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1964-12-17 第47回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十七日(木曜日)    午前十時四十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第六号   昭和三十九年十二月十七日    午前十時開議  第一 日本銀行政策委員会委員任命に関する   件  第二 昭和三十九年度分の地方交付税特例等   に関する法律案内閣提出衆議院送付)  第三 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一   部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第四 建設省設置法の一部を改正する法律案   (第四十六回国会内閣提出衆議院送付)  第五 一般職職員給与に関する法律等の一   部を改正する法律案内閣提出衆議院送   付)  第六 防衛庁職員給与法等の一部を改正する法   律案内閣提出衆議院送付)  第七 特別職職員給与に関する法律等の一   部を改正する法律案内閣提出衆議院送   付)  第八 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正   する法律案(第四十六回国会内閣提出衆議院   送付)  第九 裁判官報酬等に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一〇 検察官俸給等に関する法律等の一部   を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一一 日本放送協会昭和三十七年度財産目   録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに   関する説明書     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、日程第一 日本銀行政策委員会委員任命   に関する件  一、日程第二 昭和三十九年度分の地方交付税   の特例等に関する法律案  一、日程第三 交付税及び譲与税配付金特別会   計法の一部を改正する法律案  一、日程第四 建設省設置法の一部を改正する   法律案  一、日程第五 一般職職員給与に関する法   律等の一部を改正する法律案  一、日程第六 防衛庁職員給与法等の一部を改   正する法律案  一、日程第七 特別職職員給与に関する法   律等の一部を改正する法律案  一、日程第八 防衛庁設置法及び自衛隊法の一   部を改正する法律案  一、日程第九 裁判官報酬等に関する法律の   一部を改正する法律案  一、日程第十 検察官俸給等に関する法律等   の一部を改正する法律案  一、日程第十一 日本放送協会昭和三十七年度   財産目録貸借対照表及び損益計算書並びに   これに関する説明書  一、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一   部を改正する法律案     —————————————
  2. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第二百二番、地方選出議員、岡山県選出秋山長造君。    〔秋山長造起立拍手〕     —————————————
  4. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 議長は、本院規則第三十条により、秋山長造君を文教委員に指名いたします。      ——————————
  5. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第一、日本銀行政策委員会委員任命に関する件を議題といたします。  内閣から、日本銀行法第十三条ノ四第三項の規定により、堀武芳君を日本銀行政策委員会委員任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  6. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件全会一致をもって同意することに決しました。      ——————————
  7. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第二、昭和三十九年度分の地方交付税特例等に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長高野一夫君。    〔高野一夫登壇拍手
  8. 高野一夫

    高野一夫君 ただいま議題となりました「昭和三十九年度分の地方交付税特例等に関する法律案」について、地方行政委員会における審査経過並びに結果を報告いたします。  本法律案は、人事院勧告に基づく国家公務員給与改定に準じて地方公務員給与改定に要する財源について、今回の補正予算に計上されている地方交付税等の増をもってしては、なお地方交付税交付を受ける団体において百五十億円不足いたしまするので、昭和三十九年度限りの地方交付税特例措置を講じようとするものであります。  その内容の第一は、地方交付税総額は、昭和三十九年度に限り、資金運用部からの借り入れ金百五十億円を加算した額とし、なお、給与改定に要する経費を基準財政需要額に算入するため、その算定に用いる単位費用特例を定めることといたしております。  第二は、交付税及び譲与税配付金特別会計において借り入れる百五十億円を償還するため、昭和四十年度より五年間に限り、地方交付税総額は、当該年度分総額から償還所要額を減額したものとすることであります。  委員会におきましては、十二月三日吉武自治大臣より提案理由説明を聴取し、慎重審査いたしましたが、その詳細については会議録によってごらんを願いたいと存じます。  