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1964-03-25 第46回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十五日(水曜日)    午前十時四十二分開会   ————————————— 昭和三十九年三月二十四日予算委員長 において、左のとおり本分科担当委員 を指名した。            草葉 隆圓君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            館  哲二君            鳥畠徳次郎君            吉江 勝保君            豊瀬 禎一君            藤田  進君            山本伊三郎君            鈴木 一弘君            市川 房枝君   —————————————   委員異動  三月二十五日   辞任      補欠選任    鳥畠徳次郎君  野本 品吉君    藤田  進君  矢山 有作君   —————————————  出席者は左のとおり。    主査      鈴木 一弘君    副主査     山本伊三郎君    委員            草葉 隆圓君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            野本 品吉君            吉江 勝保君            藤田  進君            矢山 有作君            市川 房枝君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    警察庁長官   江口 俊男君    警察庁交通局長 高橋 幹夫君    警察庁警備局長 後藤田正晴君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  弥君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君    文部省社会教育    局長      齋藤  正君    文部省体育局長 前田 充明君    文部省調査局長 天城  勲君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君   建設省道路局長 尾之内由紀夫君    自治政務次官  金子 岩三君    自治大臣官房長 松島 五郎君    自治大臣官房会    計課長     宮崎  剛君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省選挙局長 長野 士郎君    自治省財政局長 柴田  護君    消防庁次長   川合  武君   説明員    警察庁警備局警    備第二課長   後藤 信義君    文化財保護委員    会事務局次長  平間  修君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和三十九年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十九年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————   〔年長者小山邦太郎主査席に着く〕
  2. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 ただいまから予算委員会第四分科会を開きたいと思います。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもちまして、私が正副主査選挙管理を行ないます。  これより正副主査互選を行ないます。  互選は、投票によらず、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 御異議ないと慰めます。  それでは、主査鈴木一弘君、副主査山本伊三郎君を指名いたします。  よろしくどうぞ。   —————————————   〔鈴木一弘主査席に着く〕
  4. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 一言ごあいさつ申し上げます。ただいま皆さんの御推挙によりまして主査に指名されました。何ぶん微力でございますので、御協力をいただきまして、本分科会を円満に運営していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)  速記とめて。   〔速記中止
  5. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 速記を起こしてください。  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会は、昭和三十九年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省厚生省労働省及び自治省所管審査することになっております。議事を進めます都合上、主査といたしましては、本日の午前が自治省、午後が文部省、明二十六日は午前午後にわたり厚生省、明後二十七日は午前労働省という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。   —————————————   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 異議ないと認めてさように決定いたします。  なお主査の報告につきましては、二十七日午後、委員会において行なうことになっておりますので、御了承願いたいと存じます。   —————————————
  7. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 分科担当委員異動について御報告いたします。本日、鳥畠徳次郎君が委員を辞任せられ、その補欠として野本品吉君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  8. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) それでは、昭和三十九年度予算中、自治省所管を議題といたします。まず、政府から説明を求めます。
  9. 金子岩三

    政府委員金子岩三君) 自治省関係昭和三十九年度歳出予算につきましてその概要を御説明いたします。  昭和三十九年度自治省所管一般会計歳出予算は、六千二百八十九億二千四百万円でありまして、これを前年度の当初予算額五千四百七十億三千六百万円と比較し、八百十八億八千八百万円の増額となっており、前年度補正後の予算額五千九百十六億七百万円と比較し、三百七十三億一千七百万円の増額となっております。この歳出予算額を、まず組織に大別いたしますと、自治本省六千二百七十九億三千五百万円、消防庁九億八千九百万円となっております。以下この歳出予算紙のうち、おもなる事項につきましてその内容を御説明申し上げます。  まず、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れに必要な経費であります。その総額は六千二百十四億八百万円でありまして、前年度当初予算額五千四百二億六千万円に比較して八百十一億四千八百万円の増額となっており、前年度補正後の予算額五千八百四十八億一千九百万円に比較して、三百六十五億八千九百万円の増額となっております。ここの経費は、昭和三十九年度における所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の、二十八・九に相当する額の合算額に、昭和三十七年度における地方交付税で、まだ交付していない額を加算した額を計上いたしたものでありまして、すべて交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れられるものであります。  次に、選挙の常時啓発費につきましては五億五千万円を計上いたしておりますが、この経費は、公明選挙運動を強力に推進し、国民の政治常識及び選挙道義の向上をはかるため必要な経費でありまして、前年度に比し五千万円を増額しております。  次は、奄美群島振興事業関係経費であります。まず、奄美群島振興事業費につきましては、十四億四千八万円を計上いたしております。奄美群島復興計画は、昭和三十八年度をもって十カ年計画を終了いたしますが、奄美群島の現状が、なお本土との間に相当生活水準の格差があることにかんがみまして、引き続き産業振興を重点とする積極的振興方策を推進するため、昭和三十九年度を初年度とする振興五カ年計画を策定し、この計画に基づく事業を実施するために必要な経費であります。  次に、奄美群島振興信用基金出資金につきましては、五千万円を計上いたしております。この経費は、奄美群島における産業振興に必要な金融円滑化をはかるため、奄美群島振興信用基金に対する追加出資に必要な経費であります。これにより同基金に対する昭和三十九年度末における政府出資総額は、四億二千万円となります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金につきましては、十三億五千万円を計上いたしております。この経費は、いわゆる基地交付金でありますが、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する市町村交付するため必要な経費でありますが、前年度に比し、一億五千万円を増額しております。  次に、公共土木施設及び農地等の小災害地方債元利補給金につきましては、十七億七千四百万円を計上いたしております。この経費は、昭和三十三年以降昭和三十八年までに発生した公共土木施設農地等の小災害にかかる地方債に対する本年度分元利償還金または利子に相当する額の全部または一部を当該地方公共団体交付するため必要な経費でありますが、前年度に比し四億一千五百万円の増額となっております。  次に、固定資産税特例債元利補給金につきましては三億六千四百万円を計上いたしておりますが、この経費は、固定資産税制限税率引き下げに伴う減収補てんのため発行されました地方債についての昭和三十九年度分の元利償還金相当額関係市町村交付するため必要な経費であります。  次に、市町村民税臨時減税補てん債元利補給金であります。市町村民税所得割につきまして、市町村間の負担の不均衡を是正することを目的として、二年度課税方式を統一し、準拠税率標準税率に改めるよう地方税法の一部を改正いたすこととし、これに伴って生ずる市町村減収を補てんするための地方債のうち、国が元利補てんを行なうものについて昭和三十九年度分の元利償還金相当額関係市町村交付するため必要な経費であり、三億円を新しく計上いたしております。  以上のほか、住民台帳制度合理化調査会及び地方公営企業制度調査会設置に必要な経費として二百万円、住居表示制度整備に必要な経費として六千七百万円、地方財政再建促進に必要な経費として六千百万円等を計上しております。なお、予算計上所管は異なっておりますが、当省の事務関係のある予算といたしまして、公営企業金融公庫に対する政府出資金増額するための経費一億円が、別途、大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  以上が、自治本省関係一般会計歳出予算概要であります。  次に、消防庁予算概要を御説明申し上げます。まず、消防施設等整備費補助に必要な経費につきましては七億一千六百万円を計上いたしております。この経費は、消防施設強化促進法に基づき、市町村消防ポンプ等消防施設費及び都道府県消防学校設置費に対して補助するために要するものであります。  次に、非常火災対策に必要な経費につきましては、二千二百万円を計上しておりますが、この経費は、非常火災時における消火、避難及び救助等に関する方策などの調査、研究に要するものであります。  次に、退職消防団員報償に必要な経費につきましては六千六百万円を計上しておりますが、この経費は、非常勤消防団員が多年勤続して退職した場合に、その功労に報いるため国が報償を行なおうとするものであります。  次に、消防吏員及び消防団員に授与する賞じゅつ金につきましては一千万円を計上しております。この経費は、消防吏員及び消防団員が、職務を遂行したことにより、災害を受け、そのために死亡または不具廃疾となり、特別の功労があった場合に賞じゅつ金を授与し、その功績を賞揚しようとするものであります。  次に、消防団員等公務災害補償等共済基金に対する補助につきましては三千四百万円を計上しております。この経費消防団員等公務災害補償責任共済基金を改組し、従来、基金が取り扱っていた業務に加えて、昭和三十九年度から新しく創設される非常勤消防団員に対する退職報償制度業務を行なわせることとし、これらの業務に必要な事務費補助するものであり、前年度に比し一千三百万円を増額しております。  以上のほか、消防学校の校舎を増改築するため別に一億円を建設省研管官庁営繕費に計上しております。  次に、特別会計予算概要を御説明申し上げます。自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、本会計歳入は六千六百七十三億九千四百万円、歳出は六千六百六十六億八千四百万円となっております。  歳入は、一般会計から地方交付税交付金財源として受け入れられる収入地方道路税法及び特別とん税法規定に基づき徴収する租税収入及び交付税及び譲与税配付金特別会計法規定に基づき、前年度の決算上の剰余金見込み額本年度において受け入れる収入その他であります。  歳出は、地方交付税交付金地方道路譲与税譲与金、特別とん譲与税譲与金として、各法律の規定に基づいておのおの定められた地方公共団体に対して交付または譲与するために必要な経費その他となっております。  以上、昭和三十九年度自治省関係一般会計歳出予算及び特別会計予算概要につきまして御説明いたしました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  10. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) これより質疑に入ります。  質疑の通告がございますので、順次発言を許します。山本伊三郎君。
  11. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ自治省関係の問題で若干質問をしたいと思います。  いま御説明がありました特に地方交付税交付金の問題でお尋ねしたいのですが、本年度地方交付税が五百二億ほど増収されているのですが、これに対して、この国会単位費用の改正がされているのですが、そのおもなる問題について、ちょっとまず御説明願いたいと思います。
  12. 柴田護

    政府委員柴田護君) 単位費用改定をいたしましたおもなものにつきましては、給与改定の平年度化等が行なわれますが、これに関連いたします単位費用投資単価がございますが、投資単価を直しました。それから新規の財政需要等につきまして、それぞれ織り込んだのでございますが、おもなものを申し上げますと、小中学校については教職員の旅費単価を引き上げました。高等学校におきましても同じように引き上げますとともに、特に道府県につきましては、市町村負担を三十九年度から禁止する規定が動きますので、これに関連をして、単位費用増強をはかったのでございます。つまり、市町村負担金を課しておりましたのは、単位費用計算が少なかったということもございますので、その点を補いまして、市町村負担を課してはならないという規定が円滑に動くような措置をとったわけでございます。それから生活保護費社会福祉費、いわゆる社会保障関係経費では、それぞれ生活保護基準が引き上げられましたり、児童措置費単価が引き上げられたりしておりますので、これに必要な単位費用改定いたしました。それから農業関係経費では農業構造改善事業漁業構造改善事業等によりまして事業費がふえてまいっております。そういうような関係改定をいたしております。それから投資的な経費につきましては、道路橋梁費につきまして道路五カ年計画改定されましたので、これに伴いまして最初の年度地方負担分をすべて吸収できますように必要な増強をいたしております。  それから市町村分につきましても、大体県の場合に準じますけれども市町村の場合に、特に配慮いたしましたのは、清掃関係事業費につきまして、その清掃関係事業充実下水道終末処理施設事業費、これを充実することにいたしております。それからこれに関連をして都市計画費の中で街路事業都市下水道事業につきましても所要投資的経費充実をはかったのでございます。大体、単位費用につきましては、そのようなところがおもなものでございます。なお、これに関連をいたしまして基準税率の引き上げを行ないまして財源傾斜的配分を考えておりますし、同時にまた隔遠地補正市町村にも適用することによりまして、離島関係の、主として離島でございますが、離島並びに隔遠地所在市町村の必要な財政需要充実することにいたしております。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま言われました単位費用のうち給与についての単価、教員。それから府県、市町村ということを分けて今度はどれぐらいになっているんですか。
  14. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは非常にこまかく分かれておりますが……。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと平均が出てないですか。
  16. 柴田護

    政府委員柴田護君) 単位費用平均を出しませんので……。若干の例を申し上げたいと思います。たとえば単位費用につきましては、吏員給料につきまして一般職員で申し上げますならば、部長クラス道府県が七万六千五百円。これが三十八年度は七万二千五百円、七万二千五百円のものを七万六千五百円に改定いたしております。たとえば課長級でいいますと、五万六百円を五万三千五百円に上げております。市町村の例で申し上げますと、市町村課長級では四万五千二百円のものを四万九千九百円に上げています。この計算基礎は大体国家公務員給料表を使いまして、経験年数並びに学歴の平均をとっておるわけでございます。それで改定されました国家公務員給料表によりまして給与改定をやっていくと、こういうやり方でございます。
  17. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 地方財政計画の場合にひとつの平均した数字で出しておるのと違いますか。地方財政計画、その数字はわからぬですか、大体。
  18. 柴田護

    政府委員柴田護君) ちょっと調べまして……。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ一応地方交付税の問題については、あとでまた調べてからひとつ続けるとして、次に、地方公営企業の問題ですが、これは大臣にも若干話したことがあるんですが、地方公営企業経済赤字経済で非常に困っておる。特に都市交通については全く行き詰まっておる状態であるようであります。これに対して自治省としてはどういう根本的な対策を持っておられるか。もちろんこの国会では地方自治法の一部を改正して、地方公営企業の何か審査会かそういうものをつくるということでございますが、そういうものは一応別として、どういう対策を持っておられるか、それをひとつお聞きしたい。
  20. 柴田護

    政府委員柴田護君) 都市交通の問題につきましては、山本委員承知のとおり、いろいろ複雑な原因が重なりまして、今日のような状態に立ち至っておるわけでございます。それに加えて公共料金の一年間ストップという措置がとられたのでありまして、現在非常な窮状にあるわけでございますが、原因は、いろいろ探ってまいりますと、まことに複雑でありまして、都市によりましても違いますが、いま問題になっております大きな都市交通事情は、交通関係を取り巻く環境と申しますか、非常にそれが変わってきておりまして、路面交通路面電車、それからバス、こういった事業効率が非常に悪くなってきておる。一方またこれにかえて地下鉄事業は推進していかなければならぬのでありますが、ばく大な建設経費がかかるものでありますから、すべてこれをはね返すわけにいかない。こういった事情、それからいろいろ指摘をされておりますけれども経営合理化というものが徹底を欠いておる向きがある。それから料金問題、御承知の料金問題についていろいろの問題がある、こういった問題が重なり合っておりまして、今日のような状態を招いておる。私どもは根本的には都市交通というもののあり方をどうするかという基本的な態度からやはりきめてかかっていかなければならぬのじゃないだろうか。私どもはその場合にやはり都市交通全体をどう把握するかという立場に立ってものを考えたいと思いますけれども、これはいろいろ意見の分かれるところかもしれません。ただ、そういうような広い視野からこの問題を取り上げていかなければならない。その上で、今度公営交通というもののあり方といいますか、基本的なあり方というものがわかりますれば、そこで今度はこれの経営形態をどうするか、あるいは資本構成をどう持っていくか。御承知のように、いまの日本の公営企業借金企業が多うございますけれども、この資本構成をどうするか、あるいは経理のほうをどうするかといった問題がある。そういった間胆をやはり基本的にきめていただきますためには、私どもだけの力でもできないかと思いますので、別途、御審議願っておりますように、地方公営企業制度調査会というものをつくって、そしてそこで早急に御審議をわずらわして、その郷意見に基づいて所要措置をとっていきたい、かように考えるのであります。ただ当面の問題につきましては、公共料金ストップに関します部分につきましては、国としてもいろいろ考えていただかなければならぬ点もございますので、私どもとしては、関係各省と目下その措置について具体的に話し合いを進めておりますが、現在のところ、まだ検討の段階でございまして、結論を得るには至っていない次第でございます。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはいま言われましたように、恒久的な対策と、当面の対策、これは二つに分かれると思いますが、恒久的な、根本的な都市交通あり方ということについては相当問題があると思うのです。しかし、自治省として地方公共団体指導官庁として都市交通、市民の交通機関としてのあり方について、政府部内では一部この公営企業論というものが若干薄らいできておるということも聞くのです。自治省としては、そういう点はどういう考えでおられますか。
  22. 柴田護

    政府委員柴田護君) 関係各省としてもいろいろ御意見があろうと思いますが、私どもといたしましては、やはり都市交通というものにつきましては、都市計画上の立場というものがあるのではなかろうか、都市計画との関連で、都市づくりと申しますか、そういう立場都市交通というものの総合的なあり方というものを考えるべきではないか、そうすれば、やはり公党交通というものの地位というものは、やはりそう簡単に軽視したり捨て去ったりすべきものではないのではなかろうか、これを再編成と申しますか、再建するものではなかろうかと思っております。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もうすでにこの都市交通状態は、明治以来から大正、昭和にかけて非常に変遷してきておりますから、いまのような市営と民間経営と競合するという形では、これはとても私はいかないと思うのです。しかも、路面においては、もうすでに飽和状態になっている、こういう際に、ひとつ根本的に地下とか、あるいは高架というもの、高速機関に移行せざるを得ないのではないかと思うのです。そういう考え方というものは、自治省としてはどう思っておられますか。
  24. 柴田護

    政府委員柴田護君) 自治省として基本的態度をきめたわけではございませんけれども、私ども関係者といたしましては、おっしゃるように、近代都市と申しますか、近代大都市と申しますか、そういうところの交通は、どこにまいりましても、地下鉄高架、それとその間をつなぐバス、この三つで成り立っております。だんだん路面電量効率は減ってまいっております。そうすると、やはり地下鉄事業というものは、一本で申しますと、東京、大阪、名古屋というものは、積極的に推進すべきであろう、ただ、御承知のように、建設費が非常にかかりますので、これをどうするかということが財政的な大問題である、かように考えております。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこは、ぼくが尋ねたい根本のところです。民間経営であれば、やはり投資ということについては自由にやり得る道があるのですが、公営企業になると、その点の隘路があるということから、資金の調達というものがきわめて困難である。それが今日の都市交通を追い詰めた形にやった一つの原因ではなかろうかと思うのですが、この問題を、政府はきわめて私は軽視しておったのではないかと思うのですが、もし自治省がそういう考え方でおられるならば、この点について政府部内の意思統一を早くはからなければだめだと思う。もしそれが、いわゆる地方公営企業としてのそういう財源が得られないならば、また別の道を選ばなければ、いまのようなままであれば、ますます都市交通は崩壊の一路をたどらざるを得ないということになると思うのですが、この点について自治省としては相当成算があるのですか、資金面の。
  26. 柴田護

    政府委員柴田護君) 現在のたてまえから申し述べますと、交通事業独立採算制でやるんだと、しかもその資金は、すべて、かなり地方債基礎にして建設し運営していくという形になっておりますので、その辺に御指摘のような問題が出てまいるのでございます。しかし、これはひとり交通事業に限りませんで、水道だって同じ問題がある、それから——電気、ガスは少し違いますけれども、工業用水だって同じ問題が起こってくるだろう。そうしますと、やはりそれは、そういった地方公営企業は借金で始めて借金で終わる、地方公営企業というものは独立採算制を強要する以上は、やはり民間企業という線に、資本構成の面からも近づけていくような必要がありはせぬか、そういうことになってまいりますと、借り入れ資本全部に依存するような脆弱な企業の基盤というものは許されないのではなかろうか、そうするとやはりそこに資本構成という面からも非常に再検討する必要がある。つまり自己資本というものをどういう形で蓄積をしていくべきものかという問題が出てくると思う。そこに一般会計との関連が生じてくるわけであります。私どもは、全くお話の点は同様に考えておるわけでありますけれども、何ぶんにも企業のいろいろ種類が違いますし、一般会計との関連をどうつけるかということに、企業の種類により、形態により、また違うわけであります。その辺がやはり、逃げるわけじゃありませんけれども地方公営企業制度調査会の一つの、財政面からいたしますと、非常に大事な審議ポイントだと、このように考えております。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 なるほど地方公営企業制度調査会が発足して、おそらく一年か二年で結論を出すかどうかしれませんけれども、ぼくは、だれが考えても、結局同じところにくると思うのですよ。いま言われましたが、資本構成についていろいろ検討する必要があると言われますが、それはもちろん、しかし今の地方公営企業では、民間から投資を得るというわけにはいかないのだから、結局、地方債のワクを要するに広くするというよりも、むしろはずしてしまってやっても、私は地方公共団体では、それだけの能力のあるところにやると思うのです。いまのように、がんじがらめにくくられておるというところに、私は一つの原因があるのじゃなかろうかと思うのですが、その点はどう考えておりますか。
  28. 柴田護

    政府委員柴田護君) 公営企業債そのものにも問題は実はあります。つまり、公営企業債の起債条件が、いまのままでいいかというような、そういう非常に大きな問題が一つある。もう一つは、おっしゃるように、起債条件を自由にしろという問題もあるわけでありますけれども、私はいまの現状は逆だと思います。いまの現状では、むしろある意味では、昭和三十三年ごろから公営企業地方債発行について、ある程度野放し的な運営をしてまいりました。しかし、その結果は非常に経営が逆に悪化してまいっておるような次第であります。むしろ経営の基盤を確立することが先であって、資金面のそういう点の配慮というものは、その次にくるべきものじゃなかろうか、まことたことばを返して恐縮でありますけれども、私どもは、将来はそういうことがあるかもしれませんけれども、やり方としては逆じゃなかろうかというように、実はいまのところは考えております。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いままで地方公営企業債を野放しでやっておられましたか。相当地方公営企業債を募るには、自治省の認可なり、大蔵省の認可というものは自由にやられておらなかったでしょう。野放しではなかったでしょう。
  30. 柴田護

    政府委員柴田護君) ちょっとことばが悪うございましたけれども、野放しというと語弊があるかもしれませんけれども相当要請に対しましては金がある限りフリーにしてきた、こういう態度をとってきたのでございます。その結果は、かえって経営が悪化してまいりました。そうなってまいりますと、やはりそういうような態度をとっていくためには、前提としてやはり経営基盤が確立するということが先じゃなかろうかと、このように考えますということをお答え申し上げたのであります。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは立場の相違でそういう見方をされると思いますが、いままでは、やはり地方公営企業体のそれをやる責任者においても、それは私は悪いところもあったと思うのです。ただそのときそのときの、何といいますか、糊塗策によってそれで起債してやってきたのですが、根本的に、いわゆる高速度化しようという場合には、相当資金が要るのですが、それが今日までやられていなかったから、もう行き詰まってしまったものですから、いまのような路面の赤字を埋めるとか、あるいはバスを若干購入するための地方債というのじゃなくして、根本的な高速度化するための設備資金、こういうものについては相当自由に公募式な資金を集めれば、採算がとれる計画があれば民間の起債も可能だと思うのです、特に大都市においては。それを私はやらない限りは、いまの都市交通の現状というものは、私は打開できないと思うのですが、この点もう一回ひとつお聞きしておきたいと思います。
  32. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私どもいま当面の問題といたしましては、地下鉄の問題になろうと思うのであります。地下鉄の問題につきましては、その建設を好むと好まざるとにかかわらず進めていかねばならぬということは御説のとおりだと思います。事実この建設資金につきましては、要望というものに応ずるように努力をいたしておりまして、むしろ制限的な考え方を持っておりません。公募債でも何でもいいから仕事を早くやったらどうでしょうということで、むしろ私どもとしては工事を遷延せず早くやってしまいたいという態度で実はきておりますけれども、しかし、結果的には地下鉄事業だけではどうしたって採算が合いっこないわけでございます。だから、採算を合わすためにはどうすればいいかという問題を考えて早く結論を出していかなければならない、こう考えております。しかしながら、建設資金につきましては、おことばのとおりでございます。私どもは、現在の制度のもとにおきましても、仕事を完結するためにはできるだけ努力してまいっておりますし、今後もするつもりでおります。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 基本的な問題についてはなかなか結論が得られないと思いますが、当面の問題をちょっと聞いておきたい。これは自治省のほうも賛成だと聞いておったのですが、当面の赤字解消ということで四十八億の起債といいますか、政府保証といいますか、それが問題になっておるのでありますが、この点はどうなんですか。相当長い期間かかっているのですが、まだ見通しつかぬのですか。
  34. 柴田護

    政府委員柴田護君) 四十八億と言われますが、公共料金ストップ措置がとられましたので、当初主管官庁であります運輸省当局がこの線までは運賃改定を認めてもいいのだとお考えになっておりました線との差額でございます。そのほかに赤字はないかと言われれば、赤字はうんとあるわけでございますけれども、その分につきましては、国がやはり高度の政治的判断からなした措置でございますので、国としてもやはりそれに対する対策を明らかにしてもらいたい、それが地方公営企業、特に公営交通事業関係者に安心して経営合理化を推進せしめるゆえんであろう、こういうわけで交渉を重ねておるわけでありますけれども、なかなかいろいろ話が込み入ってまいっておりまして、残念ながら現在の段階ではまだ折衝のまっ最中でありまして、結論を得るには至っておりません。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については、政府部内でなかなか話がうまくいかないということですが、どうなんですか。当然政府が見るべきであるという考え方自治省なり運輸省にあるように私は聞いておるのですが、これがなければ三十九年度地方公営企業というものはもう運営はできないというところまできておると聞いております。もちろん公共料金を押える、一般物価の高騰を押えるための施策としては、私はこれはいいと思います。経済企画庁長官にも私は話をしたのですが、いいけれども、それの犠牲というとどうかと思いますが、それがために都市交通経営というものは全く行き詰まってしまって、やれない。御存じだと思いますが、三十九年度と申しますか、次のベースアップもされておらないというところもあるのですが、そういうことではわれわれも困ると思うのです。この点について政府部内の実情ということについては、あなたから言いにくいと思いまが、政務次官、一体どうですか。
  36. 金子岩三

    政府委員金子岩三君) 御承知のとおり、非常にむずかしい問題でございまして、関係各省間政務、事務次官が中心になりまして、ただいま検討中でございます。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 検討中ということは何べんも聞いておるのですが、一方のほうでは行き詰まってしまっているのですよ。それから、これは上げることがいいというわけではないのですが、私鉄でも、国鉄でも、過去の経過を見ますと、都市交通関係だけは上げておらないけれども、ほかのほうは上がったという実際の経過があるのですね。こういうところにはもう少し政府も考えなければ、押えれば押えられるところだけを押えておっても、それがために迷惑するのは、私は結局市民が迷惑してくるのだと思うのです。この点、検討中だというが、見通しはないのですか。ないならないではっきり言わぬと、地方公営企業体の担当の人がそれを当てにしておっても困るのだから。
  38. 金子岩三

    政府委員金子岩三君) 見通しが全然ないことはないのでございます。いささか見通しがあるのでございます。ひとつ見通しを立てて、自治省としては何らかの措置をとりたいと努力をいたしております。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはここでそれをどうこういうことは無理だと思いますが、そういうことを言えるか言えないか知りませんが、私が聞いているところでは、大蔵省経済企画庁とが若干問題があると聞いているんですが、その点がもしはっきりすれば、また考えもあるんですがね。そこまで言えませんか。
  40. 柴田護

    政府委員柴田護君) 折衝のまっ最中でございますので、そのこまかい内容等につきましては御説明することを差し控えさしていただきたいと思いますけれども、大まかな考え方での相違と申しますのは、結局四十八億に対する措置ということ、それからその奥にひそんでおります赤字、これも引っくるめて、ともかく経営合理化が先じゃといったような考え方、それから、それはもちろんわかるけれども、この上積みの部分だけは別の問題じゃないか、こういう考え方、こういう考え方でいろいろまだ若干その間に距離がある。しかし、それじゃもう経済企画庁では一切そういうことは相手にせぬのかということになりますと、きのうも一応地方行政委員会経済企画庁長官が話をしておられましたけれども、全然それはもう問題にならぬというようなお気持ちでもなさそうなのであります。なお、交渉を重ねておりますので、もう少しお待ちを願いたいと思います。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題はこの程度にしておきましょう。また、あなたのほうよりも、政府に対してこの問題で追及する機会があると思います。自治省考え方だけ聞いておけばそれでいいと思います。  それから、警察庁にお尋ねしたいんですが、藤田委員もやりたいというのであとにしているんですが、しばらく待ってもらえますか。——それじゃ、次に、先ほど言いました地方交付税の問題わかりましたですか。単位費用の問題。——それじゃ、あとで調べてください。  それじゃ、基準税率の七〇%が七五%に変更されましたですがね。これは富裕団体と貧弱団体との配分を適正にするということの趣旨らしいんですが、そういうことにすると、かえって余裕財源市町村の場合には狭められてくるということも考えるんですが、その点どうなんですか。
  42. 柴田護

