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1964-12-18 第47回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十八日(金曜日)    午前十時五分開議  出席委員    委員長 吉田 重延君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 山中 貞則君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       岩動 道行君    奥野 誠亮君       鴨田 宗一君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    濱田 幸雄君       毛利 松平君    渡辺 榮一君       渡辺美智雄君    卜部 政巳君       岡  良一君    佐藤觀次郎君       田中 武夫君    只松 祐治君       日野 吉夫君    平林  剛君       春日 一幸君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (証券局長)  松井 直行君  委員外出席者         参  考  人         (日本証券業協         会連合会会長) 福田 千里君         参  考  人         (日本証券金融         株式会社社長) 谷口  孟君         参  考  人         (日本共同証券         株式会社社長) 三森良二郎君         参  考  人         (日本興業銀行         頭取)     中山 素平君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      佐々木 直君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  証券取引に関する件  請願 一 地震等災害保険制度の確立に関する請願(田  中彰治紹介)(第四七号) 二 政府金融機関融資額増大等に関する請願  (森田重次郎君外三名紹介)(第五二号) 三 蒲郡港開港に関する請願福井勇紹介)(第  九一号) 四 ガス器具及び石油器具物品税減免に関する  請願天野公義紹介)(第一一三号) 五 バナナ輸入関税引き下げに関する請願(原  田憲君紹介)(第一一四号) 六 たばこ専売法災害補償規定改正に関する請  願(湊徹郎紹介)(第一一五号) 七 公衆浴場業に対する所得税法人税及び相続  税減免に関する請願増田甲子七君紹介)(第一  二六号) 八 バナナ輸入関税据え置きに関する請願(井  出一太郎君紹介)(第一七七号) 九 同(小川平二紹介)(第一七八号) 一〇 同(吉川久衛紹介)(第一七九号) 一一 同(倉石忠雄紹介)(第一八〇号) 一二 同(小坂善太郎紹介)(第一八一号) 一三 同(下平正一紹介)(第一八二号) 一四 同(中澤茂一紹介)(第一八三号) 一五 同(羽田武嗣郎紹介)(第一八四号) 一六 同(増田甲子七君紹介)(第一八五号) 一七 同(松平忠久紹介)(第一八六号) 一八 ガス器具一定率改正に関する請願(天野  公義君紹介)(第二九五号) 一九 ガス器具及びちゆう房用器具物品税減免  に関する請願天野公義紹介)(第二九六号) 二〇 旧令による共済組合等からの年金増額に関  する請願外一件(押谷富三紹介)(第二九七号) 二一 バナナ輸入関税据え置きに関する請願  (唐澤俊樹紹介)(第三三三号) 二二 同(原茂君紹介)(第五〇〇号) 二三 旧令による共済組合等からの年金増額に関  する請願松山千惠子紹介)(第三五四号) 二四 同(小山省二紹介)(第三九五号) 二五 同外一件(辻寛一紹介)(第四七七号) 二六 国民金融公庫名瀬支所設置に関する請願  (山中貞則紹介)(第三六一号) 二七 バナナ輸入関税引き下げに関する請願  (田中榮一紹介)(第四〇六号) 二八 同(堀昌雄紹介)(第四四七号) 二九 同(佐藤觀次郎紹介)(第四七九号) 三〇 同(始関伊平紹介)(第四八〇号) 三一 同(山口シヅエ紹介)(第四八一号) 三二 同(井谷正吉紹介)(第五一七号) 三三 同(板川正吾紹介)(第五一八号) 三四 生鮮果実輸入関税の使途に関する請願(田  中榮一紹介)(第四〇七号) 三五 輸入生鮮果実類簡易通関制度適用に関す  る請願田中榮一紹介)(第四〇八号) 三六 葉たばこ耕作者窮状打開に関する請願  (足鹿覺紹介)(第四七八号) 三七 公衆浴場業に対する所得税法人税及び相  続税減免に関する請願鴨田宗一紹介)(第四  九三号) 三八 旧令による共済組合等からの年金増額に関  する請願中川一郎紹介)(第五五九号) 三九 同(中曽根康弘紹介)(第七三七号) 四〇 同(濱地文平紹介)(第七八八号) 四一 中小企業に対する課税減免等に関する請願  外三件(森義視紹介)(第五九三号) 四二 バナナ輸入関税引き下げに関する請願  (今松治郎紹介)(第七一二号) 四三 同(田口長治郎紹介)(第七一三号) 四四 同(長谷川四郎紹介)(第七一四号) 四五 同(本島百合子紹介)(第七八六号) 四六 バナナ輸入関税引き下げに関する請願  (荒舩清十郎君外四十名紹介)(第七八五号) 四七 企業組合に対する課税適正化に関する請願  (小笠公韶君紹介)(第七八七号) 四八 バナナ輸入関税引き下げに関する請願外  一件(小笠公韶君紹介)(第八八〇号) 四九 企業組合に対する課税適正化に関する請願  (田中伊三次君紹介)(第八八一号) 五〇 同(大倉三郎紹介)(第九一九号) 五一 同(辻寛一紹介)(第九二〇号) 五二 同(小川半次郎紹介)(第一〇三四号) 五三 同(加賀田進紹介)(第一〇三五号) 五四 同外一件(春日一幸紹介)(第一〇三六号) 五五 同(菅野和太郎紹介)(第一〇三七号) 五六 同(田中伊三次君紹介)(第一〇三八号) 五七 同(保科善四郎紹介)(第一〇三九号) 五八 旧令による共済組合等からの年金増額に関  する請願中川一郎紹介)(第九二一号) 五九 バナナ輸入関税据え置きに関する請願  (野原正勝紹介)(第九二二号) 六〇 税務職員不当配転反対等に関する請願  (小林進紹介)(第一〇四〇号) 六一 輸入生鮮果実類簡易通関制度適用に関す  る請願山花秀雄紹介)(第一〇四一号) 六二 バナナ輸入関税引き下げに関する請願  (山花秀雄紹介)(第一〇四二号) 六三 企業組合に対する課税適正化に関する請願  (宇野宗佑紹介)(第一一四七号) 六四 同外三件(久保田鶴松紹介)(第一一四八  号) 六五 同(栗山礼行紹介)(第一一四九号) 六六 同外二件(小山省二紹介)(第一一五〇号) 六七 同(佐々木義武紹介)(第一一五一号) 六八 同(永末英一紹介)(第一一五二号) 六九 同(穗積七郎紹介)(第一一五三号) 七〇 同(宇都宮徳馬紹介)(第一四七四号) 七一 同(内田常雄紹介)(第一四七五号) 七二 同外二件(江崎真澄紹介)(第一四七六号) 七三 同(小澤佐重喜紹介)(第一四七七号) 七四 同(福田繁芳紹介)(第一四七八号) 七五 同(藤枝泉介紹介)(第一四七九号) 七六 同外二件(愛知揆一君紹介)(第一五六七号) 七七 同(砂田重民紹介)(第一五六八号) 七八 同(田中武夫紹介)(第一五六九号) 七九 バナナ輸入関税引き下げに関する請願  (今松治郎紹介)(第一一五四号) 八〇 同(春日一幸紹介)(第一一五五号) 八一 同(藤山愛一郎紹介)(第一四八二号) 八二 同(田口長治郎紹介)(第一四八三号) 八三 バナナ輸入関税引き下げに関する請願  (中嶋英夫紹介)(第一一五六号) 八四 同(江崎真澄紹介)(第一四八〇号) 八五 同(藤山愛一郎紹介)(第一四八一号) 八六 バナナ輸入関税据え置きに関する請願  (竹内黎一君紹介)(第一一五七号) 八七 同(塚田徹紹介)(第一一五八号) 八八 同(橋本龍太郎紹介)(第一一五九号) 八九 輸入生鮮果実類簡易通関制度適用に関す  る請願藤山愛一郎紹介)(第一四八四号) 九〇 バナナ輸入関税引き下げに関する請願  (麻生良方紹介)(第一六九二号) 九一 企業組合に対する課税適正化に関する請願  (齋藤邦吉紹介)(第一六九三号) 九二 同(竹本孫一紹介)(第一六九四号) 九三 同(玉置一徳紹介)(第一六九五号) 九四 同(中垣國男紹介)(第一六九六号) 九五 同(堀昌雄紹介)(第一六九七号) 九六 同(山中吾郎紹介)(第一六九八号) 九七 同(米内山義一郎紹介)(第一七五四号) 九八 同(天野光晴紹介)(第一七八三号) 九九 同(加藤常太郎紹介)(第一七八四号) 一〇〇 同(砂田重民紹介)(第一七八五号) 一〇一 同(田口長治郎君外一名紹介)(第一七八  六号) 一〇二 中小企業に対する課税減免等に関する請  願(山下榮二紹介)(第一六九九号) 一〇三 千葉県一宮町海岸のシーサイドセンター  に関する請願實川清之紹介)(第一七五三号)      ————◇—————
  2. 吉田重延

    吉田委員長 これより会議を開きます。  証券取引に関する件について調査を進めます。  本日は、お手元に配付いたしました名簿のとおり、各参考人方々出席しておられます。  なお、佐々木日銀副総裁は、都合により十時三十分に出席いたします。  参考人各位には、御多用中のところ、御出席をいただきありがとうございます。本委員会におきましては、当面する証券行政の諸問題について、その重要性にかんがみ、慎重かつ熱心な論議を重ねてまいったのでありますが、本日各参考人より御意見をお伺いしますことは、本委員会調査に多大の参考になるものと存じます。各参考人におかれましても、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いいたします。  それでは、これより各参考人方々から御意見を述べていただくのでありますが、議事の都合上、御意見の陳述は何とぞ簡潔にお願いいたします。  まず、日本証券業協会連合会会長福田千里君にお願いいたします。
  3. 福田千里

    福田参考人 私は日本証券業協会連合会会長福田でございます。  本委員会参考人として出頭を求められましたので、この機会に証券市場現状と当面する諸問題につきまして御説明を申し上げ、証券市場に対する皆さま方の御理解と御支援をお願いしたいと存じます。  御高承のとおり、証券市場現状は、年初来の日本共同証券による過剰株式の買い上げ並びに日証金を通ずる日銀特別融資など緊急の資本市場対策が講ぜられてきたにもかかわらず、東証旧ダウ指数並びに出来高から見ましても極度の不振状態に陥りまして、来年二月以降の増資につきましても強力な調整を行なわざるを得ないという事態に立ち至っておるのでありまして、まさしく証券市場はその機能麻痺状態にあるのでございます。  開放経済体制のもとにおきまして、激動する世界情勢に対処しつつ、わが国経済安定成長をはかっていくためには、企業長期資本調達の場としての証券市場の責務はまことに重大と言わなければならないのであります。このときにあたりましてこのような証券市場現状は、私ども証券業界をあずかるものといたしましてまことに遺憾にたえないところでございます。  証券市場不振の原因は、いまさら申し上げるまでもなく、わが国経済高度成長のひずみがようやく表面化するとともに、金融引き締め政策の浸透による不況ムード拡大にあると思うのであります。すなわちいわゆる金繰り増資でありますとかあるいは法人筋を含めた換金売りとともに、企業収益低下等による投資意欲の減退が相まって、株式需要供給とのアンバランス拡大を招いているのであります。本年初めに共同証券設立されたゆえんのものも、この株式需給アンバランスを解消いたしまして市況の安定をはかり、もって資本市場育成発展を意図したところにあるのであります。しかしながら今日の事態を招くに至った基本的な要因は、日本金融構造が歴史的に間接金融に偏重して、金融市場資本市場を通じた総合的な金融政策確立されず、また税制面におきましても預貯金等証券投資との間において差別待遇が行なわれていたことにあるのであります。このような欠陥を是正し、総合的な資本市場確立が切に緊要であります。しかしながら当面何よりも証券市場機能をすみやかに回復することが急務でありまして、そのためにはまずもって証券投資に対する需要を換起するため、基本的には株式投資価値増大をはかるとともに、いわゆる利回り採算に立って健全な安定投資が伸びるように税制面での配慮が特に必要であると存じます。われわれが多年利子配当との課税上の不均衝を是正するために、配当所得につきましても利子所得に対すると同様に、分離課税の要望をいたしてまいったゆえんのものもここに存するのであります。  以上簡単にわれわれの所見を申し上げましたが、われわれ証券業者におきましても過去の経営態度を深く反省いたしまして、現在証券取引審議会において検討されているところの証券業者登録制から免許制への移行の趣旨を十分に尊重いたしまして、社会的信用の向上につとめ、経常の合理化投資勧誘態度改善過当競争の排除、投資信託制度改善証券事故の防止など、あらゆる努力を傾倒する覚悟でありますので、何とぞ一そうの御理解と御支援とをお願いいたす次第でございます。
  4. 吉田重延

    吉田委員長 次に、日本証券金融株式会社社長谷口孟君にお願いします。
  5. 谷口孟

    谷口参考人 私は日本証券金融株式会社谷口でございます。わが社の近況について簡喜に御説明いたします。  当社証券市場がその活動のために所要する資金の一端を供給しておる金融会社であります。当社主要業務貸借取引貸し代業務一般証券担保貸し付け業務、本価証券保管業務等が主たるものであります。  貸借取引貸し付け業務は、取引所決裁機能を通じて信用取引決済に必要な金銭または有価証券貸し付け業務であります。証券市場に仮需要を導入して、公正な価格形成株式売買とを円滑にするために行なわれておるものであります。十二月十五日現在の融資残高は二百二十八億円、貸し株残高は八十五億円、差引融資残高百四十五億円であります。  次に一般証券担保貸し付け業務は、証券業者運転資金証券売買資金及び一般投資家が必要とする資金等有価証券担保として貸し付け業務であります。去る十二月四日から実施中の共同証券に対する金融、また同じく九月四日から実施しました四大証券及び投信十社に対する債券担保による株式買い入れ資金金融等は、この業務に属しておるのであります。  十二月十五日現在の対証券業者貸し付け債券担保で三百九十三億円、株式担保で三百八十五億円であります。また対一般投資家に対する有価証券担保金融は三十三億円であります。合計いたしまして八百十三億円にのぼっております。  有価証券保管業務としましては、現在は累積投資に基づく保管業務を行なっておるのであります。当社といたしましては今後とも金融市場証券市場との靱帯といたしまして、証券市場発展に必要な資金供給を行なう等業務の拡充につとめ、証券市場機能強化に資したいと思っておる次第でございます。以上でございます。
  6. 吉田重延

  7. 三森良二郎

    三森参考人 私は日本共同証券株式会社三森でございます。簡喜設立以来のわが社の状況につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  御承知のように、証券市場はここ数年来非常な沈滞の度を深めてまいりまして、もしこれを放置いたしまするならば、開放経済体制を迎えてその健全な育成がいよいよ重要性を加えつつある資本市場はもとより、ひいてはわが国経済全般に与える悪影響も少なからざることが憂慮される事態に立ち至りました。そのために金融界証券界協力のもとに新会社設立し、他の諸施策と相まって株式需給調整面から一そう強力に資本市場育成を推進しようとする機運が高まりまして、本年一月二十日都市銀行証券会社十八社をもってここに新しい会社ができた次第でございます。当時授権資本は百億円、払い込み済み資本金は二十五億円でございました。引き続きまして同二十三日付証券取引法に基づく証券業者として大蔵省に登録され、翌日より営業を開始したような次第でございます。  さてそういうふうな状況下におきまして、当社の現実の活動といたしましては、三月六日を皮切りといたしまして市場に買い出動を重ねてまいりました。十二月十五日現在すでに買い入れ株式は各種の銘柄を合わせまして銘柄は二百二十に達しております。金額といたしまして千六百億円になっておるような次第でございます。この間業務運営にあたりましては、当社特殊性にかんがみ、常に中立公正な立場から株式需給調整市場の安定をはかり、資本市場育成に資することを基本方針としてまいったのであります。また買い出動にあたりましては当社独自の判断のもとにこれを行なっておりますが、もとより公共性を重視するとともに、民間営利企業体としての経営健全性にも十分注意をいたしてまいってきた次第でございます。  一方、これが資本調達の面におきましては、先ほど申しましたように、設立当時払い込み資本金は二十五億でございましたが、その後数次にわたりまして資本金を増加いたしまして、資本金を増加いたしまして、またその間授権資本の拡張もいたしました。現在は授権資本四百億、払い込み済み資本三百億円に相なっております。またこの間出資者層増大されまして、当初の十四銀行、四証券から、新たに信託銀行、地方銀行、それから四証券以外の証券業者十五社、また保険会社等資本参加を得まして、現在の株主は金融証券各界にわたり百十九社に達しておる次第でございます。またこれと並行いたしまして、出資銀行による協調融資団の結成によりまして、すでに一千億円にのぼる借り入れを実行いたしましたが、このたびさらに一般産業界から有価証券を借り入れいたすことによりまして、これを使いまして当面の株式購入資金日本証券金融株式会社より仰ぐことになりましたことは、先ほど谷口社長さんからも申されたような状況でございます。  このようにいたしまして、当社といたしましては広く経済界各界の御理解協力のもとに活動いたしてまいった次第でございますが、九月、第一期の決算におきましては、創業期のことでもあります、また株式の若干の評価損も出まして、決算におきましては六億円余りの欠損を計上いたしたような次第でございまするが、通常のベースにおきましては、株式評価の問題を別といたしますれば、収支は大体とんとん、こういうふうな計算に相なるかと存じます。  以上、当社のいままでの状況につきまして申し上げましたが、株式市場の不安を除去し、証券業界の安定を見ますまでには、今後なお各方面の一致協力のもとに、真剣な努力を続けてまいらねばならぬ状況にあると考えます。当社といたしましても、諸般証券市場対策の一環といたしまして今後とも中立公正な立場から、株式需給調整を通じ、資本市場育成という使命達成のため、一そうの努力を重ねる所存でございます。  以上、簡単でございますが、私どもの最近の状況を御報告申し上げます。
  8. 吉田重延

