-
-
○
河本委員長 これより
会議を開きます。
請願の
審査に入ります。
本
委員会に付託されました
請願は、本日の
請願日程に記載してあるとおりであります。その数は二百六十一件であります。
この際、本日の
請願日程全部を一括して議題といたします。
おはかりいたします。これらの各
請願の
趣旨は、すでに配付されております
文書表により御承知のことと存じますので、
紹介議員の説明並びに
政府の
所見聴取等は省略いたしまして、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
河本委員長 御
異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
先ほどの
理事会で協議決定いたしましたとおり、本日の
請願日程中、
日程第六〇ないし第六三、第六五、第六九、第一一八ないし第一二三、第一二九、第
一三三、第
一三四、第一六三ないし第一六六、第一七〇、第一七二、第一七三、第二二九、第二四三、第二四四、第二五八及び第二六〇の各
請願の
趣旨は、いずれも妥当と認められますので、これらの各
請願は、いずれも議院の
会議に付して
採択の上、
内閣に送付すべきものと決するに御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
河本委員長 御
異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
おはかりいたします。ただいま
採択に決しました各
請願の
委員会報告書の作成等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
-
○
河本委員長 なお、すでに御承知のとおり、本
委員会に参考のため送付されました陳情書は、在外資産の補償に関する陳情書外七十三件であります。念のため御報告申し上げます。
————◇—————
-
○
河本委員長 次に、閉会中
審査に関する件についておはかりいたします。
先ほどの
理事会で協議決定いたしましたとおり、本
委員会といたしましては、
一 行政機構並びにその運営に関する件
二
恩給及び法制一般に関する件
三 国の防衛に関する件
四
公務員の制度及び給与に関する件
五 栄典に関する件の五件を閉会中調査事案として、その旨
議長に申し出ることにいたしたいと存じますが、これに御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
河本委員長 御
異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
————◇—————
-
-
○
河本委員長 本案は、御承知のとおり、第四十六回国会におきまして、本院において可決をし、
参議院に送付いたしましたが、
参議院におきましては、継続
審査に付し、本国会におきまして、施行期日の部分を修正議決して本院に送付してまいったものであります。
本案の
趣旨説明を省略し、直ちに質疑に入るに御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
河本委員長 御
異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
大出俊君。
-
○
大出委員 まず冒頭に承りたいのですが、米軍が弾薬陸揚げをする、あるいは陸揚げをした弾薬を船に搭載をするという問題について防衛庁に伺いたいのですが、どういう法的根拠で、どういう筋道で行なわれているか、一ぺん冒頭に御説明をいただきたいと思います。
-
○麻生
政府委員 在日米軍は、日本に駐留を認められておるわけであります。したがいまして、これに伴います在日米軍の公の公動というものは、直接には国内法の規制は受けないというふうに考えておるわけであります。
-
○
大出委員 場所について承りたいのですが、基地あるいは接収地という形の中で行なわれる。それ以外の場所で行なわれる場合もありますか。
-
○小野
政府委員 弾薬類の取り扱いといたしまして、基地あるいは提供をされております施設の中で扱うのが当然でございますが、その間の運搬等の際には一般道路も通行することがございます。
-
○
大出委員 もう一つ承りたいのですが、その場合に、接収をしていない地域で、沖に船をとめて海岸から搭載をする、こういう場合がありますか。
-
○小野
政府委員 弾薬輸送船を沖にとめて、それから積みかえて上陸させる、こういうことがあるかというお尋ねかと思いますが、そのようなこともあろうかと存じます。
-
○
大出委員 いまの逆でございますけれども、弾薬庫から海岸に持っていって搭載をする、そういう場合もありますか。
-
○小野
政府委員 まことに恐縮でございますが、その点について正確なことを承知いたしておりません。
-
○
大出委員 ところで承りたいのですが、先月の末日でありますが、神奈川県の江ノ島の周辺におきまして、自動車がとめられまして、そこで警察官が警戒に当たっている。ところが中に入れないというので、どういう理由で入れないかと質問をしたところが、非常に危険なので入ってもらうわけにいかないのだというわけであります。どうしても入りたいのだということになったところが、あなたはどこの人間かというので、住所を聞かれた。何しに行くのかという話になった。通常そういうことのない地域であるために、その人は非常に憤慨をして、押し問答した末に入ったわけであります。ところで、場所は江ノ島のヨットハーバーの沖になるのですけれだも、ここにマストらしきものがあって、夜ですからここにあかりが一つついておって、両側にさらにまたあかりつが二つついておる。明らかに船が停泊をしておる。原潜問題の余波もありましょうから、あるいはそういう錯覚かもしれませんが、何となく潜水艦みたいな感じがしたそうであります。ところで、危険物の搭載をしているので、入ってくれては困ると言う。押し問答の結果、こういうことになったということであります。この人は、横浜の保土ヶ谷区に住んでいる方で、車を買い、運転免許をとって、家族全部を乗せていったわけでありますけれども、そういう目にあったということであります。さらに後刻いろいろ調べてみると、その晩その周辺にあらわれた、夜釣りに行った方々が、同様な目に何人もあっているのであります。その事情について、私のほうもいまいろいろ調べておりますけれども、地域においてはたいへんな不安を感じ、一体あれは何事だという騒ぎになっておりますけれども、その辺の点について御存じかどうか、承りたい。
-
○小野
政府委員 まことに残念でございますが、ただいまお尋ねの問題につきましては、全然承知いたしておりません。
-
○
大出委員 ところで防衛庁のお話によりますと、それは弾薬の搭載であるということを言われているわけであります。そこで先ほど弾薬の搭載についての事情を承ったわけでありますが、積み込むことがあるかということについて、知らないというのでありますが、そういう一般の人が通行をする地域で、われわれが、あるいは地域の諸君が全然知らないところで弾薬の搭載等が行なわれるということになった場合に、この点について防衛庁はどういう責任を持つのでありますか。
-
○小野
政府委員 そのようなことは私はないと思うのでございますが、もしそのようなことがありといたしますならば、注意をいたしたい、是正をいたしたいと思います。
-
○
大出委員 この江ノ島周辺というのは、池子にある弾薬庫から直線通路ができているわけでありますから、十二分にこれはあり得ることでありますけれども、そのようなことがあれば注意するというのですが、そのようなことが行なわれてしまってあとから注意してみても、これはおそきに失する結果で、とんでもないことが起こった場合に責任の負いようがない筋合いだと私は考えているわけでありますが、この辺のことについては、米軍との関係において、どういうふうに今日まで話し合ってきておられるのですか。
-
○小野
政府委員 そのような問題は、いままで承知いたしておりません。したがいまして、いままで折衝をしてきたということはございません。
-
○
大出委員 冨岡の基地の中で接岸をして弾薬を積みおろしをする、この点については、前の
内閣委員会で、弾薬の陸揚げに使っているのだということを答弁をされておるのですから、事実あったのであります。ここから池子に運ぶ、こういうことにコースはなっているわけでございますけれども、そうなってくると、その過程について、町の諸君の中にもいろいろ不安を申し出ている諸君が
いるわけでありますが、この辺のことについては、それでは話し合いをしておりませんか。
-
○小野
政府委員 米軍の弾薬類の取り扱いにつきましては、揚陸の関係、輸送の関係、あるいは貯蔵の関係まで含めまして、常に万全を期するように、事故を起こさないようにという意味において相互に話し合いをしておることはございますが、具体的に、ただいまの冨岡から池子の問題について、最近何らかの話し合いをした、あるいは注意をしたというようなことはございません。
-
○
大出委員 これは防衛庁長官に伺いたいのですが、実在をする人間がそういう目にあって、家族連れで行っておってうそを言うわけはない。しかも後ほど調べてみると、ほかにも該当者がある。こういう事実があるところで、しかも一般の人が通行をする江ノ島周辺ということになりますと、そう簡単に、この問題は、そうですかと言っておさまらない筋合いだと私は考えるわけでありまして、いまのような形の弾薬、危険物の取り扱いということであっては、地域が地域だけに、何かとんでもない意図があってそういう思わぬ場所から突然そういうことが行なわれたのではないか。目的は一体どこにあるのだ。当事はベトナム問題等がやかましくいわれて新聞に出ていた時期でありますし、テーラー大使がアメリカに帰っていろいろ打ち合わせをしているという時期でありますから、なおのこといろいろな不安、うわさが高まっているわけであります。この点について、私は、政治の責任としては、住民の皆さんの気持ちを納得のいくように安定をさせなければならぬ筋合だと考えるのでありますけれども、事実、実在する人間がおり、横浜市会のある人たちもその点について気を使って調べたりしているのでありますから、その辺について、ひとつ長官に考え方があればお聞かせをいただきたいと思います。
-
○小泉国務大臣 先ほど来弾薬の問題について
大出委員の申されますことは、あの辺の基地に最も詳しい
大出委員のことでございますから、おそらくそういう事実があったのではないかと私にも推察をされるのでございます。事は、その通路付近地域一帯の、住民に対して非常に大きな不安を与え、また万一ということがございますればたいへんなことでございますので、さっそく
大出委員の申し出の件について、あの地域一帯における過去の事実等を、こちらから米軍関係者に、そういう事実があったかなかったかというようなことをば調査をいたしまして、これに対する善処の方法を講じたいと存じます。
-
○
大出委員 ところで、質問を申し上げたいのでありますが、これは予算
委員会でも多少の質問が出ておりますけれども、MSTS、米海軍省極東管区軍事海上輸送司令部というのが横浜にあります。つまりLSTの問題なのでありますけれども、八百二十七名というふうに新聞報道をされましたが、どうも長官の予算
委員会における答弁等を承りますと、だいぶ人員が少ないのでありますが、ここにつとめておる関係者等に聞いてみると、どうもそうではない。そうなってくると、現実がほんとうなのか、長官が言われていることがほんとうなのか、わからない。この辺にも一つの疑惑が生ずる結果にもなります。したがって、この際、現実と違うのでありますから、もう一ぺん明確にここで御答弁をいただいておきたいと思います。
-
○小泉国務大臣 私の過日の予算
委員会における答弁は、就任当時私実は勉強会で承りましたのを記憶しておりまして、現状もそうではないかというようなことから率直に申し上げたのでございましたが、後刻施設庁長官からも、長官の言われた数字とは現実においては違うという訂正がございましたので、今度あらためて間違いない数字を施設庁長官から答弁をいたさせまして、私が予算
委員会で申し上げたことは、過去においてはそういう数字であったが、今日の段階においてはその数字は間違いであったということをここにあらためて訂正をさしていただきます。
-
○小野
政府委員 横浜の司令部にございますMSTSに日本人の船員がどれだけ提供をされておるか、持っておるかということでございますが、御承知のように、MSTSには、船の種類といたしまして、LSTのグループとそれ以外の一船貨物船のグループがございます。そのうちのLSTの関係におきましては、私ども正確な数字はわかりませんが、先般大臣の申されましたように、私どもの数年前に扱っておりました当時の数としては八百数十名、約八百六十名という数字があったわけであります。それがその後今日どうなっておるかは、私どもつまびらかにいたしません。それから他のグループと申しますのは、LST以外の貨物船、輸送船でございますが、この関係におきましては、現在私どもは船員契約という形におきまして、約百五十名の船員を提供いたしておるわけでございます。前に八百が百五十に減ったというようにお聞き取りになられてはいけないと思いましたので、予算
委員会では、私、その数字は違いますと申し上げたのでありますが、種類が違うわけでございます。
-
○
大出委員 そうなるとますますわからなくなるのですが、それでは承りたいのですが、LSTは一体何隻ぐらいと予想されておるのですか。
-
○小野
政府委員 私どもが正確に申し上げられますのは、昭和三十七年の七月ころに私どもが所管をいたしておりましたときには、十七隻であったのでございます。今日何隻になっておりまするか、私どもは正確には存じません。
-
○
大出委員 私は、これはずっとわからないで済まされる筋合いではないのではないかという気がするのです。というのは、殺された方が出てクローズアップされたのですが、再びこの種のことが起こらない保障は、どこにもないわけです。今日なおかつ契約を結んでおられるわけですから。しかも殺された方の遺族の方なり友だちの方なりという方々にいろいろ聞いてみると、前もってたいへん危険なんだということを言っていたというわけですね。そうなると、これは再び出かけていくところは、いっこういうことになるかわからない地域に行くわけですから、しかもこれは日本人であって、最近においてどうも手帳をパスポートみたいなものにかえるということを口にしておられるようでありますけれども、そうなってくると、手帳を持っておるのでありますから、それをかりに旅券にかえるにしても、その手続は日本
政府がやるわけでありますから、その人員がわからない、あるいは乗り組む船がわからない、こういうばかなことは、どっちから見てもないと私は思っているのです。とにかく日本国籍を持っている人間が、手帳は危険だから今度は出さないのだ、国際的にいろいろ政治問題がからむからということで旅行者の扱いをするということになるとすれば、これは一体日本
政府はどういう責任をその旅行者に対してとるのかという問題も出てくるわけですから、その点は、やはりそういう逃げ方、と言ったら失礼かもしれませんが、でなくて、事実は事実として、LST一隻に四十二名くらい乗り組めるわけでありますから、明らかにしておいていただかないと、乗っていきますと、相当な数があることになるので、そうなると相当な働きをすることにもなるので、その点については私は明確にしておいていただきたいと思います。
-
○小野
政府委員 LSTの乗り組み船員は、軍が直接本人と契約をいたしまして、採用して乗船せしめておるわけであります。そういう意味で、私どもは、その実体、内容について承知しないと申し上げたのでございます。しかし、日本人の船員のことでございまして、当然いろいろな意味の保護その他の施策が必要でございますが、それらの点については、外務省並びに運輸省の関係におかれまして、それぞれ御処置相なっておるわけでございます。ただいまのこまかい数字あるいは実情、手続というようなものについては、予算
委員会におきましても、外務省あるいは運輸省のほうから御説明があったわけでございます。その保護に欠けるところがある、私どもが何も知らないのはけしからぬじゃないかというお話しについては、そういう事情でございますから、御了承いただけるかと思います。
-
○
大出委員 これはどっちから言っても協力しておるというかっこうになるので、端的に言えば、安保条約があるのだからと言わんばかりの長官の答弁があった。これは問題になるところなんですけれども、そこらあたりについて、防衛庁側でそう考えておられるのでは、これはたいへんなことになると私は考えておりますから、輸送に対する協力となりますと、場所が横浜にある、関係者も横浜にはたくさん住んでおる、そうなってくると、冒頭に申し上げたような事件が起こってまいりますと、ますますもってそのつながりを濃くするというところに疑問を生ずるわけなんですから、さっきから何べんも申し上げておるように、納得できるように説明していただかないと、どうも神奈川県には国
会議員はいないのかということになりますので、そういうことでなくて、そこは関連して皆さんのほうにも責任があるのだから、明らかにしていただかなければならないと考えるのですが、長官、どうですか、ここのところは。
-
○小泉国務大臣 先ほど施設庁長官が申しましたとおり、所管がかわっておりますけれども、
大出委員の言われるとおり、私のほうでも関連をする問題であり、また事故が起きたときの事柄を考えますと、非常に重大な責任を私のほうも感じておるわけでございまして、その点については、今後十分運輸省方面とも連絡をいたしまして、法的な取扱いの上においても、また実際上の運営と申しますか、そういう問題についても、よほど慎重に配慮しなければならないということを痛感をいたしておる次第でございます。
-
○
大出委員 そうすると、これはもう一ぺん確かめておきたいのですが、船員手帳は旅券にかわっておるのですかり
-
○小野
政府委員 それらの点につきましては、私どもは承知いたしません。こまかい点は、運輸省のほうで御心配いただいておるかと思います。
-
○
大出委員 これは当然旅券法の関係も出てくるわけですね。しかも各省で言っておることがまちまちなんですね。今度の事件は、日本
政府のタッチしないLSTでよかったという感じがしたという防衛庁の労務部の方のものの言いっ振りも一つあってみたり、そうかと思うと、直接雇用という形をとっておるから日米間の協定の対象にならないから、打つ手がない。打つ手がないまま日本人が外国へ行って協力して死んだという結果があらわれる。それでも日本
政府は黙っておるということになりますが、そこのところは——ですから、そこらあたりは大臣もおられるわけでありますから、やはりこの席で明らかにしてもらわなければ困ると思いますがね。
-
○小野
政府委員 それらの点につきましては、先ほども申し上げましたように、外務省並びに運輸省のほうでいろいろ御心配をしていただいておるわけでありまして、私どものほうでは一つも関係はないわけでございますから、いま大臣が申されましたように、側面からそうしたところに対する協力はいたすといたしましても、具体的な措置は私のほうでは取りようがないわけでございます。
-
○
大出委員 もう一度だけ長官に承りたいのですが、
政府として、この問題は予算
委員会でも問題になったのですから、扱いについてどうするかについて、こうするという、やはり統一をされた相談があってしかるべきだと私は思うのです。あれだけ期間がたっているにもかかわらず、防衛庁の長官である小泉さんが全然御存じない、こういうばかなことはないじゃないか、問題になってから二週間もたっているのに。こう思うのでありますが、そこらのところあたりはどうなんですか。
-
○小泉国務大臣 全く仰せのとおり、これは
政府全体の責任において処理しなければならぬ問題でございまして、ああいう事件が起きましたし、今後といえどもそういう事件の絶無をだれも保障することはできないのでございますから、これはたてまえは外務省、運輸省で所管をいたしておるとは申せ、以前の関係からいたしまして、
大出委員の言われるとおり、わが防衛庁といたしましても関連をして非常な責任のあるわけでございますので、私も、早急に外務当局、運輸当局と統一した方針を何とか取りきめなければならないと考えながら、いろいろなことにまぎれて、今日までじんぜん日を送ってきまして、まことに申しわけございませんが、ただいま
大出委員の御注意もございますので、早急に私のほうからも外務大臣、運輸大臣にも申し述べまして、不安のないようなことに何らかの方針を打ち出したいと考えております。
-
○
大出委員 これは仮定のようなことになりますが、地元の不安は、LST問題がクローズアップされてきたその以前に、先ほど冒頭に申し上げたようなことまである。さらにすぐお隣りの横須賀には、港の沖ですから海続きなんですが、そこには原潜が入ってくる、こういうかっこうなんですね。しかもベトナム情勢はますます悪化する。テーラー大使がアメリカに帰る。こういうかっこうなんですね。そうなると、池子の弾薬庫から何かしら危険物を搭載をして、江ノ島のヨットハーバー沖に待たせてある船に積み込んだ。それは一体どこに行くのだ。しかも日本の警察官が出ていった。こうなってくると、これはますますいろいろな疑惑が深まるばかりなんですね。だから、私どもとしては、そういう疑惑を明らかにして、そういうことがなぜ起こったのかといことまで触れてものを言いたいわけなんですが、この席上でものを言うとすれば、やっぱり防衛庁の側で、これだけ予算
委員会等でも取り上げられている問題でもあるのですから、はっきりこれはこうこうこういうことなんだという、弾薬の搭載が予側しがたい地域で行なわれたのだという——私は、どなたが言ったということは、その方に御迷惑がかかるから言わないのだけれども、私も防衛庁の方々を知らないわけじゃないから、いろいろ調べたのですよ。そうしたところが、普通のものじゃない、弾薬ですということになると、その弾薬の取り扱いについてまで防衛庁側に、さっき小野さんが言われたけれども、もう少しがっちり押えるところは押えていただかなければ、何が起こるかわからぬわけです。したがって、私がここで二つ何かりお願いをしたいのは、関係の所管の省庁と打ち合わせをしていただいて、LST問題等についての先行き、これの取り扱いをどう考えるのかということについての明確な結論を明らかにしていただかぬと、疑惑が深まったままで終わるということになってしまったのでは、次に何か起こったときにえらいことになる。こういうふうに考えますから、そこのところをひとつ明確にしておいていただきたい。
それから火薬その他の危険物の取り扱いについては、池子の弾薬庫には、単に弾薬だけかというとそうではないという疑惑を持ったものですから、そうなると、その辺についても将来に向かって——それは米軍がやったことを施設庁からものを言われても、はいそうですということをなかなか言わぬと思うのだけれども、現実的に事実としてぶつかった方が何人かいるのだから、そうなると、そのことを否定しようがないのだから、現実にぶつかった人にしてみれば、そういう理屈は通らないのだから、そういう点について、将来に向かってはかくかくしかじかするということを、一般が心配しているのだから、そこに手を当ててその、心配を除去することが政治の責任だ。考え方、イデオロギー等は抜いてそう思いますから、そういう点について、私はお約束をいただきたいと思うのですが、いかがでしようか。
-
○小泉国務大臣 現地の事情に最も詳しい
大出委員のお話でございまして、私も全然そういうことを承知しておりませんでしたが、いろいろな方からも聴取され、現地の事情等からして、そういう
大出委員の言われるような事実があったのではないかと私にも考えられますので、私のほうから積極的にそういうことに対する調査や善後措置についてやるべきであったのでございますが、ただいま
大出委員からの御注意や事情のお話を承りましたので、このことについては、仰せのとおり、速急にひとつ何らかの方針を打ち出して、善処をしなければならないということを感じておりますので、よろしくひとつ御了承をお願いします。
-
○
大出委員 次にもう一点明らかにしておいていただきたいのでありますけれども、一昨日の神奈川県会で取り上げられた問題なんですが、十一月十七日の例の羽田空港で、インドから来た荷物のサソリがはい出したという、例のサソリ騒動が起こった。いみじくも米陸軍の四〇六部隊、これまた神奈川県——どうも最近は神奈川にいろいろなことばかり起こり過ぎて困まっておるのです。そのつど苦情を持ち込まれて私も迷惑しておるのですが、ここでだいぶいろいろな問題が方々で論じられておるのであります。これは神奈川県の相模原市の上鶴間にあるわけですが、これと関連して、例のベトナムにモビール・ラボラトリーなる移動出張所みたいなものが存在する。しかも上鶴間には日本人も勤務しておる、こういうかっこうですが、そういうように疑われている、あるいは疑いが非常に強い。これを県議会その他で明らかにしておる。こういうふうな新聞報道など、いろいろあります。そういたしますと、その辺について防衛庁の関係の皆さんのほうで、あるいは別なセクションでやるのもわかりませんけれども、その後の事情について、米軍側のほうから説明を求めるなり、あるいは何なりという措置があったんじゃないかと思うのでありますけれども、その点についてどういうぐあいになっておるのか。羽田の空港で起こったことですから、だいぶ知っておる人が多いのですから、そういう点について御答弁をいただきたい。
-
○小野
政府委員 サソリの輸入問題でございますが、私ども米軍関係者が何を持ち込んできておるか、米軍施設内にどういうものが出入りしておるかということについては、接触をする方法がございません。これが一般の法令の関係があるかないか、そこには問題がございますが、一般には米軍の持ち込みということにつきましては、米軍の施設内においてこれを使用する限りは、特別な制約はないと思うのでありますけれども、実際にどういうことをしておるのか、どういう形になっておるのか、私どもはわかりません。
-
○
大出委員 ヒュー・キーガン博士なる人が、新聞記者等を集めて、細菌戦争その他に使っておるのではないということで、電気実験等を行なって、サソリの毒を抽出をして見せたりして、純然たる学術研究なんだということを言ってやっておるわけですね。そこでまたいろいろな疑惑が逆に生まれてくる。実情はこういうことなんです。そこまで世の中にアピールされてきておる問題なんです。私は二つ問題があると思う。羽田空港に着いた。人のいるところで、荷物がこわれてはい出した。人に被害がなかったからいいようなものだけれども、もしそこで人に被害が及んだということになれば、いかに米軍といえどもたいへんな問題だと思う。幸い人に被害がなかったというところに、まあのんきなこと、と言ったら言い過ぎるかもしれぬけれども、そう言っておられるわけなんです。そうなってくると、この種の危険物、さっきの話は弾薬あるいはそれに類するもの、あるいはもっと大きな爆発物かもしれませんけれども、そういうものなんですが、もう一つの問題は、同じように毒物なんですね。そうなってくると、これらの問題を米軍がやるのだから、知らぬままにやむを得ないということで言い切っていたのでは、基地が日本にあるということのゆえをもって、国民一般にたいへん迷惑を及ぼす結果になる。こういうふうに考えますから、そこのところは、米国との間に話ができないならば別だけれども、話ができる筋合いになっているのですから、一体どういうことにするかということについて、明らかにすべきものはしなければならない筋合いのものであろうというのが一点。
それからもう一つは、ベトナムに移動研究所なるものが置かれていて、直接ここと連絡を取り合って進めている。こうなってくると、それらの問題についても、別な角度からの疑問が一ぱい出てくるわけでありますが、そういう点についても、
政府の立場として、それはこうなんだと、やはり言う責任があると私は思う。これらについて何もしないでいるということであっては、事済まない。米軍がやっておるんだからしかたがないということで済ましておるということでは、事済まないと私は思うのです。政治の場ということになればなおのこと。したがって、それらのことについて、もう一ぺん二点についてお答えをいただきたいと思います。
-
○小野
政府委員 御
趣旨はよくわかりました。実は私ども逃げるわけじゃございませんけれども、防衛施設庁といたしましては、米軍に対する施設あるいは労務の提供あるいは損害に対する賠償、こうした点を所管いたしておりますが、米軍の一切のことについて、たとえば安保条約、地位協定の全部について所管をしておるわけじゃございませんので、私どもは知らないことが多いのでございます。この点は御了承いただきたいと思いますが、なお、私どもも部会関係者として、外務省が所管しておられます日米の安保条約執行のための合同
委員会がございますので、このほうへ私のほうから連絡をいたしまして、外務省のほうのお立場からこの事情を明らかにしてもらい、不安のないように確認をするように外務省のほうへ御連絡をいたしたい、こう思います。
-
○
大出委員 管轄違いだからあっちへいけというのは昔からあることだけれども、ジェット機が落ちた云々という問題は、あとから私はもう少しはっきり御答弁いただきたい問題がたくさんあるのでありますが、そういうことで、いま神奈川県下というのは、最近次々にいろいろなことが起こりますために、どうしても基地をどけてくれといってきかないのです。ねじはち巻きで国会にすわり込むという段階にまできているのです。そういうところにこの種の問題が起こると、ますますそっちの方向に世の中が動いていくということになりかねない。だとすれば、これは防衛庁の所管でないということだけで関係ないということではない、施設を提供しておるのですから。そうなってくると、それらについてやはりものを言うことでなければならぬと思うのですが、さっきと同じ結果になりそうなんだけれども、そこのところは、いろいろな問題が起こった。そこでタイミングを合わせて、国民一般がいろいろ考えるその寸前に
政府側でものを言っていかなければならない。政治のあり方としてはそこにポイントが置かれていいのじゃないかという気がするのですが、そういう点でひとつこの問題を、こういう席ですから、こまかいことはたくさんありますが申し上げませんが、とにかくこのままでほっておきますと、ますますいろいろな問題とからんで、一般の感情は皆さんが考えておると逆な方向に進みますから、そういう点はさっそくひとつお考えいただいて、取り扱いあるいは内容等について、明らかにするものはしていただくということを私は申し上げておきたいと思います。
ところで、ひとつ原潜寄港問題とからむわけでありますけれども、ポラリス潜水艦の太平洋配置の問題について、十一月十五日ダニエル・ブーン号が真珠湾に入った、こういう報道が一部伝えられ、それ以後三回ほど情報が入ってきているわけでありますが、合計七隻の潜水艦隊、こういうことで先先月の五日にジョンソン大統領のアメリカの発表があるわけでありますけれども、これは今日どういう状態になっておりますか、私どもひとつ承りたいと思います。
-
○海原
政府委員 太平洋にアメリカのポラリス艦隊、これは七隻を持って編成されます一隊でございます、これが配備されますことは、アメリカのほうで正式に発表してございます。先ほどお話のございましたダニエル・ブーン号というのも、私の記憶では、ことしのたしか夏ごろから太平洋にまいっておりますが、これが正式に旗艦として近く服役するであろう、こう見られております。この七隻のうち、年末から来年の初めにかけましては、合計四隻の潜水艦で一隊の実際上の編成が行なわれる。あとの三隻につきましては、そのうちに引き続いて配備されるであろう、こういう見通しでございます。これらの艦名、時期等につきましては、まだ私ども承知いたしておりません。
-
○
大出委員 そこで一つ承っておきたいのですが、今日の第七艦隊の艦船、艦艇二百六十余隻といわれているわけでありますが、艦載機が千八百というわけです。史上最大の艦隊だというのでありますけれども、ここに配属をされている原子力潜水艦、ポラリス型攻撃型に分けまして、いまのお話もありますので、再度数字を明らかにしておいていただきたい。
-
○海原
政府委員 太平洋で就役しております潜水艦の指揮系統につきましては、私どもの承知しているところでは、三つに分かれます。ただいま先生のおっしゃいました第七艦隊に所属する潜水艦というのは、通常の場合一隻ないし三隻、これ以外に太平洋潜水艦隊の司令部がございます。これに所属する潜水艦がございます。それから先ほどお話の出ましたポラリスでございますが、このポラリスは、おそらくは太平洋艦隊の指揮下に入るのではなしに、直接ペンタゴンのほうの指揮を受けるのじゃないか、こういうふうに私は聞いているわけでございます。したがいまして、先ほどの第七艦隊に所属する潜水艦の数、特にその原子力潜水艦の数となりますと、先ほど申しました大体一ないし三隻、これが六カ月前後の期間をおきまして逐次入れかわっております。こういう状況でございます。
-
○
大出委員 ポラリス潜水艦が第七艦隊の指揮に入るということになったという報道がありますが、そういう事実はございませんか。
-
○海原
政府委員 私、そういう報道は聞いておりません。現在大西洋、北氷洋方面に展開しておりますポラリス潜水艦も、所在の艦隊の司令官の指揮を受けておりません。直接ワシントンの指揮を受けているようでございますので、太平洋配備のポラリス艦隊も、おそらくはワシントンの特別指揮下に入る、このように私は承知しておりますが、なお、その点はアメリカ側に確かめてみたいと思います。
-
○
大出委員 新聞記事に、指揮下に入ることになったことが明確に報道され、四隻の名前が発表されておるのでありますが、このことについての真偽のほどを、いまの御答弁、間違いないですか。記事が間違いということになりますか。
-
○海原
政府委員 私の承知しております事実は先ほどお答えしたとおりでございますが、一部新聞記事にそういうことが出たことも承知しております。したがいまして、この点は、先ほど申し上げましたように、なお一度調査をさせていただきたい、このように御了承願います。
-
○
大出委員 そうすると、七隻全部が配置をされるのはいつごろという見通しを持っておられますか。
-
○海原
政府委員 この点につきましても、実はアメリカ側の報道に二種類ございまして、七隻が来年中に編成を終わるという見通しのものと、当初四隻で先ほど申しましたように出発をして、あとの三隻の配備はここ一、二年のうちであろう、こういう二通りのものがございますので、先ほどのようなお答えをしたわけでございます。
-
○
大出委員 ところで、A3を積んでくるというのでありますが、一隻おおむね十六発、これも間違いありませんか。
-
○海原
政府委員 ポラリス潜水艦のミサイルはポラリスミサイルでございますが、これにはA1、A2、A3の三つの弾頭がございます。現在アメリカは、いまお話のございましたA3のものを新しく就役するポラリス潜水艦には装備いたしておりますので、太平洋配備のものはA3のものである、こういう推定の報道が出ておりました。私どももそのように判断いたします。
-
○
大出委員 ところで、ソビエト側の、この間私が質問をしたら、就航中の原潜二十三隻というお答えをいただいておるのでございますが、その後のいろいろな文献、報道等によりますと、どうも少し食い違いがあり過ぎるように思うのでありますけれども、もう一ぺんひとつウラジオストックを基地とするソビエト側の原子力潜水艦の状態、この前一ぺん答弁をされておるのでありますから、お答えいただきたいと思います。
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○海原
政府委員 ソ連の原子力潜水艦の実際の就役数につきましては、これも先般お答えした機会にも申し上げておきましたが、いろいろな推測がございます。そこで、先般申し上げましたのは、この一月に出ましたアメリカのザ・ネイビーという専門誌に出ております見積もりでは、二十五隻である、こういうことを申し上げまして、さらに二十隻と見ておるものもございます。ウラジオにおります隻数につきましては、これはたしかスウェーデンの見積もりと思いましたが、約九隻程度というのが現在ウラジオを基地として就役しておる、こういうことでございまして、それ以上のものは私どもとしても承知いたしておりません。
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○
大出委員 ところで、射程距離がA3ポラリスで三千キロといわれたり、四千キロあるいは四千五百キロといわれるわけでありますが、その辺のところの真偽のほどはおわかりになっておりますか。
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○海原
政府委員 アメリカの公式の発表によりますと、A3の弾頭のものは射程二千五百ノーチカルマイル、こういうことでございます。それをキロにいたしますと約四千八百キロ強になるわけでございますが、実際にはそれ以上飛ぶということでございまして、先ほど申しました二千五百ノーチカルマイルという数字のかわりに、四千八百五十ノーチカルマイル、こういう数字もございます。しかし、これは、アメリカで兵器をきめますときの基準の数値がございますので、私どもといたしましては、A3のものは二千五百ノーチカルマイルの射程距離を持つもの、こういうふうに解釈いたします。
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○
大出委員 出されております法案との関連もありますから、ここで一つ伺いたいのですが、米国における発表の中で、米軍軍事基地の閉鎖をこれは相当大量に行なうという、九十五カ所ですか、もちろんこれは、ミニットマンの開発が進んでいますから、アトラス、タイタンとか要らなくなった第一撃能力的なところをということも考えられはしますけれども、大量に閉鎖をする、こういうマクナマラ長官の発表が行なわれているわけでありますけれども、これについて一応日本は該当をしない、こうなっているわけですね。そこで、この問題とポラリス配置の問題との関連で、いま言われるたいへんな射程距離を持つわけですから、そうなってくると、軍事費の削減等の問題ともあわせて、基地縮小が必要になってきた、逆に言えば基地を縮小をしていい段階が来た、こういう理解が成り立つわけでありますけれども、同じように考えておられますか。
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○海原
政府委員 今回のアメリカの基地縮小の内容は、私の承知しておりますところでは二つでございます。一つは、アメリカ国内におきましての閉鎖をして差しつかえないと認められますところの工場、たとえばニューヨークにあります海軍の工廠を閉鎖するとか、こういうアメリカ国内におきましての軍、民間の工場をさらに能率的に運営していくための閉鎖措置、これが一つでございます。もう一つは海外基地でございますが、この海外基地のうちではまだ具体的な名前は出ておりません。しかし、私どもの判断では、たとえば、スペインに置きましたところの空軍の基地であるとか、あるいはアフリカにおける基地とか、こういうものは新しい航空機の発達の現状においては必ずしもあそこに保持しておく必要はない、さらには、大体年額五百億ドル程度に軍事費を押えたい、こういう政策から今回の措置になった、こういうふうに聞いておりまして、これ以上のことは私どもはつまびらかにいたしておりません。
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○
大出委員 そこで、ポラリス潜水艦の配置を完了させようという努力を相当強力に進めている。そうなると、四千キロからの射程距離があるとすれば、グアム島を基地にするということになって、来年と言っておりますけれども、七隻のポラリス潜水艦隊の配置が行なわれれば、一隻十六発載っておりますし、広島の原爆の三十倍の威力を一発が持っているのですし、十六発合わせれば第二次大戦の世界の全火薬の総量に当たるとまでいわれるのですから、しかもそれが、ソビエトにしろ中国にしろ、いずれをも攻撃ができる形になりますし、そういうことになってくると、当然主力はそこに注がれる。あるいは米大陸における、あるいは周辺地域における地下基地、液体燃料であるものではなくて固体燃料によるミニットマン等がどんどん開発をされていく、こうなってくる。したがって地上の基地閉鎖等が次々に行なわれてくる、こういう結果になってきているんだろうというふうに考えるわけでありますが、そうなると、相当な重点がこのポラリス潜水艦には置かれている、こう考えていい段階だ。そうなりますと、先ほどお話にありましたように、ソビエト側の潜水艦の状況等判断をいたしますときに、封じ込める、そしてポラリス潜水艦の行動範囲を容易にする、こういうことになりますと、ますますもってここで戦略的に攻撃型潜水艦の必要性が増大をする、これはもう理の当然だというふうに考えるわけでありますが、そういう観点の上に立って、佐世保にシードラゴンが入ったわけであります。そのあと、新聞の方々に聞いたところが、米大使館筋の情報だったというわけでありますが、ソードフィッシュが横須賀に入るということが一ぺん報道をされましたが、あわてて取り消した方々がおるようであります。一体、その間の実情と、いつごろ横須賀寄港ということになるのか、あるいはあきらめたのか、この辺の事情についてひとつ明確に御答弁をいただきたい。
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○小泉国務大臣 原子力潜水艦の日本寄港につきましては、佐世保入港のあと横須賀港に入港するというような新聞報道もあったことは、ただいま
大出委員の述べられたとおりでございます。そのときも、私のほうでは、こういう新聞報道があったがどうかということを外務大臣自身に、たしか閣議の日であったと思いますが、お尋ねしましたところ、いやわれわれのほうでもあの新聞記事がどこから出たのか驚いているのだ、全然まだそういうことは何ら通知も内報も受けていない、どうしたんでしょうかといって、外務大臣も全然知らなかったという事実もございます。さようなことで、いつごろ一体入るのか、また、当分入らないのか、そういうことは私のほうでは全然いまのところわからないという実情でございます。
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○
大出委員 現地横須賀の事情は、長官の御出身地ですからおわかりだろうと思うのでありますが、もっぱらクリスマスごろに入ってくるんだという話が流れ過ぎるぐらい流れているわけです。ところで、さっき申しましたことから、当然今後攻撃型潜水艦が日本に入ってこざるを得ないし、その必要性が増している、こういうふうに考えるわけなんです。その辺の事情について、いままでしきりに、どうも単なる兵員の休養だ云々と言っているのですが、ここまで来ると、もうぼつぼつ戦略的な必要ということを言っていい段階ではないか、こう思うのでありますが、海原さん、この辺どうですか。
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○海原
