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松浦国務大臣 昭和四十年度の
運輸省関係の予算について御説明申し上げます。
初めに、予算の規模について申し上げます。
まず
一般会計について申し上げますと、
歳入予算総額は十八億三千五百八十二万九千円、
歳出予算総額は
他省所管計上分八十八億九千七百十五万七千円を含み一千十五億三千四万一千円でありまして、この
歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百四十億六千六十五万三千円の増加となっており、約一六%の増加率を示しておるのであります。
この増加額の内訳をみますと、行政費では六十一億九千七百七十九万円、
公共事業費では七十八億六千二百八十六万三千円の増加となっております。
次に、
特別会計について申し上げます。
まず木船再
保険特別会計の
歳入歳出予算額は、四億二千四百五十二万一千円で、前年度に比較して約七千万円の増加となっております。
自動車損害賠償責任再
保険特別会計につきましては、
歳入歳出予算額を前年度予算額の約二倍に当たる六百二十八億五千百八十二万九千円といたしております。
港湾整備特別会計の
歳入歳出予算額は、昭和四十年度を初年度とする新
港湾整備五カ年計画に基づいて港湾の整備を推進するため、前年度より約七十八億円増額して、五百五十億九千七百三十二万三千円といたしております。
自動車検査登録特別会計の
歳入歳出予算額は、十七億八千五百八十万二千円で、前年度に比較して約二億六千五百万円の増加となっております。なお、以上の経費のうちには、
一般会計、
特別会計を通じ、定員二百五十九名の純増に伴う経費が含まれております。
このほか、昭和四十年度
財政投融資計画中には、当
省関係分といたしまして、約三千三百七十三億円が予定されております。
昭和四十年度予算におきましては、当省は、本格的な
開放経済体制下に入り、きびしい
国際競争にさらされることとなったわが国の
国際収支の均衡をはかるとともに、高度成長により生じたひずみを是正して経済の安定成長に寄与するため、
貿易外収支の改善と輸出の振興、
輸送施設の
整備増強、
運輸事業における
中小企業の基盤の強化、
交通安全対策並びに防災対策の強化、
科学技術の振興等に重点を置き、次に申し述べる諸施策を積極的に推進する所存であります。
以下、部門別に重点施策の要旨を御説明申し上げます。
まず、
海運関係では、第一に、
外航船舶の建造に必要な資金として、
日本開発銀行からの融資五百六十一億円を予定しております。これによりまして、昭和三十九年度の百二十万総トンに引き続き、四十年度において百五十万総トンの
外航船舶を建造し、邦船の積み取り比率を高めて、近年赤字の増大しつつある
貿易外収支の改善に貢献いたしたいと考えております。
第二に、
外航船舶の建造融資にかかる海運企業の
金利負担を軽減して、
わが国海運の
国際競争力を強化するため、
利子補給に必要な経費として、
市中金融機関分十一億四千五百八十四万九千円、
日本開発銀行分二十三億二千五十一万七千円を計上しております。
なお、二十一次船の
利子補給についての
国庫債務負担行為限度額として、
市中金融機関分三十三億九千八百七十九万五千円、
日本開発銀行分百三十一億七千九百七十八万五千円を計上いたしております。
第三に、海運の
国際競争力強化対策の一環として、
外航船腹の船質改善を進めることとし、これに必要な資金として
日本開発銀行からの融資十億円を予定しております。これによりまして、老朽化不経済化の著しい船舶の
代替建造及び改装を行なう予定であります。
第四に、三国間輸送を促進して、外貨の獲得と海運市場の拡大をはかるため、三
国間輸送助成金八億三千四百万円を計上しております。
第五に、移住船の運航の安定と
移住者輸送の合理化をはかるために、必要な経費として、昭和三十九年度における移住船の運航により生じた欠損に対する補助金二億三千八百五十七万三千円と、移住船五隻のうち三隻を貨物船に転用するに伴い、
船舶所有者に対して交付する助成金二億二千百三十九万六千円を計上いたしております。また移住船の残る二隻につきましては、移住者席を改装し、一般旅客も誘致することによって採算の向上をはかることとし、このための改装に必要な資金として
日本開発銀行からの融資二億円を予定いたしております。
第六に、内航海運の近代化に必要な資金として
