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1965-04-13 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十三日(火曜日)    午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 大西 正男君 理事 關谷 勝利君    理事 田邉 國男君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       壽原 正一君    田澤 吉郎君       南條 徳男君    西村 英一君       増田甲子七君    小川 三男君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  大久保武雄君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      佐藤 光夫君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君  委員外出席者         議    員  野間千代三君         運輸事務官         (航空局監理部         総務課長)   紅村  武君         運輸技官         (航空局技術部         長)      大沢 信一君         日本国有鉄道参         与         (踏切保安部         長)      徳永  勝君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 四月十二日  国鉄山陽新幹線建設促進に関する陳情書  (第六九号)  豊橋鉄道田口線の存続に関する陳情書  (第七〇号)  名古屋東北間に直通列車実現に関する陳情書  (第七一号)  東北本線複線電化工事促進に関する陳情書  (第七二号)  三陸縦貫鉄道久慈線、盛線及び小本線建設促  進に関する陳情書  (第  七三号)  新東京国際空港建設促進に関する陳情書  (第七四号)  東京湾港湾整備促進に関する陳情書  (第七五号)  伊豆箱根鉄道電車の熱海乗入れに関する陳情書  (第七六号)  高山本線複線電化促進に関する陳情書  (第一四八号)  小型トラック運送業免許制に関する陳情書  (第一  四九号)  国鉄安全輸送確保に関する陳情書  (第一五〇号)  関西本線名古屋、亀山間の複線電化促進に関す  る陳情書  (第一  九三号)  中央西線の複線電化促進に関する陳情書  (第一九四号)  羽越本線複線電化促進に関する陳情書  (第一九五号)  自動車運送事業免許制撤廃反対に関する陳情  書  (第一九七  号)  大阪、上海間の定期航空路開設に関する陳情書  (第二九〇号)  青森、函館間の貨物輸送強化等に関する陳情書  (第二九一号)  北海道内国鉄主要幹線全線複線化等に関する  陳情書  (第二九二号)  青函トンネル早期建設に関する陳情書  (第  二九三号)  東北地方輸送力増強に関する陳情書  (第二九四号)  フェリーボートの接岸施設費国庫補助等に関す  る陳情書  (第二九五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関  する法律案野間千代三君外八名提出衆法第  二〇号)  新東京国際空港公団法案内閣提出第一〇三号)      ――――◇―――――
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  野間千代三君外八名提出踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案議題とし、提出者より提案理由説明を聴取することといたします。野間千代三君。
  3. 野間千代三

    野間議員 ただいま議題となりました踏切道改良促進及び踏切保安員配置等に関する法律案提案理由並びにその要旨を説明します。  踏切道改良し、交通事故を防止し、交通円滑化をはかるためには、去る第三十九国会において成立した踏切道改良促進法に基づいて改良計画が指定され、逐次、計画が実行に移されてまいりました。  しかしながら、同法は、踏切改良計画を指定しつつも、これが実施のために必要な費用負担区分や国家の助成措置等々の資金的な裏づけに乏しく、また、三十六年を初年度とする踏切道改良五ケ年計画骨子とする時限立法的なものであって、踏切道実情は、いまなお約四万七千の無防備踏切が存在し、交通事故に占める踏切事故の割合はきわめて大きく、これが改善は焦眉の急を要しています。  今日、国鉄においては新七ケ年計画の中で踏切改良重点施策一つに取り上げ実施に移ろうとしていますが、踏切道現状と将来を勘案するときに、すでに同法をもって処理することはきわめて不十分であると言わねばなりません。この際同法の骨子である改良計画のほかに、費用負担区分踏切保安員助成措置等さらに内容を充実し、対策に万全を期するため、これを名実とも恒久法とし、踏切道改良促進法を全面的に改正しようとするものであります。  その内容について概要説明を申し上げます。  まず第一に最近の踏切道事故の状況にかんがみて、道路法にいう道路踏切道に限らず、私道における踏切道もこの法律の対象とし、すべての踏切道に対して、改良保安設備の充実を行なわんとするものであります。  第二は、踏切保安員についての条文を新たに設けたことであります。踏切保安員については、何ら法的な根拠を有さず、従来、鉄道事業者の行なう認定のまま、その職務が行なわれていたのでありますが、踏切交通重要性にかんがみ、踏切保安員に対して、その資格要件等について一定法的基準を設けると同時に、政令による基準に従って保安員配置を必要とする踏切道を指定して鉄道事業者踏切保安員配置義務を負わせ、同時に、踏切保安員権限についても、踏切道における一定通行指示権を与えることによって踏切交通の危険を防止し、その安全を確保しようとするものであります。  第三は、踏切道改良のための費用負担区分について規定したことであります。立体交差または踏切道の新設の場合及びこの改築の場合は原因者負担とし、現に有する踏切道立体交差施設改良する場合は、実情に即して鉄道事業者道路管理者とが協議してそれぞれの負担区分を決定することとした次第であります。なお、踏切保安設備計画実施費用については、従来通り鉄道側負担とする等、それぞれ費用負担区分を明確にして、改良促進を一そう円滑ならしめることとしたのであります。さらに、これら費用の算定については、その算式方式政令規定し、負担区分についての紛争を防止しようとしたわけであります。  第四は、これら踏切道改良に対する国その他の補助についての規定であります。  踏切道交通の安全とその円滑化の立場から、国がその改良計画を示し、その実施を要求するわけでありますが、立体交差構造改良保安設備整備には多額費用を要するものであり、鉄道事業者経営実態は容易にこれに応じ切れない実情であり、また、国の責任改良促進するというたてまえからしても、相当の助成を行なうことが至当であると考えるわけであります。  よって立体交差構造改良についてはおおむね費用の三分の一を限度として補助を行なうこととし、私道についても実情に応じて補助ができる道を講ずることとしたのであります。  保安設備については、その改善鉄道事業者負担であり、かつ、無人踏切全般的改良促進するためにも現行法より一歩進め、その費用の五分の一から五分の二の範囲で、国または地方自治体から補助を行なうこととしたのであります。  また、踏切道維持管理費用についても、その公共性社会性の観点から国がその費用の一部を補助することが妥当であると思いますので、その費用の二分の一を限度として政令で定め、補助をなすべきであると考えるわけであります。  第五は、これら踏切道改良促進計画実施に必要な資金確保についてでありますが、多額資金を必要といたしますので、国がその資金の融資あっぜん等資金確保について必要な措置をとることとしたのであります。  第六は、踏切道における交通円滑化交通事故防止の見地から、その改良計画には当然既存の踏切道整理統合をも考慮する必要がありますので、このような場合、運輸建設の両大臣鉄道事業者道路管理者に対して勧告を行なって、合理的な改良促進されるようにいたしました。また、駅構内にある踏切道における鉄道交通量が著しく多いため、当該踏切道通行者交通をはなはだしく阻害していると認められるときは、鉄道車両の構内入れかえ方法等について都道府県公安委員会から鉄道事業者に対してその改善方を要請することができることとし、踏切道における鉄道車両通行者との調整をはかることができることとした次第であります。  なお、その他権限の委任、罰則等所要規定を設けると同時に、附則において、踏切保安員に関する規定実施については、任用手続等関係上、この法律の公布から六カ月後に実施をすることとしてあります。さらに、現行法との関係における必要な経過措置規定して、踏切道改良促進に関する諸計画の円滑な実施をはかることとし、また、地方税法の一部を改正して、立体交差等施設に対する固定資産税等特別措置を行なうこととした次第であります。  以上が本法案提案理由及び法案概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛成いただきたいと思う次第であります。
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  5. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に新東京国際空港公団法案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。泊谷裕夫君。
  6. 泊谷裕夫

    泊谷委員 本日審議の新東京国際空港を富里にするか、霞ケ浦を埋め立てるか、公団を設置してこれが実現を早急に見たい、こういうことでありますが、このことは航空機の進歩が交通体系の画期的な発展をもたらし、国際国内航空の需要が急激に増大し、航空機のスピードの質的変化に応じて、なお今後予想される東南アジア及び共産圏、特にソ連の空の開放、太平洋経由世界一周、こういうことから東京地理的条件はニューヨーク、ローマと並んで世界航空路上の三大拠点一つになる、こういうお話であります。特にSST開発に伴う対策空港を早急に新設しなければならない。そうしなければとの三つの拠点のうちの一つは中国の北京に取られるのじゃないか、こういう議論が集められておるわけでありますが、私はこの考え方を了としながらも、それと同時に、実はこの公団設置にそれ以上の疑義を持つものであります。なぜかというと、現状のような航空政策では国際航空面における日航の現在のシェアの維持も、外国航空機の進出によってそれを確保することが困難ではないのか、こう考えられるのであります。ちなみに一昨年、昨年とずいぶん議論を呼び、二年間にわたって慎重審議をいたしました鉄道建設公団、これは初年度において予算の措置がとられながら、法案通過は翌年に持ち越された苦い事例があるわけであります。本来道路とか港湾設備五カ年計画のように基本的にその施策を推し進めるとするならば、実施内容については、閣議で逐一その決定をなし、その個々の問題について政府責任を負う、いいかえれば、その実施具体化について直接その責めを負う形をとることが港湾なり道路なりにとられておるわけでありますが、鉄道建設公団は御承知のとおり当初十年で四十入線をこなすという目標でありましたが、実態は必ずしもそうなっておりません。数多い国民の、公団設置に伴ってあすにでも鉄道敷設ができるのじゃないかという喜びの期待を裏切っておる形になっておるのでありますが、今回のこの空港設置に伴う公団位置づけ鉄道建設公団と同じように、ただ単に空港設置だけということでありまして、総合的な航空政策全般について具体的な、しかも政府の意欲的な姿勢が示されておらないことに大きな疑問を持つのでありまして、こんな調査であれば三大拠点一つ東京に求めようなどということはおこがましいと思うのでありますが、積極的な施策についてどういうふうにお考えになっておるか、まず大久保政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  7. 大久保武雄

