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1965-03-24 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十四日(水曜日)    午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 大西 正男君 理事 進藤 一馬君    理事 關谷 勝利君 理事 田邉 國男君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       浦野 幸男君    小渕 恵三君       川野 芳滿君    佐々木義武君       壽原 正一君    田澤 吉郎君       西村 英一君    増田甲子七君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    山口丈太郎君       内海  清君    竹谷源太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  大久保武雄君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸事務官         (海運局長)  若狭 得治君         運輸事務官         (船員局長)  亀山 信郎君  委員外出席者         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  海運に関する件(オーナー対策に関する問題)      ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  海運に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。内海清君。
  3. 内海清

    内海(清)委員 私はきょうはオーナーの問題につきまして若干お尋ねいたしたいと思うのであります。御承知のように、海運再建整備の二法案が実施されましてから今日まで約一年になりますが、この間にいろいろな困難な問題もあったようでありますけれども、当事者の非常な努力と、さらにいろいろ行政指導等によりまして、これがだんだんと軌道に乗ってきておる。そうしてわが国海運が次第に好転のきざしが見えておりますのは、まことに喜ばしいことだと思うのであります。  ところが、この海運中核会社好転に比しまして、これと対照的に、むしろ不振におちいりつつあるのではないかというふうにさえ思われるのがオーナーの問題ではないか、こういうふうに思うのであります。政府は今日まで、この海運中核会社に対しましては、海運集約によります大幅な助成措置を講じられてきたのであります。ところが、せっかく非常に大きな犠牲を払いながら、集約に参加いたしましたこのオーナーに対して、再建整備助成には本腰がどうも入れられておらないのじゃないかというふうにうかがえるのであります。これはどういうふうなことであろうか。この点をひとつまずお伺い申し上げたいと思うのであります。
  4. 若狭得治

    若狭政府委員 御承知のように、海運再建整備法におきましては、中核会社系列会社専属会社という三つの企業の範疇をつくりまして、中核会社系列会社を資本支配する、同時に専属会社は五カ年以上の長期の用船契約中核会社または中核会社の支配する系列会社と締結するということによって、一つのグループをつくるという方式をとっているわけでございます。したがいまして、いま問題になっておりますオーナーはいわゆる専属会社でございますので、専属会社再建問題につきましては、その系列会社あるいは中核会社が直接用船契約をいたしておるわけでございますので、その用船契約を通じて再建整備を行なっていくというのが海運再建整備法の本筋でございます。したがいまして、われわれといたしましては、中核会社あるいはその専属会社の船を用船いたしております系列会社等の協力によって、どういうふうに再建整備をやっていくかということを今日まで見守ってまいったような状態でございます。単に用船関係だけではございませんで、債務保証関係もございますし、非常に密接な関係がございますので、そういう関係からいたしまして、オーナー再建というものを中核会社責任を持って処理していくというような方式をとったわけでございますので、その推移を見守っておったわけでございます。
  5. 内海清

    内海(清)委員 ただいまのお話しによりますと、おのおのの中核会社がその傘下におりますオーナーに対してこれの再建をはかることは、一つ責任でもあるというふうなお考え方のように思うのでありますが、現在各中核会社におきまして傘下オーナーつまり専属会社でございますか、あるいは系列会社というふうなものに対して、このオーナー再建によってどういうふうな方向に進んでおるか、この点をお伺いしたい。
  6. 若狭得治

    若狭政府委員 各中核会社におきまして、現在オーナー対策を検討いたしておるわけでございます。われわれは、一年間この推移を見守ってきたわけでございますけれどもオーナー再建というのは非常におくれておる状態でございますので、これを早急に方針を定めてやってまいりませんと、単に中核会社再建ということだけが先行いたしましても、日本海運全体の再建ということにはならないわけでございますので、そういう考え方から早急にオーナー対策を明確にしてもらいたいということを中核会社に通達をいたしまして、現在、各中核体におきましてオーナー対策を検討いたしておるわけでございます。  その内容につきましては、それぞれの専属会社によりまして非常に種々雑多ではございますけれども、たとえば、オーナーの数会社を強力な業務提携をさせまして、たとえば船員の配乗事務等を一元的に行なう、あるいは修繕等工務関係の仕事を一元的に行なうというようなことを考えておるところもございます。それからオーナー債務を肩がわりするというようなところもございますし、あるいはオーナーに対して相当巨額融資を行ないまして、延滞解消させるというような措置もとっておるところもございます。  全般的に考えまして、われわれの整備計画の目標といたしております償却不足解消ということにつきましては、おおむね今後のいろいろな社会情勢推移あるいは物価の上昇人件費上昇等考えましても、これを十分消化できるというような対策を各中核体ともとっておるようでございます。われわれは、さらにそれ以上に新造船をこのオーナーの新しい統合体が実施できまするようにするためには、現在非常に巨額にのぼっております金融機関に対する延滞解消というような問題までも解決していかないと、前向きの姿勢が取り得ないわけでございますので、そういう点について今後いろいろ努力をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  7. 内海清

    内海(清)委員 各中核体におきまして、傘下オーナーに対するいろいろな施策考えられているようですが、これらにつきまして順次お尋ねいたしたいと思うのであります。  ここでさらに、特にお尋ねしておきたいと思いますることは、政府部内においてオーナー不要論が出ておるようなことも聞くわけでございます。これは、大臣きょう御出席ではございませんが、運輸省当局としてはそういうことを聞かれたことがあるかどうか。そこで私はこのオーナー存在意義について運輸省としてはこの際態度をはっきりしておいていただくことが必要ではないかと思うのです。私どもは、これはあとからも申しますけれどもオーナー不要とは考えていないのであります。運輸省のそれに対する見解をはっきりお伺いしたいと思うのでございます。この点は大臣がおられませんので、ひとつ政務次官から伺いたい。
  8. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまお尋ねがございましたオーナー不要論という点につきましては、私どもはさよう考えておりません。オーナーオーナーなりの海運界に対する貢献の役割りは非常に大きいと考えております次第でございます。すなわち、現在の日本海運界において外国船をどれだけ用船しておるかと申しますと、実に百五十万トンの外国船用船をしておる。この外国船用船することによって支払っております外貨は、実に二千万ドルに達しております次第でございます。今日外貨を節約することが黒字基調国際収支をいたしますことの最も緊要なときにおきまして、二千万ドルの外貨を払って外国船用船しておるということは、逐次解消していくべき筋合いのものであろうと考えております。  それならばどうして解消するかと申しますならば、やはり日本が経済的な船を持つことでございまして、そのためにはオーナー存在意義というものは——オーナーは御承知のように非常に身軽な形で組織も持っておりまするし、いろいろ経済船をつくり出していくという上においての創意くふうにおいて、オーナーはきわめて自由な活動余地を持っておるのではなかろうかと考えておりますような次第でございます。さような経済船オーナーがつくり出していただくことによって、オーナーに対しまする計画造船あるいは外国用船に対する代替といったような面から御活動願います余地は非常に大きい、かように私は考えておるような次第でございます。
  9. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、運輸当局におきましては、オーナーについては、どうしても存在しなければならぬ、それでなければ今日のわが国国際収支の面その他から見て、これはどうしても必要なんだという御見解のようであります。私どもも天体同様に考えておるわけであります。ところが、オーナーの主要な四十六社の経営内容を見ましても、これは昨年の九月現在でありますが、借金の残高が六百七十七億、返済延滞金が三百十三億、そういうふうにも相なっておるのであります。そのオーナー経営状態はきわめて苦しいのであります。そういう状態から見ますならば、ここで政府の適切な施策がなくて放置されておるならば、今後だんだんとオーナーというものは衰退せざるを得ないのであります。せっかく非常な犠牲を払って集約に参加したけれども新造船もできないというふうなこと。これはだんだんと衰退の一途をたどらざるを得ないのであります。もしそういう姿になれば、これは中核体経営から考えましても、特にかなりの債務保証等もありまして、中核体経営にも重大な影響があるであろう、こういうふうに考えられるのであります。さらにオーナーがもし倒産ということになれば、ひいてはいろいろな社会問題も起こしかねないのであります。こういう点に対しまする御所見。  今日まで、オーナーに対しては、それぞれ中核体再建責任をとるべきだという基本的な考えからいって、それを座して待つという姿であるのか、それとも今後オーナーに対しては、やはり運輸省あたりで積極的に行政指導なり助成の方途を打ち出していくべきであるのかどうか、こういう点に対する御所見を伺いたい。
  10. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほども申し上げましたように、オーナー再建につきましては、中核体責任を持ってもらいたいというのが再建整備法の趣旨でございますけれども。昨年集約を実施いたしまして一年になるわけでございますが、いま先生の御指摘のとおり、オーナー経営内容というものは、今後の経費の上昇その他を考えます場合に非常に問題が多いわけでございますので、われわれといたしましては、この際オーナーの今後の再建見通しについて根本的に再検討するということで、各中核体からそれぞれの所属のオーナーについての今後の見通し計画をとりまして、現在検討をいたしているわけでございます。それによりましてオーナー再建させまして、それによって新造船も行なっていこうというのがわれわれの考え方でございます。  先ほどオーナーが必要であるかどうかというような御議論政府部内においてもあるんじゃないかというような御質問でございましたけれどもオーナーが必要ではないという議論は現在ございません。ただ、現在のオーナーを全部助ける必要はないじゃないか、きわめて少数の優秀なオーナーだけを存置すればいいじゃないかというような議論が相当強く行なわれていることは事実でございます。ただ、われわれといたしましては、整備計画を実施できるまでは、現在存在する会社につきましてはそれを認めていくというような考え方ではまいりますけれども、やはり前向きに問題を考えてまいりませんと、現在のままで五カ年間の助成期間を終わりまして、その後の見通しがつかないというような状態では、やはり巨額国家予算をいただいて再建いたしておるわけでございますから、それがやはり国民経済に直接役立つものでなければならぬというような考え方から、前向きに船をつくる——先ほど政務次官から御答弁がありましたように、国民経済に役立つような船舶をつくるというような考え方でこれを処理していきたいと考えているわけでございます。したがいまして、現在新船をつくるようになる条件というものはどういうものであるかという観点から、オーナー再建計画というものを検討いたしておるわけでございます。
  11. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、運輸当局におきましては、オーナーを前向きの姿勢で育成していく、中核会社が当然その責に当たるべきであるけれども運輸省としてもどれをひとつ前向きの方向に進めていくというお考えのようでありますが、これは先ほど局長からもお話がありましたように、海運二法の適用によりまして、わが国海運再建整備ということは、わが国海運全体の再建整備を企図したもの、すなわちオーナーを含めてわが国海運全体を再建整備するということであると思うのであります。ところが、このオーナーであって、再建整備二法によりまして集約に参加してすでに法に定めた再建整備計画を出したものもあるはずであります。これがわれわれは二十数社あると聞いておりますが、これらに対してもさらにオーナーのほうではかなり強い希望があるようでありますけれども、今日まで一向に計画造船などに参加できるような体制になっておらぬ。この点はいかがでございますか。
  12. 若狭得治

