運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-12-15 第47回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十二月十五日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 有田 喜一君 理事 進藤 一馬君    理事 關谷 勝利君 理事 塚原 俊郎君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       浦野 幸男君    佐々木義武君       壽原 正一君    田邉 國男君       中馬 辰猪君    細田 吉藏君       増田甲子七君    勝澤 芳雄君       野間千代三君    内海  清君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         運輸政務次官  大久保武雄君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君  委員外出席者         総理府事務官         (北海道開発事         務次官)    谷藤 正三君         検     事         (入国管理局次         長)      富田 正典君         運輸技官         (港湾局長)  佐藤  肇君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君         建設事務官         (道路局日本道         路公団首席監理         官)      沖  達男君         建 設 技 官         (道路局二級国         道課長)    南  俊次君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 十二月五日  九州、四国連絡自動車航送船に関する請願(井  谷正吉紹介)(第三二八号)  串木野海上保安署保安部昇格に関する請願  (山中貞則紹介)(第三六五号)  名古屋港高潮防波堤建設に伴う小型船業者救済  に関する請願田口誠治紹介)(第五一九号) 同月十一日  川内河口港に水中貯木場設置に関する請願(池  田清志紹介)(第七三五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月四日  近畿日本鉄道の高架化促進に関する陳情書  (第四六四号)  同(第四六五号)  同(第四六六号)  同(第四六七号)  国鉄小鶴線建設促進に関する陳情書  (第四六八号)  国鉄輸送力増強に関する陳情書  (第四六九号)  同  (第四七〇号)  国鉄山陽新幹線建設促進に関する陳情書  (第四七一号)  国鉄の新長期計画に関する陳情書  (第四七二号)  国土縦貫新幹線鉄道建設促進に関する陳情書  (第四七三号)  新東京国際空港建設促進に関する陳情書  (第四七四号)  三陸沿岸縦貫鉄道早期完成に関する陳情書  (第四七八  号)  鹿児島本線複線電化促進に関する陳情書  (第四七九号)  北海道、本州間の生鮮食料品輸送体制強化等  に関する陳情書  (第四八〇号)  青森、函館間の貨物輸送強化及び擬制キロ数  の是正に関する陳情書  (第四八一号)  北海道内国鉄主要幹線全線複線化等に関する  陳情書  (第四八二号)  青函トンネル早期建設に関する陳情書  (第  四八三号)  一般バス・ターミナルの建設促進に関する陳情  書(第四八四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(自動車行政に関する問題)  航空に関する件(空港管理に関する問題)  港湾に関する件(港湾整備等に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件、航空に関する件及び港湾に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。壽原正一君。
  3. 壽原正一

    壽原委員 港湾局長、今回経済企画庁中期経済計画というものを出した。これが港湾取り扱い貨物運輸省考えておる長期計画というものとだいぶ食い違っておる。そこで運輸省案よりも企画庁の案が、計画案としては上回っておるように聞いております。ところが行政投資額運輸省計画の六五%程度答申の内容に載っておる。これはわれわれが考えると非常に矛盾した答申じゃないかと考えられるのだが、運輸省ではこの点についてどういう見解を持っておるか。それを聞かせてもらいたい。
  4. 佐藤肇

    佐藤説明員 ただいま御指摘のとおり、このたびの中期経済計画におきましては、われわれが当初この港湾整備の五カ年計画をつくりましたときに、その指標としてとりました所得倍増計画における四十三年の経済規模の目標よりも、外国貿易において約十億ドル程度貨物におきましては九億一千万トンと見込んだものが九億六千万トン程度になるような規模経済指標を持っておりながら、港湾に対する投資額は、われわれが当初要望いたしました八千四百億円、すなわち港湾整備事業分として七千二百億円、港湾機能施設整備分としての千二百億円の合計でありますが、これに対して五千五百億円。ただいまおっしゃられましたように約六五%の需要量、かように相なっておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、今後現在のような態勢がさらに続くだろう、また新産都市その他の地域開発というものも、現在やっているもの以上に新規着工というようなことは非常にむずかしくなる、かように考えまして、この点は経済企画庁といたしましては、すでに中期計画として発表したわけでございますが、まだ閣議決定に至っておりませんので、さらにこのワクを拡大いたしまして、当初のワクにしていただきたい、かようなことでいま折衝を続けておるわけでございます。
  5. 壽原正一

    壽原委員 それでは、まだ閣議決定になっておらぬので、これからあなた方のほうでは、運輸省案、あるいは中期経済計画に追いつくまでに努力をしよう、こういうことなんでしょう。
  6. 佐藤肇

    佐藤説明員 はい。
  7. 壽原正一

    壽原委員 そこで、現在どの港湾でも貨物の量が非常に多い。そのためにあなたのほうでは、これらに対する新規開発港湾というものを苫小牧室蘭富山あるいは鹿島灘、こういうことも考えておるのだが、これらの問題は、これは現在のあなた方の計画を立てたものだけの金額、五千五百億円だけではできないということなんだね。結局、あなた方が当初計画を立てたとおりのものをやらなければできない。それではこれからの貨物の量の伸び行きというものは、これでストップしなければならないというような状態になってくるわけだね、これができなければ。その点はどうなんです。
  8. 佐藤肇

    佐藤説明員 ただいまおっしゃられましたような苫小牧とか鹿島、富山新港というような新産都市に該当する港湾につきましては、現在基本計画としてこれらの新産都市が持っております港湾施設拡充分につきましては、約六〇%程度より達成できないんじゃないか、かように考えられます。
  9. 壽原正一

    壽原委員 そこで、ちょっと例を北海道に置いてみると、今回の新産都市地域の問題では、北海道道央地区というて非常に幅の広い指定になった。ところがこの指定地域内に小樽あるいは室蘭苫小牧、こういう重要港湾三つあります。この中の三つ港湾がそれぞれの特色を持っておるんだが、この三つ港湾のうちで、あなた方はこの新産都市地域というものがだんだんこれから実を結んでこれがやり遂げられていく中に、この三つ港湾の中でどれを一番重点に置くか、その考えをちょっとお聞かせ願いたい。
  10. 佐藤肇

    佐藤説明員 ただいま御指摘室蘭苫小牧小樽というものは、おっしゃられましたように、おのおの性格が違っておるわけでございまして、どれを重点に置くということではなく、おのおのの性格においてこれを地域開発に役立たすように伸ばしていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  11. 壽原正一

    壽原委員 そこで私は伺いたいんだが、現在行なっておる港湾整備状況を見るときに、苫小牧人工港として、あなた方はよく御存じでしょうが、あれはいままでは石炭専門にやろう、こういうような港らしく聞いておった。それから、今回また室蘭には外防をつけようということで計画を持ってやっておる。ところが小樽の場合を考えると、小樽一般斜陽都市と呼ばれている。その斜陽都市である小樽港の問題に対しては、ほんとうにわずかな予算しかついておらぬ。それから港湾防波堤かさ上げの問題もあり、あるいは第三埠頭の問題もあり、いろいろ整備計画がなされている小樽港に対しての予算つけ方が非常に少なかったというふうに考えられる。それで現在行なわれておる苫小牧人工港は、一般には成功しておらぬというふうに私は聞いておる。ところが、あなた方の見解は成功しておるんだというふうに聞いておるのだが、ほんとうにあれが成功しておるかどうかという点、あなた方はどう考えておりますか。
  12. 佐藤肇

    佐藤説明員 苫小牧が成功しておるかどうかということでございますが、苫小牧港を当初つくり上げましたときは、いま言われましたような石炭の積み出しということが主でございました。あわせて堀り込みの周辺臨海工業地帯をつくるということが目的でございました。現在石炭につきましては、すでに二百万トン近いものが出荷されておりまして、石炭についてはおおむね目的を達し得ているのではないか。  次に、臨海工業地帯としての開発の問題につきましては、いろいろ工場誘致の話がございますが、まだ確定しておりません。したがいまして、石炭については所期目的が達せられておりますが、臨海工業地帯としては今後の問題として残っておると思います。  もう一つは、技術的にこれがうまくいったかどうかという問題がありますが、技術的にはおおむね所期目的を達しているものと思っております。というのは、現在すでに石炭を運ぶ三千トン級の船が出入しているわけでございます。
  13. 壽原正一

    壽原委員 あそこは三千トンくらいの船を入れたんじゃ間に合わぬのじゃないですか、やはり二万トンでも三万トンでも入るような設備にせぬと、せっかく何百億とかける人工港、あるいは日本でも初めてであろうと思われるあれだけのものをやろうというのに、わずか三千トンくらいの船が入るからというて満足しておられぬ。  そこで最近聞いた話であるが、苫小牧に、石炭ばかりじゃなく、貯木場をつくるという話が出ておるやに聞いておる。この点についてはそういう話があったかどうか、もしあるとしたならば、それをやるかどうか、それを聞きたい。
  14. 佐藤肇

    佐藤説明員 苫小牧につきましては、木材は現在も一部パルプ材を扱っております。貯木場をつくりたいという現地の要望については伺っております。しかしわれわれといたしましては、あの港は先ほど申しました道央新産都市工業開発の非常に重要な点でございますから、それを主にいたしまして、現在のところはあそこを木材集積場にする、貯木場として考えるということは持っておりません。ただ、パルプ材につきましては相当の需要がございまして、現在も泊地の中に船を入れまして、護岸も何もないところへ木材をかつぎ上げているという状態でございますので、パルプ用材につきましては岸壁をつくって、そこに荷上げをするようにいたしたい、かように考えております。
  15. 壽原正一

    壽原委員 パルプ材だけの材料に限られたとするならば、それで私は満足しますけれども、現在小樽貯木場をつくりましたね。あれは大体年額五十万トンとか六十万トンが限度というふうに聞いておる。そこで札樽間で材木を必要とするのは年間約三百万石くらい、その三百万石くらいを道内だけでは足りないので、結局北洋材南洋材というものを入れなければならないから、これを入れるのに、いま地元では石狩港湾を利用しよう、こういうふうな計画を持っているように聞いておる。これは札幌小樽あるいは石狩管内を含む経済協議会というものがあって、その中でもそういう問題が取り上げられておる。そこでいままで石狩港湾について見ていると、石狩港湾の川の先のほうへずっと防波堤を出す、防波堤を出しておっても、当局技術家の話を聞くと、あの水深は四メートル以上にはならないやに聞いておるのだが、四メートル以上にならないということになると、あの防波堤というものはむだじゃないかと考えられるのだが、その点の考え方はどうですか。
  16. 佐藤肇

    佐藤説明員 石狩港につきましては当初の計画水深四メートル五十に水路を維持しよう、こういうことでございました。現在は約百メートル導流堤が延びまして水深が三メートルに維持できておるようでございます。さらに今後二百メートル程度延ばす計画を持っておりまして、それによって四メートル五十の水深を維持しよう、かように考えておるわけでございます。
  17. 壽原正一

    壽原委員 四メートル五十くらいの水深では、あそこを貯木場として使うというような重要な港湾に、河口港ではならないのじゃないですか。その点あの川を最大限に生かすということになるとどういう計画を持っておるのか。北海道開発庁のほうでもよく考えておることでしょうけれども、あなたのほうの港湾局自体としてあの港をどう考えておるか。最大限に利用するのには私は七メートル以上にならなければならぬと思っておるのだが、とうていならないという見通しのもとにあれをやっておるのならば、これはむだじゃないかと思うのです。その点の見解を聞かしていただきたい。
  18. 佐藤肇

    佐藤説明員 石狩港は当初木材を扱う港として考えないで実は計画されたものでございます。現在北海道における木材を一番よけいに扱っておるのが室蘭でございます。その次が小樽でございます。小樽につきましては最近非常に木材需要がふえておりまして、現在木材係留場として防波堤に囲まれた水面がございますが、その上にさらに荷揚げ施設を増強することによって木材取り扱い能力を増そうと思っております。  今後それ以上に木材のふえる見通しがあるわけでございます。それにつきましては、現在木材の貯木が一部行なわれている石狩港をどのようにして変えて使うか、さらに札樽新港というような構想もございまして、これらにつましてはまだ技術的調査をする段階にとどまっております。
  19. 壽原正一

    壽原委員 私の考えでは、現在まで小樽貯木場をつくって、あれはやや成功したように考えております。これから材木を扱うのには、どうしても札樽新港という問題も考えておるようではあるが、これは時間がかかってしまう。そしていま一番需要に適しておるのは石狩だ。石狩川最大限に利用するのには貯木場以外にはもう考える余地はほとんどないんだろうと思う。そこで札樽経済協議会考え方もわれわれの考え方も一致したのですが、石狩の現在の河口を切りかえる意思があるかどうか、それをショートカットするということです。これはいろいろな場面について必要だろうと思うのだが、河口がずっと右寄りに現在なってきておる。そしてあの地域あるいは厚田浜益に及ぼす海域の影響というものも非常に大きい。そういう点から考えてみて、あれをショートカットしなければならぬということをわれわれは開発庁と相談しておる。ところがあなた方はそういう問題を考えておるかどうか、これを聞いてみたいと思う。
  20. 佐藤肇

