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1965-03-19 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十九日(金曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 進藤 一馬君 理事 田邉 國男君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君    理事 矢尾喜三郎君       浦野 幸男君    小渕 恵三君       川野 芳滿君    壽原 正一君       田澤 吉郎君    塚原 俊郎君       西村 英一君    増田甲子七君       小川 三男君    勝澤 芳雄君       島上善五郎君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 松浦周太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         運輸事務官         (大臣官房長) 堀  武夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      佐藤 光夫君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       石田 礼助君         日本国有鉄道常         務理事     豊原廉次郎君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月十八日  委員泊谷裕夫辞任につき、その補欠として重  盛寿治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員盛寿治辞任につき、その補欠として泊  谷裕夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十七日  造船法の一部を改正する法律案内閣提出第九  五号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  造船法の一部を改正する法律案内閣提出第九  五号)(参議院送付)  鉄道敷設法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)(参議院送付)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇六号)      ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  造船法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取することといたします。松浦運輸大臣
  3. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ただいま、議題となりました造船法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明を申し上げます。  造船業及びその関連工業の発展をはかるためには、造船技術を向上させる必要があることは申すまでもないところであります。かかる見地から、造船法は、船舶製造者依頼があった場合には、運輸大臣船舶推進性能試験並びに船舶用推進機関及び船舶用ボイラー性能試験を行なわなければならないことを規定しておりますが、これらの試験を行なうためには相当の費用を要しますので、試験依頼者は、水槽による推進性能試験につきましては最高十万円、実地による推進性能試験並びに船舶用推進機関及び船舶用ボイラー性能試験につきましては最高二万円の範囲内において省令で定める額の手数料を納めなければならないこととなっております。  これらの試験は、運輸省の船舶技術研究所において行なわれておりますが、最近における船舶大型化高速化等の情勢を反映してその試験項目試験方法等多様化複雑化の一途をたどり、これに応じて試験に要する費用も当然上昇しております。  したがって、このような傾向に対処して試験のあらゆる場合を想定して手数料の額の最高限度確定額をもって定めることはきわめて困難となってまいっております。  そこで、これらの試験手数料の額をその多様化複雑化の状況に応じて定めることができるように試験に要する費用範囲内において、省令で定めることとする必要があるのであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願いを申し上げます。
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 長谷川峻

    長谷川委員長 次に、鉄道敷設法の一部を改正する法律案、及び、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案一括議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。野間千代三君。
  6. 野間千代三

    野間委員 法案の審議の必要な問題として、車両修繕の問題とそれから通勤輸送等の問題について、若干国鉄当局の御意見を承りたいと存じます。  初めに、国鉄の第三次七カ年計画での車両増備計画が出ておりますが、これは設備投資計画案車両増備計画が出ております。あれは七カ年計画に変わりましたけれども、あの計画数というのは変わってないのかどうか。
  7. 豊原廉次郎

    豊原説明員 いまお話しのように、計画年数は変わりましたが、変わっておりません。
  8. 野間千代三

    野間委員 そうするとあの計画での初年度の四十年度はどういう数字になるのですか。
  9. 豊原廉次郎

    豊原説明員 ただいま初年度計画を立てておるところでございまして、まだ具体的な数字をきめておりません。
  10. 野間千代三

    野間委員 数字がきまっておりませんでしたらやむを得ないのですが、車両増備計画によると相当多数の計画になっておりますから、これはあとで通勤輸送の際にも問題になると思うのですが、七カ年計画を一しかも通勤輸送などが非常にいま車両増備が要請をされております。したがって、初年度、第二年度ぐらいは、この増備計画のファクターとしては相当重く見ていかなければならぬというふうに考えます。したがって、できるだけ早く計画を出していただきたいと思います。  次に、国鉄の総車両修繕をしているはずですけれども、これは国鉄直轄工場修繕をする部分と、それから部分的にそうでないというふうに分かれているような部分もあるようですけれども、できましたらこの昭和四十年度の修繕の総人工がわかりましたらお願いしたいと思います。
  11. 豊原廉次郎

    豊原説明員 もちろん総人工車両の入り方によって変わるわけでございますけれども、ただいま考えております車両工場での人工はおおむね三十九年度と大差はないというふうに考えております。
  12. 野間千代三

    野間委員 そうするとこれは突然の質問で悪いのですが、三十九年度の予定をしました直轄工場で行ないます工事量、総人工というのですか、工事量はわかりますか。
  13. 豊原廉次郎

    豊原説明員 約五百三十万人工でございます。
  14. 野間千代三

    野間委員 五百三十万人工ということになりますと、それに実際に従事をする必要な人員が出るわけですね。修繕に携わる必要人員が出るわけですが、これは技術的には、いわゆる一人一年平均工場でよく言っております働き人工というのですか、それで割っていけば出るだろうと思いますが、この五百三十万人工で、国鉄直轄工場で直接修繕に携わっている必要人員はどのくらいでございますか。
  15. 豊原廉次郎

    豊原説明員 一人一年平均二百人工という標準で考えまして、二万六千五百人ということになります。
  16. 野間千代三

    野間委員 そうすると、五百三十万人工というのは直轄工場だけですか。ほかのたとえば部外へ委託するとか、そういうものはないわけですね。
  17. 豊原廉次郎

    豊原説明員 部内だけでございます。
  18. 野間千代三

    野間委員 それで現在の工場の現在人員幾らになっておりますか。この仕事消化をするための現在人員幾らになっておりますか。
  19. 豊原廉次郎

    豊原説明員 約三万七千人でございます。
  20. 野間千代三

    野間委員 三万七千人というのは工作系統といいますか、修繕系統工場全員になるのですか。
  21. 豊原廉次郎

    豊原説明員 さようでございます。
  22. 野間千代三

    野間委員 三万七千人というのは、これは工場全体の人員ということですが、そうすると二万六千五百人工消化をするための直接の作業人員幾らになるのですか。
  23. 豊原廉次郎

    豊原説明員 二万五千八百人でございます。
  24. 野間千代三

    野間委員 そうすると算術計算でもすぐ出るのですが、この差はどういうことで埋めることになっておりますか。
  25. 豊原廉次郎

    豊原説明員 主として残業によって消化をしていくということになると思います。
  26. 野間千代三

    野間委員 これは論理的には確かにいわゆる超勤ということになってくるのだろうと思うのですが、工場作業要員の中に、約四百人ぐらいの臨時人夫がおるというふうに聞いておるのですが、この四百人の臨時人夫というのは、前回の国鉄要員問題できまってまいりました八千八百人でしたか、昭和四十年度では四百四十人採用するという関係とではこれはどういう関係になるのでしょうか。
  27. 豊原廉次郎

    豊原説明員 いまの臨時雇用員工場に約六百名おるわけです。定員化につきましては、おおむね前の率程度にはいくのではないか、ということは、本年度半数……。
  28. 野間千代三

    野間委員 そうすると、工場関係の六百人の臨時人夫も例の八千八百人の中に含んでいて、そしてこの半数が、大体三百人が第一年度で採用になる、こう解釈してよろしいのですか。
  29. 豊原廉次郎

    豊原説明員 ただいま私の申し上げましたのは少し間違っておったわけでございますが、この六百人は、いわゆる全部が採用前提でございませんで、率は下がることになります。
  30. 野間千代三

    野間委員 そうすると、とにかく六百人のうち八千八百人の中に含んでいる人員があるというふうに考えてよろしいですか。
  31. 豊原廉次郎

    豊原説明員 一部はあるわけです。
  32. 野間千代三

    野間委員 そうすると、この六百人のうち、あの当時の問題は採用前提臨時雇用員を、採用前提でいながら一年も二年もかかっている。——二年ということはないんですが。そういう関係で、運輸大臣もそれはけしからぬじゃないかということで、じゃあ半数ずつ直していきましょう、こうなったわけですね。その工場作業要員の中に、確かに採用前提臨時人夫もおると思います。思いますが、この六百人と常務のいわれた臨時人夫の中で採用前提になっている臨時人夫は非常に少ないんじゃないか、該当するものは。それの実数はわかりますか。私が言っているのは、六百人の中には採用前提になっている臨時雇用員という身分の者は実際にあるのかないのか。
  33. 豊原廉次郎

    豊原説明員 ただいまちょっと手元に資料がございませんので、調べて御返事いたします。
  34. 野間千代三

    野間委員 資料がないんでは残念なんですが、これは常務、ちょっとお願いしたいんですが、工場における六百人の臨時人夫は、掃除をしているおばさんとかが多少ありますけれども、大体四百人くらいが実際に旋盤を持ったり、あるいはモーターを持ったりして、実際に仕事をしている人員だと思います。これは多少調べてみたんですが、そうなっておるようです。問題は、この実際に作業をしている四百人の臨時人夫の人は採用前提になっていないんです。工場の場合にはそういう臨時人夫が大多数なんです。これはどうですか。
  35. 豊原廉次郎

    豊原説明員 おっしゃるとおりでございます。
  36. 野間千代三

    野間委員 したがって、工場の、先ほど常務のいわれた三万七千人という要員の中で実際に国鉄職員である、やがて国鉄職員になるという採用前提ですね。そういう作業員が四百人から六百人おるということなんですね。そうすると、この四百人の実際の作業、それはもう普通の工作掛といわれている職員と一緒に仕事をするわけです。組みに編成されているわけですが、同じ組に入って仕事をしているわけですね。しかも、その四百人の人は採用前提ともされておりません。したがって、きわめて不安定な身分でもって、しかし実際の仕事車両の保守というきわめて重要な仕事をしているということになると思うのですが、そうじゃないですか。
  37. 豊原廉次郎

    豊原説明員 いまの臨時雇用員職員補助的作業をやるのを原則といたしておりまして、あまり責任度の高い仕事はやらさないようにする方針であります。
  38. 野間千代三

    野間委員 それは論理でいえばそういうふうになるのです。なりますけれども、実際に仕事をする場合に、工場の場合には四、五人が一つのグループになって、いわば刺激賃金というので請負うわけなんです。その中には責任者がいるでしょうが、四、五人の者が一致協力して仕事をするという体制になっておるはず。そうしますと、四、五人の中で、たとえば一人おったとすると、その人間は補助的な仕事だけしておればいいというふうには実際にはまいりませんよ。ですから、やはり責任の分担をしながら、そうして修繕のでき上がった製品は、どの組がやったのか、十河さんの組がやったか、石田さんの組がやったのかということになるわけです。そうすれば、その組に編入されておる臨時雇用員といわれておる人も責任の一端を負わなければならぬ。それが実際の問題だと思います。何か事故が起きて処分するような場合は別でしょうが、実際の仕事内容としてはそうなると思うのです。そうすると、車両修繕というのは、これから車両がふえてくる、しかもなかなか過密ダイヤは解消されないという実態の中では、国鉄安全輸送という面ではきわめて重要じゃないかというふうに思うのですが、そういう重要な仕事をしている修繕体制の中に、全国で四百人あるいは六百人の実際に同一の作業をしておる人間の中で、国鉄職員にもなれない、将来なる見込みもない、そうして理事者のほうではそれは補助的な仕事ということだけで済まされているという作業員がいるとすれば、これはやはり一つの問題じゃないかというふうに思います。そういう観点からすると、国鉄当局として、この四百人なり六百人の将来はどういうふうに考えておるかということはきわめて重要な問題ですが、総裁、いままでの質疑でこの四百人の将来をどう考えられるかという点について御見解を願いたいと思います。
  39. 石田礼助