    大久保政府委員 近代交通における航空の占めておる役割りは、国際的並びに国内的に考えましてもきわめて重大な段階に際会いたしておりますので、政府といたしましては、国際航空並びに国内航空、両面ともこれを強力に推進いたしたいと考えておりますような次第でございます。  国際航空につきましては、ただいまお話もございましたSST開発が逐次現実の問題となってまいっております今日におきまして、これが準備をいたしますことは当然でございまして、ただいま泊谷さんからもお話がございましたように、いまや東京はアジアにおける航空交通の要衝であるのみならず、世界における航空交通一大拠点となりつつありますので、日本といたしましては、SST世界航空路就航に伴う一切の準備をそれまでに完了いたしたいと考えております次第でございます。  それと同時に、航空は御承知のように貿易外収支の一翼をになう海運観光と並んだ三大重点産業でございます。ただいま日本航空貿易外収支の上におきましてたしか千五百万ドルぐらいの赤字を出しておると私は考えております。これをすみやかに黒字にする、あるいは赤字を消すということに対しましては、今後とも日本航空拡充いたしまして、この外貨の流失を防止いたしまして、貿易外収支黒字基調に持っていく、こういう気組みで私ども国際航空に取り組んでいきたいと考えておりますような次第でございます。  また、国内航空につきましては、従来たくさんございました航空会社過当競争を防止いたしまして、全日空、国内航空といったような主力会社国内航空を行なわせまして、ローカル航空の末端に至るまで敏活なる航空交通が行なわれますように指導していきたいと考えております次第であります。これに伴いましてYS11の開発等をいたしておりますことは御案内のとおりでございます。  かような航空事業整備と相まちまして、航空政策は何といたしましてもこれを国民航空といたさなければなりませんので、国全体があげて航空事業を推進するような態勢にこれを向かわしめると同時に、航空乗員養成等につきましても今後できるだけ国の助成強化いたしまして、これらの航空機拡充に伴う乗員の補充ということに遺憾なきように期していきたいと考えておりますような次第でございます。政府といたしましても、逐年財政投融資等におきましてもこれを拡充しつつ将来に備えておりますような次第でございます。
  8. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次官からお話のありました外貨獲得位置づけその他については否定はしないのですけれども、私のお尋ねしたのは、それより本質的な問題でお尋ねをしたつもりでありますが、もう一度お伺いをしてみたいと思います。  明治時代は、国の政策として義務教育、それから鉄道開発、これが今日の日本教育水準を高め、日本産業を大きく前進させておることは否定されないと思うのでありますが、特に交通関係をながめてみましても、海運振興とかあるいは中期における鉄道振興政策ということは、すでに次官承知のとおりだと思うのです。それが今日の産業発展をもたらしてきたということがありますが、最近における傾向は、国鉄新幹線建設とか自動車道建設、あるいは自動車産業の育成、海運企業合併強化など、諸施策が強く推し進められておるのでありますが、先日も申し上げましたように、これは個々ばらばら位置づけられて、総合的に運営されるということに欠除しておるように思うのであります。特に航空問題については、わが国の国の性格が低所得国であるということと、交通機関に対する国民感情が伝統的に保守的であったということも手伝っておりましょう。しかし、そういうものを背景にして今日の交通政策が推し進められてきたという事実は否定いたしませんが、戦後の、特に占領軍によるわが国航空輸送に対する政治的禁止、あるいは国際航空市場からの締め出し政策の悪影響などから、それだけわが国航空政策というものが立ちおくれを見せておると思うのであります。であれば、航空政策の中で、いまの政府として最も意欲的に力を示すものは、何をさておいても航空政策ではないかと私は考えるわけです。そういう中で考えてみますと、強大な海運力再建計画、あるいは膨大な鉄道近代化計画、これには二兆九千億の金を放出する、あるいは道路整備五カ年計画には四兆一千億、港については五千五百億、これらのものが、最近中期経済計画の策定にあたっての基礎として打ち出されておるのでありますけれども、この中期経済計画の中を見ましても、航空に関する問題で触れられたというのは、主文においてはほんの一項わずか五字です。「国際航空強化」こういうことばだけである。むしろ運輸省からいただきましたこのプリントを見ましても、所得倍増計画のほうが、主文の中でわずかながらもスペースを使って、国際国内航空重要性を訴え、具体的な数字を並べておるところにむしろ前段のほうが意欲的であったように私は感じます。そこで、抽象的な言い回しは避けまして、しかりとするならば、所得倍増計画における航空政策に対する投資総額中期経済計画におけるところの航空に対する政府のかまえ方としての投資計画はどうなのか。これとあわせて、先ほどお尋ねをいたしました航空のあり方に対する政府の根本的な位置づけ、そして具体的にどう――先ほどありました乗員養成も重要な問題でありましょう。しかし、空港整備ども含めまして、体系づけたものの計画的な実施段階というものは明らかにされなければならない。私は先ほど申し上げました道路港湾のように、公団設置の前に基本的な特別立法を必要とするのではないか、こう申し上げたのでありますが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  9. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま泊谷さんから御指摘がありましたように、航空国策と申しますか、航空政策を推進してまいりますためには、国民の中から、特に青少年の中から航空に関する思想を喚起していくことが必要であろうと考えるわけでございます。やはり底辺の広いところから大きなピラミッド建設されるわけでございまして、私は航空国策を推進していきますためには、青少年の、あるいは模型飛行機に、あるいはグライダー、そういったような空に対するあこがれ、空に対する愛着、いろいろな犠牲を乗り越えて、たくましく大空に羽ばたいていく青少年の夢を育てていく、こういうところに航空国策基本を置いていかなければならぬとかねて考えておるのでございます。さようなピラミッド底辺の上に打ち立てられる航空政策のうちの一つ航空産業政策ということにつきましては、ただいま泊谷さんから御指摘がありました中期経済計画にいかにこれを取り上げていくかということが起こってまいるわけでございます。  そこで、今回政府中期経済計画貿易外収支を取り上げていって、貿易収支一つのバランスというものを経済の将来の政策基本に取り上げていったということは一つの特色でございますから、さような意味におきまして、私は海運観光あるいは航空といったような、貿易外収支赤字を生んでおりますものを将来黒字にしていくということにつきましては、中期経済計画以降において、政府といたしましても極力努力をしていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。  中期計画と関連いたしました計画は、航空局もこれを立てておる次第でございますから、この点は航空局長から御説明させようと考える次第でございます。
  10. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次官の話されました青少年に、高校生に、あるいは中学生に、航空人口をふやそうというととで、エンジンの油にまみれさせたり、グライダーをやらしたり、これは大事なことだと思います。だが、私はその面と、具体的に政策国民のものになるために行なう政府責任があると思うのですね。その点についてお尋ねをしたわけでありますが、先ほども申し上げましたように、文字だけではわかりません。わかりませんが、中期経済計画では、いま次官指摘したとおり、輸出振興の方策の中で、ずいぶん読んだつもりでありますが、ただ単に国際航空強化と、この五つか六つの文字しかないのです。前の所得倍増計画に関する答申を見ますと、また、政府のそれに答えた文章として、第二部の「政府公共部門計画」の中の第二章、「社会資本の充足」というところを見ますと、これには、「「現代都市とは空港を持つ都市である」といわれるほど空港国際交通だけでなく国内交通についても重要となりつつある。したがって国際空港をはじめ幹線空港その他ローカル空港整備拡充および航空保安施設近代化促進するとともに能率的航空機の導入によって全国的な航空輸送体系を確立することが必要である。」こういう指摘をし、さらに第三の問題は、「民間部門の予測と誘導政策」の第二章、「貿易および経済協力促進」の項には、これまた「国際航空については、目標年次わが国シエアー世界国際航空旅客の6%とすることを目標とした。この目標達成のためには航空機購入資金確保乗員養成強化等規模の拡大と競争力強化のために適切な施策を推進する必要があろう。」こういうふうに指摘しておるのですね。もちろん、各専門部会議論をされたその記録を見まして、いろいろと考えさせられるところがありますけれども中期経済計画航空政策位置づげというものは、私はこの文章から見る限り、至って後退姿勢を示しておるような気さえ起きる。具体的にそれを判断をする資料として、一助として、しかりとするならば、所得倍増計画における昭和三十一年から三十七年の投資総額中期経済計画におきます航空政策に対する投資計画は、一体幾らに見積もり、政府としては幾ら責任を持つ、こういう態度を示しておるのか、それをひとつ参考として聞かしていただきたい、こう思うのです。
  11. 大久保武雄

    大久保政府委員 私、先ほどちょっと間違えて数字を申し上げましたので、訂正いたしたいと思います。  先ほど貿易外収支航空赤字が千五百万ドルと申しましたのは、これは観光貿易外収支赤字でございまして、航空貿易外収支赤字は四千二百万ドルでございます。  そこで、この貿易外収支赤字をどうして消していくかということにつきましては、後ほど航空局長からも御説明をいたさせますが、私どもといたしましても、これは中期経済計画の成立の過程におきまして、政務次官会議貿易外収支を取り上げまして、海運収支並びに小麦輸送等の問題を取り上げました際に、航空収支並びに観光収支ともおおむね四十三年までにこの赤字を消したい、かような考え方で今後諸政策を講じていくというようなことも協議いたしておりますような次第でございまして、中期経済計画の中にうたってある文章がかりに短くございましても、私どものやりますことは、あらゆる施策を通じまして航空産業拡充ということに向かって全力を尽くしたい所存でございます。
  12. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいま泊谷先生からいろいろ御意見を拝聴しまして、私は率直に申しまして、前回所得倍増計画の際と今度の中期計画というものの間におきまして航空にづいての取り扱いを異にしておる、むしろ先生のおっしゃいましたように、一種の後退ではないかどいう御説でございますが、今度の中期計画につきましては、航空に関しましては、重点公共投資という面に集約いたしまして、この点につきましては前回以上の作業をいたしまして、かなり煮詰めた計画をつくりました。ただいま御指摘公共投資としましては、三十九年から四十三年まで千九百億円の投資ということをはじきました。ただこの千九百億円という数字は、一応運輸省と申しますか、航空局でもってはじきまして、そしてこれを審議会のほうに提出いたしました。この数字そのものは、作業部会としては一応の根拠の数字として取り上げられましたが、全体といたしましては、まことに残念でございますが、航空というものは道路あるいは港湾と同じ肩を並べて公共投資の場所を与えられなかった。この点につきましては、私ども非常に熱意を持って折衝したわけでございますが、やはり道路港湾と同様に扱うわけにいかない、いわばその他投資の中に入れておこうというようなことで、千九百億円というものは明確に航空関係公共投資として公に明示されておりません。いわば内部の作業階段において一応認められた数字ということにとどまったのはまことに残念でございます。  それから次のお尋ねの、社会資本の問題についてある程度の努力をしたことは認めるとしても、その他の部門について前回よりもあまりに熱意が少ないではないかというようなお尋ねが当然あると思いますが、この点につきましては、一つのものの考え方がございましたが、これはあるいは御批判を受けるかとも思います。と申しますのは、社会資本投資公共投資につきましては、公共事業費という政府自体の施策ということに非常に密着したものがございます。しかもこれはもちろん毎年の予算におきまして、具体的にはいろいろ変わってまいるわけでございます。少なくともある程度政府内部における努力によって解決できるわけでございますが、国際航空の問題につきましては、この点が日本だけではいかんともしがたいというような事情を過去においても体験いたしまして、いわば非常に大きなスケールの国際拡充計画というようなものを立てましても、過去におけるいろいろな計画というものがなかなか実現をしない。そこで飛行機の数を非常にふやすということがなかなか困難であるというような非常に苦い経験もございまして、今回はそういう部面は大きな柱としては取り上げないで、むしろ運輸省内あるいは関係官庁の間の一つ計画として、国際拡充計画をいわばじみちに取り上げていこうというような考え方をした次第でございます。  そういうようなわけで、中期計画におきましては、前回と違いますのは、国際線の計画についてはあまり多く触れておりませんが、内部的にはいろいろな計画を持っておりまして、との点は前回お話ししたことがあるかとも存じますが、国際線の路線計画として、四十二年までは一応考えております。ただこれもまことに残念でございますが、相手国との関係というような問題が非常にございますので、いわば一応のこちらだけの計画というようなことになっておるのはまことに残念な次第でございます。  以上申しましたように、今度は、公共投資、すなわち、公共事業費を中心とした、政府投資というものを中心とした計画を策定いたしましたので、全体としては、やや後退したような表現になったことはいなめない次第でございますが、この計画に対処する考え方は、以上のようなとおりであったわけでございます。もちろんこの考え方に対する御批判は当然あると思いますが、率直に中期計画に立ち向かった態度というものを御説明した次第でございます。
  13. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大久保政務次官は、長いこと特に海運を御中心にお世話をいただいたので、海運を中心とする施策については、先輩議員に尋ねても、ある程度意欲的な姿勢というものが今回も示されておる。いま私がお尋ねしたところは、特に交通機関の中でいろいろな事情があって、また国民感情があって、一番政治として力を入れなければならぬのは、航空政策としてとらえてみれば、先ほどお話がありました、確かに昭和三十七年度における貿易外収支赤字は三億ドル、こういう面も一つの面であります。だが、国際航空貿易外収入のうち運輸収入と対照してみますと、これは一一%に当たる四千万ドルかせいでおるのであって、むしろ意欲的な積極面を打ち出して、こういう具体的な施策をとる、企業も国民もそれについてこいというような面が打ち出されて、初めて世界の三大拠点一つの飛行場を設営するために公団をつくる、あるいは富里を、あるいは霞ケ浦をということになる。もちろん、この霞ケ浦とか富里というのは、技術的に十分検討してもらうべきものであって、この運輸委員会自体でどれが好ましいかというようなことを議論すること自体が根本的に誤りであって、運輸委員会で行なうものは、むしろ航空政策全般に対する意欲的なものを審議さしてもらうのが筋でないかと思う。ことばのやりとりだけではどうしてもお互いの理解の相違もありますので、それを承知していただく手段としては、しかりとするならば、国際線、国内航空も含めて、航空発展の見通しを年次別にどう策定して、それに対する障害をどう除去して、さらに前進の態勢をとるかということが計画として示されることが、本来好ましい姿でないかと思うのです。このことについて、次官、くどいようでありますが、もう一度お答えをいただき、さらに技術的な問題になります長期計画、さらに具体的な年次計画、これについては局長のほうからお答えをいただければ幸いだと思います。
  14. 大久保武雄

