運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1964-03-25 第46回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年三月二十五日(水曜日) 午前十時二十一分開会
—————————————
昭和
三十九年三月二十四日
予算委員長
において、左のとおり本
分科担当委員
を指名した。
植垣弥一郎
君
太田
正孝君
小林
英三
君
塩見
俊二
君
杉原
荒太
君
村山
道雄
君
木村禧八郎
君
瀬谷
英行
君
戸叶
武君
鬼木
勝利
君 基 政七君
岩間
正男
君
—————————————
委員
の
異動
三月二十五日 辞任
補欠選任
塩見
俊二
君
下村
定君
瀬谷
英行
君 米田 勲君 基 政七君
村尾
重雄
君
岩間
正男
君 須藤 五郎君
—————————————
出席者
は左のとおり。
主査
村山
道雄
君 副
主査
岩間
正男
君
委員
植垣弥一郎
君
太田
正孝君
小林
英三
君
下村
定君
杉原
荒太
君
木村禧八郎
君
瀬谷
英行
君
戸叶
武君
鬼木
勝利
君
村尾
重雄
君
国務大臣
国 務 大 臣
福田
篤泰君
政府委員
防衛庁長官官房
長 三輪 良雄君
防衛庁防衛局長
海原 治君
防衛庁教育局長
堀田 政孝君
防衛庁人事局長
小幡
久男君
防衛庁衛生局長
軽部彌生
一君
防衛庁経理局長
上田 克郎君
防衛庁装備局長
伊藤
三郎
君
防衛庁参事官
麻生 茂君
防衛庁参事官
志賀 清二君
防衛施設庁長官
小野 裕君
防衛施設庁総務
部長
沼尻 元一君
防衛施設庁総務
部会計
課長
大浜
用正
君
防衛施設庁施設
部長
鈴木 昇君
防衛施設庁建設
部長
柿野二
三郎
君
防衛施設庁労務
部長
藤本 幹君
説明員
防衛庁経理局会
計
課長
小幡
琢也君
大蔵省主計局主
計官 渡部 信君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
主査
及び副
主査
の
互選
○
昭和
三十九年度
一般会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
三十九年度
特別会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
三十九年度
政府関係機関予算
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
〔
年長者小林英三
君
主査席
に着く〕
小林英三
1
○
小林英三
君 ただいまより
予算委員会
の第二
分科会
を開会いたします。 本日は、本
分科会
の
主査
並びに副
主査
を
互選
するのでありますが、本
院規則
第七十五条によりまして、
年長
のゆえをもちまして、私が
正副主査
の
選挙
の
管理
を行ないます。 これより
正副主査
の
互選
を行ないますが、
互選
は、投票によらず、
選挙管理者
にその指名を御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林英三
2
○
小林英三
君 御
異議
がないと存じますから、私から指名いたします。
主査
に
村山道雄
君、副
主査
に
岩間正男
君を指名いたします。
主査
の御着席をお願いいたします。 〔
村山道雄
君
主査席
に着く〕
村山道雄
3
○
主査
(
村山道雄
君) ただいま、私が
主査
に、
岩間
さんが副
主査
に
選任
をされました。皆さんの御協力をお願い申し上げます。 審査に入ります前に、
議事
の進め方についておはかりをいたします。 本
分科会
は、
昭和
三十九年度
一般会計予算
、同
特別会計予算
、同
政府関係機関予算
中の総理府のうち
防衛庁
、
経済企画庁
、
科学技術庁並び
に
外務省
、
大蔵省
及び
通商産業省所管
を審査することとなっております。
議事
を進める都合上、
主査
といたしましては、本日、
防衛庁
及び
大蔵省
、明二十六日
外務省
及び
通商産業省
、明後二十七日
経済企画庁
及び
科学技術庁
という順序で進めていきたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
村山道雄
4
○
主査
(
村山道雄
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 なお、二十七日午後の
委員会
において
主査
の報告を行なうことになっておりまするので、御了承願いたいと存じます。
—————————————
村山道雄
5
○
主査
(
村山道雄
君) ただいま
分科担当委員
の
異動
がございましたので報告いたします。
塩見俊二
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
下村定
君が
選任
されました。 以上でございます。
—————————————
村山道雄
6
○
主査
(
村山道雄
君)
昭和
三十九年度
予算
中
防衛庁所管
を議題といたします。 まず、
福田防衛庁長官
から
説明
を求めます。
福田防衛庁長官
。
福田篤泰
7
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
昭和
三十九年度
防衛庁予算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。
昭和
三十九年度の
防衛庁
の
歳出予算
の
総額
は、二千六百十二億五千九百十三万二千円でありまして、これを
昭和
三十八年度の
歳出予算額
二千三百五十一億六千二百六十五万五千円に比べますと、二百六十億九千六百四十七万七千円の
増加
となっております。なお、ここで申し上げます
昭和
三十八年度の数字には、第三
号補正予算
で追加されました
産炭地
への移駐に必要な
経費
二億七千四百万円は含まれておりません。 このほか、
国庫債務負担行為
として、
航空機
の
購入
について四十五億八千五百十七万二千円、
器材
の
整備
について三百四十一億三千六百二十四万八千円、
弾薬
の
購入
について二十六億千二百三十三万七千円、
施設
の
整備
について一億九千六百九十三万三千円、
艦船
の
建造
について十八億二千五百二十八万四千円、計四百三十三億五千五百九十七万四千円を計上し、さらに
継続費
として、
昭和
三十九年度
甲型警備艦建造費
について三十億五千五百六十一万九千円、
昭和
三十九年度
甲II型警備艦建造費
について四十億七千二百五十八万五千円、
昭和
三十九年度
潜水艦建造費
について三十九億七千百八十万四千円、
合計
百十一億八千円を計上いたしております。 また、
職員
の
定数
につきましては、
防衛庁
の
昭和
三十九年度の
職員定数
は、
自衛官
二十四万六千九十四人、
自衛官
以外の
職員
二万七千二十九人、計二十七万三千百二十三人でありまして、これを
昭和
三十八年度の
職員定数
に比べますと、
自衛官
二千百七十一人、
自衛官
以外の
職員
において七百六十一人、計二千九百三十二人の
増加
となっております。 次に
予算案
の
内容
について
組織別
に申し上げます。
陸上自衛隊
につきましては、第二次
防衛力整備計画
にのっとり、ホーク一個大隊を新編するほか
昭和
三十六年度以来改編してきた十三個
師団態勢
の
改編完了
に伴い、
後方支援能力
の
整備充実
をはかる等のため、所要の
改編増強
を行なうこととしておりまして、
昭和
三十九年度末における
陸上自衛隊
の
職員定数
は
自衛官
十七万千五百人、
自衛官
以外の
職員
一万三千六百三十人、計十八万五千百三十人となりますが、このほか
予備自衛官
五千人の増員を行なうことといたしております。次に
陸上自衛隊
の
運営
に必要な
経費
は、(項)
防衛本庁
千四十三億三千六百九十六万四千円、(項)
航空機購入費
九億六千九百四十七万円、(項)
施設整備費
三十億六千三百三十四万四千円、(項)
施設整備等付帯事務費
四千百三十五万三千円、計千八十四億千百十三万一千円でありまして、これを
昭和
三十八年度に比べますと百二十七億七千八百七十万三千円の
増加
となっております。このうち(項)
防衛本庁
において百二十二億五千二百五万九千円の
増加
、(項)
航空機購入費
において三千八百五十一万四千円の
増加
、(項)
施設整備費
において四億七千三百二十八万八千円の
増加
、(項)
施設整備等付帯事務費
において千四百八十四万二千円の
増加
となっております。 このほか
陸上自衛隊
に属する分として、
国庫債務負担行為
で(
事項
)
航空機購入
十三億四千八十八万円、(
事項
)
器材整備
二十二億五百六十万円、(
事項
)
弾薬購入
十三億六千三百十万円、計四十九億九百五十八万円を計上いたしております。
海上自衛隊
につきましては、
昭和
三十八年度及び
昭和
三十九年度
就役艦艇
の増及び
就役航空機
の
増等
に伴なう
要員確保
のため、
自衛官
千六百七十二人、
自衛官
以外の
職員
四百六十人、計二千百三十二人を増員することといたしておりまして、
昭和
三十九年度末における
海上自衛隊
の
職員定数
は、
自衛官
三万四千九百六十三人、
自衛官
以外の
職員
四千九百八十人、計三万九千九百四十三人となります。 次に、
昭和
三十九年度に増勢を計画している
艦船
といたしまして、
甲型警備艦
二千トン型一隻及び
甲II型警備艦
三千トン型一隻、
潜水艦
千六百トン型一隻、駆潜艇一隻、
掃海艇
二隻、
支援船
六隻、
合計
十二隻八千七百三十一トンの
増加
を予定しております。 これにより、
昭和
三十九年度末
保有艦艇
は、四百八十一隻、十五万千三百三十一トンとなる予定であります。また
航空機
の
増強
につきましては、前年度に引き続き対
潜哨戒機P
2V−7及び対
潜ヘリコプターHSS
−2等の生産を行なうとともに、新たに対
潜ヘリコプター
四機、
練習機
三機を
購入
することにしておりますので、これらにより
昭和
三十九年度末の
海上自衛隊
の
保有航空機数
は二百五十機となります。
海上自衛隊
の
運営
に必要な
経費
は、(項)
防衛本庁
四百十六億九千六十二万九千円、(項)
航空機購入費
三十九億六千六十万五千円、(項)
航空機騒音対策費
六千四百五十七万五千円、(項)
施設整備費
十六億四千百六十八万円、(項)
艦船建造費
二十億七百十六万円、(項)
昭和
三十五年度
甲型警備艦建造費
七億八千八万円、(項)
昭和
三十六年度
潜水艦建造費
十二億九百七十八万六千円、(項)
昭和
三十七年度
甲型警備艦建造費
十四億七千四百九十八万四千円、(項)
昭和
三十八年度
甲型警備艦建造費
十五億六百二十五万六千円、(項)
昭和
三十八年度
甲II型警備艦建造費
八億六千三百六十一万円、(項)
昭和
三十八年度
潜水艦建造費
七億八千七百十九万八千円、(項)
昭和
三十九年度
甲型警備艦建造費
五億四千百二十九万九千円、(項)
昭和
三十九年度
甲II型警備艦建造費
七億二千八百十八万三千円、(項)
昭和
三十九年度
潜水艦建造費
六億六千六百五十三万六千円、(項)
施設整備等付帯事務費
一億七千二百三十二万六千円、計五百八十億九千四百九十万七千円でありまして、これを
昭和
三十八年度に比べますと五十一億三千四百一万円の
増加
となっております。 このうち(項)
防衛本庁
において二十六億九千百五十八万円の
増加
、(項)
航空機購入費
において十六億九千二十三万四千円の
増加
、(項)
航空機騒音対策費
において六千四百五十七万五千円の
増加
、(項)
施設整備
において五億三百五十九万四千円の
減少
、(項)
艦船建造費
の
合計
において十一億五千二百七十九万二千円の
増加
、(項)
施設整備等付帯事務費
において三千八百四十二万三千円の
増加
となっております。 このほか
海上自衛隊
に属する分として、
国庫債務負担行為
で(
事項
)
航空機購入
十七億八百六十二万九千円、(
事項
)
器材整備
四十四億六千八百十二万七千円、(
事項
)
弾薬購入
八億五千六百七十七万七千円、(
事項
)
施設整備
一億千五百九十三万三千円、(
事項
)
艦船建造
十八億二千五百二十八万四千円、計八十九億七千四百七十五万円、また
継続費
の
昭和
四十年度以降の
年割り額
として、(項)
昭和
三十九年度
甲型警備艦建造費
、(項)
昭和
三十九年度
甲II型警備艦建造費
及び(項)
昭和
三十九年度
潜水艦建造費
で九十一億六千三百九十九万円を計上いたしております。
航空自衛隊
につきましては、
F1
04
J飛行隊
の
新編等
に要する
自衛官
四百九十六人を増員することになっておりますので、
昭和
三十九年度末の
航空自衛隊
の
職員定数
は
自衛官
三万九千五百五十三人、
自衛官
以外の
職員
五千三百五十六人、計四万四千九百九人となっております。 次に、
航空機
の
増強
につきましては、前年度に引き続き
F1
04
J戦闘機
を取得するとともに、
輸送機YS
11二機及び
救難ヘリコプターS
62二機の
購入
をはかりますので、
昭和
三十九年度末の
航空自衛隊
の
保有航空機
は
実用機
七百二十一機、
練習機
四百三十二機、計千百五十三機となります。
航空自衛隊
の
運営
に必要な
経費
は、(項)
防衛本庁
五百六十七億七百六十五万四千円、(項)
航空機購入費
二百六十五億四千四百七十六万四千円、(項)
航空機騒音対策費
十三億四千三百四十二万円、(項)
施設整備費
三十六億千五百七十九万三千円、(項)
施設整備等付帯事務費
四千八百二万六千円、計八百八十二億五千九百六十五万七千円でありまして、これを三十八年度に比べますと、七十七億五千六百四十五万九千円の
増加
となっております。 このうち(項)
防衛本庁
におきまして五十一億千八百六万二千円の
増加
、(項)
航空機購入費
において三十一億二千九百七十一万九千円の
増加
、(項)
航空機騒音対策費
において八億五千四百万六千円の
減少
、(項)
施設整備費
において三億六千二百十九万四千円の
増加
、(項)
施設整備等付帯事務費
において四十九万円の
増加
となっております。 このほか、
航空自衛隊
に属する分として、
国庫債務負担行為
で(
事項
)
航空機購入
十五億三千五百六十六万三千円、(
事項
)
器材整備
二百六十六億五千八百五十八万四千円、(
事項
)
弾薬購入
三億九千二百四十六万円、計二百八十五億八千六百七十万七千円を計上いたしております。
長官官房
及び
各局
、
統合幕僚会議
、
防衛研修所
、
防衛大学校
、
技術研究本部
、並びに
調達実施本部
の
職員定数
は、
自衛官
七十八人、
自衛官
以外の
職員
三千六十三人、計三千百四十一人でありまして
昭和
三十八年度に比べますと
自衛官
三人、
自衛官
以外の
職員
七十人、計七十三人の
増加
となっております。 次に、
長官官房
及び
各局
並びに
統合幕僚会議
に必要な
経費
は、(項)
防衛本庁
十二億三千三百九十八万六千円、(項)
施設整備費
千四百八十八万七千円、(項)
施設整備等付帯事務費
二十二万三千円、計十二億四千九百九万六千円でありまして、
昭和
三十八年度に比べますと(項)
防衛本庁
において一億二千六百五十六万四千円の
増加
、(項)
施設整備費
において五千七百十四万六千円の
減少
、(項)
施設整備等付帯事務費
において八十五万七千円の
減少
、計六千八百五十六万一千円の
増加
となっております。 また、
付属機関
すなわち、
防衛研修所
、
防衛大学校
、
技術研究本部
及び
調達実施本部
の
運営
に必要な
経費
は、(項)
防衛本庁
二十五億二百六十五万一千円、(項)
研究開発費
二十三億二千四百六十一万三千円、(項)
施設整備費
四億千九十九万二千円、(項)
施設整備等付帯事務費
六百八万五千円、計五十二億四千四百三十四万一千円で、ありまして、
昭和
三十八年度に比べますと、(項)
防衛本庁
において二億千六百八十八万五千円の
増加
、(項)
研究開発費
において一億六千五万七千円の
増加
、(項)
施設整備費
において千七百三十二万五千円の
減少
、(項)
施設整備等付帯事務費
において八十七万三千円の
減少
、計三億五千八百七十四万四千円の
増加
となっております。 以上の
経費
のほか、
技術研究本部
に
国庫債務負担行為
として(
事項
)
器材整備
八億三百九十三万七千円、(
事項
)
施設整備
八千百万円、計八億八千四百九十三万七千円を計上いたしております。 以上をもちまして、
防衛庁予算
の概略の
説明
を終わります。 次に、
昭和
三十九年度(
組織
)
防衛施設庁
の
歳出予算要求額
についてその
概要
を御
説明
いたします。
昭和
三十九年度の(
組織
)
防衛施設庁
の
歳出予算
の
要求総額
は、百三十三億九千九十六万円で、これを
昭和
三十八年度の
予算額
百十七億七千百七十六万八千円に比べますと十六億一千九百十九万二千円の
増額
となっております。 これを(項)別に見ますと、(項)
防衛施設庁
二十七億七千九百九十九万八千円、(項)
調達労務管理事務費
八億三千四百八十一万四千円、(項)
施設提供等諸費
九十七億七千六百十四万八千円であります。 なお、
昭和
三十八年度までありました(項)
国際連合軍等関係補償費
につきましては
昭和
三十九年度から(項)
施設提供等諸費
に統合して計上されております。 次に、各(項)別について御
説明
いたしますと、(項)
防衛施設庁
、この項より支出するものは
防衛施設庁
の
業務遂行
に必要な
人件費
及び
物件費
でありまして、この
要求額
は二十七億七千九百九十九万八千円であり、
昭和
三十八年度の二十八億三千九十万八千円と比較いたしますと、五千九十一万円の
減額
となっております。
増額
したおもなものは
人件費
の
給与ベース引き上げ
に伴うもの一億二千九十一万三千円、その他百五十六万円、計一億二千二百四十万三千円、
減額
したおもなものは庁舎新営費一億七千三百三十八万三千円でありまして
差し引き
五千九十一万円の
減額
となっております。 (項)
調達労務管理事務費
、この項より支出するものは、
駐留米軍
及び
歳出外資金
諸
機関
の使用する
労務者
の
労務管理
を処理するため必要な
経費
であります。 この
要求額
は八億三千四百八十一万四千円でありまして、これを
昭和
三十八年度の八億一千七百七十二万三千円と比較いたしますと、一千七百九万一千円の
増加
となっております。
増額
したものは
支給単価改定
に伴う
特別給付金
二千五百六十八万五千円、
人件費
の
引き上げ
に伴う八百十九万八千円、
労務者職業訓練委託費
四百六十三万二千円、その他二百五十七万七千円、計四千百九万二千円、
減額
したものは
労務者宿舎施設整備費
二千三百六万二千円、その他九十三万九千円、計二千四百万一千円でありまして、
差し引き
一千七百九万一千円の
増額
となっております。 (項)
施設提供等諸費
、この項より支出するものは
行政協定
及び
地位協定
による
在日合衆国軍隊
並びに
国連軍協定
による
国際連合軍隊
などに対する「
施設区域
」の
提供
に伴って
日本側
が負担する
経費
及び
駐留軍
、
国連軍
の
行為
に基づき生じた
損失
の
補償
などに要する
経費
であります。
要求額
は九十七億七千六百十四万八千円でありまして、これを
昭和
三十八年度の八十一億二千三百十三万七千円と比較しますと、十六億五千三百一万一千円の
増額
となっております。
増額
したものは、
提供施設借料
三億二億二百七十二万七千円、
不動産購入費
三億七千四万六千円、
施設提供関連事業費補助金
一億一千六百一万九千円、
教育施設等騒音防止対策事業費補助金
八億五千万円、
特別損失防止対策事業費補助金
八千九百八十五万四千円、その他七千百四十万五千円、計十八億五万一千円となっております。
減額
したものは
事故給付金
一億四千五百五十四万円、その他百五十万円、計一億四千七百四万円でありまして、
差し引き
十六億五千三百一万一千円の
増額
になっております。 以上が(
組織
)
防衛施設庁
として計上いたしております
経費
の
概要
であります。 何とぞ慎重御審議の上御賛成くださるようお願い申し上げます。
村山道雄
8
○
主査
(
村山道雄
君) これより
質疑
に入ります。
質疑
の通告がございますので、順次これを許します。
瀬谷
君。
瀬谷英行
9
○
瀬谷英行
君 ただいま御
説明
いただきました
予算
の
内容
、
総額
にして二千六百十二億、
職員
の
定数
二十七万という非常に膨大なものであります。これだけの国費を使うわけでありますから、むだがあってはならぬということはだれしも考えるところだろうと思います。ところが、この
自衛隊
を構成をしているところの
人間
の面について非常に気がかりなことがありますから、私はその点をただしたいと思うのでありますが、
けさ
の
新聞
によると、
ピストル
を
交番
で奪って
右翼
で働こうと思った、こういう
人間
が
陸上自衛隊館山教育隊
に
入隊
をする前日に
交番
でつかまった
記事
が載っておりました。これは実に驚くべきことだと思うのであります。
自衛隊
というのは、こういう少し
精神状態
がどうかしているのじゃないかと思われるような
人間
を
採用
をしようとしていたということがはっきりした。昨日の
ライシャワー大使襲撃
の犯人も十九歳の少年ということでありますけれども、気違いに刃物という言葉があるのですが、こういう狂った
人間
を、
採用
をするにあたっては相当慎重を期さなければならぬと思うのです。
自衛隊
は、
入隊志願者
が減ったために、多少頭のほうがおかしくてもかまわずに
採用
するようなことになっているのかどうか。こういう
心配
が一つ出てきましたから、その点について
長官
の御意見を承りたいと思います。
福田篤泰
10
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
けさ
も、私、朝刊で御指摘の
記事
を読みまして、実はほっとしたわけであります。私どもの従来の
自衛官
の
採用
につきましては、非常に
基準
は厳格に設けておりまして、大体四倍くらいの
応募者
がございますが、体格で大体三分の一落とし、その他いろいろな
調査
をしているわけであります。おそらく、まだ
調査
をいたしておりませんが、
思想
方面なり、あるいは偏執と申しますか、
異常者
と申しますか、そういう点についての何らかの手抜かりがあったかどうか、今後も一つの指針になる
資料
になりますので、慎重に検討させるよう指令いたしたわけであります。専門学的に申しますと、よく
潜在精神病者
が数百万いると言われておりますが、なかなか表面的にはおそらくはっきりと精神異常ということは看取できないのじゃないかと想像いたしております。私はさっそく部局に命じまして、しさいにの
データ
を集めて研究するように指令いたしたわけでございます。
—————————————
村山道雄
11
○
主査
(
村山道雄
君) ただいま
分科担当委員
の
異動
がございましたので報告いたします。
基政
七君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
村尾重雄
君が
選任
されました。
—————————————
瀬谷英行
12
○
瀬谷英行
君 ただいまの問題は、私は
自衛隊
の
採用方針
にも問題があるのじゃないか、こういう気がするのです。おそらく
身体検査
だけではなくて、
知能検査
のようなことだってやっているのじゃないかと思うのでありますが、
思想傾向等
を調べる場合に、
右翼
で働こうと考えているというような
人間
を
採用
する、好んで
採用
するというようなことがいままであったのですか。
福田篤泰
13
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 御承知のとおり、われわれの
採用方針
は、あくまで、現在の
日本
の基本的な
政治体制
である
民主主義
、そのもとにおける
自衛官
のあり方というのが
基準
でございまして、これは本人の申し立てだけで
新聞報道
でありますから、どういうことを言っているか明確でありませんが、当然
思想
的な点から、
右翼
に関係あるから、あるいはしたいからといって、
採用
の資格なしとはとうてい考えておらないわけであります。
瀬谷英行
14
○
瀬谷英行
君 もしこれが
交番
でもって
ピストル
を取ろうとしたという無鉄砲なことをやったから、たまたまつかまったわけでありますけれども、こういうことをやらなければ、二十五日に
館山
の
教育隊
に
入隊
しているわけであります、この
人間
は。それで
ピストル
を
交番
で取るよりも、
自衛隊
に
入隊
しているほうが、そのような凶器を入手するチャンスがまた大きくなってくるわけであります。今日
自衛隊
の隊員の中にもしもこのような
思想
の者が相当たくさんいるとすれば、
幾ら警備
を厳重にしてみても、
アメリカ大使館襲撃事件
のような事態を防ぐことはできなくなってしまう、こういうことを私は
心配
をするわけであります。したがって、きすうの
新聞
に出ておりました問題、一体どのような
採用試験
をやって、どういう経緯で
採用
にきまったのか。それから今日までの
採用
の選考の
方針等
について、具体的にこれは
資料
を提示してもらったほうがいいのじゃないかと思うのでありますが、この点について。
福田篤泰
15
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
自衛隊
に
入隊
することに内定しておったものが、その直前に
交番
を襲うこれ自体が
異常精神状態
。
自衛隊
に入れば当然武器は持てるわけでありますから、潜在的な
精神的異常者
じゃないかと推測いたしております。いま御質問の
採用
の
基準
でありますとかその他の
データ
については、
資料
をさっそくお届けいたしたいと思います。
瀬谷英行
16
○
瀬谷英行
君 この前の
予算委員会
で、
長官
のほうから御答弁にあったのでありますが、
自衛隊
としては仮想敵国というようなものは想定していないというふうな意味の御答弁がございました。仮想敵国というものを想定せずに教育訓練ができるものかどうか、今日仮想敵国ということを想定しないで、やはり教育訓練をやっておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
福田篤泰
17
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) これはしばしば政府側の見解としても国会でお答えしているとおりであります。本来の
自衛隊
といたしまして仮想敵国は設けてありません。あらゆる場合、あらゆる状況においての直接または間接の侵略に対する訓練を行なっている次第であります。
瀬谷英行
18
○
瀬谷英行
君 いまの御答弁は、もっともなように聞こえて、実際は私は納得できない。というのは、
自衛隊
というのは、これは名前は
自衛隊
だけれども、社会通念的には軍隊と見なされておる。かつての帝国陸海軍以上の装備、火力を備えている、こう思います。その教育訓練を行なう場合に、仮想敵国あるいは国まで言わなくても仮想敵を想定しないで、どういう教育訓練ができるのかという疑問が出てきます。私自身自分の体験を振り返ってみると、幹部候補生の教育を受けました。見習い士官になっても教育を受けました。どういうかげんか、いまでもわからないのでありますけれども、
昭和
十七年から十八年に至るまで、お前らの仮想敵国はソビエト軍である。だから、赤軍の野外教令といったようなものを一つの教科書として、そうして教育訓練をやらなければいかぬ、こういうことを言われてきたわけです。したがって、日常の訓練というものは、赤軍はこういう編成装備で、こういう戦闘方法でくるから、われわれの訓練もこうこうでなければならぬ、こういう形になっていたわけです。
昭和
十九年になってようやく戦争がおかしくなってきて、初めてア号作戦といってアメリカ軍相手の戦法に教育が切りかえられたのです。実にいまもって私はこれは不思議だと思っているのであります。このようにして相手の国の軍隊、敵になるものが何であるかということを想定しないで、教育訓練はできっこないと思う。射的かなんか相手にして鉄砲撃つ訓練をやるというなら別でありますけれども、いやしくも
組織
的に訓練を行なうという場合には、どういうものを相手にするということをはっきりと想定をしてかからないという方法はない。そういう想定がないとすれば、私は演習も何もできない、こういう気がするのでありますが、専門的な見地でどうでしょうか。
福田篤泰
19
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 現在の
自衛隊
がきびしい憲法その他の制約下にあることは、もう御承知のとおりであります。したがって、自衛権の裏づけというはっきりした限界がございます。したがいまして、旧来いわゆる戦前におけるような明確なある敵国を想定して、具体的にそれに対する訓練を行なうということは行なっておらないのであります。なお、教育訓練につきましての具体的なことにつきましては、
政府委員
から答弁させます。
堀田政孝
20
○
政府委員
(堀田政孝君) ただいま大臣からお答えを申し上げましたとおり、仮想敵国というものはあるいは仮想敵というようなものは全然指示をいたしておりません。
瀬谷英行
21
○
瀬谷英行
君 そういう指示をしていないということであれば、先般問題になりました防衛力
整備
に関する基本的見解といったようなものについて、また私は疑問が出てくるわけです。これは明らかに現状の分析をやっているわけです。そうして、どういう場合が起こり得るかということを考える。これはしごく具体的に中共なりあるいはソヴェト軍の情勢分析を行なっているわけでありますから、こういう分析を行なっている以上は、教育訓練もそれに基づいて行なわれるというふうに考えるのは常識じゃないのでしょうか。ほんとうに現在の
自衛隊
の教育訓練にはばくとした姿形がわからぬような敵を想定をして、演習をやっているのだということになるのですか。
堀田政孝
22
○
政府委員
(堀田政孝君) すでに
瀬谷
委員
も御承知と思いますが、
防衛庁
の中央で指示をいたします教育の大綱は、方針はこういうことである、そうして科目についてはこういう科目をやる、時間数はこれくらいを配当せよという
基準
を指示するわけでございまして、そのときに仮想敵あるいは仮想敵国をこういうふうにきめてやれというような指示はいたしておらないのであります。
瀬谷英行
23
○
瀬谷英行
君 仮想敵、仮想敵国をこういうふうにきめてというふうに指示をしていないということでありますけれども、現実の幹部教育の面においては、
日本