政府委員 原子力潜水艦が日本に立ち寄ります目的、意味等についてのお尋ねでございますが、この点は、従来いろいろな機会に申し上げておりますように、私どもといたしましては、特に日本の寄港がいまおっしゃいましたような戦略的な意味のあるものというふうには考えておりません。このことにつきましては、純粋に乗員の休養あるいは水であるとかその他の必要品のいわゆる兵たん補給のため、こういうことは事実そのとおりでございまして、戦略とか戦術とかということになってまいりますと、むしろ日本に寄らないことのほうにその意味があろうと思うわけでございます。原子力潜水艦は少なくとも二カ月程度は完全に行動を秘匿して行動ができるわけでございます。この騒がしい日本に寄ること自体に、むしろ戦略的な意味はないというふうに私は判断しておることを、ひとつ御了承願いたいと思います。
-
○
大出委員 専門家であるあなたがそういうふうに言われることは、まことに心外きわまるわけであります。それなら、いまお話があるから申し上げるのですが、とにかく科学技術特別
委員会で九日の日に質問があって、海原さんが答えておられるわけでありますが、第三回日米安保協議
委員会の席上で原潜寄港の要求が出されて、そのときの事情等から言って、第七艦隊に配属をされておる原子力潜水艦、これが東京近辺まで帰ってきて、あるいは日本周辺まで帰ってきて、さて日本で慰安、娯楽、休養ということになる、そのときに、第七艦隊に含まれている潜水艦、これが原子力潜艦水であるために日本に上陸できない、これでは兵員の士気をそそうするから寄港を認めてくれ、こういう理由であった。ところで、今度の攻撃型潜水艦の日本寄港について、核爆雷のサブマリーンロケットを積んでいた場合には入れない、こういうことになっている。そこで、この議事録を読んでみますと、港の近くまでやってきたのだが、サブロックを積んでおった、はいれない、この場合どうするのだと言ったら、その論争の中では、一つのサブロックに六人くらい人がつけば潜水母艦に積みかえられる、海の状態が普通の状態ならば積みかえがきくんだ、そう長い時間かからない、そうなると積みおろして入ってくる勘定になる、ここまで話が進んでいって、となると一体潜水母艦のほうはどうなるのだ、サブロックを積んでしまったのだから、こっちのほうは入れるわけにはいかない筋合いじゃないか、もちろんそういうことだ、だということになると、潜水艦のほうは、兵員はみんなと一緒に休養、娯楽できるけれども、潜水母艦のほうに乗っかっているたくさんの兵員は休養、娯楽を一緒にとれぬ、士気そそうするじゃないかという話になって、多少の推測もあってと、こういうかっこうになっておるわけですけれども、そこまで苦しい答弁をされておる。
いまの事情からするならば、世の中では、新聞の社説なんか見ても、あるいはいろんな最近出ている文章の論旨を読んでみても、ここまで来れば、幾ら言いのがれしてもしようがないから、ポラリス潜水艦が完全な配備ができて、それが第二撃的な意味で戦略の中心に据えられた、こうなった場合に、当然、哨戒という任務につく攻撃型潜水艦、これが前面に出なければならない、あるいは日本海にソビエト側の潜水艦を封じ込めるという意味における任務を持つ攻撃型潜水艦、これも当然その意味だけでも日本に寄港が必要になってくるのではないか、あるいは、しいて言えば基地にする必要があるのではないか、ここまで来ているんだから、そのことを率直に言ったほうがむしろ説得力があるんじゃないか、にもかかわらず、適当に前から述べておられるまことに理解に苦しむ兵員の休養、娯楽あるいは補給、そういうようなことを言っておるから問題が複雑になる、こういうところまで言っている専門家筋もあるわけでありますから、そういう意味で私はもう一ぺんこの際ずばり専門家である
防衛局長にひとつ御答弁をいただきたい、こう思います。
-
○海原
政府委員 私、従来いろいろな機会でただいま御質問になっております点の私どもの考え方を御説明しておるわけでございますが、これがそのとおり御理解いただけないのはまことに残念というふうに感じておる次第でございます。
先ほどの例の場合でございますが、かりにサブロックを持ってきておって、それが核であるからはいれない場合はどうするかという、そういう一連の設例を前提にしてのお話がございまして、そのサブロックというものは簡単に積みおろしができるのかという御質問がございましたので、これは長さ約六メートル、重さ一・八トン程度のものでございまして、通常の魚雷と長さは同じでございますし、重さはそれより四百キロ程度軽いものでありまして、兵員であれば六人程度の者が付き添いまして、これを持ち上げるものがあれば、積みおろし、積み込みということは別に困難ではございません、この程度のことしか実はお答えしておりません。それよりも先に、私どもの判断といたしましては、攻撃型潜水艦のすべてにサブロックが常に搭載されるということはないというふうな私の判断を申し上げておる次第でございますから、ひとつこの点はそのように御了解願いたいと思います。
先ほどの私の御説明に関連しまして、たとえばノーテラス潜水艦は、最初の一回の燃料だけで六万二千海里を走っております。二回目の燃料ではこれが九万一千海里に延びております。現在の第三回目の燃料ではおそらく十四万海里まで航行できるだろう、こういうふうに考えられております。したがいまして、先ほど、ポラリス潜水艦の配備に伴って攻撃型の原子力潜水艦が日本に入ってこなくちゃならないのじゃないか、 こういうお考えでございますが、私どもはそのようには判断していないという点を御了承願いたいと思います。
-
○
大出委員 そこで、重ねて質問いたしますが、佐世保に入ったシードラゴンについては、沖繩で関係の記者の方々等を呼んで公開をしたわけでありますね。このときに、ひとつ聞いておきたいのは、防衛庁の関係の方々が参りましたか。
-
○海原
政府委員 現在ここにおります者の話では、当然に儀礼的招待を受けまして中を見せてもらっておると思いますけれども、どういう者が何名参りましたか、この点につきましてのデータの持ち合わせがございません。私も先年シードラゴンには搭乗したことがございますので、当然に佐世保の私どもの海上自衛隊の幹部の一部の者は艦内を見せてもらっておるのじゃないかと思いますが、この点は至急調査いたしましてお答え申し上げます。
-
○
大出委員 私は、これもある人からと言うよりしようがない。言うとまたその人がおこられたりしたら困るので、だから、さっきから、ずばっとこうだと言ったらどうだと言って、私のほうで言えないで困っているのですけれども、つまり、それだけ紳士的にものを言っているつもりなんですが、行かれたことを私は聞いているのです。ですから、その点はいまさら調査するなどというそんなばかな話はないでしょう。シードラゴンが沖繩で公開をせられ、佐世保に入ってきて、あれだけいろいろなもめごとがあって、その後国会でもいろんなことがあって、その間口を緘して語らないということはおかしな話だし、これから調査するとか、うしろをわざわざ振り向いて、ここにいる者は行かなかった、そんなばかな話はない。
そこで、私の聞きたいのは、いまの点も明らかにしていただきたいのだが、もう一つ、現地で艦長に質問をいろいろしている中で、このシードラゴンというのはサブロックを積めるのかどうかということを質問をしたところが、何と質問してもこれに答えない。ところが、その前に日本
政府が一番最初に言ったのは、この種のものには普通の弾頭しか積んでなくて核爆雷は積めないのだということをしきりに言っておった。それから、シードラゴンだとかあるいはソードフィッシュだとかいうスケート型の古いもの、こういうようなものについてはソーナー装置がつけられないからサブロックは搭載できないのだ、こういうふうにしきりに宣伝をされていた。ところが、私いろいろ調べてみると、本年の初めごろに改装をされて、今日ソーナー装置もつけられる。ソーナー装置というのは前のほうにつけるのだそうですけれども、これは魚雷発射管が前のほうにあるからつけられない、こういう理由であったそうですけれども、大改装されて積めるようになっている、こういうことであります。そうなってくると、かつて私が質問をしたときに、われわれが行ってみればどうなっているのか一目でわかりますというようなことを
防衛局長はみずから答弁されている。全くしろうとばかりやるわけじゃないので、行ってみれば、これは積めるようになっているかいないかぐらいのことはわかる、幾ら部分的に隠しておってもわかる、そうなると、ほんとうに積めないのならば、しきりにそういう宣伝をしたのだから、艦長みずから、積めないと言えばいい。どう質問しても言わない。こうなってくると、先ほど来から何べんも言っているけれども、明らかにすべきものを明らかにしないという態度は、ますます問題を逆にしてしまう、こういうふうに私は考えますから、そのところは、海原さん、うしろを振り返って、ここにいる者は行っていないという、そうでなくて、実情を明らかにして、いま申し上げた二点についても明らかにしてもらいたい、こう思います。
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○海原
政府委員 先ほどの私のお答えが、私ども海上自衛隊の人間が行っておるのを隠しておるというてふうにもしおとりいただいたとするならば、これは私の申し上げ方が悪かったのでございまして、私は、行ったものと思いますが、具体的に何名、どういう者が行ったかわからぬから、これをひとつ調べさせていただきたい、こういうことでございます。
それから、さらに、ただいまの点でございますが、サブロックが通常のいわゆる原子力潜水艦に搭載できるかどうかという問題につきまして、私いろいろな機会に御説明してきたことを現在変更する理由は一つもございません。このことにつきましては、たとえば「アカハタ」にも、新しいスレッシャータイプ、すなわち舷側にそれぞれ二本ずつの魚雷発射管をつけて、艦首のほうには膨大なソーナー装置等を積んだもので、サブロックが搭載されているというような
紹介記事も現に出ておるわけです。私どもは、いま先生のおっしゃいましたように、古い一般の五七一クラスの原子力潜水艦が大改造をされましてこれにサブロックが有効に着装できるようになったという報道につきましては、全然承知いたしておりませんし、そのようなことは私どもの判断とは全然違うことであるということを申し上げたわけでございます。
-
○
大出委員 二つ念を押しますが、何人かの方が行って艦内に入られた、これは事実です。そこで、先ほど局長みずからも言っておられましたように、私が前に質問したときに、専門的な知識を持つ方が行けば、説明されなくても見ればわかるとおっしゃった。そうなると、片一方に、大改装されてソーナーもついておるしサブロックも搭載できるのだということがいわれている。このことを、積んでくるものはすべてサブロックなんで、核爆雷なんだと言い切られた
防衛局長のことだから、その中に入ってのことだというふうに受け取りたかったのですけれども、いまの答弁からすると、この種の型の古いものはそういう改造が行なわれているなどということは聞いていないという。そうなると、今度は逆で、局長の答弁の中に、スケート型、つまりシードラゴン、ソードフィッシュ、サーゴなどというものは、サブロックは積めないのだ、こういうことにまたなってくる。そこのところはどうも前の答弁と逆な食い違いがある。もう一ぺん念を押すけれども、局長はかつて、まず石橋さんからの質問で、核爆雷だということを言い切った。したがって、私は、午後の質問で冒頭に
政府の統一見解と違うではないかと言った。
政府の統一見解には、普通爆雷を積んでいるものと、核爆雷を積んでいるものがあって、普通爆雷のものは認めるが核爆雷のものは認めないのだ、こういうふうに統一見解で書いている。それを読み上げて念を押したら、椎名外務大臣がそこで海原さんを押えられて、それを引き取って答弁されたのは、統一見解はあくまでも統一見解ですと言い切った。そうなると、今度は午前中の石橋質問に対する答弁とまた食い違う。ところで、これは後ほど外務
委員会の席上でございましたが、椎名さんが冒頭に発言日を求めて、最終統一見解なるものを発表して、その統一見解の内容は、海原さんが答弁をされたとおり、一切核爆雷であることを認めた、こういう経緯であるのですよ。してみると、いま言われたような、シードラゴン、ソードフィッシュ、サーゴというような、一九五五年ごろできたものについてはソーナー装置等が積めないから核爆雷は積めないのだ、そういう言い方をしたことに私はうそがあると思ってきた。ところが、一方では大改装されて積めるようになっていると言っている。ますますもって報道がうそなんだというふうに思っていた。ところが、いまのお話では、だからこそ行っている方がいるのに見てきていてわからぬはずはないのにどうなんだと言ったら、改装されたんだなどということは聞いていないと言う。そうなれば、これはサブロックが積めない潜水艦ということになってしまう。そうなると、先ほどの、この間の答弁との食い違いがますますひどくなると思う。そこのところあたりはどうなんですか。
-
○海原
政府委員 私の御説明が不十分なために若干先生に御不満を与えていると思いますが、整理して申し上げますと、私が従来から申し上げておりますように、サブロックというサブマリンロケットが装備されますものは、いわゆる通常の原子力潜水艦のうちではスレッシャ一タイプのものである、これが第一。したがいまして、シードラゴンとかソードフィッシュであるとか、こういうものが改装されましてこれにサブロックが装着できるようになっていると私どもは判断いたしておりません。この点に関連しまして、先ほど佐世保に入りましたときの艦長のことば云々ということがございましたけれども、私どもが聞いているところでは、そのときの受け答えは、これは二日ありましたのでそのうちのどっちかわかりませんが、現在のサブロックはまだ研究開発中のものである、これが一つでございます。それがこの船に装着できるかどうかということについては、そういう具体的なことについてはノー・コメントである、これが私どもの承知している当時における艦長と新聞記者諸君との間の対話だと聞いております。あとのほうのノー・コメントということを、人によりますと、それは積めるのを積めるとは言わないのだというふうに御解釈される向きもあるようでございます。これは、アメリカ海軍のしきたりと申しますか、軍隊の当然のものの考え方でございまして、特定の武器がその船に積めるか積めないかということについては、これは言わないことになっている。私が従来国会において御説明いたしますところは、原子力潜水艦の構造上、さらには兵器体系の構成部門の関係上、スレッシャー以外の形の原子力潜水艦、いわゆる通常の原子力潜水艦でございますが、そういうものには積まないのだ、大改装しない限り積んでも意味がないのだ、ただし、その大改装というものは新しい潜水艦をつくると同じ程度の大工事になる、こういうことでありまして、したがって、アメリカの海軍省当局が言っておりますように、サブロックが搭載される潜水艦の数はスレッシャータイプのもの二十五隻、あるいは三十隻程度という言明もあるわけであります。したがいまして、私の御説明は従来から終始一貫しておることである。先ほどのおことばにございましたが、
政府の統一見解と違うとかどうとかいうことの関連につきましては、私当時の速記録を読んでみましたけれども、私の申したことが統一見解と違う、あとでそれがまた統一見解の修正になったようなことではないと承知しております。ひとつこの点はさらによくお調べ願いたいと思いますし、また、私に対しましては、先ほど申しました椎名外務大臣から制されて私が答弁をしなかったという事実はございません。これは何らかのお間違いではないかと思います。ひとつそのように御了承願いたいと思います。
-
○
大出委員 三点ほど念を押しますが、一つは、皆さんの側からその船に行かれたという事実、現実に見てこられているということです。もう一つは、大改装をして積めるようにしてある、こういうふうに伝えられているがというように私は質問しておりますので、つまり、大改装をすれば積めるということになる。しかも、大改装をして積んでいるのだというふうに発表された記事がある。そこで、いま言われるのは、行って見られた方々があって、その事実の上に立って言っておられるのですか。
-
○海原
政府委員 先ほどの佐世保に入った場合の海上自衛隊関係の見学者の件でございますが、ただいま電話で聞きましたところが、当時体験乗艦した者はないということでございます。ただし、その前に沖繩に入りましたときに、内局の者、広報課の者が体験搭乗をしている。これはあるいは倉卒の間でございますので間違いがあるかもしれませんが、一応いま電話で聞きましたところが、佐世保入港時の防衛庁関係者の体験乗艦、——体験乗艦ということばにあるいは若干誤解があるかもしれませんが、一応ないということでございます。なおこれはもう一度調べさせていただきますが、いま先生の御質問の、行った者が見てどうだこうだということは、私報告を聞いておりません。
さらに、大改装が行われたということの新聞記事は、私は、おそらくはこれは完全な誤りである、こういうふうに判断いたします。
-
○
大出委員 ずいぶんどうもそこのところ無責任だという感じがするのです。つまり、私がさっき申し上げたのは、沖繩でということを申し上げたのです。佐世保のほうは私はそこまで調べておりませんからわかりませんが、私の想像では、沖繩でも乗っているから佐世保でも乗っているだろうと思って、ここは念を押したわけじゃないのです。ところで、行って見た方があるのに、その辺の実情を防衛庁で直接お聞きになっていないということは、ずいぶん無責任な話で、われわれが行って見ればわかるとおっしゃったが、そうするとそこのところはどうも私は解せないのですね。何かもうちょっとありそうな気がするのですが、そこのところはほんとうに調べた結果じゃないのですか。
-
○海原
政府委員 どうもお話が行き違っておって申しわけありませんけれども、このシードラゴンというのは、私、二年前にハワイで乗りまして、その際に艦内を全部見せてもらいました。そのときにも魚雷発射管が前に六門後に三門でございました。これには、通常の魚雷が装てんされておることは私も確認しております。その後シードラゴンというのはドックに入って改装されたという事実はございません。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、サブロックを有効に使用するようなソーナー関係の機材が艦首に積み込まれることはあり得ないわけでございます。
〔
委員長退席、伊能
委員長代理着席〕
したがいまして、最初に申し上げましたように、大改装されてサブロックが積み込まれるようになったという事実は完全な間違いだ、こう思うわけでございます。ただ、沖繩に行った者がなぜその点を確かめなかったかということになりますと、念には念を入れましてその際さらに注意すればよかったのでありますが、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、その後大改装の事実を承知いたしておりませんので、行きました者にそのような指示を与えませんでしたことは、あるいは先生御指摘のように若干の不注意だった、こういうふうに感ずるわけでございます。
-
○
大出委員 関連をしますので、もう少し聞いておきたいのですが、佐世保出港時は、あれは補助エンジンで出たのですか。
-
○海原
政府委員 私、その事実は承知いたしておりません。
-
○
大出委員 そうすると、どのモニタリング・ポストなどをつくっていろいろ調査をされたのだろうと思いますが、その結果は、これは新聞にちょっと出ておりましたが、もう一ぺんここではっきり、どういう結果になったのか、長いことは要りませんから答弁をしておいていただきたい。
-
○小野
政府委員 これもお答え申し上げられないので恐縮でございますけれども、その調査の実施並びに結果の関係は科学技術庁の所管でございまして、私どもはその発表をただ知るだけでございます。
-
○
大出委員 これは、
内閣委員会で原潜問題以後やったことがないので、やはりこの際明らかにしておいていただきたいので、質問の間でもけっこうですから、科学技術庁からどなたかお呼びいただいて、さっきから外務省にも言おうと思ったのですが、時間の関係もあって遠慮しておりますが、やはり明らかにしていただきたい、このように思いますが、よろしゅうございますか。
-
-
○
大出委員 それでは、原潜関係の残っている問題は幾つかありますが、これは科学技術庁の方がお見えになってからひとつ承らしていただきたいと思います。
次に、防衛施設庁の皆さんが、これはどういう措置をされるか、されたかという問題も含むのでありますけれども、厚木基地の爆音の人権侵犯の提訴がございましたが、そこで三年半ぶりに回答が出た。この回答によりますと、基本的人権尊重の立場からこのまま放置することはできないというふうに結んでいる節があるのでありますが、詳しく申し上げる前に、この点についての施設庁側の取り扱い、考え方等についてまずお答えをいただきたい。
-
○小野
政府委員 人権擁護局からの御通報がございまして、御指摘のような結論がございましたが、私どもといたしましては、かねてからあの状況は好ましいものではないということはよく考えておりまして、実はまだ十分な手が打ててなかったという点はございますけれども、たとえば、騒音の発生そのものを押える、あるいは防音の施設を講ずる、あるいは近所の方々の御希望に応じて移転の取りはからいをしてあげるというようなことはしてまいったわけでございます。しかしながら、今日の状況が、従来と比べまして一そう激化しているようにも存じます。そういう際でもありますので、今度の御勧告の
趣旨もございますから、そういうような対策を一そう強化してまいりたいということで、いろいろ準備をしておる段階でございます。
-
○
大出委員 これは三年半にもなりますし、その間のいろいろな論争もあるのですが、まず人権擁護局の出している一つは、今日のこの健全な国民感情に照らして耐えられねばならぬ限度を越えているかどうかということです。それから、もう一つは、騒音の発生の防止、軽減、騒音の伝わりを阻止する方法があるか、これらの防止・軽減などの措置があまり高額でない資金でできるかどうかの事柄を総合的に判断しなければならないと思う、こういう非常に政治的なもののうたい方をされて、さっき申しましたように、しかし、
憲法の理念である基本的人権尊重の立場からこのまま放置することはできない、こういうことになっております。金がないから基本的人権が尊重できないということもおかしな話だが、ここで、それほどたいへんな金、こう言っておるのだが、どれがそれほどか、それは一般の常識になるわけですが、そうなると、これについては、やはり耐えられねばならぬ限界を越えているかどうかという問題ともからんでまいりまして、この辺のいまの騒音の問題等を含めて、耐えられねばならぬ限界を越えているのかどうか、この問題についてどういう見解を持っておられるのか、それから、防止する方法があるのかないのか、この辺どう考えておられるのか、それから、いま申しました金の問題についてどの辺のことを考えておられるのか、これらの三点について承りたいと思います。
-
○小野
政府委員 非常にむずかしいお尋ねでございますが、まず第一点の、耐えられる限界かどうかという問題でございますが、これは、そのときの状況あるいはその場所のいかんというようなことによりまして、そのつど事情が違ってくると思います。一般的に申しますならば、何と申しましても、飛行場にごく近いところ、特にエンジンのテスト場に近いところ、あるいは離陸直後の滑走路の真下、こうしたところは相当にきついのでございまして、そういうような近接部分においては、あるいは耐えられないと考えられるのも妥当かと思います。しかしながら、一般に騒音の問題は、他のたとえば鉄道のガードなどの関係とか、その他のそうしたようなところでも騒音は相当に出ているわけでございます。一般的に一体騒音というものをどこまでこれをやむを得ないものとしてごしんぼう願うかというような問題については、いま各方面で検討している問題でございまして、どの程度からは耐えられなくなるのか、あるいはどれまではがまんしていただけるものかということにつきまして、いわば公害というような考え方をするならば、この公害を受忍していただく限度はどれくらいかということについては、現在のところははっきりしたものがございませんが、できるだけ御迷惑を少なくするというのが一つの考え方であろうと思います。
それから、第二点の、対策があるかということでございますが、根本的には、飛行場があります以上は、どうしても騒音は出るのでございます。ことに、地上の騒音はある程度押えることができましても、飛行中の騒音というものはまず押えようがないわけでございます。そういう意味におきまして、絶対的な音をとめるという方法はございません。しかしながら、その音を少しでも緩和、軽減するということにつきまして、いろいろくふうがないわけではありません。そういうような意味で、たとえば防音工事を施すとか、あるいはサイレンサーをつけるとか、そういう方向では努力しているわけでございます。
それから、お金がかかり過ぎたらどうこうということでございますが、この点につきましては、これまた非常にむずかしい問題でございます。たとえて申しますならば、近所の方が御迷惑であるということから、その周辺の地域を何百坪すべてきれいにしてしまう、居住する方がないようにするというようなことならば非常に効果があがるのでありますが、その場合には数百億あるいは数千億というような経費もかかろうかと思うのであります。そういうようなことで、まあお金の問題は、やはり国家財政全体の問題との関連におきまして、ある程度のといいますよりも、国家財政全体のうちできめられることになろうと思うのであります。ただ、私どもとしては、現在の予算は大幅に伸ばしていただきたいという念願を持っております。毎年財政当局とは折衝を重ねておるという状況でございます。
-
○
大出委員 これはそういう理屈は要らないと思うのです。まず聞きたいのは、各方面でいま調査をされているとおっしゃっているのですが、具体的に言うとどういうところで調査をされているのか承っておきたいのと、もう一つ、百ホンということで電車の通る際のガード下の音だということでありますから、百三十ホンぐらいというと、すぐ近くにいられると鼓膜が破れるという。現地の諸団体が調査をしております内容がここにございますが、これによりますと、百四十三ホンまでの記録が出ているのですね。そうなると、耐えられる限度をどこに置くかという問題がありますけれども、いずれにしても、耐えられる筋合いではない。これは、行ってみたことがない方にはわかりませんが、話も満足に通じない。私は大和にジェット機が落ちましたときに行きまして市長さんといろいろ話していたんだが、それこそ、ひっきりなしに飛ぶことになると、何としても話が通じない。テレビはまるきり見えない。こういう状態です。そうなってくると、これは耐えられる限界などというものでなくて、すでに、鶏が卵を生まなくなったとか、牛が子を生まなくなったとか、母乳が出ないとか、子供が泣いてしまって泣きやまないとか、学校の子供が勉強にならぬとか、もうこれは数限りなくある。ずいぶん長いこと住んでいるにもかかわらず、今日なおそうであって、ノイローゼぎみの方々がたくさんいるという調査もたくさん出ているわけです。そうすると、これは耐えられるとか耐えられないとか言っているよりも、行ってみれば一番よくわかるんです。行った方が耐えられないのであります。これは明確なんであります。そういう状態なんでありますから、いかに政治的に考えられたか知りませんが、結局人権侵犯の提訴について三年半かかりましたけれども、この種の結論をとりあえず出さざるを得なかったんだろうと思う。そうなると、それに対していまのような形でいったんでは、あとからまた申し上げますけれども、どうもおさまりのつく筋合いではないのです。そこのところを、たとえば法務省で、どこかからながめてみてもなるほどという形での権威のある調査をする、調査結果を出すための予算を組むのかどうかというふうな問題も出てまいりましょうし、それから、防衛庁として一つの計画を発表される、こういうことも必要でしょうし、そういう中から地元とも話し合うという形が出てこなければならない筋合いだと思うのでありますけれども、一体どこで検討されておるのか。さらに、いま申しましたように、予算的措置はどうしたのか、具体的にどうなっているのかという点を二、三点承りたい。
-
○小野
政府委員 他の官公庁でどうこうということを私申し上げたわけでございませんけれども、公害としての騒音についていろいろ検討しておられますのは、たとえば東京都庁も一生懸命やっておられます。また通産省においてもその問題は扱っておられます。あるいは運輸省におきましても当然お考えになっておられると思うのでありまして、実際には公害の限度というようなものを一ペんにきめるということは困難でございまして、そのつどの対策というものについてそれぞれ御苦心なさっておると思うのであります。この点は、どこで専門的に統一的に調べておられるかというお尋ねでございますならば、私がそういうふうに申し上げたようにお感じでございましたならば、その点は訂正さしていただきます。
それから、騒音の耐えられる限度はどこかというようなことについてもっと思い切った措置が必要ではないかというお尋ねであろうと思うのでありますが、現在私どもといたしましては、ただいまそうしたような騒音対策措置としていただいております、あるいは実施しております予算というものに限りがあるわけでございますが、それを一気に何倍にもふやしていただくということは、やはり国の財政の都合でなかなかむずかしい問題でございます。ただ、私どもは、できるだけ大幅に前進はさしてまいりたいと考えながら、今日特にいま先生がお尋ねの問題の中心であろうと感じます厚木の飛行場につきましては、他の飛行場もございますけれども、特に滑走路の延長上の進入正面下の土地について、従来よりも幅広く、いわば非住居地帯と申しますか、人さまが住まないで済むように措置をいたしたい、このうちさらに必要な部分は国のほうで一般の土地も買収をいたしたいというようなことを考えております。この辺につきましては、どのくらいお金がかかるということになりますと、これはそれをやる規模のいかんによるわけでございますが、まず一口に申しまして、この程度やりたいというようなところでも数十億というような数字は出てまいっておるという状況でございます。
-
○
大出委員 これは、愛情ある政治と佐藤総理がおっしゃっているわけですから、そうすると、ほんとう言うと、この辺のところは、私が申し上げるまでもなく、非常に広範囲にわたって人権侵害に類することまで含めた被害が及んでいるのですから、本来これは防衛庁長官の小泉さんに承りたいのだけれども、いま小野施設長官がおっしゃっているように国全体の問題だとおっしゃるなら、
政府全体の問題だとおっしゃる限りは、これは与野党云々などという問題ではなくて、やはり衆議院、
参議院という場所において、むしろ
政府側からもう少し権威ある調査
委員会等をつくっていただいたり何かして、こういう結果も出ているのだからという前提に立って大きく問題解決に乗り出す、そういう形がとられなければならない時期に来ていると私は思っておるわけです。そうしないと、所管の各省がばらばらにいろいろなことを検討はしているのだが、さっぱり結論が出ない、いずれも不十分、こういうかっこうであったのでは、これはおさまりがつく筋合いではない。基地周辺住民安定法等の問題もありますが、そのうちにそれこそ国会を取り巻いていなかの方々がむしろ旗を立てて来るということになりかねない。そういう時期なんですから、まずもってそこのところをひとつ承っておきたいわけです。そういう愛情ある政治のあり方というものを総理みずからが言われているのですから、社会開発を云々されているのですから、そうなってくると、この種の問題は、それこそ、何べんも言うようだけれども、イデオロギー云々の問題でなくて、現にどうにもならない、やり切れないという状態でありますから、それをこれだけ長い間放置しておくということはないと私は思うのです。そこのところあたりはひとつ抜本的に御相談をいただくという考え方はないのかどうか、承っておきたい。
-
○小泉国務大臣 基地問題については、私は日本の国防の上から基本的な一番重大な問題であるということを痛感をいたしております。御承知のとおり、基地の周辺における方々が迷惑をこうむっておられる障害をできるだけ除く、そうして基地周辺の民生の安定に万全を期するということでなければならぬのでございますが、ただいま
大出委員の言われましたとおり、これが全くたいしたことも行なわれずに今日まで長年にわたって基地周辺の方々に多大な御迷惑をかけておるということは、まことに遺憾にたえません。私もかねがねこの問題については最もこの事情を現地において承知しておる議員の一人でもございましたし、また長官就伝以来、基地問題だけは国防問題の最重点施策でなければならぬということを今日までも強調してまいっておるわけでございまして、いままでのようなやり方ではとうていこれは問題は処理できない、もっともっと基本的に
政府自体がこれに本腰を入れて取り組まなくちゃならない問題じゃないかということを、この前閣議の席上でも実は申し上げてあるわけでございまして、御承知のように、基地安定法の法律の制定等も行き悩みになってまだ解決をしない、そうして、
内閣に基地問題対策懇談会等が設けられておりますけれども、具体的に実際の面において予算の裏づけがなくて問題が遅々として進行していないということも、
大出委員の言われるとおり、まことに遺憾ながら事実でございまして、この点に一番腐心をいたしておるのでございますが、今後はこういう面に防衛庁当局としても
政府自身といたしましてももっと積極的に具体的に予算の裏づけを得て推進をしていかなければならぬということを痛感をいたし、今回の予算折衝等につきましても、私は最重点的にこれを強く推進をいたしたいという決意でおるような次第でございます。
-
○伊能
委員長代理
大出君に申し上げますが、科学技術庁から原
子力局長が見える予定になっておりまして、長官は文教
委員会の了承を得てちょっと外出しておるそうですから、御了承をいただいて、村田原
子力局長が見えたら御質問いただきたいと思います。
-
○
大出委員 いまの点と関連をいたしますが、厚木基地にいろいろな種類の飛行機、ジェット機がございますね。いまどうしても第一線で使わなければならぬという飛行機はどの種類なんですか。どなたかにお答えいただきたいのです。というのは、あとで現地司令官との関連もありますから。F8クルーセーダーというのがありますし、F4ファントム、RA5ビジランティというのもございますね。これは機種をあげれば切りがないのですがたくさんある。中でもF8クルーセーダー・ジェト機がすでに六回も本年に入って落ちているわけです。それでたいへんな人が死んだり、被害が起きているということがありますが、これは基地司令官に現地の皆さんが、がまんし切れないで抗議を申し込んで行っているわけです。この機種の航行をやめてくれといって、やりとりがいろいろ行なわれている。どうしてもこの機種を使わなければならない筋合いになっているのか、さらに、もう一つは、現地の司令官に訓練をやめろという申し入れもしておった。いろいろあるのですけれども、この辺について、防衛庁の側は、将来この種の事故が起きないようにいたしますということを言い、米軍も言うのだけれども、依然として起こっている。それで、極端なことを言えば、飛んでいるものが落ちるのはしようがないという言い方をする。こんなばかな話はないから、そこらを
政府側は一体どういうようにお考えになっているのか、ずばり聞かしていただきたい。
-
○海原
政府委員 厚木に配属あるいは飛来してまいりますところの航空機がどうしてもなくてはならぬものかという御
趣旨のお尋ねと解釈いたすわけでございますが、この点は、私どもは日本の現在の安全と繁栄とは、国防の基本方針にございますように、何といっても安保体制というものが背景にございまして、そのもとで今日の状況になったものと、このように承知いたしております。このことは従来いろいろな機会に総理大臣あるいは防衛庁長官からも申し上げておる次第でございます。そういう前提下で考えますと、厚木におります飛行機はその一番実際的な意味のあるものでございます。しかも、その機種はクルーセーダー、これはF8でございます。あるいはときによってファントムF4Bというものもございます。こういうものは現在アメリカの航空母艦あるいは海兵隊におきまして最も新しい飛行機でございます。ちょうど、横田におりますところのF105という戦闘機、これに相当するようなものでございます。私どもの考え方では、こういう飛行機はぜひ日本の安全のために必要なものだ、こういうふうに考える次第であることを御了承願いたいと思います。
-
○
大出委員 私の聞いているのは、現地司令官に、なぜ一体落ちるのか、原因を明らかにしろと言ったら、原因は二つあるのですね。一つはパイロットの訓練をやっているのだからということなんです。そうなると、これは人為的に防げる筋合いのものもある。いま局長が言うことについて、ものごとというものは順序を追って進めなければしょうがないと私は思っているから、いま直ちに安保条約をなくせと言っているわけじゃないが、当面とにかくしF8クルーセーダーだけで今年に入って六回も落ちて、一ぺんに五人も死んでしまったり八人も死んでしまったりするわけなんですからね。これはみな同じ機種なんです。そうなってくると、F8が飛んでいると、形を見ればわかるのですから、地元の人はいつ落ちはせぬかと不安を感ずるという状態なんです。しかも、これはパイロットの訓練だなどと無責任なことを言っているわけです。しかし、これは人為的に防げるものは防がなければいかぬでしょう。そういう点について防衛庁の側はどういうふうに見ているのか。これは現地に行ってみればまことに切実な話です。しかも広い範囲に及んでいるわけです。そこのところをどういうふうにやりとりをされ、どういうふうに考えておられるのか、事故の原因等についてなぜ公表ができないのかということを明確にしておきたいわけです。
-
○小野
政府委員 米軍飛行機の事故につきましては、合同
委員会の下部機構として事故分科
委員会というものを設けまして、その原因の究明並びに今後の予防対策というようなことにつきましていろいろ日米協議をしておるわけでございます。いまお話しのようにF8が最近よけい落ちているのは事実でございますが、実際の問題として機数も多いようでございます。そういうような意味で、その数字が大きくなるのは残念ながらやむを得ないことであろうかと思うのでありますけれども、特にF8が悪い飛行機であるか、古い飛行機であるか、故障が起こりやすい飛行機であるかというような点につきましては、そうした
委員会で論議されておるようでございます。この
委員会の決定も合同
委員会ではかるわけでございまして、これは専門家の間で論議をしてもらっておるのでありますが、一がいにF8があぶない飛行機であるという結論は出ていないわけでございます。こうした事故の防止につきましては、米軍といわず自衛隊といわず、すべて事故防止のいろいろな措置、対策といたしまして、何と申しましても法令を順守し、また機体の整備点検等を十分にする、その他いろいろ訓練、教育をするわけでございますが、こうした中で事故が起こることはまことに残念でございます。
ただいまパイロットの訓練だからやむを得ないのだと米司令官が申したというお話がございました。この訓練という意味は、私ども専門家じゃございませんけれども、軍用機に限りませんが、特に軍用機の場合、やはり常時飛んでいることが訓練でございます。特に特殊な危険な訓練を意味するならば別でございますが、普通に飛ぶことが同時に任務であり訓練であって、これはやむを得ないではないか、これをやめろと申しましても無理ではないか、こういうふうに思います。
-
○
大出委員 私も、実は、この機種の被害問題は、行って見た現実があまりにひどいから、質問をしながらじりじりするのです。そこで、私はいまのようにとりあえず打てる手は打っていかなければならない筋合いだろうと思っているのです。というのは、例の町田、大和の被害が相次いで起こったのですが、大和のほうの館野さんのうちについてこの間行ってみたのです。前の焼け落ちたあとはそのままで、仮小屋を建てて、その小屋の中のかもいに、なくなったむすこさんの写真が次次にかけてある。ジェット機が上を飛ぶとゆれ動くというかっこうの中で、しかも工場再建のめどもつかなければ賠償問題の解決もついていない。おやじさんに聞いてみると、オリンピックの間でも各関係の会社を飛び回って証拠書をもらってきたり受注書をもらってきたりして、一億何がしの賠償請求は出ておりますけれども、そのうちで二千何百万とか三千万というけた違いの話が出ている。それでは、不渡り手形の決済その他をやってみると、それで終わってしまう。そうなると、うちも建たなければ工場も建たない。まして、せがれの補償どころの話ではない。どうにもならぬではないかと涙を流して奥さんも言われ、御主人も言われる。こうなってくると、時の政治、国というのは一体何をやっているのかということに結果的になる。これは理屈を言っておっては現実の問題は片づかない。特別
委員会をつくったり対策
委員会をつくったりしてみたけれども、
政府側としてはどうにもならないのですということだけでは、どこから考えてもおさまらないのです。だから、もしそれでもどうしてもできないのだいというなら、何か地元の諸君と相談をして別なことを考えなければならぬということも最近では考えておるのです。そういう時期だけに、もう少し、館野氏の補償の問題等も含めて、どういうふうにしようとされておるのか、明らかにしてもらいたい。お先まっ暗で、館野さんは、一生かかっても補償問題で飛んで回ると言うておる。しゃくだからやるのだ、あきらめ切れぬからやるのだと言う。そうなると、その辺のところを何とか解決しなければおさまる筋合いではない。そういうことで、一つ一つやれるものからやっていくということで片づけてくれないと困る。とりあえず米軍と話して、どうしてもこれだけはということで、あの地域にF8というやつは、クルーセーダーというやつをやめさせる、あるいは訓練飛行もしないというようなことにするとか、おっしゃるとおりあと幾つも基地はあるのですから、その辺のことぐらいは、なぜ米軍と皆さんが話し合ってそのくらいの芸当は打てないのか。そうして補償の問題なんかももう少し親身になってひざ詰めで話すくらいの熱意を持ってやらないのか。形式がこうなっておりますからこうでございますということで、何がございませんかにがございません、そろえてきてください、証拠不十分だ、これでは地元の諸君はたまったものじゃないですよ。だから、そういう点等を含めて、もう少しここのところ、大臣もおられるのですから、突っ込んだところを聞きたいわけです。事故原因がどうだとか、だからF8はこうするとか、米軍と話し合ったらこういうことなんだから、将来こうしなければならぬとか、何とかならないですか。ここの辺のところはめちゃくちゃですよ。
-
○小野
政府委員 大和の事故につきましては、いろいろ御心配をおかけしておって、恐縮でございます。事故の原因につきましては、あの落ちました飛行機のエンジンをそのメーカーである本国の会社へ送りまして、そこで精密点検をいたした結果、どうもそれからは、はっきりした故障の個所というか、原因というものがつかめなかった。しかしながら、その落ちたときの状況をタワーその他で見ておる者がございまして、あるいはパイロット本人の証言がございまして、少なくともエンジンの故障である、煙をふいた、一つの大きなショックがあったということでございました。そういうことで、エンジンの故障ということにはなるわけであります。この点がさらにエンジンのどの部分にどういう関係の故障であるかということについては深く究明できずに参っております。