    佐藤説明員 石狩港を本格的に大きな船を入れるということを考えますときには、いま言われました河口において石狩の本流を分離して海に流すという問題が出てまいると思うのでありますが、われわれといたしましては、まだ石狩港につきましてその問題は検討いたしておりません。
  21. 壽原正一

    壽原委員 どうも役人のものの考え方というのはちょっとおかしいと思う。現在世界各国どこでも川というものは最大限に利用している。ところが日本現状を見ると川は荒れほうだいに荒れている。そうして多少の雨が降るとはんらんして農業地帯に最も被害を及ぼしたり、あるいは築堤をしなければならぬ、水位を下げるにはどういうようにしなければならぬという根本的な考えを持っておらぬようだ。そこでさっきあなたが言うた、札樽新港というような計画を持っておるやに聞いておるのだが、小樽も満足でない、石狩河口も満足でない。これにまた加えて札樽新港などということを考えることにおいては、これはあなた方の考え一体どれを中心にものを言っているかわからぬことになる。私が言いたいのは、小樽港を完全に整備し、あるいは石狩河口というものを最大限に利用できるような状態になってから、これで不足ならば新たにまた札樽新港というものを考えることも差しつかえないだろうと思うのだが、その点は一体根本的にどれをどうするという考え方をはっきり明示してもらわぬと、札幌小樽、あれだけの大都市を控えた。あの管内において非常に迷うておる。小樽の人間にすると、小樽整備ができ上がらぬうちに札樽新港などを考えるとこっちがおろそかになるのじゃないか。あれだけの自然の良港を持った小樽をこのままで放任しておいて札樽新港考えるということは、私はむだだと思う。必要ではあろうが、まだ時期尚早ではないかと思う。この点の見解はどうですか。
  22. 佐藤肇

    佐藤説明員 小樽港は戦後石炭輸送というものが減りましてから非常に衰微したように見えております。しかし小樽の最近の港勢というものは、雑貨の動きというものが逐次ふえておりまして、これは石炭木材、油のようなバラ荷でもってふえるのとは違いまして、非常に貴重なものだと思っております。したがいまして、小樽港湾を今後どのように開発するか、これは広い防波堤に囲まれた水面があるわけでございますから、これを最大限に活用すべきであると思っております。ただ戦前から石炭をやっておりました経緯がありまして、港のいい部分が石炭輸送に相当部分とられているというようなことがございますので、今後の体質改善という意味でこれを考えていかなければならぬのじゃないかと思います。しかしなお現地におきましては、小樽港が、小樽市が斜陽都市云々といわれるということは、その周辺工場がないことであるというようなことから、市域をさらに札幌方面に拡張して、札樽一体となって工場地帯もつくれるような港というような希望が札樽新港という名前でいわれているのじゃないかと思いますが、先ほど言われましたように、石狩川河口の問題すら漂砂その他のために技術的には水深の深い港をつくるのは非常に困難なことでございます。したがいまして、石狩湾の奥、すなわち石狩河口中心とするその周辺につきまして、波浪それから漂砂調査というような技術的な検討をいまやっている段階でございまして、それらの見通しがついて初めて札樽新港の問題なり石狩港を今後どうしていくかという問題を一体として検討すべきだと思います。
  23. 壽原正一

    壽原委員 石狩川は皆さんもよく御存じでしょうけれども、あの川をどういうふうにしなければならぬかという問題は、これはもう札樽新港考えるよりまず先に考えなければならぬ。そこであの川は御案内のとおり川底がどんどん上がって水面が高くなっている。あれを防ぐのにはやはり川の流れを早くしなければならぬという問題が一つ。それから海域の及ぼす悪影響、あのどろのような汚水を厚田浜益のほうへ流している、あれもとめなければならぬ。そういう関係から、当然あれはショートカットされるべきものとわれわれも考えており、開発庁当局もおそらくはその問題で考えておるだろうと思うのだが、開発庁とあなたのほうとでよく相談したことがありますか。  それと、石狩川年間百五十万トンくらいのどろがどんどん上から流れてきている。現在の防波堤を出しているのでは容易に防ぎ切れないだろうと私は思う。そこであれを現在利用しようということで、あの地域開発、これから新産都市計画にかかって札樽地帯軽工業地帯にしようというような計画、これらの計画と相まって小樽石狩両方の港が完全整備されたならば、それでこと足りるのじやないかというふうに私は考えます。しかしあなた方の見解は、それを完全整備せぬうちにまた札樽新港考えるといをことは、役人はどうも仕事をふやして中途はんぱにするくせがあるんだね。そういうくせをのいて、真剣にこの問題だけは考えるという基本線に立ってもらいたい。その点開発庁はどう考えているか、その見解開発庁からちょっと聞かしてもらいたい。  それから、あなた方の考えとマッチするかどうか聞いて、これからの計画をわれわれも中に入って立てなければならぬ。それを聞かしていただきたい。
  24. 谷藤正三

    谷藤説明員 ただいま先生のおっしゃったとおりでございまして、実はその問題につきましては河川関係、つまり千歳川の内水排除の問題もございますし、篠津土地改良を終わりました排水の問題もございます。それらの問題と、先生のおっしゃいましたような河床の上昇と合わせまして、いままでの札樽新港という問題は、ただいま港湾局長がお話しになりましたとおりでございますが、それらと合わせまして、四十年度から河口ショートカットをした場合にどういうふうに水位が下がるかという問題、それと合わせまして、千歳川の内水排除とどういう関係になるか、篠津のほうとどういう関係になるか、またショートカットをした場合に石狩河口のほうの水位が、いままでは河川排土量によって埋まりましたが、今度は逆に、それを押えますと、海岸のほうの流砂のために埋没するという現象が起きてまいります。それらを合わせまして、実験的に可能かどうか、つまりいまの、導流堤を出しておりますが、導流堤防波堤という形で延ばした場合に、苫小牧と同じように、どこまで延ばしたら海岸流砂が港内を埋めないようになるかという問題がございます。そのために庁といたしましては、港湾海岸河川農業、同時にまた石狩道路関係がございますので、そういうものを全部合わせまして、どういう形であの地域整備するかということで実験をしたい、こういうふうに考えておりまして、ただいまそれらの実験の準備の打ち合わせをいたしております。事務的には、まだ各省のほうにはこういうふうにするということを申し上げておりませんので、各省のほうでまだ十分御了解いただいておりませんけれども、実験計画ができましたら、各省と打ち合わせまして、四十年度から着手したい、こういうふうに考えております。
  25. 壽原正一

    壽原委員 いま谷藤事務次官がお答えになった点、これは現在まだ実験中だ、こういうことであるが、その実験が可能であったならば、そのようなことで札樽新港というものは——私は、将来はどうかわからぬが、現段階においては整備のほうが先であって、新港をつくるということはまだあとでよいんじゃないかというふうに考えるが、その点をよくひとつあなた方も御研究になっていただきたい。  そこで、現在の小樽の港というものは非常に防波堤が低くなっている。これをかさ上げしなければ、多少の波浪が来ても、中に船が入っておれぬ。そこであなた方のほうではこれを整備計画になっておるだろうと思うのです。それといま一つ、あの第三埠頭という問題は、長年かかって、まだどうにもでき上がっておらぬ。あれの完成一体いつできるのか。   〔委員長退席進藤委員長代理着席〕 それから、来年度の予算においてこれが完全にでき上がるような予算を計上しておるのかどうか、この点をお知らせ願いたい。
  26. 佐藤肇

    佐藤説明員 小樽港につきましては、現在第三突堤を延ばしておるのでございますが、これは来年度、四十年度におきまして南側のワン・バースが使えるようにし、大体囲いができるわけでございますが、北側のほうにつきましては、航路を掘って船がつけるところまではまいりません。一部舗装が残りますので、北側のもうワン・バースが使えるようになりますのは四十一年になると思っております。  それから防波堤かさ上げは非常に重要な仕事でございまして、また延長も長いわけでございますから、来年度以降これを続けていきたい、かように考えております。
  27. 壽原正一

    壽原委員 そこで小樽現状を見ると、石炭室蘭のほうあるいは苫小牧のほうにだいぶとられて、これは少なくなっていることは事実なんです。ところが雑貨というものは年々ふえておる。このふえ方は他の重要港湾に比較にならぬほどふえておる。これを輸送するのに現在非常に困っておるのが陸上輸送路なんです。そこで港湾整備と相まって道路計画をつけなければならぬ。そこでちょっと建設省に聞きたいのだが、いままで札樽間に有料道路をつけるという問題が長い間考えられておった。その札樽間に有料道路をつけるという問題は、前の道路公団の岸さんが御存命中、非常に積極的にこの問題が取り上げられておって、過去五年間くらいはその調査費をたぶんつけてあったろうと思う。年間百万くらいのことだろうが、四、五年の間はつけておった。その調査費を使ってどの程度まで調査しておるか。これをつける意思があるかないかという問題を聞かしてもらいたい。
  28. 沖達男

    ○沖説明員 道路公団におきましては、小樽市内の交通緩和のために、三十四年度から小樽バイパスについて調査をしてきたのでございます。この調査では、山手線と海岸線を比較検討することにしまして、八百十九万七千円の調査費をもちまして調査をしてきたのでございますが、いずれの案も有料道路としての採算性も好ましくなく、都市計画などとの関連で問題がございますので、この調査をさらに本年度からは範囲を広げまして、御質問の札幌小樽間の調査を始めることにしておる次第でございます。
  29. 壽原正一

    壽原委員 調査一体どのくらいかかるのです。五年間もあの間の調査がかかってまだできないというのはおかしいんじゃないかね。札幌間の調査くらいの問題であったならば、あそこはわずか四十キロ程度よりないところだ。しかも小樽現状というものは、先ほど以来話しておる貨物輸送状況あるいは陸上交通の緩和のためにどうしてもつけなければならぬという道路であったならば、これはやる意思があったならば、さっさとやってしまわなければならぬ問題だ。毎年毎年三十四年度から予算をつけておって、調査費をつけておって、どの程度まで調査が進んでおるのか、やる気があるのかないのか、それだけお聞かせ願いたい。
  30. 沖達男

    ○沖説明員 ただいまお答えを申し上げましたように、小樽市内のバイパスといたしましては採算性その他の面で非常に問題がございまして、われわれとしてはこれは非常に困難な問題だと思いますが、札幌小樽間のバイパスにつきましては、まだ本格的な調査をしておりませんので、今後調査を進めまして、その結果を待って考慮いたしたい、そういう考えでございます。
  31. 壽原正一

    壽原委員 小樽市内の問題は困難であって、これから小樽札幌の問題をやるというのは、ちょっと君の考え方はおかしいんじゃないかね。困難であるということはやらないということなんじゃないの。やるという面に立っての困難か、やらぬという面に立っての困難か。それでは札樽間がいいとなったならば、小樽の市内のいままで調査したのは困難だというだけの答えでは納得できない。困難だというだけの返事でしょう、いままで調査したのは。調査した結果困難だということの答えだけであったならば、やるともやらぬとも答えが出ていない。やるという答えであるか、やらぬという答えであるか、その点を私は聞きたいというのです。
  32. 沖達男

    ○沖説明員 札幌小樽間のバイパスについてはやるつもりで調査を進めたい、そういう考えでございます。
  33. 壽原正一

    壽原委員 それじゃ、小樽市内の問題はめんどうだという返事なんだが、どの辺がめんどうなのか。
  34. 沖達男

    ○沖説明員 一口に申しますと、主として採算性の面でございます。
  35. 壽原正一

    壽原委員 それでは採算が合わなければやらないということなんだね。
  36. 沖達男

    ○沖説明員 採算の見通しの良好でないものにつきましては、有料道路の採択はしないという基準になっております。
  37. 壽原正一

    壽原委員 採算面であるが、それではきょうは、絶対にやれないという答えがここで出たわけだね。
  38. 沖達男

    ○沖説明員 現状では小樽市内のバイパスはやれないという考えでございます。
  39. 壽原正一

    壽原委員 ところがこの間、小樽の市長さんが来て、道路公団に行ったところが、二車線の道路をもってやるという答えを出しておるんだが、それは聞いておりますか。
  40. 沖達男