財政融資五十一億三千六百万円を予定しております。これは三十九年度に引き続き
老朽船運炭機帆船、
沿岸木造タンク船を解撤して専用船の建造を推進するため、これに要する財政資金を
特定船舶整備公団に対し融資しようとするものであります。
第七に、
離島航路の整備に必要な経費として七千三百十四万五千円を計上いたしております。これは離島住民の交通を確保するため、航路の性質上経営の困難な
離島航路事業者に対して、その航路を維持させるため補助金を交付しようとするものであります。
第八に、
国内旅客船の整備に必要な資金として、
特定船舶整備公団に対する
財政融資九億円を予定し、
老朽旅客船の
代替建造、
離島航路における小型船の
大型化等を推進して、海上旅客の安全と利便の増進をはかりたいと考えております。
次に、
船舶関係につきましては、第一に、造船技術の振興に必要な経費として六百五十二万八千円を計上しております。これによりまして、新技術の実船への適用を促進するために必要な
海上実験船の建造に関する調査と新たな内
航輸送方式の開発に関する調査を行なうこととしております。
第二に、中
小型造船業及び
造船関連工業対策として七百七十九万一千円を計上しております。これによりまして、
中小造船業及び
造船関連工業等の
中小企業に対する指導並びに調査を行なおうとするものであります。
次に、
船員関係につきましては、第一に、
船員需給対策の強化と
船員教育機関の整備に必要な経費として二千七百六十七万四千円を計上しております。これによりまして、船員の需給計画を策定して、これに基づく
必要労働力の確保をはかるとともに、海技大学校、
海員学校等、当省の所管に属する船員の
教育施設の整備を行なうことといたしております。
第二に、船員の福祉厚生を増進するため、
船員厚生施設を整備する者に対して施設費の一部を補助することとし、二千五百万円を計上いたしております。
次に、
港湾関係について申し上げます。
最近の
港湾取り扱い貨物量の急速な増大、船舶のふくそうによる海難事故の増加、さらに新
産業都市の建設をはじめとする地域開発諸施策の進展といった情勢に対処し、港湾の整備を緊急に推進する必要がありますため、今回昭和四十年度を初年度とし、総事業費五千五百億円にのぼる新たな五ヵ年計画を策定することといたしました。
このため、計画の初年度たる昭和四十年度におきましては、
港湾整備事業費として当
省所管一般会計予算に三百二十二億六百三十八万九千円、
総理府並びに
労働省所管予算に七十四億九千五百十万円を計上し、これに対応いたしまして
港湾整備特別会計の規模を五百五十億九千七百三十二万三千円といたしております。これによりまして、外国貿易港、主要航路並びに新
産業都市及び
工業整備特別地域の中核となる港湾の整備に重点を置き、横浜港ほか三百三十一港の整備を行なうとともに、
石油港湾として堺港ほか二港、
鉄鋼港湾として名古屋港ほか四港及び
石炭港湾として苫小牧港について
特定港湾施設の整備を行なう予定であります。
第二に、港湾の整備に並行して公共の用に供せられる上屋、荷役機械、
引き船等の
港湾機能施設を五カ年間に総事業費一千億円をもって整備することといたしました。
このため、四十年度においては、これらの
港湾機能施設の整備を行なう
港湾管理者に対し地方債の起債のあっせん百十億円を予定しております。なお、このほかに
特定船舶整備公団と
港湾運送事業者との共有方式によるはしけ、引き船、荷役機械の整備のため、同公団に対する融資四億一千二百万円を予定しております。
第三に、
港湾管理者の行なう
臨海工業用地及び都市再
開発用地等の造成を促進するため、地方債の起債のあっせん四百三十億円を予定しております。
第四に、
港湾都市防災事業の推進に必要な経費として当
省所管予算に百二億八千五万六千円、
総理府並びに
労働省所管予算に二億八千九十万円を計上しております。これによりまして東京港、大阪港その他
主要港湾都市における高潮、
地盤沈下等の災害を防止するため、海岸事業を計画的に進めるとともに、災害復旧を強力に推進する所存であります。
次に、
鉄道関係につきまして申し上げます。
第一に、国鉄につきましては四十年度より新たに総投資額約三兆円にのぼる新
長期設備投資計画を発足させ、
大都市通勤輸送の改善、
過密ダイヤの緩和及び
保安対策の強化をはかることといたしました。このために必要な経費として四十年度は
財政融資一千六百億円、を予定しております。なお、