それから、被害者、犠牲者である館野さん御一家のことにつきまして、私どもも、非常に申しわけなく気の毒に考え、何とか御納得のいく解決を得て今後館野さんの御再起をお待ちしたいと考えて、いろいろお話し合いをしておるのでございますが、いま先生のお話にございましたように、世間一般のいろいろな考え方と申しますか、御納得をいただいておる線というものと、私どもは多くのケースを扱っておるわけでありますが、館野さんのお申し出が少し開きが大き過ぎまして、なかなか話がつかない。こういうことで、よくその辺の事情を御納得いただけるように御懇談を繰り返しておるという状況でございます。
なお、その折衝というか、御懇談の過程においていろいろめんどうをおかけしておるというお話でございますが、この点につきましては、やはり、損害額を算定するという場合には、ああいうような状況だったのでありますから、いろいろな証拠書類、資料等があるわけはございませんけれども、何とか少しでも、間接的にでも、こういうものがあった、特に高価、貴重のものにつきましては、だれかどなたかの御証言でも、あるいはそうしたような何か手がかりになるものをそろえてくだされば、こちらも処理がしやすいんだということでお願いをしておるわけであります。一々デパートの買いものの伝票をもう一回もらってきてくれ、こういうことを申し上げておるわけではないのです。その辺のところは、ほんとうにお気の毒な状況になっておりますので、館野さんの気持ちも当然とは思いますけれども、やはり、いろいろと御興奮なさることもございますので、まだスムーズにとことんまでお話し合いができるというようなところまでいっていないことはまことに残念ながら思っておりますが、私どもも誠意を尽くして解決に当たりたいと考えております。
-
○
大出委員 もう一つ、すぐあとで愛甲郡清川村に落ちておるでしょう。これは不時着という見方もあるのですが、勘定のしかたでは、ことしに入ってから十件目、こういうことになったのですが、これもまた同じ機種だということになると、これは魔のF8クルーセーダーなんです。いつあれが落っこってくるかという騒ぎですよ。次々なんですからね。ですから、そうなると、これを、原因不明でした、どういう手も打ちようがございません、米軍と話しましたがどうもはっきりいたしません、艦載機との関係でこの基地は第一線に使っているのだから取りやめるわけにはいきませんということで、米軍の司令官が来て、たいへん申しわけございません、事故が起こらないようにいたします、これだけでは、納得しろと言うほうが無理でしょう。ですから、私は、やっぱりこの際ここではっきりした形で解決しなければならぬと思うのです。前の
福田防衛庁長官のときも、私は町田のジェット機の墜落現場で一緒になりました。非常に一生懸命飛び歩かれてやっておられた。夜も帰らぬでおやりになったようなこともありました。まあ選挙区でもございましたが……。いろいろお話もしましたがね。あのときだって、遺族の方々に責任ある立場でほんとうに涙を流さんばかりにお悔やみを言っておられたけれども、何べん聞いても、地元の諸君は、言っただけじゃだめなんです。何か形にあらわれるものをしてくれないと、それこそ基地の中にすわり込むくらいのことをやりかねぬ状態がいま刻々出てきているのです。だから、神奈川県会でも、今回の会期中に、基地移転の問題、撤去の問題、さらに安定法の問題等をめぐってどれにするか、衆参両院に一つの特別
委員会くらいつくってもらいたい、こういうふうなかっこうの論議が与野党を含めて重ねられているわけですね。厚木にしろ、大和にしろ、海老名にしろ、各都市において、いずれも県あるいは市町村自治体の議会の中で、撤去をきめているところ、移転をきめているところ、片っ端でしょう。そういうことになってきているのに、なおかつ具体的な効果のある手が打てないままで推移していいのかどうか、ここの問題を私は申し上げたいわけです。そういう大きな手を政治的に打っておいて、さて補償の問題はということで、なるべくひとつということならまだしもです。それは興奮もしますよ。私がこの間行ったときだって一子供はみんな死んじゃったが、犬くらい帰ってくるかと思ったら、ふろ場の改装工事をやったら、ふろ場の下から炭化した犬が出てきた。こういうことですから、その実情というものは見られたもんじゃないですよ。単にこれは神奈川だけの問題ではなくて、事故が起これば全国至るところ基地のあるところはそういうことなんだから、私は、そういう意味では、閣内で対策
委員会をつくったんだ、予算がないからどうにもならないということでなくて、もう一歩進んで国会の中に与、野党含めたこの種の対策を立てるところをつくるというところまでいかないといけないと思うのです。予算がないということはわかっておりますよ。ないと言えばないのだから。だから、そういうふうにしないと、地元も納得しないし、基地全体にますます複雑困難な問題が起きてくる。あるいは皆さんは一生懸命やっておるとおっしゃるが、逆の意味の問題が出てくるわけですからね。だから、やはりそういう提起のしかたを皆さんがする必要がある時期じゃないかということを私考えておるわけなんです。ですから、どうしても米軍に施設庁なり防衛庁なりの皆さんが行かれただけで話がつかぬなら、やはり議会を代表する方々が一つの決議に基づいて出かけていって話すなり、現地に大量の調査団を送り込むなりする、その結果、解決をしないところはどこか、当面やらなければならぬところはどこかという形での話し合いを米軍あるいは米国との間にする、そこまでものごとを発展させないと、何一つできないままに、不満の累積のままに毎日過ぎていく。しかも、その下にいる人間というのは、百四十三ホンにのぼるようなたいへんな騒音の中で、病人なんというものはまさにどうにもならないという状態でしょう。ノイローゼは至るところに出てくるという、こういうかっこうなんだから、やはりそういう手の打ち方を皆さんが考えるべきではないか。移転という問題も出ておりますが、これはあとに具体的に問題がありますけれども、そこのところをもう少し皆さんのほうで何か前向きで考えていることはないのか、こう聞いているわけなんです。くどいようだけれども。
-
○小泉国務大臣 先ほど来の
大出委員の申されることは、神奈川県下の米軍機による被害者、周辺の方々の声だけでなく、私は、全国基地関係の住民の端的な心の奥底からの叫びであろうということを考えまして拝聴をしておったのでございますが、最近の事故の続発というものはまことに遺憾にたえません。しかも、それが十五件かのうち十件が神奈川県下に集中しているということからいたしまして、私、せんだっても、厚木の石井市長をはじめ、その後数回にわたって神奈川県会の代表の方々ともお目にかかりまして痛切な御陳情に接しておるのでございます。先ほども端的に、閣僚懇談会でのことについて申し上げ、いろいろな申し入れがあるけれども依然として予算の裏づけ等がなくて進まないで私も心を痛めておるということを申しましたが、ただいま仰せのとおり、やはりこれはもっと政治の上級において政治力を発揮する段階において何らかの措置を講じていかなければ、いままでのような、単に米軍に交渉をするとか、あるいは防衛施設庁といたしまして補償金の問題等について米側にできるだけ補償の増額を迫るとかいうような事務的な段階は、率直に申し上げますと、もう行き詰まってどうにもならないというのが実情でございます。先ほど来の御高見もありますとおり、私も、これは何らかの具体的な措置を講じて、もう一段高い次元においての解決方策を見出さなければどうにもならないと痛感をいたしておりますので、ひとつ近い機会に、私自身の意見といたしましても、もっと高い次元においてアメリカ側と話し合いを進めるという方策をとりたいと存じております。
-
○
大出委員 F104が主力戦闘機になる。つまり、第二次防衛力整備計画、第三次防衛力整備計画、こうあるわけですが、これらの発表を見ても、追加生産機五十機で金額にして総額が約二百四十六億円かかるのでしょう。防衛予算全体をながめてみたって、これはこの間いろいろ比較対照をしてみたのですが、二千七百六十四億円かかっているのでしょう。そうなると、生活保護費が九百十七億円、失業対策費だって五百九十五億円、道路が二千七百四十八億円、中小企業が、これは数字のとり方ですが、
政府の予算的な見方からいけば百六十四億円、こういうことなんだから、そうなると、金がない金がないと言えば、ないと言ってしまえばないのでしょう、そういう予算をお組みになれば。ただ、しかし、問題は、これだけの問題が起こって、泣く泣く毎日を送っている方々がこれだけたくさんいて、それが全国の各基地に似たような問題があるということになるとすれば、こういう防衛二法案なるものを強硬にどうしても通さなければならぬとお考えになる前に、まずこの種の問題を解決しなければ、国民は納得をしませんよ。私はやっぱりここのところの問題だというふうに考えている。だから、愛情の政治と言われる限りは、それらしい大きな手を皆さんがお打ちになって、その上で皆さんがまたものを言うのであればいざ知らず、こういう山ほどある問題をかかえていながら、一方では自衛隊を二十七万人以上にふやしましょうということから始まって、予備自衛官をつくりましょう、こういう形で金を使っていこうということになると、これはどこから言っても間違いであり矛盾だというふうに私は考える。だから、いま防衛庁長官が言われることはお気持ちとしてはわかります。わかりますが、それを具体的な形にあらわしていただかぬと、たとえば、さっき申しましたように、防衛庁というワクの中で、あるいは外務省というワクの中で米軍との折衝をやっておっても、この種の問問について、F8クルーセーダーだけを訓練をやめさせるなり、使わないようにするということだけでもできない。さらに、先ほどの人権擁護の問題等をめぐっての手の打ちようがない、こういうことに次次なってしまう。だから、やはりこれは衆参あげて与野党を含めての調査団を大量に編成をして出して、詳細な調査をあらためてして、それらのものを国会の議決として持ち込んで米軍とほんとうに折衝するなり米国と折衝するなり、あるいは衆参両方に特別
委員会を設けて、この問題についてどうするかということを、地元の諸君を呼んで検討するなり、そういうかっこうまでいかないと、片や安保条約というものをあすなくするわけにいかぬ世の中なんだから、そうなると、問題はいっになっても一つの大きな壁があって解決をしない。このままでまた何年もたってしまうということになりかねない。大和の市
会議長をやっておられる二見さんじゃないけれども、六十をこえておられて、死ぬまでやると言ってがんばっておる人も世の中にはいるんだ。だから、そこらのことを具体的に考えていただけぬかということを申し上げているわけです。
-
○小泉国務大臣 この防衛庁の問題につきまして、いま
大出委員から申されたような装備の充実ということも必要でございます。同時にまた、国防の基本とも私申しておりますように、基地問題、やはり事故も私は大きな意味で基地問題の一つだと考えておりまして、こういう問題の解決もあわせ行なっていかなければならぬというところに日本の防衛の非帯なむずかしさがあるわけでございまして、
大出委員の言われるとおり、F104の継続生産等をやる前にもっともっと事前に解決をする問題があるのではないかと仰せられる意味もよく了解できるのでございます。私も、
参議院でございましたか、F104の生産についての質問がありました場合にも、もちろんF104の生産は重要ではあるけれども、自分はこれだけをオールマイティとは考えてないのだ、基地問題その他幾多の重要な問題があって、その重要な問題の一つとして考えておるのだという答弁を申し上げたこともございますが、この装備の充実とその根底にある基地問題とあわせて勘案しながら進めていかなければならぬというところに非帯に痛心をいたしておるわけでございまして、今後はできるだけそういう前提になる問題を重点的に解決をしていくような方向にいかなければならないのではないかと、目下いろいろと研究をしておるような次第でありまして、
大出委員の申されることに対しましては、十分私ども当局として具体的に考え、またそれが具体化するように努力しなければならぬのではないかということを痛感をいたす次第であります。
-
○
大出委員 多少言い過ぎたきみもあるようですけれども、とにかく何とかしなければならぬ問題に間違いないので、これはお考えをいただきたいと思います。
村田さんがお見えになりましたから、先ほどと関連をする原潜問題の質問をさせていただきまして、あと多少まだ残りますので、先ほど
理事を通じてお話がありましたので午後に回させていただきたいというふうに思うのであります。
ところで、佐世保にシードラゴンが入られて、もちろんモニタリング・ポストその他おつくりになって調査をされたのだろうと思うのですが、先ほど海原さんに質問をしたのですけれども、補助エンジンを使って出たのではないかという疑問が一点。
それから、その種の調査をされたのだとすれば、その調査結果は一応新聞には簡単に出ておりますけれども、どういう結論になったのかという点を御説明をいただきたい。
それから、あわせて予算的な問題も承っておきたいのですが、科学技術庁の予算ですべてやっておられるのか、あるいは、そうでなければ、県、市段階における予算の負担等がどうなっておるのか。
それから、もう一点、全駐労関係、つまり基地労働者の皆さんを使う使わないという問題で前から問題があると思うのですけれども、原則としてということばを入れて文章を起こしているわけです。直接・間接の作業について原子力潜水艦が入った場合に原則として使わないということになると、やはりそこに地域ではもう一つ問題が残りますから、それらの点についてどういう御判断をされておるのか、この点についてもひとつ御説明をいただきたとい思います。
-
○村田
政府委員 まず第一点の、先月の十二日でしたか、佐世保に寄港しましたシードラゴン号が補助エンジンで入ったのではないか、こういう御質問でございますけれども、この点につきまして、厳密な意味でどうであったという確認はございません。しかしながら、アメリカ側が申してきております覚え書きにもありますように、原子力潜水艦は原子炉によって動かす、そして寄港しました後炉をとめまして、それから出港の前数時間にこれを起動して出ていく、こういうふうに言ってきておりますので、私どもとしましては、アメリカ側の覚え書きにある線に従ってアメリカ側が船を入れ、出ていったもの、このように了解しております。
それから、第二点の入港に伴いましての放射能調査の結果でございますが、御承知のとおり、放射能調査は、いろいろと分けまして、いろいろな種類の調査をやっておりますが、入港しました際に行ないます調査としましては、佐世保港に放射能監視艇といいますか、モニタリング・ボートと呼んでおりますが、この船を常駐させまして、これは本年度の予備支出で新たに購入し、あそこに置くようにいたしたものでございますが、このモニタリング・ボートに機械を積みまして、海水の放射能と空気中の放射能とを連続してはかれるような装置を載せてございます。潜水艦が入りますことは二十四時間前に通報がございまして、どこに停泊するということも連絡があるわけでございます。先般の際には、十二日の午前七時に第一ブイに係留するというような連絡があったわけでございますので、その前の日、十一日の夕方に、その停泊予定地点並びに佐世保湾内、これは回ってみますコースを関係省庁で打ち合わせましてきめてございますが、そのコースをただいまの船でぐるりと回りまして、そして海水中の放射能のレベルをはかります。念のために申し上げておきますが、このときにはかります放射能のレベルと申しますのは、空気中及び海水中におきましてガンマ線量が幾らあるかという、いわばグロスの放射能をはかるわけでございまして、その中身がどういうものか、どういう元素がどのようにあるからというところまでは見れないわけでございます。しかしながら、全体としてどれだけの放射能があるかということはわかるように相なっておるわけでございます。このようにしてはかりました後に、今度は、潜水艦が実際に入ってきまして停泊しておりますその途中の段階、実際には十二日に入りまして十三日の日に、潜水艦の周辺並びに定められました港内の所定の地点を同じくこのボートを動かしまして連続して放射能のレベルを測定いたしました。それから、最後に、潜水艦が出ていきました直後、これは十四日の午後二時に出ていったわけでございますが、出ていく時間に船を出しまして、第一ブイの場所を、出港直後大体十分くらいあとだったと思いますが、そのときにその周辺を数回回りまして、そうして海水の放射能を調べ、さらにその近辺の放射能を船を使って調べました。モニタリング・ボートによる調査は以上のような三つに分けた調査をやったわけでございます。つまり、入港の直前と、入港中と、出港の直後、この三回に分けまして、船に積んだ測定器で測定いたしました。
その測定の数値は、海水中の放射能につきまして申し上げますと、事前、つまり十一日に調べましたときが一秒間のカウント数で言いまして五カウントないし六カウントというところでございます。それから、停泊中、つまり十三日にはかりましたカウントは六カウントないし八カウントという数字が出ております。それから、出港直後、つまり十四日にはかりました数字は五カウントないし六カウント、これは一秒間のカウント数でございますが、そういう結果が出ております。したがいまして、モニタリング・ボートによりまして調べました範囲では、特に異状が認められなかったわけでございます。
なお、放射能の監視につきましては、御案内のとおり、佐世保湾の場合でございますと、モニタリング・ポスト、連続放射能の監視所といいますか、それを立神岸壁のところに置きまして、ここにも機械を二つ入れまして、空気中の放射能及び岸壁のすぐ下の海水の放射能を連続して記録できる装置が取りつけてございます。そのほかに、十カ所ばかり湾の周辺適当な個所に、モニタリング・ポイントと呼んでおるのでございますが、監視点と申しましょうか、そこに小さなボックスを置きまして、ここには集積線量、つまり、一週間なら一週間、一カ月なら一カ月の間にどれくらいの放射能がそこにはあったか、その累積の結果がわかる装置を組み込んだものを置いてございます。この累積の放射能の結果のわかる装置は、大体一カ月に一ぺん取り出しまして調べるわけでございますが、連続して記録いたします放射能の監視所のほうの記録を見ますと、ちょうど潜水艦が入ってきます前の日から何か佐世保は雨が降ったそうでございますが、そのずっと前から装置はもう動いております。その動いておりますのは記録用紙に記録がとられておりますが、その数値は大体九百カウント、これは機械の装置が一分間で出ておりますので、先ほどの単位とちょっと違いますが、一分間で九百カウントから千五百カウントの間で動いておる。雨がちょっと降りますと記録が少し上がりまして、千五百近くを記録しておる。雨が上がりまして少したつと前の九百に戻ってくるというようなことで、その間を出入りしております。原子力潜水艦が現実に入っておりました十二日から十四日の間の数字を見ますと、これが九百から千四百までの間で動いておる。出たあとでもずっと現在でも記録を続けておりますが、大体九百から千三百、千四百、そのくらいの間を往復上下しておる数値が出ております。したがいまして、この連続放射能監視所における記録も、入港の前と中とあとにおいて特別の異状は認められておらない、こういうふうに結果が出ております。
以上は放射能の大きさをグロスで見ました結果でございますが、なお厳密に測定の正確を期する意味におきまして、海水、それから海底士並びに海産生物、これらにつきましても一定量の試料を採取いたしまして、これらの試料に放射能及び同位元素が含まれておるかということを精密に分析調査いたしております。潜水艦が入ります前に事前調査ということで二回ほど九月と十月にいたしましたが、その結果は一部すでに発表してございます。船が出ました直後に、たしか十一月十六日からであったかと思いますが、再び海水、海底士並びに海産生物を所定の量だけ採取いたしまして精密検査を始めておりますが、これは東京に持って帰りまして東京の研究所でいたしますので、その結果はまだ発表いたしてございません。ただいまのところ、年末ぎりぎりか、あるいは年が明けて数値が出てまいるかと思います。以上が放射能調査の状況でございます。
それから、放射能調査に要します経費は、三十九年度としましては、約四千五百万円、それから四十年度としましては約三千万円を要求いたしております。三十九年度につきましては、もちろん予備費から支出いたしまして、ただいま申し上げたような設備並びに測定のための経費等がまかなわれておるわけでございます。御質問の中に県あるいは市等に対する経費のことがございましたけれども、この調査は国としていたしておりますので、国のほうの予算でやっております。ただし、先ほど申しましたモニタリング・ポストとかモニタリング・ポイントというものは、現地に固定の施設をつくります。そういう関係で、地元の市のほうと契約を結びまして、ここに委託しまして、国から金を出しましてつくっていただいた、こういうことに相なっております。
それから、最後の御質問でございますが、基地の労務者の問題でございますか、これは科学技術庁の所管ではないかと思いますので、担当官庁のほうから御答弁をお願いしたいと思います。
-
○
大出委員 いまの「原則として」と入っておるのは何か意味があるかという問題。直接・間接の作業に原則として従事させない、こういうわけですからね。その問題を明らかにしていただきたいというのと、それから、もう一つ、これは外務省と言われるかもしれぬけれども、いまのお話にあったように、前回は二十四時間前に通知が来たというわけですね。そうしますと、この次に入ってくる——つまり、入ってこないとは言っておられないんだから、いつになるかわからないけれども来るんだということですからね。そうなると、それはやはり二十四時間前に同様の通知があるかどうかという点と、あった場合に同様に一般に公表するかどうかという点を明らかにしていただきたい。
-
○小野
政府委員 提供港湾に入ります船の関係で基地の労務者を関与させるかというお尋ねでございますが、このことにつきましては、私どものほうへは組合の御要望もございましたが、別に組合側といろいろ折衝した結果は、原子力潜水艦に関する直接作業にはこれは全然タッチさせない、間接作業については、原則としてさせないが、場合によっては今後お話し合いの上でやってもらうことがあるかもしれない、こういうようなことでございます。これは佐世保の場合は直接作業も間接作業もいずれもタッチさせなかったのでございますが、これを考えましたのは、たとえば潜水艦の乗組員の衣類でございます。こういうものの洗たくというような作業があるわけでございます。こうしたものはあるいはやっていただいてもいいんではないかというような考え方があるわけでございます。もともと、直接・間接の区分をどうするか、ここにも大きな問題がございます。直接作業とは何か、間接作業とは何か、これをはっきりさせなければなりませんが、一例としてあげましたシャツやなんかの洗たく、こうしたものを基地の洗たく工場で洗ってもらうことができるかできないかということがあるわけでございますが、そういうことならば、場合によっては、そのシャツ類をよく汚染の測定をした上で、何にもよごれていないというならばやってもらってもいいじゃないかというような問題が残っておるということでございまして、そういう
趣旨で間接作業はあるいはお願いすることがあるかもしれぬけれども、まあ原則としてはお願いしない、こういうふうに話し合いをつけた次第でございます。
-
○小泉国務大臣 今度また原子力潜水艦がたとえば横須賀へでも入る場合は、いままでどおり二十四時間前に通告があり、それを事前に一般に公表するのであるかというお尋ねでございました。これは外務大臣や官房長官がお答えするのが一番適当だろうと思いますが、私も閣僚の一人といたしまして承知しておることは、今後横須賀等に入る場合、やはり佐世保の例のとおり二十四時間前に通告があり、通告があったら直ちにこれは一般に発表されるものであると私は了承いたしております。
-
○
大出委員 それでは、先ほど申し上げたように、これで一応終わります。
-
○伊能
委員長代理 それでは、この際二時二十分まで暫時休憩いたします。
午後一時三十七分休憩
————◇—————
午後二時二十八分
開議
-
-
○
大出委員 午前中の件に引き続きまして、
防衛局長さんにもう一つ伺っておきたいのですが、米国と諸外国との間に原子力船の寄港に関して締結をしている協定があるわけですが、たとえばギリシアの例でいきますと、一九六〇年にロンドンにおけるロンドン
会議で、海上人命安全条約に定める原則と手続、並びに原子力船に適用される勧告により規制するということで、これはアメリカ自体はスペイン、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ギリシア、ノルウェー、西ドイツ等、相当の数の国といろいろ協定が結ばれていますが、この一番根拠になるものについて、防衛庁の側でどういうふうに考えておられるか。つまり締約国が少ないから効力の発生を見ない、こういうかっこうになっておったのですが、リベリアが入って効力を発生するというのですから、その件についてひとつ冒頭に所見を承っておきたいと思います。
-
○海原
政府委員 不勉強で申しわけございませんが、防衛庁といたしましては、いま先生のお示しになりました関係のことを過去において勉強したことはございません。したがいまして、その根拠等につきまして、私お答えする何らの材料を持っておりませんので、あしからず御了承願います。
-
○
大出委員 ちょっと弱りましたな。実は科学技術庁に聞く筋合いではないので、午後からでけっこうですと申し上げたのです。というのは、これがないから、補償の問題等についても困る勘定になるわけです。リベリアが入って、来年の五月から発効するわけですね。そうなりますと、たとえば設計あるいは開発エンジン等の事故補償等々の場合に、条件がありますけれども、五億ドル以内における補償などという問題が効力を持ってくる、こういう筋合いだと考えておるのですが、実は何もないというふうにおっしゃられると、これ以上何も言いようがないのでありますが、どうですか、ひとつお調べをいただいて、事実締約国がこれだけあるのですから、どういう成り行き、筋道だなっているか。これはサバンナ号が方々に寄港いたしました時期にぼつぼつ締結をされていったのでありますから、それらとの関係、今回の原潜寄港問題とからんで、どういうふうに御検討をされ、お考えをいただいているかという点が聞きたいのです。そうなりますと、エ−ドメモワールとの関係が出てまいりまして、発効した以降どうなるか。今日はかりにこれが出ていなくても、発効していないのだからという言い分は成り立つと思いますが、そこから先のところどうなるかという点をはっきり承っておかぬとまずいので、もしお答えいただけないのならば、質問続行中に御連絡をいただいて、先ほどから原潜問題を申し上げているのですから、これだけ大きな問題で、補償についてわざわざ外交文書を出してアメリカから回答をとっておられるのですから、そういうことについてあとから報告をいただきたいわけです。
-
○海原
政府委員 実はこの原子力潜水艦の寄港問題につきまして、防衛庁といたしまして、日本
政府がいろいろと事前の調査検討をします際には、外務省のほうから御相談を受けておりません。ただいまお話のようなことにつきましては、一切外務省当局のほうにおいて研究をされ、したがいまして、国会におきましての御説明も、外務省のほうからお答えする筋合いのものでございます。原子力潜水艦の寄港をきめます前のいろいろな
会議に、私ども事務当局は一切その御相談を受けておりません。したがいまして、まことに恐縮でございますが、
委員部のほうのお計らいによりまして、外務省のほうに御質問をいただきたい、このように存じます。
-
○
大出委員 ただし問題は、補償の問題を申し上げているのですが、防衛庁所管の立場で、補償の問題はすでに
委員会で論議をしてきておりますから、これが発効いたしますと変わってくるわけです。そうなりますと、防衛庁関係の補償の問題とからむのですから、これはまったく権限外だということにならぬと私は考えておるので、どうしてもそれがまずいなら、外務省からどなたか出てきていただいてもけっこうだが、補償は皆さんがお考えになる筋合いのものでございますし、そこのところを御連絡を皆さんの側でとっていただきたいと思うのですが、
委員長、どうでしょう。これをこのままにしておきますと、やはりまずい問題ですから……。
それでは時間の関係がありますから、それまで別なことを簡単に個条的に御質問いたしますので、お答えをいただきたいと思います。
基地周辺の民生安定法式なものが昨今非常に問題になってきておりますが、これについての取り扱い、考え方等を、その中心点についてお聞かせをいただきたい。
-
○小泉国務大臣 基地安定法の制定の問題については、各党とも熱心にこれが主張をされまして、
政府においても再三にわたって検討したのでございますが、いままでの経過においては、各省に関連をする事項でもあるし、予算関係等に広範な影響があるから、その
趣旨は
内閣においては了とするけれども、現段階においては、やはりいままでどおり、基地問題はケースバイケースでやっていただいたほうがかえっていいのではないかというような一応の結論になって、これがそのままになっておるというのが、たしか昨年くらいまでの経緯であったと私も承知いたしております。その後さらに基地安定基本法でなくて、基地安定に関する審議会みたようなものを
政府につくって、そこで審議をした結果を
内閣の実行に移すという案も検討されたのでございますが、これは現在までのところでは、まだ結論を得ずして、そのままになっておるというのが実情でございます。
-
○
大出委員 神奈川県議会等におきましては、いま安定法でいくか、それとも各関係市町村が撤去移転ときめておるわけでありますけれども、そういうところでいくか、それをきょうあすあたりきめようという議会の雲行きでございます。とにかくそれはそれとして、そうあればこれに越したことはもちろんないのでありますけれども、いま言われた御答弁からいたしますと、予算云々が一つのポイントになっているような気がするのでありますが、この種の形のものをつくって、体系的に敏速な処理ができるようにしなければならぬということについて、ケースバイケースでは問題がおさまらぬ時期にきているということについて、どういうふうにお考えになっているかということと、
政府全体としてはそうであっても、補償その他一切を取り扱う防衛庁の立場から、この種の考え方を推進される気持ちがおありになるのかどうか、その辺についてもあわせて承っておきたい。
-
○小泉国務大臣 この問題につきましては、昨年来、基地問題解決のためにはケースバイケースでは行き詰まっておる。もっと抜本的な、積極的な集団移転とか、土地を国で買収してそこに建物を建てさせるとか、こういうことをやるにはケースバイケースでなくて、何がしかの別途の予備費というものをば基地問題解決のために使うことが必要であるということで、あるいは五十億とか三十億という問題が提起せられて、折衝したことも、御承知のことと存じます。その後、私どものほうでは、移転撤去ということは、厚木の飛行場につきましては、事実問題としては、横須賀の基地との関係、七艦隊の活動との関係上、望ましいことではあるけれども、ここ当分早急に撤去移転ということは事実上不可能であるというようなことからいたしまして、今後被害住民のために、滑走路の拡張をする意味において、集団移転、土地の買い上げ、騒音防止対策等をできるだけ積極的に進めなければならぬということで、現に厚木においてはそういう予算面の具体的な調査を始めておるわけでございます。相当の金額が要りますけれども、そういう思い切った対策を立てていかない限り、撤去移転ができない以上、住民の方に御安心を願う方法はない。またこれ以上御迷惑をかけてはならないということで、そういう面の予算の積極的な検討を始めておるようなわけでございます。
-
○
大出委員 そうしますと、さっきの人権擁護局の例もありましたが、いずれにしても調査が必要になるわけですけれども、それらの予算措置について、どのくらいの規模を、いま編成過程でありますが、お考えになっておりますか。
-
○小野
政府委員 ただいまお尋ねの飛行場の滑走路の延長上の進入表面下の土地の安全化の問題でございますが、私ども当面考えておりますのは、着陸帯の末端から約一千メーターの距離の中は、人が住まないように配慮したい。ということは、現在おられる方にはしかるべきところへ御移転願うようなごあっせんをする。それから新しくそこへ建物を建てないようにお願いしなければならないということも考えます。そういうようなことで、約一千メーターというところを一つの基準として、その中を非居住地帯にいたしたい。それからさらに一千メーターの中でありますけれども、着陸帯のほうに近い部分については、できればその半分ぐらいは、五、六百メーターのところまでは、民有地でありますならば、国のほうでお買い上げをして、国有地として安全地帯として確保したい、というようなことを考えております。さらに、いまの一千メーターのうちで、まだ全部国のほうで買い上げるということに至らない区域とか、あるいは買い上げになるお話がつくまでの間というものは、できることなら建物を建てないという制限をしてがまんしていただくという意味のお約束をして、それに対する対価と申しますか、居住しない、建築しない、そういう不作為料、こうしたものを差し上げるのが適当ではないか。こんな構想でいま計画を詰めておるわけであります。まだ具体的な予算要求というところまでいっておりませんけれども、何らかの形で早い時期に、多少時間はかかりましても、一ぺんにできないといたしましても、何年かかかって実現できるように何とか
政府部内をまとめたいと考えております。
-
○
大出委員 新聞に発表されております予算編成、自民の大網固まる、これは党のあれでしょうけれども、この中で見ますと、簡単に言いますと、「円滑な処理をはかるため、実情に応じ住宅移転、騒音防止、周辺道路の整備等の施策を促進する。」こういうふうに予算大網に載っておるわけですね。そうしますと、
政府の立場で党のこの方向を受けて、さてそこで問題は、予算化するという段階にたどりつくわけですけれども、いまの時点でまだ具体的に幾ら、どうする、たとえば住宅移転にどう、騒音防止にどうということはいまないというお話しに受け取れますけれども、それらの点については、そうなると、ちょっとおそきに失して、それだけでも落胆の種がふえることになると思いますので、防衛庁としては、そこらあたりについてはどうお考えでございますか。
-
○小野
政府委員 基地対策全般の推進ということにつきまして、与党のほうでもいろいろ御心配いただいておるわけであります。これは与党ばかりではありませんが、与党のほうの御決定のようでございますから、それから申し上げますが、全体の基地対策の経費といたしまして、私ども明年度予算としては、本年度に比べて三〇%という一つのワクがございますので、前年度と比べますならば、基地対策の経費として約四十億ほど増額をお願いしたいということで、四十年度予算はお願いしておるわけでございます。それは、一般にいままでやってきたものをさらに強化するという意味でございます。たとえば学校、病院の防音化、道路、河川の改修、その他でございます。その中で、従来のペースでやってきている集団移転もあるわけでございます。これは、実は従来は非常に少なかったのでございます。ただいま査定を受け、編成を前にしている予算の中では、私ども住宅の集団移転の経費は非常に少額しか組んでないわけでございますが、しかし、そういう一切の施策を含めて、党としては前向きの施策を進めるという御決定であろうかと思うのでありますが、私どももこれからの予算折衝にあたりまして、最大限の努力をしたいと考えております。
いま最後に問題になりました大幅な、本格的ないわゆる安全対策と申しますか、非居住地域の設定、こうしたものについては、現在いろいろはじいておりますが、これは方針としてはおきめいただきまして、実行はまた次の段階でお願いをする。次の段階と申しましても、これは準備のでき次第でございます。また、こちらが準備ができましても、地元のお話し合いでなかなかまとまるのがむずかしいこともあろうと思うのでありますが、いずれにいたしましても、何年かかかると思います。そういうような形で長期計画を別途に策定をいたしまして、
内閣の御了承を得て、また大蔵省の協力を得まして、これは別に予算化してまいりたい、こういうふうに考えております。
-
○
大出委員 簡単にお答えいただければけっこうでありますが、地元でいまいろいろ論議している問題ですから申し上げるのですが、ラジオ、テレビの聴視料減免要求等の問題です。この滑走路の縦の方向に二キロずつ、横に一キロずつ、この範囲がテレビは五〇%減、ラジオは無料ということになっております。これが現地へ行って調べてみますと、ずいぶん不合理な話で、隣接するところを考えると、段階的にやらなければならぬというふうに考えます。したがって、大和近辺では、市全域に広げるべきだということになりますし、またテレビ五〇%減というならば、さっき佐藤さんの話をしましたが、ほとんど見えない。次から次へと飛んでくる。この近所でも、この上をジェット機が飛べば、ゆがんで見えないのが実情であります。そういう点で矛盾しているので、無料にするという形にすべきだろう。なお、漸減的に低減方式をとるべきだ、こういう筋書きですが、それらについて御検討いただいておりますか。
-
○小野
政府委員 ラジオ、テレビの聴視料減免の問題につきましては、御承知のように、郵政省の所管でございますが、従来も
内閣調査室等で相談いたしまして、いきさつは存じておりますので、便宜申し上げますが、いまお話しのような点につきましては、いろいろ問題がございます。全額、半減というのはどうか、あるいはもっと距離を広げたらどうか、あるいは別にNHKが指定しております飛行場以外にも、まだそういう対策をとってもらいたい場所もあるのでありまして、こういうところについていろいろ議論をいたしまして、とりあえずいまのような形にこの四月から実施になったわけであります。なお、今後機会を見まして、郵政省のほうにその旨をお伝えしたいと思います。
-
○
大出委員 次に、PXの例の移転問題ですが、これはきょうの新聞ではないけれども、そこいらじゅうにどうもおかしな物品が安く流れているといううわさがずっとあったんですが、聞いてみようと思っていたところが、たまたま出てきたわけですが、あの種の問題は、所管が違うといえばそれまででありますが、基地対策の一環でもありますから、お聞きします。何か中におかしなものがなければいいのですが、接収されてああいう問題が出てきますと、ますます問題が出てきますから、それらの問題も、十分話す場所も見つけて、言うだけのことは言っておかぬと困ると思います。
あわせて、地元では、解除されればいろいろ何する、かにするということがあるのでありますが、立川に移転をして、徐々に片をつけていくということになっておるのでありますが、現地のつとめている方々の心配もありますから、具体的にどういうふうに動いていくかということについての防衛庁で把握している計画を、簡単でけっこうですが、お答えいただきたいと思います。
-
○小野
政府委員 大船の米空軍PXの移転問題につきましては、そのうち、倉庫部門は来年の夏ごろを目途として、現在立川に移動を開始しかかったところでございます。なお、管理部門が残るのでございますが、ただいま申し上げました倉庫部門の移転のあとはどうなるかという問題が御指摘の点だろうと思うのでありますけれども、現在のところはまだ確定をいたしておりません。しかし、米軍側といたしましては、いま米空軍のPXが移りましたあと、米軍が多分使わないことになるだろうというような連絡でございました。いずれ近々に最終的な決定があるかと思います。
-
○
大出委員 住宅問題についての調査費の計上を、二千万足らずしてあるわけですが、七月のころに調査を始めておられるようですが、前回その調査の期間、方法、その他経過等についてお知らせいただくようにお約束を願っておったのでありますが、そういう御連絡もいただいておりませんし、これは現状調査という形に一応なっておりますけれども、現状はどうなっておるかということを簡単に御説明いただきたい。
-
○小野
政府委員 横浜市にあります米軍家族住宅の移転問題にからみまして、とりあえず本年度は現状確認の調査を実施しておるわけであります。お話しのとおり、予算は約二千万円でございますが、この夏から始め、だいぶ進行しておりますが、この調査の目的は、三十何万坪にわれる敷地が、国有地として買い上げたところもございます、また各省財産で使っておるのもございます、また民間の土地が半分以上あるわけでございまして、この方々の所有権の関係から、もう一度境界の確認とか、地図の作製とか、こうしたような実形、実態をしっかりと把握する。さらにそのほかの財産として、いろいろ埋設物、工作物、樹木というようなものもございますが、こうした国有財産あるいは民間からお借りしておる財産、こうしたものの実態を明らかにする。こういう調査を続け、ほぼ終わりに近づいておる状況でございます。
-
-
○小野
政府委員 調査要領等につきましては、後日お届けいたします。
-
○
河本委員長 ちょっと速記をとめて……。
〔速記中止〕
-
○
河本委員長 速記を始めてください。
この際、本
会議休憩後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。
午後二時五十三分休憩
————◇—————
午後三時三十二分
開議
-
-
○
大出委員 時間の関係がありますようですから、個条的に申し上げますから、一括して個条的にお答えをいただきたいわけであります。
一つは、例の富岡の、先ほど申しました火薬の陸揚げ地域でありますが、あの件について、あの前の四十三万坪の埋め立ての工事が開始されておりますので、何とか市当局等といたしましては、これの解除、払い下げを考えておったわけであります。ところが、御存じのとおり、米軍との共同使用になるかどうかわかりませんが、自衛隊の導入という問題が出てまいりました。それがその後の経過が明らかになっていないわけでありますが、今日どうなっているかというのが一点であります。
あわせまして、日米合同
委員会の下部機構である施設特別
委員会の中の港湾部会がございますけれども、この港湾部会でいま審議している中に、米軍から冨岡岸壁が埋め立てられるとすれば水路を設けるようにということで要求が出ておりますが、その要求が出ている額を検討すると、三億円をこえるわけであります。したがって、その工事費をどういうことにするのかという問題が出てまいります。これについてどういうふうに考えておられるか。
それから次の問題は、高射砲陣地、これはむしろ専門家の
防衛局長さんのほうに聞いたほうがいいのでありますけれども、方々にございますけれども、横浜でいうならば新子安、明神台、岡村、根岸、常盤台、これだけあるわけであります。したがって、全国的には相当の数にのぼるわけでありますが、けさほど来の話のように非常に進んできた状態からながめまして、いまどきどうも高射砲陣地がなおかつ必要だということになるのかどうか。岡村等について、私も現地の米中の方に会ってみましたが、どうも必要がない、こういうふうに私どもとしては考えざるを得ない状態にある。にもかかわらず、依然として広範な地域を接収をしている。理解に苦しむ点がございますので、この点についても明確にしておいていただきたい。