    政府委員柴田護君) 基準税率をいままで府県と市町村と違えておりましたおもな理由というのは、県の場合は、比較的行政が画一的と申しますか、早くしやすい、それに交付税と利子との関連を考えて、二割の自由財源を置いたわけでございますが、ところが、市町村の場合にはその需要がなかなかつかみにくいということで、非常に数が多うございますし、事業も千変万化でございますので、七〇%一つだけですが、だんだんこの交付税の算定技術も進んでまいりまして、ある程度そういった需要をつかむことも可能になってまいった。それからもう一つは、税収入が、産業経済が伸びてまいるに従いまして、伸びてまいりますと、非常に地域的に片寄ってまいるといったようなこともございます。そこで、財政の均衡化と申しますか、均衡化というものを推進してまいりますためには、やはり可及的に府県の線くらいまで持っていきたい、そういうぐあいに考えているわけでございますが、とりあえずは、急変いたしましても困りますので、七五%の五%アップということにとどめたわけでございます。お話のように、町村のほうに流れ過ぎて都市の場合には逆の現象が起こらないかという御心配もごもっともでございますけれども、これは、その辺のところに激変を来たさないように、都市的需要につきましても、これを相当拡張して、都市の部分でそういう御心配が起こらないようにいたしますとともに、財源を貧弱市町村のほうに傾斜的に流す、そういう措置をいたしておるわけでございます。大体御心配になるような点は起きないと考えます。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは地方財政全般からいくと、昭和三十五年——三十年からでもいいですが、三十五年からとりましても、地方財政はある程度向上したといいますか、内容がよくなってきておると私は思うのです。地方財政計画全般を見ましても、投資的経費の構成比が非常に伸びてきておることは御存じのとおりです。ところが、いま言われましたが、各地方団体間における格差といいますか、それが非常にはなはだしくなってきておることは皆さん方も承認されると思うのですが、それを是正されるためにとられた措置だと思うのですが、実際、個々に当たってみますと、この点が地方交付税の運用においてまだ適正な措置がとられていないと私は思うんですが、たとえば、私この前山口県の萩市に行きましたが、あれは市としては相当古い市でありますけれども、全く財政的には行き詰まっておるんですね。したがって、こういう新興都市といいますか、産業の盛んな都市と、それから昔の旧都市と申しますか、そういうところとの格差を地方交付税においてどういうぐあいにカバーしていったらいいかということに対して、自治省はどう考えられますか。
  44. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは非常にむずかしい問題でございますし、私ども最近その問題につきまして非常に深い関心も持っておりますし、またもっと掘り下げて研究しなければいかぬと実は考えておる問題でございます。基本的にやはり税制の問題だと私は考えますけれども、特に都市税制につきましては、最近のたび重なる税制改正によりまして逐次——逐次と申しますか、財政需要は非常に伸びてまいりますけれども、逆に税の弾力性というものは減ってまいります。その辺を地方交付税で補ってまいるわけでございますが、その補い方が非常にむずかしい。非常に旧都市で発展性のないところにつきましては、それはそれなりに安定した財政需要があって、もう一つそれに加えて、安定を打ち破るいろんな施策というものがとられていく、それに伴っての財政措置が出てまいります。その辺をどう見るかという問題が基本的にあるわけでございますけれども、私どもは、やはり交付税の使命といたしましては、一種の必要最小限度の行政経費をまかなうに足る財源を保障するという立場でございますので、その点についてはそういうことで線を引かざるを得ないのじゃなかろうか。しかし、発展をしていきます都市につきましては、やはり当面は、地方債の活用ということにもなってまいるわけでございますので、その地方債の活用によってバックしてくるところの、税源とのかみ合わせをどう見るか、この辺のところが非常にむずかしいと思います。お答えになっていないかと思いますけれども、十分私どもはそこに問題点があることは承知いたしておりますし、なお掘り下げて研究してまいりたいと思います。  それから、先ほど御質問がありました単価でございますが、財政計画上は、都道府県の場合で申しますと、三十八年度、義務教育職員が三万四千三百二円、三十九年度は三万八千七十四円、警察職員は、三十八年度が三万一千百七十八円、三十九年度が三万四千五百十九円、それから一般職員が、三十八年度が三万四十二円、三十九年度が三万三千五百三十四円、高等学校が、三十八年度が四万六千五十六円、三十九年度が四万九千六十六円、市町村の場合は、一般職員が、三十八年度二万六千四百九十七円、三十九年度が二万九千六百七十円、消防でございますが、消防職員は、三十八年度が三万一千五百二十七円、三十九年度が三万四千五百八十九円、以上でございます。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 改定率を……。
  46. 柴田護

    政府委員柴田護君) 改定率を申し上げますと、義務教育関係職員七・二%、警察職員八・二%、それから都道府県一般職員七・五%、市町村七・八%、それから高等学校職員七・一%、大学七・七%、その他の教員が七・一、以上でございます。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、いまの地方交付税の問題は、これは問題があるんですが、自治省はどう把握されておるか知りませんが、現在、市町村の場合をとっていいましても、義務的経費というものは、これはもう予算の硬直性のやつですね、これがほとんどなんですね。そうすると、いま言われたように、財源の余裕というものがないと、運営というものはほとんどやれないという状態なんです。しかも、義務的経費というものは、ほとんどが国から来たところの事務というものをやっておるんですね。昔は委任事務と言っておりますが、そういうことですから、実際何らかの財源補てんをやってやらなければ、新興都市のような、財源がほとんど見当たらない、しかも地方交付税では締めつけられておる、最小限度の費用を補てんするということですから、冒頭に頼みましたけれども単位費用についても、おそらく十分な単位費用でない、こういう考え方からいっておるんですが、これは恒久的な問題ではないが、応急的な措置として、特別交付税である程度自治省はそういう地方団体に対して見るという、そういう措置をとっておられるんですか。
  48. 柴田護

    政府委員柴田護君) 特別交付税を配ります場合には、普通交付税の算定後に生じた事由、それから普通交付税の算定上技術的にむずかしい問題を、特別交付税の配分の場合に片づけていく、こういう考え方をとっておるわけでございますが、お話のように、市町村の場合につきましていろいろな問題があるわけでございます。したがって、特別交付税の配分につきましては、本年度も、県分よりも市町村に重点を置く、こういう形で事を運んでまいりました。根本的にはやはり基準財政需要額そのものの算定方法をどう合理化するかという問題になってまいるわけでございまして、特別交付税のようなわずかなもので片づく問題でもございませんけれども、基準財政需要額の算定について、なお市町村分についてこれを充実してまいりますとともに、特別交付税の配分につきましても、その辺を十分考慮して、このような方針を今後ともとってまいるつもりでございます。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 地方財政の問題については、これはもう話していけば幾らでもありますが、あとの質問者もおられますので、いずれまた場所をあらためて質問することとして、この問題についてはこれで終わります。  次に、これは予算関係がないが、ついでにひとつ行政局長にお尋ねしておきたいんですが、実は、これは熊本県の牛深市に起こった問題なんですが、昨年の市長選挙の際の問題から、実は市長が、法廷でその男が不利な証言をしたということから、首を切っておるのです。そういうことは言えぬから、どういう理由かと申しますと、その本人が都市計画部の建設係長をしておったのですが、それを熊本県の大田浦越線という道路の工事現場の監督へ移してしまった。ところが、そこはもう人里離れた山奥である。自分の家へ帰ることができないので、農家に月ぎめの実は下宿料を払って、そこへ下宿をして、工事現場の監督をしておる。ところが、その月ぎめが九千円の月ぎめですから、日に三百円ですか。たまたまその人が市役所のある市のほうに帰ってきて、自分の家に家族がおるからそこに泊った。泊った日は宿賃が要らないのに、それが九千円の月ぎめであるから、その日の宿賃は本人が横領した、こういう理由で首を切っておる。私はどうもそういうことはある程度それは注意して、戒告というわけでもありませんが、そういうこともどうかと思うのですが、そういう人里離れたところに転勤させて、月ぎめ九千円のうち、家に帰って泊ったその分を横領した、本人が横領したといって、それで首を切っているのです。こういう事実は御存じありますか。
  50. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 実は一昨日、自治労の方から私どもの主管課のほうにそういうお話がございました。さっそく県のほうにただいま事実を照会中でございます。回答がまいりました上で検討をいたすことにいたしたいと思っております。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 このような問題は、この分科会で私言うべきでないのですが、一昨日これを聞いて、自治省としては、公務員課としてこういうものはやはり十分指導しておると思うのですが、これでは地方公務員は安心して仕事はできないと思うのです。事情を私よく聞いておりますが、調査されておるのですから、私ここでこれ以上言いませんが、こういうことで、国家公務員の場合はいわゆる人事院という一つの公平機関があって、こういう問題については裁判所と同じような形で、処分の場合も公平委員会に提訴してやられるのですが、市町村の場合は公平委員会はありますけれども、これはほんの形だけなんです、市町村の任命による公平委員ですから。そういう地方公務員に対して自治省としては、もっとてきぱきとした私は指導と救済の方法を講じてもらいたいと思うのです。でなければ、政府に対する不信といいますか、そういう点が公務員の中に起こってくると思うのですが、調査されておると思いますが、これは裁判の上で出てきた問題ですから間違いないと私は思って、きょう取り上げたのです。  この選挙違反の問題については、市長の場合は、熊本県の地裁では本人が勝ったようでありますが、いま福岡高裁で審理中だそうであります。そういうことで、熊本地裁の参考人として、選挙の開票に立ち会ったときのその実情を述べた場合に、自分に不利な証言をしたということでやったというのが本意であるらしい。それを理屈づけるために先ほど申しましたようなことをやっておるのですから、この点は十分調べてもらって、根本的なひとつ対策を立ててもらいたい。これはここだけじゃないのです。これは選挙の問題であったかどうか知りませんが、広島県の大竹市においても、不当な首切りがあるということを聞いておるのですが、あわせてこの点をひとつ自治省としては調べてもらいたいと思うのですが、その点いかがですか。
  52. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) ただいま御指摘のようなことが事実であるとしますれば、これは私どもの十分関心を持たなければならない問題でありますので、調べるようにいたしたいと思います。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 御存じだと思いますが、この前も、国会で言わなかったのですが、徳島の国府町ですね、これも市長選挙の場合に、これは自分に応援をしなかったということで九人首を切ったのですがね。ところが、これは裁判するとかなんとかということで、市長はそれを翻意して復職させましたけれども、こういうことが随所にあるのですが、この点はひとつ今後自治省といたしましても、公務員の身分を守るという上において十分ひとつ指導してもらいたいと思いますが、この点重ねてひとつ行政局長に答弁を求めておきます。
  54. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 選挙関連をいたしまして、公務員の身分保障が危殆におとしいれられるというようなことは、これは公務員法のたてまえからいたしましても、絶対に避けなければならないことでございますので、御指摘になりましたような事実につきましては、よく指導してまいりたいと思います。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、警察関係交通関係の人にひとつお尋ねしておきます。先ほど私は資料いただきましたのですが、三十七年から三十八年までの事故件数、死者、傷者、これを比較すると、三十七年よりも三十八年は、事故数においても、それから死者においても、傷者においても、ふえておるのですね。
  56. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) お手元に差し上げました資料によりますと、三十七年よりも三十八年は死者、傷者、それから件数ともにふえておるようでございます。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 新聞によると、三十七年より三十八年のほうが、件数がふえておるけれども死者が減じたというように、警察庁で発表されたと聞いておったのですが、そうじゃなかったのですね。
  58. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) そういう発表はいたしておりません。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ、そうすると、死者は年々増加する方向をたどっておるのですか。これに対して、たびたび交通問題で私も予算委員会なりその他でやりましたのですが、いまだいぶ交通問題については下火になったのではないか。事故数はふえているにもかかわらずあまり問題にならないのですが、これはなれてしまったのではないかと思うのですが、これに対して警察庁は根本原因はどこにあると思いますか。
  60. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) いろいろその原因については各方面から検討をいたしておるわけでございますが、一つの原因は、私ども、最近の自動車の台数のふえ方というものが非常なふえ方を示しておるということが一つと、もう一つは、その自動車の台数のふえる傾向が地方において著しいものがあるということが一つでございます。もう一つは、道路相当に改善はされておりますが、道路それ自体におけるところの問題が一つございます。さらには、道路がよくなったからといって、必ずしも事故が減るということではなくて、むしろ道路がよくなったことによって交通量が誘発されて、それに関連をいたしますところの事故がある。たとえど一例をあげますと、四国地方、というよりは一般的に農村部でございますが、国道が非常に改良をされてよくなってきた、特に舗装がよくなっている、しかし残念ながら道路の幅員は必ずしも十分でないということで、そこにおきまするところの歩車道の区別がないというようなことで、歩行者の事故が多い、あるいは緩行車道が必ずしも十分に設けられていないということで、地方において自転車の事故が多いというようなことで、道路の改善をされた反面またそれに伴う事故が多発しておる、こういう現状でございます。私どもは一応そういう意味で道路状況、あるいはいま申し上げた自動車の台数、さらには基本的には運転者が大幅にふえておるということで運転者の問題というような点から、各方面から原因を探求しておる次第でございます。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは交通事故の問題についてはわれわれとしては残念なことですが、この数字の中には鶴見事故とか、ああいう事故も入っておるのですか。
  62. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) その事故の中には、たとえば鉄道の事故の場合には、単純に鉄道の原因による場合においては事故が含まれておりません。ただし、踏切の事故、踏切においてダンプカーが電車あるいは汽車にぶつかったという場合においては、その統計に入っております。
  63. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 関連して。いまの交通事故に関連して、自動車の運転手のお話か出ましたが、教習所の日本の——日本のというとおかしいですが、教習所の現在の数、それから許可の基準、職員ですか、それと事業の内容の中に一般の法規とか運転とかいう以外に自動車道徳と申しますか、何か精神的な方面の何かあるか、そういう点をひとつ……。
  64. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) ただいま最近の新しい資料がございませんが、三十八年の十二月末におきまして自動車教習所は七百六十三校ございます。だんだん年別にふえておりまして、三十五年当時におきましては指定された自動車教習所は百二十五であった、それが現在におきまして七百六十三、さらにその後ふえておりますので、本年に入ってから多少ふえておるかと思います。  これらの指定の基準といたしましては、道交法におきまして、管理者、あるいは指導員、検定員という人的な問題と施設の基準というものについて、法律並びに政令その他の関係の法令で指定の基準がきまっておるわけでございます。  さらに、その自動車教習所で行ないますところの内容といたしましては、指定をされた自動車教習所におきましては、技能試験を免除されるわけでございますので、試験を受けますのは法規の試験を主として受けるわけでございます。現在いろいろ問題になっておりますいわゆる道徳の問題につきましては、私どもといたしましては、適性検査という面から入ってそういう面の判定をいたしたい、こういうふうに考えておりますが、適性検査の問題につきましては、必ずしもその方法についてきまったものがないということと、非常に方法論がたくさんあるということで、現在鋭意関係方面の協力を得まして、近く具体的な方法論を確定いたしまして、本年度から実施をしたいというふうに考えております。道徳的な問題については、一般的な教習所の課程の中において運転者のマナーとして十分教えるということになっておりますが、必ずしもあるいは十分でないかと思いますが、こういう点については教習所の教授、講習内容について十分検討を加えて、そういう方向に進みたい、こう考えております
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体関連質問の中でも言われたんですが、警察庁ではいま言われた車両数の増加、道路整備状況、これだけではないといろいろ運転者の不注意その他あるようでありますが、今後やっぱり累年増加するという傾向は否定できませんか。
  66. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 実はこういうことを申し上げるとやや弁解的に聞こえるのでございますが、私どもそういう端的な数字をとらえて、確かに累年事故はふえておるわけでございますが、いわゆる自動車のふえた台数と、それからその自動車が歩き回るところのいわゆる走行キロ数というものとの相対比較におきましては、いずれも下降線をたどっておるということが現状でございます。したがって、死者の数はふえておりますが、自動車のたとえば十万台当たり、あるいは走行キロ数のある一定の単位をとった場合におきましては、いずれも、死者、傷者、件数ともに毎年下降線で下がっておるというのが実情でございますが、しかし、そうは言っておられませんので、私どもとしてはその絶対数を減らすということで努力をいたしておる次第でございます。
  67. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 関連。私ここへ資料を持ってきませんでしたが、日本の自動車事故は世界じゅうで必ずしも大きくないと、中以下だと思うんです。しかしながら、車の台数に比較すると相当多い。ことにいまお話しのようにいろいろな分類からは下降をたどっておるとおっしゃるが、総体的にはずっとふえておる、年々。一番世界で自動車の事故の減っておるのはアメリカだと思う。最近ずっと減っておる。これはあらゆる努力をしている。したがって、自動車に、郊外自動車にはバンドをつけたり、いろいろ苦労をしておる。日本では、自動車事故を起こした運転手、殺した運転手でも、再び運転ができるような状態だ。こういうのは世界でも珍しいのじゃないかと思う。したがって、一方では自動車の取り締まりと同時に、道路その他いろいろあるでしょうが、何とか、一番殺人的な凶器といわれておるのは道路交通事故ですから、ことは歩行者に対する問題が一番大きい、自動車事故の中では。これに対する対策を特にめんどうですが何とかお願いをし、ことに東京あたりの昨今の建築の道路状態から考えると、まずこういう状態は世界でもない。何かこういうふうな工事をやるときには危険防止の最大のことをやって、世界各国ともやっておるけれども、日本の状態は、それが手抜かりになっておる。これに対して取り締まりの立場から、たいへんごめんどうでしょうが、何とかやらないと、これはたいへんな国民の大きい損害だ。こういう点に対してのお考えをお聞きしたい。
  68. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 確かに御意見のとおりだと思うのでありますが、そこで先ほど来いろいろ御論議になりましたように、どうも三十八年度は一般的に低調ではないだろうか、こういう御議論があったわけです。そこで、国家公安委員会におきましても、三十九年度の警察の運営の重点を、先般来新聞にも報道されておりますように、暴力の絶滅と交通事故の半減ということを打ち出しておるわけであります。そこで、私どもといたしましては、公安委員会の御指示もありまして、私ども事務的に事故防止対策要綱というものをつくりまして、先般各都道府県に流して、それに基づく具体的な事故防止対策というものを検討させておるわけでございます。その中の一つの重点は、昨年の事故の内容を分析いたしますと、一つは歩行者の事故が非常に多い。これは確かに努力をすることによって何とか減らすことが可能であるということで、歩行者事故をなくするということ、それから自転車が被害者になる事故をなくするということ、もう一つは踏切道における重大事故をなくする、年少者の交通事故を何とか減らしていくというように、いろいろと各重点項目を定めておるわけでございます。特に私どもは歩行者事故、自転車の事故をなくしたいというふうに思っております。そのためには、やはりまず道路施設を、できるだけ既定の予算のやりくりでやっていただきたい、できるだけ歩車道の区別を明らかにしていただきたい。あるいは緩行車道をつくっていただきたい。もし歩車道の区別がない場合には、ガード・レールをできるだけつくっていただいて、歩行者の安全をはかっていただきたいというようなこと、あるいは横断跨道橋というようなものをつくる、あるいは歩行者信号機というようなものをつくっていくということで、あるいは横断歩道の整備をする。夜間のこれに対する街路照明等を整備をするということで、歩行者の安全ということについては、私どもとしては、道路あるいはその他の関係の方面から、できるだけつとめていく。たとえば手を上げて横断する運動、あるいは必ず運転者は横断歩道で一時停止をするということで、今回近く提案されます道交法の改正の中でも、そういう点について十分配慮をして法律的な取り締まりの整備をしていきたい、こういうふうに考えております。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、ここで終わるわけでございますが、そこで、やはり事故の件数の中の内容を、ここに出ておりませんが、やはりタクシーの車の事故が私は圧倒的に多いのじゃないかと思うのです——件数からいきまして。それについて、これは私、運転者の方ばかりの罪じゃないと思うのです。いろいろの関係もありましょうし、しかし何といいましても、やはり車を操縦しているのは運転者ですからこれに対する対策が考えられておると思うのですが、ただいま取り締まりを厳重にしても、いまの運転者の実情は交通局長も御存じのように、非常に運転手が払底しておるようですね。それがためにどちらかというと道徳といいますか、そういう交通道徳について若干足らないところもあると聞いておる  のですが、そういう点はどうでしょう。
  70. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) この問題は、昨年来いろいろ私どもとしても心配しておった点でございまして、これだけ自動車の台数がふえて、しかも、輸送人口というものが伸びていく段階において、車両は簡単に——簡単にと言っては語弊がありますが、増産可能でございますが、それを運転する運転者の確保ということは、もうすでに相当赤信号が上がっておるわけでございます。そこで、私どもは運輸省にも話をしまして、この運転者対策というものを考えないと、いたずらに第二種免許の運転免許を緩和するというようなことでは、根本的に解決できない。そこで、私どもはできるだけ運輸行政の中の、いわゆる技能労務者としての運転者を確保するということに重点を置いて、これを組織的に養成されることが一番必要である。もし、そういう養成される方法について、運輸省あるいは業者として成案があればその成案に基づいて、われわれももちろん運転免許の行政というものについて、いろいろと検討を加えてもよろしいということで、運輸省と私のほうと、それから業者と三者で運転者対策協議会というものをつくって、着々いろいろ内容的に成果をあげておるわけであります。さらに、近く労働省というものも入れまして、いわゆる運輸事業におけるところの労務者というか、技能労務者の、運転者の確保というものを総合的組織的にやっていただくということで、ぜひまず第一段階を解決していただきたい。それで、私どもの担当しております二種免許それ自体についても、いろいろ問題はあります。二種免許の試験を緩和してどんどん通してくれ、あるいは年数を減らして一年でいいじゃないかというような御議論に対しては、必ずしも私どもは現在の状況から賛成はできないということを申し上げているわけであります。しかし、二種免許の試験のあり方等につきましては、もちろん内容的に検討いたす点はたくさんあると思いますので、そういうような方向で何とか運転者の不足解消ということについて、私ども応分の努力をいたしたい。こういうように考えます。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私も自動車の運転には経験があるのですが、いま試験の話を出されましたが、学科、実地ともあると思うのですが、第二種についてやっておられると思いますが、もちろんそれは基礎的な学科は、私必要だと思うのです。やはり運転には経験というやつが一番重要だと思うのです。それと、経験が重要だが、やはりその人の運転心得といいますか、こういうことを私が言うと何かおかしいように聞こえるかもしれませんが、やはり運転する場合の心がまえということが非常に私は事故に影響すると思うのです。これはもちろん一つの条件といいますか、条件はあります。家庭的にあまりおもしろくない人は、やはり事故を起こす一つの原因にもなりますが、そういうことから注意を喚起するためには、心がまえということが大事ですから、これは私の一つの提案と申しますか、いろいろ言われたことですが、第一種免許を所持している者で、そういう心がまえで無事故で二年ないし三年やれば、ある程度それが表彰というか、褒賞という意味でないが第二種の免許を出すとか、こういう方法で気持を緊張させる、緊張ということばは当てはまりませんが、そういう心がまえをさせるということが、一つの大きい要素になると思う、その点どう考えられますか。
  72. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 確かに、御指摘のとおり、私どもは運転者を取り締まってこれに罰則を強化していくということも一つの方法ですが、それだけではやはり解決できないと思っております。私がいま申し上げましたように、運転者が自分で自覚してそうしてよき運転マナーをつけて、正確に安全な運転をするような、やはり条件といいますか、条件をつくってあげるということも、私ども必要じゃないかということで、あるいは安全協会等においても、無事故表彰を行なって、これに対していろいろな表彰をする、あるいはそれぞれの警察において優良マークというものを授与して、優良運転者としての標識を明らかにするというようなことで、さらに進んでいま御指摘のような二種免許を与えたらどうかというような点については御意見もありますので、いろいろな点でいろいろなほかの試験等の関係もありますので、総合的に検討させていただきたいというふうに考えております。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで僕は僕の経験から言うのですが、そういう方法を一ぺん検討していただきたいと思う。それをやったからといって実効をあげなければ、また考えなくちゃならないと思う。こういうものは、実際は本人なら本人が起こす事故ですから、私は宮観的に見て数が多いからどうこうという判断は間違いであるかもわからない。しかし、そういう方法を何といいますか、あらゆる方法を尽くしてやはり事故をなくするように、減らすということで、ひとつ努力を願いたいと思う。私は端的に言いますと、運転者の待遇と、それからいま申し上げましたように、一つの希望といいますか、心がまえをつくるような一つの方法を考えてやれば、ある程度私は事故は減ってくると思う。これは私の経験、あるいは人から聞いた経験からいって、とにかく走ったらいいのだ、そうして客を送り込んだらおしまいだじゃなくて、社会的、公共的な性格を持っておるのだ、自分は運転者としての誇りを持っておるのだ、こういうところまでいけば、私は事故も減ると思う。踏み切りを無停車で走る人もまだあります。しかしそういう人にも、そういう気分になれば、たとえ夜中であっても電車が通らないことがわかっておっても、とめるという気持がそこから出てくると私は思いますので、この点をひとつ最後にきわめて強い希望として局長に申し上げておきたいのです。公安委員会でもひとつその点はぜひ出していただきたい。
  74. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 ちょっと一つだけ。そういう自動車免許は、いま日本は世界にまだ加盟していないのですね、世界じゅうどこでも行けるというそれはいつごろからやられる予定ですか、その点は。
  75. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) ただいまの御意見、私どもそういう点についてはいろいろ考えておりますので、現行法の運用、あるいは具体的にいろいろな点について検討させていただきまして、そういう方向で私どもも考えていきたいというふうに思っております。  それからただいまの御質問ですが、現在国際運転免許証の問題は、近く国際道路条約に加盟するということで、この国会に、国際道路条約への加盟の手続をいたしておりますので、それに関連いたしまして、私どもの道交法の改正の中で、外国から日本に来る場合に、これは一年でございますが、短期一年の上陸者が、適法の国際運転免許証を持っておれば、自由に自動車の運転ができる。それから日本から外国に一年間行かれて、短期外国に滞在される日本人の方々に対しては、その方が国内で持っておられる免許証に相当する国外運転免許証というものを、それぞれの府県の公安委員会が発給いたしまして、これを持って行けば、どこの国でも運転ができると、こういうことにするように、現在、国際道路条約加盟の案件、それに関連いたします一連の道交法その他の改正の案を提案をいたしておる次第でございます。
  76. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 ロンドンで、いま出しているのですね。世界三十数カ国加盟をしておるが、日本は入ってない。オリンピックに、たいへん不便じゃないか。この間、外務省で、いろいろ打ち合わせしておったが、近く近くと言うだけで……、この秋に間に合うようにしないといけない。たいへん不便である。それを一つを持っておったら、世界中、どこへ行ったって、自動車を運転できまずから、そういう免許証の話を、私は、いま申し上げたわけです。
  77. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 私の申し上げたのも、いま、先生のおっしゃったことで、できるだけ早い機会に可決をしていただいて、オリンピックに備えたいと、こういうふうに考えます。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 運輸省の自動車局長さんが見えておられるので、その点、ひとつお聞きしたいのですが、いまも警察庁の局長にお尋ねしたのですが、運輸省としては、交通問題に対して、その後、いろいろ、やっておられることは聞いておるのですが、私も、先ほどから、いろいろ、質疑応答いたしましたが、運輸省としては、どういう対策を持っておられますか。
  79. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 交通事故につきましては、いま、交通局長から説明がありましたとおりでございまして、この原因を、いろいろ分析してみておるわけでございます。そういたしますというと、結局、交通事故というものは、運転者の不注意あるいは過失、これが、ほとんど九割まではそうでございます。したがって、運転者の不注意ないし過失というものを、どこまで防止できるかというところに、事故防止の重点を置くわけでございます。したがいまして、運輸省といたしましては、特に自動東運送事業、旅客、貨物を運送いたします運送事業者といたしまして、事故防止の方法といたしましては、それらが採用して使用しております運転者の過失、あるいは不注意というものをなくするための方法といたしましては、運転者自身の教育の問題もございます。それから事業者として、管理者として、使用者の運転者に対する労務管理、この中には、給与制度の改善もございますし、あるいは休憩施設とか、そういった厚生施設を完備して、疲労度をなくするというふうな問題もございます。さらに、特に、多客季におきまして、旅客を運びます貸し切り観光バス等におきましては、無理な勤務日程をつくると、非常に需要が強いものですから、商売上、連続勤務をやらして、非常にこたえるというふうな傾向も、しばしばあるわけでございます。こういう点につきましては、そのつど、警告を発し、注意はいたしておりますけれども、依然として、そういうことを乱る経営者もおるわけでございます。その点につきましては、事前に、あるいはシーズン前におきまして、注意はいたしますが、もし、これらに違反した場合には、一罰百戒の意味で、相当、厳重な行政処分をする。それからタクシー等におきましては、運転者の給与水準をよくするという意味から、御承知のように、タクシー運転者につきましては、基本給と、それから歩合給というものの、二つの構成で賃金がきめられておりますが、一ころ非常に歩合給が多くて、無理やりに労働強化に押しやった。神風運転もその一つの原因でございましたが、これも逐次改善させまして、当時歩合給が六で、固定給が四というのを、今日では平均いたしましても固定給のほうが六をちょっと上回わる、歩合給が三・幾らという程度まで改善してきておりますが、なおこれでは私たちは十分とは考えておりません。したがいまして、事業者の増車その他の場合におきましても、この歩合給の比率というものを改善の方向へもっていくために、増車の車の割り当て等につきましても、この点を考慮して、悪い比率のものについては、車を標準どおりには増車しないというような、いろいろな方法を講じ、改善につとめております。これらの努力をいろいろ総合いたしまして、今後とも事故防止に重点を置きたい、かように考えております。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは運輸省か、警察庁の管轄か、ぼくもちょっとわからないのですが、自動車運転者の養成、先ほど草葉さんからもお話ありましたが、そういうことを考えて、車両の増加数と、運転者の養成数と、この需給は今後どういう見通しがありますか。ある程度マッチしていくような情勢ですか。この点最後にちょっと、どちらからか聞いておきたいと思います。
  81. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 私の知っております範囲のことを申し上げますと、結局運転免許の段階で、免許をとっておる人間というものの数と、それから実際に運送事業等に雇われている運転者の問題と二つ分れるわけでございます。運転免許につきましては、警察庁のほうからお話があると思いますが、私の聞いておりますところでも、年々相当数の運転免許獲得者があって、教習所も非常に繁盛しておるというふうな状況でございますが、一たん運送事業に雇われる運転者ということになりますと、たとえば旅客の運送をする営業用の運転手には、運転免許をとっただけではいけないということで、さらにたとえば三年の経験が必要である、あるいは陸運局長が指定する養成機関に入れまして、必要な事柄を教え込みました上でなければいかぬというふうに、道路運送法の面におきましても、さらに条件をきびしくしておるわけでございますが、そういう点で営業用の旅客の運転者の数はさらにしぼられる。そこへもってきて、先ほど申し上げましたような給与状況等から、あまり希望者がないというふうな問題もあるわけでございます。したがいまして対策といたしましては、ただいまちょっと申し上げましたように、給与制度の改善、要するに労働の質と量に比例したいい給与制度のもとで、自動車の運送事業が健全に経営できるように、事業そのものを直していくという方向の努力も必要かと思っております。ただいまの現状では、営業用の運転手は不足しておるというのが現状でございます。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 不足しておる……。ぼくはこれで……。
  83. 市川房枝