    吉田委員長 次に、日本興業銀行頭取中山素平君にお願いいたします。
  9. 中山素平

    中山参考人 私、日本興業銀行中山でございます。御指名によりまして、当面の証券市場の問題につきまして、共同証券との関係を中心に私見を述べさせていただきます。  共同証券設立につきましてはただいま三森さんから説明がございましたが、その後共同証券活動を続けてまいっておるわけでございますが、ただ株式市場状況は御承知のように依然として不振の状態にございます。もっともこれは株式市場の問題だけでなくて、御承知のように日本経済全般にただいま変調を来たしておりまして、商品であります。株式自体価値が下がると申しますか、価格が下がってきているというような問題を含んでおります。しかしこういったような状態を放置しておきますことは、皆さまがただいまお話しになりましたように、一般投資家の不安をつのらせ、あるいは今後自己資本調達等資本市場の健全な発達、ひいては日本経済発展に大きな障害になりますので、ここで私どもといたしましては協力一致いたしまして、なるべく早くこの状態の回復ということに努力しなければならぬと思います。  以下申し述べますことにつきましても、どうか国会の皆さまもあるいは政府日銀等皆さまにおかれましても、十分その趣旨を御理解いただきまして、今後こういった諸施策について御検討をお願いしたいと存じております。  まず第一に、市場全般にわたります対策といたしましては、共同証券を通じます株式買い入れと並行いたしまして、当然いろいろの施策が講ぜられなければならぬことは当然でございます。実は共同証券設立に際しましても、私どもといたしましては共同証券機能というものには限界がございますので、政府皆さまあるいは日銀皆さまにも、これから申し上げるような諸般施策をぜひおやり願いたいということをお願いいたしております。またそれぞれ政府日本銀行等におきましても、そういった問題の検討あるいは一部のものはすでに実施に移っておりますし、今後私どもはこういった面が逐次実行に移されていくというふうに確信いたしております。御承知のように、増資の抑制が来年の二月から行なわれるわけでございますが、ただこういった市場内部要因だけではございませんで、経済全体について、たとえば産業でございますとか企業の基盤の強化あるいは今後健全な投資資金資本市場に入ってくるために、財政、金融特に税制の面におきまして特段の措置が必要じゃないかというような感じを持っております。  第二番目には、大衆投資家保護というものを一そう徹底していただきたいということでございます。戦後のわが国証券市場発展に、大衆資金が導入されましたことは、決して方向としては私間違っていなかったと思います。しかしその拡大があまり急がれたというところに問題があったのじゃないかと思うのであります。したがいまして、本来資本市場の健全な投資資金とは認め得ないような大衆の短期投機的な資金までが市場に導入されたという面があったことは否定し得ないと思います。今後はこのようなことは、資本市場の健全な発展の面からは好ましいばかりでございませんで、大衆投資家保護の見地からも重要な問題であると思います。ことに投資信託につきましては、これが大衆の零細な資金を導入しているということ、また今後ともこういった大衆資金資本市場への導入のパイプとして、その健全な発展が望まれておることから見まして、今後は投信の本業からの完全な分離、いままでに行なわれましたような中小投信会社の合併ということもこれは当然必要になりますが、完全分離、この面におきまして投信に対します監督行政というものを強化するという必要があると思います。またわが国投信制度大衆投資家保護を前提としながらも、外国の投信に比較いたしますれば、どちらかといえば大衆資金吸収面に力点が置かれておったという面からいいますと、今後この投信制度のあり方というものにつきまして、ただいままで申し上げておるような大衆投資家保護の面を重視した措置、場合によりましては、証券投信法改正というようなことも必要じゃないかというような感じを私は持っております。  第三番目には、資本市場の立ち直りのためには、そのにない手でございます証券会社体質改善、強化ということが目下の急務であると思います。証券界の皆さまは、過去におきます証券市場の過度の拡大によりまして、業容でありますとか店舗、人員等の面で急激に膨張を遂げたことは否定し得ないと思います。この点におきまして若干の行き過ぎがあったと存じますが、これらの過去の行き過ぎにつきまして証券界としても十分反省されておりますし、また総力をあげてただいま合理化努力されております。この問題につきましては証券業者免許制度移行など監督権の強化を通じまして、証券会社企業体として収支の安定、ことに過去から累積しております手持ち有価証券の圧縮、この面におきまして共同証券が役割りをしているわけでございます。こういった問題あるいは証券金融のルートの確立などについて検討が加えられる必要があると思います。  以上申し上げましたようないろいろの問題につきまして、私ども金融界といたしましては、これに全面的に協力をいたしますのにやぶさかでないので、ございますが、ただいま私どもとしてできますことは共同証券に対します協力であります。特に当面は個々の証券会社さんの体質改善につきまして全面的に御協力するという面がわれわれのになう面であると思うのであります。当面共同証券資金量の強化は、今後日本銀行さんの特段の御配慮をお願いしなければならぬと存じますが、私ども共同証券設立いたしました趣旨は、ただいま申し上げましたような諸般施策が展開されるということを十分期待しながら、われわれといたしましてでき得る限りの御協力をしようという趣旨でございます。特にこの共同証券につきまして公共性の問題が議論されておりますけれども、われわれといたしましては個々の企業としてはなかなか達し得ないというものを多数の企業協力する、あるいは共同するという形におきまして公共性を十分に発揮していく株式会社という形態をとりながら、なおそういった協力態勢によってこれを十分達成し得るのじゃないかという観点から、この共同証券設立いたしたわけでありますから、今後もそういった気持ちでこの会社につきまして私どもとしては協力していきたいという考え方を持っております。  以上簡単でございますが、私の考え方を申し上げました。
  10. 吉田重延

    吉田委員長 次に、日本銀行副総裁佐々木直君にお願いいたします。
  11. 佐々木直

    佐々木参考人 証券市場の問題につきましての日本銀行の考え方を簡単に申し上げます。  資本主義経済のもとにおきまして、証券市場というものが資本調達の場として国民経済の上に非常に重要な地位を占めておりますこと、これはもういまさら申し上げるまでもないことでございますが、この証券市場がその本来の機能を十分発揮するということが私どもとしては非常に望ましいことであります。したがって、これは市場としての自律的な機能を発揮すべきものであるというふうに原則的に考えております。しかしながらこの証券市場に不安動揺が起こりまして、市場機能が著しく阻害されるというような事態が生じますことは、いま申し上げましたような証券市場機能から申しましてはなはだ困ることでありまして、これは防止しなければならないと考えております。ことに最近は投資信託というものが非常に大きな金額に達しまして、したがいましてこれが一般銀行のようにやや間接金融に似た形になってきておりますが、またそういう意味で不安動揺を起こすことが非常に全体の信用、制度の保持、育成の上にゆゆしき問題になる、こういうふうに考えてきておるわけでございます。したがって、こういうことを未然に防止いたしますということが、日本銀行としても中央銀行立場から大事なことと考えておることでございます。現在までのところで、日本銀行証券金融に関しましては日証金が信用取引の決済資金供給を行なっておりますので、その資金じりが必要な場合にはコール市場を通じてめんどうを見ていくということをやっておりますが、そういう平常時の問題以外に、最近はすでに御承知のように一般銀行を通じまして共同証券に対する出資、融資のしりを見ておるわけでございます。それからまた最近は日証金を通じます共同証券の融資のしりも見ておる、こういうことでございます。したがいまして、いまの銀行を通じまして共同証券への資金供給につきましては、窓口規制あるいは貸し出し限度額というような面で弾力的な取り扱いを行なっているのであります。こういう最近の問題は、共同証券に対します措置というものは一時的なものと考えてやっておるわけでございます。そういうことでございますから、今後証券市場における不安動揺の防止のために、いままでやっておりますことで不足するような場合には、さらに一段と進めた方法も必要によっては考えなければならないというふうに考えてはおりますけれども、いまのところまだそれを具体的に決定するまでに至っておりません。ただ現在のこういう証券市場における問題の発生は、その原因がいろいろもうすでにお話がありましたかと思いますが、遠いものがございますので、そういうような事態に対する改善対策が並行して進みませんと、単に金融だけの措置でその問題が解決するとは思っておらないわけであります。したがいまして各界における努力もお願いしなければなりませんし、さらにまた政府におきましても行政、税制、そういうような面ですみやかに対策を講じていただくようにお願いしたいと思っております。ただ私どもとしては、こういうような各界協力がこういう特殊な事態に対する対策として実がのっていきますならば、日本経済の先行きについてはやがてまた非常な発展が十分期待されると存じておりますので、この一時さえ切り抜ければやがては安定した市場発展が期待される、こういうふうに考えておる次第でございます。     —————————————
  12. 吉田重延

    吉田委員長 引き続き各参考人に対し質疑を行ないます。  通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  13. 堀昌雄

    ○堀委員 本日は、金融証券に御関係の多数の皆さんの御出席をいただきまして、非常に低迷いたしております現在の資本市場の問題について二、三お伺いをいたしたいと思います。  最初にいま中山興銀頭取もお触れになりましたが、いま私たちが当委員会においてかなり論議をいたしております問題の一つは、共同証券の性格の問題でございます。いま佐々木日銀副総裁も、不安動揺の防止のためにはさらに一段と進めた措置をとる必要もあるかもしらぬ、こういうふうなお話がございましたけれども現状でも私どもは普通の証券会社の性格とは異なることは了解をいたしておりますけれども、しかし現実に共同証券が行なっておられる株式買い入れ状態を見ますと、私は必ずしも公共性という問題について十分であるかどうか、やや疑問を持つところでございます。  そこで最初に、共同証券の公的な性格の問題ということについて、少しお答えをいただきたいのでありますが、まず佐々木副総裁にお伺いをいたしますけれども、現在まで日本証券金融を通じて融資をしていらっしゃるこのやり方は、これは私は当初はたしか公社債担保金融、甲号に基づいて行なわれておったように実は聞いておるわけでございます。ですからそのことでは四社に対する融資と共同証券に対する融資とは理論的にと申しますか、パターンとしては同様であったのではないかというふうに理解をいたしておりますが、現在共同証券日銀がしりを見ておられる融資のあり方というのは、やはりこれまでどおりの四社あるいは投信十社に対すると同じようなパターンに基づくものかどうか、その点からちょっとお伺いをいたします。
  14. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいまの御質問の趣旨は、証券会社または四大証券並びに投信十社に対する融資というお話でございましたが、銀行が自分の取引先でございます証券会社に融資をいたします場合は、これはそのしりというような意味で日本銀行に直接的なものが、担保が回ってくるわけでもございませんし、それからまたいまの共同証券に対します銀行の融資の場合にはやはりその融資をいたしました銀行が、資金が不足いたしまして日本銀行供給いたします場合には、その銀行が持っております担保の中で、日本銀行から借りる場合の条件の一番いい担保を持ってまいります。したがって、その銀行が公社債などにまだ余裕があります場合は、資金不足の場合にはまず公社債を持ってくる。ただこういう公社債というものがない場合には今度は手形を持ってまいります。そして現在は共同証券の手形も私ども担保として認めておりますので、そのものを日本銀行へ持ってこられておるわけであります。そういう意味ではほかの証券会社に対する銀行の融資のしりの見方と変わっておりません。
  15. 堀昌雄

    ○堀委員 銀行を通じてのは私変わっておらないと思うのですが、日証金を通じて共同証券にお出しになっておられるやり方と、それが日証金を通じて四社、十社に出ておりますその間には差はないかどうかという点を伺いたいということでございます。
  16. 佐々木直

    佐々木参考人 日証金に対します融資の場合には、やはり共同証券の手形を日証金がとっておりますから、その手形を日本銀行はとっております。それと日証金一般の四社または投信十社でございますか、そちらのほうはいまのところは日本銀行に公社債を用意いたしまして持ってくる、そこに多少の差がございます。
  17. 堀昌雄

    ○堀委員 よくわかりました。要するに、現在すでに日本共同証券はその他の証券会社とは違う取り扱いを金融上受けておるということが明らかでございます。違いということの中には、先ほど中山さんも言われましたけれども、個々に達し得ないものを協力体制によって達するという意味における相違ということは私も率直に認めたいと思うのでありますが、実は現在の株価の状態を見てみますと、非常に上がったもの、下がったものいろいろでございます。私、ちょっと資料を調べてみたのでございますが、共同証券がお買いになっておるものの中でも下がったものが少しございます。しかし共同証券が買っておられる銘柄というのはおおむねあまり下がっておりません。それから共同証券がノータッチでおられるものはほとんど下がっております。上がっておるものも少しございます。しかしこれは先ほど申した共同証券が買っておられても、下がっておるものとまあ同じ程度くらいのことであります。私はこの場合に、なぜではこういう現象が起きておるのか、これはやはり共同証券という会社が私的な株式会社でありますから、やはりそういう意味では株主の利益といいますか。そういう問題がやはり多少中心にある。企業としての採算性と申しますか、将来に対する問題がかなり配慮をされておるために、おそらく一種の企業採算ベースで株式が購入をされておるのではないか。そうなりますと、なるほど共同証券の出資者の皆さんの将来的なリスクに対しては、共同証券は十分に機能を果たしておると思いますけれども、しかしその買ってもらっておる銘柄と買われない銘柄との明暗の差というものはきわめて著しいわけであります。これはもうすでに大阪市場と東京市場のダウが百円以上も開くというような中にあらわれておりますし、同時に二部市場に非常に顕著にあらわれておるわけでございます。そういたしますと、いまのこの公共性の問題というのは、みんなで共同して出しておるという点についての公共性の範囲であって、本来の機能的にはあまりに公共性がないのではないか。私的企業としての、極端な言い方をいたしますならば、利潤に関して相当の比重がかかっておる、こういう理解をせざるを得ないのであります。私は何もいま共同証券を特に非難しようというのではありませんけれども、現実に沿っての分析をしてみる必要があるわけであります。  いま日本銀行がこの共同証券の手形を他の証券会社とは異なる形で担保として認めておるということ、さらに今後はどういう措置がとられるのかわかりませんが、一段と進めた措置をとられるということであるならば、この公共性の問題というものが本日の論議の焦点でなければならない、私はこう考えておるわけでございます。  そこで、次に共同証券のほうにお伺いをいたしたいのでございますが、いまちょっと私が申し上げましたように、共同証券買い入れ銘柄になっておるものと買い入れ銘柄になっていないもの、これはすでに皆さんのほうの設立趣意書で明らかにされておりますが、「最近の市場状況に鑑み今回株式の買入およびその安定化を目的として銀行証券協力の下に新会社設立することとしたい。即ち、買入銘柄の選定、買入価格等の適正化を図りつつその効果を一層促進し、」こうございますから、当初から買い入れ銘柄についてはかなり選択をするのだということが明らかになっておりますから、その点でそうすると買い入れ銘柄の選択をされたものとされないものとの差というものは、いまの資本市場対策としての公共性の問題との関連で見まして一体どこに基準があるのですか、その点をちょっとお伺いしたい。
  18. 三森良二郎

    三森参考人 お答えいたします。  いまおっしゃいましたように、私のほうの買い入れ銘柄につきましては、先ほど申しましたように大体現在のところ二百二十種、全銘柄のうちから見ますとそのほか買わぬ銘柄が相当多いことは確かに指摘されるとおりと思います。しかしながら、いまおっしゃったような価格の差が起こった原因には、会社の業績の差によって相当起こっておる分も多いのではなかろうかと考える次第でございます。  私ども会社といたしまして目的といたしますところは、公共性は十分尊重していままいるつもりでございますけれども、それは市場全体の安定ということを考えております。したがいまして、全部の銘柄を買わなければ市場の安定ができないかどうか、こういうことになりますと私は必ずしもそう思わない。やはり投資者の性格上いま許される範囲におきまして弾力的な運営をいたしまして、そうしてそれによって市場の安定化が達成できるのではなかろうか、現在のところかように考えておる次第でございます。
  19. 堀昌雄

    ○堀委員 その目的はわかりましたが、選択の基準、これはやはり何かなければ、ここに「買入銘柄の選定、」というような表現が使われておりますので、その点をひとつ……。
  20. 三森良二郎

    三森参考人 ただいまの問題につきましては、皆様のお手元にあるいはお配りしたか私いまはっきり記憶いたしませんが、業務運営基準というものがございまして、やはり株式会社である以上は、買い入れ銘柄につきましてあまり大きな損失が起こるようなことでは困る。そこで銘柄はいつでも換金しょうとすれば換金できる市場性のあるもの並びに収益の安定性のあるもの、しかも一業種に偏向しないように、特にこれは公共的な見地からして、ある特定の方面に偏しないようにという配慮を加えてまいっておる次第でございます。こういうような一つの根本の規定がございます。その範囲内におきまして私どもとしましては、そのときそのときの情勢によりまして極力弾力的な運営をはかりまして市場の安定を達成してまいりたい、かように考えております。
  21. 堀昌雄

