○
磯崎説明員 それでは、お許しを得まして、私から最近の
国鉄におきます
事故の
状況につきまして御
説明をいたします。
ただいま
資料をすぐ持ってまいりますが、まず、御
説明に入ります前に、昨年来、当
委員会の非常に強力な御推進を得まして、
国鉄といたしましては、
保安対策の
工事に全力をあげてまいったわけでございますが、ちょうど昨年のいまごろ、
鶴見事故の直後、
事故が非常に頻発いたしまして、国民からもたいへん不信の念を持たれ、また、
国会からもいろいろ御
注意を受けたのであります。その後、私
どもといたしましても、従来の
事故対策の
やり方を少し考え直しまして、いままでのような総花的な
やり方ではだめだということを痛感いたしまして、一年間の間に
事故対策の
重点を
三つにしぼったわけでございます。
一つは
列車自動停止装置の問題でございます。
一つは
踏切対策、
一つは、
タイヤ割損と申しまして、
貨物列車が途中で
脱線する問題、この
三つの
対策に
重点をしぼりまして、全体の
予算を極力この三点に集中いたしまして、しかも毎月毎月
工事の
進捗状況をチェックしてまいったのでございます。
その結果、今日現在におきまして、まず
列車自動停止装置でございますが、これは全体で
全国二万キロの
線路のうち約七千八百キロにおきましては
列車自動停止装置が全部完成いたしました。本年度末までには、ちょうど一万キロの
列車自動停止装置が完了いたします。一万キロと申しますと、
線路の長さは全体の二分の一にすぎませんが、
輸送量、
列車回数その他から申しますと、全体の七五%に当たるわけでございます。すなわちこの一万キロにつきましては、ほどんど
全国の
主要幹線は全部含まれておりますし、
主要幹線に次ぎます
地方の
幹線も大
部分が入っておるわけでございます。そして、四十年度には
残りの一万キロを全部完了いたしたいと思っておりますので、四十年度末までには
全国の全線に
列車自動停止装置がつくことになります。
これがつきますと、御
承知のとおり、
乗務員のよほどの重過失がない限り、絶対に
列車の
追突その他の
心配はなくなるわけでございます。すなわち、ちょうど
先生方に昨年のラッシュをごらん願いましたが、あの当時
電車には
車内警報器で
警報が鳴るだけの
装置になっておりましたが、現在、あれに
自動的に
列車が停止する
装置をつけております。この辺の
電車も今年度中にはつくことになっておりますので、
乗務員がよほどの不
注意で、あのベルをとめましてから、しかも、とめたことを忘れてしまうというふうなことがない限り、まず
追突ということは絶対あり得ないということになったわけでございます。その意味におきまして、
主要幹線の
保安は非常に高まったというふうに考えられます。その結果、昨年と比べまして、本年の
乗務員の信号確認不良による
列車事故は激減いたしたわけでございます。
おかげさまでたいへんしあわせに存じておりますが、昨年まで十件前後ございましたものが、今年は十一月末、すなわち一昨々日までで二件でございます。その二件のうちでも、一件は、実はさっき申し上げましたとおり、
列車自動停止装置があるのに、乗って、直後その
スイッチを入れなかったために働かなかったという
件数が一件、
あとは四十年度になすべき
地方の線区の分が一件、この二件だけでございまして、
列車乗務員の信号確認不良が非常に減ったことは、われわれとしては、多少この面における
安心がふえたような気がしておるわけであります。
その次は
踏切の問題でございます。これは過般、
札幌で大きな
事故がございましたけれ
ども、私
どもといたしましては、昨年、
踏切事故も相当ございましたので、まず何といっても現在の
過密ダイヤのもとで一番おそろしいのは
事故の
競合であるということに考えを及ぼしまして、まず
複線区間の無
防備の
踏切を一年間で全廃しようという非常な強い決意を持ったわけでございます。
単線区間でございますと、
万が一の
踏切事故がございましても、その
単線での
競合事故はない。すなわち