の置かれている立場がどうであって、どういう場合があり得るということを話題にのせなければ何もできないわけだ。そういう子供だましのことを言ってみたところで、少し軍事的な面で研究をした者あるいは体験を持っている者にとっては通用しないと思うのですよ。しかし、国会答弁用の言葉としてそういうことをおっしゃるのならば押し問答してみても水かけ論になるからそれ以上のことを言っても始まらないと思いますが、それならば私は先般やはり
委員会
で御答弁がありましたけれども、例の、問題になりました防衛力
整備
に関する基本的見解の件でありますが、これは事実だったと、にせものじゃなかったということがはっきりしたわけです。事実だったとすると、やはりこれも
自衛隊
幹部の
思想
問題について相当私は掘り下げてみなきゃならぬ問題がある。昔の軍隊は、軍人は政治に関与すべからずというたてまえをとっておりました。ですから、軍隊は自分の任務だけに専念するということになっていたわけです。ところが今日の
自衛隊
は
選挙
のときには投票もするし、
自衛隊
を背景にして全国区の議員の方も出る、こういう状況なんですから、だいぶ昔とは様子が違うわけです。昔は軍人は型にはめられておった。いまの
自衛隊
はそういう型にはめられていないわけです。それならば、なおさら社会人としての教養を十分に身につけていないと危険なことになりはしないかという懸念が出てくるわけです。この社会人としての教養を
自衛隊
の幹部が十分に身につけているかどうか。身につけるような指導方針をとっているのかどうか。その点が国民としては非常に
心配
なところであります。こういう一個の良識ある社会人としての教育を施しているのかどうか、
思想
教育等についてはどのように行なっておるのか、行なうつもりであるのか。それらについて見解を承りたいのであります。
福田篤泰
24
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
自衛官
が
入隊
をする場合に、これも御存じと思いますが、政治に関与しないということを宣誓いたしております。なお、また教育につきましても、私どもは
自衛隊
法の五十二条の服務の本旨というものがございます。これはあくまで基本原則とし、また
内容
的には、
自衛官
の心がまえ、各
自衛官
に配付いたしました小冊子によりまして
内容
を教えております。したがいまして、御指摘の社会人としての円満な人格と申しますか、常識を備えた、社会人一個としても教養をもった個人であることが大きな眼目でございます。私どもとしましては、技術訓練その他と相並んで社会人としての訓練も十分行なっております。
瀬谷英行
25
○
瀬谷英行
君 社会人としての教育訓練を十分に行なっているとすれば、社会問題に対する認識も相当深くなければならぬと思うのです。ですが、社会問題に対する認識がはたしてどの程度まであるかというと、相当問題がありはせぬかという気がいたします。たとえばこれも先ほどの例の文書に触れるわけでありますけれども、「現在既に我我は、国民に対し
組織
的に指向された心理戦の渦中にあると考える。」、一般論としてはこの程度はともかくとして、これから「デモ、ストライキ、騒じょう等は今後とも絶えないであろう。」、基地問題や労働問題を取り上げて、この心理戦の過程においていろいろなことが出てくるのじゃないだろうか、こういう見方が行なわれております。この場合に、デモとかストライキとかいうものがどういうものであるか、どういう動機でもって行なわれて、どういうことを主張しようとしているのかということが、はたして正確に把握をされているかどうかということが問題です。単なるデモというのは外国の勢力にそそのかされてことさらに事をかまえるためにやっているのだといったような、ごく単純な片寄った見解を示しているとすれば、事は重大であろうと思います。しかし、これらの文書にあらわれた点によると、そういう懸念が多分にあるわけです。一体
自衛隊
の幹部が、春闘であるとかあるいはストライキであるとか、デモであるとか、これらの動機とか原因とか背景について、正確な知識を持っているのかどうか、持てるような正しい教育が行なわれているのかどうか、以上の点について大臣の見解を承りたいと思います。
福田篤泰
26
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) しばしば御引用になりますいわゆる基本的見解につきましては、これはもう本院におきましてもお答えしましたとおり、あくまで一幕僚の私見であることがはっきりいたしたわけであります。しかし、たとえ一私見にしましても、そういうものが成規の手続を経て配付された、あるいはまた
内容
的に見ましても、きわめて行き過ぎな点もある、これは私どもは率直に認めざるを得ないと思うのであります。したがいまして、一幕僚の私見を
基準
として、いまの
自衛隊
の教育について、特に労働問題を中心としたような問題について、偏向的な教育が行なわれると断定することはいささか酷であろうと思います。私どももこれからも十分いま御指摘の点につきましては、その背後にある労働問題の正しい認識、いわば社会人として持つ常識と申しますか、そういう意味で、今後も教育を十分いたしたいと考えております。
瀬谷英行
27
○
瀬谷英行
君 私はこの文書だけでもって
自衛隊
の
思想
というものを断定して言っているわけじゃないのです。私が問題としたいのは、たまたまこの文書では「デモ、ストライキ、騒じょう等は今後とも絶えないであろう。」というふうに書いているけれども、こういう労働問題等についての正しい認識が行なわれるような教育がいま
自衛隊
の中で行なわれているかどうかということを懸念したわけなんです。この文書が単にたまたまあらわれてまいりましたから、私は取り上げたまでのことであります。先ほどから申し上げたいのは、昔は軍人は政治に関与すべからずということになっておった、今日は昔と違って
選挙
の際には投票するのでしょう。集団でもって
自衛隊
が投票するということは
選挙
の際にはよく
新聞
等の写真にもあらわれております。投票するということは、
自衛隊
は政治には関与しないことになっているとはいえ、投票するということは政治に対して関心を持たずに投票はできませんよ、これは。各党各派の主義主張なり政策といったようなものを全然理解しないで、
選挙
のときに投票権を行使するなんてことはあり得ないでしょう。そうなれば、いやおうなしに一個の社会人としてりっぱな教養を備えておらなければならぬ。兵隊ごっこのまねごとだけして月給をもらっておるいい身分だと、こういうふうに思われては困る。だからその点でも、教育なり指導というものが、ほかのところと違って、
自衛隊
というのは、ちょっと一般の社会と隔絶されておって、われわれにはわからないようになっている。そこに
心配
があるということなんだ。だから私はもしも民主的な教養のある
人間
を作ると、こういう考えがあるなら、おかしな秘密のベ−ルでもって
自衛隊
の教育方針というものを閉ざしてしまうということは危険であると、こう思うわけなんです。 国防省昇格といったようなことがいろいろと論議をされておるようでありますけれども、国防省に昇格させるという意見というものは、どういう根拠に基づいているのか。また、そういう機運があるのかどうか。昇格をすることによってどんな変化があるのか、どんな利益があるのか。それともそれらの問題は問題にはならないという段階にあるのか。いずれなのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
福田篤泰
28
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 国防省の昇格の問題につきましては、昨年の六月にわが党の総務会におきまして正式に党議として決定いたしました。来たるべき通常国会の劈頭に昇格の法案を
提出
すべく決定したわけであります。当然政党政治のたてまえから申しまして、政府はこれを尊重する義務がございます。目下、外局の官房を中心にいたしまして、逐条的にこまかい点煮詰めまして、近く成案を得次第早く国会に提案いたしたいと考えておるわけであります。そこで、国防省に昇格する根拠なり利害と申しますか、利益と申しますか、意味合いにつきましての御質問でございますが、私どもの考え方を申しますと、今回のような、先ほど御質問にもありましたような二千六百十二億というような膨大な
予算
を持ち、さらに二十七万という陸海空の
自衛官
を擁して、非常に質的に申しましても、充実した防衛力、自衛力を持った形に相なっております。防衛省というものは、従来の、いま現在のような総理府の外局から離れまして、独立な省としての性格を与えられますと、多くの利点を今から考えられるわけであります。その第一は、まず総理府の外局から離れて独立の省にすることによりまして、専任大臣が明確な責任と義務を与えられる。またいままでは常に総理府を通じての事務でございますので非常に煩瑣だ。時間的にもむだが多かったのでありますが、独立の省になりますれば、当然独立して防衛行政が非常に効率化されるということも容易に考えられるわけであります。またさらに、
自衛官
の士気の高揚にも当然役立ちますし、また国民の各位に対する国防に対する正しい認識というものもさらに深められる、あらゆる観点から、私は国防省に昇格するのが適切であるということを考えている次第であります。
瀬谷英行
29
○
瀬谷英行
君 国防省に昇格をしたい、させたいという気持があるということを、いま
防衛庁
長官
からお伺いしたわけなんでありますけれども、やはりこの役所というのは、でき上がるというと、なるべく権限をふやす、
予算
をふやしたいという気持になる性格のものであります。しかし、ほかの役所と違って、
防衛庁
というのはちょっと、一般の民生の安定とか産業に寄与するとかいう面が、ほかの役所とは性格が違っております。
予算
をたくさん使って、
人間
をたくさん擁している割りには、一般の国民の生活とは直接あまりかかわりがないわけです。もっと卑近なことを申し上げれば、
日本
の漁船が公海の上でかってに韓国側によって拿捕されても、
日本
の
自衛隊
というものは知らぬ顔をしていると、こういう存在だったわけです。相手の国がアメリカのひもつきであれば、何をされても何にもできないという無能な存在だったわけですね、今日まで。無能な存在とあえて言われても弁解はできないと思うのです。漁船が何千隻も捕えられ、乗り組み員が連れて行かれた、こういう事実ははっきりしているのです。そうすると、
自衛隊
が相手にしようと思っている国々というものは、どこかということがはっきりしてくるわけですね。まさか南米の向こうのほうの地球の反対側の国々が攻めてくるということを想定しているわけじゃないでしょう。ソビエトなり北朝鮮なり中共なりという国が、いわば仮想敵のようなかっこうになっているんだということは想像がつくわけです。国会の答弁ではっきり言わないだけの話です。こうなってくると、私は、
自衛隊
そのものが国防省に昇格をして、
予算
なり権限なりというものをさらに強化をするということのねらいは、極東の平和に必ずしも私は寄与するというふうには考えられないわけでありますが、これらの点について、あえて大臣と論争してみても、これは平行線をたどることになると思いますから、私は省略します。しかし、先ほども申し上げましたけれども、昔のように、与えられた装備あるいは機構の中で、訓練に専念をするというだけのいわば軍隊であるならば、これはもう話は別でありますが、いまは
選挙
権を持たしているわけでしょう。昔の軍隊のように一切
選挙
権、被
選挙
権というものは認めない、こういうふうにしてしまうつもりがあるのかないのか。もしないとするならば、やはり軍隊とは違った環境に置いて、
思想
的にも自由を保障しなければならぬと思うのです。
思想
的に自由を保障するということは、自民党のみならず、社会党であろうとどの党であろうとも、それぞれの政党の主義、主張というものを自由に研究し、そしゃくをし、そして自分のものにするだけの自由というものは保障されなければならぬと思う。一方的な、片寄った
思想
教育というものはなすべきではないと思うのでありますが、その点について、
思想
上の自由というものが十分に保障される気持ちがあるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
福田篤泰
30
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
自衛官
の投票の問題が出ましたが、これはもう当然憲法によって与えられた
選挙
権の行使でございます。これにつきまして各隊員が自由の立場で自由投票をすることも、これまた当然でございます。
自衛隊
に対し、また
自衛官
に対しまして、偏向した
思想
教育ということは、これは一切行なっておらないのであります。今後もいたさないつもりでございます。ただ、
自衛官
といたしましては、
自衛隊
に対し理解を持ち、またこれを鞭撻する者に投票する、これはもう自由でございます。各
自衛官
自体の判断でやることでございます。私どもとしては教育の自由、
思想
の自由、これはやはり根本的な大きな問題でございますので、従来どおりの方針を堅持するつもりでございます。
瀬谷英行
31
○
瀬谷英行
君 時間的な制約がございますから、あまり一人で長いこと時間をとっては、ほかの方に御迷惑をかけますので、打ち切りたいと思いますが、念を押しておきたいと思いますことは、国防省昇格といったようなことを公言をされ、さらに軍隊的性格を明らかにして
自衛隊
を機密のベールの中に包み込んでしまって、その中で何が行なわれているか、どういう教育が行なわれているか、国民にはわからぬというふうな存在にしてはならぬと思うのですが、機密の強化であるとか、あるいはそういった国防省昇格と同時に、そんなようなことを考えている向きはないのかどうか、これは参考のためにお伺いしたいと思います。
福田篤泰
32
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 保持すべき機密は当然
自衛隊
としてあるわけでございますが、原則としてこれはどなたにも参加あるいは見学も許しておりますし、また昔の軍隊と違いまして、
自衛官
といたしましては、やめたければやめるというような、きわめて志願兵的な自由な
組織
にも相なっております。御指摘のように、今後もガラス張りと申しますか、
思想
、ことに教育方面につきましては、どなたでも了解し、また見得る明朗な雰囲気で行なっていきたいと思います。
瀬谷英行
33
○
瀬谷英行
君 政治
思想
教育等についても一方的に片寄った教育等は行なわない、あくまでもそれらの政治
思想
の面でも自由を保障するということはやはり約束をされますか。
福田篤泰
34
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 固くお約束いたします。
岩間正男
35
○
岩間正男
君 ちょっと関連して。二点だけお聞きしたいのですが、
防衛庁
長官
は、さっきの
瀬谷
委員
の質問と関連する問題ですが、現在の労働運動でのデモ、ストライキ、こういうものを、これは冷戦の対象と見るのかどうか。もう一つはこれと関連して、現在基地反対の闘争が起こっております。
F1
05の移転に反対する横田基地の闘争とか、あるいは横須賀、佐世保に対する原子力
潜水艦
の寄港反対の闘争であるとか、それから現に日韓会談反対の闘争が起きております。それから日中国交回復を即時妥結するように、促進するようにというような要求の闘争も巷間に起こっております。こういう問題は冷戦の対象にするのかどうかということを一点。 次には、政治教育の問題と関連するのですが、
自衛隊
の隊員が投票しますね。投票するときの開票の状況ですが、これは
自衛隊
として開票しますか。それから一般にこれは別なところに行って全部まぜて、そうしてその中で開票しますか。
自衛隊
内部だけで単独で開票するというような事態をとっておりますか。この点はっきりさしてもらいたい。それから、それは秘密投票の権利というものを確保する一体保障をしているのか。これは先ほどあくまで政治
思想
の自由は確保するという答弁でありますから、当然これは
選挙
権の行使についても、そのような自由というものは保障されなければならぬ。これはどうなっておりますか。この二点についてお伺いします。
福田篤泰
36
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 冷戦ということばでありますが、これは非常に複雑なむずかしい問題であると思います。常識的に言われております、いわば兵力をあるいは戦火を交えない
思想
戦、心理戦というような意味もあるようでありますが、私どもとしましては、これは一つの間接的な研究課題ではありましょうが、直接冷戦に対する
自衛隊
の任務というものはないわけであります。 なお、第二の点である
自衛官
投票の問題でありますが、これはもちろん
自衛官
個人として自由に指定されました投票所において投票しておるのでありまして、部隊でまとめてやる、あるいは何か強制的、ないしは押しつけ的な投票は一切しておりません。
村山道雄
37
○
主査
(
村山道雄
君)
下村
君。
下村定
38
○
下村定
君 私は、昨年、一昨年の
予算委員会
の総括質問、一般質問の段階におきまして、防衛について総理大臣外関係諸大臣に対して質問いたしました。また若干の要望をも述べておいたのであります。ことしはその機会を得ませんので、本
分科会
の席上におきまして、比較的こまかい問題について御質問を申し上げます。一々お名ざしはいたしませんから、その質問の性質によりまして、
長官
御自身、あるいは関係
政府委員
の方から御答弁を願いたいと思います。 まず、兵器の国産化と申しますことは、これはもういまの段階では、持っておる兵器が非常に衰損をして、また旧式になっておるという点から申しましても、またアメリカの援助が
減少
をするという点から申しましても、私は差し迫った課題になっておると思うのであります。これに対しましても、前年、私は総括質問の席で質問をいたしまして、総理大臣それから歴代の通産大臣、
防衛庁
長官
から比較的御理解のある答弁をいただいておるのであります。つきましては、昨年から本年にかけまして、また来たるべき年度におきまして、これについてどういう推進的な御構想があるか、それをひとつ伺いたいと思うのであります。
福田篤泰
39
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 最近、アメリカの軍事援助削減の方向も決定されておりますし、またわが国としましても、主要装備については、
日本
の経済力あるいは技術力、この許す範囲で最大限に国産化をはかりたいという方針はかたく考えて維持しておるわけであります。御案内のとおり、第二次防衛計画におきましても、主要装備の総
経費
大体四千億でありますが、そのうちの三千億は国産でまかなうという建前をとっております。陸海空三
自衛隊
につきまして、
日本
で生産し得るもの、装備し得るものは最大限に国産化の方向を今後も強化してまいりたいと考えておるわけであります。全工業生産額に対しまして、
日本
の防衛産業生産額わずか〇・六%ぐらい、低い率でございますが、
航空機
とか
艦船
などは非常に重い率を占めております。量として少なくても、質的にはいわゆる平和産業なり民間産業なりに大きな寄与をいたしておりますので、これからも、アメリカのいわゆる無償援助削減に並行いたしまして、自主的な要素を強めて、国産化を今後も強くはかっていきたい。それにはやはり計画化も必要でございますし、さらにまた税制面あるいは融資の面、あるいは研究費補助、あらゆる点で計画性をもう少し持たせる必要があるのではないか。こういう点は各部局に命じまして、この面も総合的、計画的に強化してまいりたいと考えております。
下村定
40
○
下村定
君 それに関連するのでございますが、新しい兵器、そのほか新しい
施設
、設備につきましては、一般に関心が深く、また財務当局におきましても、そういうものの点については比較的理解がいいように思うのでございます。比較的目に見えないじみな、たとえて申しますと、小銃とか
機関
銃ないしは戦車、それからことに
弾薬
、燃料、これにつきましては、あまり目立たぬものですから、ついそのほうにしわが寄って、
整備
をおろそかにするという感じがあると思うのでございますが、そういう点につきまして、ひとつ御配慮の状況を伺いたい。 それから、現在は申すまでもなく、全部民間の会社にそれを委託するわけでございますが、その会社の利益率と申しますか、そういうものをどういう程度にお考えになっておりますか。これは種類によって違うと思いますが、概念をひとつお与えいただきたいと思います。
福田篤泰
41
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
防衛庁
なり
自衛隊
といたしましては、在来兵器による局地戦というのが大体の想定の目標でございます。したがいまして、在来兵器の、いまおあげになりました戦車、小銃その他の在来兵器の改善なり、あるいは古いものを直していく、あるいは減耗を補充することは、やはり重大な大きな問題でございます。各種別によりますこまかい点につきましては、
政府委員
から答弁させます。
下村定
42
○
下村定
君 次は、人事行政、人員関係のことについて伺いたいと思います。人事行政の中には、いろいろ問題があり、御苦心になっていることは私も十分承知いたしておりますが、定年制の問題でございます。このたび曹の階級における定年は延ばされましたが、一番上のほうの、最上級の人の定年が五十八歳になっております。それから中堅層、一番役に立つあぶらの乗ったところの、昔のことばでいえば佐官級、これの定年も非常に現状に合わないと思う。昔のことを申しましてはなはだ恐縮でございますが、私どもが現役の時代でも、将官は六十五歳までであった。いわんやその下の階級の人も、それ相応に働けるだけの年限は働けたわけです。ところが国民の体位が非常に向上しておりますにかかわらず、昔よりも定年が低いということは、どうも私は不合理のように考えます。ことに中堅層の方は、いまの定年でございますと、退職にあたりまして、年金ももらえないという不安な状態に置かれている。これまた非常に気の毒だと思います。定年の問題は、もとよりほかの人事関係のことと非常に連係がございますから、これだけを取り上げて変えるということはできぬことは万々承知しておりますが、これらの調整につきまして、何かお考えがありましたら伺いたい。
福田篤泰
43
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 御指摘の点は全く同感でございます。ようやく曹の階級につきまして、定年の延長ができまして、一つの欠陥は補ったわけでありますが、今後の問題として、やはり定年につきましては、これは一般の民間の職業、職域に対する比較も重要ではございますが、ぜひとも検討いたしたい。各幕につきましてもいろいろ強い要望がございまして、いま検討中でございます。 なお、これに関連して、先般欧米の各国を視察してまいりましたものの報告によりますと、ドイツあたりでは、御案内のとおり軍人と警官だけは、恩給も文官の五割ないし倍ぐらい支給して、老後を保障しているというようなことも
採用
しておるのでありますが、各国の例もよく研究いたしまして、各幕の強い要望もございますので、現実に即した改善を今後つとめたいと考えております。
下村定
44
○
下村定
君 次は、もと陸海軍におりました軍人軍属で、
自衛隊
の幹部になっている人が相当多数あるのでございますが、その人が、
昭和
二十八年八月一日を限界にしまして、その前に入った人は、旧陸海軍におったときの在職年限が通算をされて、退職金その他の恩典に浴する。
昭和
二十八年八月一日以後の者は、前のほうは通算されないということになっている。これはひとり
自衛官
だけではございません。ほかの公務員にもあるわけでございますが、
自衛隊
は、成立の当初のいきさつから考えまして、その数が非常に多いと思う。私の承っているところによりますと、大佐クラスの退職金は、いまの各
採用
された年限の差によって、百万円あるいはそれ以上の差があるということでございます。これは全般から申しますれば、小さい問題でございますけれども、不合理、不均衡という点についてははっきりしております。これについて何か
防衛庁
のほうでお考えがありますか。当局の方からお答え願いたい。
福田篤泰
45
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) いま御質問の、
昭和
二十八年の八月一日以降の問題ですが、御措摘のとおり、非常な不均衡があり不公平であることは、そのとおりでございます。残念ながら、ただいまの国家公務員等退職手当法によりますと、この矛盾が生まれてくるわけでありまして、昨年来実はこの点につきまして——
防衛庁
だけでも該当者が八千人をこしております。したがいまして、大きな問題でありますので、昨年来研究
調査
を進めまして、ようやく最近
調査
が完了いたしまして、総理府を中心に各省と折衝を実は近く早急に始めて、この解決をぜひやりたいということでございます。
下村定
46
○
下村定
君 次は、人員の充足の問題でございますが、本年度の
予算
を見ますというと、募集に要する
経費
は前年度と同額になっておりますが、もっともその募集広報のほうの金はふえておりますが、しかし、実際を見ますというと、この募集については、いろいろ物質的な面でも
整備
を要する点があるように思う。この
予算
と実際との関係はどういうことでございますか。
小幡久男
47
○
政府委員
(
小幡
久男君) ただいま御指摘のように、成立
予算
は昨年度と同額でございますが、今年度は、募集の員数は昨度年より約五百名少なくなっておりますので、相対的には
予算
が増になるわけでございます。その
予算
を何に使うかと申しますと、これは募集旅費に使いたいと思っておりますが、これは現地の地連の
職員
がいろいろこまめに管内を動き回りまして、村の果てまでずっと回っておるわけでございます。こういう零細な旅費の積み上げが、相当の要請になってあるものでありますから、このほうにその旅費を充当したいと、かように考えております。
下村定
48
○
下村定
君 次は、一般隊員の中で二年間の任期を待たずして退職する人が相当あるように聞いておる。その数はどういうものでございましょうか。また、それが近年ふえておりますか、減っておりますか。
小幡久男
49
○
政府委員
(
小幡
久男君) ただいま御指摘の、新隊員で
入隊
いたしまして早期に離職していく者の数は、昨年度三十七年度に入りました者は、相当、入りましてから除隊いたしました。この率は、二五、六%に一時達したことがございます。その後、鋭意募集方法の改善、それから新隊員
教育隊
のほうの受け入れ体制をいろいろとくふういたしまして、募集あるいは教育、人事
管理
にくふうを重ねました結果、ようやく最近この離隊率が減りまして、ごく最近では、少しよすぎるのでございますが、一五%程度に落ちついておりますが、これは少しよすぎるので、もう少し成り行きを見て、できたらこの数字を落とさぬようにがんばりたいと思います。
下村定
50
○
下村定
君 ちょっと先ほどの質問に戻りますが、
昭和
二十八年八月一日以後に
採用
された旧陸海軍の軍人軍属、この大体の数はおわかりになっておりましょうか。
小幡久男
51
○
政府委員
(
小幡
久男君) 八千三百十一名でございます。
下村定
52
○
下村定
君 これは私、確かなことは知らないのでございますが、一両年前に、
防衛庁
当局とそれから産業関係の大会社の方と協議をされまして、
自衛隊
員の民間の企業に対する雇用関係ということについて、御相談があったように聞いておるのでございますが、その模様、結果はどういうふうでございますか。また、その後どうなっておりますか。簡単にお答えを願いたい。
福田篤泰
53
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 最近は大企業におきまして
自衛隊
をやめた
職員
の
採用
を相当行なっております。最近の一つの例はトヨタでも約六百名御
採用
を願ったわけでございます。いろいろな各職場の様子を聞きますと、非常に成績もよくて、規律を守り、義務観念が強い。経営者から見て、非常にりっぱな
労務者
として、また作業員として能率を上げておる、非常にいい結果が出ておる。これを何とかしていま
組織
的に各業界とも連絡をつけて、協力会なぞも中に入っていただきまして、
自衛隊
を出た方の再就職の円満な見通しを与えることがやはり
自衛隊
の、
自衛官
の士気にも非常に影響する。今後も
組織
的に拡大してまいりたいと考えております。
下村定
54
○
下村定
君
自衛隊
内の医官、お医者さん、これの不足については非常にお悩みになっていることは、私よく承知しておりますが、昨年、当
委員会
でお答えをいただいたところによりますと、陸上部隊では、
自衛隊
のおります土地の中で、
自衛隊
の医官が全くいないというところが四十三カ所ある。それから、海上の船は、定員が十五名であるにかかわらず三名しかいないということを伺ったのでございますが、その後、この充足はいかがになっておりますか。また、これはどうしても非常にむずかしい問題だと思うのですが、これに対する施策等につきましても御意見を伺いたいと思います。
軽部彌生一
55
○
政府委員
(
軽部彌生
一君) ただいまお話しの件でございますが、正直に申しまして、残念ながら大幅に改善されたと申し上げることできません。
陸上自衛隊
におきましては、昨年と全く変わりございませんで、医官の配置のない部隊が依然四十三カ所という状態が続いております。
海上自衛隊
におきましては、艦艇に配置いたします医官の定員十五名に対しまして、現員が三名であるというところが、本年は五名までふやすことがききました。それから
航空自衛隊
につきましては、医官の配置のない部隊の数を一カ所減らすことができまして、本年は三カ所ということに相なりました。 数字的に申し上げますと、このようなことでございまして、まことに残念に存じておる次第でございます。このような状態になりますのは、医官の絶対数がなかなかふえてまいらないというところにあるのでございますが、医官の充足につきまして、この過去五年ぐらいの間に三五%から、本年が四九・七%と、たいへんこまかい数字を申し上げますが、約五〇%といたしまして一五%回復したというような状態でございまして、その充足率の向上という点がなかなかはかばかしくまいっていないのが現状でございます。昨年から本年にかけましては、わずかに二%弱、一・七%充足率が上がっているというのが実情でございます。これにはいろいろ問題がございまして、根本的には
日本
の全体の人口に対する医師の養成数が、必ずしも従来、マッチしてふえておりませんというところに一つ根本的な問題がございまして、需給関係が非常に苦しい。そこで
自衛隊
