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説明員(宇ノ
沢智雄君)
日本国有鉄道の
昭和三十七
年度の
検査の結果につきましては、
検査報告の一三三ページ以下に記載してございます。
不当事項十件と改善の意見表示をいたしましたもの二件でございますが、それぞれについて簡単に御
説明申し上げます。
六三九号は、新幹線モデル線地区の一部に道床砕石を運搬して引きならす
工事を請け負わせるのにあたりまして、運搬費の積算が適切でなかったために
工事費が高価になっているものと認められるものであります。
それから六四〇号は、駅ホームの
舗装工事を
施行するにあたりまして、所要材料の積算が過大でありましたり、労務費の
計算にあたりまして歩掛りを過大に見込んだことなどによりまして
工事費が高価となっているものであります。
六四一号は、高架橋の
新設工事の
施行にあたりまして、くい打ち込みの一本当たり平均所要時間などを過大に見込んだために
工事費が高価となっているものと認められるものであります。
それから六四二号は、海岸線の護岸の
改良工事を
施行するにあたりましてテトラポットの平均運搬費を過大に
計算いたしましたこと、それからテトラポットの据えつけに使用します潜水船を引っぱる曳船の使用料を積算しておりますが、本潜水船は自走可能でございますので曳船使用料は積算する必要がなかったということで、積算、施工法並びに設計が適当でなかったという事態でございます。
六四三号は、送電線、特別高圧ケーブルを収容しますためのトラフ管路を
新設するにあたりまして現地の土質その他の調査が十分でなかったために不経済となっているものでございます。
六四四号は、新幹線の電車線支持柱に取り付けまする腕金と電柱バンドを購入するにあたりまして
予定価格の積算が適切でなかったために購入価額が高価となっているものと認められるものであります。
六四五号は、重油の購入にあたりまして石油会社と不必要なおろし荷役作業を請け負わせているために不経済な結果となっているものでございます。
六四六号は、岡山鉄道管理局津山駅で
関係職員によりまして切符の発売枚数あるいは料金などを過小に報告することによって
収入金を領得したものであります。
六四七号は、
大阪幹線
工事局で、東海道幹線を近江鉄道株式会社の会社線と一部並行して敷設するに際しまして、必要な同会社線用地の買収費といたしまして一億五千万円、
旅客収入減等に対する損失補償といたしまして一億円を支払っておりまするが、この
うち旅客収入減に対する補償の理由としましては、これを支払わないときには会社との
設計協議等におきまして協力が得られないために
工事に支障を来たすということで、それぞれ観光
旅客収入及び普通券一般客
収入の予想減少率を五〇%、二五%とするなどによりまして、並行区間の向こう十三カ年間の
収入減を見込んで、これらの
金額を算定したものであるということでございますが、現地の実情などから見まして、同幹線を敷設することによりましてこれらのお客が減るというような事態はそれほど根拠がないものと認められまするし、一方向会社との
設計協議等に関しましては、地方鉄道法によりましてその
促進をはかるなどの余地があったのではないかというようなことで、本件につきましてはそうした点の配慮が十分でなかったのではないかというふうに認められる事態でございます。
それから六四八号、これも同じく新幹線の
工事に伴いまして、京都府大
山崎村所在の福田某所有の宅地、建物等の買収費及び移転補償費として二十一億五百万円が支払われておりますが、本件の
内容を見ますと、土地、建物、付帯設備等の
総額が一億六千五百万円と算定されまして、さらにこれの三〇%増しの二億一千五百万円が
総額として支払われているのでございますが、幹線用地等として必要な土地や宅地もごく一部でございますし、残存宅地だけでも従来の
計画として使用するにはそれほど支障がある場合とは認められませんし、
日本国有鉄道として従来こうした場合は必要な土地及び支障物件だけの買収にとどめておりますのが通例でございますが、かりにこれらの全面買収を目的といたしましても、それまでの間に公共用地の取得に関する
関係法令などによる解決手段を講ずるなど適切な考慮をする必要があったのではないかという点で、本件は妥当な措置とは認められないものでございます。
それから、改善
事項が
検査報告の一九五ページ以下に二件ございます。一つは、資材の調達に際しまして規格が改定されているのに旧規格のものを購入したこと、あるいは有利な規格のものがあったのにこれを採用しなかったということなどによりまして不経済な結果を来たしていると認められるものでございます。購入資材の規格の点につきましては、なお今後検討する要があるのではないかという改善の意見でございます。それからもう一つは、連絡運輸に伴います貨車使用料につきましての改善意見でございますが、国鉄線と社線との両区間にわたって貨車の直通運輸を行ないますときには、その連絡運輸の運賃は国鉄と私鉄でそれぞれ運送区間に応じて分割収受するとともに、相手方の運輸機関所属の貨車を使用します場合にはその使用料を支払うことになっておりますが、その使用料のきめ方等について現在の貨車の運行状況から見まして著しく不合理な点がございますので、これの
適正化をはかる必要があると認められるという趣旨のものでございます。
以上でございます。