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滝井委員 問題は、そこに参謀筋の
指揮官がおるわけです。私はその人に名刺を下さい、
国会議員を
逮捕したのだから、
責任者をはっきりしておかなければいかぬからと言ったわけです。あなたに言ったでしょう、あの
佐世保署で。会わしてくれ、その人を連れてきてください、再三再四にわたって育ったのです。
指揮官がおったのですから、何だったらその
指揮官を呼んでもらいましょう。はっきりするのだから。私はうそを言っていないのですから。私は天地神明に誓ってやりますから。
指揮官に言ってある。肥えた、ずんぐりした、背の低い、目のバセドウ氏病のようにちょっと飛び出たような
かっこうの人ですよ。小柳参議院議員がおります。ちゃんとそばに一緒におったのですから。だからちゃんとわかっておるのです。うそは言いません。
そこで、取り調べです。取り調べでは、初め
楢崎さんを取り調べ室に入れております。そして三十分ぐらい待たして、だれか来た人に名刺を出している、草野警部とかというけれ
ども、名刺を出した。そうしたら三十分ぐらい待たして今度は応接室みたいなところに案内したわけですね。これは代議士だからということがわかったからかもしれませんが、なかなか芸がこまかいです。初めは取り調べ室に入れている。代議士とわかったから次は応接室みたいなところに入れて敬意を表する、なかなか芸がこまかいです。こまかいところはけっこうです。そこで、どうも公務執行の妨害の
現行犯として
逮捕したようですとこう言う。
現行犯ですとは言い切らなかったのです。
現行犯として
逮捕したようです、と。
楢崎君が、そんなことはない、ようですというような、あいまいなことでは困ると言っている。そうしたら、それじゃ
現行犯です、こう言いかえた。それで、私の
逮捕は不当
逮捕だと言った、——これは調書に書いてある。実は末端の警官がカッとなって、先生、どうもやるようなことがあるようですから、まあ今後どうなるかわかりませんけれ
どもというようなことを言ったわけです。この二点が大事なんです。そこで
楢崎君が、実は小柳参議院議員と
滝井代議士が、私がとらえられたときに急いでかけてやってきて、これは
国会議員だから放せと主張した、そうしたら
国会議員が何だと暴言を吐いたという主張をしたのです。これが
警察官の本質的の姿なんだということを言ったら、そのことはひとつ調書に書くのをやめてもらいたい、許してくれ、こう言っておるのです。いまあなたの言う調べた人はなかなかおとなしい警部さんです。非常にいい人です。しかしいい人だけれ
ども、やはり言ったことは言ったことで、
国会議員の身分に関することですからはっきりしておかなければならぬ。
もう
一つ、
逮捕するときに手首をなぐったということで
現行犯として
逮捕しておるのですが、
楢崎君のほうとしては
現行犯として
逮捕したそのおまわりさんが、逆手をとっておる。だから、これは明らかに不当
逮捕だから、私のほうが告訴する、逆に告訴する、こう言っている。そうしたら、いや、これもひとつ調書には書かないようにしてくださいと言っているのです。書かなかったのです。そこで、今後の
警察の取り扱い、出方等を見て私はこの二点についてははっきりいたします、これで出てきて、それであなたのところに来たのです。こういう事実があるのですよ。そうしてあなたのほうは中央にすぐに県警を通じて連絡をした。連絡をしたら、中央のほうがあわてたのですよ。
国会議員だったものだから、すぐ釈放せいということを言うたということを再三にわたって
江口さんも言っている。すぐ釈放せい。中央の
江口さんは、いままでも言ったでしょう、すぐ釈放せいと私は言いましたと。あなたのほうは
現行犯であろうと何であろうと断じてつかまえて放さぬ、こうおっしゃるけれ
ども、中央はすぐ放せ、こう言っているのです。そこで
佐世保の署長は私に何と言ったか。私が、これは重大な
事態になりますよ、だからまずすみやかに釈放しなさいと言ったら、小山署長というのはなかなか善良な人ですよ。どう言ったかというと、実は私は
国会議員とは知りませんでした。しかし聞いてみると
国会議員だということだから、それは重大だと思って慎重に取り扱うように言っております、こう言っているのです。そう言ったのです。そうして今度はいろいろあなた方と相談した。おそらくあなた方中央と連絡したら、すぐに釈放せいと言われたものだから、今度はあわてて私のところに来て、ただいまもう釈放しました、こういうことだったのです。初めの勢いと、あそこの勢いとは打って変わっておったのです。ところがいよいよ
国会でこうして取り上げられると、これはたいへんだ、逆功勢に出なければたいへんだというので、きのうから見ていると虚勢の張り続けです。今度は十四日の
最後の
ロータリーから
総合会館に至る
デモの
状態のときに、私はどういう行動をとったかというと、こういう行動をとったのです。あなた方の
指揮者が
デモ隊に向かって、牛を追うカウボーイのごとくにぐっと押しかけていったときに、私はすぐ二本棒と三本棒の
指揮官に言ったのです。そうして君、ちょっと来い。君はこういう
状態で
デモ隊を追い散らし、むちゃくちゃに狂暴なことをやっていいか、私は君の顔を覚えておって、そうしてこれを
国会で言いますよと言ったら、私は
指揮者ではありませんといって
指揮者はみな逃げてしまった。前日の
状態があるから……。そういう
