○
説明員(
磯崎叡君) お許しを得まして、私から御
報告並びにその後の
措置について申し上げます。
具体的な
事故の御
報告に入ります前に、実はちょうど昨年のいまごろ、
鶴見事故の直後でございますが、非常に
事故が頻発いたしまして、当
委員会の諸
先生方に非常に御心労をおかけいたしました。その後私
どもといたしましても非常に
ほんとうに真剣にその
対策に取り組んで今日までまいりましたが、ただその
重点を、いままでの
事故対策が非常に、何と申しますか、あれもこれもというような総花的な
事故対策であったと思うというふうに、その点を反省いたしまして、実は
重点を
三つに指向いたしまして、この一年間全力をあげてやってきたわけでございます。その内容について簡単に御
報告させていただきます。
お手元に資料がございますが、まず一番おそろしいのは、やはりいわゆる
事故の競合であるということに着目いたしまして、まず
複線区間で起こり得べき
競合事故をどうしたら防ぎ得るかということで、
重点を、まず
列車自動停止装置、それから
踏切の
対策、それから
列車の
車両脱線、この
三つに置きましてやってまいったわけでございます。
まず第一の
列車自動停止装置でございますが、これは一昨々日の十一月末現在の御
報告でございますが、完全に
工事の完了いたしました
線区は、全体で四千八百キロでございます。それから本年度内に
あと五千四百キロの
工事をやる
予定でございまして、すでに十一月末までに約三千キロの
工事を完成いたしました。年度末までに二千四百キロを
計画どおり実施いたす
予定でございますが、これができますと、本年度末、すなわち来年の三月末におきましては約一万キロが全部
列車自動停止装置がつくことになります。一万キロと申しますと私
どもの全体の
線路のちょうど半分でございますが、これは
主要幹線でございますので、
輸送量から申しますと全体の七五%を輸送している
線区でございます。したがいまして、ほとんど大多数の
線区につきましては
自動列車停止装置がつくということになるわけでございまして、この残り、すなわち
輸送力としては二五%、
線路としては約一万キロございますが、これは主として
閑散線区と申しますか、わりあいに
輸送力の少ない
線区でございます。これは四十年度内には必ず全部を完了いたします。この結果、お手元の資料の二ページの下から三ページの第一表にございますとおり、非常に如実に
列車事故、ことに
動力車乗務員の
信号確認不良という
事故が激減してまいったことは、たいへん幸せだと存じております。ごらんのとおり、毎年大体平均いたしますと十件前後の
事故がございましたが、本年度十一月末までで二件でございます。この二件の上の一件は、
自動列車停止装置がついておるのにそれを使っておらなかったという
事故でございます。下の一件は、先ほど申しました
閑散線区の
事故でございまして、まだついてなかった、実は三十九年度末までに
計画に入っていなかったものの
事故でございまして、したがって、この
自動列車停止装置の十一月末までの大部分の完了によりまして
相当程度の
動力車乗務員の
事故が防げたということが申せると思うわけでございます。
次が二ページでございますが、
踏切の問題でございます。ただいま
大臣からお話のございました
札幌管内における
事故も、実は私
どもといたしましてはできるだけの
踏切対策をいたしました上の
事故でございまして、たいへん遺憾な残念な
事故でございます。これをごらんくださいますとおり、これは昨年は非常に
複線区間で大きな
踏切事故が起こりまして、
全国の
複線区間の
踏切を全廃するということはもちろん不可能でございますし、全部を
立体交差にすることもとても現在の
国鉄の財政あるいは
国家財政上不可能であるということから、
全国約三千六百の
踏切の
複線区間の
踏切を一年以内にとにかく必ず何かの
設備をつけようということを決心したのでございます。そして、警察庁と非常によく協力を得まして、三千六百カ所のうちの約千五百ヵ所は私のほうが必ず
警報機をつける、
輸送量の多いところは
警報機のほかに
遮断機をつける、すなわち必ずここに
踏切の
防備装置をつけるということをお約束し、そのかわり残りの
交通量の少ない
区間につきましては
四つ足の車の通ることを禁止する、すなわち
車両禁止という
措置でございますが、これは相当地元の
方々にいろいろ御不便がございますが、やはり全体として
踏切事故をなくす、
人命尊重の意味から、
相当程度地元にも御協力願って、約千六、七百カ所は