    石田説明員 私よりも野間さんのほうが詳しいので意見をお聞きしてひとつ検討したいと思いますが、要するに国鉄としては人件費が重要なるウエートを占め、全収入の五四%が人件費というようなことで、重要でない仕事に対しては、できるだけ臨時雇いというようなもので、いわゆる職員にしないという必要の法則上やむを得ずこういうことをしておるわけであります。その点はひとつわれわれの立場になってお考え願いたいと思います。
  40. 野間千代三

    野間委員 それは総裁、別に私も何から何まで職員にしろとは言わない。先ほど言いましたように、五百三十万人工直轄工場でやろうとしておるわけです。常務も答えられたように、これ以外に直轄工場でない、総裁の言われるわりあいに責任もなさそうなというような仕事は別にあるはずです。それが車両修繕のいわば下請工場でやっているわけですね。そうすると直轄工場でやっている六百人の中にはおばさんもいるようですから、おばさんは別にして実際に仕事をしている人は、総裁の言う重要な職務に携わっておるのではないか。そうしますと私は、これはこの前の要員問題のときにはまだ触れなかったのですが、あの八千八百人を二年間消化をしていこうというよりも、ほんとうはもっとひどいものだ。これは年数はよく知りませんが、相当長期にわたってやられておるのではないか。四百人から五百人ぐらいの人が長期にわたって工場作業をしておるのではないか。それはどうですか。
  41. 豊原廉次郎

    豊原説明員 大体においてそう長期なのはなくて、人はかわっておるというふうに理解しておるわけでございます。それといまの臨時雇用員の問題は、やはり車両工場にも修繕季節的波動もございますので、ピーク時の人間をかかえるということは必ずしも経営上好ましくはございませんので、ある程度のそういう臨時の人がおるということはやむを得ないのではないか。もちろんあと、機械化なり何なり進めまして、一人当たりの能率をあげるという方針をとっておることは申すまでもないことでございます。
  42. 野間千代三

    野間委員 実情は、ピーク時の作業は、先ほど常務の言われたように、二万五千八百人足らないからその分として超勤なりやっておるわけです。それと、年間に働く二百人という人工の中に一人平均十時間ぐらいの超勤があるわけでしょう。そうしますと、超勤波動的な仕事消化をする、そういうふうに見ればこれは相当な部分が含まれているわけです。したがって約六百人の中の重要な部分の四百人ぐらいの部分は、これは波動でなくて恒常の要員の足らない部分としてやや恒久的な人間になっておるはずです。私、実際に見たところがありますけれども、大体そうです。ですから波動的なものだけで見るならば、これはいいですよ。そういう仕事があるなら。しかし工場の場合には、私が言うまでもなく計画的に回帰が回ってきて修繕はきまっておるわけですね。年間にちゃんと修繕計画を立てるはずです。そうなってくれば、一昨年ですかあったように、「こだま」の台ワクがぐあいが悪いというので、一斉に突貫的にやるというような場合以外は、そうひどい波動はないはずですね。ですからそういう意味でくれば、この六百人という人間は、常務の言われるような波動ということよりも、やはりやや恒久的な作業従事をしており、そうしてそうひどくは変わらない、実際には変わっていない、こういうふうに考えるべきじゃないかというふうに思います。これは常務はうなずいておりますからあらためて回答を求めませんが、そういうものですね。  そこで総裁に私は言いたい。ものごとは詳しいとかなんとかじゃないのです。管理をする立場で、そういう性格に置かれている作業員国鉄の何らの身分も持たない、つまり身分の保障のない状態に置かれていることは、管理をする面としては問題があるのではないか。八千八百人と同じように、同列に考えて処すべき問題ではないかというふうに思う。総裁に伺う前に常務に伺いますが、方針としてこれはちゃんとするというふうにすべき性格ものじゃないですか。
  43. 豊原廉次郎

    豊原説明員 それぞれの仕事実態に即しまして、先ほど申し上げましたように、私どもは職員に対する補助的な作業をやらせるということから出発いたしまして、いまの雇用員をかかえておるわけでございますけれども、ほんとう職員と同じような作業をやり責任を持つという者につきましては、お話のような考え方に漸次進めていくべきものだと考えております。
  44. 野間千代三

    野間委員 これはたいへん失礼な言い方ですが、常務は実際にいま全国工場に置かれている六百人の状態について把握の不十分な点が多少おありではないかと思うのです。私もまだそう詳しくはございませんが、この六百人の中にもしおばさんを含んでおるとすれば、そうでない部分の実際に職場に配属をされておる方々は、この中に四百人か何ぼかおると思いますが、そのおる人は、いままで何年か同じ組に入って同じ作業をしておる。あるいは組に配属されなくても、工場によってはおそらく管理が違うでしょうから一がいには言えませんが、少なくとも実際にいわゆる検修作業といわれている修繕作業従事しているもののようです。ですから、これは原則的にやはり職員がやるべきだと考えれば、この人員はせっかくやってきておったんですから、職員採用するという前提でお考えをいただいて、そうして八千八百人と同じように、数はせいぜい四百人で何万人もおるわけではないから、一年なら一年、四十年なら四十年のうちに採用する者は採用するというような体制もの、ことを考えていくべきではないかと思いますが、これは総裁管理者立場でそういうふうにお考えになりませんか。
  45. 石田礼助

    石田説明員 御承知のとおり新幹線は去年の十月からスタートしたのですが、その当時においてなかなか故障が多かったというようなことで、工場仕事もそれによって非常にふえておった。要するに、いま国鉄としては、人件費関係からいって、ほんとうに必要やむを得ざるものだけは職員がやり、そうでない浮動のあるものについてはまず臨時職でやって、模様を見て逐次やっていく、こういうようなことをやっております。二万五千人に対して六百人というのは、野間さんはどう考えるか知らないが、私はこの点は非常に少ないと思う。たとえば民間会社なんか、日立のごときは職員に対して三分の一が臨時雇いということでやっております。これはわずかに三%以下です。しかしあなたのおっしゃるとおり、われわれは、ほんとう職員と同じような仕事を、しかも永続してさせる者をいつまでも臨時職員にしておくということは、働く人の身になってみればたまらぬ話なので、よくひとつ考えまして御趣旨に沿うようにやりたいと思いますが、国鉄も、独立採算の上においてできるだけ経費を節減しなければならぬ立場にあるということもひとつお考え願いたいと思います。
  46. 野間千代三

    野間委員 総裁のおっしゃる人件費の問題とか、経営上のそういう問題について、ぼくらも全然無関心というわけではない。それは十分に考えて、国鉄経営内容についても十分な関心を持っておりますし、総裁の言われることも理解しておるつもりですけれども、確かに人員としては割合は少ないのですね。ただ、民間会社の場合には、いろいろな技術に軽重のある仕事がたくさんあるわけであります。ですから、これは全然職員にしないで、ある一つのほかの民間の組が入って、それが集団で、いまだに人入れ稼業といいますか、そういうかっこうでの臨時仕事をしておるという体制もあるわけです。ところが国鉄の場合はそうではなくて、数の少ない四百人には違いないけれども、四百人の人が国鉄修繕体制の中で作業員と同じに日常重要な作業に携わっているという状態ですから、これは当然職員化をしておくべきものじゃないかと思うのです。ですからそういう意味で、いま総裁の言われるように、あるいは常務の言われるように、十分に実態の掌握をされて、職員採用すべきもの——これは予算定員等の問題がありますから、その辺はそれぞれ検討しなければならぬでしょうと思いますから、直ちにというわけにはまいらぬかもしれませんが、もの考えとして、いつまでもこういう問題を放置するのでなくて、正確に職員にすべきもの職員にしていくという方向で検討して、それを実現をしていきたい、そういうふうな見方でこの四百人、六百人というものを見ていただきたいと思うのです。それはよろしいですか、常務まだありますか。
  47. 豊原廉次郎

    豊原説明員 考え方は、先ほど私が申し上げましたように、ほかの職員との仕事の質の問題、また現に八千八百人余りおります採用前提職員臨時雇用員との作業実態なり責任の度合いというもののバランスを考えながら、いま先生がおっしゃいましたような方向考えるべきもの考えていきたいと思います。
  48. 野間千代三

    野間委員 それは、それでいま常務なり総裁が言われましたように、不合理な部分については是正をして、そして職員採用すべきもの採用していくというお答えと承っておきます。  もう一つ問題は、これは常務、先ほど言われたように、超勤で行なわれているものがありますね。そうすると、年間のうちで波動的に工事量が増加をした場合には、もちろんそのときに超勤で措置をするというのは当然でしょう。それはけっこうと思います。そういう意味で二百人工の中にも入っておると思うのです。工場のように、修繕の日程なり計画なりが本社全体で直轄工事として見られるはずですから、そういうふうに計画が立っておれば、これは季節的なあるいは波動状増務というよりも、超勤というよりも、人員が足らない場合には常時超勤が行なわれる。つまり二万五千八百人と二万六千五百人の間に、この四百人なら四百人がある、それ以外にまた超勤がある、実態はこうなるわけです。そうすると、超過勤務でやっておる部分はやや恒常的な超過勤務ということになりがちではないかと考えられる。したがって、その分は、これは総裁の言われる、私も直ちに職員化することにいろいろむずかしい問題はあると思いますが、将来の方向としては、もの考え方としては、やはりそれもちゃんと充員をしていく、人員として換算をして職員をもって充てるというふうにすべきものじゃないかと思うのですが、そういう考えについては、常務理事、いかがなものですか。
  49. 豊原廉次郎

    豊原説明員 おっしゃるように、全体の車両修繕計画というものは一応立つわけでございますが、もちろん臨時的なものも、先ほどの「こだま」の例とかタイヤ割損等が出てまいりますが、職員が非常に無理がある場合には部外利用部外修繕能力利用というほうへ持っていくという考えであります。
  50. 野間千代三

    野間委員 だいぶ時間が足りませんので、十分でありませんが、いまの常務のお答えですと、部外利用ということのようです。もちろん部外利用の方法もあるとは思いますが、たとえば電車を想像して、モーターの部分ならモーターの部分仕事をしている、その部分がそういう仕事として超勤が行なわれておるという場合は、これはほんの一部だけを部外というわけにいかないでしょう。大体そういうものだと思うのです。大体二万六千五百人と二万五千八百人の差というものは、ですから、この中から抽出をして部外に持っていくという性格ものではないと思うのです、この差というものは。もっとたくさんある。総人工の中で純粋の直轄工場以外のところでやっておるのがたくさんあるわけですね。そういうものは多少ふえても——ふえていきましょうけれども、この問題はそうでないというふうにぼくは思います。直轄工場で予定をしておる修繕の総人工を二百人で割って、人員になっているわけですから、その人員が足らないということになっているのですから、足らない部分が四百人の臨時雇用員であり、超過勤務であるというお答えでしょう。先ほどのお答えはそうですね。そうなれば、そこから抽出して隣の工場に持っていく性格ものではないというように思います。それはきょう直ちに要員問題とすると、そうなかなか簡単にいかないようですから、私は当面直ちに工場関係の問題として、要員の問題として取り組まなければならぬ問題に、この四百人なり六百人なりといわれておる臨時雇用員をすみやかに職員化するという第一の先ほどの問題があって、それはそういう方向で、できれば四十年のうちに採用が行なわれればいいのですが、とにかくそういうことで検討される、それはいいと思うのです。これが重点です。  その次に、経常的、恒常的に行なわれがちなと思われる超過勤務についても、これは超過勤務になっておるが、性格的には四百人の人間と同じような状態ではないかというふうに思いますから、この分もできるだけ要員をもって補充していくという考え方で御検討願いたいというふうに思うのです。それはよろしいでしょうか、常務いかがですか。
  51. 豊原廉次郎