の医官を志願する者もなかなかふえてまいらないということも根本的にあろうかと思います。もう一つは、私どものほうの
自衛官
の待遇の問題でございまして、これが一般職公務員法によります医療職に相当します医師との待遇上の格差と申しますか、比較的な立場で若干従前よりも下がってまいってきたのが実情でございます。それで、この点につきまして、本年は大蔵当局と折衝いたしまして、若干の改善をすることができまして、結果的に申し上げますと、一般職公務員の医療職よりも本年度からは上回る状態まで改善することができまして、私ども、ただいまこの点をPRにつとめまして、この効果がなるべくすみやかに出てまいりまして、充足率が向上してまいることを実は期待いたしておるわけでございます。 同じく対策の一つといたしまして、昨年御指摘がございました
自衛隊
内部における研究、研修のあり方の問題、こういう点にもやはり不足しているんじゃないかという御指摘があったのでございますが、ちょうど昨年の夏から、部内に教育
調査
会が設置されまして、その中で
自衛隊
医官が、部外の医師と同等あるいはそれ以上の専門的な識能を身につける機会ができますように、いまいろいろ検討いたしまして工夫いたしまして、近く成案を得まして、それに従いまして逐次実施に移し得る状態でございますので、処遇の改善とあわせまして近く一なかなかこれは時間のかかる問題ではございますが、まず後輩を指導できます幹部のあたりから要員を充足いたしてまいりまして、逐次この充足率の向上につとめたい、かように考えておる次第でございます。
下村定
56
○
下村定
君 いまのお話でよくわかりましたが、これはもう単に俸給を上げるとか、それから停年を少し延ばすとかいう問題ではなくて、根本的に中央にしっかりした設備があって、そこで十分に研究もできる、また、一般の診療も受け付けて臨床方面もできる、さらに、
自衛隊
以外の研究
機関
、大学等との関係もありまして、その人たちが将来長くお医者さんとして働くことができるというふうに仕向けないといかぬと思うんです。もう足らぬものばっかりでございますから、そればかりを抜き出して早くということは無理でございますけれども、この上とも御努力願いたいと思います。 それから次に、体育学校というものが二、三年前にできまして動いておるわけでございますが、私ども実はその
内容
につきまして何にも存じません。それで、ひとつこの席で簡単に学校の編制、教育の方針、教育課程の
概要
、
予算
というものについて、御
説明
を願いたいと思います。
福田篤泰
57
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 体育学校は、
昭和
三十六年の八月十七日に発足いたしまして、朝霞町に設けられております。その趣旨とするところは、陸海空三
自衛隊
の体育の指導者を養成するということが目的でございまして、校長以下八十名でありまして、本年度の
経費
予算
六百五十万円でございます。
下村定
58
○
下村定
君 これはもっぱら隊員の教育だけでございますか。あるいは、オリンピック等に関係しまして、部外の人の訓練もやっておるのでございますか。
福田篤泰
59
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 先ほど申すとおり、陸海空三
自衛隊
に通ずる体育指導者養成が目的でございます。たまたまその中に優秀な者が入校して、それがオリンピックの国際競技に出場し得る者があれば、それに沿って訓練いたしているわけでございます。
下村定
60
○
下村定
君 次は広報費の問題でございます。広報費は、本年度、前年に比べまして二七%ほど
増額
になっていると承知いたしておりますが、つきましては、その
増額
に関連して、何か新しい構想が立てられておりましょうか。あるいは、従来やっておられることの中で、ことしはこれを重点にするというようなお考えがありましょうか、これをお答え願いたいと思うのです。
三輪良雄
61
○
政府委員
(三輪良雄君)
予算
は、昨年に比較しましてふえましたのは二千六百万円でございます。ふえたところだけ申しますと、このうち、昨年より比較いたしまして、映画の製作は五百万円、ラジオ、テレビに五百万円、それからパンフレット、リーフレット等の印刷費に約五百万円、それから部隊見学あるいは体験
入隊
等いたします方方に、隊内食を支給いたします。もっともこれは、歳入にも一方見合いで入るわけでございますけれども、このほうのふえましたのが約一千万円でございます。そういうことで今年ふえましたもので、特に昨年やっておりませんことを計画するということではございませんが、一般的に映画、テレビ、ラジオというふうなものが非常に国民に広く訴える力がございますので、そういう点にいま申したような
増額
を振り向けまして、大体年に劇映画一本、ことしで申しますと「きょうもわれ大空にあり」というような劇映画、あるいは
自衛隊
が先般遠洋航海いたしました、これをとりました。来年度といたしましては、この劇映画一本のほかに、オリンピック支援をいたしますので、これを中心につくりますのと、現在の部隊のありのままの状態を紹介をするというような映画をつくってみたいというように考えております。 なお、特にふえましたこの印刷費等につきましては、年々実は部隊の見学者あるいは体験
入隊
等で入られる方が多いのでありまして、そういう方に配付をいたしますとともに、私は、同じようなものをできるだけ買っていただく方法も考えまして、一度おいでいただいた方との関係が、一度見えてそれなりに終わらないようなことにして、個々にこう御理解を深めていくような機会をつくってまいりたいというふうに考えているのでございます。
下村定
62
○
下村定
君
自衛隊
に見学に来る方が非常に多い、一日
入隊
というようなことも行なわれているわけですが、その現況はどうでございますか。 それからもう一つ、いまのお話に関連して、何かことしまとまったお催しの御計画はあるのですか、それも伺わせていただきたい。
三輪良雄
63
○
政府委員
(三輪良雄君) 部隊の見学でございますが、三十七年度——まあ今年まだ年度が済んでおりませんので、年度としてまとめておりませんが、三十七年度で約四百万人部隊に見えておられるようであります。演習等の見学など入れますと、五百五十万人ぐらいがお見えになった、こういうのでございまして、なお青少年の夏季学校、航空学校というようなのを——地元
新聞
社その他が主催でおやりになることがあるいはございまして、これは昨年の夏までの例でございますけれども、夏休み等を利用いたしますが、航空学校が十六カ所の基地でやっております。海洋学校が八カ所、
陸上自衛隊
の駐とん地では百カ所でそういった催しをやりまして、これが年々ふえまして、二万五千人であったものが五万六千人に、一年にふえているという状態でございます。こういう方々には特別の「朝雲」のジュニア版でございますとか、そういうものをつくりまして、できるだけ、せっかく
入隊
したい、また、そういうことで得た体験を喜んでおられる方々に、つないでゆきたいという感じで、今年そういう印刷物を大幅にふやしてまいりたいと思っているわけでございます。 なお先ほど募集につきましてお話がございましたが、この青少年の関係でございますとか、あるいはいまの遠洋航海、オリンピック支援、部隊の実態を映画にいたしましたものは、一般公開のほかに、地連を中心といたしまして、できるだけ広く見ていただく、そういうことがひいて募集に役立つであろう、そういうことで募集関係のほうと広報関係のほうとが一体となって、推進してまいりたいというふうに考えているのでございます。
下村定
64
○
下村定
君 先ほど兵器関係のことで、ちょっとお答えのないことがございますが、これは、兵器を会社に生産を委託します際に、会社の利益率というものは、どの程度見込まれているのでございますか。むろん物によって違いましょうけれども、おわかりでしたらお答え願いたい。
伊藤三郎
65
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) これは
調達実施本部
で契約をいたします場合に、各会社の利益率を参考にいたしまして、個々に決定をいたしております。まあ一般
管理
費、利子、利息、純益というものが一応の利益になるわけでございまして、業種によってある
基準
をつくりまして、それぞれそれをまたさらに各会社の現状に合わせて適用いたし、大体一〇%から一五%程度でございます。
下村定
66
○
下村定
君 いまの問題は、ひとつこの席上でなく、おわかりになった程度でけっこうですから、別に
資料
としていただきたいと思います。 最後に、
長官
にひとつお伺いしたい。これは非常にデリケートな問題でございますが、シビル・コントロールということが非常に重要視されて、これはもう絶対に必要なことだと思っております。単にこれが形式に流れましてはかえって逆効果を生ずるのじゃないかという懸念もあるわけです。現在の
防衛庁
の制度も、それに従ってできているわけでございます。私は、この制度の問題は別にいたしまして、一番大事なことは、有能で練達な政治家が防衛に関して最高の責任ある地位におられる、また、それを補佐する方も有力なる政治家の方がおられる、そうして実質的にこの文政と軍令とを統制をされる、また、
自衛隊
を統率される、これが根本だと思う。それと同時に、いまで申しますと制服幹部、この人たちの専門的な識能を十分に発揮させる、そうしてこれを適材を適所に置くということもこれはシビル・コントロールをほんとうに適正に実行するという点できわめて重要な問題じゃなかろうかと思うのです。 先ほど
防衛庁
昇格の問題が出ましたが、私は、その問題にはきょうは触れません、触れる時間がございません。ただ現在の制度におきまして、その点においてこれは直したほうがいいんじゃないかと思う点があるかないか、それをまずひとつ
長官
にお伺いいたします。
福田篤泰
67
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 御指摘のシビリアン・コントロールの根本の原則は、考え方は、全く私も同感でございまして、あくまで政治優先、いわばより高い次元から常に防衛問題を分析し考えるということを今後も貫きたいと考えるわけでございます。したがいまして、現在の
組織
の立場から申しましても、
防衛庁
長官
をもととしまして、内局並びに各幕がそれぞれの立場においてこれを補佐して、円満なる軍民一体の形を遂行いたしているわけでございます。私もなるべく、就任以来、この制服、いわゆる各幕の人々、それから内局の人々と常に精神的にも気持ちの上でも融合いたすべきであるという考えを持ちまして、毎週一回業務連絡
会議
というものを実は開きまして、各幕並びに内局の主任者が全部出まして、一週間の業務を検討し合い、お互いに忌憚なく自由な立場で論議し合う場をつくってあります。確かにこの面につきましても、お互いの考えていること、ないしは疑問につきましても、正式の場で、また、お互いに向かい合って自由に論ずる場ができたわけであります。これは単なる一例でありますが、あらゆる面について、それぞれの特殊性を生かし、しかも、常にあくまでシビリアン・コントロールという高い次元からものを考える、こういう慣行を身につけたい、こう考えておるわけでございます。
下村定
68
○
下村定
君 よくわかりました。 次は、非常にぶしつけなお願いなんでございますが、参考までにひとつ、この席でなく、
資料
をいただきたいと思います。それは、
自衛隊
が成立しましてからことしまでの間の
防衛庁
長官
の交迭の回数、それから局長クラスの方の平均の在職期間、それから最後に、制服
自衛官
で内局の
課長
以下に在職した者の数、その階級、こういうものをひとついただきたいんですが、いかがでございましょうか。
福田篤泰
69
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) さっそくつくりまして、御答弁いたします。
下村定
70
○
下村定
君 私の質問終わります。
村山道雄
71
○
主査
(
村山道雄
君)
鬼木
君。
鬼木勝利
72
○
鬼木
勝利
君 時間に制約されておりますので、あまり詳しいことをお聞きできないんですが、いずれまた、それは
内閣
委員会
でお尋ねするということにいたしまして、国防省昇格の問題も実はお尋ねしたいんでしたが、これも私は省きます。 第二次防衛計画への米側の援助額について、
日本側
のいう数字と、米側があげている数字が食い違っておる。で、
防衛庁
はこれを協議した上に、なるべく早く米側の援助額を確定したい、こういう話が
新聞
に載っておったようですが、この点について、どういうふうに軍事援助の削減がなっておるのか、その点を
長官
にお尋ねいたします。
福田篤泰
73
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 第二次防に関連するマップ、いわゆる無償援助の問題でございますが、計画樹立の当初は、約九百億を実は見込んでおったのであります。その後いろいろ煮詰めまして六百三十億にしぼられました。そのうち約二百三十億がすでに承認済みのものでございます。残りの四百億が今後の対米折衝の努力の目標、これがごく大ざっぱのいままでの経緯並びに今後の見通しでございます。
鬼木勝利
74
○
鬼木
勝利
君 大体九百億と、最初の計画はそうであったと、二百三十億はすでに受領済みで、まだ残り六百六十億ぐらいあるんじゃないですか。
福田篤泰
75
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 九百億というのは、一番最初の見込みの額でございまして、その後、先ほど申したとおり、六百三十億に実はしぼられた、そのうち約二百三十億はすでに承認済みのものでございます。したがいまして、残額は約四百億と相なっておるわけでございます。
鬼木勝利
76
○
鬼木
勝利
君 そうすると、第二次防衛計画に対して手直しをされたわけですか。
福田篤泰
77
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 第二次防衛計画は、軍事援助削減の方向は、もうすでに明確でありますが、その
内容
につきましては、まだ具体的なものがございません。したがいまして、今日の立場においては、防衛計画自体は変更の必要を認めておらぬわけです。 なお、数学的には
政府委員
から詳しく報告させます。
伊藤三郎
78
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) マップの
総額
約九百億円と申しますのは、二次防の計画当初に
日本側
で見込みました額でございます。で、その後単価の増減、数量の変更等がございまして、現在時点では、先ほど大臣が申しましたように、約六百三十億円に相当するものというわけでございます。たとえば、第二次防当初におきましては、米側に二百二十一億円期待しておったのがナイキ、ホークの単価が下がりましたために、これが六十七億になったというような一例がございます。そういうわけで当初九百億と見込んでおったのが、現在時点では六百三十億円に相当するものになった。そのうち、六二マップ、六三マップで約二百三十億円相当のものを承認を受けたということでございます。
鬼木勝利
79
○
鬼木
勝利
君 大体この
防衛庁
の
予算
を一べつしてみまするというと、陸海空の三
自衛隊
のいずれに重点を置かれるのか、かつて赤城
長官
が国会で答弁されたところによりますと、航空隊に重点を置くのだというような答弁をされておったと思いますが、その後、三
自衛隊
に平均した、均衡を保った
予算
編成をやりたいというふうに変わったように思われますが、今回の
予算
を一べつするというと、主として陸のほうに大幅に
増強
してあるように思われますが、その点、首尾が一貫していないようであると、かように私は考える。どうも、そのときそのときの情勢いかんによって国防方針が変わっていくのだというようなやり方じゃないかと、そういうふうに私考えたわけです。その点、
長官
、いかがですか。
福田篤泰
80
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 陸海空三軍の均衡のとれた総合戦力、これが私どもの最終目標であります。したがいまして、
航空自衛隊
を主とする、あるいは
陸上自衛隊
を主とするということは考えておりません。常に三軍の均衡のとれた総合的な力、この点によりまして、二次防もつくられておりますし、二次防計画で
予算
もつくられておるわけでありますので、特に一
自衛隊
に重点を置くということは考えておりません。
鬼木勝利
81
○
鬼木
勝利
君 それでは、かつての赤城
長官
の考え方と現在は変わっておると、かように解釈して私は承知いたしておきます。次に、
F1
04の戦闘機の生産は、三十九年度の
予算
で第二次防の計画どおり完了されるということになっておるのですが、これに対するパイロットの養成は十分充足できるか、いつもああして飛行機が墜落ばかりするのじゃどうもならぬが、そういう点の
長官
の確信ある御答弁を願いたい。
福田篤泰
82
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 昨年の春ごろは、いろいろな部分品の不足でありますとか、あるいは天候不順、何といいましても初期の段階でございましたので、パイロット養成の相当困難な条件でございました。その後、夏以来非常に改善されまして、計画のレールに乗ったわけでございます。三月一日現在、四十六名というパイロットができたわけでありますが、パイロット全体として、
航空自衛隊
が現在保有しております人員は千二百九十七名でございます。そのうち、約五百名の者がすでに五百時間練習を、経験を積みまして——五百時間以上経験を積みますと、これがF86F及びDパイロットの資格を保有するわけでございます。したがいまして、最初はズレがございましたが、現在の養成状況並びに今後の見通しを考えますと、私ども大体二次防末期におきましては、ほぼその目標に達し得るのではないかと考えております。
鬼木勝利
83
○
鬼木
勝利
君 いろいろお尋ねしたいのですが、時間がなくてどうしようもないが——それからアメリカのドル防衛施策の一環として、少数精鋭主義に切りかえるというので、在日米軍がだいぶ縮小されつつあるようでありますが、一方、
駐留軍
労務者
の整理も、今年六月までには六千人に達する——これは小野
施設
庁
長官
が
新聞
に発表している。
駐留軍
労務者
の整理について、整理の対象は、六月までに約六千人に達する見込みである、こういうふうに語っておられる。これに対して、これは労働省の問題でもあろうと思いますが、こういう人たちの身の振り方、将来ということに対してどういうふうに考えておられるか、御答弁願いたい。
福田篤泰
84
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 御指摘のとおり、今般の在日米軍の移動に伴いまして、相当数の、大量の人員整理が行なわれる、これにつきましては、私どもも、大きな問題でございますので、従来のいわば
駐留軍
関係離職者等臨時措置法、これを
基準
にいたしまして、いま総理府に、御案内のとおり、
駐留軍
関係離職者等対策協議会がございます。これが主管と申しますか、中心になりますので、この協議会にはかりまして、昨年来、関係各省が集まりまして、いろいろと相談をいたしておるわけでございます。なお、この問題については、再就職その他につきましては労働省が中心になり、その他の問題については、各省とも関係がたくさんございます。われわれの立場におきましては、少しでもこの離職者に対しまして手厚い手当てをいたしたい。また、就職の機会その他組合の結成あるいは今後の問題についても、最善の手を実は打ちたいと日夜努力をいたしておるわけであります。 大体、いままでできましたのは、対米関係におきましては、先般のベースアップに伴う遡及の問題でありますが、これはなかなかアメリカ側の承諾を得なかったが、幸いにいたしまして、昨年末承諾をとりまして昇給の点は解決いたしました。いま懸案になっておりますのは、退職手当の
増額
でございます。これも講和発効後もうすでに十年以上を経過しておる長期勤続者を中心として、ぜひとも手当を
増額
いたしたい、従来どおりの交渉を続けておりますが、昨年末のアメリカからの回答では、同意しがたいという回答でございます。これに対しまして、私どもは、今後も
増額
について強く要望を続けておるという線を堅持いたしております。今後何とかいたしてこの点も
増額
させたいという考えでございます。 さらに、
特別給付金
でありますが、とりあえず三十九年度
予算
で、それぞれ三段階に分かれる五千円、一万円、一万五千円、五千円ずつの
増額
を
予算
措置として御審議願うことに相なっておるわけでありますが、これは、私どもの立場からの意見を率直に申しますと、何といっても少額過ぎるのじゃないか、一応来年度
予算
の御審議を終えた段階におきまして、いろいろと
資料
もそろえ、そしてこの
増額
の方向で関係各省の説得をいたして目的を達したいと考えておるわけであります。 雇用奨励金につきましては、これは労働省主管でありまして、なかなかむずかしい問題がございますが、職場適応訓練というのが、現在のところ労働省の持っているお考えのようであります。いろいろな点がございますが、あらゆる点につきまして、私どもの直接、最近の大きな責任がある問題として、最善を尽くす考えでおるわけであります。
鬼木勝利
85
○
鬼木
勝利
君 たいへん
長官
から微に入り細にわたって御答弁をいただきましたが、この点については、なお一そう当局者として万遺憾のないように処置をしていただきたいということを要望いたしておきます。 次に、在日米軍の引き掲げによって、
日本
の米軍基地が現在よりも縮小されるかどうか、その点についてひとつお伺いいたしたい。
福田篤泰
86
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 去年の十二月三十一日の第五空軍発表に関係した在日空軍の配置変更につきましては、基地関係は、私は変更ないものと考えております。
鬼木勝利
87
○
鬼木
勝利
君 福岡の板付基地の問題ですが、これは地元からもずいぶん陳情もあっていると思いますが、
F1
05の戦闘機、それが横田、三沢基地に移転した、それから
F1
02のジェット戦闘機が米本国に引き揚げた、こういうことは、皆さんおわかりかと思いますが、これによって板付基地をすみやかに返還すべきじゃないか、そういう点について、
防衛庁
当局は米側に積極的に働きかけがあったかどうか。その点について、あなた方には十分地元の意思はおわかりであると思うのですが、その点についてひとつお聞きしたい。
福田篤泰
88
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 昨年の秋に、アメリカから在日空軍の配置変更の申し入れがございましたので、わが方からも三カ条の要望を出しまして、自来数カ月折衝してまいったわけでございます。その一つといたしまして、いま御指摘の板付における105の横田基地移動に伴う問題が出まして、私どもの見解といたしましては、従来板付にありました米軍の任務は、北九州地区の防空体制、いわば緊急発進の任務をその一つとしておったわけであります。私どもの計画といたしましては、この春から新田原に脳戦闘機を配置いたしまして、大体築城その他で慣熟するまでには約半年かかります。したがいまして、その間は、米軍の任務を引き続いて米軍の費用でもって担当してもらうという申し入れをいたしまして、米側が承諾をいたしたわけであります。九月末日まで、米軍が横田基地から数機常に板付に参りまして防空のスクランブルに当たる。十月一日から引き揚げるのでありますが、それまでには、わが
航空自衛隊
において新田原に104ジェット戦闘機の配置並びに任務の遂行ができる体制になっておるわけでございます。
鬼木勝利
89
○
鬼木
勝利
君 戦後十九年という長い間、福岡の七十万市民の悲願として、板付基地の早期移転実現を強力に政府に申し出ておる。これについて一日も早く板付基地を移転してもらいたい。大体御承知のとおり板付基地は、これは福岡の中心地でありまして、こういう基地は他に私は見られないと思う。福岡にのみああいう市街地のまん中に基地が置いてある。これは都市発展のためにも非常に大きな阻害になっておる。その点を皆さん方よくもうこれは御存じだと思っておるのです。はたしてああいうところを、あなた方みな実情は
調査
されたと思うのですが、あれじゃ、どうもこうも市の発展に大いな障害となっている。これに対して、地元民の悲願があなた方にどういうふうに考えられるか。これは、この前の
予算委員会
でも私は話しております。こういうことを皆さんに要望したのですが、もう少しこれを真剣にあなた方に考えていただきたい。その点について再度
長官
の御答弁を願いたいと思います。
福田篤泰
90
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 地元の方々から、今後の経済発展の上において、また、都市計画上ぜひ返還してもらいたいという強い御要望を引き続き承っております。なお、大野町では撤退反対、全町一致決議で、ぜひいてもらいたいという御要望も私ども承っております。問題は、
日本
の国防の問題と地元の経済発展をどう調和させるかという非常に微妙なむずかしい問題でございます。ただし、われわれはあくまで地元の方の納得なり、あるいは御支援がなければならぬという考えも強く持っておるわけでありますが、現在のところ、米軍側といたしましては、たとえ十月一日以降米軍の飛行機を引き揚げましても、引き続き、訓練ないし補給等について保持してまいりたいという強い要望がきておるわけでございます。したがいまして、いま直ちに返還をするとか、あるいはこれを大幅に縮小するとかいう考えを持っておらぬわけでございます。
鬼木勝利
91
○
鬼木
勝利
君 いまは急に縮小もできない、移転もできないというお話のようですが、これは単に福岡市のみならず福岡県あげての地元民の要望ですから、これは将来大いに考えてもらいたい。われわれもっと、これは
長官
のそういう御答弁であれば徹底的に運動いたします。徹底的に反対ですから、ああいうところは。これは福岡市の発展にもまことにゆゆしき問題である。その点は、ひとつよく認識を深めてもらいたい。 次に、昭島のことも聞きたいのだが……。これは
長官
に特別関係がある、あなたの
選挙
地盤だから。 次に、大体、今日の基地行政が私は一貫していないと思う。これは昨年の
予算委員会
でも、基地周辺の民生安定法というようなものを研究したらどうか、研究しておるかと言ったら、研究していない、自民党あたりでも案をつくっておる、それも見ていない、すこぶる不勉強です。あのときに私は相当
長官
以下にやかましく申し上げた。ところが、そのときに志賀
長官
は、十分検討いたしまして次期国会には——出すとは明言しませんけれども、国会までには出したい、そして研究いたしたい、私どもも十分御趣旨に沿うてそういうふうな考えを持っておりますのでと——これは
議事
録を見てもらえばはっきりする。で、この基地周辺の民生安定ということに対して、今日まで
防衛庁
ではどの程度考えられたか。何かそういう草案でも持っておられるのか、その点について、ひとつ
長官
に御答弁を願いたいと思います。
福田篤泰
92
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 基地周辺民生安定法の問題でありますが、これは与党の自民党におきましても、基地特別
委員会
がございまして、全会一致でいろんな角度からの検討をした実は草案ができたわけであります。実は、私も一昨年来世話人の一人でございまして苦労した一人でありますが、ただ
内容
があまりにも広範で、各省の政府間の同意を得られませんで、ついに
提出
の法案としての形まででき上がらなかったのが実情でございます。なお、先般の閣議におきまして、
予算
を伴う議員立法の問題が出まして、官房
長官
から、閣議において政府側の反対の意向のとおり伝えるという話が出ましたときに、この基地周辺安定法よりむしろ一歩後退しました審議会設置法、これも出さないというような話が出まして、私は実は反対いたしました。少なくとも審議会ぐらいは早急に総理府に設置して、基地周辺の基本的な問題を具体的に掘り下げてもらいたい、何らかの法的な根拠なしにはこの複雑なむずかしい問題は片づけられぬからという意見を閣議でもはっきり申し上げたわけでありますが、私個人といたしましては、ぜひともそういう方向で努力いたしたいと思うのでありますが、現実には、ケース・バイ・ケース——個々的な解決のほうがむしろ早いのじゃないかというふうな政府部内の意向も相当強いわけであります。残念ながら、ここのところまだ提案する見通しが立っておらないのが現状でございます。しかし私は、やはり法的なひとつ根拠をつくって、そしてケース・バイ・ケースもけっこうでございますが、普遍的の問題もたくさんありますので、この問題は強力に法制化するのが、私は、適当であり必要であるという考えを持っておるわけであります。
鬼木勝利
93
○
鬼木
勝利
君 志賀前
防衛庁
長官
は、次期国会には出したいと、あなたはその趣旨には大いに賛成だと、自分もかつて自民党ではその
委員
の一人であったと、大体意見は私と同じだが、まだそれはできていないと。で、これは大臣がかわっても前大臣は強力に推し進めると、こういうことを国会で発言しておきながら、全然まだ何もまとまっていないと。そういうことからして、たとえば騒音防止対策、まあそういうようなものを見ましても、
予算
の面から私はひとつ見てみたいと思うんだが、昨年度が七十一億、それで新年度が七十七億、わずか六億増程度であるのですな。何か概算要求では百億要求されたが、削られた、こういうところにも民生安定法というような法的に強力なよりどころがないから、だからこういうのをかってに削られる。もう少し民生の安定ということに対しては、
防衛庁
は、ただいま
長官
の御答弁のように、趣旨に大いに賛成で、自分もそれをぜひやりたいというお気持ちならば、もう少し積極的に私はこれを進めていただきたい。その点を重ねて要望いたしておきます。 次に、これは先般の
委員会
でしたか、
自衛隊
の汚職問題があった。これは
長官
がそのときお見えにならなかったので、私、
長官
に申し上げるはずであったのですが、まことに、こういう不祥事件が起こる。昨年も別府において暴力事件があったが、つい最近も千葉において集団の暴力事件があった。そして
長官
は、隊員の士気高揚をはかるのだとおっしゃっている。大体
防衛庁
は何しているのか、それで。これは
長官
並びに教育局長に御答弁願います。全く、監督もなければ、士気高揚というけれども、何が士気高揚か。その点ひとつ承りたいです。
福田篤泰
94