車両の通行を禁止するということが第二点でございます。それからもう一つ、約五百カ所につきましては、非常に
交通量も少ないからこれは
踏切を廃止する。この
計画を立てましてちょうど一年になりますが、去る十一月末日で完全にこの
措置を完了いたしたわけでございます。さらにこのほかに、この
踏切機械化をいたしました。すなわち、一番上の
踏切個所につきましては
ボタンをつけまして、非常時にはその
ボタンを押せば
信号機が赤になるという
装置、並びに
発炎筒をつけまして、たとえば
エンスト等の
事故があった場合には
発炎筒をたいて極力
列車をとめる
設備、この二つの
設備を一種または三種化いたしましたところにもつけたわけでございます。私
どもといたしましては、現段階におきましてはこれが一応長岡の
保安装置であるというふうに考えましたし、またこれ以上のことを要求するとすればどうしても
立体化する以外にない、
踏切を全廃する以外には
踏切事故の
防止方法がないということを考えまして、これだけを実は完了いたしたわけでございます。
その結果、三ページの下の表をごらんくださいますとおわかりのように、
単線区間と
複線区間の
踏切事故の件数が載っておりますが、全体としてはこれは相当減っております。すなわち、総計から申しますと、三十八年度が千三百件、三十九年度が一千二百件、約八八%に減っております。この減った理由については、
踏切防備設備ができたことと、
自動車運転者側におきましても非常に
道路交通法を守りまして、
踏切の一
たん停止等を厳格にやるようになったというようなことで、非常に
利用者側と申しますか、
通行者側並びに
鉄道側両方の協力の結果、昨年よりも一割以上の減少でございますが、その内容をごらんくださいますと、
複線区間におきましては、二割以上、この七八%に減っている、
単線区間は、先ほど申し上げましたとおり
設備はまだそれほど進んでおりませんので、一割以内の減である、こういうことが数字にあらわれておりまして、私
どもといたしましては、一応これをもって
複線区間のこれが
踏切対策を完了した
あとは、もう何と申しますか、
立体交差以外には
方法はないというふうに考えているわけでございます。
ところが、過般起こりました
札幌付近の
事故は、御承知のとおり、十七才の
少年の無
免許運転でございまして、それがちょうど
踏切上で
エンストをいたしまして、軽二輪車なんかの
免許は持っておったのでありますが、この
特種車の
免許はもちろん持っておらない
少年でございます。
踏切上でこの
エンストがあっても処理ができないままに車を捨てて逃げてしまった、こういう
事故でございます。そこに
ディーゼルカーがぶつかりまして
脱線し転覆いたしまして、ほとんど時を同じくして、幸いに競合時間になりませんでしたけれ
ども、
反対側に
列車が参りましたが、これは
脱線だけで済んだ、こういうことでございます。私
どもといたしましては、この
種事故につきましては、もしももう少し早くこの
少年が
発炎筒をたき、あるいは、
信号機を赤にする
ボタンを押してくれれば、こういう
事故は起こらなかった。
鉄道側といたしましては、私
ども現在なし得る最高の
防止装置をしてある
踏切でございまして、
あとはこの
踏切に人を置くかどうかということだけでございまして、人を置くほどの
交通量のない
踏切でございます。したがいまして、私
どもといたしましては、最近、警察では必ずこの
免許証を与える場合には、
踏切通行の場合には、もし
エンストしたときには、その
踏切には
複線ならば必ず
発災筒がございます。必ず
信号機を赤にする
ボタンがついている。それを押せということを警察は必ず申しております。私
自身免許証をもらいましたときにそういう講義を受けた覚えがございますが、それほど厳格にやっております。無
免許運転になると、そういうチャンスがない。これは車に乗っておった人の証言からいいますと、
ボタンを押しておらず、
発災筒をたいていなかったということがどうもはっきりしているようでございます。押したにいたしましても、相当
あとになって押したというおそれがあるというふうになっております。私
どもとしてはたいへん遺憾きわまりない
事故で、今後これ以上防止しようといたしますと、
都市付近の
踏切の
立体交差以外には考えられないというふうに思う次第でございます。
しかし、いずれにいたしましても、
事故にあわれた方につきましてみれば、非常にお気の毒なことで、どんな
原因であろうと、やはり
鉄道に乗っていて