    豊原説明員 恒常的な超過勤務というお話でございますけれども、国鉄職員のほかの職種全部を考えましても、超過勤務を全く前提にしないで要員考えるところまで実はいっておらない現状でございまして、ほかの職種につきましても、超過勤務というものはある、その辺できっぱり超過勤務工場についてはないのだというようなところまでいくことはとうてい現段階ではできないと考えております。ひどい超過勤務前提とする要員というものは、これまた逆に適正な要員ではないわけでありますから、もちろん野間先生も極端なことをおっしゃっているとは存じませんので、そういう方向で、ひどい超過勤務を生じないという方向に持っていくべきだと考えております。
  52. 野間千代三

    野間委員 二百人工の中に十時間くらいの超過勤務がきちんとちゃんと予定されて、二百人工一人平均一年の人工が出ているとすれば、いま常務の言われた超過勤務が全然ないのはおかしい、つり合いがとれないという意味では、その意味での超過勤務部分は、二百人工の中に含まれているというふうにも見えるわけですね。ですから、これはきょう直ちにとは言いませんが、十分に第二番目の重要な問題として、必要人員と現在人員との差に含まれている二百人工以外の超過勤務については詳細に御検討いただいて、できるだけ消化をしていく、人員として確保していくという方向で御検討願いたいと思います。
  53. 久保三郎

    ○久保委員 関連。——大体野間委員からのお話で、御当局のほうもおわかりになったと思うのでありますが、私はひとつ要望をしておきたいのであります。  先ほど石田総裁からの御答弁で、たとえば日立製作所のごときは云々というお答えがございました。そういうもの考え方自体を、もっとお聞きしなければはっきりわかりませんけれども、この臨時雇用員というものは、どういう仕事をやらせるのか、あるいは超過勤務というのはどういう性。格のものかということをきちんとおきめになってやらぬと、単に人件費がふくらむからということでおやりになるとするならば、労働の質の点からいっても問題が多いと私は思うのであります。われわれの考え方とすれば、なるほど国鉄全体の仕事はそれぞれ多様化しております。しかしながら、反面また多少の波動性がございます。でありますから、波動に応ずる部面については臨時雇用員というのは必ずしも否定されないわけです。あるわけですね。ところが、採用前提臨時雇用員というものもございます。これは言うならば、減耗補充あるいは養成計画に基づくところの補充ということだと思うのです。業務量の増大に応ずる補充、こういうことでございまして、いまの野間委員の質問に対してそういうはっきりした御答弁がどうもないようでありますが、きちっとそういうものを割り切って——割り切るというとおかしいが、きめて、そして必要な要員はどう配置するか、超過勤務はどうする、こういうことをおきめにならぬと、非常に混乱していると思うのです。いわゆる大企業が、一つの企業防衛のために、不景気が来るかもわからぬということで、恒常的な臨時人夫を雇っているという姿では、国鉄はいけないと思うのです。恒常的な超過勤務を出すことによって要員を押えていくことも、ノーマルな姿ではない。たとえば一週間のうちに一日か二日残業がある、これは仕事のぐあいで当然あると思うのです。それはよろしいと思うのです。しかし一週間ずっと、一年間通して三百日あるとすれば、これは非常にノーマルな姿の超過勤務じゃないと思うのですね。これは労働の質も低下するわけです。三百六十五日のうち大半が超過勤務で、夜の八時か九時までやるということになりますれば、どうしても今度は正常な勤務時間の労働の質は低下せざるを得ない。そういう労務管理の点からも考えていくべきであって、単に予算面というか、一つの会計的に見た収支計算の中での人件費のウエートを少なくする、表面づらはなるほど臨時人夫を大半使えば、賃金支弁でこれは工事費のほうに回りますから、労賃、賃金のほうへはいきません。そういうやり方は、こまかしであって、実態はちっとも変わっていないと私は思うのです。だから、ここで私は別に御答弁を求める必要はないと思うのでありますが、きちっと長期計画の中では、いわゆる輸送量の増大に見合った要員計画をするということ、その場合は超過勤務のあり方、それから波動性に応ずるための臨時雇用員と、減耗並びに業務量の増大に対する採用前提雇用員、こういうものをきちっとおきめになってやらぬと、どうもあいまいもこたる姿でいくと思う。  それからもう一つは私は要望しておきますが、労働の質の向上をどうするかという問題は大きい問題でございます。ところが経営合理化ということだけで、当面人件費の増大を押えるということが至上命令にも今日までなっておりましたから、ともすれば養成計画については残念ながら後退の一途をたどっている。養成定員の置き方、これは必ずしも十分でない。さらに養成する機関、内部の養成機関も戦前に比べれば後退しているわけです。なるほど一つの養成機関である鉄道中央学園というか、そういうものなどを見れば、りっぱにはなりました。なりましたが、その中でやられる仕事も、一部では最近はやっているところの労務管理のことなどはたくさんおやりになっている。ところが、実際に現場で働く者の技術向上なり知識向上のための養成機関は必ずしも前進してないというように私は見ています。  それからもう一つは、あとからも質問が出ましょうが、少なくとも運転や何かに従事する者は、戦前は厳重な資格が求められた。いつかの答弁で、全部、採用は最低、高等学校卒業生だから、昔の高等小学校卒業より知能程度は進んでいるから短縮してもよろしい、こういうようなことを申された方がおりますが、これは誤りだと思うのです。そういう点を含めてやはり定員の査定を考えてもらう必要がある。答弁は要りませんが、答弁できれば御答弁いただきたいのですが、時間の関係もありますから、要望だけしておきます。
  54. 石田礼助

    石田説明員 どうもこういう問題については、野間さんや久保さんのほうが専門家で、私は全然のしろうとなんです。ですから、はたして答弁者の資格ありやいなや自分では疑うのですが、いまのお話を聞いて、私は非常に参考になることがあったということだけは白状せざるを得ない。要するに超過勤務といっても、これは程度の問題です。始終超過勤務ということは、能率をあげる上からいって、その他の点からいって、とるべき策ではない。われわれはやはり人件費はあがるにしたって、必要のもの人間をふやさねばならぬ、こういうことだけは、この前にもここで申し上げたのであります。実は、ことし、来年臨時雇用員を四千四百人か、職員にするということも、どちらかといえば、もうすでに職員に少し時がおくれておる、延ばし過ぎておるというような事情がありますので、これは思い切って今度はやったというようなことで、いま久保さんや野間さんの仰せられた御精神は私としてはよく参考にして今後善処いたしたいと思います。
  55. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ただいま質問応答をずっと聞いておりまして、特に久保さんの御質問は秩序が立っておりまして、また野間さんのほうは微に入り細にわたっております。そういう仕事の量による労働力及び技術計画的供給、更新対策というようなものがあるということは当然なんです。けれども国鉄が、いま総裁がいろいろとおっしゃるような状況はやむにやまれずそういう不合理なことになってきておる理由は、たびたび私が申し上げますように、国鉄といえどもこれは一つの企業で、独立採算制なんです。収入の物価指数と支出の物価指数が極端に違うのです。たとえば、何べんも言っておりますが、収入のほうの運賃は、大体客のほうをいえば百六十倍。ところが、機関車やその他の重要資材は六百倍あるいは七百倍になっておりますけれども、平均して物資は四百五十倍くらい。それから人件費は六百倍。そういうものを使って低い率の収入でやるというところに、至るところに無理がいっておるのです。そこで、国としては、四十一億くらいの金を出して、おれたちの国鉄だなんということもおかしい。これはやはり国家としても、この計画の中に、三千二百億か国家投資を要求されておりますが、それも当然のことでありますけれども、やはり国鉄利用する利用者側も運賃を相当張り込んでもらわぬと、それは自分の損なんです。それでまた国鉄そのものの発達に対してびっこな発達になります。ただいままでの御質問の内容はそこに私は欠陥があると思うのです。でございますから、私は、いやがる運賃を上げるというのは、松浦という運輸大臣は運賃を上げることだけしか知らぬといわれるけれども、いま国鉄の一番の欠陥は運賃指数の低いところにある。またもう一つはコストを無視した割引にある。この二点を合理的に解決して、お互いに無理のないところで合理的に解決して、そうして運営よろしきを得て近代的な経営をすることが私はほんとうだと思うのです。これからひとつそういう方向にやっていきたいと思いますから、御協力をお願いいたしたいと思います。
  56. 久保三郎

    ○久保委員 運輸大臣からお話がありまして、前段たいへん御理解をいただきましたわけですが、後段のほうで多少私からも申し上げたいんですが、一応平面的に考えれば御説のとおりだと思うのです。しかし、御承知のようにいまの世の中の実態というものを無視して、大臣がおっしゃる、特に最後のほうのやつは、これは一挙に解決するのはなかなかむずかしいだろうと思うのです。だから、まずもってお述べになったような政府の出資ですね。これもあなたがおっしゃるとおりでありますから、まず隗より始めよということばがありますから、だからまず政府の出資を考えてみて、なおかつさいふのひもが開かぬというときに初めて世論に問うということが正しいのではないだろうかというのがわれわれがいままで主張してきたところです。ところが政府の出資はびた一文ということでは、これはなかなかどうも理解しにくい面があろうかと私は思うのです。そこだけ一言申し上げておきます。
  57. 野間千代三