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 先般立川基地で不祥事が起こりました。まことに申しわけありません。これに対しましても、実は厳重に処罰いたしまして、今後こういうことが起こらぬように、実は各部隊に具体的に二項目にわたりまして、示達いたしました。これは
政府委員
から具体的に御報告いたさせます。 なお、先般の、最近の下総の事件でありますが、目下柏警察に依頼いたしまして徹底的に
調査
をお願いしておる段階でございまして、いまのところ、中間報告では、事情はあるにしても、このような乱暴は非常な行き過ぎでございますので、これも警察に依頼いたしまして、近く全貌がはっきりする、その上で処罰を考えたいと思います。
小幡久男
95
○
政府委員
(
小幡
久男君) 先ほど
長官
から申し上げました汚職事件のあとの監督強化につきまして申し上げたいと思います。 先般
委員会
におきまして
鬼木
委員
からも御指摘がありましたように、直轄隊長の監督のしかたが少しぬるいではないかという御指摘がございました。いろいろ検討いたしましたところ、確かにそういう面がございました。たとえば直轄隊長の出張とか休暇を事前承認をするという制度が必ずしも確立しておらない。これは陸海空を通じまして、直轄隊長の出張それから休暇につきましては、事前に承認を得るように改めました。 それからその次に、直轄部隊長の業務監督と、勤務評定の監督の人事上の、この両者が必ずしも一致していないものがありましたので、これも常に一致するように調整いたしました。ことに陸幕では四十一の直轄部隊を持っておりまして、こういうふうに監督も今度は強化いたしましたので、その事態はよほど改善されるのではないかと期待いたしております。
鬼木勝利
96
○
鬼木
勝利
君 次に、御蔵島に米軍射爆場の移転問題が起こっているのですが、
防衛施設庁
としては、予備
調査
団を六名派遣したと伝えられておりますが、これは事実ですか。この点をひとつ……。
小野裕
97
○
政府委員
(小野裕君) 御蔵島を射爆場の候補地として
調査
をするという考えはございますが、まだ
調査
団は派遣いたしておりません。
鬼木勝利
98
○
鬼木
勝利
君 これは
新聞
発表なんですが、
防衛庁
としては、水戸の射爆場を御蔵島に移転をするということをあなた方が内定をされたのですか。
福田篤泰
99
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 実は一部報道に行き過ぎがあったようでございまして、閣議の席上で私と
科学技術庁
長官
佐藤大臣と意見が合いまして、水戸の射爆場は原子力実験並びに将来考えられる原子力産業の集約化、こういう点から見ても、一日も早く移転すべきであるということになりまして、方針は確定したのでありますが、代替地がやはり必要でございます。そこで、三カ所ないし四カ所くらい、従来実はありました候補地についての話し合いが行なわれ、
調査
がまた進められたわけであります。その間、あたかも御蔵島が内定したかのような話が出ました。内定ではございません。有力な候補地の一つとして考えられたというのが事実でございます。 なお、いま
施設
庁
長官
が御報告申し上げましたように、近く現地に
調査
員を出したいと、実は地元の東京都と話し合い中でございますが、まだその点がまとまらないというのが現状でございます。
鬼木勝利
100
○
鬼木
勝利
君 地元の東京都とよく話し合って、了解の上でよく
調査
をする——ぜひそうお願いしたい。これは
新聞
の報道ですから、いまのように答弁されればそれで終わりということになるのですけれども、内定ということになっていると、地元の方々の人心の動揺というものは非常なものである。たいへんな騒ぎなんです。そういう点を考慮に入れて慎重に、もし
調査
されるならば、よく都側とも話し合いの上、万全の対策を立てていただきたい、かようなふうに私は要望いたしておきます。 それから
自衛隊
に
予備自衛官
というものを逐次増員していく、三万名になさるというお話ですが、これはかつての旧在郷軍人のような性格を持つものだと、こう考えてよろしいのですか。その点をひとつお伺いしたいと思うのです。
堀田政孝
101
○
政府委員
(堀田政孝君) お答え申し上げます。 もうすでに
鬼木
委員
も御存じのように、現在の
自衛隊
は志願制度でございまして、終身制がございません。したがって、一たん事があって出動いたします場合の損耗補充等については、やはり
予備自衛官
といったような形のものを考えて補充をいたしませんと十分でないわけでございます。そこで、考えられましたものが、現在行なわれております
予備自衛官
でございますけれども、昔の在郷軍人とは、当時は徴兵制でございますから、性格が全然別のものでございます。
鬼木勝利
102
○
鬼木
勝利
君 だから私がお尋ねするのは、こういう制度を設けて、なしくずしに昔の在郷軍人みたような制度を設けていくのじゃないかという懸念がある。しかも、一年間にわずか十日か二十日間か招集して、そうして千円くらいの日当でそれをやる。そうして縛りつける。なるほどこれは志願制度で、希望でしょうけれども、そういう制度をつくるということが、あなた方のお考えの根本的にどういう……、それは一朝事あるときとおっしゃるけれども、そういう点について、もう少し国民の納得のいくような明快なお答えを願いたいと思うのです。
堀田政孝
103
○
政府委員
(堀田政孝君)
鬼木
委員
が御
心配
になりました、昔の在郷軍人というのは、員数もたいへん多かったわけでございますけれども、現在私どもが
予備自衛官
として考えておりますものは、三十八年度で約一万九千、三十九年度で増員が認められましても約二万四千名でございます。しかも、任用期間は大体三年ということでございまして、三年が過ぎましたあと、もし
予備自衛官
が本人の意思で
予備自衛官
たることをやめるということになりました場合には、自由にやめていくものでございます。私どもはこれを足場にして在郷軍人的な
組織
をつくるというようなことは考えておりません。
鬼木勝利
104
○
鬼木
勝利
君 どうも、詳しくまたいろいろこれは私お聞きしたいのだけれども、時間がないからこれはまたいずれ
委員会
のときにお尋ねするということにして、まだたくさんありますから、問題が………。 次にお尋ねしたいのは、
自衛隊
内に
調査
隊というものがあるのですね。それから警備隊、この任務
内容
について、どういう違いか。また、どういうふうな任務を遂行していくのか、その点をひとつお尋ねをしたい。
海原治
105
○
政府委員
(海原治君)
調査
隊は、部隊の保全のために必要な情報、
資料
、これの収集
整備
及び
調査
に当たることがその任務でございます。御存じのように、部隊にはいろいろな秘密もございますし、アメリカからいろいろな援助物資をもらってこれを保管いたしておりますが、これにつきましては、御存じのような防衛秘密的な取り扱いをするものもございます。こういうような秘密を外部からの破壊と申しますか、そういうものに対して保全をするというのが
調査
隊の任務でございます。
調査
隊は、先ほど申し上げましたように、一応そういう情報的な業務でございますが、警務隊は、一つには犯罪捜査の面、もう一つには、交通誘導、要人の方がお見えになりました場合の交通整理、あるいは警護、こういう面を担当することを任務として設置されております。
鬼木勝利
106
○
鬼木
勝利
君 大体そうだろうとまあかねがね思っていたんですが、この警備隊のほうはそれでいいとしまして、
調査
隊のほうですが、先ほどからもどなたか
委員
のほうから御質問があっておったが、隊員の
思想
調査
とか、あるいは言論、そういう点にまで、個人の行動、私人としての行動、そういう点にまでこの
調査
隊がかってに
調査
をする、そういう点がかつてあったのじゃないかと思うんですが、あるいはまた、あなた方の答弁ははっきりしているけれども、現地部隊においては、そういう間違ったことをやっているのじゃないかというような気配がある。その点、ひとつ御答弁願います。
海原治
107
○
政府委員
(海原治君) ただいま先生のおっしゃいましたように、
調査
隊の本来の任務外のことをやっているものがないかという疑いが過去においても持たれた場合は二、三ございます。そのつど、私のほうで実態を
調査
いたしましたが、いずれもそういう事実はございません。ただそういうような誤解をされるおそれのある行動と申しますか、措置が間々ございますので、この点につきましては、そのつど十分に注意するような指示を大臣から出していただいておりまして、私どもの知る限りにおいては、いま先生の御指摘になったようなことは一件もないと確信いたしております。
鬼木勝利
108
○
鬼木
勝利
君 過去においてそういう点が二、三あった。で、大臣の通牒なんか出した。それは当然出すべきだと思うのですが、そういう点は全然ないと確信のある御答弁ですが、そういうことが、あなた方の答弁では、それはそう答弁しなければならぬことは当然です。それは
調査
隊が任務を逸脱したようなことをやっているところもあるでしょうなんというような、そんな答弁ができるはずはない。そんな答弁ができるわけはない。それは断じてありませんと言うのが、それは当然である。事実現地においてそれに似たようなことが間々あるのでしょう、現在だって。だからそういうことが過去においても二、三件あったように見受けられますが、将来もますます、そういうことのないように特に注意いたします、と答弁すべきじゃないか。ふざけた答弁だ。もう一度答弁聞きましょう。
海原治
109
○
政府委員
(海原治君) ただいま先生のおっしゃったとおりでございます。
鬼木勝利
110
○
鬼木
勝利
君 むだに時間を費やす。 これで終わりますが、最後に、これは
施設
庁
長官
にお伺いしますがね。東京都のこの北区の稲付島下町にある
自衛隊
の車両修理工場並びにテスト・ロードを含めて三万六千坪というような膨大な土地についてお伺いしたい。ここを
自衛隊
が使用されるまでに至った経過についてお伺いしたい。
小野裕
111
○
政府委員
(小野裕君) ただいまのお尋ね、まことに恐縮でございますが、はっきりお答えできないのでございますが、お尋ねの点は、赤羽でございましょうか、北区のいまおっしゃいました場所は。
鬼木勝利
112
○
鬼木
勝利
君 そうですよ。これは、私の調べたところによりますと、旧TOD第二地区と、こう呼ばれておった地区で、
昭和
三十三年の十一月にTODの解散が行なわれて、その後
昭和
三十四年六月ごろに運動公園ということでこの地元民は考えておったのですね。今度のオリンピックの自転車競技場に誘致したい、そういう声も地元にあるわけだ。ところが、当時北区は地元民がこれは公園にすべきだ、そういうような要望が出まして、関東財務局管財
部長
は、都との話し合いの上に運動公園にしましょうと言明している。こういう背景のさなかに、突如としてその
自衛隊
が夜間にはいってきて、それは話し合いがあったかなかったか知らないけれども、住民は知らなかった。三万六千坪もあるような土地を
自衛隊
が使ったのですね。しかも、
昭和
三十五年四月一日から翌年の三月三十一日までの一時使用ということで始まったことが、今日までいすわっておる、こういうことになっておるようです。これは私の調べた範囲内においてはそういうふうになっております。そこで、これは
施設
庁としては、一時使用であるか、ここへ定着する考えであるのか、その点をひとつ承りたい。
小野裕
113
○
政府委員
(小野裕君) ただいまの地点につきましては、米軍側で使わないことになったから返すということで先方から返還になりまして、
大蔵省
のほうへお返ししたわけでございまして、その場所について、さらに
自衛隊
のほうで使いたいということで
大蔵省
とお話し合いの上、あるいは所定の手続を経まして現在使っておるものでございますが、その関係につきましては、経理局長のほうから御
説明
申し上げます。
上田克郎
114
○
政府委員
(上田克郎君) 米軍からの返還がありましたあとでは、主として
陸上自衛隊
が武器の
整備
、補給関係でこの土地を使っています。
鬼木勝利
115
○
鬼木
勝利
君 ところが、
昭和
三十五年四月一日から翌年の三月三十一日までの一時使用ということで使用開始をしている。その後毎年毎年更新している、契約を。もっとはっきりしたことを言いなさいよ、そんな逃げ口上みたいの言づてみたいな答弁じゃ困る。
上田克郎
116
○
政府委員
(上田克郎君) いま
鬼木
委員
のおっしゃいましたように、毎年更新いたしまして、一時使用を続けておりますが、将来とも、あの場所は補給処あるいは武器の
整備
をするために必要だと考えておりますので、今後は普通財産から行政財産への転換を求めたい、そういう考え方でおります。
鬼木勝利
117
○
鬼木
勝利
君 だから、一時使用で一年間ということで、今度毎年毎年更新している。地元では非常に迷惑している。現地の情勢、現地の立地条件その他、あなた方よくごらんになっておりますか。まだ私は知りませんなんて、赤羽のことですかなんて……。よく実地を調べておりますか。調べておらなければ私が申し上げるが……。
小野裕
118
○
政府委員
(小野裕君) 私ども、
自衛隊
関係の財産の
管理
もいたすわけでございますが、
自衛隊
の
施設
として使う土地につきましては、
防衛庁
の行政財産として
防衛庁
に渡し切りで渡していただいて使っておる部分と、それから、
大蔵省
の普通財産として、同じ国有財産でありますけれども、普通財産として
大蔵省
の所管にあるものを、
自衛隊
が——これはその他の
機関
においても同様でございますが、借りて使うという部分と種類が違うわけでございます。いま経理局長が申されましたのは、
自衛隊
としては、この土地を将来とも
自衛隊
が安定した形で、確定した形で使えるように行政財産に直してもらうようにいまお願いをしたいということを申されたわけでありますが、それが確定するまでの間は、私どもが
大蔵省
からお借りをする場合の手続としては、普通財産の一時貸与、一時貸し付けという形になるわけでありまして、その一時貸し付けというのは、年年一年ごとに契約を更新すると、こういうたてまえになっておるわけでございます。そういうわけで私どもとしては本格的に使わしていただく、最終的に完全に使わしていただくということを期待しながら、その実現するまで年年お願いをして、契約更新をしながら継続して使わしていただいておる、こういうわけでございます。
鬼木勝利
119
○
鬼木
勝利
君 いや、ところが、あなた方、そういう希望があると言いながら、四年、五年も毎年毎年更新と、どうもあなた方のお考えと非常に実態というものが沿わない。しかも、現地は、地元民は数十年の願望ですよ、公園をつくりたい。しかも、これは都内の繁華街のまっただ中にある。膨大ないわゆる軍事
施設
というか、非常に不自然である。しかも、付近には、周辺には東洋一を誇るマンモス住宅群が林立している。しかも周囲は、これはまれにみる文教地帯で、稲付中学、第三岩淵小学校、都立赤羽商業高等学校、赤羽台西小学校、北園小学校、全部ここへ寄っているのだ。たいへんな、しかも道路が狭いから通勤者が雑踏する、それで、ちょうどその道路に面したところにゲートがある、
自衛隊
の門がある。そうして、車の出入りが非常にひんぱんである。まことに危険千万だ。そういう密集地帯の大繁華街、商店街のその中に三万六千坪という穴がぽかっとあいている。これは最も適切な土地じゃない。しかも、各種車が通るからして非常にやかましい。どうもこうもこりや騒音防止どころか、話にならない。もう道一つ隔てたら全部密集地帯だ。まあ、へい一つ隔てたらもう密集地帯、林立している。その中で朝から晩までやられるのだ。あなたたちは現地をよく見ておられると思うのですよ。そうして、それが非常に、一番適地だと——おかしいと私は思うのですがね。だから、毎年これを更新して、ぜひここをやりたいと思うなんて、あんなまん中に、適地ですか、それは何にもいい条件はありませんよ。全部悪条件ばかり。一点もいい点はない。われわれしろうとが見たって一点もいい点はない。都市計画の上からいっても、あるいはあそこは地下鉄の起点になるのだ、そのことも危ぶんでおる。もういかなる観点からしても最も不適なんです。どういうふうに考えておられるのですか。あそこが適地だというあなた方の反証をあげてもらいたい、私の納得のいく。だから北区の議会からも、われわれのところに言うてきている。ひとつ御答弁願いたい。
小野裕
120
○
政府委員
(小野裕君) 最初にお話し申し上げましたように、実は詳細にそのいきさつを存じない点がございましてまことに恐縮なのでございますが、現在その場所は、武器補給処の支処であろうかと思うのでございますが、やはり従来からそういう
施設
あるいは、そういう部隊のおった場所でございまして、従来からの引き続きでまあ米軍に接収され、さらに、返還されましたあとまた
自衛隊
が引き続き同じ目的のために使うということでまいっておるわけでございまして、まだ詰めたことを申し上げられませんけれども、おそらくは、もしそれが先生方おっしゃるように、非常に適当でないという場合でございますならば、他にかえ地を求めて移さなければならないという問題があるかと思うのであります。私どもとしては、東京の一部でございますが、近いところにそうした
施設
がほしいということはございます。ただ先生がおっしゃいますように、地元の御要望あるいは、いろいろな環境上の関係、そういう点から不適当であるという御意見も立つかと思うのでございますが、そういうこともあって、
大蔵省
といたしましては、私どものほうへ渡し切りには渡してくれないというような複雑な事情になっておるのじゃないか、こう思うのでございます。この点につきましては、さらに検討をさしていただきたいと思います。
鬼木勝利
121
○
鬼木
勝利
君 あなたが実際を知らないと言われればこれはもうしかたがない。しかし、そういうことをひとつ、あなた方は大事な
施設
だからもう少しはっきり掌中にそういうことをおさめておかなければ、何もわかりませんというようなことじゃ話にならない。ことに、それはあなた方もう私よりも詳しいのだけれども、あのテスト・ロードがあって、それはとにかく、もうたいへんなものですよ、朝から晩までやられたのじゃ。現地をよく見てきなさい、今度はっきり。そして
大蔵省
にも、私はこの問題についてはひとつ管財局長のほうにかけ合ってみようと思っているのですが、あなたたちの言われるように、それはまことに最高の適地だと、ここが一番いいということになれば、さっともう契約できるはずです。それはもう私らはそこが適地だと思いますと言いながら、現状をよく知らないで、そして一年一年、一年一年と更新している。あなた方のお考えがまことにあいまいで、もう少しはっきりしてもらわぬと困る。こういう
施設
は一日も早く移転をして、そして都の発展のため、地元住民の皆さんのために取り計らうことこそ、これが民生安定なんです。だから先ほどから言っているのですよ。民生安定法案なんというものを一日も早くつくって、これは
長官
も私の趣旨に賛成だと思う。そして一日も早く地元民衆の手にこれを戻してやるということこそ、あなた方よく考えるべきだと思うのです。これを要望しておきます。なお、この問題については、後日
委員会
でもはっきりしますから、早急にこれはひとつ研究してもらいたい。
長官
にひとつ最後に。
福田篤泰
122
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 実は、地元の御要望といいますか、お考え、私は初めて伺ったのであります。昨年末でありましたか、千葉のレーダー・サイト視察のときに、いま御
説明
の王子の場所からヘリコプターで立ちまして、私も戦車のテスト・ロードを見ております。したがって、おそらく
自衛隊
としても必要な
施設
であろうと考えるのでありますが、地元の御要望があれば、私も、苦情なり御要望については、つとめて注意をいたしておるつもりでございます。まだそういう書面も見たことございませんが、いろいろな御要望、具体的にぜひこれも
提出
を願いたいと思います。
鬼木勝利
123
○
鬼木
勝利
君 では以上をもって私の質問を終わります。
村山道雄
124
○
主査
(
村山道雄
君)
岩間
君。
岩間正男
125
○
岩間正男
君
防衛庁
長官
にお伺いしますが、三月五日の
予算委員会
で私が質問した、航空幕僚監部の「防衛力
整備
に関する基本的見解」について、これがそのとおりであるということは、
防衛庁
長官
認められたと思いますが、その後いろいろ
調査
されておると思う。どういうことがわかったか、その経過について、まずあらまし伺いたい。
福田篤泰
126
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 御質問がありました日、さっそく庁内で関係者を集めまして
調査
をいたしました。確かに引用になりました文書、出たことは事実でございまして、判明いたしましたいままでの点は、一幕僚が私見としてまとめたものを、成規の手続を経ないで、昨年八月の
会議
に配ったということもわかりました。いま二点について厳重に
調査
を進めております。 一点は、どうしてこれが漏れたかという機密漏洩の綱紀紊乱の問題でございます。第二は、
内容
そのものについて、その幕僚の考え方をただしておるわけであります。近く
調査
も大体完了することと考えております。
岩間正男
127
○
岩間正男
君 これは問題の文書は、一体だれがつくったんです。一幕僚と言っておりますが、これはわからないのですが、一幕僚というのはだれですか。それから、いつどこで何の目的で配られたか、目的がはっきりいたしません。何の目的で配られたか。
海原治
128
○
政府委員
(海原治君) 問題の文書は、昨年の八月二十三日付になっておりまして、これを作成いたしましたのは、航空幕僚監部の防衛部所属の一幕僚でございます。これがこういう文書を作成しました理由は、先ほど大臣から申されたとおりでございまして、八月の二十九、三十日と二日にわたりまして、約二十三個ばかりの部隊の防衛主務者、階級は二佐、三佐クラスでございますが、この会合がございました。その会合の目的は、この業務計画につきましての
説明
をする会でございます。その業務計画につきまして、中央からの正式の指示を行ないました際に、たまたまこの幕僚が今後の防衛力の
整備
についてふだん考えておりますところのことを文書にいたしまして、これについての批判を求めたいという目的のために、当時配付したものでございます。これが航空幕僚監部の正式のものでないということは、その
内容
をごらんいただけばわかりますように、いろいろとおかしなことが書いてございます。さらには「取扱注意」というような、きわめて軽い、「取扱注意」と申しますると、言うならば、昔では部外秘程度でございますが、こういうような指定をして配付をしておるということでも一おわかりいただけると思います。ただ何ぶんにも、表紙に「航空幕僚監部」という表題をつけておりますために、正式のものと誤解されやすいわけでありますが、その点は、一幕僚がその本人の名前では権威がないというふうに考えまして、言うならば、ていさいを飾る意味でつけ加えたものでございまして、この点はまことにけしからぬことだ、こういうふうに私ども厳重に注意しておる、そういう性質の文書でございます。
岩間正男
129
○
岩間正男
君 そういうあなたたちは答弁をしますが、この
会議
には大体松田幕僚長、これは参加しておるのですか、どうですか。
海原治
130
○
政府委員
(海原治君) 出席いたしておりません。先ほど申しましたように、階級は二佐、三佐のいわば各部隊の一幕僚がそれぞれ出てきております。形は防衛
部長
の招集の形でございますが、これには防衛
課長
が出席いたしております。
岩間正男
131
○
岩間正男
君 幕僚監部といやしくも署名しているのですね。そうすると、幕僚長が知らないということは、これは成り立たないと思うのですよ。この点はどうなんです。これは多分僣称して、権威をつけるためにやったなどと言っているのですけれども、この点はどういうふうにこれは
長官
考えていますか。
長官
として、幕僚監部などという名前を、一幕僚がつくったものに権威をつけるためにそういう名前を使ったのだ、これはしかたがないのだというようなことであったら、これは重大な問題だと思うのです。こんな機密がとにかく、まあ取り扱い注意だろうが何だろうが、あなた方は機密機密と言って大騒ぎしているでしょう。このような文書が、どんどん幕僚監部の名でもって一幕僚がつくっていって、そうして隊外に配るということになったら、一体どういうことになります。
自衛隊
の機密を維持することはできないことになってくるわけですね。この点はどうですか。この僣称した問題について、はっきりした御答弁を聞きたい。
福田篤泰
132
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 一幕僚が自己の私見に対しまして航空幕僚監部と正式の
機関
の名前をつけることは、これは問題になります。きわめて越権と申しますか、規律を乱したことになる。その直後、直ちに文書をもちまして、今後成規の手続を経ないで
防衛庁
正式の
機関
名あるいは部局課の名前を付した文書をつくってはならないと、厳重に各関係方面に通達いたした次第でございます。
岩間正男
133
○
岩間正男
君 あなたたち、これ配ったの気がつかなかったのですか。その証拠には、私が質問してからもう数時間たたないうちに、この文書はまさにそうだということをあなたたち確認したのです。そうすると、私が質問したあとに、あなたたちは隊内を調べた、
防衛庁
を調べたのでしょう。どこにあったのです、この文書どこに。これは重大な問題です。どこにあったのです。
福田篤泰
134
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 御質問がありましたあと、すぐ先ほど申したように庁内に帰りまして、関係の者を集めまして、一体こういうものがあったのかどうか、事実を調べたわけであります。航空幕僚長も知りませんし、副長も知りません。結局、防衛
部長
が、実はそういえば確かに昨年の八月ごろに使った——どういう経路で共産党に入ったかわからぬが、いずれにいたしましても、これは上の者が知らぬ、正式に航空幕僚監部という名前を使ったのはもってのほかだとなったのが実は真相でございます。
岩間正男
135
○
岩間正男
君 そうすると、これは昨年の八月の終わりのことですね。それから半年間、何ですか、こういうものをとにかく業務計画の
説明
をする
会議
に配られて、それからそれを航空幕僚長も見ていない、
防衛庁
長官
も知らない、そうして半年間それは放置されて、そのままにかまわないでおいたのですか。私が質問しなかったら、この文書はそのまま通っているのじゃないですか。私が質問したから幸いなものじゃないですか。あなた自身だって、こんな形でどんどん——同じ先例があるのだから、どんどんほかの者がやったって、そのまま通っていったら、どういうことになりますか。こんな文書を半年間かまわないでおいたことが非常に問題だと私は思う。これはどう考えるのですか。
福田篤泰
136
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) それでありますから、先ほど申したとおり、文書をもちまして、今後こういうことのないように厳重に通達いたしました。この災いを転じて福といたしたいと考えております。
岩間正男
137
○
岩間正男
君 これは知らぬ存ぜぬというようなことを言っておりますけれども、そういう問題になった、非常に大騒ぎになった、そこでそれからそういうようなこれは国会用の答弁を編み出すというやり方では、私はまずいと思うのです。幕僚監部と銘打つといったって——これははっきり当人に聞いてみればわかりますけれども、具体的にはっきり名前を言って、参考人にでも呼べば一切明確になるのです。幕僚監部なんという名前を僣称できるものじゃありませんよ、簡単に。だから、まあこの段階では、一人の幕僚に、お前がとにかく作成したのだ、そういうことでお前一人の一個の考えでやれ、こういうふうにこれは因果を含められたと言われても、これはしかたがないじゃないですか。半年間これは放置しているのですよ。そうして幕僚監部の名前のもとに行なわれている。そういう事態に対して、それを知らなかった、そんなことで一体この国会を私はないがしろにしてはいかぬと思う。国民の目をくらますというようなつじつまの合わないそんな答弁で、これは国民は了承することはできません。知らぬ存ぜぬということを言っているのですけれども、関係者の一部のそういう人たちだけが責任を負う、その人を処罰する、そういうような問題で済むほどの問題じゃ私はないと思う。これはどうなんですか、この点についてもっとはっきりした見解を私はただしたい。
海原治
138
○
政府委員
(海原治君) 先般の
予算委員会
におきましても、この文書が権威のある幕僚監部のものでない、一幕僚の私案だということの証拠と申しますか、それを証明する事実を示せという御質問がございまして、その当時私お答えいたしたのでございますが、この文章の一番最後のほうをごらんいただきますとおわかりになりますように、読み方によりましては、空さえあればいいのだ、海や陸の
自衛隊
は要らないのだ、あってもそれはいざというときに役に立たないのだというふうなことを書いてございます。こういうことは、大臣のもとで三つの幕僚監部がそれぞれの立場でもって国の防衛を考えておりますことを考えますというと、絶対に出てこない考え方でございます。そのときも申しましたが、とにかく空を担当しております幕僚が、自分の守備範囲のことを考えるあまり、いろいろと行き過ぎた表現になったのだと思います。こういう事実をひとつ十分お考えいただきますと、これが幕僚監部のものではなく、幕僚の私案としてしたためたものであるということがおわかりいただけると存ずるのであります。
岩間正男
139
○
岩間正男
君 どういうふうにこれは
調査
し、どういうふうにこの問題を処置するか、はっきりした態度を今後のためにお伺いしておきたい。
防衛庁
長官
。
福田篤泰
140
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 二つ問題があろうかと思います。一つは、たとえ私見にいたしましても、また手続上きわめて遺憾な点がありましても、一ぺん
会議
に使った参考
資料
でございます。これが外部に漏れた、これが一つの問題、もう一つは、やはり
内容
の問題、この二つでございまして、先ほどお答えしましたとおり、厳重に
調査
を続けまして、その上で適当な処置を講ずる考えであります。とりあえず、文書の手続につきましては、先ほども申し上げましたとおり、通達を出しまして、今後成規の手続によらないで正式の
機関
名あるいは局部課の名を付してはならない、必ずその種類によりまして、
内容
