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1965-03-12 第48回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十二日(金曜日)    午前十時十三分開議  出席委員    委員長 長谷川 峻君    理事 大西 正男君 理事 進藤 一馬君    理事 關谷 勝利君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    田澤 吉郎君       塚原 俊郎君    西村 英一君       小川 三男君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    竹谷源太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 松永  勇君         運輸政務次官  大久保武雄君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉田冨士雄君         通商産業事務官         (重工業局自動         車課長)    成田 寿治君         建 設 技 官         (道路局企画課         長)      豊田 栄一君         専  門  員 小西 真一君 三月十日  海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本自動車ターミナル株式会社法案内閣提出  (第八一号)      ————◇—————
  2. 長谷川峻

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  日本自動車ターミナル株式会社法案を議題とし、審査を行ないます。  この際、ただいま配付されました資料について、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。坪井自動車局長
  3. 坪井為次

    坪井政府委員 先日肥田先生から提出要求のありました資料につきまして、簡単に御説明申し上げます。  第一の資料としまして、板橋ターミナル計画概要でありますが、(1)建設計画、四十年度に板橋ターミナル用地買収に着手して、四十一年度には建物を建てる、それから四十二年度から供用を開始する。所要面積としまして五万坪、減歩を三割と見まして、実面積としては三万五千坪になるわけであります。それからホームの敷地が五千坪、付帯施設が延べで五千二百二十一坪を建設する。  (2)としまして、所要資金及びその調達計画でございますが、昭和四十年に用地費十四億、これは全体十七億五千万のうち八割だけを昭和四十年度に計上いたしております。それから管理費支払い利息が一億八千二百万、この内容利息が大部分でございまして、このうち一億ばかりが利息になっております。そのほか操業費、初度調弁費等で三千万、人件費管理費等で四千三百万、こういう内訳になっております。それで四十年度に合計十五億八千二百万円必要である。  それから四十一年につきましては、用地費が三億五千万、これは四十年度の残り二割分でございます。建物費が十六億五千万、管理費が三億、合計二十三億一百万、こういう計画になっております。  この資金調達計画でありますが、それが(ii)といたしまして、昭和四十年度は政府出資が五千万、東京出資が五千万、民間出資が二億五千万、開銀から七億、市銀から五億三千二百万借りまして、十五億八千二百万、四十一年度につきましては、政府出資二億、東京出資二億を予定しまして、民間出資が二億五千万、開銀から十億、市銀から六億五千一百万、合計二十三億、こういう内容になっております。  次に収支計画でございますが、(i)収入としまして、ターミナル使用料、これが五千坪に対しまして、自動車の一発着につきまして単価千五百円と見まして、四十二年の年収入が大体一億七千万円、そのほか付帯事業としまして貨物保管庫賃貸料、これが坪数で千五百坪、単価坪当たり二千円と見まして、同じようにして検車・整備工場、事務所、食堂・売店、給油場洗車場、仮眠・宿泊・浴場、こういったものの賃貸料を全部坪当たり二千円と見まして、これらの合計が一億七千五百万、全部で三億四千五百万円の収入になる。  それから四十八年になりますとターミナル使用料は三億三千二百万円予定しております。これは備考にありますように、四十八年には自動車伸びを見まして、大体ターミナル扱い量限度一ぱいまでふえるという前提で、ターミナル使用料がふえております。そのほかの付帯事業については伸びを見ませんで、そのまま一億七千五百万円を計上しまして、合計五億になる。  一方支出のほうでございますが、四十二年につきましては、人件費管理費租税公課償却費支払い利息等ありまして、大部分支払い利息になっておる、そういう勘定でございます。四十八年度につきましては、人件費等伸びを見ましてややふえております。そのほか管理費租税公課償却費等精算しまして、大体四億三千八百万円、この収支見通しを(4)のところであげまして、結局四十二年度は九千四百万円の赤、四十五年度になりますと千六百万円の黒、四十七年度には六千三百万円の黒、四十八度には六千九百万円の黒、こういう見通しでございます。  次に、資料の(2)といたしまして、東京トラックターミナル株式会社概要でございますが、1から6までは省略させていただきまして、7株主名、二十三の事業者及び一社団法人——社団法人といいますのは、東京トラック協会社団法人として参加しております。こういう状況に相なっております。  それから※じるしが中仙道に関係する事業者でございまして、これ以外のものは直接中仙道には関係しておりませんが、出資を仰いでおる、そういうかっこうになっております。  それから財務諸表でございますが、これは三十九年の十二月の十八日に設立されまして、十二月三十一日の第一期における決算状況をこの表であげております。貸借対照表流動資産として二億四千七百九十八万九千円、繰り延べ資産として百八十四万七千百八十八円、そのうち創業費が百七十二万円になっておりますが、この大部分登録税でございます。それから負債の部で損金が十九万三千円でございますが、これは右の損益計算書のほうをごらん願いますと、損益計算において十九万円の赤字が出ておる。それは受け取り利息が二十三万六千九百円、創業費償却が四十三万円、それが差し引きいたしまして十九万三千円の赤字、そういうことになっております。  財産目録でございますが、ほとんど大部分定期預金になっておりまして、二億四千七百万円が定期領金、そのほか現金、当座預金普通預金等があります。現在は預金されておるという状況でございます。第三の資料でございますけれども、これはトラック現況というようなものを書き上げたものでございまして、第一番目の資料トラック事業者従業員別構成比をあげたわけでございます。路線区域小型特定というふうに業種別にあげてございます。それから(B)が資本金別に同じく路線区域小型特定別にあげてございます。三番目は車両別にあげたものでございます。それから最後の表でございますが、これはトラック輸送実態的な輸送自家用も含めて出したものでございまして、この表でごらん願いますと、営業用輸送トン数で大体二九%、自家用が七一%となっております。それから保有車両では営業用が一〇%、自家用が八九%になっております。その両方比較してみますと、営業用のほうが少ない車両輸送量は非常にたくさん運んでいる、そういう数字になっております。以上であります。
  4. 長谷川峻

    長谷川委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。泊谷君。
  5. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ただいま自動車局長のほうから資料をちょうだいいたしましたが、本来この自動車ターミナルというものは都心乗り入れトラックをカットしようという考えに立って提案されておるものと思いまして、この際全体的な輸送情勢についてお尋ねをしておきたいと思います。けさちょうだいいたしました資料はまだ精査できませんので、少々古い資料になりますが、運輸省統計によりますと、東海道地域には全国トラック輸送量の五〇%が集中されておる計算になります。このことはただ単に貨物輸送量だけでなくて、旅客輸送量についても集中率はさらに高い数字を示しておるのでありますが、昭和三十七年全国移動した旅客総数二百四十二億人、国鉄、私鉄あるいは路面電車バスハイヤー、タクシー、これらの中で特に東京名古屋大阪都心都から四十キロないし五十キロで移動を開始した旅客の数を見ますと、百三十七億ということで全体の六〇%を占めるに至っていますが、なぜこのように東海道地域に特に国道一号線を中心とする輸送が集中される形態になっておるのか、そのおもな原因はどういうふうに自動車局長としてお考えになっておるか、この点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  6. 坪井為次

    坪井政府委員 東海道方面には御承知のように大都市が非常に集中しておりますので、その間の交通量が非常にふえておる、そういうことであります。
  7. 泊谷裕夫

    泊谷委員 局長お話によりますと、大都市、言いかえると都心高層ビルが続々建設されて昼間人口が幾何級数的に増加するのに対して、交通機関はせいぜい平面的にしかふえないのでこういう事態に立ち至ったというふうに、総じて聞くのでありますけれども、私は根本的な問題として次のようなことが考えられないかと思うのであります。昭和三十七年の政府統計によりますと、国民の総生産十九兆円の支出別内訳を見ますと、五三%が消費に回り、三七%が資本形成すなわち投資に向けられております。その他が政府経常支出などになっている計算でありまして、この年は引き締めの影響で前年より一兆円近く民間資本形成が減少したのでありますが、それでも非常に高い投資が行なわれている。この傾向は終戦後の通常的傾向と見てよいのではないか。しかもこの投資の五〇%というものが東海道沿い、特に工業地帯に投下されているということを大きな問題としてながめてみなければならぬのではないかと思うのです。  これによりまして貨物増加趨勢をながめてみますと、鉄道、内航海運トラック輸送量合計で、昭和二十六年から三十三年にかけて、ちょっと資料が古いのでありますが、京浜葉、中京、阪神地域内に移動した貨物の量は、三倍ないし三・五倍の急増を示しております。これは明らかに大都市に集中的に行ないました投資影響であって、財界の需要が常数的に強く作用している結果と思われるのでありますが、このことについては昨年三月二十七日、内閣の諮問にこたえて答申されました交通基本問題調査会答申でも、「政府投資政策方向いかんも、交通市場の組織に大きな影響を与えるであろう。」と指摘しておるところでも明らかだと思うのでありますが、なお答申趣旨説明で「大都市における交通需要は常に交通施設供給能力を上回り、慢性的な交通混雑交通渋滞とをひき起している実情にある。」と指摘しております。このことについて自動車局長としてお認めになりますか。
  8. 坪井為次