事故は
一つだけで済むわけでございますが、
複線事故で申しますと、
万が一、
反対側から
列車が参りますと、非常に大きな
事故になります。したがって、まず
復線区間の無
防備踏切をひとつ全滅しようということに最
重点を置いたわけでございます。昨年の十二月からこの
対策を立てまして、これは全体で約三千六百カ所ございまして、これにつきましては、もちろんこの三千六百カ所全部
警報機をつける、あるいは
警手をつける、これは不可能でございます。私
どもといたしましては、
警察庁と十分連絡いたしまして、三千六百カ所のうち、千五百カ所につきましては
国鉄として
警報機をつける。
残りの二千カ所については
車両の
通行だけをとどめる。
道路に
さくをいたしまして、人は通れるけれ
ども。車は通れないように
さくをし。
車両の
通行をとめる。あるいは
踏切を除去してしまう。こういうことを
警察庁といろいろ御連絡いたしまして、
警察庁も非常によく協力してくだすったわけでございます。
おかげさまで一昨十一月三十日をもって全部完了いたしました。約千五百カ所には
警報機をつける、
あとの二千カ所は車の
通行禁止、あるいは除去、すなわち
踏切をやめましたのが五百カ所、五百カ所の
踏切を除去し、
あと千五百カ所の
踏切につきましては
自動四輪の車が通れないようにいたしたわけであります。これによりまして、
事故といたしましては、やはり減ってまいりまして、
踏切事故は
単線、
複線ともわりあいに減ってきておるわけでございます。
単線の
踏切事故は昨年の九二・五%に減っておりますが、
複線区間におきましては、
自動車の増加にもかかわらず七八・五%に減っております。これは数年来の当
委員会の
踏切に対する非常に強い御関心のあらわれでございます。明らかにこれは
事故件数として減っておるということは、私
どもといたしましても、少なくとも
複線区間においては、
自動車運転手側に非常に大きな過失がない限り、すなわち
道路交通法において定められました
踏切の一
たん停止さえ必ず守ってくれれば、まずこの
複線区間における
踏切事故の
競合というものはない、
重大事故はないということの
一つの大きな
安心感を得たわけでございます。
しかしながら、不幸にして過般
札幌付近で起こりまして、
死者二名、重軽傷十数名を出しました大
事故につきましては、新聞でも御
承知のとおり、残念ながら十七歳の少年が無
免許運転いたしておったわけでございます。無
免許運転のために
車両の操作も非常に下手であったせいか、
踏切上でエンストいたしましたものを放置して、まあ逃げてしまったわけでございます。私
どもといたしましては、せっかくこの
複線区間の
踏切事故を全廃しようと思って大体
設備が完了する前後にあれだけの大きな
事故が起きたことは非常に残念でございますけれ
ども、これは当方としてはいかんともしがたかったわけでございますが、しかもあそこには昨年から機械化いたしました
踏切のほかに、
踏切で
事故がありました場合、たとえばエンストなどをした場合には、すぐ
ボタンを押せば
信号機が赤になる、それから
発炎筒がたける、こういう
設備も全部してあったわけでございます。あの
踏切にももちろん全部
緊急事故を知らせる
ボタンと
発炎筒が置いてあったわけでございますけれ
ども、どうもそれを押したのは直後ではなくて、だいぶ
あとになってから押したらしく、それが時間的に間に合ってない、こういう非常に不幸な
事態でございまして、私
どもといたしましては、現在考え得る最高の
保安設備をしたにかかわらず、無
免許運転という非常に残念な
事態のためにああいう大きな結果を引き起こした、これは今後ともぜひそういった
方面の
自動車運転者側の
注意の喚起もせざるを得ないという
気持ちで一ぱいなわけでございます。
しかし全体といたしましては、先ほど申しましたとおり、
複線区間の
踏切事故は非常に減っておりまして、これは将来も
国鉄側の
設備が完了し、また
自動車運転者側の
注意が行き届きますれば、もう少し減ってくる