    野間委員 工場運営の問題から国鉄の基本の問題に発展していただきましてたいへんありがたいんですが、実は工場のいまの問題は、修繕体制ということに関連をしてきて、実はもう少し別の機会に国鉄の中における直轄工場の位置といいますか、これはいま工場長が掌握運営をしているのですが、工場長にはあまり権限がないのです。実際に自分が担当している車両がきまっておって、そうしてそれを自分が見ている。車両の病状に応じて、あるものは廃車をすべきだ、あるものは何カ月なら何カ月の周期で修繕をすべきだ、あるものは解体をして修繕をすべきだというふうに、自分の掌握している車両計画的に修繕をしていく、つまり私は車両というものは、これは人間でいえば予防医学的に修繕をして初めて安全であるということだと思うのですね。それが実は、使っている管理局長が修繕をするための予算をやる、修繕計画をしている、運用しているわけですね。これは、使っているほうの立場はなるべくたくさんの車両幾らでも使えるというふうにしたいと考え車両運用を考えるのは当然ですね。ですから、私は管理局長がお客さんのサービスのために、そういう立場で何とかして運用の効率をふやそうというふうにすることは否定しません。しかし、それは車両の病状を十分に考えなければならぬことは当然です。したがって、私は車両というものは、車両を担当をする者、つまり車両の病状なり健康状態を常に見ている者が修繕計画をする、改造の計画をして、そしてその修繕費を持って、そして工場から出ていったものを、これは健康体なんですから、この健康体を管理局長が運用をする。そういうコースで車両修繕というもの考えるべきじゃないかというふうに思うのです。これは総裁運輸大臣もそう考えられるでしょう。別にこれは答弁は要りません、時間がありませんから。  ですから、そういう意味で私は工場長の権限というものが、立木の伐採というふうに、庭木を植えたりとったりすることも工場長の権限だそうですが、そんなものは要らない。要らなくて、修繕費をちゃんと持って、そして修繕計画を立てる、そういうような立場工場長の権限の基本を置くべきだ。そして全体を見ている国鉄の本社が、車両の種別なりそういうものによって全国を統一をして車両修繕計画の基本を立てて、それを各管理局の所在にある、重要な部門にある工場長に命令をして、そして工場長が予算を持って修繕をしていく。そして、出てきた車を管理局長が効率高く運営をするというふうにすべきではないかというふうに思うのですね。いま、それは実際にそういうふうになっておりません。ですから、これはまず工場の運営についてそういうふうにすべきじゃないかと思いますが、これは運輸大臣、論理的にいかがでしょう。
  58. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私もいま小さな工場を幾つも経営しておりますから、工場経営については私的なものについては多少経験を持っておりますが、こういう公共企業体の大きな組織の中におけるやり方については、私はほとんど無経験であります。しかし、ここにお並びの常務陣及び局長、部長の方々はそこから経験を経てここまできておられますから、そのぐらいなことが合理的にできないんじゃ常務さんになれないと思いますから、常務さんにひとつりっぱな答弁をしていただきます。
  59. 豊原廉次郎

    豊原説明員 ただいまのお話の問題は、これはもうよく御承知のとおり、国鉄の長い歴史の間で非常に多くの議論が出たところでございまして、車両の検修の一元化の問題ということ、それから先ほどおっしゃいました車両の運用の問題と修繕の問題との関連ということ、また予算制度の問題ということがからみまして、非常にむずかしい問題でございますが、御承知のように数年前に国鉄の部内に車両検修委員会というものを持ちまして、今後の車両検修のあり方についていろいろ議論をいたしました結果に基づきまして、いまもろもろの施策をやっておるわけでございます。それで出ました結論に対しましてもまだいろいろな議論が絶えないところであります。  それで、車両は大きな修繕は確かに工場が主体となってやっておりますが、そのほか管理局側にも小さな修繕をするところもございますし、また車両のいたみ方を見る目を持った者もおるわけです。それらの総合力を発揮する体制というものはどうあるべきかということをいろいろ考えました結果、いまのような体制になったわけでございまして、私どもはこれで百点満点というふうには考えておるわけではございませんけれども、これは御承知のような非常にむずかしい問題でございますので、いつでもよりよい車両の検修体制というものについての研究は怠っていないつもりでございますが、われわれのただいまの研究の過程ではいろいろ問題は残っておりますけれども、現在の体制というもので進んでいくのがいいんではないか、こういうふうに考えております。いま先生のおっしゃいますような、工場にすべて予算も修繕計画も全部を渡すという考えも確かに部内にもございます。ただしかしそこまでいかないでも、本社、支社、管理——支社の中に工場もあるわけでございますが、そういうところでみんなが協力して、いい車両修繕をやり、車両の安全な運転ということを目標にしましてやっていけば、満点とはいかないまでも、りっぱな車両検修ができるだろう、こういうふうに考えております。
  60. 野間千代三

    野間委員 いまの問題は短時間ではなかなか解決もつかない問題なので、別の機会にまた検討をさせていただきたいと思います。  それで、いまの問題に関連をするのですが、あと一つだけお聞きしますが、修繕を担当している部分なりで、あるいはいま常務の言われた総合的なところで見て、廃車の計画をしますね。廃車の指定をされますね。そうすると、その廃車の計画なり指定なりをされたものが実際に線路の上を動くということはありませんか。
  61. 豊原廉次郎

    豊原説明員 廃車の権限は本社に保留しておるわけでございまして、本社におきまして廃車するときめたものが本線上を走るということはないように考えております。
  62. 野間千代三

    野間委員 これはもう少し実情を調べてみますけれども、本社のほうで廃車の計画が行なわれたものが実際に線路上動いている、特に貨車などで私は見受けられるのじゃないかというふうに思うのですが、これはあるいは廃車に該当をしている、あるいは指定をされていると同じようなものが、実は廃車になるべきなんだけれども、指定をしないで動かしているということはあると思います。これはいま直ちに答弁を求めませんが、時間を得て私のほうでも検討をしておきます。調査をしておきますが、そういう傾向のものは私は現実の問題としてあるというふうに判断をしているのです。ですから、これは本社のほうでも十分に調査を願うことと、また別の機会に触れたいと思いますが、問題として、廃車計画に入っているものが動いているかどらか、あるいはそれと同列の廃車にすべきであると考えられるものが多数あるんだけれども、それが動いていて、廃車に指定されたものが非常に少ないというようなことはあるんじゃないかというふうに思いますから、これはひとつ御調査をいただきたいと思います。  それでは以上で、車両修繕体制の問題について、工場長の権限等の問題についてはまた別の機会の御相談をする機会を得たいと思います。  次に、通勤輸送の問題を実はきょう少ししたがったのですが、時間がございませんので、次の委員の方に譲りますが、本社で出しました昭和三十九年六月の設備投資計画案がありますね。これは七年計画の基本になったやつですね。これで大体先ほど常務の言うように進んでいるわけですね。五年の計画が七年になりましたけれども、これが基本ですね。その基本の冊子の八ページ、九ページに最混雑時、一時間の乗車効率という表があるんです。これはあとでけっこうです。その表に、ここに列挙されている中央快速、中央緩行、総武という線名が出ておりますが、これは通勤輸送に非常に関係のある部分と思います。したがって、これが表には、混雑を緩和をするために改善をすべき車両の増、編成を長くすること、あるいは線増とかいうようなものが入っているわけですね。これができておりましたら、四十年度にはこの部分の中でどの程度までやるのかという点について、できましたら、資料要求をしておきまして、第三次七年計画の問題として、通勤輸送についてどういう計画で進んでいくのかということについて、別の機会に質疑をしたいと思いますので、この部分は保留をいたしまして、以上で本日は終わります。
  63. 長谷川峻

  64. 泊谷裕夫

    泊谷委員 時間の関係で端的にお尋ねをしますから、要点をお答えいただきたいと思います。運輸省の事務次官が見えておりませんので、鉄監局長にお尋ねいたします。  政府が肝いりでつくりました日本国有鉄道基本問題懇談会ですね、これは歴史的に見まして国鉄の数多い審議会、特に国鉄経営に関する審議会に基づいて設置されたものと私は理解しておるのですが、従来の審議会の重要な点は何かというと、一つは公共性と企業性、二つの目は公共負担と独立採算制、三つ目は従業員と理事者、俗にいう当事者能力の問題ですが、四つ目は運賃決定と政府の監督方式、この四つが重要な柱であったと思うのですが、各省の次官が中心になりましておきめいただきましたこの懇談会は、これらの予盾を抜本的に解決するという方策を明示せずに、ただ企業努力と称される合理化と運賃値上げに解決の道を求めたということは、端的にいって従来の抜本的な解決策の隠れみのにしたのではないかと私は理解をするのですが、どうしてこういうことに質的な変化を来たしたのか、その事情をまず明らかにしていただきたいと思います。
  65. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御指摘の日本国有鉄道基本問題懇談会ですが、これは実は法令の定めをする事務的ないとまがございませんでしたので、三十九年四月二十三日の関係事務次官等の申し合わせによってつくられたものでありまして、その設けました趣旨は「日本国有鉄道の経営改善に資するため、日本国有鉄道基本問題懇談会を設ける。懇談会は、日本国有鉄道の経営に関する基本問題特に昭和四十年度以降の五箇年計画及びこれに対する資金確保の方策について、調査審議する。」ということでございまして、この申し上げました特に四十年以降の計画及び資金確保の方策ということになりましたので、その審議の結果も御指摘のように比較的範囲がしぼられたものになっているというふうないきさつがあったわけでございます。
  66. 泊谷裕夫

    泊谷委員 先日の予算委員会の分科会における松浦運輸大臣の答弁、本委員会における松浦運輸大臣の答弁というように、本質的に国鉄の公共性と企業性の問題についてとるべき措置、こういうものが、従来に見られない意欲的な姿勢が示されておるわけでありますが、これらの問題は当然昨年末予算編成を前にしての懇談会であったので、それについては触れられなかったけれども、今後抜本的な検討を開始される、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  67. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 先ほど申し上げました懇談会は、設置期限は三十九年十一月三十日ということでございますので、この懇談会は一応、答申と申しますか、結論を出して終了したという形になっておるわけでございます。
  68. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうしますと、鉄監局長、どううまいことを言っても、一部分の財政措置だけとられて、あとの措置は手を染めないということになってしまうわけでございます。松浦運輸大臣、この点は昨年、池田さんのときに、日本の交通戦争——よく大臣が言う交通戦争を何とかしなければならぬ、物価とあわせて、これで膨大な答申書ができまして、総合的な交通体系と諸般の交通政策というものを特別法を立法しなさいということを提起しておるのでありますが、いまの問題を含めて、大臣としてこれを検討される用意があるかどうか、これを一言でいいですから、お聞かせいただきたいと思います。
  69. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先日も、いまお話しになりましたように、伊能委員から総合的な交通政策いかんという御質問がありまして、それに対しましてお答えいたしましたから、速記録には全部載っております。しかし、ただいままた同じような意味において、ちょっと性格が違いますが、御質問がありましたから、私の考え方を端的に申し上げてみたいと思います。  日本経済は、最近において非常な伸長をいたしておりますことは言うまでもありません。民間経済は、非常な勢いをもって伸びております。しかし、この民間経済が伸びておる割合に対しまして、政府の各般の総合的な国策が、いわゆる公共投資がこれに追いつかない。追いつかないどころじゃなくて、問題にならない状況になっておりますのが現在の状況であります。  ちょっと話が長くなりますが、一つの例を申し上げますと、私どもは、戦争のときに、なべかまあげてスクラップをつくって、鉄の生産をいたしました。最高ピークが六百五十万トン。それも、三カ月しかそのピークが維持できなかった。そうして、戦争が終わって負けたときには、七十万トンの鉄の生産がめんどうであった。一千万人の餓死者を出すであろうといわれていたときの食糧政策を立てるためには、どうしても——農具をつくる鉄を各県で分けるのに、七十万トンの鉄ではどうにもならぬという状況でありましたが、民間の努力は、この二十年の間に四千百万トンの鉄を生産するに至ったわけです。それは実に約六倍です。戦前の最高ピークの六倍でございます。また油はどうかというならば、三十九年度の末には大体八千八百万キロリットルになるであろう、四十年度は一億になるであろう。この二つの線を見ると、日本の産業というものは著しく伸びておるのです。それに対する政府の施策というものは、ひとり輸送だけではありません、あらゆる公共投資についてこれに追いついていない。これはちょうど引き揚げ民がどんどんと外地から引き揚げてきた。食うものがない。山に入れておけば何とか食うだろうというので、全然農業政策というものを立てないで、二十七万戸の農民を全国の山野に入れた。そうして、農業土木に対して約束があるけれども、現在二十年たってその四割に達しないのです。道路のないところ、学校のないところに入れて、そうして突っ放している。結局、今日の農業構造改善の場合に、この二十七万戸のうちの三分の一は離農してもらいたいということになってきたというような状況であります。これはすなわち公共投資というものが農業経営に対してそぐわないから、こういうことになったのであります。ちょうど企業も、これほど極端ではないが、えんきょくに言うならばこの状況であります。この姿が、私は二十七万戸の農業の人々が、通るに道なし、渡るに橋なし、通うに学校のないところに入れられて困っておる姿が過密ダイヤの状況であると私は思う。でございますから、過密ダイヤの解消、あるいは幹線その他支線におきましても、輸送力の乏しいところに対しましては、複線電化というものに対して徹底的にやらなければいかぬ。あるいは複々線の問題も考えなければならぬ。特に人権尊重の現在の内閣でございますから、危険防止に対しましては、ひとり踏切のみならず、先ほど来野間さんからいろいろお話のありました四十五万人の従業員の人命尊重に対しても十分考えなければならぬ。そういう施設が全然ないのです。これはいま泊谷さんが御指摘になりました点でございまして、せめても今度の新長期計画というものによりまして、その一部分でも直ればと私は思っておるのです。しかし、御安心願いたい点は、いままで第一次計画、第二次計画がありましたが、これは国鉄と運輸省だけでつくったものであって、閣議の決定をしておらなかった。今度は皆さんの御援助を得まして、七カ年計画において二兆九千七百二十億というものが閣議の決定を得ました。でございますから、その範囲内の仕事は一応行ないまして、なお御指摘の不足な点、いまいろいろ五つの柱をあげられましたが、その他のいままで全然手をつけていなかった福祉政策に対しましても、今後十分に努力をしていきたいと思っております。
  70. 泊谷裕夫