    市川房枝君 選挙局長に伺いたいのですが、三十九年度選挙の常時啓発に関する費用は五億五千万円で、前年度よりも五千万円増額しておるようでありますが、大体のその内容と、それからふえたというのは、どういう点でおふやしになりましたか、それを伺いたい。
  84. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) お話しのように、五千万円、三十九年度には前年度より増額をさしていただきたいと思うのでありますが、一つは、市町村の常時啓発活動を強化いたしたい。そのためにやり方としていろいろございますが、一応モデル地区というようなものをやっておりますので、それをさらにふやしてまいりたいということでございます。それからもう一つは、テレビとかラジオを通じまして常時啓発の関係の放送をいたしておるわけでございますが、その中で特にテレビにつきましては、三十八年度までは八局程度ございまして、とうてい全国に行き渡るようなかっこうのものではございません。私どもといたしましては、少なくとも十一局ぐらいにいたしたいというので、予算の要求をしておりましたのでございますが、まああれこれいたしまして、一応五千万円の範囲内でその両方を強化してまいりたい、こういうことでございます。その中で市町村関係増額分というのが大体三千六百万円ばかり、それからテレビ関係の同数をふやしますための費用といたしまして、一千万円ばかり増額をさしていただいた、こういうかっこうになっております。
  85. 市川房枝

    市川房枝君 三十八年度の常時啓発費は五億円ということになるのですか、衆議院の選挙がありましたから少しふえましたね。それを加えると六億ではなかったのですか。今度は選挙はありませんね。それは入ってないだろうと思いますが、その関係はどういうことになりますか。
  86. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 三十八年度の常時啓発の関係は五億円でございますが、衆議院選挙に際しまして臨時啓発ということで、そのためにこの五億円の中のいま詳しくちょっと覚えておりませんが、常時分の二カ月分ぐらいと、それから新たに衆議院総選挙のときのために予備費から出していただいたものを加えまして、その予備費から出していただいたものが四億幾らだったと思いますが、それとまあ常時啓発のちょうど十月、十一月分合わせまして、衆議院選挙に臨む臨時啓発関係が六億というようなかっこうであったわけでございます。
  87. 市川房枝

    市川房枝君 そうすると、両方加えると六億どころでない、総計何億でありますか。
  88. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 約九億ばかりになっておりはしないかと思います。
  89. 市川房枝

    市川房枝君 三十八年度選挙も加えて常時啓発九億円ということですが、これはまあ、いままでの自治省として常時啓発にお使いになった一番最高額ですね。この費用が多くなるということは、一方から言いますと、それだけ啓発すべき理由が強いといいますか、別なことばで言えばそれだけ選挙がよくないと、こういうふうにも言えると思うのですけれども、九億使って、そしてそれでは去年の衆議院の選挙が前に比べてどれだけよくなっているかということを考えますと、私どうもよくなっていない、むしろ悪くなっているんだと思うのですが、そうすると、この金は国民の税金なんですけれども、非常にもったいないといいますか、国民に相済まぬという気持がするのですけれども、その点は局長はいかがお考えでしょうか。
  90. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 私ども選挙につきまして、選挙違反の件数でありますとか、投票率とか考えますと、それが三十五年の選挙より数字的にはふえておりますので、選挙がますます悪くなったという議論があるわけでありますが、常時啓発に関しましては、私どもといたしましてはまだこれでは足りないというふうに考えております。と申しますのは、いまの場合でもたしか一市町村当たりにいたしますと、常時啓発活動の経費が五、六万円になってしまいます。私どもとしては、せめてやはり一市町村当たり十万円ぐらいなければ、ほんとうに資料を出し、あるいは会合を開き、周知をはかる活動というものがなかなかできないのじゃないか。そういうふうに思っておるわけでございまして、いまのところでは常時啓発活動もどちらかと申しますと、まだ上すべり気味になっている。まあお話しのように九億ばかり出すと、もったいないじゃないかというお話ですが、出すくらいならばもっと出して徹底して常時啓発というものを考えていただく。と同時に、これは社会教育、あるいは学校教育、いろいろな方面とも緊密に連絡をいたしまして、そしてそういう根を植えつけていきたい。しかし選挙のたびごとにそういう批判が多く起こってまいるようでありますし、また、公明選挙ということばは非常によく浸透しておりますので、そういう意味では私も平生の努力が必要だと思っておりますけれども、九億円が非常に多う過ぎるとは思いませんので、むしろ少な過ぎる、やる以上は徹底したことをやって、そして早急にも効果があがらないかもしれませんけれども、やはり十分伸ばしていきたいと思っております。まあ、活動の方法その他につきまして、いろいろ御批判もあると思いますが、一生懸命関係者としては、努力をいたしているところであります。
  91. 市川房枝

    市川房枝君 地方で公明選挙運動が上すべりをしているきらいがあるというような御意見でしたが、地方で公明選挙運動を先立ちになってやっているのは推進員ですか、あるいは推進協議会といいますか、それは民間の団体ですか。まあ官庁としてはそれは選挙管理委員会がその常時啓発の任務を負担していることは、これは承知しているのですけれども、その民間の団体としては推進協議会がやっていることになるわけですか。
  92. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 民間の団体といたしましては、公明選挙の推進協議会、お話しのように、そのまあ下と申してはあれでございますが、市町村の推進員ということでやっていただいているわけでございます。ただやはりそういう話し合い活動をいたしますにいたしましても、いろいろな日常の活動いたしますにいたしましても、そういう意味のリーダーと申しますか、助言者と申しますか、そういう方がなお少ないのじゃないかというふうに思っております。現在推進協議会なり推進員といわれる方々は、大体三十万人くらいじゃないかと思いますが、その方々の中にも、いろいろ活動される強弱といいますか、あるいは巧拙と申しますかございますので、その点を少し本年度におきましては、研修その他を通じまして強化してまいりたいと思っております。
  93. 市川房枝

    市川房枝君 その推進員というのは、地方によってはときどきかわるといいますか、一定してないといいますか、人数総計三十万人くらいあるかもしれませんが、ほかのいろいろな政府に協力するような、いろいろな意味のものが各省にあるのですけれども、そういうふうなのとちょっと違うわけですね。その推進員に対しては、年に幾らといいますか、報酬を出しておるところと、出してないところとあるみたいですけれども、それは自治省としてはどうお考えですか。
  94. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) お話しのように、推進員は、やはり交代制といいますか、ところによりますと、極端な場合には一年とか二年とかいうようなことで、かわられるところもあるようでございます。私どもといたしましては、むしろ長くいいお方に続けてやっていただきたいと思うのですが、いろいろな事情でかわられる方があるようでございます。  それから報酬につきましては、報酬はほとんど出しておりませんで、ただ活動のための実費弁償といいますか、そういうような程度のものは、お出しをしておるというのが、大体の実情でございます。
  95. 市川房枝

    市川房枝君 ほんとうに地についた運動にするのには、推進員といいますが、民間でほんとうに一生懸命にやるという人を得ることが、一番重要な問題だと思うのですが、その点について、いま局長からも御答弁がありましたけれども、その推進員にほんとうの適当な人を得るように、何とか考えていただくといいんだと思うのです。まだこの問題いろいろありますけれども、時間がだいぶ長くなりましたので、また別な機会に伺いたいと思うのですが、ただもう一つ、いわゆる常時啓発の運動は、選挙管理委員会がすることになっておるのですが、その選挙管理委員会が、私は必ずしも常時啓発をする機関としての、事務的な面からいっても、あるいは選挙管理委員会の人の問題からいっても、それに適当な人たちがなっていないのじゃないか。選挙管理委員会が、この選挙の常時啓発については、非常に弱いといいますか、必ずしも適当でないのだという感じを深くしているのですが、それは局長はどうお考えになっておりますか。
  96. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) この選挙管理委員につきましては、地方公共団体におきまして、議会で選挙によりまして選ばれる人たちでありますが、議会における選挙で選ばれる際に、そういう能力なり識見なりというものを十分考慮されて選ばれておるのが、一般の例だと思いますが、中には必ずしもそういう事情ばかりにとらわれないで選ばれておる方もあるように私どもも見受けております。したがって、そういう場合がありますので、いまの公明選挙の推進協議会、これが各地方公共団体に設けられております。これはその地方団体の区域内におきますところの有識層、あるいは文化的な団体の代表者、そういう方をほとんど網羅しておりますので、むしろそういうお方が、現在では選挙管理委員会のほうでは計画を立てましても、実際にその活動をしていただくリーダーとか、そういうことで活動していただく方は、むしろその推進協議会のメンバーになっていただいておるお方にやっていただいておる。したがって、実態は、むしろ協議会に名をつらねていただいておるお方のほうに、おもにやっていただくというような状況で運営されているのが通常だと考えております。それから事務教育等につきましても、選挙関係者だけでは十分でないと私どもも思いますので、来年度からは、社会教育なり学校教育なりの、そういう方々の協力を得まして、強いものにしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  97. 市川房枝

    市川房枝君 推進協議会の幹部の方ですね、いまお話にありましたそういう方に、非常にりっぱな方がおいでになることは私も地方へ調査に行ってまいりましてそれを感じたわけですが、ただやはり協議会というものではほんとうの意味での民間の組織じゃなくて、選挙管理委員会の下と言うと悪いかもしれませんが、費用だとか計画といいますか、わりあいに自由にやれる立場にもなさそうな点があると私は思います。だからそれは局長のほうでそういうふうなお考えになっておいでになるならば、私は大へんけっこうだと思いますが、推進協議会が十分そのために働いていただけるようにひとつ御配慮を願えたら、公明選挙の実をあげる上に、たいへんいいんじゃないかと思います。またなお、この問題についてはお尋ねいたしたいと思いますが、一応これで終わります。  これは自治省のほうのどこに聞いたらいいかあれですが、最近新聞やラジオその他で地方議会の議員の方たちの報酬が値上げになっていることが、毎日のように出て国民の関心を呼んでいるのですが、どの程度の地方議会がすでに値上げをしたのか、そういうことの数字的な何かございましょうか。
  98. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 市町村議会の議員につきましては私どもつまびらかにいたしておりませんが、都道府県議会の議員につきまして私ども承知をいたしておりますところでは、今度引き上げました議員報酬の額が一番高いのは、大阪府と神奈川県の十六万円、最低が鳥取県、島根県の八万円でございます。単純に平均をいたしますと、九万六千八百円くらいになるかと思いますが、引き上げ前の金額から見ますと大体二五%くらいの率になっております。
  99. 市川房枝

    市川房枝君 地方議員の報酬の値上げなんかは、地方の条例できまることは承知をしておりますけれども自治省としてはこういうことに対しての権限はないにしても、何かなさったのか、あるいは黙って見ておいでになったのか、それはどうですか。
  100. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 議員の報酬につきましては、お話しのように地方自治法でその額につきましては条例で定めるということになっておりまして、それ以外その基準につきまして何らの規定がございませんので、法の趣旨といたしましては、各地方公共団体が自主的に妥当な額を決定をする、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、それぞれの地方公共団体におきまして世論の動向を考え、良識をもって妥当な額を決定されることを期待いたしておるわけでございまして、自治省があまり差し出がましく指導をするということは差し控えておるような状況でございます。
  101. 市川房枝

    市川房枝君 私前に伺ったことがありますが、石原自治大臣のときに、やはり地方議会の報酬の値上げが方々でありまして、だいぶ国民の世論を呼んでいたのですが、あのときに石原さんは、県に対して警告をお発しになったという事実がございます。それから昨年篠田大臣に伺いましたときには、地方に一つの標準を示していくのだ、つまり部長の俸給くらいが妥当だろうということを通牒をしてあって、一応そういう標準を示しているというですから、今度の値上げ平均二五%とおっしゃいましたが、そういう部長と大体同等くらいなというふうに地方へ御注意をなすったことがありますか。
  102. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 実は石原大臣のころ、お話しのようなことで、事実上、地方関係の団体等を通じまして、注意を、警告を発したことはございます。それから一昨年でございますが、やはり一般の引き上げの状況がございましたので、その際自治省といたしまして、非公式に自治省の見解といたしましては、都道府県の議員の報酬につきましては、当該都道府県の大体まあ、部長級くらいのところをめどに考えるのが適当だと思うから御参考までにということを、行政局長名でもって非公式な連絡をいたしたことはございます。
  103. 市川房枝

    市川房枝君 今度は何もなさらないというか、今度は非公式の御通牒に大体合っておるのですか。
  104. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) ただいまの状況を見てみますと、府県の部長級より相当上回っているものが多いようでございます。
  105. 市川房枝

    市川房枝君 予算委員会の一般質問で、加瀬さんか何か自治大臣に御質問なさっていらっしゃったようなんですが、自治大臣は、そのときちょっと私は席をはずしておったから直接に聞いてない、新聞を通して見たのですが、何もしない、何も干渉しないというか、ほってあるというようなお答えだったと思うのですけれども、今度はそういう、いままでとは多少違う態度と了承していいわけですか。
  106. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 一昨年非公式にそういうような見解を連絡をいたしたこともございまするし、冒頭に申し上げましたように、一応議会の議員の報酬の額は、なるべく議会が自主的に良識をもって妥当な額をきめられることを期待すべきでございますので、政府におきまして、あまり干渉がましくすることはいかがであろうかということで、今回は格別の通知等を出すというようなことは、いたしておりませんし、現在のところ、まだそのような考えはございません。
  107. 市川房枝

    市川房枝君 法的の権限といいますか、あるいはないのかもしれませんけれども自治省が地方自治体の財政の赤字に対してやはりめんどうを見るという立場にある以上、前にお出しになった通牒をはるかに上回ったる額だということに対して何もしないということ、ちょっと私ども納得しかねるのですが、国民の感情というのですか、感情というものは、どういうふうにおとりになっていますか。
  108. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 新聞その他あらわれましたところを見ましても、相当お手盛りで引き上げ過ぎるのではないかという、その額なりあるいはその引き上げを決定をいたしますやり方なりにつきまして、相当な批判があるというふうに承知をいたしております。
  109. 市川房枝

    市川房枝君 まあそうお考えになっていても、何もなさらないというのですか。これ、自治省の方針といいますか、政府の方針ですか、内閣の方針ですか、それは別にそういうことは問題になったことはありませんか。
  110. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 自治省といたしましては、法律の規定のたてまえが先ほど来申すとおりでございまするし、事、地方議会に関することでございまするので、できるだけ差し出がましいことは避ける、しかし、常識を越えるようなことがありますれば、やはり広い意味で自治省が地方団体の行財政を確立すべき立場から注意をすべきときにはするというような考え方であるわけでございます。一昨年いたしました非公式な連絡の考え方が、今日におきましても、まあ大体そういう考え方でおりますので、今回はあらためてそのようなことはいたさなかった状況でございます。
  111. 市川房枝

    市川房枝君 これは、私の意見になって、御答弁をいただかなくてもかまいませんけれども、やはり民衆たちのそういうことに対する反応といいますか、反響といいますか、というものがやっぱり地方自治制を育てていく基本になるのじゃないか、だから今度のような状態は、私は健全なる地方自治制の発達というものにむしろマイナスになるのではないか、やはり地方議会に対する一般大衆の信頼、尊敬——信頼といいますか、そういうものを、いままでもあまりないのだけれども、それをなおマイナスにするのではないかという意味において、私はそれを心配しておるのですが、そのことは当然地方自治の発達に努力していてくださる自治省としては、その法的の権限の問題は別としても、それこそ非公式にしろ、何らかの意思表示をなすっても当然だという実は気がしますが、これは私の意見でございます。ありがとうございました。
  112. 野本品吉

    野本品吉君 いままで各委員から非常な関心を寄せられております交通事故、自動車を中心とする交通事故の問題につきましてお伺いするのでありますが、私は、実は、昨年、全国の交通安全協会が主催いたしました交通安全総ぐるみ運動のときに、交通事故による被害者の会というものができたわけです。私も、以前長男を殺しておるという関係上、その人たちの仲間といたしまして、いろいろとそれらの人たちと話ししております。また、この前の日曜、十五日の日には、兵庫県で二百名ほどの子供をなくし、夫をなくし、妻をなくした人たちが、自分たちの費用で死者の慰霊祭を行ないました。そこへ出席いたしました。それらの機会を通じまして、いろいろと被害者のやるせない気持、切々たる声を聞いておりますので、そういう話し合いにおきまして、われわれが話し合っておりましたおもな問題について、お伺いいたしたいと思います。時間もたいへんおそくなりましたから、できをだけ簡潔にお伺いいたしたいと思います。  まず第一に、これは統計を見ればすぐわかることでございますが、最近の数字を知りたいと思いましてお伺いするのでありますが、最近の一年、年間の統計で、自動車の事故によって死んだ者の数は幾人ぐらいあるか、けがをした者の数は幾人ぐらいあるかということをお聞きしたい。
  113. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) それでは、三十八年度にまとまりました数字を申し上げますと、事故の件数が、すでに資料であるいは出ておるかと思いますが、五十三万一千六百四十件、それから、死者の数が一万二千三百一人、負傷者の数が三十五万九千九十人、三十七年度に比べまして、事故の件数が〇・八%の増、死者の数が七・五%、負傷者が一四・四%ということになっております。なお、これらのものにつきまして、自動車、大型、普通、それぞれの分類をしたものがございますが、これはやや詳しくなりますので、資料として差し上げたいと思います。
  114. 野本品吉

    野本品吉君 実は前、死者が一万人をこえましたときに、私は、予算委員会で、一万人が死ぬということは、昔の一個師団が全滅するということなんだ。一万二千人が死ぬということも同様なんだ。これだけの大きな戦争と戦うのであるから、交通対策については真剣に取り組まなければならないということを予算委員会で言うたことがあるのでありますが、その気持はいまも変わりません。  そこで、次に、これはもうきまりきったことのようでありますけれども、死傷者の数が、いまのように三十八年度で死者が一万二千、負傷が三十五万をこえるというような激増を示しております原因につきましては、先ほどあるいは自動車の数が激増したとか、あるいは道路がこの激増した自動車の運行に十分でないとか、いろいろ御説明がありまして、よくわかりました。よくわかりましたが、総じて言えますことは、道が悪いとか、自動車が古い、がたがたのものであるとか、整備が十分でないというような、そういう物的な原因からでなしに、主として運転者の技術の未熟、それから不注意、不心得というようなことが多いと思うので、要するに車が事故を起こすというのでなしに、人が事故を起こすのだということが言えると思いますが、この点についての御所見はいかがですか。
  115. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) それはまさに御指摘のとおりで、やはり自動車を運転する運転者が第一義的に気をつけなければならない。自動車の運転者の不注意による事故が確かに多いということは事実でございます。
  116. 野本品吉

    野本品吉君 そこで、問題は、運転手の免許の問題に入ってくるわけです。先ほどからも、運転免許についてはいろいろの角度から注意してほしいということの御意見がありました。これは先ほども出ました。私は、最近雨後のタケノコのように、自動車練習所というものについては、先ほどもお話がありましたように、非常な数に達しております。で、自動車練習所が技術の指導、あるいは法規の指導ということでなしに、やはりあそこで相当指導上のウエートを置かなければならない問題は、人命尊重、運転倫理の教育だと思うのです。運転者倫理の問題だと思う。これが実際はほとんど行なわれておらぬと思う。これを裏づける一つの材料としましては、交通安全協会で、御承知のように、教本をつくっております。教本をつくっておりますが、自動車運転者の道徳教育といいますか、運転者の倫理の問題というようなものを書いた本はほとんど売れないと、こう言う。このことは、練習所において人命の尊重、あるいは運転者の倫理の教育というものが軽視されておるという一つのあれになろうと思います。したがって、将来自動車練習所においては、いま申しましたような教育というものをもっと尊重徹底するという方針で、一そうの御指導をいただかなければならぬと思うのですが、どうでしょうか。
  117. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 確かに自動車教習所に対します監督指導の面においては、従来欠けるところがあったことは否定できないと思います。したがって、私どもといたしましては、今年の重点といたしまして、いわゆる自動車教習所に対する監督指導というものを強化いたしたい、こういうふうに考えております。そこで、その内容につきましても、たとえば管理者の教育、あるいは実際の指導に当たります指導員の質の向上、さらには技能試験が免除されておりますので、いわゆるその検定員の資格の向上というような、あるいは教授内容の充実、教材の充実というようなことについて、現行法の法律改正を要さなくても、十分政令以下の段階でできることがたくさんあるわけでありますので、そういう現行法の運用を重点にいたしまして指導監督の内容を強化し、いま御指摘のような方向に向かいたい、こういうふうに考えております。
  118. 野本品吉

    野本品吉君 これは公安委員会の仕事になるか知りませんが、運転手の免許の試験は公安委員会がおやりになるのですね。
  119. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) そうでございます。
  120. 野本品吉

    野本品吉君 そこで、いまの問題に関連いたしまして、公安委員会で行なう運転者の免許の際の試験科目の中に、いま言った人命の尊重とか、あるいは運転者の倫理、そういうものについて試験されておるかどうか。
  121. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 法規の試験の中に道交法の内容の試験があるわけでございます。この道交法の中にも、当然運転者としての順守すべき義務並びに運転者として当然守らなければならない基本的な心がまえというものはそれぞれ書いてあるわけでございます。それらの内容のものにつきましての試験問題をつくりまして試験をやっております。しかし、率直に申し上げまして、確かに従来いろいろ試験問題の内容、あるいは試験のやり方等をつぶさに私ども検討いたしますると、いま御指摘のような点については、やや欠けるものがあるというふうに思っておりますので、この点については、先ほどもお答えいたしましたが、科学的な適性検査というものを重要視し、それに関連しながら、いま申し上げた道徳的な安全運転というものについての心得というものについて十分指導監督をし、これを強化していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  122. 野本品吉

    野本品吉君 私が見たり聞いたりする範囲においては、運転手の免許の試験の際に、ただいまの問題について触れるとがないといっていいほど、きわめて少ない。そこで、試験のときにそれをやるということが、練習所におけるそういう教育を徹底させる上において私は非常に有効な方法であろう、こう考えておるものですからいまの点をお伺いしたわけなんです。  次に、適性検査の問題も先ほど出ました。私は、せんだって練馬の少年鑑別所に視察に行ったのですが、そのときに自動車事故を起こした十七、八の少年に対して機械的な適性検査をやっておりました。そこでしみじみ考えましたことは、大きな事故を起こしてから適性検査をやったって、これはもうどうにもならぬことなんで、どうしても適性検査の問題についてもっと考えなければいけないと、こう思っているわけなんです。参考に、これは法務省で交通事件を起こした少年の特別調査をいたしました。で、その結果といたしまして、違反の原因及び背景ということで二、三の項目をあげております。その一つは、職場の環境面における悪条件、労働時間が多いとか、あるいは大企業でなしに、町工場とか中小企業、零細企業の従業員に多いというようなことがいわれているわけです。もう一つは、精神的な、また肉体的な欠陥としましては、違反者の六・三%が精薄だという、特に無免許運転の一〇・八%が精薄だ。それから、運転の適性検査の結果によれば、違反者の四五・八%が適性を欠いている。それから、もう一つは、人身事故の一二・一%が耳鼻の関係の既往症の患者である。それから、三・五%が、かって頭部外傷を受けた経験者である。これがもしも一般に通用する一つの原因及び背景であるとするならば、現在幾十万かおります——百万、あるいはもっとおるであろう運転者全部にこの率を当てはめてみますと、これはおそるべき結果になろうと思うんです。そこで、適性検査の問題をどういうふうに処理するかということは、交通事故防止の上からいって非常に私は大事なことだと、かように考えておるわけです。その一つの方法として、これは私の私見を申すのでありますが、これはどうしても各府県に数千台、何万台という自動車があるんですね、どの府県にも。その自動車の車体検査というのをいまやっているんですね。車体検査は何のためにやっているかということです。車体を完全に整備することによって、車体から起こるであろう事故の防止ということであろうと私は思う。もしも最初に申し上げましたように、自動車事故というものが、車とかものでなしに、主たる原因は運転者の技術の未熟である、不注意である、不心得であるということになれば、車体を検査をして人間のほうを検査しないということはないと思う、私は。どうでしょう、そこは。
  123. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) ただいまのその適性検査の問題に関連して、確かに運転者を検査するということは必要でありまして、そこで、私どもといたしましては、三年の更新の際に、できるだけいわゆる簡略な適性検査をする。ただ、問題は、その適性検査の方法の内容と、それから方法論を確立するということについていろいろ問題があるわけでございます。と同時に、これを多数のものにやる場合におけるところの時間と、それからいろいろな設備その他の問題について隘路があるということで、確かに御指摘のようにやらなければならないということは、もう非常にわかっておりますが、ただ、その方法論ということについて私どもは現在研究いたしまして、早急にそういう方向で解決をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  124. 野本品吉

    野本品吉君 そこで、私の提案いたしたいと思いますことは、各府県に多数ある車体に対して、各府県で逐次厳重な検査を施行していくのでありますから、それと同じように、各府県に適性検査をする機関を置くべきだと、各府県に。そして、車体検査と同じように、すでに免許証を取っている者、これから新しく取る者、その者に対して適性検査を順次行なっていく方法はどんなものであろうか。特にそれは免許証の取得後において、病気、あるいは負傷等によりまして心身の異常、運転手としての不適格性の発生があるわけですね。それですから、各府県に法的なそういう適性検査をする機関を設けて、そして新しい者も、免許証を取った者も、取得後における心身の異常等を発見していくというような、そういう検査の方法をとってみたらどんなものかというのが私の一つの私見なんです。こういうようなことについてお考えになってみるつもりはありませんですか。
  125. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 確かに御指摘のとおりで、私どももそういう方向でいろいろと適性検査の問題は検討いたしたいと思いまして、免許行政というものについて充実をさせたいと、こういうふうに考えておる次第でざごいます。   〔主査退席、副主査着席〕
  126. 野本品吉

    野本品吉君 この点については、ぜひここだけの答弁じゃなしに、大きな交通事故を防ぐ上において非常に大事な条件だと思いますので、十分御検討をお願いしたいと思うのです。  それから、その次には、これも先ほどちょっと出たようでありますが、青少年の交通違反の問題でありますが、成人の交通違反に対する処置ですね、それは成人の場合は八〇%強が刑事処分になっておる。それから、青少年の場合は八〇%強が審判の不開始、不処分になっているのですね。この成人の場合に八〇%以上が刑事処分を受けている。青少年の場合には八〇%以上が審判不開始、それから不処分になっておる。この自動車事故を起こした両者に対する処置がこういう状態でいいか。特に青少年の問題について何かお考えがあろうと思うので、この際お聞きしておきたい。
  127. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) この点につきましては、国家公安委員会においても検討すべきであるということが従来いわれておりました。そこで、私どもといたしましては、先般来、法務省ともいろいろ御相談をいたしまして、少年法の適用の問題についていろいろ検討したわけでございます。しかし、少年法それ自体の適用の問題、さらには運転免許年齢の引き上げと申しますか、こういう点についてもいろいろ検討いたしましたが、現在のところにおいては、先般新聞にも報道されました法務省の少年事件の取り扱いに関する臨時特例法案というような構想でどうだろうということで、私どもも漸進的にものごとを解決するという意味で賛成をいたしまして、積極的にこの法案の実現をはかろうといたしましたが、いろいろな関係で、最高裁との話もありまして、それでは現在の内容について具体的にさらに検討しようということになっているわけで、私どもといたしましては、物現の取り扱いについて満足をいたしておるものではございません。
  128. 野本品吉

    野本品吉君 その少年法の改正の問題については、いろいろと立場の相違から意見の相違があることは承知しております。しかし、そのために意見の相違があるからといって、現実にどんどん青少年によるそういう事故が起こっておる。それを一方で意見の対立、考え方が違うからといって、現実の問題をどう処理していくかということについては、時間の遷延を許すことのできない問題であろうと思うのです。したがって、関係各方面と十分御検討、御連絡をいただきまして、何とか当面しておりますこの緊急重大な問題を適当に処理できるような方向に向かって御努力をお願いしたい。  さらに、その次にお伺いしたいのは、これは運輸省になりますが、私は示談屋の問題についてお伺いしたい。現在示談屋の数はどれくらいありますか。それから、示談屋のやっておる事柄の実情はどうなっておりますか。取り締まりはどうなっておりますか。この点をお伺いしたいと思います。
  129. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) いわゆる示談屋と称するものにつきましては、なかなか的確に調べがたいのでございまして、私どものほうで、各県の事務所を通じまして、昨年調べたのでございますが、ちょっと手元に資料を持っておりませんから、あるいは多少数字の誤りがあると思いますが、正式に事故が起きた場合のそういった調停等を事業種目に掲げて、たとえば公益法人としての認可でもとるとか、あるいは事業団体としての届け出をしておるといったものを含めまして、大体たしか三十前後じゃなかったと思います。いま正確な資料を持っておりません。非常に調べにくうございまして、その中で特にいわゆる悪質な、悪い意味の示談屋として活動しておるというものもあるわけでございます。逆に、良心的に公益法人として、事情のわからない被害者の相談に応ずるという良心的なものもあるわけです。示談屋のしからばどういう点が問題になるかと申しますと、なかなか法的にこれを把握しがたいものでありまして、現在のところ、いわゆる犯罪として触れるものは、結局弁護士法に抵触するような行為があったかどうか、それから、もう一つは恐喝でございます。この二つに引っかけなければ結局犯罪として制裁できない。——たいたん失礼いたしました。業者の数は三十と申し上げましたが、これは一部でございまして、全国的には約二百でございます。たいへん失礼いたしました。それで、この弁護士法の違反、それから恐喝、いずれも刑法上の犯罪に属するものでございますが、そのつど、そういう事実があった場合に取り締まるということになりますので、この点は警察当局にお願いして、犯罪として取り締まるということになるのでございます。
  130. 野本品吉