可能性があると思います。しかしながら、最終的にはやはり
立体交差以外には
踏切事故の絶滅はないわけでございます。
立体交差につきましては、建設省の
計画どおり毎年やっておりますが、これはいろいろな
関係で必ずしも十分に進渉いたしておりませんが、最終的に
踏切事故をなくするには、全部
踏切を
立体交差する以外にないわけでございます。こういたしますれば。いかに
運転者側に
手落ち等があっても
踏切事故は起こらないわけでございますが、なかなか全部
踏切を
立体交差化することは、現在の
国鉄財政はもちろん、
国家財政からいきましても不可能でございますけれ
ども、とりあえず無
防備踏切をやめた
複線区間には必ず
警報機か
警手がついておる、
あとは車が通れない、こういうようにいたしました以上、何とか
利用者側におきましても、もう少し
注意をして、
道路交通法を守ってもらいたい、こういう
気持ちが強いわけでございます。しかし将来の問題といたしましては、これはいずれ
立体交差の方向に進むべきものだと思いますが、とりあえず一年間この
複線区間の無
防備踏切対策をやりまして、一昨日でもって
計画どおり完成したということは、御
報告をいたしていいと思います。
それから第三番目は
車両、ことに
貨車の
タイヤ、すなわち
貨車の車輪の外側の
タイヤでございますが、この
タイヤの緊急取りかえの
工事でございます。過般の
鶴見事故の
原因が、これは非常に新しい車でございましたので、
タイヤ割損ではないかということははっきりいたしておりますが、その前後からいたしまして、ときどき
貨物列車の途中
脱線がございまして、この途中
脱線の主たる
原因が
貨物列車の
タイヤが割損するということにあったということもはっきりいたしておりました。これがやはり
複線区間に起こりますと非常に大きな問題になります。したがいまして、何とかその古い
タイヤを全廃したいというふうに考えまして、
昭和二十四年製以前の
タイヤを全部取りかえる、それからある一定以上の
限度をこしました薄くなった
タイヤを取りかえる、すなわちその
限度を高くいたしまして、そうして約四万二千五百対の
タイヤを、ことしの五月から来年の一月までの七、八カ月のうちに全部取りかえるという
計画を立てまして、十一月末現在でそのうちの約八割を完了いたしております。これは
現場の
作業員が幾ら見ましてもなかなか発見できない
事故でございますし、何といたしましても、これは全体の施策として取りかえる以外にないと思いますので、
予算その他の
関係を一応無視いたしまして——と申しますか、緊急にそちらに流用いたしまして、
タイヤの緊急取りかえ
工事をやりまして、これは来たる一月末には全部緊急取りかえが完了いたす予定でございます。こういたしますと、
タイヤ割損による
貨物列車の途中
脱線という重大な
事故は大
部分が防げるというふうに考えられるわけでございまして、その
効果といたしまして、お
手元にお配りいたしました
資料の
最後のページにございますとおり、毎年いままで一年間に十件前後の
事故があったわけでございますが、ことしはこの
効果と思いますが、十一月末までに一件の発生を見ただけでございます。これも実は五月以前の
事故でございます。五月以降これをやりましてからは、まだ
事故が起こっておりませんので、相当な
効果があったというふうに実は考えております。
冒頭に申しましたとおり、この三点に
重点を置きまして、過去一年間、
現場、本社を含めまして一体となって
保安対策工事をやってまいっておりますが、一応それぞれの
効果をあげております。まだまだ実は
保安対策としてやらなければならないことはたくさんございます。たとえば過般
水戸の
付近で起こりました
事故につきましては、これは駅の
信号関係の
事故でございます。こういったものは当然
自動信号にする、あるいは構内の入れかえ
作業事故につきましては、これは継電電動化する、こういう
駅関係のものが実は非常におくれておるわけでございます。私
どもといたしましては、率直に申しまして、今後の