    ○堀委員 個々の銘柄を出すと御迷惑がかかるといけませんから、私は個々の銘柄には触れませんけれども、しかし、たとえば繊維なんかについて見ましても、私ちょっと納得できないようなものも実はあるわけでございます。しかし議論をしたためにそういう企業に御迷惑がかかってもいけませんから、それには触れません。  そこで、佐々木さんは十一時半に御退席ですから先に伺いたいのですが、私は現状ではいま手形担保でおやりになっていることはやむを得ないと思います。しかし、さらに一段と進めた措置をおとりになるについては、私はいまの状態でやっていただくのは率直に言って困ると思うのです。さっきのお話のように、ここで書かれておりますように、買い入れ銘柄の選択にあたっては市場性並びに収益安定性を重視するとありますことは、やはり企業採算という問題が非常に前面に出ておるわけです。いまはこのままでいいかもわかりません。しかし将来的には、結果として非常にもうかることになるものだけが選択されていく。私は一つ裏側の問題としてあとでまた伺いますが、実は現状のこういう姿でおかしなことが起きますのは、たとえば投資信託の中に組み入れられている銘柄の中にも、私はいまの二百二十種以外のものも入っておると思います。解約が相当殺到しておりますから、これを市場に出す場合に、投資信託がどんどん出してきたものを、共同証券銘柄はどんどん買ってもらいますから価格安定しますけれども、これかうしばらくどんどん出てくるのに共同証券銘柄でないものは、ほんとうの価格以下の価格に下がる条件というものがあるのじゃないか。何がほんとうの価格かということはこれまた議論の余地がございますけれども、時間があればあとで触れますが、私はいまの株価水準がほんとうの価格だとは思っておりませんから、それ以下に下がるような場合、そういうことはやはり資本市場全体の問題として見て決して望ましい姿ではない。そうしますと、企業採算もあるでありましょうけれども、さっき三森さんも市場全体の安定とおっしゃるならば、市場全体の安定ということばが、みながすなおに理解できるような措置がとれるようなものにならない限り、国家信用をもってあと非常にばく大な資金を出すなどということは、私は国民全体として納得ができないことではないかと考えるわけです。そこで伺いたいのは、一段と措置を進めるについて、このままでもやられる意思があるのか、共同証券側が何らか公共性について私どもが納得のできる変更、たとえば定款上の問題等、外側から見てだれしもが納得のできる公共性に対する転換といいますか、そういう部分の増加といいますか、そういうことに基づいてその機能も公共的な機能をさらに強くするという何かの区切りがない限り、私は次の措置を進めていただくことに納得ができないわけです。その点についての日銀としてのお考えを承りたい。
  22. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいまおっしゃいました御意見、私ども全く同意見でございます。日本銀行としていままでやっておりましたことは、御指摘のありましたように共同証券の手形を担保にしたというような点がほかと違う点かと思いますけれども、これは日本銀行として担保としてとります手形の範囲をどうきめるかという、いままでと同じ仕事のやり方の中の裁量の問題でございますが、これからさらに一歩進めるという場合には、いままでのそういうようなやり方を越えたやり方であるという趣旨で私も先ほど申し上げた次第であります。したがって、そういうことを中央銀行としてやります場合には、国民全体の方がみな納得していただくかっこうでなければやるべきでないと考えております。
  23. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、これまでの融資の状態は、率直に申しまして、いろいろと新しいルールをつくりながらのことでございますから、特に共同証券自体としては非常に苦心されてきた経緯があると思います。しかし、それは事実今日に至ったことでありますから別といたしまして、これまで資金をお使いになった総額、買い入れをされた現在までのラウンドナンバーでけっこうでありますが、総額はどういうことになっておりますか、三森さん。
  24. 三森良二郎

    三森参考人 現在まで買い入れました総額は千六百億円に達しておる次第でございます。この内訳は、詳細なことはなかなかわかりませんが、その約四分の一くらいは投資信託のものというふうに考えられます。それから約四分の一くらいはいまの信用取引の決済の売り、こういうふうなことが考えられます。その他証券業者の売り、この中には客のものとほんとうのお手持ちのものとの内訳が私にはわかりませんが、そういうものが主でありますが、特に最近になりますと投資信託の売りものを買っておるのが非常に多いのでございます。ごく正確な数字はわかりませんが、おそらく半分くらいは投資信託の売りものを引き取っておる、こういう結果に相なっておる次第でございまして、私どもとしては、やはり投資信託大衆のそうした零細な資金を集めておる、こういうものまで資金繰りに非常に困るということは重大な問題でありますので、今後とも投資信託資金繰りのために非常な不安におちいるようなことのないように、十分注意をしてまいりたい、かように考えております。
  25. 堀昌雄

    ○堀委員 中山さんにお伺いいたしますけれども中山さんが発起人の一人として共同証券についてお考えになった一つの青写真があっただろうと思いますが、実際におやりになってみると、なかなかお考えになったようなふうにいったかどうか、その点は私はよくわかりません。よくわかりませんが、実はすでに一千六百億円の巨額の資金が使われておりますが、実は今日このスタートをいたしましたときとこの一年間あまり情勢は変わっていない。それは何も共同証券のせいではございませんが、情勢はほとんど変わっていないわけであります。そこで、最初にお考えになったことと、現在実際にこの一年動いてきたことの中で、たとえば資金の量なり供給の問題なりいろいろございましょうが、現在までの共同証券はどうだったかという問題と、これでよかったのか、最初にお考えになったとおりであったのか、お考えとはちょっと違ったのか、それから今日の時点から見通して今後の共同証券資金的な問題もあると思います。いまちょっと佐々木副総裁もお答えになりましたが、私どももここまでくると、何かはっきりした公的な転換というものが必要ではないかということも考えておるわけでありますが、それらを含めてちょっとお伺いいたしたい。
  26. 中山素平

    中山参考人 いまお尋ねの、私ども共同証券を発起いたしましたときと現状との相違と申しますか、その点でありますが、実は私どもも当時の設立いたしましたときから、この会社が相当の資金量が要るということは当然予想しておりました。設立のときに資本金の払い込みを二十五億といたしましたのも、いろいろの配慮から小さくしたわけであります。案としてはむしろ授権資本を五百億くらいにすべきではないか、ただ海外に対する影響をいろいろ考えました場合には、最初はむしろ小さく生んで、したがって必要な資金量もある一部の方の意見としては当然三千億くらいは予想しなければならぬだろうということも考えておりました。そういう意味におきましては、私は量的にたいしてびっくりもいたしません。ただ違ってまいりましたことは、先ほども触れましたのですが、経済の実態自体が、今年の一月私ども設立をいたしましたときとは少し様相が変わってきております。この点におきまして共同証券の運営あるいは資本市場の立ち直りというものに食い違いが出てきたことは私は率直に認めます。でございますから、先ほど申し上げましたような諸般施策が並行して行なわれるならば、あるいは本年一月私どもが予想したような経済情勢であれば、私は明年の春には一応証券界のピンチと申しますか、これは脱し得る。しかしながら本格的に資本市場が立ち直るには四年、五年というような日数もかかるかもしれません。またこれをあまり急ぐことは私は得策ではないと思います。ただ私どもとしましては、一年でも短縮するという努力はすべきだと思っております。そのように考えてまいりますと、ここで共同証券の運営につきましてわれわれとして発起いたしましたときとそう大した考え方の変わりはございません。ただ先ほどから公共性の問題が出ておりますけれども、これは政府機関的な形態あるいは公団的な形態と、いろいろあると思いますが、私ども経済に対する考え方あるいは経済の運営に対する手法から申しますと、でき得る限り自由主義経済と申しますか、このよさを発揮しながら公共性を維持するというところでやっていくということをねらいとしておりますので、その点につきまして若干お考えが違うかと存じます。皆さまの御指摘のような方法が一番率直であるということは認めますけれども、その運営につきましては若干私は違った意見を持っております。
  27. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの、もちろんお立場ですから自由経済の線で考えるのはもっともだと思いますが、自由経済ということならば、そういう自由な資金で処理されるというのが私は原則ではないかと思う。現在日銀がどっております措置はまさに国家的な信用によって実はささえておるわけでありますから、国家的な信用でささえるのはささえてもらいたい。しかしこっちのほうは全部自由だということは私ども立場中山さんの立場を離れて、これは物事の道理として考えますと、やはり国家の信用、国家の資金というものは国民全体が考えなければならない問題である。ですから自由経済、私企業の範囲は私企業の側の、もちろん多少国家的な協力はあり得ると思いますが、今日の共同証券に対するような国家的な協力をしておる民間会社というものはそうないんではないのか、私はこう考えますと——これはここまでで議論はいたしませんが、私どもとしてはやはり筋の通った措置がされないとかえってこの問題の措置がむずかしくなるのではないか。要するにいま必要なのは、やはり十分な資金が準備をされてそれを最少に使って、できればなるたけ使わないで、しかし資金はうんとあるということによって処理されるのが私は最も機を得た措置ではないかと思う。しかしそういう巨大な資金をうしろに持つということはいまの形のままでは不可能ではないか、こう考えますと、経済的な面から見ましてもできるだけすみやかな、公約な——まあ公的なということばは幅広く申しておりますから、その中身についてはいろいろと今後皆さん御検討いただけばいいことでありますけれども、少なくとも国民が納得のできる公的な転換ということは、共同証券の今後の活動をより積極化さすためにも市場安定のためにも必要ではないか。私はこう感じますが、これは私の言いっぱなしということでおきます。  その次に、これまでお出しになって、まあ山際さんといろいろ議論をいたしましたときには、結果としてはいろんな形でコールが返済されたり、いろんな形で結局また日銀に返ってきます。だから金融がゆるむという面についてはあまり心配はないのじゃないかというようなお考えでこざいました。その点は、これからそろそろ全般として金融を、ものによってはゆるめていこうというお考えでしょうから別でございますけれども、ちょっと証券局長に伺いますけれども、いま証券業者が持っておる負債の中で依然として高い金利のコールは大体どのくらいになっておりますか。
  28. 松井直行

    ○松井政府委員 お答え申し上げます。  十一月末で大きな証券業者十四社計の数字を申し上げますが、銀行借り入れが千五百億でございます。コールの繰り入れが千百億でございます。ことしの七月末から比べてみますときには、正規の銀行ルートを通じての借り入れ金が百二十億ほどふえておりまして、コールはむしろ四百九十億ほど減っております。こういう状況でございます。
  29. 堀昌雄

    ○堀委員 実は最近の共同証券のお骨折りで、いわゆるダウ千二百円というのが維持をされているようでありますが、そのためにだんだんと管理相場といわれて、流通がいま非常に減ってきております。おそらくこの状態というのは相当続くのじゃないかという感じがするのですが、これではどうも証券業者は、そうでなくてもだいぶん弱っているのですが、この状態が続いたのではたいへんなことで、経常収支もなかなかまかなえない、その上に非常に大きな金利負担、こういうことで非常にお困りだろうと思うのです。  そこでちょっと福田さんにお伺いをいたしますが、この業者の皆さんがここではよほど自覚をして自分たちの体質改善というものを真剣におやりにならなければならぬと思うのですが、その体質改善をほんとうに真剣におやりになるという覚悟が一体どの程度できておるのか、この点はやはり私は業者側として非常に重大な点であるし、その点について十分にでき、それをどんどん進められるところについては、メリットというとおかしいですけれども、なるたけ金利負担の高いものを低いものに振りかえるような措置日銀その他金融機関等あらゆるところを含めて配慮をしていただきたい。実は九月二十八日に山際さんに来ていただきましたときに、私は、これらの合理化資金についてはちょっと別途に相当真剣に考えていただきたいということを申し上げまして、そういうふうにしたいというお話だったわけです。で、先に福田さんのほうでこういう体質改善に対する真剣さといいますか、覚悟のほどと、そして今後のそれに対するお考えをちょっと伺いたいのです。
  30. 福田千里

    福田参考人 体質改善の件でございますが、これはこういう状況でやらざるを得ないので、各業者としても、経営者として当然やることであって、やらざるを得ないことで、いままでに体質といいますか、膨張し過ぎた点が確かにあります。これは証券界だけでもないと思うのですが、あらゆる企業が超高度成長の波に乗って非常に膨張し過ぎたというような点があります。証券業界もやはりごたぶんに漏れずそういうようなことに乗ってきたというところに非常な間違いがあった。そのために非常に体質も悪くなり、ここでもってどうしてもほんとうに合理化をやらなければならぬというところまできておりますので、いまお尋ねの熱心の程度といいますか、それは経営者としては当然やることですから、その熱心の度合いというものはすばらしい。いま熱心にやっております、これはもうやらざるを得ない立場ですからみなやっておるわけです。しかし具体的にどこがどういうふうにやっているかということは、協会のほうでもいろいろ指導しておりますが、現在だいぶ改善のなにはきておりますけれども、何しろ経費のうちの大宗をなすものが利息ですね、金利負担というものが非常に大きいということ。ですからどしどし、いまお尋ねの合理化をやったものから順次に金利負担が軽減するようにやっていくべきだというような、そういうお話でしたかと思うのですが、むろんそういう面もありますが、これはそれぞれの金融機関の考え方、当然これはとても救えないようなところに金を貸してくれないでしょうし、当然救われると見込んだものでないと金融機関だって金を貸さないのはこれは当然なことですから、むろん合理化なりあるいは体質をどしどし改善しつつあるようなところを一そうよくするために、金利負担を軽減するというほうへ向けていく、当然そうなるものだと思います。
  31. 堀昌雄

    ○堀委員 佐々木さんにお願いでもないのですが、私は合理化が進んで見通しのはっきりしたところには、メリットとして少しそういう金融上の措置としての負担が軽減されるということで、やはり体質改善を、これはスピードをかけてやっていただかないと、これをゆっくりやられたのではなかなか問題は解決いたしませんから、その点はひとつ要望しておきたいのと、今後の資金の全体としての見通しでございますが、実は投資信託が先ほどの共同証券のお話のように、最初は四分の一くらいだったものがいまは二分の一くらいになってきた。これが来年しばらくはやはりかなりそういうウェートが非常に高いのではないか。これまでの状態をいろいろ推計をしてみますと、かなり来年度における現状を維持するについても資金量というものがかなり大幅のものが考えられなければならない。こうなりますと、私はどうもさっきの問題にこだわるようですが、何らかの措置が早く行なわれるということがないと、どうもまずいのじゃないかという気がするのですが、今後の資金需要の見通し等については、日銀としてはお考えがありますか。
  32. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいまの資金需要の見通しという御質問でございますが、それは証券関係だけの資金の……。
  33. 堀昌雄

    ○堀委員 さようであります。
  34. 佐々木直

    佐々木参考人 お話のありましたように、確かに最近投信の売りが相当大きくなっております。したがって年内はいまのようなことでまいるにいたしましても、年が明けますとまた相当大きな投信の売りをどういうふうに拾っていくかという問題が、また深刻な問題となって出てまいると思います。かりに月二百億の投信の元本の減少があるといたしますと三カ月で六百億、そういうような金が要るわけであります。したがって今後そういうような金をどうして調達するか。先ほどからいろいろお話がありますように非常に特殊な措置にもうここで踏み切るのかどうか、私どもとしてはいまのような特殊な問題には非常な決意の要することでありますから、それをとることを決定いたしますまでにできるだけいろんな常道を検討いたしまして、その上できめたいと思っておりますが、しかしそういう大きな資金需要に対しては必ず何らかの方法で対応していきたい、こういうふうに考えております。
  35. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 関連してちょっと佐々木さんにお尋ねいたしますが、実は総裁に来ていただきたかったのですが、きのう急にかわったので残念なんですが、あなたに聞くのは酷なところがあるのですが、実は日銀が、堀君の言いましたようにいろいろ共同証券などでやられる。しかし考えてみますと、いま御出席谷口さんも日銀なら、三森さんも日銀、あなたも日銀、それから取引所理事長の井上さんもそうであった。全く日銀の方が証券の頭に来ておるわけなんです。あるいは世間では証券がいくと日銀も一緒にどぽんといくんじゃないかという声もあるのです。  そこで私は、いろいろ問題はあるのですが、一体中央銀行証券金融をやるということは世界で例がないという非難があるわけです。こういう点についてどうお考えになっておるかということと、もう一つは、田中大蔵大臣がぶちまくっているのですが、金利の利下げなどを大蔵大臣が言うことはないのです。日銀総裁とかが言うことです。ゆうべ宇佐美さんのNHKの放送を聞いておりましたが、どうも私は、前に山際総裁にも来てもらっていろいろ話を聞いたのですが、何かいまの証券の悪いのは日銀の総裁が悪いような感じのするようなことがある。少なくとも現在の不況になった、原因は、何もいま急に起きたのではない。私は昨年堀君や藤井君などと一緒にニューヨークに行ったときに、ニューヨークではすでに利子平衡税のためにおそらく池田内閣は瓦解するだろうと言われておりました。昨年の八月にすでにアメリカではわかっておることを今日いまごろになってあわててもしかたないと思うのですが、これはあとで証券の連合会会長にも伺いますけれども、一体日銀はどれくらいの範囲を守るべきであるか、あるいは政党政治でございますから、大蔵大臣は何をやってもいい——そういうことではいけないと思うのですが、佐々木さんは総裁にでもなればいまよりもっと率直に言われるだろうけれども、副総裁であるからあまり言えないと思いますけれども、その二つの点をちょっとお伺いしたいと思います。
  36. 佐々木直

