので、そして妙に思いましたので、気象庁あたりで聞いてみたのでありますが、どうもこれは気象庁というのがどこのどなたが調べた発表か知りませんが、食い違いがあるようなのであります。この調査はどんな方法でどういうふうな人がお調べになったのか。ほんとうの気象官というのですか、そういうような気象庁の職員とかなんとか専門家が調べてつくられた表でありますかどうか、その調査の結果というものに私はちょっと疑いを持っておるのであります。これはどのような人がどのような方法でお調べになったのでしょうか。
  23. 伊藤剛

    伊藤参考人 それは私の第一回のお話のときに申し上げましたが、気象庁は自分の観測した結果を気象旬報というのに詳しく発表しておるのでございます。その気象旬報によって、先ほど土浦はお天気が何日間とか霧の日数が何日間とか、そういうことを申し上げたのでございます。もしそれが御必要ならば、詳細その基礎になるデータを持っておりますから、後日差し上げてもけっこうなんでございます。  それからそのようなデータを調べる人が一体気象専門家であるのかなんとか、こういうような御質問でございましたが、私の考える限り、非常な専門家に調べてもらって間違いない、気象庁の数字も間違いない、調べられた専門家も信用できる人だ、こう思うのであります。菅谷重二という理学博士が主になって、助手を使って何日間かで調べられたものでございます。地球物理学の人でございます。
  24. 關谷勝利

    ○關谷委員 私が気象条件について気象庁のある人から聞きますと、こういうことを言うております。あの霧は千葉南部から西への一帯が多く、富里より木更津のほうがよいというデータはないはずである、千葉県南端から大島までが一番悪いので、むしろ木更津のほうが悪いと思われる、富里あたりは霧の多発とは言えない、それから低雲層も千葉南部が多いと思われる、雨量の多いところは雲が多いのが常識である、こういうふうなことを言われておりますので、それは参考に申し上げておきます。  それから、現在の国際空港は廃止すべしというふうに頭から言うておられるのでありますが、現にこれは十分に活用せられております。今後とも、新しい空港ができましても、これはやはり利用度の高い空港でありますが、これを廃止して転用するというようなことが国家的に見て得策かどうかというようなことは、あなたにお尋ねするより、これは何でありますが、航空というものを非常に軽視した意見のように私たちは聞いております。このプランでは、空港都心との距離は近くになければならないという点を特に強調いたしております。そういたしますと、羽田を廃止するということは、近いものを遠くへ持っていく、こういうふうなことになります。近距離国内線用の空港としてきわめて便利なのであるから、近距離にあるのだから、これは残せという議論にならなければならない。空港都心から近いほどいいのだということになれば、羽田というものはその点非常に便利にできておりますので、これは残さなければならぬという議論が出てこなければならぬのに、一挙にこれを廃止してしまえ、こういうふうなことを書かれておるのは、私は非常に矛盾があるのではないか、この書かれております中を読んで見てそんな気がしましたのでお尋ねするのですが、どんなにお考えになりますか。
  25. 伊藤剛

    伊藤参考人 近いのにこしたことはございませんが、近いとまたマイナス面もある。そのマイナス面と申しますと、新しい空港の広い敷地が得られない。また、大都市の上空がホールディング・パターンになったら、あるいはいろいろな事故の原因が起こりやすいから、したがいまして、遠くに持っていくのはやむを得ませんが、遠くといっても、なるべく近いところへ新しい場所を選定すべきだ、こういうことであります。したがいまして、その記述に矛盾はないと思うのであります。羽田を捨てまして、新しいところをさがす、それはなるべく近いところである、こういろ趣旨なんでございます。
  26. 關谷勝利

    ○關谷委員 私たちはあなたの御意見と違って、羽田は置いておけ、あのいいところは国内の何で置いておかなければならぬ、こういう考えで、これは考えの相違でございますので、別に申し上げません。  それと、木更津に新空港をつくるという案、これはこれを読んでみますと、東京湾横断堤計画と抱き合わせでなければならぬようなことで、その上が道路に使われるのだ、こういうふうなことを書いてあるのでありますが、現実の問題として、その空港は四十五年までにはつくりあげなければならぬということになります。そうすると、横断堤はそれと時を同じゅうしてできなければならぬ、こういうことになりますが、現実の問題で、東京のあの横断堤というものがそれまでにできるとは考えられません。物理的にできません。そうなりますと、その問題についてはちょっとここに、何といいますか、誤差ができてきておるように思いますが、それはどんなにお考えになりますか。
  27. 伊藤剛

    伊藤参考人 横断堤は、あしたから始めてもやはり何年かかかりまして、必ず飛行場の必要とする四十四年には間に合わないと思います。四十五、六年になるとどうなるか知りません。しかし、その間すでに敷地の大半を予定されております。いわゆる湾岸百メートル道路というのがございまして、それを利用可能なものだと思います。  それからもう一つ、たとえば富里につくる場合、それから霞ケ浦につくる場合、なおより多くの道路のための御苦労も要ることで、オリンピック道路をつくるときもいろいろそういう問題がございましたが、これはやはり、なかなか時間のかかる問題だと思います。
  28. 關谷勝利

    ○關谷委員 それから、これは、羽田廃止ということをいうものですから、その関連から出てきたのであろうと思いますが、国内線用の空港は厚木に求めるがよしというようなことが書いてあります。これは安保条約によってきめられたところに基づいて飛行場をあちらに貸与しておるというようなことになっておるのでありますが、これが返還ができるものというふうな軽い考え方、安保条約というものはそれほどまでに簡単な――これは社会党あたりは喜びましょう、あなたの言っておるのは。ところが、そんなに(発言する者あり)日本人なら、日本の防衛は安保でできているので、それを否定する者は日本にはない。   〔発言する者多し〕
  29. 長谷川峻

    長谷川委員長 御静粛に願います。
  30. 關谷勝利

    ○關谷委員 だから、安保というようなものを考えに入れずに、そんな軽率にこういうふうなことをお書きになることは、私はどうかと思います。羽田の廃止というふうなことが、そんな簡単にできるものではない。それが簡単にできるというふうなお考えのもとに書かれておるということは、私はまことに軽率、無責任ではないかというふうに考えております。これらの御答弁は要りません。  それから、木更津に新空港をつくるというようなことを言われておりまして、その際に、さっき霞ケ浦の場合には漁業権あたりが非常にむずかしいというお話がありましたが、木更津の場合には非常にしやすいとふうなお考えがあるのかわかりませんが、漁業補償というものはなかなか関連性のあるもので、空港埋め立てばかりではなく、土砂の採取量とか、あるいは東京湾横断堤というふうなもの、あるいは潮流の関係も出てくる。そういうものを関連して考えますと、その補償というような意味のことを考えますと、補償区域というものは非常に広くなってくるのでありますが、かりに木更津のその空港の敷地だけの漁業権というようなことを考えたのでは、非常に工事の施行上蹉跌を来たすのではないかということで、私は非常に心配をいたしております。霞ヶ浦がむずかしいというのなら・こちらもむずかしいのではなかろうか。いろいろ考え方もありましょうが、この点どうでございますか。
  31. 伊藤剛

    伊藤参考人 漁業補償はむずかしいというのは、非常に時間がかかるというばかりでなく、十分念を入れなければ魚の生態がわからない、したがって時間がかかるんだ、こういうような意味で申し上げまして、例として、いま建設省のおやりにななっておる琵琶湖の調査規模について申し上げたのでありますが、その点東京湾につきましては、潮流の問題なんかはあらかじめ十分調査ができております。それから、漁業補償に関する限り、すでに東京、神奈川、千葉にかけて、着々基本的の漁業補償対策もできておりますから、この点は、霞ケ浦と比べると格段に簡単だと思うのです。それにつきましては、自民党の千葉県選出の全部の代議士も同じような御意見でございます。
  32. 長谷川峻

    長谷川委員長 皆さんに申し上げますが、松浦参考人は十二時から大学で講義があるそうですから、もし松浦さんに対する質問があったら、先にお願いいたします。
  33. 關谷勝利

    ○關谷委員 そんなら私は打ち切りましょう。私、伊藤さんにお尋ねしましたのは、別にけなす意味ではないのです。いろいろ検討し、あなたの御意見も聞かしてもらって、また、皆さんのほかの方の御意見を聞いて、私、例の航空審議会答申あたりもよく読んでおりまして、みんなわかっておりますし、ほかの方の御意見もみなわかっておますが、あなたのほうの御意見がこのパンフレットで出ておりますので、これを読んでみますとそこに矛盾があるので、それだけをお尋ねをして、あとでいろいろ比較検討して考えたいというのでお尋ねしておるのですから、その点はひとつ、最初から失礼なことがあることは、これは私が前に申し上げておったとおりで、御了承いただきたいと思います。
  34. 長谷川峻

    長谷川委員長 皆さんにおはかりいたしますが、松浦参考人に対して御質問はありませんか。
  35. 久保三郎

    ○久保委員 私、ちょっと……。
  36. 長谷川峻

    長谷川委員長 では、久保三郎君。
  37. 久保三郎

    ○久保委員 それでは、時間だそうでありますから、簡単に一つだけお尋ねしたいのです。東京湾空域は非常に狭い、こういうお話でありますが、いまそれぞれの参考人から具体的に、木更津とか、あるいは審議会答申富里とかあるいは霞ヶ浦、こういうお話も出ておるわけであります。ついては、松浦参考人として、東京というか、空域全体としていまあげられているような候補地らしきものは、実際にその辺に設定した場合に、空域としては十分おありになるというふうに見ておられるのかどうか、いかがでしょうか。
  38. 松浦四郎

    松浦参考人 空域のなるべく広いところが安全であるということを申し上げたわけでありますが、その点に関連して、東京湾ではどうしても空域が狭くなる、それ以外のところがいいんじゃないかと思っております。
  39. 久保三郎

    ○久保委員 もう一つ続けてお答えいただきたいのでありますが、たとえば霞ヶ浦という話も出ております。この審議会の答申では百里の航空基地がございますが、これにも言及しているのでありますが、たとえば稲敷台地につくる場合には、百里の航空基地と両立するであろう、湖面の場合は大なる支障を与えるであろう、こういうふうな答申になっているわけです。ついては、たとえば稲敷台地にいたしましても、管制上の運営を多少あんばいしなければむずかしいようにもとれるわけです。  そこで、専門家として、そういうところに安全第一で、しかもひんぱんに離着陸をするような大きな空港を置くことが妥当であるかどうか、いかがでしょう。
  40. 松浦四郎

    松浦参考人 完全に空域が自由ということは、東京近辺にはあり得ないぐらいじゃないかと思いますが、幾らかでも調節のできやすいところとなりますと、東京湾以外のところが幾らか調節ができやすい。おそらく完全な自由はないと思います。東京湾の場合でございますと、離陸直後、特にSSTのような百トン以上も燃料を積んだのが市街地のほうに向かって離陸するようなときに、もしものことがあったときには非常に大きな事故になるのではないか。先ほど申し上げましたように、航空機自体の事故にとどまりませず、その下部の住民に対する被害考えなくちゃいかぬのじゃないか、そんな気がいたします。
  41. 長谷川峻

    長谷川委員長 ほかにありませんか。――それでは松浦さんけっこうです。御苦労さまでした。  それでは田邉國男君。
  42. 田邉國男

    ○田邉委員 伊藤参考人に二、三お伺いいたしたいと思います。  質問の重要な要点は關谷委員から御質問がございましたので、私、二、三の点で伺いますが、先ほど気象の問題で五十四ページの資料でございますが、この点については何年の旬報によってこれができておりますか、その点をひとつはっきりお出しいただきたいと思います。  それから關谷先生からも話がございましたが、新東京国際空港産業計画会議が提案いたしましたこの専門家について、これだけりっぱなものをおつくりになったんだから、その名前をお知らせいただければ非常にありがたい、かように考えます。
  43. 伊藤剛

    伊藤参考人 気象旬報の何年度の分を使ったかという御質問に対しましてお答えいたしますが、一九五四年ないし一九六三年の十年間にわたる気象旬報によって調べたわけでございます。  それから次に、専門家の名前をみなあげろということなんですが、あげないとお前は専門家でないという格づけになりますし、国会ではいいかげんなことは言えませんので、いろいろな方面の専門家ということで御了承願いたいと思います。
  44. 長谷川峻

