○津田
政府委員 この
事件に関しては、かなり複雑でございますので、
概要を一応御説明いたします。
この徳本吹喜雄に関する強盗傷人
事件と申しまするものは、
昭和三十六年九月四日の最高
裁判所の上告棄却判決をもって確定を見たわけでございます。犯罪事実の要旨は、徳本吹喜雄は、外二名と共謀して自動車運転者から金員を強奪しようと企て、
昭和三十三年三月十日、神戸市兵庫区荒田町より稲村清の運転する自動車に乗客を装って乗り込み、有馬街道付近において同人の背後からその頸部を手で締めつけ、あるいはその身体を殴打し、さらに車外にころがり出た同人を手拳及びげた等で殴打し、同人を道路からがけ下の川中に転落させる等の暴行を加え、同人に全治約三週間の傷害を与えた上、同人の自動車一台及び売り上げ金六百五十円を強奪したという事実が要旨になっております。
なお、徳本につきましては、右
事件の公判審理中であります
昭和三十三年六月十六日、神戸地方
裁判所庁内におきまして、この
事件の証人として出頭いたしました岩城春夫が自己に不利益な供述をしたとして、これを脅迫したという事実についても、あわせて
裁判が行なわれております。なお、強盗傷人
事件のほか二名と申しますか、共犯者についてはいまだ検挙をされておりません。
この
事件は、当初神戸地方
裁判所におきまして、
昭和三十三年九月八日、徳本を懲役七年に処する旨の判決を言い渡しまして、これに対して被告人が控訴をいたしました。
昭和三十五年三月二十九日、
大阪高等
裁判所で控訴棄却、さらに被告人から上告を申し立てて、いまのような最高裁の判決があり、それは三十六年九月十四日確定しておるわけでございます。
三十六年の十二月二十三日、日本弁護士連合会から、
大阪高等検察庁に対しまして、
人権侵犯
事件として
調査を開始するという通知がありました。次いで三十七年の二月十四日、右徳本から、この
事件の真犯人としては小林ほか二名であるとして、同人等を強盗傷人罪で告発してきたわけです。しかし、
大阪高等検察庁及び神戸地方検察庁において
捜査を行ないました結果、右の小林成司ほか二名に対する容疑の有無を徹底的に追及した結果、小林ほか二名については犯罪の嫌疑がないことが判明いたしましたので、同年三月十三日不
起訴処分に付しているわけでございます。
そこで、日本弁護士連合会におきましては、どういう
調査をされたかは
承知しておらないのでありますが、去る十二月十四日、徳本吹喜雄から神戸地方
裁判所に対しまして、同
裁判所がただいま申し上げましたように
昭和三十三年七月八日いたしました判決に対しまして、有罪判決に対しまして、再審の請求をしている。現在その再審の請求
事件が同地方
裁判所において審理中であります。その
内容につきましては、この際申し上げることを差し控えたいと思います。
なお、これに
関連しまして、この真犯人が告発されていることに
関連いたしまして、別件がやはり徳本吹喜雄について起こっております。それは徳本吹喜雄は強盗傷人及び脅迫の罪で懲役七年の刑が確定いたしましたのは、先ほど申しました
昭和三十六年九月十四日でありますが、その後、その刑の執行開始前であります三十七年一月十九日、監禁罪で再び逮捕されまして、同年二月九日監禁強要罪で神戸地方
裁判所に
起訴されておりますが、その公訴事実の要旨は、徳本は、ほか数名と共謀の上、強盗傷人
事件によりまして神戸拘置所に在監当時、徳本と同房でありました小林成司ほか二名をして、同人らが右強盗傷人
事件の真犯人であるという旨をしいて供述させ、その証拠を得ようとして
昭和三十六年十月ごろ小林らを脅迫して連れ出し、これを徳本の自宅等に不法に監禁した上、右小林等から
意思に反した自白をさせ、これを録音テープ及び口供録取書に録取したという事実でありまして、この
事件につきましては、目下神戸地方
裁判所で審理中であります。
なお、徳本につきましては、
昭和三十七年三月一日から前記の確定いたしました刑につきまして、刑の執行を受けて、目下服役中であります。