    ○沖説明員 そういう話は聞いておりません。
  41. 壽原正一

    壽原委員 あなたのほうは道路公団に対してそういう問題を御相談することになっておるのでしょうけれども、道路公団のほうではやると言い、いまここの委員会では君はやらぬと言うておる。採算が合わぬからやらぬということなんだが、結局やらぬという結論をはっきり打ち出しておいたならばどうなんだ。小樽の市民は全部この有料道路がつくんだというて、いままで市長さんもそう言明しており、また町のいわゆる経済界の連中も、これで小樽が緩和されるんだということで非常に期待を持っておる。その期待をあなた方が裏切ることになる。しかもいままで何年間調査費としてつけておった金がむだになったことになる。そういうむだをしてまでそういう結論を長く延ばすべきじゃない。やらぬのならやらぬということをはっきり言うてやらなければいかぬ。役所はそういうことでごたごたしてだましちゃいかぬ。やるならやる、やらぬのならやらぬということをはっきりしなければ、小樽の経済の建て直し、札幌間の交通の問題等は別にこれを考えなければならぬのだから、その点をはっきりしてもらいたい。
  42. 沖達男

    ○沖説明員 先ほどからお答えいたしておりますのは、採算性の面が主たることではございますが、そのほかに都市計画がはっきりきめられておらぬということもありまして、いまのところではやろうと思ってもやれないという状況でございますが、こういう調査を長年やってきておりますので、このまま捨てておく気はございませんで、さらに本年度からは小樽札幌間のバイパスという方向で調査を進め、その調査の結果によって考慮していきたい、こういう考え方でございます。
  43. 壽原正一

    壽原委員 北海道開発庁谷藤さんにお伺いしてみたいが、小樽札幌間にバイパスをつけるとしたならば、現在二車線の道路をつけるやに私は聞いておる。二車線ということになると、これは片道ですか、それとも往復の自動車が通れるだけの二車線というているのか。二車線では、現在どこの道路を見ても、現在の交通量、これからふえていく交通量に対してとうてい間に合わないと私は思っている。最低四車線なければ——そういう問題は考えるべきじゃないと思っておるんだが、開発庁考え方はどうか。
  44. 谷藤正三

    谷藤説明員 その点につきましては、ただいま先生のおっしゃるとおりでございまして、あの市内を通りまして、色内川を下りまして、埋め立て地を通ってから操車場に沿いましていまの国道のほうに出てこなければならぬバイパスになりますので、二車線の高架道路では、先ほど監理官がおっしゃいましたように、採算上はとうてい成り立ちません。したがいまして、ただいま二車線というのは往復二車線でございまして、交通量からいきますと半分になりますから、約四、五千台しか通れない。そういうことになりますと、高架の道路でその程度の交通量では採算上これは考えられないことになります。当然現在の状態でいきますと、四十三年ごろには小樽の国道は大体一万五千台から二万台の交通量になります。そうしますと、二車線道路ぐらいではバイパスといわれるほどのしろものではなくなる。少なくとも四車線以上のものを考えなければ、せっかくこれだけの高架道路として金をかけるならば、四車線以上のものを考えなければ採算上は全然考えられない、こういうことになると思います。
  45. 壽原正一

    壽原委員 開発庁でそういう計画を立てて、それから建設省に相談するわけでしょう。建設省としてはいまの次官の考え方はどう考えておりますか。
  46. 沖達男

    ○沖説明員 建設省としましては、北海道の中のことにつきましては、すべて北海道開発庁と緊密に連携をとっておりますので、いまお話しのありました点はやはりごもっともだと思います。
  47. 壽原正一

    壽原委員 それでは結局小樽市内の場合には問題があり、これからは札樽間のバイパス問題について設計をする、こういうことでやるという基本線に立った調査をするということで了承してよろしいか。
  48. 沖達男

    ○沖説明員 やりたいという方向で調査を進めたいという考えでございます。
  49. 壽原正一

    壽原委員 この間小樽の市長さんが来て、そうして道路公団に行ったところが、これは二車線でやるんだというととをはっきり言うておった。そこで小樽の市議会もそれを了承し、また小樽市民も了承しておるように聞いておるが、そういう間違った考えをかってに道路公団等で公言しないように、あなたのほうからよく注意してください。そうせぬと、小樽の経済をこれからどうしなければならぬかということを考えておる小樽の経済界というものは、この市長さんの言をまっこうから受けて論争の中心にしておる。いま谷藤次官が言うた四車線にするということであったならば、そういうふうな考え方によってこれから作成をするんだということをはっきりあなたが道路公団のほうに明示してもらわなければ、これからあらゆる面において混乱を予想されるのです。そういう考え方を一貫してもらいたい。一貫した考え方にしてもらいたい。各省ばらばらに、道路公団は二車線で、あなたのほうはこれからやるんだ、開発庁は四車線でなければいかぬ、こういうことでなく、各省各公団が全部一貫した考えでもって道路網の整備という問題を考えてもらわなければ、非常に迷惑するのは一般国民である。そういう言動に惑わされて、そうしてこれからいろいろな問題で、あるいは市長不信任だとかあるいは何がどうだとか、あれがこう言うたとか、あの政治家がこう言うた、こう言うたといって、いろいろな論争を巻き起こしている現状を見て、これは一貫した問題でやってもらいたい、これを私は強く要望しておきます。  それから開発庁にちょっとお伺いするのですが、この前あなたも聞いておるでしょうが、道路をつけておる途中で土砂くずれがあった。そしてその土砂くずれのためにバスが一台落ちてバスが海底に沈んで、そうして何人かの犠牲者が出た。またそれによって海域が荒らされてそして海産物がとれなくなったという問題が北海道で起きておる。その問題について、地元からは非常に海域を荒らされたために、海岸のあるいはアワビであろうとかワカメであろうとか、そういうものが全部死んでしまった。その弁済金を六百万ほど開発庁で負担すべきであるという意見が強く出されておるやに私は聞いておる。その問題は檜山でできた国道の問題ですが、これは聞いておりますか。
  50. 小熊清

    ○小熊政府委員 ただいま先生のおっしゃいました地すべりというのは、おそらく三十七年の十月に檜山の乙部というところで発生した地すべりのことではないかと思っております。その地すべりは、おっしゃいますように、非常に予想外の大規模な地すべりでございまして、たまたま国道を通過しておりましたバス、それからそのバスを制止しようとしておりました道路工手までも一緒に土砂の中に巻き込まれるというような、かつてない大災害になったことがあるのであります。そのような災害に対しまして、開発庁といたしましても、直ちに北大でありますとか土木試験所等の学識経験者にお越し願って、事故原因の究明とか復旧方針を決定いたすよう協議会を設けまして、維持費、応急復旧費等で一応交通を確保しております。その災害復旧の工事はおおむね四十年度には完成する予定であります。その災害復旧の工事によって崩落した土砂を海岸に捨てる、その結果海岸が一部埋まりまして、地元の浅海漁業に支障がある、これに対して補償してほしい、こういうお話を地元の方から私どものほうでも聞いております。これにつきましては、さようなことがあっては、おっしゃるような国の責任も場合によっては起きてこようかということでもございますので、開発局のほうに現在、その崩壊土砂の関係、浅海漁業の支障の関係というものの実態調査をさせている最中でございます。そのような調査結果を待ちまして、その結果が出ましたならば、それに従ってまた地元とも御相談をしてこれを措置してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  51. 壽原正一

    壽原委員 その問題は昭和三十七年に起こった問題でしょう。いま調査を命じておるということは、私がこの間あなた方のほうへ、こういう困った問題があるのだがこれを何とか処理しなければならぬじゃないかと注意したために、これが起こったのでしょう。それまでは、開発庁としては全然この事故の問題に対してはわれわれに責任ないと言うておったらしい。ところが、十二月四日付の日本経済新聞に、高知県で起こった国道の問題の裁判に対して、これは国が弁償すべきだという記事が出ておる。あの事故は、あそこの熊石の地帯というものはあれは地盤がゆるいために危険な個所であるということは、前からわかっておったはずだ。そうしてそのためにあそこに張り番をつけておったでしょう。危険地帯であるからということで張り番をつけて、そうして張り番の言うことを聞いて自動車が通っておるはずです。その途中に土砂がくずれていったということは、明らかにあなた方の手落ちじゃないか、私はそう考えるのです、あなた方の見解はどうかわからぬけれども。そこで、これの及ぼした影響というものは、浅海業者はいま非常に困っておる事態です。浅海業者がその事業ができないということになったならば、役人の責任のがれのためにそういうか弱い業者に迷惑を及ぼすということは、私は当然国の責任においてなすべきだと考えておる。あなた方が責任があるとかないとかいうようなことを言うべきじゃないと思う。もう少し温情を持って、そういう沿岸漁業地帯の連中の最大に困る原因をつくったその要素をつくった国がその責任を負うべきだと私は思う。現在調査を行なって、どの辺まで進んでおるのですか。地元で聞いてみると、なかなかめんどうですよという答えだけで、その答えがさきおとついまではまだ出ておらぬようだったが、どういう状態です。
  52. 小熊清

    ○小熊政府委員 その地すべりにつきまして、国の道路管理上手落ちがあったのではないか、こう  いうお話でございますが、先ほど申し上げましたように、現場には見張りのために道路工手が配置されておりまして、急な場合には必要な交通遮断その他の措置をとる、かような手はずになっておったわけでございます。たまたま地すべりが非常に意外に、急に、かつ大規模に発生いたしまして、現場の道路工手が制止しようとしたわけでございますが、制止に間に合わずにバスが土砂の中に巻き込まれた。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、たまたま制止しようとした道路工手も一緒に巻き込まれてしまった。現地の出張所長は、その前からの状況を開発建設部にたまたま連絡中でございました。現場においてはさような制止しようとした措置にもかかわらず、かような大きな災害を引き起こした、こういう結果になっておるというふうに聞いておるわけでございます。それについて、道路管理上は必要な注意を払っておったのではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、先生がただいまおっしゃいました崩壊土砂による浅海漁業の被害というものにつきましては、たまたま最近私どもも地元においてそういう要望があるということを聞いておりますので、この点について鋭意調査をするように、かようなことでございます。ただいままでに調査の結果は出ておりませんけれども、さらに開発局に申しまして調査を進めるようにというふうに指示をしたいと思います。
  53. 壽原正一

    壽原委員 建設省にちょっとお伺いしておきたいんだが、いま私が話した事故、あれは国道ですから、これは当然国としても考えなければならぬ問題であるけれども、あの国道の事故は、ただ土砂が落ちただけならば、地元もそれほど問題にしなかったはずなんです。ところが土砂が落らたために、いままでつけた道路が交通不能になった。その交通不能になった土砂を、くずれた個所だけの倍も海へ人の手によって投げたはずだ。浅海業者は、そのくずれただけならば問題はなかったんだが、あとにどんどんどろを投げたために、そういう海域に対する影響がさらに大幅になったと、こう言うておる。その点は建設省あたり、そういう事実があったならば国で弁済する義務があるとするか、ないとするか、この点の見解をただしたい。
  54. 南俊次

    ○南説明員 この事故の問題はよく存じておりますが、その後復旧工事をやるために浅海漁業の方に御迷惑をかけておるというのは実はただいま初めてお聞きするわけであります。ただ開発庁の申されますように、現在調査中だそうでございます。その程度等に応じまして補償することもあり得るのではないか、さように存じます。
  55. 壽原正一

    壽原委員 谷藤さん、いま課長が答えたことをよく考えられて、しないということを前提にあなた方の役所の連中が責任のがれのための言いのがれは、これは断じて許しませんよ。いま課長が話したのは、そういう事態があったならば弁償の義務ありやもしれずというような答えですから、弱い業者を助ける意味においても、たかが六百万くらいの問題であるから、これはやるという前提のもとに地元にそう伝えてほしい。  それからあなた方の役所のあり方、これは決算委員会勝澤君がいろいろ指摘しておったようだが、どうも地元の局と庁というものの意見の一致が必ずしも見られておらぬというような現状に私は見られる節も多々ある。そういうような同じ役所内での、現場と中央にある役所とが意見の疎通を欠いておるということは、これは行政上も非常に迷惑になることだ。こういう点のないように将来ともよく気をつけて行政をはかってもらいたいと思う。  それからいま一度最後ですから念を押しておきますが、小樽のバイパス問題についてはいつまでに調査が完了するか。完了したならば即刻設計、実施にかかる見通しがあるかどうか、これをちょっと聞かしてもらいたい。
  56. 沖達男

    ○沖説明員 先ほど申しました小樽札幌間のバイパスの調査につきましては、本年度から本腰を据えて調査を進めることにしております。できるだけ早く調査を完了するように進めたいと思いますが、昭和何年度に完了するというようなことはいまのところまだ見通しが立っておりません。
  57. 壽原正一