    佐々木参考人 第一の御質問でございますが、確かに世界の中央銀行を見ておりますと、   〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕  株式金融にそう深い関係を持っておるところはないようでございます。日本銀行もいままで株式金融につきましては、非常に間接的な立場をとっておりまして、さっきちょっと御説明申し上げましたが、日証金の信用取引の決裁資金のしりが間接的に回ってきているという程度のことでございます。株式担保の貸し出しもまだやっていないような実情でございます。株式というものは価格が非常に変動する性格を持っておりますので、担保としてとる場合によほど注意をしなければいけないという点から、いままで株式担保を認めていないような状態でございます。したがって今度の共同証券のスタートにおきましても、私どもは要するに証券市場の安定発展ということのために、あえてその資金のしりを見るということに踏み切ったわけでございまして、そういう意味ではやや受け身であるということは認めざるを得ない。したがってよく言われますように、まとめて大きな金をぽんと出せというようなことも、日本銀行資金のほうからいいましてなかなか出せないような実情でございます。  それから第二番目のお話は、これは私からなかなか御答弁申し上げにくいことでございまして、もちはもち屋にまかせていただきたいと考えております。
  37. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ証券界が不況になった原因は、あとでまた連合会長にお尋ねしますが、一体どういう原因で証券がこんなに悪くなったかということの究明と、もう一つは、一体ダウ平均というのは千二百円という、実は問題があるのですが、大阪では千百円を割ったという形がきのう出ております。この点は日銀の副総裁としてどのようにお考えになっておりますか、これも承っておきたいと思います。
  38. 佐々木直

    佐々木参考人 最初の、なぜ株式市場がこういうふうに底迷してまいったかということでございますが、これはもうたびたびいまの御説明にもありましたように、やはり日本のいままでの株価というものが、日本の非常に高い成長を前提としてつくられてきておった。したがって非常に高い株価の会社などを見ますと、増資増資と続いて、その増資がプラスになるということで買い上げられてきたという面がずいぶんあると思います。そういうふうに会社増資が続けられましたことは、全体の経済が高い成長をし、したがってその産業が売り上げを伸ばすこともでき、かつまたその利益も非常に増大して、それだけの配当を払う力ができてきたということから、そういう株価が出ておったと思います。したがいまして、そういう高い成長がややなだらかになってまいりますと、ある程度の反落はどうしても避けられない。そこにどうしても投資信託の行き過ぎでありますとか、あるいはこのごろ非常に言われております無理な増資の横行であるとか、そういうようなことでいまのような不況がまいったのであろうかと思います。  第二番目のダウ平均の問題でございますが、どうも私どももこのダウ平均というのには全く悩まされておりまして、たとえば同じダウの相場でございましても、内容的に見ますと個々の株価というものはずいぶん変わっておって、結局抽象的な相場としてのダウはこれこれであるということになっておるかと思います。したがって、私どもはダウが幾らでなければならないというようなことは全然考えておりませんし、したがって、いまの私どものねらいといたしますところは、ただもう市場の安定だけでございまして、その安定を保つためにどういう株価がいいかということは、やはりほんとうは具体的な株価によって決定さるべきものである、こういうふうに考えております。
  39. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 時間がありませんから、もう二点ばかり伺いたいのですが、金利の引き下げという問題がやはり証券界に相当響くのではないか、その操作はやはり日銀がある程度まで考えておられるのではないかという意見、これは大蔵大臣も言っておられますが、しかしもう一つ、これほどまでに力を入れられる日銀がどれだけ証券界のめんどうをみていかれるのであるか。今度宇佐美総裁が来られましたら何か具体的にあるかと思いますけれども佐々木さんはずっといままでやっておったから、この点について率直な御意見、あなたの御意見でけっこうでございますから伺いたいと思います。
  40. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいまのどれまでということは、なかなか具体的に御返答いたすことはむずかしいのでございますが、とにかくいまの証券業界というものを安定させるということがわれわれの目標でございますので、その安定の確保にはできるだけのことはいたす、こういうふうに考えておりますので、たとえば金額がどうかというようなことは、そのときの状態、安定のために必要な範囲というふうにお考えいただきたいと思います。
  41. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 日証金に一千億の資金を融通されるという例はおそらくいままでないと思うのですが、もっと株価が上がってこなければ、また一千億、二千億、三千億くらい足らぬという話がございますが、それをどこまで具体的におやりになるのか、これはいろいろ推移がありますからいま予測はできないと思いますけれども、おそらく一千億ぐらいでは三森さんはやっていけないだろうという顔をしておられますが、その点あなた方、机を並べて谷口さんもおられるし、そういう点でどういうふうに考えておられるか、その点を最後に伺いたいと思います。
  42. 佐々木直

    佐々木参考人 先ほど投資信託のくずれと申しますか、それが三カ月間でどれくらいになるかというような金額の例を一つ申し上げましたけれども、やはり今後相当な金額は用意しなければ、いまの安定の確保は不可能だと思っております。したがって、いま御例示がございました金額のどれがということは、いまお話しのように状況の推移いかんによりますけれども、相当の量の資金供給する考えは持っております。
  43. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで共同証券のほうに二、三お伺いをいたしますけれども、だいぶ株をお買いになって、私がちょっと拝見をいたしまして、これは正確かどうかわかりませんが、大体その会社の発行株数の七%くらいをこえておるものが大体十銘柄くらいあるのではないかという感じがいたします。私どもも、これは推計でございますから、またここで正確にお答えいただかなくてもいいのですが、いまの調子でまいりますと、やがてこれは一割をこえるというような状況がこないとも限らない。これは私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の十一条以下で、一割をこえる持ち株については、金融機関の場合に公正取引委員会との間に問題が出てまいります。そうして向こうの許可を得ますときには、できるだけすみやかにその一割をこえた部分は売却をしなければならないというような規定になっておるのでございますが、その点共同証券として今後株をお買いになるについてどういうふうなお考えがあるか、ちょっと伺いたいと思います。
  44. 三森良二郎

    三森参考人 ただいま御指摘になりました持ち株比率の問題でございますが、現実には一割をこえたものはまだございません。しかしいま御指摘のように将来そういうことが起こるかもしれぬということは考えておかなければならぬかと存じます。その場合に証券業者といたしますれば一年間以内は一割をこえても差しつかえないということになっておりますが、さらにまた状況いかんによりましてはそれをこえてもまだ保有を必要とする情勢があるか、こういうことも万全を期すという考え方からすればあるいは考えておかなければならぬかと思うのでございますが、実は私はいま法律は詳しくは存じませんけれども。独占禁止法で禁止いたしておりますのは、どうも私ども会社の保有する目的と意味が違うのではなかろうか。私どものは要するに市場の安定ということを——おそらく独占禁止法の禁止していることは会社を乗っ取るとか買い占めるとか、そういう問題であって、これはおそらくそうした状況が起こった場合に十分公正取引委員会の御了承を得られるのではなかろうかと思います。現に実は内々にはそういうふうな御意見も伺っておるような次第であります。
  45. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうはこういう場所でございますから、法律の論争等はまた政府といたしますけれども、確かにおっしゃるように乗っ取りかどうかは別として、支配権といいますかそういう問題につながっておることだと思います。  そこでお伺いをしたいのは、いま持っていらっしゃる株式ですね。この株主権の行使というのは共同証券としてはどのように考えておられるか、これは定款にもその他どこにも出ておりませんので、この点は一体どうなるのかをちょっとお聞きしておきたいと思います。
  46. 三森良二郎

    三森参考人 ただいまの問題につきまして、相当会社によりましていわゆる大株主となっておる状況でございますけれども、私のほうといたしましては、いまの目的が株式市場の安定のために買っておるのでございます。その会社経営内容に介入するという意思は毛頭持っておりません。したがいまして、従来株主総会等におきましても白紙委任状を出しておる、こういう状況でございます。
  47. 堀昌雄

    ○堀委員 私ちょっとうっかりしておりました。業務方法書の最後のところに議決権の行使が出ておりますが、そうすると、これは投資信託はもちろんいま行使しておりませんけれども、議決権については将来とももう持たない、しないという方針なんでございますね。
  48. 三森良二郎

    三森参考人 いまお話のとおりでございます。
  49. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、実は一割に近づくところの問題で日証金のほうにお伺いをいたしますけれども、いま信用取引というのは非常に不正常な状態になっておると思います。特に毎日、新聞を見ておりますと、要するに株不足銘柄というのがかなり出てきておる。けさの新聞を見ておりますと逆日歩が一円というものまで出ておるようでございます。いまこういうふうな逆日歩というようなものは多少制限されておるのか。株を借りてこようと思えば投資信託でもどこでもまださらに相当株はあるのではないかと思うのでありますが、その投資信託が品貸し料でもうけるというようなことはあまりフェアでないかもしれませんけれども、どうせから売りなんというものは、ずっと買っていけば結局はどこかでまた買い戻す条件になるので、実際の売りは困りますけれども、から売り自体は私はそんなにこういう際おそれる必要はないのではないか、だから出すものがあれば株を貸してやって、そのかわり、逆日歩というのですか、そういうものはしっかりつけて、逆にそれで投資信託に少しでも金が流れ込むような、変なあれですが、必ずしもそうマイナスばかりではないのではないかというような気もするのですが、ここらの点についてはどんなふうなお考えか、現状と合わしてお伺いしたいと思います。
  50. 谷口孟

    谷口参考人 お答えいたします。最近は御承知のように売りがたいへん多くなりました。個々の銘柄につきまして貸し株超過となっておるものが出てまいりました。したがってわが社といたしましてはこれが調達に非常な困難を感ずるものがあります。したがいまして、この十一月の十三日から日本陶器外二十銘柄につきまして、新規の借り株の利用を遠慮いただくように要請をいたしておるのであります。そうしてまた一方、既往の貸し株につきましては、返済を求めておる。そうして調節をとるやり方をやっております。これは結局取引所におきましての売買の決済が不能になるというのを避けるため、やむを得ずやっておる次第でございます。現状におきましてはやむを得ない操作だと思うのであります。わが社としましては、将来貸し株市場の整備をはかり、またから売りについてもそのひずみ等について検討していきたい、こういうふうに考えております。
  51. 堀昌雄

    ○堀委員 いま市場において売買の決済が不能になる場合があるこういうようなお話でございます。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕投資信託が持っている株をどうするかというのが一つの大きな問題だろうと思うのですが、これは私専門家でございませんからよくわかりませんけれども、逆日歩はうんとつけていいと思うのですが、制限しなくて貸したって、結局どこかでその人たちは買い戻さなければならぬでしょうから、どうも売買の決済が不能になるというのは、株の供給が安定してないから不能になるということなのか。要するに、投資信託にある株は、もう動かさないという方針を大蔵省がきめているかどうか知りませんが、何かの方針があるから、それであなたのほうは株を探そうにもないのだ。投資信託には一兆円近いものがあるのですから、当然あるのじゃないかという気がするのですが、その点はどうなんでしょうか。
  52. 谷口孟

    谷口参考人 取引所の決済が不能におちいるということは、私のほうが株の調達ができなくて、結局貸せないということですから、市場からわれわれが無制限に調達できますならば、これはシステムとしてはやれるわけであります。しかし、これは相手のあることであって、貸してくれない人もあるわけです。そこで貸し株市場につきましては、これから関係方面とよく連絡をして整備をしていく余地は残っておるわけです。現状ではなかなかわが社が借りられない、こういう状態でございます。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと私よくわからないのですけれども投資信託が持っているのは信託財産になっているのだろうと思うのですが、いま普通の状態ならたいしたことはないのだろうと思いますからいいのですが、こういう異常な状態のときに、あまり制限なんかするものですから、逆にそういう人が強気になっちゃって、ますますこの次はあれにいこう、この次はこれにいこうということになるのじゃないか。窓口を広げてしまうのではないか。やりたいならしっかりやりなさい。共同証券は取りますよ。共同証券はどんどん現物を買っていったら、から売りをした人は困っちゃって、ほうっておけばまた買い戻すことになるのじゃないか。逆に日証金のほうは広がるたびに、あれもだめ、これもだめという部分が広がっていくのじゃないかという、私しろうとでよくわかりませんが、感じがするわけです。その点投資信託の株というものは使えないのですか。これは投資信託側が出さないといえば、それはもちろんそうでしょうが、投資信託の側に言わせれば、あまりから売りがそういうことで広がっていくよりも、こんなのは狭くなっていくほうがいいので、私はこういう自由市場の問題は制限をすれば裏目が出てくる感じがいたしてならない。やってみたければだめだといってやめてしまうが、いろいろ手を加えると、その裏目を行こう、裏目を行こうというので、だんだん変なほうにゆがんでいくという気がしてならないのですが、その点は谷口さん以外でも、どなたかお考えがあれば承っておきたいと思います。
  54. 谷口孟

    谷口参考人 いま投資信託ともそういう問題について話し合いをしておることはあるのですが、現状におきましてはまだ解決いたしておりません。したがって、いま現実にわが社の株の調達が十分でない。そこで取引の決済が円滑にいくようにあらかじめ御遠慮を願っておる。しかし、将来貸し株市場の整備につきましては、十分に関係筋とお話し合いをしたい、こう思っております。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 実はいまの証券市場の問題というのは証券だけで私は問題が解決つかないと思いますので、九月の当委員会におきまして、何とか公社債市場を早急につくるために、金利の自由化といいますか弾力化について踏み切ってもらいたいという強い要望をいたしまして、山際総裁もおおむね同感だという答弁を当時いただいたわけです。そこでこれはいろいろ関係の方の話を聞いておりますと、いま社債というのは、長期銀行がお出しになっておる割引債のように一年のもの、この次はすぐ七年もの、こういう一年と七年とになっておるようです。理想としては社債などというものはできるだけ長期大型であることが望ましいという原則も私はよくわかりますが、これから何もない社債市場をつくっていこうという段階では——いま一年割引債というのは非常によく売れております。これはどうも証券に対する不信感が、元本を保証されて非常に安心だし、利回りもいいということで大衆がここにきておるだろうと思いますが、この際三年、五年というような、一年と七年の間の多少中期的な社債というものを考えてみれば、その社債市場について今後新しく開拓する場合には少し大衆がなじみやすいのではないか。将来、みながそういうことに訓練がされて、社債市場ができれば、これはあるべき姿の方向に持っていきたいというのが至当だと思います。この点について中山さんはいかにお考えになっておりますか。
  56. 中山素平

    中山参考人 いまお話しのように、日本の公社債がいま最長が七年という状況になっておりまして、これは当然もっと長くなっていくだろうと思います。そのためにはやはり金利がもう少し水準として低くなる、安定していくということが一つの条件になってくると思います。ただ御承知のように、私どもの出しております金融債につきましても、一年の割引債のほかに五年の金融債もあるのでございますが、今後こういった市場を開拓していくためにもう少し銘柄をふやすということは、御指摘のように今後の研究問題だと思います。したがいまして、三年ものの割引債、金融債のこともあるいは問題として出てくるかもしれません。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 三年のようなものが出ることについてはあまり御反対ではない、こう理解をしていいわけでございましょうか、その点もう一度。
  58. 中山素平

    中山参考人 実は私ども銀行のことを申し上げて恐縮ですけれども、われわれとしても資金需要が多いものですから、あらゆるくふうをして資金を集めるということでいろいろな構想も持っておりますが、やはりそれぞれに若干問題がございます。いますぐそういった三年ものを出すということに踏み切るわけにいきません。債券の形をとっておりませんけれども、御承知のように貸付信託にはそういった中期と申しますか期限のものがございます。そういった面との競合とか公社債の面だけで片づけられない問題がございますので、御趣旨については原則的に賛成でございますけれども、実行の利子とかその他についてはいろいろ検討する余地があると思います。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの問題、福田さんはいかがでしょうか。
  60. 福田千里

    福田参考人 私もいま中山さんがおっしゃったとおりだと思います。証券界としてもむろんそれは検討しなければならぬ問題と思います。私としましても、いま中山さんがおっしゃったように、趣旨として賛成だけれども、いろいろとほかのあれがありますから、実行には相当にいろいろ検討しなければならぬことと思います。第一この社債市場というものが全然ない、皆無と言ってもいいくらいな現状で、一体社債の流通市場をどうするかという問題ともまた関連すると思います。趣旨としてはそういう短期ものもあっていいはずだと思います。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 それに関連をしまして、実は社債市場がなきに等しいのですが、特にいまの社債の発行のあり方が、福田さんを前に置いて悪いのですが、四社がほとんどウェートを、シュアを持っておりまして、何か非常に硬直している感じが私はするのですが、この際社債に限っては社債市場を広げる意味で、その証取法六十五条の適用を少し拡大をしてみたらどうなのか。これは私の個人的な感じでございます。これについて中山さんいかがでございましょうか。六十五条適用の部分的拡大、特に社債についての問題でございますが、私は長期的なものを扱っていらっしゃるところくらいは少し幅を広げてやったほうが、ただ四社だけが非常にウエートがあるというのではなくて、やはりバラエティーもあり、いろいろあって、かえって自然の姿のほうに移行しやすいのじゃないかという感じもするのですが、いかがでしょうか。
  62. 中山素平