国鉄関係予算につきましては、後ほど別途御説明させていただきたいと思います。
第二に、日本鉄道建設公団による鉄道新線の建設を推進するため同公団に対し
産業投資特別会計からの
政府出資十億円を計上し、
財政融資として四十億円を予定しております。さらに同公団の発行する
鉄道建設債券の金利と
資金運用部資金等からの
借り入れ金利との差等を勘案して交付する補給金二億円と、同公団の経営の健全化をはかるため、公団が無償で貸し付ける
鉄道施設に対する
貸し付け料相当額の一部を補助するために必要な経費六千百万円を計上しております。
第三に、大都市における
地下高速鉄道網の整備を促進するため、
建設所要資金として
財政融資及び地方債の起債のあっせん四百五十億円を予定するとともに、三十九年度における
地下鉄道建設費の一部を補助するために必要な経費三億三千八百十三万六千円を計上しております。
第四に、大都市における
輸送力増強と
保安対策の強化をはかるため、
日本開発銀行からの融資を予定しております。これによりまして郊外私鉄の
都心乗り入れ、踏切道の
立体交差化等を促進することとしております。
第五に、中小私鉄の助成に必要な経費として七千八百四十八万一千円を計上しております。これによりまして
地方鉄道軌道の新線建設または欠損に対して補助するとともに、豪雪地帯における防雪設備の整備を促進して、地方住民のための交通を確保し、民生の安定に寄与することとしております。
次に、
自動車関係につきましては、第一に、
自動車事故対策の強化に必要な経費として二千百十四万円を計上いたしております。これによりまして自動車の重大事故の原因を徹底的に調査し、これに基づき
自動車運送事業者に対する指導監督を強化するとともに、
自動車損害賠償保障制度の充実をはかることといたしております。
第二に、自動車の激増に対処し、自動車の
検査登録事務を円滑に処理するため、
自動車検査登録特別会計において十七億八千五百八十万二千円を計上いたしまして、検査場十一カ所十七コースを整備するほか、
検査登録要員を百五名増員して、業務体制を強化することといたしました。
第三に、
日本自動車ターミナル株式会社(仮称)に対する
政府出資五千万円を計上するとともに、同社に対する
日本開発銀行からの融資五億円を予定しております。この会社は、大都市及びその周辺の地域における大規模な
自動車ターミナルを整備して、都市の再開発、道路交通の円滑化並びに
自動車輸送の合理化をはかることを目的としており、四十年度においては、東京郊外の
総合流通センターにおける
トラックターミナルの建設に着手することにいたしております。
次に、
航空関係につきましては、第一に、
日本航空株式会社に対する助成策として、
産業投資特別会計からの出資十五億円を計上し、同社の発行する社債五億円について債務保証を行なうこととしております。これによりまして激化する
国際競争に備え、日本航空の
国際航空路線を増強するとともに、同社の資本構成の健全化をはかろうとするものであります。さらに、
国際航空路線の充実のためには、乗員の増強が急務であることにかんがみ、三十九年度に引き続き、国際線の
乗員訓練費の一部を補助することとして、三億五千万円を計上いたしております。
第二に、新
東京国際空港の建設のため必要な経費として、
大蔵省所管予算に、新
東京国際空港公団(仮称)に対する出資五億円を計上いたしております。新
東京国際空港は昭和四十五年度までに建設することを目途としておりますが、候補地がきまり次第、測量、用地買収または補償に着手することといたしております。
第三に、国際及び国内空港の整備に必要な経費として当
省所管予算に四十九億六千二百八十万円、
総理府所管予算に四億二千百十万円を計上いたしております。これによりまして
東京国際空港の第二期
整備工事、大阪国際空港の拡張工事を行なうとともに、福井ほか七空港の
継続整備、南紀空港の
新規整備、名古屋ほか十八空港の改良工事を行なう予定であります。
第四に、航空の安全強化に必要な経費として四億九千五百十九万五千円、
国庫債務負担行為額十五億八千百二十四万四千円を計上しております。これによりまして
航空交通管制業務の自動化に着手するとともに
航空無線標識施設の整備を行ない、さらに
航空保安施設の増加に対処しこれらの施設を検査する航空機一機を増強することといたしております。
第五に、航空大学校における教育の充実をはかるため、