    坪井政府委員 認めます。
  9. 泊谷裕夫

    泊谷委員 東海道地域のように、市場が非常に発展をしておるのに輸送力がそれにつり合った発展をしていない面があるかと思うと、非投資地域では人口大量流出や貨客の移動停滞化が顕著にあらわれております。貨物輸送量にこれを見ますと、東海道三・五倍に対して一・八倍にとどまっておって、地域の格差が拡大されておることが明らかになっておるのでありますが、このことについては、これまた交通基本問題調査会答申でも次のように指摘をしております。「国民が最も能率的な交通を享受できるように総合的合理的な交通政策確立することは国の責任であることが強く認識されなければならない。」「交通に対する国の責務を明らかにするような基本的な法律制定検討することが必要であると思われる。」こういう指摘をし、「ことに関係当事者の非常な努力利用者の不便と忍耐と危険という犠牲によってようやく当面を糊塗している現状は、まことに文明社会の常識から大きくはずれており、この事態を解消する根本策交通投資増加にある。輸送力を拡大し、国民に能率的な交通を提供し、社会生活を安定させるために、交通投資を格段に増加する施策がとられなければならない。」こういうように指摘をしておるのでありますが、国内交通構造の変化に対応して多種多様な交通手段の合理的な分業体系など、内航海運あるいは路面交通バストラック国鉄、これらの基本的な交通体系と総合的な国内交通政策について抜本的な検討を加えられ、その方策が打ち立てられておる時期だと思うのでありますが、この方策について運輸次官と、あわせて内閣松永審議室長も見えておりますので、見解を承りたいと思います。
  10. 大久保武雄

    大久保政府委員 交通旅客並びに貨物輸送を含めましてこれが解決をはかりますことは、現代における最大の問題でございます。交通基本問題調査会答申もございまするし、ただいま御指摘の諸般の点から検討すべきなお多くの未解決の問題を残しておりますので、私どもといたしましては、これらの答申を尊重しつつ、各般の検討を進めまして、御期待に沿うよう努力したいと考えております。
  11. 松永勇

    松永(勇)政府委員 交通問題につきましては、いま運輸次官からお答えがありましたように、政府としても、当面交通事故ということが前面にあらわれてきておりますが、この事故を防止するというのは、当面の糊塗策以前に、交通体系全体を検討して交通に対する投資ということから考え直さなければならない根本問題があろうかと考えております。そういう点で、昨年の三月に答申になりました基本問題調査会答申は、これを政府各省において検討するようにということで、各省検討にお願いしている次第でございますが、何分にも範囲が広範であり、各省としてもいろいろ検討はなさっているところだと思います。  特にこの交通問題は、主として運輸省でございますが、道路その他、他の省にもわたる問題でもありますので、政府としては、こういう問題を総合的に調整してまいらなければならないということで、臨時閣僚懇談会並びに交通対策本部というものを設けて、そういう総合的な観点からこの問題を推し進めてまいりたいということでせっかく努力しているところでございます。
  12. 泊谷裕夫

    泊谷委員 重ねて大久保次官松永室長お尋ねいたしますが、答申指摘をされております国の責任を明らかにするような基本的な法律制定、この用意がありますか。あるとすればいつごろこれが具体化されるのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
  13. 大久保武雄

    大久保政府委員 交通問題を今後基本的に検討してまいります過程におきまして、御指摘のように、総合的な基本的な法律をつくる時期もあるいは到来するかとも存じまするけれども、御承知のように、ただいま交通事故につきましては、松永政府委員が御答弁申し上げましたように、各省に関連した問題がございまして、また、その法規が各省にそれぞれ制定されておるわけでございます。そこで、これを総合いたしまして、各省連携を深め、また内閣におきまして、これが統合的な問題も取り扱いまして、当面の事態に応ずる対策を講じていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  14. 松永勇

    松永(勇)政府委員 いま運輸政務次官からお答えになったとおり、現在そういう基本的な法律ということで、どういうことが予想されるか、むしり現在の法律というものは、それぞれの体系に応して整備されておるが、しかしその法律がそういり点においてなお不十分である、こういう点はそれぞれの分野において検討されており、必要に応して法律改正等が行なわれておる状況でございます。今後なお検討に従ってどういう問題でどう法律をつくらなければならないかという問題は出てこようかと思います。現在の状態はそのようなことでございます。先ほど政務次官からお答えになっておるような次第であります。
  15. 泊谷裕夫

    泊谷委員 この項につきましては、特に当時の池田総理から基本問題調査会会長島田さんに答申をした回答として最も重要な点だと私は思います。根本的な交通体系確立と、その政策の基本的な考え方について利用者の自由な意思に基づく利用とあわせて、内航海運なり、自動車運送なり、国鉄輸送なり、これらの体系づけた善意の競急過程確立する、この線に立って基本的な法制定を強く要請しておるのでありまして、いま次官あるいは室長からお答えがありましたように、従来のような各省の権限が分散した中で交通体系政策確立ということは望み得ないだろうと指摘しておるところでありますから、特にこの分についてさらに誠意ある御検討をお願いしたいと思うのです。本日のところ、前段でお答えをいただきましたことから出ることが実態として困難かと思いますので、具体的に内容に入ってお尋ねをしたいと思います。  具体的な内容として考えてみますと、戦後特徴的にあらわれてきましたものにトラック増加が目立っております。昭和三十九年度「運輸白書」から拾ってみますと、自動車保有台数は、昭和三十年度末で約百五十万台、三十八年には約五百九十四万台に達し、八年間で約四倍の伸びを示している。なお、最近五ヵ年間では、対前年度増加率二〇%前後となっており、その増勢に衰えを見せていない。特に軽自動車は三百四十倍の増加を示し、トラックバス大型化が目立っている、こういうふうに白書指摘をしております。あわせて自動車生産も、昭和三十八年は、軽四輪以上が約百五十万台に達し、トラックは約五百万台生産され、一トン積み以下の小型車と七トン種み以上の大型車増加が目立っておることも指摘をしております。これを少し数字的にながめてみますと、確かに日本アメリカイギリスフランスイタリー西ドイツのこの六カ国での保有台数生産台数をながめてみましても、日本は、トラックフランスの二百二万一千両を上回る三百三十三万四千両ということになっております。ところが道路率は、東京区部でありますが一一・六%、大阪九・三%、名古屋一八・二%、横浜一三・四%、神戸一〇・八%であります。諸外国は、ワシントンにおいて四三%、ニューヨークが三五%、パリが二六%、ベルリン二六%、ロンドン二三%という数字になっておりまして、大きな開きのあることが目立つのであります。  なお、この道路舗装率を取り上げてみますと、日本はわずか一三%であります。これは一九六三年ですが、その同じ年でながめてみますと、アメリカが三六%、イギリス一〇〇%、フランス三二%、イタリー四四・五%、西ドイツ六五・一%、これが今次道路整備五ヵ年計画の実施される昭和四十一年で見ましても、日本はわずか二〇・一%にとどまるのみであります。  こうなってまいりますと、トラックが世界第二位の台数持ちながら、道路率が極度に少なく、舗装率は比べものにならないという実態にあります。  こういう態勢の中で、先ほどの答申にもありますように、現行道路整備五ヵ年計画当時の答申としては、総額二兆一千億円の財源構成を見るに、一般財源支出は約二〇%にとどまり、その他は自動車の負担に依存している。新規道路整備五ヵ年計画も大同小異であろう。政府一般財源投入を強化することによって、さらに道路費の拡充をはかるべきであろう。こういうふうに指摘をしております。この計画は四兆一千億に修正をされましたが、この中における一般財源投入は、おおよそ二割五分と見るべきものであろうと思うのであります。この答申指摘されましたように、道路整備計画についてどういうお考えをお持ちであるのか、なお具体的にどういう道路計画をお持ちであるのか、このことについて建設省のほうからお答えをいただきたいと思います。
  16. 豊田栄一

    豊田説明員 御質問にお答えをいたしたいと思います。  まず第一点といたしまして、先ほど先生からお話のございました大阪東京間の交通ふくそう状況につきましてでございますが、これに対しましは、現在私どものほうでやっております対策は次のようなものでございます。  第一は長距離の輸送対策でございます。これにつきましては、名古屋大阪間の名神高速道路建設を現在促進しておりまして、これは昨年の九月に一宮−西宮間を完成いたしました。その後引き続きまして、東京名古屋間の東名高速道路建設に現在努力中でございまして、現在の計画では四十三年度末に供用開始できる予定であります。  なお、一部東京厚木間につきましては、四十二年度末に供用開始をいたしたいと考えております。  それから、なお、さらに東京沼津間につきましては、東京小田原間の交通混雑緩和のために、昨年の十月に供用開始をいたしました。これはルートといたしましては、渋谷−川崎−厚木−松田間でございます。  それから第三点といたしましては、東京横浜間につきましては、世田谷−保土ヶ谷間に第三京浜道路、これは現在有料道路として建設を促進いたしておりますが、これが本年度中に完成予定でございます。大体供用開始予定は四十年十月の予定でございます。それからまた、羽田横浜間につきましては、首都高速羽田横浜線を現在建設中でありまして、四十二年度中に完成予定でございます。  それから西のほうに参りまして、一級国道の二十五号線、亀山天理間につきまして、現在名阪国道建設を促進いたしておりまして、これは四十年末までに供用開始予定で、鋭意工事を進めております。それから、その西側の天理大阪間につきましては、有料道路といたしまして現在工事にかかっておりまして、四十三年四月に供用開始予定でございます。  なお局部的な、一号線内の混雑緩和バイパスといたしましては、西湘バイパス、これは大磯−小田原間、それから沼津バイパス、富士・由比バイパス浜松バイパス名四国道東山バイパス枚方バイパス、これらはいずれも工事中でございまして、後段に申し上げました東山枚方につきましては、四十年度末完成予定でございます。  その他につきまして、たとえば箱根、静清、名岡、名古屋亀山、これは有料として、それから大津等の区間についての混雑緩和につきましては、現道の二次改築のほうで調査をやっておるというのが現況でございます。  以上が、現在の大阪東京間の私どものほうでいたしております対策工事概要でございます。
  17. 泊谷裕夫