    長谷川委員長 参考人ですからけっこうです。
  45. 田邉國男

    ○田邉委員 それから羽田空港との関係でございますが、羽田空港を廃して国際空港をつくる、その場合に国内空港については厚木を予定している、こういうことでございますが、現実論といたしましては、非常に困難な問題があると私は思います。木更津国際空港を持っていった場合、非常に安全性の問題が大きな焦点になると私は思います。たとえば木更津空港ができた場合、飛行機はどういう進路で入ってくるか、そういう場合に、東京都心に非常に近い空港でございますから、一たび事故がありましたら、想像に絶する大きな惨事が生ずるのではないか。その点につきまして非常に安全性は高いのだという点について私どもには納得しがたいところがあるのでありますが、教えていただきたい。
  46. 伊藤剛

    伊藤参考人 私ども意見は、羽田空港は廃止を前提としておるのであります。ただ、新しい空港ができつつあるとき、羽田空港を直ちにこわしてしまえ、使わなくしろということではなく、過渡期には羽田空港も使うべきだと考えておるのであります。  それから新しい木更津空港国際空港をつくった場合の進入路のことなんでありますが、実は大きな図面を持ってこなかったので大体のことしか申し上げられませんが、今日とあまり大差はないと思うのです。と申しますのは、大島経由で木更津千葉ポイント-羽田に入ってきて、出るところはその逆で、千葉ポイントから木更津-館山-大島に向かう、この大綱については変わらないと思うのであります。空路の幅その他についても、現在の航空路の何キロ、何マイル、それはそのまま使って差しつかえないと考えております。
  47. 田邉國男

    ○田邉委員 江島参考人に伺いたいのですが、ちょっと専門的な話でございますけれども、ただいま木更津国際空港をつくった場合と、現在の羽田空港との進路というものは大体同じだということを伊藤参考人はおっしゃっておると思います。私どもの推測では、木更津国際空港ができた場合には、当然左旋回と申しますか、東京都心飛行機は旋回をしてくるのではないか。そうしますと非常な危険が生ずるような感じがいたします。私は専門家ではないからこれはわかりませんが、木更津空港ができた場合、航空安全性、それからまた東京都心との関係というものはどういうことになるのか、その点江島参考人に伺いたいと思います。
  48. 江島三郎

    江島参考人 ただいまの御質問は、木更津国際空港を持ってくるということなんですけれども、結局木更津国際空港を持ってきた場合に、現在の羽田はおそらくゼロになるのではないか、これは端的に言えることだと思います。と申しますのは、先ほど私の説明いたしましたように、現在も東京国際空港に入る飛行機は全部一応木更津に集めまして、木更津の上からILS、GCA、ADF、これを全部やっておるわけであります。そうすると、言うなれば、そこがたまり場所、いわゆるその下が国際空港となれば、現在の羽田空港はおそらく全然使いものにならなくなる、私はそう思います。
  49. 田邉國男

    ○田邉委員 私の質問の焦点は違うのですが、羽田空港伊藤さんは廃止して、そしてこれはよそのところへ持っていく、そして国際空港木更津に持ってくるのだ、ですから羽田空港を一応たな上げした形で、その場合にSSTそれから大きな飛行機がその木更津空港へ入る場合、どういう進路で入るか。また都心の中にその大きな飛行機が旋回する危険があるのじゃないか。その点について私ども非常な不安があるわけです。その点を伺っておきたい。
  50. 江島三郎

    江島参考人 木更津国際空港を持ってきた場合に考えられますことは、結局現在のいわゆる羽田と一緒で、たとえばおそらくこれは木更津から北のほう、いわゆる江戸川河口、これは三十マイルぐらい離れるのじゃないかと思います。結局、国際空港として、羽田を引き合いに出しますけれども、現在の羽田飛行場がいわゆるIFR状態でやり得るのは、ただ木更津からのILS、VORだけでございまして、ちょうどそれと同じようなかっこうになるのじゃなかろうかと思います。と申しますのは、江戸川河口あたりにいわゆる私らが専門で言いますオートマーカーあたりをつくりましても、距離が遠過ぎて結局これは計器着陸なるものは全然できかねる。だから先ほどの御質問のように木更津にいわゆる大型機が入る、これはいわゆるミス・プロセデュアをやった場合には、どうしても北のほうに逃げる。北のほうに逃げるというのは、結局江戸川河口、浦安、あの近所へ抜けるかと思いますけれども、これでいわゆる騒音問題というものがある程度出てくるのじゃなかろうかと思います。進行方向は、だから南東のほうから一本になるのじゃないかと思います。
  51. 長谷川峻

    長谷川委員長 久保三郎君。
  52. 久保三郎

    ○久保委員 平山参考人にお尋ねしますが、ただいま伊藤参考人からお話がありまして、たとえば富里は非常にこまかい土で軽い、そういうものが非常に多い条件、こういうようなものもある。そうなりますと確かに離着陸するときにこれはエンジンに支障を与えることがあるだろうということが一つ言われておる。それから霞ケ浦については名前のとおり霧が多い。気象庁のデータなんかでも非常に多いというようなことが言われておるのですが、こういうものについては答申を出される前に十分御検討をいただいたのでしょうか、どうでしょうか。
  53. 平山孝

    平山参考人 御承知のように専門委員気象庁の方をお願いいたしまして、そして気象条件につきましては十分な意見を聞いたのでございますが、その際には富里並びに霞ケ浦等につきましては、浦安その他に比べまして非常にいいというお話を承りました。
  54. 久保三郎

    ○久保委員 そこで平山参考人に続いてお伺いするのですが、この産業計画会議から出されている、先ほど關谷委員から御指摘があったようでありますが、六ページに新しい空港選定する場合の前提条件があります。前提条件は「現存する他のいかなる種類の飛行場も、新空港の運営上支障があれば、それを廃止もしくは移転させ得ることを、新空港の前提条件として再確認すべきである。」これは安保条約の問題もございましょう。この安保に対する考え方はまずさておいて、先ほどお述べになったように、新国際空港は国家百年の大計であるとおっしゃいました、そのとおりだとわれわれも考える。そこで、国家百年の大計でありますから、日本の土地と日本の空はやはり日本のものであるという前提に立って、そこから出発しないというと国家百年の大計にそごを来たすのではないか、こういうふうな考えをわれわれはまず持っております。そこで次の段階としては、国家百年の大計で、ここが一番いいとしても、今日あるところの諸条件、これは必ずしも完全に、この六ページに書いてあるような形に直ちにいくとは考えられません。しかし、これに対する努力というものをせないで、現存するすべての条件をそのままにしておいて、新しい空港をつくるということは、これまた大きなあやまちをおかすと私は思うのです。そういうことについて、この答申をされる際に、御論議中頭の中に置かれて答申がなされたものであろうかどうか、その点いかがですか。
  55. 平山孝

    平山参考人 小委員会でいろいろと審議をいたしましたときに、この東京の西部にあります米軍のいろいろの基地等につきましても、いろいろ議論が出まして、また羽田を一体廃止すべきであるかどうかというような点につきましても、ずいぶん議論がございました。結局、羽田はやはり国内航空の本拠として残すべきであります。それからまた、米軍基地等につきましては、御承知のように、スーパーソニックがいつごろ飛んでくるかという、いわゆるタイム・リミットもございます。大体国際空港をいつごろまでに完成すべきであるかというような点もずいぶん議論をされました。そういう点から申しまして、米軍の基地につきまして、それをどうする、こうするというような議論は、その点については出なかったわけでございます。
  56. 久保三郎

    ○久保委員 私どもは、とにかくどこにきめるというのも問題だと思いますけれども、きめる手順というものが一番大事だと思います。なるほど審議会は御答申なさったわけでありますから、一応審議会としての考えは表明されました。しかし、先ほどお述べになったように、利用者を第一に考えるということは、どなたからもございました。それはけっこうです。しかし、利用者考える前に、国民全体の立場というものも考えてもらわぬというと、話は進まぬのではなかろうかという気がいたします。その次には技術的な問題です。だから、そういう意味で私は申し上げていたわけですが、これは論議の場所ではございませんからさておいて、伊藤参考人にお尋ねするのでありますが、六ページに書いてある前提条件、これを十分考えられて木更津というふうにお考えになったと思うのであります。われわれがこの前提条件をそのとおりに受け取れば、どうも木更津に落ちつくまでの経緯というものが必ずしも明瞭ではない、こういうふうに考えるわけです。たとえば、先ほど参考人からお話があったように、ブルー14の羽田利用率は五〇%であるという現実、これらも解決し得られないでいるというのが日本のいまの立場であります。そうなりますと、この前提条件というものは非常に重要だと思うのです。だから、この前提条件をおいて、木更津という、そこに落ちつくまでの中間といいますか、その成り行きというか、そういうものの考え方はどういうふうにされたのでしょうか。
  57. 伊藤剛

    伊藤参考人 いまの御質問の要旨が、私の頭で必ずしもまだ割り切ってわかってないのでございますが、結局、一応アメリカ空軍の航空路それから管制システムはそのままといたしましても、羽田よりもむしろ東にそれた木更津のほうが有利であることには間違いないと思うのです。それから羽田の拡築と申しましても、小さい幅の拡築はあるいはできますが、あと滑走路をもう一本新設しようなんということは、これは利用者の立場ばかりでなく、国民全体の立場として非常にマイナス面が多い、そういう意味合いにおきましても羽田は捨てたほうがよかろう、それにつきましてなるべく距離の近いところで、しかもいい場所を得られるところという意味木更津選定したわけなのでございます。多少私の御返事が間違っておるかもしれませんが……。
  58. 久保三郎

    ○久保委員 たしかこの前のプリントされた印刷物のときには、もっと明確に前提条件は書かれていたと思うのです。その点の疑問がありましたのでお尋ねしたのですが、まあよろしゅうございましょう。  そこで、いままでの各参考人お話は、いわゆる東京から近いところ、こういうお話でありますが、御承知のように第二国際空港建設ということについては必ずしも東京でなくてよろしい、こういう御意見も出ているわけであります。そこで、これは松尾参考人にお尋ねしたほうがいいと思うのでありますが、東京からかなり難れたところ、というのは、日本は御案内のとおり非常に狭いし、空もあまり自由でございません。だからそのゆとりのあるところをとろうというのには、どうしても東京近辺だけに目を注いでいると適格地がない。適格地があってもなかなか問題である、こういうことからきているのだろうと思うのです。東京からかなり遠い、というては語弊がありますが、東京周辺五十キロとか百キロとかいうように限定しないでいったらどうか、こういう意見もかなりあるわけです。これについてはいかように考えておりますか。
  59. 松尾静麿

    松尾参考人 諸外国をお回りになってみると、あるいは外国の首都あるいは主要都市、これは、御存じのように都市の中心から大体一時間行程ぐらいのところに飛行場はすべてあるわけでございまして、私は、これからの空港というものは、都市に対する表玄関だ、こういうことになると思います。その表玄関が、あるいは地上の交通機関を使っても二時間も三時間もかかるとか、あるいはまたその表玄関から東京に入るのに、小さな飛行機に乗りかえて入らなければいかぬというようなことでは、やはりその都市の表玄関ではあり得ないというぐあいに考えるわけでございまして、東京というのは日本の首都であり、経済の中心でもありますので、ここに来るお客さんは、重要な外国の元首なりその他が来られるという、いわば港でございますので、これはやはり都市の中心から高速道路で最大一時間程度、こういうところに選ぶのが順当ではなかろうか・私はこういうように考えます。
  60. 久保三郎

    ○久保委員 次に江島参考人にお尋ねしたいと思います。  先ほどちょっと松浦参考人にお尋ねしたのでありますが、霞ケ浦の問題であります。百里の航空基地はほぼ完成しまして、御承知のようにF104をこれに配置しますが、そうなった場合に、いま霞ケ浦というのは埋め立て案が大体候補地らしきものになってきているわけでありますが、ついてはそういう場合に、先般松浦運輸大臣は、私のこういう質問に対して、自衛隊との間に運営の調節をはかっていけばと、こういうようなことを答弁されております。そういうことではたして操縦する者が安心してできるのかどうか、いかがでしょうか。
  61. 江島三郎

    江島参考人 百里原の飛行場が完成いたしまして、あそこでF104の、私聞きますところ、関東の自衛隊があそこに行くということをちょっと聞きましたけれども、それと、霞ヶ浦埋め立てをして、国際空港をつくった場合の管制上の問題だと思いますけれども、大体霞ケ浦のところで――この前、実は私も航空審議会の一員でありまして、小委員会で平山さんの下で御相談申し上げましたけれども、そのとき予報部長の日下部さんあたりが御出席になりましたが、飛行場位置を選ぶ場合に、そこの滑走路の方向はどっちがいいかということが重要な問題だと思います。と申しますのは、大体恒風に立って、常に吹く風に立って滑走路をつくるのが順当だろうと思います。今度できる飛行場は大体南北に二本、東西に一本になっているかと思いますけれども、風向きによりますと――現在の百里原は実は東西に滑走路がなっております。そして北風が吹いたといったような場合には、今度の新空港は北向きの滑走路である、一方は大体西か東かわかりませんけれども、風にやや沿った方向に上がるかと思いますけれども、これは管制上十分なる注意をしていただかなければいけないかと思います。
  62. 久保三郎