    若狭政府委員 現在、整備計画を提出いたしておりますいわゆる専属会社は二十社あるわけでございます。そのうち昨年から本年にかけまして新造船を行なったも一のは四社ないし五社程度あると思います。これはいずれも中核体が非常に協力いたしまして、連帯債務あるいはその債務保証というようなこと、あるいは共有というような方針によりまして、中核体が協力して造船を行なうというような方式をとっておるわけでございます。それ以外の大部分の専属会社につきましては、現在までのところ新造船を行なうというような話は出ておりませんけれども実態的に申しますと、先ほど延滞金の額を先生はおっしゃいましたけれども、非常に巨額延滞をかかえているというような状態で、経営内容は非常に悪いということでございますので、金融機関といたしましては、これを融資の対象として考えることについて非常に無理があります。御承知のように、現在の新造船は船型がだんだん大型化してまいりまして、融資の額は非常に大きなものになってくるわけでございますので、そういう意味におきまして、たとえば償却前利益が足りないとか、あるいは担保力が問題であるとかいうようないろいろな障害がございまして、現在新造船ができないという状態でございます。したがいまして、われわれといたしましては、一つには、やはり企業規模をもう少し大きくしなければならぬし、それから延滞金をもっと解消してできるだけ健全な姿にしなければならぬというような点で、現在計画を検討いたしておるわけであります。
  13. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、オーナーですでに中核会社共有の形で多少新造をやったところもあるということでありますが、結局現在のオーナーには、なお償却不足解消であるとか、延滞解消とかいうふうなことは十分行なわれてなくて、まだその体制にないということに落ちつくようであります。しかしこれらに対しましても、各中核会社にこれをまかせておいてその責任においてやるというのではなしに——もちろん運輸当局がこれを前向きで解決したい、育成していきたいという意欲はあるようでありますけれども、もっと積極的にこれを行なうべきではないか。実はきょう造船関係を要求しておりましたが、連絡不十分だったようで出てきておられないようでありますから、いずれまたこれは伺いたいと思いますが、いずれにいたしましても、新船を建造しないでオーナー再建ということはきわめてむずかしい問題だと考えるのであります。そういうことで、もちろんオーナー体制を急速に整備しなければなりませんし、この計画造船を割り当てるべきであるというふうに考えておるのであります。特に二十一次、百五十万トンあるわけでありまして、これらのワク内で配慮すべきではないかと考えるのでありますが、その点につきましてのお考えをお伺いいたしたいと思います。
  14. 若狭得治

    若狭政府委員 御承知のように、計画造船は、現在開発銀行からの融資によって行なっておるわけでございますけれども、この船種の決定ということにつきましては全く金融ベースにまかせておるわけでございます。運輸省といたしまして、開発銀行金融ベースに注文をつけると申しますか、条件をつけますのは定期航路関係のいわゆる定期船だけでございます。その他はすべて金融ベースによってこれを処理していただこうということになっておるわけでございます。巨額財政資金を出しておりますけれども、これは輸出入銀行融資と全く同様な取り扱いをしていただくということがわれわれの政策でございますし、長い間運輸省が主張してまいりました問題でございますので、根本的にどういう人に検討させるかということについて運輸省としてワクを定めるというようなことは考えてもいいのでございますけれども、どの船舶をどの船会社に割り当てるというような問題については、やはり従来どおり金融べースを守ってまいりたいと考えておるわけでございます。問題は、やはりそのオーナー自身企業体質というものが金融ベースに乗り得るものにするということが先決問題でございますので、そういう努力を現在行なっておるわけでございます。
  15. 内海清

    内海(清)委員 なるほどいまのお話もわかるわけであります。定期船以外は全く金融機関にまかしているということでありますけれども運輸省といたしましては、このオーナー再建についても、十分なる責任があるわけであります。したがって、この金融機関に対する干渉ということよりも、むしろこうあるべきではないかという運輸省考え方というものを金融機関にも十分理解さすべきである。金融機関から申しますならば、とかくこれは安全な道を選ぶことは当然であります。しかしそのことのみによって、この国策と申しますか、運輸省考えていることがここに実現はむずかしいというようなことがあってはならぬと思うのです。ことに海運事業においては、十分運輸省の意を体して、そしてわが国全体の海運再建ということに方向が向いていかなければならぬと思うのです。したがって、今後におきましては、いままでのような金融機関にまかせ切りというようなことでは相ならぬ。オーナーの問題は、今後解決になかなか時間がかかるというということでありますが、どうしても運輸省が十分この後も金融機関とも話をして、運輸省方針というものを理解させて、そのほうに向かわせるということが、いまのお話を聞きますと、非常に重要なことではないかと思うのであります。その点に対する御所見をひとつ……。
  16. 若狭得治

    若狭政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましては、せっかく国の補助を行なって再建いたしておるわけでございますので、これをさらに今後の経済発展に即応するような体制まで持っていこう。そのためには、現状のままでは金融ベースに乗りにくいものでも、やはり将来の計画をつくって、それに到達するように指導していこうということを考えておるわけでございます。そういうような点につきましては、多少金融機関運輸省との間では、見解の相違はあると考えておりますけれども、われわれといたしましては、これを先生のおっしゃるようにできるだけ企業体質を強化させまして、金融ベースに乗せていこうということを考えておる次第でございます。先生のおっしゃるとおりに考えております。
  17. 内海清