    泊谷委員 東海道地域に二本の高速道路、それから広軌の新幹線を含めて、旧来の在来線を含めて七本の大きな道路計画ということは承知しますが、ごらんのとおり大型トラックがこの中でひしめき合っている実態は御承知のとおりだと思うのでありまして、特にこの大型トラックが先を争って営業所の新設あるいは今度のターミナルの問題に手を染めておりますけれども有料道路は総じて観光地偏重のきらいなしとしないという問題を含んでおりますが、ともあれ、先ほどお答えのありました道路計画そのもの一般財源投入が二割五分程度ということについては、私はどうも解せないのでありまして、この問題について大蔵省のほうからお答えをいただきたいと思うのです。
  18. 長岡実

    長岡説明員 政府といたしましては、道路整備緊急性は十分に心得ておりまして、五ヵ年計画においても、前回の二兆一千億を約倍増いたしまして、四兆一千億の規模で実施をすることにいたしておるわけでございます。ただ御承知のように、わが国においては全般的に社会資本が非常に不足をいたしておりまして、道路以外につきましても、港湾その他の社会資本に対する公共投資需要もきわめて旺盛でございます。そのような現状におきましては、やはり財源の配分につきましても、道路のように、諸外国の例を見ましても、特定財源をもってカバーできるものにつきましてはでき得る限りそのような財源を求めて整備をしていくということも一つの方向であろうかと思います。ただ、一般財源につきましても、第三次の二兆一千億円の五ヵ年計画におきましては一般財源は八百六十五億、これは全体の財源を一〇〇といたしましたときに八・三%の一般財源投入割合になっておりましたが、四兆一千億円の今回の計画では、一般財源はおおむね二千四百億円、全体の約一四%、約三倍に近い投入割合になっておるわけでございます。そのような点につきましても、一般財源についても強化をはかっておるという努力はおわかりいただけるのではないかと思います。
  19. 泊谷裕夫

    泊谷委員 ぼくの聞き違いかもしれませんが、いまの一四%、約三倍という数字がわからないのでありますが、これは後ほど事務的に整理をしてみたいと思いますが、一四%、従来の三倍という数字にはならないのではないかと私は思います。それは後ほどまた整理をすることにいたしまして、これまた答申指摘をされておるのですけれども、「さらにまた、今日必要とする道路費の八〇%以上は道路建設・改良に充てられているが、有料道路を除き公共道路建設・改良費は、ほとんど税収とりわけ自動車燃料税の収入に依存している。道路建設・改良費は経常費ではなくて設備投資であることにかんがみ、税収の一部を利払いあるいは元金償還財源として道路債を募集することは合理的であると思われる。」と指摘しておるのでありますが、これに対する大蔵省の見解はどうでありましょうか。
  20. 長岡実

    長岡説明員 道路債の発行の問題は公共投資全般に対する財源措置として、公債に財源を求めるかどうかという問題にもつながるものでございまして、これは一つの財政政策として非常に大きな問題であろうかと思います。ただ、道路のような性格のものについて債券発行的な性格が他の公共事業に比べてやや強いということは、先生の御指摘のとおりであろうと思います。その点、今回の五ヵ年計画におきましても、有料道路事業を実施いたします道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団の財源調達の方法といたしまして約八千四百億円に及ぶ道路債券の発行を予定いたしております。これは一つの、厳密な意味におきましての公債ではないかもしれませんが、債券発行による財源調達ということは言えるのではないかと思います。
  21. 泊谷裕夫

    泊谷委員 公債の扱いについては、予算委員会における総理の答弁との間で、さらに整理をしなければならないものがあると思いますが、これは先輩議員のほうに多くその議論を譲ることにいたします。そこで交通投資によって生ずる土地、建物の価格騰責とか営業利益の増加とかによって利益を受けるものに対して、その受ける利益の範囲内で交通投資の一部を負担させるという、俗に言う受益者負担という議論がたいへんやかましくなってまいっておりますが、これに対する大蔵省の考え方はいかがなものでしょうか。
  22. 長岡実

    長岡説明員 ただいまの御質問は、沿道の開発利益の問題でございましょうか。
  23. 泊谷裕夫

    泊谷委員 端的な例を言うと、地下鉄が新設される、それからバス停留所が新設されることによって、その地代が従来とは違った騰貴を示す、他動的な力で利益を得た人々に売買の成立したときとか、その瞬間、いろいろありましょうけれども、受益があったということで、税負担を願って、その財源交通投資に回すという議論が強く出ておるのですが、これについて大蔵省の考えはどうだ、こういうことです。
  24. 吉田冨士雄

    ○吉田説明員 これは税制の問題にからみますので、私から答弁させていただきます。  おっしゃいますように、受益者負担につきましては、かねてわれわれが揮発油の税金を上げましたときも、燃料費における受益者負担ということをいろいろ御説明いたしました。第一次的な受益者負担は、やはり直接自動車を運行される方々、あるいは、自動車を、よくなりました道路の上を走らせる荷主なりその利用者というものを第二次の受益者と考えておりまして、いま、おっしゃいます地価とか沿道におきます受益者というのは、第三次的な受益者と考えております。これにつきましては、いわゆる土地増価税という問題が一時ありました。現在もまだ問題としては、くすぶっております。ただ、おっしゃいますように、その地価が上がりまして、これを売買いたしますときには、現在は、個人の場合には譲渡所得税、法人の場合にはそれの受益増ということで吸収しておりますので、これはすでにその点で実現されましたときには吸収して一般財源に入っております。それから、土地を持っておりますために、地価自体が上がりました所有者につきましては、固定資産税というかっこうで地価の改定というものをやりまして、これが一・四%でございますが、地方の財源になっております。さらに、あるいは譲渡所得税、あるいは固定資産税に上回ってプラスアルファをかけるかどうかという点につきますと、いろいろ税制上問題もありますし、その点土地増価税についてはなおペンディングというかっこうになっております。
  25. 泊谷裕夫

    泊谷委員 とにかく大都市では鉄道、道路建設に占める用地費の比重がきわめて大きいということは御承知だと思うのですが、大きい道路の場合であれば、その費用の七割ないし八割は用地取得に要する。現在の地価高騰の傾向を放置しておくと、交通施策を拡充するということは、その利用者の負担だけで、地主のみが巨額の利益を得るということになりはしないかと考えるのであります。これに対する地価対策はどんなものでありましょうか。これは大蔵と建設と両方からお答えをいただきたいと思います。
  26. 長岡実

    長岡説明員 地価の問題は、きわめて各方面に大きな影響を与えておることは事実でございます。個人の土地の利用が公共の利益にどの程度制約をされるかという問題は、憲法問題にもからみまして、非常に微妙な、かつむずかしい問題であろうと思いますが、政府といたしましては、私の記憶に間違いがなければ、たしか昨年の国会で三党の地価対策の共同の決議も行なわれましたので、その趣旨に沿いまして、建設省において宅地制度審議会に地価対策部会を設けるというようなことから始めまして、まず制度的に検討を続ける。一方、不動産鑑定士の制度も発足いたしましたので、土地の評価の問題につきましても、四十年度予算においては、金額ははっきり記憶いたしておりませんが、実験的に一部の地域について不動産、土地の価格の評価をやるということにも踏み切っておりますので、まだ完全に軌道に乗ったとは言えないにいたしましても、地価問題に真剣に取り組む体制は整えておるつもりであります。
  27. 豊田栄一