    中山参考人 ただいまの御質問の御趣旨は、社債の引き反け業務につきまして、長期の金融をやっているところに拡大したらどうかという御趣旨に承ってよろしゅうございますか。——この六十五条の問題は、金融機関、主として銀行界でございます。銀行界から問題として出ておるところでございますが、私どもも内々いろいろ研究はしておりますけれども、やはりこの問題につきましては、現在証券業が担当されておるという形になっております。こういった分離されましたいきさつ、あるいはアメリカでなぜ分離されたかというようなことを考えてみますと、私どもといたしまして、これをかりに銀行界でやる場合につきましては、やはりそういう引き受け業務から起きます責任というものを十分自覚し、またその責任を負うという体制を考えてやらなければいかぬということが第一であります。それからもう一つ、引き受けだけでございませんで、社債の売買を銀行で扱うという問題もあると思います。この問題につきましても、当然銀行の場合には資金の吸収が預金業務が主体でございます。したがって、預金業務を害するという形において社債の売買ということはあり得ないと思います。その辺のところを考えますと、いま申し上げた引き受け、売買ともにいろいろ問題点について十分検討し、もしこれを踏み切る場合には、それぞれ担当するところがそういった分離の必要が出ております責任について十分自覚する、あるいはそういう体制をとっていかなければならぬということが当然問題になってくるかと思います。いま私これをやったらいいとか悪いということは、結論は出し得ないと思いますけれども、問題としてそういう点があるということを申し上げておきたいと思います。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 非常に御慎重な御答弁で、検討の課題だと私も思います。ただどうも公社債市場をつくれという声は非常にいろいろあるのですけれども、必ずしもどこからどう手をつけるかというところまでまだ話が進んでいないような感じがいたします。しかしぐるぐる外側を回っているだけではなかなかこの問題はいつになってもきりがつかないのではないか。やはり金利の自由化といいますか、そういう問題がなければもちろん解決はつきませんけれども、何とか公社債市場ができることが、私は今後の証券業の正常なあり方に非常につながりが深いような感じがいたしますので、証券業の皆さんも、ただ単に自分たちの既得権だというようなことではなくて、少し幅広い立場で御検討を進めていただきたいというふうに思います。  最後に、このいろいろな問題の中で、税制の問題は本日の新聞で政府与党は方針がきまったようであります。その他いろいろございますが、要するに私はこの証券問題というのは、来年度の経済情勢というものに非常に大きなウエートがかかっておるのではないかと思います。新聞で見るところによりますと、経企庁が閣議にかけるであろうといわれております来年度の経済見通しにつきましては、実質成長率が七・五%で、鉱工業生産の伸びが一〇・五%程度だ、こういうふうに出されております。各銀行でも来年度の経済見通しについていろいろおやりになっているようでありますが、私はこの中で一番株価その他の問題にも影響がありますのは、鉱工業生産の伸びがどういうふうになるのかということが非常に関係があると思うのでありますが、ここでは一番高いのは三菱銀行で一五・二%くらいに見ていらっしゃるし、低いところは住友銀行で八ないし九%くらい、政府案に近いようなお考えのようであります。この点中山さん、興業銀行のはまだ拝見しておりませんけれども、来年度のそういう見通しについて、それは鉱工業生産というようなことだけでなく、経済全体の問題としてでありますが、今後の資本市場対策にも非常に関係があると思いますので、その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  64. 中山素平

    中山参考人 いま御指摘の指数につきましては、まだ私どもといたしまして正確な見通しを立てておりませんけれども、おそらくそう大差はないと思います。各銀行さんのごらんになっておりましたことと大した開きは出てこないと思います。しかしながら経済全体の見通しといたしましては、これは私の個人の意見でございますが、おそらく現在のような低迷状態と申しますか、こういったものが明年は続くんじゃないかという感じを持っております。特に証券市場あるいは株価という面につきまして一番具体的に影響いたしますのは、各企業の収益力の問題であるという感じを持っております。その面から見ますと、ただいま申し上げたような経済情勢の見通しから考えますときに、現在でも収益力が低下している情勢でございますので、そこに大きな期待は持ち得ないという感じでございます。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 いろいろとお伺いをしてまいりましたけれども、私はやはり共同証券がいま果たしておられます役割は非常に重要だと思います。重要であるだけに私はみなが注視をしているのではないかと思います。この一年間に共同証券がおやりになってきたものの中に、やはりひずみが相当出ているのではないか。そのひずみは価格の問題だけでなくて、流通の問題なりいろいろなところに、さっきも福田さんのほうでも流通市場は麻痺しているとおっしゃっておりましたが、それは何も共同証券のせいだけでございませんが、しかし運用その他のあり方について問題がある。しかしそれは共同証券自体だけで解決のなされる問題でありません。やはり政府なり金融機関関係の全体で十分御検討いただかなければならぬことでありますが、私はこの資本市場問題というのはもはや単にそういう資本市場の中の問題でなくて、日本経済全体の中の大きな問題でありますし、特に投資信託には非常にたくさんの人たちが参加をいたしております。実はこの投資信託の元本割れの償還もいよいよ来年は始まるというような状態になりまして、これは国民生活にとって非常に大きな影響を与える段階になっておりますので、どうかこういう段階において、本日御出席の皆さんが前向きに、国民が納得のできるような措置を皆さんで十分御検討いただきたい。特に福田さんにお願いをしたいのは、これから増資調整の問題が強く行なわれると思うのでありますが、今後は過去におけるような幹事競走のような、だれの目から見ても不当な問題というようなものは十分自粛していただいて、特に完全な自粛抑制の次には調整段階というものがまいるのでありましょうが、その調整段階においては、皆さんのほうにおいて不当な増資ということをお考えのものについては、ひとつ証券会社も一致して、いまは商法の規定でおまけに額面発行でありますから、証券会社は横向いていてもできるといえばできるかもしれませんが、そういうことができないような態勢をひとつ証券界でもとっていただいて、大衆にあまり迷惑がこれ以上かからないような措置について、十分ひとつ御検討いただきたいと思います。要望いたしまして、私の質問を終わります。
  66. 吉田重延

  67. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 福田さんにお尋ねしたいのですが、ちょうどあなたが、小池さんのあとで会長になられたころから、非常に証券が悪くなってきた。景気のいいときには、四大証券は一億円ずつもうけて笑いがとまらぬという、そういう時代のあったことは、記憶に新たなところです。そこで実は都市銀行の、富士銀行の会長が、たしか参考人でここに来られて、いろいろ意見を言われたときには、銀行よさよなら、証券会社来たれ、そういうことのあったことも御存じだと思うのです。ところが、現在非常に悪くなりまして、いまおそららく膨大な支出が要るでありましょうし、出血が多くなっておりますが、あなたのお考えでは、分離課税のことは別でありますが、そのほかに、どういう方法を講じたならば、証券界が昔のように返るかということのお考えになっておる点を、ひとつお伺いしたいと思います。
  68. 福田千里

    福田参考人 証券界は、どういうふうにしたら回復するか、それは、いま税制の問題は別にしてというお話でございましたが、むろん税制だけの問題でなしに、第一に、われわれがお互いに話し合って考えておりますことは、まず、みずからの姿勢を正すということだと思うのです。これはもう従来盛んに言われておりまして、もっとも、これにはいろいろ週刊誌やなんかでもって、おもしろおかしく書かれておるというような点もありまして、全部が当を得たというものじゃないと思うのですが、たしかに、しかし証券業者としてのあり方として姿勢の悪かった点は認めざるを得ない点が多々ある。そういう点を十分にここで反省し、自覚して、そしてやることこれが第一。われわれは何もよそ頼みするよりも、まずみずから姿勢を正し、そうして業者の体質を改善し、りっぱにそれぞれの業務を遂行していくことができるようにすることがまず大事だと思うのです。まず自分を固めるということです。  そうして、そのほかには、客観的情勢がよくなってくることが望ましい。いま何といっても、先ほど申しましたように、需給のアンバランスという点がありますので、そのうちの供給の面を押えるという施策だけがとられていってもいいというようなこと、共同証券が出てくるというようなこと、共同証券増資ストップがあるということは、もともと自由市場であるべきところの自由経済のもとにおいては、ほんとうはあるべき姿じゃないと思うのです。こんなことは好ましくないと思うのです。一日も早く共同証券もなくなり、増資ストップもむろんのことなくなるのが本則だと思うのです。しかしそこまでいけないからやっておるんで、いまの現状としてはこれはやらざるを得ない。やらなかったらどうなるかということで、もし共同証券がなかったらどうなるかということを考えれば、むろん今日は絶対に必要だということになるわけなんですけれども、そういったような今後の共同証券なり、そういう証券を通ずる金融上の措置というようなものは、どっちかというと、いずれもうしろ向きなんです。もっと前向きに需要の喚起ということが大事なんです。これはいま税制問題のほかには、一般の環境がよくなってこなくちゃいけないことだと思うんで、その環境が、これから自然にじゃない、努力して、みな協力してやっていけば、環境もだんだんよくなっていく。これは政府なんかにもお願いしなければならぬことだし、産業界みずからも大いにがんばらなければならぬことだと思うのですが、環境もよくなっていく。それには、やはり金融上の措置というようなこと、いま様式担保金融というようなことが、どうも日銀なんかでとられてないというようなことが根本的にはおかしいとわれわれは思うのです。やはり先ほど佐々木副総裁もそうおっしゃっていましたが、いまとられていない。しかしこれはとられるのがほんとうだと思うのです。世界で、どこの中央銀行も、証券界になにをしていないというようなことを言われますけれども、それは間接にはみなやっていることなんであって、担保金融ということは間接のことであって、何も証券の株を日銀が買うことじゃないのですから、そういうことで、そういった金融上の措置とかいったものもまたできてくるべきはずのものだと思うし、そういう環境になることが望ましいと思うのです。そういう客観的な情勢がそういうふうになってくることによって回復するということになると思います。まあ、各方面にいろいろのことをわれわれはお願いしておりますが、ひとつ政治家の皆様方にもよろしく御支援をお願いしたいということを、この席をかりてあらためて申し述べます。どうぞよろしくお願いいたします。
  69. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 福田さんはまた大和証券の社長もやっておられまして、いろいろ長い間証券界に貢献されておると思うのですが、ちょうど私が昨年の八月ハワイに行ったときに、利子平衡税の問題が出まして、非常に驚いていましたと同時に、ニューヨークでもウォール街でもいろいろ問題があったわけですが、おそらく日本ではカナダと同じように除外例を設けられるだろうというような楽観論が非常に多かった。ところが、日興証券の支店長だと思うのですが、私らが会ったあくる日に東京に帰って、この重大な問題をということで、これは友だちである関係上足立君に聞いたのですが、おそらく非常にたいへんなことになる、日本証券界はこれを契機にどえらいあらしが吹くだろうというような予想を昨年八月しておりました。こういう点について福田さんは、そのときどのようにお受け取りになっておったか。証券がこんな不況になるということを思っておったかどうかという点が一点と、もう一つは、三年ぐらい前までは大学の卒業生がみんな証券界に入って、そうしてわれもわれもといってみんな大きな支店を設けられて、非常に隆盛であったのですが、このごろ、証券に行く人は、特別な人でない限りなかなか大学の卒業生が行かないという現状を考えると、これは全く、三年ぐらいの間ですけれども、実に隔世の感があるというような気がするのです。この現状をどのようにお考えになっておられますか、これも参考のために伺っておきたいと思います。
  70. 福田千里

    福田参考人 利子平衡税につきましてですが、あの当時、これは全然問題にしなかったどころじゃなしに、それこそこれをひとつ何とかして撤回してもらいたいという要望を、実は政府にも出しましてお願いしましたし、それから、その要望を、ウォール街におけるいろいろわれわれの取引先でもありますアメリカの証券業者なんかを通じて、ひとつ大いにアメリカ内部でもそういう阻止運動をやってもらいたいという依頼書を出したり——これは連合会長の名前で私がずっと出しました。いろいろやっております。アメリカの内部でもいろいろ議論があったようですけれども、ついにうまくいかないで今日に至っておるわけでありまして、まことに残念であります。むろん、あれは非常な影響があるものですから、十分にそういうふうにやったというわけなんです。  それから第二の問題で、大学卒業生をうんと採っていたが、もうこのごろはいわゆる合理化をしなければならぬ面があるものですから、体質改善をし、いろいろ経営合理化というようなことを見ますと、それは確かに先ほど申しましたように一時膨張し過ぎた。店舗もよけいつくり過ぎ、あるいは人員もよけい採り過ぎた。それはその当時は超高度成長と言っていい時代に即して、まだまだ伸びていくべきものだということでもってうんと規模を大きくし過ぎたという点がありますが、今日はそういうわけにいかぬ。やはり安定成長にいく、これは徐々にいかなくちゃならぬ。将来はわからぬけれども、——わからぬじゃない、やはり相当にまだまだ資本市場のにない手としての証券業というものは決して衰えるものでなしに、これから大いに伸びてやらなければならぬ、そういう使命を持っている業種ですからずっと先には、むろんまた規模を大きくもしていかなければならぬだろうし、いろいろあると思うのですけれども、とりあえず、この現在の状況を見ますれば、どっちかというと膨張し過ぎたやつは少し縮小しなければならぬだろうということにあることは事実なんで、むしろ来年の卒業生なんかは、各業者もあまり採っていないようであります。採らないということは自然にまた減少するということになると思うのです。自然減ということもあります。そんな状況でございます。
  71. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点福田さんにお伺いしたいのですが、中小企業も倒産がレコードを破ったほど非常に倒れている。そこで、どこがどうなっているという、具体的にどうこうということは言いませんけれども、あなたのほうの正会員の中で十二月までに相当打撃があったと思うのですが、倒れたとか、あるいは三月ごろ非常に危機だといわれておりますが、そういう見通しはどうですか。あなたの立場としてどういうような状況ですか。
  72. 福田千里

    福田参考人 ここに数字を調べたものがあるのですが、三十六年夏以降の沈滞で非常に悪くなっておることは確かなんですけれども経営の破綻ということで当局から取り消し処分を受けた正会員業者は、昭和三十九年、ことしじゅうにおいては一件あるだけなんです。一件だけが登録取り消し処分になっております。その期間にまた自主廃業というのが八件あるのです。これは経営合理化するためにする合併などによるものであって、別に特につぶれたというのじゃない。つぶれたところは一件。そのほかに非会員のほうの全国のあれでいきますと、まだそのほかにありますけれども、非会員では取り消しが六件、廃業四十一件、この一年間に合計で四十七件減少しております。これは何と言っても御承知のとおりの状況で、商売が成り立っていかないという、自分でやめていく業者が非常に多かったということですね。この状況が続いておりますと、まだ若干そういうのが出るかもしれませんけれどもしかしいままでわかっているところで、参ってしまったものは大体出たような感じでおりますが、その点どうであるかということは、われわれとしてはちょっと同業者の模様はわかりません。これは大蔵省の検査その他によって調べられておるわけなのですから、われわれのほうではちょっとわかりませんが、感じとしてはそんなにごく悪い、どしどしつぶれるというようなところじゃないと思います。まあそんなところです。
  73. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 中山さんに一、二点ちょっとお伺いしたいのですが、あなたは最近財界世話業のオーソリティーとしてなかなか活躍されているそうでありますが、特に証券界においては非常に世話をやっておられるそうですが、一体どうしたら証券界がよくなるか、どうすれば安定するかということをあなたはどのようにお考えになっておるか、簡単でよろしゅうございますからちょっと……。
  74. 中山素平

    中山参考人 冒頭に申し上げましたようないろいろな施策を総合的にしなければならぬということは当然でございますが、私ども銀行の側から申しますと、先ほど福田さんのお話のように、やはり個別の証券会社体質改善です。具体的に申し上げますと、やはり収支を合わせる、この面について全面的に協力するという必要が一番当面の問題でございます。これはごく簡単でございまして、実行はむずかしいのですが、筋道は物件費と人件費を詰めて、高い金利のものを安定させる、あるいは海運業の場合のように、過去の融資につきましても金利をたな上げするという形においての体質改善が、まずわれわれとしてはお手伝いする第一の問題でございます。その他の点につきましては先ほど冒頭申し上げましたが、たとえば税制の問題などにつきましても、これは実は私の習いまして経済学が古いからかもしれませんが、基本的には私は利子配当課税は違うべきだと思うのです。しかしながら現在の時点におきまして、証券対策として考えた場合に、ある期間を限りまして配当について税制上の優遇をするということは、私は必要だと思います。ただその場合には高額の配当所得者というものは、この措置によりまして不当な利益を得ないという考え方は、当然この改正に入れるべきだということはあたりまえだと思います。そんな点に考えておりますが、あとは冒頭に申し上げましたのでよろしゅございますか。
  75. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ちょうど分離課税のことに触れられましたが、あとでお伺いしょうと思ったのですが、いわゆる銀行利子分離課税の問題これは今度法律が出るかもしれませんが、証券分離課税の問題とどういうような違いがあるか、このニュアンスをどういうふうに解釈されておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  76. 中山素平

    中山参考人 ただいま申し上げましたように、利子の場合には、これは当然確定利子でございます。配当の場合には、これは配当の少ない場合もございますが、配当が非常によけいになるという機会があるわけであります。したがいまして、税のほうでこれを区別するというのが私は適当じゃないかと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、現時点においては配当につきまして特利措置を講ずるということは、私は当然やるべきことだと思っております。したがいまして、その関係で預金利子に対する特別措置と均衡がとれてきても、ある時点を限っては差しつかえないんじゃないかという感じを持っております。
  77. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今度は谷口さんに一、二点伺いたいと思います。  おそらく日証金現状としては相当資金の枯渇に悩んでいると思いますが、その現状と、それからあなた方の希望条件があったらお伺いしたいと思います。
  78. 谷口孟

