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1964-12-16 第47回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十六日(水曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 丹羽喬四郎君    理事 加藤 高藏君 理事 正示啓次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 福永 一臣君    理事 岡本 隆一君 理事 兒玉 末男君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       大倉 三郎君    木部 佳昭君       佐藤 孝行君    砂原  格君       田村  元君    山本 幸雄君       渡辺 栄一君    井谷 正吉君       金丸 徳重君    久保田鶴松君       西宮  弘君    玉置 一徳君       吉田 賢一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 小山 長規君         国 務 大 臣 高橋  衞君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  向坂 正男君         建設政務次官  白浜 仁吉君         建設事務官         (大臣官房長) 前田 光嘉君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         参  考  人         (日本道路公団         副総裁)    佐藤 寛政君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     内田  襄君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 十二月三日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として小  平忠君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員小平忠辞任につき、その補欠として玉置  一徳君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員砂原格辞任につき、その補欠として松田  鐵藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松田鐵藏辞任につき、その補欠として砂  原格君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月五日  関東ローム地域道路整備特別立法等に関する  請願唐澤俊樹紹介)(第三四一号)  同(原茂紹介)(第五〇七号)  九州縦貫高速自動車道建設に関する請願山中  貞則紹介)(第三六七号)  二級国道人吉川内線整備に関する請願(池  田清志君紹介)(第四三五号)  県道川内祁答院線整備に関する請願池田  清志君紹介)(第四三六号)  県道北薩線の二級国道編入に関する請願池田  清志君紹介)(第四三七号)  水俣宮崎間二級国道二六八号線改修に関する  請願池田清志紹介)(第四三八号)  川内川上流改修費増額に関する請願池田清  志君紹介)(第四六〇号)  県道大口真幸線宮崎県側未改良区間早期完成  に関する請願池田清志紹介)(第四六一  号)  上真幸橋架替え促進に関する請願池田清志  君紹介)(第四六二号)  九州縦貫自動車道建設に関する請願池田清志  君紹介)(第四六三号)  二級国道宮崎水俣線舗装に関する請願池田  清志君紹介)(第四六四号)  宮崎真幸町の都市計画事業に対する国庫補助  率引上げに関する請願池田清志紹介)(第  四六五号) 同月十一日  地方道整備等に関する請願野呂恭一君紹  介)(第五八一号)  九州縦貫高速自動車道建設に関する請願池田  清志君紹介)(第七三六号)  西宮地区河川高潮対策事業に関する請願山口  丈太郎紹介)(第七七六号)  日光神橋付近由緒景観保全及び交通上の施  策に関する請願今松治郎紹介)(第七七八  号) 同月十五日  公営住宅使用料割増料徴収基準額引き上げに  関する請願原茂紹介)(第一七三四号)  中国四国横断自動車道早期建設に関する請願  (足鹿覺紹介)(第一七四四号)  一級国道九号線米子市内公会堂商工会議所間  の改修に関する請願足鹿覺紹介)(第一七  四五号)  中海宍道湖沿岸線国道編入に関する請願  (足鹿覺紹介)(第一七四六号)  加茂川改修に関する請願足鹿覺紹介)(  第一七四七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月四日  公営駐車場設置促進等に関する陳情書  (第四六三号)  中小都市における路外駐車場設置促進に関す  る陳情書  (第四七五号) 同月十五日  都市整備関係事業促進に関する陳情書  (第四  九三号)  下水道事業に対する補助率引き上げに関する陳  情書(第四九  九号)  下水道事業整備促進等に関する陳情書  (  第五〇〇号)  同  (第五〇一号)  同(第五〇二号)  同  (第五〇三号)  同  (第五〇四号)  同  (第五〇五号)  同  (第五〇六号)  同(  第六一七号)  同  (第六一八号)  同  (第七二八号)  同  (第七二九号)  同  (第七三〇号)  同  (第七三一号)  豊平峡ダム建設促進に関する陳情書  (第五〇七号)  一級国道四十五号線の整備促進に関する陳情書  (第五〇八  号)  勤労者住宅政策に関する陳情書  (第五〇九号)  中国自動車道建設促進に関する陳情書  (第五一〇号)  車両制限令対象事業国庫助成に関する陳情書  (第五一三号)  建設省直轄工事に対する地元建設業者指名参  加に関する陳情書  (第五一四  号)  低額所得者住宅施策強化に関する陳情書  (第五一五号)  関東ローム地域道路整備に関する陳情書  (第五一七号)  同(第五一八号)  住宅政策確立に関する陳情書  (第五一九号)  同(第五二〇  号)  近畿圏整備開発促進に関する陳情書  (第五二一号)  道路網整備促進等に関する陳情書  (第五二二号)  同  (第八四〇号)  八戸市、野辺地町間の二級国道指定に関する陳  情書  (第五  二三号)  住宅金融公庫の標準建設費引き上げに関する陳  情書  (第五二四号)  公営住宅建設基準単価増額等に関する陳情書  (第五二六号)  車両制限令に伴う市道拡張費国庫補助に関する  陳情書(第  五二七号)  公営住宅処分制限の緩和に関する陳情書  (第五二八号)  吉野川北岸道路改修促進に関する陳情書  (第五二九号)  積雪寒冷地道路舗装改良事業費国庫補助等に  関する陳情書  (第五三〇号)  下水道施設設置費国庫補助増額等に関する陳情  書  (第六一九号)  東京湾岸道路建設促進に関する陳情書  (第六六〇号)  道路交通網整備に関する陳情書  (第六六六  号)  公営住宅建設費財源措置に関する陳情書  (  第六六八号)  豊似、新吉野間産業開発道路開さくに関する  陳情書  (第六六九号)  大樹橋架替え等に関する陳情書  (第六七〇号)  札内川上流治水砂防事業促進等に関する陳情  書(第六  七一号)  西足寄原野中央幹線道路改良に関する陳情書  (第  六七三号)  大雪山縦貫十勝、上川間の産業開発道路開さく  に関する陳情書  (第六七四  号)  二級国道帯広浦河線野塚市街舗装等に関す  る陳情書  (第六七五号)  二級国道広尾帯広間の舗装工事早期着工に関  する陳情書  (第六七六号)  旧大津道路産業開発道路昇格に関する陳情書  (第  六七七号)  瀬戸大橋の架設促進に関する陳情書  (第六七八号)  東京湾横断路線建設に関する陳情書  (第六七九号)  道路網整備等に関する陳情書  (  第六八一号)  利別川水系治水事業促進等に関する陳情書  (第六八二号)  十勝川の一級河川指定等に関する陳情書  (第六八三号)  防災街造成事業促進に関する陳情書  (第七二七号)  公園等に対する国庫補助わく拡大等に関する陳  情書(第七六  二号)  中国四国及び九州連絡道路建設促進に関す  る陳情書  (第  七九一号)  高潮対策事業促進に関する陳情書  (第七九二号)  治水新五箇年計画の実現に関する陳情書  (第七九三号)  下水道事業促進に関する陳情書  (第七九  四号)  都市下水道事業国庫補助率引き上げに関する  陳情書  (第七九五号)  建築申請及び確認事務の移譲に関する陳情書  (第七九六号)  公営住宅等建設促進に関する陳情書  (第七九七  号)  市道整備充実等に関する陳情書  (第八一〇  号)  近畿圏基本整備計画基本方針第一次試案に関す  る陳情書  (第八二八号)  水源確保のための財政援助に関する陳情書  (第八三三号)  首都三多摩地区下水道建設総合計画促進等に  関する陳情書  (  第八三四号)  住宅供給公社案反対に関する陳情書  (第八三五号)  近畿四国連絡橋架設促進に関する陳情書  (第八三六号)  道路直轄事業負担金財源措置に関する陳情書  (第八三七号)  住宅建設促進に関する陳情書  (第八三八号)  陰陽連絡道路建設整備に関する陳情書  (第八三九号)  後進地域道路整備に関する陳情書  (第八四二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  建設行政基本施策に関する件  請 願    一 長野県南信濃村の中橋架替えに関する      請願原茂紹介)(第四二号)    二 東北自動車道早期着工に関する請願      (森田重次郎君外三名紹介)(第六三      号)    三 緑川等改修事業促進に関する請願(大      泉寛三君外三名紹介)(第一二二号)    四 大谷川改修事業促進に関する請願(川      野芳滿紹介)(第一二三号)    五 関東ローム地域道路整備特別立法等      に関する請願井出一太郎紹介)(      第二五七号)    六 同(小川平二紹介)(第二五八号)    七 同(吉川久衛紹介)(第二五九号)    八 同(倉石忠雄紹介)(第二六〇号)    九 同(小坂善太郎紹介)(第二六一      号)   一〇 同(下平正一紹介)(第二六二号)   一一 同(中澤茂一紹介)(第二六三号)   一二 同(羽田武嗣郎紹介)(第二六四      号)   一三 同(増田甲子七君紹介)(第二六五      号)   一四 同(松平忠久紹介)(第二六六号)   一五 同(唐澤俊樹紹介)(第三四一号)   一六 同(原茂紹介)(第五〇七号)   一七 九州縦貫高速自動車道建設に関する請      願(山中貞則紹介)(第三六七号)   一八 二級国道人吉川内線整備に関する      請願池田清志紹介)(第四三五      号)   一九 県道川内祁答院線整備に関する請      願(池田清志紹介)(第四三六号)   二〇 県道北薩線の二級国道編入に関する請      願(池田清志紹介)(第四三七号)   二一 水俣宮崎間二級国道二六八号線改修      に関する請願池田清志紹介)(第      四三八号)   二二 川内川上流改修費増額に関する請願      (池田清志紹介)(第四六〇号)   二三 県道大口真幸線宮崎県側未改良区間      早期完成に関する請願池田清志君紹      介)(第四六一号)   二四 上真幸橋架替え促進に関する請願(      池田清志紹介)(第四六二号)   二五 九州縦貫自動車道建設に関する請願(      池田清志紹介)(第四六三号)   二六 二級国道宮崎水俣線舗装に関する請      願(池田清志紹介)(第四六四号)   二七 宮崎真幸町の都市計画事業に対する      国庫補助率引き上げに関する請願(池      田清志君紹介)(第四六五号)   二八 地方道整備等に関する請願野呂恭      一君紹介)(第五八一号)   二九 九州縦貫高速自動車道建設に関する請      願(池田清志紹介)(第七三六号)   三〇 西宮地区河川高潮対策事業に関する請      願(山口丈太郎紹介)(第七七六      号)   三一 日光神橋付近由緒景観保全及び交      通上の施策に関する請願今松治郎君      紹介)(第七七八号)   三二 公営住宅使用料割増料徴収基準額引      き上げに関する請願原茂紹介)(      第一七三四号)   三三 中国四国横断自動車道早期建設に関      する請願足鹿覺紹介)(第一七四      四号)   三四 一級国道九号線米子市内公会堂商工      会議所間の改修に関する請願足鹿覺      君紹介)(第一七四五号)   三五 中海宍道湖沿岸線国道編入に関す      る請願足鹿覺紹介)(第一七四六      号)   三六 加茂川改修に関する請願足鹿覺兄      君紹介)(第一七四七号)      ――――◇―――――
  2. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  ただいま議題となりました各請願につきましては、請願文書表等により、委員各位もその内容を御承知のことと存じますが、先刻、理事会で御協議を願った結果、本日の請願日程第一ないし第一六、第一八、第一九、第二一ないし第二四、第二六、第二八、第三〇、第三三、第三四、第三六、以上の各請願は、いずれもその趣旨は適切妥当と認められますので、衆議院規則第百七十八条の規定によりまして、採択の上、内閣に送付すべきものであるとの結論を得ましたので、そのように決定するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、以上の各請願に関する報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  5. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は八十六件であります。御報告申し上げます。      ————◇—————
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  本件調査のため、本日、参考人として、道路公団副総裁佐藤寛政君、及び同理事内田襄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡本隆一君。
  8. 岡本隆一

    岡本委員 企画庁長官にお尋ねしたいと思います。  去る十一月に中期経済計画なるものが発表されましたが、これを見ますと、今後五カ年間の政策基本的な方向を定めたもで、政府は勇断をもってこれを推進せよ、こういうふうなことでございますが、政府はこの中期経済計画に従って、今後五カ年間の方針を進めていかれるのかどうか、まず、それから伺いたい。
  9. 高橋衛

    高橋(衞)国務大臣 お話のとおり、先月の十七日に、経済審議会から、中期経済計画内閣総理大臣答申されたわけでございます。  御承知のとおり、この中期経済計画は、昨年所得倍増計画経済審議会において検討しました結果、実績計画とが相当乖離がございますので、あらためて三十九年度から四十三年度に至る五カ年間に対する計画を立てることが妥当であるという意見がございましたので、その意見に基づきまして、今年の一月に経済審議会諮問をいたした次第でございます。その諮問に対して、経済審議会におきましては、約二百名に近いところの各界の専門家がお集まりになって、総合的に全般の計画を検討せられまして、そうして答申があった次第でございます。  しこうして、この中期経済計画は、どちらかと申しますと、いわゆる科学的な計量経済学手法に基づいて、相互経済諸要素の間の関連ということに非常に重点を置きまして、最新の科学的な手法を用いて、その間にそごのないように、整合性がとれるようにという観点からでき上がっているものでございます。そこで政府といたしましては、この答申趣旨を十分に尊重いたしまして、これからの政策運営基本といたしていきたい、かように考えておる次第でございますが、党並びに政府部内において、いろいろこの問題について意見の調整中でございまして、これをそのまま政府方針とするという段階には、まだ至ってない次第でございます。
  10. 岡本隆一