事故にあったということに変わりはないのでありますから、先ほど
大臣からも申されましたとおり、
被害者につきましてはできるだけのことをしていきたいと思っておりますが、また一方厳格に、その
少年に
運転などさせた会社その他につきましては、私
どもといたしましては民事上の責任は追及いたしたいというふうに考えております。今後ここまでやりまして、
あとは、
複線区間の
踏切につきましては、
無人踏切とよく書いてございますが、これは
警報機がある
踏切でございまして、人はもちろんおりませんが、
警報機がある。しかも、場所によっては
遮断機もつけてある。
自動遮断機もついている。この場所はついておりませんが、今後
輸送量の多いところは
自動遮断機をつけますけれ
ども、
自動遮断機は非常にこわされる回数が多いわけであります。無理に
自動車が入りまして非常に
自動遮断機がこわれるために、かえって
警報機がこわれるということがございまして、やはり
自動遮断機をつける場合はある程度それを監視する人間をつけなければならぬという問題もありまして、今後の
踏切問題、特に
自動車運転者の無
免許、あるいは泥酔、
酔っぱらい運転等に対して、
一体国鉄あるいは
鉄道側としてどう対処するかということは、非常に大きな問題であるというふうに考えております。いずれにいたしましても、この
事故は、私
どもがほんとに一年間各方面の協力を得てやってまいりました
複線区間の
踏切対策が完了したその前後に、非常にこういう残念な無
免許運転の大きな
事故が起きたことは、私
どもも返す返す遺憾しごくでございまして、今後
警察方面とも十分連絡いたしますが、やはり根本的には、少なくとも
複線区間の
交通量の多いところは結局
踏切をやめる、
立体交差するという問題以外には根本的な
解決方法はないということをしみじみ痛感したわけでございます。一方、
立体化につきましても、当
委員会の非常な御支援によりまして、昨年から
計画どおりの
工事を進捗いたしておりますが、なかなかこの
事故を起こしましたこの程度の
踏切まで
立体化するというのは数量的にはまだなっておりません。現在進行中の
踏切の
立体個所は
全国で約百数十カ所ございますが、何と申しましても、
全国約四万の
踏切がございますので、これを全部
立体化することはなかなか時期的にむずかしいし、今後できるだけ予算もとるし、また
建設省当局とも連絡いたしまして、結局は
踏切の
立体化以外には
根本的解決方法はないということを考えておるわけでございます。
それから、第三番目の問題は、本日の問題でございませんから、簡単に申し上げますが、いわゆる
貨物列車の途中
脱線の問題でございます。これは、
鶴見事故の場合には新しい車でございましたので一応別問題でございますが、ときどき、一年にやはり十件ほど
貨物列車の
タイヤと申しますか、一
番外側にある鉄の輪でございますが、
タイヤが割れまして、それが
事故の
原因になる。もし
複線区間でそういう
事故が起こりますと、
向こう側から来る
列車とぶつかって非常に大きな問題になるということで、この
タイヤ脱線につきまして徹底的にこれをやろうじゃないかということで、昭和二十四年度製以前のものは全部これを取りかえる。厚さにつきましてもいままでの
許容限度を下げまして、それ以上のものは全部取りかえるということで、約四万二千対の
タイヤを取りかえることといたしまして、去る五月から実施いたしておりまして、これは来年の一月までに全部完了いたす
予定でございます。これによってある程度の途中
脱線を防ぐことができるというふうに考えます。また、実績から申しましても、一番最後のページにございますが、これをやりました
あと、本年は途中の
タイヤ割損は一件もない、こういう実績になっております。
以上、昨年のちょうど
鶴見事故の直後から
重点的にやってまいりました
三つの
事故対策について御
報告申し上げましたが、まだまだこれではもちろん万全な
保安対策と申すわけにいきません。これは
ほんとうの第一歩でございます。私
どもといたしましては、今後の第三次の
長期計画にも相当膨大な
保安対策費を計上いたしておりますし、これ以外にたとえば駅の
信号関係の
保安対策はまだほとんど進んでおりませんので、こういう方面にもぜひなるべく早く
対策はとってまいりたい。たとえば、過般、茨城県の水郡線、水戸の入り口で起こりました
事故などは、やはり
単線区間の
事故でございますが、
信号の誤りということでございます。こういう
区間は極力自動
信号化していくという