    野本品吉君 示談屋については、いまのお話によりますと、良心的なものもあるが、同時に、好ましくないものもあるというようなふうき聞きとれました。実際をいいますと、一般論といたしましては、日本の一般大衆、ことに農村、地方や何かの人は、事件が起こりましたときに賠償の要求をするというようなことについて、非常にむずかしい手続もあるし、法律の知識が少ないので、その法の無知と、手続その他の煩瑣のために、なかなか正式な要求をしない、   〔副主査退席、主査着席〕そこにつけ込んで加害者、被害者の間に入って、そしてそれらの人たちの持っている法律知識と、それから巧みな弁舌によって両方から相当かせいでおるという、こういう一般的な見方は違っておりますか。
  131. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 示談屋のつけ込む理由は、まさに先生の御指摘になったとおりでございまして、したがいまして、それらを排除するため、われわれとしてはいろいろ考えておるわけでございます。  まず一つは、この損害保険の請求手続が非常に煩瑣であるために、しろうとではわかりにくいので、こういうものに頼むことがあるわけです。したがって、この請求の手続を簡素化しようということでいろいろ現在検討いたしておりますし、一部緩和し、実施もいたしておるのであります。  それから、もう一点は、現在、自動車損害賠償保険が、事故が起きました場合に損害額の査定をいたすわけでございますが、その査定には基準がございまして、査定事務所というところで査定をいたすわけでございますが、現在のたとえば死亡の場合の限度が五十万円でありましたものを、この二月から百万円に上げたわけでございます。と同時に、査定の基準につきましても、経済事情等考慮いたしまして、従来の査定の基準について改正を加えまして、いまでは、たとい小さな子供さんでも、死亡した場合には損害額の最低は大体百万円をこす場合が多いというふうな前提から、事実上限度額の百万円が取れるというふうに損害額の査定の基準を改ためてやるようにしております。したがいまして、査定によりましていろいろごたごたして被害者のほうが満足できない、百万円の限度が六十万円しか取れないというようなところにまた示談屋が入り込むすきがございますので、限度額まではほとんど事実としては取れるというような損害額の査定をする、こういうようなことも考えておるのでございます。
  132. 野本品吉

    野本品吉君 三十七年の交通事故統計、先ほどもお話がございましたが、これは三十七年ですか、一万一千四百四十五名が死んでおる。負傷が三十一万三千八百十三名である。こういう多数の死傷者とその家族を、示談屋の食いものといっては少し言い過ぎかもしれませんけれども、いまの示談屋にまかしておいて、それでこれを放置しておくことは、私は適当でないと思います。それが適当でないから新聞社の社会部であるとか、あるいは日本弁護士連合会とか、交通安全協会というものが、こういう事故の起こった場合に、その示談屋から被害者の利益を守ってやるために積極的に動き出しているわけですね。それは示談屋というものが、ほんとうに公正に迅速に被害者のために親切に働いてくれておるならば、いま申しました新聞社であるとか、弁護士会であるとか、交通安全協会は、そんなことをするわけはないですね。だから、私は、ぜひもう少し示談屋の問題につきましては、運輸省でもっと真剣にお考えになって、幾十万の死者と負傷者のために適切な対策を考えるべきである。その適切な対策をどういうふうに打ち立てていったらいいかということがすぐ問題になってきますが、これは私は先ほどほかのことでも言いましたように、これは各地方に民間の信用のできるりっぱな人がおりますから、事故が起こったらばその人のところへ行って指導を受け、その人の力を借りて迅速公正な処理ができて、そうして被害者を守り、同時に、法できめられております損害賠償保険というものが正しく実施されるようにというふうに考えたらどうかと思いますが、どうですか。
  133. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 被害者から示談屋による被害を排除する方法といたしまして、ただいまお話のような点は非常にけっこうなことだと思います。われわれといたしましても、そういう意味から、各所に、何と申しますが、補償センターといったようなものを設けて、いま先生の御指摘のような機関をつくりたい、こういうふうに一昨年来考えてきておりますが、予算折衝等でいまだ実現していないことは非常に残念でございます。  なお、昨年来、とにかく事故にあわれた場合には、直ちにもよりの交番なり、派出所なり、あるいは陸運事務所なり、あるいは損害保険会社なりにすぐお行きなさいというふうな宣伝をやることにいたしておりまして、特に警察の派出所のほうには、警察庁の御協力を得まして、事故が起きた場合の損害保険については、手続その他に関して簡単な書きましたものを配っていただきまして、警官一人一人もそういうことをあまり知りませんので、それを備えつけて、そういう問い合わせに応ずるようにしまして、被害者がそれを見て直ちに必要な措置がとれるようなこともいたしてまいっておりますが、まだまだPRの点は徹底を欠いておりますので、今後さらに御指摘の点も含めまして、努力をいたしたいと思います。
  134. 野本品吉

    野本品吉君 いまのような新しい方式をとる場合には幾らか金もかかりましょう、それから、時間もかかるかもしれませんが、こういうことのために予算がとれないというようなことならば、これは人命尊重の精神に欠けておるということなんですね。だから、ほんとうに人命尊重ということを真剣にお考えいただけば、これは運輸省としては、当然来たるべき機会において、多数の被害者を守るという大きな立場から、堂々と予算を要求してはばかる必要はないと思うんですが、どうですか、そのお考えは。
  135. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 全く同感でございまして、今後さらに続けて努力をするつもりでおります。
  136. 野本品吉

    野本品吉君 たいへん前向きなお返答をいただきまして、非常にありがとうございます。私は、やはりもしそういう事務当局の要求がいれられないようならば、いまの政府の人命尊重に対する考え方に対して疑いを持たざるを得ないというところまで言いたいのです。それで、そのことに関しまして、一点警察のほうにお聞きいたしたいと思いますが、警察のほうでは示談屋の取り締まりに手を染めたことはおありになりますか。
  137. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) この点につきましては、警視庁をはじめ、示談屋の事件を手がけたことが過去にございます。私どもといたしましては、そういう悪質な示談屋を排除するという意味の検挙をするということと同時に、交通安全協会等の交通相談事務というものを充実をさせていきたいということで現在対処いたしておる次第でございます。
  138. 野本品吉

    野本品吉君 あともうちょっと時間をいただきますが、お許しをいただきます。  ちょっと質問事項がそれますが、一つだけ伺いたいので、建設省の道路局長さんにわざわざおいで願ったのです。先ほどもお話がございましたように、いわゆる死傷の原因道路その他に大きな原因があるということはだれもが認めておるところなんです。私が特にそれを感じますのは、私は群馬県ですから、家への往復に中仙道を通るのです。大宮から鴻巣間のバイパス道路を通る。あれができたので二十何分か時間が短縮されたのですが、あそこを通るたびに私が考えるのは、新しくできたバイパス道路の両わきに、あれは二メートルはないかもしれませんが、一メートル以上の歩道がついておる。あの歩道をなぜ舗装しないか。舗装がしてありませんから、雨が降るとごちゃごちゃになってしまう。通り手がない、舗装がしてありませんから、夏になると草がはえてぼうぼうになって通り手がない。そこで、歩行者は歩道がよければそこを通りたいのだけれども、やむを得ず車道のわきを通るのですね。日本の交通事故の統計を見ていきますと、これはあなた方十分御承知のはずだと思うのですが、横断歩道などの事故は非常に少ないのです。行き帰りのときに引っかけて殺すとか、けがをさせるのが、これが八〇%以上なんです、交通事故の大要を見ますと。これは狭い道路であり、大きな車を通して、人間がクモの巣のように壁に張りついたりへいに張りついたりしても、まだすれすれに背中を通るというような道路もありますけれども、私は、なぜせっかくつくってある歩道を舗装しないのか。もしあれが今後の建設省の道路建設の一つの型だとするならば、これはたいへんなことだと思う。したがって、現在そういう状態にあるところはぜひ至急に直して、死ぬ人間を少なくしてもらいたい、けが人を少なくしてもらいたい。全国的にそういうことがあるならば、新しい道路の開発もむろん必要でありますが、同時に、歩道を整備してもらいたい、これは交通事故防止の非常に大事な点だと思うのです。そこで、その歩道の整備をしないというならば、私は悪口を言うようでありますが、道路というと車のことばかり考えておる、人間のことを考えない。だから、車道ばかりあって人間の通る道がないから、私は、日本の国に人道がすたれるのも無理はない、こう言って笑うこともあるのですが、この点について道路局長さんのお考えを承りたい。
  139. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) ただいまの御指摘はまことにごもっともだと思います。私どもも、できるだけ歩道のことについても考えなければならぬということは十分承知いたしております。まあ一般的に申しますと、全体の道路予算の配分ということになりますが、従来ややもすると、ただいま御指摘ございましたように、自動車の交通需要に追われる対策が多かった、あるいはそういうものが非常に目についたということであろうと思います。御意見、御批判も非常に多うございます。内閣交通基本問題調査会というのがございまして、そこで交通安全委員会というものもできております。そちらのほうからも大体そういうような御趣旨の答申が出ることになっております。私どもといたしましては、そういうような事情でございますので、今後できるだけ歩道の整備についても配慮いたしたい、このように考えております。ただいま御指摘の大宮付近につきましても、まだ舗装されておりませんが、実は東京都内におきましても、そういう個所が多々ございます。私どもは、交通量の多い、特に歩行者の多い、事故の多いような町から積極的に歩道の舗装をやりたい、こういうふうに考えまして、本年度からすでにこれが手はずを進めております。三十九年度以降におきまして新しい五カ年計画の策定をお願いいたしたのであります。この計画の中にいま御指摘のような趣旨を十分織り込みまして、せっかく煮詰めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  140. 野本品吉

    野本品吉君 どうぞその点については十分お考えいただきたいのです。  ついでに気づいたことを申し上げておきますが、バイパス道路をつくって、バイパス道路に工場や住宅がぴったりくっついてつくられますと、せっかくつくりました両方の一車線というのが死んでしまうのですね、建物に車が出入りしたり工場に出入りしたりすることによって死んでしまいますから、私は、りっぱな道路をつくる場合に、工場の建設その他は道路から何メーターなければいかぬということを、あるいはきまりがあるかもしれませんけれども、励行されるように、これも一念のために申し上げておきます、建設省の方にそれだけ。  最後に、運輸省の方に一つお聞きいたしたいと思います。自動車損害賠償保険法、これは私は年来興味を持っている問題でありまして、たぶんあれは三木運輸大臣当時だったと思いますが、自動車局長は中村さんがやっておったと思うのですが、日通へ行かれた。そのときに、交通事故防止を兼ねてこの問題を解決する必要があろうというので、お骨折りいただいて損害賠償保険法ができたのです。その後、だんだん先ほどお話のございましたように、三十円で出発したものが五十円になり、また今度は百円になった、まだその金額というものは十分であるなどとは決して言えないのだ、今後もふやしたい、ふやしていただきたいと思いますが、ここで一つ問題は、自動車損害賠償という面から自動車の安全運行を促進する方法はないか、日本の現在の自動車損害賠償保険法と自動車の安全運行とは全く無縁なものになっているのですね。アメリカ等のことを私は詳しく知りませんが、本で見たり聞いたりしているのですが、損害賠償保険法制度そのものが自動車の安全運行を間接的に強く要求する制度になっているということをおぼろげながら承知しておるわけです。日本の場合は、それが全然別なものですから、かえって損害賠償保険法があるから、そのために運転者というものに誤った安易感を与えておる、これは言えると思うのです。そこで、損害賠償保険法の内容について多少の意見を持っているわけです。その一つは、先ほど来申しますように、物の問題よりも人の問題ということを考えた場合に、人に対する責任を明確にするために、賠償保険法の保険証書に運行責任者、運行者の名前を入れたらどうかということが一つ。で、運行者の名前を入れることによって、いつも運行者がその車の事故に対して責任を感じて運転することが一つ。もう一つは、現在は地域別、あるいは車種別、用途別の区分によって機械的に保険料率というものがきめられているわけですね、車そのものが事故を起こすというような観念がここにあらわれておると思うのです、私は。そうでなしに、事故は人が起こすのだというふうな考え方に立てば、いまの地域別、車種別、用途別の区分による機械的な保険料率の決定というようなことが別な角度から考えられるのじゃないか。つまり運転する人の種別によって料率をかげんするという考え方は出ないかどうか。少年が運転する場合には事故の率が多いのですから、そこで保険料率というものを高めるとか、あるいはいままでに事故を多発した事故多発の運転手に対しては、そういう車に対しては料率を高くするとか、こういうことが一つ。それから、もう一つは、違反を繰り返す車に対しては保険料の引き上げをする。現行法では事故を起こした車に対する負担相当あるわけですね。その事故を起こした車に対する負担をだれが負担しておるかというと、全く事故を起こさない無事故の人が一様に負担しておるわけですね。そうじゃないですか。これは私はどうも変なことだと思う。そこで、そういうところから現在保険が赤字だとか聞いておりますが、やはり保険の赤字が出てくるのじゃないかと思う。したがって、一定の期間に一定の回数以上交通事故を起こしたという、そういう車に対しては保険料を引き上げる。それからして、一定の期間に全く無事故である、相当長期にわたって無事故の単に対しては保険料を下げる、こういうような方法を講ずることは、単に自動車損害賠償保険法だけでなしに、その面から安全運行というものが非常に推進される、こういう考え方なんですが、私のこの考え方についての所見を伺いたい。
  141. 木村睦男

    政府委員(木村睦男君) 自動車損害賠償保険制度は、本来自動車による被害者が損害額の救済を受けます場合に、加害者にそれだけ負担力がない、そのために十分な救済ができないということから、強制保険に加入さして、一定の限度までこれを救済してやろうというのが本来のこの制度の趣旨でございます。したがいまして、この保険制度によりまして、さらに事故防止、安全運転という予防措置もあわせて、予防措置の効果も上げようということになりますというと、いまお話のように、事故を起こした者についてはこの保険料を倍加するとか、あるいは無事故のものは割り引きしてやるとかという考え方があるわけであります。それで、わが国でこの制度をとりましたのは昭和三十一年ごろでございますが、この保険制度にも、当時英米式なやり方と、欧州大陸的なやり方とございまして、当時いろいろ研究したのでございますが、初めてこの制度を採用する関係上、まずわかりよく、複雑でない方法でいこうということで、現在のように、わが国におきましては、車についての保険という制度でいったわけです。御指摘のように、車についての保険でございますというと、運転する人についての保険でございませんので、ただいまお話のような欠陥もあるわけであります。で、今日までこの損害額、限度額等につきまして二回改正をいたしたのでございますが、これらを審議してもらっております保険審議会においてもただいま御指摘のような議論も出ております。われわれとしても、この制度を事故のアフターケアだけじゃなくて、予防にも活用したいという考えは持っております。したがいまして、今後これの改正にあたりましては、いまの制度をそのまま続けることがよろしいか、あるいは御指摘のように、事故の予防という効果もこの中に入れる制度に改めるのにはどういうふうにしたらよいかということを引き続き研究をいたしたいと思うのであります。将来の方向としては、方法論はいろいろでございますが、御指摘のような趣旨を生かした制度に持っていきたいとわれわれも実は考えておりますが、なかなかむずかしい問題もございますので、さらに検討をさしていただきたいと思っております。
  142. 野本品吉

    野本品吉君 まあ立法の上からいうとむずかしい点があるというお話で、私もある程度わからないことはないのでありますけれども、要するに事故防止という立場からいまの保険法と安全運行というものをどういうふうに結びつけて——それが一体的な運用、活用によって多発しておる事故を防止する方向への御研究をぜひお願いしたいというのが私の希望なんであります。ぜひお話のような方向に向かって最善の御研究をお願いして、損害賠償保険法というものを日本の交通安全確保のために相当役立つようなものにしてほしいという強い希望を申し上げておきます。  以上、いろいろお伺いいたしましたが、なお、厚生省関係のことがありますが、これは明日に譲りたいと思います。要は、最初申しましたように、一万何千の者が毎年死んでいく、三十万、四十万の者がけがをしているこの大きな問題に対して、あらゆる角度から全面的な研究努力を必要とするのでありまして、この点についての皆さんの御協力をお願いしたい。  これで終わります。
  143. 藤田進

    藤田進君 野本委員の質問に続いたような形でちょっと質疑をいたしたい。  いろいろ私いま野本委員質疑を承って、研究もされているし、また、建設的な非常にいいものがあったと思うのですが、問題は、それを委員会で御答弁いただいて、やはり実行してもらわなければ困ると思うのです。警察庁の高橋交通局長さんね、あなた自分で運転していますか。
  144. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 私は自分で運転をやっておりません。
  145. 藤田進

    藤田進君 これが日本の場合、問題があると思うのです。経験のない人がえらいところにいて、やっていることがみなとんちんかん。ぼくは昭和十八年から二十年間運転しておりますが、大体ずっと持って、現在でも自分でやって国会に来ておりますが、とんちんかんなことをやっておる。ぼくは、時に警察その他に注意するんですが、やるもんじゃない。たとえば、これはできれば全国的にやってもらいたい。バスの停留所が東京都内あたりは若干離れておりますが、国道あたり、地方へ行きますと切符の売り場があるものだから、上り下りが相対した——ちょっとずらした程度、いまバスの車体は長いですからね。しかも、二社、三社が競合線に入っておりますし、二台、三台ととまる。一台ずつとまっても、たまたま回数が多いし、停留所に両方とまっちゃう。そうすると、うしろから来たやつがずっとじゅずつなぎで、乗り降り待っておれない。無理して下ろそうとする。ところがバスを降りた人が、あとのバスの前にひょっと出て来たりする。これは、なぜもっと離せないのか。具体的に指摘したことがあるのです。これなどが一つ問題。  それから最近、東京都あたりは、特に右折禁止をかなりやっております。安井さんのときに、個人的にいろいろ注文したのですが、現在は過渡的に、ひとつためしにやってみておるので、悪ければまた直す。規則によれば、右折禁止という札を歩道の横に立てることになっております。これが規則なんです。しかし実際問題として、ゴーストップがあるところに、あそこに、最近標識が変わりましたけれども、おおむねやっておる。ところがやってないところがかなりある。これはどういうことかというと、右折の場合には右コースに入る。大体、東京都なんかで、電車道なんかでも三列縦隊、右折の場合には、必ず手前から右コースに入らなければならない、そういうふうになっておる。ところが右コースにかなり前から入らなければだめです。相当の列が続いておりますからね。左のほうは高いダンプカーであるとか、セメント・コンクリートのやつとか、ほろのトラックとかで見えませんよ。かなり高くしてあるので見えない。そうして私が経験したことを申し上げるのですが、これは特定の人をどうこう言うのじゃなくして、警察庁にすぐ私は電話しましたけれども、警察は三人ほど陰に隠れて待っておる。右折禁止にしても、当分は、できるかと思ってやってくる。しかも、いまのような状況で見えないから、右折するサインを出しておる。そうすると、向こうから三人ほど喜んで、警官がぼくの車とめたのです。ぼくが、どうしたのだと言ったら、右折禁止ですよ、免許証を出せ、切符にサインしろ、見ていると、三人しかいないのだけれども、四台、五台と次々と右折して続いてくる。それで四台くらい来れば、三台くらいしかつかまらない。残りはどんどん行ってしまう。三人しかいない。そこでぼくは降りて、前のとめられた二台の人に、「君たちわかっていたのか」、「いや、いつからこんなことをやりましたか知りません」、そうすると、「おまえはあっちへ行っておれ」、マークをすぐ見せなかったものですから、そのとき、ぼくは怒ったのです。君たち三人も、ここに隠れて喜んで出て来る。ここ当分は、右折禁止にいつなったかわからないのだから、そこの辻に立って、なぜもっと指導しないのかと言ったのですが、そんなことは聞き入れるものでない。切符にサインしろ。これは知った人は、右折しないで車を走らせる。知らない人は、青になったから右折するのだが、そういう関係でも、事故がふえる。  その他交通標識は建設省ですか、私はこの間、東京から広島まで千キロありますが、自分でやっていきました。ぼくは終戦直後、アメリカでも運転してみました。これは終戦直後ですけれども。彼らはみんな自分で運転しております。役所や会社に一般の車なんておよそない。みんな自分たちでやっておる。相当の地位の人たちでもオーナーです。ですから、交通取り締まりなりをする人たち自身が運転をしているものですから、標識をいい、螢光塗料というのですか、ライトであてれば、ちゃんと適当な距離をもって表示してあります。道路も四十号線あるいは三十号線という、ああいう番号で指示してありますが、日本の場合は、広島まで行く間、私は四回困りました。まず箱根を越えて行く道で、おかしいなと思って途中から国道にかわったのですが、これなんかは、標識なんかは全然自動車運転の経験がない人がやっているからです。神戸もそうです。名古屋もそうです。こういうことが交通の流れを阻害するし、ひいては事故のもとになるし、産業活動にも影響する。私はこういう意味で、一般の交通機関の標識の問題、最初申し上げたバスの停留所の位置の問題、横断歩道の問題、いま渋谷の道玄坂、横断歩道につながる、青になったら出る、運転手泣かせばかりしか考えていない、横断がばらばら、青になっても通るのですから。道玄坂見てごらんなさい。青になっても、もたもたして困るんですね。そうすると、中にはグレン隊みたいのが、わざとおどるような格好でとめる、通れやしない、だから、うしろからたくさんブーブーいうし、とまるという実態だと思う。  そこで、こういうことについては、憲法の改正とか中共の国連加盟というのは、国民の日常生活に響いてこないが、こういうことは、国民の生活に日に口に感ずることだと思います。それから歩行者についても問題があります。特に婦人の方が小さい子供を連れて、親が道路の自動車側にいて子供は軒先のほうを歩かせればいいが、幾ら鳴らしてもよけるものじゃない、対面交通でもないし、こういう形で非常に交通事故の、原因になっている。  それから第二点は、私どもこれはタクシーも乗りますし、いろいろな人に聞くのですが、みんな運転する者の心理というのは共通ですが、これが事故の大きな原因になる。私ども国会から出まして、まあまあ帰りに一時間かかってもいいから、人のあとをくっついて行こう、急ぐ人があったら通そう、こう思って出ると、平河町あたりに行きますと、前との間隔をあけなければならない、前にタクシーが強引に割り込んでくる、ダンプカーも割り込んでくる、そうすると、なにこのやろう、おれだって技術があるぞということになって、次には、今度は追い越してやろうというような気分になるわけです。この点運転手諸君、そういう無理な運転、これをもっと取り締まりの面で、信号を無視したとか何とか、これも必要でしょうが、むりな割り込み、特に最近はダンプカーなにかは強引に来ますから、横から信号を無視して…。それからこれはバスです。具体的に言うのだが特に東急バス、運輸大臣に調べてくれと言っておりますから、あとで予算委員会で、あっちのほうでやりたいと思いますが、強引に割り込んでくる、強引に右のほうに出てくる、強引に、左に停留所に入ってくる、こういう交通秩序というものを、もっとほんとうに心得た取り締まりをやってもらうべきじゃないか、あまりに答弁がむずかしくなるでしょうが、もう一点だけ。  警察官の態度というものも、私は交通事故に影響あると思うのです。あれは交通事故を摘発すれば、何か成績に関係するとか聞いておりますが、この点御答弁いただきたい。いなかなどでも、一時停止の看板が出ております。ところが、いなかなんか、ほとんど通りやしない。しかしながら、この間の具体的な例では、バイクを運転している人が一時停止でとまった、とまったけれども、いなかの道ですから、交通もむろんないので出て行こうとしたら、「こらこら」というわけで、見れば道路の下に警察官が隠れて見ている、「こらこら、おまえ、一時停止しなかった」「いや、しました」「おまえは足をつかなかった」と言うのです。その人は左足をついている、警祭官は右から見ていた。それで千五百円取られてしまった。これは何といっても、こんなことはないといって、私のところにやってきました。千五百取られる、そこで裁判をする、裁判になるというと、弁護士が、幾ら何でも公判へいきますと一万五千円かかるという。これはいま言われた示談その他の関係もありますが、そこでこの事件はどうなったかと言えば、二万五千円出して裁判しても、勝つかもしらぬ、負けるかもしらぬ、映画をとっているわけじゃないし、ビデオ・テープにとっているわけでもないから、警察官の言うことのほうが優位になる、そのほうが有利になる。そこで一万五千円の金を出して裁判をするよりも、不当な金だけれども、千五百円罰金をおさめたほうが得だということで納めたわけです。こんな例は東京都内にはずいぶんあります。駐車禁止の札が相当遠くにあって、手前のほうは道路が広い、交通事情から見てもいいという判断で、ずっと駐車するわけです。中には出て行くから、そのあとに入れる。それで私はこの間、あまりにもかわいそうだから、これも交番に行きましたが、一定の時期に、大体いま一ぱいだなと思う時期に僕は行ったんですが、ウサギ取りがよくいなかではわなをかけておきまして、朝かかっているのを見に行くんです。このやり方と全く同じで、大体、一ぱいだと思うときに交番を出ていって、ウインド・ガラスに何々交番署へ来いというビラをずっと張っておる。それが毎日毎日なんです。それで私は、ある警察署の署長に電話をして、あれは何とかして近くに駐車禁止の札を立てなければいかぬと言ったのですが、そういうものを予防しようというんでなくて、検挙主義で成績を上げようという、そういう事態は東京都内に相当ありますよ、現在。  そういう一例をいろいろ申し上げましたが、違反をしないで済むような予防なり何なりということを、私が申し、上げたことについて、取り締まり当局としてはむずかしい点もあるかもしれませんが、ひとつ御意見を拝聴したい。
  146. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 非常に具体的な貴重な御意見を伺ったのでありますが、私どもといたしましても、確かに御指摘のような点がございますので、交通の取り締まりの方針といたしましては、重大な事故に直結をする違反行為というものに重点を置くというのが一つ。それからもう一つは、指導を重点にしてやる面は、いま申し上げたように指導を重点にしてやっていく。特に相手の納得のいく取り締まりをすべきである、こういう基本的な取り締まりの方針でやっておるわけでございます。  そこで、先ほど御指摘のありました、いろいろなところに隠れてというようなことにつきましては、確かに私どもも、そういうことを聞きます。そこで、できるだけ第一線の警察官が検挙主義に陥るとか、あるいは件数主義に陥る、あるいは御指摘のような成績を競うというようなことのないようにということで、先ほど申し上げたような具体的な取り締まりの方針というものを第一線に指示しておるわけでございますが、確かにいろいろな点、私ども率直に耳にいたしますので、そういうことのないように取り締まりのやり方等については、いろいろ研究をいたしたいと考えております。ただ、ときどき隠れてやるという問題でありますが、いまの一方通行とか右折禁止は、確かに隠れてやるべきじゃないと思います。しかし、踏切等における一時停止等におきましては、警察官が見ていないところでは、どんどん一時停止をしないで通っていくというような実情もありますので、取り締まりの具体的な対象によっては、隠れてと言うとたいへん語弊がありますが、技術的にいろいろな点を研究をいたしまして、取り締まりの実を上げるという面については、そういうことをやっている場合もございます。しかし、あくまでも、いま申し上げたように、取り締まりのための取り締まりということは避けたいと考えております。  それからさらに、運転もしない者がということでございますが、確かにそのとおりで、車の流れというものに対して警察官、まあ私もそうですが、警察官が運転を心得ておるという場合においては、おそらく交通整理等の場合においても、いろいろ違った面が出てくるという点で、最近は警察官はできるだけ警察学校に在学しておる間に運転の技術を習得させるということで、習得をさせております。また、同時に最近はパトカーその他の車両もふえておりますので、相当数の警察官が、だんだん車の運転に習熟をするという意味で、車の特性というものに対する理解をだんだん深めておりますので、そういう点についての、いろいろな取り締まりの面における交通の流れというものに対する理解を持つようになると思います。  それから交通規制の問題でございますが、確かに御指摘道路標識の交通標識が見えないということ、これについては最近標識を改める機会に、できるだけ見やすい場所にということで、最近いろいろ苦労はいたしております。それから、先ほどの建設省所管のいわゆる道路標識、これは案内標識と警戒標識でありますが、これは国道の面につきましては、予算的にいろいろやりくりしてやっていただいておりますが、地方道の面において、やや欠けるところがあるということで、先般来、いろいろと話し合いをいたしまして、来年度予算の中には、地方道に対して全国的に案内標識と警戒標識を充実をするということに重点を置いて、建設省が補助金を組んで予算提出しておる次第でございます。  それから大型自動車、特にいわゆる路線バスの取り扱いの問題ですが、これは大都市におけるところの大量輸送というような面で、いろいろ私ども苦労をした点でございますが、この点についての、特に地方における停留所の設置の問題は、これは私どもも、一つの交通混雑の緩和ということと、いま御指摘のような点がございますので、できるだけ適正なところに停留所を設けるということで、停留所の移転ということについては、交通警察上の一つの重点として指示をしております。そこでこの問題は、私のほうだけでできることではないので、むしろ私どものほうは、こういう交通警察上の問題があるということを指摘をして、運輸省の所管の行政において、バス会社等を指導してやっていただく、あるいは地方では利害もございますので、なかなかそういう点について一元的にできない点もございますが、いま申し上げたような点で、いわゆるバスの停留所の問題については、いろいろ検討をさしておる次節でありますし、できるだけそういう混雑の緩和と事故防止ということで、適正な停留所に移すというように考えておる次節でございます。あるいは御指摘、いろいろな点がございましたので、お答えのない点もございましたら、また……。
  147. 藤田進

