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1964-12-17 第47回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十七日(木曜日)    午後一時三十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野上  進君     理 事                 天埜 良吉君                 天坊 裕彦君                 吉田忠三郎君     委 員                 江藤  智者                 河野 謙三君                 木暮武太夫君                 平島 敏夫君                 松野 孝一君                 相澤 重明君                 大倉 精一君                 浅井  亨君    国務大臣        運 輸 大 臣  松浦周太郎君        国 務 大 臣  高橋  衞君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省自動車局        長        坪井 為次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査公共料金改訂に関す  る件) ○重要港湾境港港湾区域拡張に関する請願(第  一二一号) ○鳥取県境港港湾整備五箇年計画促進に関する  請願(第二三六号) ○名古屋港高潮防波堤建設に伴う犠牲小型船業者  の救済融資措置に関する請願(第一六四号) ○空港整備促進に関する請願(第二〇号) ○総合観光開発推進に関する請願(第二五三号) ○三陸沿岸縦貫鉄道早期完遂に関する請願(第  一〇四号) ○丸森線、野岩羽線及び只見線の早期建設に関す  る請願(第二三五号) ○日本国有鉄道第三次投資計画実現に関する請願  (第一二二号) ○国鉄の第三次長期計画推進に関する請願(第二  五二号) ○国鉄第三次長期計画資金確保に関する請願  (第二九〇号) ○磐越東線における準急列車増強に関する請願  (第二三四号) ○東北本線並びに奥羽本線複線化、電化及びこ  う配改良工事促進に関する請願(第二一号) ○奥羽本線十文字駅舎改築並びに貨物ホーム整備  促進に関する請願(第一七三号) ○東北本線北上、六原両駅間に簡易駅設置の請願  (第四一一号) ○継続審査要求に関する件 ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 野上進

    委員長野上進君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 大倉精一

    大倉精一君 私は、この際、現在の消費者物価の問題が非常に重大な問題になっており、さらにまた公共料金一年間ストップというのが来年の初めに時間切れになります。そこで、この公共料金をどうするかということがいま国民一般の非常に大きな関心になっておりまするが、新聞の発表で拝見しますると、八日の日に経済企画庁のほうからの提案によって物価対策の大綱がきまったと、こういうことを新聞で拝見をいたしました。それで、きょうは、その全般についてお伺いするという時間的な余裕もないし、さらにまた運輸委員会でありまするので、運輸関係に関する公共料金取り扱いについてお伺いしたい。特に、あれを拝見いたしますると、抑制は続けていくのだ、がしかしケース・バイ・ケースだ、やむを得ぬものについてはそのつど何か閣僚懇談会を開いてやっていくのだということであって、結局国民はこれを見て一体どうなるのかわからないというのがほんとうだろうと思うのです。したがって、この際、この消費者物価対策の中の公共料金、特に運輸関係公共料金取り扱いについての企画庁長官の案をひとつ御説明を願いたいと思う。  なお、この案は、きょうの閣僚懇談会において了承されたと思うのですけれども、それもあわせてひとつ御報告願いたいと思う。
  4. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) お話のとおり、公共料金につきましては、消費者物価の異常な高騰を抑えて安定せしめるために、相当無理なやり方であるとは存じましたけれども、本年の一月から一年間公共料金ストップするという措置閣議で決定いたしましたような次第でございます。それで、その結果といたしまして、たいへんに今年度は過去三年間六%台の上昇を続けました消費者物価がわりあいに落ちついてまいったのでございます。そういうことでございますが、今年の下半期になりまして、野菜が急速に値上がりしましたような影響が出てまいりまして、なかなか物価の完全な安定ということは非常に困難な状態になっておるというふうに考えまして、その点懸念をいたしている次第でございますが、したがって、そういうような情勢でございますので、来年の一月から閣議決定の一年間のストップという期限は切れる次第でございますけれども期限後におきましても、この公共料金につきましては、一々対象になる企業収支等をよく検討いたしまして、またそれらの内部のさらに合理化をして、そうして収支を改善する余地がないかどうかというような点もあわせて検討いたしまして、最小限度の必要な料金値上げは認めていくより道がなかろうかと、さように考えております。しかしながら、こういうふうな物価情勢の際でございますので、一件一件について、そういうような点を十分に審査さした上で、収小限度認めていく、こういうやり方によって、値上げを起こしたり、また全般的に消費者物価が便乗的にどんどん上げられていくというようなことがないように措置いたしたいと、かように考えている次第でございます。  なお、ただいまお話しの、八日の日に政府できめたというお話がございましたが、これは事務当局間の連絡協議会で素案を相談いたしたのでございまして、本日経済閣僚懇談会において、この物価安定に対するところ総合対策というものを相談をいたしまして、これはその中に予算関連する問題が相当含まれておりますので、予算が決定しました後、来月に入って正式に閣議において決定する、こういうような段取りにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  5. 大倉精一

    大倉精一君 新聞にもそう書いてありますけれども、具体的に言って、一件ごと閣僚懇談会にかけて審議をするというのは、具体的にはどういうことになるのですか。たとえば、企業ごとにいろいろ収支も違うところもあると思うのですが、一件一件閣僚懇談会でやっておったんでは追っつかないと思うんですが、具体的にはどういうふうにお考えですか。  それからもう一つは、合理化する余地があるかどうか。合理化というのがずいぶんはやるんですけれども合理化というのは一体何なのか、一体何を基準合理化というのを判定されるのか、その点きわめてあいまいでありますから——いまの程度であれば新聞に書いてある。これは一体どういうぐあいになっていくだろうということが国民一般にわからない。具体的にひとつ御説明を願いたいと思います。
  6. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) これは料金については、各事業体によって非常に千差万別でございますが、たとえばタクシー、ハイヤー等料金をきめる際には、これは地域によってきめる性格のものであります。したがって、その地域の中に非常にたくさんの企業体があるわけでございます。それで、その企業体を、一体どういう企業体を標準的にとるかということは非常にむずかしい問題でございますが、大体大部分業体が何とかやっていけるという程度までは認めざるを得ぬと、かように考えておるのでございます。したがって、これはなかなかむずかしい問題ではございますが、やはりそういうふうな業体おきましても、共同購入とか、または設備改善とか、または能率の向上というふうな、中小企業に一般的な合理化余地のあるものが相当あると私ども考えておるわけでございまして、そういうふうな中小企業指導育成面も十分配慮していきまして、そういうふうな政策とかね合わせて、できるだけ低い水準で、国民負担が過度に膨張しないようにという配慮で決定していきたいという考え方でございます。しこうして、そういうふうな一区域内の全業者収支を見るということは、これは非常にむずかしゅうございますから、その中から相当数企業を取り出して、そうして大体過去のその事業体におけるところ収支と今日におけるその後の変化というようなものをずっと調べまして、また他地区におけるところ状態とも権衡をとりながら大体のことをきめていく、こういうふうなやり方にいたしたいと考えております。
  7. 大倉精一

    大倉精一君 どうもよくわからぬですが、それは一応説明を聞いておいておくとして、私はどうもいまの説明の中で非常に多くの疑問を持っておりますけれども、逐次これはあとからお伺いしていきたいと思うんだが、その前に念のためにお伺いしておきたいのは、公共料金というのはどういうことかということですね、公共料金というものはどういうものをさすのかという一つの定義を聞かしてもらいたい。そうでないと、公共料金とばく然と言ってもどうもぴんとこないところがあるので、公共料金というものはどういうものをさしておるんだというふうに長官考えになっているのかお聞かせ願いたいと思います。
  8. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) あるいは過去に申し上げました、政府から申し上げたことと違っておれば、訂正さしていただきたいと思いますが、私の思っておる限りにおきましては、法律法令等によって政府政府権限において規制できるところ料金、手数料その他のものを公共料金と、かように判断をいたしておる次第でございます。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると、政府権限によって規制し得る料金ですね。わかりました。そういう対義ということにしておきます。これはあとからまた言いますけれども政府がかってに規制することができぬようになっているはずですね。法律にはちゃんと規制する基準があるはずですよ。ですから、これはあとから触れるとしまして、もう一つ念のため聞いておきたいことは、公共料金というものと物価との関連性ですね、これを一体どういうぐあいにお考えになっておるのか。つまり、言うならば、公共料金一年間ストップというものと物価との関連性について一つ考え方に立ってストップされたと思うのですけれども消費者物価——特に消費者物価ですね——公共料金との関連についてお考えを伺いたい。
  10. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 現在の消費者物価は、昭和三十五年の家計費調査を基礎にいたしまして、そのときのウエートでもってそれぞれ現時点におけるところ小売り店消費者に渡る価格を調査いたしまして、それによって指数をつくり上げておるわけでございます。しこうして、昭和三十五年の家計費調査実績から申しますと、公共料金でもって、つまり政府が規制し得るところ料金が全体の消費者物価に占める割合は約二〇%程度でございます。したがって、これを完全にストップすれば二〇%の範囲だけは物価が押えられるということに算術的にはなるわけでございます。しかしながら、同時に、この二〇%というのは何と申しましても政府政治に対する姿勢を示すものでございますから、それの及ぼす心理的効果と申しますか、そういうふうな波及的効果相当考えなければならぬということで、相当影響あるものという判断のもとに、公共料金についてはきわめて慎重な態度をとって対処しておる次第でございます。
  11. 大倉精一