    壽原委員 来年度から行なわれる新規五カ年計画の中にこれは入りますか。
  58. 沖達男

    ○沖説明員 本年度からの五カ年計画の中にできるだけ入れたいと考えますが、調査の模様によりまして、そのとき考えたいと思っております。
  59. 壽原正一

    壽原委員 それではこれはあなた方もやるという意欲のもとにやっているやに私は解釈いたしますけれども、あまり公団とあなた方の意見が違わぬように・また開発庁の意見もよく聞いた上で、札樽間にまたがる経済に及ぼす影響が非常に大きい問題であるから、これから新産都市指定を受けた地域でますます工場地帯あるいは貨物の量等もふえることであるから、これは一日も早くそういう計画を立って、そうして実施できるような状態にしておいてもらいたいということが私の希望です。  それと石狩港湾の問題については、港湾局長が先ほど述べられたことは了承いたしますけれども、あの河川の問題については非常に地域住民が迷惑している河川でもあり、将来この石狩河口というものを最大限に利用するためには、何が一番いいのであるかという計画も立ってもらわなければならぬ。また地元でどういう事業をするかということもよく確かめて、そして地元発展のために中央官庁はそういう細部にわたっての配慮が必要であろうと私は思う。そういうことを必ず計画の中に入れて、そうしてショートカットをするならばするような計画、あの河口最大限に利用するならばどうしたらばいいかということをよく考えて、むだ金を使わぬように、札樽新港だの、あれは予算がついておりますか、どうなのです。
  60. 佐藤肇

    佐藤説明員 まだ現地の構想でございまして、われわれ予算はつけておりません。先ほど申しましたように、石狩湾における沿岸民の調査とか波浪調査とか、そういうことを一般的な調査としてやっております。
  61. 壽原正一

    壽原委員 それでは私は要望しておきますけれども、あまり幅が広く浅く仕事の量をふやしてもいかぬから、札樽新港というものは基本的には小樽の港を完全に整備する、あるいは石狩河口を完全に整備した上での構想にこれをしてもらいたい、そういうことを希望しておきます。  そこで先ほどの高知県の裁判所での弁済金の問題については十二月四日付の日本経済新聞に載っておりますから、その新聞記事をよく読んで国の弁済でき得る程度の問題をよく考えて、そうして地元住民が安心して操業でき得る態勢を整えようという要求に対しては、この要求を十分聞いてやってもらいたい。これだけをお願いして質問を終わらせてもらいます。
  62. 久保三郎

    ○久保委員 関連でありますが、私はワンマンカーの問題を一言聞きたいのです。ワンマンカーは逐次増加の傾向にあるわけです。この理由は、言うならば、ツーマンカーに比べてもちろん人件費が安くつくということが大きなねらいであります。さらに最近車掌などの需給逼迫というようなことが大きな理由のようであります。ところが事、交通運輸の仕事でありますから、単に現在における要員の需給逼迫や企業の採算向上というか生産性向上というか、そういうものだけでやることは、最近における交通事故の傾向にかんがみても芳しくないことはいまさら言うまでもないのであります。  そこでまずお尋ねしたいのは、このワンマンカーの認可基準でありますが、一応認可基準と称するものが出ております。しかし各地方ごとにこの認可基準の解釈というか、実際の適用には相当幅があるということで、必ずしもワンマンカーの安全輸送というものが守られていないのではないかと思う。それから乗客に対するサービスなども低下する傾向が非常に濃厚である、こういうような見方をわれわれとしてはしているわけです。  さらにもう一つは、運転手の、特にワンマンカーでありますから、これの勤務条件というものが改善されない限りは、ツーマンカーをワンマンカーの上にしわ寄せするということで、運転者の疲労あるいは仕事の繁雑、こういうことからくる事故も予想されるのでありますが、運輸省としてはこれはどういうふうに今後考えていくのか、対策としてはどういうふうな考えがあるのか、これをまずお聞きします。
  63. 宮田康久

    ○宮田説明員 ワンマンカーにつきましては、欧米におきましてはもう長い歴史を持ってやっておりますが、わが国におきましては、いま先生からお話がございましたように、最近車掌の確保が非常に困難になった点もありまして、急激に増加をしてまいりました。いま全国で五百七十七系統、二千五百八十一両というような数になっております。もちろん、いまバスで使っております車両数は七万三千両でございますから、まだ割合としては非常に少ないのでございますが、急激な増加を示してきております。  このワンマンカーにつきましては、先ほどお話がございましたように、私どもといたしましても、日本の道路事情と交通事情を考えまして、非常に慎重な考え方でやってまいっておりまして、いまお話しのように道路運送法に基づきます自動車運送事業等運輸規則によりまして、陸運局長が運行系統ごとに指定をいたすことになっております。この指定の基準といたしましては、運転上の安全ということと、旅客の利便を事実阻害をしないということが一つの大きな観点でありますが、さらにそれに使用いたします車両につきましては、道路運送車両法に基づきます保安基準によりまして、十分運転車の操作等に対して利便になりまして過労にならないように、また乗客のサービスにも十分こと欠かないように、また安全についても十分の注意ができますように、いろいろの観点から車両の構造上の基準もいろいろきめておりまして、御承知のとおりでございます。  いまお話しの点につきまして、各陸運局で扱いがまちまちではないかという点でございますが、私どもが指示しております内容の中にも、それぞれの実際に使われております事情が、大都市における路線もございますし、地方の非常に閑散な路線もございますし、あるいは駅から工場まで従業員を輸送するというような路線もございますし、それぞれの使い方の問題もございます。その点で一律に細部まできめるわけにもまいりませんので、陸運局長がその点は判断をいたしまして、それぞれの政令に基づきまして具体的な判断をして一々指定をしているわけでございます。したがって、各陸運局で若干の相違があるようでございますけれども、そういうような配慮を扱ってやっておるわけであります。したがって、いままでこのワンマンカーにおきます事故率等を見ましても、非常に事故率が少ないわけであります。その点で、まだ私どもの扱い方はやはり安全ということに重点を置いてやっておりますので、現状ではそういう意味で一応私どもの目的は達しておると考えております。  そのほか、先ほどお話がございましたような事故防止、サービスの問題、——サービスの問題につきましても、原則として初めは均一料金区間からスタートさせましたが、その後二区間、三区間等につきましても整理券の発行その他の研究をいたしまして、それほど乗客に対して迷惑なしにやれる。もちろん乗客の協力が必要でございますが、それでやれる路線につきましては試験的に指定をいたしまして、結果も良好でございますので、徐々にふやしております。  それから従業員に対して労働過重にならないかというようなお話がございましたが、その点につきましても勤務時間の問題あるいは運転時間を極力余裕をとるというようなこと、あるいは運転ダイヤを組むとき、あるいは切符を切るときにそういうような過労にならないような配慮をするということ、それから車両の面で従業員に対してできるだけ運転操作が楽にいけるような配慮をするというようなことを省令等においてもきめますし、行政指導的にもいろいろやっております。  以上、かいつまんで御返事を申し上げました。
  64. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話だと、いままでの認可基準でやっていて大体支障がないということのようであります。支障のないうちは問題として取り上げられないということでありますが、たとえばそれじゃ定員の問題にしても五十五名以上のような大きなものはやらせないということにしてあるのか、あるいは車両制限令にひっかかるような地域については許可しないとか、こういういろいろな問題が出てくると思うのでありますが、そういう点はどういうふうになっておりますか。
  65. 宮田康久

    ○宮田説明員 一番初めのお話しの定員の問題でありますが、いま定員的に何名までということはきめておりませんが、その路線の状況に応じて車の大きさ、あるいは運転者が客扱いのできる点等を配慮いたしまして、実情を見て陸運局長が指定をしておるわけであります。私どももいろいろ実情を調査しておりますが、現状では特にたいして問題があるようには聞いておりません。
  66. 久保三郎

    ○久保委員 特に問題があるようには聞いていないと言うが、実際は問題がある。実はこの間初めて知らないで私は東京都のある地区で乗ったわけです。急ぎで乗ったものでありますから、普通バスはまん中の口でありますので、そこに飛び乗ったら、運転手に呼びつけられて、運転台のほうに来いとは言わなかったが呼びつけられて、あなたは知らないのか、こういうことであります。夜も八時ごろかと思いますが、そういう時期でありますので、運転者のほうも疲れておるし、場違いのおりるところから乗ったというようなことで多少かんにきたのだろうと思いますけれども、別に私がそういうふうに不快な扱いを受けたからということじゃないが、これから類推するのに、どうもワンマンカーでは適応しない区間に、一般のお客が乗るところにワンマンカーがあるのじゃないか。たとえば特定の区間を特定の者を輸送するというときはワンマンカーでも十分こと足りる場合が多いかと思います。しかし一般不特定多数の乗客を乗せる場合には、必ずしもこれは案内上もよくないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。それ以上に思うのは、最近のように労働事情が逼迫化いたしますと、過酷な労働時間というか、そういう負担がありますと、さらに、いまいる労働人員というものがほかに移動する傾向が必ず出てくると私は思いますし、すでに出てきておると思います。そうなった場合には、その企業の問題は別としても、その地区全体の輸送に直接響くことであります。そういうことも考えると、一つにはやはりこの勤務条件の問題がある。いまの御説明ですと抽象的でダイヤを云々という話でありますが、ワンマンカーの場合は、一般の運転手と比べて労働時間などをどういうふうに指導されておるのですか。
  67. 宮田康久

    ○宮田説明員 いま先生からお話がございましたように、ワンマンカーでありますと、車掌としての負担もふえるわけでありますので、私どもとしては、先ほどもいろいろ申しましたとおり、極力負担をふやさないようにするとともに、勤務時間等でもいろいろ考慮をするような行政指導をしております。実際いま全国的に見ましても、ワンマンカーのほうが勤務時間は短くなっておりますし、ダイヤ面でもいろいろ考慮を払っているのが現状だと思います。
  68. 久保三郎

    ○久保委員 どういうという具体的なお話がありませんのでなんですが、勤務時間等についてはあるいは部長は担当ではないかもしれない、しかしきょうは局長が見えるかと思ったら局長は来ておりませんから、次の機会にまで具体的にどういう指導をしているのか、これを報告していただきたい、かように思うわけです。  それからもう一つは、これもあなたの所管事項ではなさそうでありますが、路面交通の労働に関するILO条約の問題でございます。これはILOの六十七号でありますが、この六十七号についていまだわが国は批准をしておらない。これは何がゆえに批准をしていないのか、もしおわかりでありましたならばお答えいただきたい。
  69. 宮田康久

    ○宮田説明員 いまお話しのILO六十七号の詳細は実はよく存じませんが、おそらく労働条件についての勧告の内容のものだと考えます。   〔委員長退席進藤委員長代理着席〕 実際に私どもがいろいろ運輸規則等でも、たとえば路線トラック等につきまして、乗務基準等をきめさしておりますけれども、そのきめます場合に、たとえば東海道の路線等については労働省ともよくお話し合いの上、また組合関係からのお話もあり、経営者側からのお話もあり、いろいろ基準をきめておりますが、その際にたしかこの六十七号の勧告だと思いますが、その勧告を、何と申しますか、お手本にしていろいろと検討をしておると聞いております。
  70. 久保三郎

    ○久保委員 これもこの次の機会にいたしますが、帰りましたならば、担当の方に詳細にいまこの批准ができないというか、やらぬ理由をひとつこの席で申し述べていただくように伝えてもらいたい。しかも六十七号というものは、言うならば交通安全の面からいっても、あるいは近代的労働慣行からいっても、これは最低の線だろうとわれわれは考えている。でありますから、これはこの次の機会にはやはり担当の労働省のほうからも来てもらいまして聞きますが、次の機会までに整理して答弁ができるようにお願いしておきます。  それからもう一つは、資料の要求になりますが、いまのワンマンカーの問題は、労働条件その他が現実にどういうふうになっているのか、これもあわせて資料として出していただきたい、かように思います。  関連でありますからあとの時間に譲ります。以上です。
  71. 進藤一馬