    泊谷委員 松浦運輸大臣の一生懸命に改善しようという意欲は、私も胸を打たれました。今後の努力を特にお願いいたしておきまして、時間の関係がございますから、これから、問題を国鉄中心にしぼってお尋ねしたいと思います。  石田総裁は経済界出身でありまして、国鉄の監査委員長を長くおやりになっておりまして、国鉄の運営について抜本的な方策をお持ちであったわけでありまして、特に昭和三十八年日本国有鉄道監査報告書、第三次長期計画の樹立の項で、計画遂行体制をも考慮した要員計画及び資金計画、さらには人件費、労賃、物価などの変動をも考慮した財政計画を含む総合的経営計画の策定が必要だと指摘されておるのでありますが、これについての体制が確立されたかどうか、お答え願いたいと思います。
  71. 石田礼助

    石田説明員 御質問の点は、つまり今度の第三次計画というものによって結局実現されたわけです。いままでは、第一次五カ年といって、これはもう修理に終始して、輸送力の増強はなかった。つまり経済というものはしんしんとして発展して、輸送需要が非常に増大したが、輸送力はこれに追っつかない。始終しりばかり追っていた。それで結局、これではだめだということで、途中でできたのが第二次計画。しかし、これもとても計画が小さくて、輸送需要を満たすようなわけにいかぬ。しかも、これが、さっき松浦大臣もおっしゃったのですが、要するに国鉄、運輸省の案で、年々歳々大蔵省の遠慮会釈なき査定、つまり減額されるというようなことで、このほうも計画どおりにいかなかった。ただ、その中で計画どおりいったのは東海道新幹線のみ。その他の点は、つまり五カ年で計画成就すべきものを、五カ年にしてようやく七割前後の遂行率にすぎなかった。そこで私は、監査委員長の時代に、もう少しほんとうに確実な計画を立てて、それが実行できるような案にしなくちゃいかぬということを交渉いたしました。つまり今度の第三次計画、つまり運輸省や国鉄の案でなくて政府の計画としてやって、同時にそれに対しては財政的な裏づけをしてもらう、こういうことでやったのが第三次計画でありまして、昭和三十八年に私が監査委員長として申し上げたことは、ようやく今日にして実現された、こういう状態になっております。
  72. 泊谷裕夫

    泊谷委員 きょうは時間がありませんから、その具体的な内容はお聞きしようといたしません。後刻適当な時期にしかるべき人を通じてその内容を明らかにしていただくことを期待いたしておきます。  次に、せっかく大臣、総裁に御努力をいただきました第三次長期計画は、昭和四十五年まで三千二百キロの複線化がその中核をなしていますね。東海道新幹線に見られるように、国鉄の一番苦悩の多かった、そして資本の投下の大きかったのは用地の取得であったと思うのです。この複線化、電化に伴う用地取得については、昭和三十六年に土地収用法の改正がありましたけれども、この土地の収用に見通しが立っておるか、またどういう悩みがあるのか、この点端的に説明をいただきたいと思います。
  73. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 昨日も経済閣僚懇談会の席上にこれが問題になって出まして、宅地法という名目のもとにできておるのでありますが、道路鉄道、空港、港湾あるいは埋め立て用地というようなものに対しましても適用することになっております。一応案はまとまっておりますが、まだ細目にわたって検討するところがありますので、これに直接関係のある省が小委員になりまして今後検討いたしまして、近いうちに成案を得て、そして現在ある収用法の中にさらに宅地の価格を暴騰させない方法を講ずるという案が今度できるのでございますから、いままで東海道新幹線でああいう御苦労をなすったようなことは今度は繰り返さないで済むのではないか、かように思っております。これは今年中に必ずでき上がります。
  74. 泊谷裕夫

    泊谷委員 国鉄の見通しを尋ねたのですが、大臣がそれだけ気を配っていただいておりますから、ひとつ大臣にさらにこの際申し上げておきたいのですが、土地を使用する場合に、との取り扱いでも、アメリカやイギリス、フランス、イタリーなどとはたいへん違いを見せています。時期的な判定がずれるために地価がさらにつり上がって、土地収用の価格がたいへんかさ高になってくる。こういうことも特に配慮いただきまして、運輸大臣として当面の処理に英知を傾けていただきたいということをお願いをいたしておくだけにとどめおきます。  計画問題全般の問題でありますが、いま複線の問題を取り上げました。そこでこれは北海道中心で少し我田引水になるかもしれませんが、特に国の投資が多い、しかもその五割も集中されております東海道沿線が、もうどうにもならぬ状態を来たしておる。それと同じような現象が、北海道の開発予算にも、昭和三十年から三千九百億、四千億近い投資がなされておりますが、北海道の開発予算と国鉄の比は十対一という開きを見せておりまして、国鉄当局並びに運輸省が力を入れております青函トンネルの開通、さらには全国的な二百八十一線の主要線区を見ましても、ほとんど電化が完成したり着工しておりますが、鹿児島線と並んでおります函館本線は、密度で見れば、北海道支社が出した資料によりましても十七番目に位しております。その前後はほとんど手を染められたり完成したりしておるのですが、今度の一千億の北海道の開発投資とからんで、この電化計画については、国鉄の第三次計画の中に入っておるのでございますが、具体的な着工のめどを示してやることが、北海道開発のために、また本州と北海道の距離を縮めるためにも必要なことであると思うのでありますが、これは大臣の管掌事項になっておりますので、松浦運輸大臣から、まず具体的にどう着手させようと考えておるのか、この方向を明らかにしていただきたいと思います。
  75. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 まだ私は、これはどこからどのくらいのキロワット時を今度の計画でお使いになるかということを聞いていない。これは不勉強なんで、あとは鉄監局長から申し述べさせますが、いまのあなたのお話は、北海道の開発計画と関連をしつつのお尋ねでございますから、私もそれに関連をしつつお答えをいたしたいと思います。  現在の石炭の埋蔵量の中で一番多くあるのは北海道で、そのうちでさらに蓄積の多いのは天北炭であります。これはカロリーが非常に低くくて遠方まで輸送してきて、とても運賃を負担する能力は乏しいが、しかし五千カロリーないし五千八百カロリーくらいはあります。それでこれらのものはいままで小企業で始めたけれども、今度の整理でほとんど参ってしまって、残っておるのは、羽幌炭及びその他二鉱くらいしか残っていない。しかし埋蔵量は相当あります。そこで私の考えは、国鉄はいままで志免炭鉱なんかやって失敗したかどうかわかりませんが、とにかくやったんですが、そういう直接国鉄にやらせる必要はありませんけれども、企業者との間に一定の石炭の電力量の契約を結べば、企業者がみずから炭を掘って山元で電力を起こし、そうして遠方まで針金で送らないで、宗谷線なら宗谷線、あるいは函館線なら函館線、あるいは中部札幌地方なら中部札幌地方というところで売ればロスも非常に減るということで、北海道の産業開発には一石二鳥になるのでありますから、北海道の電化に対しましては、いまどういう計画を立てておられるか、これからひとつ鉄監局長のお答えを聞くのでございますが、私は北海道の総合開発計画国鉄の複線電化は結んで考えるべきであるということを私の考えにしております。
  76. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 国鉄の電化計画については、長期計画の中に織り込んであるわけでございますが、いま年次別の細部計画は、国鉄のほうからお答え申し上げることにいたしたいと思います。
  77. 豊原廉次郎

    豊原説明員 いま先生からお話がございましたが、長期計画の中に、函館本線、室蘭本線、千歳線という電化計画があるわけであります。全国的な電化計画がたくさんございますが、これをどこからやっていくかということにつきましては、ただいま実は部内で検討中でございます。ただ、先般も、先ほど仰せのような北海道全体の開発計画との関連で北海道の支社長が本社に参りまして、非常に詳細な説明をいたし、北海道電化に一日も早く手をつけなければならぬということを力説しておったわけでございます。私どももそのことは十分に理解をいたしたわけでございます。  ただ、今度の長期計画には、資金的な裏づけは、政府のほうにおいても非常に力強いお話を伺っておるわけでございまして、四十年度につきましては、御承知のような事業債の増大、特別債の増額という問題がありまして、その消化とからみ合いながらやっていかなければならぬと思っております。
  78. 泊谷裕夫

