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政府委員(
鳩山威一郎君) ただいま木村
委員問題とされました、この
借り入れ金は
給与の
財源のために
借り入れをしたんじゃないか、こういう
お話でございますが、失態から申しますと、まさにそのとおりでございます。こういったものに対して
借り入れ金でまかなうというのはおかしいじゃないか、これもまた当然な御疑問と思います。
今回の
人事院勧告に基づいて
公務員のこの
ベースアップなり、これに基づいて
地方の
地方公務員についても同様な
措置がとられるのではないかというふうに思われますので、これに対して何らかの
財政措置をしなければならない。これは当然でございますが、従来こういった
補正の段階で非常な
財源が要るという場合には、終戦後いろいろな
措置がとられてまいりました。最近の例といたしましては、これは
補正の際に非常に多額の
自然増収が国のほうにあり、したがって、その二八・九%の
交付税が参りますと、大体においてその範囲内で
給与の
財源がまかなわれたわけでございます。こういった
状態が続けば問題はないわけでございます。ただ、過去においては必ずしもそうでもないときもございました。そういったときに、ある
地方で
起債を認めて、
起債で
処理をしたというようなときもございました。今回国のほうも、
国自体の
自然増収も少ない、
法人税のごときは減収であるというような事態になりまして、さてどうするかという問題が起こったわけでございます。
こういうことで、私
ども、
地方団体の側におきましてもやはり
地方財政法がございます、これをや
はり国と同じ
原則を立てておりまして、そういったやはり
建設事業のための
地方債というものは、
地方財政法上できます。しかし、この
給与の
財源のための
借り入れあるいは
地方債というものは、
地方財政法上や
はり国と同様に認めておりません。こういった場合にそれではどう
措置をするか。
しかし、本
年度の問題につきましては、とにかく
人事院勧告に対する
処理がたいへんおくれまして、年末近くになりまして、九月から遡及して
給与を払うという、こういうような
政府の方針がきめられたわけでございまして、この場合に、これが
年度当初、本
年度の当初からそういったことが明らかにわかっておりますれば、国におきましても、あるいは
地方団体側におきましても、
年度当初からそういった当然の需要を織り込んだ
予算編成がなされたわけであります。そうしてこれは決して、不可能ではなかったのであります。これはまあ本
年度も、
地方財政の
いろいろ計画を立てましても、相当
余裕のある当初の
予算編成がなされておるわけでありますが、しかし、こういう年末押し迫ってまいりますと、すでに
年度当初から予定されました
自然増収というものは、それぞれの用途に振り向けられております。いろんな
単独事業な
ども拡張されておる。そういうような
状況で
給与費を払わなきゃならぬというので、いろいろ
節約をするということも実際問題としてなかなか全部はむずかしい、こういう
事情でございまして、実に本
年度のこの
財源措置というものは、
年度押し迫ってから
給与費の
手当てをするというところに一番の無理が来たわけであります。
これをどういうふうに乗り切るかという問題でありますが、まあこれが、国のほうでも十分な
財源に
余裕がありますれば、そういった特別な
交付金を出すということも可能かと思いますが、何ぶんにも
交付税というものは
国税の非常な主要な税目に対して
一定割合が
交付税に行っております。したがって、
交付税が少ないというのは、国の
税収も少ないからそうなるのであります。国のほうでも
財源にたいへん窮しておるというときであります。結果といたしまして、
地方財政法の
改正をやりまして
地方で
借り入れができるようにするか、あるいは国の側において、
交付税の側においてこういった
特例を出して
借り入れ金ができるようにするか、これはどちらかをやらなければ現実の
給与は払えません。
そういうわけで、
地方財政法の
個々の
団体が
借り入れをするということは、
個々の
団体としては、
給与費の
財源でありますから、それを
借り入れ金で
支弁するというのはきわめてつらい話でございます。したがいまして、国の側において
交付税のほうで
借金をして、それでまあ
地方団体のほうに迷惑をかけないで済まそうというのが、今回の結論であったわけでございます。これがまあ必要があるかないかということは御判断かと思いますが、私
どもとしては今回はこういうことしか手はないというふうに、きわめてこういった
例外措置が必要になったわけでございます。
なお、来
年度の
ベースアップ、
商い給与がそのまま、続くから、これは
交付税率を
引き上げなければならぬという
お話がございました。これは来
年度以降の
財政の見通しにかかわることでありまして、これは全体の国、
地方を通じまして、それぞれ
財政状態がどうなるかということを目下
検討をいたしております。しかし、まあ私
どもただいまの考えといたしましては、
地方とともに国もたいへん
財源がございません。それも非常に
経済界の
動向によりまして
税収が
伸びないというときは、これは
国税のほうは非常に
弾力性の多い、たとえば
法人税のごときは非常に
経済界の
動向に対して敏感でございます。したがって、三月の決算がどうなるかということにも相当かかっておりますが、そういったことから
国税のほうも
伸びが相当よくないのではないかと思われます。その上、この減税ということが行なわれますと、
国税のほうの
伸びというものは非常に苦しいという
状況にありまして、これが
交付税率の
引き上げがなかなかむずかしい。また一方、
地方の
財政事情でございますが、これは最近非常に
硬直性が出てまいったということがよくいわれております。しかし、まあ数年前に比べますと、非常に
財政規模自体は拡大をしておりまして、相当
健全性は増してまいっております。一例を申しますと、
地方の
地方財政中に占める
公債費の
割合というようなものもどんどん低下しておりますし、あるいは
地方の
建設事業のための
投資につきまして、
借金でやっている
投資というものは昔は大体三分の一くらいあったのでありますが、いまはもう一五%くらいに落ちております。
一般財源によって
建設投資を行なっておる次第でございまして、そういったことから見まして、どちらがまあ窮屈かというのは、これはいろいろ議論があるところでございますが、そういったところから、今後なかなか
交付税の
引き上げというものはきわめて困難であろうかと私
どもは考えております。
そういったことで、
ベースアップが来
年度は平
年度化いたしますが、これに伴って直ちに
交付税率を
引き上げなければならないということは、私
どもはそういうものは必要であるとは考えておりません。
それから、二番目に申し上げましたことは、
借り入れ金の
利子でございますが、これは先ほど御
説明申し上げましたように、なるべく
利子は低廉にしようというふうに、
国庫余裕金を活用いたすことにしております。今
年度に対比する分といたしましても若干の
利子支払いは必要だと思いますが、この
利払い期が四月以降になるものですから、
明年度の
予算においてこれを
措置すれば十分であるということで、今回の追加には計上をいたしておりません。