かくて、十二月十五日質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく採決いたしましたところ、本法律案賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、西田信一委員より、自由民主党日本社会党公明党、第二院クラブの共同提案による次の附帯決議案提出されました。     附帯決議案   今次の地方公務員給与改定財源措置にはなお不充分なものがあり、しかも昭和四十年度以降の地方財政収支見通しは、真に容易ならざるものがあると認められるので、政府は、これに対処し、すみやかに地方交付税率引き上げを検討する等、地方財源充実強化に万全を期すべきである。というものであります。  次いで、採決の結果、全会一致をもって、これを委員会決議とすることに決定いたしました。  なお、この附帯決議に対し、吉武自治大臣から、決議趣旨を尊重して善処したい旨の発言がありました。  以上報告いたします。(拍手
  9. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  10. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  11. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第三、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長村松久義君。    〔村松久義登壇拍手
  12. 村松久義

    村松久義君 ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  今回の地方公務員給与改定に伴う地方団体財源不足を補うため、昭和三十九年度限りの特例措置として、地方団体交付すべき地方交付税総額を百五十億円増額する必要が生じたことに伴いまして、所要措置を講ずるため、「昭和三十九年度分の地方交付税特例等に関する法律」がただいま可決されましたが、本案は、この措置に対応して、本特別会計において百五十億円の借り入れ金ができることとし、その償還については、昭和四十年度から昭和四十四年度において借り入れ金額の五分の一に相当する金額を毎年度地方交付税から返済することとし、借り入れ金の利子の支払いについては、一般会計より繰り入れができることにする等、所要規定を設けるものであります。  委員会におきましては、今回の借り入れ金財政法第四条との関係地方交付税税率引き上げ問題等について熱心なる質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終了、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して木村委員より、「第一は、今回の財源措置では十分ではない、第二は、財源措置の方法が問題であり、本質的には一般会計より繰り入れるべきである、以上二つの理由から本案反対するものでありますが、特に今回の財源措置に関連して衆議院地方行政委員会における附帯決議趣旨を十分尊重されるよう要望する」旨の意見が述べられました。  かくて討論を終わり、採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  13. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  14. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  15. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第四、建設省設置法の一部を改正する法律案(第四十六回国会内閣提出衆議院送付)  日程第五、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案、  日程第六、防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案、  日程第七、特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)  日程第八、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第四十六回国会内閣提出衆議院送付)  以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長下村定君。    〔下村定登壇拍手
  17. 下村定

    下村定君 ただいま議題となりました法律案五件につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、建設省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、第四十六回国会内閣より提出され、衆議院で一部修正の上、本院に送付され、継続審査となったものであります。  本法律案内容は、第一に、地方建設局所掌事務を拡大し、新たに一般行政事務並びに補助金関係事務につきましても実施させること、第二に、中部地方建設局用地部を設置すること、第三に、建設研修所建設大学校に改めること等であります。  本委員会においては、一般行政事務及び補助金関係事務地方建設局に委譲する理由事務委譲に伴う地方建設局定員配置建設研修所建設大学校に改称する理由等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して伊藤委員より、地方建設局への事務委譲により、二重行政、二重監督の弊害の生ずるおそれがある等の理由をあげて、本案反対の旨の発言がありました。  