    岡本委員 実は私が建設委員になった一番の動機は、私の住んでおる地域というものは水害の常襲地帯で、だから何とかして私の住んでおる地域から水害をなくしたい、こういうふうな考え方から、私の本来の職業から見れば畑違いの建設畑に入ってきて、国会の中で努力しておるのであります。  そこで、先般、昨年でございますけれども、建設省では、八兆三千億の治水水系計画を立てまして、大体、一級河川については十二年の間、また二級については十五年の間に水害をなくしよう、こういうふうな長期計画を立てたわけであります。私はそれを見まして、 この調子で進めば非常にけっこうだというので、ほっとしたというふうな心境になっておったのであります。そしてまた、その最初の五カ年計画として、先年、昭和三十五年に定められた治山治水緊急措置法に基づくところの十カ年計画、その中の後期五カ年計画を、昭和四十年度から出発させようという計画も立てておるのでありますが、その規模ですら、十五カ年の水系計画を完遂するのには、最初の出発の五カ年としては少し小さいのではないか、こういうふうに私は案じておった。ところが、この中期経済計画を見ますと、それをさらに大きく下回るところの治水というものが出ておるわけなんで、こういうことになりますと、建設省が先年立てました治水水系計画というものは、全く絵にかいたもちになってしまって、これでは建設省が抱いておった夢も、またそれに大きく期待しておったわれわれの考え方も全く打ち砕かれてしまう、こういうことになるのでございますけれども、今度の佐藤内閣一つの大きな重点施策社会開発である、こういうことであります。きょうの新聞なんかを見ますと、社会開発ということばの一番わかりやすい説明は、住みよい社会をつくることだ、こういうふうな意味のように報道されております。そういうふうに説明されますと、非常にわかりやすいことばになってまいりますが、しからば住みよい社会をつくるということの中に、国土保全治山治水というものはどういう位置を占めるのか、こういうふうに治水計画というものを縮小してしまって、住みよい社会がはたしてできると思っていられるのかどうか、そういう点について、まずお伺いしたいと思います。
  11. 高橋衛

    高橋(衞)国務大臣 御承知かと存じますが、この中期経済計画においては、二つ前提を置いておるのでございます。その一つは、昭和四十三年度において、国際収支経常収支バランスがとれるということ、これが一つ前提条件でございます。過去何回も、国際収支の壁にぶつかって引き締めを繰り返してきたことは、御承知のとおりであります。今後、開放経済体制に入りました以上、国際収支を、短期資本その他のものに依存せずして、経常収支においてバランスをとるということがぜひとも必要であるという観点から、昭和四十三年度においては、経常収支においてバランスをとるということを一つ前提条件にいたしております。また、過去三年度間消費者物価指数上昇率が六%台を続けたということで、これまた異常な状態でございますので、何とあっても消費者物価を安定させたい、これをもう一つ前提条件といたしたような次第でございます。その二つ前提条件のもとにおいて、農業、中小企業等の、生産性上昇の立ちおくれておる部面に対する問題、または労働の流動化の問題、または社会資本民間設備投資に対して相当おくれているというふうな点、それからただいまお示しのございました国土保全治山治水の面、それらの点等重点を置きまして、そして作成されたものがこの中期経済計画、こういうことに相なっておるわけでございます。しこうして、そうした前提条件を置いてずっと相互連関関係整合性を保ちながらやってまいりますと、どうしてもこの五カ年間におけるところの社会資本投資は、十七兆八千億円をこえては結局国際収支バランスがとれないという結論に達したわけでございます。もちろん先ほども申し上げましたとおり、民間設備投資に対して社会資本相当に立ちおくれているという事実は、われわれも認めておる次第でございますが、その立ちおくれを戻す場合におきましても、国際収支バランスがとれるということ、また物価を安定せしめる、この二つの目的を達成させるのにはどの程度が限度であるかというその限度を計算しました結果が、五カ年間で十七兆八千億円、こういうことに相なっておるわけでございます。しこうして、治山治水に関しましては、災害復旧費はその他の行政投資ということで、別の項目に入っておりますが、それを除いたところの治山治水につきましては、この五カ年間で約九千億円というものが割り当てられておるのでございます。これを昭和三十八年度から以前の五カ年と比較いたしますと、過去の実績に対して大体二倍になっておるのでございます。もちろん、私どももこれで十分だという感じを持っているわけではございません。したがって、それらの点は、中期経済計画自体におきましても、各項目についての配分その他は、その年の情勢を見きわめた上で、しかも相互連関を考えながら、弾力的にこれを取り扱うべきであるということを答申自体が述べておる次第でございます。そういうことで、政府部内において、あるいは党との関連において、これらのことは十分に検討した上、措置をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 岡本隆一

    岡本委員 私は、経済のことには明るくございませんので、そういう国際収支であるとか、物価の問題について議論するつもりはございませんが、しかし国際収支バランスがとれないとか、物価値上がりになったとかいうふうなことは、貿易の自由化を急いだことがしわ寄せになってきておる、これはあなたと私と見解が違うから、これについて議論をしてもきりがございませんが、しかしながら、国民が望んでおるのは、とにかく平和な、そしてまた安らかな生活ができること。ところが水害襲地帯の住民というものは、一年に一回ないし二回どっぷり軒先までつかるというような水害を、年中行事として恒例のように受けなければならない。そういうふうな地域に取り残されておる者にとっては、物価値上がりよりも、あるいはまた国際収支の問題よりも、何よりも水害をなくしてほしいというのが大きな願いであると思います。しかも、これは国民の中の部分的な問題である、だからそういう部分的なものは、幾ら困っておってもほっておいていいと、まさかこういう考え方でないと思うのです。しかも、それが元来からの宿命であればやむを得ないと思うのです。最近出てきておりますところの水害襲地帯というのは、これは、従来浸水しなかったところがだんだん浸水するようになってきております。たとえて言えば、川の上流改修いたします。そういたしますと、その水はどんどん下流へ早く流れてまいります。しかもその下流のほうに狭窄部がありますと、狭窄部の上では非常に広範な湛水地域というのが、続発的に、二次的につくられてくるわけです。だから二十年、三十年前までは、ことに戦前はそういう水害襲地帯でなかったところが水害襲地帯になってきたというふうなところが、私どもの地元にもたくさんございます。そういうようなところの水害をなくする措置というものは、何をおいても、国の施策の結果として二次的に発生してきておるというふうなところについては、やはり行政の担当者はその苦痛を除いてやるということは当然やらなければならない。しかも、それがなされないで物価の安定を幾らやっていただいても、その地域の住民にとっては、それ以上の大きな犠牲を払わなければならない、こういうことなんです。だから私どもは、この前の河川法の改正のときにも、そういうふうに二次的に派生したような水害襲地帯の災害というものは、政府が責任を持って配慮しなければならぬということを、法律の中へ一本うたえということを強く主張したのですが、それがいれられなかったのであります。しかし、やはり行政の面では、そういうふうな形の政策というものが行なわれなければならぬと思うのでございますが、それでは、中期経済計画の中で、物価はとにかく安定させなければいかぬ、国際収支バランスを保たなければいかぬ、そのためには、社会資本は十七兆八千億より投資できないのだ、だから水害襲地帯の人は当分じっとそのまま、その五カ年計画を過ぎてもなおかつ、水に毎年どっぷりつかるのをしんぼうして待っていてもらいたい、こういう御意向なんですか。
  13. 高橋衛

    高橋(衞)国務大臣 戦時中、戦後久しい間、治山治水の事業がどちらかと申しますと、非常におくれておったということの原因もございますし、また山における乱伐等の原因もあるのでございましょう。災害が非常に多く、しかもその災害の結果として、多数の人命を失い、また国民の資産にたいへん大きな損失を及ぼし、ことにその被災者に対しては、たいへんお気の毒な状態を現出してまいったということについては、私どもも非常な関心を払っておる次第でございます。したがって、治山治水の重要性については、私どもも何人にも劣らぬ認識を持っておるつもりでございます。しかしながら、おのずから財政には限度がございますし、また九千億円で十分だという感じを私ども持っておるわけではございませんが、したがって、政府計画といたします際にそれがどうなるかという問題について、まだ政府方針がきまっているわけではございませんが、ただ三十八年度以前の五カ年と比較しますと、先ほど申しましたとおり、約倍額になっているという点からお考えくだされば、この中期経済計画においても、治山治水の重要性というものを相当大きく評価しているということはおわかり願えるのじゃなかろうかと存じます。
  14. 岡本隆一

    岡本委員 公共投資が非常におくれておったことが今日の公害の原因なんです。それは道路についても、自動車は、どんどん自動車会社にはつくらすけれども、道路はちっとも広げておかなかったということのために、交通麻痺が起こっておる。また河川をつくらないで都市がどんどん膨張していくのを放置したから、結局東京の水飢饉というものが起こってまいりました。だから、そういうような公共投資が非常に経済の発展に立ちおくれておるのが、今日の日本のさまざまな公害の原因であり、それがいわゆる経済のひずみである、こう言われておる限りにおいては、やはりおくれたその公共投資というものはどんどん進めていかなければ、この今日までの政治の誤りを回復することはできない。だからわれわれは、むしろこの所得倍増計画の前期の五カ年の間に非常に民間設備投資をあおられて、そのことのために一そうおくれたままに置かれている公共投資が、その伸び悩みが、今日の大きなさまざまな社会悪の原因になっておることを考えたら、私は、経済バランスとかそういうふうなことを考えるよりも、むしろ公共投資をどんどん進めていくことのほうがより大事ではないか。そしてまたその日本の水行政の姿を見ましても、水をつくるのに、その河川に対する大きな投資なしにそれを放置したことが、いまあわてて水をつくることに専念しなければならぬというふうなことになってきておると思うのでありますが、それでは、一体企画庁長官は、その水の行政の中で、治水と利水とどっちが優先すべきなのか、どっちを先にとるべきものであるというふうに考えておられるか、ひとつそれについての考え方をお聞きしたいと思います。
  15. 高橋衛

    高橋(衞)国務大臣 私個人の見解を申し上げますよりも、中期経済計画答申においては、まず第一に、過去十カ年における災害による被害が、人命において年平均千七百人になっておる。負傷者が九千三百人、それから水害によるところの資産の被害額が年間二千四百億円というようなふうに、非常に大きな金額になっておりまする立場から、まず治水重点を置いて、そして治山治水重点を置いて、その面からいろいろ考慮が払われておるようでございますが、同時に最近、先ほどもお示しのありましたとおり、東京都における水飢饉の問題、または各工業用水の非常な不足の見通しの問題その他から考えまして、治水をやる際においては、同時に利水を考えていくべきであるというふうな観点から、治水工事をやる場合において、利水の要素を必ず取り入れるという考え方を持って、答申されておる次第でございます。
  16. 岡本隆一

    岡本委員 これは前の委員会で、建設大臣にも私申しておったことでございますけれども、政府が——政府よりも、建設省がいま考えておる治水水系計画、さらにまたその最初の五カ年の新五カ年計画にいたしましても、進捗率の中で、河川事業とダムと砂防事業と三者の間に非常に大きなアンバランスがあるわけです。この資料をひとつ見ていただきたいと思うのです。  それで、その治水水系計画八兆三千億の中では五六%河川事業に、それから七%の六千億をダムに、三七%の三兆一千億を砂防事業に、というふうに配分しておるのであります。ところが、その中の新五カ年計画を見ますと、その全体事業に対するところの進捗率というものはダムでは三五・九%進むのです。新五カ年計画で約三六%進むのです。そうして砂防事業は一〇%より進まないのです。そういうふうに、砂防事業や河川事業に比べまして、ダムがどんどん先行しているわけです。このことは、利水を非常に急いでおられるということなんですね。だから、均衡のとれた事業をやりながら、その中でたくわえられた水を使っていくというのでなしに、水の使えるところから先にどんどん使える水を——水をつくりつつ治水をやろうという考え方、こういう考え方政策の中に非常に濃厚なんです。だからそういう考え方に立って、たとえば五カ年計画にいたしましても、ダムがどんどん進む。前の治水十カ年計画でもダムの進捗率が非常に早かった。そうして砂防であるとかあるいは河川事業が取り残されておる。だから政府の今の方針が——また少し話がなにしてきますが、たとえて言えば、琵琶湖の問題にいたしましても、先日、琵琶湖の水の利用計画についての建設省案というものが発表されました。琵琶湖を北と南の二つの、北湖と南湖とに分けて、その狭窄部の狭いところに堰堤をつくって、北の水をくみあげるのだ、北湖の水をくみあげるのだ、こういう計画がつくられております。ところが、その案というものは、琵琶湖の周辺の水害というものをちっとも防止することにならない。その案は、琵琶湖にたくわえられた水をどのようにくみあげて使うかということに終始して、琵琶湖をただ一つのダムと考えて、その水の利用だけを考えておるというふうなことなんです。ところが、琵琶湖そのものは、大雨が降りますと、まず洗ぜきの堰堤をぴしゃっと締めて、下流の水害がなくなるまで、滋賀県の県民はどっぷりつかっておるのです。洗ぜきのせきがあけられるのを、数日、十数日もじっと水害の中につかりながら待っていなければならぬというふうなことなんです。だから、現在の政府のとっておるところの水の利用計画というものは、全く治水を忘れた水の利用計画、こういうふうな考え方が出てくるわけなんです。とにかく、建設省は、十年の間には水害をなくしたい、こういう考え方に立って治水水系計画を立てて、その前期五カ年計画を立てて、われわれをほっとさしてくれたのに、中期経済計画では、企画庁長官は、いやもう日本の経済の全体計画から見たら、そういうこともやむを得ないのです、こういうふうなことでは、水害に悩む地域の住民に対してあまりにも冷酷なものの考え方であり、また冷酷な冷たいものの言い方である、こう思うのでございますが、いかがでしょう。
  17. 高橋衛