によっては幕僚長の決裁、ものによりましては内局との話し合いで意見を統一して出すという
基準
をはっきり示したわけであります。
岩間正男
141
○
岩間正男
君 一つ抜けておりますよ、大切なことが。もう配られたのでしょう。そういう
思想
がもうずっと伝わっているわけだ。そうでしょう。これは当然です。これははっきりここで取り消すなら取り消す、この文書そのものというものはこれは不当なものである、このような
思想
というものははなはだけしからぬということを明確にしなかったら、あなたたちここだけで言いのがれをやったにしたって、そういう
思想
はすでにずっとびまんするじゃないですか。この点についての処置です、あなた方のやらなければならないのは、政治的な処置というのは、そんな先にいって取り扱い上どうするかということよりも、そういう点が重要なんです。その点についてのお考えを伺いたい。
福田篤泰
142
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 先ほど防衛局長も御報告申し上げましたとおり、たとえば
航空自衛隊
だけでいいのだというようなばかばかしい考えに他の陸上並びに
海上自衛隊
が承服するはずもなし、またその考えが広がるなどということも想像もできないわけであります。ただ、これは
委員会
におきましても御報告申し上げましたが、表現の不足、あるいはきわめて誤解を受けやすいまずい表現もある。私は、この点につきましては、厳重に本人をいま調べておりますから、完全に間違っておる点は十分正します。なお、ただいま回収中でありまして、もう非常に簡単に取り扱われておる、この点も私は問題であろうかと思います。いろいろな点でまことに遺憾な点が多いのであります。恐縮に存じておるわけでございます。
岩間正男
143
○
岩間正男
君 まあ非常に不十分だと思いますよ。私はもう少し詳しくあとで聞きますけれども、もっと明確にあなたたちの態度をここでしておかなければ、先にいって非常に禍根を残すと思います。第一、あなたたち、秘密文書、秘密文書ということを盛んに言っているわけです。それからほかのマスコミなんかも盛んにそういうことを書いています。そしてさらに、これは「日経
新聞
」によりますというと、三月十九日に、三月十八日で
防衛庁
は各幕僚監部並びに関係部局に対して秘密書類の取り扱いについて指示を出した。それはいま言った幕僚監部の名前を使うときには云々ということじゃないでしょう。それと同じですか。秘密書類の扱いは厳重に注意せよとか何とかいう、そういう書類を出したと思うのですが、これはどういうことですか。
三輪良雄
144
○
政府委員
(三輪良雄君) この
内容
には二つのものが入っておりまして、第一は、各幕僚にいたしましても、各事務の部員等にいたしましても、それぞれ正規の
機関
の決裁のあるもの以外は、たとえば
課長
の決裁があったものは課の名前で出す、あるいは
部長
の決裁のあったものは部の名前で出すということはよろしゅうございますけれども、その途中の段階におきましては、作成者の名前を付す等で、
機関
のものでないようにするということが、これが第一点でございます。 第二点は、秘密文書の取り扱いは従来も出ておりましたので、秘密区分の厳守、あるいはまた必要以上の部数をつくることのないようにという一般的な注意を、補足、確認をしたわけでございます。
岩間正男
145
○
岩間正男
君 こういう文書が出されているところをみますというと、たいへん秘密文書というのは、これは多いのですね。そうでしょう。それから、先ほどの御答弁では、取り扱い程度でたいしたことはないのだという。これは御答弁でした。そうすると、そのほかに重要な秘密書類というのはたくさんあるのでしょう。ABCDぐらいのクラスでこれはあるのじゃないですか。どういうものがございますか、ちょっとお聞きしたい。
海原治
146
○
政府委員
(海原治君) 秘密文書につきましては、「極秘」とか、「秘」とか、「取扱注意」とか、大体三種類に区分いたしております。で、極秘文書あるいは秘文書につきましては、
内容
によりまして特に重要なものは、番号を付して一々その取り扱いを注意する、こういう扱い方でございます。
岩間正男
147
○
岩間正男
君 秘密、秘密と言っていますけれども、これは軍の秘密——これは軍じゃございませんてあなた方言っているのですから、
自衛隊
だ、あくまでも防衛のための。——軍隊ではないのだ。そうすると、憲法で、一体そういう秘密のあるということが非常におかしい。むろんそれは、
自衛隊
を維持するために、ある程度のそういう機密というものは、これはあり得るだろう。しかし、その機密の
内容
のほうが大きな問題じゃないでしょうか、これは実際は。秘密、秘密と、まるであなたたちは秘密が漏れた——私の質問したということが重大問題だというように思っているけれども、これは重大問題でも何でもない。これは当然国
会議
員としての任務を尽くしている。
日本
の憲法に違反するという、そういう事実というものを私たちは徹底的に明らかにして、そして
日本
の平和と
民主主義
を守る、これが当然の任務なんです。したがって、われわれ、そういうような情報が入ったら、そういう情報でこれは質問しないほうが怠慢だというふうに考えているわけだ。問題は中身だ。ところが、あなたたちは、秘密、秘密と、秘密が何か重大な問題だ、それでもって秘密が漏れちゃぐあいが悪いから、機密保護法でもつくろうという方向にPRを盛んにするために、逆手に使っているのじゃありませんか。
内容
が問題だ。
内容
が問題だと、そう思いませんか。防衛
長官
いかがですか。
福田篤泰
148
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) たびたび申し上げておりますように、これは一幕僚の私見でございまして、
防衛庁
として、正式に文書として、あるいは正式の議を経て、手続を経て出てきたものでありますなら、その
内容
はきわめて重大な問題であります。一幕僚の私見があやまってそういう手続で配付されたのでありまして、これについては私は問題が違うと思うのであります。
岩間正男
149
○
岩間正男
君 これには機密性がありますか、ありませんか、どうですか。
福田篤泰
150
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 正式の手続を経ず、単なる私見でありますから、機密性はありません。
岩間正男
151
○
岩間正男
君 機密性がないと言っているのですが、しかし、その中で、あなたは、これに行き過ぎがある、不穏当だということをお答えになっておりますが、それはお認めになりますか。
福田篤泰
152
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) そのとおりであります。
岩間正男
153
○
岩間正男
君 その点を指摘してください。この文書の中でどこが一体行き過ぎで、どこが不穏当か、これを指摘してください。
福田篤泰
154
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 正式文書でないものをこの権威ある
委員会
でいろいろ論じ合うことはどうかと思いますので、お答えできません。
岩間正男
155
○
岩間正男
君 そういうこれは逃げことばはいかぬと思う。現に問題になったのでしょう。そうして、今後これは
自衛隊
の隊規にも関するのです。
自衛隊
の本質問題を決定する重要な問題として出されているのですが、そうしてこれが事実あなたたちの手によってつくられたということを認めておる。一私見かもしれぬ。しかし、航空幕僚監部という銘を打っている、そういう文書として出されて、ここで、国会で論議するときには、国会を通じて、この点、この点、この点、この点が明らかでないということを明らかにして、国民の前に明確にするのは、当然の
防衛庁
長官
の任務と思う。重ねてお伺いします。
福田篤泰
156
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
調査
を急いでおりますので、完了次第御報告申し上げます。
岩間正男
157
○
岩間正男
君 全部は言えなくても、言えるじゃないですか。行き過ぎ、不穏当……。
福田篤泰
158
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 個人の見解を言えとおっしゃるならば、あえて申しますが、先ほどの
委員会
でも、自分の私見といいますか、考え方を述べたことがあります。私見に対する私見という立場ではなはだ恐縮でありますが、たとえば現池田
内閣
の経済政策の行き詰まりの見通しでありますとか、あるいは日米安保体制の見通し、まことに未熟な、しかも間違った考え方で、明らかに行き過ぎであろうと思います。私はこの二点をお答えした記憶がございます。
岩間正男
159
○
岩間正男
君 その点は、私もほかの
委員
の質問に対する答弁で聞いています。 それではお聞きしますが、この中で政治批判を盛んにやっている。さっきも一つ出ました。経済政策に対する批判をやっているところがある。こういう点はどうです。「国内経済政策の失敗が国内不安を高めることは避けられない。」、その次に「国の政治の中に総合された対策が特に巧妙に織り込まれねばならないのであって、今後国の政治の焦点はここに置かれることになろう。」とか、まるで総理大臣でも言いそうなことですが、それから「この秘密戦の実体を分析究明して適切な策を講ずる事は政府各分野に課せられている現在の課題である。」、こういう点は、これは差しつかえないとお考えになりますか。
福田篤泰
160
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) これ以上細部にわたりまして、単なる個人の私見を
長官
の立場から申し上げる必要はないと思います。
岩間正男
161
○
岩間正男
君 あなたそんな無責任なことを言ってはいかぬと思うのです。いやしくも航空幕僚監部の名を打って、あなたの部下の中から、そういうような、あなた方が言えば、逸脱した、そういうものが出た、これに対して明確にピリオドを打つなら打つ態度をとらなければ、どうして今後やっていけますか。一私人の私見の問題だから、これに対して
長官
として答えられないなんていうのは、無責任きわまりないです。あなた、全三幕を統轄してやっていく当の責任者としては不適当です。たいへんなことです。いまの問題、どうです。その第一の、国内経済政策に対する批判については言ったのだが、第二、第三と、私三つあげました。その三つの、あとのことについてはどうですか。「国の政治の中に総合された対策が特に巧妙に織り込まれねばならない」とか何とか、そういうようなことを言っていることについて、これはきわめてはっきりした政治関与です。政治批判です。政治介入を政府部内の
自衛隊
員がやっている。この点はどうです。基本的問題でしょう。
自衛隊
を今後維持するのに基本的な問題です。いかがですか。
福田篤泰
162
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
自衛隊
員が
入隊
する場合には、
岩間
君御存じのとおり、宣誓がございまして、政治に介入しないということ、これが原則でございます。したがって、個人の批判に対して、どういう動機で、どういう意図をもって書いたか私は知りませんので、これに対する批判はいたしません。
岩間正男
163
○
岩間正男
君 批判をはっきりしなければ、立場が困りますよ。そんなことをやったので批判するとぐあいが悪い、下のほうに響くかもしれぬ、
長官
は事実をよく知らない、そうしてこれに対して政府に圧力を加えられてはぐあいが悪いなどという立場にいて、現在ここまで来ている状態を、あなたは一体はっきりなにすることができますか。たいへんなことですよ。はっきりあなたが、もしもほんとうに、政府のシビリアン・コントロールをどこまでもやる、そうしてあくまでも政治優先だ、この立場を堅持するところの軍ですね、こういうことをはっきり考えておられるなら、いまの点をあいまいにしておいてどうしますか。これは先ほど
下村
さんからも話があった。シビリアン・コントロール賛成だ——これは新しい
自衛隊
の方向として、とにかく進めようがどうかわからないが、言っている。その問題に抵触する最大の問題です。のどぶえに食いついているような問題です。この問題に対してあなたがはっきり態度をきめられないで、一私人の考えだからしかたがないというようなことで済まされる問題ですか、いかがですか。
福田篤泰
164
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 一幕僚の私見に対して、
長官
としての批判ないし答弁は、私はしたくないのであります。ただ、政治介入していいかとか、あるいはシビリアン・コントロールがくずれてきたかという抽象論、観念論でありますなら、もちろん、私どもは、問題でありまして、あくまでシビリアン・コントロールを堅持する、そういう考えであります。
岩間正男
165
○
岩間正男
君 あなたは
防衛庁
長官
ですから——
自衛隊
員がこういうことをやったんです。しかも、政治介入しないということを宣誓しているその
自衛隊
の一隊員が、こういうことをやっている。こういうものについて、はっきりした、断固とした見解を述べる、これでなくして、どうして一体真に民主的な、あなたたちの言う範囲内から言いましても、民主的な
自衛隊
を建設することができるんですか。いまのようなあいまいなふらふらした態度では、これは何ともなりませんよ。私は、この点は、あなた、明確にしなくちゃなりません。とにかく調べてから態度を明確にするということを言っていますけれども、これはもう早くやらなきゃいかぬ。それから、ここで、国会で言われないというのは不思議だと思うんですが、私は、断固としたそういう意見を述べてこそ、当然あなたたちの大方針を堅持していくところの
長官
だと、こういうことになると思うんですが、いかがですか。これ、やれないんですか。ちょっと情けないじゃないですか。
福田篤泰
166
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) たびたびお答えしていますとおり、シビリアン・コントロールの原則をくずしていいとか、あるいは
自衛官
が政治に不当に介入していいとか、私は断じてこれは不当である。これはもうたびたび、あらゆる場合において、私の信念として申し上げております。今後も堅持するわけであります。ただ、
資料
としてあなたがそれをお出しになりますので、その
資料
に基づいての見解は、私は言う必要はない。原則的な問題については、はっきり従来の態度、考え方を変えておりません。
岩間正男
167
○
岩間正男
君 その点、あなたが言われた原則的な問題について私はむろん聞いているんで、これについては確認しておきたいと思いますが、第一、どうなんですか。幕僚長でも、このような文書、政治介入、政治指弾、それからこんな方針のものをつくる、そういう権限はございますか。職務権限ございますか、幕僚長の場合でも。これはどうです。
自衛隊
法によって、どうです。
福田篤泰
168
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
自衛隊
の
自衛隊
法で明記されました規律の問題、訓練の基礎の問題、これに触れるものは、たとえ幕僚長でも、とうていできないはずであります。また、これは、この前の
委員会
でも、私申し上げたのでありますが、この事態はもうきわめて遺憾な問題である。むしろ、二葉のうちに、こういうものはたとえ片りんでもあった場合には、私どもは厳重に処理して、こういうことのないようにしたいということも申し上げたわけであります。
岩間正男
169
○
岩間正男
君 それじゃ、
自衛隊
法によって、法的根拠を明らかにしてください。幕僚長でもこういうことができないんだとあなたはいまおっしゃいましたが、その根拠をやはりここで明らかにしておくことが、国会論議にあたって必要だと思いますから。何条ですか、
自衛隊
法の。そしてそこのところを読み上げてください。
麻生茂
170
○
政府委員
(麻生茂君) 幕僚長の
長官
に対しまする助言のことにつきましては、
自衛隊
法の第九条の二項では、条文を読みますと、「陸上幕僚長は
陸上自衛隊
の隊務に関し、海上幕僚長は
海上自衛隊
の隊務に関し、航空幕僚長は
航空自衛隊
の隊務に関しそれぞれ最高の専門的助言者として
長官
を補佐する。」こう書いてあるわけであります。防衛的な意味の専門的な助言者として
長官
を補佐するということを、ここで職務として規定しておるわけでございます。
岩間正男
171
○
岩間正男
君 いまのような幕僚幹部の名を打った文書のようなやり方、これは具体的に言ったら、こういうようなのは幕僚長がやる権限はございますか、いまの
自衛隊
法で。
長官
、どう考えておられますか。
麻生茂
172
○
政府委員
(麻生茂君) 幕僚長が国の政治批判をするということは、一般的に申しますならばよろしくないことであろうと、こういうふうに考えます。
岩間正男
173
○
岩間正男
君 確認しておきたいと思います。幕僚長にさえ認められないことを、今度下級の幕僚がこういうことをやっていくことになったら、たいへんなことだと思いますね。そこで、この問題についてはもっと厳正な明確な態度を
長官
としてははっきり近いうちに出されることが必要だと思います。そうでないと、どうも最近、三無事件なんかの問題があり、それから北のほうの
自衛隊
の隊規が非常にやはり混乱しているということが巷間にうわさされております。そしたら、この問題がクーデターのような、そういう要因になるとしたら、これはたいへんだと思う。それから萌芽のうちにこれをつみ取るということを言われたが、これは口先だけでは私は不十分だと思うのですがね。もっと、どういうふうに実際の処理の上でこれを明確にされるか、お伺いしておきたい。
福田篤泰
174
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 先ほどお答えしましたような、たとえば文書にある通達手続その他に対するいわゆる形式的な手続上の規律を厳守する、これも一つの方法であろうと思います。同時に、それだけではやはり不十分でありまして、あらゆる機会を通じまして、本来の
自衛隊
あるいは
自衛官
の考え方、教育、基本的にも関係があろうと思います。あらゆる機会を通じまして、そういうおそれのないように、行き過ぎのないように、間違いのないようにいたしたいと考えております。
岩間正男
175
○
岩間正男
君 とにかく、われわれは大東亜戦争という苦い経験を持っています。軍の独走、独裁が始まった、そして政治が実際全部それによって壟断された。そして今日でもなおいえない傷を負っている。そういう点から考えて、はっきり軍の独走、しかもいま具体的に言えばシビリアン・コントロールの問題、政治優先の立場というものが動かされぬということは、非常に基本的な問題だと思う。そういう態度をとっているときに、国防省の昇壟が非常に問題になっている。先ほど
防衛庁
長官
のお話によりますと、これは自民党の昨年の大会で決定したのだから本年出したい、こういうことを言っておられるわけですね。それで、何のためにいま急ぐ必要があるのか。第一、
自衛隊
というのは、これは憲法によって保障されたところの軍隊でございませんよ。いわば鬼っ子だって言われている。現在は総理府の一局、外局になっている。そういう形でも、これは非常に憲法とは抵触するところの問題がある。ところが、これを一省に昇格するといったら、
内閣
の一翼をになうところのもっと責任のれっきとしたものでなければならないわけですよ。そうでなければ、これはもうこの国防省というものが成り立たないわけだ。そうするというと、どうでしょうか、憲法では、御承知のように、いま憲法
調査
会が意見を出して、その中では積極的な改憲論者がいます。この改憲論者は、軍隊をつくっては違憲になるのだ、だから改憲しなければならない——違憲ということを認めている点ははっきり認めている。そういうときに、国防省にこれを昇格させるということが一体妥当だと考えることができるでしょうか。私は、こういう点で、もっと憲法との関連でこの問題を明確にするという態度になるなら、先ほどのような答弁では、党議で決定したから云々ということでやられたのじゃ、話になりません。あなたはいやしくも
国務大臣
でしょう。
国務大臣
として、一体
自衛隊
法は、これは憲法といろいろ抵触する問題ですよ、憲法に認められない。ただ
自衛隊
法という一片の法律で
自衛隊
はいま
運営
をされておる、そういう形でしょう。それを今度は公然と国防省に昇格させるということが、いまの憲法との関連でこれを許すことができないことだと考えるのです。先ほどあなたやすやすとこの問題を答弁されておりますけれども、この点について検討されたことがございますか、いかがですか。
福田篤泰
176
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 目下
内閣
の官房を中心に草案を練っておりますので、提案の暁におきまして憲法との関連を十分論議していただきたいと思います。
岩間正男
177
○
岩間正男
君 そういうことは、これは御答弁にならぬと思うのですよ。いまここで昇格、いや、これを出すことさえ問題なんです。われわれの立場から言えば、
自衛隊
そのものがこれは鬼っ子だと言われておる。それなのに、いまの憲法の体制の中で、さらにそれを
内閣
の一翼をになうところの今度は省に昇格させる。公然とこれはなるでしょう、先ほどあなたの
説明
によりましても。これが昇格をするということで、いろいろな点をあげられました。専任大臣が置かれて明確な責任を持つとか、それから
自衛官
の士気高揚だとか、国民に対する防衛認識を深めるとか、こういう利得があるので急ぐなんて言っている。しかし、そんな問題と比べものにならないほど、憲法との基本的関連がどうかという問題は重大な問題です。この問題をはき違えたら、たいへんなことになる。そうして、しかも一方では、さきのような文書というもの、こういうような文書が下のほうに流れて、いつかそれがポピュラーなものになってしまう、そういう世論がつくられる。その上に立って、国防省の昇格問題というものが同時にこれは提案されているところに、現時点の問題があるんだ。この点、あなた、はっきりしなきゃだめですよ、
防衛庁
長官
として。いかがですか。
福田篤泰
178
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 現在の
自衛隊
の合憲性については、もう数年来国会で論議されて、十分合憲性を認められている問題で、問題ないと思います。国防省の昇格に関連する憲法の問題は、提案された上で十分論議いただきたいと思います。
岩間正男
179
○
岩間正男
君 それは
自衛隊
の合憲性を言っているので、私は国防省の昇格問題を聞いている。——
自衛隊
そのものだってたくさん論議のあるところであなたたちがそう言ってるだけだ。合憲性そのものが、一体われわれの立場では、そういうことはこれは認めることはできません。そういう論議に立ってる人が非常に多いということも知らなきゃなりません。しかも、それを国防省に今度は昇格させる問題を私は言ってる。そのことについてあなたは御答弁ができないんですね。そういうような世論の背景には、いまのような文書があるんですから、この文書については、もっと私は厳重な処理をしなきゃならぬということを言ってるんです、当然。この点はいかがです。
福田篤泰
180
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) いままでお答えしたところで、私の考えはおわかりいただけると思います。
岩間正男
181
○
岩間正男
君 もう一つ。これは「取扱注意」ということを盛んに言ってるんですが、先ほども申しましたように、いま一体
日本
の憲法下で、機密文書がそんなに、しかも通達を出していろいろこれは押えたりしなきゃならないほどたくさん出ているということは、これは容易に想像される。それが漏れた、そのことだけ問題にしている。しかし、そんなことは
内容
の重大性から考えれば何十分の一にも足らないことです。この前も私は治安行動草案の問題について質問した。そうしたら、どこから漏れたんだ、どこから漏れたんだ——これは天網かいかい疎にして漏らさずという、
日本
人民の平和を守る人民の力が大きくなっている、そういう態勢の中からこれはわれわれのほうにも情報が来ておるんだ。しかし、こんな文書でも、あなたたちから言えば取るに足らないような、機密性もないような「取扱注意」の文書でさえもかくのごとき問題を含んでる。そうしたら、「極秘」なり「秘」などという文書は一体どうなんだ。氷山の一角にも及ばないじゃないですか。下に沈でんしてる部分はどうなんですか。これは国民に知らされないでいいんですか。どこに
民主主義
があるんです。私は、このことが非常に重大なんで、そのことをやはり明らかにしなきゃならない。ところが、あなたたちのはどうですか、文書が漏れたことだけ。まるでこれでは本末転倒じゃないですか。憲法違反のようなことを盛んにやってて、国民に知らすことのできないような機密書類をたくさんつくっておいて、それをどんどん回して、そしてその一端が漏れて、漏れたことが悪いんだ悪いんだと言ってる。非常にたとえとしてはまずい——穏当でないかもしれませんが、盗人たけだけしいという言葉があります。こういうふうなことをやっておいて、そして漏れたことを問題にしてるところに、いまの私は大きな間違いがあるんじゃないか。
日本
の
民主主義
はどこで守るんです。憲法はどこで守るんです。憲法によれば、こんなたくさんの一体秘密があるなんておかしい。それから、まだとにかく、われわれがそういうような情報を得て、ここで明らかにして、国民にも警告を発する。実情の一端で、ほんとうに一端でしょう、あなた方が知ってるもののほんとうにもう一端だと思います。しかし、本質的な問題は含んでいます。この問題を国民の前に明らかにするということは、まことに国
会議
員の任務でなければならない、そう考えるのです。それを反対に、おかしなことで、盛んにあなたたち自身を擁護するような言説を行なっている。それは機密保護法をつくるためのそういうPR——そういう方向に持っていこうとしている。つまり、あなたたちは、今度の問題を逆にそういう方向に持っていこうとしているが、これはたいへんな間違いです。軍機保護法のようなものをつくるというような考えが、これは
長官
にありますか、どうですか。
福田篤泰
182
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) いろいろ憶測をたくましくされていますが、私どもはいま機密保護法をつくろうとは考えておりません。
岩間正男
183
○
岩間正男
君 私は次に冷戦の問題について聞きたい。冷戦、冷戦ということを盛んに言われているのです。冷戦というのはどういうことですか、これは
長官
にお伺いします。
福田篤泰
184
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) まあ冷戦ということばの定義になりますが、これは非常に微妙なむずかしい問題であろうと思います。いろいろ人によって違いますし、私どもの考え方では、熱戦に対することばの表現じゃないか。たとえば兵力とか武力衝突を伴わない心理戦と申しますか、神経戦というか、そういう方面のことを言っているのじゃないかと考えております。
岩間正男
185
○
岩間正男
君 この文書に、これはしばしば引き合いに出されておりますが、「現在既に我々は、国民に対し
組織
的に指向された心理戦の渦中にある」、こういうふうに規定しているようですが、こういう規定は
長官
はお認めになりますか、いかがですか。
福田篤泰
186
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 先ほどもたびたび申しましたように、個人の私見につきましては、これを批判したり具体的に答弁をする必要は私はないと思っております。
岩間正男
187
○
岩間正男
君 これを離れてどうです。心理戦の渦中にあるとお考えになりますか、どうですか。
福田篤泰
188
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) そういうものを離れて、一般論として申し上げれば、冷戦というものはやはり広い意味では各国ともあるのではないか、こう考えております。
岩間正男
189
○
岩間正男
君 何でございますか、よく聞こえなかったのです。もう一度、広い意味では何ですか。
福田篤泰
190
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 冷戦というものがある。
岩間正男
191
○
岩間正男
君 私は判断を聞いている。いまそういう渦中にあるとお考えになるかどうか。心理戦の渦中にあると、そういうふうに考えているかどうか。われわれは
組織
的に指向された心理戦の渦中にある、そう考えますか、どうですか。
福田篤泰
192
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) 渦中にあるということば自体も、私は実に問題であると思います。冷戦というものは、たとえば共産主義国家が世界革命を戦術的に放棄しない限り、絶えずまだ革命の行なわれていないところに対しては宣伝もし工作もするでしょう。これも冷戦の一部なら冷戦だし、私どもは各国の主要——いわば強大国と申しますか、そういう世界政策の現状を見ますれば、やはり広い意味では冷戦というものはあろうと、渦中にあるとかそういう表現は私どもは使いたくないと思います。
岩間正男
193
○
岩間正男
君 そういうところを非常にぼかしておられるわけですね。一方ではこういうアドバルーンが上がっていて、そうして一方では
長官
が国会でこういう答弁をされている。そういうことでは、どうも非常にこのやり方はまずいと思います。この文書でも、冷戦の起こる原因として、「国際情勢の悪化、国内経済政策の失敗、天災」、こういうものもあげているのですが、それは原則的に、この文書にとらわれなくてけっこうですから、どうお考えになりますか。冷戦の起こる原因としてどういうふうに……。
福田篤泰
194
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) いま御質問の表現に出たような、素朴な単純な論理の推移は私どもはとらないと思います。
岩間正男
195
○
岩間正男
君 そうすると、この中に、素朴で単純なというと、もっと高級で複雑な表現じゃどう言うのです、冷戦というのは。
海原治
196
○
政府委員
(海原治君) こういう世界情勢とか軍事情勢につきましての判断は、私の所掌でございますので、私からかわって御
説明