それから先ほど申しました自衛隊導入の問題でありますけれども、宇都宮の人たちを御殿場に持っていって、御殿場のを横浜へ一個連隊、千五百名、敷地が十万坪必要だ、こういうことになっているわけであります。この点について、先ほどの問題とあわせて、ひとつ以後の経過についての御答弁を一賜わりたい。
それから上瀬谷通信基地問題が前からもめておりまして、決算
委員会その他でも質問が出ているところでありますけれども、敷地が七十八万坪。ところでいま基地内における耕作を農家の皆さんがやっているのでありますが、たいへんな不便を感じ、迷惑を続けているのでありますけれども、なぜこれがAゾーンということで開放して——これだけ広い地域でありますから、したがって、基地内における耕作という形でなく耕作ができるようにしないのかという問題が、いま問題になっておるそうでありますが、これについてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
それからこの通信基地から相沢川という川が流れておりまして、基地の関係者の方々が手当てをしないので、最近は相当な汚水も含み、はんらんを重ねるというかっこうになってきているわけでありまして、問題化しているのでありますが、当然これは防衛庁の責任において、関係予算で修復をしなければならない性格のものでありますが、あわせて御回答いただきます。
それから大黒町埠頭の問題でありますが、これは四バースの建設が考えられているのであります。費用が六十五億円。現在横浜港はバースが足りないで船込みという形で非常に困っているわけでありますけれども、接収が全部の二・五%に及んでいるというのが、現状であります。ノース・ピアに七バースございます。三バースの代替が見込まれているわけであります。残りの四バースを大黒町バースに充てたらどうかという考え方が前からあるわけでありますけれども、当然このバース建設は国が国費で負担すべきものではないか、こういう考えを持っておりますが、それについて御答弁を賜わりたいと存じます。
それから、これはきょうは関係の方がお見えになっていないかもしれませんが、前回はっきりした答弁になっていないわけでありますが、電波法の関係とからみ、最近新聞に国鉄の電波問題が取り上げられておりますけれども、例の両側に百メートルずつ投影する部分ということで、建築基準法とからんだと思います例の問題について、いよいよ日石側の建築計画も進んできている段階でありますので、どういうふうにこれを処理されようとするか、その後の事情がございましたら、明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。
それから東神奈川に例のモータープールがございます。これも現地の米軍の関係者等と話してみたところが、どうもあの地域に特に置いておかなければならぬ理由はない、こういうことであります。そうなりますと、ノース・ピアの敷地内にモータープールを移転させても決して悪いことにはならない。現在横浜市が百六十万の人口を持っておりまして、小港にございます下水処理場がわずかに十五万人分しかない。建設中の磯子ができましても五十万人分、こうなってまいりますと、このノース・ピアの開放ができれば、ここ一カ所で八十万人分の処理ができるという、マンモス都市になりつつある現下横浜の事情があるわけでありまして、社会開発を取り上げるわけではありませんけれども、この辺のところは、本来ならもうちょっと防衛庁、施設庁関係の方々に御努力いただけば、片がつかぬはずがないと私どもは考えておりますので、すでにこれは手続はとられておることでもありますから、その辺の以後の事情等についてお答えを伺いたい。
時間の関係がありますので、個条的に申し上げましたので、一括御答弁を賜わりたいと思います。
-
○小野
政府委員 まず冨岡の倉庫施設の返還問題でございますが、これは米軍側としてはどうしても返さない。前面が埋め立てになるというならば、出入路をつくってくれ、もっと欲をいうならば、現在の場所と新しい埋め立てした部分と取りかえてくれというようなことを申しておるような状況でございますので、当分返還の望みはございません。
この冨岡の地帯に自衛隊を入れるという問題でございますが、これは前回も申し上げたと思いますが、防衛庁としてはぜひそういたしたいという念願を持っております。ただ、そのとき、大臣からも申し上げましたように、やはり地元の御納得を得た上で移りたいということでございますので、まだ私どもとしては地元の御同意、御納得をいただくまでいっておりませんので、きょうあすの問題としてはまだ進まないでおる、こういう状況でございます。
それから港湾部会で取り上げておりますのは、全国各地の港湾の使用関係についてのいろいろな協議をしておるわけでございますが、富岡につきましても、埋め立ての場合にどうするかということが、当然話に出ておるわけであります。ただ、これも今日すぐに着手するというわけでないから、もう少し研究の上で順位をあとにして相談をしようということで、現在のところは深く掘り下げておりません。
それから上瀬谷でございますが、この現在正式提供をしております中心部をA地区として、これを耕作制限というようなお約束をしてお礼を差し上げておるわけでございますが、これを同じ状態なら返還したらどうかというお話と思いますけれども、ここは、何と申しましても、電波障害という問題が非常にデリケートでございますので、少なくともこうい強力な、あるいは性能の高い通信所としては、五十万坪、百万坪というものはもう絶対に触れられない地域として持つことが必要である。これは他の通信基地についても同様の問題が出ているのでありまして、むしろそういう強度制限区域をもっと広げなければならない、広げてほしいというぐらいの要望がございまして、これを緩和する、形を変えるということは、いま困難であると考えます。
相沢川の改修でございますが、この問題はかねてから問題ではございましたが、いろいろ問題のございますのは、これが必ずしも上瀬谷基地だけがはんらん等の原因ではないのじゃないかというような一つの見方がございまして、そのことは同時に補助と地元負担の関係になるわけでございまして、ここら辺にも問題がございます。いずれにいたしましても、私どもはこれは改修しかるべしと考えまして、来年度の予算にも要求はしておるのでございますが、どういうふうにこれから折り合いますか、今後の交渉問題でございます。
それから大黒町埠頭の関係で、ノース・ピアのほうからそっちへ移したらどうかということでございますが、大黒町埠頭の計画も、どの程度進んでおられますことか、話は聞いておりますけれども、まだ具体的な問題としてそういう検討をする準備はできておりません。むしろいままでの考え方では、ノース・ピアに全部集めるという方向の話があったかと思うのであります。その点から、できることならばそういうことも考えたいと思いますけれども、もう少し具体的な計画を詰めた上で検討いたしたいと思います。
それから同じノース・ピアの関係で、東神奈川のモータープールを移したらどうか、これももっともな御意見でございますが、これにつきましても、まだ十分な検討はできておりません。それはノース・ピアのほうにも、ほかにも移したいものが実はあるわけでございまして、ただこれを移すという問題自体が非常に難航しておるわけでございます。御承知のように、米軍提供の施設を移す場合に、代替施設は全部日本側で持てというような原則になっておりまするので、これをこちらが全部無条件で引き受けるというわけにまいりません。そういうことで、移したいがまだ移し切れぬものが多々残っております。そういうものと調整をしなければならぬと思いますので、これも研究問題にさしていただきたいと思います。
電波法の関係、あるいは高射砲陣地の関係、あるいは冨岡へどういう部隊を考えておるのかということにつきましては、他の
政府委員から申し上げたいと思います。
-
○海原
政府委員 保土ヶ谷その他に現在展開しております高射砲に関しまして、こういう旧式なものはもう不要ではないかという意味のお尋ねでございますが、確かに、現在航空自衛隊、陸上自衛隊で持ち、かつ、持とうとしておりますナイキあるいはホークーこういうものに比べますと、あの高射砲は旧式化しつつあるものでございます。しかし、現在まだ完全に役に立たなくなった程度のものではございません。私どもは、第二次防衛力整備計画の期間中は、少なくとも現在の高射砲あるいは高射機関銃——機関砲と申しますか、そういうものの装備は、なお有効、かつ、必要であるという結論を持って、現在そのようなことで事業を進めております。ただいわゆる第三次防衛力整備計画、すなわち四十二年度以降におきましてどのような防空火器体系を持つのがいいか、これにつきましては、現在専門のところで検討中でございますので、あるいは場合によりましてはこの高射砲にかえて新しいものを持つということも結論的に出てまいる可能性はございますが、まだ現在のところでは何とも申し上げられない段階でございます。
さらに板妻の部隊を富岡に持っていくのではないかという点でございますが、これも先般先生からのお尋ねのときに申し上げましたような事情でございまして、先ほど小野施設庁長官からもお話がありましたように、もし地元の方々の御同意を得られるならばぜひ移したいという考えは持っておりますが、まだその条件が熟しませんので、現在は何ら動いておりません。そういう事情でございます。
-
○
大出委員 いまの点について一括して申し上げれば、きょうは朝からそういうものの考え方で申し上げているのですけれども、やはり何とか少しずつでも前進をする方向をとっていきませんと、都市はマンモス的にどんどんふくれてくる、交通は複雑化し過ぎる、こういう中に大きな基地がでんとすわっている、こういう状態ですからね。してみると、これは何とかどけなければ、日常生活にあらゆる面で支障が生じてしまうではないか。埋め立てができるが、背後地は接収されている。それがランディング・カ−ゴ、つまり陸上輸送を埋め立てからやっていくのにどうするのかという問題を一つとらえても、片がつかない、こういう事情が次から次に起こってくるわけなんで、そういう意味で、あれもできません、これもできませんという形でいつの日もそういうふうに過ぎていったのでは、これは国際港都建設法ではないけれども、昭和二十五年の法律があるのですが、そういうふうな法律措置があってなおかつ何らそれらしく前進をしない、こういうことでは困るので、全国の各基地について一つずつ研究して、これはこうする、あれはああする、何年先にはこういう方向でというふうに——たとえば第二次防衛力整備計画だって満足に進んでいるわけではないと私は思う。一年おくれているか二年おくれているか知りませんけれども、一方これを第三次分を早く繰り上げろなんという話までかつてはある。こういうふうな形のものと関連をして、そっちはそっちで進んでいるから、成り行きまかせではこれは片づかない。だから、やはりそういう計画的な基地についての当たり方をして折衝を深めていくというふうにして、その過程を報告をする、あるいは知らせられる限り知らせるということにしませんと、お先まっ暗でということでは、接収されている地主もいるのですから、おさまりがつかない。固定資産税は入ってこないから、市の財政は窮迫をする、こういう事情にあるのですから、そういう点で列挙主義に申し上げたのですが、帰するところはその中心に問題点があるわけなんで、ぜひそういうふうにお考えを賜わりたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。一つ一つ申し上げておりますと時間が長くなりますので、以上のように申し上げましたので、個々には理由がありますが、申し述べることは省略をいたします。
最後に承っておきたいことが一つあるのでありますが、これは本
委員会では、同僚の石橋先輩にも聞いてみたのですが、明らかにしていないというのでありますが、世の中の雑誌等々には何べんか取り上げられたことがあるのでありますが、例の国防基本法私案なるものが取りざたをされ、そこで空幕総務課法規班長をやっておられた、いまおられるかどうかわかりませんが、岡崎義典事務官が印を押されておったということなのでありますが、これは松本清張氏のすっぱ抜きなどといわれた経過もありますけれども、これは実はやはりこの防衛二法がこの段階まできているわけでありますから、これとからんで私はやはり考えざるを得ない点が多々ございます。そういう意味で、ひとつ以後この問題についてはどういう決着が防衛庁の内部においてとられたのか、これは明らかになっていないのでありまして、全くの私案であるといいながら、たくさんの判こが押されておったという事実もあり、それから制服組の方々とそうでない方々と云々という問題が流されておったり、防衛庁におる方からの話が載せられておったり、こういうことでありますので、この点はひとつ決着について、結末について明らかにしておいていただきませんと、いろいろな各界の代表の方方がこれについて意見も述べておられますけれども、いまさら防空頭巾をかぶされたのではかなわぬとか、防空演習の再現をさせられることになるのじゃないかとか、国会は通るまい、通るまいが、しかし、こんなものをほっとけば、いつの間にかなしくずしになりはしないか、たくさんの意見が出ておるところでありますから、決着はどうついたのかということについて明らかにしていただきたい、こう思います。
-
○海原
政府委員 ただいま御指摘の国防基本法案(私案)というものでございますが、これはその当時におきまして当時の大臣からも御説明申し上げたことでございますけれども、航空自衛隊の秋季演習でございますか、ある演習の際に幕僚の研究のためにいろいろグループが分かれまして検討を行なった際に、いまお話のございました航空幕僚監部の法規班のほうで私の案としてつくったものでございます。これは当時も申し上げた次第でございますけれども、少なくとも法律であるとかあるいは議会制度があるとかいうことについて知識のある者ならば、まことに噴飯ものであるということでございまして、先ほどお述べになりましたある雑誌等によりましても、こんなものは全くもって理解に苦しむものであるというような御意見もあったと記憶しておりますが、その一部に、まあそのとおり行なわれたらば非常に困るようなことになることを書いておったことも事実でございます。しかし、先ほど申しましたように、まさに関係の一事務官がそういう演習の際の一つの計画としてつくったものでございまして、そういうきわめて未熟なものを——私案であれは何も配る必要はないわけでございます。どうして私案と銘打って配ったか、その辺の事情を聞きますと、結局演習の際の一応のていさいを整えるためのものであったということはわかっておりますので、厳重に将来を戒めまして、そのままになっておる次第でございます。
-
○
大出委員 その方はいま何をしておられるのですか。
-
○海原
政府委員 依然として航空幕僚監部の法規班で仕事をいたしております。
-
○
大出委員 法規班長と、こうなっておりますが、やはり同じ現職におられるわけですか。念のために聞いておきたいと思います。
-
○海原
政府委員 班長でありましたか班員でありましたか、そこまで私は記憶いたしませんが、私の記憶に誤りがなければ、同じ所属におるものと存じます。
-
○
大出委員 当時の官房長は、三輪さんが当時官房長だったでしょうし、浦という方が航空幕僚長だったでしょうが、さらに関係の方々の発言内容からいたしますと、つくったことを責めてはいないわけですね。いまおっしゃるようなぐあいに、つくったことを責めてはいない。何を責めているかというと、マル秘の判こをついて、全く厳秘に付して保存をしていた、それが表に出たということが責められているわけですね。これはもううそ偽りない事実で、まさか公の誌上に談話形式で名のある方々の言っていることを載せているのですから、これがうそだということになれば、本人からおそらく何がしかの処置をおとりになるのですから間違いのないところだと思うのでありますが、つまりつくったことを責めてはいない。マル秘の判こをついて、十何人かが閲覧の判を押して、そうしてしまっておいたものが表に出たというところに責任が追及をされている。ところが、その責任が追及されているというのだけれども、いま聞いてみると、現職にそのままおられる、こう言う。そうなると、これは責任を追及したことにはならない。世上騒然としたのですから……。しかもこの中には、つたないものをというけれども、思想的にものを考えていけば、必ずしもつたなくはないのですね。考え方が違うのです。一億総動員的なものの考え方を持っておられる方から見れば、まことにもってりっぱなものであるということになりかねないのでありまして、そうなってくると、いまの答弁の中心がものの本質を取り違えておられるように思うので、したがって責任ある答弁をしていただかぬと……。つまり書いたことに対する責任を問わないような形の発言を当時の責任者がされておる。それはそれとして一応おいておくにしても、秘密が表に漏れたことの責任を追及しておられるのだが、結果的に現職におられるとすれば、何ら責任は負っていないことになる。だから、決着がついていないのではないかと私は思うのですが、そうなると、悪く考えれば、国防基本法私案なるものは生きておる、こう言っても私は差しつかえがない、こう考えるわけでありますが、ここのところをはっきりしていただきたい。
-
○小幡
政府委員 問題の文書につきましては、その経緯は先ほど
防衛局長から申し上げたとおりでありますが、そのことがありまして、直ちに幕僚長は、幹部の決裁を経ないこのような文書をそのとき配ることは当然非難さるべきものであるということで、厳重に戒告したことはもちろんでありますが、その書いてありますことにも確かに不当な点がございますので、その点は厳重に注意いたしまして、たとえ私案といえどもそういうものを印刷して配るということにつきましては、十分将来を戒めて今日に至っております。
-
○
大出委員 幹部の閲覧、許可を得ていないというのですが、検印がずっと押されていて、そうしてこれが秘扱いということになっているわけですから、幹部の皆さんがごらんになった結果秘扱いにしていたという筋書きになるわけですね。だから、そうなってくると、さっき申し上げましたように、ものの中心は、この基本法がそれきりになったのではなくて、生きている。つくった方も厳然として同じ地位にいる。こういうことだというと、世の中は、これがまあある人は想像妊娠だなんて書いている人もいますけれども、それだけでは済まない結果になる。こういうふうに危惧されますから、しかもこの内容をもうちょっと申し上げますが、この基本法には、予備自衛官の問題にも触れまして、いまここで一万九千何がしこの二法案ではふやそうとおっしゃるわけだけれども、まさにこの内容からいけば昔の在郷軍人、予備役と一つも変わらない。この思想がぴったり当てはまるような気がする。今日出されて、本件が審議されているわけですから………。そうすると、しかも防衛行動従事命令を解除された者は三カ月以内の期間に就職できるように優先的に措置するというふうなことまで書いて、だから一生懸命予備自衛官はやれ、こういうわけです。そうすると、提案されているいまの二法の中でいうならば、誇りと襟度を持たせるために制服を着せて、バッジをつけさせて、予備自衛官と呼称してやっていこうというのですから、そうなってくると、思想的には一つも変わらない。そうすると、死んだ、死んだと思っているうちにどっこい生きていたということになる。そこのところを私ははっきりしてくれと申し上げている。そうでなければ、あぶなっかしくてこの二法は通せませんよ。
-
○小幡
政府委員 ただいま申し上げましたように、国会を通じてございました質疑、批判をそのまま内部で幕僚長が十分部下に伝えまして、その不当を戒めて今日に至っておりますので、現在はそのような考えは持っておりません。
-
-
○小幡
政府委員 非常に片寄った狭い視野で、独断も多いし、こういうまだ未熟な私見を十分討議を経ずして印刷してどうこうするということ自身も問題があるし、また、そういう考え方自身も非常に未熟であるということを戒めまして、国会等も通じまして出ましたさまざまな論議を
紹介いたしまして、かくあるべき方向を指示いたしまして、注意をしたというのが現状でございます。
-
○
大出委員 この第二章によりますと、第二章の第一節は国防省なんですね。国防省ができれば、当然国防
会議が開かれるのでしょう、次に国防
会議と書いてあるんだから。そうすると、防衛庁の国防省昇格という法案を出そうと皆さんが考えておるのじゃないですか。そうなってくると、未熟もちょうちんも、まさにこれから先やっていこうとする要綱試案みたいな感じがする。いま方法をもって戒めたというのですが、その方法をもって戒めた方法について、どういう方法で戒めたのか、そこのところを御説明いただきたい。
-
○小幡
政府委員 文書の性質そのものが非常に粗末な、未熟な片寄ったものであるということを十分に戒めまして、今後注意をした次第でありますが、御指摘のような論議はもう十分国会を通じて承っておるものを、そのまま幕僚長がみずから本人によく言い聞かせまして、ほんとうの考えはこうあるべきだということをじゅんじゅんと戒めております。
なお、いろいろなそういった問題は、すべて最後は内局で判断をして考える問題でございますので、この一個人が非常に片寄った未熟な見解を出しましたことにつきまして、責任は感じておりますが、これはそのような思想をほかの人間が持っておるということでは決してございませんので、その辺はひとつ御了承願います。
-
○
大出委員 いまそうおっしゃるけれども、とにかく言い聞かせたことはいいけれども、言い聞かせましたということで、厳然としてその方もおられて、言い聞かせたということは決して戒めたということにはならぬですね。そうですかと言って聞いていればおしまいだ。そうでしょう。そうなってくると、未熟だ未熟だとしきりに言われるが、私はここに私案を全部持っているのです。初めからしまいまで読んでみたんですが、十何年か前、二十年前の話ならば、これはまことにりっぱなんですね。決して未熟ではない。じゃ、これだけのものを完全にだれがつくれるかというと、つくれない。みごとなものですよ。みごとなものなんだが、考え方が、現在のわれわれから考えると、かけ離れ過ぎているということになるだけのことで……。だから、そういう御答弁は私はいただきたくはないので、問題は、現存しているその方が、戒められたのならば、どこかほかに移されるとか、あるいはことばは悪いが、少しはおまえさん下がっていろということになったり何かでなければ、ないしはやめちゃったということにならなければ、ほんとうに戒めたことにはならぬと私は思っているのです。ところが、同じところに同じようにちゃんと現存しておられて、法規班長をおやりになっているのだという
防衛局長さんの御答弁だとすると、だれがながめたって、戒めたのじゃなくて、ちょっと世間の風当たりが強いから、昇級はさせないけれども、まあしばらくがまんしていろ、おまえさんの世の中がくるから、というぐらいの話になっているのじゃないか。国防省でもでき上がったら、とたんに抜てきされてしまうのじゃないかという気がする。なぜならば、先べんはおれがつけたんだということになって、予備自衛官のこの法律が通ったら、どうだおれの言ったとおりになったじゃないか——これは昨年の十月のことですから、そうなってぐると、そう簡単にいまの御答弁、納得できない。再答弁願います。
-
○小幡
政府委員 先ほども申しましたように、本人が非常に片寄っておるということは、幹部並びに幕僚長の批判によって十分本人も自覚しておりますし、また、われわれがさような考えを排除するということも、十分徹底しておりますので、このたびはそういう処理をしたということでひとつ御了承願いたいと思います。
-
○
大出委員 いまの御答弁、先ほどからの御答弁ですと、処理せずということになるのでありますが、一体どういう処理をしたのか。とにかく本人によく話をした、こういうことですか。
-
○小幡
政府委員 行政用語で申しますと、厳重訓戒というかっこうの処理はしております。
-
○
大出委員 訓戒というのは、つまり処分なんですか。
-
○小幡
政府委員 正式な行政処分の一つではございません。教育的な意味のあれでございます。
-
○
大出委員 これが出てきて、ずいぶんショッキングな話だということでずいぶん世の中に話が伝えられたのですね。私自身がびっくりしたんだから。そうなると、それだけショッキングなことがあったのに、ひとつ間違えれば、今日の自衛隊あるいは制服を着ておられる方にしても、どうも二尉グループの皆さんの文書などがそのあと出てきたりしているわけですから、そうすると、そういう考え方が現存するのではないかという見られ方を自衛隊全体についてしているのです。南極観測船の輸送業務についても、これは疑えばきりがないのですよ。海上保安庁長官に聞いてみれば、海上自衛隊に持っていかれるのはとんでもない話だと思ったんだ、建造能力もない、設計能力もないというが、冗談じゃない、能力は持っている、しかし、最高方針によってきめられたんだからいたし方ないと、公に
内閣委員会等で言っているのでしょう。にもかかわらず、持っていったんでしょう。それで何という理由づけをされるかといえば、純学術的な研究について自衛隊がその業務に携わるということなんだ。オリンピックと同じ意味で、日の当たる場所に出すんだということですね。形の上で幾ら日の当たる場所に出そうとされても、こういうことが行なわれ、この内容も、あなたがおっしゃるように、現在のわれわれの頭で判断をすれば、一世紀前のような感じがする。しかし、言っていることはたいへんなことですよ。それだけのものがあらわれているにもかかわらず、また、そういう見られ方を一般からされることについて無理もない内容を含んでいるにもかかわらず——まさに基本的人権なんというものは全くの無視なんですからね。民兵組織をつくろうというんだから。そうなってくると、それについていまあなたがおっしゃるように、行政上の措置ではない。そういう処分はやりましたからというから、処分ですかと再質問をしたら、行政処分ではないとおっしゃる。そのはずですよ。そうなると、厳重注意の上だ。そうでしょう。訓戒というのはさとし戒めたというんだから、そうでしょう。そうなってくると、さとし戒めましたでは世の中は済まないのですよ。相変わらずより悪く解釈しますよ、この防衛二法が通るということになれば。だから、そういう形のままでこの防衛二法を通されるとなると、海上自衛隊の輸送業務一つをつかまえてみても、理由づけをされるように、自衛隊の皆さんを日の当たる場所に出すのだということだけでは筋が通らない。何かそこになければならぬということになってくる。ここらあたりが問題のポイントだと私は思っているので、そういう受け取り方をすることは無理もないと私は思うのだが、そうお思いになりませんか。
-
○小幡
政府委員 私も、たとえ私案でありましても、このような考えが出ましたことで、先生の御心配になるような印象を与えておることは、重々存じております。先ほども申しましたように、本人の将来を戒めまして十分説得をしておりますので、今後の状況を見まして、なおかつそういう懸念があるようでございましたら、しかるべく措置はとりたいと思っておりますので、ひとつ御了承願います。
-
○
大出委員 私は、何もここで個人だれだれをどうしろと言っているわけではなくて、問題はやはり一番中心にある——皆さんいろいろ答弁をされておるんだけれども、その一番奥のほうにあるところをはっきり押えておきたいわけです。だから、二十七万以上に自衛隊をふやす、こう言われる。自衛隊の学校に外国の人たちを呼んできて教育訓練をすることができると言われる。これ一つつかまえたって、ベトナム、タイの周辺等で日本で訓練された兵隊がいるんだということを外電が指摘している世の中でしょう。近くは日韓会談なんというものを進んでまとめようというのでしょう。東北アジア軍事同盟も締結をしたいというわけでしょう。しかも、MLFじゃないけれども、極東における核戦略体制というものを、いま欧州で問題になっているのと同じものをつくろう、ここまでいうんでしょう。そういう発表を今月の十四日パリ発でしておりますよ。そういう時期だけに、いまいわれる自衛隊に外国の人間を入れていくということを一つつかまえても、それは韓国の方々をやたらに引っぱってきて、優秀な朴政権下の軍人に仕立てて送り帰すのではないかと考えられる。無理からぬ世の中の推測ですよ。そうでしょう。そうなってくると、その上になおかつきわめて立体的に予備自衛官というものをふやして、これを制度化しよう、しかも制服まで考えよう、バッジもつけさせよう、こういうことになるわけでしょう。ところで一方で、南極観測船の輸送業務だけは海上保安庁がいろいろほしがったものをとってしまっておいて、最高方針だ、これは日の当たる場所へ出す、まことに平和協力なんだと言ってみても、私は筋が通りませんと言わざるを得ない。だから、いまの国防基本法私案というもの、これは郷土防衛隊までつくるのですから、そういう庁まで置くのですから、そうなってくると、これらのものを立案した——私案だとは言いながらも、判こは幾つも押されているということになると、だれが一体そういう私案をつくらせたのかという、ここまで発展をするのです。先ほどは演習を行なうのに都合のいいようにというのだが、それならば、どういう演習を行なうのに都合がよかったんですか。
-
○海原
政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、演習を行なう際の参考の資料としてと申し上げたわけであります。別に演習の都合をよくするとかよくしないとかいうことじゃございません。ただ、当時このことが問題になりまして、私自身もその全文を通読いたしました。さらにはどういうグループでそういうものが分けられたかということにつきまして調べてみましたところが、先ほど申しましたように、そのまず三分の二の部分につきましては、問題のないところでございます。後半の三分の一のところに、いろいろと未熟なことばが出ております。これは先ほどもおことばにありましたように、かつてどこかで行なわれたことをただ無批判に盲目的に書き並べたというような感じが実はするわけでございます。国家が全力をあげてかりに外敵の侵略に当たるということであるならば、こういうふうな事態が必要である、その方法等はまことに未熟でございます。先ほど申しましたように「他の法令の規定にかかわらず」というようなことで、いろいろなことが書いてございます。「他の法令の規定にかかわらず」というようなことが、一体公にされ得るものかどうか。これは先ほど申しましたように、若干でも現在の制度についての知識がある者には、噴飯ものでございます。ただ、先ほど来官房長からもるる申し上げておりますように、非常に未熟なものだ。その未熟なことを認識せずして、私の案であってもそれを配ったということは、まことに申しわけないことでございます。また、それによっていろいろと御心配のようなことを起こしたのは、まことに申しわけないと思いますが、ただ、一人の人間があやまちを犯しました場合に、これをすぐその職からはずすということだけが決して適当な筋ではないと私ども思います。未熟な者の場合には、十分にさらに勉強させて今後を見るというのも、一つの方法だろうと思います。それで、先ほど官房長が申しましたような形になっております。その後の様子は、決して二度と御心配の起こるようなことはない、こう私ども確信いたしておりますので、そこに書いてありますことを一々例にされまして、こういうことが書いてあるからおまえらはこういうふうに考えるのだろうということになりますと、先回も同じようなことを申し上げたような次第でございますが、際限なく問題が発展してまいりますので、どうか先ほど申しましたように、一つの演習の機会にたまたま研究グループにおいての参考資料として、あまり能力のない者が一生懸命まとめ上げたものである——これは事実でございます。したがいまして、そのようにひとつ御了解願いたい。重ねてお願い申し上げます。
-
○
大出委員 せっかくの御答弁なんですが、つまり演習のために参考として一つのグループがとおっしゃるのだが、それなら、いまの自衛隊は、演習のときに、参考としていかなる私案でもかってにどこかのグループあるいは個人が出して演習をやっていいということになっているのですか。
-
○海原
政府委員 私の御説明が不十分で申しわけございませんが、演習をいたします場合には、たとえばいろいろな参考資料というものを添付するのがならわしでございます。これは私どもの世界で、決してよくないことでございますが、いろいろと参考の書類を添付いたしまして、その内容は十分検討しないままに、何と申しますか、一つの背景をつくり出すことがございます。今回の場合もそういうことで、国家が総力をあげて行動する場合の一つの条件と考えられるものをたまたままとめたものが——先ほどからいろいろ判こを押してあるとおっしゃいますが、これは何もそれを認めるという意味の判こではないということでございます。ただ、先生も御存じのように、役所は間々めくら判をやります。そこでこの場合も、ほかの資料とあわせまして提出されたものにこういうものがあるという意味の閲印の判のように私どもは報告を受けました。そのままにいたしておる次第でございます。
-
○
大出委員 めくら判を押したとおっしゃるけれども、マル秘にするいうのはどういうわけですか。マル秘を含めてめくら判を押したということになりますか。私は、そういう筋合いのものじゃないと思うのです。いまはだいぶ違うのでしょうが、私も豊橋の予備士官学校の出身だから、まるっきり感じを知らないわけじゃない。私もいろいろ書かされたほうだけれども、書くについては、書けという命令があって書くのであって、かってなことをすれば、軍の統一規則は守れないのですから。そうなってくると、演習だからというんで、いまちらっと言われた、国の総力を結集するためにはなんということになってくると、これは相当上のほうの諸君の幹部教育でもなければないことだ、一般の自衛隊の方ならば。こうなってくると、そう未熟な方なんと言うが、相当頭の上のほうの方が書いておると思う。そうなると、何かそこにこれこれのものを研究せよというものがなければならぬのが筋合いだ。だから、グループの研究をしたということだと思う。だからこそ、判こをついたとかマル秘にしたのだろうと思う。そうでなければ筋が通らぬ。だから、そういう点はそういう言い方でなくて、どういう演習で云々というところを率直にやはり言っていただかぬと、非常にまずいのじゃないですか、そういうふうに言いかえられても。こういう事情だということをもう少しフランクに話してください。納得のしようがないので、どうもこれを最後にしようと思ったが、やめようがないから……。
-
○海原
政府委員 私の御説明することばが適当でないのでしょうか、御説明すればするほど問題がこんがらかってくるようでありますが、表紙に秘と書いてある、あるいはそこに航空幕僚監部と書いてある、あるいは演習の参考資料と書いてある、あるいは臨時国防基本法(私案)と書いてある、このことにつきましては、当時の国会では、
委員会におきましても実は御説明申し上げまして、私どもとしましては、実は御了解をいただいたという私どもなりの感じを持っておったものであります。それで、なぜそういうものに航空幕僚監部と書くか、また、たまたまそういう未熟なものなら、なぜ秘という判を押すか、まことに申しわけないことでありますが、それを御納得のいくような御説明はできないわけでございまして、この点は、一年前の事件でございますし、そのときに十分皆様方の御納得を得たことと感じておりますので、ひとつその点で御了承願いたいと存じます。
-
○
大出委員 時効になったのじゃないかと言われるのだけれども、この種のものにそう時効年限というものはないので、この
委員会で私重複は避けたいと思っていろいろ聞いてみたのですが、たまたまこの
委員会ではこの問題を論じていない。し、かも、この
委員会は防衛二法をきょう最終日を迎えて論議している
委員会なんで、してみると、私ども不明にして、将来この種のことが表に出てきたときに、当時そのときのことは私どもは知らなかったでは相済まないという気持ちで、私はどういう決着をつけてあるのかという点を念を押す意味で申し上げて、私が納得のいくように出てくればこれで終わります、こうしようと思ったところが、皆さんのおっしゃることはそうでない。したがって、どうも生きておるものをこちら側でかってに死んだと認識してやめてしまうわけにいかないのだ。そこで念を押すようですけれども、あるいはまたくどいようだけれども、なお言っておるわけだから、ここのところは、どうもいまおっしゃる筋ならば明確に生きておることだ。本人が法規班長を厳然とやっておるのだから、何としても——もう一つ問題は、あなたは、三分の一はどうもあまりよくないけれども、三分の二はいいと言う。これは第一章から第九章まであるのですよ。私も全部読んだ。ところが、第二章以下がまことにたいへんです。第二章に国防省が書いてあって——そんな法律はいま通っていないんですよ。国防
会議ができておる。地方行政本部があって——行政本部なんてたいへんなことだ。昔の内務省以上だ。第二章がたいへんです。ところが三分の二はいいのだということになれば、では、海原さんの言っておることは、第二章は三分の二のほうに入るのだから、これはいいのだということになる。そうなると、これはまことにたいへんなことになりますので、何とかひとつもうちょっと納得できるように答えてくれませんか。防衛大臣、どうですか。
-
○小泉国務大臣 国防基本法私案の問題については、私も一通り、就任前のことではございますが、報告は受けております。そこで、私が申し上げたいことは、国防基本法というようなものを制定をする意図は、防衛庁には全くないということを明言をいたします。なお、また本人の処置の問題につきましては、
大出委員のおっしゃることももっともな点が多々あり、私どもも、これは将来の問題を戒むるにとどまらず、こういう問題を今後なくするためにも、もっと処置の問題についても研究の余地があるのではないかと考えますので、私とつても十分研究をいたしまして、善処したいと思います。
-
○
大出委員 この国防基本法などという方向に研究されてはたいへんなんで、そういう意図でおっしゃっておるのではないと思いますが…。
それからもう一つは、この種のことを、アメリカの昨今の例じゃありませんけれども、制服を着ておる方々のほうでいろんなことをやられると、とかく世情騒然となりかねないいろんな物議をかもしますから、そこら辺はたいへんどうもぐあいが悪い結果になるので、そういう点は、ひとつ十分今後とも御配慮いただかなければならぬ問題だろうと私は思います。
それから、この内容を読んでみますと、この法案等ともからむ気がするのでありますが、そういう点等については、いま十分これから検討するというお話しなんで、一応私の持ち時間のほうといたしましては、この辺で——夜中の十二時までありますので、また後ほど関連があれば御質問さしていただきます。
-
-
○楢崎
委員 防衛二法
改正と関連をいたしまして、二、三の点について質問をしたいと思います。
まず、大臣から北部九州の防衛体制の構想について、御説明をいただきたい。
-
○小泉国務大臣 北九州地区における防衛体制につきましては、漸次できる限りの強化をいたしたいと存じまして、最近においては、第二次ナイキ部隊を昭和四十年度末までに北九州地区に配置する予定で、目下それを進めておるような状態でございます。
-
○楢崎
委員 防空体制全般を聞いておるのですから、単に四十年度に設置されるナイキ部隊だけのことではないと思うのです。スクランブルの状態その他を含めて、簡単に御説明をいただきたい。
-
○海原
政府委員 北部九州地区におきます防空体制といたしましては、先生御存じのように築城には、F86Fのニスコードロンに近いものが現在配置されております。新田原が——これは南部になると思いますが、南部の新田原のF104の部隊も、同じく北部九州の防空の任務は担当しております。したがいまして、昼間におきましての、スクランブルとおっしゃいましたが、緊急発進はF86Fの部隊が行ないまして、夜間全天候下のスクランブル、緊急発進は新田原のF104の部隊が担当いたします。これが現在の一応の姿でございますが、先ほど大臣からおことばがございましたように、第二次のナイキ大隊を春日、芦屋、築城、高良台、この方面に配置する予定でおります。
-
○楢崎
委員 そうすると、新田原のF104Jのクランブルは、いつから始まりました。——時間がだいぶかかるようでしたら、あとでけっこうです。
それでは、板付の問題から入りたいと思っておりましたが、運輸省との関連もございますので、まだ運輸省が見えていないようですから、いま大臣からお答えのありました四十年度設置のナイキの問題から質問に入りたいと思います。
十二月四日でございましたか、福岡に設置されるナイキ大隊の問題について御発表があったように新聞で読みましたが、その日発表された内容について、当
委員会で明確にしていただきたい。
-
○海原
政府委員 ナイキの配置に先立ちまして、先ほどの新田原のF104部隊の緊急発進の開始時日でございますが、これは本年の十月一日でございます。この日から新田原の第二〇二飛行隊は、先ほど申しました特に夜間におきますスクランブルのための任務が付与されております。
次に、北九州のナイキ部隊の配置予定でございますが、これは航空自衛隊におきまして、第二高射群という名前で編成する予定でございます。この第二高射群の群本部は、福岡県の春日町に配置する予定でございまして、各中隊全般の指揮所は、背振山に現在こしらえております。ここに指揮本部を置く予定でございます。射撃中隊は四個中隊ございますが、二個中隊は芦屋、一個中隊は築城、一個中隊は高良台、これに配置する予定でございます。さらに、これら全般の整備補給隊は芦屋に配置する。これが先般決定されました部隊配置の予定でございます。
-
○楢崎
委員 そうしますと、名称は第二高射群関東に置かれた大隊の名称は第一高射群ということになるのですか。
-
-
○楢崎
委員 当初の構想は、春日、芦屋、築城、高良台、それに雁ノ巣が一応加わっておったように記憶をいたしますが、雁ノ巣がはずされたその理由は何でしょう。
-
○海原
政府委員 当初の配置予定というおことばでございますが、これは本年でございますか、先般の
委員会でもやはりお答えしておきましたように、配置の場所につきましては、北九州の自衛隊の施設及び米軍の管理下にある場所等を含めていろいろな案を検討中である、こういうことを申し上げてきたわけでございまして、いろいろと部隊の配置の技術的な検討の結果、先ほど申し上げましたような場所に決定したわけでございます。
-
○楢崎
委員 それでは第二高射群に関する予算の点でございますが、これはミサイルとランチャーと標的、ターゲット、その分だけについて、どの程度になっておりますか。
-
○大村
政府委員 お答えいたします。
第二次ナイキ関係の先ほど御指摘のランチャーその他の特殊装備品の関係は、総額におきまして、来年度要求額は二十八億三千万円ほどでございます。
-
○楢崎
委員 来年度要求額ですか。来年度要求額じゃないでしょう。その辺は正確に答えてください。
-
○大村
政府委員 第二次ナイキ関係の経費の主体は、来年度予算でございます。一部本年度予算にも計上してございますが、ごくわずかでございます。本年度二千九百万円でございます。本年度負担額といたしましては、本年度で国庫債務負担額一億三千九百万円であります。
-
○楢崎
委員 第二高射群に予定されておるミサイル、ランチャーあるいはターゲットは、予算は三十八年度に国庫債務負担行為として出しておるのじゃないですか。来年要求するのですか。正確にやってください。来年の問題ですよ。
-
○大村