    高橋(衞)国務大臣 治山治水に対する社会資本投資総額については、経済議審会における答申においても、中期経済計画においても、相当検討いたしておるようでございますが、その中のウェートの置き方、ことにどれを何%という問題になりますと、これはむしろ具体的に政府として検討すべき問題ではなかろうか、かように考える次第でございます。なお、たとえば先ほど東京都の水飢饉のことを御指摘になりましたが、こういうことのために、荒川の水をまず東京都の水道に供給したわけでございますが、利根川の水を百二十万トン程度東京に持ってくるという計画のもとに、ただいまその工事が行なわれているわけでございますが、そのためには、結局八木沢のダムとか、下久保のダムとか、神戸ダムとか、ダムをつくってその水を確保するということが必要になってくるわけであります。同時に、これらのダムは利根川の治水にも相当大きな貢献を与えることは御承知のとおりだと存じます。  それで、ただいま淀川についてのお話がございましたが、淀川も、いわゆる水資源開発促進法という法律に基づきまして、その指定河川と相なっておるのでございます。しこうして、その基本計画はただいま策定中でございまして、琵琶湖の水をどういうふうに利用するかという事柄については、まだ未決定でございます。したがって、ただいまお話しのような点は、計画を策定いたします際に十分に考慮に入れて、ただいま御指摘のような事柄が起こらないように措置するのは当然じゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  18. 岡本隆一

    岡本委員 建設政務次官にお尋ねいたしますけれども、先日新聞に発表されておりました琶琵湖の利水計画というものは、これは大体建設省方針として本ぎまりになったように新聞には報道してありましたが、これは事実じゃないのですか。
  19. 白浜仁吉

    ○白浜政府委員 お答えいたします。琵琶湖の計画につきましては、ただいま関係府県と打ち合わせ中でございます。
  20. 岡本隆一

    岡本委員 企画庁長官お急ぎのようでございますから、この程度で打ち切りたいと思いますが、けさの新聞を見ておりますと、河合良成さんが、減税公債を発行しろ、こういうふうなことを新聞に寄稿しておられます。あれも一つ考え方ではある。治水というような問題につきましても、これは非常に長期の、将来のための投資でございます。しかも非常に巨額の費用を要する。そしてまた、それは民生安定に非常に役立つ。こういうふうな事業については、その年の財政規模の中だけでまかなっていくということはなかなか困難であろうかと思います。だから、水害で年々、はなはだしいところは——先日も大臣のところへ、水害地の住民と一緒に陳情に案内いたしましたら、大阪や京都の近辺に、そんなにごつう水のつくところがあるのか、と建設大臣が言うておられまして、これは認識不足もはなはだしいと言ってもいいと思うのですが、新任早々でございましたから、まあそれも差し控えておりましたが、年に二回、はなはだしいときは三回、軒までつかったというふうなことのある地域がございます。そういうふうな地域の住民にとりましたら、これは何をおいても水害をなくしてもらいたい。また生活環境の整備の緊急措置法というふうなものをつくられて、下水道を早くつくれというふうな話もございます。しかし、水害というものは井戸も便所も一緒になるのですから、水害をなくするということは、下水道を整備することよりも優先しなければならぬと私は思うのです。そういうふうなことに対して、あまり財政規模だとか、そういうふうなことにのみとらわれて、そういう問題をおろそかにしてもらっては困ると思うのです。だから、そういうふうな重要な問題については、私は、年年歳々の財政規模でまかない得ないのなら、やはり長期の投資計画を立てて、公債でもってまかなっていくというふうなことは、当然企画庁長官としては考えていただかなければならないのではないか。ことに河川事業というものは、先ほどからあなたが何回もおっしゃったように、水づくりという大きな経済的な目的もございます。それと一緒に、住民の生活の安定の問題もございます。両面をかけたところの、長い将来への投資である限り、当然私は長期の投資計画として、公債の計画というふうなものもお立てになってもいいのではなかろうか、こういうふうに思うのでございますが、御意見を承りたいと思います。
  21. 高橋衛

    高橋(衞)国務大臣 治水事業の重要性については、私も岡本先生にあえて劣る認識を持っておるつもりはございません。ただ、先ほども申しましたとおり、何と申しましても、開放経済体制に入った。もう為替その他のことを、統制のたてまえまたは国際収支観点から、締めるというようなことはできない状態に相なっておる次第でございます。したがって、国際収支バランスをとるということは、どうしても経済運営のたてまえから留意しなければならぬ点であろう、かように考えておる次第でございます。しこうして、この中期経済計画の実質成長率は八・一%といたしておるのでございますが、所得倍増計画が超高度成長だということで、いろいろ御批判があったわけでございます。この所得倍増計画におきましても、四年目からの成長率を七・二%、こういうふうになっておったのでございます。それに比べますと、八・一先という実質成長率は相当高い成長率、しかも財政の規模を示すところの税の負担率、これは税制調査会等におきましては、まあ二〇%程度が妥当であろうというふうな意見を前々から出しておられることは御承知のとおりでございますが、これが二二・三%ということで、それよりも相当重い負担になっておる。そういうことによって、財政の規模が相当大きくなっておることを予定し、そういうことによって、社会資本の充実をぜひやりたいという意欲が十分にここに盛られておるような次第でございます。  それ以上さらに、ただいまお話しのように、公債を出せということになりますと、財政規模自体が大きくなって、先ほど申しましたように、これが国際収支にはね返り、物価にはね返って、目的としたところの国際収支バランスをとるとか物価を安定させるということができにくくなる、という欠陥を生ずるおそれがある次第でございます。なおまた、総体金額自体において、たとえば減税をさらにして、そのかわり公債を出すという議論、つまり財政規模そのものをふやさない範囲で財源を公債に求めるということ自体の経済的効果につきましては、それほどおそれる心配はないと思います。むしろ心理的な影響を懸念する問題であろうかと思いますが、現実の問題といたしましては、今日資本市場がまだはなはだ未発達の状況でございますので、公債を発行するという事柄は、現実の問題としては、なかなか困難ではなかろうか、かように考えておりまして、四十年度において公債を出すという考え方は、政府としては持っておらない次第でございます。
  22. 岡本隆一

    岡本委員 これ以上議論してもむだだと思いますから、私の希望を申し上げておきますが、消費は美徳なりというふうなことが一時いわれましたね。そういうふうに国民の購買力をあおって、そして今日の景気を盛り上げてこられた。その結果非常に不要不急の建造物なんかがどんどん建っております。だから、そういうふうな消費を押えて、ほんとうに将来に備え、同時にまた国民の生活を安定させるような公共投資というものにこそ重点を置いた施策が行なわれなければいけなかったのです。それが、そういうものをなおざりにして、社会資本への投入をなおざりにして、民間投資に大きな重点を置いてこられたことが、今日のいろいろな公害の原因になっておる。だから、私は、もう一度企画庁長官、静かに考えていただきまして、社会資本の充実ということ、そのためには、先ほどおっしゃった貿易の収支だとか、あるいはまた物価の抑制だとかいうふうなことを違った面ではかりつつ、もっと違った面で個人の消費というものを、不要不急な消費というものを押えつつ、ほんとうに国民が求めておるようなところへの投資というものを充実さしていくことをお願いいたしまして、来年度以降の、これからの国の施策を、ほんとうに国民の生活安定の面に進めていただくことをお願いいたしておきたいと思います。
  23. 高橋衛

    高橋(衞)国務大臣 私ども、消費が美徳という考え方は持っておりませんが、ただ、国民生活の内容を豊富にして充実していくということが政治の究極の目的じゃなかろうかと、かように考えまして、消費が伸びることは、そういう意味においてはきわめてけっこうじゃなかろうか、かように考えます。ただ、ただいまのお話しのとおり、三十六年度、三十七年度、三十八年度と、三カ年度続きまして個人消費が一五%台毎年伸びてまいっておるのであります。それで、こういうふうな急速な個人消費の伸びが出てまいりますると、自然、国民経済全体としては、社会資本投資とか、または民間設備投資というものが押えられなければ、全体として物価が安定を保ち得ないとか、または国際収支に非常な影響を及ぼすという点がございます。そういう意味で、私どもはその国民生活の内容が豊富になることは非常にけっこうでございますから、それはやっていただきたいが、しかしその消費の中に相当不健全なものがある。たとえば、ただいまお示しのような点もございますし、また個人生活におきましても、レジャー関係が行き過ぎておりはしないか、または、相当不合理な生活が行なわれておりはしないかというふうな、いろいろな点がございますので、ぜひひとつ、個人の消費は健全化していただきまして、いままで年間一五%も伸びたのを、何とか一〇%程度にして、そして内容のより合理的な、バランスのとれた、豊富になった、調和のとれた国民生活の向上をやっていただきたい、かように念願しておる次第でございます。
  24. 正示啓次郎

    ○正示委員 岡本委員の御質問にちょっと関連して、高橋経済企画庁長官に伺っておきます。  中期経済計画の中で、治山治水が一兆五千四百億という建設当局の要望が大幅に削られておることは、たいへん遺憾です。そこで、私は先ほど来の質疑応答を聞いておりまして、経済企画庁の立場もわかるのでありますが、しかし結局プライオリティ、優先順位をどういうふうにつけるかという問題であろうと思います。国破れて山河ありといいますか、国が災害で、そのからだ自身が傷つけられたならば、元がなくなるわけであります。治山治水は、いわば私はボデービルディングだと思うのであります。からだ自体をつくることである。このからだ自体をつくることに、やはり非常な優先順位をつけなければうそじゃないかということが第一点。  それから第二に、財政経済の見地から見ましても、ここのところ、北海道の冷害その他ございましたが、大きな暴風雨がしばらく来ない。伊勢湾台風、第二室戸台風等から、しばらく災害を忘れておるわけであります。しかし、災害は忘れたころに来るとは、古来からのことわざでありまして、これはいつ何どき大きな災害が来るかもしれない。そのときに、国土自体が、ボデー自体が非常な損傷を受けるわけでありますから、これを未然に防いでおく施策がどうしても必要だということはあらためて申し上げるまでもないと思います。財政経済の見地からいいますと、災害が少ないから剰余金ができるというふうに申し上げていいんだろうと思います。経済の繁栄と災害が少ない、この二つの要因から、年々の剰余金ができておる、こう申し上げてもいいと思います。私は、減税国債の河合先生の案は、減税国債ということを前にやってみた経験からいって、あまり賛成しませんし、この際新しく国債を出すということは、よほど慎重に考えないと、いわゆる健全通貨政策という基本に触れてまいりますから、これは慎重でなければならぬと思います。しかし、日本の国債は非常に少ないのであります。各国に比較しても少ないことは御承知のとおりでありまして、その少ない国債に、しかも剰余金の二分の一という減債基金制度がある。この辺、大いに考えてみる必要があるんじゃないか。そこで、少ない国債を、年々剰余金の半分を使って償還していく必要が一体あるのかどうか。それよりは、いま申し上げたようなボデービルディングをやって災害に備えるということのほうが、もっと優先順位が高いのじゃないか。そこで、道路につきましては揮発油税という特別の財源がありますし、いまLPG等に対する問題等も出ておりますから、日本の道路の立ちおくれを回復するのに非常によかったのでありますが、道路に比較して決してまさるとも劣らないほど優先順位の高いこの災害に備える治山治水に、年々の剰余金、それは災害が少ないということが一つの大きなファクターとなって起こっておる、その年々の剰余金の一部を、たとえば、国債償還を現在剰余金の半分でやっておるのを、四分の一にするならば、その残りの四分の一を治山治水のほうに優先的に回すということも考えていっていいんじゃないか、これは優先順位の問題であります。特別の財源を備荒貯蓄的に回すという考え方であります。こういうことを、私は、経済企画庁がこれから中期経済計画をお立てになって、ほんとうに安定した成長ということを考えていくならば、これは経済を繁栄さしていく基盤である国土自身を守るという考え方から、ひとつ財政当局に対してそういう意見をお出しになってはどうかということを、私はしみじみいま痛切に感じておるのでありますが、この点について、大臣としての御意見をひとつ伺っておきます。
  25. 高橋衛

    高橋(衞)国務大臣 ただいまの、治山治水の重要性については、私も全く同意見でございますが、ただ、財源の調達の問題としてどうあるべきか、また災害復旧事業費が最近わりあいに少なくて済んだというお話がございますが、しかし調べてみますと、これは地方費を含めまして、三十五年から三十八年までの実績は、いずれも千百億円から千三百億円という災害復旧の支出が毎年あるわけでございまして、相当巨額な金額になっていることは御承知のとおりだと存じます。したがって、剰余金財源によるという問題も、だんだんとその幅が狭まってきておるということも、正示さんはよく御承知のとおりであります。もちろんその減債基金——国債の保有高が非常に少ないんだから、減債基金のつまり返済額というようなものの割合を少なくしたらいいんじゃないかという御意見は、一つの御意見だと存じます。よく御意見趣旨を、財政当局のほうにお伝えすることにいたしますから…。
  26. 正示啓次郎

    ○正示委員 いま、災害費が相当出ておるとおっしゃるのですが、その災害費をさらに少なくするために、いわば治山治水を根本に、未然にやっていこう、こういう趣旨におとりをいただきたい。やはりここで減債基金に繰り入れるやつを減らすということで、漫然とどこへでも使っていいというふうに剰余金を使うということは、私はもったいないと思うのです。それよりも、剰余金のうちから、これだけは国のボデー自体を守る方面に優先的に使うという考え方のほうがむしろ堅実であり、ほんとうに安定成長を達成する道ではないか、これはひとつ希望として申し上げておきますから、よく御研究をいただきます。
  27. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 兒玉末男君。
  28. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣に対する質問もありますが、これは保留しまして、道路公団関係について御質問したいと思います。  最近いろいろな方面から話を聞いたわけでございますけれども、現在道路公団が行なっている直営の事業の中で、料金収受個所を民間会社もしくはこれに類する個人に委託して業務をやっている、こういうことが私たちの耳に入っておるわけでございます。しかも、この委託の会社というのが、今年度に入ってからなされたということを聞いたわけですが、まず、現在公団が行なっている委託の個所というのはどういうふうになっているか、この点についてお伺いしたいと思います。
  29. 佐藤寛政