    豊田説明員 いま長岡主計官お答えのとおりでございます。
  28. 泊谷裕夫

    泊谷委員 地価対策はともかく急いでもらわなればどうにもならぬ問題でありまして、さらに英知を傾けて、早急なる対策を特に要望しておきたいと思います。  次に、この交通基本問題調査会答申の第二部各論、交通安全施設等の整備、この項の冒頭に次のように指摘をしております。「従来、国民経済成長に熱心なあまり、交通安全対策に対し投資される資金が十分でないため、交通安全対策は、ともすると、取締、運転管理体制の強化等人間の注意力に依存し、比較的資金を必要としない事項に限られる傾向があると断定をしております。私もこの答申は全くそのとおりだと思うのでありますが、こういう立場で当面次のことが考慮されないがと思いまして、通産省のほうにお尋ねをしたいと思います。交通容量の問題について、「自動車及び歩行者の行通量が増加し一定限度に到達すると、混雑は激化し、自動車の速度は極端に低下し、交通はまひする。交通まひは、自動車運転者及び歩行者に極端な焦燥感をひきおこし、交通ルールの違反を促し、これが常態化すると交通道徳水準の低下をもたらすことになるということを、これまた答申指摘をしておるのであります。  そこで、わが国の自動車生産量も、御承知のとおり、イギリスフランス並みになってきました。しかし、先ほども指摘いたしましたように、旭路率も舗装率も極度に違い、あわせてイギリスフランス生産台数の約半数を国外に輸出をして、国内のバランスを保っておるのでありますか、日本の場合、特にこの市場と目されます地域は、ココム、チンコム制限で輸出が思うようになりません。この時期に至りまして、国内の交通戦争を緩和する意味からも制限を解除して、輸出拡大を考えていい時期だと思うのでありますが、通産省はどう考えるか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
  29. 成田寿治

    ○成田説明員 日本自動車生産は非常に上がっておりまして、昨年は世界でトラックでは二番目で乗用車では六番目、全体で四番目、非常に上がっております。それで内需も非常に上がっておりますが、最近の輸出が非常な伸び伸びておりまして、大体五割以上の伸びを輸出がやっております。それで、われわれは大いに将来——ヨーロッパは、大体生産の四割以上は輸出に向けておりますので、いま日本生産に対する輸出の割合は九%くらいで、まだ非常に低い。これを二〇%くらいに早く持っていくようにいろいろな輸出奨励をやっております。それから共産圏に対する輸出抑制ということは、いま乗用車、トラックに関しましても全然ありません。むしろ、商談がまとまったら出せるという態勢になっておりますが、いろいろな事情であまり出てないということで、これにコマーシャルベースの問題としてわれわれは考えて、決して政府の承認制で押えているということはありません。  それからヨーロッパが四割以上の輸出で、日本がまだ一割足らず、早く五割にいかぬのかという問題につきましては、まあヨーロッパは、イギリスを除きまして、みんな陸地続きでございまして、非常に輸出が簡単だ、国内販売に近いような形で扱われておるということと、もう一つは、EECのように共同市場というのがありまして、関税なり制限をだんだんなくしていこうという運動がありますので、まあ日本の場合は御承知のように島国であるという地理的条件、それから共同市場的なマーケットがないということを考えますと、将来、今度の中期経済計画におきましても、五年先を目標として、まあ二割くらいのところへ早く持っていきたい、こういう線で努力いたしております。
  30. 泊谷裕夫

    泊谷委員 成田課長委員会といえども、やはり委員会を通して国民の前に明らかにすることですから、なかなかことば送りが巧みであると迷わされるのですが、輸出が五割伸びた、確かに五割というとらえ方は間違いないのですが、しかしこれは沖縄、台湾、オーストラリア、言ってみれば特需関係と特定地域であって、いま言われましたチンコム制限のあるところなどは十年間で車両七両ぐらいしか輸出をしていないのですね。いままでの輸出が十台、今度十五台になったとしても五割増しということばを使えるのですけれども、根本的な考え方は、道路率も少い、そして舗装率もほかと比べて極度に低位にある、車の生産だけが世界に四位という数字を示している。ところが、関連する下請企業その他があって、自動車工業を調整するということは国の産業上たいへん問題も多いところでしょう。生産を維持しながら、国内の交通混雑を緩和することを考えてみなければならぬということになれば、政府は勢い国外輸出ということに精一ぱいの努力をしなければならぬということに私はなると思うのです。コマーシャルベースだというようなことでこの問題は逃げ切れる問題ではなくて、チンコム、ココム制限の範疇に入っていないとするならば、むしろ通産省は意欲的に、これを求めております東南アジア地域に大量に輸出をするように助成をする、指導する、力添えをするということが必要だと思うのでありますが、これについてはいかがなものでしょう。
  31. 成田寿治

    ○成田説明員 昨年の輸出地域を見ますと、東南アジアが三割で、一番高いわけであります。それから中近東、アフリカが二二%、それからオーストラリアが一九%、そういう順序になっておりまして、やはり東南アジアが、まあ従来より比率は低くなっておりますが、日本の大宗になっております。われわれは東南アジアに対して大いにトラック、乗用車の輸出を進めたいというので、まあ自動車会社はかなり大企業でありますので、輸出助成金という形では何らやっておりません、ただ部品に対しましては若干の助成もやっておりますが、自動車そのものに対してはやっておりませんが、行政指導面で大いに奨励的な指導をやっております。ただ最近、とかくタイとかあるいはオーストラリアとか、あるいはマレーシア等におきまして、どうも日本の車があまりにも出過ぎて、日本メーカー同士が過当競争をやっている傾向があるんじゃないかということも現地から指摘されておりまして、むしろ将来長く伸ばすためには大いに協調をやらして、あまり過当競争にならぬようにそういう指導もあわせてやっております。それで東南アジア、特に日本の周域に対して−自動車というのは非常に運賃が高くかかりますので、近いところというのは非常な輸出の適地だと考えておりますので、特に東南アジア、近隣地域に対しては大いに輸出増強を政府としてはやっておるつもりでございます。
  32. 泊谷裕夫

    泊谷委員 この問題に特に力を入れて私が主張するのは、体系とか政策とかいう以前の問題で、実態をながめてみますと、きょう議論になっております特にトラック、内航海運もその例外ではありませんけれども、運送業というのは、ビールを販売するというようなものと違って、関係者を下請として何人にも渡すことが可能な業種なわけですね。ですから、トラックが集中的に生産されてまいりますと、その整備に金をかけるよりも、矢つぎばやに新車に手を染めていくということにしなければなりません。また需要に基づいて大型化が強く要請されますので、中古車が軒並み路上に並べられて価格安で売られているということは、次の車両検査、車検まで、つんのめるまで、企業としては日銭をかせげる企業であるだけに、その中古車を引き出して安直に走るというところに、料金政策においてもダンピングというものが出て、トラック業界における料金政策の問題についても苦悩が出、それがひいては内航海運影響してくるという事態を生んでいるわけです。でありますから、特に車両生産と国内需要との調整というものは、単に通産行政だけじゃなくて、国内の交通戦争の打開あるいは適正な業者の企業維持のためにも、どうしても避けられない方策であって、根本的にそれに目を向けてもらわなければならぬ要素がひそんでおるような気がするのです。したがって、いろいろの事情があるというようなことはわかりますけれども、品種によっては、それなりに通産省としても、腰を入れて輸出に拍車をかけておるのでありまして、いまいう、業者が過当競争におちいっているのじゃないかという話などはすみやかに調整をして、適切な市場を確保するように指導していただかなければならぬと思いますが、この問題については強く訴えておきますので、さらに省内で検討いただきまして、この打開策に協力をいただきたいと思うところであります。  それでは次の問題に移りますが、これはあらかじめお断わりをしておきますが、運輸政務次官、それから松永室長お尋ねをしたいのでありますが、これも答申で次のように指摘をしております。「毎日全国いたるところに発生している多くのいたましい交通事故国民生活を著しく脅かす近代交通がもたらした一大社会悪である。この社会悪を取り除くために総合的な交通安全施策を講ずることが福祉国家を目指す近代国家の重大な責務である。しかるに政府は、国民経済の高度成長の達成に急なあまり、交通施策の重点を輸送力の増強に置き、ともすれば国民交通安全に対する配慮が軽視されがちであった。また一面、交通安全行政は、これに関係する行政機関が複雑多岐にわたり、関係省庁間の連絡調整が十分でなかったためその施策は遅々として進まなかった。これらのことが、わが国の交通安全行政に著しい立ち遅れをもたらした根本原因であり、ここに政府政策態度に根本的問題があったと思われる。」と指摘をしております。「とくに共管行政における責任の所在の明確化及び総合調整機能の強化、陸運行政の整備交通に関する各種審議会のあり方の再検討調査統計・研究機関の整備等については十分に配慮して、総合的交通政策が強力に推進されるように図る必要がある。」と指摘しております。  そこで、大久保次官、ここは特に私申し上げたいと思うのですが、いま交通の安全を保とうということだけでも、当委員会に、大蔵省から建設省からあるいは通産省に来ていただかなければ話がつかないというのが現状であります。路面における交通整理という前に行政上の交通整理のほうが私は急務であると思います。西欧ではすでに三E政策などとられて、運輸大臣は、具体的な交通違反の取り締まりは現地のおまわりさんにまかせるとしても、駐車場の設定、交通規制あるいは車両の調整などはすべて運輸大臣の掌握下にあります。こういうことで、いまの日本の国情を考えてみますと、あまりにも複雑多岐であって、根本的な交通政策に対する行政機関の投資というものについては、何をさておいても急がなければならぬと思うのでありますが、これに対して大久保政務次官考え方をこの際明らかにしていただきたいし、現状現状として承知をしておるのでありますから、今後、この問題に意欲的に、どういう方向で打開をしようとしておるのか、その方策を聞かしていただきたいと思います。
  33. 大久保武雄