    大倉精一君 まあ公共料金物価は非常に密接な関連があるということは同感でありまするが、それがために一年間ストップされたのですけれども、じゃ一年間ストップされた経緯、理由ですね、何を期待しておったか、こういうことですね。一年間ストップによってどういうことを期待しておったか、政府はですね、これをひとつ伺いたい。
  12. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 先ほども申しましたとおり、公共料金ストップするという行為は、その対象になる企業から申しますると、非常につらいことでございます。したがって、普通の経済原則から申しますると、その経営体の内容を見て経営が成り立つ程度にその料金を時々改定していくということが必要なことかと存じます。これをあえて一年間ストップいたしました趣旨は、物価に対するところ政府考え方、断固たる考え方をひとつ国民の皆さまに御了解を願って、そうしていままで毎年六%以上も上昇してきたこの消費者物価上昇のあり方を安定的な方向にこの際切りかえていきたい、こういうふうな考え方のもとにあえてこういうふうな措置をとったものでございます。しこうして、その効果は私どもは十分にあったと、かように考えておる次第であります。
  13. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、この公共料金というもののストップによって物価が安定に向かうのだ、こういうことなんですか。私は、そういうことよりも、いわゆる公共料金ストップによって消費者物価値上げムードを押えようという、そういう意図があると思うのですね。前の宮澤長官はそう言っておりました。私は、消費者物価というものは、公共料金ストップだけではどうにもならぬものだと思うのですよ。まあ端的に言いますなら、政治的ゼスチュアかもしれませんね。ですから、公共料金ストップによって物価が安定に向かうという、そういう大きな期待は、そのものによっては打てないと思うのですね。いまあなた、非常に効果があったとおっしゃったけれども、しかし大蔵大臣は、消費者物価については安心はできない、こういうことを予算委員会でも言っております。でありますから、私は、公共料金ストップというのは、言うならば、物価問題がどうにもこうにもならぬようになってきて、そうして、苦しまぎれと言っちゃ変ですけれども、とりあえずそういう手を打って、ひとつ心理的な効果をねらったと、こういうことじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  14. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 先ほどもお答えしましたように、これの占めるウエートはわずか二割——二〇%でございます。したがって、これだけでもって効果を期待することは、これはとうてい困難でございますが、ただいまお話しのとおり、物価に対するところ政府の強い姿勢を示すことによって心理的な効果も期待し、そうしてこのとめどもないようなムードをこの際に切りかえたい——切りかえて、そうして安定したムードをつくっていく、こういうことにひとつ貢献さしたいというのがこのストップのねらったところだと、かように考えておる次第でございます。
  15. 大倉精一