    藤田進君 それから、これは警察でもむずかしいと思うんですがね、事故率等から見れば、私は案外自家用車は少ないんじゃないだろうかと常識で考えるんです。特に接触事故の場合、これは人間というものは変なものでしてね、私自身もいつも思う。みずから電車に乗ってみたり、バスに乗ってみたり、タクシーに乗ってみたり、自分でやったりしていますが、そのいろいろな意味で、経験になると思ってやっておるんですが、ですから、電車に乗ってみますと、一人しか乗っていないオーナーみたいな、あんなものはやめたほうがいい、これは電車がなかなか前に進まないと思うし、バスに乗っていると電車なんかやめてしまったらいいと思う、どうにもならぬほど都市はふくそうしている。自分で運転してみると、電車もバスもじゃまになると思うし、そんなものですが、こんなことは接触事故をやったら、よく問題を私のところに持ってきますが、バスと接触事故をやるということになると、まず、バスに乗っている人は、バスの運転手をひいきにして降りてくる。タクシーに乗っていると、タクシーに乗っている人がおまえが悪い、おれは見ていたというかっこうになる。そうするとオーナーの場合は、乗っているのは家族とか、これは信用がおけないし、結局、どうも相手方が悪くてもせいぜい五分五分。それからバス会社、それからいまのタクシーとか大きい会社になると、警察署長をした人とかいうのが、大体事故係に入っております。それで文句があれば裁判せいと、こう言うんです。個人でいま申し上げたように弁護士を頼んでやると、一万円前後の修理費でもって済むのに、裁判をしてまではということで、結局泣き寝入り。こういうことは、いま野本さんの指摘されたような事故の場合に示談屋が出てきたりして、右側駐車をしていて、さっと出てきたバイクとぶつかったという、これも私も扱いましたが、いまの示談屋が出てきた、まあ暴力団みたいな。これは警察察庁、警視庁、全部連絡をとりました。具体的な例ですよ。これはおととしでしたか、大阪府でも法制化してくれという要望が出ている。いま、まだもたもたして、何も全然していないようですが、月掛けで車を持っている人は、そのクラブに入って事故があれば電話すると飛んでくる。そうして運転手に予備知識を与えて、警察に行ったら、こう言えばいい、こういうかっこうになっている。警察は正直なものだから、言うとおり調書にとる。ぶつかったほうは、そんな保険の取り方とか、相手がいいとか悪いとか言わないものだから、つい正直に言うものですから、結局、どうも正しいほうが悪くなっちゃって、正しくないほうが、まあ運転免許に何の影響もない、罰金も何もないということが実態なんです、いまの交通じゃ。こういう一連のものについては、もう少し、これは警察にいた人が会社に入ってはいかぬとか、そういうことを言うわけじゃないですが、いかにもどうも、より多数の弱い者が泣き寝入りになっているという事実があるわけでして、十分取り締まりの面においても、そういう実情というものを加味して、調書なり現認書を取られてやっていただくように、特段の注意を払っていただきたいと思います。
  148. 高橋幹夫

    政府委員(高橋幹夫君) 確かに交通事故の処理のしかたということについては、私ども非常に問題があるかと思います。特に最近、物損事故が非常に多くなっていまして、相互の接触事故が割合多いわけでございます。  そのときに、これを全部実際からいきますと、事件にして送るかどうかということについては、私ども相当検討を要すべき問題だと思います。私どもといたしましては、人身事故を伴うものは必ず送る。あとの物損事故について相互の話し合いのつくものについては、できるだけ話し合いをつけるべきである。むしろ率直に申し上げますれば、もっと、この面については保険制度というものをもっと拡充強化されなければならない。現に外国の保険会社は非常にサービスがよくて、非常によく出てきて、いろいろ処理をしてくれる。やや、日本の保険会社は、それに対するサービス行為は、やや形式的、官僚的だというような話も聞くわけですが、そういう点の事故保険の問題について、いわゆる保険というものをもっと導入していくということは、私は確かに必要なんじゃないか。先ほどの野本委員の御指摘の、さらに事故防止というような点についても、もう少し保険制度を活用していくということが必要かと思いますので、私どもの警察の処理しております事故処理が、こうどんどんふえた場合においては、事故処理に忙殺されてしまうという傾向もあるわけです。  で、そういう点の事故の適正な処理という点について、私ども鋭意研究いたしております。そうして、先ほど御指摘のような、いろいろ不利益を来たすということのないように交通相談所とか、あるいは事故を処理する場合の調書の取り方とか、そういうようなものについては、さらに私ども一そう研究をし、そういうことのないようにいたしたい。こういうふうに考えております。
  149. 藤田進

    藤田進君 よろしいです。  警察庁長官見えられておりますので……。  昨日、ライシャワーさんのああいった傷害事件が起きてお尋ねをいたしましたが、そこで伝えられるところによると、これは新聞ですけれども、すでにあの犯人は、アメリカ大使館に放火をした、目星をつけていたということが報じられているわけです。そういったような事実問題を含めて、その後の状況をひとつ、御報告いただきたいと思います。
  150. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 昨日の予算委員会後におきます状況をこの際、御質問の事項とあわせて御報告をしてまいりたいと思います。  まず、犯行の動機でございますが、本人の供述によりますというと、近視をなおすということ。学校で海水浴を強制をするということ。それから現在の小中学校で男女が並んで教育を受けておることは道徳上よくない。男は前、女はうしろに分けて並ばせることが性道徳上よいのだ。このようなやり方を世の中に訴える方法として、普通では世論に訴える道がないので、アメリカ大使館に乗り込んで大使に傷害でも負わせれば、すぐ警察につかまって、新聞、ラジオ、テレビなどに出されるので、この機会を利用して、そういった自分の考えを世間に訴えることができる。そこでアメリカ大使館のライシャワー大使に犠牲になってもらったのだ。こういうとりとめのないことを言っておるのでございます。  昨日の犯行までの事前の行動と申しますか、本人の自供によりますと、東京に出てきたのは、昨年の秋、一度神田神保町に書物を買いに来たことがあるだけだ、こう言っておるわけですが、そこで自分は東京に来ても、アメリカ大使館がどこにあるかよくわからない、そこでアメリカ大使館がどこにあるか下検分をするためとか、あるいはまた、どの付近から入ったらいいのかを確かめるというために、二月の二十四、五、六の三日間上京いたしております。二十四日には、昼、沼津を出て、二時ごろに新橋に着いて、それから直接、旧満鉄ビルのアメリカ大使館別館に行っております。満鉄ビルの事務所の受付に行きまして、ライシャワー大使に面会するのは、どうしたらいいのだろうか、こう尋ねましたところが、受付が手紙を持ってきたならば、用件によっては会ってもらえるだろう、こういうことを言ったんですが、そこで、ライシャワー大使が満鉄ビルのほうでなしに、いわゆる本館のアメリカ大使館のほうで仕事をしておられるということがわかった。その日は一応うちに帰った、二十五日は、やはり昼ごろ出発をしまして、二時ごろに新橋に着いたんですが、その日も、満鉄ビルの事務所のほうへ行って、受付の人に、どうも大使館に入れそうもない、本館にひとつ入れてくれ、こういうことを頼みましたところが、その依頼を聞き届けてくれた結果、本館に行った、そうして本館で、正面の受付の方に手紙を渡した、この手紙というのは、実はライシャワー大使にお会いしたいという、それから近視眼のことについて陳情をしておる、そういった内容のものでございます。それを渡したわけでございます。  当日はそういうことだったんですが、ところが、その日に当人を見ました大使館の守衛が、どうもあの人物は一月二十日の放火事件の際に、どぶに落ちてげたの鼻緒を切っておった男に似ていると、こういう話が警察のほうにあったわけでございます。そこで、警察としては、あくる日もきっと来るだろう、こういうことで警戒しておりましたところ、その翌日の二十六日、やはり本館のほうにやってきたのであります。そこで大使館前の警備の巡査が職質をかけて、そうしてこれを任意同行して赤坂警察に連れていって、一月二十日の放火事件について三時間ばかり取り調べをいたしております。ところが、その取り調べの際に、どうも本人を見たといったような目撃者が五名程度だと思いますが、あったわけですが、大使館の職員でございますが、面通しをさせております。ところが面通しの結果、最初言った守衛が、これはどうも似ている、しかし似てないようでもあるということで五分々々、それ以外の人は、どうも違うと、これはこういう結果が、面通しで出たわけです。というのは、一番特徴なのは、非常に近眼の男だから、めがねをかけないと、全然行動できない。ところが、めがねをかけていなかったと、面通しに立ち会った人が言った。身長が少し違う、一メートル七十くらいだったと、こう言うのです。本人は、実は、一メートル六十三と、こういうようなことで、面通しの結果、どうも、人物が違う。それから母親のほうに照会をいたしましたところが、一月二十日は家におったという返事でした。それからガソリンを買ったというところも、どうも、そういう事実が、その店についてはないと、こういうようなことでございましたので、また、本人は、放火未遂の事件については、そのときの調べでは否認をいたしております、そういうようなことで、やはり、これは人違いであるという判断で、夕方、釈放をいたしましたが、そのときも、多少、どうも、頭が弱いのではないかと、こういう調べ官の印象でございましたので、調べ官が母親のほうに電話をして、引き取りにきてくれと、こういう電話をしておりますが、母親が、いや、行けないので、送り返してくれと、こういうことでございましたので、夕方、送り返した。これが二月二十六日の際における一月二十日に発生しておる放火未遂事件の調べの実情でございます。  それからまた、本人の供述によりますというと、自分は、あと一月半ぐらいたつと満二十歳になる。そうすると、新聞、ラジオ等で承知しておるところでは、罪を犯すというと、普通に処罰をせられるということがわかったと、少年のうちなら、罪を犯しても、わりあい寛大に扱ってもらえる、また少年であれば、私の言うことも、世の方がかってくれると思うと、こういうことを言っております。そこで、青年にならないうちにやろうと、こう思って、一昨日、つまり三月の二十三日に犯行の準備にかかっております。で、三月二十三日に、いよいよ、アメリカ大使館に乗り込んで、大使を傷つけようと考えて、午前中に、三島の市内の国道筋の金物屋で、三百八十円で、刃わたり五センチの切り出しナイフを一丁買い求めた。それから大使館の中に侵入するのには、やはり、高さ一メートル七、八十センチのコンクリートのへいを越えなきゃいかんと、そこで、へいを乗り越えて、下に飛びおりたときに、アメリカ大使館の中には落とし穴があるかもしれない、それを確めなければならぬということで、それには石を落とせばわかるだろうということで、やはり二十三日の午前中に、沼津市内の永代橋というところで、重さ約一貫目ぐらいの石を拾って自宅に持って帰って準備をいたしております。これが前日の準備の状況でございます。  そこで、当日は、早朝に、その石をふろしき包みに包み、切り出しナイフはレインコートの左のポケットに厚紙で包んで自宅を出て、沼津駅から東京に向かったと、こういうことを言っております。新橋でおりて、それから地下鉄に乗りかえて、虎ノ門でおりて、アメリカ大使館に向かったと、たまたま一昨日の正午は、ライシャワー大使が外国の要人とお会いになる予定であったということを聞いておるわけでございますが、そういうこともあったので、そういう関係はありはせぬかということで、昼、大使があすこを出られるということは、本人が知っておったのだろうかということを、当方は疑問に思いまして、調べたのでございますが、ここがまた、まことに本人の頭が少し弱いものでございますから、二十四日の正午が大吉であるということを家の暦で見て、自分の目的を果たすのには、この時刻が一番よい時刻と考えておった、こういうことでございます。そこで十時ごろに着いておりますが、中に侵入して、そうして大使をやるのも昼ごろにしようと、こうまあきめたわけです。そこで侵入が正門からできないので、ホテル・オークラ側のコンクリートべいを乗り越えればわりあいたやすく侵入できるので、侵入するときに、へいの内側に落とし穴があってはいかぬということで、十時過ぎに来た際に、へいの上からその石を下に落としております。ところが、これはふろしき包みに入れたまま落としております。別に落とし穴も仕掛けもないことが確められたから、コンクリートのへいを下りて時間のくるのを待つということにしたのでございます。そこであの付近に御承知大蔵省の印刷局がございます。そこへ行って電気時計があそこにあるので、その時計で時間を見ながらひそんでおった。そこで時間が迫ってきましたので、十一時五十五分ごろだと言っておりますが、そこから歩いて再び大使館へ行って、十時ごろに石を入れた同じ場所、同じへいのところへ行って、そのへいを乗り越えて、大使館の中に侵入をした、で植え込みを伝わって本館のほうへ行って、裏のロビーのところの入口のドアを押して、中に入ったときに、たまたまライシャワー大使が館員をお連れになって、二人で本館から出られるところとすれ違ったのでございます。そこで本人は、大使ということはすぐわかったので、刺してやろうと考えて、ポケットからナイフを取り出して右手に持って、すれ違った大使の右斜め後方に近寄って、持っていたナイフで大使の右足のもものあたりに力を入れて夢中で刺した、こういうことを述べております。以上が供述でございますが、私どもとしましては、この供述の内容が、はたして真実なりや否やということは、これは裏づけをしなければいけません。  そこで実は、本日は早朝から十名ばかりの刑事を静岡その他に派遣をいたしまして、本人の供述の裏づけをやっております。したがって調べるほうは、この裏づけをし、また、本人に対して、本格的なもう一度、また調べをやるということにもなろうと思いますが、とにかくそういうことで、八方刑事を飛ばして裏づけをする、同時にまた、こういう事件でございますので、本人が言っておるままでございますれば、これは精神異常者のあれでございますけれども、本人の言っていることが、必ずしも事実でない。どうも隠しておるところがあるというようなことになると、これはまた、ほかの背後関係とか、そういった徹底した捜査も当然やらなければならぬ、そういうようなことも腹に置いて、現在、鋭意捜査を進めておる、これが現在までの状況でございます。
  151. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、これは放火が一月二十日であり、面通ししたことによって、どうも本人でないと、本人も否認するということだとすれば、少なくとも二月の二十四日、五、六は、大使館付近を徘回し、あるいは受付に直接行っているわけですね、どうなんですか、いろいろデモその他があるのですけれども、こういった個人が、直接玄関受付に行ったりという、一見怪しげなというのは、過去に数々あって、しかも事件にはなっていないという、いわば慢性化していたのか、そんな数はないのにかかわらず、つい軽視したということになるのか、どちらなんですか。
  152. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 実は、放火事件のほうの捜査は、いわば今日まで犯人未検挙でございますので、当時より大使館当局とも十分連絡をとりまして、極秘のうちに捜査をずいぶんやっております。その状況を簡単に申し上げますというと、当時アメリカ大使館の訪問者名簿がございますが、その中で不審者と思われるのを大使館と連絡をして抜きとりまして、四十六人、これを調べております。警視庁が直接調べたのが二十七名、府県に依頼をして調べてもらったのが十九名、これはいずれもアリバイその他の関係等いろいろな面から全員白、こういうことになっております。またそのほかに大使館へときどき投書をする癖のあるものがございます。これを大使館から連絡を受けまして、二十六人調べております。警視庁が直接十六人調べて、府県に依頼をして八人調べておりますが、いずれも白、残り二人は女である。ところが目撃者の証言で、これは男であるということがわかっておりますので、女二人は調べてない、こういうことでございます。  なお、またアメリカ大使館と警視庁との連絡は、従前から非常にいいのですが、特にこの放火事件の後、当方からも先方に要請もし、双方の協力関係は非常にいいようでございます。現に昨日も、警備派出所が事件をすぐに知ったのは非常ベルが大使館と通じておる、それが鳴らされたといったようなこともございます。なお、警備派出所のリストには三十一人名簿に載っております。これは赤坂警察と警備派出所でもって、これらについては常時見ておる。当該、ここの人物は、これらのいずれにも実は入ってなかった、こういうことが事実でございます。  なお、先ほど申し落としましたが、放火の調べを昨日もやっております。しかし昨日は、何しろ事件そのものの調べのほうを主としてやっておりましたので、一応、小当たりに当たったという程度でございます。その結果は、本人は今度は自供をしているわけです。やったと言っているのです。そうしますと、二月の二十四日、五、六以外には、昨年の秋しか来ておらぬと言うので、今度また、首尾が一貫しない、こういうことになるわけですが、こういった点は、放火の点もあわせまして、裏づけ捜査をやっておるのが現状でございます。
  153. 藤田進

    藤田進君 これは昨日自宅から、その凶器を持ち出したというのは、その後の調べで三島で買ったということに変わったと見ていいのでしょうね。それからなるほど、あとから私も、ゆうべ行ってみましたが、あのホテル・オークラのちょうどまん前辺は非常に高い三メートル以上あるのですが、手前のほうでしょうから、まあ二メートル足らずでしょうそれにしても切り断ったような壁ですけれども、白いずっと長く勾配がついている。何か、なわばしごか何か使ったのか、飛ぶようにして乗っかったのですか。その辺はどうでしょう、将来の弊警戒の都合もありますから……。
  154. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) これはなわばしごその他は使っておりません。やはり腕だけで直接上がったようでございます。これも、まだ本格的な検証は済んでおらぬと思いますが、昨日、とりあえずの現場検証をやっておりますが、やはり本人が自供しておる場所から乗り越えて入ったというのが実情のようであります。この点については、昨日もお話がございましたので、私のほうも、もう一ぺん行かなきゃならぬというので、私のほうも係りの人間をやって、やらしてみましたが、容易に入れる。  そこで警視庁としてはあのホテル・オークラ側の、要するに東側の道路ですね、大使館の。これは塀が非常に低い。それで警戒上困るのだということで、何とかお願いしたいということを先方にも放火事件のあとでお願いもしているのですが、まあこれはやはり、公共施設のところでございますし、また有刺鉄線を張ってくれと言っても、また大使館に不体裁なことでもございますので、そういう点は、いまだに未解決になっている。これが未解決だということであれば、まあ外交機関のことでございますので、まあ多少、人員が将来ふえても、場合によれば、警視庁の警察官をもう少し増強しないと、実際問題としては、なかなかその警らに穴がどうしてもできる。こういうふうに考えて、これはまあ持来の問題として検討いたしたいと、こう考えております。
  155. 藤田進

    藤田進君 母親は、石あるいは凶器について、あるいはまた大吉だ何だと暦も見たようですが、出るとき、すでにアメリカ大使館に乗り込んだ云々以下言じたようなことを、その片りんでも自宅では漏らしていたのか、いないのか。
  156. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 母親に、そういう言動なり事実なりはございません。現実に昨日の朝、母親が、せがれが石とパンをふろしきに包んで出かけたということで、駅まであとを追っかけて行っております。ところが電車が出たあと行っちゃったものですから、やむを得ず母親は引き返して、あと取りの電気商をやっている長男と相談をして、そしてその結果、八時ちょっと前に沼津の鉄道公安室に行って、実はせがれが家出したのだ、これはまあ多少危険性があるのだ、だから保護してもらいたい、こういうのを申し出ております。そういった諸般の事情、また先般の事件のときにも、警視庁としては多少聞いておりますが、そういうようなことからみて、母親がこういう事件を予知したというようなことはないので、むしろ本人が、自分の自殺と申しますか、自傷行為とか、あるいはまた場合によれば、そういうのが悪いということはわかっておって、これは内密にしておったわけですが、そういうようなわけですから、内密でも、人さまに危険を及ぼすということがありはせぬか、これを私は心配して、保護の願いを出したと思うのです。しかし少なくとも、こういうアメリカ大使にどうこうというようなことは、これは私は、もう少し調べなければわかりませんが、今の段階ではまずなかったとみるのが至当であろう。こういうふうに思っております。
  157. 藤田進

    藤田進君 この公判延における事情等から、被害者のライシァワーさんの供述といったようなものも必要になるでしょうが、こういう場合、例のないことで、どういうふうになりますか。とりあえず病院における通常の場合は訊問を始めるとかといった形になるわけでありますが、大使という特殊な特権、身分であるし、これはどういう御方針です。
  158. 後藤信義

    説明員(後藤信義君) これはお話のように、外交上の特権をお持ちの方でございますので、通常の捜査方法はとれないと思います。そこで私ども、ただいま考えておりますのは、こちらのほうでお尋ねしたいことをあらかじめ、これを大使館筋を通じまして大使に見ていただいて、それで何らかの形で御回答をいただくというような形が一番いいのではないかというふうに考えております。
  159. 藤田進

    藤田進君 公判廷における被害者としての裁判の場合の出席というようなことも、したがってむずかしいですか。
  160. 後藤信義

    説明員(後藤信義君) これは刊事訴訟法では、原則としまして、証人の訊問はいかなる人でもいいということに一応なっておりますけれども、国際上の慣例もございましょうし、また、一般の証人でございますと、証人不出廷の場合にはそれぞれ罰則をもって、これを強制する、ないしは拘引をするというような規定がございますが、これはわがほうの裁判権に服しない方でございますので、当然そうした、これは設例は悪いわけでございますが、かりに、さような事態がありましても、強制をするというような道はございませんし、また、さようなことを拒否されぬでも、そのようなことをすることが、はたして国際慣例上いいかどうか、これはなお、検討を要する問題であると思います。これは、もう当然、裁判所ないしは検察庁の問題でございますが、私どもは、かように考えておるわけであります。
  161. 藤田進

    藤田進君 これは政務次官、あるいは江口長官ですか、お見舞電報を打ち、また、総理も大使館に行かれ、いろいろな政府としてのとりあえずの措置をとられたようですが、その後、すでに二十四時間も過ぎるわけで、アメリカからの正式な反響というか、これに関する何らかの響きがありましたら、どういう状況か、現地の新聞、その他の世論は若干伝えておりますけれども、正式なルートにおける本事件に対してのアメリカの意向というものが、どうもたらされているか、お伺いしたい。
  162. 江口俊男

    政府委員(江口俊男君) 私も正規なアメリカの返事というものが、的確にどういうものがまいっているかということを存じませんけれども、新聞やラジオ等の報ずるところで、池田総理も参議院の本会議でございますか、おっしゃっておられるような内容のもの、すなわち、ジョンソン大統領としては、今回の事件は不幸な事件であるけれども、このことによって、日米の関係というもの、友好関係が失われることはないと信ずるというような意味の返事がまいったように承っております。
  163. 藤田進