    大久保政府委員 日本における自動車交通の非常なふくそうに伴いまして、これが国民の安全なる生活の上に非常な脅威をもたらしておる。事故率におきましても、まことにおびただしい数字にのぼりまして、先般佐藤総理も、日清戦争以上の死亡者を出しておるという指摘をされましたとおりでございまするし、また、いたいけな子供の事故に至りましては、これはまことに私どもといたしまして寒心にたえないところでございます。自動車交通の問題は、そういったような安全の面にとどまらず、また経済活動の上におきましても、先刻来御指摘のとおり非常な障害を及ぼしておるわけでございまして、自動車は、いわゆる戸口から戸口への小運送を受け持っておりますので、いわゆる生産の最終段階を負担いたしておりまする次第でございます。港湾と並びまして、いわゆる自動車小運送の流れをよくしていくということが、ひいては日本の経済の計画的成長を全からしめていくゆえんであると私は考えておるような次第でございます。さような意味におきまして、この自動車の問題を処理するために各省にまたがっておる仕事をいかに総合調整していくかということは、港湾と並びましてきわめて重大な問題でございまして、生産手段の末端であり交通の先端でありますだけに、その行政も非常に神経の末端といったような意味におきまして分化いたしておりますような次第でございます。  そこで、これをどういうふうにして調整していくかということにつきましては、先般来自動車を中心といたしまして、・内閣におきまして、各省の持っておりまする諸行政をお互いに総合調整をいたしまして、将来の交通対策に備えたいという組織的活動がすでに行なわれております次第でございまして、私どもといたしましても、これらの権限を直ちに一元化するということはできませんので、総合調整のための最良の手段によって、日本の持っておる最大な問題を解決する糸口を一つ一つつかみ出していきたい、かように考えておるような次第でございます。
  34. 松永勇

    松永(勇)政府委員 交通安全に関する行政が各省に分化されておる、あまりにも分化され過ぎていないかという御質問でございますが、現在の各省の組織機構というものは、それなりに必要性があってできたものだと思っております。ただ、いわゆる各省の横割りが実際の複雑な社会生活の面から総合性を要求されてきたというのが近年における特色だと思います。そういう意味で、総理府、内閣におきましては、この各省の行政の総合性をいかに発揮するかということに一番の関心を持ち、注意を払っておるところでございます。交通問題については、その点特に各省に多岐にわたっておる現状でございますが、これをいかにして総合性を発揮するかというために、先ほど申し上げましたような内閣のレベルでは閣僚懇談会、事務のレベルでは交通対策本部というものを設けまして、そういう点から総合的に対処するということでまいっております。この活動がなお不十分ではないかという御指摘はあろうかと思いますが、こういう点で今後も十分なる対策考えなければならない。  特に総理が御就任以来、人命尊重の立場から、交通事故を絶滅するという強い方針のもとに進んでおりまして、明日はその国民会議を開くという段階になっております。もちろん国民会議だけで交通事故が防止できるというようなものではございません。政府としてなさねばならないことは非常に多くございますので、そういう面の総合性を発揮して今後やっていきたい。  なお機構の問題については、行政改革本部でいろいろな検討はいたしておりますが、それはそれとして、現在生きている機構というものをフルに活用して総合性を発揮したいということであります。
  35. 泊谷裕夫

    泊谷委員 大久保次官、数多く質問した中で私が私なりに一番意欲的に考えているのはこのくだりなんですが、立場上そうおっしゃられるのかどうか、歯切れがよくないと私は思います。自動車生産も世界の二位くらいになる、道路は狭い、投資東海道に五割も集中されている、その産業はどんどん伸びる、これはいいのです、しかし、交通産業の犠牲において——そうでしょう。道路を延ばすのにも、七割五分ないし八割は自動車所有者によってまかなわれていくのですね。料金政策もきっちりしてない、路面交通と内航海運との悩み、あるいは鉄道との関連、これらに数多くの業者、またそれに働いておる人々が苦悩しておるのですね。その関係者の交通整理を言う前に、諸外国でも戦後特徴的には、いま室長指摘しましたが、交通構造の変化が顕著にあらわれてきた。これに対処して、行政機関の一元化ということばが使われなくても、主たるその業務をやるところ、かりに次官のおいでになる自動車局を取り出して考えてみましても、車はどんどん片っ端からできる、輸出は困難だ、道路は狭い、しかも一面では臨時行政調査会で適正な条件を整えようとする、認可制度を廃止しよう、自由経済にしようということで、ハイヤーをながめてみると、これまた業者の諸君のほうでお祭りのときだけ車をそろえて高く運賃を設定し、常時はダンピングするというような料金政策の不安定をかもし出すようなことが常時やられる。陸運局の職員にしても、運輸省の管轄にある者も、地方行政機関に世話になっておる者もある。こういうことで、関係する業者がどこの役所と親身になって相談するということさえできない。廊下とんびをしなければならないという問題について、これは何はともあれ、早急に整備をされなければならないと思うのでありますが、運輸省政務次官として、諸外国の趨勢とも並び合わせて、それはいろいろ問題はあるけれども、何とかして交通全般について主管事務は運輸省なら運輸省で掌握して、体系を整えるという意欲的な面を出していただけないのですか、重ねてお答えをいただきたいと思います。
  36. 大久保武雄

    大久保政府委員 運輸省所管のうちで、船関係につきましては比較的総合されております。海運の問題、造船の問題、船員の問題、船が着きます港湾、倉庫の問題、こういう関係は、運輸省におきましてこれらの諸行政を受け持っておる次第でございます。陸運の関係におきましては、ただいま申し上げました海運のような形におきまして、まとまった形においての行政機構が現在できておりません。これは残念なことでございますけれども、しかし、今日行政機構がかような組織で動いていっておりますのに対しまして、陸上交通の諸問題は、当面幾多の問題が山積して、解決を迫っておる次第でございます。  そこでただいま御指摘の諸問題を解決していきますにあたりまして、ただいま松永室長からも申し上げましたように、内閣、総理府におきまして各省にわたる問題を処理しなくちゃならぬ場合におきましては、これを総合調整していくということが一番当面の問題として解決の道であろう、将来の問題につきましては、運輸省所管のいわゆる運輸行政方面におきましては、これはたくましく努力をいたしまして、解決に取り組みますと同時に、各省に御協力を求めなくちゃならぬものは各省に御相談をいたしまするし、また、内閣に総合調整をお願いいたしまして、当面の問題を解決していきたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 泊谷裕夫

    泊谷委員 どうもはっきりしません。しませんが、……(「名答弁だ」と呼ぶ者あり)名答弁だという話がありましたけれども、メイにもいろいろありますが、これはあれでしょう、端的にいうと、いま与党の皆さんも、一番問題点は、物価の問題と交通体系政策、基本的な交通戦争をどう打開するかということが政治的に重要な課題だろうと思うのです。それだけに、従来の役所のなわ張り争いにこだわらず、路面上におきます問題、経営者も労働者も苦悩しております問題を整理するという前に、みずからが閣内においてこの交通整理をやるということが急務だと思って、強く主張しておるのです。  関係の方にというお話がありましたが、松永室長のほうにもお尋ねいたしますが、確かに先輩の佐藤総理は、人命尊重で国民会議を設定されました。それは意義があると思うのであります、国民会議自体は。しかりとするならば、いまのような問題を含めて一般路上に起きております毎日の交通戦争を打開するための、交通事故を防止することを含めてなお検討されようとするのか、その具体的な内容をこの際明らかにしてほしいと思います。
  38. 松永勇

    松永(勇)政府委員 国民会議はあす開く予定になっております。国民会議は、もちろんこの交通安全ということについては、政府の行なうべき責任が非常に大きいということは万々承知をいたしております。しかしながら、政府だけではこの交通事故を絶滅できないということも事実でございます。そういう意味で、国民の各層に御協力をお願いするという趣旨で、国民会議をつくろうということになったわけでございまして、したがいまして、この会議というのは、諮問機関というような感じでつくったものでもございません。要するに国民の代表——代表というのは大げさかもしれませんが、交通に関係した諸団体みんな一同に会して、この現状を分析し、現状に対処するという話し合いをし、その決意を新たにしたい、あわせまして政府といたしましては御意見を聞きたいという趣旨で設けたわけでございます。したがいまして、あすの国民会議では——この会議というのは、要するに会議として場を持つということでございますので、あす会議を開いた席においてそういう構成員の方々の御意見によって、どう持っていったらいいかということもあわせてお話し合いをすることになっております。現在の段階でいま何をやるということを申し上げる段階ではないわけであります。
  39. 泊谷裕夫