    大久保政府委員 泊谷委員の御指摘のように、日本航空界の立ちおくれということには二つの原因があったように考えております。すなわち戦前におきましては、日本の軍航空が、日本の国を、民間国際航空に対して鎖国主義をとった。日本には外国の飛行機は入れない、こういう政策を軍がとったところに、戦前の日本の民間国際航空発展を阻害した原因があったように私は考えております。戦後におきましては、御指摘がありましたように、アメリカ占領軍日本航空を持たせない、こういったような政策が一時あった。すなわち、戦前におきましては、日本の軍によって国際航空から日本の国を鎖国する、戦後におきましては、日本には翼を持たせない、こういったような二つの時代の政策の流れから日本国際航空が非常に立ちおくれておると私は率直に考えております。戦争前、私は海運と同時にその前国際航空を私自身が担当しておりましたので、私は最もつぶさに苦汁をなめてまいりましたものでございます。そういう苦難の灰じんの中から新しいオオトリが立ち上がる、こういう形で、戦後私ども国際航空の飛躍に努力をいたしておる次第でございます。それは非常な難渋を伴いつつ今日努力を続けておる次第でございますが、ただいまも御指摘がございましたように、ほんとうに航空国民のものとして発展さしてまいりますためには、青少年の中から、航空に寄せておる科学的考え方、あるいは航空に寄せておるところの雄渾なる一つの夢というものを育て上げなければなりませんので、かような国民航空発展という面におきましても今後力を注ぐと同時に、貿易外収支赤字を解消するということは、何で解消するかと申しますと、結局日本の飛ぶ飛行機が少ないから外国の飛行機に旅客が乗って、日本赤字が出てくるわけでございますから、極力日本航空路をふやして、日本の機数をふやしていく、同時に日本に飛行場を建設いたしまして、日本世界航空の中心とする、こういうことが今日とられなければならない重大な問題であろう、かように考えておりますような次第でございます。
  15. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまお尋ねの、将来における航空の伸びについて作業したものにつきまして御説明いたします。  三十九年度におきます輸送の実績、これは千人キロメートルで出しておりますが、幹線におきましては約二十億人キロになります。それからローカルにつきましては九億一千、これを合計しますと二十八億人キロということになります。  将来の見通しとしまして、私ども航空輸送の伸びを何に関連さして見るかというところで考えますと、一応、いろいろな議論はあると思いますが、現在は実質個人消費支出というものの伸びとの相関関係において見る、こういうやり方をとっておりますが、これによりますと、四十五年度の国内全体として百十四億人キロというものが想定されます。このうち、この点も推定でございますが、大体七〇%が幹線というふうに考えますと八十億人キロということになります。この場合、八十億人キロというものは、現在から見てのどういう伸び率かと申しますと、三十九年度から見まして、年率約二六%の伸びというふうになります。  この伸びと申しますものは、過去の実績から見て必ずしも過大な評価ではない。もちろん過去のような伸び方を今後そのまま続けていくということは考えられませんが、過去におきましても、ある年は、多いときには五六%も幹線で伸びた時期がございます。少ないときには一七彩というようなこともございます。この点はある単年度をとって批評することはできませんが、年率大体二六%ぐらいで伸びていくということは、ここ当分の間の伸びとしてはそう大きなものでない。もちろんこれは今後の景気の消長その他いろいろな問題と関連すると思いますが、一応長期的にはこういう見通しを立てておる次第でございます。
  16. 泊谷裕夫

    泊谷委員 航空局長から御説明いただきました航空の伸び、これについては、書物によっても、一般的に交通機関国鉄、私鉄が六%ですね。この年次は二十八年から三十六年までですが、それに比べて航空は四〇%ということで、延べキロあるいは輸送人員、この指数も一応出ておりますけれども、それに対する具体的な施策をどうするかという問題もからんで、少し議論させてもらわなければならぬ問題だと思いますので、これはきょうは議論を避けまして、いまお話しのありました考え方を資料にまとめて、後日配付をお願いしたいと思います。  それから政務次官にもう一度お尋ねしたいのですけれども国際収支の赤字国際線の位置づけの問題がどうしても次官の口からその数が多く出るので、国際航空のあり方というものについて一度意見交換をしてみなければならないのではないか。先日、航空を直接世話しております航空局長航空委員会における説明の中でも、国際航空というものはただ採算ベース、商業ベースで考えていいものだろうか、だとするならば、世界各国のいまの実態を見て、力のない国がロンドン乗り入れなどということは一体どういう意義を持つものだろうか、要約して話をされました。国際航空位置づけというものは、往年の商船隊が衰微して、いまは国威を世界に示すためには航空機にたよるしかない、そういう位置づけにおける商業ベースを度外視した国際航空の推進ということをはずして考えることはできないのではないか。またそれにあわして国際収支に貢献することも必要なことであります。だがさらに、これらの航空機を通しまして、八条国加盟その他日本経済成長に伴うところの人的交流、物資の交流、これらに貢献せしめて、長期の日本経済発展を求めていくということに国際航空位置づけて考えてみるならば、ただ起きております国際収支の赤字論だけに目を当ててこれをながめるということについては、いささか議論が多いのでないかと思うのでありますが、この点についてはひとつ次官のほうでもお考えをいただきたいと思う。
  17. 大久保武雄

    大久保政府委員 国際線の問題でかつて世界的に非常に議論が登場いたしましたのは、大西洋横断の問題でございます。大西洋を豪華旅客船によって横断するか、あるいはこれを航空機によって横断するかということを、かつて航空会社並びに船会社が論争しておった時代がございました。当時、航空機によってこの旅客を運んだ場合におきましてははるかに採算が立つといったようなことから、大西洋横断の航空機世界の銀座通りとして非常な繁栄、発展をいたしてきた過去の歴史がございます。すなわちスピードとそれに乗せる搭載量というものがある程度向上してまいりましたならば、大きな船になおかつ対抗して、その輸送力というものはより経済的により多く発展して経済に貢献をするという時代が到来してまいるわけでございます。航空機の科学的進歩というものはなお今日におきましてもはかり知ることのできない大きな未来を約束しておる次第でございまして、いまやマッハ二・五の超音速機が旅客機として登場するという時代が迫っておりまする今日、また貨物機といたしましても、百トン以上の貨物を輸送する国際貨物機が登場しつつある今日におきまして、私はもちろん国際線を開拓する当初におきましては、不経済線があることは否定できませんけれども、その線を逐次開発していくことによって、航空機の科学的進歩とその地域の開発とあわせまして、その線が有利な経済線となっていくという時代が招来されることは私は疑う余地はなかろうと考えております。  日本国内航空の面またしかりでございまして、現在日本の国内線はほとんど民衆の旅行手段であるというところまでこれが民衆化されておりまして、一町のぜいたく的な航空機時代あるいは高級事務的な航空時代というものから庶民的な国内航空時代が到来しておることは、私はまことにほほえましい現象であると考えておる次第でございまして、さような意味におきまして、国際線といわず、国内線といわず、航空機の科学的進歩並びに航空文化の普及ということからいたしましたならば、赤字国際線を黒字線とし、赤字の国内線を黒字線として航空開発をしていくということが将来残されておる大きな課題であろう、かように考えておるような次第でございます。
  18. 泊谷裕夫

    泊谷委員 この問題は重要な問題で、もう少し煮詰めて話をしなければならぬと思いますけれども、先輩議員の質問も予定されておりますから、そこでもう一度話を進めてもらおうと思います。  ただ、次官のことばじりをとらえたようで恐縮でありますが、国内線の問題についても、先ほどは、往年は軍があって、民間航空というものが圧迫を受けた、それから対比してみて、従来の国内航空位置づけは前進しておるように思われる、こういうふうに次官お答えになったと思うのであります。
  19. 大久保武雄

