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藤原道子君 実は、私はこの精神衛生についてはずいぶんいままでも
委員会を通じて質問をしてきているのです。いつかも、年を忘れたんですけれども、
政府は、
結核と精神は国の手で
解決する、精神病だと無料で入院させるというようなことを宣伝されて、それがいまの命令入所だったのです。だから、いま
大臣の言われたのを聞いて、
大臣も驚いておると言うのだから、これ以上私は言いませんけれども、私は驚くよりも何ともあきれちゃうわけです。こういう点、ことに今度のライシャワー大使を刺した子供は、私の
地元の沼津なんです。そうして、精薄といわれるけれども、あれは精薄ではない。なぜかというと、静岡県とすれば名門校です、沼商というのは。そのうちで、沼津で十番以内でなければ入学できないくらいの
学校に入っておった。ですから、精神分裂症だとかなんとかならこれはわかる。ことに、沼津の精神病院へ入院していて、院長にすればもっと入院させておきたかった。ところが、自費患者であったから退院するというのをとめるすべがなかった。今後はしかし通院はぜひしてもらいたいということを親に話しておったけれども、遺憾ながらこれは外来で来なかったということを言っておる。そういうことが積もり積もって結局こういう重大な事態を起こす結果になり、性格異常者等を含めると、それらが犯す犯罪というのはまことにはだえにアワを生ずるようなものがあると思う。ところが、今度の事故でも、性格異常者だからあるいは精神病だから不可抗力であったということを発表していらっしゃる。私はこれは不可抗力とは言えないと思う。諸外国はすでにそれらに対する施策が十分行なわれている。十分までとはいかないまでも、国の力が非常に集中されている。日本はおくれていたことは
大臣もはっきり認められたんでございますから、これ以上は追及しません、けれども、結局、私どもは、経済が高度成長しても、人命が軽視されていたら何にもならないと思う。ことに、
予算がないから、精神病
対策もあるいは
重度心身
障害者の
対策も、皆さま考えていらっしゃるけれども、これを行なうことができなかった。結局、そうした
予算予算と言っておるうちに、こんなに大事な外国の大使を傷つけるような結果になって、もうそれこそ国際的な信用を失墜したと思う。これを契機といたしまして私は十二分な
対策を立ててもらいたいという気持も皆様と同様でございます。
これと同時に、過日御質問申し上げました
重度の
精神薄弱児あるいは肢体不自由児、これらに対する施策を民間に委託するのじゃなくて、国が責任をもって
施設を設ける、そうしてまた国の手でコロニーのようなものを設けて、子供のしあわせを守り、子供の不幸を排除して、ひいては社会が安心できるような
対策をぜひ講じてもらいたいということを、私はとりわけ熱心に
厚生行政を推進していらっしゃる
小林厚生大臣にこの面について御要望申し上げます。特に
重度の心身
障害児をかかえた者はどんなにみじめであるかということを考えるときに、私は繰り返しこれを言わざるを得ないわけでございますので、ぜひ国際的信用を回復の上からいきましても、心あたたかい施策を私は要望いたします。
最後に、私は、もうこれで最後でございます。
大臣のところへも陳情、請願が出されておりますが、らい病が、これは長い間の因習と偏見で、きょうまで監禁方針でやってこられましたが、これはもうすでに伝染病であるということが明らかになったのでございますから、多くは申し上げませんが、世間の偏見をなくする意味におきましても、この際ハンゼン氏病というふうに法律の名前を変えて、それを機会に、らい病は遺伝じゃないんだ、これは伝染病なんだ、すでに社会復帰が可能になっているんだということの宣伝をし、社会の理解を求めるためにもそういう法改正が必要じゃないかと考えるんです。
それとあわせまして、不治の病として多くの悲劇を与えてきた半世紀の歴史があるわけです。これらに対しましても、この際そうしたあたたかい思いやりのある改正が必要じゃないか。
伝染病と学説が一致して、しかもその感染力は非常に軽微なものだと言われておる。それで、社会と
関係を断ってきた
人たちがこれから相当数社会復帰をするわけでございますが、これに対しては一日も早く偏見を取り去って、社会があたたかく迎えるような施策が私はほしいと思う。それから、社会的復帰のために、結局
生活基盤のない人々のために、
生活資金であるとか、あるいは治癒者の更生福祉等に対しての
対策というようなものをぜひこの際お考えを願いたいと考えます。
また、いままでは監禁して死ぬのを待つというような
考え方――と言えば言い過ぎかわかりませんが、
療養所へ行きますと、仏堂、礼拝堂ですか、これはものすごくりっぱだけれども、
医療施設はまことに貧弱だと思います。したがって、これから早く治療にかかれば、早期発見なら一年か二年くらいで治癒すると言われておりますので、
療養所の内容を治療に重点を置くというふうに改めてほしい。
あるいはまた、作業賃なども、いままでは、中に入れてやってあるんだから、働けるのは働くのがあたりまえだという
考え方があったと思うんですが、この前の法改正のときの要望といたしまして、これは
職員に切りかえるということになっておりますが、このごろは軽度の人が退院するものでございますから、残るのは
重度の人が多くなっていく。ところが、その
人たちが、なかなか労働作業というものが重労働になっておる傾向もございますので、一日も早く正規の
職員に切りかえをしてあげてほしい、こういうことを私は申し上げまして、そのお考えを伺いたいと思うんです。それから、社会復帰の
生活資金の支給などについてのお考えもこの際お伺いをしておきたい。