    佐藤参考人 ただいまの兒玉先生の御質問について、御説明申し上げます。  道路公団では、約六十に近い事業場の運営をいたしておりますが、そのうち、場所によりましては、道路公団が必ずしも直接経営、運営をいたさないでもよろしい、そうでないほうが適切ではないかと思われる場所があるわけでございまして、それらにつきましては、試験的に委託という考え方をとって、一部実施いたしておる次第でございます。ただいま御質問の個所でございますが、例示的に申し上げますと、佐賀県の住ノ江橋、それから神奈川県の湘南道路、伊勢神トンネル、安治川大橋、それから頓原道路、乙女道路、草津道路というような、道路で七カ所、そのほか駐車場で日比谷と長堀の二カ所、こういうような現状になっておる次第でございます。
  30. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、この点、非常に懸念しますことについては、あとで一応項目をあげて御質問したいと思いますが、大体いま申された中でも、たとえば日比谷駐車場のごときは、公団の直営をやっても相当な収益なり償却のできる場所ではないかと思うのですが、こういう重要なところが、なぜ委託をしなければいけないのか。また私たちの調査した範囲においては、当初から直営をやって途中で切りかえた場所とか、または最初から計画的に委託を予定してやった場所とか、いろいろ相違があるのでございますけれども、大体道路公団として、これからの佐藤内閣一つの新しいことばとして出されました社会開発の構想から考えても、特に道路公団の使命とその事業の内容というものは拡大の方向にあると私は察するわけです。そういう点から考えますならば、やはり長期の展望と計画を立てて、道路公団の事業計画というものは確立されるべきだと思うのです。そういう点から考えますと、こういう委託業務というものは、道路公団の将来に対する計画において、非常にあいまいな点があるのではないかと思うのですが、将来に対するきちんとした方向というものをどういうふうにお考えになっておるのか、いわゆる何割かは最初から委託するのか、あるいはあくまでも直営を原則として行なっているのか。その基本的な考え方についてお聞かせを願いたいと思います。
  31. 佐藤寛政

    佐藤参考人 御承知のように、道路公団は、当初は直営で業務運営を実施するたてまえをとりまして、最近までそういうやり方でまいった次第でございます。先ほど御説明申し上げましたように、運営の実情を見ておりますと、必ずしも直営が適切であるかどうかという点について問題のあるところもございます。むしろそうでないほうが有利かと考えられるところもございますので、先ほど申し上げましたような七カ所の道路、二カ所の駐車場につきましては、委託をいたした次第でございます。これにつきましては、ただいま運営状況がどういうような運びになっておるか、いろいろ研究もいたしておる次第でございます。今後の見通しにつきましては、それらの状況を十分調査研究いたし、勘案いたしまして、その方針をきめていきたい、こう考えております。まあ研究中の状態でございます。
  32. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの副総裁の言われました経営上——これは全額国の出資によるものでありますから、もちろんずさんな契約でいいということはないわけですが、比較的有利というのは、大体どういうことを根拠にして、有利か不利かということを言われるのか、その点、もう少し具体的に御説明を願いたい。
  33. 佐藤寛政

    佐藤参考人 いろいろの点で研究すべき点がございますかと存じますが、まず経費というか、経済的の問題がございます。また御承知のように、事業場が非常に孤立してあちこちにございますので、職員の居住とか転勤とかの関係もございます。職員の福祉の関係もございます。そのほかいろいろございましょうと思いますが、それらについて、こまかい研究をいたしておる次第でございます。
  34. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大体、道路公団が昭和三十一年にできた際に、その法律の第一条に明らかにされておるように、公団の主たる目的は、いわゆる料金を取って、そうして道路の一般管理維持等を行なう、こういうことがはっきり目的に書かれておるわけでございます。そういう点から考えますならば、あくまでも公団の直営という原則が貫かるべきではなかろうか、このように考えるわけですが、この日本道路公団法の目的という点から考えた場合、やはりその持つ公共性なり地域開発、こういう点から考えますならば、ただいま言われましたところの料金徴収所等が、何といいますか、非常に遠隔の地だとかそういうところにあるという地理的条件ということを、経済的なりあるいはいうところの不利な条件としてこれを考えるということは、私はこの目的からちょっとはずれるんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、その点についてはいかがでございますか。
  35. 佐藤寛政

    佐藤参考人 ただいま兒玉先生のお話、たいへんごもっともでございます。そのとおりでございまして、そういうたてまえに立って、従来運営をいたしてまいった次第でございます。現在、一部と申しますか、ごく小部分委託の形をとっておりますが、これにいたしましても、全体と比べますとほんのわずかでございまして、今後もそう簡単に、こういう委託という形を安易にとるということではございませんで、いろいろな事情をよく勘案いたしまして、諸般の状況から見まして、そのほうが地元のためにも、それから国全体としても、また職員福祉の点からも考えなければいけませんし、周囲のいろいろな条件から考えまして、それからまた、現在運営いたしております事情が期待しておるようにうまくいくものかどうか、そういうことを見ながら、しばらくこの取り扱いを考えるようにしてまいりたい、こう思っておる次第であります。
  36. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そこでお伺いしたいことは、経営上の問題が主でありますが、先ほど副総裁が説明されまして、現在実施されている佐賀県の住ノ江とか神奈川県の湘南道路とか、こういう現在委託されておる個所における車の通行状況、あるいは当初、おそらくそれぞれの地域における料金の収受高、経済性、これまただいぶ事前にそろばんをはじいて計画されているわけですが、いま現に委託されている個所で当初公団が予定されている経済性といいますか車の通行台数とか、そういう状況は、標準に対してプラスになっておるのかマイナスなのか、その辺の状況について、もしわかっておれば、御説明をいただきたいと思います。
  37. 佐藤寛政

    佐藤参考人 詳細な数字はただいま持ち合わせてはございませんが、委託に切りかえました後におきましても、通行台数とか料金の関係とか、それから一番心配しております現地、その場所におけるトラブルとか、そういうようなこと——トラブルなんか少しもございませんし、ただいまのところでは、以前と比較いたしまして普通に伸びてきておるようでございまして、特に変わっておる状況は認められないようでございます。
  38. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一番問題は、道路公団法の第二十五条に「利益及び損失の処理」ということで明らかにされておりますとおり、益金がある場合はいままでの工事経費の損失を補てんする、そういうふうな形で、順次できるだけ、利益があがった分は、繰り越しをしながら償却をはかっていくという基本的なたてまえが、はっきり法律に明示されております。そういう点等から考えますと、私たちの常識論として言えることは、少なくとも委託をする当事者と委託をしたいという人は、ある程度の利益がなければ委託には応じないのじゃないか、こういう判断に立つわけであります。  そこで生じてくる問題は、現在まで直営でやっておるところの公団職員の身分の問題ということが当然第一に起きてこようかと思っております。こういう点について、現在まで直営でやってきて委託に切りかえた個所の職員の処遇は、どういうふうに処理をされておるか、この点お聞きしたいと思います。
  39. 佐藤寛政

    佐藤参考人 御指摘になりましたその点も、私ども職員統制の立場から大事なことだと存じまして、慎重に取り扱っておる次第でございます。職員の中にはいろいろございますが、特に遠隔の土地などに、たとえて申しますと、その職員個人的には縁もゆかりもないようなところに勤務しなければならない、こういう方もございますし、それらの人たちにはできるだけ希望に応ずることができるように、そうして気持ちよく働いていただけるように、先ほど職員の福祉と申しましたが、必ずしも委託に切りかえましたからといっても、そこの職員を機械的に動かすのではなく、それらの点を十分考えまして、おのおの身の立つような取り計らいをしているつもりでございます。
  40. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは資料として提出を要求いたしますが、先ほど触れました現在道路公団で委託をやっているところの車の通行台数、それによるところの収益、これが当初の公団の予定する計画とどういうふうな状況にあるか、この比較表をぜひ御提出をいただきたい。  さらにお伺いしたいのは、私たちの聞き及んでいるところによりますと、現地採用者というものがあるそうでありますが、これは原則として、その勤務個所からよその地域に転勤できないような一つの特定の条件のもとに採用している職員があるということを聞いております。この点は今後非常に問題が発生すると考えますが、料金収受所というのは、一般の官公署と違って、異動する場合は相当な遠距離のところに異動する可能性があるわけであります。そういう点から考えました場合に、この現地採用者が自主的に配転ができなければ解雇せざるを得ない、こういう事態が発生するのではなかろうかと考えるわけです。その点が一つ。  それから、経済性の面から考えますならば、公団としてその点かなりウエートをかけていると思うのでありますけれども、いわゆる委託によって委託業者がやっているところの料金収受に当たっている労働者の賃金と、現在までの少なくとも直営でやっている場合の賃金とにおいて、ある程度の賃金のダウンが行なわれなければ、経済性というものの主張が一貫しないのではないか。いままでの公団職員のやっている場合の経費よりは委託をやった場合の経費が安くなるから委託をするのではないかと思いますが、こういう点については、現在の委託先の労働者の条件というものと、それから現在まで行なっていた公団職員の労働条件というものは、たとえば社会保険だとか、あるいは労働賃金等はどういうふうな状況にあるのか、その点わかっておればひとつお聞かせ願い、いま即答ができなければ、あとでそういうような状況の資料をひとついただきたいと思います。
  41. 佐藤寛政

    佐藤参考人 兒玉先生の御質問の第一点でございますが、現地で採用いたしました職員につきましては、これは地元との深いつながりがありますので、できるだけその職員の身の立つような、できますならば、非常に近い事業場に勤務できますような取り計らいを考えております。しかしながら必ずしもそういうふうにまいりませんときには、その方には、それで身が立つように、私どもといたしましては十分なあっせんをいたしておる次第でございます。そういうような点に、今後とも手落ちなく気を配ってまいりたいと考えております。  それから第二点の、委託にすると安くなるのではないか、その場合の賃金の問題でございましたが、私は、委託に移す場合は、経済的にも若干安くなるのではないかと思っております。それは必ずしも賃金ばかりではなく、いろいろな仕事のやり方も、民間民間で、かなり円滑、自由にやれるところがございましょうと存じます。それらの長所をうまく発揮させていけば、そこに経費的にも十分節約ができるのではないか。その点はどうなっておるか、現在私は心得えておりませんので、たしかそういうふうにいっているはずだ、こう考えておりますので、安くなるのは必ずしも賃金ばかりではないのではないか、こう私は考えておる次第であります。
  42. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点で非常に私が懸念をすることは、現在の給与関係の取り扱いについても、その基準というものが、公団法で明らかにされているわけですが、いままで、他のたとえばアルコール専売事業等が私の地元である宮崎県において、実は四年前に民間に委託というか、現状は委託だが、実質的には払い下げ、ところが四年たたずして非常に劣悪な労働条件のもとに、非常に無理な条件で、配置転換なりあるいはやむを得ずやめざるを得ない、こういう事態が現に発生して、ただいま若干の人員においては法廷闘争まで提起しておるわけですが、少なくともこれから、公団は発足して日も浅いし、ますます公団の仕事というものはおそらく拡大の一途をたどるであろうということがはっきり予測されるわけでありますから、そういうふうな点について、現在公団職員の人たちは、こういうふうな委託業務がおそらくどんどん拡大されていくのじゃないか、こういうことについて、労働条件なりまたは委託されたところの労働者の賃金を非常に安い賃金で押えることによって、そのことが今後の公団職員の労働者の一つの基準にされてはこれはかなわない、こういう一つの不安が私は必ずつきまとうだろうと思うのです。特に今日合理化の前に、中小企業なり、あるいは一般の公営企業においても、あるいは国有鉄道のような公有企業においても、そういう合理化の攻勢というものが、いわゆる一部の事業を民間に委託することによって、労働者の賃金が、その低いほうを基準にして、常に論議の対象として、低賃金を押しつけてくるということが、現実の問題として各地域に起きているわけです。この点が、私は公団職員の非常に心配な点ではなかろうかというふうに思う。そういう点でございますので、特に今後の委託業務については、私たち建設委員としても非常に重大な関心を持つものであり、しかも、委託をする対象者の基準等が私はきわめて明確ではないように思うわけです。そういう基準の設定、または委託をしようとする業者というものが、今後——いまでも道路公団なりあるいは首都高速道路公団等についても、かなり事件を惹起している点が多いわけでございます。そういう点等について、将来の展望と、そういう委託業務をすることを無制限に行なうのじゃなくて、相当慎重なる配慮と計画がなければ、私はこの問題はなかなか簡単に処理できない問題だと思うのですが、そういう将来の展望と、それから公団職員が安心して自分の業務に専心できるような状態を十分配慮すべきだ、このように考えるわけですが、この二点について、お考えをひとつ聞かせていただきたい。
  43. 佐藤寛政

    佐藤参考人 ただいまの点につきましては、先ほども申しましたように、ごく少数事業場について委託を実施中でございますが、その事情をよく調べまして、これを分析し、研究いたしまして、今後どういうふうにこれを取り扱っていくか、それらにつきましては、当然建設省にも御相談し、御指示を受けまして、ただいま御指摘のような点につきましては、十分慎重な配慮をもちまして、処理してまいりたいと考えておる次第でございます。
  44. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、道路公団法の第二十条に業務方法書という項があるわけです。これは「業務方法書を作成し、建設大臣の認可を受けなければならない。」、これは当然なことですが、この業務方法書というものは、今後の公団運営において、いわゆる理事者側の一つの事業計画というように私は判断できるわけですが、この業務方法書の効果というものの法律的な根拠、これは大体どういうような内容でありますか、この点ちょっとお聞きいたしたいと思います。
  45. 佐藤寛政

