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1964-12-09 第47回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年十二月九日(水曜日) 午後一時三十九分開会
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
剱木
亨弘
君 理 事
大竹平八郎
君 岸田 幸雄君 大矢 正君
小宮市太郎
君
鬼木
勝利君 委 員 川上 為治君 野田 俊作君
二木
謙吾君 堀 末治君 山下 春江君 阿
具根
登君 阿部 竹松君
政府委員
通商産業政務次
官
村上
春藏
君
通商産業省鉱山
保安局長
川原
英之君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞壽
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
石炭鉱山保安臨時措置法
の一部を改正する
法律
案(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
派遣委員
の
報告
—————————————
剱木亨弘
1
○
委員長
(
剱木亨弘
君) ただいまから
石炭対策特別委員会
を開会いたします。 まず、
石炭鉱山保安臨時措置法
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
政府
から
提案理由
の
説明
を願います。
村上通商産業政務次官
。
村上春藏
2
○
政府委員
(
村上春藏
君)
石炭鉱山保安臨時措置法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
提案理由
を御
説明
申し上げます。
石炭鉱山保安臨時措置法
は、転換期における
石炭鉱業
の
保安対策
として、
保安不良炭鉱
に対する
調査
、
施設改善勧告
、さらにはその廃山
勧告
及び
廃止鉱山
に対する
整理交付金
、
離職金等
の
交付等
により、これら
保安
を確保することが困難な
石炭鉱山
における
鉱業
の
廃止
を円滑に行なわせること等を目的として、
昭和
三十六年十二月二十五日から、
昭和
三十八年十二月二十四日までの限時法として制定され、自後、
保安確保
上著しい
効果
をあげてまいったものであります。その後、
石炭鉱業
をめぐる
経済情勢
が変化し、なお、
本法
の継続を必要といたしました
関係
上、その
有効期限
を本年十二月二十四日まで一年間延長し、今日まで引き続き所期の成果をあげてまいったところであります。 しかしながら、さらに最近における
石炭鉱業合理化
の急速な進展に伴い、
周辺炭鉱
の廃山による
坑内水
の
湧出量
の
激増等
、
自然条件
、
経理条件等
の急激な
悪化等
、種々新しい
事情
も発生し、これに伴って
保安
上
鉱業
を
廃止
させることを必要とする事態に至る
石炭鉱山
は当面なお発生するおそれが出てまいりましたので、このたび、
本法
の
有効期間
を
昭和
四十三年三月三十一日まで延長いたしまして、
保安不良炭鉱
の
整理
を円滑に行ないたいと存ずる次第であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
剱木亨弘
3
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 本案に対する
質疑
は、これを後日に譲ります。
—————————————
剱木亨弘
4
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 次に、
派遣委員
の
報告
に関する件を
議題
といたします。 先般、当
委員会
が行ないました
産炭地域
における
教育関係
その他諸
施策等
の
実情調査
のための
委員派遣
について、
派遣委員
から御
報告
願います。
小宮市太郎
5
○
小宮市太郎
君
委員派遣報告
を申し上げます。
派遣委員
は、
劔木委員長
、
鬼木理事
、
二木委員
、
豊瀬委員
と私の五名で、去る十一月十一日から十四日までの四日間、
福岡
県の
筑豊地帯
における
教育関係
を中心に、
産炭地域
の
実情
を視察してまいりました。 まず、十二日に、
福岡県庁
におきまして、
福岡通産局
及び
福岡
県から、
産炭地域振興
、
石炭鉱害
、
民生労働
、
地方財政等
の
説明
を聴取し、ついで
教育委員会
、
県議会文教委員会
