○
政府委員(
瀧本忠男君) 御
指摘のように今年の
人事院勧告はいろいろな意味におきまして問題になったことは事実でございます。これは
衆議院におきましても
参議院におきましてもいろいろその点が議論されておるところでございまするし、また、各方面からこれが問題にされているということも事実でございます。われわれといたしましても十分その問題をめぐりまして、
先ほども申し上げましたように事務的な研究も進めておる次第でございます。ただ、
人事院が現在四月の
調査をいたしまして、そして五月から
実施をしていただきたいという
勧告をいたしておりまするのは、任意に
人事院の
気持ちで四月を
調査時期として選んだということではないのでございまして、これは十数年にわたりまする
人事院の
勧告というものが、おのずからにしてその時期に定まってまいったという経緯がございますので、これは決して軽視できることではなかろうと、このように思うのでございます。そこで、問題はこの
実施にあたって、本年の場合を申しましても、たとえば
当該年度における、たとえば本年は五月からやっていただきたいと言ったのでありますが、それは
補正予算で組むより仕方のない問題である。そして
補正予算で組むとすれば、
自然増収というものがその
財源になるよりしかたがないというようなところからきているわけでございます。しかし、これは
参議院においても本
会議で
指摘されましたように、やはり
先ほどもちょっと申し上げましたが、
公企体等において新
年度から
実施するということが、その
当該年度の新しい
予算には何らそれが一応形の上では出てまいらぬので、しかも
仲裁裁定がありますと、これが
補正も要せずして、たちどころにと言ってはちょっと
語弊があるかもしれませんが、まあいろいろ御苦労はあろうと思いまするけれども、とにかく
補正予算を必要としないで
相当の
金額のものが遡及いたしましてこれが実現しておるというような
事情も一方にあるわけでございます。そういたしますと、
考え方といたしまして、多少おしかりを受けるかもしれませんが、われわれとしましては、まだ
国会でも議論されておるところでもありまするが、やはり
補正予算に
新規財源を求めるということは、これは無理かもしらぬ。しかしながら、ある
程度政府関係におきましても、経済企画庁やいろいろなところで、その見通しというものは現におやりになっておるところでございまするので、そういう
観点からいたしますると、この
人事院勧告があって、卒然として
給与が上がるということではなく、これは自然にそういう
状況が熟してきておる、それが
人事院勧告ではっきりするというような問題であろうかと思うのであります。したがいまして、そういうことに対しまする
予算上の
処置というものが、現在のような形で行なわれておりまする限りは、御
指摘のように非常にこれはむずかしい問題があろうがと思うのでございますが、そういうただいま私が申し上げましたようなことを全般的に
考えてみまするならば、これは、はたして
処置のない問題であろうかどうか。あるいはこれは
人事院が申し上げることではない。当然、
政府並びに
国会においてお
考え願うことであるかと思うのでございまするが、そういう
観点から
人事院の
責任においてだけこの時期を問題にし、これをどうこうするということは非常にむずかしいと思うのであります。あくまで
人事院は
民間給与に追いつくこれを追い越すのではないのでございまして、
民間給与に追いつくということをいたしております。一方におきまして、
人事院の
勧告がいつでも来年の春闘の先がけになるではないかという御批判も、これは受けるところでございます。で、これは
勧告の時期をおくらせますると、そういうことになりやすいのであります。したがいまして、やはり
人事院の
勧告というものを、現在いわゆる
民間の賃上げというものが大体春期四−五月ごろにかたまっておるということは御
承知のとおりでございまするが、その直後を受けましてやるということは、非常にこれは無理のあることだというふうにも
考えておる次第でございます。
以上のような問題でございまして、
人事院といたしましても、でき得ることはいたしたいけれども、本問題の解決は、
人事院の力だけではとてもできない問題ではなかろうか、このように
考えておる次第でございます。