    ○久保委員 管制上の注意は、両方やるとすれば、もちろんそういうことになると思います。ところがお入りになっている審議会の答申は両立しない、こういう答申をされていると思うのです。そういう意味で、いまお話しになったのは第一のほうならば何とか調節すればということだろうと思いますが、答申の趣旨は、あなたのいまの御答弁とちょっと違うのですが、どうなんですか。
  63. 江島三郎

    江島参考人 実は航空審議会で出した第一候補富里だと思います。第二が霞ケ浦だったと思います。霞ヶ浦の場合にはそういった点を考慮して、われわれとしたら富里を推したかと記憶しています。
  64. 久保三郎

    ○久保委員 伊藤参考人にもう一点お尋ねしたいのでありますが、産業計画会議としては具体的には木更津ということでありますが、先ほど申し上げたように、いまの東京周辺の空域はいろんな制約にはばまれているということは御案内のとおりなんです。この問題については先ほど多少御答弁がありましたが、そういう問題を解決することについては、計画会議としてはお考えがあまりなかったのでしょうか、いかがでしょうか。
  65. 伊藤剛

    伊藤参考人 今度の新しい国際空港は、金で言うのはどうかと思いますが、やはり二千億とか、そういう大きな工事になる大事業だと考えます。したがって、それをきめるときに、すでにあるものはことごとく動かすべからざるものだ、こういうふうに考えて新天地だけをねらうというのは東京周辺の発展のためによろしくないので、こういう大空港をつくる機会に、スクラップアンドビルドの思想で、悪いものはできるだけ改善し近代的な空港をつくるべきだ、こう考えております。したがいまして、管制その他についても、もし直し得るものがあればそちらのほうで譲っていただくとか、そういう手は尽くすべきだ、こう考えております。
  66. 久保三郎

    ○久保委員 もう一つだけ伊藤さんにお伺いしたいのですが、御承知のように、いま当委員会には新東京国際空港公団法案、それに関連してきょうはおいでいただいたのですが、この法案の中身は、公団をつくって新しい空港建設、管理をしよう、これだけの話なんです。常識的に考えれば、ほぼ、言うならば候補地もきめられ、そしていざ工事ということになってから公団だと思う。手順が非常に逆になっていると思うのですが、どのように考えられておりますか。――それじゃ航空審議会の会長さん平山さんにお伺いしますが、あなたのほうの答申は出たわけですね。一応これは法制に基づいた答申なんです。ところがいまだにこの問題は、筋からいくならば、法制上は答申を受けた運輸大臣がきめればいいのですね。ところが御承知のような経緯をたどって、いまだにきまらぬのでございます。審議会の会長として一言あるべきだと思うのですけれども、どうでしょう。
  67. 平山孝

    平山参考人 全くそのとおりなのでございまして、私ら運輸大臣から候補地をどうするかということにつきまして諮問を受けましたのは、三十八年の八月ごろだったと思うのでございますが、それでその後四カ月にわたりまして、各専門委員の方にはたいへん御迷惑だったのでございますが、とにかく急いで研究して結果をまとめなければならぬということで、三十八年の暮れに答申を出したわけでございます。したがって、それがいまになってもきまらないというのは、どうも私らには非常に不思議な感じがいたすものでございます。一日も早く候補地を決定していただきたいと考えております。
  68. 長谷川峻

    長谷川委員長 小川三男君。
  69. 小川三男

    ○小川(三)委員 航空審議会平山委員長にお伺いしたいのですが、航空審議会の審議会自体はいまもなお解散することなく開催されておるわけですか。
  70. 平山孝

    平山参考人 審議会は運輸大臣から何か諮問があれば開催をいたしますので、諮問がございませんければ、委員会は開催いたしておりません。
  71. 小川三男

    ○小川(三)委員 審議会から答申されました中で、浦安、富里霞ケ浦稲敷台地、湖面)こういうぐあいに分類されてございますが、かりに例をあげますと、補償、買収、土地造成など、かりに富里などの場合は埋め立ては必要ありませんが、こういうぐあいの中で八百二十億というぐあいに数字が出ておりますが、土地買収などは大体どの程度に見積もられておるのか、たいへんこまかい点で恐縮ですが……。
  72. 平山孝

    平山参考人 土地買収等がどの程度で見積もっておりますか、その詳しいことを私は存じません。ただ大体の見当としてこの程度の金がかかるということにつきましては、いろいろと聞いてございますが、しさいの問題につきましては存じません。
  73. 小川三男

    ○小川(三)委員 もう一つお伺いいたしますが、先ほど産業計画会議伊藤さんからの説明、久保委員からもその点出ておりましたが、富里は関東ローム層の模範といってもいいほどの土地であるというぐあいに産業計画会議では言っておられるわけです。あなたのほうでは、洪積台地で、土質、地質は非常に良好である、工事は非常に簡単であるということですが、土地というような問題は、主観の問題でなくて、客観的に調査されれば出てくるのですが、あなたのほうで土質やその他ボーリングされたりなどして詳細に調査されたのか、その点を伺いたい。
  74. 平山孝

    平山参考人 この土質等につきましては、御承知のように審議会自体で調べたわけじゃございませんので、事務当局意見を徴して記載したわけでございます。
  75. 小川三男

    ○小川(三)委員 前の運輸委員会で運輸省当局も、地元について、土質やその他については調査されておらない、千葉県からの資料によった、航空審議会自体もそういうような形なんでしょうか。
  76. 平山孝

    平山参考人 航空審議会でもそのとおりでございます。航空審議会自体で別にそういう調査はいたしておりません。
  77. 小川三男

    ○小川(三)委員 この浦安、富里霞ケ浦稲敷台地、湖面)全部にわたって現地についての調査はなさっておられないわけですか。
  78. 平山孝

    平山参考人 航空審議会としては事務当局意見を聞きましてやりましたので、航空審議会としては調査をいたしておりません。
  79. 小川三男

    ○小川(三)委員 事務当局とおっしゃいますのは、航空審議会の中の事務当局か、運輸省の中の事務当局か、その点……。
  80. 平山孝

    平山参考人 運輸省航空局でございます。
  81. 小川三男

    ○小川(三)委員 先ほども、かりに稲敷台地富里は土地造成その他買収、補償等で八百二十億、これは稲敷台地富里も八百二十億という数字を出しておるのですが、この場合に買収費と土地造成費と補償費、これを各三分の一くらい、三等分するくらいの数字で考えてよろしいかどうか。
  82. 平山孝

    平山参考人 これはおそらくその数字は推定であろうと思いますので、今度は候補地が実際にきまりまして、そうして実際問題になりますと、この数字は必ずしも正確なものではないのではないかと考えます。
  83. 小川三男

    ○小川(三)委員 時間がありませんので、簡単に一つだけ伺っておきますが、産業計画会議は恒常的な団体だと考えてよろしゅうございますか。――その場合、航空審議会委員産業計画会議委員とを兼ねておる者があるわけであります。いままでの皆さん意見を伺っても、産業計画会議航空審議会意見とは全く対立しているといっても差しつかえないと思います。その場合、委員は両方を兼ねておる方がおりますが、そういう場合は全委員のいろいろな意見を聴取されてやっておるのかどうか。
  84. 平山孝

    平山参考人 航空審議会委員の方は知っておりますが、産業計画会議のほうはどういう方々がやっておられますか、実際は私は知らないのであります。
  85. 伊藤剛

    伊藤参考人 産業計画会議委員は存じておりますが、航空審議会のほうの委員はどなたかわからないので、どなたか名前を言っていただきますればわかりますが、……。
  86. 小川三男

    ○小川(三)委員 石坂泰三さん、平田敬一郎さん、山際正道さん、この三人は両方の委員を兼ねておる。ですから産業計画会議も、あるいは航空審議会も、単に形式的にこの人たちの名前を並べてあるにすぎないのか、それともすべて資料を回して討議の結果答申され、あるいは産業計画会議としての勧告書が出ておるのか、その点……。
  87. 平山孝

    平山参考人 なるほどそうおっしゃられますとあれでございますが、石坂泰三さんその他の方々航空審議会委員をやっておられますが、しかしこの国際空港の問題につきましては、航空審議会委員の方のうちから約七名の方を小委員に選びまして、そのほかにいわゆる専門委員の方を八名ほどお願いをいたしまして、そこで討議をいたしたのでございますので、石坂さん、山際さん等は総会には出られましたが、小委員会で詳細な議論等につきましてはタッチされておらなかったのでございまして、おそらく産業会議のほうもそういうことじゃなかろうかと思います。
  88. 小川三男

    ○小川(三)委員 最後に伺っておきますが、航空審議会としてはいまもなおこの答申については責任を持って主張されておられるというぐあいに理解してよろしゅうございますか。
  89. 平山孝

    平山参考人 もちろん私らは十分なる専門家意見を聴取いたしましてつくったものでございまして、もちろんこれが一番いいと確信をいたしております。
  90. 長谷川峻

    長谷川委員長 泊谷裕夫君。
  91. 泊谷裕夫

    泊谷委員 松尾参考人江島参考人にお尋ねいたしたいのですが、国際空港の中で羽田が一番危険だということをパイロット諸君から聞くのですが、事実ですか。そしてその原因はおよそ何ですか。簡単に伺いたい。
  92. 松尾静麿

    松尾参考人 私は、日本空港で、完全に民間の空港として運輸省の所管になっている空港は、幹線にいたしましても東京と大阪だけだと思うのです。札幌は御存じのとおり自衛隊と共用、福岡はこれは駐留軍にお願いして使わしてもらっている。こういう、実にいわば不完全な、四大空港がそういう実情でございまして、羽田は御存じのとおり大はDC8からあるいは遊覧飛行までやっておる。実に私はそういう点では危険だと思っております、いまでも。それから、これはあまり公表もできませんけれども、危険な状態もあるのです。そういう意味で私は、羽田自体が第一飛行機の置き場がもうないのでございまして、スポットも非常に接近したスポットで、なおこれからスポットをつくっていかなければならぬ。飛行機はますます大型化していく、こういう実情でございまして、私はもう二年くらいしかもたぬじゃなかろうか、こういうぐあいに非常に悲観的に見ておるわけでございます。  なおまた大阪にいたしましても、予算を通していただきまして滑走路が一本長いのができることになっていますが、これにしてもでき上がるまで二年かかる。二年の間現在の狭い滑走路で使っていかなければいかぬ。おそらく大阪あたりは羽田よりももっと、世界で一番むずかしい飛行場じゃございませんでしょうか。私はそういうぐあいに感じております。
  93. 江島三郎

    江島参考人 実は私のところで集めました資料によりますと、いわゆるキャプテン・レコードでございますが、北は千歳から東京、大阪、福岡、この国内線だけで一昨年に十九件、それに昨年が十件ぐらいあったかと思います。その程度でございます。これは全部、たとえばある地点を飛んでいて自衛隊機が前を横切ったとか何とかいう、そういうふうな小さいのまで含めまして、大体一昨年が十九件、昨年が十件足らずだと思います。
  94. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは平山さんとそれから伊藤さんと松尾さんと関係の方にお尋ねをしますけれども、いまのどこどこだということでなしに、国際空港をニューヨークとローマと東京にしようということでこの話が始まってきているわけですが、根本的な違いを見せているのは、産業計画会議のほうではこの重要な拠点だから既存の飛行場あるいは使用目的を異にするものなどにこだわらずに、根本的に検討を加えて飛行場を求めるべきだという主張で、航空審議会のほうは現状はこうなっておるという立場に立って、次善の策として何々がいいかいうふうに検討されたように思われるのです。おおむねそこは政治的な問題でありますが、企業を担当する松尾さんは、これについて稲葉さんとの対談で、横田の基地が返ってくればいいけれども、それは困難だろう、もしできるならばそうしたい、こういうことは対談の中で書物にもなっておりますから、考えておることは明らかなんですね。平山さんのほうで心配をされた、現状においてという考え方でありますが、これは先ほどから日米安保条約が出ておりますが、これには触れません。しかし河野大臣も先月の二十六日の閣議で発言された内容、しかも松浦運輸大臣が同意したということで新聞の報ずるところによれば、厚木の返還を含めて検討すべきだ、こういう態度を政府の態度として出されておる。そうしますと、先ほど久保先輩もお尋ねをいたしましたが、ブルー14を解体したということにしてですよ、地上の基地もありますが、その場合、航空審議会としては新しい時点に立って抜本的に検討してみる必要が生じてくるのじゃないかと思うのが平山さんに対する私のお尋ねです。  それから、江島さんのほうについては、実際操縦を担当する方として、このブルー14がなくなった場合の位置づけは、いま航空審議会答申されたものにこだわらずに考えてみる価値があるのではないかとお考えにならないかどうか。  それから、松尾さんには、端的にいって競争相手がありますね。やはりブルー14というようなものがあれば、北京との競合においてはいかに空港を設定しても、世界的にいって単なるローカル空港位置づけになってしまう心配がないか。北京との競合においてならば、抜本的に返してもらえるものならば、ブルー14、それから厚木、横田、これらの問題を含めて政府がその措置をするならば、その設定位置について再検討する必要があるとお考えにならないか。もちろん松尾さんは前には海岸沿いのお話も出しておったようでありますから、これもあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  95. 平山孝