政府委員 御承知のとおり、ナイキ関係の予算は、第一次及び第二次と一括して計画いたしまして、三十八年度、三十九年度、来年度ということになっておるわけでございます。三十八年度は、これは第一次ナイキが主体でございます。それからさらにそれの歳出が本年度でございますが、第二次ナイキの予算といたしましては、本年度から来年度にかけてが主体でございます。
-
○楢崎
委員 そうじゃないでしょう。四十年度予算に第二高射群のミサイルあるいはランチャー等の予算要求をなさいますか。
-
○大村
政府委員 来年度予算に歳出二十八億三千万円、先ほど申しました金額の要求をいたしております。
-
○楢崎
委員 それでは、三十八年度の国庫債務負担行為分で確保していらっしゃる第二高射群の費用は、幾らになっておりますか。
-
○大村
政府委員 最初おっしゃったのをもう一回、おそれ入りますが……。
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○楢崎
委員 三十八年度に国庫債務負担行為の分として第二高射群のミサイル、ランチャー、タゲット等の費用を組んであるでしょうがと言っておるのです。あらためて四十年度予算に要求をされるのですか。あなたは私に御承知のとおりと言われましたが、私が承知しておるところでは、三十八年度に負担行為としてすでに取ってある分を四十年度に——そのミサイル、ランチャーはまだ買ってないでしょう。それを四十年度に使うのだ、私はそのように理解しておるのですが、あなたの言っておることと違うのですけれども、どうなんですか。
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○大村
政府委員 御承知のとおり、予算には、国庫債務負担行為とそれから歳出予算とございます。それで三十八年度には国庫債務負担行為として計上しておりますが、いわゆる歳出予算といたしましては、第二ナイキの経費は大部分が四十年度予算に計上になる、そういうことでございます。
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○楢崎
委員 そうしますと、ミサイル、ランチャー、まあターゲットは一機でしょうが、約二十八億。そうしますと、ミサイルは一発幾らで、ランチャーは一基幾らで、ターゲットは一機幾らという計数をひとつお示しいただきたい。
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○大村
政府委員 ただいま御質問のランチャー一基当たり幾ら、それからターゲット幾ら、それからナイキ幾らということですが、ただいま資料がないようでございますので、あとでさっそく調べまして……。
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○楢崎
委員 第二高射群はすでにお買いになって、もう編成が完了しておるのでしょう。そう金額が変わるのでしょうか。いまから四十年度にかけてお買いになる品物の値段もわからぬようじゃ、どういうことになるのでしょう。
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○大村
政府委員 御承知のとおり、ナイキ関係のただいま御質問のございました特殊装備品の関係は、米側と折衝いたしまして、米側の負担も相当あってのようでございますが、その間のこまかい積算の関係の資料がただいま手元にございませんので、若干お時間をいただきたいと思います。
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○楢崎
委員 別に困まらせるために言っているのじゃないのです。わかっておるけれども言えないのですか。それとも、ほんとうにいまわからないから言えないのですか。
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○国井説明員 ただいま調査をいたしておりますので、でき次第御説明いたしたいと思います。
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○楢崎
委員 海原局長はおわかりだと思うのですけれども、これは当然来年度予算と関係する問題で、大蔵折衝も始まっておると思いますから、当然資料はあると思うのですね。それだけ忘れてこられたのかどうか知りませんが、私が質問をいまから何時間するかわかりませんが、その期間にひとつ出していただきたい。これはあとの問題とも関連がありますから……。よろしゅうございますか。
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○国井説明員 ただいま調査中でございますので、調査の結果をあとから申し上げたいと思っております。しばらく御猶予を願いたいと思います。
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○楢崎
委員 実はあとの問題とも関連をいたしますから、その部分についての質問は、後ほどそういう状態でありますから、時間をかしていただきたいと思います。
それでは、それ以外の点について質問を進めたいと思いますが、来年度の予算要求の中に、第二高射群に要する陣地構築費、ミサイルランチャー、ターゲット等を抜いた、あるいは人件費等を抜いた純然たる陣地構築のための費用は、およそどのくらい要求をされておりましょう。
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○大村
政府委員 陣地構築のための施設整備費でございますが、十一億四千万円の要求でございます。
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○楢崎
委員 すでに設置された第一高射群のいまの陣地構築関係費用は、どのくらい要したのですか。
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○大村
政府委員 第一ナイキ群の陣地構築費でございますが、五億一千万円でございます。
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○楢崎
委員 そうすると、これは予算要求の段階ですから、最終的にどのくらいにきまるかわかりませんが、およそ二倍の金額になっておる。これは当然第一高射群と第二高射群の設置場所による、その土地の条件によって違ってこようというように理解をするわけですが、第一高射群の構築の場合は、あれは陸上自衛隊の所属でございましたが、第二高射群は航空自衛隊の所属になっておりますので、相当これは外部に発注をされる、請負をさせられる部分が多くあろうと思いますけれども、大体比率にしてどのくらいの外部に対する請負の量になりますか。おおよその比率でいいです。
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○志賀説明員 お答え申し上げます。
大体多くなった理由は、先ほど先生申しましたとおり、施設の配置の場所の地形とか、それからその現在まであります施設の利用できる状態とか、そういうことによりましてその違いがございますので、それで事実上約倍というふうな状態になったわけでございますが、そのうち大体民間に委託をする、発注をするというものは、電源関係とか、特にまた技術上必要とするような、部隊施工でできないようなものということにいたしておりまして、ただいまその具体的な案については検討中でございます。まだ、現場をよく調査をいたしまして、いま調整中でございますので、いまのところは幾らかという比率は出ておりません。
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○楢崎
委員 大体陣地構築のためには、土木工事、建築工事、通信のための工事、こういったものが含まれようと思いますが、発射中隊を例にとってみまして、土木工事等は、大体来年度の何月ごろから始まることになりましょう。そしてその期間はどのくらい見てありますか。
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○志賀説明員 部隊施工のほうは、工事計画ができましたなら、できるだけ早く着手をいたしたい、こう考えております。ただ、実際いろいろな設計の問題があり、どのくらいかかるかということが、まだはっきりいたしておりません。私どもの希望としましては、工事は来年度予算要求でございますので、できればおそくとも五月からは開始したい、こういうふうに考えております。
期間は、大体全体のできますのが、この配置の予定の期限に間に合うようにということでございますので、段取りのしかたによりまして、どういうふうに最終を組んだらいいかということも、いま計画の立案中でございます。
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○楢崎
委員 大体第一高射群を設置された場合の例からいくと、土木工事は七カ月くらいと見ておってもいいわけですね。そうすると、土木工事に関する限りは、第二高射群については、四十年五月ごろから大体十二月ごろにかけて完成をするというめどと理解してよろしゅうございますか。
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○志賀説明員 おおむね六カ月くらいはかかる予定でございますが、これのやり方によりまして、実際の工事の場所の状況によりまして、その長短は出てまいると思います。
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○楢崎
委員 それでは、土木工事に入る時期は大体来年五月ごろということだけは、一応のめどとしていまお話しをいただいたわけでございますが、春日町に置かれる大隊本部、この春日町の場合は、いわゆる陣地構築の必要はないわけでしょう。どうなんですか。
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○志賀説明員 春日は、現在米軍と共同使用をしておりますところの中に、約数十名の人間を収容できる場所を何とかつくる、こういう考え方でおりますので、特別の施設を考えてはおりません。
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○楢崎
委員 そうすると、春日町に置かれる第二高射。群の本部は、現在の日米で共用をしておる施設を使う。特別に新しい施設は考えていない。本部の要員は、第二高射群を例にとれば大体百六十名くらい、そういうことでよろしゅうございますか。
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○志賀説明員 現在あるものをできるだけ改修をして使いたい、こういうことで検討を進めておる段階でございます。
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○楢崎
委員 そうしますと、四十年度予算が通れば、現在の施設を利用されるわけですから、第二高射群の本部は直ちに現地につくられるということになりましょうか、海原局長。
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○海原
政府委員 この第二ナイキ大隊、すなわち第二荷射群は、大体四十一年の一月の下旬に編成完了を目途といたしております。したがいまして、この部隊の編成完了前までに、部隊の編成を事実上統制と申しますか、指揮と申しますか、扱う臨時派遣的な部隊が必要となりますので、そういう形のものを数九月前に編成して、これを群本部というか、それとも一応臨時派遣隊の形でいくかということがございますが、私のいまの判断では、おそらくそういうことは、全部の部隊がそろいましたときに初めて第二高射群というものの全般の編成が完了するもの、こういうふうに考えておりますので、事前に、前広に群本部だけを設置するということはまずなかろうと思います。
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○楢崎
委員 第二高射群の編成完了は四十一年一月ごろ、それはわかりますか。
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○海原
政府委員 現在の時点におきましては、一月の下旬を目途に考えております。
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○楢崎
委員 最終的に編成が終わるのは、四十一年一月下旬をめどとしておる。ただし、福岡にばらばらで乗り込んでくることになりましょうが、本部が一番に乗り込んでくることになると思いますが、これはただいまの御答弁では、春日町の既設の屋舎を使うのですから、これはすぐ乗り込んでくるということになるわけでしょう。
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○海原
政府委員 先ほど志賀参事官からも御説明いたしましたように、各中隊についての工事の施行監督は、一応福岡の施設局が当たると思います。さらに第ニナイキ大隊の編成の全般的なめんどうを見ることは、西部方面航空隊が当たることになると思いますが、おそらくその全般的な指導監督から具体的な第二高射群の編成業務に転移と申しますか、移り変わる時期がいつごろかというお尋ねと思いますけれども、これにつきましては、まだ、先ほど志賀参事官から申しましたように、それぞれの部隊の配置のめどがつきませんので、そのめどがつきましたところで、それの最高指揮をとりますところの群本部の編成の時期も考えてみたい、これが現在の私どもの考え方であります。
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○楢崎
委員 そうしますと、土木工事については、でき得れば四十年五月からかかりたい。あとの建築工事なり通信工事のめどは、どのように考えておられますか。
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○志賀説明員 土木工事と直接関連をして、それができなければ工事に着手できないようなそのほかの工事は、これは当然それができてからということになりますが、そうでないような工事は、並行していたしたい、こう考えておるわけであります。
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○楢崎
委員 そういう工事のスケジュールであれば、この第二高射群の要員を三百人程度派米をなさっておられるわけですね。まだ全部それが行っておるかどうかは知りませんが、ばらばらに行っておられると思います。そしてまたばらばらに帰ってこられると思うんです。その派米要員が全部帰られる、その最終期は、いつになっておりますか。
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○島田説明員 第二高射群の基幹要員の養成教育でございますが、ことしの一月から逐次派遣いたしまして、向こうで米軍の学校におきまして最終的な訓練を受けまして、教育が終了いたしますのは四十年の十二月の予定でございます。
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○楢崎
委員 それではばらばらに帰ってこられる、その第二高射群の要員は、四十一年一月下旬の編成期までは、どこにおられるのですか。
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○島田説明員 派遣は逐次ばらばらに参りますけれども、最終的に各種訓練を受けるのは、各諸学校の要員が一つの学校に集まりまして、具体的にいえば航空学校に集まりまして、そこで最終的な訓練を受けまして、大部分がその時期に帰ってくる、こういうことになっております。
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○楢崎
委員 それでは、行くのはばらばらに行く、その訓練の内容によって。しかし、帰ってくる時期は大体一緒に帰ってくる、来年十二月ごろ。員数はどうなっておりますか。最終的に第二高射群のための派米要員。
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○島田説明員 派米要員は、総体で約三百二十名でございます。
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○楢崎
委員 そうしますと、もう一度確認をしますが、発射中隊は四発射中隊できるわけですが、大体工事開始時期は全部来年五月ごろ。地形によってその期間は違いましょう。が、陣地構築に対しては、土木工事については六カ月ないし七カ月というめど、そして来年十二月ごろ要員は帰ってくる。そうすると、帰ってきた要員は三百三十名と言われましたが、直ちに第二高射群に、現地に配属されるわけですか。
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○島田説明員 約三百三十名のうちの約二百八十名が、第二高射群の要員でございます。そのほかに航空幕僚監部あるいは航空総隊司令部にナイキ関係の幕僚として約十名、それから今後の国内における補充員訓練の教官要員としまして約四十名でございますので、第二高射群に配置されます幹部並びに曹士、これは合計いたしまして約二百八十名でございます。
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○楢崎
委員 ちょっと聞き取りにくかったのですが、それらの要員は、帰ってこられたらもう直ちに福岡のほうへやられるわけですか。
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○島田説明員 これは基地の整備状況並びに編成の完結といいますか、編成日等とにらみ合わせまして、その時期に合わせるように第二高射群のほうへ配置されるというふうに考えております。
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○楢崎
委員 それも最終的にお伺いをしておきたいのですが、過去の質問では、第一高射群をめどにして考えを述べておられましたけれども、もはや予算的にも、来年の問題で具体的な
日程にのぼっておりますから確認をしたいのですが、各中隊ごとの員数をひとつお示しをいただきたい。
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○海原
政府委員 先ほど申し上げましたように、第二高射群というのは四十一年の一月下旬に編成の予定でございますので、まだ編成表の細部というものが、大臣の御認可を得てきまったというものではございません。したがいまして、以下申し上げるのは、現在幕僚段階でたぶんこの程度になるのであろうという見積もりの数字でございますので、それをあらかじめ御了解を得たいと思います。それによりますと、第二ナイキ大隊は一応八百八十一名を定員と考えております。群本部が八十三名、射撃中隊は百四十六名の中隊が三個中隊、百八十二名の中隊が一個中隊、合わせまして射撃中隊は六百二十名、これに整備補給中隊の百七十八名というものが加わりまして、一応総計八百八十一名程度と現在考えております。なお御参考までに申しますと、第一のほうの高射群は、総定数が九百十七名でございます。
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○楢崎
委員 そうすると、本部は八十三名、発射中隊は三個中隊については百四十六名、残り一個中隊については百八十二名、整備が百七十八名。そうしますと、発射中隊の中で一個中隊だけ多いわけですね。この百八十二名と考えられておる発射中隊は、どこなんですか。
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○海原
政府委員 一個中隊だけ人員が多くなっておりますのは、先ほど配置場所で申し上げましたのは、高良台、久留米に配置します部隊は、分とん地業務、いわゆる管理業務をこの中隊が行なわねばなりませんためのその要員が加わっておりますので、ふえております。これが編成的に第何中隊になるかということは、先ほど申し上げましたような事情でまだきまっておりません。
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○楢崎
委員 それでは逆戻りをいたしますが、ミサイルあるいはランチャーの金額、わかりましたか。
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○国井説明員 ミサイルあるいはランチャーの単価はどうかという御質問と思いますが、完成弾が約九十四万円、これは予算に計上しておる積算の数字でございます。それからランチャーが約五百六十万円、ターゲットが約二百五十万円でございます。以上でございます。
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○楢崎
委員 ただいま示されました金額は、日米の分担比率はどうなっているのですか。
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○国井説明員 ナイキにつきましての日米負担の問題でございますが、ナイキのこれから入ってまいりますものにつきましては、三五多がアメリカ側の負担になります。六五%がわがほうの負担、こういう比率になっております。
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○楢崎
委員 そうすると、ナイキ・アジャックスですか、このたまが一個九十四万円というのは、日本側の負担分の六五多にあたる金額ですか。
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○国井説明員 そのとおりでございます。
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○楢崎
委員 そうしますと、前回か前々回か当
委員会で確認をいたしました場合に、第二高射群の発射中隊は、ランチャーが九基からなっておる。そして四発射中隊を通じてアジャックス弾頭は七十二発だ。ターゲットは一機だ。現在も変わりありませんか。
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○国井説明員 変わっておりません。
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○楢崎
委員 そうしますと、いまのお答えから計算をすると、九十四万円かけるの七十二、五百六十万かけるの三十六、それにターゲット二百五十万、それを足したらどのくらいになりますか。二十八億の予算に比べて小部分にしかならぬのじゃないですか。
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○国井説明員 ただいま申し上げました完成弾、ランチャーあるいはターゲット以外に、先ほど先生の言われます金額の中には、その他の機材等が入っております。
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○楢崎
委員 私まだ計算はしておりませんが、ミサイルとランチャーとターゲットだけの費用だと、四、五億でしょう。どうですか、計算されましたか。そうすると、まだ大部分特殊装備品ということで約二十八億なんでしょうが、それ以外にはどういう装備品が入るのですか。
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○村上説明員 ナイキの編成装備品の中には、いまお話のありましたようにミサイル、ランチャー、ターゲット等の特殊装備と、それ以外には一般装備品としてミサイル等を運搬します大型車両、通信機等、及び特殊装備品としてのアクイジションレーダー及びトラッキングレーダーという捜索及び照準をいたしますレーダー等が含まれています。いまお話のありましたミサイル、ランチャー、ターゲット以外に、誘導装置及びその機材を運搬いたします大型車両というものが含まれております。
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○楢崎
委員 三十八年度の国庫債務負担行為であり、三十九年度に歳出化する特殊の装備品の二十八億という金額の中には、一億四千八百万の電源トレーラー等が入ってないでしょう。
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○村上説明員 特殊装備品二十八億円中には、一般装備品費の一億四千八百万円は含まれておりません。一億四千八百万円は、三十九年度及び四十年度にわたって歳出化されます。
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○楢崎
委員 三十九年度の歳出の分は、二千九百万円だとさつき説明がありましたね。わかりますか。さっきあなたは三十九年度二千九百万円支出したとおっしゃいましたね。二千九百万円の歳出というのは、どの分から出されたのですか。
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○村上説明員 いま御質問の件は、特殊装備品というお話でございましたので、特殊装備品関係の歳出を申し上げました。いま御指摘の一般車両関係は、この項目が一般装備品でございまして、項目を取り違えたことをおわび申し上げます。一般装備品の中に、いま
経理局長が申された二千八百万の歳出を計上しております。
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○楢崎
委員 どうもその辺が混乱をしておるようですが、もう一度確認をしたいと思いますけれども、三十八年度の国庫債務負担行為分として、特殊装備品関係は、ミサイル、ランチャー、ターゲットその他となっておりますが、これが二十八億三千万程度、これが三十八年の国庫債務負担行為分として出されておるのですね。それをまだ使っていない。それを四十年に使おうというわけでしょう。そうでしょう。それから三十九年度の国庫債務負担行為分として出されておるのは一億四千八百万と私は承知をいたしておるのですが、そのうち、さっきの御説明では、二千八百万ですか、出されておる。残りは全部四十年度に使うというわけですか。
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○大村
政府委員 三十九年度に計上分は、一般装備品のうち通信機購入費は二千九百万、そのほか通信機購入費の国庫債務負担行為分が一億三千九百万、器材費が九百万というふうに相なっております。
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○楢崎
委員 そうすると、三十八年度の国庫債務負担行為分として出されておりました二十八億三千万というのは、全然使ってなくて、四十年度に使われる。これで新しく第二高射群のミサイル、ランチャー、ターゲット等をお買いになる。いいですね。それから三十九年度国庫債務負担行為分の一億三千九百万ですか、これのうちで使っておるのは二千九百万、残りを、これはおそらく通信機器というのですか、そういうものだと思うのですけれども、それを四十年度で買われる。間違いございませんね。
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○大村
政府委員 特殊装備につきましては、お話しのとおり、債務負担行為で三十八年度に計上いたしまして、それの年割りの四十年度分が二十八億計上要求をいまいたしております。それから、三十九年度分につきましては、通信機購入費といたしまして、本年度の歳出額が二千九百万円、それから四十年度、後年度負担額が一億三千九百万円、そういうふうに相なっております。
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○楢崎
委員 ややはっきりなってまいったのですが、そこで四十年度に新しく予算要求をなさっておるのは、第二高射群については、約十一億の陣地構築関係ですね。そこで、海原局長にお伺いしたいのですが、ミサイル、ランチャ一等は、いつお買いになるのですか。
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○村上説明員 先ほどから御説明申し上げておりますように、ナイキの第二高射群の経費は、三十八年度・三十九年度と四十年度に分割されて入っておると思います。先ほどから申し上げております昭和四十年度の二十八億は、これは特殊装備品でございます。これ以外に、施設費というのは、いまお答えいたしました約十一億が他に計上されているかっこうになっております。
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○楢崎
委員 ミサイル、ランチャ一等は、いつアメリカからお買いになりますかと聞いている。
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○村上説明員 これは、三十八年に、先ほど申し上げましたように契約いたしまして、四十年に入手することになっております。
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○楢崎
委員 四十年に入手するんじゃない、設置されるんじゃないですか。あたりまえの話でしょう。四十年のいつごろかと聞いておるのですよ。四十年に買うことはあたりまえの話じゃないですか。そうせぬとあなた、四十一年の一月下旬に編成されぬのじゃないですか。
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○村上説明員 わがほうにミサイル、ランチャー、ターゲット等を入手する大体の見込みといたしましては、まだ確定的な通知は受けておりませんが、推定といたしましては、七月から八月にかけて入手するような情報を受け取っております。
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○楢崎
委員 それでは四十年の七月から八月にかけて、アメリカからミサイル、ランチャ一等を購入する、そして福岡に持っていく、よろしゅうございますね。
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○村上説明員 ただいま申し上げましたのは、大体そういうことになろうかという程度の推測でございます。まだ正式の通知は現在のところ受け取っておりません。
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○楢崎
委員 めどでけっこうです。
それでは先に進みますが、大臣にお伺いをいたしたいと思いますけれども、これは過去の
委員会で数回質問をいたしたところでございます。すでにアジャックスは生産を停止している。一つの高射群にたまがわずか七十二発、これはアジャックスのたまがすでにもう生産が停止されて、ストックもそうないということでそういうことになっておるのでしょうが、今後の見通しについて、ハーキュリーズを防衛庁としては考えておる、特に三次防ではそういう方向でいきたい。新しく長官になられました大臣のお考えを承りたい。
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○小泉国務大臣 三次防の計画については、目下大綱を各幕で研究をいたしておる段階でございまして、大網の骨組みだけでも明らかになるのは、ここ半年くらいの期間を要するという報告を各幕から私は受けておる段階でございます。
なお、三次防に対してただいまお尋ねのことに関しましては、
政府委員から答弁をいたさせます。
-
○海原
政府委員 楢崎先生の第一の御質問の点でございますが、ナイキ・アジャックスのたまはもうすでに生産を中止しておるから、当然にわがほうの将来の補給はハーキュリーズの普通弾頭のものになるのではないか、こういう
趣旨のお尋ねと考えるわけでございますが、この点は先般もやはり
委員会で御説明したと思いますが、現在アメリカの一般州兵の手で管理されておりますナイキ・アジャックスの大隊は、相当ございます。これが逐次アメリカではハーキューリーズに変わっております。したがいまして、今後このアジャックスのたまが日本に入手できるかどうかという点につきましては、まだ不可能であるという結論は得ておりません。今後、私どもはこのアジャックスのたまが入手できなくなったという先ほどの先生のような
趣旨の情報には接しておりませんで、まだ依然としてアジャックスのたまは入手できるのではないかという一応の見込みもございます。
次に、しかしながら、御存じのように、アジャックスというものはもうすでに旧式なものになろうとしておるものでございますから、かりに三次防におきましてこのナイキ系統のミサイルを装備するとしますと、純粋な技術的な要求から申しますれば、さらに精度の高いハーキュリーズの普通弾頭のものを装備したい、こういう考えを持ってくることは、これは一応当然の帰結でございます。しかしながら、ここ一、二年来、国会の各
委員会でも御質問がございましたように、ハーキュリーズは、普通弾頭と核弾頭と両方のものが使えるわけでございまして、私どもはこの普通弾頭のものを考えたいわけなのでありますが、しかし、これにつきましては、いろいろと御疑念を持たれる向きもございます。したがいまして、私どもとしましてどういうふうな判断をするかということは、まだ何ら事務的にも結論を得ておりません。以上のような状態でございますので、先ほども大臣から申し上げましたように、ここ半年以内にかりに三次防の構想がまとまりました場合には、その際に一応の事務的な結論が出るのではないか、こういう状態でございます。ひとつ御了承願います。
-
○楢崎
委員 それではあと半年くらいの間に三次防の大体の構想がわかってくるから、半年もたてば今後ハーキュリーズの持ち込みの問題が明確になるだろう、それでよろしゅうございますか。
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○海原
政府委員 私の説明を補足させていただきます。
先ほど私が申しましたのは、かりにナイキ系統の、ミサイルを持つとすれば…。その「かりに」ということがございます。したがいまして、先ほどの御質問にございましたように、三次防におきまして、ナイキ系のものを持つか、あるいはホーク系のものだけを持つか、その辺のところは全然わかっておりませんので、したがいまして、そういう点をひとつ御了承願いたい。
-
○楢崎
委員 このハーキュリーズの持ち込みの問題については、過去二、三回当
委員会で質疑、討論をやりましたから、きょうはまあ避けたいと思います。
次に、板付の基地の問題に移りたいのですが、板付は、七月一日以降米軍用機がいなくなったのですが、現在もその性格は変わっておりませんか。
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○海原
政府委員 板付の基地の性格ということでございますが、これはおそらくいわゆるアメリカの申しておりますスタンドバイという、いつでもそこに米軍の部隊が来て使える状態にあるということをおっしゃっておるといたしますれば、全然これは変わっておりません。
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○楢崎
委員 七月一日以降は、レデューストーオペレイティング・ステイタスですか、そういう性格は変わっていないのですね。
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○海原
政府委員 ただいまおことばのレデュースと申しますのは、やはりスタンドバイ・ステイタスの上に、しかし部隊は縮小された形において一部のものが配置をされるということを表現するために使っておる用語であると了解いたしております。これは変わっておりません。
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○楢崎
委員 いま部隊が縮小されて置いてあるといいますが、その部隊というのは、軍用機のことじゃないでしょうね。
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○海原
政府委員 私の御説明が不十分で申しわけございませんが、オペレーションの状態が縮小されておることでありますから、維持、管理等、さらにはコントロール・タワーの関係、これは従来の状態でございまして、ただあそこに二ないし三部隊完全に展開しておったときと同じような状態のものではない。具体的にいえば、実働部隊は配置されておりません。しかし、いつでもそこへ実働部隊が行けば活動できるという体制にあるわけでありまして、したがいまして、その体制等に応じまして管理要員その他も縮小される、そういうことでございます。
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○楢崎
委員 明確にしたいのですが、米軍機の配属はすでにないのでしょう。一時的あるいはときどき使うということはあっても、常駐的に配属をされておる実戦機はない……。
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○海原
政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、実戦機という戦闘機としての恒久的配置はいたしておりません。しかし、いつでもそういうものが来れば使えるように、たとえばヘリコプターであるとかあるいは若干の救難機というものは、現実に配置されておる。ただし、実戦部隊の配置はございません。
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○楢崎
委員 そうしますと、ヘリコプターとか救難用の飛行機は、現に配備されておるのですか。
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○海原
政府委員 私の記憶に誤りがなければ、数機おるはずであります。
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○楢崎
委員 いや、おるということと編成上配備されておるということは違うでしょう。どうなんですか。どこどこ基地所属のそういうヘリコプターなり救難儀ですか、そういうものが板付に飛んできておるという状態と、板付に配備されておるということは違うのではないですか、どちらなんでしょうか、おるといういまの状態は。
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○海原
政府委員 手元に詳細な編成上の資料を持ち合わせておりませんので、お答えできないのはまことに申しわけございませんが、そういう場合に従来とっておりますのは、先生おっしゃいましたように、よその基地に所属されておるものが、輪番的に、あるいは一時的に配置されるのが例でございますので、板付におります同種の飛行機も、おそらくよその本部からの派遣隊、こういう形になっておると思いますが、この点はなお調査の上お答えさせていただきたいと思います。
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○楢崎
委員 前の
委員会で、七月以降は板付に配備をされる米軍の飛行機はなくなるのだと答弁されておる。ときどきいろいろな飛行機が飛んでくるかもしれないけれども。いまの答弁とちょっと違うわけですね。
それはあとで御答弁をいただくといたしまして、そこで現在まで米軍の実戦機がときどき飛んでまいります、その頻度についてお伺いをしたい。たとえばきのうからですか、F105あるいは102か101か知りませんが、それが訓練をするために板付を使うという、その連絡方が市長にあっておるようですが、使う場合には、そういう連絡を一々するようになっておるのですか。
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○小野
政府委員 お話のように、米軍機が板付へ出まして、そこを足がかりに訓練をする、そういうときには地元へ連絡する取りきめになっておるかということでありますが、そういう取りきめはございません。しかしながら、やはりそうした部隊が来て訓練をするというようなことになりますと、地元の方にもお知らせしておいたほうがいいというようなことで、連絡を米軍側のほうからとってくるということは、あり得ると考えます。
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○楢崎
委員 そうしますと、あるときには連絡をし、あるときにはしないということがあるのですか。
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○小野
政府委員 大規模と申しますか、これはどの程度から大規模と言ったらいいか問題でありますが、やはりある程度まとまったものがまとまった訓練をする、あるいはある期間そこにとどまっておるというような場合には、連絡をしてくることが望ましいわけでありまして、そういうことは私どものほうでも申し入れております。ただ、それが数機というような形、あるいは一機、こうしたものが連絡あるいは習熟訓練その他によりましてあそこへ立ち寄る、あるいはそれが一日に別々な行動をとって何機か来ることもあるかもしれませんが、そういうようなときには、一々連絡をしてもらうということを私どもとしては進んで求めておりません。ある程度まとまって訓練をするとき、要するに、相当に地元の方にまた騒音を振りまかれるというような場合に、あらかじめ連絡をしてもらいたい、こういうことになっておるわけであります。
-
○楢崎
委員 航空自衛隊のほうは、板付の使用度はどんなふうですか。
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○海原
政府委員 航空自衛隊が板付を使用します場合につきましては、これも先般御説明申し上げたことでございますが、F104部隊が新田原に展開いたしましてから、このパイロットが万一の場合の慣熟——なれますために、間々これに立ち寄ることがあり得るのだ、こういうことを申し上げておりまして、おりおり104の部隊あるいは築城の部隊が飛んでまいっておると思いますが、この使用頻度につきましては、現在手元に資料がございません。しかし、これは先ほども申しましたように、パイロットの慣熟飛行並びに臨時の所用のためのきわめて例外的なものでございますので、そのように御承知願いたいと思います。
-
○楢崎
委員 局長は、板付を日本の航空自衛隊が米軍と共同使用することはないとおっしゃいましたね。必要なときは使う。ところが、その使い方がこのごろひどくなっていやしませんか。まさに共同使用と同じ程度の使い方をしてはいないか。航空自衛隊の使用の状態について、御説明をいただきたいと思います。
-
○海原
