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国務大臣(
赤城宗徳君) まず、事務的に申し上げますと、三十九年度におきまして構造改善事業が新たに四百十三の市町村を計画地域として指定しました。そして、三百十九の市町村で事業に着手することになっております。本年度までにそれによりまして約千六百の計画地域の指定が行なわれますとともに、約八百の市町村において農業者の創意による自主的な計画に従って事業の着実な実施がはかられることになっております。そこで、従来、いまやっている農業構造改善事業そのものがよくいっているかどうか。私はよくいっていると思います。ただ、こういう結果はございました。自主的でない、あるいは弾力性を持たぬというような点がありました。そういう点も改めていかなくちゃならないと思って改めております。それから事業費が足らぬというのでありますので、本年度単独
融資の費用をふやしました。それから構造改善事業が一町村の中の一部で局部的である、したがって、他の部落等における不満もあり、思うようにいかぬということでございますので、一地区に二つを指定するというようなことも改めました。いろいろな方面で改めてきておりますので、悪い面は是正されつつあると思います。
それで、構造改善の主としてやっている対象は土地基盤、生産基盤の整備及び主産地形成というような目標で共同化等を進めておるのでございます。一町村の一部でありますので、あるいはまた指定が全部全国がやっておるのじゃありませんから、やらないところもありますし、やっておるところにおきましても十分でないといううらみはあろうと思いますけれども、やっているところは相当熱意をもって進めておると思います。さらに、こういう一部分でありますので、三十八年から主生産地形成あるいは広域的な公共事業というような面で広域的にひとつ考えていく点も必要じゃないかというようなことで三十八年から調査をいたしておるのも実を結ぶので、ひとつ広域的な構造改善的な
仕事をしていこうかというようなことを考えておるわけでございます。
そこで、農業基本法との
関係でございますが、先ほど
大蔵大臣に対する御質問等にもありました農地管理事業団でございます。私は、構造改善というものはどうしてもこれはしなくちゃならぬ。
政府が手をかけるとかかけないとかは別として、やっぱり農業が体質改善をし、構造改善をしなくちゃならぬもう段階にきている。他産業との所得の格差、あるいは生産性の格差、これを是正しなくちゃならぬ。あるいは国際的に見て
日本の農産物がコスト高になっておる、こういう点がございまするし、国際競争力が非常に弱い、こういう両面に差しはさまれている
日本の農業でありますから、どうしてもこれは構造改善をして
日本の農業を強化して他産業との所得の均衡にあるいは格差の是正を進めていかなくちゃならぬということになりまするというと、やはり土地生産基盤の拡大とかあるいは主産地形成等によっていくということも必要でございますけれども、その前にやはり
日本の農業の零細性といいますか、そういうものを克服していきませんと、現在労働力の非常に不足しています一方において、それを補うためにまた近代化のために機械化を進めております。こういう機械を効率的に使用するにいたしましても、あるいは労力の
対策からいたしましても、土地が経営規模が
一つは広くなくてはならぬ、あるいは資本の装備が十分になくちゃならぬと、こういう二つの面があろうと思います。でありますので、一面においては質的には土地の生産基盤の整備によって土地をよくしていく。このためには農道も必要でございます。圃場の整備によって土地の集団化も必要でございます。そういうことによって質的に農業がやりよくなるようにしなくちゃいかぬ。それから量的に言いまするならば、資本の装備とやっぱり土地基盤を拡大していく。こういう点から考えますならば、やはり農業基本法にうたっておりまするように、自立経営
農家の拡大強化及び協業の推進、こう二つの面から推していかなければならなぬと思います。
その第一番目の経営規模の拡大でございますが、現在七万町歩ほどの土地が移動しております。この移動をほんとうに経営規模の拡大のほうに、そして基本法の目標としている他産業との均衡のとれた、格差を是正していくという
方向に持っていくのには、経営規模を希望している人のほうにその移動を向けていくということが必要でありまするし、一方において、その裏づけとして他産業に安定的にはいる、兼業
農家は兼業
農家として安定してはいれるような
対策を講じていくと同時に、その表といいますか裏は、やはりその土地が経営規模拡大のほうに移動していくということが必要だろう、こういうふうに考えているわけであります。そういう
意味におきまして現在七万町歩の移動はいたしておりまするけれども、その移動を経営規模の拡大、
農家の強化という方面に
方向づける。まあ交通整理を、単なる交通整理ではございませんが、そういう方面に交通を整理して強化していくということが、単にほうっておくだけではまずいので、そういう
方向づけをするために管理事業団というようなものが必要ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
全体的に見まして、
お尋ねのように、構造改善事業にも欠陥もございました。しかし、これは好むと好まざるとにかかわらず手をつけなければならぬ問題でございますので、そういう欠陥のある点は是正しつつ、構造改善事業は相当効果をおさめておると思います。しかし、さらにそれを一そう推進するために、ほんとうの構造改善の前提といいますか、構造改善の基本であるところの自立経営規模の拡大及び協業の推進ということによって、他産業との格差是正あるいは国際競争力を
増していく、そうして国民の食糧を充足していくという
方向に持っていきたい、こういうふうに考えております。