    大久保政府委員 国際線です。
  20. 泊谷裕夫

    泊谷委員 この前の答弁のときですよ。これも私は実際は経験しておりませんが、書籍によりますと、昭和三年日本航空輸送株式会社ができたわけですね、そのときにおける政府のかまえ方というか、適切な助成ということでこれをながめてみますと、同社の開業時使用機の入手がおくれたといえば直ちに専用機を払い下げ、あるいは民間飛行場が未整備のために使用できないといえば軍用飛行場を使用せしめた、さらに毎年助成金のほかに民間株式に対する十年間の配当保証あるいは社債元利払いの政府保証、諸税の免除など、こういうきめこまかい措置がとられたと聞いておるのです。であれば、私は確かに軍の位置づけ航空との位置づけは重要な問題であるということは承知はいたしますけれども、その時限、時限における政府航空に対する意欲的な姿勢としては、むしろ明治時代の先輩のほうがまだ骨があったのではないか、意欲的であった、こういうような印象を持つのであります。この議論も時間の関係でまた次回先輩のほうからやらせていただくことにしまして、今度はひとつ具体的にお尋ねをしてみよう、こう思うわけです。  ともかく新しい三大拠点一つとして東京に求めようというのであれば、その客貨を運ぶために、その通過する線路なり道路、これが俗に言われております航空協定――日米航空協定も数次にわたる折衝を続けておるのでありますが、これはかつて戦時中の話でありますが、アメリカに五十二カ国が集まりまして、そうして一つの取りきめがなされた。アメリカ側の主張は、空の自由化、西欧陣営というか、イギリス、フランスは適正な調整、こう意見が分かれて、二国間協定というものが残った、こういうことでありまして、しかも、その後イギリス、アメリカの航空協定は、相互乗り入れを主張しながら、いまだに紛争があるということがありますから、ただアメリカ側の主張したことばだけでながめるわけにはまいりません。むしろ裏側から見た場合に、力で勝負をするという姿勢が濃厚だと思うのでありますが、この日米航空協定の修正について、二度にわたって休会の措置をとってまいりました。最近また武内大使を通じて瀬踏み行為をされておるというのでありますけれども、一体休会の扱いばかりやっておりまして、こういうアメリカ側のかまえ方で、この市場を求めることが可能なのか、なぜこの不合理な協定を打開するために破棄をして、出発点を変えて、あらためてその後の路線を確保しようとしないのか。とのことはシドニーの問題について、運輸省がずいぶん骨を折られて、日本と豪州との話がつきながら、香港に立ち寄れないというので、ごく最近日英間の航空協定の改定を持ち出して苦悩しておる。これと対比をしてみても、いかに航空路線を確保するということが得がたいものであるかということは承知のはずであります。講和条約が結ばれて、日米経済協力が結ばれているアメリカの措置として、日本経済発展を、アメリカとともどもに求めるというのでなくて、アメリカの経済発展だけ求めるというこの協定について、従来のような姿勢であっては打開できないであろう。こういう位置づけで考えてみますと、三大拠点一つを北京に取られるということは、ソ連の開放と関連して、幾らわれわれが勢い込んでみても、協力関係にあるアメリカが、日本経済的な、重要な苦悩さえ取り上げないというのであれば、推して知るべしだと思うのであります。これについて、いかがな態度でこれを処理しようとするのか、この点について、次官のお考えを明らかにしてほしいと思うのであります。
  21. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど泊谷さんから御指摘がございましたように、航空会社に対する国の助成のかまえというものにつきましては、御指摘のように、かつての航空会社に対する政府助成のかまえというものは相当手厚いものがございました。昭和十四年にいまの航空会社の前身とも言うべき大日本航空会社というのが設立をされました。そのときは、資本金が一億円でございまして、当時一億円の会社というのは満鉄をはじめ、日本で数社を数えるだけでございました。政府出資が半額の五千万円、しかも配当保証をつけておったというふうに私は記憶をいたしております。それと比較いたしまして、今日の航空会社がかなり黒字を基調とするといったような状態ではございましたにいたしましても、まだまだ財政的な助成のかまえというものが足りないのではないかということにつきましては、私も大蔵省にこれを強く訴えて、折衝いたしておるような次第でございます。しかしながら、それが直ちに軍がいわゆる民間航空というものを国際的にもあらゆる支援をしておったということにはならないのでございまして、軍は日本に外国の飛行機が飛び込んでくるということは、非常に強くこれを拒否いたしておりました次第でございまして、日本航空機が国外に飛んでいくことにつきましては、これはもちろん反対ではなかったわけであります。国際航空は、いわゆるレシプロカル――相互主義でありますから、日本の国内に相手の航空機を入れないで、日本航空機がそとへ飛んでいくということはできないのでございますから、そういったような意味におきまして、戦争前におきましては日本国際航空が非常な制約を受けておったということを私は指摘いたしたような次第でございます。  そこで、次に御質問がございました日米航空につきましてでございますが、いま申し上げておりますように、国際航空は本来レシプロカルすなわち相互主義が原則でございますので、私どもといたしましても、アメリカに対しまして航空路のニューヨーク・ビヨンドということにつきまして強い交渉をいたしておりますことは、泊谷委員の御承知のとおりでございます。ただいま武内大使もいろいろ肝胆を砕いて、折衡の糸口をつくるべくせっかく努力をいたされておるところでございますので、政府といたしましても、この問題につきましてはねばり強くわがほうの主張を強力に主張していきたい、かように考えておるような次第でございます。
  22. 泊谷裕夫

    泊谷委員 とにかく昭和三十六年と三十九年と、去年は航空局長も長期間ねばり抜いたわけですけれども、休会の措置をとっていまずね。羽田における日本航空国際線は四十五便、アメリカのパンアメリカンが二十七便、ノースウエストが二十五便で、五十二便です。こういう数字から見ましても、そしてまた日米協力体制を強化するという筋から考えてみても、これはどうも解せない話でありまして、何度も休会の措置をとらなければならぬものでしょうか、まず私は一つ疑問を持つわけです。この前、松浦運輸大臣も、国民の協力を得て、ときには破棄をもという話をされたが、どういう協力をやればいいのか。小村寿太郎が全権で行ったときのように、焼き打ちをやれと言えばやるかもしれません。しかし日米間においてそこまでしなければ、この問題は解決されないものだろうか。力の勝負ではなくても、じゅんじゅんと話をしても聞いていただけないほど非文化国家でもないと思うのです。  あわせてもう一つの問題は、中国路線です。これは西欧陣営のBOACが乗り入れをやろうという話があり、パキスタンが乗り入れの具体的な協定ができたなどという話がありました。全日空の岡崎さんなども、これは立場を変えての話でありましょうが、中国航路の問題についてもずいぶん悩まされ、そしてまた政府の要人とも非公式に折衝されておるように新聞を見て感ずるのでありますが、これらの関連、それからソビエトの佐藤総理に対する一月の航空協定を中心とする交渉再開の申し入れ、これらの情勢の推移から考えて、当然この機をのがしてはもうニューヨーク・ビヨンドの問題についてけじめをつける時期はないと思うのでありますが、それについては次官、いかがお考えでありますか。あわせて中国との関係の問題、ソ連との関係の問題についても、お答えいただければしあわせだと思います。
  23. 大久保武雄

    大久保政府委員 日米航空交渉の休会と申しますか、途中で消えております状態は、交渉を打ち切っておりますわけではございませんので、まあいってみれば、相撲に水が入ったようなあんばいでございまして、まだやはり相撲をとっておるわけでございます。いま行司役でもございませんが、武内大使がせっかくまたいろいろとごあっせんをいただいておる次第でございますから、私どもといたしましてはふんどしを締めまして、ひとつしっかりがんばりたいと考えておるような次第であります。  また日ソ航空交渉にいたしましても、やはりアメリカと同様でございまして、私どもといたしましては、首都相互間の航空路の設定というものを一考えておる次第でございますが、ソ連側にまだその意向がないようでございます。  中共との交渉につきましては、これはまだ正式には交渉が行なわれておりませんので、私のほうでこれにお答えする時期ではなかろう、こう考えておるような次第でございます。
  24. 泊谷裕夫

    泊谷委員 アメリカの交渉、それから中国との交渉は重要な問題だと思いますが、これも時間的にということがありますから、次会、先輩議員が触れていかれると思うので、それまでに次官のほうでまとめて政府のかまえ方が答弁できるように、ひとつ用意していただくということで、次の問題に入ろうと思います。  そこで航空機というと、青空ということで、一般の国民は無制限に飛び回れるように感じておるわけでありますが、幸いきょう長谷川委員長が手配をしてくれまして、そこに航空図が張ってありますが、線路になりますものをきちっとしなければ、お客さんたちは運べません。貨物も運ぶことはできません。ところが必ずしもそうなってなくて、アルプス山脈があって通過できないという現象が起きているわけです。これがブルー14という形になって、大島それから宇都宮を結ぶこの線は、だれが何といっても通させないぞ、こういうしかけになっておるわけです。往年日航にしましても、全日空にしましても、これを打開するために、西向きの飛行機は――これは正確な数字ではありません。私の聞きかじった話でありますが、燃料費だけで年間百億の欠損を見ている。航空局の骨折りで空にトンネルをつくってもらったが、そのトンネルからストレートで羽田に入ってくることができない。一たん木更津の上空に出て旋回をして、さらにサバ折りをして羽田に帰ってこなければならぬ、こういう形になっておるわけでありますが、まず最初に現状認識として、このブルー14のような管制区は日本の上空にどこどこにあるのか、それがいろいろと支障があるとするならば、運輸省管理の管制、防衛庁管理の管制、米軍管理の管制、これを具体的に明らかにしてもらいたいと思います。
  25. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまお尋ねの管制の区分でございますが、現在日本の空は、全体としましては、航空交通管制本部というものがこれをやっております。ただ一部分につきまして、米軍の管制あるいは自衛隊の管制というふうに、事実上の管制を航空交通管制本部または運輸省の航空保安事務所が行なっていないというところがございます。たとえば北のほうから参りますと、千歳につきましては航空自衛隊、それから三沢につきましては米軍、また八戸につきましては飛行状管制について航空自衛隊、それから松島も航空自衛隊、そのほかずっと下がってまいりまして、東京付近におきましては、いわゆるブルー14の西にあります米軍関係の軍用飛行場、これを横田が管制しておるというような問題、あるいはさらに西のほうに行きますと、小牧、これは自衛隊、それからさらに西のほうに行きまして、徳島は自衛隊の管制、それから岩国に米軍の管制がございます。それから九州のほうに参りまして、板付の米軍の管制、また芦屋あるいは築城、それから鹿屋というような自衛隊の管制がございます。
  26. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いまお伺いして、結局岩国の管制なんというと松山に影響を持つだろうし、あるいは三沢、八戸間の影響もあると思うんですが、政務次官、特に重要なことは、三大拠点一つにしようということで、いま公団法を慎重審議しているわけですが、世界の三つの拠点一つというと、これは単なる一国だけじゃなくて、重要な世界的な位置づけから考えてみて、最も条件のよいところに飛行場は設置されなければならぬと私は思うんです。しかも、その競争相手としての中国大陸における北京の飛行場の開設という問題がある。こういう位置づけで考えてみますと、どうしても三大拠点一つ東京をはずしたくない。はずすべきでないでしょう。であるとするならば、すぐ横ばいのブルー14、これは何とかして開放してもらうということが私は必要だと思う。日米安保協定に基づくところの自由諸国の極東における安全維持のためにアメリカの軍隊が活動する、それ自体は否定はいたしませんけれども、そういう現実にあるということは否定しませんけれども日本世界における経済的な重要なポイントとして設定するために一つの障害があるとすれば、それを除去して、除去した外郭から本来持つ任務を遂行することだって私は可能だろうと思う。いま科学水準の発達した時期においてそれを考慮されることはできないわけはないと思うのであります。このブルー14管制区の返還をアメリカ側と強く折衝するということが空港設置という問題以前に重要な通路上の問題として提起されてこなければならぬと思うのでありますが、その折衝を開始される用意があるかどうか、次官からお答えをいただきたいと思います。
  27. 大久保武雄

