○久保
委員 関連ですから簡単にと思いましたが、お話が出ましたからちょっとわれわれの
見解を申し上げておきたいと思うのですが、いま
港湾労働で一番問題なのは、荷物の波動に合わせて労働者を置くという前近代的な制度、これが一番問題なんです。そこからくるところの今度は
一般的な労働事情の変更、労働の流動性、そういうところからくる過酷な労働条件の中では、その部面からよそへ流動しつつある。そのために、逆に言うならば
港湾の荷役が渋滞してくる。これは長期にわたって展望される
一つの法則ですね。これを解決して安定的な荷役をしていくというのがまず企業としての
考え方である。もう
一つは労働の質を高めていくという側面、この二つの側面からわれわれは
考えていくべきだと思うのです。でありますから、
ワクをきめるということでありますが、当然、実際問題としてどの
程度に
ワクをきめるかはなお問題がありましょう。あるいはその地点においても異なってくる。これは実情に応じてやるほかないですね。
ところがあなたが言いたいことは、
ワクをきめていくことは、そこで今度は荷物のない場合にもかかえておかなければならぬ。これは当然企業の責任ですよ。要るときにだけ雇ってきて要らなくなったらさようなら、そういう労働のあり方というものは、これからは断じて許されないことであって、これは企業の責任であり、国全体の責任であります。でありますから、
ワクをきめていくことは、企業の責任も
一つあるし、前段申し上げたように安定的な荷役を確保するという社会的な責任もあるのです。単に企業の採算だけから割り出していくならば、何も問題はありませんよ。野放しにしておけばいい。いまのままで
港湾荷役の渋滞があろうが何があろうが、そんなものはかまわぬということになる。それでは困るという
一つの問題があってこの点にきたのですから、その点は十分認識を改めてもらいたいと私は思う。
それからもう
一つは、出頭手当の問題であります。これももちろん言うならば企業の責任であります。
仕事があって出てきたときだけに賃金を払うということは、なるほど企業にとっては有利かもしれない。しかし必要なときに来なかったらどうするかという逆のことも
考えなければならない。そうするならば、当然のごとく出頭手当というか、そういう制度はあってしかるべきであるし、なくては確保できないということじゃないですか。これはだから国が労働力を確保することは当然の責任ですよ。いまのように労働の市場が秩序なく流動していく。そこには幾多の問題が派生しているわけですね。その端的なあらわれが
港湾の荷役にきているわけです。他にもたくさんあります。先ほどから申し上げたようなワンマンカーの問題も
一つありますね。これはいろいろなところにきているわけです。だから言うならば全体的に国がそういう制度をむしろ進んでとることのほうが、最近における成長経済の中では必要だと思うのです。でありますから、決してこれは間違っても何もいない。どういうふうにシェアをきめるかというぐらいの政策がなくては、だれが政権を取っても今後の成長発展はできないと私は思うのです。そういう意味から言うならば、これはいままでの古い
考えから見れば、どうもおかしいじゃないかという理屈は多少出ますが、私は当然じゃないかというふうに思う。
負担金の問題についても当然ですよ。そこであなたのほうの立場から言うならば、これが
港湾荷役の料金の値上げの問題になる。そうですね。おそらくそれが一番心配だとおっしゃるのでしょう。だけども、そうせなければならぬものはこれは値上げをやるべきでしょう。最近の物価の体系からいけば、
一般の物価には響きませんぞ。
管理価格などはありますが、独占物資は一切下がらぬ。これは大衆生活には影響ないといっては多少言い過ぎかもしれませんが、当たりは少ない。しかも
港湾収支の問題
一つとりましても、
日本の海運収支の中に占める
港湾収支、外国との
関係から
考えればこれは安いといわれておる。そうですね。何ゆえ
日本だけ安くしておかなければならぬか。そのしわ寄せが労働者にいくのでは話は違うじゃありませんか。そこを日雇い労務者の背中で背負わなければならぬということは、いかがなものかと私は思う。だからそういう点でひとつこれは前向きで
考えていただきたい、こういうふうに思います。
関連でありますからこの
程度にしますが、一言お尋ねしたいのは、
港湾運送事業者の集約という問題でありますが、集約は
考えておられるようですね。
考えてはいるが、まだまだこれから手をつけよう——その前にわれわれも集約すべきだと思います。元請
中心原則というか、そういう方向でやはり企業というものを集約して、近代的な荷役と荷さばきの円滑化をはかるべきだと思う。これは当然であります。そのやり方がおそいですね。言うならば海運集約をそれに先行してやることが非常に大事です。ところが港政課のほうの人間が少ないからというので今日までのんびりしておった。われわれとしては、この問題は、
運輸省というか、そういうものがあまりにも等閉視していたのではないかと思う。
そこでこの
港湾運送事業者のいわゆる免許の切りかえ、こういう作業は、簡単にお答えいただきたいのだが、順調にいっているのですか。