    進藤委員長代理 野間千代三君。
  72. 野間千代三

    ○野間委員 初めに労働省の関係の方に、その次に運輸省のほうにお願いしますが、時間がありませんから簡単にします。  港湾労働等の審議会の答申が三月に出ましてから、これを受けてそれぞれ政府のほうでこの答申の実施について努力をされていると思いますが、十万に及ぶ港湾労働者が長年の間望んでいた港湾労働の改善に関して、私どもも答申案の内容について、それはいろいろ問題はありますけれども、当面の労働の改善については前進的な答申であると考えまして、ぜひこれが実現をはかっていきたいというふうに思っておるのです。さしあたり港湾労働法を制定することが必要ではないかというふうに思いますし、また運輸省関係では運送事業法等の関係もあるでしょうし、あるいは職業安定法、いろいろ関連することがありますから、政府全体として三・三答申の実現についてそれぞれ努力をされていると思います。初めに港湾労働法の制定をしようとしていると思いますが、その準備段階等について、どの程度まで準備が進んでおられるか、次の国会でこれの制定をされるように希望しますけれども、そういう関係について労働省のほうからお答え願いたいと思います。
  73. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この三月に出されました石井答申の線に沿いまして、港湾労働に関する法的な措置を講じたいという考え方で、法案の作成をいま検討中でございます。これにはいろいろ関係業界の御協力も得なければなりませんし、それから裏づけの予算措置も必要でございますので、こういった関係方面の協力を得て、成案を得次第、国会に法案として提出いたす予定にしております。
  74. 野間千代三

    ○野間委員 大体わかりますけれども、労働省のほうで法案の要綱が示されたと仄聞しておるのですが、大体あの要綱に基づいて法案の準備が行なわれているというふうに理解をしてよろしいのですか。
  75. 有馬元治

    ○有馬政府委員 先刻関係方面に出しました法案の要綱に沿って、いま作業を進めております。
  76. 野間千代三

    ○野間委員 それで法案等についてはまたあらためて意見を申し述べたいと思いますが、とりあえず労働省のほうで積極的に法案の制定について御努力をしていただきたいというふうにお願いをいたします。  問題は、港湾労働がただ単に労働の問題だけでなくて、運輸業者の問題であるとか、あるいは船主の問題であるとか、非常にたくさんな部面に関係があると思います。そういう意味で業者の育成であるとかあるいは港の業務の改善、助成等に関係のある運輸省としては、やはり港湾労働法がスムーズに制定をされていくということについて非常に関連があると思うのですが、そういう意味で運輸省当局としては、業界に対する援助であるとか、あるいは監督であるとか指導であるとか、あるいは業務の改善であるとか、そういう面について積極的な協力なり、つまり三・三答申を実現をして、より以上いいものにしていくという意味では、政府全体がそういう態勢をつくっていくということが必要ではないかというふうに思うのです。そういう意味での運輸省のほうの準備状況というか、現状をお聞きしたいと思います。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 佐藤肇

    佐藤説明員 三・三答申においても、この答申の骨子をなすものは港湾における雇用安定と港湾運送事業の近代的な育成といわれておりまして、われわれといたしましても港湾運送事業の近代的育成ということを課題にしてこの答申に沿うように努力をしておるわけでございますが、何ぶん六大港のみをとりましても、企業の数は八百二十、免許件数にして千三百というふうに非常に数が多うございます。したがいまして、これらの業者に対して指導をしていくということになりますと、やはり現在元請業者を主にいたします日本港湾協会という団体がございます。また沿岸、はしけその他おのおのについてもそういう協会があるわけでございますが、これらのものはまだ法人にもなっておらないというようなことで、われわれが相談相手としてやっていくにはいささか弱体でございますので、現在港湾協会の幹部と話をいたしまして、まず協会を強化してもらう、そうしてお互いに実態を知りながら今後どのように近代化、集約化をやっていくかというようなことを検討したい。したがいまして、われわれは協会を強化するということと同時に、もう一つ私どものほうの港政課というのは非常に人間が少ない課でございまして、こういう企業を集約化していくという問題に取り組むには定員も足らないということで、来年度の予算には私どもの担当する港政課の強化ということを要求しているわけでございます。
  78. 久保三郎

    ○久保委員 港湾局長からお話がありましたが、港湾運送事業法を改正してから業者のいわゆる再登録というか再免許というか、そういうものの整備はどうなっているか。あなたのおっしゃる協会が法人にもなっていないし、協会も強固でないということはわかるが、まず実体のそういう手続も、法律にきめられたものも、われわれの側から見ていて完全にできていない。もしそうだとするならば怠慢だと思うのです。そう言っておいて、これは仄聞するところでありますが、三・三のいわゆる答申を政府全体が前向きでこれを受け入れるというのは当然ですね。労働省は一応その線に乗って港湾労働法をつくろうという段取りをしているわけです。来通常国会には出そうという準備をしているやに聞いておる。ところが運輸省全体はいうならばこれに対して水をかけているということも聞いております。はなはだ不愉快しごくだし、ふまじめしごくだとわれわれは思っている。なるほど港政課というところは私の知っているとおり人間が少ない。ところがこの答申を受ければ当然のごとく——答申を受けるばかりでなく、その前に港湾運送事業法が改正になったときに膨大な作業量があるのだから、当然のごとくこの陳容を拡充してあるはずです。ところが来年度は要求しているというのだが、来年だって御案内のとおり定員法でワクをはずすということはなかなかむずかしいように聞いている。政務次官がおられるけれども、それじゃ来年の港政課の要員の増は今日どういう折衝になっておりますか、いかがでしょう。
  79. 大久保武雄

    ○大久保政府委員 ただいま予算を要求いたしまして大蔵省と折衝をいたしております段階であります。まだ確定的な線を申し上げるまでに至っておりません次第であります。
  80. 久保三郎

    ○久保委員 それじゃ港湾局長にお尋ねしますが、港政課の要員は何名要求しておりますか。
  81. 佐藤肇

    佐藤説明員 いまその数字が手元にございませんので、後刻御報告申し上げたいと思います。
  82. 久保三郎

    ○久保委員 一番重要な要員を要求すると言っておきながら、概算的な数字もおわかりにならぬではどうかと私は思う。もちろん港湾局長港湾整備五カ年計画のいわゆるふらふらしているさなかだから、そのほうに頭をとられるのは当然であります。むしろそれと同じくらいの比重にこの問題を考えないと、港湾整備を急いでも実際港湾荷役の問題が停滞することは必然であります。これは非常に重大なことを忘れているのじゃないかと思う。それで自分の能力に——これは私の推測かもしれません。誤りがあったらひとつそれは取り消しますが、自分の体制が整備しないから、労働省が前向きで考えるのに対して足を引っぱるというようなことがもしもあったとするならば、これはとんでもないことだと私は思う。むしろ労働省が港湾労働法を出すというなら、これとうらはらになるところのいわゆる港湾運送事業法の改正もこれから考えていかなければならぬ。それは考えていますか。
  83. 佐藤肇

    佐藤説明員 先ほど申し上げましたように、運送事業というものの近代化は非常にむずかしい問題でありますが、決して逃げているわけではなくて、前向きで取り組んでいるわけでございます。したがいまして、そういうことであるから労働省のやっておることに水をかけるというようなことはやっておりません。
  84. 久保三郎

    ○久保委員 ところがわれわれが非公式に手に入れたある方面の資料によれば、これはどうも水をかけるとしか思えないようなことを——あなたは御存じないが、あなたのほうの関係の筋からそれぞれ出ているのです。必要とあればいつでも出しますよ。そういうことは御存じないというならばそれはそれでいい、あなたの言明どおり。  それじゃひとつ聞きますが、労働省といっては語弊があるが、政府の中で港湾労働を前向きで解決しようといういまの進行に対して、全面的に運輸省も協力する立場にあるということ、これは了解されますね。
  85. 佐藤肇

    佐藤説明員 港湾労働法につきましては労働省から協議がございまして、数度にわたって話し合いをしております。したがいまして、決して水をかけるとかなんとかいうことではないわけですが、法案そのものについておのおの見解を異にする点がございまして、これらについては事務的にいま詰めておる段階でございます。
  86. 久保三郎

    ○久保委員 労働省と運輸省では見解を異にするというのは、大ざっぱにいってどういう点に見解の相違がございますか。
  87. 佐藤肇

    佐藤説明員 まず第一点でありますが、定数をきめるということが案にあるわけでございますけれども、この港湾貨物というものは非常に浮動性がございますし、また月末月初における集中度合いというものも各港によって非常に違っておりまして、一定の法則に従っているわけではございません。したがいまして、このような定数をどのように取りきめて労働者を確保するのだということが第一点でございます。  もう一つは、出頭した場合に、その者に仕事をしなくても手当を出すということが考えられるわけでございますが、このような負担というものが、日雇い労働者をどのようにとらえるかということによって、公共料金的に取り扱われている港湾運送事業の料金にどれくらいはね返ってくるか、こういうような問題もあるわけでございます。  また国が労働者を確保するということで特別の立法をなすのでございますが、なおそれでも労働者を集め得ないという場合には、事業者の責任で集めるということになっているわけでございます。やはり国が法律によって労働者を集めるという立場に立つからには、国としても義務を負うべきではないかという点。  さらにまたこの案によりますと、国の負担と事業者の負担とは——大体の数字で申しますと、六百円というものを出頭手当として出すならば、労働者、国が百円ずつ持ち、残り四百円を事業者が持て、一応こういうような案であるようでございますが、そういたしますと事業者の負担というものが非常にふえてくる。これもまた先ほど申しました料金との関係ではたしてこういうようなことが可能であるかどうかというような問題がございますので、そういう問題をいま検討中である、こういうことでございます。
  88. 久保三郎

    ○久保委員 関連ですから簡単にと思いましたが、お話が出ましたからちょっとわれわれの見解を申し上げておきたいと思うのですが、いま港湾労働で一番問題なのは、荷物の波動に合わせて労働者を置くという前近代的な制度、これが一番問題なんです。そこからくるところの今度は一般的な労働事情の変更、労働の流動性、そういうところからくる過酷な労働条件の中では、その部面からよそへ流動しつつある。そのために、逆に言うならば港湾の荷役が渋滞してくる。これは長期にわたって展望される一つの法則ですね。これを解決して安定的な荷役をしていくというのがまず企業としての考え方である。もう一つは労働の質を高めていくという側面、この二つの側面からわれわれは考えていくべきだと思うのです。でありますから、ワクをきめるということでありますが、当然、実際問題としてどの程度ワクをきめるかはなお問題がありましょう。あるいはその地点においても異なってくる。これは実情に応じてやるほかないですね。  ところがあなたが言いたいことは、ワクをきめていくことは、そこで今度は荷物のない場合にもかかえておかなければならぬ。これは当然企業の責任ですよ。要るときにだけ雇ってきて要らなくなったらさようなら、そういう労働のあり方というものは、これからは断じて許されないことであって、これは企業の責任であり、国全体の責任であります。でありますから、ワクをきめていくことは、企業の責任も一つあるし、前段申し上げたように安定的な荷役を確保するという社会的な責任もあるのです。単に企業の採算だけから割り出していくならば、何も問題はありませんよ。野放しにしておけばいい。いまのままで港湾荷役の渋滞があろうが何があろうが、そんなものはかまわぬということになる。それでは困るという一つの問題があってこの点にきたのですから、その点は十分認識を改めてもらいたいと私は思う。  それからもう一つは、出頭手当の問題であります。これももちろん言うならば企業の責任であります。仕事があって出てきたときだけに賃金を払うということは、なるほど企業にとっては有利かもしれない。しかし必要なときに来なかったらどうするかという逆のことも考えなければならない。そうするならば、当然のごとく出頭手当というか、そういう制度はあってしかるべきであるし、なくては確保できないということじゃないですか。これはだから国が労働力を確保することは当然の責任ですよ。いまのように労働の市場が秩序なく流動していく。そこには幾多の問題が派生しているわけですね。その端的なあらわれが港湾の荷役にきているわけです。他にもたくさんあります。先ほどから申し上げたようなワンマンカーの問題も一つありますね。これはいろいろなところにきているわけです。だから言うならば全体的に国がそういう制度をむしろ進んでとることのほうが、最近における成長経済の中では必要だと思うのです。でありますから、決してこれは間違っても何もいない。どういうふうにシェアをきめるかというぐらいの政策がなくては、だれが政権を取っても今後の成長発展はできないと私は思うのです。そういう意味から言うならば、これはいままでの古い考えから見れば、どうもおかしいじゃないかという理屈は多少出ますが、私は当然じゃないかというふうに思う。  負担金の問題についても当然ですよ。そこであなたのほうの立場から言うならば、これが港湾荷役の料金の値上げの問題になる。そうですね。おそらくそれが一番心配だとおっしゃるのでしょう。だけども、そうせなければならぬものはこれは値上げをやるべきでしょう。最近の物価の体系からいけば、一般の物価には響きませんぞ。管理価格などはありますが、独占物資は一切下がらぬ。これは大衆生活には影響ないといっては多少言い過ぎかもしれませんが、当たりは少ない。しかも港湾収支の問題一つとりましても、日本の海運収支の中に占める港湾収支、外国との関係から考えればこれは安いといわれておる。そうですね。何ゆえ日本だけ安くしておかなければならぬか。そのしわ寄せが労働者にいくのでは話は違うじゃありませんか。そこを日雇い労務者の背中で背負わなければならぬということは、いかがなものかと私は思う。だからそういう点でひとつこれは前向きで考えていただきたい、こういうふうに思います。  関連でありますからこの程度にしますが、一言お尋ねしたいのは、港湾運送事業者の集約という問題でありますが、集約は考えておられるようですね。考えてはいるが、まだまだこれから手をつけよう——その前にわれわれも集約すべきだと思います。元請中心原則というか、そういう方向でやはり企業というものを集約して、近代的な荷役と荷さばきの円滑化をはかるべきだと思う。これは当然であります。そのやり方がおそいですね。言うならば海運集約をそれに先行してやることが非常に大事です。ところが港政課のほうの人間が少ないからというので今日までのんびりしておった。われわれとしては、この問題は、運輸省というか、そういうものがあまりにも等閉視していたのではないかと思う。  そこでこの港湾運送事業者のいわゆる免許の切りかえ、こういう作業は、簡単にお答えいただきたいのだが、順調にいっているのですか。
  89. 佐藤肇