方法によって
事故の絶滅を期してまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、今後の問題といたしまして、
保安対策につきましてはもう最
重点的に問題を取り上げてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
以上、一般的な
事故の御
報告を終わりますが、次に、
東海道新幹線の
事故につきまして概略御説明申し上げます。
簡単に印刷物に書いてございますが、
新幹線は去る十月以来開業いたしておりまして、初めのうちはいろいろ新聞その他をにぎわしておりましたが、現段階におきましては大体落ちついたと考えております。十月分の
事故の件数は六十二件、いわゆる私
どものほうで
運転事故と申しますのは、
列車を十五分以上とめた場合は、いかなる
原因がありましても
運転事故と申しておりますので、いわゆる世間の
方々のおっしゃる
事故と少し違いますが、いずれも
運転事故が六十二件、百万キロ
当たり六六・六五件でありましたが、十一月分はずっと減りまして十七件、前月に比べまして四十五件、また
列車百万キロ
当たりでは一八・八九件で、前月に比べまして四三・六五件、七割程度減っております。開業当初は、いわゆる私
どもの部内の技術的なことばでは
初期故障と言っておりますが、どうしても車と
線路となじまない、また
車自体の問題も多少ございまして、いろいろ多かったのでございますが、十一月になりまして大部分の
事故は減ってまいりました。たとえば、もうお聞き及びのとおり、車の関係では、車のとびらが開かなかった、あるいは便所のとびらがあかなかった、あるいはパンタグラフがこわれたとか、いろいろの
事故があったのであります。大体これもほとんど
原因がはっきりいたしまして、現在では毎週一回ずつ
事故防止委員会を開きまして、これの
対策を講ずるわけでございますが、大部分の
事故は今後とも十分防いでいくつもりでございます。しかし、また
重大事故につきましては、
信号関係等の
事故につきましては、これは
事故がたとえ起こっても必ず
安全サイドになるというふうに二重三重の
設備はしてございますので、その点は十分御安心いただいてけっこうだと思います。車の
故障につきましては、いろいろ新聞に出ましたので、
あとの
報告になりますが、これはこういうことを申し上げていいかどうかは別といたしまして、
新幹線の場合は
車両故障が百万キロ
当たり十月が一・〇九件、これは書いてありませんが、十一月が〇・三一件でございますが、これは約二年にわたりまして、実際
車両をつくっていろいろテストした結果非常にいい成績であったということは、前の「こだま」「はつかり」などと比較いたしますと、
車両の
故障の件数がわりあい少なかった。これは少ないことを決して自慢するわけのものではありません、ゼロにしなければならない問題でございますが、まあ二、三年の実地のテストの結果、世界で最新の車としては非常に
事故が少なくて、いずれもう少し
線路になじめばもっともっと安心して利用していただけるというふうに考えております。
それから、前国会で当
委員会で御審議願いました
新幹線の
立ち入り禁止の問題で、その次の
列車妨害の問題、これは五件ございました。これは主として大体石だろうと思いますが、これは
ほんとうの
いたずらと考えております。しかし、
窓ガラスが二重になっておりますので、お客さんの負傷は一件もなかった。そのほかに、いわゆる
運転事故にならずに、何の理由か知りませんが
線路内に立ち入ったものが六件。それから五十メートルおきにございます
スイッチ——非常スイッチを
いたずらしたものが二件ございますが、これはいずれも
列車運転には支障がなかったようでございます。たとえば
線路に人が歩いていることはすぐ
乗務員が無線でもって
指令室まで連絡ができますので、
指令室からすぐ
公安室に連絡いたしまして、すぐそれを見つけにいくということで、わりあいに早く手配ができますので、この六人はいずれもすぐ身元がわかったわけでございます。
最後に、職員の
作業方不良という、これも多少なれませんための
事故が二、三件ございましたが、そのほかに過般の
静岡付近の
作業員の
死傷事故、これはたいへん遺憾な
事故でございましたが、私
どもといたしましては、毎朝初
列車の
運転直前に
確認車というものを走らしておりますが、この
確認車に専門の軌道を見る
軌道掛を二名乗せまして、そうして
夜中じゅうの
線路保守作業の結果を
