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吉武国務大臣 栗山
先生の率直の御意見でございまして、私
どもももっともだと存じます。
第一に、
予算措置のやり方として、現在やっている点は、私もまずいやり方だと思います。特に
地方庁から見ますと年度半ばでございまして、ある程度
仕事が終わったといいますか、半ば過ぎているときにこれだけの問題が出てきて、そして
財源措置はむずかしい。結局国にたよらなければならぬということになるのでありますから、御
指摘のようにやはり四月から当初
予算に組むべきものだと私は思うわけであります。
それから人事院勧告の本質についてどういうふうに
考えるかという
お尋ねでございますが、これも人事院勧告は尊重すべきものだという本質を私は私なりに心得ておるつもりでございますし、
政府もその点はわからぬわけではございません。今日、
国家公務員にしましても
地方公務員にしましても、いわゆる争議権というものはないわけでありますから、直接
団体交渉によってきめるというわけにまいりません。したがって人事院というものができて、公正な線を出して、これによってやっていくということ、これも私は公務員という性格からいってやむを得ないことじゃないかと思います。そういう制度をとります以上は、それを尊重していかなければならぬということも、これは私ばかりでなしに、やはり
政府としても実はわかっておるわけでございます。したがいまして、ことし財源は非常に苦しくて、十月以上に延びるということは、十月でさえ、もう財源がないときに、これをなおかつ繰り上げるということは、実は普通でしたらなかなかできないことですけれ
ども、そういう本質を
考えますときに、やはり幾ぶんでも誠意を示さなければいかぬじゃないかということで、六人
委員会でも皆さん方からごらんになると、実に不十分だとおっしゃるでありましょうけれ
ども、われわれとしてはそこの中に誠意を示した、こういうことでございます。そこで、まだこれは検討をいたしておりませんけれ
ども、人事院の勧告の時期というものを何とかそれに合わすようにはできないものだろうか、これはいろいろ検討してみまして、まだいまのところではこういう方法があるというところは見つかりませんけれ
ども、これはひとつ何とか当初
予算に組めるように合わすような処置ができないものかと実は私も
考えております。これは大蔵
大臣もそういう意見でございまして、なかなか簡単に方法はないと思いますけれ
ども、そうすればいわゆる
給与が高いか低いかということは別の問題でありまして、人事院というものが諸般の情勢を考慮して出すことでありますから、それを当初
予算に組みますれば、
地方庁は
地方庁の財源の中でやるべきことであり、国は国の財源でやるべきものなんですね。これは途中で、財源がないから国がひとつ見てくれろという問題になるわけでありまして、それじゃ、来年度約手二百億くらいの
給与改定に伴う増加がありますけれ
ども、これはどうかといえば、これは苦しい
財政の中でありますけれ
ども、当然
地方財政の中で見なければならぬことであります。ただ中途であるからこういう問題が起こってくる、こういうことでございますので、これは政治の姿勢というものにつきまして御
指摘がございましたが、何とかできればいい方法はないものかという
考えを持っております。
なお、今度の処置について安易な方法をとったじゃないかという御
指摘でございますが、実は安易な方法をとったわけじゃございませんで、第一には、御了解をいただけるかと思いますが、
地方の
給与は
地方でまかなう、国の
給与は国がまかなうということが私はたてまえであろうと思うのであります。別に大蔵
大臣に私が譲ったわけじゃございませんけれ
ども、たてまえとしてはそうあるべきことであって、先ほど申しましたように、今度の
給与ベースは平年度においては当然そうすべきである。ただ、中途で財源がない苦しいときでございますので、私
どもは第一に
考えましたことは、いわゆる財源の量に無理があると、実際支給する場合に支給ができなくなりはしないかという点を憂慮した点が一点であります。それからもう
一つの点は、たてまえは、
地方の
給与は
地方公共団体で支給すべしというこの
原則は私ももっともだと思いますが、中途であって、財源の困っているときであるから、少なくとも
市町村のこの財源処置についてはいわゆる国が元利補給をしてくれないかという二点でございます。
それで第一の点は、私
どもの意見がそのまま実は通ったわけでございます。これは百八十二億といったやつが百五十億になったから、譲ったというふうにお
考えになるか知りませんけれ
ども、昨日申しましたように、譲ったわけじゃございませんで、これは六百億今度
地方公共団体全体の
給与財源が必要なのに対して交付
団体は四百五十億でございます。その中を
一つ一つ詰めていきまして、最後に
地方税の伸びをどう見るかというところでこの問題が変わってきたわけであります一大蔵省はもう初めから百億に縮めてくれ、百億以上は無理だ、何とか
節約をして百億に縮めろというのが夜明けまでの相談でございます。最後の、つまりは百二十億までは出すけれ
ども、それ以上はもうだめだというのが大蔵省の見解でございます。しかし、私は、
節約といってももう半ば過ぎているじゃないか、使っているところも相当あるぞ、それを無理をすると結局払うべきものが払えなくなるか、あるいはまた無理をして払うために赤字が出るかということになるから、この点はわれわれのほうを認めてくれろということで、実はいまの
地方税の六十億というものは、これは私もこの折衝のうちでわかりました。私
どもは非常に警戒して二十九億にしたのですけれ
ども、一番当初八月ころは六十億と見ておったわけですよ。警戒して二十九億に縮めたわけでありますけれ
ども、だんだんと数字を詰めてまいりますと、その点は、まあ大蔵省が言うことに無理がないという感じがいたしましたので、これを差し引いて百五十億にしましたから、その点は私のほうの主張が通ったわけでございます。
そこで、第二に、つまり
市町村分の元利補給が何とかならぬかという点がございますけれ
ども、これは先ほど申しましたように譲りまして、利子補給だけにしたわけでございます。それで三十億ずつ五年間にわたって普通
交付税の中から返すということになります。これは返さなければならぬし、当然そうあるべきです。ただ七千億の
地方交付税の中の三十億ですから、それ自体から見れば、たいしたことはないということばを使いましたけれ
ども、私は
市町村の今度の元利補給を何とかならぬかといって、夜明けまでがんばりましたゆえんは、
給与について国が見ろという
趣旨でないですよ。それはもうあたりまえのことで、
地方が見るべきだ。そうじゃなくて、今日、行き詰まっておる
市町村の
財政を見るときに、この
財政を救うという
意味で、別個の観点から
考えてくれないか、こういうことを主張したわけですけれ
ども、これはたてまえもございまして、私
どもは利子だけにしたわけでございます。
それで先ほ
ども華山先生にお答えいたしましたように、今日
地方財政は非常に窮乏しておりますし、だんだんと格差も出ておることでもございますから、その点は私
ども将来としては
考えていかなければならぬ、全体の問題として
考えなければならぬ、かように存じております。