    大倉精一君 どうもその辺が、政府ははたしてその確信がありやいなやということですね。たとえばこの消費者物価を押える非常に大きな効果を期待して一年間ストップしたという点なんですけれども、その間において、つい最近突如として、全く突如として消費者米価値上げというものが出てきたのです。これほど大きな消費者物価影響を与えるものはないと思うのです。その辺がどうも一貫しないのですが、米価というのは、あれは上げてもそうたいした心理的な影響はないのですか。
  16. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 物価だけの面から見ますれば、米価は据え置いたほうがいいことは、これはもうもちろんでございます。ただ、米価引き上げました趣旨は、御承知のとおり、生産者米価相当毎年上がってまいっております関係上、生産者米価消費者米価の開きがあまりに大きくなりますと、いわゆる逆ざやがあまりに大きくなりますと、食糧管理制度自体が崩壊するおそれがあるというところから、逆ざやをある程度解消していきたいという考えのもとにこれを決定したような次第でございます。  なお、この消費者米価引き上げる際におきましても、実は、大蔵大臣は財政的な理由から、また農林大臣食管制度を守るためには完全に逆ざや解消をしなければならぬというふうなたてまえから、相当大幅な消費者米価引き上げを要望しておられたのでございますが、物価の観点からこれを最小限度にとどむべきであるという考え方のもとに、逆ざやもあの程度引き上げでは全部解消になったわけではございませんが、早場米地帯を除いてはあれでどうやら逆ざやがほとんどなくなるという程度に相なる、この程度でひとつ何とか食管制度の維持ができるのじゃなかろうかというふうな感覚であの程度におさまったような次第でございます。しかして、消費者米価値上げというものが物価全体に及ぼすところの、つまりそれ自体影響よりも心理的な影響があるということを、また私ども十分に考えておるのでございます。したがって、たとえば低所得者対策としては、徳用米の数量を相当にふやし、その上げ幅をきわめて低くするというふうな措置をとります等、またこれから他の物価波及効果が及ばないようにという趣旨をもちまして、行政指導的に相当個々のものについて手を打っておるような次第でございます。たとえばパン等についても値上げの要望が相当にございましたけれども、これも業界の方々と懇談申し上げて、そうしてこれを当分動かさないというようなことを実行していただきますとか、その他個々波及効果が及ばないような措置をこまかくとりまして、物価に対する影響最小限度にとめたいということを考えておるような次第でございます。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 きょうは米価の問題を論議しようと思っておりませんけれども、これは国民おこっていますよ、この米価は。徳用米徳用米と言われますけれども、あれはくず米みたいなもので、貧乏人はくず米を食ったらいい、こういう感情にも通ずるのであって、国民感情からはどうかと思うのです。それから、わずかあのくらいとおっしゃいますけれども普通米で一六・二%上がったのでしょう。しかもあのときの政府の弁が、この程度であれば国民負担もたいしたことはないからということが新聞に書いてありました。この点で国民おこっております。私も計算してみましたら、今度上がったので、十キロで普通米で百五十五円上がっております。五人家族で、一人平均二合食うとしますと、普通米を食うだけで七百五十円余分に支出をしなければならない。しかも、ほかに波及しないようにというお話がありましたけれども、現にもうぴんぴんとはね返ってきて、ふろ賃も上げろと言ってきています。あれも原案どおりに上げるとすれば、これまた夫婦と中学生一人と小学生二人、一日おきふろに行くとしまして、六百三十円要ります。でありますから、普通米を食って一日おきふろに入って五人家族で千三百三十五円上がっているわけです。これも政府は、あのくらいのことはということですましている。これは国民はちっとも納得できないし、さらにまた本質的に、農民から買うのが高くなったから国民にも高く売るのはあたりまえだ、あるいはまた食管会計が赤字になったから国民にも高く売るのだ、こうなれば、政府国民相手に米を売って商売していると同じことです。いまの米価政策はそんなものではない。生活米価ですよ。でありますから、逆ざやは当然あるものであって、それを承知の上でこういう制度をつくったと思うのです。それを政府がほったらかしておいたものだから、積もり積もって千八百億になったのですけれども、だからといって、高く売るなんていうことは、国民相手に商売することであって、きょうはそれを論議はしませんが、国民はみなそう言っています。ですから、私がきょう言っているのは、公共料金というものは物価に及ぼす影響が非常に大きいからといっておとめになっている。その中で、突然としてだれでも食わんならぬ米価を上げたということはどういうことだと、こう聞くのですけれども、どうもはっきりしないようです。そういうところに私は一貫性がないと思うのです。  それで、時間もないようですから先へ急いでいきますけれども、きょうはずっと相当聞かなければならぬことがありますから、ちょっとおってもらわぬと困るのです。  そこで、いよいよ公共料金一年間ストップが鮮除になるのですけれども、この際、一年間ストップをやった当時と、それから今日との、公共料金に対する政府態度表明というものはだいぶ変わってきていると思うのですけれどもストップをやった当時と今日と物価事情はどういうぐあいに変化しておるか、その当時とよほど好転して、もう物価事情についてはたいして心配要らぬというふうになっているのか、依然として先行き不安であるという、そういう見通しに立っているのか、その点はどうなのでしょうか。
  18. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 先ほど、お米が上がったことによって五人家族がこれだけふえたというお話がございましたが、おそらくは大倉さんのところ相当普通のケースより違ったケースじゃないかと思います。と申しますのは、今年の一月から八月までの全都市家計費調査をやってみますと、その中で米に支払った金額が一ヵ月二千九百円余りでございます。したがって、これに対する上がり率は大体八%程度でございますので、これは配給米も、非配給米も、やみ米も加えての加重平均でございます。したがって、大体一カ月の負担の増は三百円程度、こういうふうに見ておるわけでございます。それから、いわゆる勤労者世帯の五分位階層で見てみましても、第一分位、つまり一番低所得者層階層で見まして、本年の一月から八月までの実績をとってみますと、負担増は〇・九%ということで、そういうふうな数字になっておるわけでございます。もちろん、これは全国の五万以上の都市の全世帯平均的なものでございますから、個々の家庭においてはそれぞれ違った影響があり得るかと思います。しかし、それだからそう心配ないのだということを申し上げておるのではございません。もとより好ましいことではございません。また、徳用米を食べたらいいじゃないかという、そういうふうな姿勢でものを申し上げているのではございませんので、せっかくあるところ徳用米制度、これをもしも御利用くださるならば、その面はできるだけ低くしておきたい。そういう米がくず米だとおっしゃいますけれども、主として準内地米がこれに振り充てられているのでございまして、品質の面から見ますると、そんなに値段が違うほど品質はそう差がないということは、おそらく現物をごらんになればお認めくださるかと思うのでありますが、そういう意味で、これもやはり低所得者対策としては、一つの当然とるべき措置であろうかと、かように考えておる次第でございます。  それで、ただいまお尋ねの、それでは一体公共料金を押えた結果として物価にどんな影響があったかというお尋ねでございますが、今年度の……。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 ストップした当時と現在との物価ですね。
  20. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 今年度の上半期におけるところ消費者物価上昇割合を前年同期と比較いたしますると、ちょうど三・二%の上昇に相なっておるのでございます。前年同期の前々年に対する比率は八・一%となっておりますので、相当この面は、単に公共料金だけの問題ではなしに、相当心理的に安定的な効果を発揮し得たのではなかろうか、かように私ども判断をいたしております。もとより、ちょうど十月になりまして、夏の干ばつの影響、また暴風の影響等がきまして、野菜が急に四割余り暴騰いたしました。それが全都市のCPIに影響してまいりまして、十一月に突如として二〇・一%上がったわけでございます。それが出てまいりましたので、私ども非常なショックであったわけでありますが、したがって、本日の経済閣僚懇談会でも見通しの改定ということを申し上げたのでございますが、今後の成り行きその他をずっとしさいに検討いたしてみますと、四・二%で全部そのとおりになるということは非常に困難になってきた、したがってこれを四・八%程度見通しを改定せざるを得ない、こういうことを経済閣僚懇談会で御相談したわけでございますが、しかしそれにいたしましても、前三カ年度の各年六%以上上がったという姿に比べれば、相当安定的な効果を得たのじゃなかろうかと、かように考えておるわけでございましす。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 米の話はあまりしたくなかったのですけれども、そう言われるとちょっとやはり言っておかないと政府が誤解しているといけませんので申し上げますけれども、パーセント、パーセントと言われますけれども、パーセントじゃめしは食えないのですね。ですから、いま申し上げましたように、あなたいま、徳用米と言ったってあまり普通米と変わらぬとおっしゃいますけれども、そうなれば米屋さんが、そんなことを言っちゃ悪いけれども徳用米普通米に売るかもしれません。要するに、私が計算したのでは、十キロ百五十五円上がれば、現実に五人家族で七百五円上がるということですよ。これはパーセントではないのです、これが現実なんです。働く人が一生懸命わあわあやって二千円、千五百円上がっても、米を食ってふろに入ったらパーになってしまうのです。それをどうするというのであって、これは現実の問題として考えてもらいたいと思うのです。  まあそれはそれとしまして、いまお話しになりました物価の問題は、あなたのお話のようなかっこうでもって物価を押えようと思うというと、ここ当分は非常に低いパーセントの値上がりで押えなければ想定どおりにはならぬのじゃないかと思うのですね。でありますから、そうなれば公共料金というものはこの際上げちゃいけないという結論になってくると思うのですね。それを、原則的にということを出して、個々によっては上げるのだということでは、何かわからぬことになってきますが、私は、いまあなたがおっしゃるように、そういう安定的な物価状態にしようと思えば、本年度あるいは来年度は相当低く物価というものは押えなければならぬ。そうすれば、公共料金というものを、初めの趣旨から申しまして、物価値上げを押えるのだ、あるいはそのムードを押えるのだ、そういう趣旨からいたしますならば、一年間ストップされたものならば、なおかつ引き続いて政府はそれに強い態度をとらなければ理屈が合わぬと思うのです。そう思うのですが、いかがでしょう。
  22. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 先ほどもお答え申し上げておりますように、こういうふうな措置はきわめて異例な措置でございます。したがって、これを一年以上続けることは妥当でない。しこうして、各企業について個々調査をして、必要最小限度程度において料金引き上げを必要とするものはこれを認めていく、こういう態度をとりたい、こういうふうに申し上げているつもりでございます。もちろん姿勢としては、どこまでも抑制的な姿勢をとってまいりますが、しかし、全部くぎづけにしてしまうというやり方は、相手が国の場合もございますが、企業体相当多数ございますので、実情に即しない、どこかにひずみができるというかっこうになりますので、それは避けたいというのが政府態度でございます。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 まあそうなってくると、何か物価対策に対して、物価政策に対してどうも自信がないように思うのですが、一年以上やるべきではないということ自体がおかしいのですね。つまり、一年以上やるべきではないということは、一年間公共料金ストップすれば物価はおおむね安定して、公共料金は一般通例の軌道に乗せても差しつかえない、こういう見通しがなければ、一年ストップというものはなかなかやるべきではないんですが、一年間ストップしてもなお物価は安定せぬ、どういう方法で一体直すかということになってくるわけですね。単に一年以上やるべきではないと言うんですけれども、単にこういうものは一年以上やるべきではないと、無原則にそう言われることはどうかと思うんですね。たとえば、物価はおおむね安定状態になってきておるから、これ以上不必要な公共料金ストップをやるべきではない、こういうふうに言われるなら、わかりますけれども物価状態はなかなかむつかしいが、しかし一年以上はやるべきではない、こうなれば、それにかわるべき方策はどうか、こうなるんですね。そういう問題はどうなんですかね。