    佐藤参考人 御指摘のものは、われわれの業務執行の準則を定めたものでございまして、それらにつきましては、もちろん建設省の御認可をいただいておるものでございます。
  46. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に、総括的に意見と要望を申し上げて終わりたいと思いますが、特に、御承知のように、おたくの公団の組合としても、この問題が提起されてから、非常に深刻な問題として心配されておるようですし、いろいろと交渉のいきさつ等についても、社会党の政策審議会全体会議なり、また社会党の社会労働あるいは建設の合同部会でも、相当問題が提起されておるわけですが、このほか、東北開発だとかあるいは原子力研究所とか、いろいろ問題が提起されておりまして、特にこういう公団、公社関係の問題が多いわけですが、特に道路公団が一番規模も大きいし、またこれから非常に事業量等拡大される状況にあるわけです。そういう点から、特にいままでの関係労働法なりあるいは労使間の慣行というものも非常に歴史が浅いわけですが、そういうふうな客観的な情勢等を考えましても、特に理事者側としては、今後できるだけこういうような問題の紛争が起きないように、十分ひとつ職員の意向というものを尊重していただきまして、また、特にこれは一般の企業体と違いまして、長期の展望に立つ公団の性格から考えましても、できるだけひとつ直営ということを原則として、今後の運営に当たっていただきたいということを特に要望申し上げまして、なおまた、今後提起される問題については、今後の委員会を通じて、いろいろと意見の交換なり要望を申し上げることにいたしまして、私の公団に対する質問を終わりたいと思います。  それでは、特に住宅問題は重大な問題でありまして、大臣にも十分ただしたいと思うのですが、いずれ通常国会でみっちりやりたいと思いますので、きょうは二、三お伺いいたします。   〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕  住宅局長にお伺いしたい第一点は、現在建設省が七カ年計画で大量の住宅建設計画を出されておるようでございますが、特に問題としていま発生しているのは、地方の自治体が建設しております公営住宅について、当初の賃金よりもかなり所得がふえた、こういうことによって、公営住宅料金の割り増し料金をとるということが起きているわけです。この点、賃金の上昇というものは、物価その他の公共料金等の値上がりによって若干のベースアップはあったにしても、ほとんど実質的な所得の増額ということとはならないと思うのです。割り増し料金の徴収について、非常に各地域において問題が提起されておりますが、この点についてどういうふうな指導をしているのか、この点についてひとつ見解を承りたい。
  47. 尚明

    ○尚政府委員 公営住宅の割り増し賃料の問題は、御承知のように、公営住宅は低所得者に供給する目的をもちまして、それがため、第一種につきましては二分の一、第二種につきましては三分の二の国庫補助を行ないまして、家賃が低額になるようにいたしているわけでございます。しかして、その入居者の資格といたしましては、いろいろの勤労控除あるいは家族の人数の控除等をいたしました結果、第一種につきましては最高三万六千円、第二種につきましては二万円の収入の家族を入居の対象といたしているわけでございます。いまお話しにございましたように、だんだん所得がふえるに従いまして、その収入の額が当初の基準より相当上回ってくる方が生じてくるわけでございまして、これらにつきまして、私どもの考えは、まだまだ入れない低所得者が相当ございますことも考え合わせ、まず第一には、その所得をこえた方につきましては、他の公団住宅とか協会住宅等にごあっせんする。ごあっせんいたしましても、学校の関係とかそれぞれの居住の関係でお移りになることが不可能な方につきましては、一定の割り増し金をいただく。その割り増し金をいただく場合でも、その計算は、日本住宅公団等がかりに建てた場合よりも高くなるようにではなく、割り増しをいただくという方式をとっているわけでございます。かつ、それにさらに弾力性を持たせまして、三万六千円の方が三万六千円をこえたらすぐというのではなくて、段階的に、三万六千円の方は四万五千円をこえた場合、それから二万円の方は二万五千円をこえた場合というふうに、若干の弾力性を持たしているわけであります。
  48. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一種、二種の入居資格の基準というものは、だいぶ前に設定されているわけです。全体的な物価のスライド、あるいは相対的な所得のスライド、こういう点から考えますと、いまの二万円とか三万六千円という基準は、現在の実情に私はそぐわない、こういうふうに考えるわけでございます。しかも、住宅政策建設省が発表している構造から考えましても、せっかく入っている人を追い出して、再び住宅難に拍車をかけているというのが、私は、いまその割り増し金をとる制度の大きな矛盾じゃないかと考えておるわけです。そういう点から考えますならば、当然三万六千円なり二万円というこの基準の額を、大幅に引き上げていい段階にすでに来ているのじゃないか、いわゆる入居の収入基準を改定する段階に来ているのじゃないかと私は思うのです。  それからもう一つは、一種、二種の区別を廃止しまして、やはりある程度弾力性を持たしたところの対策を持っていく段階に来ているのじゃないか、収入は低くても世帯構成が多いとか、あるいは所得は多くても世帯構成が少ない、こういう世帯構成というものが、所得にかかわりなく非常に多種多様な状況にあるわけです。こういう点から判断いたしましても、国の補助率の問題は別として、こういう収入基準の問題と、それから一種、二種の区別というものを廃止する方向に私はいくべきじゃないかと思うのですが、この点についてどういうふうな考えを持っているかお聞きしたい。
  49. 尚明

    ○尚政府委員 収入基準の限度につきましては、在来より、数年前に一回改定をいたしております。したがいまして、全体の国民所得のつり合いその他から考えまして、必要な時期には、これは改定ということはあり得ることだと考えておりますが、ただいまのところ、現在としては現在の程度でいいのではないかというふうに考えております。  それから第二段のお話の、一種、二種の区別をはずしたらどうかという御意見でございますが、これも、住宅事情が相当緩和いたしまして、たとえば公団住宅等に相当多く入っていただくことができるというようなことが可能になりましての上では、そのつり合いの関係上、一種、二種、必ずしもいつまでもこの区別でいくのがいいかどうかということは、今後の検討問題だと心得ております。
  50. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほど局長は、こういうふうに非常に所得がふえた人については、他の公団住宅等にあっせんの労をとるということを言われましたが、住宅公団の関東支社の競争率を見ても、大体四千人に一人、これは宝くじの当せん率よりもまた当せん率が低いわけですよ。そういう状況にあって、あなたは簡単に、あっせんの労をとると言われますけれども、その実現の可能性というのはそういう状況です。しかも公営住宅を含めて、全国平均の入居率というものは、大体二百人に一人という統計が出ておるわけです。こういう困難な状況にあって、せっかく五年なり十年近く入っている公営住宅の住人が、再びこのことのために追い出されるとすれば、これはまた先ほど申し上げましたとおり、あなた方の考えている状況とは逆な状況になろうかと私は思うわけです。むしろそれよりも、やはり基本的な施策としては、公営住宅を大幅にふやしていくという基本的な姿勢というものがなければ、この住宅問題の抜本的な改革はできないと思うのです。その点から考えますならば、大体昭和四十年度の予算編成における、先ほど申し上げましたような、住宅のいわゆる一種、二種の入居基準の収入制限の大幅な改善ということは、当然私は急務ではなかろうかと思う。もう少し前向きの姿勢で、この住宅の問題に取り組んでいただきたいと考えるわけですが、当然四十年度の予算編成、住宅政策の中においてこれは改革すべきだ、こういうふうに私は思うのですが、再度ひとつ局長の見解を承りたいと思います。
  51. 尚明

    ○尚政府委員 私ども住宅政策を考えます場合に、仰せのとおり、何をおきましても低所得者の住宅困窮が一番はなはだしいわけでございますので、公営住宅に最も重点を置くべき態度は、この七カ年計画の中でも堅持してまいっております。したがいまして、来年の予算におきましても、これはまだ財政当局と折衝中のお話でございますので、結果を申し上げるわけにはまいりませんけれども、やはり戸数等におきましても、公営住宅を最も多く要求いたしておりまして、その数は公団住宅の倍以上、三倍程度要求しているような、賃貸住宅同士の中では、そういうような感覚でやっております。公営住宅のうちで、第二種公営住宅が実は数が少なくて、その点では十分応募者の希望にこたえているわけではございませんが、第二種がまず倍率ではいまのところ一番少なく、その次に第一種というふうになっておりまして、比較的低所得者のほうにより多く割り当てたいと、一種、二種間では考えておりまして、大体公営住宅建設いたしますうちの六〇%の数は第二種をもって供給いたしたい、こういうように考えております。   〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕 全般的のお話として、公営住宅等低家賃住宅について、一そういろいろ制度等についても検討すべきでないかというお話につきましては、私先ほど申し上げましたとおりに、今後一そうこの制度等を、円滑にいくように研究いたしたいとは考えております。
  52. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、いま地方自治体で非常に批判が出ているのは、公営住宅に対する国庫負担の割合です。これが非常に低い。それで、われわれとしては、少なくとも、現在の第一種の二分の一を三分の二に、それから第二種の三分の二を五分の四程度に引き上げる必要がまず第一にあると思うのです。それから第二の点は、何と申しましても、この建築の基準単価というものが、建設省がそろばんではじき出している金額と、実際各地域における建設業者が入札をする際の基準単価というものとの間にはかなりの差があるわけです。そのために、せっかく国からの補助金のワクが出されても、地方自治体が予定する住宅を建設することができない、これが私は現実だと思うのです。そういう点から考えますならば、佐藤内閣建設行政の中においても、特に住宅政策というものが非常に高度の公共性、社会性を持つ立場から、特に重大政策の中に入れておるわけですから、こういうふうな一種、二種のいわゆる国庫負担金の増ワクの問題と、それからやはり実情に沿うように建築の基準単価というものをもう少し改革してもらわぬと、せっかくの政策というものが、実際地方自治体においては実行できない、こういう現実にあるわけです。そういう点から考えますならば、先ほどの収入基準の問題を含めて、国庫負担の割合を改定する意思はないのかどうか、またこれに対する、建設省としての積極的な取り組みを私は要望するわけですが、この二点についてひとつ局長の見解を、承りたい。
  53. 尚明

    ○尚政府委員 まず補助率の問題でございますが、私ども公営住宅の補助率をきめますもとといたしましては、一定基準の家につきまして、この補助率によりまして、家賃がどの程度になるかということをきめまして、その家賃がそれぞれ定めました階層の収入と相見合いまして、大体一五%程度におさまるかということを考えまして、補助率をきめているわけでございまして、その観点からいたしますと、ただいまのところ、第一種につき二分の一、第二種につき三分の二の補助をすれば、おおよそその目的は達し得るものと考えております。しかしながら、二段目に御指摘になりましたように、建設費が、私どもの定めました補助のために用います標準建設費と実際の建設費において、ある程度の開きがあります。このことが、ある程度その家賃をやむを得ず高くする働きをしていることは事実でございまして、私どもは、第一段としては、何をおいても単価の適正化ということこそいまの緊要な問題だと考えまして、ただいまも財政当局と鋭意折衝しているわけでございます。
  54. 兒玉末男

    ○兒玉委員 せっかく大臣がお見えになりましたので、二点だけお伺いしたいと思います。  いま住宅局長も、前向きの姿勢で取り組むと言われた、例の公営住宅の国庫負担率の改定について、ぜひひとつ御努力を願いたいと考えるわけであります。それからもう一つは、これはぜひ大臣に伺いたいのですが、最近の住宅問題解決の一番ポイントは、宅地問題にあると私は思うのです。これがいまほとんど野放しのような状態で、一般の民間業者が宅地造成を行なっているわけでありますが、やはりこれらの日本の狭小な国土の状況なり、土地利用の観点から考えた場合に、やはり宅地に対する土地利用計画というものを早急に策定していかないと、民間業者がかってに宅地造成をやって、宅地の価格のつり上げをやっている。しかも、最近の週刊誌なり新聞にも報道されておりますが、非常にもぐり的な不良な宅地取引業者が、善良なる市民を泣かせておるという例が多々あるわけです。こういうような宅地造成について、私はやはり公平な競争といいますか、宅地等の取引について、たとえば非常に取得困難な地方自治体等においては、公的な宅地取引のあっせん機関なりまたは取引機関というものを、この際検討する段階にきているのではないか。そのことによっていわゆる公正な土地価格の取引というものが行なわれるのではないか、このように考えるわけでございます。そういう観点から、いわゆる宅地等の高度の利用計画、それから公的なあっせん機関もしくは取引機関というものを、この際やはり積極的に検討を加えていくべきではないか、この二点について、大臣の見解を承りたいと思います。
  55. 小山長規

    ○小山国務大臣 公営住宅の問題につきましては、御承知のように、政府部内においても、住宅を国民の税金でつくることがはたしていいことかどうかという議論があることは、御承知のとおりであります。私どもは、現在のような、まだ国民所得が十分でない、また低所得者層がまだきわめて多い、きわめて広範におる段階においては、住宅政策というものは、これは公共事業の一種であるという意味で、当然補助事業として実施すべきものである、こういう見解をとっておるわけであります。問題の、補助率をアップすることがいいかどうか、アップするにこしたことはないのでありますが、いま住宅局長から申しましたように、家賃との関係で、どの程度の補助率が妥当であるかという問題が一つあります。同時に、補助率をアップすることによって、建設戸数が減るのではないかという心配も出てくるわけであります。これは国家財政の関係から言いまして、その問題が出てまいりますので、やはりいま一番急がれるのは、補助率をアップすることよりも、むしろ建設戸数をふやすことにあるのじゃないかという見解で、この問題は将来の問題としては考えますが、現時点においては、何とかして建設戸数をふやすことに重点を置きたい、こういう考え方でございます。  次に宅地の問題は、これは非常は頭を悩ましておる問題でありまして、宅地の高騰あるいはまた宅地が乱雑につくられるということについて頭を悩ましておるわけでありますが、宅地の高騰を防ぐのには、やはり公的機関によって土地を造成し供給していくことが一番正当な道であるという考え方で、日本住宅公団あるいは住宅金融公庫の、コストの安い資金を大幅に供給することこそ大事じゃないかということで、来年度予算においても住宅公団あるいは住宅公庫の土地造成に対する資金というものに対して、大幅な要求をいたしておるわけであります。  なお、民間の事業につきましても、建設省が一定の基準のもとに認可をしたような民間団体というものを育成しまして、これらのコストの安い資金が手に入るような方法はないかということで、一つは開銀の資金を使えないかという点があるわけであります。開銀の資金は、現在のところは、工場の敷地としては使えるようになっておりますけれども、宅地の資金として使うことについて、まだ若干の疑問があるのと、もう一つは、開銀資金の不足という面があります。しかし、宅地の造成は、民間、公団を問わず、金利の安い資金でつくらない限りは高い地価になってしまうわけでありますから、そういう面で開銀の資金の利用できるような方法、手段の検討ということにも力を用いてみたいと思っております。  また、宅地の売買価格、取引については、御承知のように、鑑定士という制度をつくっていただきまして、その鑑定士がいよいよ来年から発足するわけでありますが、この鑑定士が土地を評価する基準というものをつくりまして、そしてこの鑑定士の評価によって、少なくとも住宅公団とか公庫とか、地方公共団体あるいは政府というものは、その基準に従って土地を買い入れるのだというような行政指導をやっていきたい、こう考えておるわけであります。
  56. 兒玉末男