次いで採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、給与関係の三法律案について申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、第一に、本年八月十二日付の人事院勧告に基づき、一般職国家公務員俸給月額を平均七・九%引き上げた額とすること、新たに指定職俸給表を設けるほか、行政職俸給表(一)について、現行四等級と三等級との間に一つの等級を設けること、及び、期末、勤勉手当通勤手当宿日直手当等所要改正を加え、これらを本年九月一日にさかのぼって実施すること。第二に、明年四月一日から暫定手当の一段階相当分俸給に繰り入れ、昭和三十六年十二月の人事院勧告実施をはかること等の措置を講じようとするものであります。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、一般職職員給与改正に伴い、防衛庁職員及び特別職職員等給与について、所要改正を行なわんとするものであります。  委員会におきましては、以上三法律案を一括して審査し、人事院勧告を完全に実施するための財政措置等についての政府見解中堅クラス及び行。俸給表適用者処遇住宅手当暫定手当に対する人事院見解等について、熱心な質疑応答が行なわれましたが、その詳細は、会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、三法律案について一括して討論に入り、まず委員長より、特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する自民、社会、公明、民社の四党共同提案による、国会議員歳費月額等について、昭和四十年八月三十一日までの間は、なお従前の例によることとする修正案提出、次いで日本社会党を代表して鶴園委員より、三法律案原案反対し、三法律案実施時期を五月一日に改める趣旨修正案提出され、四党共同提案修正案には賛成する旨の発言がありました。また、自由民主党を代表して小柳委員より、四党共同提案による修正案賛成鶴園委員提出修正案反対、四党共同提案による修正部分を除く原案賛成する旨、公明党を代表して鬼木委員より、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案反対する旨、また、民主社会党を代表して田畑委員より、三法律案原案反対、四党共同提案修正案並び鶴園委員提出修正案賛成する旨の発言がそれぞれありました。  なお、鶴園委員提出修正案に対しては、壇原給与担当大臣より、内閣意見として、本年度財政事情にかんがみ賛成いたしがたい旨の表明がありました。  次いで、三法律案について順次採決いたしましたところ、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案の二法律案については、鶴園委員提出修正案否決、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。また、特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案については、四党共同提案による修正案は、全会一致をもって可決、鶴園委員提出修正案否決、四党共同提案による修正部分を除く原案は、多数をもって可決されました。よって本法案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  続いて小柳委員より、四党共同提案による一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案提出されました。その附帯決議案を朗読いたします。    一般職職員給与に関する法律等の一部    を改正する法律案に対する附帯決議(案)   公務員給与に関する人事院勧告実施時期  が、今後完全に尊重せられるよう、政府財政  上の措置について、最善を尽すべきである。   右決議する。  本決議案は、採決の結果、全会一致をもって委員会決議とすることに決定いたしました。これに対し増原給与担当大臣より、その趣旨を尊重し善処いたしたい旨の発言がありました。     —————————————  最後に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、第四十六回国会において内閣より提出衆議院より送付され、本院において継続審査となったものであります。  その内容は、第一に、防衛庁設置法の一部を改正し、防衛庁本庁職員定員を、自衛官二千百七十一人、非自衛官七百六十一人、合計二千九百三十二人増加すること。第二に、自衛隊法の一部を改正し、南極地域における科学的調査について、自衛隊が輸送その他の協力を行なうこととすること。予備自衛官を五千人増員するとともに、予備自衛官の呼称及び制服の着用について規定すること。自衛隊の学校において、委託を受けて外国人教育訓練実施することができるようにすることなどであります。  本委員会におきましては、自衛隊欠員状況、隊員の処遇予備自衛官制度南極観測に対する自衛隊協力等の問題につきまして質疑が行なわれましたが、その詳細は、会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、石原委員より自由民主党を代表して、施行期日について一部修正の上、原案賛成の旨の発言があり、伊藤委員より日本社会党を、鬼木委員より公明党を、田畑委員より民主社会党を、それぞれ代表して、本法律案反対の旨の発言がありました。  次いで採決の結果、石原委員提出修正案並び修正部分を除く原案は、いずれも多数をもって可決され、本法律案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。   以上御報告申し上げます。(拍手
  18. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。伊藤顕道君。     〔伊藤顕道登壇拍手