    泊谷委員 国民会議のことは、委員長にもお願いして、あらためて度委員会でも議論さしていただこうと思いますが、実はあす参加する委員の皆さんに聞きますと、室長の言われるようなしかけになっておらないのです。意見のある人は四百字詰め原稿用紙一枚にまとまるように書いてこれを出しなさいというわけなんです。出てくる委員の一人は、私にそう話をしてくれました。本来佐藤さんの言われるように、人の命を大事にするということで、これは人が運営するのですから、その関係において御協力を求めるということについては私は反対をいたしません。いたしませんが、答申に出ておりますように、人の協力だけの限界を求めて、限界を越えたものはほっておくことはいけない、基本的な交通体系なり、政策というものを打ち出しなさいということを指摘されておるのです。よく職場で言いますように、客車の中で年寄りが座席の上に新聞を置いて、おれが先に取った、おれが先に取ったとけんかをしておりますが、この当事者が悪いのでしょうか。むしろ切符を売った鉄道が客車をそろえてやるのが本質的な問題でないかと思うのです。国民会議のほうも本来的にその根本的な政策について検討をいただくというのであるならば、その価値は私はあると思うのでありますけれども、そこの部分の、客車をそろえるところをやらずして、一つのますで両当事者間でけんかをさして、そして精神教育するということでは、佐藤総理がせっかく就任と同時に強く訴えました人命尊重というものが具体化されてこないような気がするのです。  これは何はともあれ、内閣において全般的な国の産業を伸ばすために投資をする。産業が伸びる。それによって客貨の流通が激しくなる。それに伴う交通体系政策というものを打ち出す、その役所は運輸省に集中されてこなければならぬものだ、一々建設省やあるいは警察の関係と打ち合わせをしたり、通産と打ち合わせをして、そういうことでほかの意見を聞いてやっておるということでは、意欲的に交通体系なりあるいは政策なりというものは出ないだろうと考えて、私は話を進めたところでありますけれども国民会議は、最初に申し上げたように、委員長のほうに御配慮をいただきまして、あすの会議が終わったあと、あらためて私どもまた議論さしていただきたいと思いまして、これは一応これで終わりにいたします。
  40. 久保三郎

    ○久保委員 交通安全国民会議に関連して、ちょっとお尋ねというより意見を申し上げておきたいのですが、いま政府は、道路交通の、いわゆる無謀運転というか、そういうものを対象にしているそうでありますが、刑法の一部改正を提案しております。これは御承知ですね。これはなるほど、被害者の立場からいけば、正常ならざる運転によって国民の生命、財産に損害を与えることでありますから、この刑の量を引き上げるかどうかという問題は考慮に値する問題だと思います。ところが非公式に説明を聞いておりますと、刑法のできたのは明治四十年で、その当時の東京都の自動車は五台とか七台だったが、最近では御案内のとおり多くなっておる。だから、そういう時代の変遷もあるから改正したい、こういう話であります。おそらくこの交通安全国民会議でもそういう方向が強く打ち出されてくるのではなかろうかという推測をするわけです。ついては、なるほどそれもそうでありますが、言うならば明治四十年この刑法ができた当時と現在の交通事情、あるいは輸送機関のスピード、あるいは密度、そういうものは全然なおざりにというか、考えられないままに、片方の罰則強化が出てくる。それによって交通安全を守るということは、これは万全でないここはいまさら言うまでもありません。ついては、仏は要望を申し上げておきますが、そういうものも必要なのかもしれないが、今日の交通機関の変遷——明治時代に比べればたいへんな変遷であります。そこに、言うならば法の文言は変えずして単に刑を重くするというだけでは十全のかまえではないと思う。そういう点についての施策を練ることが、この交通安全国民会議そのものの趣旨だろうと私は思うのですが、そういうことについては審議室長のほうではいかように考えておりますか。なお、政務次官おられますが、運輸省として刑法改正についていかなる考えを持っておるのか、この機会にお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  41. 松永勇

    松永(勇)政府委員 ただいま佐藤総理が先頭になりまして交通事故防止を徹底的にやろうという考え方は、先ほど触れましたように、要するに政府のやるべき分野が非常に多いということはもう万々承知しておるところでございます。そういう意味で交通事故防止の徹底をはかるための緊急対策というのを本年の一月十四日、関係閣僚懇談会において決定いたしました。  その趣旨は、あらゆる面からこの交通事故防止を総合的にやっていかなければならないということで六つの柱を掲げております。一つは、道路及び交通環境の整備拡充、第二が交通安全活動の推進、第三、交通秩序の確立、第四、被害者救済対策確立、第五、交通事故防止に関する総合的研究の推進、第六、交通安全国民会議の開催、こういうことであらゆる面から交通事故に対処したい。その一環として、いまの取り締まりの面として刑法改正が出ておるものと承知いたします。
  42. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま松永政府委員からもお答えいたしましたように、まず、罰則を強化いたします前に、なすべき多くの問題を残しておるわけであります。運輸省といたしましても、とるべき措置につきましては、運転手の技量の向上でございますとか、あるいは自動車運送事業の経営の問題でございますとか、あるいは車両の安全上の諸施設の技術的問題でございますとか、あらゆる問題をあわせて行なっていきたいと存じておる次第でございます。しかし、その上に立って、運転手の責めに帰すべき事由によって起こりました事故につきましての刑法上の問題の扱いにつきましては、これは時代の流れに沿っての適当なる改正はやむを得ないか、かようにも考えておるような次第でございます。
  43. 久保三郎

    ○久保委員 政務次官、失礼ですが、運輸行政に携わる者として、運輸全体の立場から刑法改正も御相談なさったと私は思うのでお尋ねしているわけです。なるほど、先ほど申し上げたように、この刑法ができたのは明治四十年、刑法二百十一条が改正の対象でありますが、二百十一条は業務上過失罪であります。こういうものは単に道路交通の問題じゃなくて、陸海空全体に及ぼす問題であります。私は決してその刑法をこのままでいいとは考えていません。特に業務上過失というか陸海空にわたるところの交通業における業務上過失罪、こういうものは別章を設けて新たにきめこまかい法律をつくるべきである、こういうふうに思っているわけであります。ところがいま提案されつつあるところのものは二百十一条の文言を変えずして単に刑罰を重くしていこう、こういうことであります。これはちっとも時代の要請にこたえているとは私は思えないのです。だから当然運輸省当局として、法務省から会議があったと思うのであります。その際は刑法をもう一ぺん見直す、特に二百十一条は見直す、二百十一条の業務上過失というのは単に交通の問題だけじゃありません。言うならば薬剤師も問題があるだろう。あるいは店を並べているところの食肉屋というか肉屋の問題もある。いろいろな観点から検討されなければならない。その中でも特に交通運輸の問題については、業務上過失については最近の判例を一々点検するまでもありません。時代の要請にこたえられた判決が出ているかどうかというと出ていない。非常に専門的な知識も要るこの裁判に対して、残念ながら、最近の検察当局もそうでありますが、御承知のように専門的な知識はあまりない。そういうところからくるところの不当な圧迫というか、そういうものが出てきている。たとえば先般の西武鉄道かどこかの判決を見てみますと、終電車を引き揚げる際に、終着駅において乗客掛が酔っぱらいを車外におろした。それは当然であります。乗客が全部おりたので、発車合い図をして引き揚げ出した。ところがたまたまその酔っぱらいが、どういうはずみか知らぬが、その車両の間に落ち込んでいる。それをひいてしまった。これはいわゆる業務上過失としての判決の出た一つの例であります。あるいは鉄橋上において人物を見たので、規則どおり気笛吹鳴をした。それで近くで気笛吹鳴すれば、普通ならば線路外に立ち去るだろうという期待感をもって機関士は注意運転をしていった。ところがたまたまそれが子供であった。そのためにこれがどかなかった。もはやそこで急制動をかけても間に合わずして、その子供を殺してしまった。これもまた業務上過失ということで判決が出た。なるほど人命は何にたとえても、一番重いのでありますから、それに対するところの当然の責任はあるというものの、現在におけるところの交通運輸に携わる者のいわゆる業務上の注意義務の限界、こういうものにも明治四十年から今日ではだいぶ変遷があるわけですね。そういう点を全然考慮外に置いている——というと語弊がありますが、考慮されない分野が残されたままで判決を下すことは、決して前進ではないと私は思う。そういう意味からいって、刑法の一部改正については、運輸省としてこの業務上過失については別項を置いて、少なくとも交通運輸の実態からして、交通運輸のもとにおける業務過失罪の扱いを規定するという前向きの意見があってしかるべきだと思うのです。いまの御答弁では、どうも法務省の説明と同じであります。最近の酔っぱらい無免許、ダンプカー運転で事故が多い。判決を見ても、みんな最高限は大体やっているから、これはもう限界だから刑をあげなければいかぬというだけの単純な割り切り方でこれをやっていかれたのでは、どこに運輸行政があるのかと私は言いたいのです。私は決して刑法を改正してはいかぬとは言っていませんが、そういうことでは一いま交通安全会議をやるそうでありますが、これは当然論議になると思います。少なくとも政府が出すからには、全般的な視野に立って法案を出すべきだと思うのです。そういう意見はちっとも持たなかったのでありますか。
  44. 大久保武雄