政府委員 御質問の御予定をいただいておりませんで、私、手元にございませんので、至急係官に調査させます。その上でお答えさせていただきます。
-
○楢崎
委員 いつも航空自衛隊の飛行機がおりますよ。これは全く共同使用と同じじゃないですか。私がいま言っておるその状態が、どういうことなのか、私は明確に御説明をいただかないと困ると思うのです。
-
○海原
政府委員 たびたび同じお答えをして恐縮でございますが、板付飛行場のわが航空自衛隊の各機種によります使用実績という資料を手元に持っておりませんので、至急調査いたします。ただ、航空自衛隊の飛行機と申しましても、たとえばC46のような輸送機等は、あすこにいろんな部隊がおりますので、これの連絡のために立ち寄るということはございます。これはいわゆる米軍との共同使用というような形のものではないというふうに御了解願たいと思います。
先般も御説明いたしましたが、先ほども申し上げましたように、十一月一日以来、F104というものは領空侵犯の任務に当たっておりますので、万一の場合には板付に着陸をするという必要はございます。そのために、パイロット等が慣熟飛行をすることは当然、当時からそういうことはあり得るんだということで御説明しておるのでございまして、ただ先生のおっしゃいますように、その使用頻度が非常に激しくて、まるで共用と同じような状態になっておるということにつきましては、まことに申しわけないことながら、私どもそういう認識がございません。至急調査の上、お答えさしていただきます。
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○楢崎
委員 いまの点につきましては、私どもで把握しておる資料がありますけれども、おたくから出される資料を検討して再度お伺いしなくちゃならぬと思いますが、いまのような形では、幾ら自衛隊は米軍と共同使用しないと言ったって、現実にやっておるのです。なしくずしに使用しておる。全く言語道断です。そういう共同使用の実績だけは、確実につくっておる。あすこに三千三百メートルの滑走路を擁するりっぱな飛行場があるから使わな損だというような形で使っておるとすると、私はこれは法的にも問題だと思う。だから、この点は至急当
委員会に資料を出してもらいたいと思います。
それから先般も質問をした際に、今後の状態を見てということでございましたが、いわゆる部隊縮小に伴う施設の利用度の低下、あるいは遊休施設といったものが当然出てくると思う。また、そういうものを積極的に米軍に求めて、日本に返してもらうという態度で施設庁も進んでもらいたい。その後、施設の減少があったかどうか、お伺いをしたい。
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○小野
政府委員 私どもも、その問題には非常な関心を持ちまして、いろいろ調査もし、あるいは米側と折衝をしたのでありますが、ただいまのところ、結論としては、米軍としては、先ほど
防衛局長が説明申し上げましたように、やはり何かのときは使うかもしれないということが腹にあるわけでありまして、そういう意味で現有施設は一応残しておきたい、こういうことでございます。しかも施設といいましても、大体が飛行場の中の施設は、格納庫が違ってまいりますけれども、その他一般の機能はほとんど完全に生かすわけであります。また、格納庫も有事のときは使いたい——有事でなくても、同地に飛来滞留の際には使うという意味において、返せない。それから司令部のございます春日原地区におきましては、これまた同じような理由で隊舎のようなものは確保しておきたい。また中にあります住宅については、従来おりました軍人が105とともに他へ移ったわけであります。その後はあく計算になるのでありますけれども、もともとそういうような軍の宿舎というものは足りないために、民間の住宅を借り上げをして入っておった。これを引き揚げる。こういうようなことから、そういうところもあき家にはならない、こういうような説明で、現在のところ返還という問題は表に出てまいりません。
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○楢崎
委員 これは、施設庁のほうから、要らなくなった施設あるいは使用度が少なくなった施設は返してほしいという交渉ぐらいは、積極的に私はなさるべきであろうと思う。これが日米地位協定の二十三項による精神だと思うのです。向こうの言いなりにならないで、そういう態度で今後やっていってもらいたいと思います。
そこで、板付基地のこういう性格の変化に関連をして、地元の人たちはこの板付が国際空港になるように願っておる。そしてその具体化の一策としていろいろな要請をしておりますが、まず国際空港化の問題について、特に近東アジアと板付との国際路線の問題は、地理的に見ても非常に有利であるから考えたいという運輸省のお考えでもありましたが、この国際空港化について、その後どのような進展を見せておるか、
航空局長のほうから……。
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○栃内説明員 板付の国際空港化の問題につきましては、先般も御質問いただいたことを記憶しております。国際空港ということばにいろいろ意味がございますので一がいには申しにくいわけでございますが、現在の状況といたしましては、空港整備法による国際空港、すなわち第一種空港ということでこれを整備していくということは不可能ではないか、かように考えます。ただ、現在におきましても、日本航空の飛行機が福岡−沖繩というものを現にやっております。もちろんこの福岡−沖繩間が国際航空であるかどうか、いろいろ考え方がございましょうが、一応法律的には国際航空ということでやっております。そのほか、板付に入りたいという希望のあるものが、現在で二つございます。一つは大韓航空でございます。もう一つはBOAC、二つの航空会社がこれに入りたいということを申しておりますので、こういう航空会社が入るというような形において板付が国際空港として発展していくというようなことは、将来考え得るわけでございますが、いまの姿のままでいわゆる空港整備法による第一種空港としての国際空港にすることは不可能ではないか、かように考えます。
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○楢崎
委員 それはいま米軍の管理下にありますから、空港整備法による第一種空港ということは困難であることはわかっておる。それは初めからわかっておる。ただ、それに準ずる取り扱いを今後やっていくという問題なんです。
そこで、いま申し入れがあっておる大韓航空の問題ですが、これは釜山と板付の路線でございましょう。
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○栃内説明員 仰せのごとく、先方は釜山−板付間に定期航路を開きたい、かように希望しております。
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○楢崎
委員 その問題はせんだっても質問したのですが、ずいぶん日にちがたっておりますけれども、どのような進捗状態でございますか。
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○栃内説明員 現在いつから開始可能かというはっきりした見通しは立っておりませんけれども、私どもとしては、これが早く実現いたしますように、いま
政府内部でいろいろ相談いたしまして、これが実現が早くできるように努力中でございます。
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○楢崎
委員 BOACのほうの路線はどのような状況ですか。
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○栃内説明員 BOACにつきましては、やはり日英間でいまいろいろな問題がございますので、近いうちに日英航空協定の問題につきましてイギリスの代表団と交渉いたしたいというふうに考えております。先方は以前から福岡というものに入りたいという希望を申しておりますので、おそらくこのことが話題になるものと思います。なお、ちょっと訂正さしていただきますが、BOACと申しましたのは間違いでございまして、同じ英国の航空会社でございますが、キャセー・パシフィックでございます。キィセー・パシフィックが、これは香港を本拠として運営しておりますが、板付に入りたいという希望は以前からございまして、近く交渉をやる際にこのことが話題になるのではないか、かように考えております。
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○楢崎
委員 いまの問題と関連をして、全日空が福岡−東京間、福岡−大阪間の航路についてことしの二月に申請を出しておると思うのですが、その問題についての運輸省のお考えをお聞きしておきたい。
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○栃内説明員 全日空の福岡−東京、または福岡−大阪の路線申請につきましては、現在でも申請が出ております。これにつきましては、いわゆる国内幹線の運営をどういうふうにするかということで長らく懸案になっておったわけでございます。御承知のように、現在までのところ、幹線としまして福岡に乗り入れておるのは日本航空のみでございますが、全日空もかねてから幹線としての福岡に乗り入れたいという希望を持っております。また、そのほかに、御承知と思いますが、国内航空株式会社というものが発足いたしまして、この新しい合併しました会社もやはり、東京−福岡また大阪−福岡の路線をやりたいというような希望がございます。そこで、この辺をどういうふうに調整するかということでいろいろ検討しておりましたが、先般運輸省といたしまして決定いたしまして、そして両社とも福岡に入るようにしよう、ただ、これには段階を追うて入れていくべきじゃないかということで、全日空につきましては、別途全日空と緊密な提携関係にあります他の航空会社との統合ということを一つの前提として、逐次福岡に入っていくようにしようというようなことで考えておりますので、現在のところ、いつからということは、国内航空会社につきましては、全日空につきましてもまだはっきりしたことはきめておりませんが、いずれにしましても、時期の問題、また何便入れるかというような点は検討をしなければなりませんが、全日空につきましても福岡に入れるという方針はきまっておるわけでございます。ただいま、御質問に対しまして、いつから何便どことどことの間の路線によって福岡に入れるということはまだお答えする段階になっていないのはまことに遺憾でございますが、なるべく早くこの問題も決定いたしまして、会社が準備しやすいように、両方の会社でございますが、しなければならぬ、かように考えております。
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○楢崎
委員 私は、こういう板付の平和利用の点についてお伺いをしておるのは、なるだけ平和利用をすることによって米軍の使用なりあるいは航空自衛隊の使用をチェックしていきたい、そういう考えがあるからです。それで、その点は運輸省のほうも大いに今後平和利用の点について積極的な姿勢で考慮をしていただきたい。
最後に、それらの平和利用の問題と関連をして、せんだってもエプロンの問題を聞いたんですが、その後どのような作業になっておりますか。前回の質問では、いろいろと検討をしておるということでございましたが、最後にこの一点だけお伺いをして質問を終わりたいと思います。
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○栃内説明員 民航地帯のエプロンでございますが、これが手狭で、あるいは会社が困っておる、ひいてはお客様に御迷惑をかけておるということでございまして、どこに恒久的に置くかというような問題は別といたしまして、とりあえず、いまの地帯をできるだけ整備しようということで、明年度予算でもってエプロンの拡幅という予算を計上いたしまして、私、何千万円だったかいまちょっと記憶しておりませんが、何千万円かでございますが、これを予算要求いたしまして、おそらく十九日には第一回の内示があるというふうに伺っておりますが、かりに第一回の内示でだめでありましても、あくまでこれは復活要求しまして、エプロンの整備をして、板付空港の民間地帯使用地域が少しでも便利にかつ安全になるように努力したいと思っております。
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○楢崎
委員 いまの点、現在あるところを整備拡張したいという構想ですね。
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○栃内説明員 おっしゃいますように、明年度予算で要求しておりますのは、現在の場所を拡張して整備をしたい、こういうことでございます。
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○楢崎
委員 そうすると、現在の地帯というと基地内でございますが、基地内でそれだけのものを拡張していきたいということですね。
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○栃内説明員 現在あの付近がかなり複雑な形になっておりまして、運輸省で直轄している部分、また、共同使用になっておる部分等がございますが、いずれにしても、ここで、あるいは細部の点で違う点があるかもしれませんが、いままで基地内の部分をさらに民航のために割愛してもらおうというようなことが基本的な考え方でございます。
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○楢崎
委員 いまの点は、御承知のとおり、事故もあったことだし、また事故があるとあそこはたいへんなことですよ、エプロンも狭いから。それで、十分慎重にしかも早急にひとつ御処置をいただきますように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
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-
○
村山(喜)
委員 私はまず今回提案をされております法案の問題に直接関係をいたします問題を取り上げてまいりますが、今回まあ提案をされましたこの自衛隊の隊員の増強の中におきまして、航空自衛隊の増設が出されておるわけでありますが、この航空自衛隊の数飛行隊を増設するという提案の理由になっているわけであります。ところが、数飛行隊の増設ということは、うしろの法案には第八航空団をつくるという別表が出されておる。その立場から見てまいりますと、この四百九十六名でございますか、この自衛官の増加というのは、明らかに第八航空団を新設するということに結びつかなければならないと思うのであります。私は、そういうような意味において、提案理由の中で明確に第八航空団を新設するものに伴うものなのだというそのことを説明されなければならないかと思うのでありますが、それにつきましては、提案理由の説明の中には入っていないので、一体これはなぜこういうような提案のしかたをなされたのか、その点をまず第一にお伺いをしておきたいのであります。
-
○麻生
政府委員 提案理由の中では、航空自衛隊の増員は四百九十六人で、飛行部隊の新編及び既設部隊の整備等のために充てられるものであります。こう御説明されておるところであります。そこで、提案理由の説明は、あるいは説明が不十分かと思うのでございますが、この飛行部隊の中には、たとえば104の飛行隊あるいは第八航空団というようなものの新編ももちろん入っておるわけであります。それから、既設部隊の整備と申しまして、既設部隊のうち人員の少ないものは補充し、あるいは要らなくなったものはこれも整理をするという意味で、既設部隊の整備と、こううたっておるわけであります。それで、航空自衛隊の増員は、結局、新しくふやすものと廃止するものもございまして、差し引き四百九十六人という数になるわけでございます。あるいはこの文章の中からは、あとのほうに出てまいります第八航空団の説明と関連をいたしまして少し不親切ではないかというそしりは、率直に申しまして、御質問を受けました私も感じないとは言えないのでございますが、提案理由の説明は、非常に簡にして要を得たような説明で従来やっておりますので、あるいはもし十分な御説明がないというおしかりを受けますならば、その点私から申し上げるのは恐縮でございますが、幾分説明不十分なところがあるかというふうな感じがいたします。
-
○
村山(喜)
委員 防衛年鑑の三十九年度版を見てまいりますと、航空自衛隊の編成及び定員のこの増加要求の資料として、F104飛行隊二隊、これは新田原と小牧につくる、それに築城に第八航空団を、そしてそのほかに第八十六航空隊を岩国に新編をする、こういうふうに説明がしてございます。そこで、今回四百九十六名の航空自衛官の増員が法案の中で出てまいっているわけでございますが、その提案理由の説明としては、飛行部隊等の新編並びに既設部隊及び機関の改廃、こういう、かっこうで処理されております。ところが、すでに新田原にはF104ジェット戦闘機が四十八機配置をされております。そしてまた、岩国にはすでに飛行隊が新設をされた、こういう事実があるようでありますが、これは事実であるのかどうか、この点を明確にお答えいただきたいのであります。
-
○麻生
政府委員 御説明いたします。
本年度の新設の部隊としましては、先ほどの御質問にもありましたように、第二航空団で104の飛行隊を増設するようにしております。それからまた、新田原におきまして、やはり104の飛行隊を新編するということになっておりまして、これらの部隊につきましては、すでに新編をいたしております。この人員は、先ほどもちょっと触れたのでございますが、既存の部隊を廃止いたしまして、その人員をもってこれに充てているわけでございます。
それから、先ほど岩国につきまして第八十六航空隊の御質問があったのでございまが、これは十二月一日に新編をいたしております。この人員も、ほかの部隊を整理あるいは廃止いたしまして、その人員をもってこれに充てているわけでございます。ただ、第八航空団の設置と申しますのは、これは法律事項でありますので、あくまで国会の御承認を得まして設置をしたいということで、第八航空団の創設にはまだ至っていないということでございます。したがいまして、すでに与えられております定員の範囲内で、新しい飛行機もできてきているわけでございまして、これを放置しておくわけにもまいりませんので、自衛隊の任務の遂行の円滑を期するために、
政府において許されている範囲内の組織権に基づきまして、これらの部隊を新編してやってきているというのが現状でございます。
-
○
村山(喜)
委員 私はそこに非常に重大な問題があるように思うのであります。といいますのは、新聞によりますと、すでに十月二十六日付で臨時築城航空隊をつくり、それから第三十三教育飛行隊の新編を行なった、なお、その臨時築城航空隊の新編は、第八航空団の新編を規定した防衛二法が成立していないための暫定措置である、もし防衛二法が成立した場合はそのまま第八航空団となる予定である、同航空団の内容は、さきに新田原基地にあったRF86F二飛行隊を基幹とする第六航空団をそのまま移動したもので、その中身はF104D二飛行隊にかえられ、引き続いて新田原を基地とすることになる、こういうことです。そこで、なるほど、航空総隊なりあるいは航空方面隊なりあるいは航空団と名がつくのは、法律事項として別表で規定づけられております。ところが、その臨時航空隊というような名前のもとに、法律が通らない間を利用して、政令その他の措置をもってそういう措置をすることがはたして妥当であるのかどうかという問題は、やはり防衛庁長官からお答えを願わなければならない問題だと思うのであります。考え方によりますと、これは明らかに脱法行為であり、そして行政当局の立法府に対する越権行為だと私たちは受け取るわけであります。なぜかならば、団の下については、政令その他におい七あなた方の長官の布告等によって規定ができるということになるならば、すでに、四百九十六名の隊員を増強をしないのにもかかわらず、それらが実質的にでき上がっておるという形になってまいりますと、この議会において自衛隊に対するところの統制、民主的な国民の代表が関与してこれを統御していくというシビリアンコントロールの一つの行き方が無視されるかっこうになると私は思う。そういう点から考えまして、こういう措置をおとりになった以上は、長官から議会に対してあらかじめ報告をするなり何らかの措置をしておかれるのが、少なくとも私は妥当な方法ではなかろうかというふうに考えるのでありますが、いまわれわれのほうから質問を提起して、こういう形になっているじゃないかという形で、あなた方がそれに対してそれは行政権の範囲内においてやったのだという返事をされる形では、私は少なくとも今日の自衛隊のあり方の上から見て正当な方式ではないと思うのでありますが、この点について国務大臣としての防衛庁長官の御意見を承りたいのであります。
-
○小泉国務大臣 法案が通らない前に、臨時という名前で法案の通過成立後の準備行為をしたという点につきましては、
村山委員が申されますとおり、理想的ならば、当然法案が成立した暁においてこういうことをやることが最も好ましい形でなければならぬと私も存じます。しかしながら、やはり編成の上においては相当の年月を要し準備等も要ることでございますので、好ましいことではございませんけれども、万やむを得ずして。法令の許す範囲においてこういう処置をとったのではないかと私も存ずる次第でございまして、決して適当な措置であるとは考えませんが、万やむを得ざる措置であったかとも思うのでございます。
なおまた、ただいま、こういう措置をとるならばとるように、そちらから質問等をしない前にこちらから積極的に、こういう事情でやむを得ずこういう措置をとったという報告をすべきであるという御意見に対しても、私としては全く同感でございまして、こういう点はこちらから進んで当
委員会に御説明、御了解を得ることがさらに適当なことではなかったかと存ずる次第でございます。
なおまた、人員の問題につきましては、法案が通るまでは定員増ができませんので、これもやはり一つの準備行為として既存の部隊からやりくりをして新編成の準備をしたものと私も考えておるわけでございます。
-
○
村山(喜)
委員 こういうような臨時的な措置をとる行為は、何の権利に基づいてどういうような方式によってなされたのか。政令措置でなされたのか、それとも総理府令なりあるいは防衛庁長官の告示なり、そういうような方法をとられただろうと思うのであります。しかも、岩国の場合は米軍の基地の中に設けられているということになってまいりますと、この政令の中で基地は公示するということになっておりますが、それらはいっそういうような措置をなされたのか、その点をお答え願いたいのであります。
-
○麻生
政府委員 ただいまの御質問は、岩国の第八十二航空隊でございますので、これに関連いたしまして法律関係から御説明をいたしたいと思います。
岩国の第八十二航空隊は西部航空方面隊に属するわけでございますが、法律の第二十条によりますと、「航空方面隊は、航空方面隊司令部及び航空団その他直轄部隊から成る。」、こう書いてあるわけでございます。この第八十二航空隊は西部航空方面司令官の直轄の部隊になるわけでございます。この法律はさらに政令で細部を委任いたしてございます。その政令の中では、ちょうど二十八条の八でございますが、方面隊の編成について規定をいたしてございまして、「航空方面隊は、航空方面隊司令部及び航空団一、航空警戒管制団一その他長官の定める部隊をもって編成する。」、こうなっておるわけでございまして、この岩国の第八十二航空隊は、「その他長官の定める部隊」というふうに理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、長官の権限によってこの部隊を編成したということでございます。
なお、陸の駐とん地及び航空部隊の基地につきましては、基地というものを設定してございますが、岩国の基地は、今年の七月九日政令で公布をいたして、その日の七月九日から設置をいたしてあります。
-
○
村山(喜)
委員 そういたしますと、小泉長官は、七月九日にこの措置をとった、このことについては御承知のはずですね。その点はいかがですか。
-
○小泉国務大臣 私が決裁をいたしたものでございますので、事務当局からの説明を聞いて承知をいたしておる事柄であります。
-
○
村山(喜)
委員 それであるならば、先ほど私が申し上げたような立場でおやりになるのが当然の防衛庁長官の国会に対するところの責任であろうと思うのであります。そこで、この問題は、団と名がつけば国会において審議に供しなこればならない。ところが、飛行隊なりあるいは航空隊という長官直属の部隊をつくることは、これは国会の立法府の審議を経る必要はない。だから、許された行政行為としてそれが行なわれるというかっこうになってまいりますと、必要に応じて、それは
政府特に防衛庁の考える必要に応じて、われわれ国会が知らない間にその他直属の部隊ということで次から次にいまのような措置がとられるということになりましたならば、その結果をわれわれはこういうような国会の審議を通じて質問をして初めて知るということになると、きわめて重大な問題が派生すると私は思うのであります。なぜかならば、今度岩国につくられました第八十二航空隊は、これは隊員四百五十名を擁しておるようであります。そのほかの部隊まで入れますと約五百五十名くらいの部隊になる。航空隊というものは法律上明確を欠いておる。その他部隊の中に包含されておるそうでありますが、第二次防衛計画によりますと、航空自衛隊は二十四飛行隊をもって編成をすると相なっております。そうしてまた、この航空団は、法律上二飛行隊を一つの基準にいたしておるのであります。ところが、航空隊というものについては、これは規定されておりません。そこで、やりようによりましては、航空団を新設しないで、長官直属の航空隊を次から次につくっていくことができる形がとられていくならば、これは脱法行為といいますか、国会の審議に付さないで防衛力を増強できる。もちろん予算上は問題がありましょうが、法律上の問題は、そこに抜け穴の道が開けてくる、こういうことになると私は思うのでありますが、いままでこのような措置をおとりになった。しかも航空隊の編成は、団の編成の二分の一くらいの力を持っておる。これが次から次に行政措置として進められてきたならば、こういう形において審議をする必要がなくなるんじゃないか。
今日までの編成の中において、私は次のことをお尋ねをしたいのであります。航空団と名がつく以上の航空隊というものが、一時的であったにしても生まれた事実はなかったかどうか、二飛行隊以上のものを持つ航空隊はかつて生まれなかったかどうか、この点はいかがでございますか。
-
○小泉国務大臣 先ほど私が決裁をしたということは誤りでございまして、その問題に限りましては、私の就任直前のことであったということでございます。これを訂正をいたしておきまするが、先ほど
村山委員に申しました
趣旨は、私はごうも変わりません。こういうことは決して好ましいことではなく、長官命令等によって法案成立前にこういう措置をすることは厳に戒めなければならないことであるということについては、全く同感でございます。また、御質問があってからではなく、前もってそういう場合にはやむを得ざる処置であったということを御報告、御了解を求めることが、これまた至当ではないか、かように考えておりますので、今後はこういう点については十分注意をいたしたいと存じております。
なお、他の問題につきましては、
政府委員から答弁いたさせます。
-
○
村山(喜)
委員 いま長官のシビルコントロールの基本的な態度については承ったわけであります。そうでなくてはならないと私も思うのです。しかし、今日までのこの自衛隊に対する問題を見てまいりますと、ややともすれば、やはり、はたしてシビルコントロールが行なわれる形になっているだろうか、私はその点について非常に重大な疑問を抱いているのであります。なぜかなれば、いろいろな議案が上がってくる、この制服の諸君がだんだん力を得てくる、そしてそれを防衛庁のいわゆる文官の人たちがコントロールしていくためには、第一にそれだけの知識を得るだけの時間が必要になろうと思うのであります。ところが、歴代の防衛庁長官は、これは在任期間が幾らになるのか、私ははっきり計算をいたしておりませんけれども、十七、八人の人が防衛庁が生まれましてから長官になられた。しかも、その在任期間の平均は約十カ月だと承っておる。そして、その内局のシビルコントロールに当たる人たちは、ここには海原さんみたいに十年くらいの選手もおりますが、ほとんど各省から出向しておる。
装備局長は通産省からやってくる、
経理局長は大蔵省からやってくる。そうして、その在任の期間は二年ないし三年。それについてまいります課長やその他にいたしましても同じような形である。こういう中において、この制服の自衛官の諸君を統御をしていく、これは私は非常に困難なことではなかろうかと思うのであります。しかも、国会におきましては、政令措置でなされあるいは防衛庁長官の権限内の措置としてなされたものが報告をされないで、そして少ない時間の中で審議が行なわれる。たまたまこういうような法律を抱えておりますときだけは朝から熱心に論議されますが、それ以外は、その自衛隊の今日の編成の問題部隊の配置の問題、これらについて報告がなされたことがない。こういう形をとってまいりますと、一体どこがコントロールするか、いわゆる軍事力という一つの実力を持った大きな組織が存在をしていくのをどうして民主的な統制下に置くかということが、これが非常に危惧されるゆえんであります。
そこで、私は、たまたま
法律案の中で航空自衛隊四百九十六名の定員増という形が出されてまいりましたけれども、その前にはすでに法案が通る前提の措置がなされている。しかも、シビルコントロールの長官の基本的な考え方は私も是認をいたしますが、はたしてそういう考え方だけでこの防衛力を持っております制服の自衛官の諸君を統制できるかどうかということについて非常に疑いますので、この際さらに問題をもっと掘り下げて長官からお答えを願っておきたいのであります。
-
○小泉国務大臣 現状のままにおいてシビルコントロールが完全に遂行できるかどうかという御懸念の問題について、いろいろ御高見を承ったのでございますが、私も率直にお答え申しますが、防衛庁長官もたいがい一年ごとに交代をしている、こういうことは、いま防衛庁はもちろん、識者からいろいろな批判がなされているところでございます。また、部隊の隊員の間にもこういうことは好ましいことではないという声があがっていることも事実でございまして、私どもも、現在のあり方については幾多改革、改善をしなければならない問題があることを痛感をいたしているわけでございます。しかしながら、私どもは、現状の中においてそういう基本的な改善の方途は、これはやはり、日本の政治の中における防衛庁のあり方と申しますか、国防のあり方と申しますか、いわゆる一国の政局を担当する総理大臣が考えられることでございまして、私どもからとやかく言う筋合いではないと存じております。しかしながら、私どもは、この段階においてでき得べき最善の努力をして、
村山先生が御心配になるような点がないようにシビルコントロールの完全な遂行をしなければならないということに最善の効力を払いつつある次第でございます。
-
○
村山(喜)
委員 そこで、私は十二月の十一日に言われたという新聞の報道が出ております杉江統幕
議長の問題を想起せずにはおられないのでありますが、新聞の記事によりますと、攻撃用の大型潜水艦を建造をしなければならない、将来は原子力潜水艦も建造をしたい、こういう発言を名古屋においてされた、航空自衛隊の小牧基地を見たあと記者団に対してそういう話があったと伝えられております。この問題は
参議院の予算
委員会におきましても取り上げられて、長官から答えられたその答弁の内容が新聞に出たのを見たのでありますが、それは発言の
趣旨が十分にそのとおり取り上げられているとは思えないものがあると思うというふうに書いてあったようで、そこで、私は、これはシビルコントロールの考え方から基本的な問題でございますので、一体杉江統幕
議長はどういう発言をされたのか、それに対してどういう措置をしたのか、この点についてこの
委員会を通じて長官から明らかにしていただきたいと思うのであります。
-
○小泉国務大臣 杉江統幕
議長の小牧基地の記者会見における発言につきましては、ただいま
村山委員から御指摘のとおり、
参議院で御質問がありまして、ああいうような答弁をいたしました。その段階においてはまだ本人と私は面接をしておりませんで、急遽電話連絡をいたしましてその真偽を確かめ、
参議院で申しましたとおり、ことば足らずの点もあり、記者団との間に誤解の点もあったようであってきわめて遺憾であった、その内容については、自分が電話連絡をして聞いたところによると、記者の質問に対し、将来世界の大多数の船舶というものが推進力を原子力を用いるというような時代になった場合には日本における潜水艦はどうかという質問に対して、そういう状態になった場合には原子力を動力とするということも考えられるということをば本人は答えたのであって、現在の段階においてそういうことを杉江統幕
議長が考えておることでもないし、また、防衛庁といたしまして、さようなことは考えてないのみならず、そういうような研究や準備も何らいたしておらないのでございます、こういう意味の答弁を私はいたしました。その後、統幕
議長が帰ってまいりましたので、直ちに面接をいたしまして、本人にじきじき、詳細に聴取いたしました。ここに持ってきておりませんが、新聞によってはいま
村山委員の言われたようなことを報道いたしますし、中部日本新聞のごときは、明確に、私が答弁を申し上げましたような、いわゆるそういう段階になったときには考える必要があるかもしれぬ、ただし現在の段階においてはそういうことではないのだということを念を入れた発言をしたことがそのまま載っておったことも私確認をいたしまして、新聞記者団との間にいわゆる誤解があった、また、杉江統幕
議長の発言にも、舌足らずと申しますか、ことば足らずの点もあったということも認めて、今後はそういう発言についてはきわめて慎重にしなければならぬいう注意をいたして、この問題は私どは解決をしたものと考えておる次第でございます。
-
○
村山(喜)
委員 前の林統幕
議長が長い間つとめておられて、そのあといわゆる旧軍人としての杉江海将が初めて統幕
議長に赴任をされた。その旧軍人として統幕
議長に就任をした杉江海将が、舌足らずであったにはしても、名古屋において国の基本的な政策に関係のあるこういう重要な問題について誤解を与えるような発言をしたということは、これはまことに私は遺憾であると思うのであります。なぜかなれば、今日の日本における
憲法なり、あるいは原子力基本法なり、あるいは自衛隊のこの任務の問題から考えましても、今日いわれている原子力潜水艦をつくることに賛成だというような重大な問題を発言されるということは、これはそれらの精神に違反をするのみならず、かりに新聞社の諸君がこうなったらどうですかというようなことを言われたにしても、それにまざまざとうまく乗せられて、そして発言をするということ自体が、私は問題であろうと思うのであります。特に、旧軍人であればあるほど、そういう点は慎重に考えなければならない。しかも、統幕
議長という任命は、これはきわめて重大な職責だと私は思うのでありまして、この任命をめぐりましては、やはり防衛庁長官が任命をされるかっこうになるわけでありますけれども、国防
会議あたりにおいてきめるような重大な人事になる人だと私は思うのであります。そういう点から考えてまいりますと、この点については、ただ長官がそういう措置をとったからこれで済んだものだというふうに、それだけではたして済まされるかどうか。この点については長官もう一回お答えを願いたいのであります。わが社会党は、
政府に対して、きわめて重大な問題であるのでこれについての責任を明らかにしてもらいたいという申し入れをいたしておることは、御承知のとおりでございますので、お答えを願いたいのであります。
-
○小泉国務大臣 これで処置は終わったと申し上げましたが、私どもは決してこれで十分であったとは考えておりません。
村山委員が御注意のとおり、今後こういう問題については十分慎重に対処しなければならないということを本人にも戒告をいたしておきましたが、ただいまの御注意にもございますので、今後はさらに私から全各幕に向かいましてこうい問題に対しては慎重に考えなければならぬという注意をひとつこの機会に近い将来喚起して、さようなことがないようにいたしたいと存じております。
なお、社会党におかれまして本人の責任を追及する抗議は、私も受けまして承知いたしておりまするが、先ほど申し上げましたような事情からいたしまして、今回は、将来にわたって厳重な注意をしたということにおいて、それ以上の処置をすることは適当ではないと考えたという意味でございます。
-
○
村山(喜)
委員 私は、この問題は、杉江海将がまあ海上自衛隊の出身でありますので、特に制服の自衛官の諸君の中には、やはり素朴な考え方として、われわれも原子力潜水艦くらいは持ちたいものだ、こういうような思想的な背景というものがあるのではないだろうか、そのときに、これを統制し統御していく力がなければならないのに、それらの人たちの先頭に立って統幕
議長がものを申すというかっこうになってまいりますと、これはたいへんなことになると思う。その思想的な背景があるのではなかろうかと国民はやはり疑うものがあるので、それに対して、そういうようなものは心配は要らないというふうに考えてよろしいですか。
-
○小泉国務大臣 本人とも詳しく当時の状況等話をいたしたのでございまするが、いま
村山委員が言われるような、そういう思想的背景とか何とか、さようなものは全然ないのでございまして、今後はさらに一そう御注意に従って厳重に注意をいたし、さような誤解が世間に生じないよう注意をしていきたいと存じます。まことにこのことは遺憾なことでございます。
-
○
村山(喜)
委員 その点はそれでおきますが、次に、日米安保協議
委員会の問題について私はただしてまいりたいと思うのであります。
八月三十一日に第五回の
委員会が開かれて、小泉長官も出席をされておるようであります。自衛力増強を協議したという記事が新聞に出ておるようでございます。いろいろ最近新聞を見てまいりますと、グアム島にB52の核重爆機十五機が配置をされた、さらに十二月二日には沖繩にアメリカの新鋭機マクドーネルF4C型ジェット戦闘機二十六機が配置された、さらに、最近の新聞を見ますと、ヘリコプターDASHが海上自衛隊に対しまして二機ほど無償でアメリカ当局から提供をされるやに承るのであります。しかも、それをめぐりまして、わが国の航空機メーカーの諸君が国産化の方向を考えて、将来の必要機数は五十ないし六十機だというようなことから運動をいたしておるように見受けるのであります。こういうようなことを見ながら、いろいろアメリカの極東戦略の中における日本に対する自衛力の増強要請というものが着々として進められてまいっておりますが、そうするならば、日本にただばく然と自衛力の増強を要請をするのみならず、そこには、戦闘ということを予想をして、この点についてはアメリカが受け持つが、この点については今日の段階として日本の自衛隊で受け持ってもらいたい、こういういわゆる作戦の任務分担というものがなければならないと思うのであります。日米安全保障条約というのが一つの軍事条約でございますから、お互いそういう条約に基づくところの日米安保協議
委員会等におきましてそれらの具体的な問題が大筋として協議されておるというのがたてまえでなければならないと思うのでありますが、この点についてはどういうふうになっているのか、明らかにしていただきたいのであります。と言いますのは、私は、かつてキューバの問題が出ましたときにわが航空自衛隊がアメリカの連絡によって警戒態勢に入ったという事実等を聞くのであります。そのときには防衛庁長官も知らされていない。しかも、行政の長であります
内閣総理大臣もこれを知らされていない。こういう中において絶えず連絡をとり合っております。アメリカ軍当局と連絡のある
政府の自衛官だけが連絡を受けてそういう態勢ができる、こういうことになってまいりますと、これを統制をするといういわゆる国防
会議なりあるいは防衛庁の首脳部の皆さんがどうしてこの問題についてコントロールしていくかということになってくれば、当然そういうような協議
委員会等においてそれらについての話し合いがなされ、作戦の分担計画等がなければならないと思うのであります。そういう立場から質問を申しておりますので、お答えを願いたいのであります。
-
○小泉国務大臣 御指摘の安保協議
委員会に私も出席をいたしましたが、いま
村山委員が仰せられるようなそういう作戦の分担というような話は全然ございませんでした。この協議
委員会の内容は別といたしましても、平素におきましても、そういう分担を明確にきめておるのではなくて、日本とアメリカとの間は、在日米軍がどういうことをいまやっておる、日本の自衛隊はどの程度のことをやっておるという連絡だけをいたしておるというふうに私は承知いたしております。
なお詳しいことは
政府委員から答弁いたさせます。
-
○海原
政府委員 日米間に具体的な作戦計画の打ち合わせがあるのではないか、こういう
趣旨のお尋ねでございますが、これにつきましては、ただいま大臣から申し上げましたとおりで、日米の双方の幕僚の間に絶えず意思の疎通ははかっております。しかし御存じのように、わが三自衛隊というものはまだ建設の過程にあるものでございます。これに対しましてアメリカのほうは完全にいつでも動ける態勢にございます。したがいまして、私どもは、毎年、統合幕僚
会議事務局が中心になりまして、その年にもし何かのことが起こった場合にはどうするかということの検討はいたしておりますが、これをアメリカとの間に作戦協定的に結びつけるというような実態はまだ持っておりません。ただ、私どもとしましては、あしたいかなることが起ころうとも、この場合にはどうするという計画は持っております。その計画をつくります場合に、その時点におきますところの米軍の予想される行動の大要、こういうものは一応推定をいたしまして毎年度の計画をつくっているという状況でございます。これが、先ほど大臣からお答えいたしました、双方の間に意思の疎通がはかられているということで、そういう形でそれぞれの計画を進める、こういうことでございます。
-
○
村山(喜)
委員 とするならば、その日本の自衛隊は今日まで、もちろん国防方針の中でも明らかになっておりますように、最小限度の自衛という立場において問題を処理していくということで、いわゆる核の全面攻撃というようなものには対処し得ないという形において存在をしておる、こういうように承っておりますが、アメリカの要請が私は加わりつつあるのではなかろうかと思うのに、このヘリコプターDASHの問題が新聞等で取り上げられている。日本の海上自衛隊に無償で二機ほど提供をされる、この事実はありますかどうですか。
-
○国井説明員 DASHにつきましては、魚雷を搭載したヘリコプターでございますが、最近のマップアウトと申しますか、米国の削減計画によりまして、もう無償では私ども受けられないということになりまして、今後国内の予算措置によりまして有償で取得をするという計画でございます。