    平山参考人 航空審議会のほうとしては、いわゆる答申したものがペーパープランで、時期までに実現できなかったというようなことでは職責を全うしたものとも思えませんので、あくまでも実現可能ということを前提にいたしまして答申をいたしたような次第でございます。
  96. 泊谷裕夫

    泊谷委員 平山さんにお尋ねしておるのは、航空審議会の責任者としてそう言うのはわかるのですが、先ほど久保委員の御質問にも答えて議論があったが、それは最終的には結論を出さずに、現状において最も好ましいところを三十八年において答申した。しかるにまだきめてくれないのでおもしろくない、こういう話です。その辺はわかるのですが、この産業計画会議のほうのこの本も、これは一年前から私どもの手元に送ってもらってずいぶん議論をかもし出しているものなんです。政府はその問題、軍用基地の返還について実力者と称せられておる河野さんがものを言って、松浦さんが同意した、こういうふうに新聞に出ておる。それが出てきたとすれば別に考えてみる必要があるのではないか、この点はいかがなものでしょうか。
  97. 平山孝

    平山参考人 私その方面の専門家でございませんが、そういう場合を前提にして国際空港をどこに置くかというようなことは、これはまた専門家を集めて十分な意見を聞かないと、ここですぐにいいも悪いも言えぬかと思います。
  98. 江島三郎

    江島参考人 私への御質問は、いわゆるブルー14、この米軍基地が全部ストップした、全然なくなったという過程におきましては、御承知のように東京から名古屋、大阪に行きますのに、現在は館山経由大島から西へ向かっておるような次第でございまして、ただしジェット機になりますと、現在いわゆるトンネル・デパーチャというのがときどき許されているわけです。と申しますのは、羽田離陸いたしまして東へ逃げまして、東京湾で高度をとりまして、また東京まで戻ります。ここで一万五千フィートになりますと、もしも横田基地のほうでそのルートがあいていたら、許していただけるわけです。だからそういう心配が全然なくなりまして、離陸したらすぐ左へ回るということは騒音の問題でやはりできかねると思いますが、一応小さい旋回をやりまして真西へ行って、名古屋、大阪へ行けると思います。以上であります。
  99. 泊谷裕夫

    泊谷委員 お尋ねしたのは、いままで迂回して油を百億も損したことも知っておるし、トンネルもわかっておるのです。ブルー14というのは、陸上の四基地が河野さんの言われたように、向こうと折衝して返ったという場合も、関東の東側に固執をされますか。技術者として、操縦するあなたとしては、その位置について再検討するという気持ちになりませんか。こういう聞き方をしたのはなぜかというと、伊藤さんを除いては三人とも航空審議会委員なんですよ。だからいままできまったことにどうかとなれば、それは突っぱねなければならぬ立場でしょう。だから新しい情勢に応じてみた場合にどうか、こうお尋ねしたわけです。
  100. 江島三郎

    江島参考人 実は私も航空審議会専門委員でございます。ところで全部返されて、たとえば厚木なり横田あたりが国際航空に乗りかえられるといたしましても、ごらんのように西のほうは全部山でありまして、おそらく西に行く場合には、一応東へ行って高度をとって、また行かなければならないというようなかっこうになるかと思います。またもう一つ、大体四基地とも滑走路が一本でありまして、南北に伸びております。現在のいわゆるジェットファイターあたりだったら、それは離陸したらすぐ西へ向かっても十分上がれるかと思いますけれども、われわれのような旅客機だったら、それはやはり無理かと思います。
  101. 松尾静麿

    松尾参考人 非常にむずかしい前提の御質問でございまして、私は現実に仕事をやっておる者といたしまして、先ほども申し上げましたとおりに、羽田自体あるいは大阪自体、安全性から見まして私は非常に懸念をしておるわけなんです。そこでできるだけ早く私は空港問題を解決していただきたい、いまの空軍基地が大体いつごろになるのかそういうことがわからない限り、私は現実の問題が非常に大事じゃなかろうか、こういうぐあいに思うわけでございます。でき得れば、私はほんとうは二、三年うちにもう一つ飛行場がほしい、こういうぐあいに実は考えておるわけでございまして、現実問題としてぜひひとつ早くもう一つ飛行場をつくっていただきたい。しかも現在の飛行場も完全でない。これもできるだけ早く解決していただきたい、こういう気持ちでおります。
  102. 長谷川峻

  103. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 平山さんに私は、富里霞ヶ浦の場合、地上の建物や格納庫、そういう施設は別といたしまして、敷地の買収、補償、埋め立て、そして滑走路建設費、これはほんとうに大まかの概算でいいのですが、そういうものの金額をお伺いしたい。  それから伊藤さんには、木更津の沖合いの埋め立てをやる場合の概算の費用、地上の建物や格納庫は別ですが、滑走路をつくるまでの建設費は大体どのくらいか、精密なことはなかなかむずかしいので、概算でいいです。
  104. 平山孝

    平山参考人 建設費の概算につきましては、新東京国際空港建設についてという昨年十月の運輸省からの参考書類がございますが、それの五ページに、大体富里ではどのくらい、霞ケ浦ではどのくらいというような費用が載っております。富里では空港建設費が千八百八十億円、それから霞ヶ浦では二千二百二十億円、そのほかに道路建設費が、富里では七百七十億円、霞ケ浦では八百二十億円というような数字でございます。
  105. 伊藤剛

    伊藤参考人 木更津につくります場合、やはり二千億程度の金がかかります。それから建設費のほかに当然道路考えなければいけませんが、横断堤につきましては千六百億かかるのです。これは航空のためでなく、むしろ東京湾の高潮防止、それから千葉県と東京、横浜との交通路として実質的にペイできまずから、この場合はその千六百億の費用は加味しなくてもいいのじゃないか、こう考えております。
  106. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そこで富里の場合、建設費じゃなくて、道路の七百七十億、霞ケ浦八百二十億、これはどの程度のスピードで走れるのか。五十キロ、六十キロ離れましても、百キロから百五十キロの間のスピードで走れるならば、三十分以内で都心へ来れる、こういうことになるのだから、二十キロや三十キロ遠くても、区域が広くて、付近の民家が稠密でなくて、安全なところならばいいのではないか。多くの参考人の御意見は、安全性が大事だとおっしゃっていますが、こういう点からいって、あまり都心に近くなくても、その道路がよければ、この問題は解決できるのじゃないか、こう思いますが、そこで都心から何時間くらいかかるのか、これを承りたい。そういう場合にこの道路は全部地上あるいはハイウェーでいくのか。地下道をつくって、その地下道をつくる場合の土砂を、霞ケ浦などの場合は埋め立て用の土砂に使えるのかどうか、それらの点もちょっと……。
  107. 平山孝

    平山参考人 将来新空港ができますると、その交通量というのは相当多いものと思われますので、したがって、道路はむろん高速道路でなければならないと存じます。富里にいたしましてもあるいは霞ケ浦にいたしましても――霞ケ浦のほうが少し遠うございますが、大体一時間以内で到達できるようなりっぱな道路でないといかぬと考えております。その費用につきましても、先ほど申し上げました表に大体の費用が掲上してございます。
  108. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 平山さん、直線距離ならば霞ヶ浦でも六十キロ、富里の場合五十キロ、こういうふうになるのです。一時間なんという時間を見る必要は私はないと思うんですが、これはどうなんですか。そういうふうに一時間も時間がかかるということになると飛行機の時間よりも自動車に非常な時間を要する。それだからなるべく近いところに持ってこなきゃならぬという問題も起こってくるんだが、道路に、もちろん金をかけて四車線、八車線道路をつくって、百キロくらいでいけば三十分以内で行ける。そうすれば、むしろ九十九里浜の沖合でも埋め立てて、そこに一千万坪でも一億坪でも土地をつくってやってもいいことになるわけです。安全な広大なる飛行場がつくれるわけです。これは非常に道路問題を無視しているように思うのです。一時間ということは、陸上交通の非常に早い時代に、この点を考慮すれば、また新空港の敷地を新しい場所に求め得るんではないか、その場合必要ならば地下道をつくって、その土砂で埋め立てることも考えられるんじゃないか、こういうわけですが、その点の検討は審議会はいかがなされたものでありましょうか。
  109. 平山孝

    平山参考人 富里の場合でございますと、想定いたしました道路、その経路等もあれしたんでございますが、大体都心までが五十五キロで所要時間が四十三分でございます。それから霞ヶ浦の場合ですと、想定道路距離が七十五キロで、所要時間が六十三分ということになっております。富里の場合ですと四十三分という計算でございます。
  110. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 伊藤さんにお伺いしますが、いま東京湾横断堤をつくる、これは飛行場道路のみならず多目的道路だということでございますが、スピードはどれぐらいかかりますか。そしてどんな規模道路か。
  111. 伊藤剛

    伊藤参考人 距離都心から飛行場まで約三十キロになります。したがいまして、特別の高速道路――四車線・四車線、つまり八車線の道路になります。環状七号線くらいのあれになります。スピードは百キロは優に出せます。ただ、時間ばかりでなく、一般の乗客はタクシー代なんか払わなければなりませんし、七十キロだと、先ほどお話ししましたように、現行料金片道三千八百円かかります。そういう点も非常に重大な問題だと考えております。
  112. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 霞ケ浦埋め立ての場合、土砂は、これはもうそういう点も検討の上、埋め立てという問題を検討しておられますか。
  113. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、霞ヶ浦埋め立てにつきましての土砂の問題につきましては、事務当局としては、いろいろある程度の検討はいたしておりますが、審議会自体におきまして土砂をどうするという、いわば埋め立て技術的な問題を詳細に掘り下げられたわけではございません。
  114. 田邉國男

    ○田邉委員 一つだけ伊藤参考人に伺いますが、先ほどの羽田空港の問題でございますが、羽田空港が移転が不可能な場合は一体どうなさるのか。また、あの空港がそのまま残った場合、その利用の点についてはどうするのか。こういうことを伺いたいと思います。
  115. 伊藤剛

    伊藤参考人 もし羽田空港を残して、しかも親しい時代の航空機の性能に合うようにいたしますと、どうしても航空路を新設しなければならないと思うのです。しかし、それはたいへんなことでございまして、いま羽田沖をさらに沖のほうへ埋め立てをやりますと、水深があの付近は約二十メートルございまして、金といたしましても相当の金がかかる。  もう一つ、いま東京の各工業地帯を結ぶ湾岸道路計画がほとんど実施直前までいっておりまして、すでに敷地はその大半確保されております。それが羽田空港の南北で中断されておりまして、もし羽田で新しい滑走路をさらに沖につくりますと、そこをどうやって通り抜けるか、これがほとんど技術的な解決が不可能なくらいのむずかしい問題になっております。
  116. 田邉國男

    ○田邉委員 空港移転の不可能な場合はどういうような考え方ですか。
  117. 伊藤剛

    伊藤参考人 移転不可能な場合は、せっかく工業地帯を結ぶ湾岸道路計画が実施不可能になる、こういうことになります。羽田空港を無理して今度の新しいSSTのような飛行機に対応する性能にすると、新しい滑走路を別にさらにつくらなければならないのであります。
  118. 田邉國男

    ○田邉委員 大事な問題ですから私はっきり伺っておきたいのですが、新国際空港は、いまの羽田空港一つの限界に来ている、さきの日航社長の話でも二年後には非常に危険度が増すから早くつくってくれ、こういうときに、国際空港は非常な早い時期につくらなきゃならぬ。伊藤さんのお話を聞いておりますと、どうも移転先として厚木を一つの例にあげておられますが、非常にむずかしい問題で、このむずかしい問題を実現性があるがごとくおっしゃっておられるのですが、もしこれがだめ、こういうときに一体国際空港をどういう形でおつくりになるのか。それは大事なところだと思うのです。そこを伺いたい。
  119. 伊藤剛