    ○兒玉委員 もう一点だけ、いまのお答えに関連して。  何と申しましても、やはり宅地の需要供給の関係もありますし、取引のあっせん機関というものは、私は非常にむずかしいものだと思うのですが、この点を積極的に進めていかないと、いまはいわゆる土地業者というものは認可制でございますから、全く野放しのような状況で、どんどん無計画的になされているわけです。そのために、昭和三十五年でしたか、神戸等のような非常な問題が起きているわけです。そういう点の規制と、公的な取引機関というものは、私はやはり絶対的な条件じゃなかろうか、こういうふうに考えます。それから段階的な措置としては、やはりまじめな土地造成業者等については、地方自治体、県機関等を経由して——先ほど大臣が触れたように、そういう土地造成事業に対する資金という面が、高利の資金を使って土地造成をやるために、これが結局需要者なり一般大衆に、高い土地代としてはね返ってくるわけです。そういう点についても、特に優良な土地造成事業等については、先ほども言われたような非常に低利の資金を考慮していただいて、できるだけ土地の高騰を防ぐ、こういう積極的な手を打っていく必要が私はあるのじゃないかと思うのです。この点について、特に建設省としては積極的な指導をしていく必要があろうかと考えるわけなんです。そうしなければ、どんなに土地を求めようとしても、三十数年つとめた公務員が、その金全部を土地代に使っても、家そのものは一生建たない、こういう現実にあるわけです。建設省の現在考えておるのは、ある程度は自力によってもやはり宅地をつくらしていかなければならないという考えもあるようであります。私たち社会党としては、次の国会に対して、住宅組合等の構想も考えておりますが、いずれにしましても、当面の対策としては、そういうふうな、できるだけ土地造成が安い価格でできるような積極的な指導ということと、融資の面等について特別の考慮を払っていかなければ、これはなかなか解決できない、こういうふうに考えますので、以上の点について、再度、大臣の見解を伺って、私の質問を終わります。
  57. 小山長規

    ○小山国務大臣 いまおっしゃいましたうちで、たとえば土地の取引のあっせん機関という構想でありますが、似たようなことをわれわれ考えておりますのは、鑑定士に評価された土地を公示する制度をひとつ発足させよう、これを来年早々からやりたいということで、いま準備を急がしておるわけであります。この公示はどういう形で公示をするか、新聞公示によるのか、官報の公示によるのか、あるいはもっとポピュラーな方法でやるのか、その辺のところがまだ未検討でありますけれども、そういう制度でひとつ、むやみやたらに、千三つ屋みたいな連中が土地価格をつり上げて、そしてそれが一つの土地基準価格であるという弊を打開したいという考えであります。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、低利の資金を入れることが土地価格を高騰させない大きな原因であるということを申しましたが、私どもがいま来年度の予算要求に出しております中に、いわゆるサラリーマン融資制度というものを今度つくることにしたわけであります。これは各県に公社をつくってもらいまして、そして公社の社員を募集しまして、その社員となった人がそれぞれ出資をして、同時にまた府県にも相応の出資をしてもらって、一方公社の社員となった人には毎月積み立てをやってもらって、将来の住宅資金に充てる、こういう構想でありますけれども、その最初積み立てられる資金あるいは出資される資金というものは、まず土地の造成に向けたい。府県の公社で相当な金額が集まるわけでありますから、その公社が土地を造成していくということでいけば、また一面安い土地の供給ということにもなろうかと考えまして、ただいまその構想で、政府間の折衝をやっておるわけであります。
  58. 丹羽喬四郎

    丹羽委員長 西宮弘君。
  59. 西宮弘

    西宮委員 いろいろお尋ねしたいこともありましたけれども、だいぶおそくなりましたから、簡単にかいつまんで二、三お尋ねしたいと思います。  要するに、私のお尋ねしたいのは、ちょうどいま予算編成の過程にあるわけですが、来年度の予算に対する、住宅政策をどの程度に考えておるかという点なんです。大臣としては、住宅政策というものを、建設省政策全体の中で、どの程度に、どういうところに位置づけておるか、まず第一にお尋ねしたいと思うのです。
  60. 小山長規

    ○小山国務大臣 どの程度に位置づけておるかということでございますが、御承知のように、道路については、四兆一千億円計画が、まだ閣議決定しておりませんけれども、すでに発足いたしておりまして、それの第二年度分を来年度要求しようとしております。それから下水については、五カ年計画をつくりまして、その要請をいたしておる。また治水計画については、後期の五カ年計画を改定しまして、御承知のように、新規五カ年計画をやろうとしておるわけであります。その中で、こういうふうに、いままで、下水にしましても、道路にしましても、河川にしましても、ある程度のことが進められておったわけでありますが、住宅についてだけは、まだ確たるものができていなかった。そういう意味で、住宅にひとつ力を入れたいということは、ほかのものをないがしろにするというわけではないのであります。この河川や道路と歩調を合わせていこうという考え方でありまして、その中で、したがって住宅に対するわれわれの来年の要望は、去年の大体倍額ぐらいの要望になっておるわけでありますが、これはまだ予算の最終的な段階にまいりませんから、確たることを申し上げられませんけれども、われわれとしては、単価の是正あるいは建築内容の向上、戸数の増加という点で、金額的には大体倍額ぐらいの要求をいたしておるわけであります。同時にまた、その内容については、やはり低所得者層という方々が多いわけでありますから、公営住宅はやはり相当規模つくらなければいけないということで、これに力点を置いておりますが、同時に、公団の賃貸住宅も、昨年よりもふやしております。また住宅金融公庫からいままで金を貸しておりますが、そのほかに、民間もひとつ共同で資金を出すくふうをしたいということで、たびたび申しておりますような、いわゆるサラリーマン住宅構想というようなものをつくりまして、できれば府県ごとに住宅公社というものを、府県の出資のもとにつくってもらい、それに、住宅を希望する方々に社員として出資をしてもらいまして、出資をしてもらうのみならず、毎月住宅の積み立てをしてもらいまして、それを見返りにして、住宅公庫から住宅資金を貸し付けていこう。そしてまた、その分譲を受けた住宅については、最初は安い金で、だんだん所得が向上するにつれて支払い額がふえていくような仕組みでありますが、最初は安く、だんだん高くというような構想で、要するに支払いやすいような分譲方式を考えていこうというふうなことで、住宅に真剣に取り組んでいこうというかまえであります。
  61. 西宮弘

    西宮委員 私が住宅政策の位置づけということでお尋ねをいたしましたのは、河野大臣の時代に、この席上で、来年は住宅をやるのだということを特に強調されたわけです。私どもも、それ以外の問題は全部手を引いていい状態にある、そういうばかなことをもちろん考えているわけではないのでありますが、河野大臣が非常に強調されたことは、住宅はおくれている。そこで、たとえば、去年の説明でありますが、去年は河川をやって、ことしは道路をやるのだ、したがって、来年は当然に住宅だ、ということを非常にことばを強めて言っておるので、これは議事録をごらんになればわかるのでありますが、そういうことで、来年は住宅だということを非常に強調しておられた。それが新大臣にもそのまま踏襲されておるかどうかということを、まずお聞きしたかったのです。
  62. 小山長規

    ○小山国務大臣 確かに、われわれの予算要求の伸びの率から言いますと、住宅は飛躍的にいくわけであります。先ほど申しましたように、大体二倍程度までわれわれは希望しておる。道路や河川の場合には、従来の計画の延長でありますから、二〇%あるいは二五%という程度の伸びでありますけれども、住宅や下水の場合には、それが非常な勢いで伸びておる、こういう意味では、住宅に力点が置かれておるというふうな表現も、あながち間違いではないと思います。
  63. 西宮弘

    西宮委員 住宅に力点が置かれているという表現もあながち間違いではないという程度だと、少なくとも前に河野大臣が非常に力を入れ、念を入れて答弁をされたこととは、かなり表現の上で違いがあると思いますが、実際それは予算として具体的にあらわれてみないと、最終結論を得ないと、何ともいえないことでありましょうから、その点は、われわれは具体的に数字を示してもらいたいということをお願いしたいと思うのであります。  さっき児玉委員の質問にお答えになっている中に、たとえば、住宅について国民の税金を使うということがいいか悪いかという議論が、政府部内にもあるというふうなお話だったけれども、あるいは言いかえれば、衣食住の問題は個人の責任において解決すべき問題だというような議論をする人もあるわけですね。ですから、おそらくそれと同じような考えもあるというお話を答弁の中でされたんだと思うのです。私は、いまの時代において、住宅が政府政策の当然の対象だということは、これは論議の余地がないのじゃないかと思います。ですから、さっきのように、住宅というものに税金を使うのがいいか悪いかという議論が政府部内にもあり、今日なお論議をされておるという状態では、私は非常に心細いと思うのです。だからもう一ぺん、河野さんが言われたことばを、ひとつ政策の中にぜひとも取り上げていただきたいということを、強くお願いしたいと思うのです。  それでは、住宅政策の中では、どういうところに重点を置いて考えておられるか、そのことをひとつ伺いたい。
  64. 小山長規

    ○小山国務大臣 私が住宅について消極的な意見を述べたようにおとりになっておるとすれば、間違いであります。そうでありませんので、あまり住宅住宅と言っておりますと、ほかのものは、それじゃほったらかすのかという印象を与えかねないので、申し上げたまででありまして、われわれの予算要求の態度から言いましても、これは最重点を置いていることは間違いないのであります。  それから、住宅の中で何に重点を置くのか、これは、何と申しましても、一番重点を置いておりますのは公営住宅であり、その次は賃貸住宅であり、次が融資住宅である、こういうふうに考えております。
  65. 西宮弘

    西宮委員 七カ年計画は、この機会には手をつけないのですか。
  66. 小山長規

    ○小山国務大臣 住宅七カ年計画というのは、まだいわゆるオーソライズされた計画ではありません。それで、私としましては、今度の予算の際にはオーソライズしておきたいという考えで進んでおるわけであります。
  67. 西宮弘

    西宮委員 次にお尋ねをいたしますが、新聞等の報道によりますと、建設省以外に、たとえば厚生省、労働省、大蔵省、各省が、それぞれ競って住宅対策の案を出しておられますが、これに対して建設省としてはどういうお考えでございますか。   〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕 たとえば、いわゆる住宅政策建設省の専管だ、建設省が本来やるべきだ、したがって、そういう建設行政の一元化というようなことから、他の省の案に建設省として異論がある、そういう意見が出ておるということを新聞等が報じておりますが、その点も含めて回答していただきたい。
  68. 小山長規

    ○小山国務大臣 住宅問題は、やはり法律のたてまえあるいは行政のたてまえから言いましても、建設省が主管すべきものだと考えでおるわけであります。ただ、御承知のように、労働省にも厚生省にも、住宅に資金を回している部門があることは御承知のとおりでありますが、これがばらばらに無秩序に出てくることは、国の政策として望ましくないということでございます。そこで今度の予算の編成にあたりましては、労働省、厚生省と、住宅問題について緊密な連絡をとりながら進めております。幸い、労働省と私のほうとはほとんど意見の相違がありません。厚生省の厚生年金融資について、この資金を、われわれのほうとしては住宅公庫で使わしてもらいたいという考え方を述べておるわけでありますが、これについてまだ十分な意見の調整ができておりません。しかし、いずれにしましても、厚生省の厚生年金融資でできる住宅はどこにどのくらいつくるんだということをわれわれに知らしておいてもらえば、私どものほうは、それを基礎にしまして、それ以外の住宅の希薄なところに建設省の住宅を持っていくことができますから、そういう意味では不統一にならぬように、連絡を緊密にしていこうという考え方で、いまの段階では進めております。
  69. 西宮弘

    西宮委員 その連絡を緊密にすることはもちろんけっこうだと思う。また当然必要だと思うのでありますが、ただ、従来しばしば経験しておりますように、いわゆる役所のなわ張り争いというようなことのために、お互いに足を引っぱり、水をちしたりというようなことになる懸念が多分にあるわけです。私は、そういうことのないように切にお願いしておきたいと思うのです。それは、もちろん政策が不統一に行なわれておるということは厳に戒めなければならぬと思うのですが、しかしその当面の急を救うためには、やはり何といっても絶対量がふえるということはどうしても必要だと思うのです。ですから、そのためには、ほかに使える金があるならば、できるだけそれを使ってもらって、とにかくトータルでふやしていくということは、当面きわめて必要なことだと思う。ですから、そのために、いわゆる役所のセクショナリズムのために、それにブレーキがかけられるというようなことのないように、これは特にお願いしておきたい。
  70. 小山長規

    ○小山国務大臣 その点は私も同感でありまして、公務員住宅であれ何の住宅であれ、住宅が建つことこそが大事なことなのであります。ただそれが、たとえばわれわれの知らない間にいろいろな住宅が計画されますと、たとえば都市の計画がうまくいかないとか、道路の関係がうまくいかないとか、下水の関係がうまくいかないという面が出てまいりますので、そういう面との調整ができるようにしておきたい、こういう考え方であります。
  71. 西宮弘