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行なわんとするものであります。  反対理由の第一は、自衛隊存在そのもの憲法違反であるのに、さらにこれを強化しようという点であります。言うまでもなく、わが国憲法は、第九条において、明確に、戦争放棄と、陸海空三軍その他の戦力保持と、さらに交戦権放棄をうたっておるのであります。しかるに、御承知のように歴代保守党政府は、いわゆる「戦力なき軍隊」として自衛隊創設、増強するという、公然たる憲法違反行為を積み重ねてまいったのであります。  政府は、いままた、この法律におきまして、自衛隊員二千九百三十二名、予備自衛官五千名を増員するなどの、自衛隊強化をはかろうとしております。本法律案が成立いたしますと、防衛庁の総定員は二十七万六千余となるのでありますが、戦前の軍国主義日本常備兵力が二十三万であったこの事実と比較してみましても、はたしてこれが戦力でない、軍隊でないと言い切り得るでありましょうか。本法律案による措置は、まさに憲法空洞化をさらに一歩進めようとするものでありまして、まことに遺憾のきわみであります。  私たち社会党は、自衛隊創設以来、いな、その前身たる警察予備隊保安隊設置の当初から、平和憲法に違反するもの、日本を再軍備するものとして、まっこうから反対してまいりました。この本会議においても、常にこの点に焦点をしぼってまいったのであります。しかるに、歴代保守党政府は、憲法解釈詭弁を弄しまして、多数の力でこれを押し切ってまいったのであります。そして、その既成事実の上に、歴代内閣ごと憲法解釈の幅を広げてまいりまして、憲法あって憲法なきがごとき状態、いわゆる憲法を空洞化してまいったのであります。私は、ここに、あらためて、この憲法空洞化歴史を明らかにする必要のあることを痛感するものであります。  すでに憲法調査会調査でも明らかになっておりますように、憲法第九条の戦力保持の条項は、幣原首相の発想であり、彼の精神に基づくものでありまして、吉田元首相さえも、この精神を受け継ぎまして、こう言っております。「わが国は、憲法第九条第二項において、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権放棄したものであります。従来の戦争は多く自衛権の名において戦われたものであります。ゆえに、わが国においては、戦争放棄によって全世界の平和の確立の基礎をなす決意をこの憲法において表明したいと思うのであります。」、こういうふうに国会において繰り返し繰り返し明言してまいったのであります。しかるところ、昭和二十五年に朝鮮事変が勃発いたしますと、警察予備隊を発足させまして、そしてアメリカ極東戦略のしり馬に乗って再軍備を進行させてまいりました。この再軍備のために、「第九条においても自衛権は否定していない」、第九条第二項に禁止している戦力とは、「実質的に近代戦争遂行に役立つ程度装備編成を備える人的物的に組織された総合力である」として、「その国の置かれた時間的、空間的環境に応じて具体的に判断し、戦力に至らない程度の実力を保持し、直接間接の防衛の用に供することは違憲ではない」、こういう詭弁をもって政府統一見解としてまいったのであります。これが憲法空洞化の第一歩と言わなければなりません。「戦力なき軍隊」と世の笑い草になったのも、実にこの時でありました。  次いで、鳩山元首相は、「自衛のためならば戦力を持ってもよいと考えておる」と昭和三十年本院の内閣委員会発言し、また時の船田防衛庁長官は、誘導弾等による攻撃に対し、「防禦するのに他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは自衛範囲に含まれ、可能である」、こういうことがいわゆる憲法空洞化の第二弾と言わなければならないのであります。  さらに進んで岸元首相は、「核兵器と名がつけばいかなるものも憲法違反であるとすることは行き過ぎであり、自衛権範囲内なら、攻撃的でなければ核兵器も保有可能である」、こういう飛躍的な拡大解釈を行なってまいりました。これが憲法空洞化の第三であります。  池田首相は、さらに海外派兵に関連いたしまして、憲法第九条の解釈としては、「国連警察軍——国連警察隊と申しますか、本当に治安あるいは選挙等の監視、こういう平和的目的のために出るような場合もあり得る」と国会で答弁しておるのであります。これが憲法空洞化の第四であります。  いま私が申し上げましたように、憲法違反の積み重ねとともに自衛隊は成長し、いまや、ミサイル、ジェット機等近代装備を備えた三十万近い、自衛隊という名の軍隊ができ上がったのであります。かく見るとき、自衛隊存在そのもの憲法違反であり、平和を脅かすものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  先般、佐藤内閣が成立いたしました。総理は、この本会議場で、国防政策についてこう言っております。「まず何よりも国民国防意識を涵養して、自主防衛体制強化したい」との所信を述べられましたが、私たちは、首相の言う自主防衛体制強化とは一体何を意味するのか、非常に危惧するものであります。従来の内閣で、組閣早々正面切って自主防衛体制強化を明言したことはありませんでした。これは単なるアメリカドル防衛政策の反映だけとは理解できないのであります。明らかに佐藤内閣積極的国防政策のあらわれと言わなければなりません。前国会での自民党内における国防省設置運動推進力佐藤派であったこと、憲法改正に対する考えについても、佐藤総理自身この国会池田総理と異なっていることを明言されている事実、さらにまた、組閣直後、総理は、小泉防衛庁長官に対しまして、日本人自身自分の国を守るという国防意識の徹底をはかるようにと強い指示を与えていること、こういう点から顧みますると、従来はともかく米国におんぶしてきた防衛を、今度は自分でやっていくのだと、はっきり言い切っているのであります。このことは、まさに重大問題と言わなければならないのであります。  また、過日の中共の核実験実施以来、自民党内、自衛隊内にも、自衛隊核武装も考慮すべしとの論も次第に台頭していると聞いているのであります。このことは、現に問題となっている去る十一日の杉江統幕議長の、「日本においても将来は原子力潜水艦の建造を考えねばなるまい」、こういう発言にもあらわれているのであります。