    伊藤参考人 私の仮定といまの御質問の仮定とが食い違っているので答弁がやりにくいのですが、私のほうの意見は、羽田空港は廃止すべし、新空港はよその場所につくるべきだ、羽田空港は国内線にも使わない、こういうことなのです。
  120. 田邉國男

    ○田邉委員 最後に、そうしますと、伊藤さんのおっしゃっている産業計画会議の新国際空港というものは一つの理想図であって、現実とはほど遠いものである、こう判断してよろしゅうございますね。
  121. 伊藤剛

    伊藤参考人 そう判断していただいては困ると思います。その理由は、新しい空港をつくって――私どもはいまの段階で木更津を第一候補として、あそこがいいと思っておるのでありますが、新しい空港をつくりました暁には、羽田空港は廃止して、それを他の方面に利用すべきものだ、こう考えておるのであります。それが別に実現不可能だとか仮想のものだとは考えておりません。
  122. 長谷川峻

    長谷川委員長 この際、参考人方々委員会を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。  本日は貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。本法律案審査のため非常に参考になりましたことと存じます。ここに厚くお礼申し上げます。  午後は二時より再開することといたし、暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――    午後二時十二分開議
  123. 長谷川峻

    長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  124. 久保三郎

    ○久保委員 国鉄当局にお尋ねするのですが、最近国鉄当局は通運業者等と協議をして、近く小口貨物の集約輸送をするというのだが、その概要についてまずもって御説明いただきたいと思います。
  125. 今村義夫

    ○今村説明員 小口貨物の輸送につきましては、現在一般の小口と通運業者がまとめてやっております混載扱いの二本立てでございますが、一般の小口扱いが非常に不経済な、非能率なやり方で輸送をやっておりますので、この点を合理的な輸送体系にすることによりまして改善したいということで、もうこれは数年前からの議論でございますが、案を練りまして、目下通運業界その他と、運輸省の御指導も仰ぎながら、進めておる段階でございます。
  126. 久保三郎

    ○久保委員 その集約というか一元化の方向は、いまでも小口貨物の混載扱いというかそういう制度があって、一部混載扱いをやっている。一部でありますか大半でありますかは別にして、やっている。そこであと残っている小口扱いの貨物を、今回の改正は一元的に混載扱いというかっこうにして近代化をはかっていきたい、こういうことですか。
  127. 今村義夫

    ○今村説明員 ただいまおっしゃいましたように、現在小口扱いで送っておりますのは年間二百六十万トン、混載扱いで送っておりますのは三百五十万トンございますが、混載扱いのほうは比較的輸送能率もよろしいわけでございますが、小口扱いのほうは、先ほど申し上げましたように、非常に非能率でございますので、これを現在の混載扱いと同じような方向によりまして改善をはかりたいということでございます。
  128. 久保三郎

    ○久保委員 改善をはかりたいと言うが、改善の効率、メリット、そういうものはどういう点に求めておりますか。
  129. 今村義夫

    ○今村説明員 現在小口扱いは全国で約二千七百の駅で扱っておりますが、これを貨車への積み込み、取りおろしをする駅を百六十ぐらいにいたしまして、現在扱っておる駅とその親駅との間は自動車によって輸送するという、自動車の機能と鉄道の機能を結びつけることによりまして合理的な近代的な輸送の体系を確立したいというのがねらいでございます。私ども考えておるような案で実施いたしますと、輸送時間が非常に早くなるというのが第一点でございます。  それから現在の小口扱いは一車平均で三トンから四トンぐらいの積載効率でございますが、これをただいま申し上げました混載扱い化することによって、一車平均八トンから九トン程度まで上げ得るのではないかということになりますと、貨車の数で約半減するということでございまして、輸送上からは非常に近代的な輸送体系になる。  それから荷主サイドから見ますと、荷物の輸送が非常にスピードアップになる。それから親駅以外にはとまりませんので、いわば貨車列車が、いままで各駅停車で行っておりましたものが、旅客列車方式の輸送体系をしくことができますので、到着時刻がはっきりつかめるという利点がございますし、また運賃にいたしましても、これは顧客運賃と申しまして、いまの混載でもそういう扱いがありますが、いままでの小口扱いよりも一割程度は安い運賃でいくのではないかということでございまして、荷主にとりましても非常に便利になりますし、国鉄にとっても非常に有益な結果が出てくるということでございます。
  130. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話だと、小さい駅の貨物の列車に対する積みおろしはやめて、基地を設けてそこに集約して、混載扱いで基地間は全部輸送する、こういうことでありまして、言うなら鉄道と自動車のコンビネーション方式を完全にとる、こういうことになろうかと思います。それは一つの輸送の近代的なスタイルでありますが、御説明では、なるほどレール部分についてのスピードアップは一応考えられる、しかし荷主サイドからいって、託送から受け取りまで、その時間が全部でありますから、いわゆるドア・ツー・ドアというか、そういう間の時間短縮というか、これは必ずしもそれだけでははかれないのではなかろうか、こういう心配一つあるわけです。それはどういう方法によって解決する考えですか。
  131. 今村義夫

    ○今村説明員 御指摘のとおり、ドア・ツー・ドアの輸送時間が短縮されなければ意味がないわけでございまして、その点につきましては通運業者との間に十分の協議をいたしまして、自動車の集約、これを自動車から親駅まで持ってくる作業、あるいは親駅に着いて戸口まで配達する作業、これをはっきりした時間的な便をこしらえまして、それによってやらせることにいたしたいと思っております。
  132. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、これは極端な例でありますが、たとえばいまある駅で受託される荷物がきょうは一個きりなかったという場合でも、いまの代用車によるところの小口の輸送は完全にその日にその場所から輸送開始されますね、輸送開始は、最低限、おそいか早いかは別にして。ところが、一個だけの荷物がはたして通運業者との取りきめの中でうまく基地駅まで輸送されるかどうか、あるいは逆には到着のほうも同様でありますが、そういうことは可能であるかどうか。非常にむずかしい問題だと思うのですが、その辺のことは、たとえば全体の扱いの中で消化するわけだから、それは多少無理でもできるというのか、あるいはそうじゃなくて、個々別々に規制をしていくというシステムをとるのか、それはどうなんですか。
  133. 今村義夫

    ○今村説明員 その辺のところはこれからいろいろ検討しなければなりませんけれども考え方を申し上げますれば、全体の中での吸収ということが大体考えられると思います。もし実際の輸送上、私どものほうの、たとえば一個というような場合には、まだほかに列車もあることでございますし、そういう列車で便宜輸送する。たとえば荷物列車、旅客列車の一部を使って輸送するとかいうことも考えられますので、原則としては通運業者にやらせますけれども、そういうことが実行上非常にむずかしいという場合には、便宜の措置で考えていきたいというふうに考えております。
  134. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、この新しい方式は、当然国鉄だけじゃなくて、通運業者あるいは国鉄にあらざる運送人、こういうものが介在するというか、連絡し合ってやれると思うのです。そういう構想ですね。そこで単純に、この制度をやろうというのは輸送の近代化であるのかどうか。単純に輸送を近代化するという御説明があったように、運賃も安く、そして早くというだけなのか、どうなんですか。
  135. 今村義夫

    ○今村説明員 お話しのとおりでございまして、われわれは輸送面から、現在の非常に非能率な輸送をもっと能率的な輸送、近代的な輸送に変えたいということだけでございます。
  136. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、この荷物の輸送についてはもう一つの問題があると思うのです。いわゆる各輸送機関の輸送分野、こういうものが考えられますね。  そこで、国鉄の荷物を扱うのは通運業者でございます。通運業者と国鉄がコンビネーション方式によってすべての小口を混載扱いにするということになりますが、ここで考えなければならぬのが、現在の通運業者というのは運送取り扱い人であると同時に、運送人であります。自分で荷物を運ぶという機能もあわせ持っている。最近の傾向としては、御承知のように、これら通運業者の取り扱い業と運送業とのバランスがだんだん逆になりつつある傾向が強い。いわゆる一般に通運業者といわれるのは、他人の荷物を自分の名前あるいは他人の名前で自分が鉄道に託送し、あるいは受け取る。それで荷主に届けるのでありますが、現実の通運業者の実態は、先ほど申し上げたように、自分で輸送能力を持っている。そこで、その分野も自分が運送人としての分野がたいへん比重が重くなり、運送取り扱い人としての比重は軽い。これをもう一ぺん逆に返せば、結局運送取り扱い人は輸送機関の選抜について自分の企業のベースと他人の輸送機関、そういうものの比較においてこの荷物をどちらで輸送するかをきめる、こういうことを考えるとやはり、ここで大きく考えねばならぬのは、いわゆる運送取り扱い人の現実また方向、そういうものを考えて一元化というか、近代化をやらぬと混乱が起こると思うのです。たとえばこれがお考えどおりに推進されたとしますれば、おそらくいま以上に自動車と鉄道の輸送競争が激化するものではなかろうか。激化すれば当然そのしわ寄せが最後には利用者であるところの荷主に来る心配もある、こういうふうに考える。そういうことについてはどうお考えでしょう。
  137. 今村義夫

    ○今村説明員 私どもは、貨物の輸送にあたりましては、通運業界と国鉄が一体となってやっていくことが絶対に必要だと思うのでありまして、そういう意味におきまして今回の改善は通運業と国鉄が真に一体となった姿でこの改善をはかっていくということでございますが、その結果、自動車、一般の道路運送事業との間に競争が激化するというお話はある程度事実だろうと思いますが、しかしそのいずれをお選びになるか、むしろそれは両者のサービスの提供内容いかんでございまして、そのいずれを選択するかは利用者である荷主さんがお選びになるわけでございまして、私どもとしては、むしろ荷主の便利にこそなれ、荷主さんがこれによって犠牲を受けるというようなことはあり得ないというふうに考えております。
  138. 久保三郎

    ○久保委員 最後のほうのお話でありますが、選択はいわゆる利用者である荷主自体である、こういうことをおっしゃいましたが、小口の場合においては必ずしもそうではないと思うのです。というのは、そこに運送取り扱い人としての通運業者が介在している。だからそうなるとあなたがストレートにおっしゃった荷主が選択するという自由は遮断される傾向が強いと思います。この点はいかがですか。
  139. 今村義夫

    ○今村説明員 荷主さんが通運業者に頼まれた場合に、これをトラック輸送にするかあるいは鉄道輸送にするかということについては、確かに運送取り扱い人である通運業者が介在することによって問題がありますけれども、それは結局サービスの内容と申しますか、運賃なりその他輸送時間というようないろいろな問題に制約されて条件づけられますので、その点はやはり荷主さんに、われわれが提供するサービスが一体トラック業が提供するサービスとどうかという問題に帰着すると思うのであります。それからまた通運業者がそれをどうするかということは、結局通運業界がどっちに持っていったほうが利益があるかという経済的な裏打ちによってそれをやるのではないかというふうに考えられますので、そこらのところは私ども今後国鉄の営業といたしまして、どういうふうなサービス内容を提供するか、また運賃制度をどうするかという問題にからまってくる問題だと考えます。
  140. 久保三郎

    ○久保委員 いま申し上げたような点がやはり大きな一つの問題点だろうと私は思うのです。今村常務理事と私の見解では少し違うところがありますが、まあ問題点のとらえ方としては同じだろうと思うのです。そこでそういう問題点がすっきりしないというよりは、展望が非常にむずかしいこの際に、たとえば基地を幾つかおつくりになる、新しい設備投資をする、企業でありますから、設備投資をした場合には、それなりのメリットを考えていかねばならぬ。それからもう一つは、設備投資ばかりじゃなくて、そこの基地の扱いというのは異常にふくれ上がると思うのですね。しかもその場合は相当の荷さばきも含めて荷役の近代化を考えなければ、そこが大きなネックとなって、こぶとなって、いわゆる構想は近代化、合理化ということで、早いスピードアップができるといっても、これはかえって渋滞する危険さえ予見されるわけです。こういう点についてはどういう考えをお持ちですか。
  141. 今村義夫

    ○今村説明員 基地の設備につきましては、現在の基地の設備だけで十分であるかといいますと、これは十分でないところもあるわけでございまして、そういう点につきましては、十分やはり現在のような昔さながらの設備でなくて、近代化された設備、特に機械化というようなことを考えまして、今後万全の体制をとっていきたいというふうに考えております。特に労働力が非常に最近では得られなくなりつつある現状におきましては、私ども二千七百の駅を近代化するといっても不可能でございますので、百六十というような少数の駅にしぼりまして、これを徹底的に近代化した姿で運営をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  142. 久保三郎

