○
田中国務大臣 中小企業の倒産が引き続いて起こっておりますことに対しては、はなはだ遺憾でございます。しかし中小企業の倒産が起こらないようにできるだけの措置はいたしておるわけでございます。
まず第一番目の御
質問としてございました、倒産に対してどういうような措置をしておるかということでございますが、地方通産局及び地方の財務局等を通じまして、あらかじめ倒産が出ないようにできるだけの措置を行ないなさい、こういうことを言っております。同時に、日銀及び金融
機関の出先
機関に対しましても、なぜ倒産に踏み切らざるを得ないのか、なぜ不渡り処分にしなければならないのかということに対しては、通産省及び大蔵省にも報告ができるような、責任を持ってここまでやってきたのですが、いかんせん、どうにもなりませんというように、明らかにその事情を
説明するくらいな責任を持っておやり願いたいということで金融
機関も指導いたしております。でありますから、私たちもいままで倒産が行なわれましたものに対しては
内容的に、なんで一体倒産をしたのかということがつまびらかにできるような
状態になっております。ただ、倒産をしたものの
内容だけがあとからよくわかるというのではどうにもなりませんから、つなげるものはできるだけつなぐように、特に関連倒産によって、その中小企業は黒字であるにもかかわらず倒産をするということは、これはどうしても避けなければいかぬということで、特に配慮いたしておるわけでございます。
それから第二点の信用膨張の問題、確かにきのうもおとといも御
指摘がございましたとおり、生産指数よりも信用膨張の指数のほうが非常に大きい。その中には日銀等がいろいろな資金を見過ぎたというようなお話もございますが、私はそれよりも、このごろ生産が高い生産が高いということで、割賦販売とか、そういうものでどのようなものでも全部分割販売ということになっておって千円、二千円の手形までが流通をしておるということが一番大きな問題だと思います。それからもう
一つは、融通手形の問題もございます。でありますので、数字の上から見た企業間信用の膨張、これはひとつ大きくメスを入れて、こういうことであっては困るので、金融の正常化というものを十分はからなければなりませんし、特にこの信用膨張の
内容をひとつ究明して正常化しなければ、商業手形であるといいながら、一体商業手形なのか融通手形なのかの見分けがつかないわけであります。でありますから、倒産をしたものをいよいよ最終的に詰めてみて、初めて一部が融通手形でございましたというようなことではどうにもならないわけでありまして、融通手形というものを出さないで普通の商業手形だけであるならば、これは倒産に導かなくても何らかの処置がとれるわけであります。こういう問題に対しても、信用の状況、
内容の正常化というものに対してはひとつ強力に進めてまいりたい。これは、ある
意味においては強い行政指導も含めて強力なものをやりたいという
考え方でございます。ただ恒久的な問題としては、御
承知のとおり、小切手法とか手形法とかその他の改正まで急いでおるわけでありますし、さしあたりはひとつ手形用紙を金融
機関所定のものを使うとか、場合によっては大蔵省印刷局で印刷したものを使わせるということも、これは冗談ではなく、その程度のことを
考えなければいかぬだろうとも
考えておるわけでございます。
それから、関連倒産にあいました中小企業に対して、その手形を持っているわけですが、これが不渡りになる、これも中小企業金融公庫、国民金融公庫で特別ワクを設けて割り引かぬか、資金手当ができないか、これはいろいろなお話が前からあるわけでございますが、これはやはり中小企業金融公庫に特別ワクを——特設ワクといいますか、特設手形を持っていってこれで金を貸せといっても、なかなかそう全部割り引けるわけではありません。ただ政策としてはそういう
機関を設け、そういう制度を設けましたよということにはなるが、実際中小企業の関連倒産後の処置になるかどうかはわからない。私はそれよりも、いまやっておりますように、やはりその倒産した中小企業の親企業、中小企業、関連企業等の
状態を知っておる、企業に関連のある金融
機関というものが特別めんどうを見るということがより合理的だということは論をまたないわけであります。ですから、
考え方によっては中小三公庫などにすぐ設けるということが
考えられますが、実際的にはむずかしいということであります。ですから、やはり私は、いままで
関係をしておった金融
機関に特別にこれを見させるということのほうが合理的だということで進めておるわけでございます。
それから在庫商品の金融、これもいまの不渡りをつかんだ、倒産会社の手形をつかんだ中小企業の金融と同じことでありますから、一括関連金融としてめんどうを見ていくべきだろうと
考えます。
それから倒産を
未然に防ぐために、倒産の事前に調整できるような金融
機関とか、いろいろな官民の相談所をつくるということ、これは御
指摘のように、確かにアイデアとしては
考えなければならない。しかし、ところが相談所をつくってありましても、倒産をする会社というのは、倒産をしてしまわなければ持ってこないのです。ですから、新聞を見ましても、新聞にどうもあれはおかしいぞ、こういう新聞が三日くらい出るのですが、社長は、きまったように、さようなことはございません、金融不安もありませんし、倒産も絶対ありません。これは、信用の問題ですからやむを得ないのですが、なかなかつぶれてしまわないと——ここまで大火事にならないうちにやればいいのにと思うのですが、火の手が上がってどうにもならなくて、拠点をほうり出して逃げてしまうというまではなかなか実態をあかさない。しかし私は、こういうものはいけないということを知っています。ですから、もう少し合理的に
未然にお互いが努力をし、お互いが情報を交換し、お互いがてこ入れをすることによって防ぎ得る、こういうケースもたくさんありますから、相談所といいますか、診断所といいますか、特に関連金融
機関を
中心にしたそういうものはぜひ必要だろうということは
考えております。相談所というような御
提案に対しては、お互いにひとつ
検討してまいりたい、こう
考えます。
最後に、倒産をしたものをただ行政措置だけでというよりも立法せよと、民社党の方々が中小企業
関係に対していろいろな立法を
考えておられますことに対しては、民社党の中小企業対策の雑誌も読んでおりますし、また各種基本法の法案大綱も読んでおります。中にはこういう方向で
検討しなければならないというものもございますし、非常にりっぱだし、アイデアとしてはいいのですが、どうもやってみると、ネコの首に鈴をつけるというものも幾らかあるようであります。しかし、これは非常に御
研究になっておることでございますので、私たちも党とかイデオロギーとか、そんなことではなく、
日本の持つ中小企業の特殊性、この問題を
解決するということに対しては真剣にひとつあわせて
検討させていただきたい、こう
考えております。