    泊谷委員 地方的な問題ですからこれでやめますけれども、大臣、これは先ほど指摘しましたけれども、北海道だけに限定して考えますと、鉄道事業予算と開発予算は十対一です。開発予算がどんどん進んで、道路整備と相待って、電化というものが他動的な力で急がれてくるということが強いわけでありまして、国鉄の財政規模だけでこの問題をこなすということには問題があるのではないかと思うのであります。したがって、この問題は、開発庁との関係においても、特殊の配慮を払って、一日も早く着工のめどを明らかにして、いまから用地取得その他の準備をすべきだと私は考えるのですが、そういう御配慮がいただけるかどうか、この点について、大臣並びに開発庁の小熊監理官が見えておりますから、お答えをいただきたいと思います。
  79. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 いかにも函館、室蘭線その他ということで、どうも北海道の電化の線が短いような事実がございますが、私は北海道から出ているから無理にやれとは言いません。それは他の方面と比較して、均衡のとれるだけでは北海道の開発にはならないのです。  ここで一言だけ、それでは何か北海道の者だからと言われると困るのですけれども、これは国策として申し上げているのです。北海道は大体において、北海道を除いて、四国、九州、本州の面積で北海道を割れば三割です。全体の四つの島で割れば、北海道は二割五分になります。三割の面積を持っておる。人口は五分であります。そして資源は、今後さらに地下資源は、先ほども申し上げましたように全国の石炭の埋蔵量の半分以上は北海道であります。それは無限に眠っているのです。そういうことをお考えになりまして、今後津軽海峡のトンネルを掘るということになれば、津軽海峡のトンネルを掘って……(「それは閣議の問題だ」と呼び、その他発言する者あり)これは皆さんの啓蒙が足りないから申し上げておるのです。私はそういう国土を持っておりながら、国土の開発をしないという民族はおかしいと思うのです。だからして、その点をお考えになりつつ案を立ててもらいたい。  そこで、いまここでお聞きしたいのは、開発庁の方々がお答えになる前に私が申し上げたいことは、一体北海道の今度の新長期計画の閣議で通りました案の中で、北海道の電化に何キロワット時お使いになるかということによって、初めて私は開発庁のほうのお答えが出ると思うのでありますが、そのことを私はわかっておりませんから、先に答えていただきたい。
  80. 長谷川峻

    長谷川委員長 それは閣議の問題ですから……。
  81. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 はっきりしてないから、そう申し上げたのです。
  82. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大臣、こうなんです。いろいろあるけれども、図表で出ている白いところが本州でもまだ残っている、羽越線なんか電化しなければならない。それでどうしても密度の高いところ五十線をとってみて、国鉄内部の事情として、北海道の開発計画と結んで優先にやらなければならぬ順位にきているものがある。ところが国鉄はあまり銭こがないので、これは北海道の開発予算と鉄道の予算とが開きがあるので、大臣として、開発予算の中で考慮されるように調査費その他、それを閣僚の一人として努力していただける気がありますか、またそれに応じて開発庁はその案に乗って努力していただける気がありますか、こういうことをお尋ねしているわけです。
  83. 小熊清

    ○小熊政府委員 開発庁は北海道の総合開発を立案いたしまして、その推進をしておるわけでございます。ただいまお話しの北海道の鉄道の電化のことにつきましても、開発計画でこれにつとめるということになっております。したがいまして、開発庁といたしましても、計画の調整、推進という立場で、運輸省あるいは国鉄のほうと十分御連絡をとりながらその実現を期したい、かように思っておるわけでございます。  また運輸大臣からお話が出ました電力の事情等につきましても、もちろん開発全体の計画の中から処理してまいる事柄でございます。私、ただいま手元にこまかい数字を持ち合わせておりませんが、さようなことで全体のバランスをとりながらやってまいりたいと思っております。
  84. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは電化の問題はさらにひとつ御検討いただいて、すみやかな着工をお願いいたします。  国鉄三次計画が三千億の工事を許されたわけでありますが、この線増、主要改良工事の施行体制ですね。この諸工事量消化について、東海道線のような大きいのは別に機構をつくっておやりになりました。今回、その機構上に変化があるかないのか、それからこれに対する委員確保その他について自信がおありなのかどうか、この点について豊原常務にお願いしたいと思います。
  85. 豊原廉次郎

    豊原説明員 今度の長期計画に対処いたしまして、機構的には新幹線の場合には本社の中に新幹線局というものを設けたわけでございますが、今回はそういう工事が各般にわたることでございますから、新長期計画は、これは国鉄の総力をあげてやるという体制でございまして、特別に局を本社に設けるという考えは持っておりません。ただ現地におきましては、工事量が非常にふえるわけでございますから、所要の地方の工事局の増設並びに充実ということはやらなければならないと存ずるわけでございまして、具体的には東京に第二工事局を設け、また大阪にも第二工事局を設け、仙台に電気工事局を設けるというような、現地の工事局の増設、増強ということをやると同時に、仕事のやり方にいろいろ検討を加えまして、設計の標準化、また外注に付し得るものは外注をする、それから工事の価額をはじくための積算を単純化いたすということのために、これは本社に特別の機関を設けまして、積算の単純化について研究を急いでおります。できたものからどんどん現場にこれを移して、実施させていくということにつとめております。  工事の消化体制といたしましての概要は以上のようなことでございます。
  86. 泊谷裕夫

    泊谷委員 新幹線のような特定のものをつくらずに、持つ技術をフルに動かしてこの工事をこなそうという考えは、わかりました。だが具体的にどんなものでしょうか。土木技術屋にしても電気にしても、それから後ほど具体的にお願いをしようと思いますが、列車あるいは機関車乗務員、俗にいう技術屋、これがほとんど求められないという情勢にあるのじゃないかと思うのですが、これに対する方策はどうですか。
  87. 豊原廉次郎

    豊原説明員 まず工事につきましては、これだけの工事を消化するのに、いま申し上げましたようないろいろな仕事のやり方、また技術的な改良ということを前提といたしましても約六千名ぐらいの要員の増加が必要ではないか、こういうふうにただいま考えておりまして、四十年度の予算案におきましては、工事関係で二千名の増員、また現在線のなれた者を千名持っていくということで、合計三千名の要員を増しましてこれに当たる。もちろん六年間べったり毎年毎年要員増ということではございませんで、やはり設計なり計画なりを立てます、また用地買収を進めるという当初の一年、二年というところに非常に人手を要するわけでございますが、いま申し上げましたように、四十年度では三千、四十一年度以降に残りの三千というものを増加して、この工事の消化に当たりたいと考えておるわけでございます。  その六千名の大きな内訳は、主としてほんとうに工事に当たる者がそのうち四千五百名、設計要員として千五百程度、大ざっぱな話でございますが、そういう割合で考えておるわけでございます。  また列車の増発による運転要員の増加ということも当然出てくるわけでございますが、御承知のように、要員の確保というものはだんだん困難になってきておりますので、動力車の運転に直接当たる者だけでなく、その他の所要の職種につきましては、ただいま高等学校卒業者の採用と同時に中学卒業者を国鉄の養成機関に直接入れまして、所要の養成をして現業に配置するという手だても講じ、また初任給の是正等もございますが、その他の職場環境の整備等もはかりまして、人員の確保につとめたいと考えておるわけでございます。
  88. 泊谷裕夫

    泊谷委員 線増工事は、非常に具体的に考えてみますと、特に都心部、また郊外になりましても、民家が接近しておりまして、この工事は安全確保上からたいへん困難を予想されるものだと思うのです。ただ純然たる工事要員だけでなくて、安全確保に対する施策というもの考えてみなければならぬのではないかと思うし、それから、うちの持つ技術陣でどうにもならぬ場合には請負に出す。ところがいまの請負業者が工事施工の力量があるのかどうか、これがひとつ知りたいところなんですが、いかがなものでしょうか。以上二点について伺いたい。
  89. 豊原廉次郎

    豊原説明員 仰せのように、工事に伴う安全確保ということは非常に重大な問題でございますので、部内におきまして、部内の監督に当たる職員の安全に対する教育ということと同時に、部外の実際に現場で工事をやる請負業者等につきましても、列車の安全に対する十分な教育を要請し、また指導をしているところでございます。  あとの問題の工事能力につきましては、ただいま国鉄といたしましては、部外業者の工事能力には不安がない、こういうふうに考えております。
  90. 泊谷裕夫

    泊谷委員 先ほど常務の口から、高校卒あるいは新中卒を大量に求めておるというお話がありましたが、東京鉄道管理局では、青森あるいは北海道に人を求めに行っている。またほかの企業は沖縄まで若い働く人を求めに行っているというのが実態であります。特に国鉄業務——国鉄で育ったから言うのではなくて、国鉄業務というのは採用する人にたいへん質的な注文がつく業種であると思うのです。であるだけに、この求め方にたいへん問題があろうと思います。一面、現場で国鉄を守っておる者から見ますと、国鉄職員のうち三十歳から四十歳までの年齢層が全体の四五%を占めているということが出ていますね。年齢平均三十七・三歳というたいへん高齢なんです。二十歳未満の者はわずか〇・九%しかいない。極度に低い数字を示しておるのですが、人事運用上もこれは問題が出てくると思いますが、これについて総裁はどう改善されようとしておるか。  それから、これにあわせて、どうしても人が求められないから、当面の措置として、定年制の制限年齢を少し延ばしてはどうかという話もちょいちょい出ているのですが、これらに関して総裁から考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  91. 石田礼助

    石田説明員 泊谷さんの御質問は、要するに国鉄の年齢構成の是正をどうするかということに帰着すると私は思いますが、実はこれは実に頭の痛い問題なんであります。御承知のとおり、国鉄の三十七年の四月の調べによりますと、現在よりは総員において少なくなっていますから四十四万二千人といたしまして、そのうちで三十歳から四十歳の者が五〇%を占めている。要するにちょうちん型になっている。これは理想からいえばピラミッド型が理想なんですが、国鉄はこの点では実にひどい。これは単に国鉄ばかりでなくて、日本における大きな企業はある程度まではそうなんですが、特に国鉄においてひどい。たとえば三十歳から三十五歳までの人間が総数四十四万のうちでもって十一万四千人、それから三十五歳以上四十歳までが十一万を占めている。合計すると全体のちょうど五〇%である。  そこで、いま人力の問題というお話がありましたが、これはひとつ今後とも大いに努力いたしまして、若い人間を大いに養成することにつとめますが、実は私として国鉄で一番頭の痛いのは、この三十から四十までに集中しておる大きなこぶの職員が退職するときの退職手当をどうするかということ、これが一番大きな問題なんです。現在国鉄としては退職手当が、三十八年度においては二百三十六億、三十九年度においては二百六十億、四十年度においては少し減りまして——人数が減るからだと思いますが、二百五十億ですか、もっともこの四十年度の二百五十億なんというのは、四十年度にまたベースアップがあると思いますから、それはコンシダレーション、考えに入れないで二百五十億、それが約一万人ですね。ところが三十から四十の間においては、これが一躍して二十二万以上になる。これはたいへんなものです。一年に平均するとまず二万二千人の退職者が出る。結局、現在における割合に比べると倍以上になる。一体この退職金をどうするかということが大きな問題です。現在でもとにかく二百六十億ですから、この人たちが退職する時分になりますと、何回かのベースアップがありましょうし、したがって、それだけ退職金がふえるわけであります。これをどうするかということ、これは私なんか生きているうちに起こる問題ではなく、死んでからの問題ですが、要するに問題は、国鉄としては考えなければなりませんので、三十五年の五月に要員対策委員会というものを設けまして、この年齢構成の是正ということをひとつ何とか解決しようじゃないかということでやったのですが、その答案は要するに、四十年から約一万五千人の人間を淘汰せよ、配置転換せよ、こういうことです。配置転換をするということばはいいことばのように聞こえますが、これは国鉄内部で配置転換をするということは事実できない。配置転換したって、結局人間に変わりありませんから、ほかへ出すということになる。一体ほかへ、どこへ持っていくか、こういうことになると、国鉄で子会社でもつくってそのほうへ持っていくとかなんとかいうことなんだが、こんなことを国鉄がやった日には、結局主客転倒で、そのほうに非常に金が行くだけで、かえってこのままでやったほうが安くつくということになりますので、結局そんなことはできやせぬ。だから委員会のこの結論の大半は実行不可能だ、こういうことに目されておる。  その後それじゃどういう対策をとったかというと、とにかくだいぶ遠い問題であるし、それにかかわらず国鉄の目の前に解決しなければならぬ大きな問題を控えておるからということで、目の前の火事を消すことに全力を注ぎまして、これに対してあまり力を入れてないのです。どうしたらいいかということは、実は私にも確信がない。これはひとつあなた方の力をかりて、どうしたらいいかということを、いつかはやはり解決しなければいけない。もしもできれば、これから国鉄は大いに収入源をふやして、そうしてこれに対しては年々積み立てでもしたいと思いますが、事実私はそういうことはできぬと思います。そんな金があれば、国鉄の輸送力をふやすことにまず使わなければならぬというようなことで、この問題は実は頭の痛い問題なんです。どうしたらいいかということです。しかしいずれにしても、これから国鉄は若い人間がたくさん要るということは事実なんでございますからして、これに対しては多少手は打ってありますが、今後ともますます力を入れて、そのほうに努力したいと思っております。
  92. 泊谷裕夫