    西宮委員 たとえば、大蔵省の案を、新聞で見ただけでありますが、それによると、生保の金を使って建てさせるというので、それに対して生保が金を出してやる場合には国有地を払い下げる、そういうようなことが新聞に出ておるわけです。しかしこれなどは私は実におかしいと思う。大蔵省が所管しておるから国有地を払い下げる、そういうばかなことはあるべきじゃないと思うのです。これは建設省がおやりになっても当然に国有地の払い下げをすべきであります。そういうやり方は絶対に間違いだと思うのです。そういう点はいかがですか。
  72. 小山長規

    ○小山国務大臣 これは、私も新聞の報道で見た程度でありまして、おそらく大蔵省としてそれを固めておることはないと思います。おっしゃるように、国有地があるならば、まず住宅公団とか、あるいは地方の自治体とか、そういうところの敷地に充てるべきであって、それこそ住宅政策に沿うものであると考えております。
  73. 西宮弘

    西宮委員 それではその次に進みますが、ことしの予算では、単価の値上がりはどういうふうにはじきますか。物価値上がりに対応しての単価の値上がり……。
  74. 尚明

    ○尚政府委員 住宅の建設費の値上がりにつきましては、私どもの調査によりますと、工事費につきましては、これはいろいろの、鉄筋コンクリート、木造等、構造によって違いますが、大体四%ないし六%程度上がっております。それから土地につきましては、在来の実績等から考えまして、大体におきまして、現在の単価を倍程度に引き上げなければ適正な価格にならないというふうに考えております。なお工事費につきましては、過去におきます持ち出しという問題も、この際やはり是正の必要がございます。したがいまして、それとあわせまして、工事費の単価は一〇%ないし二〇%引き上げたいというふうに考えて、いま財政当局と鋭意折衝中でございます。
  75. 西宮弘

    西宮委員 いろいろ、私、意見として申し上げたいこともありますが、時間がありませんので、その次に、さっき大臣も、いわゆるサラリーマン住宅について、地方団体も府県も相応な出資をするということを言っておられたけれども、問題は、二つお尋ねしたいのですが、一つは、最近、地方団体が非常な財政の逼迫を来たしておるわけですね。この点は十分御認識だと思うのだけれども、その点も十分考慮に入れておるかどうかという点と、それから、従来府県で持っている住宅公社とかあるいは住宅協会、そういうものとの関連性はどうするのか、その二点をお伺いいたします。
  76. 小山長規

    ○小山国務大臣 この点は、いま自治省とほとんど話が詰まりまして、従来持っておる住宅公社の場合は、まだ、看板を二つにしますかあるいはそのものずばりでいっていいか、この辺のところは多少残っておりますけれども、ほとんど話は詰まっております。  それから、出資額についても、要するに理事者を出してもらいたいということが趣旨でありますから、その府県の財政を圧迫をするような大きな金額を望んでおるわけではありません。
  77. 西宮弘

    西宮委員 それじゃ最後に一つだけ、意見もまじえてお尋ねをして終わりにいたします。たとえば新聞によりますと、きのうでしたか、過密都市対策で、そういう何か委員会のようなものをこしらえて、建設大臣もそこで意見を述べておられるようでありますが、その中で建設大臣も、例の筑波山ろくの新しい団地のことを言っておられます。私は実はこの前河野大臣の当時もこういう意見を申し上げたのですが、あそこへ三千億の金を投じて十六万人の人口を収容する、もちろん単に人を集めるというだけでなしに、いろいろ政策的な問題もありましょうけれども、しかし結果としては、三千億を投じて十六万の人間があそこで生活する、これは非常に財政的にはアンバランスじゃないか。そういうばく大な金があれば、これは、その程度の金を使えば、従来の既存の都市ですね、それをもう少し都市施設を拡充するということによって、はるかにそれよりも大きな人を収容し、あるいは教育都市なり研究都市なり、そういうものを建設できるということを私は確信するのです。だから、そういう意味では、あそこへああいうばく大な金を使うということは、そういう点からいったら、まことにもったいないという気がするわけです。それから、それと関連するかしないかわかりませんが、私ぜひひとつ建設省としてもやっていただきたいと思うのは、新しい市街地をつくる際には、単に住宅を建てるというだけでなしに、ほんとうにそこに人間が生活をするに必要なあらゆるものを同時に設置する——学校から病院から、そういう必要なものを常に整備する、あるいはまた、緑地等も完全に必要な緑地を確保する、そういう構想で——さらに私は、実は先ごろよその国のそういう実例を見てきまして、非常に痛感をしたのですが、たとえば都市以外のところに暖房を供給する施設を設けておって、その町の中では一切火をたかない。そういう暖房を全部そういう地方の暖房施設から供給する。都市全部がそうなっておるのを見て非常にうらやましいと思ったんですが、ぜひひとつそういう都市をつくってもしやるならば、そういうことも一緒に考えてほしいということ。  それからもう一つ、これは非常に乱暴な意見だと思いますが、いま非常に地価が値上がりをするわけですね。ですから思い切って、たとえば来年一年うちを一切建てないで、建設省の金で全部の土地を買ってしまう、そういう構想もあってもいいんじゃないかというような気がするわけですが、以上の点にお答えをいただいて私の質問を終わります。
  78. 小山長規

    ○小山国務大臣 この研究学園都市につきましては、私の就任以前から閣議了解がありまして、その点で進めておるわけでありますが、これはいま総額幾らになるのかということは、まだほんの大づかみの数字でありまして、三千億ということは正確の数字ではありません。そう思います。ただ、これはむろん研究機関を移転をし、そしてそこに従来よりもりっぱなものをつくってくれという要望に沿っての話でありますから、そういうものをつくり上げ、あるいは従来よりもりっぱな学校をつくり上げるという構想のもとにやれば、相当な費用がかかるということであります。この問題は、ただ単に過密都市対策ということだけでは、おっしゃるとおり、実際割り切れないだろうと思います。やはり研究機関を一ところにまとめることの国家利益、あるいは学校を校外に移転することの国家利益というものを含めて考えませんと、おっしゃるような、ただ単にそろばんだけの問題としては、議論の余地があると思います。そういう意味で、前内閣から了解事項として進んでおるわけでありますから、これはこのまま進めていきたい、こう考えております。  なお、いま新しい都市をつくるときに、住宅や公園や病院や学校や、というようなものを考えておるかということでありますが、御承知のように、新産都市の計画の中には、当然そういうものを含めて計画を立てておりますことは御承知のとおりであります。  もう一つの地価の問題は、いま非常に頭を悩ましているところでありまして、これというきまった名案がないのが残念であります。
  79. 岡本隆一

    岡本委員長代理 井谷委員
  80. 井谷正吉

    ○井谷委員 私は、過般問題にいたしました、九州と四国の連絡のフェリーボートの件について、さらにお尋ねいたしたいと思います。  これは、私どもにとりましてはなはだ不可解な、不明朗な点がありまするので、先般、十月の四日に当委員会として佐賀関、三崎あわせて鳴門の架橋の問題を調査して帰ってきて、結論といたしましては、鳴門は問題ありません。この佐賀関——三崎間の問題については、大臣はいろいろお骨折りになったのでありますけれども、地元においては、木下知事はじめ一般の世論は反対なのであります。   〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕  それで、私は、話はさかのぼりますけれども、順序上、まず公団にお尋ねをいたしたい。というのは、今年の一月二十八日に、道路公団本社の鹿島企画調査部長、福岡支社の星野工事部長が、愛媛県の桑山土木部長の案内で現地の調査をいたしております。その際、国鉄の八幡浜の駅長室で記者会見をしておる。これは、地方紙としては有数な愛媛新聞の記事に載っておるところを、御参考までに朗読をいたします。「九四連絡フェリーボートは三十九年度に九百屯級を一隻建造し四十年度就航の計画で事務を進めている。この計画を担当している私が現地を知らないのでは困るので調査に来た。三崎半島の道路はひどいものときいていたが県が積極的に改修しているので噂ほどではなかった。しかしフェリーボートが本格的に動くとなればやはり根本的な改修が必要だと感じた。地元に民間フェリーの計画があるらしいが、まだデータを集めていないのでどう影響をうけるかわからない。かりに民間が就航しても道路公団としてはいまのところ予定通り四十年度就航の計画を進める」と出ておるのです。ところが、今回公団のほうでは、民営にこれを委託する、その後公団と民営が半々だという説がなされておるが、それほどの御決意であり、世間にかくも発表になったその計画というものがいつごろからぐらついたのか、なぜそうなったのかということを承りたいと思います。
  81. 佐藤寛政

    佐藤参考人 御質問に対して御説明を申し上げます。  愛媛県の三崎から大分県の佐賀関を結ぶ路線でございますが、これは、路線は二級国道でございますが、海上を通っておりますので、この間の連絡を強化することは非常に大事な問題でございます。したがいまして、それぞれ愛媛県、大分県の御関係の地元におかれましても長い御要望でございまして、当公団のほうに対しまして、有料道路制度でもよろしいから、何とか実施できないかというような御要望、御陳情がございました次第でございます。私ども、大事な路線でございますし、まことにごもっともな次第でございますので、建設省と御相談の上、どういうふうな取り扱いにするか、調査をさせていただいた次第でございます。当初は、御指摘のように、一応道路公団で実施するとすればどういうことになるか、という方向で調査をいたしまして、その結果、本年度の当公団の事業として実施いたしたい、こう考えて準備をいたしておった次第でございます。ところで、調査を進めてみますと、御承知のように、三崎——佐賀関、あの間、並びにそのかいわいには、民間におかれましても航路権を持っておられるところもあり、実際また、われわれが考えておりました自動車渡しフェリーの計画を持っておられる民間の会社がある。いろいろ調査いたしますと、相当具体的に進めておられるという状態でございました。そこで、われわれ公団としての実施と、また民間と運営等を提携いたしてやるというところに、一つの長所も認めましたし、なおまたそれらの点につきまして、建設省にいろいろ御相談しつつ御指導を受けまして、ただいまのように、民間と業務運営の上では多少提携の形で進めることにいたしたらどうか、こう考えて準備を進めておる次第であります。
  82. 井谷正吉

    ○井谷委員 それは違いますね。いまの御答弁では、民間計画があったと言われますけれども、この民間計画は現在三つがやっておりますけれども、これは八幡浜——臼杵ですね。この航路じゃありません。さらにまた、今度の民間業者の中に、かりに民間でやらすならば当然入らねばならない、明治十八年からこの豊後水道の運営をしておる宇和島運輸会社というものが、公団でおやりになるからといって——ここはわりあい風波がありまして、天候は年間不規則なところでありますが、そうした経験者で、公団がおやりになるということで、協力をしてデータまで出しておる宇和島運輸をのけて、何ら経験のない近畿をこれに入れられたという経過を、これは運輸省でございましょうけれども、伺いたい。
  83. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 いま海運局長がまいるそうですから……。
  84. 井谷正吉

    ○井谷委員 それでは、大臣にひとつお伺いいたしますが、八月の四日に、大臣御心配になって、妥協の御仲裁の会を持たれたのでありますが、その会に集まられたのは、御承知のとおりの方々でございますが、反対をしておる肝心の大分県知事と愛媛県知事が——知事はどっちでも早いほうがいいということらしいけれども、東京事務所長であって、あとは大体お役所の方たちだ。この会の、どう言いますか、一般に対する権限というか、力というか、そういうものの範囲をひとつ伺いたいと思います。
  85. 小山長規

    ○小山国務大臣 その前に、ちょっと事情を申し上げますが、私が前大臣から引き継いだ事項としましては、これは公団でやることはふさわしくないという見解だったわけです。というのは、道路公団は本来道路事業に専念すべきであって、あちこち、たとえばフェリーを経営してみたり、あるいは駐車場を経営してみたりすることはふさわしくない、これは私も同意見なんです。本来、そういうものに専念して、集中投資をすべきものであるという考え方は、私も同じなんです。そういう引き継ぎを受けておりました。これは、私も、民間にやらせることがいいというように思っておりましたところが、実は、従来そういういきさつになっておらぬのだというお話がありましたので、そこで、それではひとつ関係者に寄ってもらってみようかということで、愛媛県、大分県の事務所長を含めて、運輸省も、道路公団も含めて、一体どういうことなんだと、だんだん聞いてみますと、ともかく公団でやってもらいたい、いや民間でやってもらいたいという話で、とてもお話がつきそうにありませんので、そこで、一体フェリーをつくってもらうことが大事なのか、公団でやる、民間でやるというのが大事なのか、どっちだと聞いてみましたところが、ともかく早くフェリーをやってくれということでありますから、それではひとつ私が提案をするが——私は、先ほど申しましたように、民間でやるべきものだという考えでおりましたけれども、公団もやる、民間もやる、フィフティー・フィフティーということばを使っておったと思いますけれども、そういう考え方でいまからスタートできるか、皆さんの御意見はどうだ、というふうに聞いてみましたところが、愛媛県はたしか、私のほうは公団でやってほしいと事務所長が言っておりました。大分県は何ら発言がありませんでした。そういうことでスタートしましたところが、だんだん話が、私の手を離れてからでありますけれども、だんだん話が詰まって、それではまあ、ひとつ、公団と民間ということでいいのじゃないだろうかというような話がだんだん詰まってきた。そして最近になって、大分県知事から、やはり公団にしてくれという話がありましたけれども、われわれのほうでは、その点について異論がないという前提で話を進めておりましたので、また大蔵省側とも——実は大蔵省も公団でやることには反対だったのですが、事情を説明しまして、やるとすればこれしかないということで話を進めました結果、大蔵省側も承諾をしましたので、その話をずっといま詰めておる、こういう段階でありましたので、木下知事にもそのことを申し上げて、私のほうはこれでひとつやろうと思うから、了承してほしいという話で、別れておるわけです。
  86. 井谷正吉