    内海(清)委員 その点につきましては、いまの御所見を拝聴しまして、今後十分ひとつこれを進めていただきたいと思うのでありまして、どうも運輸省のいまこういう方針があるが、なかなか金融機関運輸省の意のあるところをくみ取らないで、みずからのやすき道にどうも一進みやすいという従来の傾向があるようでありますので、先ほど来申し上げましたこのことにつきましても、今後十分に運輸当局としても御配慮願いたい、こういうふうに思うのであります。  次に、先ほど次官からもお話がございましたが、今日わが国計画造船で、本年度は特に百五十万トンというふうなことで、この船腹の増強ということ、これは非常に進んでおるわけでありますけれども、なおわが国船会社でもって外国から用船しておるのが、次官の御説明では百五十万トンでありますか、私どもは百八十万トンぐらいあるのじゃないかというふうに承知しておったのでありますが、これはどういうふうなクラスの船が多いのか、大型かあるいは中型かというふうなこと、これは次官の御意見もありましたように、これはひとつ日本船に切りかえる方策を考えるべきではないか、こう思うのであります。この点についての御所見をいま一度お伺いいたします。
  18. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど政務次官からお話のございましたのはバルクキャリア用船実態でございまして、われわれがオーナーに現在つくらせたいと申し上げておりますのは、やはりそのバルクキャリアでございます。バルクキャリア用船実態は、大体一万トンクラスが一番多いわけでございます。しかし最近はだんだん大きいものができてまいりまして、三万トンないし四万トンの船舶用船されておるような状態でございます。これを日本船に置きかえるということは、昨年末海運造船合理化審議会の答申がございまして、できるだけ日本船に代替するようにという御意見があったわけでございます。しかし現実に、今日までのところなかなかそれが進捗しておらないというのが実情でございます。  その原因は、やはり船員費の面でなかなか外船に対抗できないという状態でございまして、具体的に申しますと、一万トンクラス船舶でございますと、トン当たり三十セント程度の差額があるというのが実情でございます。したがいまして、それを何らかの方法によって合理化していかないことには、経済ベース外国船日本船に代替するという計画が進捗しないというのが実情でございます。そういう点を現在われわれとしては真剣に検討いたしております。
  19. 内海清

    内海(清)委員 これは計画造船でこれらの外国用船邦船に切りかえるということ、これは現在進行中の計画造船の姿を見ますと、なかなかむずかしいようにも考えられるのでございますが、現在の計画造船で建造されておる船は大体五万トンないし十万トン、いわゆる大型船が主になっておるようであります。外国用船は、いまお話しのような大体一万トンクラスバルクキャリアで一番多いという、しかしこれもだんだん大型化しておるというお話でありますけれども、いわば中型船と申しますか、そういうふうなものがなお多いのじゃないかと思うのであります。でありますから、この政府計画造船にこういうクラスの船を、現在の計画造船ワクの中に特に設定して、こういう船をオーナーに割り当てていく、こういう積極的な施策が打ち出されなければなかなかむずかしいのじゃなかろうかと考えるのであります。現在の計画造船の姿では、オーナーにおきます計画造船に参加して再建するという、そういう方法でもとらなければなかなか進まぬのではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。  同時に、そういうふうにしていかない以上は、これまた百五十万ないし百八十万トン程度外国用船というものはなかなか邦船に切りかえられぬのではなかろうかというふうに思うのであります。もちろん、いま局長お話しになりましたようなこれにはいろいろな隘路がございましょう。しかし、そういうふうなものをひとつ政府施策によってできるだけ早くこれをやはり解決していって、そうして進んでいかなければならぬのではなかろうかというふうに考えるのであります。その点に対しますお考えをお伺いしておきたい。
  20. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど外国用船実態を申し上げましたけれども、このうちで長期に日本の船主が用船しておるものは大体百万重量トン程度でございますが、一応五カ年間の目標を置きまして、毎年二十万トン程度を代替していこうということをわれわれとしては昨年から考えておるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、具体的に申しますと、香港の船主等と経費の面でなかなか対抗できないというようなことがございますので、やはり先ほどから申し上げておりますように、オーナーの体質を改善することによってもっと合理的な船の改造等が行なわれるようになれば十分香港の船主等とも一対抗できるのじゃなかろうか。ことに乗組員の定数等も最近非常に減少してまいっておりますし、高能率にしてこれを処置するということになれば十分対抗できる。そういう条件ができました場合には、われわれとしては計画造船の中でも、できるだけ優先的にこれを取り上げて運輸省としては措置してまいりたいと考えております。
  21. 内海清

    内海(清)委員 もちろんオーナーの体質改善ということが一つの前提条件でもあるのでありますが、これはオーナーが体質改善されればということではなしに、やはり運輸当局としては改善する方向にあらゆる施策をとらなければならぬということである。そういう体質に変わってくればという前提は私どもとしてはなかなか受け取りにくい。先ほど来もいろいろ申し述べられましたが、こういうふうにして体質改善の方法を今後強力に進めて、これを進めていただかなければならぬ。この点は、わが国海運全体の再建、特にオーナー再建というものは焦眉の問題であると思う。この点につきましては、私は強く要望しておきたいと思うのであります。  いまオーナーが持っております船は、これは七〇%程度は船齢がすでに五年以上たっておる。すなわち新造船と競争できぬいわゆる老朽船並びに不経済船が多いのであります。そういう船がいまどのくらいあるのか、この点をここでお伺いしておきたいと思う。
  22. 若狭得治

    若狭政府委員 われわれは、計画造船とは別でございますけれども、いわゆる不経済船対策というのを推進いたしておるわけでございます。金額は財政資金、年間わずか十億でございますけれども、これは税法上の耐用年数の超過した船舶を逐次財政資金によって代替するという計画でございます。この主体といたしましては、オーナーを主体にいたしておりまして、中核会社はむしろこれを辞退させるということで現在二カ年目を迎えておるわけでございます。  この対象になる船は、タンカーが約五十万トン程度、それから定期船その他不定期等の貨物船が約四十万総トン程度あるわけでございます。これらのうち、タンカーにつきましてはこれを改造いたしましてバルクキャリアにいたしましたり、あるいはもっと大きな船にするというようなことをやっております。改造資金を融資いたしております。それから貨物船につきましては、たとえばラワン材等の新造船をつくるということで毎年六隻程度のリプレースを考えているわけでございます。ただ、現在各船とも全部就航いたしておりまして、それぞれ荷物を持って動いておりますので、なかなか一挙にこれを解消するということはできないという状態でございまして、むしろ現在の不経済船対策内容が金利の面から見ましても六分五厘でございまして、融資の比率から見ましても五割という状態でございます。他の計画造船に比べまして非常に不利であるというような面もあると思いますけれども、根本的にやはり日本船舶は全体的に不足いたしておりますので、こういうリプレース政策というものはなかなか進みにくいというのが実情でございます。
  23. 内海清

    内海(清)委員 不経済船対策としてはいろいろ、いま九十万トンばかりのものに対して考えておられるようでありますが、これが現在荷物を持ってそれぞれ動いているから非常にやりにくいということでありますけれども、この点はひとつ行政指導によって十分これと取り組んでいかなければどうにもならぬ問題だと私は思う。荷があるからいつまでもできないということは相ならぬと思いますが、そのことも同時にオーナーがだんだんと衰退していく姿をたどる道であります。この点はひとつ十分なる行政指導をして、老朽船なり不経済船というものを解消していくということでなければならぬと思う。予算は大体十億でありますが、これではたしてどのくらいかかって、これが進んでいくか、その辺のところはいかがでございますか。
  24. 若狭得治

    若狭政府委員 われわれといたしましては、一応代替建造の希望のあるものを調査いたしまして、これを五カ年間で整理していこうということを考えているわけでございます。本年度は第二年度目に当たるわけでございますので、なおあと三カ年の期間がございます。ただ先ほど申し上げましたように、融資条件の問題あるいは船腹の絶対的な不足の問題等によってなかなかスムーズにいかないという面があるということでございます。
  25. 内海清