    藤田進君 きょう、いろいろありますけれども、時間の都合で、以上をもちまして、私の質問を終わります。
  164. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) ほかに御発言もなければ、自治省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  午後は三時に再開することにいたしまして、暫時休憩をいたします。    午後二時三十三分休憩    ————・————    午後三時二十九分開会
  165. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) これより、再開いたします。  分科担当委員異動について報告いたします。  本日、藤田進君が委員を辞任せられ、その補欠として、矢山有作君が選任されました。   —————————————
  166. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 昭和三十九年度予算文部省所管を議題といたします。  まず、政府から説明を求めます。灘尾文部大臣
  167. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 昭和三十九年度文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和三十九年度文部省所管一般会計予算額は、三千九百一億九百一万二千円、新設予定の国立学校特別会計予算額は、千三百九十四億五千九百三十七万六千円でありまして、両者を加えた文部省所管予算額の純計は、四千百五十億五千四百二万九千円となっております。この純計額を前年度当初の対応予算額に比較いたしますと、六百四十三億円余の増額でありまして、この増加率は、一八・三%となっております。  以下、昭和三十九年度予算案において、特に重点として取り上げた施策について御説明申し上げます。  まず第一は、初等中等教育の改善充実でありますが、この点につきましては、公立義務教育諸学校における学級規模の適正化、教職員定数に関する算定標準の改善及び学校施設の整備を推進することを重点といたしましたほか、小学校第一学年から第五学年までの児童に対する教科書を無償給与するために必要な経費を計上いたしております。すなわち、義務教育費国庫負担金につきましては、学級規模の適正化をはかるため、昭和三十九年度においては学級編制の基準を、小、中学校いずれも四十九人とし、また教職員の定数増をはかるほか、充て指導主事の増員、給与改定の実施、諸手当、旅費及び教材費の増額等を行なうこととし、総額二千四十六億円余を計上いたしております。  次に、公立文教施設につきましては、引き続きその整備を推進することとし、小、中学校校舎の整備、危険校舎の改築、屋内運動場の整備学校統合に伴う校舎等の整備、工業高等学校の一般校舎の整備を行なうほか、新たに小学校屋内運動場及び高等学校寄宿舎の整備等を行なうため、公立文教施設整備費百八十億円を計上いたしました。  また、本年度においては、小、中学校校舎の施設基準の改定を行ない、これまでの児童、生徒一人当たりの基準坪数を一学級当たりの基準坪数に改めることとしたほか、実情を勘案して、国庫負担対象の割合を八〇%に引き上げ、建築費単価及び構造比率の改定等を行なうことといたしました。  次に、義務教育教科書の無償給与につきましては、これに関する法律の成立に伴いまして、国・公・私立学校を通じ、小学校及び特殊教育諸学校の小学部の第一学年から第五学年までの児童に、全教科書を国の負担において無償給与することとしたのであります。  なお、教育内容の面につきましては、前年度に引き続き小学校及び中学校における道徳教育の充実強化をはかるために必要な経費、各種教育研究団体助成のための経費等を計上したほか、中学校における生徒指導の強化、幼稚園教育振興等に必要な経費増額計上いたしております。  第二は、科学技術教育及び学術研究の振興であります。  科学技術に関する教育研究の拡充強化をはかることは、現下の急務であり、かねて努力を続けているところでありますが、昭和三十九年度予算案におきましても、さらに力を注ぐこととし、初等中等教育、大学教育等、各面にわたって所要経費増額計上いたしております。  まず、初等中等教育の分野につきましては、中央産業教育審議会の答申の趣旨に従い、産業教育関係の施設設備の改善充実をはかるため補助金を大幅に増額し、また、高等学校における農業教育の近代化促進にも配意し、所要経費増額するとともに、新たに自営者養成のための農業高等学校の寄宿舎、実習施設等を拡充整備するため必要な経費を計上いたしたのであります。  科学技術者の養成については、昭和三十八年度をもって二万人の養成計画を一応終了したわけでありますが、昭和三十九年度におきましても、引き続き理工系学生の増募を行なうため、大学及び高等専門学校充実整備をはかることとしております。すなわち、国立関係におきましては、二学部の創設、十三学科の増設、二十学科の拡充改組、十二の工業高等専門学校の新設を行なうこととし、計二千二百五十五人の理工系学生の増募を行なうことといたしております。また、公立大学、私立大学に対しましても、理工系学部学科を整備する等のための経費増額いたしたのであります。  学術研究につきましては重要基礎研究の促進をはかるため、科学研究費交付金等の増額を行ない、また、国際的な学術研究の協力体制を推進するため、日米科学協力研究事業に必要な経費増額計上するとともに、南極地域観測事業を再開するために必要な準備費の計上を行なっております。  第三は、国立学校の運営及び拡充整備に必要な経費であります。  国立学校の拡充整備促進し、その円滑な運営をはかり、かつ、国立学校に関する政府の経理を明確にするため、国立学校特別会計設置し、従来、一般会計に計上しておりました国立学校運営費、国立文教施設整備費等の経費を新たに特別会計として経理することといたしました。この国立学校特別会計予算額は、千三百九十四億五千九百三十七万六千円でありまして、その歳入予定額の内訳は、一般会計からの繰り入れ千百四十五億円余、借り入れ金十億円、附属病院等収入百七十四億円余、授業料及び入学検定料三十一億円余、学校財産処分収入十五億円、並びに雑収入十八億円余でありまして、歳出予定額の内訳は、国立学校運営費千百二十億円余、施設整備費、二百七十三億円余その他であります。  すなわち、国立学校運営費は前年度に比較いたしますと、百七十二億円余の大幅な増額となっておりますが、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費等基準的諸経費増額をはかりましたほか、公立三医科大学の国立移管を含む七学部の創設、理工系の学生増募を中心とする学科の新設拡充、国立図書館短期大学及び工業高等専門学校十二校の創設、新制大学における大学院修士課程の拡充等のほか、原子炉工学研究所、アジア・アフリカ言語文化研究所及び宇宙航空研究所の創設を行なうことといたしております。  次に施設整備費につきましては、財政投融資資金及び不用財産の処分収入財源の一部に含めまして、予算額の大幅な増額をはかり、施設整備促進をはかることとしたのでありますが、なお、後年度分について、三十億円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。  第四は、教育の機会均等の確保と人材の開発であります。  優秀な学徒で経済的に困窮している者に対して、国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため昭和三十九年度予算案におきましては、大学院奨学生の増員並びに教育特別奨学生制度の新設を行なう等、育英奨学制度の拡充をはかることとし、さらに日本育英会の奨学金返還業務を推進することとして、合計八十五億円余を計上いたしております。  次に要保護・準要保護児童生徒対策及び僻地教育、特殊教育等恵まれない事情にある児童・生徒に対する援助並びに教育につきましては、教育の機会均等の趣旨にのっとり、従来からも特に留意してまいったのでありますが、本年度におきましても、一段とその充実をはかることといたしております。  すなわち、要保護、準要保護児童生徒対策につきましては、補助単価改定をはかり、僻地教育の振興につきましては、引き続きスクールバス、ボート等について補助を行なうとともに、教員住宅建設の補助戸数の増加を行なうほか、新たに公立中学校寄宿舎運営費並びに視聴覚教育設備についても補助を行なうことといたしました。また、特殊教育につきましては、養護学校及び特殊学級の普及並びに就学奨励費の拡充等について、所要経費増額いたしますとともに、盲学校、ろう学校弱視難聴教育設備及び盲学校リハビリテーション課程設備について補助を行なうに必要な経費を新たに計上いたしております。第五は、勤労青少年教育、社会教育及び体育の振興普及であります。国家社会の発展は健全な青少年の育成にまつところ多大であり、働きながら学ぶ青少年の教育問題は、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を払うべきところであります。昭和三十九年度予算案におきましては、引き続き定時制高等学校の設備の整備、定時制及び通信教育手当の支給、通信教育用学習書の給与等に必要な経費を計上いたしましたほか、夜間定時制高等学校につきましては、夜食費補助金及び運動場照明施設整備補助金を増額計上いたしております。また、前年度に引き続き青年学級、社会通信教育等の振興に必要な経費を計上いたしております。  次に、社会教育は、国民の教養の向上に大きな役割りを果たすものであり、その普及振興学校教育の充実と  ともにきわめて重要なものであります。このため、成人教育、婦人教育及び社会教育関係団体の助成等につきまして、所要経費を計上いたしましたほか、特に家庭教育を重視し、新たに家庭教育学級開設に対する助成費を計上するとともに、国立青年の家の増設、公民館、博物館等の施設、設備の整備について所要経費増額計上いたしております。  次に体育は心身ともに健全な国民の育成をはかる上にきわめて重要な意義を持つものであります。また、明年度はオリンピック東京大会開催の年にあたり、その意義を高めるためにも、実施に遺憾なきを期することはきわめて重要であります。まず、オリンピック東京大会の実施につきましては、必要な施設の建設、整備並びにその実施に一段と力を注ぐことといたしました。すなわち、国立競技場の整備、屋内総合競技場の建設、日本武道館の建設、朝霞射撃場の整備並びにオリンピック組織委員会の運営、競技技術の向上等のため関係予算の大幅な増額を行なっております。また、国民一般に対する体育の普及奨励をはかるため、水泳プールの整備に必要な経費を大幅に増額いたしますとともに、その他の体育施設の整備並びにスポーツ活動の指導者養成、スポーツテストの実施、 スポーツ団体助成等に必要な経費増額計上いたしたのであります。  また、学校給食につきましては、小麦粉についての従来の補助を継続いたすため、食糧管理特別会計へ十六億円余の繰り入れを行なうとともに、ミルク給食につきましては、生乳の大幅な使用増加を前提として所要補助金を計上いたしましたほか、学校給食施設設備整備補助金の増額をはかるとともに、共同調理場に栄養職員を設置するための補助金を新たに計上いたしております。  第六は私立学校教育の振興助成であります。学校教育における私立学校の重要性については、あらためて申すまでもないところでありますが、昭和三十九年度予算案におきましても、私立学校教育の振興助成のため必要な経費を計上いたしております。そのおもなものといたしましては、私立学校振興会に対してさらに十五億円を出資いたしますとともに、財政投融資として四十億円の融資を行なうことといたしましたほか、私立大学理科特別助成費に十六億円余、私立大学研究設備助成費については、補助率を引き上げることとして九億円余を計上し、科学技術教育振興の趣旨にも沿うことといたしたのであります。  次に、文化財保存事業につきましては、保存修理及び防災施設の整備等につとめるとともに、平城宮跡の一部の買い上げ及び発掘調査を引き続き実施し、国立劇場の建設を進め、新たに重要無形文化財保持者に対する助成を行なう等の措置を講じております。  以上のほか、国費外国人留学生の増員及びその給与の改善等国際文化の交流を進め、新たにユネスコ関係団体に対する助成を行ない、また、文化功労者年金の引き上げを行なう等所要経費増額計上をはかったのであります。なお、沖繩の教育に対する協力援助費につきましては、前年度と同様、別途、総理府所管として増額計上いたしております。  以上、文部省所管予算案につきましてその概要を御説明申しあげた次第であります。何とぞ十分御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
  168. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) これより質疑に移ります。  質疑の通告がございますので、順次発言を許します。山本伊三郎君。
  169. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 文教関係についてはたくさんあるのですが、きょうは二、三点にしぼって質問をしてみたいと思うのですが、これは一般質問でも、あるいは総括質問でも予算委員会に出ておりますが、きょうはひざを交えたようなところで、ひとつ文部大臣にお聞きしておきたいのですが、定時制のいわゆる差別の問題なんですが、私のところに手紙がたびたびくるのですが、やはり普通の全日制と定時制との間の、卒業生に対する雇用主の差別があるということですね。切々たる手紙がくるのですがね。これに対して、もちろんこれは文部省だけの責任であるとは私は言いません。社会一般の問題でもありますが、この点についていろいろ予算委員会の一般質問でも答えられておりますが、どうすれば差別的な扱い、これか克服できるか、文部大臣として所見があればひとつお聞かせ願いたいと思います。
  170. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) この問題は私どもも非常に関心を持っておる事柄でございまして、従来からもこの定時制の同等学校の卒業生が一般の高等学校の卒業生と差別せられたような取り扱いを受けるということは、まことに遺憾に存じております。政府といたしましても、これらの青年を使用する立場にある産業界その他に対しまして、たびたび協力を求めてきたところであります。ある程度そのわれわれの希望をかなえていただいた向きもございますけれども、まあしかし必ずしも十分ではないと存じます。さらにその努力を継続しなければならないと思います。私はこのような定時制の学校に学ぶ青年こそ、むしろ勉強心のある青年が多いと思うのです。したがって、その点をひとつ使用者側のほうにおいても十分理解していただきたいものと念願をいたしておりますが、なかなか、ただお願いをするというだけで十分な成果をあげ得ないことを残念に存じております。しかし、さりとて、これを別に法律でもって規制するとか何とかいうわけにもなかなかまいらない。やはりわれわれの努力を継続して御理解を深める以外にはないと、さように存じておる次第でありますから、何かまた特別のお気づきでもありましたらお示しをいただきたいと存じます。
  171. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあもちろん特別のサゼッションといいますか、ぼくらにもそういうものがないのでお聞きしておるのですが、教育家として、教育を担当する文部省として、定時制の卒業生と、それから一般の高等学校の卒業生との間の教育上から見た、何といいますか、差と申しますか、そういう学力の上においてはどういうデータが出ておりましょう。
  172. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 一般的に申しますと、全日制の同等学校と定時制高等学校と比較いたしますと、定時制高等学校のほうがかなり低いのは、これは事実でございます。しかしながら、定時制の中にも夜間と昼間のものとがございまして、いままでの実態としては、昼間定時制に学んでおります者は、まあどちらかというと、地域的に全日制がないために、やむを得ず定時制に通うというような生徒が多いわけでございます。したがって、まあいろいろ地域によって異なりますけれども、そういうところでは、いろいろやはり全日制と定時制と比較いたしますと、どちらかというと、定時制のほうがかなり落ちるというのが実情のようでございます。ただ夜間のものにつきましては、やはりこれは都会に多いわけでございますが、働きながら非常に勉強の意欲に燃えているというような特殊の生徒もかなりございます。そういう生徒は、これはもう全日制の生徒に比較いたしましても決して劣るものではなく、非常に成績のいい生徒もかなりおるようでございます。しかし、残念ながら、一般的に申しますと、定時制のほうはかなり落ちるというのが現実の姿でございます。
  173. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この学力の点において落ちるというのは、設備は夜間も昼間もそう変わらないと思うんですが、設備の関係からですか、それとも本人の勉強する環境が悪いというのか、それとも教師の配置が劣っておるか、その点はどうなんですか。
  174. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これにつきましてはいろいろな原因があろうかと思いますが、もちろん勉強いたします環境自体も劣っている場合もかなりございます。しかしながら、何と申しましても、昼間定時制の問題については、生徒の素質にやはり原因がかなりあるんじゃないか、こう言われております。したがいまして、就職する場合におきましても、昨年の就職の場合の差別撤廃ということで、各会社、事業所等もいろいろと御協力を願ったわけでございますが、それにいたしましても、実際に就職試験を受けますと、全日制と定時制を比較して、やはり定時制のほうが劣るというので、門戸をせっかく開いてもらっても就職できなかったという面もかなりあるようでございます。したがいまして、定時制の学校関係社は、今後はやはりその就職差別の撤廃はもとより必要でございますが、自分たちのほうの学力も向上をはからなければならぬということで、現在真摯にそういう問題を検討しながらやっているわけでございますが、やはりいろいろ生徒の資質にもかなり差があるというとは、これは残念ながら認めざるを得ない状態のようでございます。
  175. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、いま具体的にちょっと答弁ないのですが、結局言い詰めれば、本人の努力が足らぬということに帰するのですか、そういうわけじゃないのですか。
  176. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私、決して本人の努力が足りないということを申し上げたわけじゃございませんが、一般的に申しまして、まあ全日制の入学の場合と定時制の入学の場合とは、試験その他におきましてもかなり違うようでございます。 したがって、やはり全日制に進学する者はかなり学力においてもすぐれたものが入る。定時制のほうは必ずしも入学の際にそれほど困難でない、むしろ、いままでは募集定員に足りなかったという場合が非常に多いわけでございます。そういった点から割合に容易に入学できる、そういう実態があるわけでございます。入りましてから、もちろんこれは定時制の生徒も非常に努力い  たしておることでございますけれども、いろいろな点から見まして、やはり卒業時の学力というものは若干劣るようでございます。したがいまして、その本人の資質と申し上げましたけれども、そういうこととあわせまして、やはりいろいろ就職をして勉強している者が多うございますから、したがって、その就職をしておることによって、いろいろ勉強するについても制約を受けるという問題が一つあると思います。それらの原因によろうかと思います。
  177. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 勤労のかたわら勉強するということになると、おっしゃるとおり、いろいろな環境での制約があることは当然のことであります。それだけに学問をしようという意欲は私はそうあると思うのですね。そういうところやっていただいていると思いますが、補導する教師は十分その点も考え、やっていただくことはやっていただいている思いますが、それはひとつ十分御指導願いたいということと、大臣が言われましたように、一般企業家、経営者、いわゆる使用者側に対しましても、その点なお一そう政府としても十分、差別と申しますが、若干の差があっても、そういうところのハンディキャップを見て雇うようにしていただけば、なお一そう私はこういう人人の会社的に努力しようという気概が出てきますので、そのひとつなおお願いしておきます。  で、第二問として、公立大学——主として県立、市立の大学の問題ですが、昨年あたりから若干の補助金が出たようでありますが、三十八年度は千九百万円程度だった、三十九年度は五千万円程度の補助金を出されているようであります。これも特に理工科関係に出されているようでありますが、公立学校補助金に対しましては、もう少し国のほうで補助金等について考える余地があるかどうか、この点ひとつ聞いておきたい。
  178. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 公立大学につきましては、従来は御承知のように、国からの補助金というものは全然出ておらなかったわけでございますが、私学との関係等もございまして、三十八年度から理科系の関係学部に対しましては、設備に対する補助制度を開いたわけでございます。お尋ねにございましたような予算額数字でございまして、必ずしも十分ではございませんが、文部省としても財政の予算範囲内で、将来はさらにこのワクを拡げてまいりたいと思っております。ただ、全般的な問題といたしまして、施設費なり、あるいは経営費等について、国から財政援助をするという点につきましては、いろいろと問題がございますので、これの実施ということになりますと相当むずかしい問題が出てこやせんか、御承知のように、公立大学は府県なり市町村が自前で教育を行ない、またその大学で研究をするというのがたてまえでございますので、文部省としては、ただいまの理科設備の補助金というようなものは、現在の時勢からきわめてこれは必要なものというふうに考えておりますが、こういうものについては努力をいたしたいと思いますが、一般的な援助ということにつきましては、地方財政との関係もございまして、新たに補助制度を開くというところまでは行っておりません。
  179. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この公立大学の設立の趣旨、おっしゃったとおりだと思うのですが、具体的に聞きますが、国立大学と公立大学の、特に理工科における施設なんかは、非常に格差といいますか、劣っていると聞いておるのですが、そういうことはどうですか。
  180. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 御承知のように、公立大学は主として大都市を有するような府県に多いわけでございまして、これらの公立大学の施設面から申しますと、必ずしも国立大学と比べて劣っているというような状況ではございません。中には国立の一流の大学に匹敵するような施設を持っているものも幾つかはございます。たとえば東京なり大阪のようなところにございます都立大学あるいは大阪市立大学というようなものの施設は、国立を凌駕するようなものもございます。ただし、それ以外の府県にございますような、主として単科のものにつきましては、必ずしも十分でないものも見受けられる状況でございます。
  181. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いま東京、大阪の話が出たんですが、大阪の場合、私は大阪ですからよくいつも聞いておるのですが、なるほど非常に市の財政をつぎ込んで、伝統ある市大だというのでやっておるのですが、それがために非常に経済的にも困っておるような状態で、一時はもう手放そうじゃないかということもうわさされたときもあるのです。まあしかし、そういうことじゃいかないということで、かなり持ちこたえておるのですが、やはり昔のそういう市立大学とかいうのでなくして、いまもう状態がだいぶ変わってきておりますから、市民の負担だけでそういう人材養成ということはどうかというような意見も実は出ております。それがために、公立といえども、やはり日本の人材、特に科学技術の振興を盛んに言われておりますから、こういう点についてなお一そう、やはり補助金ということについては問題があるけれども、何らかの意味で財政援助、国の教育機関の一つの延長ということで、積極的に前向きで考えて援助するという方向が私は好ましいのじゃないかと思うのですが、この点について大臣の御意見をひとつ伺いたいと思います。
  182. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど大学局長がお答え申し上げましたような状態で今日あるわけでございます。御承知のように、国立大学も、実は非常にたくさんの国立大学をかかえまして、なかなかこれが整備充実をはかるのも容易でないので、そういうこともございますし、一面には、それぞれの地方がその地域の必要に基づいて公立大学をつくっていることでございますので、それはそれとして発展を遂げられることが望ましいのじゃないかというふうにも考えるわけであります。しかし、実情から申しまして、お話しのように、公立大学の何と申しますか、財政力といいますか、そういうことも決して十分じゃない面もございます。われわれとしましても、それが発展を望むわけでありまして、これがそのような事情のもとに衰えてしまうというふうなことは、何とかしてやっぱり考えなければならぬ問題と心得ておりますが、特に政府といたしまして、国の要請ということで、たとえば科学技術教育の大いに振興をはかり、科学技術者を大いにつくらなければならぬというようなことで、積極的に政府が各官公私立の大学に協力を求めますような場合におきましては、やはり公立大学につきましても私どもは特別な配慮をしなければなるまいと、このように考えておる次第でありまして、現在わずかながら公立大学に対する助成の道が開けましたのも、そういう趣旨から出たと思うのであります。まあ考えようによれば、これが一つの道がここに開けたということにもなろうかと存じますので、われわれとしましては、公立大学はその本来の特色を持って発展することを望みますけれども、国としての態度といたしましては、この一つ道が開けておるものをさらに将来拡大していく、こういう方向で努力していったらいかがであろうかと、さように考えておる次第であります。
  183. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 将来ひとつこの点についても積極的に考えてもらいたいと思います。社会党も、まあ戦前のことは別にして、戦後、社会保障費と文教費については、多いと言うたことは一言もありません。大いに文部大臣その点はひとつがんばってもらいたい。池田さんが人づくりと言いますけれども、ほんとうに口だけで、今度の予算を見ましても、われわれとしてはあきたらないところがありますが、それはきょう避けておきますが、今後ともこの公立大学の存在価値というものも十分慰められて積極的にやってもらいたい。  その次に、簡単な問題ですが、文化財研究所の問題ですが、これは私実はこの前、内閣委員会から調査に奈良に行きましたのですが、具体的な問題をひとつお聞きしておきたい。文化財の研究所の所長以下職員の給与が、大学の教授その他から比較すると、だいぶ落ちておるのですが、この点どう判断されておりますか。
  184. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 速記をとめて。   〔速記中止
  185. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 速記を起こしてください。
  186. 市川房枝

    市川房枝君 文部大臣に初めにちょっと伺いたいのですが、文部省には、そこに塩さんが婦人教育課長としておいでになりますが、文教の行政は婦人には非常に適して、いるといいますか、外国なんかでは大臣になっておる方もあるし、その他重要な地位を占めておる方が多いのですが、そうしてその人物も、私はことに文教行政ならば婦人の方で適任の方がなくもないと思うのですけれども、いま文部省課長は塩さん一人ですが、あと課長補佐とか、係長に女の人は何人ぐらいいるのですか。
  187. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 社会教育局におきまして課長補佐待遇の専門職が一名、それから課長補佐が一名でございます。ただ一言つけ加えておきますと、この数年、将来の幹部職員となるべきいわゆる上級職員の採用にあたりまして、文部省といたしましては、適任者が得られる面におきましては男子と同様に採用しておることをつけ加えておきます。
  188. 市川房枝

    市川房枝君 いま申し上げたように、文部省は婦人に適しておるし、もっと多くあってしかるべきだと思うのですが、実はいま課長補佐なんかも現実には非常に少ないことを伺ったのですけれども、私ども外から見ておりますと、ほかの、労働省は婦人少年局があるせいもありますけれども文部省はむしろ婦人の問題に関しては、いままで非常に保守的だったと私ども見ておるのですけれども、婦人の行政官をもっとふやす、あるいはもっと上のほうに採用することについて大臣はどうお考えになっておりますか。
  189. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 文部省の行政もだんだんと広くなって、ことに社会局方面におきましては、婦人を対象とする社会教育をもっともっと伸ばしていかなければならぬ、そのようにも考えておる次第であります。したがって、いま局長からのお答えにもございましたが、今後、将来幹部となる職員を採用する場合も、適材があれば御婦人でもどんどん採用してまいりたいと思います。
  190. 市川房枝

    市川房枝君 適材ということがちょっと逃げ口上なんですけれども、私どもは適しておると思っても、そちらが通してないと言えばそれ切りの問題ですけれども、これやっぱりその場所に置かなければ、置いて少しなれれば、私はことに文教行政は子供の問題ですから大丈夫やっていかれると思うのです。そういう育てていくというお気持ちでひとつ採用していただきたい。文部省で現在働いている人の中でも適任者がいるというふうに私どもは見るのですが、ひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  それから教育委員ですね。全国の都道府県を初め市町村などの教育委員は任命制であるわけなんですが、その教育委員の総数のうちで婦人がどのくらい任命をされておりますか。
  191. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいまその数字を持っておりませんが、私の承知いたしております範囲で、各都道府県あるいは市町村の教育委員の中に、大体必ず一名は婦人を任命しているようでございます。したがって、大部分の町村の教育委員会まで婦人の教育委員がいらっしゃるというように私ども考えております。
  192. 市川房枝

    市川房枝君 必ずしもそう言えないのじゃないかと私は思うんですけれども、これは一ぺん数字的に、県では何人、市の段階では何人というようなのがありましたら、いまでなくてもよろしいですから、あとでいただきたいと思います。これは文部省として、地方に対して、婦人を教育委員に一人は加えてほしいというような行政指導といいますか、通牒というようなものをお出しになっておりましょうか。
  193. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 別に通達は出しておりませんが、やはり教育の問題につきましては、御婦人の委員でおやりいただくほうがいい問題がたくさんございます。そういった意味で、やはり必要に基づいて都道府県の教育委員会も、市町村の教育委員会も、必ず一名ぐらいを任命しているというのが実情であろうと思います。
  194. 市川房枝

    市川房枝君 婦人の教育委員の方たちの業績といいますか、教育委員としてどんな活動をしておられるかというような調査をなすったものはございませんか。
  195. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 別に個々の方について調査したものはございませんが、私ども承知いたしております範囲では、皆さん非常にりっぱな方がおなりになっておりまして、非常に教育委員会の運営自体がスムーズにいっているというような事柄をたくさん聞いております。また、婦人でなければ気のつかないような事柄もたくさん解決していただいた例もございます。全般的に調査いたしておりませんが、そういう事例が多いようでございます。
  196. 市川房枝

    市川房枝君 それはたいへんうれしい御報告を伺うわけなんですが、地方の教育委員会で婦人が関係しているために非常に結果がいいということであれば、さっき私が申し上げました教育行政に対しても、ひとつ御婦人を任命するようにお骨折りいただきたいと思います。  次に、ボーリング場のことについて伺いますが、大臣はボーリング場をごらんになったことがありますか。
  197. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 実はまだございません。
  198. 市川房枝

    市川房枝君 実はボーリング場については、参議院の地方行政委員会で、先般、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案の審議に際しましてこれが問題になりまして、東京都の公安委員長が、現在のボーリング場のあり方は青少年に対して望ましくないから、これを風俗営業に入れてほしいと、こういう御希望がございました。ところが、そういうボーリング場を文教地区なんかに、これはスポーツだということで、地方自治体の建築局が許可をしておるのです。文教地区というのは一体どういうふうなものですか。これは文部省関係だと思うんですが、これをスポーツと一体言えるのかどうか、スポーツということになりますと、これは文部省所管になると私は思いますけれども、それをちょっと伺いたいのです。
  199. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 地方行政委員会におきましても先生の御質問がございましてお答え申し上げたわけでございますが、現在、ボーリング場というものを考えた場合、ボーリングそのものは、これはいままでスポーツとはっきりいたしてきてはおりません。と申しますのは、体育協会の加盟団体にもなっておりませんわけでございまして、加盟団体にならないからスポーツではないということは、もちろん言えないわけでございます。そこで、まあ私ども考えますのは、スポーツというものの定義の問題でございますが、スポーツというのは大筋——大きな筋肉、大筋活動を伴うような運動と申しますか、そういうものがスポーツであるというふうに一応私ども考えておるわけでございます。一体それが、ボーリングが大筋を使うか使わぬかということになりますと、どうも使うという考え方のほうが強いわけでございますが、ただ、いままでスポーツの仲間へ入っていなかったものでございますから、いま、これはスポーツであり、その団体はスポーツ団体でございますと、はっきり申し上げるのもちょっといかがかと思うのでございますが、大体スポーツである、ボーリングそのものはスポーツであるというふうに考えてもいいのじゃないだろうかというふうに考えております。しかし、現在のボーリング場そのものは、これは先ほど来のお話のように、風俗営業のような内容を持つかどうかという問題でございますが、私どもも数カ月前に見に参ったのでございますが、わりあい、しっかりやっておるところもございますし、どうかと思うようなところもございます。どうかと思うということの根本の原因は、そこで酒を売ったりなどするというようなこと、それから非常に深夜までやっておるというようなことから、一つの問題が出てきておるのじゃないかというふうに見ておる次第でございます。
  200. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  201. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 速記を起こしてください。
  202. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、文化財関係で二、三お尋ねしておきたいんですが、文化財保護委員会は行政委員会として存在しておると思うんですが、この文化財保護委員会についての三十九年度予算はどのくらいになっておりますか。
  203. 平間修

    説明員(平間修君) 全部合わせまして約三十三億円でございます。
  204. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 三十三億ですか。実はこの前、内閣委員会から文化財関係の視察をしたんですが、そのときに初めて、ぼくもいままでその点には関心がなかったんですが、文化財保存というものは相当重要なものだということの認識を私は得たんですが、三十三億、これはほんとうにわずかな費用だと思うんですが、すべて文化財研究所とか、あるいは国立博物館、そういう人々の給与がここに入っておるかどうか。国立博物館は違うんですか。
  205. 平間修

    説明員(平間修君) ただいまの三十三億の中に含まれております。
  206. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実は文化財研究所の所長以下、全部給与を調べたんですが、その資格からいい、学歴から見ても、大学の先生と匹敵する人が、すべてその給与が低いんですね。こういう点をお気づきでありますか。
  207. 平間修

    説明員(平間修君) 給与につきましては、経歴と申しますか、勤務年数なり学歴なりというものによって、もちろん人事院と協議の上できめるわけでございますから、そういう点からいって、特にはなはだしく低いというふうに私は考えておらなかったわけでございます。もちろん、いまお話の出ました研究所の所長等は研究職でございます。大学の先生は教育職でございます。俸給表が違うわけでございますが、一がいに並べるわけにもいかない点もございますけれども、そういう点から特に不利だというふうには私ども考えておらなかったわけでございます。
  208. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはもう一ぺんあなた調べたらわかると思うんですが、なるほど研究職と教育職とは多少違いますが、実際に私はいろいろと調べてきたのですが、金額でいえば三号俸か四号俸低いです。もちろん、一等級であっても教育職とだいぶ違いますから。そこで、われわれとしてはそういう研究所に大学から来てもらおうと思っても来ない、こう言うんですね、給与が落ちてしまうから。したがって、私が言いたいのは、これは文部省管轄だと思うのだが、文化財関係の仕事を実は軽視しておるのではないかということを言いたいのですが、給与なんかをもう少し考える必要があるのじゃないですか。教育職と合わして考えるような方法はないですか。
  209. 平間修

    説明員(平間修君) ただいま申し上げましたように、個人個人のことは経歴等によって決して不利な取り扱いはしてないつもりでありますが、何か現実に非常に低いということになりますと、ケースによって研究し、是正していくようにつとめなければならないと思いますけれども、後ほどの御質問の教育職と研究職との問題、これは文化財問題だけではなくて、もっと大きな立場から考えてみなければならぬ問題ではないだろうか、 こんなふうに考えるわけでございます。
  210. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは文部省あるいは文化財保護委員会だけでは決定できない、まあ人事院の関係もあると思うのですが、文化財研究所なんかの形を研究職という形だけで律しられない問題があると思うのですがね。だから、これを兼務とか何かの形で、教育職ということでこれは書きかえるという道はないですか。
  211. 平間修

    説明員(平間修君) 私の記憶している限りは、研究所は研究職としてやはりやっていくほかにいたし方ないんではなかろうか。ただ、もちろん実際問題としては、併任とか講師とかということで大学にお手伝いしているような例が相当ございますけれども、やはり本務としての研究所員となれば研究職というふうにならざるを得ないのではないか、目下のところこんなふうにしか考えておりません。
  212. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いまの給料表がある以上は、そう言われる答弁はわかるんですが、そういう点であなたのほうから人事院あたりにいろいろと申し入れされて、何か方法はないかということをあなたのほう自身で検討されたことがありますか。
  213. 平間修

    説明員(平間修君) この研究職をどういうふうに持っていくかどうかというようなことにつきましては、特に研究し人事院に申し入れたことはないように記憶しております。研究職の、その研究所なら研究所の定数をなるべく有利に持っていくような交渉はしたことがあります。
  214. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは具体的に言うとどういうことですか。格づけをよくするとか、そういうことで交渉されたことがありますか。
  215. 平間修

    説明員(平間修君) 個人個人の格づけについては、もちろん協議をして成規のとおりにやっておるわけでございますが、たとえば同じ私のほうの付属機関と申しましても、官庁のほうは研究職の一等級に当たる。それから研究所のほうは二等級になっている。こういうような官制上はそうなっておるということでございますから、それはいろいろ機構の面、構成人員の面でそういうふうな歴史があるわけでございますけれども、そういうものは同じく一等級にすべきではなかろうかというようなことで交渉したことはございます。そういう意味の官制上の交渉をしたことがございますが、遺憾ながらいまのところまだ実現されないという現状でございます。
  216. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこまで言われたら言いますけれども、交渉されたのはいつですか。今度の公務員の給与が引き上げられたときに、次官が一等級ということで、次官が別に給与を設定いたしましたね。その際に、研究職の、特に文化財の特殊な所長あたりについて何か話を出されましたか。
  217. 平間修

    説明員(平間修君) 私自身がやったものでないものですから、必ずしもはっきりとは申し上げられない点がございますが、そういう点は毎年その節にやっているように聞いております。
  218. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 関係が違うか知りませんが、私、人事院にこれは委員会で尋ねたわけじゃないですが、一向にそういう話は人事院に通じておらないようです。それで、今後一ぺんこの機会にそういう教育職との間の権衡なんかを見て、いまの研究職表に合わすということはいまのところやむを得ないとしても、格づけなんかについては私は有利にやれる方法があると思うんですが、その点、人事院と相談をしてもらえませんか。
  219. 平間修

    説明員(平間修君) 十分研究してみたいと思います。
  220. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから、 もう一つ。東京の国立博物館と奈良の国立博物館の職員の区別があるんですが。これはどういうわけですか。
  221. 平間修

    説明員(平間修君) 区別という意味がちょっとわかりかねますので、もうちょっとお願いいたします。
  222. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 東京のほうは一級上になっていますね、給与が。奈良のほうが一級下になっている。そういうことはありませんか。
  223. 平間修

    説明員(平間修君) たとえば職制が京都と東京ではちょっと違っております。たとえば東京は部制をしいておる、京都のほうは直ちに次長の下に課制をしいておるというようなことになっておりますので、そういう機構の上からの現在違いがございますが、館長、次長については同じく一等級であり二等級である、こういうふうになっておりまして、まあ部長というのももちろん三等級におるわけでございますが、東京にはおるわけでございますが、特にその中に区別があるとは考えられないと思います。
  224. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 奈良の場合はどうなっておりますか。
  225. 平間修

    説明員(平間修君) 奈良の場合は標準で、次長は三等級という違いになっております。
  226. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはどういうわけですか。
  227. 平間修