  24. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 御承知のとおり、物価はいわば結果でございます。経済活動の相関関係において出てきた結果でございます。したがって、経済の諸元というものは、それぞれ海外の情勢もございます、国内の情勢もございますが、いろいろな条件によって変動いたしますので、これをきちっと押え込むとか、またはこうするというふうなことは、非常に困難なことでもあり、また自由主義経済においてはなし得ざることかと存じますが、しかし経済運営の基本的な態度としては、経済の成長というものを安定的な基調に持っていく、これが一つの基本的に大切な事柄であろうと存ずるのでございます。そのほかに物価影響するところのいろいろな問題がございますが、最近の物価上昇の原因等を調べてみますと、たとえば中小企業関係または農業関係相当大きな原因がございます。それで、なぜ中小企業関係、農業関係の産物について物価が上がってくるかと申しますと、そこにおけるところの生産性の上昇が他の部門よりも非常に立ちおくれておる、わずかな生産性の上昇しか見込まれないというところに根本的な原因があろうかと存じます。したがって、本日経済閣僚懇談会において御決定を願ったものにも、農業、中小企業等におけるところの生産性の上昇が立ちおくれたために、物価上昇のコスト画からくるところの原因になっている。そういうふうな原因を除去するために、これは他の面、ひずみ是正という面からも当然に重点にならなければならぬのでありますが、物価安定という面からもここに相当大きなウエートを置いて、政策の重点をここに指向して予算の編成をすべきであるということを強調いたしておる次第でございます。  なおまた、現在の物価上昇一つの原因は、所得の平準化の作用から、大企業中小企業の間におけるところの、少なくとも新卒、若年労務者については完全に賃金が同じになったということは、大倉さんも御承知のとおりでございます。そういう、つまり、所得の平準化の作用から、生産性の上昇がないにもかかわらず、賃金だけは上げざるを得ない、それが結局物価にはね返らざるを得ないという面もございます。ところが、中高年令層においては、なお十分に自分の能力ほどに働く機会を持っていない方々もございますので、労働の流動性を促進するというふうな施策も当然に必要になってまいります。また、農産物等につきましては、流通過程、つまり生産者の手取りは非常に少ないが、にもかかわらず消費者の手に渡った場合には相当高い値になるという現象がございますので、ここにおきましては流通過程の合理化ということがどうしても促進されなければならない。輸送その他の連絡も必要でございましょう。または、ここ二、三年の実績の示すところでございますが、たとえばカンラン等において、今年の春のごときはほとんど腐りまして、ただでいいから持っていってもらいたいというような状態、その反動として作付面積が減るということで、そのために今年の秋は、そういうふうな野菜が暴騰したという結果を来たしておる。こういうものについては、主産地によりまして部分的に価格安定制度が行なわれておりますが、こういう制度をもう少し地域的にも品目的にも拡大していくと、こういうふうな努力が必要である。そういうことで、各方面から物価を安定させる施策を講じていこうといたしておる次第でございます。  なお、いま一つ最後にこの点について申し上げておきたいことは、御承知のように、物価引き上げるやはり一つの原因は、国民総需要の点にあるわけでございます。しこうして、個人消費の伸びが、過去三カ年間毎年一五%台を示しておるのでございます。前年に対して一五%台の増加を示している。これが国民総需要を非常に大きく押し上げてきていることは、これはもう否定すべからざる事実でございます。そういう意味で、個人消費の健全化という面で、さらにこれは国民の御協力を得なけりゃならぬ問題でございますが、私ども国民に消費を節約しようと申し上げるんじゃないのでございます。国民生活の内容を、着実に、調和のあるように向上していくことは、これは政治の目的であろうかと存じますので、それはいいのでございますが、個人消費の中にも相当なむだがございます。また不健全な要素が相当あるという点から、そういうふうな点を何とか健全な方向に向けていただくということによって、個人消費のむやみな伸びというものがある程度堅実な態度に変わってくれば、これがまた大きく消費者物価にいい影響を及ぼしてくる、かように考えまして、そういうふうな努力を政府は呼びかけて国民の協力を得たい、かように考えておる次第でございます。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 そういう各部門に対する対策は新聞でも見ました。見ましたが、冒頭申しましたように、そういう問題は別に、交通運輸に関係のある公共料金の問題についてお尋ねしておるんですが、特にいまの問題は、たとえば農産物の問題にしても、中小企業の問題にしても、その他の問題にしても、これは経済原則によって動く問題でありまするが、公共料金の問題は、政府が一方的に権力をもって人為的に操作するものですよ。そこに私は大きな問題があると思うんだ。これは一年以上はやるべきじゃない、こう言ったが、じゃあ一年以上たったんだが、やるべきでなかったら一体どうするか。もう精神訓話だけでは企業はやっていけますまい。これはやっぱりかわるものがなければならない。言うならば、これにかわる救済策がなけりゃいかぬ、こうなってくるわけですね。そういう救済策ということについてはお考えになっておらぬですか。
  26. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 公共料金につきましては、オールストップはやめますけれども個々の問題についてはずっと慎重に審査をしながら、きわめて渋い態度で臨まざるを得ぬかと、かように考えるのであります、率直に申せば。しかしながら、これは対象になるのは民間の企業相当多数でございます。そういった民間の企業が成り立たぬようにしていいかという問題になりますと、それはやはり民間企業が成り立つようにしていかなければならない。そういうふうな点も考えまして、能率的にやった場合に、これならやっていけるという程度のきわめて渋い線でずっと上げ幅、時期等を一々検討していく、そういうことによって全体がぱっとくるようなつまりムードができることを極力押えていきたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 それじゃ具体的にお尋ねいたしますが、八日の記者会見で、関東のバス会社九社に対して近く運賃値上げをやるんだと、こういうことですね。しかし、名古屋その他の地区はこれはあと回しにするのだと、こういうことが新聞に出ておりましたけれども、こういうぐあいに格差をつける理由はどうなんだということ。それから、関東のバス会社については、昭和三十六年に運賃値上げをして、そうして今日までほうっておいたということは法律違反だと、こういう裁判が出ておるのですが、一体これは今日になってこの九バス会社を上げる理由はどういう理由なのか。それからさらに、ほかの地域と区別するのはどういう理由なのか、これをひとつ聞かせてもらいたいと思う。
  28. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 八日の新聞に、そういうふうな印象を受けるような記事になっておることは、私も見ました。しかしながら、ケース・バイ・ケースと言っておりますことはそういう意味なんであって、どこもかも一たんはずし出したら全部一斉に上げるという、そういう考え方はとらない、審査の済んだものからそれを順次解決していく、こういう考え方でございます。したがって、上げるとも上げぬとも言っておりません。それは新聞には上げないかのように載っておることは、私も承知いたしておりますけれども、私の言っておることは、上げるとも上げないとも言っていないということでございます。しかしながら、地域としては、たとえば関東九社と申しますのは、これは相互に競争関係にある、ことに都営バスと競争関係にある問題でございますから、一方だけ認めて一方は認めないということになると、これは区域の営業者としてはもうこれはたいへんな問題、どうしても相互にバランスをとりながら決定しなければならぬ問題だと、こういうことに相なるので、これはどうしても同一時にやろう。しかし、その他の問題については、これはケース・バイ・ケースということはそういうことでございます。一々審査の済んだものから次々と適当な時期にこれを解決していくと、こういう考え方でございまして、上げるとも上げないとも私は言っておらないのでございます。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 そういうところがあいまいじゃないですか。上げるなら上げるでいいじゃないですか、上げないなら上げないでいいじゃないですか。ですから、いまみんなが知りたがっておることは、一体公共料金をどうするのかと、こういうことなんですよ。ケース・バイ・ケースということばは便利なことばで、一体どうするかわからないということばなんです、ケース・バイ・ケースというのは。それで、原則的に抑制する、これもまた便利なことばなんです。あくまでも原則。これは前の決定は一年間ストップときめた、全部ストップ。今度は原則として押えるのだ。がしかし、ケース・バイ・ケースだ。たとえば、じゃバス会社は、この前の申請が、三十六年に全国で三百十二業者の申請があって、それで八八%、二百七十七が三十八年までに認可がおりて、あとの三十五業者というものは同じ要件でずっと、審議をしておる中でストップにひっかかっちゃった。これが政府の一方的権力でもってひっかかっちゃって、ばく大な損害をこうむっておる、こういう面が出てくるのですが、いま関東バス会社九社を認可するということはどういう理由だと開いておるのですが、せぬともするとも言っておらぬとそう言えばそれまでですが、しかし、新聞で拝見すると、佐藤総理大臣は、運輸大臣がいろいろ公共料金について進言をしたときに、バス会社は特に早く審査してやれと、こういうようなことも新聞に出ておりました。これは裁判で負けたからじゃないですか、どうなんですかこの点は、一体。そういうぐあいに、強いものは上げてもらえるが、弱いものは上げてもらえないというかっこうになるのか、どうもそういう印象を国民としては受けるわけですね。
  30. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 強いものを上げるというような趣旨じゃなしに、全然逆でございまして、中小のものについては、いままでに相当ストップ期間中において相当部分のものを解決してまいっておるのでございます。それで一番大手のものだけを大体残してきておるという気持ちでございます。しこうして、大手のものにつきましても、昭和三十七年度の実績昭和三十八年度の実績、それからバス事業だけの採算、全事業についての採算、またはその中におけるところのいろんな損益に及ぼすところの各要素の検討、そういうことをずっとしさいに検討いたしまして態度をきめたい、こう考えておりますので、これはまだ審査が十分に済んでないものがございますので、審査のでき次第ケース・バイ・ケース——それがケース・バイ・ケースということに相なる次第でございます。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 これもまあ新聞だから信用できぬかもしれませんが、東京都内の民営九社の赤字運賃をいままでのままにしておくと、本年度で合計四十八億円に赤字が出るわけだそうですね。それから東京都営のバスの場合にも、本年度で約十二億円の赤字、合計累積で八十四億円の赤字が出る、こうあるわけですね。ここまでほうっておいて何にも対策を講じなかったのは、一体どういうわけなんです。これは法律によると能率的な運営によって原価を償い、適正な利潤を含むものでなければならぬと書いてある。それをこのままでほうっておいて、これだけ膨大な赤字というものを出さしておいて、これは私は大きな政治問題だと思う。こういうふうになっているにもかかわらず、ケース・バイ・ケースなんてのんきなことを言っていたら、一体これは公益事業はどうなる。これは政府が、公益事業というのは、公益上必要であると、こういうぐあいに認めて免許をしているのですよ。その免許をしている公益事業というものが、こういうぐあいになってしまって、公益上の活動も十分できない、車両も老朽化してしまう、ひいては交通の安全にも支障を来たす、こうなってきているのですけれども、これに対する一体政府の責任ということはどうなる、そういうことをお考えになりませんか。
  32. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 関東の九社につきましては、昭和三十七年度の事業の成績の内容を私どものほうで調べました結果は、全事業で赤字になっているのはそのうち二社でございます。三十八年度においては、ある程度悪化してまいっておりますが、まあ私どもの見るところでは、バス事業だけを切り離して考えれば、そういうふうな計算も出てまいります。また、三十七年度におけるところの全事業の赤字になっているものにつきましても、これはむしろ関連した事業において相当な赤字が出ておったというふうな原因もあったことを、私ども調査をいたしている次第でございます。内容について個々に申し上げることは、これはその会社のいろいろな問題に関することになるわけでございますので、こういうところで申し上げることははばかりたいと存じますが、調査した結果ではそういうふうになっているということを申し上げておきます。  なお、都営の場合におきましては、都営のキロ当たりの収入というものは民営よりもはるかに多いにもかかわらず、ここに占めるところ——特に人件費でございますが、人件費が民営の倍近くもかかっているというような状況もございますので、都営においては、民営の成り立ち得る範囲の程度料金を決定いたしまして、これと同じ待遇にするというふうな態度をとっていきたい、かように考えている次第でございます。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 まあ、関東の九バス会社は、やるともやらぬともきまっていないということですから、これはもうやめますけれども、ここで長官一つ私非常に大きな疑問を持っていることがあるのですよ、公共料金取り扱いについてですね。
  34. 野上進