    内海(清)委員 いまの五カ年間でこれを大体解消しようということでありますが、現在の進行の状況で五年間で解消できますか。
  26. 若狭得治

    若狭政府委員 現在の資金は御承知のようにわずか十億というものでございますので、現状のままでまいりますと、なかなか五年間で解消しないというのが実情でございます。ただ問題は先ほど申しておりますように、大体その資金を用意した程度しか出てこないという実情でございますので、これが終わりましても老朽船の問題は残っていくわけでございます。したがいまして、現在非常に希望が多いのに資金が足りないという状況ではむしろないので、そういう不経済船対策というものの条件が必ずしもよくないためにあまり出てこない。したがって、不経済船対策の目的といたしておりますところの不経済船の整理というものが思うように進捗していないというのが実情かと思います。
  27. 内海清

    内海(清)委員 不経済船対策に対する条件がよくないから希望が少ないということ、この条件については当然あなたのほうで考えられるべきであって、政府施策が弱いということであると思う。ですから、それで出てこなければそのままで今後いって五年たっても解消できぬということではないか、この点は十分お考えいただかなければならないのではないかと思います。その点いかがですか。
  28. 大久保武雄

    大久保政府委員 御指摘のとおり、ただいま局長も申し上げましたとおり、融資条件等においてまだ私どもの満足する状態まで到達しておりません。この点は、私どもといたしましても、海運再建整備一つの残された問題ともいわれると思いますので、今後引き続いてこの面に対しまして強力なる努力をいたしまして、オーナーの持っておりまする不経済船の代替によって、すみやかに外国用船日本船との切りかえができますように今後とも努力していきたいと考えております。
  29. 内海清

    内海(清)委員 今後努力するということでありますが、これは早急に努力していただかなければいかぬ問題だと思います。これがさらに一年過ぎ、二年過ぎておる間に、オーナーというものはだんだん衰退の一途をたどらざるを得ないというのが現状であると思います。この点はもう緊急な問題として今後十分あらゆる努力を傾注して取り組んでいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  そこでオーナーのこういうふうな問題に対して、これは早急にひとつそういうことが必要なんで、これをやるためにいわゆるスクラップ・アンド・ビルドというものを、こういう面にひとつ考えていったらどうかということを思うのですが、この点に対するお考え方はいかがですか。
  30. 若狭得治

    若狭政府委員 スクラップ・アンド・ビルドという政策を現在やっているわけでございますけれども先生の御質問の御趣旨はどういうことでございましょうか。
  31. 内海清

    内海(清)委員 これは現在計画造船では行なわれておらぬわけですな。だから計画造船ワクの中でオーナーに対するいわゆる外国用船にかわるような一定のワクを設けて、そういうオーナーに関してはひとつこのスクラップ・アンド・ビルドの問題を特別な一つ施策といたしまして考えられるのじゃなかろうか、そういう意味です。
  32. 若狭得治

    若狭政府委員 実はわれわれといたしましても、計画造船の中でこういう不経済船対策というものを処理していきたいということを考えまして、大蔵省とも折衝して今日まで至っておるわけでございます。しかし、問題はやはり先ほどから申し上げておりますように、計画造船というものをできるだけ金融ベースで処理するというような考え方からまいりますと、オーナーの体質が金融ベースに乗りにくいというような問題がございます。そういう意味におきまして、計画造船考え方というものを多少変えてまいりませんと、これがうまくはまってこないというような問題があるわけでございます。われわれとしてもちろんこれを計画造船の中で処理していくということができるようになれば、先ほど申し上げましたような不経済船対策としての現在の不十分な点が除去されますので、今後はむしろそういう方向努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。オナーの体質改善が先決問題でございますけれども、それを現在いろいろ指導いたしておりますので、その成案ができましたならば、今後計画造船の中でそういう問題を処理するようにわれわれとしてはできるだけ努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
  33. 内海清

    内海(清)委員 いま私の申しましたスクラップ・アンド・ビルドというのは、これは現在計画造船の中にございませんで、これを考えるということはオーナーに対する一つの優遇措置であり、特別なケースだと思うのであります。こういうふうなものが取り入れられていくならば、さらにオーナー再建ということもある程度緒につくのではなかろうかというふうな考えを持つわけであります。そのほか、計画造船に参加し、さらに今日のオーナー再建についてのお考えがあれば、お示しいただきたいと思うのであります。なるほど今日の計画造船はいわゆる商業ベースで行なわれておるのでありますけれども、ただ、このままでいったのではオーナーがなかなか新造もできないであろうし、同時に老朽船、不経済船対策も進んでいかぬということでありますから、何か特別のことをここで考えなければならぬのじゃないかというふうに思うのです。いかがでございましょうか。
  34. 若狭得治

    若狭政府委員 現在のオーナーの問題というのは、いわゆるスエズ・ブームの当時につくりました非常に高い船価の船を多数持っておるということでございます。またタンカー等につきましても、いわゆる標準型と申しまして、二万ないし三万トン程度の、当時としては非常に新鋭でございましたけれども、今日の十万トン程度のタンカーが出現しているという状態では、非常に不経済になってしまったというようなものを持っておるというところもございます。しかし、大部分のものはいわゆる高船価船というものをスエズ・ブーム当時多数つくっておる。当時政府といたしましても、やはり計画造船でも相当の財政資金をつぎ込んでやりましたし、当時としては非常に大きい八十万トン程度の船を一度に建造しているというのが実情でございまして、そういうものをかかえておりますので、これを処理することが結局日本海運再建の一番大きな眼目であるということを考えておったわけでございます。ところが、いろいろ再建を進めてまいりますと、そういう高船価船の問題はオーナーの資産処分なり、原資なり、あるいは中核体の協力なりということによって、おおよそ整備計画に乗り得る最小限度のめどだけは現在ついているわけでございます。さらにもう一度これの対策考えるということは、われわれとしては不可能ではないか、むしろ不経済船のリプレースの問題として今後処理していくということが適当ではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、オーナー再建問題をいろいろ検討いたしてまいりましたけれども、結局新造船の有利なものをつくらせるということが体質改善の一番早道であるというように考えまして、結局新造船をやらせる条件というものは一体どういうものであるかということで、現在検討を進めておるわけで、むしろ前向きにこれを触決していくのが日本海運全体としても有利だというように考えておるわけでございます。
  35. 内海清

    内海(清)委員 いろいろお考えがあるようでありまするが、いま政府は最善と考えた点をやっておるということで、これはもちろんけっこうであると思いますが、先ほど来私の申し上げましたものは、私ども考えまして、現在の姿からいえばなかなか進まないからこれも一つの姿ではないか、方法ではないかということも考えたわけでありまして、これらの点につきましても今後十分ひとつ御検討をいただきたい、かように考えるのであります。  それからさらに、オーナー再建整備で必要な点は、どうしてもオーナーとしても集約化の方向に向かわざるを得ぬのじゃないかということでございます。このオーナーの理想的な一定の経営規模と申しますか、こういうようなものも考えられると思うのでありますが、この船腹量あるいは船員の数、こういうふうなもので集約するといたしまして、一番理想的な経営規模というのはどの程度のものか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。
  36. 若狭得治