    大久保政府委員 ブルー14には四つの軍用飛行場がございまして、日米安保条約に基づく米軍の日本における行動を管制いたしておりますような次第でございますので、一カ所がなくなったからブルー14が消えてしまうといったようなものではないと存ずる次第でございます。将来考えられますことは、日米共同いたしました日米安保条約の精神からいたしまして、その飛行場をできるだけ共通使用をするといったようなことはあるいはあり得るかもしれませんけれども、ブルー14を解消するということは、これはちょっと困難ではなかろうか、かように考えておりますような次第でございます。
  28. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次官のその答弁が、先日、先輩の久保議員も大臣にずいぶん食い下がっておったんですが、世界の三つの拠点にしようという日本人が、日本の問題をやって、それが致命傷的なものであるならばまたそれは別でありますけれども、かりにブルー14の管制区を飛行場の移設に伴ってほかに移したからといって、それはできないわけではないだろう、そう私はしろうと考えで思うんです。その重要な問題についてなぜ――相手方とげんかをしてくれと言うんじゃありません。ほんとうに今度の安保条約とあわせて、政府の皆さんがほかの経済協力の条項が入ったところに大きな意義があるということを国民の前に明らかにしておるのです。しかりとするならば、アメリカの経済も伸びてもらいましょう、もちろん日本経済的な水準というものを強く伸ばしてもらう。そういう位置づけにおけるお互いの事情を訴えて、それを相互理解をしてもらうということについては、条理を尽くしてわかってもらえないことはないと思うんです。こういう立場に立ってブルー14をはずして、ほかの地方における自衛上の措置としての空港設置なりあるいは管制区の設置ということを考えてもらうことがどうしてできないのか、この点についてお答えをいただきたい。
  29. 大久保武雄

    大久保政府委員 ブルー14の四飛行場で飛んでおります飛行回数は、実に一日千回の多きに達しております。かような空域を民間航空が飛びますことは相当な危険を伴う次第でございまして、現在でも、きわめて天気が快晴でありまして、視度の正確なときはこのブルー14を横切ることが許されておるわけでございますけれども、それ以外の場合にこの空域を飛ぶことは、むしろ安全上とるべき姿ではなかろう、かように考えておる次第でございます。  そこで、今回私どもが考えておりまするSST用の航空路にいたしましても、このブルー14と関係なく離発着ができるような姿で新しいSST用の航空路、あるいは羽田の狭くなることに伴う第二国際空港建設いたしたい、かように考えておりますような次第でございまして、この点は、日本東京世界における航空の三大拠点を形成するということと矛盾することにはならない、かように考えておりますような次第でございます。
  30. 泊谷裕夫

    泊谷委員 何か仕掛けがあって、立場上の答弁しかできないのでしょうが、安全確保のためというような話も途中で入りましたけれども、野党の私が言うからそういう返事をされるのか。松永さんのやっておる産業計画会議、これの十三次の報告書ですが、この中にも次のようなことを書いております。「新空港は来るべき超音速航空機時代において、日本国際空港として第一義的のものであって、決して第二空港的な存在ではなく、現存するあらゆる空港、軍事用飛行場にさえ優先するものでなければならない。」と主張しておるのでありまして、経済界をほとんど網羅した、しかも学識経験者も網羅した人々が、日本人として、しかも協力関係にあるアメリカの事情も十分承知しながら、その人々が、この計画書の中で、この空港設置は、富里とか霞ケ浦という問題以前に私どもとして重要な問題は、従来ある空港やあるいは軍用飛行場にも優先して位置づけを考えなければならぬと言っておるのであります、その通路に当たるブルー14空港を含めて。次官が、その部分について、相手方が何とかかんとか言ったという話を聞かしていただくなら別として、うちのほうからすでにそういうことはでき得ないというような節回しをされることは、私は、一体どこの国の人なんだろうという疑問さえ起きるのですが、いかがなものでしょう。
  31. 大久保武雄

    大久保政府委員 安保条約は、御承知のように日本の国会を通過をいたしまして条約として成立いたしておりますような次第でございまして、私ども日本といたしまして、この条約に従ってまいりますことは当然の責任でもございます。との安保条約によって設営せられておりまするこの飛行場でございまするので、その飛行機の機能が目的を達成するに支障なからしめるということも、また条約に関連した日本責任でもあろうかと存ずる次第でございます。そこで、私どもといたしましては、その立場を立てつつ、また将来の日本民間航空発展ということも、これまた伸ばしていく、こういう両々相立つ道を講ずることが今日の階段におきまして最良の方法であろう、かように考えておりますような次第でございます。  さような観点から観察いたしますならば、今回考えておりまする候補地というものが、まず今日におきましては考えられる最良の地点でなかろうかと考えておりますような次第でございます。
  32. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次官、誤解されては困るのです。私は考え方を異にしますが、現実にあります安保体制をぶちこわせというような注文はしてないのです。それはそれなりに時期を得て議論さしてもらうことにいたしますが、それをある程度事実に立った中で考えて、日米航空協定による路線確保の問題についても、何も政治的に出すようなものは一つもないでしょう。政治的にこれを与えるから、これと交換しようなどという材料はないでしょう。進駐下に行なわれた協定でありますだけに、何も言えない時期に結んだ協定であるだけに、一切のものは預けてしまって、しかもいま東京国際空港というような重要な拠点で北京と相争うというような、世界的な、政治的な位置づけ、何とか東京を中心に空港をつくりたい、それにはこういう支障がある、この問題について、両者兄弟関係にある兄貴のほうとして考えてくれということを言うのは、私は間違いでないと思うのです。  次官、もう一つ純粋に、アメリカの事情を考えないで、日本人だけの事情で考えてみますと、いま新しい世界拠点を開いて貿易外収入をあげよう、赤字を克服しよう、そのためには最良の条件のところに空港を設置して皆さんに来てもらおう、いまお金があまりないところに日本を攻めにやってくるどろぼうということよりも、金をためるほうが先ではないですか。そのために、金がたまってどろぼうが入る、あぶないというなら、そこで初めて戸締まりの国防論も起こります。だが、そこまで議論をしないにしても、日米の協力関係において、ほんとうにこの人をというならば、厚木とかその他の飛行場をかりに太平洋上に移行しても、そしてこの管制区を移動したからといって、国防上直接的な支障が来るかどうか。あるいはわずかの支障で済むならば、日本経済力を高めるために配慮をしてくれてしかるべきでないか。これが日米協力関係におけるアメリカの態度だろう。日本人としてそれを注文することは間違っていないだろうというのが私の考えなんです。その注文をなぜしていただけないのかということについて、次官の気持ちを聞かしてほしい。もし立場上まずいというなら、検討をしてみるべき問題だという言い方もありましょう。いろいろとことばは使い方があると思うのでありますが、こちらから、すでにそれは当然の犠牲であって、注文そのものさえできないということであっては、私にはどうしても解せないのでありまして、この点についてお答えをいただきたいと思うのであります。
  33. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど申し上げておりますように、安保航空条約によって四飛行場は日本防衛のために必要である、かような観点からできておりまする現在の体制におきまして、私どもといたしましては、それと両立する道を選ぶことがとるべき策であろうと考えておる次第でございますが、ただ、四飛行場を、日米共同防衛の観点に立ちまして、それを使用を認めてもらうといったような交渉は、これは私はとる価値がありはせぬかと考えております次第でございます。それだからといって、ブルー14が全部解消するということには、私はこれはならないと考えております。四飛行場は相互有機的に関連いたしまして、ブルー14が形成せられておりますので、私は、ブルー14がそれによって解消するということはお約束はできないと考えております次第でございます。  なおまた、国際航空はずっと太平洋の南方のほうへ飛んでまいります次第でございますので、ブルー14と接触する限度というものは、特にまたSST等の非常な長距離高速旅客機ということに相なりますと、ブルー14と接触するという割合は比較的少ないんではなかろうか、かように考えておりますような次第でございます。
  34. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それじゃ次官、私もここでお尋ねをしていますが、航空のすべてを知っているわけじゃないので、次官がそう答えられるとそうかなと思うのですが、しかし、直接その衝に当たっている人、との航空問題について意欲的な研究をされておる人の対談が載っているわけです。これはここに持ってきている木ですけれども、ダイヤモンド社から出した、総合政策研究会で出した「日本航空政策」という本ですが、この中で稲葉秀三さんと日航の松尾社長の対談が載っております。これを読みますと、その中でも、かりに政府が第二国際空港の土地をきめても、なかなか土地の買収ができないとか、いろいろな問題がある。そこで、富里とか霞ケ浦ときめたとしても、いまの形ではその実現はおそらく六、七年先になって、世界の三大拠点づくりにおくれたら一体どうなるだろうということを書いておりまして、この際――ここは私の意見ですが、富里にしましても、空港建設費一千八百八十億、道路建設費百七十億の二千四百四十億、これは金から計算した話ですけれども、霞ケ浦にしても空港建設費が二千二百二十億、道路建設費が二百四十億の二千八百億、これにはほかに百里の飛行場の移転、洪水防止工事経費を必要とする、こういうふうに運輸省側で出した資料には書いているわけですが、こういうところで、羽田の七倍の面積を持っておりまして、滑走路としては三千三百でありますが、横田の基地を返してもらうということはどうだということは、閣僚の一人であります河野さんも主張しているわけですね。新聞の記事でありますから正確ではありませんが、また厚木ということも河野さんは言い出しているのであります。これら二人の対談の中で、横田の基地が返ってきたら一番いいでしょうというふうに語っていますね。松尾さんも稲葉さんもこういう主張をされているのでありますけれども、こういう立場から考えてみますと、政府の考えとしても一部ないわけではない。これらの飛行場を合わせて、そこに横田基地の返還とブルー14の関連は、四つの飛行場ということはわかりますけれども、これはまず横田を返してもらうということになれば、使用上の問題も直接的な開きがありますし、大きな管制区との問題も出てくると思いますが、これについてはどうでしょうか。おやりになる意思はありますか。
  35. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほどお答え申し上げておりますように、ブルー14は四飛行場が有機的に関連して設定されておりまする管制区域でございます。そのうちの一つの飛行場がかりに返されると仮定をいたしましても、ブルー14の空の管制というものは依然としてありますわけでございまするし、一日に一千回近くジェット戦闘機が飛びかっているその空域でございますので、さような地域にはたしてSSTの民間国際空港を設置することが適当であるかどうか。稲葉さんと松尾さんがどういう観点で議論をされたのかも私は存じませんが、私は、安全というものが最大の要請とせらるべきである民間航空のエリアにおいて、三飛行場が残って、一飛行場をSST用の第二国際空港にするということは、安全の上からいってそれは不可能であろう、かように考えておりますような次第でございます。
  36. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは松尾さんや稲葉さんに聞いてみなければわからぬことです。河野一郎さんにも聞いてみなければわからぬのですが、三千三百の滑走路を持つ横田を返してくれということは、これは米軍の戦闘あるいは戦爆用の飛行場で、なお、自衛隊のほうは戦闘訓練基地でしょう。入間川あるいは立川の米軍は極東輸送中継基地でしょう。であれば、必ずしも立川でなければこの任務が遂行できないというものでもない。私の感ずるところによれば、松尾さんも稲葉さんも、また河野さんも、横田を返してくれ、この際日本に使わしてくれないかということは、これらの関連を持つ四つの飛行場と同時に重要な意義を持っております横田を返してもらおうと踏み切ったのは、おそらく全体的にこの問題を解消するというふうに考えて主張されているのだと思うのでありますが、ともあれ、あそこに三大拠点の飛行場が設置された場合という想定に立っても、次官はやはり危険でだめだというのですか。この一つの返還は当然四つに関連を持ってくることであります。ただ、四つのうち一つを抜いた――この前松浦運輸大臣もそういうことを話しておりましたけれども、私の先輩としては実に子供を説教するようなお話をされるもんだなと思って聞いておったのですが、片や航空協定の改定を出しておる。協力はしていただくのです。協力はしていただくのだけれども、うちの経済事情でこうしてくれという、難題になるかもしれません、それを出して、全体的な問題について考えるという政治的な配慮もあっていいんじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  37. 大久保武雄