申し上げます。 先ほどから大臣がお答えしておりますように、この一幕僚が現在の世界情勢をどう見るかということでございますので、これについて私どもは、
組織
としての判断は差し控えるべきでございますが、一般的に申しますと、これは現在、自由陣営、共産陣営、中立諸国と三つのグループがありますが、いろいろな国際政治における情勢が展開しておりますから、人によりましては、これは冷戦がまさに、先ほど大臣がおっしゃいました熱戦——ホット・ウォーという、現実のホット・ウォーが遠ざかるとともに、反比例して冷戦というものは盛んになるのだ、こういうことを言われる方もあります。そういう立場で考えれば、そのような表現も出てくるかと思うのでありますが、その程度が高いとか低いとかいうことにつきましては、具体的にどうこうということはひとつ御容赦願いたい、このように感じております。
岩間正男
197
○
岩間正男
君 それじゃ具体的にお聞きしますが、先ほどあげましたように、基地反対闘争ですね、それから日韓会談反対闘争、日中国交回復を非常に急げという、そういう国民の要望、要求の統一行動、あるいは春闘を中心といたしました賃上げ、ILOの批准、最低貸金制の確立、そういうような要求、あるいは人民の側から物価値上げ反対、重税反対、いろいろな諸要求が出ております。そうして、非常にそれが国民の意思を表現するための行動をやっておる。これは「冷戦の様相」と見るのですか、見ないのですか。
海原治
198
○
政府委員
(海原治君) ただいま御提示になりましたような例は冷戦とは考えておりません。
岩間正男
199
○
岩間正男
君 安保闘争のような場合はどうです。
海原治
200
○
政府委員
(海原治君) 同様に冷戦とは考えておりません。
岩間正男
201
○
岩間正男
君 安保闘争のとき、これは後方待機、治安行動出動を準備されたことは今日では明らかなことだと思いますけれども、あのときの考え方はこれはどうですか。
海原治
202
○
政府委員
(海原治君) 治安行動の準備待機をした事実はございません。
岩間正男
203
○
岩間正男
君 当時、それは市ケ谷部隊がそういう待機を命ぜられたというようなことに対しては、非常にこれは問題になったところですよ。事実はございませんというふうなそういう答弁だけでは不十分だということははっきりしているのです。それで、あなたたちは「冷戦の様相」にはならない、デモ、ストライキ等その他国民の権利に属する当然のこれは表現の自由、そういうものに対しては冷戦の対象にならない。しかし、実際はどうなんです、実際は。実際はそれに対して準備をして進めているのが現在のこれは
防衛庁
の方針ではないですか。治安行動草案を引き合いに出すまでもないことと思うのです。治安行動草案はどうなったかということは、非常にその点では私は重要だと思う。三年前に私が質問した。しかし、その後現在まだ完成されないという
防衛庁
長官
のこの前御答弁だった。これは藤枝元
防衛庁
長官
の御答弁、約束に違反しております。しかし、少なくとも訓練はやっているのでしょう。訓練の根拠であるその草案、教範に近いものがこれは出ているのでしょう。これはいかがでしょう。
堀田政孝
204
○
政府委員
(堀田政孝君) 訓練は草案を参考としてやっているわけでございます。で、訓練と申しますと、部隊を動かしていろいろやるようにとれるわけでございますけれども、この問題は国内法規との関係が非常に深うございます。法規についての基礎的な教育をするというようなことが中心でございまして、座学が中心でございます。
岩間正男
205
○
岩間正男
君 いつそれではこれは完成して国会に
提出
するという予測ですか。
堀田政孝
206
○
政府委員
(堀田政孝君) 的確にいつという日取りを申し上げるわけにはまいらないのでございますけれども、なるべく早くまとめ上げまして、三十九年度中には、三十九年度のまあ前期にはまとめたいと、このように考えます。
岩間正男
207
○
岩間正男
君 すでに約束から三月過ぎているのです。そうすると、三十九年度の前期には出したい、まとまる、こういうような御答弁でありますが、
防衛庁
長官
、確認してようございますか。
福田篤泰
208
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) そのとおりでございます。
岩間正男
209
○
岩間正男
君 それで、ここではその草案が、教範がないのでありますから、それをもとにして論議はできませんけれども、いま法令的な関係といいますが、
内容
的にはどうなんですか。この前は単に陸幕だけのものであったように私は思っておったのですが、この文書なんかで見ますと、おそらくこれは荒唐無稽なことを言っているのじゃない、この文書の最も白眉だ。これは週刊誌でも、一番白眉なのは冷戦体制だと——最も現実の問題についてこれは触れています。そうすると、海幕、空幕をあわせての総合的な体制、そういうものを治安行動教範としてつくりつつあるのだと、そう了解してようございますか。
堀田政孝
210
○
政府委員
(堀田政孝君) 俗にいわれております行動草案は、
陸上自衛隊
の連隊以下の部隊を指揮運用する教範の草案でございます。
岩間正男
211
○
岩間正男
君 これは
防衛庁
長官
、どうですか、お聞きになっていると思いますが、私三幕を総合した体制をとっておるかとお聞きしているんですが、どうです、
防衛庁
の基本方針は。
海原治
212
○
政府委員
(海原治君) 先生御存じのとおり、
航空自衛隊
を例にとってみますと、パイロット、サイト勤務員等でありますから、これは陸上部隊等のように治安行動等に出ることはむずかしいし、同じように
艦船
に乗り組んでおります
海上自衛隊
の乗り組み員がどういうような行動ができるかというと、陸上部隊のようには動けないわけでございます。したがいまして、現在
陸上自衛隊
のほうでいろいろ検討していますものは、
陸上自衛隊
限りでございまして、陸海空を総合した統合的な草案にはならない、このように私は判断をしております。
岩間正男
213
○
岩間正男
君 しかし、この文書によりますと、これは「冷戦に対する施策適切を欠き」、「国内治安が乱れて来ると対内的には警察の支援、暴動の鎮圧、民生協力等を適切に実施し、」、「海空に於ては輸送示威等の協力活動が必要となろう。」、「冷戦直接対処力のみでなく、その後拠としての武力戦対処実力の持つ意味に注目する要がある。」ということを力説している。そうして、以下この文書を読んでいくと、これは架空のものじゃない。一私人の私見なんだと、あなたたちは逃げ切ろうとしている。だから、私は全貌を明らかにしてほしい。治安行動草案そのものは、これは陸幕を中心にやっておりましょうけれども、しかしこれは総合的な援助関係、そういうものをつくっておるというのが実態じゃないですか。だから、こういうことになってきますと、私は三年前に指摘したときには、これは人民弾圧のためのヘリコプター、火炎放射器、こういうものを使用するということが問題になりました。しかし、もっと進んだこの治安行動草案、そういうものでは、おそらくこれは
航空機
、ジェット機、F86、
F1
04Jこういうものまでの使用をもくろまれたところの三幕の総合行動作戦というものが考えられる。したがって、一日も早く治安行動草案を完成して、国会に
提出
することが私は必要だ、こういうふうに考えます。この点、本年の上半期ということでございますから、これは一回約束がほごになったんですから、今度はぜひそれを果たしてもらいたいと思いますが、
長官
いかがですか。
福田篤泰
214
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) そのとおりいたしたいと思います。
岩間正男
215
○
岩間正男
君 じゃ、それを確認していただいて、
内閣
がかわっても、これは
防衛庁
長官
かわったから、おれは知らないということではなく、ちゃんとはっきりとやはり
防衛庁
の意思として明らかにしていただきたい。 そこで私はお聞きしますけれども、こういう体制とあわせて、
陸上自衛隊
の中には
昭和
三十九年度計画として化学科部隊の再編成ということがあげられていますが、その
内容
はどういうものです。
海原治
216
○
政府委員
(海原治君) 私三十九年度の業務計画を事務的に取りまとめておりますが、そのようなことは承知いたしておりません。
岩間正男
217
○
岩間正男
君 承知いたしていませんと言っていますが、これはあなたたちの
予算
要求の中にあるんじゃないですか。
予算
要求の中に。承知いたしていませんじゃ、これは済まぬでしょう。陸幕は現在の欠陥としてこれを指摘して、第一に、化学防護教育の不十分、第二に職種技術教育、第三には、(イ)として基本
資料
、特にCBRの検知・測定、効力の判定能力の不足、(ロ)として対核防護能力の不足、(ハ)としてT用化学剤運用対策、対化学謀略研究の不備等をあげています。この中で特にCBR作戦というものを高く評価している。これは重大な問題じゃないですか。CBR作戦というのは、どういうことですか。
堀田政孝
218
○
政府委員
(堀田政孝君) いま
岩間
委員
が御指摘になりました化学科部隊というのは、これは防衛局長が申しましたように、編成にはございません。化学教育というのは、これは三十九年度ではございませんで、前からいたしております。それは何であるかと申しますと、たとえば放射能を受けた場合、その放射能の濃度と申しますか、程度を測する方法はどういうふうにするかというような、これはRでございまます。それからはBは、これはたとえば細菌、そういうようなものをどういうような場合にはどういうふうにそれを測定するか、保護するかという教育、それからCは、たとえばガス等を使います場合に、これに対してどういうふうに対処するか、保護するかといったようなことがCBRの
内容
でございまして、その教育はだいぶ前から
自衛隊
ではいたしておるわけでございます。
岩間正男
219
○
岩間正男
君 そうすると、対応だけですか。新しく編成されるのでないですか、化学中隊というのは。対応のことだとあなたは言いましたけれども、あれはどうですか。いまここに元の調達庁
長官
もいられるのですが、四年前に私は労務基本契約について質問いたしました。その中には細菌学職というのがあるわけです。これは今度の計画でどうなっているか、いまだにあるのじゃないですか、そういう部隊というのは。満州から引き揚げてきて、米軍の手によって労務契約の中にはっきりと明記されておる。そういう残痕があるのですよ。そういう中で、今度新たにCBR部隊という化学作戦をやる化学部隊というのができるのじゃないですか。私は、そういう点で、この中隊の任務として、任務は防護として、(イ)重要地域の除毒、(ロ)検知、測定、(ハ)化学技術情報の収集、評価、(ニ)治安行動時の化学支援、(ホ)化学野外実験、こういうふうになっておるのですが、単にこれは対応たけじゃない——向こうが使った場合にこれを防ぐということじゃないのですよ。化学野外野実験などというのは明らかなものだと思いますが、これはどうですか。
堀田政孝
220
○
政府委員
(堀田政孝君) ただいま御指摘のような部隊の編成を三十九年度でやるということは、私ども承知いたしておりません。
岩間正男
221
○
岩間正男
君
予算
要求の中にはなかったのですか。
予算
要求として、あなたたちの軍の意思として、単にこれは先の構想などじゃないのじゃないですか。
予算
要求の中にそういうものがあって、それはその結果がどうなったか、
予算
の査定でこれはどうなったか。その要求の中にそういうことがあることが問題じゃないかと言っているのですよ。発煙中隊というのは、その仕事として、(イ)発煙、(ロ)治安行動時の化学支援、こういうことをちゃんと任務としている。こういうことでもう明らかなように、冷戦対策の治安行動には、もう毒ガスも使われておる、バクテリア、細菌、それからラジウム、そういうものが使われる、そういう想定が一連の構想の中にあるのだということを私は今日やっぱり明らかにしておかなければ、これは非常に重大です。これは
日本
の
民主主義
の危機ですよ。そうじゃないですか。陸幕はさらに化学隊編成の必要を力説して、その仕事として、ガス、細菌、放射能等を入れて、実際の使用を計画しておる。その化学隊の編成、これはどうなんですか。人員を見ると、一佐を長として二百三十八名、総監部をはじめとして、富士学校、少年工科学校などを含めて四百七十四名、こういうふうにあなたたちはプランを持っておるということ——
予算
要求の具体的な問題であるから、今日われわれはこれを問題にしておるのであります。単なる構想とか何とかの問題じゃありません。これが
日本
の一体将来にとってどういう重大な影響を持つかということは、たいへんな問題だと思います。このようなものが冷戦対策の背景として、労働者をはじめ、人民の生活安定、そして平和を願う、祖国の独立を願う人民の行動に対して対処する体制をとっている。そして、すでにこの文書によっては、心理戦の渦中にあるというように一つの規定までしている。こういう一連の背景を考えるときに、あなたは口では、そんなことは知りません、これは私人の、一幕僚の私見でございます——こういうようなことを言って通せると思っていますか。今日ほんとうにこの事態を明らかにするということは、私は
日本
の現在のあり方として実に重大です。われわれが
自衛隊
はまさに憲法違反の
自衛隊
だと言っているのは、こういうところにあるのです。どこに一体これが人民の利益になるのですか、この点いかがですか。
海原治
222
○
政府委員
(海原治君) いろいろな部隊の名前をお示しになりましたが、私先ほどお答えいたしましたように、三十九年度に新たにそういう化学関係の部隊を編成するということは、私は承知いたしておりません。御提示になりました、たとえば発煙隊のごときは、警察予備隊以来ある部隊でありまして、現在の
陸上自衛隊
におきまして化学と名前がつく関係のいろいろな部隊を全部拾い上げますと、いまお話しになりましたようなことに相なろうかと思いますが、そういう部隊を新たに来年度編成するということは私は考えておりません。
岩間正男
223
○
岩間正男
君 そうすると、現在も進めておるというわけですか、そうしてそれを今度強化しようとしているのですか、その方針はどうなんですか。
海原治
224
○
政府委員
(海原治君) 先ほどから申し上げておりますように、私業務計画を取りまとめをしておる責任者でございますが、現在の私のこの
資料
では、そういうものはございません。しかし、それほどおっしゃいますから、あるいは何らかの構想があるのかとも思いますので、
調査
の上お答えさせていただきたいと思います。
岩間正男
225
○
岩間正男
君 CBR作戦というのは、非常にこれはやはりわれわれの平和にとって重大な問題だと思いますね。これはとにかく毒ガス、それから細菌、それから放射能、こういうようなものを装備した新しい部隊でしょう。こういうものが一方でつくられていく、その上に立った
自衛隊
というものは一体何ですか。そうしてその上に立って、しかも今度は国防省昇格というようなかっこうになっていったら、
日本
の軍国主義の復活なんとかいう段階じゃないじゃないですか。このねらいはもうはっきりしている。一つは、もう
日本
の自主防衛という名前でアメリカの肩がわり防衛体制をとっている。そういう中で、自主防衛の名で三次防からそういう体制を強化する。もう一つは、アメリカのバッジ作戦に歩調を合わせる、そうして指揮権を発揮させるような、そういう体制を確立するという背景が明確になっているのです。だから私は、この国防省の昇格問題というのは、これは非常に大きな全国民の問題としてこの問題は論議されなければならぬ、こう考えておるのです。 最後にお聞きしたいのは、総力戦体制、こういう形でこれはどんどん進められているのじゃないですか。この中身を見ますというと、「大衆民主制政治形態の下で、冷戦を有利に展開するためには、国の政治の中に総合された対策が特に巧妙に織り込まれなければならない」、また「社会的現象の裏にかくれた国家の施策」が必要だと力説されておりますが、これは
長官
否定されるでしょう。しかし、現実に、ことばでは否定されても、これはどうですか、最近の政府の実際やっている施策を見てくると、第一、
防衛庁
の最近の施策から拾ってみても、
予備自衛官
の拡充の問題、隊友会の
組織
編成の問題、民間会社からの新入社員の受託教育をやる、こういう形で実は軍と産業部門、産学共同というものがこういうふうに起こっているじゃないですか。こういうような
予備自衛官
を拡充しているこの目的というものはもうはっきりしていると思うのですが、先ほどの一万九千云々ですけれども、しかし、これは人的縦深戦力を培養しというのですが、単にこれを人員不足を補うだけではなくて、一たん有事の際には職場での治安力を確保する、こういうところが非常に大きなねらいになっていると思いますが、いかがですか。
海原治
226
○
政府委員
(海原治君)
予備自衛官
の制度の意味につきましては、先ほど教育局長からお答えいたしたとおりでございまして、わずか、二次計画全般をとりましても、二次計画の予定どおりまいりまして三万でございます。これは、この程度の人員がなぜ必要かと申しますと、当時部隊を編成いたしますときに、後方関係の要員というものは相当諦めた編成をいたしておりますので、その方面に充当するということもございますし、そのとき招集のありました際の欠員を補充するという意味もございます。そういうことでこの制度は考えられた次第でございまして、たかだか三万程度の人員でございますから、この人員の持つ意味につきましては、御推察願いたいと存じます。
岩間正男
227
○
岩間正男
君 いまこの
予備自衛官
の問題と関連して、隊友会というものが職場でつくられております。川鉄の千葉製鉄所とか、日新製鋼の呉工場、
日本
電気、こういうところに隊友会がつくられておるのですが、これは隊友会というものの目的はどうですか。ことに職場で、こういうところでつくっておるのは、これはどういうわけですか。
三輪良雄
228
○
政府委員
(三輪良雄君) 隊友会と申しますのは、
自衛隊
の隊員で退職した者が、主として親睦でございますとか、あるいはその後に入ってまいります職場の開拓でございますとか、そういう趣旨で会をつくりましたもので、三十五年の十二月社団法人になっております。四十六支部ございまして、会員は約四万人と承知をいたしております。それぞれ、先ほど大臣の答弁の中にございましたように、大きな職場にたくさん隊員であった諸君の
採用
された者があるところができまして、そういうとろこではおのずと隊友会がだんだんできつつありまして、それが府県の形で統合されておるように聞いておるのでございます。
岩間正男
229
○
岩間正男
君 それから、民間会社から新入社員の集団
入隊
を受けて受託教育というもの、これを行なっておるのですが、その目的はどういうことになっておりますか。
堀田政孝
230
○
政府委員
(堀田政孝君) 民間会社の新入社員を隊員として教育をするという計画は全然ございません。
岩間正男
231
○
岩間正男
君 受託教育というのは、どういうのですか。
堀田政孝
232
○
政府委員
(堀田政孝君) 受託教育は、パイロットの受託教育でございます。
岩間正男
233
○
岩間正男
君 パイロットだけですか。
堀田政孝
234
○
政府委員
(堀田政孝君) はい。
岩間正男
235
○
岩間正男
君
自衛隊
はこの除隊後の就職あっせんをこうやっておる。それで、これは経営者側からいうと、
自衛隊
とのそういう結びつきというのは、一つは労務対策として非常にこれを重要視しているし、
防衛庁
の側からいえば、これは将来に備えた人的な産学協同のそういう計画から考えれば非常に重要だと、こういうことで進められておると思うのですが、この点いかがでしょう。
小幡久男
236
○
政府委員
(
小幡
久男君)
自衛隊
の就職あっせんにつきましては、
自衛隊
員が、御承知のように、在隊中にいろいろな各種の技能を身につけますし、心身も非常に健康でありますので、在隊者等につきましては相当率先して用いられておりまして、われわれといたしましても、十分各方面とも連絡いたしまして、隊員の就職あっせんにつとめておる次第でございまして、決して隊員を配置いたしまして有事に備えるとか、そういう意味では決してございません。
岩間正男
237
○
岩間正男
君 あっせんはどうですか、職業あっせんはやっておるわけですか。
小幡久男
238
○
政府委員
(
小幡
久男君) 相当自分自身でさがす部面も隊員の中に多うございますが、大量になりますと、やはりこちらであっせんをいたします。地方連絡がその窓口になりまして、大体隊員の需給の調整に当たっておるのが現状でございます。
岩間正男
239
○
岩間正男
君 最近、この
自衛隊
の中で教育を強化して、そして
自衛隊
の中で高校やあるいは大学の資格を与える、こういうことで文部省あたりと折衝して、これは一つの問題となっておるのでありますが、これはどういうねらいなのですか。
小幡久男
240
○
政府委員
(
小幡
久男君) ただいま御指摘のございましたような、
自衛隊
の学校で教育をして高校もしくは大学卒の資格を与えるというふうな意味で文部省と交渉はまだいたしておりません。
岩間正男
241
○
岩間正男
君 これは、それを進める考えですか、文部省と交渉して。
小幡久男
242
○
政府委員
(
小幡
久男君) まだ中では議論をいたしておりません。
岩間正男
243
○
岩間正男
君 それはどういう必要からそういうことが出るわけですか。
堀田政孝
244
○
政府委員
(堀田政孝君) 問題としてまだ取り上げられておりませんので、
岩間
委員
の御指摘がちょっと私にはわからないのでございますが、御了承いただきたいと思います。
岩間正男
245
○
岩間正男
君 私は、いま
自衛隊
員が進めている体制ですね、
自衛隊
の中で。どんどんこう職場に入り、それから民間に入る。それからいろいろな隊員
組織
をつくっていって、軍の協力体制のほうにいっている。その点を指摘したわけですが、さらに最近、これは防衛産業のほうから見てまいりますというと、昨年は〇・六%しか
日本
の全生産の中でウエートがないというふうなお話ですが、最近はそういうことじゃないと思うのですね。私は、三十七年度を見ますというと、たとえば非常にこれは大きな軍需産業部門である新三菱重工なんか見ますというと、総売り上げの一四%が国産品、旭精機工業が五六%、川崎
航空機
が二七%、日特金属工業が一七・六%、
日本
無線が一七%、東洋通信機が一七・一%、こういうような——これは先ほども軍需産業、国産の軍需製品についての話がございましたけれども、これをどんどん、どんどん援助していく。拡大していく。ことに、アメリカの軍事費の援助の打ち切り、それに肩がわる政策、そういう体制の中で、
日本
の軍需産業も当然これは大きく伸びていかなければならない。そうすると、産業面と
自衛隊
と、これははっきりいまのうちに結びついた体制をつくっていく、いわゆる産学協同のねらいというのは、そういうところにはっきり出てきているのじゃないか。工場の中にもそういう
自衛隊
のいろいろな関係者が出てきている。それから
自衛隊
の中にも今度は産業部門の人たちが入って、そこでいろいろな技術を学んだり、そういうことになってきている。そこのところが非常に、こういう体制がつくられているという、この点というものを私は軽軽しく見のがすことはできない。三十七年度でもそうなんですからね。これが三次防、自主防衛というような段階になれば、この比率というのは著しく伸びるのじゃないか。そのねらいは何か、ここが非常に問題だと思います。これは
F1
04Fの国産化、それからバッジ・システムに対応する体制をつくる、
航空機
産業、電子機器産業を二つの柱として継続発注する、そしてどんどんそこのところに軍事費を入れる、国費を注いで軍需産業を育成する、そうして三次防の一つの中心目標である、肩がわる国産のロケット、さらに核兵器、そういうような方向に道を切り開こうとしている。こういう体制というのは、われわれの知らない間に実はずっと行なわれているのじゃないか。私はこの事実を指摘しなければならぬと思います。これはいかがですか。
防衛庁
長官
どうです、この点について。
福田篤泰
246
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
岩間
委員
の置かれておる立場からいえば、いろいろな見方もあり、いろいろな論理の裏づけがあろうと思います。われわれはそう考えておりません。あくまで
防衛庁
、
自衛隊
に与えられた任務にみんな真剣に邁進しておる。並びに産業界にいたしましても、〇・六%は数字の問題で、確実な数字で——ただ比重の重い産業だけをあげられて例をとられることは、妥当でないと考えます。
岩間正男
247
○
岩間正男
君 あなたは否定されますけれども、「国の政治の中に総合された対策が特に巧妙に織り込まれねばならない」、これは決して単純な言葉じゃありませんよ。これは一幕僚の一私見などと言って一体この問題をごまかすことのできる問題ですか、どうですか。私はたくさんこれはあげることができると思いますね。いまの教育を見てごらんなさい。教育体制はどうだ。
自衛隊
の教育への介入というのが非常に最近目立っていますよ。ここに皆さんおいでになりますけれども、目黒十中の問題、あなたは父兄でしょうが、PTAの。あそこで先生の排斥が起こっているじゃないですか。あそこの卒業生たちは、偏向教育だと言っておりますよ。あなたのむすこさんが行かれているでしょう。ところが、聞いてみると、私の隣の学校でも相当
自衛隊
の数が——聞いてみたら、練馬がそうだ、北区がそうだ。調べてみると、これは相当なものだ。これは最近の方針でございますか、いかがですか。
三輪良雄
248
○
政府委員
(三輪良雄君) こんなところで私お答えする立場じゃありませんけれども、名前を名のってのことですから、はっきりいたしますが、私の子供が行っている学校の例をお引きになりました。まさしく行っておりまして、問題のある学校でございます。各学校に
自衛隊
の父兄がいるということでございますが、これはもう
自衛隊
は全国に散らばっているわけでございますから、父兄がいるのは当然でございます。また、私は、父兄としてそういうことについて私の考えを述べることは、これは私権者の立場でやっているのでございまして、
政府委員
として、公務員としてやっているわけじゃございません。
村山道雄
249
○
主査
(
村山道雄
君) あとの時間がまいっておりますから、その辺で……。
岩間正男
250
○
岩間正男
君 それから、こういう問題と歩調を合わせていますが、小中学校の
自衛隊
見学、先ほどもお話がありました何日
入隊
、非常に成績があがっている、こういうことですけれども、ここのところに実際はかり立てられていく。そして、PTAあたりで決議をして、相当無理をやっている実情というものをお調べにならなければ、お話になりませんよ。 それから、
自衛隊
の見学、さらにそういう直接
自衛隊
の結びつきが問題ですけれども、最近のPRですね、教育を通じた。第一、池田総理の愛国心、それから自衛の精神、池田・ロバートソン会談以後に行なわれているPR、そうして、どうですか、どんどん最近はこの戦争教育の方向にあおりたてている。母親学級、青年学級、こういう施策を見るというと、非常にこういう傾向があります。映画、雑誌、
新聞
、こういうところに非常にはんらんしてきている。テレビを見てごらんなさい。最近は全く戦争ものがはんらんしているのですよ。漫画の本を見てごらんなさい。少年の雑誌の付録を見てごらんなさい。こういう点で、私は、この取り上げたことばですね、もう何回繰り返してもこれは繰り返し足りないと思うのでありますけれども、「国の政治の中に総合された対策が特に巧妙に織り込まれねばならない」——教育体制の中にももうどんどんこういうふうに入ってきているでしょう。これは何です。これはまさに国防国家、総力戦体制の方向に大きくこれはふくらもうとしている。 まあ、時間がございませんから、最後にもう一つあげたいのは、地方自治体です。地方自治体のやり方を見てごらんなさい。広域行政、この広域行政はまたかつてのような支配を容易にするために、小さい単位じゃまずいですから集めている。上から号令をかければぐっといく。
予算
の組み方を見てもそうですよ。
予算
でもってしばられて、地方行政は仕事ができなくなってきている。最近はもう地主の農地報償の問題が非常にやかましくなっています。これは一方では農協の合同があり、これと深い関係がある。どういう関係があるかというと、合同されたその農協の中の発言権を、やはりかつての地主が大きく拡大していく。そのためには、やはり公債をここに出す、見返りに金を借りる。そして、その中で有力な地位を占める。これがかつての東条時代の大政翼賛会の支部、あの中でボス、顔役がほんとうに足になりました。戦争協力の足になりました。中央でそういう体制をとっただけじゃない。実は地方でそのような協力体制が整わなければ、あのような戦争はできなかった。そのために、ボスや顔役をみんなそこに据えた。再びこういうものができているのだ。固定資産税の再評価の延期の問題、農業構造改善事業、こういうものを見てみると、私は実は農村を最近四、五日歩いた。実際驚いた。われわれの身辺に迫ってきている。こういう協力体制というもの、こういうものをはっきり私たちはいま明らかにしなければならない。東条の時代、あのときはとにかく曲がりなりにも
日本
の独自の形でやっていった。しかし、今度の場合は、そうじゃありません。その背後にはアメリカの極東侵略がある。それに協力させられる池田
内閣
のこの政策——一方ではあくまでも極東のこういう戦争協力体制をつくると同時に、国内における冷戦対策というような、そういう人民弾圧の対策、さらに核武装化を進めていく。まあ時間がございませんから、私は以上の問題を指摘して、ほんとうに総力戦体制というような形で、意識するとせざるとにかかわらず、いつの間にか、どこかでだれかがそれをぐっと回してきている。そういう体制の中に落とされてきている。そういう中で、この
日本
のいまの現象というものを、ほんとうに社会現象なり
日本
の政治形態というものをはっきり見直してみて、がく然としているのです。
防衛庁
長官
どうなんです。そういう中で、はっきり私はこのような文書は生きていると思う。あなたはこれを否定されましたが、こんなものは亡霊だと言ったが、亡霊じゃない。具体的に、ことばではどんなに否定しても、現実は生きているじゃありませんか。こういう問題について、その上に国防省昇格、そうして憲法改正、一九七〇年の安保再改定につながっていくという一連の構想、われわれはこれを黙っていることができるか。
日本
の平和と真の
民主主義
と独立をほんとうに望んで、国民の生活安定を望んでいるわれわれは、一体黙っていることができるか。今日これをどうしたって明らかにしなければならないと思うのです。どうですか、
防衛庁
長官
