○
松尾参考人 日本航空の
松尾でございます。
四
参考人の
方々からいろいろ御
意見がございましたが、私も
航空運送事業を営んでいる会社の責任者といたしまして、やはり安全が第一だというぐあいに
考えるわけでございます。したがいまして、われわれ第一に
考えますことは
空域が一〇〇%生かされるということをぜひ
お願い申し上げたい、こういうぐあいに存ずるわけでございます。
いまも
江島君のほうから
お話がありましたとおり、
羽田が現在五〇%しか
空域が使われていない。私は、
羽田は将来国内線の専用の
空港として、これはどうしても使っていくべきだ、こういう便利な
空港は二度と得られない、こういう前提に立って、新しい
国際空港をぜひお選び願いたい、こういうぐあいに
考えます。
それでは、
東京では大きな
飛行場をつくれば
一つの
飛行場でもいいかという問題が起こるのでありますが、私は、
一つでは、どんな大きな
空港をつくりましても、やはり将来まかない切れないと思います。ニューヨークをお調べになっても、ニューヨークは第四の
飛行場を
SSTのために
建設中、それから
ロンドン、パリをお調べになっても、第三の
SSTのための
空港を
建設している。それからドイツにいたしましても、第二の
空港の
建設を
計画している。こういう大都市では、
一つの
空港ではどうしてもまかない切れない、やはり二つないし三つの
空港が必要だということは、外国の大都市で実証されていると私は思うのであります。
東京は御存じのとおり、人口からいきますと、
世界的な大都市であり、少なくとも、私は、二つの
空港は絶対に必要ではなかろうか、こういうぐあいに
考えるわけであります。特に
羽田でござますが、現在でも、御存じのとおり、
羽田は非常に過密状態にございまして、
航空局長がここにおいでになりますが、
航空局長は、四十五年くらいまで
羽田は使える、こういう見解のようでございます。私はもっと早く使えないようになるんじゃないかという気がしているわけでありまして、そういう
意味からいきましても、私は
国際空港の
建設はできるだけ急いでもらいたい、こういうことを熱望いたします。
と申しますのは、
SSTは、先ほ
どもお話がありましたとおりに、英仏で
計画しておりますコンコード、これも若干おくれております。私の得ました情報では、昭和四十四年にコンコードは初飛行する――実はこれは四十二年の
計画であったのが四十四年に初飛行する。四十六、七年ころに実用化の予定だ、こういうぐあいに聞いております。それから
日本航空が注文しておりまするアメリカの
SST、これは音速の二・七倍と三倍――マッ八二・七、マッハ三・〇、この二つを試作しておるのでございますが、これが若干おくれる見込みでありまして、初飛行は昭和四十三年ころに、実用化は昭和四十七年以後昭和五十年の間、こういう目標で実施されているようでございます。
しかし、その前に私が特に申し上げたいことは、
ジェット機の大型化が実現されつつあるという実情でございます。御存じのとおり
日本航空で使っております一番大型機はDC8でございますが、DC8の新型機が
計画されておりまして、すでに製造中でございます。これが明年の十一月から、昭和四十一年の十一月暮れから昭和四十二年の夏ころまでには実用化してくる。この
飛行機は三十三万五千ポンドの重量でございまして、客席が二百五十くらい、こういう大型の
ジェット機でございまして、現在のDC8は三十一万五千ポンドでございますが、二万ポンドもふえておるということでございます。この大型機は、夏の八月の摂氏三十三度
程度の
羽田の温度では、いまの
羽田の
滑走路では足りない。一万二千フィートは必要だ。一万二千フィートと申しますと三千六百メートル、
羽田の現在の
滑走路は一万五百フィートでございますが、約二千フィートばかり足りないということが、現実に明年の暮れから明後年の夏までには起こってくる。したがいまして、ハンアメリカンあるいはノースウエストの
航空会社はボーイング707の貨物機を使用しておりますが、これもやはり一万二千五百フィートくらいは
滑走路が要る。そこで、この両社は近く
日本政府に対しまして、
羽田の
滑走路を二千フィート延ばしてくれということを
国際機関を通じて申し入れをするというような情報も入っております。
こういうぐあいに
ジェット機は非常に合理化された輸送原価の安い輸送機でございますので、だんだんこれを大型化してくる、ますます輸送原価は安くなってくる、こういう傾向にありまして、なお、また
SSTの前にもう
一つ申し上げたいことは、
米国が
軍用機といたしまして重兵たん輸送機、兵員なり軍用資材を送る輸送機、ジェットでございます。非常に大型のジェットC5Aと申しますが、これをアメリカ軍が試作命令を出しているという情報でございます。この
飛行機は全備重量がいまのDC8の倍以上である七十二万五千ポンドという
ジェット機になるわけでありまして、これが昭和四十四年、いまから四年ぐらいで実現してくるといわれております。そしてまたアメリカでこの軍の兵たん輸送機を民間用にする
計画を立てておりまして、これがおそらく民間の大型ジェット輸送機としてスーパーソニックよりも前に実現してくるということをお
考え願いたいと存じます。これを民間の
航空機に改造いたしました場合、お客は五百名から大体七百名を予想しておるということでございまして、こういう非常に大型
ジェット機がスーパーソニックよりも前に実現してくるということもお
考えに入れていただいて、
滑走路の長さあるいは
空域の問題、
羽田を将来国内専用の
空港として使うという前提に立って場所を
選定してもらいたい、私はこういうぐあいに熱望いたします。御存じのとおり
東京を中心とした
空域は非常に狭いのでありまして、駐留軍の
軍用基地、それから自衛隊の
基地が
東京周辺にはたくさんございまして、おのずから
空域が一〇〇%使える場所というものは限定されるわけでございます。
それからもう
一つ、ここで申し上げたいことは、スーパーソニックの
騒音の問題でございます。これは私が昨年ロッキードとボーイングのスーパーンニックの研究所を視察いたしましたが、私はロッキードの研究所長の技師にスーパーソニックを使う場合の
空港の
位置はどういうぐあいに
考えているかという
質問をしたわけでございまして、彼が言いましたことは、スーパーソニック用の
空港は都市から大体一時間ハイウェーで離れたところが適切であろう。それはなぜかと申しますと、先ほ
どもちょっと話に出ておりましたが、スーパーソニックのエンジンは
離陸時に非常な大きな爆音を出す、少なくともいまの
ジェット機のおそらく二倍から三倍の爆音を出す。こういう爆音に対する点から
考えても都市からできるだけ離れたほうがよろしいということが
一つ。それから
空中に上がって音速を突破するわけですが、音速を突破する場合は御存じのとおり非常に大きな衝撃波が出るわけであります。これは人畜に
被害を及ぼすというものでございますが、この音速を突破する場合はできるだけ海の上でできるような場所が望ましい、こういうことをしきりに言っております。そういう点から
考えまして、しかも
東京の周辺、そして他の
軍用基地なり
羽田と
空域が接触しないという点から
考えますと、もちろん
気象問題も
考えねばいけませんが、そういう点から
考えますと、
東京の周辺で、大体一時間行程というところになりますとおのずから場所はきまってくる、私はそういうぐあいに
考えております。