状態だったのですよ。だからこれは、こういうように
事態が政治問題になって、そうして簡単にいくと思ったら大間違いですよ。だから、いいかげんなところであなた方も辞を低うして、やっぱり引くところは引く、処理するところは処理して、きちっと
事態を収めないと、あなた方がきのう以来の高飛車の
状態を続けるならば、これは佐藤内閣の運命に
関係してくるということです。まだ施政演説も一回もやらないで、そうしてアメリカから
原子力潜水艦の寄港というおみやげをもらって、佐藤さんこそいい迷惑です。しかもそのおみやげの付録に、
警察官の行き過ぎのために、佐藤内閣は反動、弾圧内閣だ、
警察国家をつくろうとする内閣だなんという汚名を着せられることは、私は佐藤さんのために惜しむのです。それはむしろそこのあなた方の三人が、どうこれを
判断するかによって佐藤内閣の運命はきまるのです。それほど重大な運命を握っているのです。笑いごとじゃないのです。これが社会党の趣旨なんです。だから、そういう
事態があったということです。
私はもうこれでやめます。やめますけれ
ども、とにかく
楢崎さんの
現行犯というものがきわめて軽微のものである、あなたがさいぜん
藤田さんの
質問に
答弁した中に、きわめていいことがあるのです。それは、
違法行為が続行する場合には、悪質者には
現場の検挙をする、こうなっておる。そうすると、悪質者は
現場の検挙をするということになれば、
楢崎代議士は悪質者ということになるのです。だから
違法行為がずっと続行して、そして悪質者の場合に
現場で検挙する、こういうことになっておる。そうするとあたかも
楢崎君が悪質者のごとくに言うわけでしょう。そうして、しかも十二日の
事件では逃げられた、こう言うのです。逃げられたならば、何で翌日すぐ
逮捕しないのですか。堂々と出てきているのだ。あなたは逃げられたということばを使っていますよ。悪質者を
逮捕すると言い、そうしてしかも、それならば
楢崎君は悪質者であり、逃げたものならば何で
逮捕しないのですか。ところが前日の
事件を、取り調べ中で云々と言う。しかし本人はおるのです。逃げられたと言う。だからじっと聞いておると、あなた方の主張は論理一貫していないですよ。むしろ私が客観的にあの
状態を見ると、あの
上陸地点から
ロータリーに至る間の追い込みの
状態というものは、ほんとうに狂暴な警官が善良な市民を追い立てる姿だったのですよ。そして狂暴な人と狂暴でない人がおる。この
佐世保署のおまわりさんか何かしらぬけれ
ども、
交通の腕章をつけた
人たちは、実に親切丁寧だったのです。行ってください、——それでいいんですよ。それで行くんです。あなたも私も日本人です。アメリカが言ったじゃないですか。アジアにおける戦争が不可避だとするならば、アジア人をしてアジア人と戦わしめよと言ったんです。何で私
たちが同じ日本人で、同じ血の続いておるあなたを攻め立てなければならぬのですか。これはアメリカの
原子力潜水艦がくるからでしょうが。
長崎にあれだけの激しい原爆を受けて、そのお隣の
佐世保のあの平和な二十五万の町に、山清く水うるわしいあの
佐世保の町に、また事が起こったらどうしますか。郷土を愛する者が、やはりある程度立ち上がって憤激するのは当然でしょう。あなた方もその犠牲になるのですよ。それならば、あなた方は左右の
道路の白線を引いておるまん中に立ってじっとしておればいいんですよ。それをあたかも羊を、あるいは牛を追うがごとくに追い立てなくてもいいんです。そういうことをやるからこういう
事件が起こるんです。そういう
状態ではなかったのだ、あすこは。それをあたかも生命、身体、財産を侵害するとか、
公共の福祉あるいは
秩序を侵害するとかという大時代的なことばを持ってきて、あたかも悪者が攻め入ってくるがごとき
状態を仮想するというのはいけないことなんですよ。やっぱりもう少し大乗的な
気持ちで、お互いに日本人なんだから——アメリカは言ったじゃないですか。アジアにおける戦争が不可避だとするならば、アジア人をしてアジア人と戦わしめよ。何も日本人のおまわりさんと、日本人の
国会議員、労働組合員が戦う必要はないのです。
秩序整然とできるのですよ。ここなんですよ。治安の
維持というものは、その機微を知らなかったらだめです。ああ
道路交通法だ。ああ警職法だ。警職法の五条だ、七条だというしゃくし定木の、その文字に書いておるものをいたずらにあやつって、そして善良な市民、善良な学生を泣かせ、頭をたたき割るということはよくないです。そういう点ではやはり十分ひとつ反省しなければいかぬと思うのです。私はあなたが水俣
事件以来非常に苦労しておることを知っております。それだけに敬意を表します。それだけに矢面に当たっておることをお気の毒だと思います。しかし一国の民主主義が危機に直面をするときは、私は、あなたがいかに善良な警官であっても、やはりその点については許すことができないということになるのです。だから十分
考えて、ひとつお帰りになったら中里
巡査やその他に言い含めて、常々と
国会に出て、天地神明に誓って言うことは言う。軽微であったなら軽微であったと言ってくださいよ。それ以上われわれは追及する
気持ちはありません。
事件がきちっとなりさえずればいいのですから。これは佐藤内閣の運命にも
関係することだから、今夜一晩ゆっくり寝て、胸に手を当ててお
考えになって、ひとつ今後いい処置ができるようにしていくことをお願いしておきます。
中里さんはぜひひとつ呼んでもらわなければなりませんから……。