    佐藤説明員 たいへんおそくなったわけでございますが、現在の進捗率は八〇%でございます。
  90. 久保三郎

    ○久保委員 それは当初計画あるいは法律ができたときの約束どおりになっていますか。
  91. 佐藤肇

    佐藤説明員 法律ができたときよりもおくれているわけでございます。
  92. 久保三郎

    ○久保委員 おくれを取り戻すのは、人間がこれから充足しなければできませんね。
  93. 佐藤肇

    佐藤説明員 人間だけの問題ではございませんで、要するに基準に適合しない業者がまだ残っている、こういうことでございます。
  94. 久保三郎

    ○久保委員 時代はあの当時からもうだいぶたっていますね。だから港湾運送事業の中身もだいぶ変わってきている。変わってくるのに三年も前からのものを——いま三年前の基準でおやりになっているかどうかわかりませんが、これでは実情に即さない面がもう出てきちゃったのではないかと思う。切りかえが終わらぬうちに出てきちゃった、これはどうされますか。
  95. 佐藤肇

    佐藤説明員 いまおっしゃられたようなことでございますので、最近における地方海運局の運航部長会議にもこの問題を載せまして、早急にこの結論をつけるように鋭意現地の出先機関を督励しているわけでございます。
  96. 野間千代三

    ○野間委員 いま久保先生のほうからだいぶ問題点について質疑がありましたので省略をいたしますが、問題は確かに港湾局長の言われるように、港湾運送業者の実態を見ると、港湾労働法を制定するのに非常に困難性がある。いろいろ問題点があるということはわかりますけれども、しかしその問題点を解消するのに港湾労働者にしわ寄せがいったり、あるいは港湾労働法の制定に影響を与えたりということは間違いだと思う。それはやはりそれに即応する体制を運送業者にもつくらなければなりませんし、それを指導したり、監督したり、助成するということが、運輸省の任務であるというふうに思います。そういう意味で、繰り返しませんが、ぜひ労働省のほうで進んでいる港湾労働法の制定の準備段階に即応する体制を運輸業者その他に指導されるように、積極的な指導がやはり必要じゃないかというふうに思います。そこで三・三答申を受けた政府、当局全体の態勢をそこにつくり上げていくということが、ぜひ必要だというふうに思います。  そこでいま質疑があったような内容についても、もちろん運輸省のほうの手の問題等があろうとは思いますけれども、それはそれなりに解決をするように努力をされて、ぜひ労働法の制定が一日も早く実現をするように、運輸省としても積極的な体制づくりに進んでもらいたいというふうに思います。お願いします。  それでは港湾と労働省の方はこれでいいです。  次に法務省、航空局……。空港の問題について二、三伺いたいのですが、この前パンアメリカンの会社で労働関係の紛争がありました。いま調停段階に入っておると思います。あのときに外人のスト破りが行なわれたんじゃないかというふうに、これは端的な言い方ですが、思うのです。二名のフィリピン人の方が寄港地上陸のビザで、それでパンアメリカンの業務を行なっていたというふうな形跡がある。新聞でもありましたし、実は私当時空港のほうへ出向いて、そういう形跡を感じたのですが、あのときの二名の方の上陸時間を延長する理由は何であったのですか。
  97. 富田正典

    ○富田説明員 お答えいたします。  御指摘のパンアメリカンの争議に際しまして、二名のフィリピン人が日本に上陸したわけであります。これは正式の入国ではございません。一般的に申し上げますと、入国の場合には有効な旅券に、有効な査証を持って入ってくる。在外公館で査証をもらいまして、それを持って羽田に上がってきまして、入国の申請をするという段取りになるわけでございます。ところがこの二名は、香港へ通過するために一時の上陸、寄港地上陸と申しますか、普通ショアパスと申しておりますが、その寄港地上陸を申請いたしたわけでございます。これは飛行機の乗りかえ、乗り継ぎのために、七十二時間の範囲内でそういう一般の海の港におきまして船が港におる間、その船員あるいは乗客等の一時上陸を認めておりますが、その規定を準用いたしまして、七十二時間の範囲内における航空機の乗りかえ、乗り継ぎのための上陸期間ということで上陸を許可したわけでございます。十一月の二十三日に来まして、香港に通過するためのそういった上陸申請がございましたので、ショアパスを発行して上陸を認めましたところが、翌二十四日交通事故で負傷いたしまして、そのために約一カ月という診断書が出たわけでございますが、その治療のために七十二時間の寄港地上陸の許可を七十二時間ごとに切りかえまして、たしか十日目だったと思いますが、出国したわけでございます。  大体以上が概況でございます。
  98. 野間千代三

    ○野間委員 二十四日に交通事故でというのでありますが、この交通事故の場所はどこだったのですか。
  99. 富田正典

    ○富田説明員 空港内のホテルの前で事故があったと聞いております。
  100. 野間千代三

    ○野間委員 それからこれは空港関係の方に伺いたいのですが、フィリピン人の方がパンアメリカンの、ちょうど当時ストが行なわれていて、業務員が不足をしているので、それを援助をするという意味でランプパスをもらっておったはずですけれども、そういうことについては承知しておられますか。
  101. 栃内一彦

    ○栃内説明員 ただいま御質問のフィリピン人の入国の問題、またランプパスの問題についてお答えいたしますが、このフィリピン人は、私のほうで承知しておるところでは、ウェーキ島のパンの支店から羽田にまいってパンアメリカンの仕事をしようとした、こういうふうに承知しております。このフィリピン人は非組合員である。しかし、非組合員ではありますが、羽田におけるパンアメリカンの仕事を手伝うということでランプパスの発行を申請しておるというふうに私のほうは承知しております。
  102. 野間千代三

    ○野間委員 寄港地上陸で入った者が、たとえばそれが同じ会社の者であっても、いま言われるように、その会社の業務についてよろしいのですか。
  103. 富田正典

    ○富田説明員 七十二時間の寄港地上陸の性格といたしましては、あくまでも乗り継ぎ、乗りかえのためのものでございます。そして、観光的な見地から、その間に、たとえば銀座を見物するとか、許された行動範囲の中でレクリェーション的な目的で行動することは、これは認められておりますけれども、これが他の業務に従事する、あるいは商業活動をするというようなことは、この寄港地上陸の精神に反するわけでございます。したがいまして、そういうことがあるといたしますれば、これはまことに遺憾であると考えております。
  104. 野間千代三

    ○野間委員 いま言われましたように、寄港地上陸のパスでパンアメリカンの会社の業務につかれて、申請をして、それが許可になっているのですね。許可になって、それがその人たちも一緒に自動車に乗って、会社のホテルに行く途中で事故があったというふうなのが実情のようであります。そうすると、許可をされた条件以外のことをされていることについて、どこで監督をし、あるいは取り調べをする責任があるのですか。
  105. 富田正典

    ○富田説明員 寄港地上陸許可期間中の本人の行動につきましては、もちろん入国管理当局がこれを法律的には管理し得ることになっておるわけでございます。
  106. 野間千代三

    ○野間委員 そうしますと、そういうパスを持っているフィリピン人にランプパスを発行したのは、どういう事情だったのですか。
  107. 栃内一彦

    ○栃内説明員 従来ランプパスの発行につきましては、本人が会社の従業員であって、会社のために必要な仕事をするかどうかということ、また本人がランプ内におきまして十分飛行機の運航についての知識があり、安全上支障がないかというような、主として空港の安全上の見地の審査というものに重点を置いてやっておりまして、本人がいかなる入国管理上の地位にあるかという点につきましては、率直に申しまして審査をしておらなかったということでございます。したがって、今度の事件につきましては、結果的に見ますと、本人がいかなる用向きで日本に来ることを許されておったかということを十分審査すればこういう問題は起きなかったのではないか。先ほど入国管理局の次長がおっしゃいましたように、法律的には入国管理のほうの官庁がこれを取り締まるという筋であるという答えがございました。確かにそういうことだろうと思います。実際問題としてすべての入国者についてこういう点を入国管理局でおやりになるかどうか、これは私から申し上げる限りでございませんが、今回の場合には、結果的に見てランプパスを出すときに十分入管のほうと御連絡をするなりその他の方法をとれば、未然に防止し得たというふうに考えております。  繰り返して申しますが、従来はそういうことにあまり関心を払わず、主として空港内の安全ということに頭を向けましてやっておりましたので、御指摘のような場合が起こったというのが私は率直なところであろうと思います。
  108. 野間千代三

    ○野間委員 一つは管理事務所で寄港地上陸で許可をしておったのですから、それが今度正業につく場合に、いま空港で言われるように、そこでランプパスを発行するときに、きちっと審査をしておけばそれは未然に防げるということが一つありますね。ですから、ランプパスを発行した責任者に一つ問題があることは事実ですね。これが一つ。それから、そういう事態になる前の入国管理事務所のほうでその本人がどういう行動をしているかということは、これはなかなか一々見きわめにくいのじゃないかというふうになると思います。ですから、管理事務所のほうの責任も十分あることはあると思いますが、具体的にはやはり方法としてはその本人がランプパスの発行を申請したときにきちっととらえる。その間には別にこれはないわけですね。それはどうなんですか。
  109. 富田正典

    ○富田説明員 寄港地上陸許可証をもらって上陸いたしますと、先ほど申し上げましたように、法律的にはコントロール下にあるわけでございますけれども、実質的には七十二時間の範囲内でいかなる行動をしているかということを入管当局が把握するのはきわめて困難でございます。したがいまして、こういうケースがあったときに厳重な注意を喚起するとか、そういったことによって七十二時間の寄港地上陸許可の趣旨に反した行動をとらないように自粛していただく以外に入管当局としては方法がないのじゃないかと思います。  なお、ランプパスの発行につきましても、この事件を契機といたしまして入管の羽田事務所と空港事務所当局とで十分な緊密な連絡をとりまして、観光査証であるとか、あるいはショアパスであるとか、そういうものでランプパスを申請した場合には発行しないというような、きちっとした打ち合わせをして、これからやっていこうじゃないかということになっております。  なお、会社当局に対しましても、一両日前でございますか、今回の問題について厳重な警告を羽田入管事務所からしたと聞いております。
  110. 野間千代三

    ○野間委員 そうなりますと、いままではランプパスを発行する場合にどういう条件の内容であるかということについてはあまりタッチをしてなかったということですね。いま言われるように、十分に打ち合わせをするなり、発行をする申請の内容を十分に審査をされるというふうになるそうですからそれでいいのでありますが、ただ、当時、本人が来られたのはたしか十一月二十三日、そうして、ランプパスを発行されたのが、申請があって許可になったのが二十四日だと思います。その前に、十一月十二日に十三人ばかりランプパスが発行をされていて、よく記憶しておりませんが、たしか何人かの外人があったのじゃないかというふうに思うのですが、その外人があろうとなかろうと、当時、これはパンアメリカンの労働紛争があって、この労働紛争に基づいてパンアメリカンの本社から羽田空港に来て、そうして入国をする者があったのじゃないか。あるいはパンアメリカンの会社の非組合員を制限地域内に入れるという申請をしているわけです。その申請書の内容はどういうものであったか、十一月十二日あるいは二十四日の空港長に出された申請書の内容については御承知ですか。
  111. 栃内一彦

    ○栃内説明員 ただいまお尋ねの十一月十二日に発行されました枚数は御指摘のとおり十三枚でございます。いろいろ毎日のように——毎日でもございませんが、何日かに一ぺん申請書が出てあれしておりますので、十二日そのものがどういう申請書になっておったかということまで私は承知しておりませんが、当時の申請書の中に、争議があるので非組合員をランプ作業に従事させるためにランプパスを出してくれ、私は正確に文言まで一々覚えておりませんが、そういうような趣旨の申請書があったということは記憶しております。
  112. 野間千代三