    委員長野上進君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  35. 野上進

    委員長野上進君) 速記を起こして。
  36. 高橋衛

    国務大臣高橋衞君) 大倉さんの御質問まだ多数おありだと存じますが、ずっと前々から約束している先がございまして、まことに恐縮でございますが、これでもって次の機会にいたしたい、かように考えます。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 それじゃ長官、やむを得ぬ事情ということでありますので、いたし方ありませんが、残余は閣僚として運輸大臣に若干お尋ねしたいと思うのです。  大臣には、この前の委員会で公共料金の中身についてはいろいろお伺いいたしましたが、きょうはそういう問題じゃなくて、私が非常にふしぎに思い、不可解に思っておることは、運賃料金の認可責任あるいは権限というのは運輸大臣におありになると思うんですが、運輸省におありになると思うが、この点をまず第一番に念のために聞いておきたい。運賃料金の認可案件というものは運輸大臣が責任を持っておいでになると思うが、これをひとつお伺いしたいと思います。
  38. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) まさにそのとおりでありますが、先ほど高橋大臣が答弁しましたように、今年の一月から向こう一カ年間公共料金ストップするという政府の公約がありますので、それに対する総合調整は企画庁でやることになっておりますから、企画庁の了解を得なければ私ども考えだけでやることのできない不自由さを感じておる次第であります。
  39. 大倉精一

    大倉精一君 その辺が私はどうも不可解千万だと言うんですけれども、どういうわけで企画庁に相談せんならぬかということですね。ということは、運輸大臣のほうでは、法律に基づいて能率的な経営をやっておる、そして原価を償い、さらに適正なる利潤を含むものとして大体決定をされる。そういう決定ができない、経企庁に相談しなければできないということは、経済企画庁というのはどういうふうな観点から判断をするんですか。つまり、運輸省の原案を、運輸省の考えについて、経済企画庁としてはそれがいいとか悪いとかいう判断の基礎は何にあるんですか。
  40. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) それより前に、経済企画庁は日本の経済全体に対する総合的な計画を立てまして、その総合的な計画の中における運輸行政、あるいは農林行政、あるいは中小企業関係、その他金融関係というようなものがそれから割り出されていくのでありますから、したがって、細部に検討していけば、その中における運賃の問題も、あるいは賃金の問題も、あるいは金利の問題も、自然にその総合の中の細部分の中に含まれてくることは、私は当然だと思うのです。しかし、いまわれわれのほうでは、われわれのほうから、さっき御指摘になりましたような各社の経営状態並びに社会情勢その他こまかしく報告いたしまして、こういう情勢であるからぜひ上げてもらいたいということを、経済企画庁の調整局と、われわれのほうの自動車ならば、ここに自動車局長が来ておりますが、行って話し合いまして、それで、それが二週間に一回ずつ開かれます経済閣僚懇談会の儀を経て認可されることになっております。
  41. 大倉精一

    大倉精一君 私はどうも法律的に疑義があるんですね。たとえば、経済企画庁が全体の経済とにらみ合わして判断をするということは、道路運送法においても、通運事業法においても、どこにも書いてないんですよ。しかも、運輸省においていわゆる申請をしてきたものが法に適正なものであるかどうかということを審査をして、適正なものである、こうすれば、運輸審議会なり何なりにはからなければならないわけですわ。そう判断せずに、これは適正じゃないというならば、却下すればいい。運輸大臣、運輸省が、これは適正なものであると、これは法律に照らしてそう思っておりながら、経済企画庁に相談しなければならないということは、一体そうなると、通運事業法なり道路運送法というものは、認可料金に関する限りこれは法律はないにひとしいんじゃないですか、何も効用がないじゃないですか、どうですか。
  42. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 道路運送法その他法律に対する問題と企画庁に対する法律的根拠については、自動車局長から答弁させます。
  43. 坪井為次

    説明員(坪井為次君) 法律上、行政上、運賃の認可につきましては、運輸大臣が責任者である。ただし、政府物価抑制という基本方針が閣議了解されまして、具体的な公共料金の認可にあたっては、その内容についてそういった見地から運輸大臣としては審査しなければならない。その場合に、運輸大臣は企画庁長官と協議をするという閣議了解のかっこうで運営されているのであります。
  44. 大倉精一

    大倉精一君 まあその問題についてはこの前やったのだが、きょうは長官とあなたに聞きたいと思っていたのだ。一体閣議というものはどんな効果があるのですか、閣議というものは。法律がある場合には、法律以前のものとして閣議があるのかどうか。これはまあこの前あなたとやりましたから、きょうはやりません。あなたは閣議のほうできまっていると言いましたから、長官とやりたいと思っておりましたけれども、その答弁いかんによっては総理大臣に一ぺん出てもらいたいと思っておったのですよ。私が何べん繰り返しても、閣議の決定であるから、だから経済企画庁長官と相談しなければならぬとか、あるいは物価の問題も考えていくといったようなことは、これはあなた、通運事業法なり道路運送法には関係ないことでしょう。局長、どうでしょうかね、これは。事務当局としてあなたが、これは適法である、認可するのが適当である、こうお考えになっても、今度経済企画庁のほうでだめだと言った場合に、一体運輸省としては何の仕事をするのですか、仕事は。ただそういうことを事務的に決定して、事務的に上のほうに上申して、上のほうであかんと言ったら、そうですかと、こうなるのですか。そうしますと、通運事業法や道路運送法というのは何のためにあるのですか。
  45. 坪井為次

    説明員(坪井為次君) 運輸大臣が認可をするわけでございますけれども、その場合に、そういった政府の方針に運輸大臣としては事実上拘束されておりますので、その認可にあたって十分そういった手続を経てやる、そういうかっこうになります。
  46. 大倉精一

    大倉精一君 これはまあ何べん尋ねても同じですが、ロジックが間尺に合わぬのですよ。ほかのことなら別ですよ。ほかのことなら別なんですけれども、ちゃんと法律に書いてある。適法であれば、運輸大臣は認可をしなければならぬ義務があるのですよ。しかも、その認可をしなければならぬ内容は、能率的な経営によって、原価を償い、適正な利潤を含むものでなければならない、こうなっておるでしょう。ですから、この前の裁判の問題もずっと私読んでみましたけれども、あのときもあなたのほうでこれは認可しなければならぬというふうに考えたから受理したのでしょう。それができないというのだったら、運輸省の権限はどこにあるか、機能はどこにある、こう言いたいのです。ですから、私は何のために経済企画庁と相談せんならぬかということがふしぎで、そいつを経済企画庁長官に聞きたかったのです。それをあなたは何の根拠でどういう判断をするかということを聞きたかったのです。おそらく、経済上や、物価上や、何だかんだ言うと思う。そうなってくると、通運事業法や道路運送法がありますので、政府の経済政策が失敗して、物価の問題がどうにもこうにもならぬようになって、苦しまぎれに公共料金一年間ストップ、そういう横暴なことができるのかどうか。そういう国家の権力を大幅に使えないようにするためにこういう法律がちゃんとあるわけですよ。こういうぐあいに使えと、法律でちゃんときまっておる。それを破って、閣議の決定だと言ってやっていることは、閣議でもって法律違反をする、そう思いませんかね。
  47. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 閣議法律に優先するものでないことは、これは当然でありますけれども、日本の物価があまり異常な高騰をするということはぐあいが悪い、何とかして安定さして国民負担を軽くするためには、農林省にも同様な問題があり、通産省にも、われわれのほうにも、おのおのあるわけです。おのおの法律を持っておるわけです。しかしまた、経済企画庁の中に調整局というものがありまして、その調整局というものは、そういう経済諸般に関するものを調整する法律を持っておるわけなんです。でありますから、どっちも法律を持っておるわけなんです。そこで、われわれのほうならば、トラックなりあるいはバスなりあるいはタクシーなりの運賃はこういうふうにしたいということを相談してやれということが閣議の事項になっておる。どっちも法律を持っておるわけです。だから、決して違反をしているわけでもなければ、閣議が皆さんの国会でおきめになったりっぱな法律閣議の事項によって優先しているわけでもないわけです。そこはひとつ御了承願いたいと思います。それは経済企画庁の組織法なりあるいは運営なりに対する法律をもって、経済企画庁は各経済省の上に計画を立てる法律を持っているわけですから、その点は御了承願いたいと思います。
  48. 大倉精一