    大久保政府委員 四飛行場のうちの一飛行場を返してもらいまして、三飛行場が残ったといったような状態におきましては、第一、空域の安全性の上からいって一飛行場といえども使用はなかなか困難ではなかろうかということか申し上げた次第でございますが、それに加えまして、大体現在四飛行場は百万坪ないし二百万坪でございます。それでこれをSST用の新国際空港整備、いたしますためには、倍あるいは三倍にこれを拡張いたさなければなりません。これらの地域はきわめて発達した市街地帯でございまして、富里等に比較いたしましたならば、周囲に非常に多くの人家を擁しておると私は考えておる次第でございます。先ほど来富里一千五百軒買収も容易でなかろうという御指摘がございましたが、これらのブルー14に含まれておる地域の飛行場をかりに七百万坪に拡充するといたしましたならば、よって起こる民家の買収移転に関する問題というものは、富里以上の問題を起こすのではなかろうか、かように存ずる次第でございまして、さような実際的な面並びに軍事上の面、航空安全上の面からいたしまして、私はブルー14の中の一飛行場という考え方は成立しないのではなかろうか、かように考えておりますような次第でございます。
  38. 泊谷裕夫

    泊谷委員 言ってみれば、次官の気持ちの置き方は、私の置き方とは違うわけですね。富里のほうも、運輸省側は千五百、現地の知事は三千、しかもおい立ちのある農民で、戦後農地解放によって土地をもらった人々じゃなくて、おじいさん時代に血を流して得た土地であるだけに、ほかの飛行場とは違った質的なものを持っておるというふうに聞かされておるのですけれども、結局、稲葉さんでも松尾さんでも言われているのは、何とか早いところ東京国際空港をつくろう、確かに横田にしても、二百九万坪という坪数しかありません。確かにそれは言えるのですが、三千三百の滑走路があるとすれば、当面これを補強していくと、騒音その他の問題についても一たん飛行基地として設定されたものであれば、その地域における市民の協力関係も、富里とは全然質的には違いを見せるだろうという考えに立ち、一日も早くその空港に手を染めるべきだという位置からこういう主張がなされておると思うのでありますが、本質的にその以前の問題として、この重要な地帯に四つ並ぶ空港を置かなければ防衛ができない、だからこちは主張できないということについては、どうしても考えてもらわなければならないような気がするわけです。ですが、これ以上これを進めても、きょうの段階お答えを前進させることはできないと思いますから、これまたくどいようですが、先輩議員のほうにゆだねたいと考えております。  そこで、これと関連を持ちます空港のことがいま直接的な議論の問題になってきているわけですけれども、これに関連を持ちます空港の問題としてながめてみますと、大小取りまぜて四十五の空港が国内にはあるわけですけれども、このほかに十二いま工事中ということになっておりますが、ヘリポート二十五と合わせて相当数の空港ができておるのですけれども、路線用飛行場は、運輸省管理の第一種には、東京と大阪の二つ、第二種は、稚内、函館、宮崎など七カ所、それから地方公共団体の管理の第三種は、女満別、秋田、屋久島など十四カ所になっておりますが、特に重要な千歳、札幌、小松、徳島、美保、八戸、この六カ所は、防衛庁の管理になっておるわけです。それから三沢、岩国、板付、調布は米軍管理です。数だけの上では確かに空港は、東京、大阪周辺の県を除いては、各県一つずつできたことにはなりますけれども、バイカウントあたりの発着可能な千六百メートルの滑走路を有するものは九カ所、先ほどお話のありました、子供に模型の飛行機を持たせて航空意欲をあおろうという政務次官底辺拡大の方式から考えましても、しかもこの九カ所のうちで名古屋を除いて米軍または防衛庁の管理する飛行場であるということは御承知のとおりだと思うのであります。さてこの問題について、この整備と関連いたしまして、軍民分離の体制について、この期にいかに対処されようとしておるのか、これを明らかにしてほしいと思うのです。
  39. 大久保武雄

    大久保政府委員 軍民共用飛行場は、本来望ましい姿ではございません。私どもといたしましては、一日も早く民間専用飛行場を持ちたいと考えておるような次第でございます。しかしそれが急速にできない面もございますので、当面の問題といたしましては、軍民共用飛行場における民間航空専用の誘導路、エプロン、ターミナル地域の整備等を行ないまして、航空機の安全、旅客の利便をはかっていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  40. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次官の言われる軍民分離をやっていきたいということで、そうですかと返事をしたいのですが、実は国際第二空港の問題が航空局を中心に議論されてきたのは昭和三十六年です。それから営々として現地を調査されておるわけですが、やおら五年を迎えようとしておるときに、先ほどから議論として提起しております航空政策の根本的な姿勢として、この問題がいま言われるように、近い将来軍民分離をしたいという言い方だけでは、私は了解できない。それから当然具体的な年次処理計画というようなものが緻密に積み上げられて、全体的な国際航空の関連と、国内における主要点との結びつきが進められていなければならぬと思うのでありますが、私の感ずるのは、何か空港だけをつくるということに急に飛び乗って、そして霞ケ浦だとか富里だということに議論が集中しているような感じがしてならないのです。  具体的な問題を考えてみますが、各空港を聞こうとも思いません。重要な羽田とそれから福岡、千歳、この三点だけについて具体的な問題としてお尋ねしたいと思うのですが、かけがえのない羽田空港といわれながら、まだ土地買収の問題について問題が続いておるというふうに聞いておるのですが、これは片づきましたか。
  41. 大久保武雄

    大久保政府委員 まだ係争問題が続いておりますが、詳しいことは局長から御答弁をさせたいと存じます。
  42. 栃内一彦

    栃内政府委員 羽田空港におきましては、民間用地が残っておることは事実でございます。振り返ってみますと、大きなものといたしましては、日本特殊鋼の用地がございまして、これの買収は大体済みましたが、若干まだ残っております。それから藤木顕文という人の持っておりました地面、これも買収が済みました。それから西武の持っておりました地面、これも買収が済みました。大きなものは大体買収は済みましたが、まだ若干の残っておる土地がございます。これらも逐年予算を計上しまして、できるだけ早く全体が国有地になるように毎年努力しておりますが、現在のところ夫買収地は用地の使用計画をつくりまして使用しておりますので、実際問題としては問題はそれほどないわけでございます。ただ若干、使用料の問題等につきまして、整うのに時間がかかるというような問題はございます。大体におきまして国有地になってまいっております。  ただ、これはあるいはこのお尋ねかとも思って想像してお答えいたしますが、もし間違っておりましたら取り消しますが、一つ問題になっておりますのは訴訟問題がございます。航空局と申しますか、国側としましては、これは国有地であるということを固く信じておりまして、現在でも当然にこれを国際空港用の施設として使っております。ただ、これに対しまして係争関係になっておりますが、第一審におきましては国が勝訴いたしました。その後、相手方はこの第一審の判決を不満として上訴しておるということで現在係争中でございます。これは現在裁判関係になっておりますので、私どもとしましては、第一審の勝訴に引き続き、上訴においても必ず国側が勝つという確信を持っておる次第でございます。
  43. 泊谷裕夫

    泊谷委員 係争中の問題については質的な違いを見せていますから、その議論は別なときにやらしてもらうことにしまして、板付は米軍が撤退したら民間空港になりますか。もしそうだとすれば、その場合の維持管理はどういうことになるか。
  44. 栃内一彦

    栃内政府委員 仰せのように、現在板付は米軍管理になっております。これがいつ返還されるかという点につきましては、まだはっきりした見通しはございません。返還になった暁には、私は民間用の飛行場としてこれをぜひ確保したい。換言するならば、自衛隊等に移管されることは航空局の立場としては好ましくない、ぜひとも民間用の空港としてこれを引き続き整備をして、北九州における重要な民間航空拠点としてこれを整備していきたい、かように考えております。
  45. 泊谷裕夫