    泊谷委員 時間がないので、悩みをずっと並べられるのはいいのですけれども、むずかしい問題ですが、端的にお答えを願いたいと思うのです。  総裁、お金のほうから退職金の悩みとして訴えられますけれども、四十五万近い人が鉄道で育ってきたその気持ちというものは、いつか、まじめにやっていれば駅長にしてもらえる、区長にしてもらえる、この人事異動というものは重要なことです。この姿勢が確立しなければ、いかに財政的な措置をしても、運転事故は阻止できない、私の二十六年の経験ではそういう考え方を持っておるのです。五十五で切る、大きな層がそこにいって、区長、駅長になった人は満足するでしょう、だが、おれはもうなれないという人は、とみに勤労意欲を失ってくる。これが一番おそろしいと思うのです。ですからちょうちん型になっているといっても、これを改善する最低の基礎は新規採用、若手を数多く求めてくるのだ、あるいは公団などができたときに、うちの技術を売るなり、うちの手元で安く住宅を建てるために出向させるという措置をとって、五十五歳の年代を少し延ばして調和をとるということしか方法がない。このままでいくならば、ぽんと切れてしまって、人事異動の面で、さらには事業そのものも停滞してしまうと思いますので、新規採用に対する具体的な方策、せめていま中間がだぶついているところを削るという方策ができないにしても、先を延ばして調整をとる。これは退職金の調整にもなると思います。これについてどうでしょう、豊原常務でも総裁でもいいですから、お答え願いたい。
  93. 石田礼助

    石田説明員 退職金の問題にからんで、いまの退職時期を延長するという問題ですが、退職時期を延長するということは、要するに後進の道が開けるのがそれだけおそくなるということになりまして、これは国鉄仕事の上からいって、はたして五十五歳という定年を延ばすことが実際いいかどうか。これはまたそこを考えなければならぬ。いずれにしてもこの問題については私はこうしたらいいという案をいま実は持っておりません。これは今後ともわれわれの検討におまかせ願いたいと思います。
  94. 泊谷裕夫

    泊谷委員 新規採用はどうですか。
  95. 石田礼助

    石田説明員 新規採用は、ひとつ思い切って今後やらなければならぬと私は考えております。  それから、さらに、三十歳から四十歳の諸君が退職されるということになれば、高給者が退職するということになるので、それに対するに若い人をもってすれば、それだけ給与は減るわけですから、退職金は幾ぶんはそれでもって埋め合わせがつくというようなものですが、しかし、なかなか月々に埋め合わせすので、時の上においてズレがある、こういうことです。いずれにしてもいま申された退職期間を延長するということも、これは一つ考え方かもしれませんが、仕事の性質から考えて、どうもいまここで私はそれがいいということに御返事しかねる。また、後進のために道をあけるという点からいっても、これは考えものじゃないか。しかし、いずれにしても、若い人間をできるだけ養成し、採用して、できるだけピラミッド型に早くいたしたい、こういうことで考えております。
  96. 泊谷裕夫

    泊谷委員 豊原常務、定年制は総裁からお話しがありましたからわかりましたので、新規採用の具体的内容を知らしてもらいたい。考え方国鉄のかまえ方です。  それとあわせて、なぜ私がそれを質問するかと申しますと、昨年十一月二十日現在、職員局の労働課の調べによります臨時雇用員の賃金表というものを持っております。これは最低三百八十円から六百三十円ということになっておりますけれども、いま東鉄の高いところで最高六百三十円、これは二十七管理局あるうち、数えるだけしかありません。込んでる電車のお客さんのしりを押す学生諸君に千円やらなければならぬのに、国鉄の新規採用の過程として臨時雇用員でとる者を三百八十円や六百三十円で求めようということ自体が、いまの他産業と対比して問題があるように思います。これも当然改定される意向があると思いますが、あわせてそれもお答えいただきたいと思います。
  97. 豊原廉次郎

    豊原説明員 今後の新規採用というものにつきましては、ただいま総裁がお答えいたしましたけれども、当面この長期計画、七年間要員につきましては、先ほど申し上げました工事の要員と、それから業務量の増に見合う要員二千人を採用、増員することにしたわけでありますが、今後につきましては、先ほどの国鉄基本問題懇談会の意見書にもございますように、職員をなるべく増さない努力をせよということがございますし、またこれは当然なことでもございます。もちろんどうしても必要な要員というものは、そのつど増員を行なわなければなりませんが、でき得る限り合理化によって人を生み出しながら、必要とする要員を必要とする職場に回していくという基本的な方針は変わっておりません。また臨時雇用員の賃金は、いまおっしゃいましたような金額で必ずしも高いものではございませんけれども、これはそれぞれの地域におきます労働の需給の情勢に従いまして適正な賃金をきめていかなければならないと思っております。その点は今後とも常にそういう労働の需給の関係を見ながら、適正なものにきめていきたいと思っております。
  98. 泊谷裕夫

    泊谷委員 新規採用の具体的内容を知りたいのでありますが、諸般の御都合があるようでありますから、適当な時期にまた方策を聞かせていただくことにして、資料をちょうだいいたしたいと思いますので、この際お願いをしておきます。  これから申し上げるのは、いまは国鉄全体の陣容について心配のあるところを尋ねたのですけれども、当面する問題でお尋ねをしたいと思います。  総裁がこの委員会で、私はもう運転事故はこり、こりだという話をよくされます。国鉄職員はまた一生懸命働いておるが、隣の線との距離がないために、つまづけば大きな事故になってしまう、その改善策は君ら代議士の双肩にかかっておるというような話をよく聞かされるのですけれども、そこで具体的に最も心配なものというと、過密ダイヤによりまして信号機が乱立されますね、停車場を多くするために、数多い列車を入れるために信号機がたくさん立っている、逆に列車のスピードは上げなければならない、そういうことで特にこの機関車乗務員、列車乗務員の問題でありますが、これらの人々は従前の仕事とは違った精神的なものを強く要請されるのでありまして、中央線ではわずか四・四キロ、一里ぐらいのところに信号機が十六本もある。それから問題のありますのは、ところによっては百七十三メーターのところに十両編成の電車を入れなければならないので、頭としっぽはこの信号から飛び出してしまう、こういうことをして、いま刻下要請されている客貨の輸送に精進しておるわけであります。しかもここを最高九十五キロで走らなければならぬ、それを逆算してみますと、十一秒間隔で一本の信号を間違いなく的確に確認をして、数多い大事な人の命を運んだ電車を前に進ませなければならないのでありまして、これは当然いま何らかの措置をといっても、当面従前採用してきた二人乗務という制度をとるよりほかないと思うのであります。  聞くところによりますと、運心三十三条を変更いたしまして、これを逆に乗務数を減らすというような話があるのですが、私としては、総裁があれだけ熱情を傾けて、私どもに訴えておる構想と大いに矛盾をすると思うのです。これは当然二人乗務が確保されてしかるべきだと思うのですが、いかがでありましょうか。
  99. 豊原廉次郎

    豊原説明員 おっしゃるように、列車をたくさん入れるためには信号機の数をふやすことが一つの重要な手段でございます。それによりまして信号を見る回数がふえる傾向にあることも確かに事実でございますが、それと動力車乗務員の二人乗務を原則とするかどうかということは、これは一人よりも二人おれば安全度がそれだけ高くなるという考え方もございますが、またそれだけにたよるということでは、これだけの列車が走っておりますので、膨大な要員を要するということにもなるわけでございまして、私どもといたしましては、保安設備の増強ということで、たとえば列車の自動制御装置というようなものを極力取り入れまして、その方面から安全を確保しながら乗務員の数はでき得る限り安全を確保し得る限度でとめていきたい、こういうふうに考えております。
  100. 泊谷裕夫

    泊谷委員 安全確保のために機械化する、合理化するということ自体に私どもは反対しようというのではありません。昨年本院において国鉄の事故防止対策に関する小委員会が設置されまして、そこでも参考人のNHKの村野さんとおっしゃいましたか、出て話をされていましたが、機械化することそれ自体はいいけれども、国鉄の進行回路は進めとかとまれの前後に強いけれども、隣接線に影響する信号回路の開発が困難でありますので、機械化されたが、人間が機械をこなすまでは、やはり人為的にそれを阻止するという措置をとったらよろしかろうということで、当時の川上常務はその案を肯定されておったのであります。具体的に考えてみますと、列車乗務員などやはり一分五十秒間隔で走りでおります列車が脱線したというときに、前後の車両よりも隣接線を走ってくる列車をどうとめるかということが急務であって、後部車掌の復活という問題も、具体的な問題になってきたわけです。しかも私ども働く者から言えば、昭和二十三年には、一日一人当たりの運転キロ数はわずか六十二キロ五百であったものが、三十八年度には百二十キロ、倍になっておる。しかも二人でこなしてきたものを、これだけ安全問題が政治的な問題となって、国民会議まで設置されるというような状況下にあって、運心三十三条を変更して、逆に人を減らすということは、私はどうしても無謀なような気がするのです。この点については特に列車乗務員、機関車乗務員、電車乗務員を含めまして、その考え方を、この際総裁から明らかにしていただきたいと思います。
  101. 石田礼助

    石田説明員 実ははなはだお恥ずかしい次第でありますが、私はあまりそういうテクニカルのことについてはわかりません。しかし事故をなくしたいという点については、最も熱を入れておるつもりでありまして、安全のためにはある程度まで費用というものは犠牲にしなければならぬ。費用のために安全を犠牲にするというようなことは、これは問題にならない。この点はよく関係常務と相談いたしまして善処することにいたしたいと思います。
  102. 泊谷裕夫