予算の
重点をこういった駅の
信号装置、駅の
保安装置の
関係に
重点を置いて、まず第一に
乗務員関係、一応これで一段落いたしますので、次に
駅関係の
信号保安関係に
重点を置いてまいりたい、こういうふうに考えておりますが、この内容は今後の
長期計画の中に十分含めておりまして、三十九年度の
予算が二百十四億でございました。四十年度以降は、私
どもといたしましては、ほとんど倍額にこれをふやしてやってまいりたいというふうな
気持ちで、覚悟で、やっておるわけでございます。
最近起きました
事故につきましては、
札幌のほかに先ほど申しました
水戸の
管内の
事故がございましたが、いずれもそういう
理由に基づきまして、私
どもといたしましては、今後あらゆる角度から絶滅し得る
事故というふうに考えておりますが、何と申しましても、非常に各
方面から
事故防止をやらなればならないという立場におりますが、
重点的にやはり
一つ一つの問題を
シラミつぶしにつぶしていって
事故防止をやってまいりたいというのが現在の私
どもの考え方でございます。
次に
東海道新幹線関係の
事故につきまして申し上げますが、
東海道新幹線は
おかげさまをもちまして十月一日から
開業いたしまして、新聞紙上等に毎日のいろいろなありさまが出ておりますが、お
手元にお配りいたしました
資料のごとく、多少数字で申し上げますと、十月分の
運転事故、私
どものほうで申します
運転事故と申しますのは
列車を十五分以上とめた
事故でございます。
運転事故は六十二件、十一月分では十七件と減りまして、大体十月、十一月を比較いたしますと約七割ぐらい減っております。
列車百万キロ当たりの
事故では一八・八九件で前月の約八割ぐらい減っております。
開業当初の
事故につきましては、多少弁解がましくなりますが、いわゆる
初期故障というような総括的なことで申しておりますが、これは十一月にはほとんどこれがなくなっております。御
承知のとおりたとえば
ドアがあかないとか、便所にせっちん詰めになったとか、あるいはパンタグラフがこわれたとか、こういったそこに書いてございますようなこまごました
事故が実は大
部分でございましたが、十一月にはこれらがほとんどなくなってきております。いずれの
事故も
原因がはっきりいたしておりますので、簡単な
手直しで済んでおるわけでございますが、ただとびらにつきましては、御
承知のとおり、実は非常に高速度で走りますので、ちょうど
飛行機のように
気密装置にしてあるわけでございます。
気密装置にするためには
ドアを非常に厳重に
気密にしなくちゃいかぬということで相当デリケートな
ドアをつくったのでございますが、
飛行機と違いまして、
列車は大体一分間に一回ぐらいの
ドアのあけたてをいたしますので、非常に
使用回数が多い。したがって、デリケートな
ドアがどうしてもこわれるということで、現在、多少
気密のほうを犠牲にしましても、
ドアをあけやすくするようなかかっこうに直しております。したがって、
車両関係の
ドアの
故障もだいぶ減ってきておるわけでございます。
それから、ここにちょっと書いてございませんが、
車両故障と申しまして、車が動かなくなったという
故障につきましては、大体百万キロあたり、十月が約一件、十一月が〇・三件ぐらいでございますが、これは昔の「こだま」、「はつかり」等と比較いたしますと、成績は必ずしも悪くないというふうに考えておるわけでございます。
次に、
新幹線の
開業にあたりまして、やはり非常に
皆さま方の御
心配をいただきました
列車妨害の問題でございます。
列車妨害は五件ございました。これは外から石を投げたというような、
窓ガラスをこわした
事故が大
部分でございます。これらと、
事故とならなかった、すなわち
列車をそれほど長時間とめなかった
事故を含めまして十件ほどございますが、幸いいずれも二重窓の
関係の中のお客さんにはけがはございません。内側の
ガラスまで破損いたしましたのは一件もございません。このほかに、
列車には直接
関係はございませんでしたが、五十メートル置きにあります