    ○久保委員 そういう姿はこれからおつくりになるのだろうと思うのでありますが、これが第二番目には大きな問題点だろうと思うのです。  それからもう一つは、いま百六十という基地だそうでありますが、百六十になるかどうか、はっきりしないでしょうけれども、いずれにしても百六十ぐらいそうなった場合に、いわゆるトラックに依存する距離というのは約百キロくらいでございますか。
  143. 今村義夫

    ○今村説明員 現在は大体四十キロから五十キロくらいでございますが、これはやはり百キロ程度には伸びると思います。
  144. 久保三郎

    ○久保委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、百キロ間の輸送というのは、もう一ぺんお尋ねしたいのでありますが、それは大まかにいって、どういう自動車によってやろうというのか、いまある通運業者の輸送力に依存しておやりになるということでございますか。
  145. 今村義夫

    ○今村説明員 この点につきましては、まだ最終的には決定はいたしておりません。特にこれは法制的な問題もございますので、今後運輸省の御指導を仰ぎながらきめていくことになると思いますが、通運業者の車を使う場合もございましょうし、その他の場合もいろいろ考えられると思いますが、これはまだ最終的に決定いたしておりません。
  146. 久保三郎

    ○久保委員 次に、いまある混載扱いというのは、通運業者の一方的な仕立てだけですね。だからこれは国鉄には直接関係ありませんね。関係ありませんというのは、貨車をお貸しするだけで、あとはありませんね。今度のものは、残った全部の小口をこの方式に改めるということでありますが、そうしますと、全体の小口混載輸送ルートというか、輸送方式というか、そういうものは大幅に変革することになりますか。というのは、いままで、たとえば、ある通運業者が甲から乙までのものをやっていた。それから乙の到着駅からは、さらに今度はトラックで持っていくなり、普通の小口扱いでまた置きかえていくなり、いろいろやっていると思うのです。ところが、今度は、全体の小口混載ということになりますれば、全量ですからね。あと二百六十万トンからのものをやるのだから、そういうルートなり方式は変わってくる、こういうように了解してよろしいですか。
  147. 今村義夫

    ○今村説明員 お話しのとおりでございまして、基地駅から基地駅に対するストレートの輸送が生まれてくるわけでございます。しかし実際の輸送問題といたしましては、そういうストレートだけの問題では解決つかない問題があるわけでございまして、ある大きな駅まで到着して次々におろしていくような取りおろしの混載とか、あるいはそういうものを積み加えてやっていく積み加えの混載とか、いろいろな組み合わせができると思うのであります。しかし、現在混載でいっておるのは大半は現在のままでいきまして、残りの二百六十万トンの一般小口と、現在非常な無理な仕立てをしておるようなものをかみ合わせまして、合理的な輸送体系をつくりたいということでございます。
  148. 久保三郎

    ○久保委員 次に仕組みの問題でありますが、これは何か法人組織をおつくりになっておやりになるんだというのだが、そういうことでございますか。
  149. 今村義夫

    ○今村説明員 こういう輸送改善をするにあたりまして、実は現在混載を仕立てておる業者が七十八店くらいあるわけでございます。しかもその七十八業者の中には、日通なんというような非常に大きなものと、そうでない中小の通運業者がございますので、これらを一体として運用していきますためには、別の機関が必要ではないかということで、私ども仕組みと申しておりますけれども、調整機関をつくるということでございまして、その調整機関である仕組みに法人格を持たせるかどうかにつきましては、まだ結論を得ておりませんので、今後業界と話し合いをしながら、この話を煮詰めていきたいということでございます。
  150. 久保三郎

    ○久保委員 これは世界の国々でもやっておるところがあると思うのですが、この仕組みについてはいろんな方式があると思うのですけれども、国鉄の直営というようなことは考えたことがございますか。
  151. 今村義夫

    ○今村説明員 御承知のとおり、諸外国におきましては、大体鉄道が子会社的なかっこうで通運を営んでおるというのが多いと思いますが、わが国では御承知のように通運会社というのがありますし、私どもこれを直営でというようなことでは全然考えておりません。
  152. 久保三郎

    ○久保委員 この仕組みのやる仕事は、いま言ったように調整ということでありますが、たとえば調整といった場合には、甲の通運業者がまだ満ぱいにならぬというときに乙が荷物を持ってくる、そういう場合に一緒にさせるというような調整ですか。
  153. 今村義夫

    ○今村説明員 現在、混載は発着駅がまとまったところで一緒になるようなものが多いわけでございますが、今回一般の小口をこういう扱いにいたしますと、行き先も非常にばらばらでございますので、ある駅に所属する通運業者が集めてまいりました小口の中で、同一方向のものは全部各通運業者が持ってきたものを集めて一緒に仕立てられれば、それは一番合理的な輸送体系になるわけでございますので、あるいはまた現在非常に無理な、たとえば汐留から梅田に行っている混載の中に、四国ものであるとか、広島向けとか山陰向けとかいうようなものが入るわけでございます。それはほかのものと一緒にしたほうが合理的な輸送体系になると認められればそういうふうな指導をする、調整をとって合理的な体系にするという、仕立ての調整をはかるという機能でございます。
  154. 久保三郎

    ○久保委員 それではこの基地間の輸送は一応スピードアップできるとしても、いまお話に出ました中継作業、たとえば梅田へ行って四国へ行くまで、これが一車に足らぬという事態ができると思うのです。二トンかそこらである。それをどうしてもやはり平均八トンぐらいにしなければならぬ、これは企業意識からして当然だと思うのです。これは通運業者も、国鉄も同様であります。そうなった場合に八トンになるまで待たなければいかぬという事態が起きはしないか。そうなった場合に、現在より荷主に対してはサービスの低下になる、こういうことも考えられる。これはこまかい例でありますが、そういう例が考えられると思うが、これに対してはどういうふうに扱いますか。
  155. 今村義夫

    ○今村説明員 現在の各業者別でございますと、そういう事例があるわけでございますが、これを統合いたしまして、統合と申しますか一緒に見て、そして合理的な姿での体系に調整をしていきますならば、そういうものはなくなってくる。もちろん私ども数量的に全部調整いたしておりますので、大体どこ向けにはどういうあれができるという案は持っておりますから、そういうことで、初めから一挙に理想的な姿にはいかないかもしれませんけれども、だんだん理想的な姿に持っていくようなかっこうに持っていきたいと思っております。
  156. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、輸送のダイヤでありますが、これはたとえば東京を中心に考えて、四国の果てなら果てまでの輸送ダイヤは設定しますか。できますか。
  157. 今村義夫

    ○今村説明員 基地間の輸送につきましては、現在は各駅停車でいっているのが普通でございますが、今回は特急列車あるいは急行貨物列車というようなものをつくりまして、まとまったのはそれで基地間輸送をする。それ以後につきましてはやはりダイヤを組んでおりまして、先ほど申し上げたたとえば高松なら高松から先は取りおろし混載で持っていくというようなかっこうに持っていくし、さらにその先は自動車との機能の結合ということでダイヤを引きたいと思っております。それは可能でございます。
  158. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、基地のほかに準基地というか、あなたがおっしゃったように取りおろしをする基地ですが、こういうものもある程度荷物の流れによってはつくる、こういうことですか。
  159. 今村義夫

    ○今村説明員 幹線区におきましては基地から基地というかっこうに持っていくわけでございます。そこからさらにそこでおろすべきものをおろして、次の基地駅まで持っていくということもございますし、それから支線区になりますれば、その車を流しながら取りおろしていくという場合もあり得ると思います。そういういままでの代用車的な輸送網も考えなければならぬと思っております。
  160. 久保三郎

    ○久保委員 そこで次には、急送品とか危険品の輸送ですが、これは特に急送品が多いと思うのでありますが、急送品の輸送形態はいまのままですか。
  161. 今村義夫

    ○今村説明員 急送品の問題につきましては、お話のとおり特別な扱いをしなければなりませんので、大体現状どおりにしたいと思っております。ただ、これは発着駅がきまっておりますので、列車を指定いたしまして、一番輸送に便利な方法で発着列車を指定しまして輸送する現状どおりの方法でまいりたいと思っております。
  162. 久保三郎

    ○久保委員 そこでいまのような構想でいった場合に、国鉄自体は列車の密度をもっとふやすということのメリットがある。さらに貨車の効率が高まるということがあると思いますが、あとは何か利益がありますか。
  163. 今村義夫

    ○今村説明員 いまおっしゃったことでございまして、国鉄といたしましては、先ほど申し上げましたように、現在小口に二千両ぐらい使っておりますが、これが千両程度で済む、これは使用車で千両でございますから、四千両ぐらいの貨車をつくったと同じ効果になるということが第一点でございますし、それからスピードアップすることによりまして、線路容量が浮いてくる、あるいは貨車の回転が早くなるというメリットがございます。大体そういうことでございます。
  164. 久保三郎

    ○久保委員 大体それだけであとは目ぼしいメリットはない。それじゃこれをやる場合に国鉄が損をする――といっては語弊があるが、新しく投資をするものもありますね。投資は大体さっき言ったように利益のほうと差し引き勘定で、利益があるからやる、こういうことでしょうが、それ以外に何か国鉄の負担になるものはありますか。
  165. 今村義夫

    ○今村説明員 現在の小口の輸送は、御承知でもございましょうが、コスト割れと申しますか、経費のほうが収入よりも非常にオーバーになっているということでございまして、これを今度のような方法にいたしますと、それだけの収入割れの問題がコスト的にカバーできるということでございます。それ以外にはいまお話がありましたような新しい設備をしなければならぬということはございますけれども、特別なあれはないと思っております。
  166. 久保三郎

    ○久保委員 そこで新しく設備する金額は、およそ予算としてどの程度のお金になりますか。
  167. 今村義夫

    ○今村説明員 いまのところ一応見込んでおりますのは二十五億程度の金でございます。
  168. 久保三郎

    ○久保委員 それじゃ通運業者のほうは、これをすることによってプラス、マイナスはどうなりますか。
  169. 今村義夫

    ○今村説明員 通運業者のほうはいままで一般の小口は国鉄が扱っておりますのが、これが通運業者扱いになることによって業務量増になるということでございまして、したがって、それによって収入増ということが考えられるわけでございます。
  170. 久保三郎

    ○久保委員 そうすると、あまりマイナスはないということになるわけですね。片一方の場合通運業者というか、混載をやっているのが約八十社ほどあるそうですか、八十社の中には力のあるのもないのも多種多様だと思うのですね。そうなった場合に、その仕組みの中で調整をとるというが、調整をとるのは荷物の輸送の調整であって、これらの経営の調整は別に考えてはおりませんね。
  171. 今村義夫

    ○今村説明員 お話しのとおりでございまして、経営の調整などということは国鉄がタッチすべき問題ではない。したがって、純然たる輸送上の機能の調整でございます。
  172. 久保三郎

    ○久保委員 その問題の一つに残ると思うのですが、私もよくわかりませんけれども、そういう調整を国鉄はもちろん実際とれませんね。なかなかとれないですよ。そうなると、そこで混載を中心にしてやはり優勝劣敗というか、力のあるものは勝っていくという仕組みができはしないか。仕組みというよりそういう結果になりはしないか、こういう心配一つある、こういうふうに思いませんか。
  173. 今村義夫

    ○今村説明員 私どもは、むしろ逆でございまして、いままでのような姿におきますと、そういう優勝劣敗的な色彩が出てくると思いますが、こういう仕組みを通ずることによって、いままで全然混載を扱えなかった中小の通運業者も混載を仕立てられるということになりまして、むしろ中小企業的にはプラスになるんじゃないかという考え方を持っております。したがって、この仕組みには、単なる業者間の問題でなくて、国鉄がこれに一枚かむということによってその機能は達成できる――いままでも自主的にはいろいろ各業界の集中性ということを慫慂してまいりましたが、それがうまくまいりませんので、こういう国鉄が一枚かんだ姿においての調整機関ということで機能を達成できるんじゃないかというふうに考えております。
  174. 久保三郎

    ○久保委員 お尋ねがまた前へ戻るようでありますが、いまのような方式になった場合に――なった場合というか、それを考えることはやはり何というか、大きな基地間の輸送は当然これは一番利益がありますね。基地から送り出して基地へ到着する荷物、いうなら大都会中心の輸送というか、そういう荷主には確実にいまの御説明ではメリットが出てくる。ところがそれ以外の小さいところから出る、あるいは到着するというような荷物、すなわちそれに対する対策・こういうものは必ずしも完全にいくかどうかがまだわからぬというふうにわれわれは考える。だから、先ほど前段申し述べられましたような輸送の近代化をはかるという構想には違いないにしても、皮肉な質問になるようでありますが、何か大都会中心の荷物が中心になって、それ以外のところの荷物は国鉄としてはトラックに転嫁するんなら、してもよろしいというふうにも考えるわけです。そういうことを考えているとは、もちろん御答弁がないと思うのですが、そういう結果も出やしないかという心配があるのですが、これはどうですか。
  175. 今村義夫