    泊谷委員 もう一つ、千歳、丘珠の関係ですけれども、これは路面でわずか五十キロくらいしかないところを二つも防衛庁が管理しているのですね。五十キロくらいしかないところを二つも防衛庁が管理しなければ防衛ができないものだろうか。羽田、福岡、札幌、この千歳だって民間専用の滑走路さえないというときに、これは防衛庁と運輸省との関係ですから、それこそ国内問題ですね。これは防衛庁の皆さんのほうで一カ所に集結してもらうことができないものだろうか。部隊としてたいへん編成が大きいということになれば、金の問題もいろいろ心配があると思うのですが、だとすれば北海道の東方に旧軍で利用しておりました相当な飛行場があるはずです。これは地名はいろいろと受け入れや何かの関係がありまして、北海道の千歳で防衛の任に当たろうがあるいは釧路周辺で防衛の任に当たろうが、これも大差ないことだという感じをわれわれしろうと考えで持つのです。丘珠と千歳くらいは統合して、一カ所くらい純然たる民港としてあけてもらうことが運輸省と防衛庁で話ができていいと思うのですが、この点は次官、いかがですか。
  46. 大久保武雄

    大久保政府委員 私どもの立場といたしましては、専用民間飛行場がありますことが一番望ましい次第でございます。そこで防衛庁におかれましても、防衛任務からいたしまして種々努力をしておられます際でもございますので、この辺は今後できるだけ政府内部におきましても協議をいたしまして、両々相まって国民に対する責任が果たせるようにいたしていきたいと考えている次第でございます。
  47. 泊谷裕夫

    泊谷委員 私一人だけの感じだろうが、どうも運輸省を中心に、航空局日本の空を国民が飛ぶのには、航空に対する主体性を運輸省の航空行政の中で持たしてほしい気がする、防衛は主ではありません。しかし陸上で五十キロしかないところに二つの空港を、しかも丘珠のほうは、御承知のとおり、北海道ブロックの一つの中心になっておりますね。そういう地方における開発的な意義もある。そういうものについて防衛庁の皆さんが、国の政策として一カ所に集結して、一カ所を民間空港としてあけてくれるくらいのことはできないであろうか。このことは航空政策全般に対する政府のかまえ方として、運輸省に文句を言ってもしかたがございませんけれども、全部並んで話をさせてもらうというわけにはまいりませんから、次官に、せめておれはがんばるということばがほしくて申し上げておるのです。昭和三十一年空港整備法ができて以来、三十七年すでに空港投資されたお金は百六十七億ですよ。そのうち羽田は六〇%以上使いまして、第一種空港、これは大阪を含めて六七%、百十三億を使っている。残り五十四億は、離島とか北海道は特に保護政策をとっておるから、離島と北海道で四四先、二十四億を使っておる。そのほかの空港にはわずか三十億しかお金を出されていないですよ。この三十一年から三十七年までの七年間にですよ。運輸省の関係の管理する民間空港、これらに対しますちゃちな政策航空を論ずるということ自体、国全体の政策として間違っていないか。日米のように、ほかの国、他人様というならこれは別ですよ。同じうちの中におります防衛庁との関係において、拠点になる民間空港空港として第一に整備をして、それを避けながら防衛の位置づけをするというくらい考えてしかるべきでありましょう。話を発展させる気はありませんけれども、昨年の暮れの予算措置だって、港湾をきめることだってがたがたでしょう、鉄道の二兆九千億をきめるのに、寝ずの騒ぎでしょう。だが防衛庁のほうは、大臣折衝に入ったか入らないうちに片っ端からF104を多く買うことを了解する。これは本末転倒しておるのではないかという気がするのですが、この点についてもう一度、くどいようでありますが、次官の御答弁をいただきたいと思います。  あわせて航空局の皆さんが、聞くところによりますと、通産省とか大蔵省とかの事務折衝、それから日航、全日空、国内航空、あるいははずれております中日本は合併しましたけれども、東亜とかあるいは長崎、こういう監督業務にすべて終始して、本来の日本の空の航空網をどうするか、そのために通産省なりあるいは大蔵省なりがどう協力しなければならぬかという位置づけがなくて、自動車局とか航空局とかいう一部門に位置づけしておいて、日本の空を論じようとすること自体無理ではないかと思います。この部分を加えて、今後の次官の打開策をお示しいただきたいと思います。
  48. 大久保武雄

    大久保政府委員 泊谷委員から非常に有益なる御意見をいただきまして、私も大部分は同感でございます。特に戦後とかく航空国策的なことがなくて、許認可だけが行政である、そういうことはあり得ないのでございまして、いま泊谷さんも御指摘のとおり、日本航空強化していくためには、航空ピラミッド底辺を拡大していく、そのためには航空国民のものたらしめる、そういう一つの迫力のある国策が打ち出されなければならぬと私も考えております一人でございます。ただ、日本のいわゆるローカル空港が軍用飛行場と共用のものが多いということは、特に日本航空の沿革的な理由もございます。世界航空からして、これは第一次世界大戦の軍用郵便の輸送からいわゆる民間航空というのが発展してまいりましたいきさつもございまして、軍用飛行場から民間飛行場に共用されつつ民間航空が発達してきたといういきさつがございますので、ローカル空港といたしましては、特に終戦後におきましては、米軍がすべての飛行場を押えておってそれを少しずつ返してもらって日本の民間航空が灰じんの中から立ち上がっておるのが今日の姿でございますので、過渡的な現段階をとらえてのお話がございますと、まことに私はお説のように行き届かない面が多かろうと存ずる次第でございます。  しかしながら、私どもといたしましては、今後は民間航空一つ航空の大きな領域として国民航空的視野に立って、一つの政治目標として大きく発展していくに重要な意味があると考えておりますし、今後ねばり強くあらゆる努力をいたしまして、民間専用の飛行場を拡充していくことに努力していきたい、かように考えております次第でございます。  ただいま御指摘がございました北海道における自衛隊の防衛庁の飛行場と民間飛行場との問題につきましても、今後できるだけ政府内部におきましても話し合いをいたしまして、相互の目的が両立いたしまして、国民の負託にこたえることができますように努力していきたいと考えておる次第でございます。
  49. 泊谷裕夫

    泊谷委員 航空局はどうしてくれる、次官、もう一つ
  50. 長谷川峻

    長谷川委員長 航空国策の中心として、航空局の使命についてですね。
  51. 大久保武雄

    大久保政府委員 航空局運輸省もこれは一体でございまして、決して通産省の出先であるとかあるいは大蔵省の言いなりほうだいであるとかいうことは考えておりません。ただ戦前は、いわゆる航空機製造行政は航空局にございました。この航空機製造行政を戦争のさなかにおいていわゆる軍需省にこれを移したわけでございます。そこで、航空機製造行政も、たとえばいわゆる造船行政が運輸省にございまするし、鉄道の車両行政は運輸省にございますから、私は言ってみるならば運輸省にあったほうがよかろうと思う次第でございます。いずれにいたしましても、他省にありますからには、ほんとうに飛びやすいような飛行機、いわゆる使用者である運輸省の意向が十分反映されるような航空機製造行政ということが望ましいのでございますから、この点はむしろ私のほうから通産省に十分指図をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと存ずる次第でございます。
  52. 泊谷裕夫

    泊谷委員 政務次官にお願いしたいことは、この前から議論をしていますが、経済高度成長政策に伴う公共投資が相当大きい。産業は伸びるんだが、特に交通産業に対する手当てというものがおくれがちであって、海運しかり、路面交通しかり、航空政策しかり、こういうことがあってその重要なポイントとしてその担当部の力関係を強くしてもらうのは事務担当の局長や課長ではできないことです。この全体的なものを大臣や政務次官が、具体的にそろばんをはじいたり計算機を回したり、これまた不可能な話であります。だからその事務的な問題なり展望というものは、やはり事務担当の局長や課長にやってもらわなければならぬ。やったことが具体的な政策として、特におくれておる航空の問題がいまの国情においては取り入れられるということについて積極的に異論をはさむことはないと思うのです。それは実現化してこなければならないと思うが、実際はそうはいかない。だからその体制をすみやかにつくってやるのが松浦さんや大久保さんの最も大きな仕事だし、急がなければならぬ仕事と考えてこの点を提起したわけでありますが、――委員長、時間の関係がありますので、続けさしていただいていいですか。
  53. 長谷川峻

    長谷川委員長 いいです。いまのあなたの話はなかなか大事な話だから、航空委員会あたりでさらに細論なりをやってもらったほうがいいと思うのです。
  54. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは質が変わりまして、見方によればちょっと公団から遠ざかるように感じますが、航空のあり方としてやはり日航はこの際国際線に集中すべきだと私は思うのですが、これらの議論も先輩議員からさらになされると思うのでありますが、その考えがあるのか、これは相手がありまして、なかなかすきっとできないかもしれませんが、いつごろまでにその体制を確立しようとするのか。それにあわせて国内路線の問題について業者の皆さんもたいへんだろう、与党の政審会でも逐年議論をされまして、その時期、その時期に、これでよかろうということできめていただいたのでありますが、結果的には二転三転いたしまして、経営方策を確立することに困難を来たしていることを耳にするわけであります。一生懸命経営改善をしながら、でき上がったところでシェアの問題などについて議論が数多くあると聞いているのですが、私の考えでは、日航が国際線に集中し、そのあとは全日空と、新しく統合せしめました国内航空が国内路線の運航に大別されてくると思うのでありますけれども、その中で昨年十一月六日と記憶しますが、運輸省が全日空、中航空、それから東亜でしたね、長崎は含んでいたかどうか(關谷委員「長崎は含まない」と呼ぶ)含まなかったですかね。この企業そのものが大企業化し、それからロング・コースを持つことによって経営を合わせようという運輸省の考え方については私は賛成できるのでありますが、この全日空の出した条件は、相手のあることでありまして、商法上の行為からいっても、その条件が整わなければ新しい進出を認めないという制限をつけたことはどうかと思うのであります。以上、三点についてお答えいただきたいと思います。
  55. 大久保武雄