。池田総理が出ておりませんから、あなたたちは、この何は知らなかった、何は知らなかったと、何一つ答えておらない。つんぼさじきにおるようなものだ。しかし、今日ではそういうことは許されない。私は、どうしたってこういう包囲体制の中で、あるいはシビリアン・コントロールを守り、政治性を確立する——口先だけではだめですよ。そうして、ほんとうにあたりをおもんぱかっては、あなた自身の立場はくずれてしまう。そんなことではこの重大な問題は解決することはできないのですから、私ははっきりしたところの決意を最後にお伺いして私の質問を終わります。いかがですか。
福田篤泰
251
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) われわれ
自衛隊
としましては、国民の皆さんの協力と理解のもとに、ほんとうの意味の
日本
の独立と平和のために、この大きな任務に邁進いたしたいと考えております。
村山道雄
252
○
主査
(
村山道雄
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
村山道雄
253
○
主査
(
村山道雄
君) 速記を始めて。木村君。
木村禧八郎
254
○
木村禧八郎
君 なるべく簡潔に質問をいたします。防衛関係
予算
について、特に
継続費
と
国庫債務負担行為
について伺います。 先ほど三十九年度の
防衛庁予算
の
説明
がありましたが、この中で、
国庫債務負担行為
が四百三十三億、三十九年度。それから
継続費
が百十一億八千万円。これは
総額
で幾らになりますか。 〔
主査
退席、副
主査
着席〕
上田克郎
255
○
政府委員
(上田克郎君)
総額
では、三十九年度の
国庫債務負担行為
は四百三十三億五千六百万円でございます。
木村禧八郎
256
○
木村禧八郎
君 三十九年度じゃないのですよ。総計で、通計で、それと
総額
と、三十九年度以後どのくらいの
国庫債務負担行為
になるか。全体でですよ。三十九年度だけじゃないのですよ。
継続費
についてもそうです。
上田克郎
257
○
政府委員
(上田克郎君) 後年度に残ります
国庫債務負担行為
は七百十九億九千九百万円でございます。
木村禧八郎
258
○
木村禧八郎
君 後年度といいますと、いつからいつまでですか。
上田克郎
259
○
政府委員
(上田克郎君) 御承知のように、
国庫債務負担行為
は、原則として二年あるいは五年まであるのがございますが、後年度負担分と、その年に支出されるものと両方ございますので、後年度負担分と申しますのは、その年に
国庫債務負担行為
で支出されたものを除いた後年度に歳出される債務負担
行為
、こういうものでございます。
木村禧八郎
260
○
木村禧八郎
君 三十九年度入っておりますか。四百三十三億入っておりますか。
上田克郎
261
○
政府委員
(上田克郎君) 先ほど御指摘のように、三十九年度で三百八十五億三千六百万円の
国庫債務負担行為
を新たに起こしますので……。
木村禧八郎
262
○
木村禧八郎
君 これはもうわかっていなければならないのですよ。いま
総額
が幾らで、いままで幾ら
国庫債務負担行為
で支出して、三十九年度以降どのくらいというのはわかっていなければならぬわけですよ。いままでの総計で幾らか。
小幡琢也
263
○
説明員
(
小幡
琢也君) お答え申し上げますが、
国庫債務負担行為
は、三十八年度末で百八十億四千九百万円残っておりまして、それに加えまして、三十九年度に新しく三百八十五億三千六百万円の債務負担をいたしますので、計をいたしますと、三十九年度末には五百六十五億八千五百万という数字が後年度に残る予定でございます。それに、
継続費
も同じような計算をいたしまして、三十八年度末には六十二億五千万円という債務が残りますが、それに三十九年度新しく九十一億六千四百万の後年度の債務負担でございますから、合わせますと百五十四億一千四百万円、したがいまして
国庫債務負担行為
と
継続費
両方で、四十年度以降に残る分が先ほど申し上げました七百十九億九千九百万円でございます。
木村禧八郎
264
○
木村禧八郎
君 これは両方でですか。
国庫債務負担行為
と
継続費
で、両方で七百十九億ですか。
小幡琢也
265
○
説明員
(
小幡
琢也君) さようでございます。
木村禧八郎
266
○
木村禧八郎
君 先ほど、
継続費
は百五十幾らといいましたか、三十九年度以降、支出予定です。
小幡琢也
267
○
説明員
(
小幡
琢也君)
継続費
は、三十九年度の支出予定が九十一億六千四百万円、というのが三十九年度新しく負担をいたしました額でございまして、そのほかに従来の分がございまして、その分が六十二億五千万円でございます。合わせまして百五十四億一千四百万円ということになるわけでございます。
木村禧八郎
268
○
木村禧八郎
君 あなた、財政法第二十八条によってわれわれに配付されている
資料
があるのですよ。これを見ますと、二百三十九億七千二百十六万七千円になっていますよ。三十九年度以降の支出予定額は、いまのと違いますよ。それはどういうわけなんです。
小幡琢也
269
○
説明員
(
小幡
琢也君) お答え申し上げます。 財政法二十八条のこの参考
資料
でございますが、これは
国庫債務負担行為
の調書でございまして……。
木村禧八郎
270
○
木村禧八郎
君
国庫債務負担行為
ではない。
継続費
を聞いている。五六ページ。
小幡琢也
271
○
説明員
(
小幡
琢也君) これは、三十八年度以前の分と三十九年度合わせた数字でございまして、私の申し上げた数字と同じでございます。
木村禧八郎
272
○
木村禧八郎
君 おかしいじゃないのですか。全体で三百二十八億なんですよ。それで三十七年度末までの支出額が二十九億で三十八年度の支出額及び支出見込み額が五十九億で、三十九年度以降の支出予定額が二百三十九億、こうなっているんですよ。
小幡琢也
273
○
説明員
(
小幡
琢也君) 訂正いたします。実は、私申し上げました百五十四億一千四百万は四十年度以降の数字でございまして、それに三十九年度の八十五億六千七百万円を入れますと、二百三十九億七千二百万円でございます。訂正いたします。
木村禧八郎
274
○
木村禧八郎
君 それから
国庫債務負担行為
は
総額
が幾らですか。さっきのお話とだいぶ違うんですが。
小幡琢也
275
○
説明員
(
小幡
琢也君)
国庫債務負担行為
についても、私が申し上げましたのは、実は四十年度以降でございまして、それに三十九年度に当該年度歳出になります四十八億二千万円を加えますと、たしか先生のおっしゃる数字になると思います。
木村禧八郎
276
○
木村禧八郎
君
総額
幾らです、
総額
、まず。
小幡琢也
277
○
説明員
(
小幡
琢也君)
総額
は、実は三十八年度末に百八十億四千九百万という後年度負担が残っているわけでございまして、それに三十九年度に新たに四百三十三億五千六百万の
国庫債務負担行為
をいたしますが、そのうち四十八億二千万は三十九年中に歳出になりますので、残りの三百八十五億三千六百万が四十年度以降に残るわけでございます。
木村禧八郎
278
○
木村禧八郎
君 われわれにこういう
資料
が出ているんですからね。わかりやすく
説明
してください。
総額
といったら
総額
を答えて下さい。
総額
は千二百三十五億くらいになる。それで、
総額
はそうだけれども、三十八年、三十九年で支出しておりますから、ずっと支出しておりますから、それで三十九年度以降はどのくらいになるのか。
総額
と三十九年度以降の支出額を言ってくれればいいのですよ。簡単じゃないですかね。
小幡琢也
279
○
説明員
(
小幡
琢也君) 実は、
総額
と申しますのは、
予算
書に三十九年度の
国庫債務負担行為
の
総額
を載っけているわけでございます。それ以前の三十八年度以前の分につきましては、これは実は毎年度
総額
を
予算
に載っけますが、そのうち当年度歳出分を引きましたものが後年度支出分になるわけでございますので、私は、その三十八年度以前は後年度負担分だけを申し上げたわけでございます。
木村禧八郎
280
○
木村禧八郎
君 こんなことで時間をとっちゃ、実際困るですね。ここにはちゃんと出ているのですからね。そこで、まず
総額
を出して、三十八年度末までの支出額が幾らで、三十九年度支出見込み額が幾らで、
昭和
四十年度以降の支出予定額は幾ら、こういうふうに一これは、なぜ聞くかというと、ぼくが計算すればいいんですが、ここは計算してないのですよ。こっちは通計してないのですよ。
継続費
のほうは通計してありますから、すぐわかりますからね。これは通計してないのです。
小幡琢也
281
○
説明員
(
小幡
琢也君) この
資料
にございます四六ページの、これを総計すればいいわけでございますね。私、実はまだ総計しておりませんので、後ほど計算いたしまして、すぐ御返事申し上げます。
木村禧八郎
282
○
木村禧八郎
君 そんなことにこだわっていては……。とにかく防衛関係費三十九年度約二千七百億円以外に、
国庫債務負担行為
も、それから
継続費
もあるわけですね。ですから、それを全体寄せてみますと、防衛費は一般会計に二千七百億出ている以外に、かなり大きい負担があるわけです、また後年度分も入れてみますと。実は、そういうものを通計して、われわれは防衛費というものを考えなければならぬわけですよ。一般会計に計上されている二千七百億だけではいけないのです。そこでお聞きするわけです。 もう一つ伺っておきたいのですが、この
予算
では、
国庫債務負担行為
として
艦船
の
建造
費が計上されている。また
継続費
として計上されている。
国庫債務負担行為
と
継続費
をどういうふうに区別して計上しているのか。
上田克郎
283
○
政府委員
(上田克郎君) 原則的に申し上げますと、
国庫債務負担行為
で計上しておりまするのは、小さな艦艇で二年以内に大体でき上がるもの、そういうものは
国庫債務負担行為
で要求いたしております。それから三年ないし四年かかります艦艇につきましては、これは
継続費
で要求しております。そういう原則でいたしております。
木村禧八郎
284
○
木村禧八郎
君 財政法では、
国庫債務負担行為
も
継続費
も大体五年以内まで認められているわけですね。財政法では。それで、わりあい短期のものを
国庫債務負担行為
でやる、かなり長期のものを
継続費
でやる、こういう意味ですか。
上田克郎
285
○
政府委員
(上田克郎君) そのとおりでございます。
国庫債務負担行為
でも法的にはやれないことはないわけでございますが、小さいものは最初の契約で一括してきめられるというものでございますので、二年間であれば
国庫債務負担行為
でやれるということで、
国庫債務負担行為
といたしまして、
継続費
は、御承知のように、逓次繰り越しだとか、そのほか途中でのいろんな事情の変化があったり、あるいは分けて契約したりというようなことでございますので、長期を要する、三年ないし四年を要する艦艇については
継続費
、そういう形でやっております。
木村禧八郎
286
○
木村禧八郎
君 そうしますと、さっき、四十年度以降
国庫債務負担行為
と
継続費
の支出は七百十九億ということでしたね、四十年度以降。そうしますと、とにかく二千七百億に対して、これだけ
予算
に計上されてない分があるわけですよね。これは、次々と後年度の
予算
に出てくるわけですね。
上田克郎
287
○
政府委員
(上田克郎君) さようでございます。その
継続費
は、
年割り額
というのがございまして、また
国庫債務負担行為
のほうは歳出額でございまして、その年々にそれが歳出として実現されてまいります。
木村禧八郎
288
○
木村禧八郎
君 これは、一般にはあまり気がつかれていないと思うのです。防衛費というと、一般会計に計上されている二千七百億。われわれ国
会議
員の立場で
予算
審議する場合、これがだんだん大きくなりますと、
国庫債務負担行為
だの
継続費
がだんだん大きくなると、それだけ
予算
の審議権が制約されてくるわけです。それだけ。そうでしょう。ここで、そういうものを五カ年なり二カ年なり認めてしまうと、それで毎年、今度はそれは先取りになるわけです、それだけが。ですから、これについては、われわれ非常な関心を持たざるを得ないのです。それで、この
予算
をごらんになれば、
継続費
は、防衛関係費以外には何にもないのですよ。 財政法で
継続費
を認めたのは、あれは
昭和
二十七年でしたか、改正によりまして認めたでしょう。それまでは
継続費
は認めていなかったのです、財政法では。みんな
国庫債務負担行為
でまかなっていたものなんです。
継続費
を認めたときに、これはちょうど池田総理が大蔵大臣をやっていたころですね。ずいぶんあれは問題にしたわけです、
継続費
を認めるにつきまして、ですから、いまの
継続費
は、これごらんになりますと、非常に変則になっているのです。一たん
継続費
を認めても、あとでまた再び審議することができるということになっているのです。これは非常に変則になっているわけです、
継続費
は。それで、あの当時は、
継続費
、
継続費
として軍事費が非常にふえていって、
予算
の硬直性を非常に強くしたわけです。ところが、この
予算
を見ますと、財政法の二十八条の参考書を見ますと、防衛費以外には
継続費
は何もないのです。全部。
継続費
はですよ。それは、われわれ懸念したわけですよ。
継続費
、
継続費
って、今後安易にどんどんこういうふうに認めていく。ここでも。ここで一応認めますね。
継続費
を。
合計
三十九年度百十一億認めますと、これは年割りであともきまっちまうわけですよ。 大体国債債務負担
行為
もそうですね。これは、本年度これだけ出すわけじゃないのです。本年度これだけの支出じゃありませんね。
国庫債務負担行為
四百三十三億、
継続費
が百十一億。これは本年度全部これを支出するわけじゃございませんけれども、これだけ縛られるわけです、後年度において。 そこで、今後
継続費
や
国庫債務負担行為
はもっとふえてくるのではないかということをお聞きしたいわけです。この点については、
防衛庁
長官
、どういうお見通しでございますか。
上田克郎
289
○
政府委員
(上田克郎君) 先生のおっしゃいますようなことは私からお答えするのはどうかと思いますが、
大蔵省
の立場としては、財政の硬直性と申しますが、そういうようなことで、
国庫債務負担行為
が多くなることは望んでないように
予算
折衝上私感じております。今後とも、そういうものがどんどんふえていくというような方向には
予算
編成はされないだろうと私は考えます。なお、
継続費
につきましては、御承知のように、先ほど申し上げましたように、艦艇のうちで、三年ないし四年かかるような大きな艦艇についての
継続費
でございますので、これは二次防の線に沿って計画しておる程度でございますので、そうむやみにこれがふえていくというようなことばないと私は考えております。
木村禧八郎
290
○
木村禧八郎
君 それが私承服できないのですよ。それは、客観的な事実としまして、これはあとでも質問したいと思うのですが、アメリカの無償軍事援助、大体九百億、第二次防衛計画で予定しておったということを
予算委員会
で
防衛庁
長官
がおっしゃった。それがかりに打ち切りになってくると、それから古い兵器の国産化——さっき質問がありましたが、国産化していく。そうしますと、
防衛庁予算
の中で、今後、
人件費
よりは需品費が非常にふえてくると思うのです。 そこで、最近の
人件費
と需品費との割合はどうなっておりますか。だんだん需品費の割合がふえてくるのじゃないかと思うのです。そうしますと、それは、兵器とか艦艇とか、そういうものの費用がふえてくる。そうなれば、どうしてもこれが
継続費
とか
国庫債務負担行為
の形の
予算
要求がふえてくるのではないか、そういうことから。
上田克郎
291
○
政府委員
(上田克郎君)
人件費
とその他の機材費等との大体の割合でございますが、
人件費
は、大体この数年間の傾向を見ますと、総
予算
の約四〇%くらいが
人件費
になっております。それから機材費と申しますか、これは
艦船
の
建造
費、
航空機
の
購入
費、それから通信機器の
購入
費等と合わせますと、大体二四%ないし二五%、それから油のようなもの、あるいは
弾薬
のようなもの、そういう油
購入
費、
弾薬購入
費等を拾いますと、これが約二五%ないし二六%くらい、その他が、
施設
の
整備
費だとか研究所の
経費
だとかいうものが残りの一〇%くらい、大体四%ないし五%ずつでございます。そういうような傾向にございまして、先生の御指摘のような、今後機材費がふえれば国庫債務がふえるかという問題は、先ほど申し上げましたように、全体としては、なるべく
国庫債務負担行為
は多くしないというような方向で
予算
編成が行なわれているように私は感じております。それがどんどん今後ふえてくるというような感じは持っておりません。
木村禧八郎
292
○
木村禧八郎
君 全体として国産化していかないというお話ですね。 〔副
主査
退席、
主査
着席〕
上田克郎
293
○
政府委員
(上田克郎君) 国産化ではございません。
国庫債務負担行為
にはしていかないということでございます。国産化が増してまいりましても、そのために
国庫債務負担行為
がふえるかどうかという点は、その
国庫債務負担行為
をなるべく少なくしようというような方向にあるように、私は
予算
編成で
大蔵省
と折衝しております際に感じておりますので、今後それはどんどんふえていくということはないだろうと思います。それで、現に三十九年度は三十八年度よりも
国庫債務負担行為
は減っております。
木村禧八郎
294
○
木村禧八郎
君
継続費
はどうなんですか、
継続費
。
上田克郎
295
○
政府委員
(上田克郎君)
継続費
は、先ほど申し上げましたように、大きな船をつくります場合に
継続費
というものを計上いたしますものですから、船はそうどんどんつくれません。大体二次防の線によってつくっておりますので、その年によって、大きな船が四隻になることもありますし、三隻になることもございますので、それが八隻とか九隻とか、急にふえるということはないと思います。
木村禧八郎
296
○
木村禧八郎
君 いわゆるバッジ・システムとかいわれておりますが、あれは非常に金がかかるようにいわれておりますが、あれはどのくらい
予算
がかかるものですか。ああいうものが出てくると、これはまた
継続費
にならざるを得ないのじゃないですかね。
継続費
にならぬとすると、ぼくは当年度
予算
がぐっとふえてくると思うのです。そんなら。
上田克郎
297
○
政府委員
(上田克郎君) 御指摘のバッジの
予算
につきましては、
国庫債務負担行為
でいただくことにしております。
木村禧八郎
298
○
木村禧八郎
君 どのくらいかかるのですか。
小幡琢也
299
○
説明員
(
小幡
琢也君)
国庫債務負担行為
で百三十一億六千二百万円でございます。そのほかに、若干当該年度の歳出がございまして、三十九年度は十七億三千四百万円計上いたしております。
木村禧八郎
300
○
木村禧八郎
君 三十九年度は、バッジ・システムの債務負担
行為
は、これには含まれていないのですね、四百三十三億。
小幡琢也
301
○
説明員
(
小幡
琢也君) ただいま申し上げました百三十一億六千二百万円は、先ほどの数字に含まれております。
木村禧八郎
302
○
木村禧八郎
君 含まれている。
小幡琢也
303
○
説明員
(
小幡
琢也君) はい。
木村禧八郎
304
○
木村禧八郎
君
国庫債務負担行為
を少なくしていく、
大蔵省
がそういう方針である、そうなると、当年度
予算
が非常にふえてこざるを得ないのです。どうしても防衛費が。
上田克郎
305
○
政府委員
(上田克郎君) 先ほど先生の御指摘のように、なるべくならば硬直性をなくするために歳出に組むという方向でいくといたしますと、わがほうが
経費
がよけいかかるというような場合には、歳出がふえてくるというのは、これはいたし方ないことだと思います。
木村禧八郎
306
○
木村禧八郎
君 そこで、いたし方ない——今後は、
防衛庁
は、ぼくは、いままでのようなふえ方よりも、かなりふえる率が多くなってくるのじゃないかというように思われるのですよ。たとえば、アメリカに予定した無償軍事援助は打ち切りになる。その点も伺いたいのです。それは、いま現実にどうなっておるのか。この第二次防衛計画で期待したアメリカの無償軍事援助が打ち切りになる。そうなったら、今度は、こっちの国内の
予算
ではどういう措置を講ずるのか。それはやめちゃうのか。今度は有償援助に切りかえるのか。有償援助に切りかえるとなると、今度はドルを払わなければならなくなりますね。ドルとして、どのくらいの支出が出てくるのか。アメリカの無償援助打ち切りによる国内的な影響を少し具体的に伺いたいのです。
伊藤三郎
307
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) 二次防の当初の計画におきましては、無償援助を約九百億円見込んでおったわけでございます。でありますが、先ほど申しましたように、その後、単価の変更、数量の変更等がございまして、現在見積もりますと、約六百三十億円程度のものになるわけでございます。一例は、先ほど申しましたように、ナイキ、ホークと、二次防の当初の計画では二百二十一億円のものをアメリカに期待しておったのでありますが、それが六十七億になっております。わがほうの負担額は当初の見込み以内でございまして、別に、わがほうをふやして、アメリカ側の負担を減らしたというわけではございません。そういうことで、現在時点では一応六百三十億が見込まれておる。このうち、これに対しまして、六二年のマップと六三年のマップと合わせまして二百三十億承認済みでございます。あと四百億円が六四マップ以降に期待することになるわけでございます。でありますが、御承知のような情勢で、これはまるまるもらえるという期待をすることは、もちろん非常に困難でございます。今後の折衝によりまして、できるだけ当初の計画どおりのものを承認を受けたいと考えておるわけでございます。もし来なかった場合にどうなるかという点でございますが、たとえば、艦艇の搭載の武器、アスロックとかダッシュとか、こういうものを六四で一部非公式に内示はございますけれども、六五以降はわかりません。もしこれが打ち切られた場合にどうするかということになりますと、国産化をするか、いま木村先生言われましたように、有償援助で買うか、ということになるわけでございます。その場合に、考え方としまして、国産化をするほうがドル節約にもなりますし、また将来のメインテナンスを考えますと、国産化をしたほうが当然いいのでございます。ただ、数の非常に少ないもの、こういうものを国産化いたしますと、単価が非常に高くなる懸念があるわけでございます。そういう点をにらみ合わせまして、国産化をするか、有償援助で買うか、ということになります。さらにまた、艦艇搭載装備品のように優先度の高くないもの、優先度の低いものにつきましては、無償援助の打ち切られた場合にどうするか、買うかやめるかということを、そのときに検討しなければならないと考えます。
木村禧八郎
308
○
木村禧八郎
君 そうしますと、
日本
のこの防衛計画は、その点では非常に不安定ですね。四百億来るか来ないかわからぬ。国産化するか、あるいはまた有償援助に切りかえるか、非常に不安定です。それ以外に、今度は、いままで予定した無償援助が来なくなるという公算があるわけですね。それと今度は、それ以外に、たとえば第三次防衛計画になった場合は、今度は全然来ないということになれば、アメリカの援助を受ける場合には、まるまるドルで有償援助を受けなければならないということになりますね。そういう点で、今後
日本
の防衛負担というものがかなり私は大きくなってくるんじゃないかと思われるのですよ。 それからもう一つ、さっきお話がありましたが、
日本
の兵器がどんどん古くなるでしょう。これを新しいのに切りかえるのですね。切りかえる。その場合の
物件費
というのは相当ふえてくるのじゃないかと、われわれしろうとでは、そう思われるわけです。たとえば、朝鮮戦争当時に貸与された、こういうのはもう古いから、どんどんこれはかえなければならぬ、そういう時期に来ているわけでしょう、もう。それを今度は切りかえるという場合に、それはどのくらいの
予算
になるものか、全体で。それは国産化するのか、あるいは今度はアメリカから有償援助で買うのか。その点はどういうふうになるのですか。それは、僕はかなり大きい金額になるのじゃないかと思うのですが。
伊藤三郎
309
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) 従来供与を受けておりましたものを更新する必要が生じてくるのは当然でございます。そういう意味で、三十九年度
予算
に頭を出しております新小銃二万五千丁を
予算
で要求しております。これは、現在供与を受けております小銃の更新になるわけでございます。その他、三十六年度から
建造
しております六一式戦車というのも、これは供与を受けた戦車の更新になるわけでございまして、そういうふうに、
予算
の範囲で逐次更新をいたしておるわけでございますが、それぞれの装備品の種類によりまして、もちろん耐用命数がございますので、一がいに全部かえなければならぬというわけのものでもございません。たとえば、いま言いました小銃のようなもの、これは非常に耐用命数が長いのであります。しょっちゅう使っておれば別でありますけれども、そう使わなければ、旧陸軍では四、五十年の耐用命数を考えておったというようなものでございます。ものによりまして、それぞれの耐用命数に応じて更新をはかっていくということになるわけであります。ただ、その金額を全部で幾らかと言われましても、ただいますぐそういう数字は持ち合わしておりませんので、御了承願いたいと思います。
木村禧八郎
310
○
木村禧八郎
君 ここでこまかいこと聞いておっても意味ないわけです。われわれ、全体のこの今後の
予算
の見通しを立てる上でお聞きしているわけです。ですから、計画があるはずだと思うのですよ。計画があるはずだと思う。それは、兵器の種類によっていろいろ違うといいますけれども、アメリカから貸与された古い兵器は、何年間で、何年計画でどの程度までこれを更新させるという計画がなければならぬはずですよ。おありになったら、これは、いますぐにわからなければ、
資料
として出していただいて、これを何年計画ぐらいで更新する——もう頭が出てきているというのですから、さっきのお話で、三十九年度
予算
において戦車なりあるいは小銃について頭が出てきているというのですから、それは当然なければならぬはずです。何年計画でこれを更新して、それにはどのくらいの
予算
が要るのだという、そういう点を私は聞きたいのですよ。
伊藤三郎
311
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) そういう点も十分に考慮をして第二次
防衛力整備計画
の年次別計画ができておるわけでございます。したがいまして、今後の計画としましては、二次防の期間中はその計画に従って実行していきますし、その後につきましては、三次防策定のときに決定される、そういうふうに考えております。
木村禧八郎
312
○
木村禧八郎
君 三次以後にまた
予算
が策定される——どうも私は、時間がございませんから、あまりもう言いませんけれども、今後、いままで予想されたより防衛費はかなりスピードが急スピードで大きくなるのじゃないかという予想があるわけです。いまお話ししたように、国産化しなければならぬという問題がある。古い兵器をかえなければならぬということ、それから
継続費
なり
国庫債務負担行為
というものがずいぶんありますけれども、これは、物価の値上がりというものはどういうふうに見込んでいるのですか。五カ年計画なら、物価の値上がりがかなり影響があるわけです。ところが、年次割りが出ているわけです、年次割りが。これでやっていけるのですか。当然、そこに何か補正が出てこなければならぬはずだと思う。
伊藤三郎
313
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) 大体年次割りをつくりましたようなものは、その
予算
の範囲内でまかなっております。ただ、途中で仕様の変更、設計の変更等がありまして、
予算
増を必要とするものはそういう前例もございますが、それはそのときに
予算
増をお願いしております。
木村禧八郎
314
○
木村禧八郎
君 どうもよく了解できない。まあ、ここでこまかい点を御答弁できなければ、
資料
として、はっきり出してもらいたいのですが、あの
継続費
の調書を見ましても、四十二年度にわたって支出されるわけです。これは三十九年度から始まるやつですけれども、三十六年から始まったものでも、三十六年から三十九年度までの支出があるわけです。三十七年度から始まった分では、四十年度まで支出があるわけです。三十六年から最近まで、少なくとも二〇%以上消費者物価は上がっているわけです。それから賃金だって上がっています。労務費だって上がっています。それが考慮されないというのはおかしいと思うのです。それは、具体的にどういうふうに考慮されているのか。その点がはっきりしないのです。それで、この年次割りのはこのとおりやっていきますと言うけれども、このとおりやったら必ず計画どおり行なわれないのは明らかです。それは、労務費だって非常に上がっているのですから、そういう補正の問題ですよ。何も、私は防衛費をむやみにふやせというのじゃない。全体、どうも防衛費は、そういう物価値上がりの問題があり、それからいままでの古い兵器を更新しなければならぬ。それからアメリカの無償援助は、全部じゃなくても、打ち切られる面もある。新しい有償援助にいかなければならぬということを考えますと、予定していたよりか防衛費は非常に大きくなるのではないか、こういうふうに考えるのですよ。その点、もう時間がありませんから、総括的に、そういうものを含めて今後の防衛費はどういうふうに見通しているのか。
上田克郎
315
○
政府委員
(上田克郎君) 御承知のように、
継続費
でございましても、契約は、たとえば船体なら船体という契約は、その船体分として契約いたしまして、支払いのときに年次割りになるわけでございます。最初に、たとえばこれは三十億でつくるという契約をいたしますと、その支払いが三年なり四年なり延びるだけでございまして、最初の契約三十億というのは、よほどの事情があって変えなければならぬということでない限り、従来そういうことはないようでございますが、それで、契約のままで支払いますので、御
心配
のような、たとえば物価が、そのときに、相手が、契約した人が予想したよりも上がった場合には、相手はそれでがまんするということになろうかと思うのでございます。それから
国庫債務負担行為
でございますと、初めから契約一本でやってしまいますので、それが歳出額になります。その範囲内で支払うということになりますので、御