    谷口参考人 当社の十二月十五日現在の貸付総資金は、九百五十八億円にのぼっております。その内訳は、貸借取引で百四十五億円、残りはいわゆる株式担保で三百八十五億円それから債券担保で三百九十三億円となっておるのであります。これらの資金の調達のもとはコールマネー及びその他の借り入れ金で九百十億円、それに自己資金を加えてまかなっておるわけでございます。こういうふうにいたしまして、貸付金の九六%は証券業者に貸している、こういう実情でございます。  わが社の運営といたしましては、いま御親切に希望条項を申せと言っていただきましたが、日本銀行や協調融資銀行が十分な理解をもって対処していただいておりますので、いまのところ支障なく進んでおります。
  79. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点、谷口さんにお伺いしますが、証券界が好況の状態のときといまのような不況の場合には、あなたのほうの資金量の動きは相当あると思うのですが、大まかでけっこうですが、どのような変化があるのか、ちょっとお伺いしたい。
  80. 谷口孟

    谷口参考人 わが社の通常の取引は貸借取引それから一般貸付、これはいまのように状況が低迷いたしておりますと、普通の取引の貸付というものは減少いたしておりますが、いま私のほうの貸付総額は非常に多くなっております。これは共同証券に対する融資とかそれから四大証券投信十社が株式を買いささえる資金供給する、こういう特別の事態に対処して貸し付けている、こういう状況でございます。
  81. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後に三森さんにお伺いしますが、現状共同証券資本金はあまりにも少な過ぎやせぬかと思うのですが、この点は社長としてどうお感じになっておりますか。
  82. 三森良二郎

    三森参考人 ただいまお尋ねの資本金、現在三百億円でございます。授権資本額からいえば、なお百億円の余裕があるわけでございまするが、現在の金融情勢その他から申しますると、遠い将来は別といたしまして、当面としますると、一応この辺が限度じゃないかという感じを私は持っております。
  83. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから、先ほどからも言われておりましたが、自由主義の経済で、証券がどうも調子が悪いからわざわざそういう会社をつくって操作をするということは、これは非常に不自然じゃないかと思うのです。そこで、三森さんに非常に失礼なことばでありますけれども証券がよくなったらあなたのほうの会社はなくなるのかどうなのか、その点ひとつお伺いしたい。
  84. 三森良二郎

    三森参考人 お答えいたします。  御承知のように、当社の使命というものは株式市場が安定をいたしまして、将来それが資本市場が漸次拡大していくことにつながっていく、こういうことが当面の使命でございます。私どもといたしましては、一日も早くそういう情勢が現出することを念願いたしております。しかしながら、現実の問題といたしますると、御承知のように、いま安定のために、不安が起こらぬように、一生懸命つとめているような事態でございます。ほんとうにこれが安定をいたしまして、さらにそれが資本市場拡大につながるまでには、私はまだなお相当の時間がかかるのじゃなかろうか、かように考えております。目下のところは、いろいろ民間には御意見があるようでございますけれども、私自身といたしましては、いかにして安定さすかということに専心をいたして、おりまして、将来そうした情勢がだんだん出てくるような徴候が出始めた場合に、具体的にいまの問題は考えていきたいと思っております。目下のところ具体的な考えを持っていないわけであります。
  85. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 福田さんにもう一点だけお伺いしたいのですが、百社くらいの一般証券会社があるのですが、無配当や赤字が多いのですが、その中でも黒字でやっておるところがある。例をあげるといろいろぐあいが悪いからあげませんけれども、そういう黒字になる会社というのは、どういう経営をしどういうことをやっておられたのか、私らはちょっとふに落ちない点があるのですが、その点はあなたはいろいろ御存じだと思うのですが、どういうあれがあったかということをちょっと御説明願いたいと思います。
  86. 福田千里

    福田参考人 いまおっしゃったように、黒字になっているような証券会社は東京でもきわめて数が少ないが、それは経営まことによろしきを得たのだと思います。あと具体的にどこがどうよかったかということは、それはわれわれ同業者としては、やはり協会でもちょっとわかりにくい。大蔵省は御存じかもしれませんけれども、まあよかったからよかったのじゃないかと思います。
  87. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それと逆に倒産をしたり、非常に大きな赤字が出てずいぶん上のほうの陣容が変わったところがありますけれども、こういうところはかなり思惑があってやられたのか。私は証券を買ったこともなければ、またそういうあれもありませんが、昭和二十二年に当選したときに、あなたのほうの小林さんが理事長で、いわゆる証券民主化運動というのをやりまして、島田晋作君が非常に熱心で、私らも一年生でそのことに参加した。その当時証券界が非常に悪かった。小林さんもあなたのほうの「証券随想」に書いておられますけれども、財政金融委員会をいうのが大蔵委員会の前にありまして、証券というものに対しての民衆の声がだんだん強くなった。それだから、初めは敗戦後の当時でありましたからごたごたしておりましたけれども、正常になってきて株式に対して非常に人気を博したという点もあったのじゃないかと思うのです。その後三年くらい前までの人気は、いろいろの原因で上がったと思うのでありますが、アメリカあたりはそう影響ない。日本だけが非常に極端に証券界が悪い。いいときには非常によかったけれども悪いということは、日銀の総裁にもあなた方にも責任はない。これは政府のやり方で、高度成長のひずみが出たと思うのですが、そういう点も考えて、何か証券に対する民主化運動——いま三森さんのところで一千億買ったって、これは知れたものだと思うのです。やはり大衆投資家が安心して証券を買うという時代が来なければなかなか回復しない、こう思うのですが、そういう点においてやはり証券の民主化運動とか、あるいはもっと一般にたやすく証券を買って持っているような国民がふえれば、私は相当な影響があるのじゃないかと思う。そういう点をどのように考えておられるのか。私は株式のことを詳しいことは知りませんが、いろいろな話を聞いたり、知ったのも兜町に二、三人おりますからいろいろの話を聞いているのですが、どうもそういう根本的なことをやらないで、ただ日銀やあるいは政府をいろいろだよりにするということだけではなかなか回復しないと思うのです。福田さんは会長としていろいろ御存じだと思うのですが、そういう点の運動を起こしていくことがまず大事じゃないかと思うのです。その点はどういうふうにお考えになっておりますか、最後にお伺いしたいと思います。
  88. 福田千里

    福田参考人 いまおっしゃったようななには一番大事なことで、やはり先ほど申しましたように、そういう業者の体質改善、合理化ということはみずからやることだと思うのですが、そういうふうにみなやりつつありますから、みんながそういうふうになっていきさえすればそれでいいのだと思います。それから悪い会社が、収支状況が悪くなっているというのはどこに原因があるかというようなお話もありました。これは見通しを誤ったといえば一言にして済んでしまうことですけれども、それだけでなしにやはりほんとうに客観的にいろいろな経済のひずみがしわが寄ってきたというために、商いの分量もうんと減ってきてしまったし、それから手持ちのものがたいへんな値下がりをしたというようなことでみな業績が悪化しているのだと思うのです。だから手持ちなんかをよけい持つことが悪かったじゃないかというようなことで、あまり手持ちを持たなかったらそれだけ損が少なかったというようなことですけれども、手持ちも持たざるを得ないいろいろな従来の状況もありましたし、一がいにただ見通しを誤った、悪かったのだから悪かったのだというようなわけでもないと思うのですが、いろいろ複雑な原因が結果していると思うのです。いずれにしましてもこういうたいへんに大きな試練に遭遇したのであやまちを再び犯さないというような意味において、今後の証券界は大いに自粛、自戒しつつ、これからの発展に向かうように努力すべきだと思うし、またそういうふうにもみな思っておるように感ぜられますので、そういう状況になっております。そういうふうに私ども感じております。
  89. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 景気のいいときにはテレビやラジオで盛んに宣伝をして、分に過ぎたほどの宣伝があって、テレビの広告なんというのはほとんど三分の一くらいは証券界であった時代がごく最近まであったわけです。ところがこのごろは全く影をひそめてほとんどそういうことはない。これはむろん業者の体質改善が必要だし、大衆に信用を博するのも必要でありますけれども、やはりこの証券界の人気というものについてもう少し検討される必要があるのじゃないか、私はそう思うのですが、その点はどうでございますか、最後のあれでございますが……。
  90. 福田千里

    福田参考人 そのとおりだと思います。これは経費節減からいまやれないのです。テレビは高いですからね。経費節減からやらなくなっちゃっているわけで、一時は金に糸目をつけずにやったように見えましたのが、ちょっと目ざわりではあったんですが、ああいうことによってやはり証券大衆化といいますか、証券の民主化というようなことをやる一つの手段としてやりました功績もなきにしもあらずだったと思うのです。現在だって若干はもっとPRはやらなければならぬいろいろな例があるのですけれども、何分にも経費の節約をせざるを得ない状況だから、いまのところは非常に影をひそめているように見えますのですが、一日も早くそんな状況でないようにしたいものだと思っています。かといって先ほど申しましたようにあやまちを再び犯すような、何といいますか、向こう見ずな夢を見ていくようなことは今後——これは非常にいい薬になったと思うのです、今後慎むだろうと思います。まあ私そう考えております。
  91. 吉田重延

  92. 春日一幸

    春日委員 まず第一番に、この共同証券の性格についてお伺いをいたしたいと思うのでありまするが、これはいま配付されました資料によりまして検討いたしまするならば、これは単なる証券取引上の一証券会社にすぎない、しかも会員権を持っていないのでありますから、したがって非会員の証券業者と同列のものと見るべきであると思います。このような性格を持っております共同証券に対して、何らの法的根拠なくして政府または日銀がこれに何らかの特別の待遇を与えておるということは適当ではないと思うのです。特に憲法第十四条においては、すべて国民は法の前に平等の原則をうたっておる。特に政治的、経済的または社会的関係において差別的な待遇を受けることはない。これは厳粛なる規定になっております。公共の福祉の名において特別の処遇をしなければならぬとするならば、そのために法律が制定されなければならぬと思うのでございます。しかるに何ら法的根拠なくしてこのような特別機能を持つ会社を設けておるということは、まず第一番に憲法違反の疑いはないか。この点はいろいろと法制局関係において調査をしなければならぬ問題だと考えますが、ここに設立会社の社長がお見えになっておりますが、設立当時こういう問題に触れて何らかの討議がなされませんでしたか、この点をお伺いしたいと思います。
  93. 三森良二郎

    三森参考人 お答えいたします。  いろいろ法律上の問題につきまして——私も実は法律はあまり詳しくは存じませんが、ただこの会社は当初民間の自由な発意によって設立いたされましたけれども、その趣旨とするところは、あくまでも証券市場の安定、資本市場育成に資したい、こういう考えを持つ人が集まりまして自発的にできた会社でございまして、ただ法律的には大蔵省に証券業者としての届け出も済み、それが授受をされておりまして、その点につきましては、私は適法にこの会社が成立いたしておるものと、かように考えておる次第でございます。
  94. 春日一幸

    春日委員 大蔵省はこれが設立の当初、さまざまこれの設立に参画をされたと思うのでありますが、松井証券局長、この憲法上の問題について内閣法制局その他と検討されたことがありますか。
  95. 松井直行

    ○松井政府委員 私その当時はまだ現職にいなかったわけでありますが、いろいろ伺っておるところによりますと、いま三森社長からお話になりましたとおり、目的が一人ではできないことを大ぜいの、特に資金金融市場に集まっておる時期でもありますので、金融機関を中心にして出資して、産業界のためにも市場機能回復をはかるということを目的にし、かつこの共同証券の動き方は、先ほど興銀の頭取からもお話がありましたとおり、ある特権的な方法で市場に介入するよりも経済ベ−スに乗った方法で介入する——介入するというか参加するほうが一そう市場の自由な取引を確保しながら調整の効果をあげるという観点から一そういいという観点に立って法制上は一証券業者として出発した、こういうように聞いております。
  96. 春日一幸

    春日委員 これは現実の問題といたしまして、日本銀行日証金を通じて資金供給を行なうにいたしましても、あるいは市中銀行を通じて資金供与を行なうにいたしましても、あるいは将来において日銀が直接融資を行なうに至るような場合にはなおさらでございますが、日本銀行が正確に国の機関そのものでないといたしましても、日銀法第二条には、日銀は国の政策目的を達成することのために云々とあるのでございますから、これは実質上国の機関と見るべきである。国の機関が何らかの行為を行なおうとする場合は国民平等の原則の上に立ってそれを公平に執行していかなければならぬと思う。特殊の執行を必要とする場合は、必ず公共の福祉の名において特殊の立法がなければこれは許されないことであると思う。そのことなくして、共同証券証券市場の安定でありまするとか、いろいろその公共的使命をになわして、業務方法を通じてその効果を期待しておるということは、これは明らかに不当なことであり、法律常識としてあり得ないことであると思うが、いかがでありますか。
  97. 松井直行

    ○松井政府委員 法律の趣旨並びにそのよって立つ法制上からは、法律的には一証券業者であるということは、さきにもはっきりと申し上げたことでありますが、ただ機能的に日本銀行が直接間接——まだ直接には融資はいたしておりませんが、将来必要があるときにはまた考えなければならぬ。そういうときには共同証券の性格についても考究の必要があるというふうに、いま日銀の副総裁からお答えがあったとおりであります。ただ、日銀からのそういう融資を通じて性格の変貌ということが問題になってきております関係上、日銀なりあるいは銀行局なりからお答えするのが適当であろうかと思いますが、私の立場、私の責任の限度でお答えしたいと思いますのは、次のようなことだろうと思います。  日銀の融資先につきましては、日銀法には特に特定されておるものでもございません。したがいまして、その融資が日銀法に規定する目的に合致する限りは、共同証券に直接融資するということも考えられるのではないか。したがって、日銀の使命といいますか、運用に関します日銀法の所期するところと合致しておるのかどうかという判断の問題にかかってくるのではないか、こういうふうに私、考えております。御存じのとおり、日本銀行は、通貨の調節だとか金融調整というのみでなく、信用制度一般的な育成保持ということに任ずるということも大きな目的でありますので、信用秩序を安定にしさらに強化するということも日本銀行の大きな使命の一つであろう、こう線に沿ったものであると思います。
  98. 春日一幸

    春日委員 これは法律に違反をする執行は許されません。しかしながら、法意を犯すような脱法行為もこれは許されてはならぬと思うのでございます。しかしながら、この問題は、立法論でございまするから、また法律理論でございまするから、内閣法制局を呼んで後ほど専門的に検討を加えたいと思いまするけれども、なおこれに関連をいたしまして、田中君から後ほど御質問が関連して行なわれるのでございますから、私は先へ進めまするが、そういたしますると、共同証券業務は、この定款によりまして、あるいは業務方法書等によりますると、株式の売買、コール市場における資金の運用、その他関連業務、こういうことに相なっております。ところが、この設立趣意書を拝見をいたしますると、この趣意書では明らかに事実上の性格は公共的なものである、あるいは公共的な投資機関に少なくとも近いものである、純粋の営利会社ではないとなっておるのでございます。ここに私は問題があるのではないかと思うのでございます。すなわち形式は営利的な形態である、けれどもその内容というものはそれではなくして公共的な性格をその中に持っておる。公共的な機能を果たすことを使命として設立されたものが、形式的に一個の営利会社、そういうようなぬえ的な存在であるということは、少なくともこれは従来の立法常識、少なくとも法律の常識に著しく離れておると思うが、この点どうでございますか。
  99. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 私も、いま局長が言ったとおり立法当時のことを知らぬものですから、あまり深く追及されても困りますが、いまのことについてお答えするだけならば、私は、設立の趣意は公共的である、その点は間違いございませんが、できました法律的の性格は一営利会社としてできたものである、こう解釈する以外にないと思います。またそういうことは一向法律上さしつかえないものと心得ます。
  100. 春日一幸

    春日委員 公共の福祉の名において営利の観念を離れて経済活動を行ないます場合、これはすべて特殊法人として特別の法律が制定されてそれによってそれぞれの経済活動がなされておるのでございます。これが立法慣例であり法律常識でございます。それはお認めになりますか。あなたも古い代議士さんであり、しかも弁護士さんです。法曹界の権威、最高のオーソリティです。いささかほめ過ぎたかもしれぬけれども、いずれにしても、いままで公共の目的を達成することを使命として設立された事業体は、特殊法人として特別の法律を設定して、そしてその法律に基づいてその執行が許されておる。これは、憲法上国民平等の原則の上に立って、公共の福祉の名において特殊立法がなされなければ、そういうことは許されていないのであります。しかるに今回の共同証券は、設立趣意書の中にはこれは明らかに公共的使命がうたわれておる、これはもう歴然事項であります。しかるにその形態が一営利会社と何ら異なるところがないということは、これはいままでの立法の慣例、それから法律の常識、こういうものと著しくかけ離れたものであるとわれわれは指摘せざるを得ないが、この点はどうですか。
  101. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 私が関与しないものを弁護に立つのも変でございますが、いまあなたのおっしゃるように、純然たる公共の事業だけをやるものであるならば、公益法人としてやることがよかろうと思いますが、どうもいまの民法の公益法人では株の売買などということができないのじゃないですか。そういうことから、趣意はそういう意味でできたのではあるけれども設立の形は営利法人として設立したのだ、こう解釈する以外にないと思います。
  102. 春日一幸