    大久保政府委員 日本航空国際線に限定したらどうかという御意見でございますが、日本航空は本来国際線を任務としておりますので、望ましい姿ではあろうと存じております。しかしながら、先ほど来御説明申し上げておりますように、国際線は本来黒字でなくてはならぬわけでございますけれども開発の途上におきましては多くの赤字線をかかえておることもまた国際航空開発上やむを得ない次第でございます。さような状態でございますので、国内航空の一部幹線を実施いたさせまして、彼此経理の共通的なあんばいをいたすということもまた過渡的には考えられることでございます。それだからといって、国家の日本航空に対する助成を軽視するという意味ではございませんが、さような過渡的な配意をいたしていきたいと考えている次第でございます。また全日空、国内航空に対しまして、国内の線をやらしていきますことは、ただいまお説のとおりでございますが、東亜航空、中日本航空の合併ということを全日空の一つ航空拡充の前提といたしました件につきましては、十分関係各社と協議をいたして取り計らいましたものでございますが、また今後の状況によりまして、実情に合う措置も考慮いたしたいと考える次第でございますが、経過につきましては局長から詳しく御説明させたいと考えております。
  56. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいま先生から全日空の路線の今後の進展について、十一月に出しました運輸省の方針はいかがなものかという御意見がございました。これにつきまして、私から政務次官の御答弁を補足いたしまして御説明を申し上げます。  この幹線の問題というものは非常に古い問題でございまして、過去を振り返りますると、初めは国内幹線というものは日本航空のみがやっておったわけでございます。その後全日本空輸が――これはだいぶ前の話でございますので、当時私は当事者でございませんでしたが、記録によりますと、伊豆沖の事故のあと全日空の経営基盤を強化するというためにどうしたらいいかといういろいろな点が議論ざれたようでございますが、その際、一つの方策として幹線にこれを入れるということで全日空の育成をはかっていこうという方針が打ち出されました。この方針は結果的には非常に成功いたしまして、全日空は経営基盤が確立いたしまして、最近におきましては二期にわたって、わずかではございますが、ともかく日本の民間航空会社としてはいわば初めてと言われるような配当を行なった、しかもこれを二期続けた、このことは、私は当時幹線に入れたというのは非常に卓見であった、かように考えます。今後全日空が幹線を営み、またローカル線を営み、発展していくということを私は心から希望するものでございます。  ところが、先般十一月六日にきめました方針は、主として新たに統合されました国内航空、この会社を統合したあといかにしてこれを育成するかという問題を契機としてこの問題が取り上げられたわけでございます。やはりこの際に新会社を育成するためには、幹線のシェアを与えていかなければならないということを運輸省としてきめました。その場合に既存の日本航空あるいは全日空との当然そこに利益の衝突が起こってくる、これをどのように調整をするかということは非常にむずかしい問題でございまして、この問題につきまして三社間で協議をする、そして一応の結論を出して運輸省に意見を開陳するというようなやり方も一つあったと思います。これは理論的にあったと思うわけでございまして、実際問題としては私は絶対にまとまらなかったと思います。  それからもう一つは、運輸省あるいは航空局が各社の意向を打診をして、そしてみんなが満足するような方法できめていく、こういう方法もあったと思います。ただ、この点につきまして、実際の衝に当たりました私としましては、各社の意向は個別的に十分聴取したつもりでございます。非常に言い過ぎかとも思いますが、私自身が各社の立場を主張しようと思えば主張できるくらいに各社の意向は聞いたつもりでございます。しかし、この三社の意向というものはやはりおのおの自社の立場を固持いたしまして、どうしても全部を合わせますと、一升のますに二升の水を入れるがごとき結果になるということがきわめて明瞭になりました。そこで意向は十分聴取しましたけれども一つの素案をつくりまして、大臣の御決裁を得て運輸省の方針としたわけでございます。この方針を各社の社長を呼びまして大臣からお話しいただいた、この過程におきましては、各社の意向を聞くというよりも、十分聞いたあとの結論を伝えたというような形にしたわけでございますが、その場合に先ほど申しましたように基本的には新設の会社をどうやって育成するか、既存の会社との調整をどうはかるか、またこれは長く皆さまからあるいはその他世論から批判されておりました国内における会社が多過ぎるのではないか、これをぜひ統合すべきであるという強い御主張が国会あるいは言論界で絶えず叫ばれてまいりましたので、運輸省といたしましては、やはり将来の展望として今後はいわゆる小さな会社は大きな会社に合併していこう、しかし全部を一つの民間会社に合併することはこれまた行き過ぎである。日本の空を一つの私的会社が独占するということは一また別個の弊害を伴うということで、ともかく全日本空輸という基盤のしっかりした会社、それから国内航空、これは基盤はまだしっかりしておらないが、これを幹線に入れて育成していく、そうして東亜航空と中日本航空は、従来から全日本空輸との提携関係がございますので、この間には、ある場合には営業上のいろいろな関係、さらには場合によっては持ち株の関係あるいは人事的な関係というものがございます。きわめて密接な関係がございましたので、これらを全日空と一緒にしていこう、そうして全日空は比較的経営基盤がしっかりしておるということ、これはもちろん比較的な問題でございます。そこでこれらの会社を全日空が合併した場合には、新たにこれに幹線を認めていこうという考え方、もちろんこれは非常に厳格に何をしたらどうというところまで、もちろん当時方針はきめておらないで、ある程度の弾力的な措置は当初から考えておったわけでございますが、幸いに中日本航空と全日空との間の、合併ではございませんが、中日本航空の路線の運営の問題を全日空に移譲するということが、ことしのたしか二月ごろだったと思いますが、実現いたしまして、これは非常にけっこうなことであったと思います。中日本という会社は名古屋を中心とした会社でございますが、これが路線を拡大していくということも非常に困難でございますし、また他の会社との競合関係、またそこにいわゆる過当競争というものが起こるという弊害もあったわけでございますが、これを全日空が、いわば事実上の統合をやったということでございます。したがって、あと負担の問題があるわけでございますが、これは全日空の負担ということになりますので、新たに大阪-福岡間の幹線運営を認める、こういうことにした次第でございます。
  57. 泊谷裕夫

    泊谷委員 経過的なとらえ方をすれば、どの時点でとらえるかということによって、各企業がやはり利害相反するのでありますから、とり方によって主張に違いが出ると思います。一升のますの中に二升の水を入れなければならないというところが最大の悩みだということで、日航を国際線に集中的に進出せしめる。国内の体系を全日空と国内航空に大別してやらせる、こういう位置づけになるであろう、そのことについては問題はないのでありますが、合同しなければ新しい路線をやらないという主張のしかたは、本来問題があろう、そこに全日空から言わせれば国内航空のおい立ちをとらえて、それならば当社の利益をどう見てくれるかというような議論も出ると思いますが、これは私はきょうはシェアの問題を出そうと思っておりませんから、今後航空委員会その他で抜本的な方策というものを明らかにしてほしいと思います。国内航空の非採算路線の比率はほかに比べて多いようです。特に私の出ている北海道は、採算の合わない線が多いわけであります。そういうことで、今後の企業育成という面から、これはどういう措置をされようとしておるか、簡単でいいですからお答えをいただきたいと思います。
  58. 栃内一彦

    栃内政府委員 私はやはり幹線の収益というものによってローカル線の赤字負担していくというのが基本的考えであると存じます。
  59. 泊谷裕夫

    泊谷委員 急激なローカル空港の新設に伴って、採算ベースの合わない航空人口の少ない空港にも乗り入れをこの二社はやらなければならぬと思います、全日空であれ、国内航空であれ。航空自体の問題は、採算ベースばかりじゃなくて、その地方の産業開発、地域開発というような意義があるとすれば、ここに国としてその運航の必要を感じ、命じた場合、採算の合わない地区について何らかの保護策を考えておられるか。先ほど国内航空、たとえば幹線というお話がありましたが、南を入れてそろばんを合わせるとか、あるいはこの飛行場の問題については助成措置をするとか、こういうお考えがあるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  60. 栃内一彦

    栃内政府委員 やはりたとえば国内航空につきましては、東京から西側の比較的有利な路線を、全日空との調整を考えながら認めていくということ。それから根本的には幹線における収益の増大をはからしでいくということを考えております。
  61. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次官が言われました乗員と管制要員、この前ずいぶん議論になりましたが、この養成は急がなければならぬと思うのですが、乗員については自衛隊のほうでもう少し多く抱いて教育してもらうということができないものだろうか。それから管制要員については三年もかかるというお話でありますので、通常勤務しております者とは別に、私、養成定員という制度を確立する必要があると思うのであります。これと関連してローカル空港の運用時間の問題もずいぶんうるさく主張されておるので、以上三点についてお答えをいただきたいと思います。
  62. 大久保武雄

    大久保政府委員 航空機操縦士は年間百名ないし百十名の需要が見込まれますので、航空大学校三十名、防衛庁への委託養成四十名、防衛庁からの転出約四十名を計画いたしております。  乗員の不足は、機長の不足が最もさし迫った問題になっておりまして、防衛庁への委託養成のことについては、この点につきましては特に考慮しておりません。機長は船長と同じで、きわめて重大な職責を持っておりますので、できるだけ企業内のレベルアップをさしていきたいと考えておる次第でございます。
  63. 泊谷裕夫

    泊谷委員 日本航空に対する出資の助成、それから会計の分離、これなどをお尋ねしたいところでありますが、これは航空委員会に回します。  そこで、ごく最近のできごとで、こまい話で恐縮ですが、十日にジェット料金を変えましたね。東京-大阪間は逆にダウンして八百円になり、福岡、札幌線が千二百円になったのですね。片や下げて片や上げるという、これまたスタイルの悪い話で釈然としないのですが、その事情はどうであったか。それから、聞くところによると、航空局のほうでは何か三社協定をしてこいという話をしたということが新聞にちらっと出ているのですが、だとすれば、これは独禁法違反だという議論が出るのですが、その間の経過を明らかにしていただきたいと思います。
  64. 栃内一彦

    栃内政府委員 ただいまお尋ねのように、まあお尋ねございませんでしたが、当初会社のほうからは東京-大阪八百円、東京-札幌、東京-福岡千六百円ということで申請がございましたが、これにつきまして、運輸審議会等の手続も経まして、千六百円を千二百円として修正認可しました。当初の考え方は、現在まではいずれにしましても距離にかかわらず千円ということでございましたのを、これもまた考えようによれば問題がございますので、今度は距離的な観念を入れようという趣旨でございましたので、趣旨は認めましたが、値上げのほうの幅は非常に多過ぎるということで、千二百円ということで修正いたしたわけでございます。その間新聞等に出ておりますが、当局としましては修正認可ということで千二百円の措置をとった、こういうことでございます。
  65. 泊谷裕夫

    泊谷委員 最後に、これは通産省と関係がありますが、国産機愛用の問題で、ずいぶん当委員会でも議論のあるところですが、YS11が開発されました。防衛庁に少し多く入れなければ採算ベースが合わないというような話もありますけれども、それらの航空機工業に対しての開発費用負担です。それから全日空なり国内航空は二十三機ずつ発注をしておるわけでありますが、これらの飛行機は採算ベースだけで考えれば、やはり外国から持ってきたほうが採算ベースとしてはいいわけです。国産機愛用という趣旨でそれを国内線に使っていこうという趣旨でありますが、これに伴う機種の導入、航空機工業のほうに対する助成策も何らか考えられてしかるべきだと思うのでありますが、次官考え方お尋ねして、おしまいにします。
  66. 大久保武雄

    大久保政府委員 YS11を開発しておる航空会社に対しましては、助成並びに財政資金の投入、その他できるだけの国家助成をいたしております。このYS11の開発を将来とも容易ならしめるように努力をいたしております次第でございます。
  67. 泊谷裕夫

    泊谷委員 残りは小委員会にします。
  68. 長谷川峻

    長谷川委員長 明日は、午前十時より新東京国際空港公団法案について、参考人から意見を聴取することとなっております。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十七分散会