    ○井谷委員 前の大臣も、また小山大臣も同じ意見だと言われますけれども、フェリーボートというものの性格上、私は御意見と違う。というのは、この船があちらの港、こちらの港に着いていくならば、これはまた別個の考え方がある。けれども、これは三崎半島を出て、そうして大分県の佐賀関に渡って幹線につながる。海の上だけれども、これは私は道路だと思う。渡船ですよ。私は先般九龍から香港に、あの大きなフェリーボートで渡りました。内地の小さい県や市町村でやっている渡船も、大か小かの違いはあるけれども、やはりこれは渡船に違いない。これは管理者はどっちかというと建設省だと思う。こういうような問題をいまのようなお考えで、船は別だ、道路だけだと言われれば、私はこれは切り離すことのできぬ問題だと思うが、どうでございますか。
  87. 小山長規

    ○小山国務大臣 どうも海の上のそれは全部道路だということになりますと、たとえば海の上にも橋をかけなければならぬし、いろいろな問題が起こってまいりますが、それはそれとしまして、道路公団でいまこれをやることがいいかどうかという判断になってくると、もっと急ぐ仕事があるという判断なんです。そういう意味で申し上げたわけです。
  88. 井谷正吉

    ○井谷委員 いまのこの会で総意がきまったようなお話でありますけれども、大分県の事務所長がものを言わなんだというのは、知事が政治生命を賭しての反対だというので、これは言えなかった。それから毛利君ですけれども、毛利君は秘書をよこしておる。大臣も御承知でありましょうが、われわれの秘書というものは、りっぱな秘書もあれば、女の子等で間に合わせでやっておるものもある。これはどっちにしても秘書には違いないが、これがこうした大事な問題に出てきて、どれだけの代理権があるのか。事務所長の発言が知事の資格があってのものなのか。私は、この会の性格が非常にずさんでありますし、権威のないものだと思っております。さらに木下知事が現在においても反対しておる。大臣のお話だと、村上代議士が賛成をしたから非常によかったというような、ほっとしたような意味のことを言われておりますけれども、村上さんにしたって、われわれにしたって、地区から出ておる代議士であって、知事じゃございません。知事がその県のすべてを持っておって反対し、世論が反対しておるのを、これが賛成したというふうにきめてしまわれたということは、私は非常におかしいと思います。これは決してまとまっておりません。その証拠には、私は、この間調査に行ったあとですが、木下知事から手紙をもらっております。「現在公団一本の方針に変わりはありません。先日上京の際にも、小山建設相外同省幹部にも、判然私の意見を述べて帰りました。」こういうふうに言っておりますので、大事な基地を持つ県の知事がその政治生命を賭して反対をしておることを、ここできめたからといって、それを強引に押し通されるつもりかどうか、この点を伺いたい。
  89. 小山長規

    ○小山国務大臣 あの会議はむろん公式のものじゃないのです。非公式なものではありますが、それをスタートにして話をしてくれということを私は申し上げた。そこで結論を出しておられるのじゃないのです。その問題は、その後、公式にどこからも反対意見が出てこないのです。その後、われわれのほうが大蔵省との話を詰めて、大蔵省側とすっかり話が済んだあとで、木下知事が見えたわけであります。そこで、むろんこれはいまわれわれのほうとしてはそういう方針で、道路公団一隻、民間一隻、民間のほうは運輸審議会できめることでございますから、どこと申し上げられませんが、民間一隻ということでやるのだという方針のもとに方針を立てましたから、したがって今度は正式に大分県の知事に協議を申し込むわけであります。そこでいやだとおっしゃれば、公式の返事が来るわけでありまして、そういう手続だけは踏んでいきたい、こういうことです。
  90. 井谷正吉

    ○井谷委員 それからこれは愛媛県側がちょっと足踏みをした大きなあれになっておるのですが、さらにまた、先般、中国四国、九州の高速道路期成同盟会というのができて、私も出席したのですが、そのときの村上さんの話に、自分も公団一本やりだ、これにこしたことはないが、そういうことを言いよったら十五年、二十年先になるかもわからないから、いまこの機会を失うてはいけないという御発言がなされたことを聞いたのです。また一部にはやはりそういうことを言っておる者もございます。そうすると、これをやらなかったらそういうふうになるのであるか。最初公団のほうでは、自分一本でやろうという御決心であったものが、民営というものが間に入ってきて、そうして民営をのけるようだったら、あと知らぬ、これだけ重要な路線であるけれども、十五年二十年先になるかもしれないというような御態度であるかということをはっきり承っておきたい。
  91. 小山長規

    ○小山国務大臣 民間の側がフェリーをつくりたいというふうに、御承知のように、運輸審議会に出しているわけであります。それが許可になりますと、民間の航路権のあるところに今度は公団を入れるということはむずかしいことですね。ですからそういう意味で、民間のほうが優先されてしまいますと、もう公団はおそらく入るのは非常に骨が折れるのじゃないかというふうに思うわけです。
  92. 井谷正吉

    ○井谷委員 これも建設大臣と違うあれになりますけれども、運輸省まだ見えませんか。
  93. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 海運局長がまもなくまいるそうです。
  94. 井谷正吉

    ○井谷委員 それでは、お含みおきを願いたいために申し上げておきますが、民間でいま一番問題になっておるのは近畿なわけであります。宇和島運輸というのが昨年から海運局のほうにこの問題についてのあれを出しておるわけでありますが、今度近畿という名前が出たために、当初は公団がやるからというので、宇和島運輸も御協力を申し上げたが、うわさによれば近畿だということで、近畿がやるのだったら、当然宇和島運輸が入れられるべきだという請願が、大臣のほうにも出ておるはずです。運輸大臣にも出ておるはずです。だから、これらの扱いについては——これは海運局のほうからお見えになったときにお伺いせねばならぬけれども、はなはだこれは不明朗に思うのです。私が思うだけじゃない、一般の者が思っておるから、やはり政治の中心におられる方はこういう点を明瞭にして、一般の揣摩憶測を除くということを考えてもらわぬと、こうふたをしたようなことでは——しかも近畿そのものは何ら船の経験がないのに、鉄道では有数な会社かもしれないけれども、実際に経験のないものがぽかっと出てきた。これはどうも私は不可解に思うのであります。  それから、まだ見えませんから、道路局長一つお伺いしたいのですが、先ほど私ちょっと触れました、陸地と陸地を連結いたします渡船の問題でございます。これは私は道路として解釈をしたいと思うし、道路法にもそういうふうに何条ですかあるように思うのですが、これは将来も離島なんかの場合に問題になるのだが、民間でやれば非常に運賃を高くとられる。それから、これが公共団体でやるような場合に違ってくるわけですが、これは私はやはり道路とみなして解釈すべきものであると思うのでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
  95. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 一般的な問題と特殊な場合と、二つに分かれると思いますが、海の上をつなぎますものが、道路に認定されている場合とおらない場合とあります。大部分は認定されておらぬと考えたほうがよろしいかと思います。たとえば国道の例で申しますと、東京湾の入り口を結びます十六号国道、これは海上が国道に指定されております。これは民営で現在フェリーが運営されております。それから御承知のように、明石−鳴門、これは国道二十八号で、国道としてりっぱに認定されております。これは道路公団でフェリーを運営しております。それから宇野−高松、これは国道三十号として認定されておりまして、現在民営でフェリーが運営されております。それから愛知県の伊良湖岬の先と三重県の伊勢でございますが、この間がやはり国道として認定されておりまして、現在民営でフェリーが運営されております。そういうふうに国道に認定されておりますものでも、民間のフェリーで運営されておりますものと、明石−鳴門のように公団で運営されているものと二色あるわけであります。ですから、国道あるいは都道府県道に認定されております海上の道路につきましては、道路として認定されておりますから、道路の施設としてフェリーを運営するということはもちろん予想しております。でございますから、現在でも、公団営あるいは県営のフェリーがあるわけでございます。しかし国道あるいは県道として認定されておりませんものは、これはもう本来道路ではありませんから、道路の施設としてフェリーをやるということは予想しないわけでございます。ただ、認定をすれば別でございますけれども、認定しない限り、民営というのは一般的だろうと考えます。そこで海上のほうはどうかというと、海上の道路というものは本来どういう性格のものであるかという根本的な問題でもございますけれども、現実には、そういうふうに認定されておるかおらないかによって、道路としてやる場合とやらない場合があるわけであります。  それで、先ほど来お話の今度の場合、公団でやるべきか、あるいは道路管理者がやるべきか、あるいは民営にすべきかという問題は、これは道路でございますから、管理者営の道路であって別に差しつかえないわけでございますけれども、先ほど大臣より御答弁ございましたように、公団でやるにいたしましても、あるいはその他の経営でやるにいたしましても、すぐやれるかどうかという点が一つございます。やはり優先順位がございます。そういうような判断から、当分、そういうようなものにつきましてはむしろ民営のほうがいい、また民営でそういう希望があるなら、それにやらせたほうがいいだろうというような方針が先年あたりから出されておりますので、今回の件は、そういう方針に従った問題だと、私どもは理解しておるわけであります。
  96. 井谷正吉

    ○井谷委員 これは海運局が見えたときのほうがいいのですけれども、時間が切れますから申し上げたいと思いますが、ただ単にこの問題に限りませず、たとえば公団と民間とが一緒に仕事をする、そうすると公団のほうはどっちかといえばお役人の流れで、わりあい事業のほうは、ほんとうの事業でやってきた人には劣ることになります。そうすると、最初は一緒にやりますけれども、最後には——大きな事業を経営した人はわかるのですけれども、普通の一般の工場等でもそうですが、合弁で一緒に仕事をしよう、そうすると、一緒にしている間は赤字を出すのです。そしてせびり出して、もうけるようになったら自分がやろうとすることは、これは事業界の常道でございますが、こういう公団の方とそういう千軍万馬の事業家とが一つにやって、そして当然最初赤字が出るのだが、それを故意に赤字のふえるような運営をして——国有のいろいろな問題の払い下げもそういうことで起きるのだが、結局それを民営に移管をしてから、それがもうかっていくというようなことはあり得ることなんです。  そういう点についての、この問題についての御配慮があるかどうか。どういう会計の処置をせられるのか。
  97. 小山長規

    ○小山国務大臣 これは合弁事業とおっしゃいましたけれども、今度の場合は合弁にしておりません。つまり公団は公団で運営をする、民間民間で運営をする、会計は別にしてありますが、ただ、実際の事業そのものの運行は、これは委託契約を結ぶことになると思います。料金の徴収とか、そういうものの事務の委託はするかと思いますが、損益の帰属は別々に帰属するということになっております。なお、詳しいことは局長から申し上げます。
  98. 井谷正吉

    ○井谷委員 海運局長がどうも出られないらしいですから、そこで、私一点お聞きを願っておきたいと思います。というのは、これは海運の関係でございますけれども、御参考までに御留意願いたいことは、宇和島運輸というもの、これは宇和島から出て、八幡浜に寄って、三崎へ寄って、大分、別府へ行く。そうすると、かりに宇和島運輸というものが参加せずに近畿一本になりました場合に、当然この航路は競合するので、補償の問題が起きてくるわけであります。こういう点について、やはりお含みを願わなければならぬ問題だと思います。大臣お考えかしらぬけれども、そういうことはどうお考えになりますか。ことに、近畿が八幡浜を起点にして佐賀関へ行くことになると、ダブる線がもっと伸びるわけです。当然起きてきますよ。
  99. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 お話のように、宇和島運輸と豊予商船、この両者が競願しておるという形であろうと思います。運輸省のほうでこれをどういうふうに許可されるかわかりませんが、そういう場合のことを考えましても、私どもの承知しておりますのでは、宇和島運輸の既定航路はかなり離れたところにあるわけであります。そういうものに対してはたして補償の事実が生ずるかどうかということは、まずどこを通るかわからない仮定の問題もございますので、私ども十分資料を持っておりませんので、いまの段階でまだお答えいたしかねます。
  100. 井谷正吉

    ○井谷委員 それから、これは見せてくれるなということだから見せませんけれども、公団の御調査になった先十カ年間の、腰だめであろうけれども、収支のあれを持っておるのです。これは十年たたないうちに黒字になることは明らかであるし、木下知事の申しますように、今度御承知のように新産都市が指定されましたけれども、指定されて困っておるところも多いが、喜んでおるのは鶴崎と岡山です。ですから、今度大分市と鶴崎、さらに佐賀関を合併して大大分市、そして佐賀関から四国の短距離を走ると百二十キロ短縮できて、さらに時間も四時間ほどで京阪神へ行く。現在は下関へ渡って山陽綿でずっと回る。品のいたみから、距離から、運賃からいって、これができたら北九州、南九州は、この間できたあの道路を使って、これは大動脈線になることは明らかなんです。そこをねらったのが近畿なんです。私は海運局が見えましたら——豊予商船というものの内幕も知っておりますが、資本金一千万円、宇和島運輸は一億五千万円、資本金からも違うし、これはこの辺を航海したことはないのです。青木石油という、もう一年以上やめておるのを買って、しかも青木さんという人はちょっと問題になっておる人であります。この事件の訴訟をするといって、この間私どもに来ましたけれども、なかなかこれは複雑でございますから、大臣がお考えになっておるように簡単にいかないと思うのです。そのことを申し述べまして、私は海運局がおいでになったときにさらに詳しく継続をしたい、こう思います。
  101. 岡本隆一

    岡本委員 ただいまの質疑を承っておりますと、フェリーの許可の理由について、私どももどうも納得できない点がございます。大体、海運局というところは造船疑獄でもって音に聞こえたところでございますし、これは非常に不明朗なものがある。だからこの点については、私どもも井谷君と一緒にもう一度徹底的に調査いたしまして、あらためて海運局に来ていただき、また運輸大臣にも来ていただいて、十分この点を解明したいと思いますので、委員長においても、そのようなお取り計らいをお願いいたしたいと思います。
  102. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 承知いたしました。      ————◇—————
  103. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  今国会が閉会になりました後も、  一、国土計画に関する件  一、地方計画に関する件  一、都市計画に関する件  一、河川に関する件  一、道路に関する件  一、住宅に関する件  一、建築に関する件  一、建設行政基本施策に関する件  以上の各件につきまして、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、手続に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十八分散会