    ○今村説明員 私どもは、むしろ基地間の輸送は、先生お話しのとおり、非常にスピード化せられますし、その後の継送関係も、これも運賃制度をどう考えるかによって解決できる問題であるし、あるいはまた配達の日にちの指定というような制度面におけることでも考えることができるんじゃないかというふうに考えております。
  176. 久保三郎

    ○久保委員 基地が、たとえば極端な話で百キロ区間が基地トラック輸送にかかりますね。そうしますと、汽車に乗らない荷物というのもありますね。それも扱うのですか。
  177. 今村義夫

    ○今村説明員 その点は非常に問題がありますが、私どもはもちろん国鉄で輸送してほしいという御要求のものは受託せざるを得ませんし、そうなりますと、それをどういうかっこうで輸送するかということが問題でございますが、この問題は代行輸送という姿で実施をいたしたい。鉄道のかわりに自動車で輸送するというケースも出てこようかと思っております。
  178. 久保三郎

    ○久保委員 いずれにしてもだれがその輸送を担当するかは別にして、そういう近距離小口貨物はもう鉄道を利用させないということに結果としては相なりますね。そうじゃないですか。企業体がだれであっても、とにかく汽車には乗らぬで、トラックになる。だからこの方式は、いうならば一応の戦線整理に焦点が、――やはり輸送分野のシェアの仕分け、区分けということで一つありはしないか、こういうふうに思うのだが、その点はどうですか。その場合、たとえば運賃制度の問題を言及されましたが、それじゃ国鉄の貨物運賃の制度からそういうものは一応らち外として除く以外に方法がないということは、そこには、どういう企業がトラック輸送を担当するにしてもトラックの範疇でありますから、トラック輸送の範疇に属する運賃ですから、国鉄の運賃制度の中でこれを縛るということは不可能じゃないか、こういうふうに思うのですが、その点はどう考えますか。
  179. 今村義夫

    ○今村説明員 私どもは国鉄へ申し込みのありました貨物は、代行輸送であろうとなかろうと、やはり国鉄運賃でやるべきだと思うのでございますけれども、この点につきましては、これは運輸省の御見解もございましょうし、今後運輸省の御指導を仰ぎながらきめていかなければならぬ問題であるというふうに考えております。
  180. 久保三郎

    ○久保委員 いま今村常務のおっしゃること、その制度上の問題は、これは運輸省の認許可の問題もあるから、それはいいとして、私が言っているのは、鉄道の貨物運賃制度というものは、鉄道の貨車に乗るやつの貨物運賃なんです。ところが、全然鉄道に乗らぬ、トラックに乗る荷物が出てくることになれば、これは運賃制度の大きな変革だし、これはトラックの範疇で運賃制度は考えていかなければならぬだろう。なるほど鉄道で受け付けますよ。あなたのおっしゃるとおり受け付けるにしても、トラックの範疇ですから、そうするとこれは競争相手というか、同じトラックで運送する運送業者がいるわけですよ。そうなると、これは貨車の運賃で取っていいのかどうか、それは実際問題が出てくる。もしも、たとえば対抗上いわゆる鉄道の貨物運賃という疇範でこれをやる。その場合に、安ければ荷物がどんどんいわゆる本来の国鉄へ殺到するわけでしょう。片寄ってくる。ところが、貨物運賃がトラックより高いという場合には逆に離れるということになると思う。しかも考えられるのは、こういう近距離の輸送機関としての機能は、国鉄よりは一般のトラック運送事業者のほうが、店舗網も集配能力も全部持っているわけですね。そうなった場合必然的にこの制度をやると、そういう地域は鉄道の恩恵に浴さぬでもいいという結果になって、こういう荷物は、いわゆる鉄道の貨車輸送からはもちろんでありますが、鉄道の手からは離れていくということになると思う。そういうふうには考えられませんか。
  181. 今村義夫

    ○今村説明員 お話しのとおり鉄道に全然乗らないということでございますれば、そこに鉄道の運賃でいいのか、自動車運賃でなければいかぬのかという問題はあると思いますが、私ども鉄道側といたしましては、ぜひ鉄道運賃でという気持ちを持っておりますが、これは法律問題その他いろいろな問題があると思いますので、今後運輸省の御指導を待ちながらきめていきたいというふうに考えます。
  182. 久保三郎

    ○久保委員 いずれにしても問題点の一つだろうと私は思っているわけです。それは別に運賃の問題が直接的な問題じゃなくて、むしろトラック輸送と鉄道輸送との関係、だから見ようによっては、この新しい方式は、鉄道はもはや百キロ以内はトラックに譲るという気がまえであるのかないのか、こういうようなことも考えられるということであります。まあ御説明はちょっと違うようでありますけれども、そういうふうにもとれやしないかということです。そうなった場合、いま国鉄の運賃は全国一本でありますから、そこで地域の格差なぞも多少解消する役目になっているわけです。ところが、今度は地場トラックの分野にそういう荷物が全部入るとするならば、これは地域格差の解消の役割りというものは、国鉄自身から一本失われていく、こういうことにも考えられると思う。それであっては、これは先ほど前段御説明があったような、荷主にはサービスを向上させるという大義名分のほうからははずれやしないか、こういうことを心配するわけです。いかがでしょう。
  183. 今村義夫

    ○今村説明員 私ども、最近の交通事情をながめてみますと、まあトラックがこれだけ発達いたしました現状におきましては、あくまで鉄道だけの輸送ということでは小回りがききませんので、やはりそこに鉄道のよさと自動車のよさとをコンバインした近代的な輸送体系というものが当然考えられるのではなかろうか。お話しのとおり、トラックの分野と鉄道の分野というものがそこで微妙に競合すると申しますか、問題になるのはお話しのとおりだと思いますけれども、しかし鉄道としても、いつまでも鉄道だけを見ておってはいけない。むしろ自動車の機能のよさを取り入れるということでまいるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  184. 久保三郎

    ○久保委員 決して私は私の言っていることを否定しながら言っているのじゃなくて、問題点を申し上げているのです。あなたのおっしゃることもそのとおりです。ただし、鉄道は何でもかんでも荷物をとることがいいのかどうか、あるいは百キロ以内のものをトラックに譲るのがいいのかどうか、これは大きな政策として考えなければならぬ。そういう政策が前段として先行して初めて輸送形態の変革がどうあるべきか、輸送の近代化はどういうふうにすべきか、こういうふうにならなければ筋道としては少しおかしいんじゃないかというような考えを実は持っているわけなんです。そこで、結局そういうものも日本全体の陸運の中の輸送体系として体系づけられないままにやることは、かえって混乱を来たす場合がある。制度上も、あるいは実際上も、これはいろいろあると思うのですね。だから、そういう点も十分考えていくべきじゃないか。  まあ鉄監から来ているから国鉄部長にそのことをお伺いしたいのだが、これはいまの構想は、いうならば輸送の狭い視野から見ても、トラックとコンビネーションした輸送を大幅に前進しようということで、これは輸送方式の大きな変革です。しかしそれは、単に輸送方式の変革ばかりでなくて、輸送分野、輸送体系の変革につながる問題である、こういうふうにとらえて差しつかえないと思うのです。もしもそういうことをとらえぬままに狭い視野だけに問題をしぼってやるというと、これは将来収拾のつかない失敗だというふうにも見られる。たとえばこの仕組みの問題一つとっても、そういう方針、制度、ものの考え方、これをきちんとしないままにやるというと、これはかえって輸送の近代化にブレーキをかけたり混乱をさせるもとが出てくる。あるいは荷主大衆に非常な不便というか不利益を与える結果となりはしないか。これは、いま申し上げたような点を含めて十分検討する必要がある。ついては運輸省もそれぞれ国鉄から御連絡があって御検討いただいておると思うのだが、政府としてはどう考えているのかということを聞きたいのです。あまり理屈っぽい話になるけれども……。
  185. 深草克巳

    ○深草政府委員 非常にありがたい御示唆を受けましたわけでございます。その輸送体系の変化をまずきめて、それからこういったことの方針をきめるべきじゃないかということでございまして、まことにそのとおりだと思うわけでございます。ただ、私ども、いままでの経過を申しますと、遺憾ながら逆といいますか、御質問の逆になるわけでございますが、国鉄の経営の合理化ということ、並びに輸送の近代化、合理化ということからこの問題はスタートしたわけでございますが、輸送体系の方針が、あとさきの問題は別としまして、結果としては、やはり先生のおっしゃるように、最終的には輸送分野が自然とそういうふうになっていくということではなかろうかと思います。ただ、先ほど来お話がありましたトラックのみによる輸送の運賃を、つまり代行輸送の場合の運賃を国鉄の運賃にするか、あるいはその場所その場所のトラック運賃によるかということのきめ方によって、それは大きく変わると思います。トラック運賃で代行輸送の運賃をきめるということになりますと、仰せのような輸送分野の確立ということをやはり先に立ってやらなければいかぬ。また結果的に見ましても、トラック運賃でやるということになりますと、自然とそういうふうにも輸送分野がはっきりきまってしまうということになろうかと思うのであります。この問題につきましては、実は臨時鉄道法制調査会でも代行輸送のときに議論がございまして、やはり各駅の受託義務というものはやはり残すわけでございますので、そうなりますと、やはり鉄道に持ってこられる人には、かりにトラックで行くにしましても、鉄道運賃でやらなければいかぬじゃないかという議論が大体大勢を占めておりまして、そういう方向になると思います。そうなりますと、必ずしもそのことだけで輸送分野がはっきりまた変わるともいえないんじゃないか。まあ現在鉄道運賃のほうが安うございますので、そう大きな変革はないんじゃないかというふうに考えます。
  186. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、ちょっとまた前へ戻るようでございますが、この運送取り扱い業者の近代化というか、取り扱い業者としてのいわゆる運送人を兼ねていない、兼ねていないというとおかしいが、それは別に置いて、純然たる取り扱い業者の近代化、こういうものもこの際は考えているのかどうか。というのは、輸送を近代化していく場合には、いま取り上げておりますところの鉄道と自動車のコンビネーション方式によるということも一つでございます。しかし先ほど私がちょっと言及しましたが、基地駅におけるところの荷役設備の問題、いまやっているたとえばこの荷役通運業者にとれば、荷役の近代化が一つの生産性の向上になるわけですね。ところが、いま考えておられる基地駅の問題は、近代化は国鉄だけでやるわけじゃないでしょう。むしろ通運業者何店か、その駅にもございますね。全国に七十八社とか七十九社ございますが、そういうものの共同荷役作業というか、そういう共同システムというものをもっと前向きで考えなければ、やはり画竜点睛を欠くのじゃないかというふうにも考えるのです。その点はどうお考えですか。
  187. 今村義夫

    ○今村説明員 今回の問題は私ども純然たる輸送問題として考えておるわけでございますが、お話しのように、いろいろな駅の共同荷役体制とか、あるいは駅設備の近代化等につきましては、もちろん通運業者もその気になって近代化をしてもらわなければならぬわけでございまして、たとえば欧米におきましてはパレット輸送というような非常に進歩した体系でやっておりますが、こういう姿も取り入れるということになりますれば、当然そういう問題がからみ合ってくるわけでございます。運送取り扱い人としての問題も終局的には出てこようかと思いますが、現段階におきましては、私どもは輸送上の問題として考えておるわけでございます。
  188. 久保三郎

    ○久保委員 これはむしろ運輸省の所管かもしれませんが、そういう通運業者も、荷役の近代化というか、あるいは企業の共同化というものを進めないままにやっていくというと、それは混乱と過当競争というか、そういうことが出てくると思うのです。だから、ここで輸送の近代化なり輸送革命に乗ろう、流通革命の中での仕事を考えていこうというなら、やはり表裏一体としてそういう問題を前進させなければいかぬと思うのです。いままで寡聞にして運輸省の政策の中では聞いていないのだが、これはどういうふうになっておりますか。
  189. 深草克巳

    ○深草政府委員 通運事業でございまして、直接の担当ではございませんが、問題はやはりたまたま基地にある通運業者は自然と近代化されるということになりますが、基地から漏れましたいわゆる子駅と申しますか、子駅に所在します通運業者の問題がやはりあろうかと思います。現在子駅の通運業者は基地駅への通運事業は認められておらないわけでございますので、そういった点で商売が成り立たなくなるというような懸念もございますので、将来この基地までの子駅の通運業者が作業合同なりしまして、少なくとも作業面での合同をやって、その上で基地への通運事業を認めるというような方向へいかないと、この問題も円満には片づかないのじゃないかというふうに考えております。
  190. 久保三郎