、
市町村
及び
市町村教育委員会等
から
産炭地
の
教育
の
実情
についての
説明
を聴取し、翌十三日には、飯塚市、田川市、
直方
市を回り、それぞれの市で、
市側
及び
教育委員会
、
学校長
、
教員等
から、
産炭地
における
教育
の
実情
の
説明
を聴取しました。 この間、
関係者
から各方面にわたっての
要望
もございましたが、そのうち、おもなるものの概略を申し上げますと、
産炭地域
の
振興
につきましては、
産炭地域
の
振興
のためには、道路、用水、
通信施設等
の
産業基盤
を早急に整備する必要があるにもかかわらず、
現状
の
産炭地域
の
公共団体
の
財政力
では、必要とする
公共事業
ですらも
地方負担
が困難となる場合が多く、
産業基盤
の整備に支障を来たしているとのことでありました。また、現在まで六十二社が
産炭地域振興事業団
の
融資
を受けて
産炭地
へ進出しているとのことでありましたが、これら
企業
は、一般的に
資本規模
が小さく、また、
地域振興
の
中核
となるべき
企業
に乏しいのは、
振興事業団
の
融資資金
の
ワク
、
貸し付け限度額
、
資本金
に対する
制限
にも、
造成用地
の
譲渡価格
の
割り高
にも
原因
があるのではないかとのことでありました。このような
事情
のため、
現地
では、
公共事業
の円滑な推進をはかるため、
産炭地
には
特例
を設けて国の
補助率
を引き上げることと、
振興事業団
の
造成用地
の
価格
の引き下げ、
融資ワク
の拡大、
貸し付け限度額
、
資本金
に対する
制限
の緩和及び
中核企業
の
誘致促進
を
要望
しておりました。特に
直方
市では、
事業団
の
造成団地
である
中泉団地
の完成を控えて、
国営企業
ないし大
企業
の
誘致
について国の積極的な
援助
を期待しておりました。
鉱害対策
につきましては、九州の
石炭鉱害量
は全国の九〇%を占め、
残存鉱害量
も三百億円をこえておるといわれており、最近の
終閉山
に伴う無
資力
の
鉱害
も
増加
の
一途
をたどり、その
鉱害量
は六十八億円と推定されておりますが、今後の
調査
によってさらに増大するものと予想されております。しかし、
鉱害処理
は必ずしも十分とは申されず、
現地
の
関係者
及び
鉱害被害者
は早急なる
鉱害処理
を強く要求しておりました。これがため、
残存鉱害量
及び
鉱害発生量
の
実態調査
、
鉱害復旧
に関する
総合計画
の
樹立
、強力なる
鉱害処理機関
の
設置等
によって早急なる
鉱害処理
を期するとともに、
地方公共団体
の
鉱害処理
の
経費負担
の
軽減
、
国庫補助率
の大幅引き上げ、
復旧予算
の増額、
閉山炭鉱
の上水道の
市町村移管
に際しての
市町村負担
の
軽減等
の
要望
が強く出されておりました。 その他、
炭鉱離職者対策
としまして、
就職口
を確保しないまま
産炭地
に滞留し、その
就職
を一そう困難にしている
現状
にあるので、今後とも
炭鉱離職者緊急就労対策事業
への
吸収ワク
を維持し、
吸収人員
の
ワク
を確保するほか、これら
事業
の
就労者
に対する
就職支度金制度
の新設、
産炭地周辺
における住宅の
増設等
の
要望
もございました。
教育関係
につきましては、今回の
調査
の大部分がこれに充てられましたが、
産炭地
における
炭鉱離職者
の
生活困窮
と、
地方財政
の
窮迫
による
社会環境
の
悪化
が必然的に
児童生徒
に大きな
影響
を与えており、
生活保護家庭
、共かせぎ
家庭
、
欠損家庭
の
増加
という中で、
保護者
は子供の
教育
に対する関心を
欠除
させる結果ともなり、その
集団地域
の
社会環境
の
悪化
は
児童生徒
の健全な発達を阻害する
原因
ともなっております。これがため、
長期欠席
、
精薄
、
非行児
の
増加
とともに、年々
学力
の
低下
を来たし、今日においては
一般家庭
の
児童生徒
に大きな
影響
を与えているという
現状
であります。すなわち、
福岡
県の
産炭地
における
児童数
は、三十四年度に比し四三%、九万一千人が
減少
しており、はなはだしい
学校
では六五%も
減少
している
状況
さえあります。
産炭地
における
児童数
の
減少
にもかかわらず、要
保護
、準要
保護児童生徒数
の
割合
は逆に
増加
しており、
産炭地
以外の一三%に対し、
産炭地
では二八%の高率を示し、私
ども
の視察しました
学校
の例では三九%から五七%という
現状
でありました。
教職員