防護スイッチをいたずらしたという
事故が二件ほどございます。さらに、何の用事かわかりませんが、網を越しまして中に立ち入ったものが六件ございます。これはいずれも御
承知のとおり全部
列車に
無線がついておりますので、すぐ
運転士から
指令室のほうに
無線で、いま何キロの地点で
線路を人が歩いていたという
報告がございますので、それを連絡いたしまして、
指令室のほうからすぐ地元の
公安室に連絡し、
公安室と警察と連絡いたしまして、この
線路内に無断で立ち入った六件は全部一応身元その他がわかっております。
理由は、多少精神の
薄弱等もございまして、何のために入ったかということが必ずしもはっきりいたしませんが、六件ほどあったわけでございます。
それから職員の
作業方が悪かったという
事故が二件ございました。これは
確認車の
扱い方の間違い、それから転轍機の
清掃方の不良という
事故でございます。それからもう
一つ、
作業員の
作業方がまずかったということが五件ほどございますが、その中で一番大きかったのは過般の二十三日の
静岡−浜松間の
事故でございまして、これは不幸にして
死者五名を出した
事故でございます。これはあの地域、すなわち二百二十六キロと申しますと、ちょうど
磐田付近でございますが、あの
付近はちょうど一番
用地買収もおくれまして、実は地盤の
関係もございまして
線路の
敷設が一番
あとになったところでございます。したがって、現在でも
徐行区間の一番多いのは
静岡の
管内でございますが、そのうちの一部につきまして
作業員が
作業いたしておりました。この
作業は、実は
営業列車が走ります二時間前に
確認車というものを走らせます。この
確認車には専門の
軌道掛が二名乗りまして、この
確認車が
最後に
線路状態を確認した上で
営業列車を走らす。
万が一確認列車が走ったとき
線路状態が悪いということを発見いたしますと、すぐその場で、まだ二時間の時間がありますので
線路を直して
営業列車を走らす、こういうたてまえを
新幹線の
線路ではやっておりますが、この死亡しました五名の中に一人
班長がおりまして、この
班長は長年の
間国鉄におりまして、非常に
保線作業のエキスパートでございます。
確認車が過ぎました
あと、歩いて帰る途中でちょっと直したらいいというような場所を発見いたしまして、そして
手直しをやったわけでございまして、いわゆる
ムラ直しという簡単な
作業をやったわけでございます。これは実は
確認車が通った
あとは絶対に
線路をいじってはいかぬということになっておりましたけれ
ども、たまたまこの
作業班は
線路の
敷設作業をやった
作業班でございまして、この
付近はまだ建設をやった人をそのまま保守のほうに回しておりますが、その保守に回しますちょうど過渡期でございまして、形としては会社の下請のかっこうになっておったわけでございます。その
作業員ではございましたが、長年
線路保守の
作業に従事し、しかもここ二、三年の間は
線路の建設
作業に従事しておりましたために、
確認車が通った
あとでそういうものをいじってはいけないということを失念いたしましたために、いまその場ですぐ直さなくてもいいものを直してしまって、こういうことになったわけでございます。非常に残念な
事故でございますし、本人も非常に善意でやった
作業でございまして、非常に私
どもとしても気の毒に思っておるわけでございます。
この
作業の
やり方につきましては、下請ということばが非常に強く響きまして、いろいろ保守
作業につきまして国民から疑念を持たれた点もございますが、実は先ほど申しましたとおり、
線路を
敷設する建設の
作業から保守
作業に転換するちょうどその過渡期でございまして、先ほど申しましたように、この区間が一番
線路の
敷設がおくれましたために、建設から
保安への転換がおくれておったというのが実際の偽らざる実情でございます。したがいまして、こういう区間はほかには
線路関係ではもう全然ないわけでございます。この区間も間もなく保守