    泊谷委員 総裁のほうから善処を約束されましたので、それは後刻また部内で御協議をいただくことにいたしまして、次に進みたいと思います。  次は、これまた総裁が意欲的に示しております機関車乗務員、列車乗務員というものは、最近列車が込んできますと、どうしても夜間運行というものの密度を高くせざるを得ない。言いかえると、それは機関車乗務員なり列車乗務員が夜多く働かなければならぬという条件が強くなってきた。そこで日中休養をとる施設、宿舎、特に家におって必要な場合に呼び出す一種宿舎といっておりますが、昔は第一種官舎といっておりましたが、鉄道の責任において行ないます施設、宿舎施設、しかもそれがガード下やなんかで、ほとんど日中休まらないというようなことでは困る。これは総裁も指摘しまして、何とかしよう、こういうことを数多い機会に従業員に訴えられておるのですが、具体的にこの乗務員を中心にする一種の宿舎の増強計画というもの、それから内容の改良計画というものを明らかにしていただきたいと思います。
  103. 石田礼助

    石田説明員 今度の第三次長期計画の中におきまして、輸送の安全対策というものに対して相当に大きな資金を投入することになっておるのでありまして、そのうちの相当部分というものは気持ちよく、ほんとうによく休まれるような施設にする、こういうことになっておるのでありまして、これは着々としてやることになっております。これはついででございますが、従業員の訓練場所における宿舎の問題ともにやることになっておりますので、この点は御希望に沿うことができるだろうと思います。
  104. 豊原廉次郎

    豊原説明員 ただいまの宿舎の問題につきましては、第一種宿舎の今後の計画につきましては、ただいま資料を持ち合わせておりませんのでお答えできないわけでありますが、国鉄といたしましては、三河島の事故以来、運転事故防止ということに対して事故防止委員会というのを全社的に開きまして強力に推し進めてきたわけでございます。それの一環といたしまして、今回は職員の職場環境といいますと少し狭うございますけれども、生活環境、職場環境、作業環境ということばが使われるわけでありますが、生活環境も含めまして、十分休養がとれる、また作業場が安全であるというようなことを主目的といたします委員会を設置いたしまして、関係の人を集めまして、実はただいま全体の案を練っておるところでございます。いろいろなことはございますが、安全のためには職員が十分に休養できる、狭くいえば十分な睡眠がとれるということは非常に重要な問題でございますので、その点につきましては重点的に考えていきたいと思っております。  ただ、何ぶんにも膨大な資金を要する問題でございますので、完成までに相当な日子は要するかと思いますけれども、ただいまおっしゃいましたようなところに重点を置いてやる計画を早く立てたいといま考えております。
  105. 泊谷裕夫

    泊谷委員 検討中であるというので、後刻また聞かしてもらうことにします。  これは特に常務にお願いしておきたいんですが、いま機関車乗務員、列車乗務員、しかも一種と申し上げたのは、共済その他となりますと三百四十、読み方によっては九百三十もある職名がひしめき合ってぶんどりをやったのでは、とても必要な運転業務に携わっております、架線修理をしております。電気工事、あるいは機関車乗務、列車乗務、あるいは営業関係で見ますと、踏切保安掛あるいは構内掛といわれております転轍の仕事を担当する者、信号を担当する者、これらはやはり日中休養というものに十分気を配らなければならぬ。財源の問題もありましょうけれども、これを中心にしていただくというのには一種ということばを使ったわけでありまして、この点特に配慮をいただきたいと思います。  国鉄関係の最後になりますが、先ほど先輩の久保議員が求めましたのでどうかと思いますけれども、国鉄技術陣を確保するその典型的なものは、国鉄内部における養成機関の確立であったわけであります。それとあわせてそれに伴う人事運用、ここに国鉄の長い歴史の伝統があって、まともに学校を出ない者であっても、鉄道につとめればその教育を受け技術が習得できることによって学校出の皆さんと同じように育ててもらえるというところに今日の鉄道をささえてきた基礎もあるわけでございますけれども、現実は実にさびしい姿。機関車乗務員も、五十運行なら五十運行のテストをする。それを待って発令をしておるのが実態でありますし、教習所に昇格のためにとったが、その職場の補てんがない、こういうことでありますから、あわただしい気持ちで教育を受け、しかも規定にやっと合ったところですぐ昇格をさせられるということは、人事運用上、一つの格が上がったことで喜びを持ちますけれども、逆に自信のない者がこの仕事に携わるということは、その資格をもらわない以上に不安におののくという経験を私は持っております。特にこの養成機関の問題については重要視して考えてみなければなりませんし、国鉄が他産業と同じような技術習得者を同じ条件でとるということも困難な情勢でありまして、どうしても内部で養成すべきだ、こういう考えを持ちますので、これは抜本的な検討を加えていただかなければならぬと思います。  職場の例を申し上げますと、機関車乗務員に訓練をします。これは実ハンドル時間、乗務しているのは七時間三十分で計算をしますけれども、列車は七時間三十分で切るわけにいきませんから、・十時間走る者もあれば、五時間走る者もある。そういったものを集めて週何時間になる、まだ二十分余りがあるから、その二十分の時間を利用して教育をしようという方式がいまとられております。これから乗務を開始しようという者、疲れて乗務から帰ってきた者、それをつかまえて教育しようといっても、その者自身はきょうの列車をどうして事故なく走らせるかということに集中しておりまして、先輩がいかに精魂を傾けて教育してくれても耳に入るものではありません。教育は教育として半日なら半日ぎっしりとるという体制が確立されなければ、いま職場にありますようにある瞬間について信号の現示を変えて乗務員の意識を改善させようという措置は、現状においては労使双方で話し合って、あの区間に行ったら信号が変わるかもしれないぞということをあらかじめ教えてやっておる、こういうのが職場における実態なんです。こんなことでは、やっと三千億の予算が認められ、二非九千億の工事を推し進める国鉄としては、再び鶴見事故のような大きな事故を起こしたのでは、総裁はもちろんのこと、四十七万の従業員は国民にどういって釈明しようとするか。釈明の根拠はないと思うのです。私はこの教育問題については、効率的にほんとうに教育体制ができるようにお考えをいただかなければならぬと思うのでありますが、総裁いかがなものでしょう。具体的な問題は常務のほうに検討を指示されるとしても、大筋はこの問題について意欲的に取り組んでいただくということがお約束できないものでしょうか。
  106. 石田礼助

    石田説明員 お話の点は私はごもっともだと思います。私は、実はあまり現場のほうのことについては詳しくありませんが、最近やりましたことは、御承知のとおり、最近民間の給与の発達とともに卒業生の応募者というものが非常に少なくなってきた。これは結局国鉄自体で養成しなければならぬ、こういうことが数年前から高等学校の卒業生を採用しまして、それに対して大学程度の教育を与えるということで、いま現にやっておるのでありまして、これに対しては毎年二百人の採用をする、それに対して四千人以上の応募者があるとかいうことで非常に応募者が多いのでありまするが、しかし、その内容を見てみますと、たった二年しか訓練をやっていない。いわく、二年をもってすれば大学で与えるだけのレクチャーの時間はそれでいいんだ、こういうのであります。そんな詰め込み主義の訓練はだめだ、考える時間を与える必要がある、やるならやはりこれは徹底的にやらなければならぬ、こういうことで二年を三年に伸ばしました。それがために国鉄としては相当の費用がかかるのでありまするが、訓練するならやはり十分な訓練をする。中途はんぱな訓練をすることは、これは意味なさぬ、こういうようなことで訓練をする。何といったって事業は人である、こういうことから考えましてそういうようなことをやっておりますので、いまの現場のほうの問題につきましては、ひとつ御趣旨を体して、よく関係者と話ししまして十分の訓練を実施して、ほんとうに自信を持って運転のできるようなぐあいに職場の人間を養成するという方針で進みたいと思います。
  107. 泊谷裕夫

    泊谷委員 豊原常務からお答えいただく前に、具体的にこれを考えてみますと、やはり従来あった養成定員を確立しなければならぬと思うのですね。先ほど先輩の久保議員も訴えたのは、具体的な問題とすれば、どの範疇でやるかは別でございまして、養成定員を持っておって教習所を出たあとの補充をする、出てきた者に十分にテストをして、よろしいという段階で乗務をやらせる、乗務に携わらせる、こういうことにしていただかなければならぬと思います。ぼくも職場にちょいちょい行くのですけれども、職場ではこうなんです。同じ電車、外形は同じ型ですが、扱う機械がどんどん変わるでしょう。その教育がないから、沖電気の。パンフレットを持ってうちに帰ってきて、それを勉強するのです。ところが、それをこなし切れるのはおれしかないというので、自分だけのものにして、そしてさらに階級を上がろうとする卑屈な人間ばかりができてしまって、全体の技量を高めるというふうに伸びてない。これはやはり体系づけた教育をしなければ、こそくな人間ばかりできてしまう。自分さえうまく守り切れればいいという国鉄になってしまって、どえらい、取り返しのつかないことになるのじゃないかということを私は先ほどから申し上げたのであって、それが一番おそれているところなんです。ですから、具体的に常務のほうでこれを進めるとすれば、養成定員の従前ありました制度を復活して、本腰を入れるという態勢を固めるということになると思うのですが、それについてお答えをいただきたいと思います。
  108. 豊原廉次郎

    豊原説明員 現場における教育訓練のあり方につきましてのただいまのお話は、私もそのとおりだと思うわけでございます。戦前にありましたような十分な養成定員を確保するということは、ただいまの国鉄の現状から申しましてまことに困難なことでございますが、できる限り現場の職員の養成指導というものが十分に行なわれますような要員計画を全体として私どもは考えていかなければならぬと思っております。
  109. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これは総裁常務もおいでのところですから、全く泣くようにして訴えて恐縮ですけれども、養成定員の確立だけは何とか私は考えてほしい。ほんとうに、先ほども指摘いたしましたけれども、どんどん機械が進化してくるのですから、これに国鉄の者が負けないで乗っていくという体制をつくってほしい。さっきも指摘しましたけれども、そのできた機械が購入されるのがどこからくるかというので、そこのパンフレットを持っていって、うちでこそこそやる、こなし切れるのは泊谷だけだ、それによってさらに階級が一つ上がっていく、こんなこそくな伸び方をしたのでは困ります。四十七万の大世帯になれば規律も必要です。一糸乱れざる運用ということが事故を防止する最善の措置でしょう。人為的にどれだけ努力しても事故が完全になくなるという約束はできません。けれども、少なくとも管理者立場にある人は、私も駅の助役を経験しておりますけれども、駅の構内にこういう危険なところがあるぞということを知っておって、それを朝の点呼、朝礼で従業員に言わなかったときの気持ちの悪さは、職場で経験した人は十分御承知だと思う。ですから、この養成定員の確立をして、人為的に考えて十分だと思われる養成については、どうしても私は精一ぱいの努力をしていただかなければならぬと思います。きょうのところ、返事は先ほどいただいた程度から出ないと思いますけれども、さらに理事会その他で御検討をいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  110. 長谷川峻

    長谷川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる二十三日午前十時より開会することといたし、これにて散会いたします。    午後零時五十三分散会