    ○久保委員 あなた所管じゃないから、あとにしましよう。  そこで、今村常務にこの問題でもう一ぺん聞きますが、たとえば基地になるようなところは、いうならこれはターミナルですね。その場合いまの、たとえば汐留なら汐留、梅田なら梅田の駅の使い方は通運業者によって違うのでしょう。そこに混乱とむだな横持ちというか、そういうものもたくさんあると思うのです。こういうものをそのままにしてこの問題を解決することは、私はむずかしいと思うのですよ。だからこれを機会にそういうことも考えておられるかどうか、いかがですか。
  191. 今村義夫

    ○今村説明員 仰せのとおりでございまして、現行一駅で数店あるようなところがおのおの自分の領土みたいなかっこうで使っておる体系はもう廃棄いたしまして、総合的に効率のあがるような方向で使用すべきだというふうに考えております。
  192. 久保三郎

    ○久保委員 だと考えているだけでは、これは政策でありまして、やはりそういうものをあわせ行なわない限りは、何か恥部には触れたくないというようなことでやっていたのでは、これは国民経済上まずいと思うのですよ。
  193. 今村義夫

    ○今村説明員 そのどこをどう使うかということも、この仕組みの一つの調整の機能に入るわけでございます。
  194. 久保三郎

    ○久保委員 あと質問なさる方もおりますから、別な問題にいきますが、これは直接的には車扱いの問題には全然関係ありませんね。
  195. 今村義夫

    ○今村説明員 車扱いとは関係ございません。
  196. 久保三郎

    ○久保委員 これは運輸省にお尋ねしたほうがいいのだが、先般三月末の臨時鉄道法制調査会の答申の中では、鉄道輸送と並行して当然やらなければならぬ手小荷物の輸送は、答申の中からは削られたというが、これはいかなる理由で答申としては削ったのだろうか、いかがでしょう。
  197. 深草克巳

    ○深草政府委員 答申の中から削られたということではございませんで、手荷物運送につきましては、現在同時輸送の規定がございます。これは運輸規程でございます。営業法ではございませんが、営業法にちょっと手荷物ということばが出てまいっております。ただ現在非常に輸送が近代化されまして、たとえば電車輸送というのが非常に多くなりまして、同時輸送というのは、事実上不可能になっておるわけでございます。これはいまの運輸規程によりましても、「鉄道ハ託送手荷物ヲ旅客ト同一列車ヲ以テ運送スベシ但シ運送上ノ支障アル場合ハ此ノ限二在ラズ」この「運送上ノ支障アル場合ハ此ノ限二在ラズ」というのは若干問題があるわけでありますが、そういったことで、現在同時輸送が事実上できないことになっているのを、必ずしも法律に違反しておるのではないというふうに私ども考えておりますが、それは別といたしまして、そういった現在の輸送状態でございますので、法律上特別の規定を設けることは今回はやめようということでございまして、手荷物輸送のメリットと申しますか、安くて、現在でも旅客列車にそうおくれないかっこうでいっておりますが、この実質的な制度は続けていこうということでございます。法律上、営業法に手荷物と書いてございますところを、今回は全部除こうじゃないかという意味でございます。
  198. 久保三郎

    ○久保委員 それじゃ制度としては除こう、その除こうというのは、いまあるものは同時輸送が義務づけられる。近いところは別ですが、遠いところへ行くような場合は、旅行用具というものを原則として荷物車に積んでもらうというようなことだが、それはもう必要ないというか、義務づける必要はないということで答申には盛られなかった、そういうふうに了解してよろしいのですか。
  199. 深草克巳

    ○深草政府委員 同時輸送の問題が現在運輸規程にございますが、事実上不可能になっておりますので、現在の状態を是認いたしまして、仰せのように法律上義務づけるということはやめようじゃないかというのが結論でございます。
  200. 久保三郎

    ○久保委員 そういうものの思想からいえば、だんだん今度は、いま同時輸送でないから、同時輸送の規定は盛らぬでもいい、そうしますと次には、運ばぬことになったから全然運ばぬでもいい、こういう考えになると思うのですが、そういうことでいいのですか。
  201. 深草克巳

    ○深草政府委員 いえ、そういうことではございませんで、これは若干御議論もございまして、法律上は除くけれども、特に付帯的な文言といたしまして、「しかし、今後においても、この種の荷物については、旅客の利便を図り、低廉、迅速な運送をするよう措置することを要望する。」という要望が出ておりまして、その調査会のときにも国鉄当局も言明をいたしておりまして、いままでの、少なくとも現在程度のものは続けますということをはっきり申し上げておりますので、私どももそういう観点から、制度としての改悪にならないように気をつけてまいりたいと思っております。
  202. 久保三郎

    ○久保委員 その問題はいずれ営業法か何かの改正で出てくるでありましょうから、そのときに申しましょう。その答申どおりやるかやらぬかはまだきまっちゃいないのでしょう。国鉄はもちろんこれはさっき言明どおりで存続しますということがあるそうだが、そのとおりですか。
  203. 今村義夫

    ○今村説明員 ただいま国鉄部長から御答弁申し上げましたように、同時輸送ということが現実には非常に困難になってきておりますので、それをはずしただけでございまして、制度としては当然これは残しますし、小口の問題とも全然これは無関係でございまして、私ども、当然荷物列車なりあるいは荷物車をつけた列車というものはまだ残りますので、その輸送力のある限り、少なくとも現状程度の輸送力は手荷物のほうにも確保してまいりたい。特に新聞雑誌が御承知のとおりでございますので、これと同じようなかっこうによりまして、荷物の輸送には万全を期したい、こういうふうに思っております。
  204. 久保三郎

    ○久保委員 チッキの問題はまたあらためて論議しなければいかぬと思うのですが、これは営業法か何か出てくる時期にしましょう。  そこで、いままで今村常務中心にお話がありました。新しい方式で、これは当然国鉄の要員問題にも関係がございますね。国鉄ばかりじゃなくて、通運業者の要員問題にも関係があると思うんだが、その点はどうですか。
  205. 今村義夫

    ○今村説明員 先生お話のとおりに、これは先ほど申し上げましたように、基地から基地への直通体系をとりますので、中継作業というものがなくなります。したがいまして、中継要員なり、あるいは車掌、荷扱い手というような要員が問題になってくるわけでございます。それから通運業の関係におきましては、むしろいままで以上に一般の小口の作業がふえるわけでございますので、通運業のほうでは、むしろふえることはあっても減るということはない。ただ若干親駅が作業がふえるというようなことで、そこらの配置転換というような問題は起こると思いますけれども、減るというような事態は、私は通運業界においては考えられない、こう思っております。
  206. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、いまのお話の新しい方式はどういう手順でおやりになる予定ですか。これからいつのころまでに仕上げるとか、あるいはやり出すとかということはどうですか。
  207. 今村義夫

    ○今村説明員 大体十月一日を目途に、いま諸般の準備を進めておる段階でございます。
  208. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、基地駅や何かの設備の問題等もございまして、先ほど、まだ通運業界とも話し中だとおっしゃいましたが、そうなると、十月にやるのに、どういう構想になるかもわからぬ。設備の問題もあるということになると思うんですね。十月一日では、多少いままでに煮詰まっていないということでありますから、そういうことを考えると少し無理だと思うんですが、それはどうなんですか。
  209. 今村義夫

    ○今村説明員 通運業界との話は、何と申しますか大ワクの段階におきましては一応話がついておりますので、その細部を今後さらに検討するということでございますし、設備の問題等につきましては、これはいろいろ組合との談合その他の問題もございますので、その点もにらみ合わせながら進めてまいりたい、ぜひこれは十月一日に間に合わせたいということで進んでおります。
  210. 久保三郎

    ○久保委員 これで終わりますが、いずれにしても先ほどから申し上げたような、私は私なりにやはり問題点があろうと思いますので、きょうは別に全部それが解決する話ではなかったと思うのです。これは、運輸省もおられますが、やはり全体的にものを考えていかぬとまずいんじゃないか、こういうふうにも思うので、次回までにはぜひそういう点もさらに御検討をいただきたい、こういうふうに思います。
  211. 泊谷裕夫

    泊谷委員 鉄道で最も親しまれている問題の、いまの手小荷物の問題が出ましたね、歯切れが悪いですけれども。これは審議するのは鉄道営業法のほうで審議すると思うのですが、それをかりに廃止するという立場で考えてみれば、やはり小口集約とも関連があると思うのですが、それで従来の手荷物いわゆるチッキと、いわゆる小荷物の客車便、これは当分残るというふうに確かめてよろしいですか。
  212. 今村義夫

    ○今村説明員 チッキ制度は残ります。客車便も輸送力がある限り、客車便によっての小荷物輸送というものは続けます。
  213. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それで小口集約に入る前に、いま百六十ないし百六十三の、拠点が百で荷さばき個所が六十三、わかりましたけれども、新聞輸送についてはどうですか。新聞の輸送はむしろ大都市は問題はなくて、地方において貨物を利用したり、いまの言ってみれば各駅停車でしかも時間を制約される、採算としては問題があるかもしれぬ。これらの新聞輸送についての輸送方針を変えるとか、あるいは現状のままであるとか、それについてのお考えを明らかにしてほしい。
  214. 今村義夫

    ○今村説明員 新聞輸送の問題につきましては、この小口の問題とは直接関連ございませんので、現行方式によっての輸送体系を続けたい、こういうふうに思っております。
  215. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それで本来の小口集約の問題ですが、先ほど久保委員のほうから触れましたけれども、特に支線の場合トラックでこなせないところでも鉄道はこなしてくるわけですね。たとえば積雪の問題あるいはその他気象現象で困難なところほど鉄道が足を延ばしているわけですが、この集約がされますと区間停車の列車はほとんど一日に一往復程度の配車になってくるんじゃないか。ところが路面交通を担当するトラックがそれを持ってくるといっても、わずかの雪でもこれは支障を見て集約をしてこないということも予想されるわけですが、それに対する防護策はどういうふうにお立てになっておりますか。
  216. 今村義夫

    ○今村説明員 支線区の場合も、原則としては自動車との共同輸送という体系をとりたいと思いますけれども、それが不可能なと申しますか、非常に困難な個所もあろうかと思いますが、そういう点につきましては、従来どおり代用車を動かしまして、それによって輸送を実施するというふうに考えております。
  217. 泊谷裕夫

    泊谷委員 もう一つ、運送業者の関係で、先ほどは新しい組織をつくって構内の使用から貨車積みの調整、輸送の調整をおやりになるというお話でございますが、実際として考えてみますと、全国的に組織を持っておるものは日本通運ですね。勢いそれが調整会議においても主体性を持って、主導権を持って、俗にいう八百近い中小関係の運送業者の諸君というものが、実態としてはかえって日通の系列下に入ってくる危険性が濃厚だと思うのですが、それについては先ほどの答弁どおり、そういう心配はさらにありませんか。
  218. 今村義夫

    ○今村説明員 先ほどちょっと触れましたが、私どもは従来のような自主調整の段階ではそういう危険性があると思いますが、これに国鉄が一枚かむことによりまして、その危険性はないんじゃないか、むしろ私どもとしては、現在の中小企業の問題も十分考慮しながら、国鉄が一枚かんだ姿においてやることがいいんではないかというふうに考えておるのでございます。
  219. 泊谷裕夫

    泊谷委員 考えておられるというのは明らかになっているのですが、実際を考えてみますというと、このごろトラックの中古車は安く手に入るということから、それが次の車検まで日銭かせげるから、つんのめるまで走るわけですね。荷物の取り合いが相当激しい。鉄道輸送との結びつきということがたいへん重要な位置となってきて、いまトラックで集められたものがはたして貨車にそのまま載せられていくかどうか、この点が問題だと思うんですが、現状においては、甲乙あるいは丙、丁という全国的な組織は日通の支配下にあるという事実だけは否定できないと思うんでありまして、口でいうようにうまくいくかどうか、特殊の措置を何か制度化するとか、あるいはこれに基づいて議論をするのは必要だと思うんですが、いかがですか。
  220. 今村義夫

    ○今村説明員 私どもとしては、数業者があります場合には、その中でやはり一つの取りきめをいたしまして、そういうことが起こらないようにという方策で考えてまいりたい。また、それがうまくいくかいかぬかは、経済的な裏づけをするかどうかということできまると思いますので、その辺のところは十分勘案しながら合理的な姿でうまくいくような体系を考えたいと思っております。
  221. 泊谷裕夫

    泊谷委員 諸般の都合でやめておきます。
  222. 長谷川峻

    長谷川委員長 次会は、来たる十五日、明日午前十時三十分より開会することとし、海運に関する件について参考人をお呼びしております。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十二分散会