作業一本の形に直すべきところをこのままになっておったというのがたいへん遺憾でございます。これはさっそく通常の体制に戻すつもりでございますが、ちょうど過渡期でもって建設から保守への引き継ぎの最中だという点が非常に遺憾な点だったというふうに考えております。
それから次に
確認車の
故障、
確認車と申しますのは、いま申しましたとおり、全部
線路作業が終わりまして、それを専門の
軌道掛が二名以上で確認するという意味で、各保線所ごとに約百キロぐらいを担当いたしまして
確認車というものを走らせます。
確認車が走った
あとは一切の
作業をしないということになっておりますが、この
確認車の
故障、と申しますことは、
確認車自体が多少古い車もございまして、これは現在新しいものをつくっておりますが、
確認車自体の
故障で、たとえば十月一日に京都の駅で
故障いたしましたし、ちょっとしたことがございまして、
開業以来三件ほど
確認車自体の
故障がございました。
確認車は現在まだ目で
軌道掛が見ておりますが、詳細なゲージをつけた、機器をつけた
確認車を現在製作中でございますので、これはいずれ
確認車でもって
線路状態を確認するという形が
事故なしにとれることがもう間もなくできるというふうに考えております。
それから
最後に、最近起こります全般的な
列車妨害の問題でございます。これは過般、山陽線の須磨
付近におきまして、十一月十日から約四日間、それから十一月二十四日から三日間、この二回にわたりまして約二十件ほどの
列車妨害と申しますか、
信号機に対する非常な悪質のいたずらが起こっておるわけでございます。内容の詳細は省略いたしますが、非常に専門的な知識のあるようないたずらでございまして、しかも
信号機の赤い電球だけを抜かずに、黄色い電球と青い電球だけを抜く、すなわちまかり間違っても
事故が起こらないようないたずらのしかたをしているという、非常に見方によっては悪質ないたずらでございます。これが過般二回続けて起こりました。現在これに対しましては、私
どもといたしましては公安職員のできるだけの人数を投入いたしましていろいろな捜査
対策を立てておりますし、また警察本庁とももちろん連絡いたしまして、現地の県警におきましても担当課長が主任捜査官となっていろいろの捜査をやっていただいておりますが、まだ本日の段階で確定的なことを申し上げるまでに至っておらないようでございます。この点につきましては私
どもも非常に
心配いたしておりまして、
国鉄といたしましては、とにかく防護すると申しますか、警備する以外に方法がないのでございますので、いろいろな形でもっていま警備をしている最中でございます。
ただ、これと同時に、山陽線の山口県下におきまして、墓石を倒しましたり、あるいは和歌山県下でやはり石を置いたりという事件が、実は少し
全国的に連鎖反応的に起こっております。これはもちろん
全国的な、組織的なものとは思いませんが、どうもこういういたずらが
一つ起こりますと、新聞を読む連中の中で、こういうことをしてみたい連中があるのかどうか知りませんが、どうも連鎖反応的に
全国的に起こるという非常に歎かわしい現象がございまして、なかなか
国鉄の力の範囲では及びませんが、何とかこれを私
どもといたしましては防護するという直接の警備体制、
あとは広く浅いPRになりますが、小学校の生徒とかそういったいろいろな各
方面の協力を得まして、
列車妨害の排除をするという方法以外にないのでございまして、何とか現在のこのばく然たる連鎖反応的なこういったいたずらが一刻も早くなくならなければいけない。それにはやはり山陽線の
事故を、いたずらをやりました犯人を早くつかまえることが最大の問題だというふうに考えておるわけでございまして、
警察庁におかれましても、この点は非常に熱意を持って現在捜査に当たっておられるようでございます。
以上、たいへんくどくど申し上げましたが、最近の
事故関係について御
説明を終わります。
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