    若狭政府委員 オーナーの適正経営規模はどういうものであるかという御質問でありまするけれども、御承知のように、オーナーは船を一ぱい持っておって、もう十分これでやっていくというのがオーナーの本来の姿でございます。外国におきましてもそういうものが非常に多いわけでございます。ただ先ほど申しましたように、問題は外国用船の代替を行なうといたしましても、結局コストが一番問題になるわけでございますので、そのコストをいかに低下させるかということで、いろいろ検討してまいりますと、やはり店費の面につきましても、ある程度集約を行なわないとこれが低下しない。それから船員費の面、これが一番大きいと思いますけれども、これもある程度の人数がございませんと、予備員の問題等から見まして、非常にコスト的に見て有利な配乗というものはできないということがいえるかと思います。そういう点につきまして、現在各中核会社あるいはオーナー各社において検討が進められていると思いますけれども、ある程度集約を実施することによって船員費の面でできるだけの効率的な運用をはかるということがやはり集約の目的になると思いますが、どの程度のものかという点になりますと、やはり船員が中心でございますので、むしろそのほうの専門家からお聞きいただいたらいいのじゃないかと思います。
  37. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 船員の雇用の規模からみて、最も適当な規模はどのくらいであるかというお尋ねかと思うのでございますが、いま海運局長が申し上げましたように、オーナーは必ずしも自社船員を保有しなければならないというふうなものでありませんので、自社船員を所有しないオーナーの場合には、船員の面からは適正規模という考え方が出てこないわけでございます。どうしても船員を保有するという場合につきまして、一応われわれがめどといたしますのは、現在の雇用形態のもとでは予備員を持たなければならない。外国におけるように、いわゆるペイ・オフ・システム——乗っている間だけ雇われておって、降りたら別のオーナーなり何なりに参るという形態をとらない限り、予備員を会社で保有しなければならない。この予備員は有給休暇、あるいはどうしても起こる病気、あるいはさらに上級の免状をとるための学習の機会というふうなこと等で一定数の予備員は必要なわけでございます。しかしながら、こういう予備員は非常に船の数が少ない場合に当然乗組員に対する予備率は高くならなければならない。そこで、どうしてもある規模以上にならないと、適正な、必要な予備員率以上のものになってしまう。  現在外航関係会社につきましてわれわれが試算したところによりますと、適正な予備員率は職員については大体二二ないし二四%、部員につきましては一七ないし一九%程度は要るのではないかというふうに考えております。これは中核体のような大きな規模のものであっても、この程度は必要ではないか。ただし、これは保有いたします船舶の種類と申しますか、によって相当変わってくると思います。と申し上げますのは、世界一周をするような定期航路あるいは近回りのラワン材を運ぶ船あるいはペルシャ湾に参りますタンカーというふうに、種類の違う船を持っておる場合、あるいは種類の比較的単純な場合等によって、この必要予備員率というものは変わってまいります。いずれにいたしましても、現在の中核体程度の形で船舶を運航します場合には、先ほど申し上げましたようなパーセンテージの予備員率の保有が、有給休暇、病気そういうものに備えるために必要である。そこで、これらの予備員率を達成する、この程度にまで予備員率を下げるための船体の規模はどのくらいかということが問題になるわけでございますが、これもいま申し上げましたように、その船が近回りの船である場合には、日本へ入港する機会が非常に数多くなりますから、これは少なくて済む。それから遠方へ行って日本へ帰ってくる機会が少ない。つまり船員の交代が行なわれる機会が三月に一度とか四月に一度というふうな場合には、どうしても予備員率が多くなるというふうなことでございますが、現状から見ますと、非常にラフな計算でございますが、十隻ないし十二隻というところがないと、いまいった予備員率、職員について二二ないし二四、部員について一七ないし一九%という、これは規模が大きくなっても必要になる最低の予備員率を可能ならしめる規模で、いま申し上げましたように船の種類、航路によって異なりますけれども、大体十隻ないし十二隻程度というふうに私ども考えております。
  38. 内海清

    内海(清)委員 いま船員局長からお答けいただきましたが、船の種類あるいは航路によっていろいろ違うということでありますが、十隻ないし十二隻というのは船員数でいったら大体どのくらいになりますか。
  39. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 大体予備員を含めまして五百名というふうに考えております。
  40. 内海清

    内海(清)委員 オーナーたちの集約化の方向としては、まず船員状態考えなければならぬということでありまするが、オーナーというものは、大体昔は一ぱい船主というふうにわれわれ考えておったのですが、いまはそういう姿のみでございませんけれども、そういうところにやはりいろいろ問題があると思うのであります。したがって船腹等におきましてもある程度一定の規模を持つということが経営上ほんとうに必要なんではないかというふうに考えるのであります。  その点についてのもう少し詳しい御所見があれば承りたいと思いますが、現在では船と船員を一緒にして橋渡しをしておるわけですね。ところが、オーナーの現在の経営状態からいうと、労務管理なんというむずかしい問題に当面して、しかも、船員の労働条件というふうなもの、これもまたオーナーの力が足らぬということでなかなか改善されぬといういろいろな問題を残しておると思うのであります。どうしてもこれらを解決していかなければ、オーナーの船に乗る船員の希望者がだんだんなくなってくるのであろう。またオーナーの存立もそういう面からむずかしくなってくるというふうに思うのであります。現在では過去におきますいろいろな因縁があります。人のつながりその他があるからまだいいとしても。これがだんだんと集約が進んでいき、さらに中核会社なりの再建が進みまして経営基盤が強固になれば、個々のオーナーとのそういう面の問題が起きてくる。これは予想しなければならぬと思うのであります。  そこで、この船員の面につきましても、オーナーは船だけ持って、船員はすべて中核会社集約したらどうだろう、そういう考え方はできぬものかどうかということですが、その点についておお伺いいたしたい。
  41. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 ただいま仰せの方策は確かに一つの方策であろうと思います。現在のところ、オーナー船員の賃金、待遇、それと中核体といわれる大きな会社の賃金、待遇には当然の差があるわけでございます。これは中核体会社が、大きな会社として、定期航路の会社のような場合には、船員の質の面でも、不定期あるいは木材専用船というようなところよりも質のいい船員を採っておるという歴史と沿革、また実際の必要から見て、ある程度の格差が存在することはやむを得ないと申しますか、当然であろうかというふうにも考えます。こういうふうに、賃金その他の待遇において格差のある船員一つの雇用の規模の中にまとめるということにつきましては、現在、中核体船員のほうでも感情的な問題もございまして、必ずしもそれに賛成はしない。これは経済的な理由あるいは技術的な理由だけで船員に移籍を行なうということは、私は直ちには困難であろうし、やはり働く人の感情というふうなものは考えていかなければならないというふうに考えております。しかしある中核会社におきましては、傘下オーナー船員を一社に全部まとめる、これはオーナーの幾つかある専属会社船員を一社に集中するというやり方で、ただいま申し上げました相当の雇用規模を保持して配乗を円滑ならしめるというふうな方策をとっておる。これも一つの前向きな考え方ではないか。またオーナー相互間で合併に近いような強固な業務提携をやりまして、船員の配乗管理というようなことは数社のオーナーが合体して一手にやっていく、質的にはやや似かよった船員一つにまとめて配乗管理をする、こういうことをすることによりまして、名目上の会社の数がございましても、経済的な雇用規模を達成するというふうな方策もとられつつあるのであります。私どもは、こういう問題はいま申し上げましたような方法を通じて漸進的に進んでいくのが一番いい方法ではないかというふうに考えております。
  42. 内海清

    内海(清)委員 現在においては、あるいはこの中核体でこれを集約することが非常にむずかしいという考え方でありますが、もちろんこれは一挙にやれるということでもないわけであります。したがって、この中核体ならば、船員も多いし、多くの航路を持っており、最も船員の融通のきく形態であると思うのです。したがって、船員費につきましても合理的な経営ができ、管理ができていくということにも相なると思うのでありますが、しかし現状においてこれがいろいろむずかしいというならば、いま、お話しのような列系会社あるいは専属会社というものにおいて最も適正な規模に船員集約して、そして業務管理を行ない、これを経済的に運営していく、これは必要なことだと思うのであります。しかし、これがだんだん進んできますと、技術的な面も船員の中にいろいろありましょうけれども、確かに経済的な、賃金などの面においては格差はだんだん縮まってきておるということ、これは今日日本の労働市場からいえば陸も海も変わりないと思うのです。だからそういう点を勘案して、漸進的にでもやはり少なくとも船員集約ということは、段階を経ようとも、私は進めていくべきじゃないかというふうに考えるわけであります。この点についていま一度御所見をお伺いしておきたいと思います。
  43. 亀山信郎