    説明員(平間修君) これはやはりその館の何といいますか、成立といいますか、歴史の古いということもありましょうし、何といいましても、やはりその機構及びその人員というものからそういう格づけになっておるものと考えております。ただ、実際問題として、人に応ずる、いわゆる特に暫定何等級ということを申しますけれども、人に伴いましては同じ待遇に持っていくというようなことをやっておりまして、現に京都、奈良、東京のたとえば次長をとってまいりますと同じ二等級になっているというようなことは現実にございます。
  228. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなた十分調べておるかどうか知りませんが、やはり差別があるのですよ。これは時間がないから詳しくは言いませんが、ずっと給料表を調べましたら、やはり東京と比較すると一等級ないし二等級の差がつけられておることは事実です。私はこれは、博物館あたりは普通の官庁、行政官庁と違うのですから、規模とかそういうものでなくて、その人の携わっている仕事の軍さとか内容できめていかなくちゃならぬのじゃないかと思うのです。特に奈良あたりにおる人については、東京に行きたいという希望が相当あるのだが、給料も悪いし、というようなことで非常に不平不満を持っておるようであります。しかし、ああいう人は研究者ですから一つのそういうプライドを持っておるから、給料のことについてはあまり言っておらないのですが、何かそこに一つの不満があるように私は見受けたのです。こういう機会で、分科会ですから腹を割って話ができるから、こういう質問しておるのですが、十分ひとつその点を考えてやっていただきたいと思うのです。特に奈良はいわゆる仏像の最も重要な役割りを持った博物館であり、私が見ましても相当日本の博物館としての特徴ある博物館でなかろうかと思うのですが、そうかといって東京が軽いというわけではありません。やはり国立博物館というおのおのの使命があるのですから、この点は十分給与の面もあまり格差のないように措置をしてやらぬと、一種のこの人は研究家ですから、そういう熱意を失わしてはいけないと思うのです。その点はひとつ希望を申し上げておきます。  それから、平城宮あとの開発といいますか、文化財発掘の仕事ですが、これは相当問題があると思いますが、地元のほうでは相当完全な補償をしてくれという要請があるのですが、この点についてはその後どうなっていますか。
  229. 平間修

    説明員(平間修君) あるいは御承知かと思いますが、三十八年度において約七万坪のものを地主の方とよく話し合いまして買い上げたのでございます。来年度もほぼ同じ坪数、したがって金額も昨年よりもちょっといささか食いました四千万円を計上しておりますが、それで約七万坪買い得るというような見通しでございます。したがいまして、今後発掘等をやっていくにつきましては、やはり主として買い上げたところからやっていくということを考えますと、そう地主の方には御迷惑はかからないのじゃないか。それから、こういう席上で申していいのかどうかちょっと疑問ですけれども、買い上げたものに対する税金の免税というような措置も、国税庁とお話し合いしましてやっておりますので、地主の方たちはまあ喜んでこの国の事業に協力してくれるものと、こんなふうに私たちとしては考えております。
  230. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはあなたのあまりかってな考え方ですね。行ったときに相当陳情を受けまして、向こうは御存じのように近鉄の車庫を建てようということですね。近鉄がかかったらしいのですが、しかしこういう重要な文化財が埋没しているということで協力するということで、それをはねのけて協力をしておるのだが、いま言われたように、免税の問題も、申請しているけれども、まだそれは実現したとは聞かなかったのですが、それでもやはりその向こうの地価が非常に上がってきておるらしいのです。そういうことから見ると、相当農民は非常に不満を持っておりました。しかし、 不満を持っておるといっても、私は不満を申し上げません、国のための文化財を発掘されるのですから喜んで協力するけれども、そのかわりひとつ国が見てもらいたい、ということですが、喜んで協力するということではないと思うが、もしそういうあなたのほうに陳情が行っておれば、これを聞くだけの用意はありますか。それだけ聞いておきます。
  231. 平間修

    説明員(平間修君) それは聞く用意はございます。ただし、そのあたりの経済条件とかいろいろ問題がございますので、その辺はよく検討の上お答えしたい。もちろんそういう点は考えますけれども、よくわれわれのほうの事情を申し上げて、やはり納得の上でやっていきたい、こういう気持ちでございます。
  232. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これでおきますが、前の自治省の次官の奥野さんが向こうから衆議院に出まして、その人のもとにも相当陳情は行っておるが、なかなか聞いてくれない、こういうことを言っておりましたので、喜んで協力するかどうかは別として、その点は十分配慮願いたいと思います。せっかく近鉄で買収しようというものを断わって、そうして国の文化財の保存のために協力しようというのですから、無法な要求であればこれはまた問題があろうと思いますが、聞ける内容は十分ひとつ参酌してもらいたいということですが、どうですか。
  233. 平間修

    説明員(平間修君) 十分お話は承りたいと思います。
  234. 市川房枝

    市川房枝君 さっきの続きを伺いたいと思います。  先ほど体育局長は、ボーリングそのものはスポーツだと、しかしボーリング場にはいろいろ問題がある、こういう御解釈だと伺ったんですが、いまそのボーリング場に対しては、何にも法律がない、そのまま放置されているかっこうですけれども文部省としてはそういう状態のボーリング場に対してこれをどういうようにお考えになっておるか、どういう能度でお臨みになるかということ。私どもはこのボーリングそのものがスポーツである、それは私どもそう思うのですけれども、そうすれば健全なスポーツとしてこれを育てるというために、文部省自身が新しい法律をつくって、そうしてこれを青少年の悪の温床にならないように健全なスポーツとして発達させるというふうにお考え願えないものかと思うのですが、これは大臣から伺いたい。
  235. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 先ほどお尋ねがありました際に、私はまだ実際を見ていないので、したがって私がかれこれ申し上げる力は実はないわけでございます。実はできればこっそり様子を見たいと思いますけれども、なかなか思うにまかせませんので、いまだに実地を見るわけにいかないわけでございますが、だんだん回りの人たちなり外部の人たちの話を伺いましても、ボーリングそのこと自体は別にどうということはないわけです。あるいは体育ということに見てもよろしいんじゃないかと思うのでございます。  ただ、その体育的なものであるといたしましても、その施設をすぐ文部省が取り上げて指導するとか、監督するとか、あるいは助長するとかというふうなところまでは、まだ実は至っておらないと思うのであります。ただ、現在一番問題にされておることは、それを取り巻いておる周辺の環境、これが問題だということになっておるわけでございますので、私どもは、せっかくそれが体育として認められるようなものであるとするならば、もっと健全なもっと明るいものにぜひ育て上げていきたいものだと、かように念願いたしております。したがって、実は関係の当局ともちょいちょい会ったときには話をしているわけでございますが、あの環境を何とかならないかということを申し上げておるわけでございます。ことに一番われわれが心配いたしておりましたのは、そこがいわゆるスポーツという環境とは全く離れた、妙な空気のもとに経営されている。ないしはそれが非常に夜おそくまで、はなはだしいのは、ずいぶん暁近くまでやっておるという話を聞くわけであります。そういうようなものは、むしろひとつはっきりいえば禁止してもらいたい、このような実は気持ちを持っておるわけでございますが、まだ実はそこまでは至っておりません。しかし、私は、やはりどんどんそういりものがはやってくる、しかもそれが悪い方向に向かってどんどん進んでいくことであるならば、われわれも関係のものとよく相談いたしまして、健全な方向で発展をするようにしむけてまいらなければならぬ。現在そういう心持ちで相当関心を持っておるつもりではございますが、しばらくこれが扱いについては研究をしてみたいと、このよりに存じております。
  236. 市川房枝

    市川房枝君 実は地方行政委員会政府原案を可決しましたときにも、各党一致でもって附帯決議がついているわけです。その附帯決議の中にボーリングのことにも言及しておりまして、そして悪の温床となる心配がある行為については、いまお話もありましたけれども、深夜における営業は特にこれを規制をすべきだということを政府に要望しておりますんで、これは所管がどこになりますか、公安委員長は政府としても十分考えますというお答えでありましたけれども、ひとつ文部省のほうが私はイニシアチブをおとりをいただけるといいと思うのです。  それで、問題のもう一つは、非常に金が高いんです。で、これが一つの悪の温床になるといいますか、青少年にとっては。この前新聞にも出ておりました三人の高等学校の学生の強盗の事件、あれはボーリングに行って金を使っちゃって、金がなくなったから強盗をしたということで、引き合いに出されております。いまのボーリングの営業のしかたですと、ずいぶん高くて、ちょっと行けば千円、二千円すぐすっ飛んでしまいます。ですから、とても、未成年の約三割が入場しているという警視庁の調査でございますけれども、金がかかるということになりますと、やっぱり悪のほうへいくということになりますんで、その金の点といいますか、値段の点なんかも実は私は規制してほしいと思うのです。非常にいまもうかるらしいんですが、したがってどんどんふえていきまして、全国的に広がる可能性がだいぶ多い。いまからひとつこの問題を取り上げていただきたいということを特にお願いをいたしておきます。  それから、大臣にもう一つお伺いしたいのは、文部省で海外の留学生を、費用を出して、そして日本で勉強させることをやっていただいております。この実情を、私、昨年現実にヨーロッパから来ておりまする女の留学生に、たまたま私がちょっと世話をする関係になりまして、実情を知ったもんですから、昨年の予算委員会で実はちょっと伺って、当時荒木文部大臣から御答弁いただいたわけです。私はそのときも申し上げましたけれども、留学生の問題、非常に重要な問題といいますか、将来の日本と世界の各国との友好関係のこれは一番いしずえになるものでありますので、そういう人たちに日本というものをよく見てもらう、そして日本に好感を持ってもらうといいますか、ということでないと、かえって逆に、もし日本というものに対していやな気持ちを持って帰るのだったら、これはマイナスになるわけです。国民の側からいいますれば、国民の税金でもってそういう人たちを呼んで、そしてマイナスになるんでは、もう実際困るわけです。そういう点でもっと予算も私は十分請求をいただいて、そして十分いい効果を持って帰ってほしいものだと思うのです。昨年よりも今度の予算は幾らかふえているようですけれども、留学生に関連して文部省として来年度についてのいままでと変わった何か計画といいますか、それを具体的にひとつ伺っておきたいと思います。
  237. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 調査局長からお答えいたします。
  238. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 最初に、三十九年度の留学生関係予算につきまして前年度と違うことを申し上げたいと思います。  御存じのとおり、留学生は国費留学生として政府給与しておりますが、現在二万五千円の給与を四月から三万円に増額いたしました。それから、最初到着いたしましたときに、給与だけでなくて、何やかや生活の出発のために金が要るものですから、到着時に給与以外に一万円、着後手当と申しますか、支給するつもりでおります。それから、留学して勉強している間に、研究関係で旅行を必要とする場合がしばしば出てまいります。従来は研究留学生のみにいわゆる研究旅費というものを支給しておりましたが、本年度は学部の高学年生にも二万五千円の研究旅費を支給することにいたしております。それから、呼ぶ場合、日本に来る場合、帰るときの旅費の問題がございますが、従来は東南アジア、中近東からの留学生のみに支給しておりましたけれども、明年度からはヨーロッパその他どこからの留学生につきましても、旅費の往復を日本政府で出すことにいたしました。  それから、あとは学校の問題になりますが、大学で留学生を受け入れする場合にいろいろ補導上の問題があります。本年度から留学生特別指導費というものを、年額一人当たり一万一千円ずつ計上して学校交付することにいたしております。厚生補導費は従来どおり六千円でございます。  それから、留学生の教育費、これは日本の学生と同じように、前年度より三割ほど増額いたしました。  それから、教授方法のためのいろいろな検討をいたしておりますが、現在留学生関係のための教科書の編さんをいたしておりますが、明年度で第一期の編さんが完了する予定でありますが、七科目の編さんをいたします。それから、別途、留学生のための日本語の学習辞典、漢字学習辞典と申しますか、その編さんも続けておりますが、本年度で編さんだけ終えましたので、三十九年度にはこれを出版する予定でおります。  それから、その前に、留学生を毎年国費で百名呼んでおりましたけれども、明年度は二百名、倍にふやしましたので、これに関する経費関連してふえておりますが、したがって、千葉大学、外国語大学における教官の増をいたしております。  それから、留学生の世話、宿舎と世話の問題が一番大きな問題でございますが、国費留学生につきましては、財団法人で日本国際教育協会という機関がございまして、現在百名の寮を用意して留学生の宿泊その他の世話をいたしておりますが……
  239. 市川房枝

    市川房枝君 これは男ばかりでしょう、女のは……。
  240. 天城勲

    政府委員(天城勲君) それに対しまして明年度、去年先生からだいぶおしかりのありました女子の問題がございますので、本年は男子寮五十人の増のほかに女子寮三十人分のやつを別に増築するつもりでおります。そのほか、特に女子につきまして宿舎の事情がいままで不十分だったのでございますが、千葉大学留学生寮の中にも二十人分、日本の女子学生の中に留学生の女子寮のための二十室分を用意いたしております。これはほぼ完成いたしております。そのほか、民間の下宿で、有志の方がめんどうを見てくださる場合がありますので、それにつきまして協会のほうからそういう下宿に対して補助をいたしておりましたが、この補助額も三千円から四千円に増額いたしますと同時に、積極的に留学生を引き受けていただくような家庭を現在いろいろな方法で拡充をはかっておるわけでございます。関西等のごときは、この前新聞広告もいたして第一次的な御意向を伺い、そのあと個別的に相談しておりますが、現在二十数軒関西のほうでは出ております。東京もいまその話を進めておるのでございます。いろいろこまかい経費がございますが、大ざっぱに申しますと、大体以上のような点がおもな点でございます。  なお、直接留学じゃございませんが、留学を終わってからなお日本でいろいろな工場実習をしたいという希望が出ておりますので、今年度は理工系の学校の卒業生についての工場実習がやれるように、その間の給与並びに必要経費等を計上いたしております。  大体以上であります。
  241. 市川房枝

    市川房枝君 だいぶ来年度よくなりますようで、いろいろと御苦労さまでございました。  実は外国の留学生に関連して、昨晩私は朝日ジャーナルの最近号を読んでみました。その中に「大学の庭」という項をずっと毎号やっておるのですが、拓殖大学のことを永井道雄さんが書いておりました。それを読みましたらば、拓殖大学では非常に留学生に対しての扱いといいますか、学校でいろいろ心配してやって、非常にうまくやっていらっしゃるということを書いてございます。筆者が永井道雄さんでございますから、私はそうだろうと思って感心したのですが、受け入れの学校側が直接、宿舎の問題も第一ですけれども、受け入れの学校側の留学生に対する扱いといいますか、応対を心配してやるということ、それが非常に大事なことでありまして、昨年の私の経験からいいますと、必ずしもそれがうまくいっていない。留学生を担当する方が第一、英語が何といいますか、ことばが、外国語がうまくできないので、意思の疎通が第一できないのだ。こういうこともあったのですけれども、そういう点で学校側が十分に学生と意思を通じ、満足させるようなふうにやっていただくと、たいへんよくはないか。私自身拓殖大学のほうは実際は見ないのですが、それを読んでたいへん嬉しく思ったのですが、ひとつ受け入れ側の学校に対しては私は、予算の問題もありますけれども予算でなくて、やはり人の心がまえといいますか、考え方の問題だと思います。だから、ほんとうにそういう人たちに親切といいますか、何を知りたいかということに対して心を配ってやればということが大事なことなんですから、当局者のほうへ、ひとつその点をあわせてしていただいて、どうか目的をほんとうに達して、将来の日本と各国とのきずなができますようなことをお願いしておきます。  次には、社会教育に関してちょっと伺いたいのですが、今度三十九年度の新しい予算で家庭教育学級というものをおつくりになっております。実際の問題として、いままで婦人学級というのを非常にやってくださっておりますが、その婦人学級と内容なり運営でどう違うのか、私はそういう質問をずいぶん受けるのでございます。同じことじゃないか、そんなにできたら困ってしまうとかなんとかというふうな意見を、婦人団体側から私は聞いておるのですが、それをちょっと御報告を願いたいと思います。
  242. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 今回、家庭教育学級の開設を助成するための補助金を計上しました趣旨は、申すまでもなく、青少年の健全な育成、あるいはいろいろ起こっております保護対策をめぐりまして、家庭の教育的な機能ということを主として両親によく考えていたただく、学んでいただくということから、社会教育の分野としては両親が学ぶ機会を拡充することがよかろうということで、この予算を計上したわけでございます。で、家庭教育に関する社会教育の学習と申しますのは、何も今回予算をもって推進いたします家庭教育学級に限らないのでありまして、従来とも、いまお話のありましたように、婦人学級の中でいろいろな他の学習の領域と同様に、家庭そのものにつきまして、あるいは家庭における子供の取り扱いの問題がいろいろあるわけでございます。また、PTAの活動、あるいは公民館の活動等の中にも、いろいろその種の学習講座等があるわけであります。これはますますその内容を深め、拡充していってもらいたいと思うのでございますが、ただ、この機会に、なお両親教育の場を積極的に拡充する一つの方策として、全国に相当数のこの種の学級を附設したらという考え方でございまして、これがありますために婦人学級が減ってもいいとか、あるいは婦人学級で取り扱う家庭教育の学習の内容がなくてもいいというものでなくて、あくまでも社会教育の場を拡充するという観点に立ってこの開設を進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  243. 市川房枝

    市川房枝君 お話のように、いままでも家庭教育に関することは婦人学級のプログラムの中に入っていた、あるいはその他の社会教育の中に入っていたということは、私もそうだったと思うのですが、まあそれだからちょっと受けるほうは混乱をして、一体どう違うのかということで、これは予算を請求なさる上からいえば、家庭教育というのは非常に大事だということがいまいわれていますから、あるいは予算獲得の技術としては、これは非常におじょうずだったと言えると思うのですけれども、実際の実施面からいうと、まあ婦人学級の中にそれは入っていいわけだし、だから、対象がどう違うかというようなやっぱり違いといいますか、連絡といいますか、少しはっきりわかるようにしていただかないと、みんなちょっと、どこが違ってどうしてそんなに重複してするのかということにもなるのじゃないかと思いますから、その点をひとつあれしていただきたいということを考えるのです。  それから、家庭教育というものの内容の問題ですね、まあどういう家庭を一体望ましいとするのか、これは人つくりの問題とも同じですが、人つくりというのは一体どういう人をつくろうとするのかというところが問題になるのですが、いわゆる家庭というのは、日本においての現在なり将来の家庭がどうあるべきかということがはっきりしていないと、この家庭教育というのはどっちを向いて一体行くのか、あるいはどうかすると、やっぱり女よ家庭に帰れというようなわけで、良妻賢母主義と、昔のほうに返って婦人のむしろ社会的な面を押えるという結果になりかねないという心配を私どもちょっと持つのですが、その点はどうでございますか。
  244. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 先ほどのお答えをひとつ先に補足さしていただきますが、婦人学級は、何といいましても婦人のみを対象とするということでございまして、やはり両親教育という場から実際上の限度はありましても、これは父親も母親も、子供の教育について、あるいは家庭の教育について責任を持ってもらうということを学習していただく面で、やはり対象の年齢というものも、婦人学級とねらい方としては違うのじゃないか。しかし、実際上おかあさん方がたくさん集まることは事実だと思います。考え方としてはそういう点が一つございます。  それから、どういう家庭像を考えてというお話でございますが、私どもは、やはり現在の変転する社会におきまして、家庭の機能というものが実際いろいろ衰弱と申しますか、そういう傾向にあることは事実だと思います。しかし、まだ経済あるいは職業の変化に従って家庭の機能が変化していくにしても、一番重要なものとし、残るものは、やはり家庭の教育的な機能である。これは外部的な要因でいろいろ変わっていくことがあっても、いつまでも社会、国家のために残しておくべきものである。そういう家庭の機能、特に教育的な機能というようなことをよく両親で考えていただく。それから、また、それぞれの子供の発達段階に応じまして、人間形成のためにその自己を実現していく、あるいはよい習慣をつけていくというようなこと、その原則的な考え方だけはひとつ家庭教育に関してやっていただきたい。それから、それをどういうふうな対象で、どういうふうな部面を、あるいは幼児教育に力をおいてやるのか、あるいは少年後期の問題をやって、非行問題との関連でいろいろな事例をあげて検討していただくか、これはそれぞれ開設者である市町村の責任者が実態に即してやっていただきたい、そういう一律のものを考えているわけではございません。ただ、私どもの期待いたしますのは、基本として、家庭の教育的な機能、親の責任ということはやはり柱にしていただきたいということで、指導者講習会等につきましては、この点は十分お話し合いをしているわけでございます。
  245. 市川房枝

    市川房枝君 家庭というもは、文部省のお考えになっているというか、文部省社会教育局のお考えになっている家庭というものはどういうものだろうかという、それはありますか、何かお考えが。
  246. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 実は家庭そのものをどう考えるかということは、社会教育的というよりは、一番いい筋道を示しておるものは、国民教育の大宗である義務教育の段階で、学習指導要領でありますとか、あるいは具体的には教科書であらわしております。そのことをやはり基本的に考え、そういう共通したものをわれわれは社会教育の方面でもとっていくべきだろうと思っております。その面におきまして、やはり個人が家庭を構成いたしますところのそれぞれの役割、あるいは家庭内における親和、それから、先ほど申しましたように、幾つかの家庭の教育の機能ということを、将来、生徒あるいは子供を待った両親がさらにその問題について具体的なものを手がかりにして深めていく、こういうふうに進めていくべきではなかろうかと思っております。
  247. 市川房枝

    市川房枝君 お話のように、方々に出ているのかもしれませんけれども、しかし、家庭教育というものを今度はっきりお打ち出しになる場合は、やはり家庭というものはこうあってほしいというか、というものがやはりないと、個々別々に、まあちょっとそれじゃ心配なんですがね。私ども、いかなる社会が来ようとも、やはり家庭というものは必要だ、いい家庭というものがやはり社会の一番基礎になるのだという考え方は持っているわけですが、ただ、家庭のあり方というものも、やはりそのときの社会の、あるいは経済組織によって変わってきている。いわゆる封建時代の家庭というものと今日は全く違っているわけなんで、その点の把握のしかたといいますか、それがもしできていなければ、私ひとつそれは考えていただいて、そうこまかくまたするというと問題が起こりますけれども、大体のアウトラインの程度でもないと個々ばらばらになって、おかしな議論も出てくると思いますが、ある程度のワクは検討してくださると思うのですが、その場合は、やはりいろいろの人たちの意見を取り入れてというか、そうして批判のないというか、みんなが納得するようなものであってほしい、こういうふうに考えますから、それをひとつお願いしておきます。
  248. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  249. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) 速記を始めてください。
  250. 矢山有作

    矢山有作君 大臣も非常に時間の御都合があるようですから、肝心の点だけ簡単に伺います。  実は、私は農林水産委員会に所属しておりますので、そういう立場から、現在問題になっております学校の給食、輸入脱脂粉乳による学校給食の問題と、日本の酪農の今後の問題というもので非常な大きな問題が起こっておるわけです。そういう立場から、学校給食の問題だけに限りまして御質問申し上げたいと思います。  まず、第一にお伺いしたいと思いますのは、おそらくもう大臣のほうも、現在の日本の酪農界が置かれている情勢等については、いろいろの機会に、詳しいことはとにかくとして、御承知になっていると思うのです。そこで、この際まずお聞かせ願いたいのは、学校給食に対する基本的な考え方というものをどういうふう持っておられるのか、これからお伺いいたしまして、次の質問に移らしていただきたいと思います。
  251. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 学校給食ということが戦後開始せられまして、おかげさまで、だんだんと普及をしてまいったように思うのでございますが、私どもといたしましては、これまでの学校給食の成果といいますか、相当あったものと考えておる次第であります。今後ますますこの学校給食の普及につとめたい、このように存じております。また、学校給食と申しましても、御承知のように、いわゆる完全給食としからざるものとがあるわけでございますが、将来の目標といたしましては、完全給食をできるだけ普及することに努力を続けてまいりたいと考えております。
  252. 矢山有作

    矢山有作君 そこで、将来の方向として、完全給食の方向に進まれるということはわれわれも大賛成です。しかし、当面問題になっておりますのは、昨年八万五千トンの脱脂粉乳を輸入し、さらに今年六万六千トンの脱脂粉乳を輸入して学校給食をやる、こういうことが行なわれ、また、行なわれようとしているわけですが、この輸入脱脂粉乳による学校給食というものが、学校給食法に定めている目的なり目標を達成するために妥当なものであるとお考えになってやっておられるのかどうか。
  253. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 学校給食法にいう学校給食と脱脂粉乳の関係でありますが、私ども、これがこの法律の目的に反しているとか、趣旨に沿わないというようには考えておりません。この脱脂粉乳によるいわゆるミルク給食、これも相当の年数を経てきているわけでありまして、三十八年度以来、御承知のように、全国の小中学校にともかくミルク給食だけでも進めていこうじゃないかということで、かなり拡大をせられてまいり、これが趣旨の徹底につとめておるようなわけであります。ただ、私どもは、学校給食の従来からの沿革から申しまして、脱脂粉乳というふうなものから出発をしてまいってきておるわけでございます。卒然としてこれが起こったわけではございませんわけで、今後の問題といたしましては、何も学校給食をやります場合に脱脂粉乳に限らなきゃならない、そのような考え方はいたしておりません。だんだんと日本の酪農の事情も伺っておることでありますし、また、日本の国策といたしましてこの酪農の振興をはかっていくということはきわめて重要なことであります。したがって、日本のなま乳によって学校給食が行なわれるという事態そのものに私ども反対すべき理由は少しもないのであります。これを採用するに決してやぶさかではないという考え方をいたしております。したがって、まあいままではなま乳の需給調整のために学校給食が使われたという点もあったかと思うのでありますが、三十九年度からは計画的になま乳の受け入れということについてやっていこうという考えのもとに予算を編成いたしましたようなわけであります。御承知のように、学校給食にこれを取り入れます以上は、確実な健康な牛乳というものが間違いなく学校に配っていただけるということが一つの要件であります。同時に、また、これを行なうことによりまして一般家庭の負担を非常にふやしてしまうというようなことも避けなければならぬと思うのであります。この二つの点をにらみ合わせつつ、しかも、国内の牛乳の生産量というものとにらみ合わせまして、私どもはだんだんとこの受け入れを進めていくべきではないかと、このように存じておる次第であります。決して基本的にはなま乳の問題について、私どもが脱脂粉乳でなければならぬという考えでもって固執をしておるというふうなことではございません。事情が許すに従いましてこれを拡大することに私どもつとめてまいりたいと思っております。
  254. 矢山有作