について毛、三十四年度に比し、定員で一八%、八百五十八人、実員で二〇%、七百四十人が減員となっております。また、
長期欠席児童生徒数
の
割合
も、
産炭地
以外の約一・五倍にも及び、場所によっては二倍をこえておるというのが
産炭地
の
状況
であります。 特に
産炭地
の
非行少年
の
増加
が目立ち、
社会環境
の悪さと相待って、その
非行
の
実態
を悪質化してきていることは、他の
児童生徒
に大きな
影響
を与えています。
家庭教育
の破壊並びに
社会教育
の
欠除
による今日、
現地
においては
学校教育
にのみ一切の責任を負わされているので、県、
市町村教育委員会
、
学校長
、
教職員
のそれぞれの立場から、
学力低下
を防ぎ、
非行
を予防するために非常な努力を払いつつありますが、なお、深刻さは
増加
の
一途
をたどり、
教育指導
に困難をきわめているに至ったことが強く訴えられました。 さらに、
教育関係者
の一致した
要望
は、一
学級
の
規模
を縮小して、
児童生徒
の
個別指導
と
援助
を十分に行なえるよう、特に
産炭地域
における
学級編制
の
特例
、
長欠児
、
問題児等
のため、
特殊学級
の
増設
、
補導教員
、
養護教諭
及び
事務職員等
の定数についての
特例等
でありました。 なお、
町村教育委員会
の
教育扶助事務
について、
専任職員
の
設置
に要する
経費
を
国庫負担
にするよう、また、
義務教育課程
の
教材費
、
設備
に対する
現行補助率
、
学校建物
の
新増改築費
の大幅引き上げ、
通学用品
、
余剰教室
の
給食室
、
特別教室
への転用のための
改良費
、
補修費等
も
全額補助対象
にすること等の
要望
もありました。 その他、
学校
の
鉱害復旧
について、無
資力
、
無権者鉱害
の場合には、
被害者
である
市町村
に
負担
を求めることなく、
全額国
で
負担
すべきであるとの声もありました。要するに、
産炭地
においては、
児童生徒数
の
減少
にもかかわらず、
教育事務量
はかえって多くなっているというアンバランスの
現状
に対して国の
援助
が必要であるということであります。 私
ども
は、このような
産炭地
の
教育事情
にかんがみまして、
家庭教育
の崩壊と
社会教育
の
欠除
をそのまま
学校教育
が代行し、怠業、
問題児
、
非行児
について
担任教師
が
個別指導
のため本来の授業時間をさかなければならない状態にあることは、
教育
の
効果
を減退せしめるばかりでなく、現場の
教職員
に対して
負担
を多くする結果となり、まことに遺憾であると思いました。さらには、
地方財政
の
窮迫
による
学校教育設備
の不備は、
学習指導
、
生活指導
を困難にしている観もございます。これがため、
産炭地
の
教育
については、特別な
措置
によって
地方財政
の
負担
を
軽減
するとともに、
学級編制規模
の縮小、
特殊学級
の
増設
、
補導教師
、
事務職員
の
増加
、
町村教育委員会
の
教育扶助事務
についての
専任職員
の
設置等
の
特例措置
も検討してみる必要があるのではないかと思われました。 以上が
調査
の概要でありますが、いま
石炭対策
について、
政府
においても
十分検討
中でありますが、私
ども
も、
産炭地域振興
、
鉱害対策
、
産炭地
の
教育等
に前述のような
実情
があることを深く認識して今後の
委員会審議
に当たりたいと感じた次第であります。 以上、
報告
を終わります。
剱木亨弘
6
○
委員長
(
剱木亨弘
君) ただいまの
報告
に対しまして、御
質疑
がございましたらこれを許します。 御
質疑
ございませんか。
——別
に御
発言
もなければ、
派遣委員
の
報告
はこれをもって終了いたします。
—————————————
剱木亨弘
7
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 当面の
石炭対策樹立
に関する件を
議題
といたします。 御
質疑
のおありの方は、順次御
発言
を願います。 なお、
政府
からは、
村上通産政務次官
、
川原鉱山保安局長
、
今村初等中等教育局財務課長
、
吉田体育局学校給食課長
、
藤田石炭局炭政課長
、以上御
出席
であります。
速記
をとめてください。 〔
速記中止
〕
剱木亨弘
8
○
委員長
(
剱木亨弘
君)
速記
を始めてください。 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。 午後二時一分散会
—————
・
—————