-
○
村山(喜)
委員 無償では受けられないので、四十年度予算で四機ほど購入をしたい、こういうことで四十年度予算要求の中には入っているやに承るのでありますが、いかがでございますか。
-
○国井説明員 四十年度予算で、このマップアウト分の国内予算転嫁と申しますか、国内予算での取得を考えております。
-
○
村山(喜)
委員 その性能はいかがでございますか。
-
○国井説明員 DASHにつきましては、ただいまも申し上げましたように、艦上から無線で遠隔操縦をされます無人ヘリコプターでございまして、二発の対潜ホーミング魚雷を搭載いたしております。これによりまして潜水艦を攻撃するというものでございます。おもな性能といたしましては、長さが二十フィート、高さ九フィート、速力は九十ノット、航続力は一ないし一・五時間という性能諸元でございます。
-
○
村山(喜)
委員 そのDASHは九十ノットの早さを持っておるわけですが、駆逐艦にまず載せられて、そして駆逐艦から発進をされて、電波誘導によって魚雷攻撃を行なう、ねらいは潜水艦だ、しかもその魚雷はアスターと呼ばれるいわゆるマーク45だといわれており、ロケット式高速魚雷を備えていると普通はいわれておりますが、いかがでございますか。
-
○国井説明員 核魚雷は備えておりません。
-
○
村山(喜)
委員 アスターは核魚雷を備えられる、そして取りはずすこともできると、こう防衛年鑑には出ておりますが、いかがでございますか。
-
○海原
政府委員 アスターという、ただいま先生御指摘の魚雷は、まだ米軍において開発実験最後の段階のものでございます。これが開発を終わりますと、御指摘のように、核弾頭も装着できるものでございます。ちょうどサブロックと同じように、まだ実用のものになっていないというのが、私ども承知しておる事実でございます。防衛年鑑の記事はまま間違いがございます。「完成の予定」が誤って「完成された」という形において報道されることがよくございます。私、一月前にアスターにつきましての製造工程の写真を見ましたが、これはまだ実用のものとはなっておりません。
-
○
村山(喜)
委員 ところが、アスターについては、新聞等によりますと、もうすでに量産態勢に入ったと、こう出ておる。それがすでに実戦の何として配属されておるかどうかはわかりませんけれども、そうすると、DASHにはその魚雷は積み込まない、普通の魚雷を二発かかえておるということに承っていいですか。
-
○国井説明員 そのとおりでございます。
-
○
村山(喜)
委員 といたしますと、さしあたり来年度四機購入をする。これは必要機数は五十機ないし六十機だといわれておる。そういうようなところから、国内の航空機メーカーの人たちが国産化の態勢に移ったらどうかという動きをしている。しかも、今日、駆逐艦よりも早い原子力潜水艦がおるから、駆逐艦が追いかけてもとてもつかまえることができない。原子力潜水艦が三十ノット以上の早さで走る。駆逐艦では追いつけないので、九十ノットのこのヘリコプターDASHを使って潜水艦を攻撃する、こういう目的のもとに装備されるものだと私は思うのでありますが、それは日本の自衛という立場から見ましてはたして妥当な範囲内のものであろうかどうか、この考え方はいかがでございますか。
-
○海原
政府委員 DASHは、先生御指摘のように、高速度化してきました潜水艦を破壊するために開発された武器でございます。しかし、それが自衛の範囲内のものかどうかということになりますと、これは、御承知のように、通常の水の中を進んでまいります魚雷とその用法において何ら変わりはないわけでございますから、その中間において無人のヘリコプターによって操縦され、発射され、それが潜水艦に向かって追尾していくという過程は、一般の潜水艦から発射されます魚雷が敵の潜水艦を攻撃するのと何らそこに差異がないのでございます。したがいまして、DASHの使用によって私どもの持ちますところの自衛力の限界がオーバーされるというふうなことには相ならない、このようにひとつ御承知願いたいと思います。
-
○
村山(喜)
委員 私は、その問題が、先ほど質問をいたしました作戦分担協定の問題に関連があるのではなかろうかと実は思うのであります。というのは、日本海にソビエトの原子力潜水艦がある。そしてそれがアメリカの極東戦略の上から考えた場合には大きなじゃまになることは言うまでもありません。そういうようなものを日本の自衛隊が受け持って、これを捕捉する、そうしてアメリカに対するミサイル攻撃というものを防止し、制御していく、こういう任務を持っておるがゆえに、五十機なり六十機なりのそういうDASHというものもつくっていくんだ、こういう考え方がとられ、しかもアメリカがただでやろうという気持ちになる、このような考え方からまいりますと、はたしてこれが防衛的な立場に立つものであるかどうかという問題と同時に、いわゆる作戦計画といいますか、分担任務というものは、そういうものが予定をされた計画に基づいて日本の自衛力が増強をされつつあるのではなかろうか、こういうふうに一応考えるのが妥当ではなかろうかと思うのでありますが、そういうようなものではないと小泉長官はお考えになりますか。その点は明確にお答えを願っておきたいのであります。
-
○小泉国務大臣 現在の日本の防衛力からいたしまして、アメリカとの作戦を分担するとか、そういうような力はない、私はさように考えており、いま御指摘のような心配はないと信じております。
-
○
村山(喜)
委員 今後の護衛艦なりあるいは日本の艦船のある程度大型化したものには艦対空のターターを装備するということで、三十五年鑑については艤装が終わり、すでにターターを装備しつつある、こういうふうに承るのでありますが、それはいまどういうふうになっておるわけでございますか。
-
○国井説明員 二月に竣工の予定でございます。
-
○
村山(喜)
委員 ターターを装備したものが竣工をするという意味ですね。
-
○国井説明員 ターター装備のものが一隻二月に竣工する、こういう意味でございます。
-
○
村山(喜)
委員 今後の計画はどういうふうになってくるのか。実は、先ほどナイキ・アジャックス部隊の第二大隊がつくられて、もちろんこれは第二次防衛計画の中に入っておりますが、さらにホーク部隊、これは陸、ナイキ・アジャックス部隊は空、そして海にはターターありということで、ミサイル兵器化されている。そういうような装備が進められて、そして今後の日本の新しい艦船には大型のものには必ずそれを取りつける、こういう建艦方針というものがあるやに承るのでありますが、ただ護衛艦だけにそれを取りつけるという考え方であるのかどうか。しかも、いろいろ今後アメリカの実戦化されてまいりつつありますアスター等を日本の場合にも将来艦船につけるのではなかろうかというようなこともいわれておりますが、これらについて国産化を進めるということで、いわゆるロケット魚雷等を装置する、日本でロケット魚雷をつくるというようなのが新聞にも出ておりますので、今後のいわゆる艦船装備の問題は、基本的な方針としてどういう方針をおとりになるのか、この際、海上自衛隊は今回千六百七十二名ふやそうという計画でありますので、その点を承っておきたいのであります。
-
○海原
政府委員 海上自衛隊の将来の建艦計画のことでございますので、私からお答え申します。
先ほど大臣から、三次防につきましてはそれぞれの幕僚監部において検討中であるという旨のお答えをいたしておりますが、この建艦はつきましても同じ状態でございます。したがいまして、将来ターター搭載の護衛艦というものが何隻程度装備されることになるかということにつきましては、私どもまだ何ら具体的な案を持っておりません。先ほどおことばに出ましたDASH、無人ヘリコプターを使いましての魚雷発射ということにつきましても、たとえばカナダ、イギリス等は、やはり有人ヘリコプターのほうが有用であるということで、もっぱらその方面の開発を進め、現に非常な成果をおさめている例もございますので、今後ヘリコプターというものは対潜水艦作戦に非常に有用なものになることは間違いございませんが、このDASHの系統でいくか、あるいは有人ヘリコプターの系統でいくか、こういう点も基本的な検討の課題の一つでございます。このようなことがいろいろございますので、いわゆる三次防計画におきます建艦の方針等につきましては、いましばらく時日をおかしいただきまして、一応の構想がまとまりましたならばその際に御説明申し上げる、こういうことをお許し願いたいと思います。
-
○
村山(喜)
委員 先ほど、
大出君の質問に関連をして、防衛庁長官は、F104D戦闘機はオールマイティではないということから、別に考えたいということを言われたわけでありますが、そうすると、継続生産五十機の問題にも関連がありますし、第三次防の問題にも関連がある。すでにFXが第三次防の中では考えられているのではなかろうか、こういうこともいわれておる。それらの問題は、先ほどの御答弁の中から考えてまいりますと、まだ未確定のものだ、そして、五十機継続生産の問題も、これまた第三次防との関係において考えなければならない問題であるから未確定の問題である、こういうふうに受け取ってよろしいのでございますか。その点はっきりお答え願いたい。
-
○小泉国務大臣 F104の生産がオールマイティでないということは、いま
村山委員が仰せられるような意味ではございませんで、基地問題に関連をいたしまして、私は、基地問題の重要性を指摘し、いろいろ104の問題、機種の問題、幾多重要な問題があって、そのうちの一つの重要な問題が104の生産の問題であると
参議院で答弁を申し上げたということを申したのでございます。もちろん、104の継続生産の問題は、御承知のとおり、ここ六、七年間は日本の空の守りに任ずる第一線機でございますので、われわれは、どうしてもいままでの計画どおり五十機生産を継続してもらい、そうして第七飛行隊が将来ここ六、七年間は減耗をしないでその力を維持できるように、目下大蔵省と折衝中でございまして、これをば軽視するというようなことは全然ないのでございます。
それにまた、第三次防で新しい飛行機を云々というおことばがございましたが、私どもは、今日F104の生産以外に新しい機種は現在全然考えておりません。
-
-
○小泉国務大臣 七飛行隊が減耗をしないように、この五十機の継続生産を大蔵省と折衝中であるということを申し上げたわけでございます。
-
○
村山(喜)
委員 第二次防衛計画の中で航空機の機数等も示されておりますし、飛行隊の数もきまっておる。そうしますと、今度の
法律案が制定されたら第八航空団までできる。二飛行隊で一航空団をつくるという基本的な編成基準からまいりますと、今後において、第二次防衛計画が終わりまする昭和四十一年度までの間に航空団をさらに増設をされるというふうに数の上からは出てくるわけでありますが、その部隊編成の方向はどういうふうにお考えになっているのですか。
-
○海原
政府委員 第八航空団の編成以上のことは現在考えておりません。
-
○
村山(喜)
委員 そういたしますと、いわゆる飛行隊というような、いわゆる方面隊の司令官の直属部隊というような形において考えていく、こういうことでございますか。
-
○海原
政府委員 これは先生御存じのように、二次計画の間におきましては、新しい飛行隊の編成と同時に、古い飛行隊の廃止がございます。すなわち、86Dという全天候戦闘機部隊は、将来これは一応廃止する予定でございます。これとのからみ合いがございますから、航空団の数そのものは変化はございません。このように御了解願います。
-
○
村山(喜)
委員 そこで、私は、最後になりますが、次の問題をただしてまいりたいと思うのであります。現在、岩国のアメリカの海兵隊の航空基地には、海兵隊の第一航空師団と艦隊の第六航空隊が常駐をいたしておるようであります。いままではここには海上自衛隊の航空基地がある程度共存をした形で海上自衛隊が使用しておったわけでありますが、これが、異なる任務を持ちます第八十二航空隊がこの施設の中で共存をしなくちゃならぬ、こういう形の中で、片一方においてはアメリカの海兵隊の基地があり、片一方においては日本の航空隊の基地ができる、これがうまくいくものであるのかどうか。特に、アメリカの基地の中において日本の航空自衛隊が存在をするということになりますと、ますますその運営がアメリカの指揮系統の中に組み込まれてしまうような印象をわれわれは受けるのでありますが、一体、こういうような考え方の中から、はたして日本の自主的な自衛力というものが、あなた方がいつも言われるものが期待できるのか。いろいろ施設の内容等を報ずるところによりますと、それだけの兵員を収容するだけのスペースもなければ、また受け入れの状況にもないように承るのでありますが、こういうようなものを国会のほうにも報告もしないでどしどし執行をしていく、アメリカ依存の防空体制というものを強化するような方向に受け取られるような措置がなされているのは、一体どこにそういうような基本的なかまえがあるのか、ねらいがあるのか、この点を明確にお答えを願いたいのであります。
-
○海原
政府委員 ただいまのお尋ねの点は二点にわたると思いますが、第一は、一つの基地にアメリカと日本の部隊が共存してはたしてうまくいくものかどうか、この点は確かに一つの問題であるかと思います。しかし、私どもは、特に空の守りにつきましては、先生も十分御存じのように、現在あくまで日米共同防衛的な体制で進んでおります。その意味から申しますと、同じ基地におきましてそれぞれの部隊が配置されることは、相互が努力いたしますればむしろプラスの結果が得られるのではないか、こういう考え方も十分に成り立ち得ると思います。したがいまして、私どもは、そのような方向で、お互いの言語その他の慣習等の差異を克服いたしまして、ひとつ十分に円滑な部隊運営をやってみたい、こういう決心でおります。
さらに、岩国になぜ86Fという部隊を持っていったかということになりますと、これは、あの方面の領空侵犯対処体制というものをお考えいただきますと、どうしてもあすこに86Fの部隊を配置する必要がございます。現在の領空侵犯に対処する体制は、昼間は全部日本の手で行なわれておりますが、まだ全般的には米空軍のほうに負っておる点もございまして、こういう全般的な領空侵犯処対体制というものの整備のために、私どもといたしましては、現状の条件下におきましてはこれが最良の措置である、こういう判断をいたして配置をしたわけでございますので、ひとつ何とぞそのように御了承願いたいと思います。
-
○
村山(喜)
委員 新田原の基地からF104Dがすでに十月一日からスクランブル態勢に入ったということになっておりますが、一体その領空侵犯の事実があるのかないのか。私は、昨年の夏でありましたか、北海道の千歳に参りましたときに、航空自衛隊が発足をしてから領空侵犯、ソ連機による敵性国家の飛行機が領空侵犯をした事実があるかという質問をしたら、それはありません、領空侵犯をしたのではなくて、いわゆる行くえ不明になった飛行機とか、あるいは国籍不明の飛行機はあったけれども、大部分はその標識をつけていないアメリカの飛行機であったということを基地司令官からお話を承ったのであります。そういたしますと、新田原の基地から飛び立っていくF104のジェット戦闘機がそういうスクランブル態勢についておりますが、今日そういうような事態があらわれておるのかどうか、その点お答えを願っておきたいのであります。
-
○海原
政府委員 領空侵犯の事実が現在において現に存在するかということにつきましては、先生御指摘のような領空侵犯に該当する事実はございません。しかし、これは、先ほど御説明いたしました領空侵犯に対処するということで、いわゆる緊急発進、スクランブルをいたす、そういう体制が整っておる結果でございます。このことは、昭和二十八年の一月に日米の往復書簡で当時の米軍にこの領空侵犯に対処することを依頼いたしまして、そのときにおきましては、北海道上空に数度ソ連の航空機が侵入いたしております。しかし、この日本
政府とアメリカ
政府との合意の上に領空侵犯に対処する体制を整えまして以来は、一回もございません。
なお、御参考までに申し上げますと、毎年、この領空侵犯のおそれありということでスクランブル、緊急発進をいたします回数は、大体年に五、六百件ございます。
-
○
村山(喜)
委員 おそれがあるということで発進をしなければならないわけでありましょうが、現実において、自衛隊なりが敵性国家と考えているところの事実上の領空侵犯が日本の航空自衛隊発足以来一件もないということは、これはやはりお互い考えなければならない問題だということを私は指摘をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
-
○
河本委員長 この際、午後八時まで休憩いたします。
午後七時六分休憩
————◇—————
午後八時九分
開議
-
-
○
田口(誠)
委員 先ほど
村山委員から質問と相当苦言を申されました過日統幕
議長が小牧において新聞記者に発表した内容の問題でございます。これにつきましては、防衛庁長官は、きわめて妥当な考え方を披瀝され、そして誠意ある回答をされたのでございますが、ただ問題として残っておりますことは、あのときに新聞が一斉に出したことについて、日本国民は非常に不安な感じを持ったわけです。したがって、現在統幕
議長の権限といいますと、これは非常に大きな権限を持っており、こうした統幕
議長が、現在の
憲法上の自衛権の制限とかあるいは自衛隊の任務、こういうようなものは知り切っておって、その上ああした発言をしたということは、私は非常に事は重大であると考えるわけなんです。あの発言は非常に不穏当だと思うのです。したがって、ただ長官がここで遺憾の意を表せられたり、今後の指導方針の適切な答弁をされただけでは解決できるものではないので、そうした統幕
議長はやはりこの際、
議長としての能力を失したものであるというように社会党は考えておるわけなんです。したがって、この点につきまして今後どうするのかということを伺っておかなければ、非常に遺憾であったということだけでは済まないので、ひとつその点を長官のほうから御説明をいただきたいと思います。
-
○小泉国務大臣 杉江
議長の小牧における新聞記者との記者会見の際における発言のことにつきましては、先ほど来たびたび私の考え方を明らかにいたし、遺憾の意を表明すると同時に、今後かかる重大な問題については慎重の上にも慎重を期するよう十分なる戒告をいたしたということを申し上げておきましたが、実情等の調査の結果、国民に与える影響の点からまことに遺憾なできごとではございましたが、杉江
議長の発言の動機あるいはそういうものの考え方というものには、ことば足らずの点や誤解を与える点はあったけれども、私どもは、思想上その他の点において戒告以上のことをする必要はない、将来を厳重に戒めまして慎重を期する程度において適当ではないかと考えて処置いたしたような次第でございます。
-
○
田口(誠)
委員 公務員の場合には、それぞれの罰則の規定がございますし、特別職の場合には、失敗をいたしましたときには左遷その他を行ないまして、そしてその責任を明確にしておるわけなんですが、こういう点からいって、どういうような今後の処置を考えておられるのか、その点をひとつ。
-
○小泉国務大臣 もちろん信賞必罰ということは官紀振粛の上からも最も重大なことでございまして、その点については
田口先生のおっしゃることと同感でございますが、今回の杉江
議長の発言の内容というものについては、いわゆる将来を戒め、言動を慎重にするよう注意を促し、自重を促したという程度で私は事足れりと考えて、さように取り計らいをいたしたような次第でございます。
-
○
田口(誠)
委員 公務員の賞罰の項のどの項を適用されるのかどうか、これを伺っておるわけなんです。訓戒をするのか、警告をするのか、減給をするのか、いろいろあるわけなんですけれども、そのどれをとられるかということを伺っておるのです。
-
○小泉国務大臣 別に懲戒的な処分をする内容のものではないと判定をいたしまして、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、将来を戒め、こういう問題については言動に慎重を期するよう注意をいたしたような次第でございます。
-
○
田口(誠)
委員 これは一自衛官の発言でなくして、すいも辛いもよく知っておる、そうして非常に大きな権限を持っておる統幕
議長の発言ですから、
憲法上の自衛力の限度というようなことは、これは十分に承知しておりますし、また、自衛隊の任務というようなものについても、はっきりと認識をしておるわけなんです。その上に立って、いかに報道陣のほうから質問をされても、将来日本が攻撃用の潜水艦を持たなければならないとか、あるいは原子力潜水艦を持つようになるかもわからないというような不穏当な発言をするということは、これはあってはならないと思うのです。だから、私は、一自衛官でなしに、そうした権限を持っておる人だけに、単なることばで戒めをしただけでは納得ができないわけでございまして、社会党のほうから申し入れをしておることはそのことを申し入れをしておるのでございますから、この点についてもう少し明確に態度を示していただきたいと思うのです。
-
○小泉国務大臣 杉江
議長の発言は、自衛権を逸脱するような内容の発言でもございませんし、また思想的にそういう意図でなかったことも、先ほど来重々御説明を申し上げ——新聞記事の中にはいま
田口先生の御心配になるような誤った報道もないでもなかったのですけれども、先ほど引用いたしました中部日本新聞のごときは、これは将来考え得るような事態がくるかもしれぬけれども、現在においてはさようなことは考えておらないということで明確になっておるわけでございまして、私どもは十分であったとは申しません、影響がいろいろな方面に波及いたしておりまして、国民に不安を与えた面もありますので、遺憾ではございましたけれども、将来を注意しておくことは必要と思いましたので、さような取り計らいをしたわけでございます。
-
○
田口(誠)
委員 中部日本の新聞記事を取り上げていろいろ言われるわけなんですが、これは長官のほうが中部日本の新聞記事を信用して言われるのであって、国民はそうでないわけなんです。国民は非常にこれによって動揺をいたしたのです。日本はまたもや戦前のごとき非常に憂うべき事態にこれから自衛隊を持ち込もうとしておるのではないか、こういうような危惧を持ったわけなんです。したがって、こういう危惧を持たせるような発言は、これは少なくとも統幕
議長という責任の地位にある者の言うべきことばではないわけなんです。したがって、私はこうした人は現在の
議長としての資格がないように考えておるわけでございますので、単にこれから言動に注意をしなさいというような注意だけでは、これはだめなんです。いま大体背広が制服になめられておることは事実なんです。だから、シビリアン・コントロールというものがいつの
委員会にも問題になって出てきておるのであるから、私は、そういう意味からこういう機会に戒めをしなければならないと考えておるから再度質問を申し上げておるのであって、決してあの発言が不穏当ではなかったという長官の発言は、これは穏当でないわけなんです。一般
公務員の場合を見てごらんなさい。一般
公務員の場合には、ほんの少しの失敗でも、すぐに訓戒だの警告だの減給だの、いろいろな処罰をされるわけなんです。それにもかかわらず、統幕
議長なる者が、日本の
憲法で禁止をされておって、幾ら先へいったとて
憲法を
改正しなければできないようなことを将来の夢として発表するようなことは、不謹慎きわまるものであると思う。そういう意味において、私はなお長官の答弁を促したいと思う。
-
○小泉国務大臣 杉江
議長の発言の内容は、さようなものではございませんで、先ほど来申し上げたとおりでございます。また、新聞においてもまちまちでございまして、私は、杉江
議長の発言が、いろいろな誤解を与えた点は遺憾であるということを申し上げておるようなわけでございまして、決してさようなことを予想しているわけでもないし、また、防衛庁といたしまして、原子力潜水艦の建造というようなことは全然考えてもいない点でございます。私どもが制服になめられるというようなことは、絶対にございません。御安心をいただきたいと思います。
-
○
田口(誠)
委員 この問題は問題として、社会党から正式な申し入れがしてありまするので、この場で解決をしなくとも、将来解決する時期があろうと思いますので、きょうの質問の中では、この辺で終りたいと思います。重ねて申し上げまするけれども、ただいまの長官の答弁は非常に不満でございまするし、こういう言動を行なったことこそ何か処置をしなければ、これはやはりシビリアンコントロールを十分になすことができないのではないか、かように考えておりますので、その点十分意に置いていただきたいと思います。
それから次に移ります。今度の提案の内容からいきますると、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の七条の二項の規定に基づくアメリカ合衆国
政府に対する円資金の提供に関する事務を、これを従来大蔵省がやっておりましたのを施設庁のほうに行なわせる、こういうことになっておりまするので、この点について
改正する必要をまずお答えをいただきたいと思います。
-
○麻生
政府委員 お答えいたします。
日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条第二項に基づきまする円資金の交付は、従来大蔵省において防衛支出金として取り扱ってきておったわけであります。しかし、この相互防衛援助協定に基づきまして援助を受けまするのは、自衛隊でございます。したがって、防衛庁の配下にありまするところの防衛施設庁におきまして、この円資金提供の事務を行なうことが、事務処理上便宜であるという判断に基づきまして、今後防衛施設庁において一括して行ないたい、こういう考えであります。
-
○
田口(誠)
委員 便利、不便の差を説明していただきたいと思います。どうして施設庁のほうへ委譲しなければならないかどうか。施設庁に委譲すればこういう便利があるとか、こういう利点があるとか、こういうことがおそらくあるだろうと思うので、その点を御説明していただきたいと思います。
-
○麻生
政府委員 防衛施設庁におきましては、従来の規定から申しますと、在日米軍事援助顧問団に対する労務の提供のことをやるわけであります。それから現物提供の仕事も、原則としては防衛施設庁でやるいうたてまえになっておるわけであります。したがいまして、これら全体に関連いたします円資金の交付も、やはり防衛施設庁において一つにまめてやるということが、日米相互防衛援助協定に基づきまして、実際の援助を得ている防衛庁の配下にある防衛施設庁において一括してやるということが、事務処理上便利である、こういう考え方であります。
-
○
田口(誠)
委員 そこで援助協定交付金の請求をする場合に、これはいままで大蔵省がやっておったのを施設庁へ持っていった場合に、どういうような形式でこれから要求されようとしておるのか、この点明確にしていただきたいと思うのです。
-
○小野
政府委員 顧問団の側から翌年度の予算として要請のありますものを提出させまして、それを検討の上で大蔵省に折衝するわけであります。私のほうの通常予算のうちの一つの項目として計上することになると考えます。
-
○
田口(誠)
委員 いまの答弁では法律を
改正する必要がないように思えるのだが、あなたのほうで必要な金額を大蔵省へ託して、大蔵省から請求してもらう、こういうことなんですね。そうでしょう。そうすれば、いままでは大蔵省があなたのほうへ逆に聞いただろうと思うのです。そうして大蔵省から請求する、こういう形式をとったのだろうと思うのだが、別に法を
改正しなければならないという根拠が、それでは見当たらないわけなんです。
-
○麻生
政府委員 従来は、軍事援助顧問団のほうから直接大蔵省の主計局のほうと話をしていたわけです。(発言する者多し)主計官のほうと話をしておったわけでありますが、今後は、防衛施設庁と軍事援助顧問団と話をしまして、防衛施設庁においてこれが適当だと思うものを大蔵省のほうに予算として要求するという形になろうかと思います。
-
○
田口(誠)
委員 これははなはだ恐縮ですけれども、うしろのほうが非常にやかましくて聞き取れなかったので、もう一度ひとつ……。
-
○麻生
政府委員 従来は、大蔵省に対しまして、軍事援助顧問団のほうから所要の翌年度の金額を要求をしておったわけでございます。それを今度は、防衛施設庁と話をいたしまして、防衛施設庁から大蔵省のほうに予算要求をするという形になろうかと思うのです。
-
○
田口(誠)
委員 そこで交付金の関係は、昭和三十八年度は三億二千万円のはずだし、三十九年度は四億一千五百四十万円だと思うが、この点が間違いないかということと、そうしてこれを施設提供等の諸費用にどういうように使い、それから防衛援助協定に基づく交付金としての使い道を、どれだけ使ったのか、そうしてこういうものの監査はどうして行なわれるのか、これをひとつ三つに分けて答弁いただきたい。
-
○麻生
政府委員 お答えいたします。
昭和三十八年度の交付金の金額は、三億二千万円でございます。それから三十九年度の交付金は四億一千五百四十万円ですね。それから、これは在日米軍事援助顧問団の経費として用いるわけでございまして、在日米軍の経費として用いるわけではないわけでございます。
-
○
田口(誠)
委員 そこで、私ちょっとここで、これに関連してお聞きをしておきたいと思いまするのは、在日米軍の顧問団の関係です。この顧問団の関係は、現在陸軍の場合の士官、下士官、海軍の場合の士官、下士官、それから空軍の場合の士官、下士官、分けてひとつ員数を報告を願いたいと思うのです。
-
○麻生
政府委員 本年の一月十四日現在の数字で申し上げますと、陸軍が士官が三十九人、下士官が二十三人、海市が士官が十五人、下士官が十一人、空軍が士官が二十一人、下士官が十人、総計いたしますと、士官が七十五人、下士官が四十四人、そのほか軍属が二十九人でございまして、総計百四十八人に相なっております。
-
○
田口(誠)
委員 昭和三十八年度と員数が相当違っておりまするが、これはどういう積算基礎によってこの員数がきめられるのか。この点は、日本
政府と米国との関係はどういうような経過をたどって決定をされるのか。これは積算基礎も含めてひとつ答弁願いたい。
-
○麻生
政府委員 その前にちょっと申し上げておきますが、在日米軍事援助顧問団に提供します経費は何に使われるかと申しますと、軍人の人件費にはこれは入っていなかったように私は思います。軍事援助顧問団に雇用される人間の人件費は入っておったかと思いますが、顧問団、いわゆる先ほど申しました百四十八人の俸給は、米国のほうの持ちだと思います。ただ、それが国内でいろいろ活動します場合の旅費というようなもの、あるいは電話とか光熱、そういう庁費的なものは、いまの経費で受け持つわけでございます。人員の関係は、一つにはドルの節約という面もあったかと思いますが、もう一つは自衛隊がきわめて順調な発展を遂げてまいってきましたので、援助としてそれほど人が必要でなくなったということも、また大きな理由になっておるかと思います。
-
○
田口(誠)
委員 この員数を決定する積算基礎というものは、明確なものはないのですね。そのときの日本の自衛隊の強弱によって、また、米基地の数の多い少ないによって、この員数がきめられる、こういうように受け取っておいてよろしいですか。
-
○麻生
政府委員 軍事援助顧問団の元来の任務は、先ほど申しました相互防衛援助協定におきまして、装備とか備品、資材、あるいは役務等の援助をやるわけですが、それに関連しまして、日本でアメリカ合衆国が行なう責任を果たすということ、それから日本に与えました援助の進捗状況を観察するというのが、在日米軍事援助顧問団の任務としておるわけでございます。したがいまして、援助の関係において、援助の必要が少なくなるという点からいえば、だんだんその必要もなくなるということは、これは一応考えられるわけであります。しかし、また援助の進捗状況を観察するという任務もまた、軍事援助顧問団にはあるわけでありまして、これらの両方の任務が達成できる程度の人員というものが維持されてきておるということでございます。
-
○
田口(誠)
委員 顧問団を置く必要の理由を、いまあなたが答弁の中でお話になったのです。私は、そういう理由はありましょうけれども、そういう理由のもとに員数というものが決定されるということは、ばく然としておるわけなんです。どこの人数を決定する場合でも、一つの積算基礎というものはあるわけなんです。だから、その積算基礎というものをどこにおいてどうして出されたのかということを、昭和三十八年度、三十九年度に相違があるから——百四十名と百十九名、これは軍属をはずしてそれだけの差があるから、私はその積算基礎というものをここで明確に承りたい、こう思うわけです。
-
○麻生
政府委員 特別に具体的な基準というものはございません。先ほど申しました任務の必要性の度合いに応じてきめてきておるわけでございます。したがいまして、最初この軍事援助顧問団が設けられました年の二十九年十二月の場合をとりますと、四百八十八人で、約五百人近い軍事援助顧問団がおったわけでございますが、その後の状況に応じて先ほど申しましたような人員に減ってきておる、こういうことでございます。
-
○
田口(誠)
委員 それは違います。違うから、もっとどなたでもいいが、わかるように、記録に残るように説明していただけませんですか。
-
○小野
政府委員 顧問団経費を計上いたします基礎でありますが、まず米軍の軍人、軍属、この人の活動に要する事務費が、一つの柱でございます。この点につきましては、これはもっぱら米軍側の決定によるものでございますが、この顧問団の任務の、要務の多寡によりまして、この人数は変わってくるわけでございます。従来大幅な援助を受けておりましたころには、多数の顧問団員がおったわけでございますが、この軍事援助の仕事が細くなってまいりましたために、それに要する要員も、米側において削減してきたわけであります。これがそのとおりで、その人数で十分であるかどうかというようなことについては、私どもとして話はできますけれども、要請できる性質ではないと考えております。
それから大きな柱は、労務関係、労務者の人件費でございますが、これも顧問団の業務の多い少ないによりまして、また顧問団員の多寡によりまして、その労務者の人数にも増減があるわけでございます。そういうような形で、数年前と比べましたならば下がってきておるわけでございます。
なお、昨年とことしと金額が非常に違うという点につきましては、技術的な問題になりますが、昨年度におきましては、その前の年度の繰り越し金、前の年度の剰余金でございますが、それが繰り越しておりました分を充当いたしましたので、金額が少なく計上されておりまして、実際に要る金額は、大体似たような金額でございます。
なお詳細は、実はこれは申しわけでございますが、この予算の計上、現在の本年度予算の執行は、現在大蔵省でこれを担当しておられます。また、来年度予算の編成も大蔵省においてしておられるのでありまして、この法律がもし
改正になりまして、その節施行になりますならば、そのときから私どものほうへ移る。したがいまして、この内容の細部については、一応の説明は聞いておりますけれども、詳細の内情には通じないわけでございます。この点を了承願います。
-
○
田口(誠)
委員 主として人件費を含む予算の増減によって顧問団の人数の増減がある、こういうことなんですか。
-
○小野
政府委員 人件費と申しましても、米軍関係の人件費はございません。人件費というのは、俸給、給料という意味の人件費でございますが、全然ございません。
-
○
田口(誠)
委員 そうしますと、交付金の協定、交付金の増減によって、この顧問団の人数というものが左右されるのかどうかということ。
-
○小野
政府委員 これは、米軍は翌年度のこの軍事援助の仕事をするためにどれだけの人を派遣したい、どれだけの人が要るというような話から始まりまして、その仕事の内容によりまして、活動の経費は変わってまいります。さらに、労務関係の経費も変わってまいります。そういうような意味で、仕事の量によりましてこの経費には増減がある、こういうことでございます。
-
○
田口(誠)
委員 私がお伺いしておることは、こまかいことを聞いておりますことは……。
〔発言する者多く議場騒然〕
-
-
○
田口(誠)
委員 先ほど
政府委員のほうから説明がありました在日米軍顧問団を置く理由、目的、こういうものをいま長官の説明がありました。員数を決定する場合の予算内容にウエートを置くというように私が受け取ったから、その点に食い違いがあるから私のほうで再度お聞きをしておるわけですから、それについてちょっと調整をしてわかるように説明していただけませんか。
-
○麻生
政府委員 先ほど申し上げましたように、軍事援助顧問団の任務は、相互防衛援助協定に基づきまして、日本に装備、資材、役務その他の援助が与えられるわけでございます。これに伴いまして、日本でアメリカ合衆国の負う責任の仕事が一つあるわけでございます。それからもう一つは、日本に与えられました援助がうまく進捗しているかどうかということを観察する、そういう任務というものも認めまして、それを日本としては先ほどの協定の七条でその受け入れを条約上認めておるわけでございます。したがいまして、その任務を遂行するに合理的な必要な人間というものが、基準と申せば言えるかと思うのでございます。したがいまして、援助が非常に多かったというときにおきましては、先ほど申しましたように、昭和二十九年に初めて自衛隊が発足し、いろいろ装備上の援助も受ける、あるいは訓練上のいろいろな装備の取り扱いについての助言を受けるというような必要性がありましたときは、四百九十九人、約五百人に及ぶ軍事顧問団がおったわけでございます。ところが、自衛隊が一人立ちしてやれる段階にだんだんなってまいったので、その人員もだんだん減ってまいった、こういうところに合理的な人員を生み出しておるのでございます。
-
○
田口(誠)
委員 その目的はわかりました。それで、私はその目的に基づいて何名置くかということをお尋ねして、何名置くということについては、これはどういうような積算基礎においてこの数をきめられるのかと、こうお聞きをしたら、これは大きく予算に左右されるような答弁をされたわけなんです。そういう答弁を聞きますと、この交付金の額とそしてこの顧問団の員数のバランスというものが、答弁どおりにいっておらないから、再度お聞きをしておるのだから、そこをよくのみ込んで答弁をしてもらわなくては困る。
-
○麻生
政府委員 これはひとつ沿革的にちょっと御説明いたさないといかぬと思うのであります。最初は約五百人という数がおったわけでございますが、この当時自衛隊としていろいろな援助を受けるにおいては、約五百人ぐらいの人間がとりあえず要るかという判断を日本側としてもしたわけでございます。その後、日本としては、米軍の援助を受け、自衛隊としてみずからやっていけるという体制ができてまいりましたので、その当時からはだんだん必要性がなくなって、それだけ人員が減ってきた、こういうことになるわけでございます。最初きめられた人員があるわけでございますが、毎年毎年がどうかということで、そのときの、はっきり申しますれば昭和二十九年に設けられ、必要とされた数を基準といたしまして、その後の必要性に応じてだんだん減ってきた、こういうことになるわけであります。
-
○
田口(誠)
委員 そうしますと、施設庁長官の先ほど答弁された内容は、いまの答弁と食い違いはございませんか。
-
○小野
政府委員 私の説明が不十分のためにあるいは御述惑をかけたと存じますけれども、私の考えておりますことは、ただいまの麻生参事官から申し上げたことと相違はございません。
-
○
田口(誠)
委員 そこでお聞きをいたしたいことは、だんだん日本の自衛隊に力がついたから、在日米軍事顧問団の数も減ってきたのだ、こういうことなんですね。これは予算の面とは関係はございませんね。
-
○麻生
政府委員 御質問の点は、予算というのは軍事援助顧問団に交付します資金の額と影響がないかどうか、こういうことかと思いますが、これは先ほど申しました軍事援助顧問団が活動するに必要な行政費を提供するということでやっておるわけでございます。ただ、予算査定をいたしますれば、それによって行動が制約を受けるということはあるかと思いますけれども、われわれとしては、先ほど申しました軍事援助顧問団の任務というものを認めて、それを受け入れておるわけでございますから、この任務が円滑に遂行できる経費は見てやるという考えでおるわけでございます。
-
○
田口(誠)
委員 そこで確認をいたしますが、私がなぜここでこういう確認をするかと申しますれば、予算の面に関連があるかないかということが、私の聞きたいところなんです。それと申しますのは、交付金の額からいきましても、昨年の場合は少なくて、昭和三十九年度は多い。そこで顧問団の数は、交付金の金額が少ないときに員数が多くて、交付金の多いときに少なくなっておる。だから、私は、顧問団の積算基礎というものはどういうようにお出しになっておられるのかということが聞きたかったのです。それは単なる予算上また交付金の金額、そういうものに縛られないで、ただ日本の自衛隊の力のいかんによって増減というものがあるのだ、こういうふうに受け取って間違いないですか。
-
○麻生
政府委員 ちょっと誤解があるといけませんので御説明いたしておきたいと思うのでございますが、先ほど御質問がございましたのでお答えいたしたのでございますが、昭和三十八年度においては三億二千万円の資金の交付であったのに、今年度は四億一千五百四十万ということでふえておるわけです。員数が減っておるのにどうしてふえているのだろうという御疑念は、ごもっともだと思います。これは予算
委員会かどこかで、すでに通常国会等で御説明申し上げたと思いますが、昭和三十二年に顧問団の交付金に——これは大蔵省からあるいは説明すべきことであるのかもしれませんが、四億四千万円ばかりの繰り越し金があったわけでございます。それを毎年繰り越しまして、毎年の予算に計上した円資金に加えてやってきたわけであります。ところが、それが昭和三十八年度で全部使い果たしたということになりましたので、予算としての交付金の金額は三十九年度はふえておるということでございますが、実質的に申しますと、必ずしもそういうことにはなっておらぬのでございまして、昨年のほうが、実際出している金としましては四億一千五百万円より多いわけでございます。具体的に申しますと、私のこの資料で申しますと、昨年は支出しました金は四億九千百万円でありまして、ことしの予算よりも多い金を支出しているわけでございます。だから、実質的にはことしは減っているということになります。
-
○
田口(誠)
委員 くどいようですけれどもお聞きしたいことは、日本の自衛隊に十分力がついたら、もうこの顧問団は要らぬ、こういうことなんですか、極端な話でいくと。
-
○麻生
政府委員 自衛隊のいまの現状から申しますと、米側からの援助というものは、だいぶ減ってはまいってきております。しかしながら、技術等の面におきましてまだ劣っているところがあるわけでございまして、この顧問団を通じまして、いろいろ技術上の指導なり、あるいは技術上の助言を受けるというような効用も、だいぶあるわけであります。それから、米側としましては、日本に提供しました援助の進捗状況を観察するという権限をMSA協定の第七条は認めておるわけでございます。その限りにおきまして、やはり存続するものというふうに考えます。