教育用航空機を購入するほか、教育用諸施設を整備するため一億三千七百五十万七千円を計上しております。
次に、
観光関係につきましては、第一に
国際観光振興会に対する助成策として
政府出資一億四千万円、補助金七億百六十五万二千円を計上しております。これにより
海外事務所一カ所の新設、
海外宣伝資料の
充実等国際観光振興会の業務の拡充強化を行なって、
国際観光の振興をはかるとともに、振興会の事業を効率的かつ独力に実施するため
本部事務所を整備することといたしております。
第二に
ユースホステルの整備に必要な経費として五千二百八十六万四千円を計上いたしております。これは
内外青少年の交歓による国際親善の促進と健全な国民旅行の発展をはかるため、十カ所の
公営ユースホステルの建設を行なうこととし、その整備費の一部を
地方公共団体に対して補助するものであります。
次に、
海上保安関係について申し上げます。
第一に、海上における安全の確保と治安の維持をはかるため、巡視船艇十隻の
代替建造、航空機一機の増強を行なうほか千歳に航空基地を新設することとし、十億八千六百五十九万七千円、
国庫債務負担行為額三億五千四十四万円を計上しております。
第二に、
海上警察力の強化のため必要な経費として九千二百二十九万八千円を計上しております。これは最近における
領海侵犯等の悪質なる海上犯罪の発生に対処し、レーダー、武器等を整備して
国境警備体制を強化するとともに、
警備用自動車及び
高速機動艇を増強して、警察力の機動性の強化をはかるためのものであります。
第三に、
航路標識の整備に必要な経費として十四億四百十五万円、
国庫債務負担行為額一億四千四百九十七万八千円を計上しております。これによりまして、
港湾標識、沿岸標識、
電波標識等を新設するとともに、既存の
航路標識について改良改修、
集約管理体制の強化等を推進し、その機能の向上をはかることといたしております。
次に、
気象関係につきましては、第一に、予報、観測及び
通信施設の
整備強化をはかるため二億一千百八十四万三千円、
国庫債務負担行為額五千二百六十二万三千円を計上いたしております。これによりまして、高性能の
電子計算機を導入して予報精度の向上をはかるほか、観測測器の近代化及び
通信施設の整備をはかることといたしております。
第二に、
防災気象業務の整備に必要な経費として三億五千三百七十三万六千円を計上しております。これによりまして、松江に
気象用レーダーを設置して、豪雨雪の実況を適確に把握するほか、河川、地震及び火山の観測施設を整備して、水害、
地震火山等による災害を防止する体制を充実強化するとともに、
農業気象業務の対象地域を拡張して、天然現象による農作物の被害を防止軽減することにつとめたいと考えております。
第三に、海洋並びに海上気象の観測の充実強化をはかるため、
老朽観測船の
代替建造を行なうこととし、二億三千五百三十七万一千円、
国庫債務負担行為額六億四十八万五千円を計上しております。
最後に、
科学技術関係について申し上げます。
これまでに申し述べた諸施策を推進するにあたり、これらの基礎として
運輸関係の
科学技術を一そう振興する必要があると考えられますので、
所轄試験研究機関を整備拡充して、研究を推進するとともに、民間の行なう試験研究についてもその助成につとめることといたしました。
このために、
試験研究機関の整備に必要な経費として当省所管の予算に十六億八千六百六十万六千円、
総理府所管予算に九千九百七十万四千円、民間の試験研究補助に必要な経費として七千八百万円をそれぞれ計上いたしました。
これにより、自然災害及び公害の防止に関する問題の解明につとめるとともに、高経済性船舶、原子力船の開発、電子航法技術の開発及び港湾建設技術の近代化等をはかる所存であります。
以上をもちまして昭和四十年度の
運輸省関係の予算についての御説明を終わりといたします。
次に、昭和四十年度
日本国有鉄道予算の概況につきまして御説明申し上げます。
昭和四十年度の予算の編成にあたりましては、まず、四十年度におけるわが国経済の見通し及び国鉄輸送需要の動向を考慮して、収入を見積もるとともに、設備投資としては、新長期計画の初年度として
大都市通勤輸送の改善及び重要幹線の
輸送力増強並びに
保安対策の強化に重点を置いて支出予算を組んだ次第であります。
以下、収入支出予算について、損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。
まず、損益勘定について申し上げます。