    大久保政府委員 私が先ほどお答え申し上げましたのは、運転士の責めに帰すべき事由ありたる場合、かようなことで申し上げましたことを御記憶をいたただきたいと存ずる次第でございますが、さような場合におきましても、刑の量定の問題につきましては、久保さんも大体はお認めいただいておりますような時代の変遷等にかんがみましての量定がありますことは、これはやむを得ないかとも存じておるような次第でございます。  ただ、運転の技術上の問題等につきましての疑義がある場合ということでありますと、交通のうちで、海難につきましては御承知のように海難審判庁がございまして、いわゆる船舶の操作に関する技術的な問題の審判をいたしておるような次第でございます。自動車につきましては、さような制度はございません。しかしだんだん運転の技術の高度化あるいは都市交通等の面から、さような技術的な判断の資料も聴取せられ、あるいは加えられながら判決が処断されていくものという前提に立ちますと、私は運転士の責めに帰すべき事由ありし場合におきましては、時代の流れに沿っての刑の量定はやむを得なかろうか、かように考えておるような次第であります。
  45. 久保三郎

    ○久保委員 関連でありますから簡単にしましてあとにしますが、海難審判庁の制度は私も存じております。しかしこの刑法改正が出て、たとえば海員の諸君などは、海難審判庁を特別裁判所にしてくれ、こういう要望さえ今日出しているのです。この海難審判庁制度は、あなたのおっしゃるとおり、直接には裁判には関係ありませんが、言うならば、一クッション置いて技術的に検討を加えるというだけであります。いまの制度上は完全ではないにしても、これは十分ではないが、その要望にこたえられる線だと思うのです。それしも、今度の刑法改正では、これは特別裁判所にしてほしいという要望があることも私はあなたにお伝えしておきたい。私はどうもいまの政務次官の御答弁では納得しがたいのです。いわゆる運輸の責任者としての御答弁ではないと思うのです。私は決して砂利トラの酔っぱらい無免許運転をそのまま放置しておいて、いまの刑のままでいいとは毛頭考えておりません。これはあげてよろしいと思います。殺人でありますからいいのです。いいけれども、それによっていわゆる業務上過失罪というものの、業務上過失の限界というものが、今日多様化しているということですね。その例は先はど申し上げた二つの判決でも、われわれ運輸の立場から言うならば、これはちょっと酷じゃなかろうかという考えをするわけです。裁判を批判するわけではありませんけれども、それは一にかかって法律が単純な業務上過失ということになっておるからです。西ドイツあたりでは、御案内のとおり、一九六二年から事故責任と原因について究明しつつあります。よってもって今日ただいまこの刑法改正を検討しておるわけです。  刑法改正の中身はどういうことかというと、御承知と思うのでありますが、やはり交通上の事故と原因、その業務上の過失あるいは注意義務、そういうものをこまかに刑法の中に規定しようというのがドイツの傾向であります。ドイツばかりではございません、その他の国々にもございます。でありますから私はそういう法体系に直していくことが一番いいのではないかと思うのです。単純に刑法の二百十一条の刑の量をあげていくということはだれでもわかる話であって、これは政治じゃありません。だからそういう点を運輸省として——いままでの政務次官の御答弁ではちっとも関心を持っておらなかったような気がするのです、あるいは持っていたのかもしれませんが、法案を提案したのだから、しかたがないから提案をしたたてまえで説明するほかないという御答弁だと思うのですが、それはどうも責任者としての御答弁には聞き取れない、だから私は提案されたからには始末をつけなければならないと思うのですが、決して、提案したからこの法案を通さなければどうもメンツにかかわるということはありません。国民の生活、生命、そういうものに重大な影響があることでありますから、この際ある程度の時間をかけても、前向きでこの改正を推進すべきだと思うのです。私は決して改正を否定するものではありません、むしろ前向きでやってほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  46. 大久保武雄

    大久保政府委員 業務上の過失のいわゆる注意義務の量定という問題につきましては、業務上の問題でございますから、これは相当注意力の強化を要請されるかと思う次第でございます。異常な自動車交通のふくそうといったような客観情勢あるいは事故を受けられました被害者の状況判断といったようなものとあわせまして、個々の場合におきまして、その注意義務の量定をいかにすべきか、業務上の過失の範囲をどこに置くべきかということにつきましては、かなり私は違った面もあろうかと個々のケースにおいて思う次第でございます。これらの点は、裁判が行なわれます際におきまして、望むらくは今日の交通事情を酌量され、また被害者のその現場における実情等も勘案せられまして、この注意義務の業務上の過失の量定をせられますように実は希望しておりますような次等でございます。
  47. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次官、いま先輩の久保さんから刑法の話が出ましたので伺いますが、これはやはり基本問題調査会答申ですが、こういうふうに書いてあるのです。「既設の道路についても、道路構造令(昭和三十三年政令第二百四十四号)に定める交通量が存在するにかかわらず、幅員がその基準に達せず、自動車の運行に支障のあるもの、」こういうふうに指摘しているのです。いま先輩議員の指摘したところもむしろ業務が多様にわたった中の業務上の問題もございますけれども、まず政治家としてやるものはこういう問題の解決がすべてであって、罰則強化のみでは事が足りないだろうということが重点になって話が進められたものでありますけれども、先輩議員のほうで後刻またあらためてという話でありますから、このくだりだけ読み上げることにとどめておきます。  これに関連して、がらっと趣が変わりますけれども交通違反の罰金、過料ですね。これは約百億以上国で徴収されておることになるのですが、この百億以上の金に見合う資金などは、交通安全に関する諸施策に強化資金として加えられてしかるべきだと思うのです。政治としてほんとうに交通安全を——佐藤総理が言われるまでもなく、私どももそうでありますが、人の命を守るのであれば、財源難、財源難というのであれば、こういう収入交通安全に関する諸施策に引き当てられてしかるべきだと思うのですが、次官の御見解はいかがですか。
  48. 大久保武雄

    大久保政府委員 今回の予算の審議過程におきまして、人命の安全に関する予算ということにつきまして、私どもといたしましては強くこれを取り上げた次第でございます。本日の委員会におきまして御討議をいただいております自動車事故率は、日本が世界において最高位を占めておる、また鉄道におきましては、踏切の列車事故がこれまた最高位を占めておる、また海上におきましては、海難による死亡者は火災による死亡者を上回っておる、こういったような日本の海陸に関する人命の損耗というものに対しての安全の上における予算措置ということは、当然取り上げられなくてはならぬと存じまして、これを強く要請いたした次第でございます。さような関係からいたしまして、自動車面におきましては、今回非常にきびしい査定方針でありました人員の増加等につきましても、車検の発行その他におきまして特別の人員を運輸省に割り当てをいただきましたし、また踏切の事故対策の予算もこれまた増加をしてもらいましたし、また海上の安全に関する航路標識等の予算につきましても相当の増額が行なわれました。予算財源不足の際でございますので、一〇〇%私どもの目的どおりにはまいりませんでしたけれども、まあまずまずというところまでまいりましたことをここに申し上げておきたいと存ずる次第でございます。  それから、罰金を直ちにリンクして、交通の安全の予算に回してもらえるかどうかという面につきましては、運輸省の側といたしましてはそれが望ましいのでございますけれども、大蔵財政当局といたしましては、これは一般国庫に入る収入でありますので、それを各方面に予算として編成してまいられると思いますけれども、しかし先ほど申しましたように、われわれといたしましては、人命の安全という一番重要な陸海の交通対策のために今後とも大蔵省に強く迫っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  49. 泊谷裕夫

    泊谷委員 時間の関係もありまして、次官にあわせてお尋ねをしたいのですが、いま次官が一番苦悩しております問題として取り上げましたものに踏切があります。確かに世界で二番目の事故件数なんです。困ったことには、踏切はアメリカは千五百六十メートルに一カ所だけれども日本は四百八十メートルに一カ所、列車はアメリカでは一日に七回、日本では七十一回、だから事故が起きると相当悲惨な様相を示すわけですが、一九六二年に西ドイツが国で九億、立体交差の金額補償をやっているのです。次官が言われたように、今回たしか私の見憶が違っていなければ、次官努力によりまして十六億踏切対策費が国鉄側としてはふえておりますけれども、ほかの国に比べて距離にして三分の一に一ヵ所ずつある、列車の密度は十倍だというところで一番大きな事故が起きているとすれば、これは国として当面安直に——と言ったら語弊がありますけれども、とにかくやれるものとして、立体交差の費用などについては、次官すでに御承知のとおり、現実の姿としては地方の行政機関に負担させるといっても限界があって、あと送りになっているのですね。思い切ってこれは国で助成してしかるべきだと思いますが、大蔵省の関係がありましょうけれども次官としての考えはどうでしょうか。
  50. 大久保武雄

    大久保政府委員 立体交差は交通安全上非常に有力な手段でございますけれども、これは相当な賞用を同時に要するわけでございます。だんだん鉄道の線増が地方に伸びますにつれまして、地方都市等におきましても立体交差の要望がだいぶん出てまいっておる次第であります。そういう際にこれを全部国が見て、あるいは鉄道側が見ていくかという点につきましては、なかなか予算会計上の問題もあるわけでございます。また私鉄等につきましても、大都市乗り入れ等につきまして同じような問題がございまして、これを立体化するということによって、いわゆる金利のつく金でその措置をやっていくということは、民間会社として相当経営上の問題も起こってくるわけでございます。そういう場合に、開発銀行等で財政資金をこれにいかに投入していくかといったような問題がさまざまあるわけでございまして、私どもといたしましては、一般会計予算あるいは財政資金による開銀融資あるいは鉄道財政の許す限りにおきまして、この立体交差はぜひとも推し進めていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  51. 泊谷裕夫