-
○
田口(誠)
委員 それで、自衛隊の力の関係ですが、第二次防計画がそのまま完全になされた場合には、この顧問団はどのくらいな数になればいいということですか。
-
○海原
政府委員 先ほど麻生参事官から御説明いたしましたように、米軍軍事顧問団の技術に関する指導というのは、ここ当分の間継続するものと考えられます。したがいまして、二次計画完成時におきましても、現在とそう数は変わらないというのが、私どもの判断でございます。
-
○
田口(誠)
委員 ちょっとその内容を説明していただけませんか。
-
○海原
政府委員 軍事顧問団の援助の内容でございますが、これはたとえば海上自衛隊につきまして申し上げますと、私どもの新しい護衛艦に搭載されます武器は、全部米軍からの供与でございます。したがいまして、この武器をどういうふうに取り扱うか、これをどういうふうに整備するかということにつきましては、私どものほうには遺憾ながらその予備的な知識がありません。一部の者がアメリカに留学その他で参りますが、現実にこの船に取りつける場合等におきます指導は、米海軍の援助をまつわけでございます。こういうことが陸海空三自衛隊についてございますので、こういうことは今後相当継続するもの、こういうふうに考えます。
-
○
田口(誠)
委員 そうしますると、今後も、技術上の問題から顧問団というものはなお本年の程度のものは継続されていくというふうにお聞きをしておいてよろしいのですか。——回答していただくときに、そこのちょっとしたところがわかりにくいところなんです。だから、それをわかるように説明していただけませんか。
-
○海原
政府委員 先ほどの私の御説明申し上げました内容と同じことを繰り返して恐縮でございますが、技術援助につきましては、なお当分の間米国のほうからの援助を期待いたしておりますので、現在程度の顧問団の人員は、今後なお必要ではなかろうか、このように判断いたしておるわけでございます。
-
○
田口(誠)
委員 だいぶわかってきました。そうしますると、初めのうちの答弁の内容からいくと、これはどうして員数をきめるかということについて私は聞いておったのだから、あなたが説明されたことと長官が説明されたことと、これは結局違うことなんですよ。この積算の基礎というものは、全然それは別にあるものではなくて、第二次防計画を完全実施しても、やはり技術等の問題があるから、顧問団の、今年は百十九名ですか、それに軍属が二十九名おります、この程度は必要なんだという、こういう大ざっぱなことなんです。だから、前に御回答いただいたのは、せっかく長い時間かかりましたけれども、これは何にもならぬことになりましたが、それでよろしいですか。局長、その答弁でいいのですか。
-
○麻生
政府委員 いま私がお答えいたしたことと
防衛局長がお答え申し上げましたことと、別に変わっておらないと思います。
-
○
河本委員長 この際、九時十分まで休憩いたします。
午後八時五十五分休憩
————◇—————
午後九時四十九分
開議
-
-
○
田口(誠)
委員 休憩前に質問申し上げました問題について、それぞれ御答弁をいただいたのですが、三者三様のように聞こえましたので、おそらく休憩中に統制もされておると思いますので、どなたでもよろしいですが、ひとつわかるように御答弁をいただきたいと思うのです。
-
○麻生
政府委員 お答えいたします。
先ほど御答弁いたしましたように、在日米軍事援助顧問団は、相互防衛援助協定に基づきまして、日本に与える援助に関しますアメリカ
政府の責務を日本において行ない、かつその援助の進捗状況を観察するという任務を与えられているのであります。したがいまして、この任務を遂行するに必要な人員というものが適当な人員であると、こう考えられるわけであります。先ほど
防衛局長から御答弁申し上げましたのは、これを第二次計画との関連において、それではどの程度の人員が必要か、こういう御質問でありましたので、大体いま程度の人数が技術的な援助その他を受ける点も考慮して適当ではなかろうか、こう御返事申し上げたのでございまして、私の答弁と特に変わった点はないというふうに思います。
-
○
田口(誠)
委員 それでは私これで質問を終わります。
-
-
○石橋
委員 時間もだいぶんおそくなっておりましす、あとにまだ質問される
委員もおられますので、なるべく簡潔にお尋ねをしたいと思いますから、ひとつ皆さん方も要領よくお答えを願いたいと思います。
私が本日お尋ねをしたいと思いますことは、自衛隊の隊員の政治活動についてであります。
最初にお尋ねをしたいわけですが、
自衛隊法あるいは施行令によって、隊員が政治的目的を持って政治的な行為を行なうことはかたく禁止されておるはずでありますが、どうも最近われわれが明らかに政治活動と思われることを、ひそかにやっておられる向きがある。そういう資料、材料も入手しておるわけなんです。最初にお尋ねいたしたいことは、たとえば原子力潜水艦の寄港反対という署名運動に絶対に応じないようにというようなことを自衛隊の幹部がやるような行為は、政治的行為とみなされると思うのでありますが、大臣いかがお考えでございますか。
-
○小泉国務大臣 さようなことは政治的行為と私も考えておりまして、また、さようなことは、いまの隊内においてあったという事実は存じておりません。
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○石橋
委員 大臣も率直にそういうことは政治的な行為に入るとおっしゃいましたので、それでは私も単刀直入に参ります。実は佐世保の部隊におきまして、こういうプリントを印刷いたしまして、「隊員家族の皆さまへ」という見出しで、実は配っているわけです。これは全部一連番号が付してあります。このやり方が非常に卑劣で、こそくだというように私どもは見ておるわけですが、内容に至ってはまことにけしからぬことをたくさん書いてあります。現にやっているのです。あちらこちらちょっと読んでみたいと思いますけれども、一番最初はこういう呼びかけ方です。「隊員家族の皆さまへ。突然、しかも日曜日にこのような手紙を差し上げて、何事かとびっくりなさったことと存じます。あすまで待たないほうがよいと思いますので、あえてとった手段ですので、御了承ください」こういうふうな書き出しですが、中の要所要所を読んでみますと「反対運動はきのう、きょうと騒がしくなってきましたが、特に警戒すべきは、大幅な署名運動を展開して、集まった署名の数によって反対は佐世保市民の大多数の声であると理論づけようとしていることであります。」これはもちろんのことなんです。民主主義の社会において、市民の一つの世論を確かめる手段として署名運動というのが行なわれるわけですから、反対の方は署名してください、これだけの人が反対しておりますという資料に使うことは当然なんです。それが署名運動なんです。片一方では、だから賛成という動きもあります。それに対して、これは特に警戒すべきことだというようなことから始まりまして、中には、はち巻きをした人が三人もやってきてこわかったからとか、子供の学校の先生が来られたのでとかいうようなことで署名をしてはならぬというようなことを書いております。最後に、「道理を無視して、大衆運動により何が何でも反対する運動をやっている人たちの真の目的は、日本国の安全を保つことではなくて、日本と米国との防衛体制を切りくずして、日本を防衛上孤立化し、弱体化して、国内を混乱におとしいれることにほかならないと思われる。日本は民主主義を基調とした国家でありますから、政治は多数決ですべてがきめられます。すなわち、多数の意思を全体の意思とみなすのが民主政治です。」こういうようなことも書いてあります。一体、反対の署名運動を、道理を無視して大衆運動により何が何でも反対する運動だとか、あるいは民主主義というのはもう多数そのものだ、多数の意思が全体の意思だ、こういうふうなきめつけた考え方というものを、少なくとも自衛隊の幹部というものが持っておるところに問題があると思う。中には傑作もありますよ。佐藤さんが本
会議で、現在の国内外の動きというものはこれは激動に値しない、あれは流動的だと成田さんをたしなめましたね。たしなめたつもりでしょう。ところが、社会党の成田書記長と同じ見解をここで披瀝しております。「国の内外は激動しているから」——その前にいろいろ並べておりますが、「この間に、ソ連では突然フルシチョフ首相が追放され、英国では労働党が与党となり、中共ではソ連の反対にもかかわらず核実験を強行し、わが国でも池田首相の引退と後継首班の問題と、国の内外は激動している感じですが、」というようなことまで書いてある。とにかくこんなことを一体やっていいものか。あなたが先ほど冒頭お認めになりましたように、これは明らかに
自衛隊法、同施行令に違反するものです。私は関係条文を大臣がもしお忘れになっておられたらいけないから読み上げてもよいのですが、
自衛隊法で禁止されて、詳しく政治的目的とは何か、政治的行為とは何かという定義づけが施行令でなされております。この中で施行令八十六条の三号、四号、五号で、「特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること。」「特定の
内閣を支持し、又はこれに反対すること。」「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」が必然的にこれに該当してくると思いますし、手段としては「政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し、若しくは配布し、又は多数の人に対して朗読し、若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し、又は編集すること。」すべて禁止されていることなんです。こういうことをやっております。だれがやっておるのか。名前は言ってもかまいません。これは陸上自衛隊相浦駐屯地司令第二教育連隊長一等陸佐下薗秀男、この人がやっている。しかもこのやり方たるや、先ほど申し上げましたように卑劣きわまりない。おそらく、これは私の聞き知っておるところでは、原潜入港賛成を正式に表明している団体の幹部と懇親会をやって、一ぱいきげんで隊に寄って、そうして副官につくらせて直ちに配付さしておる。伝令六、七人を使って午後から夜の十一時ごろまでの間に、数名の伝令が営外の全隊員、職員の家庭を訪問して、捺印をとってこれを配っております。そしてここに書いてありますように、「読んでしまわれたら御主人から隊へ返してください。」翌日また全部これを集めて隊で焼却しているのです。何でこういうこそくな、またこそこそした手段をとらなくちゃならないか。彼自身が法律に反することを知っているからです。先ほど杉江統幕
議長の話も出ました。あなた方はしっかり統轄しているつもりかもしれませんけれども、全然あなた方の知らないところでこういうことが堂々と行なわれている。こんな方法では堂々と言えないかもしれませんが、その方法が良心のある隊員の憤激を買っている。だからこそ私たちのところにわかるのです。隊員の幹部の中でも、隊員の中にでも、こんなことをどうしてやらせていいものか、そういう悲憤慷慨の士がおるのです。私はこういうところを改めなければ、ちょっと訓戒したというようなことでしめしをつけたつもりかもしれませんけれども、そんなことではこたえないですよ。何言ってやがるんだいという態度です。ほんとうに法律を守る、そういう気持ちを起こさせなければだめです。統幕
議長だって、原子力潜水艦を国産で建造したい。一体法律を知っているのですか。現在の日本の原子力基本法で、そんなことができると考えているのですか。順法精神もないじゃありませんか。そういう上の段階でしっかりした態度をあなた方がとらなければ、しめしはっきませんですよ。冒頭お認めになりましたように、明らかに政治的行為に入るとおっしゃいましたが、このような事実がはっきりいたしましたら、厳然たる措置をおとりになられますか。そういうことを一つ一つ片づけていかなければ、幾らシビルコントロールなんてお題目を並べてもしめしがつかないという角度から、私はお尋ねをしたいと思います。
-
○小泉国務大臣 いま石橋
委員からも特に御指摘がありましたように、施行令に違反するということが明確になりましたならば、もちろんこれに対する適当な処分をしなければならないと存じます。ただいま御指摘になりましたことは、申しわけないことながら私どもとしては初めて承知したことでございまして、十分実情を調査いたしまして、善処をいたしたいと存じます。
-
○石橋
委員 それでは早急に調査していただいて措置をとり、報告をしていただきたいと思います。
もう一つ、それではこの間お尋ねをしまして、これまた調査すると言われたまま返事のない事項について、これだけを御報告いただいておきます。これは防衛大学におけるアンケートですね。この間お示ししましたように、防衛大学でいろいろなアンケートをとりました。その中で、日本の核武装についてどう思うかということについて、現在持つべきだというのが二六・三%、将来情勢いかんによっては持つことがあり得るというのが四六%もあるが、一体こういう教育をしているのかと言ったら、実情は知りませんから調べますとおっしゃいましたが、その後の報告をしていただきたいと思います。
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○堀田
政府委員 お答え申し上げます。
石橋
委員がお尋ねになりましたときに、ちょうど私は所管の
教育局長をやっておりまして、御指摘を受けまして直ちに防大に照会をいたしたのでございますが、さような教育は全然いたしておりません。
-
○石橋
委員 それでは、特に教育はしておらぬけれども、防衛大学校で訓練を受けておる学生は、自然にこういうふうな思想を持つようになったということですね。あなた方は、国会で、総理大臣や防衛庁長官が、核装備はいたしません、核兵器は国内持ち込みを認めません、いままで何回おっしゃったかわからないけれども、そんなことは、政治家どもが何を言ってるんだ、われわれは持つべきだと思う、こういう学生がどんどん育っておるということをお認めになるわけですか、大臣。
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○小泉国務大臣 いま石橋
委員が指摘されました防大のアンケートは、三十七年度のできごとであったそうでありまして、その当時よく防大の調査をいたし、そういうことがないように適当な指示をいたしたと承知いたしております。
-
○石橋
委員 局長は指示したと言わなかったじゃないですか。なぜ言わないのですか、今後の措置について。
-
○堀田
委員 お答え申し上げます。
石橋
委員が、そういう教育をしたか、こうお尋ねになりましたので、そういう教育はいたしておりませんというふうに申し上げたのであります。措置については、いま長官にお尋ねがございましたので、長官からお答え申し上げたとおりでございます。
-
○石橋
委員 もうこれでやめますがね。大臣、ここであなた方が一つ一つ国
会議員に答弁をするということは、国会を通じ、国
会議員を通じて国民に向かって約束をし、あるいは説明をしておる、こういう心がまえをお持ちだと思う。ところが、あなた方がここで言うことと、下のほうで行なわれていくこと、この間に食い違いがだんだん大きくなるではないかという角度で、一つ一つ取り上げておるのですよ。ここで何とか糊塗してしまえば済む問題じゃないのです。ほんとうにシビルコントロールというものを確立したい、政治優先の立場を貫きたいというならば、口だけではなくて、総理や大臣やあるいは局長の皆さん方が国会で話されることは、下部に一つ一つ浸透していかなければだめでしょう。制服の諸君が何を言ってやがるんだいという態度では、シビルコントロールも政治優先も何もないですよ。だから、私はしょっちゅうこういった問題を皆さん方に提示するのです。口で適当にここで口裏を合わせておけばいいという問題ではないということをよく知っていただきたいと思う。終わります。
-
-
○受田
委員 長官以下お疲れであろうと思いますが、短時間の間に要点をかいつまんでお尋ねします。私は、先国会で討議された防衛関係二法案が今回再び討議されるにあたって、重大な問題点を一、二指摘して防衛庁の御見解をただしたいと思います。
その第一は、国防
会議という重大な国防の基本方針等を決定する
会議に、その
議長たる総理が、もし先般池田さんのように事故で入院されておるような場合に、総理みずからが
議長として出席しなくても、また副総理が置かれなくても、
会議が構成されるかどうか。これは重大な問題でありますから、まず御答弁願いたい。
-
○北村
政府委員 お答えいたします。
もし
内閣に総理の代理者がきまる場合におきましては、運用に支障はないと思います。しかし、きまらない場合、やはりその議員の方々にこの処理をどうするかということを御相談願わなければならぬことになろうかと思います。
-
○受田
委員 たいへんあいまいな御答弁です。六名の議員のうちで二名が欠けているときに、四名で
会議が成立するかどうか、このこともまず確かめたい。
-
○北村
政府委員 普通は
議長が御招集になりまして、正規メンバーとしては議、長、それから常任の議員の方が四名、それから随時出席を命ぜられておる通産大臣、それから科学技術庁の長官、この方が懇談会に御出席になります。(受田
委員「懇談会じゃないのです。国防
会議を問うておる。」と呼ぶ)国防
会議につきましては、五人でございます。そのうち何人が欠員になれば成立しない、そういう規定は、目下のところ置いてございません。
-
○受田
委員 議長たる総理並びに第四条第一号議員が両方とも置かれていないような場合が、この前のようなときですね。そういうときに国防
会議を開く必要があった場合に、残余の三毛か川名で
会議が構成されるかどうかをはっきり言っていただきたいのです。
-
○北村
政府委員 これは、御存じのように総理の諮問機関でございます。総理大臣がいらっしゃらない場合、重大な問題が起きるという場合にはこれをどうするかということは、私が走り回りまして、各議員の方々の意見を取りまとめてこれをどうするかということを御相談願わなければならない、こういうことになろうと思います。
-
○受田
委員 そういうことでは、国防
会議の付議事項の中に、防備出動の可否、外部からの武力の攻撃があった場合に防衛出動しなければならないというような重大なものをやるときには、間髪を入れざる結論が要る場合です。そういうことをきめるのが、この国防
会議なんです。そして総理に答申するわけですから、国防
会議の議を経なければ、総理は命令を出すことができない。そういう重大な、間髪を入れず十分、二十分後に、事態が起こってそれを即応態勢をとらなければならぬというときに、いろいろとかけ回って御相談ができますか。実際問題としてナンセンスです。それは大臣から御答弁願いたい。
-
○小泉国務大臣 国防
会議の構成等に関する法律第三条に「
議長は、
内閣総理大臣をもって充てる。」3に、「
議長に事故があるとき、又は
議長が欠けたときは、次条第一号に掲げる者である議員がその職務を代理する。」とありまして、次に掲げる大臣は、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経済企画庁長官ということが明記してございまするので、この中のいずれかが
会議を招集する。(受田
委員「それは違う、それは抜けておるのです。」と呼ぶ)副総理がこれに当たるということになっておりますが、総理のいない場合は、この掲げられましたところの関係の閣僚で相談をしてこれが招集をできるというふうに解釈をいたしておるのであります。
-
○受田
委員 そういう非常に急迫した場合に、総理を欠かしておいて、そして副総理もいない、こういう事態に残った大臣が相談するというようなやり方は、国防
会議という重大な決定をする機関としては、まことに不都合である。この機会にはっきりと総理が欠けたときには、副総理がこの議員としてその職務を行なうという筋を通さなければならない。国防
会議の構成の立場から、各大臣のあいまいな話し合いで順番にいくようななまぬるい規定というものが、実際問題として用をなさないということを、大臣御判断願えますか。
-
○小泉国務大臣 こういう場合には、総理が欠けるという場合は、事実あり得ないと私は考えております。池田総理も、病気で入院された場合には、代理者を置かず、病院で総理の職を遂行されたのでございまして、総理が職務を遂行し得ない場合においては、当然閣議でこれを代理する、俗にいう副総理等が決定されるのでございますから、その決定をされた者が国防
会議を招集するということになるだろうと考えておるのであります。
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○受田
委員 たいへん大事な御発言をされておるのでございますが、大臣が入院等で執務できないという場合には、副総理が残された人から置かれる、こういうことになるわけですね。ところが、この前副総理を置かれていないじゃないですか。その場合どうするのですか。
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○小泉国務大臣 この前の池田総理の場合は、御承知のとおり、入院をされましても、総理の職務をば病院から遂行されて、符に副総理は置かなかったのでございまして、総理が欠けるというような場合は、私は事実あり得ないと考えております。また、総理が入院等で職務を遂行されない場合は、閣議でしかるべき代行者が決定をさるる。この前の場合においては、それが決定をされずに、池田総理自身が入院中にこの職務を遂行されたのでございます。
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○受田
委員 その総理たる国防
会議議長が、突如急性肺炎あるいは脳溢血で死亡した。総理が完全に欠けますね。副総理が
指名してない。そのときには、残された町名かの議員で代表者をきめる、こういうことなんですね。それは話し合いできめるわけですか。そして副総理をきめるわけですか。両方の場合を御答弁願います。
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○小泉国務大臣 いま受田
委員の言われるような事態が生じた場合には、当然閣議でしかるべき代理者が決定をされ、その閣議決定のいわゆる総理を代行すべき者が国防
会議を招集するのではないかと解釈をいたすのであります。
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○受田
委員 閣議で副総理が決定される、こうおっしゃいますけれども、これは閣議で副総理、つまり総理の職務代行者をきめるということが、何かの規定にあるのでございますか。
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○小泉国務大臣 さような成規の法制上の規定は私はよく存じませんが、これは当然われわれが政治常識上、ふだんの場合においては総理が欠けるということはあり得ませんが、先ほど受田
委員の申されたような不測の事態で総理が欠けるというような場合には、これは当然残された閣僚が閣議を開いて、その間の処置をし、いわゆる代理者が決定さるる問題だと私どもは解釈をいたすのであります。
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○受田
委員 そういうあいまいなことで総理代理者がきまるというような筋合いをおとりになるということは、これは立法国として、あるいは行政権の確立しておる国家としては、はなはだ不都合である。このことも、ひとつ国防
会議という重大な事項を決定する
会議で、総理がなくなった、その直後に外部の武力侵略があった、そういう事態が必ず想定されておらなければならないはずです。そうい場合のこの国防
会議の責任者をどうするか、
会議の運営をどうするかという事態まで用意しておかなければならない。特に国防
会議の場合において、重大な事態が早急に起こるわけでございますから、つまり防衛出動の可否を決定する、間髪を入れず措置されるような場合に、だれが総理代行者になるかというようなことを閣議できめるときに、派閥の大将ばかり打ちそろったような組織においては、とても責任者をきめるなんということは困難である。むしろはっきりと総理代行者を事前にきめておくということが、国防
会議構成の立場からも必要なんじゃないでしょうか。
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○小泉国務大臣 さようにあらかじめ決定しておくことももちろんけっこうとは存じまするが、私は万一というような急変の場合においては、当然残された閣僚がこれに対する代理者を早急に決定して善処するのが、政治常識上
内閣の責任にある者として当然の措置であろうと考える次第でございます。
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○受田
委員 自衛隊法の中にも、七十六条以下に防衛出動、治安出動、災害派遣、いろいろな規定があります。そしてそれに対する待機命令は、いまの場合小泉先生がお出しになるのです。そういう際に、総理大臣という最高の責任者が防衛出動を命じなければならないときに、それが欠けておるとき、これは非常な変なことでございますが、残された人で相談して、法律上何ら権限のない閣議の私的申し合わせで、にわか仕立ての仮
議長が防衛出動を命ずるというような形は、問題だと思う。そういうことで、国防
会議と閣議と性格は二様にあるのですから、二様にある性格を果たすために、必ず法律的に代理者が必要ではないかと思います。ここでちょうど高辻新長官が来られたが、国防
会議の
議長たる総理が欠けているという際に、残された国防
会議の議員でだれが責任者になって、防衛出動というような緊急の事態に対する命令を発するのか。もちろん命令は
内閣でやるわけでございますが、結論はだれが出すか。
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○高辻
政府委員 お尋ねの
内閣法九条でいわゆる臨時代理といいますか、副総理の制度がございます。
内閣総理大臣が欠けましたときには、あらかじめそういう総理が
指名した副総理というものがきまっておれば、むろんそれが代理をするわけでございますが、お尋ねの
趣旨は、おそらくきまってない場合はどうかということであろうと思いますが、きまってない場合につきましては——実は
内閣法九条の規定には、そういう場合のあらかじめ指定されている場合を予想していることは、条文から明からでございます。しかし、その場合に、
内閣総理大臣の代理がいないということによって国政の運行がうまくいかないということは、実はおかしな話でございまして、その場合には、むしろ九条のほうの話としまして
内閣総理大臣があらかじめ指定する国務大臣というものが置かれておりませんので、その場合にはむしろ
内閣というものがそれを決定しまして、そうしてそれによって副総理がいないために国政の運行ができないというようなことを法は予想しているとは思いませんので、そういう場合には
内閣で決定をしてまいる。そういう場合には、その決定された人が結局国防
会議の
議長となるということになるわけでございます。
-
○受田
委員 非常にあいまいですが、その際の話し合いできめるのかどうかです。それから、防備出動のような重大な出動命令を出して、日本の軍隊を派遣するようなのを
内閣が命令を下すのは、おかしな話です。
内閣総理大臣が出動の命令権を持っていると、はっきりと法律に書いてあるのです。それを
内閣という機関で命令を出すという解釈をしようとすれば、それははなはだこじつけであって、はっきりと総理大臣の命令で防衛出動がされるべきである。もし総理が欠けた場合には、その職務代行者によってされるべきであるという形をとるべきではないか。
内閣が命令を下すということは、おかしいじゃないですか、防衛出動については。
-
○高辻
政府委員 内閣総理大臣が欠けた場合あるいは事故がある場合、そういう場合には、あらかじめ指定する国務大臣が代理する、これは
内閣法九条のたてまえであることは、御存じのとおりでございます。お説は、おそらくそういうことができてなかった場合にどうかという御質問だと思いますが、そういう場合に、おそらく
内閣総理大臣の代理者がいないために国政がすべてストップというようなことは実はおかしいので、
内閣法九条の法の意図しているところを解釈していければ、これは
内閣総理大臣がいなかった場合には、代理者がいないためにもう国政がうまくいかないというようなことを
内閣は考えているわけではなくて、その場合には、なるほどあらかじめ
指名はしておりませんので、やむを得ざるということにはなりましょうけれども、それは
内閣という最高行政機関が決定をして、
内閣総理大臣が
指名する者を
内閣そのものがきめて、そうして
内閣総理大臣が欠けた場合に備えるということになります。むろん
内閣総理大臣が欠けますと、
内閣は総辞職をして次の
内閣ということになりますが、その間でも事きわめて重要な国政というものが放てきされていいということにはならないと思います。したがって、そういう場合には、最高行政機関たる
内閣それ自身がきめるということになるのは、これはきわめて自然ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
-
○受田
委員 私が特にここで指摘したいことは、防衛出動というような重大なことを決定する、その可否を決定するのは、国防
会議なんですよ。そういう際に、
内閣が命令を出すというような解釈をされるという筋合いは、これは行政権の円満な遂行の上ではなはだあいまいである。はっきりしたものを用意して、
内閣総理大臣を置き、その職務代行者を置いて、防衛出動を命ずるという形のものをとるべきでないか。いかにも弁解がましいことで、これは法律的に見たら非常に疑義があります。いまのあなたのような説明では、
内閣が防御出動権を発動するというようなことになるからね。代理者というのは、だれが代理者となるかというのは、それは総理として職務を行なう代理者を設けるのかどうか、はっきりしてもらいたい。
-
○高辻
政府委員 ただいままで申し上げたのは、
内閣がいわゆる
内閣法九条の臨時代理者をきめる。そうしますと、その臨時代理者が
内閣総理大臣の職務を代行するということになるわけでございます。
内閣がその名でやるわけではございません。その点は誤解のないように願いたいと思います。
-
○受田
委員 いずれにしてもこういうあいまいな解釈のできるような情勢に置いておいて、総理の欠けた場合に、そういう残された閣僚が話し合いをして
内閣総理大臣の職務代行者を置くなどというようないいかげんな、根拠のないやり方で国政を運営するということは、不当である。法制局としても、長官としても、ジョンソン大統領がケネディ大統領のあとを引き継いで副大統領としてその職務を行なったような形で、すっきりしたものを国政の上に置かなければならぬ。これは国防
会議の場合でも同様です。切実な問題として、いいかげんなごまかし法律論をお述べにならないように、すっきりした立場に立たしてもらいたい。それを非常にあいまいな御用学者の御答弁は、私は残念に思います。
もう一つ、政務次官は、これは国家行政組織法第十七条の規定により、防衛庁長官たる大臣の命を受けてその職務を代理することができるのかどうか、防衛庁の立場でお答え願いたいのです。
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○麻生
政府委員 国家行政組織法の規定でありますので、私からお答えしていいかどうかわかりませんが、十七条の三項には「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」と書いてあります。ただ、この場合の職務の代行というのは、非常に制限された意味の職務の代行ということになると聞いております。
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○受田
委員 はっきり言いまするが、防衛庁の現在の小泉長官がちょっとおかぜなどで休まれて不在になる、そういう場合に、防衛出動の可否を決定する大事な国防
会議が開かれ、その答申が出た。さらに待機命令を長官がお出しになるというような差し迫った事態に対処して、その不在の場合に大臣の命を受けて職務を代行するという中に、この防衛出動あるいは待機命令等の防衛長官の職務を代行できないということになっておるかどうか、それをはっきりしてもらいたい。
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○麻生
政府委員 防衛庁長官は国務大臣をもって充てるということになっておるわけでございます。したがって、国務大臣である大臣が御病気とかあるいは長期の旅行でその間は仕事ができないというような場合には、臨時に代理の大臣が任命され、その大臣が職務を行なわれるというのが、普通やっておられる方法でございます。
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○受田
委員 それは時間的に長い場合。ところが、不在というのが非常に期間が短い、こういう解釈、そうすると、その短い期間の場合の職務代行はどうなるか。これは大事なことですから、はっきりしておかなければならぬ。不在の場合とはいかなるものをさすか。
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○小泉国務大臣 私どもの解釈いたしておるところでは、いままで例がありますとおり、外務大臣が国連総会に出席するために外遊をする、そういう場合には、ほかの大臣が外務大臣を兼任してその職務を行なう、そういう例によって代理者が、いわゆる兼任の他の国務大臣が置かれるのでありまして、たとえば私が国内において部隊の視察等に出張する場合においては、いわゆる代理者を置かなくても、その職務を遂行することができますので、そういう場合は代理者を置かない。外遊等の場合には、兼任の国務大臣がその任務を行なうというふうに解釈いたしておりますので、数日間のかぜで休むとか、国内の部隊視察等に数日間の出張をするという場合には、代理者を置く必要がない、かように解釈をいたしておるのであります。
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○受田
委員 それはよくわかります。ただ、その数日間の出張等の場合、あるいはおかぜで休まれておるというような場合のその職務代行者は、特に政務次官に命を与えて職務を執行することができるかどうかです。
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○小泉国務大臣 そういう場合は、旅行先でありましても、電話等で十分連絡をいたしまして、またかりにかぜで休んでおりましても、連絡はできるのでございますから、職務代行者を置く必要はない。長官自身が病気や出張中でも、その職務を遂行できると考えておるのであります。
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○受田
委員 そうすると、国家行政組織法第十七条の不在の場合の政務次官の職務代行というのは、いかなる場合ですか。それをはっきりしてもらいたい。
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○麻生
政府委員 国家行政組織法の規定は、行政管理庁で主管をしておる法律でございますので、私が答えるのは少し僭越かと思うのでございますが、私の理解しておりますのは、内部意思の決定、それから儀礼的な行為あるいは事実上の行為のようなものを大体意図しているというふうに聞いておるのでございます。
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○受田
委員 それではそこに政務次官がおられるから、ひとつ十分御研究していただきたい。これで私の質問を終わります。
一問おしまいに、防衛大学校を終え、あるいは一般大学を終えた者が、幹部候補生学校に入って幹部自衛官として採用されておるわけです。このことについて、防衛大学校のコースを経た人と一般大学を経た人と、幹部自衛官として、いずれも劣らざる実力を発揮しているか、あるいはその間に多少のアンバランスがあるか。もう一つは、防衛大学校というものの教科課程、科目等の一部を何とか融通をつけて、学校教育法の大学の規定を受けるような方法をとって、これら防衛大学校の卒業生に一般大学と別の意味における資格を付与するという方針をおとりになるべきではないか、この点をひとつ御答弁願いたい。
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○島田説明員 お答え申し上げます。
第一の、部外の大学から幹部候補生学校に入りまして幹部になるコース、もう一つは、防衛大学校の過程を経まして幹部候補生学校を経て幹部になるコース、その二つございますが、その両者の間においていろいろな点において優劣があるかどうかという御質問でございますが、これは防衛大学校におきましては、御承知のとおり、理工科の科目をかなり専攻いたします。一般の大学から入ります場合には、法文系の学生も入りますので、そういう知識の点におきましてやや差異がございます。その他いろいろな面で個人的な差がございますので、そのいずれに優劣をつけるかということは、なかなかむずかしい問題でございます。ただ、幹部候補生学校におきまする者の成績を見ますと、防衛大学の卒業生が比較的粒がそろっておるということは言えると思いますけれども、どちらが非常に優秀で、どちらがそうでないということは、一がいに言い切れない。また、初級幹部としまして部隊等において勤務いたします場合、その者につきましては、これも個人差と申しますか、そういう点がございまして、特にいずれが優秀であるということは言えません。
それから第二点の、防衛大学校の卒業生に一定の資格を付与するということでございますが、これはすでに昭和三十二年の三月に、文部省の告示によりまして、防衛大学校の卒業生は一般大学の大学院に入学をする資格を付与されておりますので、それによって現在修士課程あるいは博士課程に入っておる者がかなりの数にのぼっております。
-
○受田
委員 終わりですが、おしまいのところをちょっと……。
大学院に入学する資格があるので、学校教育法の大学の資格を持ったような印象を与えることのないように、はっきりと区別してお答えを願っておきたい。
質問を終わります。
-
-
○
河本委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。
田口誠治君。
-
○
田口(誠)
委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、
防衛庁設置法及び
自衛隊法の一部を
改正する
法律案に反対の討論を行なう次第でございます。
反対の第一といたしましては、本法案には防衛庁の職員の定員を増員する案が入っております。現在自衛官は三万三千名ほど欠員をいたしておりまするし、非自衛官は一千名の欠員をいたしております。こういう欠員をいたしておりまするときに、その自衛官の文武のいかんを問わず、二千九百三十二名増員するということは、どうも私は筋道が通らないので、これは絶対に承服できないわけでございます。
それから先ほど質問のときにも申し上げましたように、従来大蔵省が行なっておりました円資金の提供に関する事務を、今度は施設庁へ委譲するということにつきましても、何ら内容的にその必要を考えられませんので、この点にも反対をしなければならないと思います。
同時に予備自衛官が現在一万九千名おりまして、一年に二万二千円の手当を払っておりまするが、今度は五千名増員して、二万四千名に改めるということでございます。したがっく特に予備自衛官の場合には、呼称及び制服を着用させるということでございますので、このことを考えますと、戦前の在郷軍人、予備隊のようなものが創設されるということでございまして、私は、この点につきましては反対をしなければならないわけでございます。
なお、その他数点
改正の内容が入っておりますが、どれを見ましても不必要でございます。それと同時に、この内容は、自衛隊を拡充強化し、そして自分の仕事を何でもかでも自衛隊へかき込もうとしたり、また他の者の仕事場へ自分が入り込もうとして、自衛隊をいかにも一般国民から大きく評判をよくしようとするような考え方の上に立ってこの法案が出されておりまして、結論として申しますなれば、
憲法を空洞化し、これをなしくずしにし、すなわち
憲法違反を強化するのでございますので、絶対反対をする次第でございます。
具体的には本
会議で申し上げますので、この程度にいたしておきます。
-
-
○受田
委員 この席からごく簡単に。
私は、民社党を代表して防衛関係二法案に、反対の意思を表明いたします。
理由は、昭和二十五年に警察予備隊が発足以来、保安官、自衛官という立場で部隊が強化され、今日の盛大を来たして、いるこの自衛隊、これは少なくとも現在のような形における人員の充実ぶりと装備の充実ぶりを見たときに、
憲法第九条に規定している、よし自民党の方々が、
政府与党の方方が、政権の裏づけとしての戦力であると仰せられたといたしましても、すでに過剰の措置をされているという印象を国民に与えております。この意味におきましては、私たちは、少なくとも現時点において、これ以上の兵員増強計画、装備充実計画をおやめになることを進言をしておったのでございますが、この点と逆に、今回もまた多くの人員の増強と部隊の強化を企図しておられます。もちろん南極観測という重役を背負うてこれに協力されるという立場につきましては、これはある意味においてはわれわれとしても賛意を表する向きがあります。しかし、その問題は、海上保安庁等をもって職務を代行せしむべきである、そういう原則的な問題がひそんでおりますけれども、また一方において、災害出動その他オリンピックへの先般のあの大きな協力ぶり、これらは、自衛隊の国民全体に対して貢献をされておることも、これは否定できません。その意味において、少なくとも自衛隊が国民の立場に立って災害出動に貢献できるような平和建設に協力する施設部隊等を増強されるというのであるならば、われわれにおいてもあえて反対すべき点はないと思いまするけれども、自衛力の増強に現実の問題としてぶっかかっておるこの関係二法案というものは、明らかに
憲法第九条の線を逸脱したものとして、遺憾ながら反対の意思を表明するものでございます。
-
○
河本委員長 これにて討論は終局いたしました。
採決に入ります。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
-
○
河本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり、可決すべきものと決しました。
なお、本件に関する
委員会報告書の作成等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕
-
○
河本委員長 御
異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
-
○
河本委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後十時四十三分散会