収入といたしましては、鉄道旅客輸送人員を六十八億七千九百万人、輸送人キロを一千七百八十六億人キロと想定いたしまして、旅客収入を対前年度一五%増の四千三百九十九億円と見込み、また、鉄道貨物輸送トン数を二億一千八百万トン、輸送トンキロを六百三十一億トンキロと想定いたしまして、貨物収入を対前年度一・四%増の二千二百五十二億円と見込んでおります。以上の旅客及び貨物収入のほかに、雑収入等を見込みまして、収入合計六千九百三十一億円を計上いたしております。
他方、支出といたしましては、経営費のうち人件費につきましては、四十年度の昇給と期末手当、奨励手当四カ月分を見込みまして、二千六百三十一億円を計上いたしております。なお、給与の総額は、ほかの勘定の分を加えまして、三千八十六億円といたしております。物件費につきましては、節約に特段の努力を払わせることにいたしておりますが、おもなものといたしまして、動力費四百九十一億円、修繕費八百七十四億円等を見込んでおります。これらを合わせまして、経営費総額は五千百七十五億円となっております。
以上の経営費のほかに、受託工事費四十億円、利子及債務取扱諸費六百四十一億円、減価償却費八百三十億円、資本勘定へ繰り入れ百八十億円、予備費六十五億円を見込みまして、支出合計六千九百三十一億円を計上いたしております。
次に、資本勘定について申し上げます。
収入といたしましては、さきほど申し上げました減価償却引当金八百三十億円、損益勘定からの受け入れ百八十億円に、資産充当三十九億円、資金運用部からの借入金等一千六百億円、利用債、縁故債二百三十億円、特別債券六百八十八億円を加えまして、収入合計三千五百六十七億円を計上いたしております。
他方、支出といたしましては、このうち三千億円を工事勘定に繰り入れるほか、借入金等の償還に四百七十八億円、日本鉄道建設公団等への出資に八十九億円を予定いたしております。
最後に、工事勘定について申し上げます。
昭和四十年度は、新長期計画に基づいて、
大都市通勤輸送の改善及び重要幹線の輸送力の増強並びに
保安対策の強化に重点を置き、通勤輸送の混雑緩和、重要幹線の複線化、電化・電車化、ディーズル化、さらに踏切及び保安施設の改善等をはかるために三千億円を計上いたしております。
以下、工事勘定の内容について御説明申し上げます。
まず、通勤輸送対策につきましては、東京付近四百一億円、大阪付近八十四億、電車増備五百五十九両、百二十六億円、計六百十一億円を計上し、輸送需要の増大に対処するとともに、混雑緩和をはかることにいたしました。
次に幹線
輸送力増強につきましては、前年度より四百六十八億円と大幅に増額いたしまして一千六十六億円を計上し、函館本線、東北本線、常磐線、羽越本線、奥羽本線、上信越線、中央本線、北陸本線、鹿児島本線等輸送能力の限界近くまで利用されている諸幹線の輸送力の増強をはかり、これらの線区における輸送の隘路をできるだけすみやかに解消することにいたしました。
次に電化・電車化につきましては、工事費七十七億円、車両費八十八億円、計百六十五億円を計上し、現在工事中の東北本線、常磐線、北陸本線、中央本線及び鹿児島本線の電化を促進いたしますとともに、既電化区間の電車化を積極的に行ないまして、列車回数の増加等輸送力の増強をはかるとともに、サービスの改善と経営の合理化に資することにいたしました。
次に、ディーゼル化につきましては、施設費十九億円、車両費百八億円、計百二十七億円を計上し、電化されない区間のディーゼル化を促進することにいたしました。
次に、諸施設の取替及び改良につきましては、八百八十四億円を計上し、緊急に整備を要する踏切及び信号保安施設の大幅な改良をはじめとして、諸施設の取替及び改良をはかるとともに、車両の増備等を行なうことにいたしました。
以上のほかに、総係費百四十七億円を加えまして、支出合計三千億円を計上いたしております。これらに要する財源といたしましては、資本勘定から受け入れます三千億円を充てることにいたしております。
以上御説明申し上げました
日本国有鉄道の予算につきましては、予定されました収入をあげ、予定されました工事計画を完遂するために特段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もってわが国経済の発展に資するよう指導監督してまいる考えであります。
以上、昭和四十年度
日本国有鉄道の予算につきまして御説明申し上げましたが、よろしく御審議のほどをお願いいたします。