    ○亀山政府委員 船員を一定規模以上にまとめていく、そういうことが船員費の面でもあるいは配乗管理の面でも合理的にいくということは、まことに仰せのとおりでございますが、他方また、先ほど海運局長から御説明がございましたように、現在外国用船をしております船の大部分と申しますものは、バルクキャリヤとか、前で言えば不定期船という中型クラスの船でございますが、これらの船員費というのは、外国船、特に香港に置籍するような、いわゆる香港チャイニーズといわれる低賃金のものを使う船の競争にさらされて、船員費の面で日本の場合は競争力が小さいということでございます。したがいまして、これらを一挙に世界的なライナーを持つような船の船員と同等にいたしますと、はたして今後オトナーが果たすべき役割りであるところの中型の船の船員費が安くなるかどうかという点につきましては、必ずしもそうはならないのでございます。オーナーとしての中核体に比べれば規模は小さいが、行き届いた労務管理をするということと、また大きな伝統のある会社ですと、船員が昇進していくのに時間がかかるが、オーナーと申しますか、そういう中規模会社に行けば昇進の機会が多くなる——現在はむしろ逆でございますけれども、そういうふうなプロモーションの面も中核体とは異なる方法考えていくということにするならば、こういう面からも、船員費は、中核体の場合よりもオーナーのほうが安いのだということが可能になるのではないか。私どもは、やはり少なくとも船員を補充していくオーナー船員費の面で大会社に比べて優位に立ち得るというところが一つの積極的な存在意義になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。仰せのとおり、今後の労働力の不足、現在のところ、学校を卒業した方は、ほとんど中核会社クラスしか希望いたしておりません。オーナーに参る船員はほとんどございません。これはオーナーだからというわけではございません。オーナーには、いままでのところ、新船はつくれないというようなことや将来の発展性ということからくるのでありまして、いろいろな施策を講じてオーナー新船を持っていくということになれば、オーナーにおいても新規の船員を雇用する力が出てくるのではないか、かように考えておる次第であります。
  44. 内海清

    内海(清)委員 いろいろお話がございましたが、いずれにいたしましても、いまはオーナー再建途上であり、いわゆる一つの過渡期でございます。したがって、過渡期にしても、もちろん過渡期に最も適合した方法考えて、一日も早くこのオーナー再建ができるように考えていかなければならぬということは当然でございます。しかし私のさっき申し上げましたのは、今後オーナー再建され中核体も十分再建整備ができて後はそういう姿になるべきではなかろうかというような一つ考え方でございますので、これは今後さらにひとつ御研究いただきたいと強く要望いたすわけです。  もちろん、現在のオーナー再建途上におきましては、いろいろ問題はございましょう。でありますから、そういうたとえば香港籍の船あたりと競争するためには、現在のオーナーだけでまとめていくほうが競争力ができるかもしれない。しかし船員の需給の問題その他から考えまして、将来はだんだんそうなっていく。ことに新造ができて、オーナー方面にもやはり技術的にもその他にもすぐれた船員が必要であるということになるならば、現在のオーナー中核体の比較だけではこれまた困難になるわけで、両面相考えまして今後進めていただきたい、こういうふうに強く要望しておきたいと思います。  時間がかなり過ぎましたので、きょうはこれで終わりたいと思いますが、いずれこのオーナーの問題は今後残された非常に重要な問題でございます。さらに時期を見ましていろいろ御質問いたしたいと思いますが、結局オーナーが当面いたしますいろいろな問題、これについては海運再建整備の基本的な国の施策にのっとって、いままで述べられましたようないろいろな問題があるわけでございますから、これを早急に処置をしていただかなければならぬ、こういう問題だと思います。政府オーナーに対する基本的な施策方向をこの際もう一度次官から明らかにしていただきまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
  45. 大久保武雄

    大久保政府委員 今朝来御質問がありましたように、オーナーの問題はきわめて重要な問題でございまして、またオーナー日本海運をかつて長年にわたってささえてこられました方々であります。こういう方々の将来のあり方というものに対して国が施策を講じていきますことは当然でございますし、また今日海運再建整備の残された一つの重要課題であろうと私たちは考えておるような次第でありますので、先ほど来御答弁申し上げましたような諸施策を一そう私どもも推進をいたしまして御期待に沿いたいと考えております。
  46. 長谷川峻

    長谷川委員長 関連して關谷勝利君。
  47. 關谷勝利

    ○關谷委員 このオーナー対策、不経済船対策というものは一昨年の再建整備をやりました際に一応あの再建整備の方策を打ち立てて、そのあとでこれをやるべきだということになっておったのが、そのままになっておるのであります。これは政府といたしましてももう少し積極的に取り組んで、こうあるべきだという姿を打ち出して、来年度の予算要求あたりの際にはそれをはっきりとした線を出すべきである、こう思いますので、ひとつそういうふうな積極的な案を出していただきたいということをお願いをいたしておきます。  かつて臨時船質改善の対策をやったことがありますが、ああいうふうな方向でやっていけば私はできるのではないかという気がいたしますので、積極的に取り組んでいただきたいと思います。それができるまでの緊急な措置としては、私これもまたもう少し海運局が積極的に取り組まなければならぬのではないかと思いますが、オーナー対策といたしましては、いまのままの中でやるといたしましたならば、有利な船をオーナー新造を割り当ててやるということ以外にはないのであろうと私は思います。計画造船が百五十万トンかりやるといたしましたならば、その中の十五万トンはこれはオーナー対策ワクだというふうなものをこしらえてやれば、おのずから、そのワクがあるということでそれぞれの荷主なりオペレーターと相談をいたしまして、有利な船をつくりたいという申し入れが出てくるはずであります。政府が積極的にそのワクをつくってやるということが、私はいまの焦眉の問題ではなかろうかという気がいたしますので、積極的にそのワクをつくって、そのワク内では計画造船として割り当てをしてやるのだ、オーナー対策に使うのだということにしなければならないと思います。  先ほどから内海委員とのいろいろ質疑応答をいたしておりますのを聞いておりますと、海運局といたしましての積極性というものが何も見受けられないというふうな気持ちがいたします。中核体オーナー対策をやらすのだというふうなことで、そこで一つ逃げております。またもう一つは、開銀の金融ベースに乗るように、これは開銀のほうにまかしておるのだというふうなことで逃げておる、二カ所で逃げておるのでありますが、政府が積極的にワクをつくれ、ワクをつくって、そのワク内においてはオーナー対策として新造船を認めるということになりますならば、中核体からも出てくるはずであります。こういう船をオーナーにつくらしてやったらいいということで出てくるはずでありますし、その中には開銀ベースに乗ってくるものもできてくるというふうに私は考えております。ワクをきめてないから、そのために、オーナーといたしましては有利な船を自分でつくりたい、中核体といたしましては有利な船をつくりたい、配当を早くしたいという考えがあっても、オーナー対策のようなものは考えていないのだ、運輸省考えてないのじゃないかというのが、いまの中核体考えであると思います。私は、オーナー対策といたしましては、ワクを十五万トンでも十万トンでも、年々これを設けるということ、これがオーナー対策のいまの差し迫った問題としてあるのではないかと思う。これをやることによって、オーナー対策は幾分緩和することができる。そしてそういうふうなことで進めておきながら、これからまたもう少し進んだ方法としまして、かつての臨時船質改善対策というような、あの方法で来年度の予算を要求する。私は、この二つが海運局としてはオーナー対策として積極的にとるのならそうすべきだ、こういうふうに考えます。どうもいまのお話を伺っておりますと、何やら局長にはその意欲がないように思いますので、ぜひそういうふうにしていただきたい、こういうようなことを要望いたします。
  48. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま關谷委員から非常に実際的なお話、御質問をいただいた次第でございまして、私どもといたしましても、実は四十年度予算にもただいま御指示をいただきましたようなことを努力はいたしたのでございますけれども、はなはだ力足らず、そこまでの実現ができなかったわけでございます。そこでただいま仰せのございましたように、来年度予算を目標といたしまして、船質改善対策といったような一つの具体的方策を打ち立てますと同時に、計画造船ワク内に、ただいまもお話しのような、何万トンかの一つワクを設定いたしたい、この点につきましては、さらに捲土重来、来年はひとつ牙城を打ち立てたいと考えておる次第でございますので、この点御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
  49. 長谷川峻