    春日委員 これは、設立趣意書を読めば、「従来金融機関は、資本市場育成策の一環として株式の買入を個別に行なってきたが、最近の市場状況に鑑み今回株式の買入およびその安定化を、目的として銀行証券協力の下に新会社設立する」とこうあるのでございますから、したがってこれは、証券売買を通じて利潤を得ることを目的として設立されたものではない。市場の安定を第一目的として設立されたものである。そういう公共的使命、性格を持つ事業体である。そういうものが、単なる営利会社、単なる利潤を追及することを目的とする、何ら特殊の使命と性格権限を与えない、そういう事業体のもとでこういう機能が行ない得るか。私は、後ほど伺いますが、いろいろと問題が出てくると思うのです。私は、この問題は、後日法制局をやはりここへ呼んでいただいて法律の疑義をただしていきたいと思います。  そこで私は、問題はこういうことが派生してこないかと思うのでございます。すなわち、今後共同証券業務の伸展に伴うていろいろと損益が生じてくると思うのです。これをどう処置するか。損が出た場合、利益が出た場合、これをどう処理するか。しかし安定を目的とする使命、性格にかんがみて、私は利益よりも損の場合の可能性が多いと思うのです。損害、利益を念頭に置かずして安定をはかることのために売買に出ていかなければならない。現に私はこの間第一期の決算を見たが、たしか六億か何かの赤字でしたね。そうすると株主との関係において商法上、会社法その他の法律関係においていろいろむずかしい問題が出てくると思うが、この点はどうですか。すなわち株主の利益を不当に侵害する、あるいは損失を与うるような執行はそれぞれ商法、会社法において違反事項になっておると思うのです。責任事項になっておると思うのです。こういう関係が派生してくるのはどう思いますか。
  103. 三森良二郎

    三森参考人 いまの法律関係の問題について私詳しくは存じませんが、ただこの会社は、別にお配りをしてあるかと存じますが、「業務運営基準」というものが一つございます。これによりますと、なるほどいまの株式市場の安定という公共的使命を達成することをきわめて重要な目的とするのでありますが、同時に運営に際しては「営利企業体としての経営健全性に十分留意する。」ということがきめられております。
  104. 春日一幸

    春日委員 これは私も十分拝見をして存じております。口の項に「運営に際しては固より公共性を重視するが、営利企業体としての経営健全性に十分留意する。」留意するのと重視するのとどちらが重いのですか。それだから損益というものを念頭に留意しながら、心の片すみにこれをしまいながら、しかし最大の使命というものは市場の安定を確保しなければならぬという公共性にある。そうするとそこへ出資した銀行の株主だとかあるいは証券会社の株主、あるいは産業会社、七十何仕出しておる。そこへそれらの機関あるいは企業体というものが利益を追求することのために出資しておる、その企業体、その機関の株主との関係において背任行為が出てきませんか。
  105. 三森良二郎

    三森参考人 その点につきましては、私どもとしましては資産の健全性ということにつきましては十分留意をしております。もとより株式市場のことでございますから、時に相場の動きがあり、損が出たり益が出たりする、いろいろあると思いますけれども、根本としましては、やはり経営体としての健全性に十分留意をしてまいるつもりでございます。
  106. 春日一幸

    春日委員 それは留意するのですけれども設立の目的から、業務方法書みたいなものの中から、公共性共同証券の使命があるのであるから、そのことを重視する以上損があろうと得があろうと安定をはかることのために売買を第一義的に行動に移していかなければならない、それでなければこういうものをつくったって意味がないのであります。四大証券と同じように損得を追求してフリーな売買をしていけば新会社設立する意味がないのだから、そういう勘定を離れて市場の安定性、公共性を確保することのために売買に出ていくとすれば当然のこと、損失を生じてくる場合、これを顧みず行なっていかなければならない。その場合ここに三百億円共同証券へ出資しておるところの機関並びに企業体、こういうものの株主諸君は自分の出した金がそんな損のほうに使われておることに文句を言わないかということです。損をすることがまのあたりというようなところへその会社が、重役たちが議決して三百億というような大きな金を出資した。私はここに商法上、会社法上その他あるいはいろんな法律の関係があると思うが、少なくともむずかしい問題が起きてくる心配がある。この問題は後日法制局から来てもらって、またいろいろ関係当局に御出席を願って疑義を明らかにいたしたいと思う。問題の頭を出しておくことにいたしたいと思うからあなたのほうもよく御研究を願いたいと思います。  第二点には、買い入れ銘柄の選定ですね。あるものは買う、あるものは買わざる、ある地域で買う、ある地域において買わない、こういうようなことはやはりわが国の独占禁止法上不公正な取引にならないかということです。独禁法の第二条の不公正取引の基準というものは、「不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。」第五号には「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」これはたしか六項目あったと思うのでございまするが、独禁法上の疑義はないか。特定のものを共同証券の重役さんたちが考えて、これこれこれを買おうときめる。公共的性格があるにもかかわらず、その中において買う銘柄をきめていくのだが、いま堀君からの御質問の中にもありましたように、買われた銘柄とそこから落ちた銘柄との間には相当のアンバランスを生じてまいっております。不均衡を生じてまいっておりますね。これは独占禁止法上自由にして公正なる取引、すなわち自由にして公正なる競争の原則、これを根本的にくずしていく形になりはしないか、この点の御意見等はいかがでございますか。
  107. 三森良二郎

    三森参考人 その点につきましてはこの会社は、先ほどいろいろ疑義があるとおっしゃいましたけれども、あくまでも一営利法人でございます。相当の規模の買い入れをやってはおりますが、やはり株主の利益を擁護するために、その買い入れ得る株については、ここにも書いてございますような原則をひとつ設けておるような次第でございます。ただ先ほども申し上げましたように、その結果として現在約二百二十銘柄くらい買っておりまするが、そうしたものはどちらかと思しますると市場のウエートから申しましてかなり高いあれになります。市場安定上相当の効果があります、ほかの直接買わない銘柄につきましても市場のムードがよくなるとか、そういうことを通じて相当の効果は出ておるのじゃなかろうか、かように考えます。
  108. 春日一幸

    春日委員 私は、この問題も御答弁では明確になりませんし、またあなたがその当事者でもあられませんから、そういう問題についてもやはり当事者として御検討願っておきたいと思う。われわれもここにおいて関係当局を呼んでそれぞれの疑義を明らかにしてまいりたいと思う。  次は、その安定操作の問題についてお伺いをいたしまするが、安定操作はやはり相場操縦の一種のものである。したがいましてこれは証券取引法第百二十五条第三項において禁止されておる事柄でございます。これは御承知でございますね。
  109. 三森良二郎

    三森参考人 当社が行ないます株式買い入れは、市場全体の不安を除去する、こういうのが趣旨でございまして、(只松委員「それは主観的な判断だ、中小企業の株は買ってないだろう」と呼ぶ)百二十五条の問題はおそらく個々の株価についての問題と私は聞いておるのでございまするが、その辺のところ……。
  110. 春日一幸

    春日委員 いま只松さんが言われるように、中小企業者の株を買っておるわけでもないし、こういう問題はやはり国の資本市場をいかに正常化するかという立場でわれわれは論じておるのでございますから、疑義のある問題はみずから省みて、ほかの措置をとるなり、立法措置をとるなり、必要な措置を講ずるにあらざれば、われわれの質疑応答は意味をなさない問題である。だからそういう問題についてどうかひとつ、あなたのほうに、なるほどなあと思う点は、これはすみやかに御検討を願わないければならぬと思うのでございます。それはいま申し上げましたように、この問題は、事実上、安定操作でないと、あなた断言できますか。現実に共同証券は本日まで何をおやりになってまいりましたか。それは、何とかして東証ダウ千二百円、これをひとつ防衛しよう、防衛することのために必要なる株を買いささえてきた。これが安定操作でなくて何が安定操作でございますか。
  111. 三森良二郎

    三森参考人 私のほうとしましては、本来の目的は、御承知のように需給のアンバランスがある、そのアンバランスを漸次調整して市場が安定した姿になることを目的としますが、しかし最近になりますと、いろいろな問題のために非常に市場に不安が起こっておる。そうした不安の除去を主として、出動をいたしておる次第でございます。その結果としまして、あるいは千二百円を維持しておるというふうなこともいわれておりまするけれども、これはそれ自体が目的ではございませんで、あくまでも不安を除去して、みな安心して投資できるような措置の一環になりたい、かように考えております。
  112. 春日一幸

    春日委員 私は証券業者というものはそういうことをやってはいけないんだと思うのでございます。すなわち株価の形成は、需要があって供給があるのですね。需要者がその企業体の収益能力あるいは経理内容、こういうものを判断して、これはもうかるし、そして内容がいいといったときに高くなるので、その需要供給を取り次いでいく、需要者に、供給者から株をとってこれを供給していくのが証券業者の本来的任務である。だから需給の取り次ぎにあるのであって、需給の調整というものは本来的に逸脱行為であると思うのです。いわんやここに市場の安定をはかると書いてあるでしょう。証券業者市場の安定をはかるというようなことはおかしいじゃございませんか。市場の安定をはかるためには、安定操作を行なうことなくしてどうして安定せしめることができますか。市場の安定をはかるために設立された会社は、やはり相場の安定をはかるための行為を行なうことなくして安定をはかることはできない。その安定をはかるところの行為というものが、証券取引法第百二十五条によって禁止されておる。もしそれそのような安定操作をやった者は、そのような行為によって形成された価格によって取り引きをした者に損失を生じた場合、損害賠償の責任に任ずる。あなたのほうに損害賠償の民事訴訟を起こしてきたら、あなたのほうはみんな損害を払わなければならぬのですよ。法律はそのことを保障しておるのです。その点はどうでございますか。
  113. 三森良二郎

    三森参考人 安定操作といまおっしゃいましたけれども、私のほうとしましては、個々の株価につきまして、一定の値段とかなんとかということを全然考えてはおりません。全体としまして、そうした不安人気がなくなるようにというために出動をいたしておる次第でございます。
  114. 春日一幸

    春日委員 証券取引法の第百二十五条第三項、この関係を読んでいただくと、そういうことをやってはいけないと書いてあるのですよ。全般のことならやってもいい、個々のことならどうとかこうとかということを書いてございません。そういうような人為的な行為によって値段を上げてもいけないし、下げてもいけない、固定させてもいけない。これは法律がそのことを定めておるのですね。値段というものは上がって、下がって、固定して、それは自然の形でかくあるべきものであって、何らかの操作行為によって上げてもならない、下げてもならない、固定せしめてもならない。それをあなた方は安定をはかることを目的とする会社をつくって、したがってその会社設立の趣意に徹してその行為を展開することによって、ここにダウ相場千二百円というものを安定せしめ、固定せしめておる。これは証券取引法違反の行為ではないか。これは当然の事項じゃございませんか。
  115. 三森良二郎

    三森参考人 繰り返して申し上げまするが、私は法律に非常に詳しくはなく、なお検討の余地があろうかと思いますけれども、いままでの感じでは、この百二十五条は、そうしたいまの不安を除くためにそういう買い出動を禁止するとかいうふうなことではないのじゃなかろうかというふうに考えております。
  116. 春日一幸

    春日委員 これは法律上の問題でございますし、お詳しく検討なさっていないということは遺憾でございます。私は、こういうような憲法論でございますか、独占禁止法の問題でありますか、会社法、商法その他証券取引法、こんなものは社長さんが、弁慶が般若心経をかみ砕いて飲んで会得したように、もう十分消化されておってしかるべきものだと私は思うのだが、十分なる御検討のないことを遺憾に存ずるものでございまするが、しかし専門事項でございまするからこれは御検討を願いながら、本委員会においてもただしたいと思います。  ただ御銘記を願いたいことは、百二十五条第三項の「何人」もとある。法律は、共同証券であろうと日本銀行であろうと何であろうと、何人も政令の定むるとこに違反して、安定操作をしてはならぬと禁止しておるのでございますから、そのことをいまあなた方が、もしそれかりにやっておられるとするならば、これは法律なくしてはやれませんぞ。いまからでもおそくはないから、そのような特殊会社の、特殊法人の法律の制定をなさってしかるべきである。その法律の中に——われわれ委員会がその業務方法について逐条の審議をして、公正妥当なものを発見していく、そういうことでございますから、御検討願いたいと思う。  次は、私の時間があと一、二分でございますから、資金の問題についてお伺いして、あと田中君に譲りますが、安定操作は株式価値、需給関係、経済の市況等からくる相場の自然の大勢に抵抗することはできないし、抵抗するとしてもおの、ずから限界があると思うのでございます。したがって、安定操作を行なっても相場の大勢が漸落歩調を続けるときは、当然のこととしてこの安定相場も下げていかなければならない、あるいは安定操作を取りやめなければならぬと思うのですね。これは当然のことだと私は思うのです。大衆資本、投資信託に一兆何千億というようものがございますから、千億や二千億や三千億で問題の処理はなかなかできない。大衆の動向に歩調を合わせて、下がるものならば安定価格も下げていかなければならない。下がるのをあくまで買いささえしようとすると、無限にこの金が必要になってくると思うのでございますね。それでこの問題についてはどうお考えになっておりますか。今後どれだけの資金量を必要とするか。千二百円のめどを固定せしめることのためには、大体どのくらいの資金を必要とするが。  それからもう一つは、日銀直接融資の段階は一体どの程度からか。いまのところでお買いになっておりまするのが千六百億でありますか、各種資本金が二千億でありますか、いま佐藤さんの質問にもありましたように、当面凍結を必要とするものがかれこれ三千億あるとかなんとかいうことでございますね。それからどんどん増資をしてくるとすれば、これは何らかの形でこの千二百円のダウによって買いささえ、証券市場の安定をはかろうとすれば、じゃんじゃん買っていかなければならぬ。設立されたのだから、この会社が買っていかなければならぬが、その資金量のめどをどこに置いておるか。金融機関から融資を受けることができないとすれば、これは日証金からパイプ融資を受けなければならぬが、またそれにおのずから限度があるとすれば、日銀からの直接融資の道を開いていかなければならぬ。そのことはもうその当初から念頭に置かれて設立された経過がございましょう。これらの三点について御答弁を願います。
  117. 三森良二郎

    三森参考人 繰り返して申し上げますが、私のほうでこの安定と申しますのは、株価を一定のところにささえるという意味では全然ございません。ただ最近特に年末になりまして売りも多く、そうした点につきまして、やはり私のほうは買い出勤しなければ市場が不安な人気になっていくということでございます。その点をわれわれは考えておりまして、一定のいまおっしゃったような、どこにささえるということを私のほうとしては目的と何らいたしておりません。この点ははっきり申し上げておきます。今後なお資金量につきましてはどのくらい要るかということになりますと、これはちょっと……。
  118. 春日一幸

    春日委員 この問題はいま只松君からお話のありましたように、株価市場の安定をはかるためには、値段というものが直接対象になる行為であることは、これは論ずる余地のないことであります。しかし問題はいろいろ投げかけられました。われわれが抱いておる疑問が何であるかもおよそ御理解が願えておると思うのであります。そういうような法律上の疑義機能上の疑義について十分御検討願いまするように、われわれも他に機会を得てさらに検討いたしたいと思います。ありがとうございました。
  119. 田中武夫

    田中(武)委員 春日委員の質問等に関連をいたしましてお伺いをいたします。  実は私はきょうは参考人の皆さんには質問をしない、こういうつもりでおったわけなんです。ところが春日委員の質疑応答の中で確かめておかねばならないことができましたので、それだけを確かめて参考人の方には私はけっこうです。あとは政府委員と論議を重ねたいと思っています。  先ほど三森参考人は、この日本共同証券株式会社は純然たる営利法人であるということを言われたのです。あらためて確認をいたします。日本共同証券株式会社は、証券取引法第二十八条で定むる証券業者であり、純然たる商法に基づく株式会社にあって、営利法人である、はっきりと確認いたしますね。
  120. 三森良二郎

    三森参考人 いまおっしゃるとおりでございます。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣がありませんので、大臣にかわって政務次官にお伺いいたします。あるいは証券局長にお伺いします。先日私の質問に対して、大臣は、趣旨なりあるいは運営基準法を見た場合に、これは純然たる営利法人でなくして、いわゆる公益を追求する法人である、準というようなことばを使われたが、公益法人に準ずるものである、こう言われた、ここに矛盾があると思いますが、いかがですか。なんなら大臣を呼んで大臣の先日の発言の議事録をとって調べてもらってもけっこうですが、大臣発言と、いまの三森参考人との意見の間には矛盾したのが出てきておる、その点いかがですか。
  122. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 先ほど述べましたように、設立趣旨は公益を追求するためにできたものです。けれども公益法人に当てはまる仕事でないものだから、目的はそうではあるが、できたる法律上の形は純然たる営利法人であり商法の会社でございます。そういうことでその点には矛盾はないと私は考えます。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 設立の動機を言っているのではありません。現在の日本共同証券株式会社は営利法人なりやいなや。
  124. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 その点については営利法人であるし、商法の会社であります。設立の目的は、公益のためにやろうというのでできたのだ、これと言うだけです。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ局長、この間の大臣答弁と違いますね。それが一つ。  それからあなたは、この共同証券に対して日銀の融資、現実にまだやっていないが、禁止規定がないからやるとこの間答弁しましたね。日銀法第一条並びに第二条の日銀の設置の目的及び業務の範囲をひとつ考えながら答弁していただきたいと思います。禁止規定がなければやってもいいのか。いま言いますように、出発はそうであったかもしれぬが、純然たる利益追求の私法人ですね。いいですか。そうなりますと、先ほど春日委員からも疑問が出ておりましたように、株式会社であって利益を追求することなくして、損することがわかってやるということなら会社法上の疑問が起こります。商法上の背任罪が出てきます。  さらにここで株価の安定といいますか、市場の安定すなわち証券市場の安定をはかるということ、これは一体何を意味するのですか。証券取引ということ自体は、自由なる取引、自由なる需給の調整の中にあって売買が成立していくことをもってその基礎とするのじゃないですか。それを人為的に操作すること自体が問題である、そのこと自体は証券取引自体を否定する行為である、そう思いませんか。さらに公益を追求というが、一体この場合の公益は何が公益ですか。守ろうとする公益は何ですか。これらについて政務次官、局長から御答弁願います。
  126. 吉田重延