    泊谷委員 また次官お尋ねしますけれども長谷川委員長のほうでそろそろ時間だっていうよりなお顔をされておりますので、尋ねたことの結論だけ聞かしてください。だからいまの立体交差の問題についても、やはりこれは私は国でめんどうを見てほしいという意見なんですが、努力をしていただくという筋が入っておりましたので、これはこれで今後の努力に期待をしたいと思います。それでこれから尋ねるのは具体的な問題で恐縮でありますが、次官にひとつ聞きたいのです。運行管理の監督官庁である陸運事務所の関係であります。陸運事務所は常に警察とか労働基準監督の機関と常時連絡を密にして仕事を進めておるわけでありますが、先日も北海道夕張のガス爆発でたいへん苦悩しました。そのときも本会議で問題になりましたが、その保安行政は本来労働省にまかしたらどうだということを私どもは強く訴えて、その筋をとっておるのですけれども、一面通産省と労働省の関係を見ますと、保安の監督権さえ通産で持っているのですね。ところがうちのほうの陸運事務所を見ますと、白タク営業を取り締まるにいたしましても、駅の助役さんが持っております司法警察吏の職務を行なう権限すらないのですね。ですから普通の者と同じで、現行犯はだれでもつかまえられるのですが、そういうことで聴取書一枚つくれないという形になっておる。何で運輸行政だけがほかと対比してみてもこういう措置がとられぬのかということを私はたいへん不審に思うのです。このことはこればかりじゃないのです。いまお話がありました車検は特別会計になりました。ですから検査料を徴収して、八百メートルも一キロも長くじゅずつなぎしております車を点検するということでなしに、検査事務をすみやかにやろうということで、この人員などはその要請にこたえて十分やれるはずなのでありますけれども、今回は航空の管制要員を入れまして、運輸省のほうは約百八十名くらいのものです。こういうことでは、努力していただいたと思うのですが、全く天井から目薬という程度のもので、現状における車検業務というものの停滞は解消されないと思うのであります。この二つの問題について、次官の今後の打解策を聞かしていただきたい。  それからもう一つ、たいへんやかましくなっております——先日肥田議員も触れられたのでありますけれども運輸省で持っております、すべてのトラックあるいはハイヤーの認可制度の廃止の問題が出ておりますね。私はこれなどは暴論だと思うのですけれども、これについて次官はどういうふうにお考えであるか。  この三つの問題を取り上げたのは、ともあれ、前段で強く申し上げました運輸行政に対する運輸省のあり方というものが、ほかの役所に比べて格差があるような気がしてならないわけであります。き然たる運輸省の態度があっていいという考えに立ってお尋ねをしておるのでありますが、これについて見解を述べてほしいと思います。
  52. 大久保武雄

    大久保政府委員 運輸行政、特に自動車行政というものは比較的新しい行政でございます。私も昔役人でございますが、私どもが役人になりましたころは、自動車行政というのはなかったのであります。それからだんだん自動車行政というものが出てまいりましたほど、言ってみるならば行政の新参でございます。新参でございますので、まだいろいろと満ち足りない、おしかりを受ける点がたくさんございますが、やはりだんだんのれんが古くなりますと、いろいろなものもかね備わってお店らしくなってまいりますわけでございますから、私どもせっかく努力いたしまして、この自動車行政を将来りっぱな行政に育てていくように今後とも努力をしてまいりますので、どうかひとつ末長く御支援をいただきたいと考えておりますような次第でございます。  また、自動車の車検要員は百八十人のうち百五人でございます。これは各省人員の増員が非常に減査定を受けましたうちでは伸びましたほうでございますから、私どもといたしましては、決してこれでは満足いたしませんで、また来年もこれを強化いたしまして万全の体制をとっていきたい、かように考えておりますような次第でございます。  また認可行政の廃止という問題は、これを地方自治体に移したらどうかという意見と関連をいたすかと存じますが、自動車交通は、行政区域を越えて、相当な長距離輸送もいたしております今日といたしまして、私どもといたしましては、認可行政を運輸省から他に移すといったようなことは反対をいたしておるような次第でございます。
  53. 泊谷裕夫

    泊谷委員 次官が役所育ちだということを初めてお伺いいたしましたけれども、先日も、松浦運輸大臣が視察においでになったときの現地の事情は、おそくまで仕事につく仲間のための増務給の支払いさえ、役所としては苦悩しているのです。ですから、こういうものを委員会で出すのもどうかと思うのですけれども、その実態をこの際理解していただきまして、これらに対する措置をお願いしたいと思うのです。  それでは、次に自動車局長お尋ねしますが、自家用トラックの問題がたいへんうるさい問題になってきたことは御承知のとおりでありますが、これについて運行管理制度を適用することを検討していいのではないか。答申にありますように、当面、特に労務管理の改善について行政指導の許可をはかるべきだと思うと指摘をしているのですが、これについて局長いかがなものでしょうか。
  54. 坪井為次

    坪井政府委員 道路運送法では、運送事業者に対しまして運行管理の制度を設けまして、保安の万全を期しているわけでございますが、自家用車に対しましては、営業上の類似行為を取り締まるというようなだけの監督規定でありまして、自家用の使用自体についての制約を設けてはございません。したがいまして、自家用車の使用者に対しての運行管理制度は、今回道交法の改正で、ある程度道路運送法に合わした改正が行なわれるようになっております。
  55. 泊谷裕夫

    泊谷委員 それでは次官お尋ねをします。先ほども指摘しましたが、在来交通産業の犠牲で他の産業が栄えてきている傾向にある、こういうふうに申し上げましたが、これは私の意見でなくて、答申の意見なんですが、わが国の弊害を是正するためにと、こういうふうにしてありますけれどもトラック、ハイラー業界の保護と企業対立緩和、これなど運輸省として考えてみなければなりませんし、また一面、本来の業務推進は、安全確保の責任体制を確立する必要があろうと思うのです。そういうことで、当該業界を中心に信用保証協会設置による融資の円滑化あるいは中小企業の事業協同組合などの設立を育成することによって、保護と指導を考える時期に来たと思うのですが、次官考えはいかがなものでしょうか。
  56. 大久保武雄

    大久保政府委員 自動車事業の業態の中には、非常な小さな事業者がたくさんおられるわけでございます。そういう方々に対しましては、一般中小企業の対策と同様な施策を講じまして、信用保証の全面的な活用、それに基づく融資の円滑化というようなことにつきまして努力をいたしていきたいと考えております。
  57. 泊谷裕夫

    泊谷委員 先に進みますけれども、信用保証協会の問題については、特に次官在任中にものにするように努力をいただきたいと思います。  それで、自動車局長のほうにお尋ねをしますが、今回提案されました自動車ターミナル、この利用範囲は当然制限がないものと思われますが、いかがなものであるか。もしあるとすれば、関係二十三社ですね、東京ターミナルの二十三社、これのシェアはどういうことになるのか。それから、旧東京自動車ターミナルは実際の施業実体がないということを先日お答えになっておりましたが、だとするならば、その移譲について、直ちに評価されてよいのではないかと思うのでありますが、その用意があるのか。ないとすれば、特に用地取得の具体的内容を、委員会を通して国民の前に明らかにしておくことが必要でないかと思うのでありますが、以上三点についてお答えをいただきたいと思います。
  58. 坪井為次

    坪井政府委員 板橋につくりますターミナルは一般ターミナルでございますので、広く一般の利用に開放されるものであります。  それから、二十三社の業界におけるシェアの問題でございますが、東京に出入する路線事業者教が百三十八業者でございますので、板橋方面に関しましては、大体そのうち一六%、三十六業者が関係しておりまして、ここに出資しておりますのはそのうちの九社でございますので、二五%になります。  それから、第三点は東京トラックターミナル会社の問題でございますが、これにつきましては、先ほど御説明しましたように、現在払い込みが済みまして、ほとんど資産としては定期預金で、そして預託されております。これが現在の活動としましては、地主と買収の交渉をやっておりまして、十二月の二十三日に第一回の折衝を行ないまして、これにつきましては東京都の首都整備局から流通センターの構想の説明が地主側に行なわれ、協議会より地元の協力方を要請し、地元は協力の意を表明した、そういうことになっております。以後地主側と折衝中でございます。  したがいまして、評価委員問題でございますが、これは法律ができましたら、吸収する場合に直ちに評価委員が設けられると思いますが、その段階までにはまだ資金的にそれが流動するということは考えられないと思っております。
  59. 泊谷裕夫

    泊谷委員 きょうせっかく資料をいただいたのですけれども、質問を続けておりまして検討する余裕がなかったのですが、ただ一般的に、十二月の暮れ迫ってトラックターミナルができた、今度運輸省が提案をしましたターミナルへ移行するということになりますと、何か一般的にはその移行について釈然としないような空気を残してはいけないと思いまして、私は特にこの用地取得などについては、この際徹底的に、全員が納得するようなスタイルをとっていただきたいと思うのであります。  せっかくいただいた資料を、少し勉強させてもらってから、また必要があればお尋ねすることにして、本日はこれでおしまいにしたいと思います。
  60. 長谷川峻

    長谷川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十六日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時十二分散会