心配
のようなことはなかろうかと考えております。
木村禧八郎
316
○
木村禧八郎
君 それは、お話はそのとおりですよ。しかし、実際そういきますか。たとえば、業者として手抜きするとかなんとかしませんか。ぼくは、どうしたって、実際問題として、契約したとき三十億で契約した、ところが、年次割りで一応きまっておっても、労務費も上がってくる、資材費も上がってくるというときに、どうしますか。われわれとしては、それで業者が負担に甘んずる、
損失
に甘んずる、それでつくればそれでけっこうです。しかし、実際問題として、そういうときに、どうしたって、業者だって慈善事業をやっているわけじゃない。商売でやっているんでしょう。そうすれば、どうしたって、それが物価が二%とか三%ぐらいならたいしたことないです。あるいは
経費
の節約とか合理化でできると思う。三年間で二割も上がる、こういうような場合は、問題が大きいです。そういうことについて、やはり
心配
がないというだけで、ぼくは、いいのかどうか。もっとこれは、そういう物価値上がりのような場合、
継続費
あるいは
国庫債務負担行為
、長期契約するときに、あとでやはりこれは点検しないと、必ずその影響というのはぼくはあるんじゃないかと思う。ないのがおかしいと思う。そういう点について、ただ、契約しちゃったんだからだいじょうぶだと、それだけで済ましておるんですか。
伊藤三郎
317
○
政府委員
(伊藤
三郎
君)
F1
04Jの契約は、五カ年の
国庫債務負担行為
で契約をいたしております。それで、契約のときの条件としまして、最高限度をきめた概算契約になっております。ただ、条件をつけまして、重大な経済情勢の変更等の場合においては、両者協議して、
予算
の範囲内で改定をするという条件がついております。でありますが、その場合に、賃金につきましては、年率たしか五%であったと思いますが、ぐらい上がるであろうというのを見込んで
予算
を出しております。で、実際やってみますと、賃金はそれ以上に上がっておりますが、一方、操業度が上昇しておりますので、それが相殺されまして、現在までのところ、加工賃は大体契約時の予想どおりいっております。それから部品、材料等につきましては、これは契約当初に相当部分を手配いたしておりますので、その後の物価騰貴の影響というのはあまり受けておりませんで、
予算
当時見込んだ額で大体手配をしておるわけであります。そういうような状況でございます。それからもう一つ、業者が手を抜くんではないかという点でございますが、そういう懸念もありますので、受領検査をできるだけ厳重にやるようにいたしております。
調達実施本部
に駐在官を置きまして、主要な工場には駐在官を派遣をいたしまして、生産工程の途中から品質
管理
等について検査をいたしております。さらに、受領検査についても、検査要領を定めまして厳重にやっております。でありますが、毎日つきっ切りでやるわけにいきませんので、木村先生の言われますように、それは非常に手を抜いたところを見過ごすというようなことがなきを期しがたいとは思います。でありますが、もしもそういうものがあとで発見されました場合には、そういう業者にはもう発注しないというふうに考えております。まあ、業者のほうも誠意をもって生産に当たっておるというふうに考えております。
木村禧八郎
318
○
木村禧八郎
君 これは、防衛費
予算
だけではなくて、いろんな政府で長期計画を立てる
予算
について、みんなそういうことが言われるわけですよね。五カ年計画とかなにかという場合。初めそういう計画を立てるけれども、あとで単価が上がっちゃって、そして実質の仕事のほうを減らして調整するということにどうしてもなりがちなんですよね。ですから、この物価値上がりの影響というものは、単に国民生活の非常に重圧になるばかりでなく、国の仕事をやる場合、ずいぶんいろんな面にそういう影響があると思うんですが、ことに防衛費なんかについては、
継続費
あるいは
国庫債務負担行為
あたり、かなり大きいわけなんですからね。それについて、物価値上がりの影響がないということはあり得ないと思うので、いま伺ったんです。 そこで、今後の防衛費の見通しはどういうふうにお見通しになっているか。大体第三次防衛計画も、第二次が終われば、もう作業が進められると思うんです。で、大まかにいって、大体いままでは、高度経済成長で、毎年自然増収というのが非常にあったわけです。ものすごくあった。今後は、そんなに自然増収というのは、ぼくは期待できないと思う。三十九年度は、これはまたちょっと例外ですよ。六千八百二十六億も、ものすごい自然増収があった。そういう場合、国民所得あるいは
歳出予算
の中で、大体何%くらいという——これはもう何回も問題になるんですけれども、この際もう一度伺っておきたいんです。と申しますのは、最近自主防衛ということが言われますね。アメリカが撤退してまいるでしょう。その埋め合わせに、
日本
のほうが、これは何もアメリカの肩がわりじゃないと言ってはおりますけれども、いや自主的にやるのだと言っておりますけれども、実質は肩がわりですよ。さっきの赤羽じゃありませんが、アメリカ軍が撤退すれば、今度は
日本
の
自衛隊
がそこに行くわけでしょう。そういう形からいって、それは新しい
予算
がふえますよ、それだけまた。そういう意味で、やはり防衛費は実質的な肩がわりという形でふえてくる。そうなると、
予算
の中に占める防衛費の比率あるいは国民所得に占める比率がどうもふえてくるのじゃないかと思うんですけどね。その点はどういうふうに見通されているのですか、大体。
上田克郎
319
○
政府委員
(上田克郎君) 先生も御存じのように、二次防の三十九年度、第三年目になりますが、二次防での大体所要
経費
の見積もりとしては、一応めどとして、五カ年間で一兆一千五百億ないし一兆一千八百億ということで、年間の増が大体百九十五億ないし二百十五億という点で一応の目標と申しますか、めどをつけて、従来、第二次防衛計画を遂行してきて、現在、第三年目の
予算
を御審議願っておるわけでございます。この中で、御承知のように、
人件費
がベースアップ等ございまして、実は、
人件費
の増につきましては、一応この年々の増のワク外と申しますか、別個に見てもらっております。それで、これが大体年間約百億ぐらいずつ現在のところ大ざっぱに言ってふえております。それを抜きにいたしますと、もの的には大体当初の目標の線でこの二次防は遂行できるのじゃないかというのが現在の考え方でございます。国民所得に対しまして一・三八%、それから財政規模に対しまして約八%というのが現在の防衛費の規模でございますが、大体二次防はその線でいけるものだとわれわれは考えております。
木村禧八郎
320
○
木村禧八郎
君 今後はどういう…。今後長期的に、国民所得に対して一・三八%、歳出規模に対して八%、防衛費についてはその程度で大体今後も考えていくということですか。
上田克郎
321
○
政府委員
(上田克郎君) この問題については、しばしば総理や防衛大臣からもお答えがございましたので、それ以上何もございませんが、御承知のように、先ほどのめども、一応のそのときの国力と国情に応じまして防衛力は漸増していくという線で進んでおりますので、国力、国情がわれわれの要望を満たすようなことになれば、あるいは若干ふえるということもあろうかと思いますが、一応現在の段階では二次防の線で進んでおります。
木村禧八郎
322
○
木村禧八郎
君 これはまた議論になってくると思いますから、これはこの程度にしておきます。 最後に、二つお聞きしたいのです。一つは、
施設提供等諸費
、あれはふえています。これは具体的にどうしてこんなにふえるのか。もう一つは、MSA協定による軍事顧問団交付金、これもふえておるのですね。それで、軍事顧問団というのは何人ぐらいいるのか。そして何をしているのか。そして一人当たりの
人件費
というのはどれくらいのものなのか。これはどうして本年度三十九年度がまたこれがふえたのか。だんだん軍事顧問団は減ってきてるということを聞いてるんですけれども。
小野裕
323
○
政府委員
(小野裕君)
防衛施設庁
予算
のほうの
施設
提供
諸費の
増加
でございますが、これは、
提供
しておる土地で、民間から借り上げをしております土地がございます。その土地の借料の
引き上げ
、それからいろいろの事情で民有地を買収をするという
予算
、これにつきましての
増加
がございます。それから、学校防音工事を少し急ぐという意味における
増加
がございます。
施設
提供
諸費の
増加
は、大体そういうところで、十数億ふえておるわけでございます。 それからマーグの関係は経理局長からお願いいたします。
上田克郎
324
○
政府委員
(上田克郎君) マーグの関係で、ことしなぜ一億ぐらいふえたかということでございますが、従来、マーグは繰り越しの
経費
を持っておりまして、それがございましたのが、今度は繰り越し額がなくなって、従来の三億ぐらいのが約一億ふえた、そういう形になります。従来、御承知かと思いますが、
大蔵省
でこのことを三十八年度まで担当しておられまして、三十九年度から、わがほうの
施設
庁のほうでマーグ関係も一括してやっていただく、そういう形になっております。 それから人員でございますが……。
木村禧八郎
325
○
木村禧八郎
君 どういうことを具体的にやっているのですかね。
上田克郎
326
○
政府委員
(上田克郎君) 人員のほうから申し上げます。ことしの一月の中央現在の数字でございますが、陸海空合わせまして士官が七十五名、下士官が四十四名、それから軍属が二十九名、そういうふうになっております。 仕事は、主として、供与物資がうまく目的どおりに使われているかどうか監督する、監査するのが主たる任務でございまして、ごくまれには技術的な顧問をやってるということもあるようでございます。
木村禧八郎
327
○
木村禧八郎
君 百四十八名でしょう。この百四十八名で四億一千五百万円も要るんですか。そうすると、これは一人当たり幾らになりますか。——それで、アメリカの援助物資とかMSA協定で援助されたものと……、その役目がよくわからないです。
渡部信
328
○
説明員
(渡部信君)
大蔵省
から申し上げます。 三十八年度の現在の時点から軍事顧問団交付金の使用見込み額を申し上げますと、四億二千一百万円、住宅公団に対する交付金は七千万、
合計
四億九千一百万円、これが三十八年度の支出見込み額でございます。ところが、先ほど経理局長からお話がございましたように、三十九年度は、前年度からの繰り越しがなくなる。三十七年度から三十八年度へは一億七千一百万円の繰り越しがございます。ところが、この三十八年度の
予算
が、先生御承知のとおり、三億二千万しか組んでおりません。したがって、前年度からの繰り越し一億七千一百万円を加えると、
合計
が四億九千一百万円となり、これを使う予定になっております。来年度は、この繰り越しがなくなるために、軍事顧問団交付金が三億五千五百万円、住宅公団への交付金が六千万円、
合計
四億一千五百万円となり、前年度より相当の減、こういうことになっております。
木村禧八郎
329
○
木村禧八郎
君
予算
には三億二千万とあって、実際は四億九千一百万円、これは補正かなにかでやるのですか。
渡部信
330
○
説明員
(渡部信君) 補正ではございません。前年度からの繰り越しでございます。
木村禧八郎
331
○
木村禧八郎
君 そうすると、一人当たりどのくらいになるのですか。なぜこんなに要るのです。それで、その任務は、どういうことをしているのですか。
麻生茂
332
○
政府委員
(麻生茂君) 任務は、木村先生よく御承知のように、MSA協定の七条に書いてあるわけでありまして、条約的に申しますと、MSA「協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を
日本
国の領域において遂行し、且つ、この協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちよく状況を観察する」ということが任務になっているわけです。これは、もう少し具体的に申しますと、いわば
日本
に対します軍事援助の事務をやります窓口になっているわけであります。毎年、われわれといたしましては、
予算
と関連しまして、援助を受ける品目を考えまして、これを軍事顧問団を通じてアメリカ政府に援助を要請をするわけであります。軍事援助顧問団では、ここで一応軍事顧問団としてのいろいろな意見をつけて、本国政府にその書類を出す。本国政府では、それに基づきまして、本国での調整をして軍事
予算
を議会に出す。軍事援助
予算
がきまりましたあと、
日本
に対してどういう援助をするかというのがきまってまいりまして、それをこちらに連絡をしてくる、そういう役目を一つやっております。 もう一つは、従来は物の引き渡しというようなものがあったわけでございますが、そういうものに立ち会っている。あるいは
自衛隊
の教育訓練についてのあっせんをする。在日米軍を使う場合のあっせんもあります。あるいは米国において、軍事援助として教育を施します場合の本国政府との間の、先ほど申しました窓口となって連絡をやる、こういうことをやっているわけであります。 それ以外に、先ほど経理局長から話がありましたが、
日本
に対しまして行なった軍事援助が、効果的に行なわれているかどうかということを見るために、
自衛隊
のそうしたもののあるところを見まして、いろいろ意見があればその際助言をしてくれる。あるいは、そのものの使用の方法というようなものに対して、
自衛隊
のためになる助言をしてもらっているというようなのが、実際の現在における軍事顧問団の活動状況であります。
木村禧八郎
333
○
木村禧八郎
君 MSA援助を受けなければ、
日本
の自主防衛というものは成り立たないものなんですか。これはやめることできないのですかね。
海原治
334
○
政府委員
(海原治君) MSA協定は、先ほどからお話ししておりますが、現在
自衛隊
の陸海空の装備の、簡単に申しますというと、約半分というものはアメリカからもらっているものであります。これにつきましては、先ほどお話がございましたが、三次計画におきまして逐次更新も考えていかなければなりませんけれども、
日本
だけでできるものというのは、まだ相当限られております。特に、新しい電子関係の兵器とか、あるいは
航空機
関係の機器等につきましては、やはりアメリカのものが非常に進んでおりまして、直ちにこれを
日本
のものに切りかえるということは、なかなかむずかしいのじゃないかと思います。特に新しい兵器——先ほど装備局長か申しました無人操縦のヘリコプターというようなものは、現在まだ米海軍が開発を終わろうとしているようなものでありますから、これの用法とか、あるいは
整備
、こういうものは、やはりアメリカのほうに期待しなければならぬのじゃないか。さらには、魚雷等にしましても、
日本
でつくるということは、なかなかまだ現在技術的におくれております。したがって、そういうものの技術援助を受け、最初のものは、できるならばアメリカからもらいまして、これを、場合によりましてはロイアルティーを払って国産をしていくというようなことに移るわけでございますが、そういう際のいろいろな技術的な援助を受けることば、ここ当分必要であろうと、こういうふうに考えております。したがいまして、MSA協定というものがなお相当期間は存続するであろうというふうに考えます。 なお、御存じのように、船なんかは、貸与協定で、五年、五年で切りかえていっております。こういうものが存続します限りは、やはりもとになりますMSA協定は依然として存続せなければならない、こういうことでございます。
木村禧八郎
335
○
木村禧八郎
君 そうなりますと、これは皆さんよく御存じのはずだと思うのですが、MSA協定のあの前文にありますあれはアメリカの法律に基づいてやっておるのですよ。あの中には何と書いてあるかですよ。もし、アメリカの
日本
に対する援助ですね、これは
日本
だけじゃないでしょうけれども、それがアメリカ防衛のために役立つように使用されないと認めたときには援助を取り消すことができるというふうになっておるのですよ。そのために、アメリカの援助したものがアメリカ防衛に役立つようにそれが使用されておるかどうかを監督してきているのが軍事顧問団ですよ。だからMSA協定の第七条にあるわけです。さっきいろいろお話しされたことは、アメリカが援助したものが有効に
日本
の防衛に役立つように使われておるかではないのですよ。それは当面はそうですよ、当面は。当面は、
日本
の防衛に役立つようになっているかどうか。しかし、それがひいてアメリカ防衛に役立たなければ、アメリカとしては何も慈善事業をやっておるわけじゃないのですから、そこが問題なんです。それで、自主防衛とか、自主性だとか、いろいろ言っておりますが、MSA協定によって根っこを押えられておるのです。だから、ほんとうに自主防衛というのなら、ああいう協定をやめて、軍事顧問団に監督されて、アメリカに根っこを押えられて、もしアメリカ防衛に役立たなければアメリカは軍事援助を取り消すぞ、技術援助もやらないぞと言われたら、
日本
は自主的に防衛できない関係にある、いまのお話では。ですから、自主性とかなんとか言っているけれども、MSA協定を見れば、あの前文にはっきり書いてあるのは、アメリカの国内法があって、それによってやっているので、ぼくは忘れましたが、第何条かにあるのですよ、ちゃんとね。だから、その点は、ぼくはやめられないかと言っているのですがね。われわれが税金を払って監督していただいて、そうして軍事顧問団がいろいろ調べて、これはアメリカの防衛に役立たぬと認めたときには軍事援助を取り消されるかもしれない。だから、軍事顧問団がこうしろ、ああしろと言われたことに従わなければならない。だから自主性がないということになるのじゃないかと思うのですがね。その関係はどうなんですかね。私はこれで質問終わりますけれども……。
海原治
336
○
政府委員
(海原治君) ただいま先生の御指摘になっております点は、アメリカの防衛に役立つというのは、御存じのように、日米の安保体制ということは、
日本
の防衛に役立つと同時にアメリカの防衛にも役立っておるわけでございまして、これを前提にした文言でございます。そのアメリカの防衛に役立つか役立たないかということにつきましては、例を申し上げますれば、たとえば、かつてのF86Fというものを数十機返還したことがございます。これは、
日本
の
航空自衛隊
では、もうその必要がないわけでございますので、さらにほかの自由主義諸国の練度の低いところにおいては十分役に立つ、そういう場合には、顧問団が、もう
航空自衛隊
については新しい戦闘機も来たのだから、これはひとつ返してくれないかというような話がございまして返した例がございます。そういうことでございますので、アメリカの防衛に役立つか役立たないかということは、その全般的な背景を前提としてひとつ御解釈を願いたい。と同時に、その
日本
の防衛に役に立たなかったものにつきましては、ほかの自由主義諸国のほうにさらにこれを転用するために現実の状態を絶えず見ておる、こういうことはアメリカの立場としては必要であろうと、こういうふうに考えております。
戸叶武
337
○
戸叶
武君 関連して質問いたします。 アメリカのドル防衛政策から軍事援助の削減というのは必至になってきておりまして、したがって、いままで貸与せられた武器が更新されなければならない、戦車その他を国産によってあがなう方向に来ているということは、すでに御
説明
のとおりでありますが、軍事専門家その他の指摘によりますと、アメリカの軍需工場におけるマスプロダクションによるコストと、少量しかつくらない
日本
の軍需生産工場とにおいては、コストにおいて非常に違いがあって、三倍もかかっているということが具体的に指摘されておりますが、いま
日本
で国産を使っているおもな軍需品はどんなものですか。その値段が、アメリカと
日本
との間において、コストにおいてどれだけの差がありますか。
伊藤三郎
338
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) 現在、
日本
で国産をいたしておりますのは、戦車、装甲車、雪上車、自走砲等がございますし、三十九年度
予算
でお願いしておりますのに、新小銃、迫撃砲というようなものがございます。 アメリカの価格と比べてどうかということになりますと、全然同じ品物ではございませんので直接比べるわけにはまいりませんが、大量生産をした場合と少量の場合とコストの違いが出てくるのは当然でございます。たとえば戦車の場合、
日本
では三十六年度から百両という程度の数字でございますが、西独の場合には、現在開発中の新型のものにつきましては千両以上の発注をするであろうというような話を聞いておりますので、そういうふうに量産の規模も違います場合には、当然少量のほうが高くなるわけでございます。ただ、小銃でございますが、アメリカのM14ライフルと現在わがほうで量産をしようとしております小銃の価格は、それほど違いありません。多少
日本
のほうが高いという程度で、それほどの違いはございません。ただ、全然同じものではございませんので、比べてみて高いとか安いとか言うわけにはまいりません。数字だけを並べますと、多少
日本
のほうが高いという程度でございます。一般的に言いまして、非常に数が多い量産のものと、わが国でやっておりますような少量の場合、価格の差が出てくるのは当然でございます。
戸叶武
339
○
戸叶
武君 具体的に、少量じゃわからないから、具体的数字において——質も若干違う、大量生産と少量生産と違うと言いますが、比較して具体的な数字で御
説明
願いたいと思います。
小幡琢也
340
○
説明員
(
小幡
琢也君) 先ほど、木村先生の御質問で、私申し落としました
国庫債務負担行為
の
総額
でございますが、三十九年度に関係あります分を
合計
いたしますと千二百三十七億二千二百九十六万七千円でございます。
伊藤三郎
341
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) 具体的に比べてと申されましたけれども、いま手元にありますのはわがほうの数字でございますが、これを申しますと、先ほどの戦車が百両、装甲車が百五十両、それから
機関
銃が九百両、それから新小銃が二万五千丁、そういうような数字でございます。
戸叶武
342
○
戸叶
武君 コスト、どのくらい違うか。さっきから言っているでしょう。
伊藤三郎
343
○
政府委員
(伊藤
三郎
君) アメリカ側の数字も手元にございませんので、
日本側
の数字とあわせまして、アメリカ側でわかっておるもの、
日本側
の単価と、のちほどお届けいたしたいと思います。
戸叶武
344
○
戸叶
武君 もうこれは軍事専門家等によって詳細にアメリカと
日本
の比較をされて、雑誌その他において指摘されておるのですけれども、それは
防衛庁
当局から聞く数字が正確と思って私たちは尋ねるのですが、
予算委員会
というものはそういうところでありまして、われわれが一々国会において質問しても、それには答えられない、町にはんらんする雑誌でも一々読まなければ、
防衛庁
は何をやっているかわからない、というのでは、国会の審議権というものは無視されるのです。そういうことが大きな問題になっているときに、そのくらいのことは常識的に具備しているのが防衛当局としての役割りで、士気がふるわないの何のといって、ゆるふんもはなはだしいじゃありませんか。しかも、こういう問題に関しまして、はたして国産が有利か、あるいはドイツからでも買ったほうが有利か、国策上いろいろな検討をしなければならない問題もあるので、これは
防衛庁
だけの独断では許されないものだし、また、国産の名によって
日本
の、いたずらに軍需産業をあおり立てると、戦争への道に進んで、退くことができないいまのアメリカのような状態が
日本
にかもし出される危険というのは十分にあるので、これはわれわれが
予算委員会
において総合的に検討をしていかなければならない問題であって、
防衛庁
長官
にお尋ねしますが、文官が任命されている意義というのはそこにあるのです。軍人だけの狭い視野でもってものを考えるのでなくて、国のために何が大切か、有利であるか、という点をわれわれが総合的に検討していかなければならないのですが、これじゃ全く
防衛庁予算
を検討するのに、私たちはたな上げされて、そうしてさらに具体的
データ
というものを中心として問題を審議することができなくなるのですが、
防衛庁
長官
に御見解を承りたい。
福田篤泰
345
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) シビリアン・コントロールの、いわば政治優先と申しますか、高い立場から常に防衛問題を考える、御指摘のとおりでございます。なお、装備局長は、先ほどおそらく、日米間の数字を正確に御報告申し上げる
資料
を出したいということを申し上げたと思うのでありますが、御案内のとおり、局長の答えたとおり、小銃なんかも、わがほうでは六万、向こうは五万くらい、ほとんど差のないものがありますし、また、104ジェット機のヘルメットなどは、この間調べましたところ、こちらでは二百万、向こうでは百万、こういうふうなものは有償援助に切りかえる。通信機その他については、むしろわがほうのほうが優秀で安いものがある。いろいろ品物によって違うわけであります。また、場合によって、少し高くても、
日本
の防衛産業の育成のためにオーダーしたほうが、発注したほうがかえっていいというものもあるようであります。いろいろな意味合いにおいて、総合的な見地から十分検討を講じて、御納得のいける態勢に持っていきたい。いますでに先ほどの三次防の基本の問題につきましては、各部局に命じて検討さしておる段階でありまして、これに関連しての今後のいろいろな有効的な総合的な問題を次々にやはり深く掘り下げる必要がある。全く同感でございます。
戸叶武
346
○
戸叶
武君 これは、アメリカと
日本
だけの比較ではない。やはり西ドイツの比較もわれわれにとっては参考になると思いますし、そういう
資料
をやはり常に
防衛庁
は準備をしておいてもらいたいと思います。 また、これに関連して、先ほど木村さんが質問しましたが、基地の
施設
費の増大というものについていろいろな答弁がありましたけれども、具体的に見ますと、私の県の栃木県の赤麻遊水池に
太田
の飛行場を移そうというような企ても、巷間伝えるところによると、建設省の役人が群馬県の土木
部長
に赴任した、何か新規にお手柄をやらなくちゃいけない、
太田
市を首都圏の中へ入れてしまって、そうすれば
太田
には飛行場は置けない、それじゃどこか近間にあいているところはないかというので、かつて田中正造が戦ったところを忘れてしまって、そういうところへ送り込もう、あのままいけば
太田
における飛行場はそれほど使われていない、二、三年後にはこれは廃止になるだろうというふうに一般には見られている。そういうことも、片方の役人のなわ張り根性というか、ちょっとした思いつきによって、今度は
太田
から新しいところへ
施設
するところを別に選んで、膨大な金がかかる、そういうむだ金を平気でやって、そうして国民を騒がしている。このばかげたナンセンスな自主性のないやり方というものに対して、われわれは非常に不満を持つ。それは
防衛庁
の知ったことじゃない、あるいは建設省のことだというか知らぬけれども、国民にとっては迷惑なんですが、前に私の質問に対して、
防衛庁
長官
は、
太田
・小泉飛行場返還問題は三、四年前からの懸案で、これは三十五年十月に日米特別
施設
委員会
で返還の要求を正式に出した、それからこれは、アメリカ側から、返還に応ずるけれども、代替地をさがしてもらいたいというので、自来相馬原から渡良瀬川遊水池、習志野、富士その他を
調査
している。私が指摘した渡良瀬川の遊水池は一千万坪である。アメリカの要求は五%の五十万坪だという条件で一つの候補地である。しかし地元の方の理解と協力を得て円満に話し合いを進めるというが、地元じゃこれは絶対反対で、これはまあ田中正造の古戦場をやるならばやってみろという形でかまえておりますが、こういう私はナンセンスなやり方をやっている不見識というものを、むだ金使いというものを憎むのです。
防衛庁
は、もう少しふんどしを引き締めてひとつ御答弁願いたいと思います。
福田篤泰
347
○
国務大臣
(
福田篤泰
君)
太田
・小泉の問題でありますが、この前お答えしたとおりであります。
戸叶
委員
にはっきり申し上げましたが、こういう問題は押しつけをし強行すべき問題ではないと思います。あくまでやはり地元の納得と了解のもとに円満にやりたい。ただいまのところ、強い反対も陳情も受けております。したがって、この問題についても、代替地についていろいろ専門家を派遣したり、あるいは
調査
を命じている最中でございます。一方的に押しつけあるいは強制によってやるべきものではない、またやれるものでもない、こう考えております。
戸叶武
348
○
戸叶
武君 こっちがいやだというのに押しつけていろいろな
調査
やなにかするから、いろいろな多くの人が、人を動員したりあるいは対抗したり、実に騒がしくて、
経費
がわれわれもかかるし、むだが多くてかなわないのです。こういうむだ金使いと、国民をやたらにいらだたせるようなやり方を、これは何か演習のつもりで
防衛庁
やっているのですか。国民感情を悪化させる趣味を持っているのですか。もっとはっきりこういうところはやらぬと、あれがために、あの村を追い出されて、実際網走の刑務所のそばまで、だまされて行って部落をつくった何百人の人が、この北海道のさいはての地で自分たちのふるさとに帰ることを望んで、いまだに子孫たちが苦悩しているのです。そういう歴史因縁のあるところへ来て田中正造の怨霊とでも戦おうというなら、ひとつわれわれにもその血が残っていますから、一戦交えますけれども、こういう機会に、
防衛庁
長官
が絶対にやらぬということを断言しておいたほうが、一番手っ取り早い。全体の住民の意思をわれわれは代表して言っているんですから、その点、それはもっと、あいまいな形でなく、騒がせることをよして、もうやらぬということを明言してもらいたい。
福田篤泰
349
○
国務大臣
(
福田篤泰
君) いまの段階で、はっきりやらぬと言い切ってしまうことは、私として立場上できません。ただ、地元の御了解なしにはやらぬということで御賢察賜わりたいと思います。
村山道雄
350
○
主査
(
村山道雄
君)
質疑
通告者の発言は終了いたしました。 以上をもちまして、
防衛庁所管
に関する
質疑
は終了したものと認めます。 なお、本日審査を行なう予定でありました
大蔵省
所管につきましては、これを、都合により、明日に延期いたしまして、明日、
大蔵省
、
外務省
及び通産省の審査を行なうことにいたしたいと存じますので、御了承願いたいと存じます。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十三分散会