    大倉精一君 どうも残念ながら了承できないのです。それで、公共料金の中で特に運輸交通関係の問題については、先ほど申しているように、法律にちゃんときまっておるのです。それで、私は観点を変えて、物価の問題がこういうぐあいに異常な状態になっておるので、公共料金を上げちゃいけない、運賃、料金を上げちゃいけない、こうなれば、そんならそのように手当てをしなければいけない。そこで、この際、運賃、料金の問題ですでに申請のあったものについて、政府法律違反をやらなくても済むには、二つの方法よりないじゃないかと思う。というのは、経済企画庁長官に聞きたかったのだけれども、いまの運賃、料金は適正であるかどうか聞きたかったが、運輸大臣は適正でないとおっしゃった。適正でなければ適正に改定すること、これがまず法律違反にならずに済むことです。その次は、申請をしている業者がみずから申請を取り下げる、これなら法律違反になりません。取り下げるには、これはただでは取り下げはいたしますまいから、政府のほうでこれこれの補償をする、救済策を講ずる、だから、運賃、料金値上げは申請しないでやってもらいたい、業者が納得して、そうでございますかと言って取り下げる、こうであれば法律違反にはなりません。しかし、申請されっぱなしにしておけば、法律違反になります。いたずらにほうっておいても法律違反になりますし、それから適正でないということを言っておきながら却下することも、これまた法律違反になります。どっちにしますか。業者のほうから取り下げるようにしますか、適正に運賃を改定するか、二つよりないかと思いますが、大臣、どっちにしますか。
  49. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 大体、今度の訴訟の問題ばかりでなくて、さっきから御指摘になっておりますような点にいたしましても、高橋長官その他調整局長とも互いに協力しまして、一ぺんに運賃の改定をしたいと私は思っているのです。そうでないと、もう破産寸前にきているのが、いまの数字は三十九年度、片一方のお答えになったのは、三十七年度を答えているのです。それは非常に悪化しております。だから、この点はほんとうによく考えなければならないと思っております。私はいつでも申し上げることですが、前に私は一年生のときに、米内内閣の秘書官をやったそのときに、藤原さんが商工大臣で、戦力増強のために国民経済を極端に引き締めていかなければならぬという場合に、藤原さんの言うことは、自由経済というものはぬれタオルのようなものだ、しぼればしぼるほど水は出るのだ、まだまだ弾力性があるから、しぼって——しぼるというのは税を取って、戦力のほうに向けるべきだという話をされたのですが、私は、しぼるだけしぼって、その次に水が出なくなったらタオルは破れますよということを進言したことがあります。  もう非常に先ほどから論争されておられましたが、物価安定についても、それはただ公共料金と金融だけで消費者物価を下げようとする。自分は政府の中にありながらそういうことを言うのはおかしいのですが、総合性を欠いているのですよ。物価をほんとうに下げようとするなら、それは皆さんの耳ざわりになるかもしれませんけれども、ほんとうは賃金ストップところまでいかなければならない。賃金ストップすることができないということであるならば、上がっただけの賃金のうち何割かを貯蓄するだけのひとつ国家観念を持ってもらう。また自分の備荒貯蓄にもなる。そうすれば、自然に消費規制にもなる。そうすると、需要供給の上に立っているこの物価というものは、デパートにあれほど押すな押すなと人が行かなくなれば、物は下がるのです。ところが、賃金は上げっぱなしだ、上がったものはみな持っていってしまうということでございますから、それはとっても下げるわけにはいかぬと思うのです。だから、そういう点で、公共料金もやり、金融もやり、あらゆる総合施策を講ずるのでなければ、いま農村の問題について計画生産の話もあった。計画生産の話はみんなしますけれども、全然計画生産はしていないのです。いまやっているのは、金融政策公共料金ストップだけしかやってないです。それだけで下げよう下げようと思っても、私は下がらぬと思う。他のほうの上がる因子のほうが多いのですもの。下げる率が弱まることはあるであろう。この点は今後においても考えなければならぬ面であると思っています。特にイギリス及びアメリカ等においてあれだけの高率の金利を上げて金融引き締めをやる以上、いままでみたいに貿易は安易に伸びていかないと思うのです。いやがおうでも日本は引き締めをやっていかなければならぬということになってくると思いますから、この点は、好むと好まざるとにかかわらず、来年度というものは相当な経済に対する干渉をしていかなければならぬというふうに私は思っています。
  50. 大倉精一