    長谷川委員長 久保君。
  50. 久保三郎

    ○久保委員 きょうはさしあたり二、三お尋ねしておきます。  わからないことを聞くのでありますから、別に私のほうで策であるわけではありませんから、そのつもりでお答えいただきたい。  一つは、オーナー経営状態ですね、この一年間、中核体経営状態に比べて、外面的に上向いているのか下向いているのか。これに関連して資料をあとから数字として出していただきたい。九月期の決算まででけっこうです。概括的にどうなんですか。
  51. 若狭得治

    若狭政府委員 資料は後ほど提出いたしますが、概括的に申しまして、中核会社の業績はわれわれのところへ提出いたしております整備計画に今後の見通しが載っておるわけでございますが、それをはるかに上回っておるという状態でございます。  それからオーナーの各社につきましては、大体整備計画に載っておるもの程度のものは出てきておるわけでございます。しかし、今日の、たとえば船員費上昇関係とか、そういうようなことを今後織り込んでまいりますと、現状のままで推移したのでは整備計画を確実に実施することも困難であるということが言えるという状態でございます。いずれ資料は提出いたします。
  52. 久保三郎

    ○久保委員 オーナー再建中核体責任だとおっしゃいましたが、そうなんですね。どういう責任なんですか。これは、どういう責任というのはたいへん失礼な言い方かもしれませんが、いわゆる五カ年間、三十九年から五カ年ですが、その間におけるオーナーを含めての中核体自身の再建ということになっているわけですね。そうですね——そうですが、わかりました。  そこで、それではオーナーのいわゆる系列あるいは専属会社再建策について、先ほどの質疑応答の中ではそれぞれの中核体から全部出てきているんですか、全部出てきていますか。——それじゃ、そういうものをどの会社はどういうことをやるというのは、たいへんケースが多いでしょうから、代表的なものをあとで書きものにして——どの会社がどうということは必要ありません。再建策としてどう考えているか。それから運輸省内部でオーナーについていろいろ意見がある、オーナー存在というか。しかし、オーナーを否定するという意見はない。あるのは優秀ねものだけ残そうじゃないかという、こういうお話が出ているそうですが、この考え方は、言うならば中核体に対するオーナーの比重ですね。比重から大体優秀なものを捨ってそれだけ残しておいて、それでやろうじゃないか。なお船が足りない場合には、中核体自身で建造させよう、こういう思想からこういうことが一つは出てきているんですか、それぞれ理由はありましょうがどうなんですか。
  53. 若狭得治

    若狭政府委員 オーナーがどの程度必要であるかというような問題は長年議論されておるところでございますけれども、従来はもちろん、たとえば海運経営における危険の分散であるとかあるいは資金の調達であるとかいろいろな面でオーナーの効用というものはいわれたわけでございます。ところが、今日は、たとえば新しい借り入れ金もすべて中核体債務保証、あるいは連帯保証というようなかっこうをとっておりますので、危険の分散としてどの程度の効果があるかという問題になりますと非常に問題がある。あるいは資金の調達というようなことになりましても、これもほとんど大部分が借り入れ金によって船をつくっておるというような状況では、資金の調達という面でも大きなメリットを期待することはできないというのが実情でございます。また、一隻の船舶の建造費が四十億も五十億もかかるというような状態で零細なオーナーがそれにどれだけ資金調達力があるかと申しましても、これは非常に微々たるものでございます。そういう意味からいきまして、オーナーが必要であるか必要でないかという議論は、これは当然あるわけでございますけれども、しかし、現にオーナーというものが存在しておるわけでございます。これは必要であるか、ないかという以前の問題ではないかとわれわれとしては考えておるわけでございます。海運における中小企業というようなかっこうで現在オーナーがあるわけでございますから、これをいかに国民経済の今後の発展に協力させていくかということに問題があるだろう、そういう面で把握いたします場合には、先ほどから多少議論があったと思いますけれども、現在、船員費の面におきましてはオペレーターの船員費よりも相当安いことは事実でございます。これは、いいことであるか悪いことであるかというような批判はあるかと思いますけれども、現に安いわけでございます。したがいまして、国際競争の面から見ましても、その分だけ競争力があるということでございますので、それにたよるわけではございませんけれども、さらに企業努力を加えることによって、船舶を建造することができるならば、それを推進しようというのがわわれわれの考え方でございます。
  54. 久保三郎

    ○久保委員 オーナー存在についていろいろお話がございましたが、御説の前半からいけば、オーナー存在理由がないということだと思うのですね。ただし、現実にオーナーがあるということ、しかも系列、専属というか、そういうかっこうで中小企業の典型的な形になっておる。そういうようになりますと、中小企業対策として一つ考えなければいかぬ。そこでオーナー再建は、いま船員費の問題も出ましたが、これもコストダウンという方向には考えられているようでありますが、これは私は、そういうふうなうしろ向き、といっては語弊があるが、それだけで考えちゃいけないのではないかという気がするわけです。むしろ、オペレーターとオーナー関係は、世間、おかにもあるところの中小企業と親会社関係が多分にあって、そこへつきまぜて外国用船の問題があって、一そう複雑になっておるのであります。そういうものを整理しなければ、オーナーがよしんば代替建造なり計画造船の中で優秀な船をつくったにしても、オーナーに残るメリットが非常に少ないと私は見ておる。いまの用船事情からいって、コストを下げれば下げるだけ、いわゆるチャーター料が引き下がるというかっこうになっておる、こう思うのですね。だから、そういうことを考えずして、単に中核オペレーター中心にものを考えていくと、私はあやまちがあると思う。これは私の意見はまだまとまっておりませんから申し上げる段階ではありませんが、少なくとも、そういうあやまちをおかさないことが日本海運の正当な再建策だと思う。だから、中核オペレーターにオーナー再建策をまかしても、これは親会社が系列下の中小企業会社をどうするかという範疇にとどまって、オーナー本来の再建策にはならないのではないか。いままでの御答弁でもそういうことがいわれるのじゃないかと思います。だから、あなたのほうから言えば、御答弁がすかっとしたものが出ないのだと私は思う。  これは多少の意見でありますが、そこでもう一つお聞きしたいのは、金融ベースに乗せて、新造のほうは何とかやっていきたい。それじゃ、金融ベースに乗せるくふうは何でしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。先ほど質問の中でありましたのは、たとえば共同で新造するとかなんとか言っておりましたが、そういうものだけですか。
  55. 若狭得治

    若狭政府委員 金融べースと申しましたけれども、これはやはりオーナー企業体質の改善でございます。具体的には現在の延滞解消、どの程度解消のめどを立てるかというような問題があるわけでございます。それからコストの低減でございます。これは国際競争をやっておるわけでございますので、国際マーケットまで経費を節減することができれば、オーナーであろうと、オペレーターであろうと、そういうことにはかかわりなく、船舶を建造できるというわけでございます。先ほど久保先生の御指摘にありました中核体との関係でいかにコストダウンをいたしましても、それは中核体に吸い上げられるというような御心配があるというお話でございますが、そういう面はもちろんあるかと思いますけれども、われわれといたしましては、やはり国際競争力のある船舶ができるかどうかという点においてすべてがきまっていくのではないかというように考えるわけでございます。したがいまして、外国用船の代替をいたします場合にも、国際マーケット程度のレートにできないものかどうか、それをやらせるためには、オーナーとしていかなる合理化を行なうべきかということが第一の要件でございます。  それから、そのような安いコストの船舶ができる、こういたしました場合に、金融ベースから見まして、現在の企業内容はどういうふうになっているか、償却前利益なりあるいは延滞なりというようなものはどういうふうになっているかということが問題になるわけでございますので、その点を現在詰めておるわけでございます。われわれとしては、一社でもより多く新造船ができるように、今後やってまいりたいと思っておるわけでございます。
  56. 久保三郎

    ○久保委員 国際マーケット並みにコストを下げていくというのは、これはまあ当然だろうと思うんですね。マーケットとして国際的なものがあるわけですから、それより高いものでは、残念ながら自分の出血経営というか、そういうものにならざるを得ない、こう思うのですね。それじゃ概括的に、オーナー全部が出血的な経営をしているのでしょうか、どうなんです。
  57. 若狭得治