また、アメリカ原子力潜水艦寄港承認についても、権威ある専門学者や大多数の国民のあれほど強い反対にもかかわらず、無理に押し切って入港せしめてしまったやり方は、国民の反感をますますあおり、その警戒心を深めていることは、周知の事実であります。  以上見てまいりますと、佐藤内閣のとらんとする防衛政策が、いかに危険なものであり、反動的なものであるかは、ここに歴然としてくるのであります。(拍手)かかる政策は、歴史の歯車をあと戻りさせて、いわゆる軍閥内閣の昔を出現させるものと言わなければなりません。また、総理がいかに国防意識高揚を叫ばれましても、憲法違反的存在である自衛隊をこのままにしておいて、国防意識高揚がはかれるでありましょうか。国民が、特に世代を背負う青年諸君が、だれのために、何のために自衛隊が存在するかという基本的問題に疑いを持ち続けているのが、現実の姿であります。それが証拠に、自衛隊において三万人余に及ぶ欠員が恒常的に存在しているのであります。  次に、本法律案反対する理由は、南極観測に対する自衛隊協力規定している点であります。もとより、南極観測それ自体については、私たち賛成であります。今回、表面は輸送業務について自衛隊協力を求めるということでありますけれども、はたして、それのみに限定し得るでありましょうか。私たちは大きな危惧の念を持たざるを得ないのであります。これが突破口となって、純粋な学問の分野に不当に軍事力が介入されるようになるおそれあることは、過去の歴史、そうして諸外国の実情から見て、きわめて明確なところであります。日本学術会議反対の声があるのも、この点であります。私たちは、かかる危険を避けて、従来のごとく、輸送業務は海上保安庁をして実施せしむるのがきわめて至当であると存ずるのであります。  反対理由の第三は、自衛隊における外国人教育訓練についてであります。平和憲法を持ち、その前文において高い理想を全世界に向かって呼びかけているわが国において、はたして、かかる措置が許されるでありましょうか。私たちは、この一点でも反対せざるを得ないのであります。  最後に、一言申し上げておきたいと思いますが、それはボタン押し戦争と言われている現在、おもちゃにひとしい軍隊を持ったり、あるいは特定の国と軍事同盟で結ばれていることがいかに危険であるかという、このことであります。今日、軍事科学が驚くべき進歩を遂げつつあること、国家の主権概念が次第に変化しつつあること、さらに、国連の誕生によって戦争そのものの概念が変化しつつあること等々によって、防衛、国防という概念それ自体、時代とともに変容しつつあることに、私どもは注目しなければなりません。  かかる観点に立って、私ども日本社会党は、護憲、民主、中立の道を歩む、このことこそが、日本の安全を保障し、平和を守る大道であるということを確信を持って主張することをここに申し添えまして、本法案に対する私の反対討論を終わります。(拍手
  20. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  まず、建設省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  21. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。      ——————————
  22. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  23. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。      ——————————
  24. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告のとおり修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  25. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正どおり議決せられました。      ——————————
  26. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告のとおり修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  27. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正どおり議決せられました。      ——————————
  28. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第九、裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、  日程第十、検察官俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案、  (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。法務委員長木島義夫君。    〔木鳥義夫君登壇拍手
  30. 木島義夫