    吉田委員長 田中委員に御了解を求めますが、参考人方々は一時までお願いを申し上げておりましたから、一応参考人に対する質疑は終了いたしたことにいたします。  参考人各位には御多用中のところ、長時間にわたり御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  引き続き政府当局に対し質疑を行なうことといたします。  では、先ほどの田中委員の質疑に対し答弁を求めます。松井証券局長
  127. 松井直行

    ○松井政府委員 大臣発言の矛盾ということをおっしゃいましたが、私もきのうはここにおりました。大臣の御答弁はこうだったと思います。田中委員からの御質問に対し、法律的性格ということにつきましては、田中委員のおっしゃるとおり、一私企業でございますということをはっきりおっしゃいていまして、設立趣旨なりそれが証券市場対策の中において果たそうとしておる機能といいますか、目的からいって、公共性、準公共性があるのだというふうにおっしゃったものと私は信じております。それに誤りはありません。  それから日銀の問題これは先ほど私がお答えしたとおりでありまして、本来的には私からお答えする権限外の問題でございますが、私の考え方をあえて言えとおっしゃるなら、先ほど申したとおりでございます。  それから第三点は、おっしゃるとおり資本主義社会におきます証券市場取引は、これは全く自由な取引である。そこに自然な価格が形成されるということが最も好ましいことであることはおっしゃったとおりでございます。それが一番理想形態ではありますが、経済のひずみその他によって不当に株価が下がることがございます。また不当に上がることがございます。一般投資家大衆の擁護という観点からしますときには、やはり市場機能の急速な回復と、それから異常な要素の入ったときの、そのままのナチュラルなプライスがフェアなプライスであるとはどうしても言い得ないような異常な場合もございますので、こういうときにはやはり一定の新しい資金が入るとかあるいは信用供与を押えるとかという方法をもってして、市場の正常な機能の発揮と投資家保護に資するということにおきましては証券取引法の精神に違反するものではない、むしろ沿ったものであると信じております。
  128. 田中武夫

    田中(武)委員 まず大臣発言ですが、なるほど法律的には純然たる商法上の株式会社であることの確認はしました。しかし大臣は、あくまでこの会社は準公益を行なう会社であると言ったんですよ。議事録を見てごらん。それは二十八条の証券業者であるのか、あるいは商法上の株式会社に間違いないかということの確認はしました。しかし大臣の発言は、現に行なっていることは営利追求ではない、こう言ったのですよ。そのことは趣意書及び運営基準ですか、この中の一体どこが公益なんです。私は春日委員とはちょっと立場が違うのですが、春日委員は趣意書の中に公益性が強いと言われたのですが、どこが公益です。どこが公益追求になっていますか。
  129. 松井直行

    ○松井政府委員 「発起人一同」とございますが、先ほど三森社長から説明がございましたとおり、金融機関が中心になりまして生保、証券業者がこれに入っておるわけでございますが、従来金融機関というものは個別に機関投資家として活動はしてきたけれども、最近の状況にかんがみるときには、共同して金を出して株式買い入れをすることによって証券市場の安定化をしたい、それを目的とする、こう書いてございますわけでございます。
  130. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで守ろうとする公益は何なんです。守ろうとする利益は何です。
  131. 松井直行

    ○松井政府委員 正常な証券市場取引の回復ということでございます。
  132. 田中武夫

    田中(武)委員 私は証券取引法を全部読んでいませんが、商品取引所法にあったから同じような規定があると思うのですが、あなたの言った異常な場合になったときには取引の停止とか何か大臣が命令できるようになっておるでしょう。商品取引所法にはそういう規定があります。証券取引法は全部読んでないからそういう規定があるかどうか知らぬが、そういう操作ができるはずです。
  133. 松井直行

    ○松井政府委員 商品取引所法のことは存じませんが、おっしゃるとおり同趣旨のことでもって特定の銘柄につきまして過当な投機が行なわれるとかという場合にはそれぞれ規制することが必要であり、そういう措置が打たれ得る手はございます。しかしいまわれわれが問題にいたしておりますことは証券市場全体の機能の問題でございまして、特定の銘柄の問題に限った措置じゃないということをあらためて申し上げます。
  134. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっとその条文示してください。特定ということがうたってあるのは何条です。
  135. 松井直行

    ○松井政府委員 百五十五条の法令違反等に対する処分というところの第一項二号でございます。
  136. 田中武夫

    田中(武)委員 この一項二号からそういう解釈になりますか。
  137. 松井直行

    ○松井政府委員 これは取引所に対する規定でございます。
  138. 田中武夫

    田中(武)委員 市場と違うだろう。
  139. 松井直行

    ○松井政府委員 いえ、取引所が開設しております市場にこういう事態が起こった場合ということでございます。
  140. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど申した守ろうとする公益ですね。異常な状態が起きたら一体どうするのか。異常なる状態が起きたら法律によって打てる手は打つべきである、そういう——ヌエ的と春日委員は言ったですが、株式会社で公益を行なうなんというものはあり得ないのです。さらに日本銀行のこともあなたは専門じゃないというけれども、あなたは禁止規定がないからやると言った。ところが二条には、日本銀行は国家目的に沿うて運営せいとなっている。そのことが国家目的なんですか。共同証券をつくったことが国家目的ですか。
  141. 松井直行

    ○松井政府委員 国家目的を達成するために、国家の意思の発動があってできたものではございません。これは金融界を中心にいたしまして、現在特に資金がないときにはさらに応援しようという態勢を示しておりますが、流通市場ひいては発行市場機能を早く回復したいということでもって、その趣旨に賛成しかつ資金力のある方が集まってつくったものでございまして、戦前におきましてもこれと同じような形態の民間ベースで五、六回株式の買い上げ機関ができております。ただ法律によってできたものはまさに有史以来の大戦争をやったときに、戦時金融金庫ができまして、たしか三億円の資本金のときに政府が二億円出資してつくったというときに、初めて法律による買い上げ機関ができたというのがわが国の歴史でございます。
  142. 田中武夫

    田中(武)委員 戦時中のいわゆる統制経済、そういうことを言っているのではないのです。統制の上に立ったら、証券取引なんてあり得ないのです。かりに国家目的に沿うというか、公益ということであるなら、むしろ先ほどやじに出ておったように、中小企業等でどんどんつぶれていくやつを何とかそこで操作をして、操作というかてこを入れてもたすというのがほんとうじゃないですか。やっていることは大会社のことばかりをやっているじゃないですか。それが公益ですか。とにかくいかに言おうとしても、木に竹をついだことになるのです。やるならあくまで株式会社として、政府から、日銀から融資するとかばかなことを言わずに、純然たる株式会社でやるか、でなければ法律を改正し、特殊法人をつくってあるいは公益だというなら民法法人でもいいだろうがそれでやるか、どっちかにしなくちゃ、これはいかに言いのがれしても中途はんぱです。木に竹をついだものです。そうでないといえますか。設立は公益性をもって出発したとこういう。実体は利益追求の私法人、会社法人である、それで筋が通るのですか。しかもここへきて先ほど三森社長は純然たる利益追求の会社でございますと言った。社長がそれまで言っているのに何で大蔵省や君たちが弁護したりする必要があるのだ。
  143. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 弁護しているのではありません。先ほどから言うように、これは日銀で解釈すべきものですが、私たちに質問があるから、私はそうだと答えるだけで、あえてそれを強弁するつもりはありませんが、それは目的は、公益を追求するつもりではありますけれども、形は私益法人でやるよりはかなかった。だから、純然たる、営利法人たる会社ととしてやっておりますけれども、することはできるだけひとつ公益に沿うようにやりたい、こういう考えでありますと、そういうだけで、法律的に何もかも公益を追求しておるとばかりは申されぬのです。趣旨はそういうことです。
  144. 田中武夫

    田中(武)委員 業務の運営基準というものをこの間大臣が言ったのですよ。これを見て、公益性をあえていうならば、市場の安定をはかる云々だけですよ。しかし、出資を取り扱う金融会社とか証券会社や、出資する人自体が公益を追求するんじゃないですよ。私益を追求するんですよ。しかも、この金融会社だとか証券会社が金を出し合って共同証券をつくったというのは、究極のところは、自分たちがもうけるためですよ。そうじゃないですか。あまり大きなダウンをしたら、金融会社なりあるいは証券会社それ自体が不測の損害をこうむるから、やっておるんでしょう。どこに公益性があるのですか。この基準では、公益性はこれだけでしょう。あとは全部公益性じゃないですよ。あるいは、一〇%をこえたら云々ということが五項目にあるが、これは独禁法にも書いてあることでしょう。これをこえたら独禁法違反なんです。こんなものを、どこを見ても、公益性だということは言えますか。これは大臣が言ったのであって、あのときには、私はこの資料を持っていなかったから、十分討議しなかったので、委員長あとで大臣をやります。この前の議事録を見た上で、こんなぬえみたいなことを言っておるやつに相手になってもしようがないですよ。
  145. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 それは、私として答えられることは答えますが、大臣は私がいま言ったことを述べたんだ。ただ、法律家ではありませんから、私が言うように、さい然と区別して言わなかっただけで、そういう意味に私は解釈しております。いまでもそうだと思います。  それから、なるほどやっておる人はみな営利法人の首脳者でありますが、幾ら営利法人のものであっても、公益性のものをやらぬとは限らぬと思います。営利の追求者ではありますけれども、できるだけ公益にひとつやりたい、こういうことでつくった会社でございます。こういうことなんです。
  146. 田中武夫

    田中(武)委員 今日、一株式会社といえども、社会性を無視しては存在しないのです。これはメーカーであれ、商業であれ、証券会社であれ、全部社会性を否定しては存在しないのですよ。その意味において、あなたの言うのはあたりまえだ。しかし、私の言っておるのは、金融会社なり証券会社が金を出し合って設立したのだ、なるほど安定をはかるんだということ自体は、究窮のところは、自分たちの不測の損害を排除するとか、そういうことが目的なんです。どこに公益性があるんです。それを日本銀行が金を出すのはもってのほかだ。法律を改めて出直しなさい。それとも、現在の法律であくまでやれるというのなら、あなたは弁護士、法律論を一ぺんやりましょう。当然法律を改正すべき、あるいは特殊法人をつくる、そうじゃないでしょうか。
  147. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 あなたと私と討論してもしようがないんだから、ここでただ私の考えを述べるだけで、あなたのお考えを聞きまして私の考えを述べておるだけですが、私はいかに営利事業者であるからといって、彼らは必ずしも公益でないんだ、口で言っておるが、営利を追求しておるんだ、そうは言われぬと思います。しかし、それはもっと深く掘ってみなければわかりませんが、私は幾ら営利を追求する人でも、仲間で、ひとつ公益ということをやろうじゃないか、また私は、この点はやっておるものだと考えるのであります。  それからその次に、あなたのおっしゃるようにそれならば、もし損がいけばどうするか、これはどうもいわゆるその道の何というかベテランどもが寄ってやっておるのですから、おそらく私は、最後は損はせぬと思ってやっておると思いますが、それでも、もののいきさつですから、損するかもしれぬと思います。それはやった人の見誤りなんだから、自業自得でしょう。けれども、私はそれがゆえに、頭から公益のことをやめてしまって、初めからもうけることばかりやっておるとは限らぬと思いますが、しかし、それは私の考えでよ。そう思っております。
  148. 田中武夫

    田中(武)委員 まず前段からいきましょう。私は先ほど言ったように、いかなる株式会社にせよ、今日社会性、公益性を全然排除しては存立しないということは、今日の社会情勢からいって当然なんです。しかしそれらの人たちがやること自体が、公益を全部無視しておるとは言ってないのです。ただしその人たちが、いわゆる何々銀行とか、何々証券株式会社の人たちが出資をした、その行為が純然たる公益だけでいくとするならば、私益追求でなかったとするならば、その人自体がもとの会社なり銀行からいえば、商法上の背任罪が成立しますよ。しないですか、弁護士どうだ。
  149. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 それは先ほどから何べんも言うように、幾ら営利を追求する会社の重役であっても、公益に携わらぬとは言われぬということは、これはあなたも御承知のとおり。ところが商売をやってみた、損したらどうするか、これはあの人たちはベテランですから損せぬものと思ってやっておりますが、それでも損する場合がないとは限らぬが、それならば損したとすれば、これに出資する責任者の見誤りであった、それならば背任罪になる、私はそうは思わぬ。背任というのは損をさせてやろうというのです。そういうことはないと思ってやったんですから、そのかわり会社に損をさせたというので重役としての責任は負わなければならぬでしょう。それはあり得ることだと思いますが、背任罪にはならぬと思います。
  150. 田中武夫

    田中(武)委員 私が言っている背任罪というのはその行為ではない、出資行為なんです。いまあなたの説明したのは、共同証券の役員が売買行為をしたそのことを言っておる。私はそうではなしに、その共同証券に対しての出資の行為、これは法人の代表としてやったんだ、会社の代表としてやったんだ、その会社が私益追求だけでなく、公益のことだけであってもうけをやらないのだ、こういうことであるならば、その出資行為自体が背任じゃないかというのです。違いますか。  もう一つ、あなたは究極的には損をしないだろうと思う、こう言っているのですよ。ベテランの人がやるのだから、そのことと公益性とはどうつながります。結局は公益云々ということを看板に掲げて、実際は自身がもうける行為ではないですか、違いますか、あなた自体が言ったではないですか、ベテランだから結局は損をしないだろうと言っておるけれども、結局公益を追求しているんでしょう。だから設立趣意書にどんなことが書いてあっても、こんなものは公益性を裏づけるものではないでしょう。あくまでも純然たる会社法に基づく会社なんですよ。それに公益云々言うからむずかしくなる。そうして市場を安定させるというようなことなら、それは独禁法の問題も出てきましょう。  またあらためて公正取引委員会、法制局、大蔵大臣に来てもらって、この続きをやることにして、きょうはおきます。勝負がつきません。しかも責任ある人でないから、またやります。
  151. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 私益法人の重役だから必ず私益追求だけでやるのだ、あなたはこう言われる。私は私益追求もやろうが、公益の面もあり得るのだ、これは公益の面を主としてやったんだ。しかし商売ですから、もうかればもうかってとって、それは公益性がないじゃないか、そうはいかない。公益性のことをやっても、もうけがあるかもしれない、損をする場合もあり得る、それはやむを得ぬ。
  152. 田中武夫

    田中(武)委員 私が何回も言っているように、現在の社会機構の中にあって、いかなる会社といえども、公益性、社会性を無視しては存在しないということを前提にしてやっておる。したがって営利法人の役員であっても公益のこともやるかもわからぬ、やってあたりまえなのです。やらなければいけないのです。しかしそれだけで、出資する行為は会社の性格からいったら違うでしょう。あなたが言うように、あくまでも公益だけのことをやるならば、その行為自体が背任罪にならないかというのです。そうでしょう。ここに、何といったって、木に竹をついだということはいなめない事実なのです。それは認めるでしょう。公益追求ならば、あくまでも特殊法人をつくるなりあるいは民法法人でもつくって、そうした場合は証券取引法を改正して、二十八条を株式会社でなければいかぬということではなしに改めるか何かしなければ、現在の法制のもとにおいて、いまやっていることはあくまでおかしい。それだけ言っておきます。      ————◇—————
  153. 吉田重延

    吉田委員長 本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  本会期中付託になりました請願は百三件でありまして、その取り扱いにつきましては先日理事会において協議いたしたのでありますが、この際直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 吉田重延

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中、日程第一ないし第四、第六、第一八ないし第二〇、第二三ないし第二六、第三六、第三八ないし第四一、第四七、第四九ないし第五八、第六三ないし第七八及び第九一ないし第一〇二の各請願につきましては、おおむねその趣旨が妥当と思われますので、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 吉田重延

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 吉田重延

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  157. 吉田重延

    吉田委員長 なお、本会期中参考送付されました陳情書は二十八件でありまして、印刷して配付しておきましたから御了承下さい。     —————————————
  158. 吉田重延

    吉田委員長 閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  安宅常彦君外九名提出の国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案、有馬輝武君外十二名提出の酒税法の一部を改正する法律案、製造たばこの定価の決定は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案の各案につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 吉田重延

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、申し出の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十四分散会