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栃内政府委員 ただいま
先生から全日空の路線の今後の進展について、十一月に出しました
運輸省の方針はいかがなものかという御意見がございました。これにつきまして、私から政務
次官の御答弁を補足いたしまして御
説明を申し上げます。
この幹線の問題というものは非常に古い問題でございまして、過去を振り返りますると、初めは国内幹線というものは
日本航空のみがやっておったわけでございます。その後全
日本空輸が――これはだいぶ前の話でございますので、当時私は当事者でございませんでしたが、記録によりますと、伊豆沖の事故のあと全日空の経営基盤を
強化するというためにどうしたらいいかといういろいろな点が
議論ざれたようでございますが、その際、
一つの方策として幹線にこれを入れるということで全日空の育成をはかっていこうという方針が打ち出されました。この方針は結果的には非常に成功いたしまして、全日空は経営基盤が確立いたしまして、最近におきましては二期にわたって、わずかではございますが、ともかく
日本の民間
航空会社としてはいわば初めてと言われるような配当を行なった、しかもこれを二期続けた、このことは、私は当時幹線に入れたというのは非常に卓見であった、かように考えます。今後全日空が幹線を営み、またローカル線を営み、
発展していくということを私は心から希望するものでございます。
ところが、先般十一月六日にきめました方針は、主として新たに統合されました
国内航空、この会社を統合したあといかにしてこれを育成するかという問題を契機としてこの問題が取り上げられたわけでございます。やはりこの際に新会社を育成するためには、幹線のシェアを与えていかなければならないということを
運輸省としてきめました。その場合に既存の
日本航空あるいは全日空との当然そこに利益の衝突が起こってくる、これをどのように調整をするかということは非常にむずかしい問題でございまして、この問題につきまして三社間で協議をする、そして一応の結論を出して
運輸省に意見を開陳するというようなやり方も
一つあったと思います。これは理論的にあったと思うわけでございまして、実際問題としては私は絶対にまとまらなかったと思います。
それからもう
一つは、
運輸省あるいは
航空局が各社の意向を打診をして、そしてみんなが満足するような方法できめていく、こういう方法もあったと思います。ただ、この点につきまして、実際の衝に当たりました私としましては、各社の意向は個別的に十分聴取したつもりでございます。非常に言い過ぎかとも思いますが、私自身が各社の立場を主張しようと思えば主張できるくらいに各社の意向は聞いたつもりでございます。しかし、この三社の意向というものはやはりおのおの自社の立場を固持いたしまして、どうしても全部を合わせますと、一升のますに二升の水を入れるがごとき結果になるということがきわめて明瞭になりました。そこで意向は十分聴取しましたけれ
ども、
一つの素案をつくりまして、
大臣の御決裁を得て
運輸省の方針としたわけでございます。この方針を各社の社長を呼びまして
大臣から
お話しいただいた、この過程におきましては、各社の意向を聞くというよりも、十分聞いたあとの結論を伝えたというような形にしたわけでございますが、その場合に
先ほど申しましたように
基本的には新設の会社をどうやって育成するか、既存の会社との調整をどうはかるか、またこれは長く皆さまからあるいはその他世論から批判されておりました国内における会社が多過ぎるのではないか、これをぜひ統合すべきであるという強い御主張が国会あるいは言論界で絶えず叫ばれてまいりましたので、
運輸省といたしましては、やはり将来の展望として今後はいわゆる小さな会社は大きな会社に合併していこう、しかし全部を
一つの民間会社に合併することはこれまた行き過ぎである。
日本の空を
一つの私的会社が独占するということは一また別個の弊害を伴うということで、ともかく全
日本空輸という基盤のしっかりした会社、それから
国内航空、これは基盤はまだしっかりしておらないが、これを幹線に入れて育成していく、そうして東亜
航空と中
日本航空は、従来から全
日本空輸との提携
関係がございますので、この間には、ある場合には営業上のいろいろな
関係、さらには場合によっては持ち株の
関係あるいは人事的な
関係というものがございます。きわめて密接な
関係がございましたので、これらを全日空と一緒にしていこう、そうして全日空は比較的経営基盤がしっかりしておるということ、これはもちろん比較的な問題でございます。そこでこれらの会社を全日空が合併した場合には、新たにこれに幹線を認めていこうという
考え方、もちろんこれは非常に厳格に何をしたらどうというところまで、もちろん当時方針はきめておらないで、ある程度の弾力的な
措置は当初から考えておったわけでございますが、幸いに中
日本航空と全日空との間の、合併ではございませんが、中
日本航空の路線の運営の問題を全日空に移譲するということが、ことしのたしか二月ごろだったと思いますが、
実現いたしまして、これは非常にけっこうなことであったと思います。中
日本という会社は
名古屋を中心とした会社でございますが、これが路線を拡大していくということも非常に困難でございますし、また他の会社との競合
関係、またそこにいわゆる
過当競争というものが起こるという弊害もあったわけでございますが、これを全日空が、いわば事実上の統合をやったということでございます。したがって、あと
負担の問題があるわけでございますが、これは全日空の
負担ということになりますので、新たに大阪-福岡間の幹線運営を認める、こういうことにした次第でございます。