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説明員(宮下明義君) 田畑委員の御質問の点に
お答えをいたします前に、最近の日本共産党の動向のごくあらましを申し上げまして、私
どもの観察しておりますところを述べたいと思います。
日本共産党が
考えております日本の革命は、三十六年の前回の第八回党大会で綱領を採択をしておるわけでございますが、その現在日本共産党が持っております綱領に基づいて日本の革命運動を進めておるわけでございます。日本共産党が
考えております日本の革命は、日本の支配権力は、アメリカ帝国主義とこれに従属的に結びついている日本の独占資本の二つの敵なんだ、したがいまして、この二つの敵を駆逐し、あるいは打倒をいたしまして日本に新しい人民民主正義革命をなし遂げまして、これを急速に社会主義革命に転化をいたしまして、日本に社会主義体制、共産主義体制を確立するのであるという二段革命方式をこの綱領ではうたっておるわけでございます。日本共産党は、この綱領の示しております
方向に向かいまして日夜行動をいたしておるわけでございますが、それに至ります
方法として現在日本共産党が極力力を入れております点は、第一には、みずからの強大な党の建設をはかるということと、第二には民族民主統一戦線を日本につくり上げるのだ、この統一戦線を基礎にして民主連合政府をつくり、統一戦線政府をつくり、ただいま申し上げましたような革命に行くのだと、こういうことを申すのでございます。日本共産党が累次にわたる党員倍化連動をいたしまして、現在党員が急速に増加して、大対現在では十一万くらいの党員と私
どもは
考えております。今回の九回党大会で、共産党のほうでは、自分たちの党員は十五万人になったということを申しておりますが、私
どものほうでは、脱党者あるいは動かない党員等もおりますので、大体は十一万くらいと
考えております。しかしながら、アカハタが約十六万、それからアカハタ日曜版の読者が六十万近い数にのぼっておりまするが、これらの状況を
考えますと、共産党の強大な党建設ということも着々成果をあげつつあるように
考えるわけでございます。
なお、この統一戦線戦術といたしまして、御承知のように、共産党は共産党の指導下に動きます各種の大衆
団体をつくってそれを動かしておるわけでございますが、たとえば民主青年同盟、この同盟員もすでに十万をこえたわけでございます。また、婦人の党員あるいは同調者を結集いたしました「新日本婦人の会」の会員も五万をこえております。あるいは中小企業者を結集いたしました民商
——民主商工会の連合会の
団体がございます。これも五万近い会員を擁しております。また、生活困窮者を結集いたしました「生活と健康を守る会連合会」というのがございますが、これも大体同じような数でございます。その他、あるいは日中友好協会、あるいは日本平和委員会、あるいは各労働組合の中にたくさんの党員を送り込みまして、こういう党の指導下にある、党の影響下にある
団体を、
一つの闘争目標に向かって統一戦線をつくって、これをアメリカ帝国主義及び日本の独占資本に反対する民族民主統一戦線として結集をしていく、そうして、その中核には労農同盟が中核になりまして、ただいま申し上げましたような日本の革命を成就しようという計画で現在着々事を進めておると
考えるのでございます。したがいまして、ただいまお尋ねがございましたように、昭和二十六年、七年当時のいわゆる左翼冒険主義で、共産党員が地下にもぐりまして地下組織をつくり、非合法組織をつくり、軍事組織をつくり、火炎びんをほうっておりましたあの当時の暴力革命方式の動きと現在とでは、違った動きをいたしておるわけでございます。しかしながら、私
どものほうで、それならば日本共産党が現実に暴力革命方式を捨てたのかという点をいろいろ検討をいたしておりまするが、たとえば第八回党大会のあとで、党の機関紙のアカハタに、その八回党大会を振り返りまして社説を掲げておりまするが、結局、日本共産党が暴力を使うかどうかということは、支配階級
——相手力の出方によるのだということを申しております。したがいまして、綱領あるいは八回の九党大会の
政治報告等に、明らかに暴力革命の段取り、手段等は掲げておりませんが、その綱領において暴力革命方式を依然として堅持をしておるのだという観察をいたしておるわけでございます。御承知のように、最近、日本共産党は完全に中国共産党に同調する傾向を示しております。また、われわれが日本共産党の内部を見ておりますと、最近各地の組織、各地の細胞あるいは委員会等で、寄り寄り暴力革命の論議をするものがふえてきております。また、御承知のように、日本共産党が、最近昭和四十五年の安保条約期限が切れる年が
一つの
政治的決戦の時期であるということを公開演説会で町坂議長も公然と申しまするし、この時期に向かいまして着々と準備を進めておるという状況であろうと
考えておりますしたがいまして、いまお尋ねがございましたように、昭和二十六年、七年当時の切迫した極左冒険主義の動きと現情とではやや異なるとは思いまするが、ただ、申し上げましたような党自体の拡大
強化、統一戦線の拡大
強化ということを通じまして、日本の革命に向かって着々行動を展開をしておるというふうに
考えておるわけでございます。