    大倉精一君 だいぶ質問からはずれておるようですけれども、まあ賃金も上がりっぱなしというお話があったけれども、これも考えようによって、現在のような不景気のときには、ほんとうなら物価は下がるものです。しかし、どんどん不景気でもって倒産をする。物価だけ上がっていく。さっきお話ししたように、米の値段が上がっただけで、七百五円というものは黙って上がっていく。賃金を上げなければ食っていけない。しかも、今日までに至って、今度は何とか節約せい、消費を何とかせいというお話なんですけれども、かつては同じ池田内閣のときに、消費は美徳なり、こういうぐあいにあおっておいて、そうして経済成長だ、所得倍増だ、民間ではバスにおくれないようにということでどんどんやりましたね。そうして、今度あまりそれが行き過ぎますと、金融引き締めだということでばたばた倒れる。池田さんはこう言いました——馬が走り過ぎれば手綱を引き締めるのが政治だと。これは反対であって、馬が走れないようにするのが政治だと思う。その路線を継承したというのですから、なかなか容易でないと思うのですけれども、いま焦点をしぼっているのは公共料金の問題でありますけれども、そういうような経済政策の失敗なりひずみなりというものが権力でもって一方的に犠牲にされるということは、これは私は国民にとってきわめて不穏当な状態ではなかろうかと思うのですよ。ですから、認可料金公共料金にしても、本来なら経済の原則に従って動くと思うのですよ。それを公共なるがゆえにブレーキをかけるというだけであって、もう無原則に、物価対策であるから権力でストップすれば、これは政策運賃であり、政策料金ですよ、経済性は何もないのですよ。いま申し上げましたように、政府はそれに見合うところの救済策を当然講じなければならぬ。しかも、今日においてはもうほとんど精神訓話だけでしょう。そうして今度だけ、赤字になったから上げてやろうか、上げてやろうというとでは、もうおそいのですよ。企業は生きものですから、そういう点が非常に私はふに落ちないが、大臣のことばを聞いておりますと、大臣はよくわかっておられると思うのですが、経済企画庁に相当わからず屋がそろっているから長官に聞きたかったのですが、百尺竿頭一歩を進めて、公共料金を上げる、上げるということだけが政治ではありませんから、現在の物価状態は現実の問題であるから、公共料金は少なくとも私は上げるべきではないと思うのですよ。そのかわりにこれに対する救済策のほうに努力をすべきではないかということをこの前も委員会で申し上げたのですがね。たとえばガソリン税の問題、軽油引取税の問題、融資等々、どういう方法があるか知りませんけれども、権力を持っている政府がなし得る策を講じて、そうしてこの際公共料金というものは据え置きなら据え置きにして、そうして、一般物価の安定を期する、これなら話はわかります、実際に。  さらにもう一つ話がわからぬのは、公共料金ストップして値上げムードを押えるというのに、米価をぽんと値上げしてしまう、また鉄道運賃を値上げしてくる、今度はバス会社も値上げしてくる、何のために押えているのかちょっと見当がつかない、一貫性がない、こういうかっこうになると思うのですね。ですから、どうでしょう、この際そういう救済策を講ずるということは考えられませんか。
  51. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お説のように、まさにそのとおりだと思うのですが、私いま公共料金の問題のことについて申し上げたのですが、このバスの問題についても、政府がガソリン税を二千五百円上げたのです。それでもってベースアップのあるたびに、やはり十分には上げられぬにしても、よその七割くらい上がるまではがまんせいということで、やっぱり上げているのです。それで、十三年間も東京のバスは値を上げていないのです。その間にベースアップは五回も六回も行なわれているのです。だから、さっきいろいろ長官言われるけれども、何か観光地でも持って、その先に大きな地所でも持って、地所の値上がりでもしたバス会社は、それはやっていけるのです。しかし、それは正当なものじゃないと私は思うのですよ。ほんとうにバスの事業としては、ガソリン税は上がるし、ベースアップはどんどん行なわれるということになって、蓄積はない、十三年間も上げてはいないということになると、もう資材を買う力がない、そうすればタイヤのスペアがなくてパンクばかりしているというのです。ということで、しまいにどういうことになってくるかというと、事故を起こすのです。その事故は、はね返って国民に今度は来るわけです。行政官は理屈っぽいことばかり言っておって私はいいのかと思うわけです。そこは、それなら公共料金を上げないで他の金融を講じてやるかということになると、こうなんです。御存じのように、もう国鉄は向こう一年間上げぬということになった。それならば、それじゃ過密ダイヤをどうするということで、過密ダイヤを解消するということになっておりますから、そうすれば、財政投融資をよけい出せ、あるいは鉄道に対する縁故債、利用債というものを発行させるというようなことで、とにかく三千億以上の金を本年はまかなってもらわなければやれないわけです。そうすれば、今度は私鉄十四社というものが待っているのです。これにも、それじゃ、運賃は上げられませんから、金を貸してあげなければならぬ。そうすれば、バスのほうも上げてやらぬということになれば、これにも貸してやらなければならぬ。とっても財源がないんですよ。とても財政投融資なんかでは問題になりゃしない。財政投融資は、われわれのやっているこの行政十六省の要求に、今年は原資が一兆六千億ぐらいあるというんですが、いろいろな新規事業をみな考えておるものですから、むしり取りですよ。とてもバスの会社へ金を貸してやるということはできるもんじゃないですよ。ですから、結局これは利用者に負担してもらうよりほかに道はないんじゃないかというのが私の結論なんです、この問題については。とても、金を貸してやるから、それでひとつ車体も買いかえれ、経営の内容も改善せいと言うだけの金をあっせんすることができない。一つの問題はこういうことがあるんです。もう名前は全然言われませんけれども、来年度ほんとうに上げてくれるかどうか、上げてくれるならば手形を落とせるが、上げてくれなければ不渡りが出るかもしれませんよという一流銀行から私のところへ問い合わせがあるんです。それは企画庁の長官にも話してあります。というところまでこれはがんばるべきものであるかどうかということは、私は非常な考えものだと思っております。
  52. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、たいへんな問題と思うんですね。そんなことは、政治をやる者であれば、あるいは担当しておる者であれば、見通さなければならぬと思うんですね。先ほども言ったように、公共料金一年ストップは一年以上やるべきではないということをむぞうさに経企長官は言っておりますけれども、一年以上やるべきものではない、そんなことはむぞうさに言うべきじゃない。ですから、いまおっしゃったように、結論から言うならば、私鉄のほうへ回す金がない。金がなければ、じゃ運賃を上げるよりしかたがないじゃないか。運賃を上げれば、せっかく安定ムードになった物価問題も逆戻りするじゃないか、こういう悪循環がくる。でありますから、私は、この一年間ストップという閣議決定、こういうことをやった政府が非常に大きな政治責任を持たなければならないと思うんですね。特に、いまおっしゃったように、たとえばこの前の裁判でもって、不作為ということが違法である、こういう裁定が出たんですけれども、これによって今日まで政府がほうっておいたことによって——ということは、むしろ法律できまった義務を果たさないことによって、自分で免許をした公益事業に重大なる損害を与え、しかも公益事業活動に大きな支障を来たしておるということは、これは私は政府のきわめて重大なる政治責任だと思うんです。しかも、これは運輸大臣だけの責任ではなくて、公共料金一年ストップということは、内閣総理大臣が主宰する閣議で決定したんでありますから、内閣全体の大きな政治責任ではないかと思うんです。そういう点についても私はきょうは長官に問いただしてみたいと思っておりましたが、これは総理大臣にもただしたいと思っております。ただ安易に公共料金ストップ——特に前に、池田さんは、物価に対して、高度経済成長、所得倍増政策そのものが物価を消化しているんであるから、あえて特別の措置はしない、こういうことを、去年でしたかね、言明しておられました。ところが、それを急遽、突如として公共料金ストップという非常手段をとられた。事ほどさように経済政策というものが行き詰まっておるところにきておる。その犠牲は、公共料金でまかなっておる業者負担し、業界で働いておる者が全部負担する、こうなるんですね。そこで私はきょう長官にお聞きしたかったのは、一体時間切れになった公共料金あるいは運賃というものをどうするのかということを聞きたかった。結論としてはどうするか。しかも、現在の制度では、私は違法であると言っていますけれども、現実に企画庁と相談しなければやっていけない、経済企画庁がオーケーと言わなければ実現できないのです。長官として一体どうするのかということを聞きたかったんですけれども長官がいないから残念ですけれども、非常にこの辺が一貫性がないところがある。特にバス料金につきましても、長官は上げるとも上げぬとも言ってないと言っていましたけれども、これははっきり九社上げるんでしょう。上げなきゃもう、裁判の判決がありますから、いかぬと思うんですよ。で、あと上げないのは、一体どういうわけで地域別にそういう区別をするのかということを長官に聞いたんですが、これは大臣から答弁していただいてもけっこうですが、こういうところがどうも一貫性がない。ですから、結論的には、いま大臣は、救済手段はないんだと、こういう結論なんですが、なけりゃ料金を上げなきゃいかぬが、そういう関連性は一体どうなるか。これは長官に聞きたかったんですけれども、いませんが、どうしますか。ねっちもこっちもならぬという状態ですか。
  53. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 私は、まあ長官ケース・バイ・ケースと言っているけれども、結局は上げなきゃいかぬと思っています。
  54. 大倉精一

    大倉精一君 それじゃ、バス会社を、関東とそれから名古屋、九州を別々にというのは、どういう意味なんですか。
  55. 坪井為次

    説明員(坪井為次君) 別々にという話は、別に聞いておりません。
  56. 大倉精一

    大倉精一君 行政担当官が知らないんだな。国民のほうがよく知っていますよ。新聞に書いてあったんですから、ちゃんと。私はたびたび言っているんですが、そういう問題もどうもふに落ちないんです。あるいは、この前通運料金の改定をしましたね。これも無原則ですよね。一体、通運基本収入を一割上げたら適正料金になるかどうか、自信がありますか。ないと思うんだ、私は。しかも、わずか百三十業者でしょう。これだけ差別的に料金を上げて、そしてその後弊害のたくさん起こっておるのがありますね、矛盾が。それは無原則だからですよ。あの当時私も言ったんですが、地域的に調査をしておりますと言うものですから、一体通運料金というものは全国一本できめるべきものか、地域地域によってきめるべきか、その原則について質問したんですが、答弁はなかった。そういうぐあいに苦しまぎれにやっているものだから、運賃料金なんというものはさっぱり一貫性がないんです。だから、名古屋、九州をどうするのか、これはほんとうに知りませんか。
  57. 坪井為次