確認車で全部チェックいたします。そのチェックした
あと初
列車まで二時間ございますが、
確認車の通った
あとは
線路の
保守作業はやってはいけないということになっておりましたが、たまたまこのときには、何と申しますか、この
作業をやっておりました者が帰りぎわに非常に——なくなった人でございますので詳細はよくわかりませんけれ
ども、自分の仕事を終わって歩いて帰る途中に、目でちょっと見て、どうも少し通りが悪いということで、もう一ぺん
作業を始めた。すでに
確認車が通った
あとに
作業をしてしまった。この
責任者は、現在は
国鉄にはおりませんが、長年
国鉄に勤務した非常に経験を持った人ではございましたが、ここしばらくの間、いわゆる
線路の建設のほうに、
新幹線の建設のほうに従事しておったわけでございまして、いわゆる営業に入ってから
あとの厳正な規則の取り扱い方を若干忘れたきらいがあったわけでございますが、今後こういったことはないように
十分気をつけさせなければいけないというふうに考えております。まあ
確認車によりまして、
夜中じゅうにやりましたいろいろな
作業の確認をする。これは一応
確認車に精細な計器を載せまして、目だけでなしに、これは機械的に正確を確認するということになりますが、いずれにいたしましても、
確認車が通った
あとに
作業をするということは絶対に禁じられておるわけでございますし、今後ともこの点については
十分厳守をさせたいというふうに考えております。
さらにもう一件、最近
新聞紙上に出ております
山陽線を中心といたします非常に悪質な
列車妨害でございます。いままでございました事件は、主として
自動信号機の柱にのぼりまして、あれをスパナでこじあけまして、赤い電球だけ残しまして青と黄色い電球だけ取ってしまう、こういう非常に悪質な
いたずらでございます。まあ赤い電球が残っておりますからとまることはとまりますけれ
ども、非常にこれは悪質な
いたずらでございます。これは実は十一月の十日から約四日間続いたわけでございます。その後、徹底的に警備をいたしました結果、しばらくとだえておりましたが、また去る二十八日から三十日まで三日間、多少手口は違いますが、大体同じ場所で同じような
事故が起こった。いずれもこれは
機関士の時宜を得た処置によって
列車事故にはなっておりませんが、
信号機を
いたずらするということは非常に悪質中の
悪質事故でございまして、私
どもといたしましても警察本部長と連絡し、兵庫県警におきましては、加古川警察の中に特別捜査本部を置かれまして、責任の課長が指揮するとともに、現在いろいろ捜査をやっておられるようでございます。また、私
どもといたしましても、現在までにすでに延べ二千数百名の公安官を投入いたしまして警備に当たっておるわけでございます。ただ、こういう
事故が起こりますと、こういう
いたずらが起こりますと、新聞に相当大きく出ます。これがどうしても連鎖反応的に
全国に及んでしまうということでありまして、たとえば山口県でごく最近墓石を置いたとか、あるいは岡山県で同じような種類の
事故が起こるというようなわけで、どういうわけか、こういう悪性の
いたずらというものは
全国に連鎖的に起こってくる傾向がございますので、この点は新聞の取り扱い等についても十分いろいろ頼んでおりますが、いずれにいたしましても、精神の正常でない者がやった
いたずらであるということは大体事実でございます。この
山陽線の
列車事故につきましては、容疑者がいろいろと幾人かあがったようでございますが、いずれもきめ手がなく、今日現在まだ犯人は逮捕されておりませんが、私
どもといたしましても非常に心配いたしまして、いま大阪の
公安室はもうこの警備でほとんど疲労こんぱいしておりますので、
全国から集めましてあちらのほうに
重点を置いてやっておりますが、まあいろいろと犯人を逮捕できるような
対策も立てておるのでございますが、それが新聞に流れたりいたしまして、たとえば柱に全然目に見えない塗料を塗って指紋をとるとか、こういう
方法もずいぶんいろいろと講じておりますが、それが事前に出てしまったりしまして、なかなかうまく警備ができておりませんが、何とか私
どものやっております技術的な警備の
方法、それから物理的な公安職員による警備の
方法、この両方ともで、公安当局の捜査によりまして一刻も早くこの年末にあたって悪性
事故による人心の不安を一掃しなければならないというふうにかたく考えております。
以上、たいへんいろいろ申し上げましたが、最近の
事故の状況について御
報告を申し上げました。