    若狭政府委員 出血的な経営というわけではございませんで、これは用船料というものをオペレーターが補償いたしておるわけでございます。その用船料が一体オペレーターにとって出血的なものであるかどうかということでございますけれども、大部分の船舶につきましては、荷物が固定いたしておるものも多うございますし、これは一応採算に乗っているというようにわれわれとしては考えられるわけでございます。ただ、それをさらに一歩踏み出して、外国用船の代替まで持っていくというような問題になりますと、やはりどうしても国際競争力が問題になってくるということでございます。したがいまして、日本周辺のいままではっきりしている荷物あるいは特定の定期航路の中に組み込んでいる船舶というものにつきましては、そういう採算につきましては大体これはペイをいたしておるというふうに考えるわけでございます。  それから、オーナー自身用船料につきましても、現在の経費の面から見ましては、一応収支は相償うようにはなっておりますけれども、これは整備計画の要求もきざいまして、一応償却不足解消——昨年度の基準によりましてやりますれば、とにかく償却不足解消まではこぎつけられるという程度用船料にはなっておるわけでございます。
  58. 久保三郎

    ○久保委員 問題は、一つ用船料の問題もありますが、その問題はあとにしましょう。  もう一つは、船舶の運航がいまのままでいくというと、品物によっては固定化して運航しているというようなお話もございますが、もっと操船というか、そういうものにも全体的に効率よく動かすように、これは六つのグループ間の話し合いもひとつ必要だと思うのですが、そういうものも考えていいじゃないかと私は思う。これは資料をいただいておりますから、あとにしますが、ただもう一つ申し上げたいのは、外国用船の問題であります。これも単にいわゆる国際マーケットの問題だけじゃなくて、それ以外の要因が私はあると思うのです。先ほどの御説明では、何かそういうふうなことで、なかなかどうも切りかえが困難だ、こうおっしゃいましたが、絶対に切りかえられない外国用船もございましょう。どうですか。
  59. 若狭得治

    若狭政府委員 これはものによりましていろいろなケースがございますので、一がいには申せませんけれども、われわれといたしましては、大体現在バルクキァリアにおきまして百五十万トン程度のものを行なっておりますが、そのうち百万トン程度は代替できる。その他の五十万トンというのはそのときどきの荷物の動きによって非常に短期間用船するものでございますから、これを日本船に置きかえるということはなかなか困難であるというように考えるわけでございます。現在のその百万トンの代替にいたしましても、日本の船主につくらせるということになりますれば、どうしても十五年なり二十年なりというものはその船の運航の責任を持たなければならぬ、また債務の償還の責任を持たなければならぬという問題があるわけでございますけれども外国用船でございますれば市況が悪化いたしますれば、いつでもこれをファイアすることができるというようなメリットがある。そういう点でやはり日本のオペレーターといたしましては、将来の市況変動の危険性ということを計算に入れまして、なかなか日本船を使うということに決心ができないというのが現状かと考えております。
  60. 久保三郎

    ○久保委員 その問題はあとにしましょう。  最後に、さっき老朽船対策が話に出ましたが、ふしぎに思っていないのですか。いわゆる中核体に対する造船利子補給とオーナー中心の老朽船対策には非常に幅があるということをちっともふしぎに思わないんでしょうか。それで、オペレーターのおやじと言っては失礼かもしれませんが、ない者が高い利息で船をつくる、親方はうんと安い利息で船ができる、こういうことで、海運政策だということでさっき政務次官は来年はがんばると言うが、がんばってもらってもこれは困るんじゃないですか。計画造船の中に入れて、市中六分、開銀四分ということになるんなら別ですが、こういうものをふしぎに思わないで、ここまできているのに、どうも運輸省の人はオペレーター中心で船は動いているんだ、そうかと思うと今度は中期経済計画で大幅に船をつくるんだという。船をつくるのはけっこうでありますけれども、いろんなことを考えないで、政策の矛盾そのままでやるといったってこれは無理じゃないですか。これはどうなんですか。
  61. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど私がお答えいたしました、来年は計画造船の中に入れてぜひオペレーターの船舶新造を実施いたしたい、かように申しましたのは、ただいま久保さん御指摘のような開銀四分、市中六分という中核体金融ベースと同じベースでやっていきたい、そこで本年はそのラインで三万トンを要求いたしましたけれども、ついに予算化を見るに至らなかったわけであります。来年におきましては、ひとつ先ほど申しましたように、捲土重来、適切なるオーナーの橋頭塗を確保いたしたい、かように考えておるような次第であります。
  62. 久保三郎

    ○久保委員 そういうふうには聞いたのでありますが、まず計画造船でやるかどうかは別ですよ。それをやれば同じになりますけれども、老朽船対策そのものがおかしいじゃないかと思うのですね。だから、そういうことをそのままにしておいたのじゃうまくない。これは代替建造でありますからまあそれはいいにしても、たとえば回漕はやはり利息が高いわけですな。そういうことも考えてはいたのであろうが、まあできないからしかたなくということでしょうが、そういう矛盾もあるし、それからもう一つは、この集約方向であります。これは慎重に考えていただきたいと私は思うのです。むしろ集約ということを前提に考えるとすれば——これは仮定ですよ。私がそういうふうにまるきり思っているわけじゃないのです。まだわからぬからあぶない。とするならば、これはオーナーを全体として集約する、オーナーの中でもタンカーあるいはバルクキャリア、そういう区別に従って集約して、オペレーターと対等に取引ができ、世界の海運マーケットの中で活躍できる方向オーナーに与えることが一番いいのじゃないかと私は思うのです。そういう方向もあるわけです。そういうことを考えてはいないですか。
  63. 若狭得治

    若狭政府委員 現在の集約は、御承知のように六グループによって行なわれているわけでございますが、この趣旨はやはり過当競争の排除というところに一番問題があったわけでございます。したがいまして、オーナーは特定の中核体と五カ年間の長期の用船契約を結ぶわけであります。したがって、その船は五カ年間はどこへも行けない、もう中核体の言うとおりに動くということになっているわけでございます。これによって一つのグループごとの過当競争の排除という考え方をいたしておるわけでございます。ただ現在の六グループが多いんじゃないか、あるいは少ないんじゃないか、いろいろな御議論があると思いますけれども、過当競争排除という面からいけば、これは少ないにこしたことはないわけでございますが、しかし一応百万重量トンということで集約をいたしました経過から見まして現在の体制というものはできるだけ、少なくとも五カ年間はこれを維持してまいりたいというように考えておるわけでございます。過当競争の問題は、この六グループ間の協調によってこれを解決していくという方向考えておりますので、オーナーをまた別のグループをつくらせるというような方式をいま考えるということは非常に困難じゃないかというように考えております。
  64. 久保三郎

    ○久保委員 それはおっしゃるとおり、六つのグループのそれぞれ傘下オーナーをおさめたというかっこうをつけました。しかし中核オペレーターの責任オーナー再建をやるといったって、これはやはり子会社に対する態度以外に出ないのですね。だから私は海運二法が通るときにも再三申し上げたように、オーナー対策をまず前提として考えてみたらどうかということをいって、いま申し上げたようなことを私はたしか言ったと思うのです。やはりオペレーター、オーナー間の関係というものをいわゆる従属関係から対等関係に置きかえるということも考える時期じゃないかと私は思うのです。海運局の中に優秀なものだけ残すということも、まず一つのいろいろな観点からそういうことが出ますが、私が言ったような一つの観点からも考えれば、優秀なものだけを残すという一つの結論をつけるとするならば、私はやはり対等の立場に置きかえてオーナー集約していくということのほうが正しいと思うのです。これは業界に与える影響もかなり大きいと思うのです。これが決定的なものと言うことは差し控えますけれども、少なくともそういう方向考えるべきだ。なるほどいまの時点ではなかなか困難だという、これはオペレーターは順調に育っていますが、先ほども概括的な御意見ではオーナーは順調でなさそうだから、いまのお話に出ているんですね。そういうことを考えてみたらどうか、こういうように思いますが、私は関連質問だからこの辺にしておきます。
  65. 長谷川峻

    長谷川委員長 次会は来たる二十六日金曜日、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散会