    ○野間委員 実はそのことなんですけれども、十一月十二日の問題もそうですし、申請書の内容もそうですし、二十四日の申請書もそうなんです。その中にいま問題のフィリピン人がいるわけです。そうすると、これはたいへん失礼な言い方だけれども、入国管理事務所でも、あるいは空港長のほうでも、労働争議に介入する意図で、フィリピン人の寄港地上陸という程度の旅券を持っている者も、空港のほうでパンアメリカンの仕事につかしているということになるのです。ですからこれは、皆さんからいえばあるいは極言かもしれないけれども、われわれから見ると、入国管理事務所も空港長のほうも、スト破りを援助をするという多少の意図があって十一月十二日もあるいは二十四日もランプパス発行を認可をしているし、それから上陸の許可をしているというふうにとれるのです。それはそうじゃないのですか。
  113. 富田正典

    ○富田説明員 十一月二十二日以前に海外からの航空会社の勤務員が入国したということは、われわれは承知しておりません。この寄港地上陸許可証で問題を起こしたのはただいま申し上げたフィリピン人二名でありますが、そのほかに正式の旅券に有効の査証を持って入国したものはございます。これが実質的にはスト破りに協力したのではないかという御質問でございますけれども、有効な旅券に有効な査証を持ってまいりますと、羽田の入管における入国管理官といたしましては、上陸拒否事由がない限り、査証の有効性と入国の目的というものを一応聴取いたしまして入国を認めるのがたてまえでございます。したがいまして、その際にこれが争議にいかなる関係があるかというようなことまで立ち入って審査はしておらないわけでございまして、スト破りに協力したのではないかと言われると、いささかこちらとしても筋違いじゃないかと存ずる次第でございます。
  114. 野間千代三

    ○野間委員 いや、結果的に明らかにスト破りのものが、不法なというか、妥当でない旅券を持っていて、そうしてそれが空港長のほうで許可をして、しかもそれはストをやっておるから、それを補助する業務につくという申請書に基づいて許可をしている。そうして仕事についたわけですね。そのお答えのとおりです。ですから、これは結果的にはスト破りを援助する意図があって、そういう仕事につかせたというふうに言われても、これは抗弁の余地がないんじゃないか、こういうふうに思うのです。ただ、これは水かけ論ですからその程度でやめますけれども、もう一回申し上げておきたいのは、少なくとも管理事務所並びに空港の事務所では、パンアメリカンの会社の中で紛争がある。しかもそれがストライキという状態になっている。そういう状況にあった。そういう状況下でもって入国を許可したり、あるいはランプパスを発行するのですから、そのときには十分に慎重に双方打ち合わせをして、そうして労働紛争に政府機関が介入をするということにならないように十分な配慮をしながら、許可をするものは許可をするというふうにすべきじゃないかと思うのです。そういう点について多少配慮が欠けておったのではないかというふうに感じます。皆さん、言われましたように、今後慎重に対処していきたいというふうにおっしゃっておられますので、それは今後の問題として十分慎重な打ち合わせをしながら対処してもらいたいというふうに、この問題についてはお願いをしておきます。
  115. 富田正典

    ○富田説明員 ただいまの御指摘の点、寄港地上陸許可証の問題については御指摘のように配慮してまいりたいと思います。上陸の許可と一般の入国の許可と、これはおのずから問題が異なってまいりますので、寄港地上陸の問題については十分空港当局と打ち合わせをしてまいりたいと存じます。
  116. 野間千代三

    ○野間委員 観光の場合はどうですか。
  117. 富田正典

    ○富田説明員 観光査証の場合ももちろん同じでございます。
  118. 野間千代三

    ○野間委員 入国管理事務所のほうは、先ほど言われたように有効な査証があればその許可をしていくということになると思います。それをどういうふうに正業についてはならないものが正業につこうとするところをキャッチするか、これはなかなかむずかしい。慎重に配慮してもらいたいということになるのでしょうけれども、空港長のほうで、これはいまのフィリピンの問題も関連をしますけれども、ランプパスをスト破りで仕事につきたいという申請をしておるものについてそれを許可しておる。それは、そういう申請内容でも許可をしなければならないのですか。
  119. 栃内一彦

    ○栃内説明員 私はただいまおっしゃいましたスト破りということばの問題につきまして明確にわからない点もございますけれども、非組合員が争議中に経営者のほうの指図によって仕事をするということは、組合側の立場から見れば経営者のほうの一つの対抗手段というふうにとれると思いますが、非組合員を経営者のほうが自分の仕事を遂行するために働かせるということは、そのことだけで直ちに私は違法なことであるというふうには考えておりません。
  120. 野間千代三

    ○野間委員 それは違法であるかないかという問題は別に議論があるわけです。それは労調法の問題なり、そういう関係でいろいろ問題もあるけれども、空港長のほうで、空港の正常な運営をする立場にある空港長が、明らかに書面の上で、ストの状態なので、それにかわる業務につかせる、つまり、ことばで言えばスト破りですね、そういう業務につかせるということで申請をされておるものを許可をするということは、結果的にはストライキの効果を減殺する、あるいはそれよりも労使の問題の中に介入する、認可をすることによって労使の紛争に政府機関が介入をするという結果になるでしょう。したがって、そういう申請で行なわれた申請書に対して認可を与える場合には、よほど慎重に考慮をしながら、政府機関が労使の紛争に介入をするということにならないように配慮する必要があるんじゃないかというふうに思うのです。これはどうですか。
  121. 栃内一彦

    ○栃内説明員 御指摘のとおり争議中におけるそういう問題については特に慎重にするという必要は私も認めます。またただいま御指摘のようなショアパスというようなもので労働に従事するというようなことが起こらないようにやるという点につきましては、慎重に、その他の点でも慎重にする必要があると思いますが、いまのそういう認可申請が出た場合に、その認可をするかしないかという問題につきましては、これは労働省のほうの御意見も十分聞いた上でございませんと、単にそのこと自体が組合の意図することに対して、経営者側の仕事が、若干でも、しやすくなるというような点だけで、はたしてそれをとどめ得るかどうかという点につきましては、ここでそれはできないということを私はいま断言するだけの自信がございません。労働省とよく相談いたしまして、そのことが労働法上国の機関としてそういう申請は却下すべきであるという労働省の権威のある解釈が出ませんと、ここで空港当局だけでそういう非常に微妙な問題につきましてお答えするだけの自信を現在私は持っておりません。
  122. 久保三郎

    ○久保委員 関連して。——どうも私にもちょっとわからないのですが、一時上陸で来た者がこれが不当であるというか、不法なランプパスを発行してしまったということですね。これは一つはっきりしました。そこで十二、三名前に来たのは、これはどういうビザというか、パスポートを持ってきたのか、その内容によって、ランプパスを発行することは、これは妥当であったのか、簡単にお答えいただきたい。
  123. 栃内一彦

    ○栃内説明員 日本に入国した目的というものがどういうことで入管当局で許されておったかということですね。たとえばショアパスあるいは観光のためというような入国者に対しては、ランプパスを出すべきじゃないかというところまでははっきり申し上げられますが、そのほかの日本に働きにくることを許されておるというような場合につきましては、ここでそういう場合にいかに争議の……。
  124. 久保三郎

    ○久保委員 それを聞いているのじゃない。どういうもので入ってきたかということを、ランプパスを発行したことが妥当でありますかと聞いておる。入国の目的と合致しておりますかということです。
  125. 栃内一彦

    ○栃内説明員 先ほど申しましたように、当時はいかなるパスポート、またビザで来ておるというところまでチェックしておらなかったというのが実情でございます。
  126. 久保三郎

    ○久保委員 これはチェックしていなかったかもわからなかったというのじゃなくて、わからぬことはわかっているんだ、チェックしなかったからだけれども、いまから振り返って見て、そういうものにランプパスを発行したことは合法的であり、妥当であるのかどうかということを聞いているのです。入国の目的とランプパスを直結しているのはどうか、十二、三名の者を……。
  127. 野間千代三

    ○野間委員 こういうことなんです。関連がある一のですが、十一月の十二日のランプパスの発行は、これは外人が入っていない。これは先ほど法務省で答えられたから、これは外人が入っていない。ところが二十四日の入国には外人が入っている。この外人の数は、問題のフィリピン人二人以外にあと数名ということなんですね。そうですね。そうして、いまの問題はこのフィリピン人の二名ですね。飛行機上陸によって入ってきて、いま質疑があってこれは間違いであった、これは法務省も空港長も言っているわけですから、これは間違いであった。したがって、ないように将来改めましょう、それにつけ加えて、観光もそうですね、というふうに確認をしたわけです。ここまではいいわけです。その問題が来るのでもう一回やりますが、他の五人は短期商用ということでしたね。短期商用で入国をしている。この短期商用で入国しているのは、やはり交渉があるわけでしょう、短期商用の中には。それはどういうことになっているのですか。この問題がちょっと残っていますから、もう一回言ってください。
  128. 久保三郎

    ○久保委員 もう一つ言うが、簡単なことなんだ。フィリピン人のことはあなたのほうでもまずかったといろいろ言うが、わかっておるのです。いま野間委員が言うような四名か五名来た。これはランプパスを発行したのは、短期商用で来たとか言っていますが、それはそれでランプパスの資格があるかどうか聞いているのです。審査しなかったと言うから、これは発行しちゃったのでしょう。あとから振り返ってみて、これはまずかったのか、いいのか、こういうことを聞いているのです。
  129. 富田正典

    ○富田説明員 短期商用で入国した者が、会社の業務に従事し得るかどうかという問題かと存じます。普通長期の商用の定義は入管令の四条の一項の五号にございますが、これは「本邦で貿易に従事し、又は事業若しくは投資の活動を行おうとする者」という規定になっております。これの百八十日以内のものが短期商用ということになるわけでございます。このただいま読み上げました字句と申しますのは、非常に制限的と申しますか、限られた範囲になっておりますが、複雑多岐な広範な、いろいろビジネス・アクティビティと申しますか、商用活動というものをこれでまかなうということは、実際的でございませんので、運用の面においては、かなり広くビジネス・アクティビティというものを運用しているわけでございます。したがいまして、航空会社の業務に一時的に従事するということが短期商用に入るかと言えば、これは短期商用に入るとわれわれは解釈しております。
  130. 野間千代三

    ○野間委員 この問題はこの二人の問題のあとにしようと思ったのですが、いまの入国管理局の御答弁でいくと、将来今度は双方で協議をして、慎重にしてランプパスを発行すると言っている中に入るのですが、そうすると四条一項五号の貿易あるいは事業をやるわけですね。それぞれ契約なり、貿易の場合あるいは事業の場合、契約書であるとか、そういういろいろな証明をもって許可をされているわけでしょう。その証明にたとえば今度のパンアメリカンの場合ですとか、貿易あるいは事業等の契約なりには関係がないと思うのですね。パンアメリカンの職員がパンアメリカンの仕事をしているのですから、これは関係がないわけですよ。四条一項の五号とは関係がないわけです。そういう関係のないものを、それは少し広義に解釈するにしても広義過ぎはしないかと思う。ですからこれはやはり空港長の申請があった場合、ランプパスを発行する場合は入国はできるけれども、いまのような場合にランプパスを発行する範疇に入らないというふうに規定すべきではないかと思います。
  131. 富田正典

    ○富田説明員 入国目的としての短期商用、十六の一あるいは十六の三という解釈から申し上げますならば、一時的に会社の業務に従事するというのは入るわけでございます。従来も、本件に限らず、一般的に従来からそういう解釈をとってきておるわけでございます。したがってそういう目的で入ってきた者がスト中の会社の業務に従事するためにランプに入るという場合に、ランプパスを発行していいかどうか、これは航空局の問題でございますけれども、そういうランプパスの問題と離れて、そういう者が会社の業務に従事することがいいかどうかということにつきましては、入国目的から言えば、会社の業務に従事することは別に入国拒否の理由には当たらない、入国目的にかなったものである、そういうぐあいにわれわれは解釈しております。
  132. 野間千代三

    ○野間委員 入国を許可することについて、それを拒否しろと言っているのではない。それは有効な査証なんですからいいのですが、つまり入国のいまの条件ですね、条件に該当をした仕事をしようとして申請をするのではないわけです、空港長に出している申請書は、ほかの数名の者も。ですからこの間は、先日はそういうことにあまり関心がなかったから許したと言っておられますけれども、これからは確信を持って慎重に、ランプパスを発行する場合に慎重を期そう、そうしたことを言っておられる。ですから四条一項五号で入ってきたことを管理事務所から聞いてその後きめるわけですね。空港長のほうはランプパスを発行することの是非についてこれからはきめるわけですね。その場合にはそれはランプパスを発行する範疇には入らないというふうに理解をすべきじゃないかというふうに思うのです。これは空港のほうです。
  133. 栃内一彦

