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田中国務大臣 政府が当初見通しました
国際収支の
数字を申し上げますと、
輸出輸入は六十二億ドルでバランスをすることになっております。それから総合収支におきましては、御
承知のとおり年度間を通じまして一億五千万ドルの赤字ということでございます。その後の
事態から申しますと、約一年間にわたって
金融調整が行なわれ、
輸出も相当
伸びておることは御
承知のとおりでございます。特に
政府が三十九年度
予算編成の
前提となるべき
国際収支の見通しを立てましたのが、ちょうど去年のいまごろよりちょっと
あと、ちょうど約十一カ月前、昨年の十二月の初めに立てたわけであります。その後
国際収支が逆調
基調になりましたので、三月十八日の公定歩合引き上げを最後にしまして、一連の調整
政策に入ったわけでございます。しかし、この調整もききまして、七月には貿易収支が
均衡し、八月には経常収支が
均衡して、現在の
状態から考えますと、年度間を通じて一億五千万ドルの総合の赤字が大体とんとんくらいになるのじゃないかという見通しでございます。貿易は先ほど
経済企画庁長官が述べましたとおり、二二・五%、二三%も、かつてない史上最高の
伸びを示しております。これはアメリカが非常に好
景気である。またヨーロッパに対しての
輸出が
伸びておるということもあるわけでございますが、いずれにしましても
輸出の場合はきいておるということで、相当
輸出も
伸び、
輸出は六十八億ドル、もう少し上に行くか思います。ただ御
指摘のとおり、輸入自体も上がってきた。ですから六十二億ドル・バランスが、六十八億ドル・バランスになるということになるのじゃないか。しかもその上、なお原材料在庫指数は七〇余でありまして、非常に低い
水準にあります。でありますので、いまの
状態で
金融の
引き締め基調、調整
基調を変えないで、きめこまかな配慮をやってまいります。こういう
姿勢をとっておる以上、十二月までは
輸出期でございます。一−三月の輸入期を推計しましても、大体年度間を通じて多少の黒字になるというくらいの見通しは狂わないのじゃないかと考えます。ただ、こういう
考え方はイギリスが公定歩合を引き上げない前の考えであります。しかし、イギリスがもう引き上げている。しかも一挙の引き上げになり、アメリカ、カナダがこれに追随をして公定歩合を引き上げ、一部においては、世は高金利時代になるのではないかとさえ言われておるわけでありますから、そういうことから考えて、
輸出が
伸びるかどうか、いろいろな問題がございますが、経常収支改善のための
方策も行なっております。開銀融資によって外航船舶もつくったり、また観光の問題に対して本腰を入れたり、
日本から出る自由渡航の問題に対しても多少セーブをしてもらったり、いろいろな施策をやっておりますので、これらの一連の国外における
状態に変化はあったにしろ、おおよその見通しに対しては間違わないでいけるのではないかと考えております。
なお、その上に一言申し上げると、公定歩合の引き上げという問題は、去る九月に行なわれましたIMFの年次総会の当時から、イギリスが公定歩合の引き上げを行なうのではないか、また行なった場合、アメリカ、カナダも一連の引き上げを行なうのじゃないか、それがアメリカの好
景気にどう作用するかということは、多少織り込み済みと申しますか、いずれにしてもそういう
事態をあらかじめ予想して、多少長期にわたるとさえ思われる
金融調整を続けてきておるわけでありますので、ここで
国内政策としては変更を必要としない、このように思われるわけであります。