    説明員(坪井為次君) 名古屋、九州といいますのは、公営、民営……。
  58. 大倉精一

    大倉精一君 民営——民営も公営も両方だな。両方でしょう。
  59. 坪井為次

    説明員(坪井為次君) 別に、別々という——新聞では拝見したように思いますが、事務当局としては、そういったような話し合いはいたしておりません。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると、新聞で見たんだが、そういうときには経済企画庁のほうに問い合わせはしないんですか。こういうふうに新聞に出ておるがどうだということ。逆に、担当省の運輸省に相談もしないでこんなことを言うのはけしからぬじゃないかというふうに話をしないんですか。どうなんですか。新聞で見て、ああそうかと思っているんですか。やっぱり新聞で見たら、向こうへ聞かにゃいかぬですよ。まあとにかく、ずっと地方を回ってみますと、ほんとうにみんなもう破産寸前ですよ。それでもう小さな業者あたりは、ほんとうにどうにもならぬ。そうなると、運輸省は、これは公益上必要として免許したものですね。それをつぶしてしまったら、公益事業あるいは公益という問題がどうなるかということになるんだが、これは大臣、まあ大臣としては上げにゃいかぬとお考えになっておるんだが、そうお考えになっておれば、通運事業法、道路運送事業法というれっきとしたものがあるんだから、さっさと閣議了解でもってやればいい。それができないところに、いまの行政機構の矛盾があるんじゃないですか。ですから、その点をどうするか。
  61. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) さっきも局長が答えたのですが、四、五日前にも、大阪、名古屋、神戸、東京、横浜等の六大都市の市長及び市長代理がやってまいりまして、電車、バス料金をどうしても上げてくれなければ、三百八十億ぐらい何か全体で——これはどういうところの資料か、公共企業何とかいうところから借りておると言っておりましたが、ということで、これ以上どうにもならぬということを言っていましたですが、まあとりあえず原価計算をよく見て、私企業を中心に上げて、それと同等の料金にしよう。そうでないと、料金を変えるということはできないと思うのです。それで、その料金経営の立つように、先ほど企画庁長官も言っておりましたが、公営の分はずいぶん経営の内容はルーズだと言っておりましたが、私は内容をまだ調べておりませんけれども、もしルーズであれば、やはり私企業と同じように、私企業料金で公企業もやっていけるように指導したいと、こういうふうに思っております。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 これは、時間がたちましたから、まあ結論的に。現在運輸省で考えておる運賃、料金値上げをしなきゃならぬのは、たとえば通運はどうだ、バスはどうだ、港湾はどうだ、トラックはどうだ、倉庫はどうだ、運輸省が所管をしている業種についてひとつ具体的にお考えを聞かしてもらいたい。通運はこの前一部上がりましたね、残りはどうするか。あるいはトラックはどうするか。それから港湾、倉庫ですね。それからもう一つは、新潟あたりが災害でもって非常に輸送に困っておるのですね。これも災害特別運賃をくれとこう言っているらしいのですが、これをどうするか。こういうものを一ぺんずっと洗いざらい考えておることをここで聞かしてもらえませんか。考えていないということはないと思うのですよ、これは仕事なんだから。考えておることを一ペん言ってもらいたい。
  63. 坪井為次

    説明員(坪井為次君) 自動車関係について申しますと、バス関係につきましては、この前も申し上げましたように、現在未認可で残っておりますのが三十五社、それに最近において、すでに前に認可されたものがまた経営が苦しくなったということで、さらに改定の申請がぼつぼつ出ております。それから貸し切り関係につきましては、まだ百四十九業者ばかり残っておりますが、それらにつきましては、もうほとんどが大体上がっておりますので、そういった振り合いからいきましても、早急に解決したいと思っています。それから、ハイヤー、タクシーにつきましても、同じように一部地区においてまだ未改定の分がありますが、これらにつきましても、やはり早急に解決していきたいと考えております。貨物関係では、路線事業は昨年すでにもう認可になりまして、区域事業につきましては、ことしになりまして一部認可いたしまして、これにつきましてはまだ八〇%ぐらい残っておりますが、やはり苦しいところから逐次改定していく必要があると、そう思っております。通運関係につきましても本年度百三十業者ばかり認可いたしましたけれども、さらにその後経営事情が悪くなっておりますので、これらにつきましては、なお今後詳細にさらに最近の数字を検討して、改定について早急にきめていきたいと思います。
  64. 大倉精一

    大倉精一君 どうも方針がわからぬですね。どういうことを考えておいでになるやらね。さらに数字を検討してと言っているようですが、数字はそうちょこちょこ検討せにゃわからぬものか疑問だが、この際やはりはっきりした、業者がああそうかと、そういうぐあいにはっきりわかるような態度を示してやってもらいたいと思う。上がるなら上がる、上がらぬなら上がらぬ、いつごろ上がる、これを言わぬとやっていけぬでしょう、おそらく。ですから、そういうどうかわからぬようなあいまいもこたる態度というものは、この段階じゃ許されぬと思うのですよ。ですから、そういう問題について、もっと明快にわかるようにやってもらいたいと思う。たとえば通運関係にいたしましても、一たん一割上げてもらって、あとは上がらぬのかどうかと、こういう懸念もありますよね。全般に上げるなら、どうしてどういうふうに上げるだろう——ハイヤー、タクシー、バス、トラック、全部そうです。そういうものについて、やはり明快な一つの指針というものを与える、そういう義務があると思うのですね、運輸省には。この点について大臣、ひとつ所信を明確に表明してもらいたいと思うのですね。
  65. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) 大体一月——向こう  一カ年ということでありますから、特殊な安定している経営以外は、全部上げるべきであると私は思っております。
  66. 大倉精一

    大倉精一君 そうですか。特殊な安定したもの以外はね。またややこしい表現ですけれども、まあ受け取っておきましょう。きょうはもう時間も過ぎましたから、長官に具体的にお尋ねするということが中途はんぱになって残念ですけれども、要するに、政府が権力をもって一方的にストップをするというこれに対しては、重大な責任を持ってもらわにゃならぬということ、これが当然ついて回るということですよ。しかも、この前通運料金を上げた場合においても、あるいは閣議決定の場合においても、中小企業の困ったものは救済をしてやるという、そういう趣旨があるのですけれどもね。救済じゃないよ、これは法律にきまっている政府の義務であり、公益事業者の権利であるのですよ。きちんときまっている。それを救済してやるなんという、そういう考え方をもってこの問題を取り扱うということは、きわめて不穏当だと思いますよ、何か恩恵的に。そうじゃなくて、これは通運事業法、道路運送法、港湾運送事業法によってきまっているのですね。ですから、そういう観点に立ってひとつ明快に処理をしてもらいたいと思うのですよ。特に現在の段階におきましては、もうぎりぎり一ぱい、これ以上はもっていかぬでしょう。もしこれでもって、政府が免許をし、あるいは経営の基本である認可料金について政府の怠慢なるがゆえに、ばたばたと公益事業者が倒れたといったら、これは私は政府の重大なる責任を追及します。これはたいへんですよ。ですから、いまの局長の答弁のような、あいまいもことしてどうするかわからぬというような、そういう事態は、もう即刻許されぬと思うのです。これは、きょうあえて私がこの委員会を要求したというのは、来年までおそらくこれについてはやる機会ないでしょう。しかも、来年時間切れになって、公共料金はばたばたと何かのかっこうになっていくでしょう。そういう場合は、弱い者がばかを見るということがないように、たとえばうんと圧力団体が圧力をかけてやってくるものはうるさいから上げてやる、あるいはバス料金も、関東のほうは、裁判で負けたりしたので、あれは上げてやろう、そういったぐあいにならないように、これは大臣しっかりやってもらわぬといかぬと思うのです。要は、ずっとやっておられる公益事業なり公共事業というものは、ほんとうに地方の産業経済の中心になっているのですから、これに対する行政の担当責任というものが重大であるということをつけ加えて、あえて運輸大臣としての確固たる信念のもとにやってもらいたいということをお願いしたいと思います。特に運賃、料金の問題については、早急にひとつ明快に国民にわかるようにしてもらいたいということを要望しておきます。
  67. 松浦周太郎

    国務大臣松浦周太郎君) お説のように、満一カ年ということでございますから、何か特殊なものがあれば特別ですか、全体としては満一カ年目には当然更新すべきである、かように考えております。
  68. 大倉精一

    大倉精一君 最後に、きょうは経企長官途中で退席されましたが、残念ですけれども、この次の機会には、埋め合わせと言っちゃなんですけれども、総合的にほんとうに腰を落ちつけて聞きたいと思うから、総理大臣に一ぺん運輸委員会に来てもらいたいと思う。ぜひひとつそういうぐあいに取り運んでもらいたいと思います。これはもう当面の政府の一番大きな問題ですよ。公共料金をどうさばくか、これは一番大きな問題ですから、これは次の機会には総理もともに委員会に出席をしてもらうように、特に要望したいと思います。
  69. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ただいまの件に賛成します。
  70. 野上進

    委員長野上進君) いまのは、よく理事会でまた相談しまして、善処することにいたします。     —————————————
  71. 野上進

    委員長野上進君) 次に、請願の審査に入ります。  ちょっと速記をとめて。    〔午後三時十五分速記中止〕    〔午後三時四十分速記開始〕
  72. 野上進

    委員長野上進君) 速記を起こして。   これより請願について採決をいたします。  請願第二三六号、第一六四号、第二〇号、第二五三号、第一〇四号、第二三五号、第一二二号、第二五二号、第二九〇号、第二三四号、第二一号、第一七三号、第四一一号、以上十三件の請願は、いずれも願意おおむね妥当と認め、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 野上進

    委員長野上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 野上進

    委員長野上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  75. 野上進

    委員長野上進君) 次に、継続審査要求についておはかりいたします。  都市高速鉄道建設助成特別措置法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 野上進

    委員長野上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 野上進

    委員長野上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  78. 野上進

    委員長野上進君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 野上進

    委員長野上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 野上進

    委員長野上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会