○
木村禧八郎君 私、時間がなくなりましたので、これから順次
質問いたしますので、それぞれ大臣に御
答弁してもらいたいと思います。
いまの所得
政策につきまして、これは
高橋長官の御意見を伺いますと一欧米欧米と言いますが、インカム・ポリシーなのかインカムズ・ポリシーなのか問題なんです。賃金だけを押えたのではほんとうの所得
政策と言えないんです。ですから、諸外国ではインカムズですよ。複数ですから、利潤も押えるということが対象になってくるんです。しかも、
日本の場合、所得
政策をやりますと、賃金の分配率が非常に開いているんです。これは労働大臣も関係があると思うんです。非常に分配率が低い
日本の場合で固定化しちゃったら、これは重大な問題でしょう。それからまた、賃金
格差がこんなにあるとき、これを固定化しちゃったら、これは重大な問題ですよ。ですから、そういう点も十分に踏まえてこの所得
政策を
考えませんと、欧米と非常に事情が違うんです、
日本の場合は。また、今度は労働者のほうを押えても、自由業者が非常に
日本には多いですから、そっちのほうを押えないで労働賃金だけ押えてみても、これは所得
政策にならぬのです。ですから、
日本の場合には特殊性があるから、そう簡単にいかない。問題は、所得の生ずる一番基本ですよ。基本に
一ついての所得
政策的
考え、これはいいですよ。必ずしも反対するわけじゃない。所得そのものをすぐ押える
考えじゃなく、所得の出てくる基盤が非常に不均衡なんですよ。そこに賃金
格差あるいは所得分配率が非常に低い、こういう点があるのですから、そういう点は十分踏まえて、今後所得
政策を
考える場合も、ただ賃金をすぐ押えるような、そういうふうな所得
政策ではいけないのだ。この点を認識してもらいたいことが
一つ。それから、
あと総理大臣に
一つ。
総理大臣は、
国民協力を
所信表明の中で
物価対策について求めました。その中で、貯蓄増強、むだ排除、あるいは消費の健全化を言われました。しかし、いま
国民の生活実態がどうなっているか。貯蓄増強
——中央
委員会でこれ出しました。これを見ましても、
物価が上がって、もう主食、副食まで節約しなければならないという人まで出てきているのです。それから、
物価が上がったために、あらゆる消費をいま切り詰めているのです。それから、’そのために貯蓄ができなくなった人、貯蓄が減った人、非常に多くなっています。そういう実態のもとで、単に貯蓄増強や、あるいは消費節約や、そういうものを協力を求めても、私困難だと思うのです。困難です。ですから、もうぎりぎりの線までいままで節約し、節約して、しかも
教育費が非常に
社会保障が不十分であるために、貯蓄が多いのです。
教育費。そのために栄養が十分にとれない。こういう実態のもとで、また消費者米価を上げる、医療費を上げるという、もうぎりぎりの線のところへきているのに、また上げるから、これはもう
経済問題であり、社会問題である。
国民生活の面から
日本の
物価問題は新しい
段階にきているということ、この点をひとつ認識していただきたいのです。
それから、労働大臣には、これはいままで幾ら
物価を押えても押えても上がっているでしょう。そうすると、賃上げをやっても、
物価が上がってしまう。この現実を踏まえた場合、賃金スライドをとるべきじゃないか。労働基準法の中で賃金とは名目賃金じゃない。
実質賃金にする。そうして消費者
物価指数をもとにしてやるべきだ。前に
昭和電工がやっていたのです。現在岩波書店でもってやっています。これを労働大臣指導する必要があると思う。幾ら押えても上がってしまえば、賃金スライドにしておけばその分はけんかしないで済むわけです。それは賃上げじゃありませんよ、それ以上は賃上げですが。これは賃金スライドを、諸外国ではどうなっていますか。やっていると思うのです。その点。
あと全部私
質問してしまいます。時間がないものですから、失礼ですけれ
ども。それから厚生大臣についても、これは
社会保障関係で、こんなに
物価が上がっているのですよ。
昭和三十五年を一〇〇として、現在では消費者
物価指数一二九・七、大体三割上がっている。ですから、
社会保障費をふやしたって、諸
物価がどんどん上がってしまえば、これは
実質的な
充実になりません。今度の補正
予算でも、生活保護費を少しふやしています。しかし、これだけでは不十分ですよ。価格が上がらないでも、実際には量が減ったり何かして、実際には上がっているのですから、ですから厚生行政を
考えるときに
物価の問題をどういうふうに
考えておるか。消費者
物価の問題を、これが安定なくしてどうして消費者行政と言えますか。その点について、やはり年金なり厚生年金なりのスライド制につきましてどうお
考えになりますか。これをやらなければ、それは非常な罪悪だと思うのですよ。
それから、
大蔵大臣に最後に伺います。消費者米価の値上げというものは、それによってどのくらい節約になりますか。これは大衆課税だと思うのです。大衆課税ですよ。一種の大衆の間接税ですよ。そうみなしていいと思うのです。所得税を収めてない人も払わなければならないのですよ。そうして一方で消費者米価によってそれでうんと購買力をとって、これは増税ですよ。そして片一方では減税をやる、その減税も企業減税で、この点につきましても、
総理あるいは
大蔵大臣は、配当の分離課税を主張されています。消費者米価の値上げという大衆課税をとって、そして配当の分離課税で企業減税をやるという、こんな不公正なことはないでありましょう、これは一種の増税ですよ。その点と、そうやって購買力をうんと吸い上げると、もうすでに供給過剰、
生産過剰になってきています。一そう供給過剰、
生産過剰を
促進します。弱電関係では売れないで困ってるのですから、
生産過剰の不況をこれは
促進しますよ。これが
物価の問題が新しい
段階に入ってくる第二の問題ですよ。第三には、そうやって、供給過剰、不況がひどくなれば、今度は税収が減ってきますよ、
中小企業が倒産する、そして法人税が減収
——本年度六百五十億取り切れますか税収は。法人税は減収になっているのですから、三十九年度六百五十億財源確保できますか、来年度の
見通しについても伺います、一税収について。そうなるとそう自然増収というもめは困難になって、これは非常に財政がますます困難になるでしょう。これは第三に
物価問題が新しい
段階にはいってきている。これは第三の問題ですよ。
もう時間がありませんから、この点について伺いますが、それから最後に農林大臣がお見えになっていますから……さっき
お話ししたように、勤労者の生活はぎりぎりなんです。主食、副食は切り詰めなければならない、貯蓄ができなくなってる、こういう
状態で一消費者米価は
実質十六%、名自は十四・八%、
実質は二八%ですよ、これを引き上げて、そしてどうして家計を安定せしめることになります。家計を安定せしめることに、どうして消費者米価を上げてなりますか、絶対になりませんよ。家計を不安定ならしめる、そうすれば、食管法四条二項の違反ではありませんか。
政府は、いま食管法四条二項がある以上は、どうしたって違反ですよ。消費者米価を上げて家計を不安ならしめることは明白でありますから。
政府は違反してよろしいか、改正しない以上は違反です、の点について御
答弁願いたい。
私は時間がたいへん経過いたしましたので、
あと再
質問できませんから、どうか十分誠意をもって御
答弁を願います。