    ○栃内説明員 私はお尋ねの点の問題は二つあると思う。一つは入国した人がいかなる性質の労働に従事し得るかという問題、この点が入国管理の事務所のほうの系統の解釈の問題になってきます。もう一つは、入国した、しないということを離れて、一般的にこれは日本人の非組合員の場合でも、争議中におきまして会社の経営者の命令によって組合員がやっておる仕事をかわってやることができるかどうかという二つの問題に分かれると思います。したがって、一つは入国関係というのでございましょうか、そららのほうの運用をやっておるところの御解釈の問題であり、他は、労働省のほうの解釈の問題になろう。いま入国管理局の次長から御答弁がありましたように、やる労働の内容そのものについては、入国関係のほうでは、商用パスであるならば差しつかえないという御答弁でございます。それから、労働問題としての解釈、これにつきましては、非組合員が組合員の仕事を争議中にやるということは、私は、労働法に違反するというふうなことはないんじゃないかというふうに考えております。この点につきましては、労働省のほうの専門の権威のある御解釈ということが必要ではないかというふうに考えております。
  134. 野間千代三

    ○野間委員 いま言われたように、問題は確かに二つあるのです。簡単のほうは、日本人にランプパスを発行する場合、これは言われるように、労働省と慎重にこれからは協議をしてやりたいというふうに言っておられるから、それはそれでいいんです。もう一つの問題の、外人が入った場合、旅券が有効であれば、これは管理事務所は入れますね。今度は、それがスト破りの仕事につきたいということで申請書が出てくる。そうすると、この場合は、二つの問題があるのですね。一つは、そういう仕事をつまり労働省と協議をしなければならぬという問題が一つある。もう一つは、もう一歩さかのぼって、旅券の内容と照合をして許可をしていいかどうかということをきめなければならぬ問題があるわけです。つまり、二重に問題があるわけですね。その場合に、さっきの論議で、観光とそれから寄港地上陸の場合は、これはこれからは当然許可をしてはならぬ、これはきまりました。  問題は、四条一項五号のように、非常に微妙な場合に、これは入国は当然するんだ。パンアメリカンの会社も来ることができる。ところが、ランプハスを発行する場合に、それが旅券に書いてある、旅券の条件となっているものが、そういう仕事についていいかどうかという問題がもう一つ残るわけですね。私は、これは、スト破りの労働省と協議をしなければならぬ問題以外に、旅券の性格から言って、そういう仕事につかせるべきじゃないというふうに考えるべきだというふうに言っておるわけです。おわかりですか。
  135. 富田正典

    ○富田説明員 航空会社の業務につくことが、短期商用なり長期商用なりの商用の概念に入るか入らないかということに帰着すると思うのでございますが、それはやはり入るということになるわけでございます。したがいまして、まあ、普通は、ビジネスという程度目的で入ってくるわけでございますから、会社の用務に従事するという目的で査証が出、それで入国申請が出、それで許可するということになりますと、その会社の用務という査証なり入国許可の際の目的というものから見ますれば、会社の用務につく場合には、その中に包含される。問題は、スト中にそういうことをしていいかどうかという問題はございますけれども、それはやはり労働法の問題になりまして、ここでいまわれわれがにわかに結論を申し上げるべき問題じゃないんじゃないか、こういうふうに考えます。
  136. 野間千代三

    ○野間委員 それでは、この一番問題になっている、そういう旅券でそういう仕事についていいかどうかという点についてのいまの次長の答えについては、私どもでは多少疑問がありますので、検討することにします。  そうすると残る問題は、スト破りということでランプパスを発行していいかどうかという労働法上の問題が残るということになりますから、それは空港で答えられておるように、将来は、労働省と十分に打ち合わせをしながら、争議の介入にならないように十分に配慮したいということですね。じゃ、それはそういうふうにとりあえずきょうのところはしておきます。  まあ私どもの申しているのは、民間の会社で労働争議が行なわれているときに、空港という特殊な条件の中で争議が行なわれているときに、政府の出先機関である入国管理事務所なりあるいは空港長なりが争議に介入をする結果になるということはできるだけ避けたほうがいいということを申しているわけです。問題はもう一つあるんですよ。空港長が申請をされて許可をした内容に、業務につくその業務の中に、荷物を運搬をする車、運搬車がありますね。その運搬車の操縦というか、つまり車両許可をしているのがあるんです。そうして、その車両許可を受けた人が、パンアメリカン本社の課長というか、つまり、非組合員ですから課長であったり係長であったりしておるのです。その羽田のパンアメリカンの事務所の課長あるいは係長が車両許可をしてもらっているという部分もあるのです。この車両許可が十一名もあるんですから、そういういろいろな内容のものがあるのですけれども、その車両許可というのは、ああいう空港の中で車両運転をするんですから、非常に技術上でも、あるいは空港の地理の内容についても十分に精査をして、経験がなければむずかしいと思うので、それは許可をすることに相当問題があるんじゃないか。したがって、許可をする場合には、相当期間の講習なり、特に外人の入ってきた人に車両許可を与える場合には、相当長期にわたる講習なりなんなりが必要じゃないかというふうに直感をするんです。ランプパスを外人に発行する場合に、車両許可をする場合には、これは講習をしたりあるいは試験をしたりすることが規定になっておるというふうに記憶していますが、その辺はどうなんでしょうか。
  137. 栃内一彦

    ○栃内説明員 御指摘のように、空港内における自動車の操縦ということは非常に慎重を要しますし、また、専門的知識を必要とします。したがいまして、日本人であっても外人であっても、初めて空港内でもってそういう仕事をする場合には、講習をするとかあるいは試験をするとかということで、万全を期しておるわけでございますが、ただ、臨時の場合には、空港全体を歩かない、特定の部分を歩くというような場合には、その特定な部分を歩くのに適しているかどうかというような審査というもの、あるいはその人が他の空港においてどの程度の経験を持っておるか。すなわち、飛行機一般というもの、あるいは空港内における保安というものについてどの程度の知識を持っておったが。ただ、その人が、羽田という特別の地域についてどの程度の知識を持っておるか。かつてたとえば羽田に勤務したことがあるというような人の場合もございましょうし、初めて羽田に来たという人もございましょう。したがって、人によっていろいろな能力なり経歴の差がございますので、これに応じた方法によって認定をする、また、必要なら講習をやるというふうにやっておりますし、今後もそれを続けていくべきであろう、かように考えております。
  138. 野間千代三

    ○野間委員 今度の場合には臨時ですから、臨時の場合として考えていいのですが、やはり臨時の場合でも、いま言われるように、いままでそこについていない仕事について、新たに安全を基本にしてランプパスを発行するわけですね。ですから、当然、いま言われましたように、講習をするなりあるいは車両許可をする場合には、若干の試験をするなりということはすることがたてまえなんでしょう。
  139. 栃内一彦

    ○栃内説明員 問題は、安全を確保するためでございますので、試験あるいは面接あるいは実際にやるというような、いろいろな段階があると私は思います。この点につきましては、係官は、空港の作業についてどの程度の技能なり経験があればいいかという点につきまして、長年の経験によってよくわかりますので、当該申請人がどの程度の経験を有し、また知識を有するというような点をよく聞きまして、そして納得がいくまで尋ねる。そして、さらにこれは、これだけの実地の試験をしたほうがいい、あるいはこれは紙に書くのでいいというような、いろいろな段階がございますので、これは人によって——人と申しますのは、審査するほうでございませんので、作業することを希望する人の、経験なり能力に応じて試験をすべきであって、いたずらに画一的にやるのがいいというわけでもない。また、会社のために不当に便宜をはかって、まあ簡単にしてやれというような配慮は、もちろん絶対してはいかぬわけでありまして、結局空港の保安というものが完全に維持できるように、しかもいわゆるお役所仕事にならないというような、両面を調和させたやり方でやっていきたい、かように考えております。
  140. 野間千代三

    ○野間委員 いまのお答えは、ランプパスを発行する場合には、それぞれの申請人の持っている知識経験等を審査をして、それに即応して訓練をするなりあるいは講習をするなり試験をするなりして今日までやっておったということですね。そうすると、十月の三十日に許可をしている十二名、それから十一月十二日に許可をしている十三名、あるいは十一月の二十四日に許可をしている十三名、これはそれぞれ十一月の十二日あるいは十月の三十日あるいは十一月の二十四日に申請があって、そして同日付で全部許可になっていますね。三十数名の者が全部申請のあった日に許可になっているのです。これはおかしいじゃないですか。
  141. 栃内一彦

    ○栃内説明員 ただいま申し上げましたように、試験をする、講習をするということはもちろんやっておりますが、臨時のパスにつきましては、一般の初めての人よりも比較的素養その他がある、あるいは特定の範囲内しか運行しないというような制限をしておりますので、必ずしも講習をするというようなことでなく、本人の経歴なり何なりというものを見て、あるいはよその空港から来た場合には羽田の空港の特殊性ということについてよく説明をするということで安全上差しつかえないと認めれば即日許可をするということも決して不当なことではない。要はその臨時の人がどの程度の範囲で作業するか、極端にいえばきわめて限られた範囲の地域であるならばそれは比較的安全の点で心配が要らない、あるいは経験が非常に長いということであるならば羽田の特殊性について説明をする、また本人等に質問してみるというようなことで、これならば差しつかえないという判断が下せれば即日許可をするということもあり得る、かように考えます。
  142. 野間千代三

    ○野間委員 通常の問題としてそれはいいです。ところが実際にはこのストライキのあった十月三十日から十一月の十二日、十一月二十四日——十一月二十四日は問題のフィリピン人二名も入っておるのです。そしてこの二名の者はパンアメリカンの本社の者には違いないが、香港のほうに行く用務を帯びている寄港地上陸の者です。したがって、その者は羽田空港そのものは知っているでしょうけれども、その者が業務につくことを許可しておるのですけれども、三回にわたって三十八名許可しておる者についていま答えられるように試験も要らない、講習も要らない、そういう者もあるでしょう、あるでしょうけれども、この中に数名の外人を含んでおったとすれば、全部が全部申請の同日にランプパスが発行されておるということは、それは偶然といえば偶然といえるのですが、偶然としては少し過ぎやしないか。やはりもう少し審査をしておれば、この中であるいは何名かが二日後に許可になっておるということがあってしかるべきではないかというふうに言えるのじゃないかと思うのです。ですから、それからいくと、いま言われるように、十分に個人個人の経験や経歴を審査して、そして許可をしておるというようにはなかなか言いにくい。三十八人もまるきり無審査みたいに同日付で全部が発行されているのです。ですから、これは慎重を欠いてはいないかというふうに言えると思うのです。これは過ぎたことですし、時間もありませんからこれ以上は申しませんが、内容としては私が疑問を持っても持つほうが間違いないと思われるくらいに、あまり簡単に審査が過ぎているというふうに見られる。三回にわたって三十八人が同日付でランプパスが発行されておるのですから、パスを発行する場合には今後はもう少し慎重に対処して、きちっと講習するものは講習する、試験をするものは試験をするというふうにしてもらいたいと思います。  ランプパスの問題については大体以上でございますが、それからもう一つ入国管理局次長に聞きたいのですが、フランスやイギリスは査証免除協定か何かになっておりますね。そうすると、それは自由に入れるわけですね。
  143. 富田正典

    ○富田説明員 査免協定の内容によりますが、商用活動に従事する場合を除くということが大体あるわけでございます。したがいまして、商用活動の目的で入国してまいります場合には、その査証をとってきてもらうというのがたてまえだと存じます。
  144. 野間千代三

    ○野間委員 それでいまの問題ですが、フランス、イギリス等で査免協定になっていると、これはまた入国管理事務所のほうでもわりあいに簡単に入れるという結果になるわけです。ですから、これからたとえばエアフランスとかいろいろありますから、そういう場合も考えるのですが、ランプパスを発行する場合には、いまパンアメリカンを対象にしていろいろ申しましたけれども、特にイギリスあるいはフランス等の場合にはよほど外人の入国について慎重にして、しかもそれにランプパスを発行する場合には相当慎重にしないと、ぼくらが心配をするような正当でないことにランプパスが発行されるという危険性があるんじゃないかというふうに懸念されますから、この面については、どれがどの程度の慎重ということはありませんけれども、特に慎重を期してもらいたいというふうに思います。  ほかにまだあるのですけれども、時間がないようですから、また航空委員会でもやることにいたします。  以上で終わります。
  145. 川野芳滿

    川野委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十分散会