○
北條雋八君 ただいま
お話の点は、要するに
経営規模の
拡大をはかるということ、それにつれて
基盤の
整備あるいは
金融の
改善といったような点も大事なことと思いますが、かりに、この
規模の
拡大ができ、また
基盤の
整備その他
金融財政の
裏づけも十分できたとしましても、現在、
農村の
青年がどんどん
都市に流出してしまう。
後継者の養成というものが非常に私は大事だというふうに思いますので、
農業の
後継者の
対策としても、むろん
考えてはおられるようでありますが、これももっと積極的に力を注がれて、そうしてこれら
農村の
青年の教育ということ、すなわちりっぱに将来
農業をやっていける技術を身につけた
青年を養成するということが非常に大事だと思いますが、現状を聞いてみますと、まことにその点将来を案ぜられるわけでございます。で、現在、
農業高等学校が相当ありますけれども、わずかばかりではありますが結局それらに入った者が
農業にとどまって、
実地に仕事をするという者が非常に少ない。ただ肩書きを得るために一応入る、卒業すれば大
部分が第二次
産業その他に就職してしまうということでありますから、この点はやはり文部省のほうと
十分連携をとって、この点にもやっぱり画期的な
施策を講ぜられることが必要だと思います。時間がございませんから、この点はこれでとどめます。
次に、
米価問題で伺いたいのでありますが、
消費者米価は一月から一四・八%
引き上げを
決定せられたのでありますが、これは世論は強く反対しておりますし、また
言論界は非常に
批判的であります。すなわち、
池田内閣の最後の置きみやげだというようなことも言っておりますし、また農政が不在の
値上げである、また
物価問題の
総合的検討をしないできめてしまったのは不都合だ、いろいろ
指摘をされております。
そこで、お伺いしますが、背から
米価の値段はあらゆる
物価に大きく
影響して、米が上がればすぐ労銀に響くし、大工や日雇いやそういう
賃金は上がってくるし、副食物あるいは
下宿代から家賃、ふろ、理髪、
交通費、医療というようなぐあいに、これは
生活物価の
連鎖的暴騰ということを来たすものであります。こういうことはもう万々きまり切ったことでありますけれども、それにもかかわらず、現時点においては、特に
政府は
物価の抑制に
全力をあげると標榜しておる際に、この
米価の
値上げをしたということは、もう非常に大きな矛盾だと思います。なぜもっと慎重に
審議をしなかったのか。聞きますと、これは米審の答申が出たその日に、
持ち回り閣議で
決定してしまったというようなことでありまして、非常に私は遺憾に思うのであります。で、また
政府のいうように、
米代そのもの値上がりはごくわずかで、
生活費に及ぼす
影響は〇・七%だ、きわめてこれは
生活に
影響は少ないのだ、
エンゲル係数も年々低くなって、三〇%台というふうにいっておりますけれども、これらの計算の根拠となるものは高
所得者層、すなわち、うちであまり食事もしないような重役であるとか、あるいはもうぜいたくな
家庭の
生計費も全部これは含まれて、全国総平均の
統計数子であるのでありまして、それでありますから、この
数字は
ほんとうに当てにならないといってもいいくらいで、実際に低
所得者層の
生計費を調べてみますと、これは
内閣の
統計局でも比べた例がございますが、
五分位に
生活程度を分けまして、そうして
五分位の
階級別の
勤労者世帯の三十八年度の
統計を見ましても、最も
所得の少ない第一位階層の
エンゲル係数は四五・一%になっております。それからまた
生活費に対する
米代としましても一〇・一%になっております。で、私が二、三調べた
家庭におきましても、一例をあげますと、五人暮らしの一家であります。
収入は三万五千円でありますが、そのうちの
食費が一万六千二百円、それでありますから、
食費に
エンゲル係数で四五・三%、そういう
数字になっております。で、
食費代のうちの
米代が四千二百円、約二六%になっております。でありますから、総体の
生活費に対する
米代の
比重というものは一二・一%という
数字になっておるのでございます。そのほか、いろいろ調べがございますが、ともかく低
所得者層というものは非常に数が多いわけでありまして、
生活保護を受けておる
世帯が四十六万
世帯、そのほかボーダー・ラインのものなどを含めまして、月収が、一カ月の
収入が四万円以下というようなものは、人数にしますと四千万人くらいおるわけでございますが、そういうような人のやはり
実地の
生活がいかに
米代に依存しているかということも
考えなければ、やはりこういう
消費者米価の
値上がりというものはすべきじゃないと思うのであります。そして、低
所得者といいますか、
所得が少なければ少ないほど、他の
物価が上がれば上がるほど、米に依存する
比重は非常に大きくなるのでありまして、これらの人は、昨今のように
物価が騰貴して
生活が苦しくなってくるときこそ、ほかのものは上がるのだから、せめて
米代だけは上げないようにしもらいたいという念願は、非常に強いのであります。ある
家庭などについて見ましても、やはり
物価が高くなって、子供にお菓子などを買ってやれないといったような
家庭では、おやつに握りめしを食べさしているというような
家庭もあるのでありまして、そういうところでは、
ほんとうに
米代というものは
食費のうちの三〇%、三五%といったような
負担になってくるわけであります。申すまでもなく、
政治というものは、数多くの恵まれない不幸な民衆を対象としてとられるべきものでなければ、
ほんとうの
民主政治とは言えないと思います。この意味におきまして、今度いろいろ
徳用米その他のことも
政府では
考えられてはおりましょうけれども、まだまだその
考え方が非常になまぬるいというそしりは免れないと思います。今度の
決定の結果を見ましても、
特選米と
普通米と、上げる率は同じになっておりまして、で、
徳用米はなるほど八・一%で安くはなって、上がり方は少なくはなっておりますけれども、それではなぜもっと
特選米をよけい上げて、その上がっただけでも
徳用米のほうを減らすことができなかったかということも
考えられるわけで、少しでも安くしようという気があれば、そこまで
考えてもいいのじゃないかというふうに思うのでございますが、その点につきまして
大臣のお
考えを一応伺いたいと思います。