    ○木島義夫君 ただいま議題となりました裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案につき、法務委員会における審議の経過並びに結果を一括御報告申し上げます。  今国会に一般の政府職員給与改正する法律案提出されたことに対応して、これに準じ裁判官及び検察官給与を改善するため提出されたのが、右二法案であります。  改正点の第一は、特別職国家公務員給与改定に伴い、東京高等裁判所長官以外の高等裁判所長官の報酬並びに次長検事及び検事長の俸給の各月額を増加すること。  第二は、一般職国家公務員給与改定に伴い、これに準じて、裁判官及び検察官について、その報酬及び俸給の各月額を増加するとともに、臨時司法制度調査会の意見を尊重して、とりあえず、判事補及び検事の初任給の増額、現行の簡易裁判所判事及び副検事の最高の報酬または俸給の額をこえる号の新設、現行の報酬または俸給の特別調整額の本俸への繰り入れ等の措置を講ずること。  第三は、今回の改正の結果、三号以下の報酬または俸給を受ける裁判官及び検察官について、昭和四十年四月一日から、暫定手当のうちの一定額をその各月額に繰り入れるとともに、一号または二号の給与を受ける裁判官及び検察官について、昭和四十年四月一日から、その暫定手当のうちの一定額を報酬または俸給とみなして、退職手当等の額の計算の基礎とすることであります。  委員会は、十二月十日提案理由説明を聴取した後、十二月十四日質疑を終了して、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して稲葉委員から、右二法案に賛成し、あわせて、自由民主党日本社会党、第二院クラグの共同提案にかかる附帯決議案提出されました。その内容は次のとおりであります。   政府は、臨時司法制度調査会の意見趣旨にしたがい、裁判官及び検察官の職務とその責任の特殊性等にふさわしい独自の給与体系の樹立をはかると共に、現行の裁判官及び検察官の任用制度並びにその運用の実情にかんがみ、当面の措置として、右両者の給与の一層の改善に格段の努力をすべきである。   以上。  かくて討論を終了し、右二法案につき一括採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。ついで、右附帯決議案について採決の結果、多数をもって本委員会決議とすることに決しました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  31. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  32. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。      ——————————
  33. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 日程第十一、日本放送協会昭和三十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員会理事鈴木恭一君。    〔鈴木恭一君登壇拍手
  34. 鈴木恭一

    ○鈴木恭一君 ただいま議題となりました「日本放送協会昭和三十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書」について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、放送法第四十条第三項の規定に基づいて、会計検査院の検査を経て、内閣より国会提出されたものであります。  日本放送協会の昭和三十七年度末の資産総額は四百九十八億六千八百万円、負債総額は二百五十一億二千百万円であります。  次に、損益計算では、事業収入総額五百四億二千二百万円、事業支出総額四百三十二億二千五百万円、資本支出充当五十五億四千三百万円でありまして、差し引き十六億五千四百万円の剰余となっております。  これらについての詳細は、説明書によってごらんを願いたいと存じます。  なお、本件に対し、会計検査院は、「検査の結果、記述すべき意見はない。」旨の報告をいたしております。  逓信委員会は、政府並びに日本放送協会に対し、質疑を行ない、慎重審議の結果、多数をもって、本件については「異議がないもの」と議決いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  35. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件全部を問題に供します。本件委員長報告のとおり決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本件は、委員長報告のとおり決せられました。      ——————————
  37. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、  国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。議院運営委員長田中茂穂君。    〔田中茂穂君登壇拍手
  39. 田中茂穂

    ○田中茂穂君 ただいま議題となりました「国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案」につきまして、議院運営委員会経過並びに結果につき御報告を申し上げます。  本法律案は、今般、一般職及び特別職職員給与改正されるのに伴い、議員秘書の給料額等を改めようとするものであります。  すなわち現在、具体的な金額をもって表示されております秘書の給料月額三万八千五百円は、特別職職員の秘書官二号俸に、また、一万九千六百三十円は、一般職職員行政職俸給表(一)の七等級二号俸に相当する額を基準として定められたものでありますので、この際、秘書給料の具体的な金額の表示を改め、それぞれ基準となっている政府職員俸給に相当する給料を受けることとするものであります。  また、毎年三月十五日に支給される勤勉手当の額につきましては、政府職員と同様、給料月額の三〇%を四〇%に改めようとするものであります。  なお、この法律は、本年九月一日に遡及して適用されることとなっております。  議院運営委員会におきましては、審査の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  以下御報告申し上げます。(拍手
  40. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  41. 重宗雄三

    議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十九分散会