    矢山有作君 いまお話を伺いまして、私どもがそれぞれ委員会等で調査し、また、実際に今日までの日本の生乳の生産量というものを見てまいりましたときに、最近は大体年々百万石ないし百二、三十万石の増産になっております。すでに供給という面においては、学校給食に国内産の牛乳を相当大量に使用しても、それが市場に影響を与えるというような段階にはなっておりません。このことが一つ。  もう一つは負担の問題が出てまいります。私ども考え方からすれば、輸入脱脂粉乳を子供に飲ませるのと国内産の生乳を飲ませるのと一体健康の上から、子供の発育の上からどちらがいいのかということはいろいろな議論があります。しかしながら、少なくともバターを取ったかすの脱脂粉乳よりも、完全食品だといわれておる牛乳のほうが子供の保健衛生にはずっと向いておるということは、これは何と強弁されても、それが事実だろうと思うんです。そうすれば、ただ単に負担の問題だけで云々ということは、これは成り立たないので、先ほども山本委員が言われましたが、われわれはそういう有効なほうに文部省予算が幾らでも使われるのなら大いに応援するわけですから、その辺は遠慮なしに、供給の面の心配はありませんから、父兄負担のふえないようにして予算を獲得して国内産の牛乳で学校給食をやっていただく。そのために、ひとり教育上の問題だけでなしに、日本のいま一方では値上がりをし、一方では乳が余ったといって値下げを食って悩まされておる酪農というものを安定させる上において非常な大きな力を持っておると思う。特に学校給食を全面的に採用した場合には、三百万ないし三百五十万石の乳が要るといわれているんです。そうすれば、この学校給食が国内産の牛乳によって確保されるということは、日本の酪農の発展の上に欠くべからざることなんです。したがって、私どもは農林水産委員会等では常にこれを強調している。ほんと言うと、農林大臣とあなたと両方おっていただいてこの話をやったら一番いいのでありますが、なかなかそういう機会がありませんので、きょう申し上げておるわけなんです。したがって、供給の面の心配はない。値段については、これほど高度成長をやったと言って自慢なさっておるのですから、その高度成長をやったものを将来の国民の育てていくための経費に遠慮なしにひとつ大蔵省から取っていただいて、父兄の負担増にならないように学校給食を大々的に拡大していただきたい。それから、そのことを申し上げておいて次の質問に移りたいと思うのですが、輸入脱脂粉乳は、あれは人間が飲むものとお考えになっておられますかどうか。アメリカではあの輸入脱脂粉乳は人間が飲むものとは考えていないわけです。あれは豚のえさにしておる。アメリカにおきましては酪農生産が過剰になって価格が下がるというので、価格支持制度をとっております。そうしてCCCがこれを買い上げて、そして酪農民を保護して、そしてさらにそれに加えて、日本に送ってくる場合には、相当政府が金を出して、アメリカにおける市場価格よりもさらに半値以下で日本へ輸出してきているわけです。それを受け入れて日本では子供に飲ませておるわけなんですが、一体豚のえさを飲ませるということが日本の子供の心身の健全な発達に資することになるのか、また、国民の食生活の改善に寄与することになるのか、また、食事について正しい理解を与えることになるのか、これらのことは学校給食法に明示されておることなんです。私はそういうことにはならぬと思うのですが、大臣のお考えはどうですか。
  255. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 脱脂粉乳はアメリカでは豚のえさであるというお話でございますが、私ども一応知っておりますところでは、アメリカではむしろ大部分食用になっておるのではないかと思っております。で、特にハワイなどごらんになれば、ハワイには牛乳はそんなにございません。したがいまして、ハワイにおいては脱脂粉乳を使うことがむしろ本則になるのではないかと思っております。それから、日本におきましても、私、個人的なことを申しまして恐縮でございますが、ずっと脱脂粉乳をしょっちゅう使っておりますが、それは一時などはデパートではもう日本の脱脂粉乳は買えなくなりまして、非常な難儀をいたしましたような次第でございます。今日でも例のスキムミルクというようなことになっておりまして、デパートをはじめ、いわゆる食料品屋で売っておりまして、これはもうある食料品屋の話でございますが、最近では脱脂粉乳がよく売れるようになったという話を聞いておりまして、私どもとしては、脱脂粉乳は豚が食うものであって、人間の食うものではないということについては、どうしてもそういうふうには考えられないで現状やっておるような次第でございます。
  256. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 豚が食うものであるかないかということにつきましては、局長が申し上げたとおりであります。私は、ただ脱脂粉乳というものが戦後の日本の少年少女の体位を向上させます上においては、かなり役に立ったということははっきり申し上げることができると思うのでありまして、ただいたずらに豚が食うからということで軽べつすべきものじゃなかろう。むしろその効果は相当あったというふうに理解いたしておるつもりでございます。ただ、私ども、先ほど申し上げましたように、何も脱脂粉乳を輸入するためになま乳を採用しない、こういう考え方ではございません。今日までの実情から申しまして、児童の体位を向上し、食生活の内容をよくいたしますためには、脱脂粉乳を用いて、そうして相当な効果をおさめておるという事実をひとつ御了承を願いたいと思うのでございまして、できれば、私は、政治として、日本の学童全体にただで国が牛乳の一合や二合は飲ますという時代がくればさぞいいだろうというくらいには思うのであります。しかし、これはなかなか簡単にやれることではございません。いま牛乳の生産量はだいじょうぶだと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、現実に、一体今日それじゃ酪農界からどれだけの牛乳を確実にいただくことができるのか。さらに来年はまたどの程度増すことができるのかということについては、確たる計画というものをいただきたいと思うのでございまして、ことしはこれだけ、来年は減るということでは実は困るのでありまして、われわれはなま乳をして脱脂粉乳にかえることができるということをむしろ望んでおると申し上げてもよろしゅうございます。いま一つは、先ほど来申し上げましたが、予算にもおのずから限界があることでございます。何でもかんでもというわけにはまいりません。やはり財政の許す範囲においてこれが拡大充実をはかっていかなければならぬというのが私どもの置かれておる立場でございます。皆さんの御協力のもとに予算をうんと獲得いたしまして、できるだけ多量のなま乳をわれわれが採用することができて、酪農界のために大いにお役に立てば非常なしあわせと存じておりますが、そういう心持ちで私どもやってまいりたいと思いますので、どうかひとつ御協力をいただきたいと思うのでございます。
  257. 矢山有作

    矢山有作君 安定した学校給食に対する国産の生乳の確保の道があれば、一つはそれを進めていただきたい、こういうことなんですが、供給の面においては心配しない、ただ、問題は、それを安定的に供給していくかいかぬか、どういうふうにしてやっていくかという機構、組織が十分整っていないということなんです。そのことはこれは政府の問題なんです。農林省なり文部省なり、そこらでそれを解決していく方途を見出さなければならない問題です、これは。  それから、もう一つ、先ほど効果があったとおっしゃる。なるほど私は全面的に効果があったかなかったか、あるいはあったかというようなことは、実際にデータをどういうふうにとって調べてみていいかわからないから、その点についてはこれは水かけ論になるから申しません。しかしながら、考えてみると、戦後のあの食糧の非常に窮迫しておった時代に、ろくなものが食べられなかった時代に脱脂粉乳が給食として採用されたというあの時点においては、それはなるほど効果があったと思うのです。それが今日のように食生活が改善され、高度化されてきた中で脱脂粉乳の占める位置というものはどういうものかというのは、おのずから戦後の状態とは変わってきておるのじゃないか、このことを私は考えております。  それから、先ほど局長からお話がありましたが、国内の脱脂粉乳とアメリカから持ってきておる脱脂粉乳と一緒にお話をなさっては私は困ると思う。国内の脱脂粉乳というのは、これは人間さまが飲むものだということで、厳重な規格のもとに製造されておる脱脂粉乳なんです。ところが、アメリカから持ってくる脱脂粉乳は、そういう人間さまが飲むという規格のもとにつくられておるものではないということを、私どもはいろいろな調査の上からそう判断をしておるわけです。たとえば一例を申し上げますと、これは私は医者ではありませんからわかりませんが、そういうことも伝えられております。一グラム中に含まれておる大腸菌の数、これが日本の脱脂粉乳の場合には五万以上は許されない。アメリカの場合には三十万は許容されておるのだと、こういわれておる。そうして、さらにもう一つ問題になるのは、輸入した脱脂粉乳の中にいろいろな不純物がまじっておる、スパナのこげが入っておったり石ころが入っておる、あるいは、また、中には、すでに積み出すときからして人間の食用にはむかないと考えられるようなものもあったかもしれない。そういうような不良品がかなりあるということは、これは否定できぬ事実だろうと思うのです、いままで実績として出ておるのですから。したがって、そういう不良品が出た場合にどういう処置をしておられるか、人間さまが飲むものとして輸入したのなら、人間さまが飲むのに不適格のような輸出をやったことが向こうの責任にあるなら、そのことに対して輸入をした側として、当然それぞれの処置をとっておられるのかどうか、その点は実情どうなっておりますか。
  258. 前田充明

    政府委員(前田充明君) ただいまアメリカのものは豚のものであるから検査がまことにゆるやかであって、日本のものは人間が飲むためのものだから非常に検査がやかましいんだ、こういうお話がございましたが、私ども調査によりますと、乳固形分につきましても水分につきましても、細菌数は特におっしゃいましたから申し上げますが、日本が五万以下、これはおっしゃるとおりでございます。アメリカも五万以下でございます。それから、大腸菌分の陰性であるということもそうでございます。それから、含有微細焦げ分子、これは日本のほうではそれが入っておりません。——失礼しました。先ほどの大腸菌分というのの陰性というのは日本でありまして、アメリカのほうでは細菌数だけできめております。それから、溶解指数は日本のほうにはございません。アメリカのほうでは規定がございます。それから滴定酸度というのがございます。酸度がやはりきめてございまして、一部ではアメリカの基準の細菌数が三十万以下ということをいわれておりますが、これは五万でございます。そういうことで、私どもとしては、エキストラ・グレイドという種類のものを輸入いたしておりますので、これが人間に食べられないというようなものではないと、はっきり私どもは考えております。  それから、不良品が出た場合にはどうするか。これは日本の場合にも不良品の出ることもございますし、アメリカの場合ももちろん出ることはございます。現にいままでも出た実績がございます。こういう場合には、それと同じ会社でつくった同じときのものについては直ちに処置をいたしまして、そうしてそれを保健所で調べてもらって、よろしいということである場合には、飲ませるし、そういうのはいけないということであるならば飲ませないということにいたしておりますが、そういう何か異物が入っておったということで飲ませなくなったということは、今日までのところではございません。昨年のちょうど九月にそういうことがございましたが、そのときには直ちにそういう処置をとりまして、同じ会社のものが差しつかえがないということで、検査をいたしまして飲まさせてきたわけでございます。  なお、不良品の中には、カビがはえるとか何とかいうような問題もあるわけでございます。これにつきましては、もちろんそういうものが出れば、これは不適格品といたしまして、現在農林省の指示に従いまして、これを現在ではもう全部三十八年度においてはえさ用ということにして売っておるのが現状でございます。
  259. 矢山有作

    矢山有作君 私の言ったのはそうじゃないんですよ。日本の国内での処置は知っているんです。もともと入ってくるときに、そういう不良品が入ってきたときに、どこの国だって、こちらが考えておらぬような不良品が入ってきた場合には、輸出した先に対して何か処置をとらしているはずですよ。だから、脱脂粉乳の場合にはそれをやっておるのかやっておらぬのかということなんです。簡単に、時間がないから。
  260. 前田充明

    政府委員(前田充明君) それにつきましては、向こうに直ちに調査をいたさせた次第でございます。
  261. 矢山有作

    矢山有作君 調査さしてどういうふうにやっておりますか。
  262. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 昨年の九月に出ましたのは、実を言うと農林省が輸入したものでございまして、これが一般国内用に使用するということは、どうしても余っている現状では困るから、ぜひ学校給食で使ってほしい、こういう御希望がございましたので、約三千六百トンでございますが、農林省のものを畜産振興事業団が入れたものでございます。それを私のほうは一時借用ということにいたしまして、そうして飲ませたものでございます。したがいまして、私ども一の輸入業務を扱っております日本学校給食会から畜産振興事業団にそのことを申し、畜産振興事業団から向このCCCにその調査方を申し、さらに私どものほうといたしましては、直接米国大使館の農務官に対してその旨を申した次第でございます。
  263. 矢山有作

    矢山有作君 いまの質問はもっとこまかく入りたいのですが、ちょっとあとに譲ります。  私は、いまいろいろと局長のほうからお話がありましたが、いずれにしても、脱脂粉乳というのは、その名の示すとおり、バターを抜き取ったかすなんだ、これはもうはっきりしておる。なま乳に比べて栄養価値を云々してみても、なま乳のほうがすぐれておるということは私ははっきりしておると思う。したがって、そのなま乳を給食をする方向につとめるということが学校給食法の目的にも当然沿うものじゃないか、こういうことを申し上げたわけです。  それから、時間がなくて大臣がおられなくなるので困りますから、次に移りますが、輸入脱脂粉乳の給食についてはいろいろとお調べになっておると思う。ところが、私どものほうでもいろいろ聞いてみると、子供が案外好まぬのですね、これ。実際問題として、統計を調べてみると、山奥のいなかにいる子供は、まあこれでもいいといって飲むのですね。だんだんに都会に出てくるに従って、こんなものが飲めるかということになってくるわけです。都会の子供は、こんなまずいものは飲めないということになるのですね。ということは、日本の生活の民度の低いところは、脱脂粉乳でもおいしいといって飲む。ところが、民度が高くなるに従って、生活の程度が高くなるに従って、脱脂粉乳のようなばかな、こんなまずいものは飲めない、こうなってくるわけですね。だから私は、ただ、いまあなた方が統計を調べられて、かなりの学校で普及して飲んでおるから子供が喜んで飲んでおるのだというような平面的な解釈をしてはいけない。学校の先生がじっと見ております、そうすると、飲みたくなくて捨てたくても、鼻をつまんででも飲む、そういうのがいまの現状なんです。そういう脱脂粉乳を飲ましておいて、同じく給食法にいっている望ましい食事についての慣習を養うことにはならぬと私は思う。また、学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うことにはならぬと思う。飲みたくないが、何とかして先生にしかられるから飲まなきゃならぬというような根性が植えつけられてくる。先生がおらなければ飲まないで捨てようかという形になってくる。これは給食法に定められておる目的とは相反した方向に脱脂粉乳の給食が進んでおるということ、このことを大臣はどう認識しておられるのか、これは今後の脱脂粉乳による給食の問題を真剣に取り上げた場合に、子供に対する教育上の影響ということは非常に重大なものがあるわけです。その点で御所見を伺いたい。これはもう局長よりも大臣に。
  264. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) まず申し上げたいと思うのでありますが、私は脱脂粉乳に固執しておるつもりじゃないのでございます。どこまでも脱脂粉乳でなければならぬというふうな考え方で申しておらぬということは、もう御了解いただいておると思うのであります。なお、なま乳を採用することについて決してやぶさかじゃないのであります。また、なま乳と脱脂粉乳を比べましたときに、そのもの自体を比べてみた場合に、それはなま乳がいいにきまっておる。それについて私はかれこれ、それは反対だとか何とかというわけじゃないのであります。ですから、事情が許すようになれば、それに応じて、われわれとしましてはなま乳を採用しようという心組みで今日おるわけでございますから、この点はひとつ御了解を願いたいと思うのでありまして、同時に、脱脂粉乳をどう考えるかということでありますが、これはまずいまずいといえば何もかもまずくなってしまうと思うのでありまして、なま乳に比べれば脱脂粉乳はまずいかもしれません。まずいかもしれませんが、また、これをくふうすることによって、またうまく飲ませることもできると思うのです。ただ、これがまずいまずいとみんなにいわれておったのじゃ、うまいものでもまずくなるような気がせぬでもない。むしろお互いに改善するということが大事なことでありましょうけれども、また、現実の問題として、できるだけくふうを加えて、そうしてみんなが脱脂粉乳を飲んで、少しでもからだに力がつくようにするということが大事なことじゃなかろうかと思うのであります。根本的に、あくまで脱脂粉乳に固執して生乳を受け入れないということじゃないのでありますから、そういうふうに、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  265. 矢山有作

    矢山有作君 こまかい議論になりますが、くふうをしてうまく飲ませる、それは確かに、そういう方法もあります。ところがくふうをして、うまく飲ませれば飲ませるほど、案外くふうをするのに経費もかかる。そしてその経費がかさんじゃって、生乳を飲ませるのと、あまり差がないようなことになってくる。そうするというと、その差だけ国が負担していくということになれば、たいして大きな財政負担にはならぬという問題がひとつ起きてまいりますので、このことは私は御指摘を申し上げておきたい。  それから、その次に聞きたいのは、先ほど来申し上げておりますように、この輸入脱脂粉乳というのは、米国の中で消化し切れないで、この不況の犠牲を農民に与えないために、アメリカという国が価格を補償しているわけですね。そうしてその自国の酪農経営や乳製品市況を安定させるための手厚い保護を加えているわけです。しかも、そのために多額の補助が積み重ねられてきて、そして日本に安く持ってこられているわけですね。ところが一方日本では、畜産物価格安定法という法律があっても、全くこれが効果を果たしていないのです、実は。そして酪農民は、生産費を償わないような安い値段で牛乳を大乳業メーカーに売らされておる。メーカーのほうは、勝手なときには、余った、余ったといって、乳価の値下げをやらせる。勝手なときには、乳が足らなくなってくるということは口には出さぬが、集乳合戦をやって、ある程度値段を高くして買っていく、こういうような実情があるわけです。そういうような実情を踏まえて、その輸入脱粉が八万五千トンなり六万五千トンも大量に入ってくるということは、日本の国内の酪農業に対しては、内からのそういう苦しさと、また外から、そういう安いものが入ってくるということの圧迫と、ますます酪農民は窮地におとしいれられている。ところが、ここで問題になるのは、そういう生産の実態である。ところが、学校の子供の中には、酪農民の子供もたくさんいると思うのです。その子供たちが乳を飲むときに、先生、お父ちゃんに聞けば、日本では乳が余ったといって乳の値下げをやられて、お父ちゃん酪農しても、えらい、えらいと、酪農じゃ何ぼやっても採算とれんといっているのに、どうしてそれほど余っているなら日本の国の乳を飲ましてくれないで、うまくもない脱脂粉乳を飲ますのでしょうかといって子供が聞いた場合に、あなた方はどうお答えになるのか。そういう場合に、私は同じくこの目的に掲げている、食糧の生産、配分及び消費についての正しい理解を子供に与えるといったような回答ができますか。私はできんと思う。もし大臣が、子供さんから先生の立場になって、そういう質問を受けたら、どういう御説明を子供になさいますか。
  266. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 現状においては、そういう場合があるいは起こるかと思いますが、ただ矢山さんにひとつ、どうも話がうまく合わんような気がするのです。根本的に申せば、私は生乳を採用することに反対でも何でもないのでありますから、その点をひとつ、御理解願ってものを考えていただかないと、どうも話が合わないような気がします。私どもとしましては、前にも、かりて私が文部大臣をやっておりました当時にも、生乳が余ったから何とかしてくれということで、文部省も御協力したこともございます。しかしそれはそのとき限り、続いてはまいらないのであります。これは私たちが、やはり学校給食の中に取り入れますためには、間違いのない計画のもとに、間違いのない配給をしてもらいたいと思っております。ことしはやるが、来年はやらないというふうなことでは、学校給食で取り上げるということにちゅうちょせざるを得ない。  そういうことでございますから、私はやはり専門の、矢山さんもそうでございましょうが、専門の方々によりまして、政府でいえば、農林省でちゃんとした計画をお立てになって、これをどうだというふうなお話になれば、十分これに御協力をする心組みは持っておるわけであります。できるだけ努力をして御協力したいと思っております。そういうふうにひとつぜひ御了解をいただきたいと思うのであります。
  267. 矢山有作

    矢山有作君 最後に一つだけ、これで大臣に対する質問はやめます。大臣のおっしゃるのも、私はもっともだとうなずける節があります。しかしながら、大臣も現在の池田内閣の閣僚の一人なんです。そしてその池田内閣は、農業基本法という法律を作った、そして農工間の所得の格差を解消するということを大目標に掲げておるのです。そうするならば、学校給食の問題について、農林省のほうから、こうだからといって御相談があれば、文部省もそれを聞いて、できるだけなま乳を給食に回したほうがいいのだから、それはやりますというのは、それはあなたが、一文部大臣立場にこだわっておるから、そういうことをおっしゃっておる。内閣として、一つの国の施策として取り上げたものを、その施策の目的に沿う方向にもっていくためには、これはやはり文部大臣といえども、その責任はある。そうするならば、あなたが再々繰り返されるように学校給食は生乳による給食がいいのだということになれば、そのいい方向に向けて、あなたからも積極的に閣僚の一員として、現在の政府の責任者の一員として、なま乳が学校給食に向けられるような積極的な施政というものを打ち出していかなければならぬわけです。その努力をしなければ、学校給食に国内産の牛乳をどんどん採用していくということは、なかなかむずかしいということになってまいります。負担の問題もありましょう。しかしながら負担の問題については、繰り返すようですが、工夫をして、うまく飲ませようとすれば経費がかかるのですから、なま乳を飲むのと、あまり変わらないような値段になってまいります。そうすると、その差額はどうするかという問題は、国のいまの高度成長の財政から見たら微々たるもの、しかも供給の面においては、私が申し上げたように、絶対に心配は要りません。したがって、この学校給食法に定められている目的を正しく達成しようというお考えがあるならば、文部大臣も、今後積極的に閣内において、学校給食に国内産の牛乳を回していく努力をやっていただきたい。そのことが日本の酪農の安定的な発展にもなるし、日本の農業の発展にも一つながるし、そのことが、また教育に対しても非常にいい影響を及ぼす、こういうことになりますので、そのことを申し上げ、あなたの今後、格段の御努力を願いたいと思います。
  268. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 国務大臣という立場からは、御指摘のとおりだと思います。ただ、私どもの心持ちは、農林省もよく了解いたしておると思うのでありまして、これが具体的な対策等につきましては何と申しましても、専門のところで考えてもらわなければならんわけです。まず、それをひとつやっていただいて、そうして私としましては、いま御指摘になりましたような学校給食法の趣旨もあることでありますので、学校給食の一そうよくなりますように、生乳の問題につきましても、積極的に考えたいと思います。
  269. 矢山有作

    矢山有作君 そこで大臣、一つだけ。そこで実は、私ども社会党のほうでは、現在の生乳の需給事情から考えて、学校給食を国内産の生乳でやろうということで積極的に法制化を考えております。文部省のほうでも、この学校給食の国内産生乳による供給の拡大について、具体的な計画を立て、さらには、それが制度化される方向に農林省と協議をし、あるいは閣内で、そういう努力をされるお気持があるかどうか。
  270. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 直ちに法制化するということが可能であるかどうかということについては、十分研究する必要があろうかと思いますが、問題として、研究させていただきたいと思います。
  271. 市川房枝

    市川房枝君 だいぶ時間がおそくなりましたけれども、もう十分か十五分、社会局長にお願いしたいと思います。  婦人学級は、だんだん数がふえていっているんですが文部省の委託のものと、それから民間のものと両方ありますね。その民間のものに対しては、文部省はどういうふうな態度をとっていらっしゃいますか、どういうふうな関係を。
  272. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 文部省委嘱のものと委嘱によらずして公共団体が——具体的に言えば、教育委員会経営いたしますものと、なお、婦人団体その他の民間団体でやるものとあるわけでございます。  この婦人学級の全数は、私たちの業務上の調査によれば、三十七年度二万六千という数字がございます。しかし、なおもう少しこまかいものまで拾いますと、その他の統計ではかなりの数が、これ以上にのぼってきておるわけです。いわゆる婦人学級という形式で民間団体がやりますものにつきまして、財政的な補助ということは、これは憲法上の関係もございまして、非常に組織的な学級でありますと、これは制度上もいたしかねる、むしろ社会教育のそれぞれの担当者が、実質的な求めに応じて技術的な指導をするということであろうかと思います。  で、私どもといたしましては、文部省委嘱でありましょうとも、それから委嘱以外の市町村経営いたしますものでありましょうとも、民間のものでありましょうとも、その運営というものが、ますます向上するように指導をし、援助を与えていくべきものだと、かように考えております。
  273. 市川房枝

    市川房枝君 文部省の委託の婦人学級というのは、非常に手続がめんどうといいますか、ということで、自治体がそれを歓迎しない。返上するという傾向もあると聞いているのですが、それはいかがですか。
  274. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 市町村経営いたします婦人学級につきまして、それに対して補助金ということでやるべきか、それから現在のように、一定数を限りまして委嘱という形で、その内容を深めていくかということは、基本的には、いろいろ議論すべきことであろうかと思います。しかし、現在の婦人団体あるいは婦人教育の関係者は、なおしばらく、この委嘱の方式というものが、そういうところに拠点をつくっておいて、そうして経費の要らないものが、それをならって、数もふやしていき、内容も深めていく方式がいいということが現在の声でございます。したがいまして、委嘱を希望いたしますものが減るとか、それから返上するとかいう傾向にはございません。しかし、この助成策について、将来を考えれば検討すべきものがあろうかと思います。しかし、本年度予算編成の際にも、その点は十分に議論したのでございますけれども、各地における関係者の意向というものは、いまの婦人学級ないし婦人団体の教育活動の現状から見て、こういう方式のほうが望ましいということが非常に多うございましたので、現在は、こういう建前をとっておるわけでございます。  ただ、事務手続につきましてはできるだけ、会計上の制約はもちろんございまするけれども、それに違背しない限りにおいては、できるだけ簡素にし、担当者がよけいな事務をしょわないようにということは注意してまいりたいと思います。
  275. 市川房枝

    市川房枝君 婦人学級の考え方といいますか、まあ私どもたいへんけっこうだとは思いますけれども、その内容なり運営には問題が少なからずあると思うのですけれども、そういう、いま申しましたように、非常に事務的にめんどうだから返上するということを事実、私ども聞いたものですから、一体、どのくらいめんどうなのかというか、一度、それをやってみたい、こう考えましたところが、それは法的にいうと、東京で申しましたならば、私のところは渋谷でございますが、渋谷区の教育委員会がこれを受けなければできない。それで渋谷区の教育委員会と、まあ私どもが共同してといいますか、実質的にはめんどうな手続は、われわれが教えてもらってやるからと言ったんですが、渋谷区はめんどうだからというのですか、うるさいというのですか、とにかくそれは受けない。こういうことになってしまいまして、そうすると、私どもはやろうという意思を持っているのですけれども、それができない、こういう実情なんですが、局長、そういうのはどういうふうにお考えになりますか。
  276. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 文部省委嘱と申しますのは、やはり市区町村が経営いたしますものにつきまして委嘱する関係になりますから、やはり市区町村の教育委員会の発意というものが、やはり前提になりますので、市区町村で経営いたさないも一のにつきましては、委嘱するということはできないわけでございます。
  277. 市川房枝

    市川房枝君 市区町村といいますか、たとえばいまの渋谷なんかの、区のそういう婦人学級といいますか、いわゆる社会教育なんかの実情では、いわゆる講師の人選の場合についても、非常ないろいろ干渉があると、これは担当している人から聞いたと言っていいですか、どうですか、すぐ、あれは社会党系統じゃないかとか何とかいって議会で問題になるのだと、それで実にやりにくいのだ、こういうことを聞いたんですが、で、これは何も渋谷ばかりでない、全国的にそういう傾向がだんだん強くなってくるといいますか、そこにおいでになる初中局長の福田さんが社会教育局長でおいでになるころ、私その問題でだいぶいろいろ伺ったことがあるのですが、そういう具体的に、私がいま全国的な調査をしてないものですから、はっきりと申し上げられないのですけれども、そういうことがあり得るということは、十分予想できるのですけれども、たまたま私がぶつかった一つの例なんですけれども、そういう事態がほかでもめんどうだからということ、そのめんどうだという意味が、事務的なめんどうというのでなくて、いま私が言ったように、いろいろやりが出てきて、うるさい、めんどうくさいから、なるべくそういうことはよけて通る、こういうことも含まれているんではないかと思うのですけれども、そういうことであれば、これはずいぶん問題があるわけですし、それはいずれまた私のほうも調べてみてから、別の機会に伺おうと思っておりますけれども、それが一つ。  それから次に、社会教育局で婦人団体の幹部の人たちの海外旅行の予算が、引き続いて計上されておりますが、これは全額でなくて三分の二、いわゆる文部省で出すのですね、三分の一を個人が負担するのですね。
  278. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 四分の三でございます。
  279. 市川房枝

    市川房枝君 ああ、そうですか。四分の三文部省負担して、四分の一を個人が負担するのですね。これはずいぶん希望者がありますか、どうですか。
  280. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) まだ明年度予算、成立しませんので、正式にはどのくらいの希望者が集まっているかということを、締め切る時期ではないし、また申し上げる時期でもないのでございますが……。
  281. 市川房枝

    市川房枝君 ことし、来年ということでなく、いままでの大体の傾向でいいです。
  282. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 各府県から相当ございまするから、希望したから全部というふうには、現在までの実績ではなっておりません。
  283. 市川房枝

    市川房枝君 その予算の人員よりも多いということになりますと、そこで人選をするということになりますが、その人選のしかた、人選は社会教育局でもちろんなさるのでしょうけれども、その人選の標準といいますか、しかたというものは、一体どういうことなのでしょうか。
  284. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 最近は十五名でございまするが、府県の段階の婦人団体の指導者というものが過半数を占め、その他中央の団体の婦人教育に関係のあるような方、それから先ほど初中局関係でお話が出ましたように、婦人の教育委員で社会教育の活動に御関心があり、見識もお持ちの方、それから都道府県の教育委員会で婦人教育を担当している婦人、そういうものの全部を表にしてみまして、できるだけ地域的に片寄らないようにという配慮をして選考しているわけでございます。
  285. 市川房枝

    市川房枝君 おいでになった方々の報告書をいただいて、ここになかなかりっぱなものができているのでございますが、これは通訳というのはお連れにならないのですね、それはどういうことになっていますか。だれか英語のできる人が、中に一人ずつ入ってるみたいでもあるのだけれども、その点はどういうことになっておりますか。
  286. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 予算上そのような通訳を帯同していくという処置はとっておりません。これはなかなか予算の編成として困難でありまして、現在まで実現しておりません。ただ、やはりことばができればいいというものでもございませんで、婦人教育に長年の体験をお持ちの方で、そういう語学がきわめて不得意だという方もあるわけでございますから、実際問題としては、滞在費等をやりくりいたしまして、現地で通訳をたのむという場合もございまするし、またアメリカのように積極的に通訳を向こう側でも御協力願うというケースもあるわけでございます。
  287. 市川房枝

    市川房枝君 予算の問題かもしれませんけれども、いらっしゃった方々の模様なんかを向こうから、外国から通信があったり、また聞いたりしているのですが、やはり通訳というのは連れていかなければいけないのじゃないですか。それでいままでは、団体の中に英語のできる人が班によって一人ずつ入っているみたいなんですけれども、そうしてその人がやってくれるのでしょうけれども、それは通訳といいますが、たいへんなんです。その人は自分の視察のほうができないのじゃないか、そういう考えがあるのです。それから外国へ行く場合に、ことばのできる人とできない人があると、できない人がコンプレックスを感ずるようなことがある。そうしてできる人が何だか上になったようなかっこうになって、まずいといいますか、そういうことがある。これは文部省のあれじゃないのでして、ほかの場合のことを私は申し上げているのです。私は、外国へ行くのには、自費で行っている人もあるのですけれども、いままで行ったことのある人はあまり、これは人選の問題になりますけれども、選ばないで、むしろ初めての方を、そういうことが一つの条件になっていいのじゃないか。ことばのできる人は行くチャンスがあるのですが、ことばのできない人はチャンスがないのですね。そういう人にやはり外国を一ぺん見てきていただくほうが、婦人の指導者としては私は望ましいと思うのです。だからむしろ、ことばができないということで、そうして別にちゃんと通訳をつける。そしてその人は、ほんとうの通訳としてみんなのサービスをやってもらうということで行くようにしたら、非常に行く人たちの間の気持がいいし、同じ行くのにしても、十分視察もできるのじゃないか、こう考えるのですが、それでアメリカのほうでも心配してくれたとおっしゃったのです。これは向こうで心配してくれる、行く先の大使館あたりで、もちろん手伝ってもらうこともいいのですが、人数によっては五、六人もいたら一人の通訳じゃどうもちょっと困るので、そういう援助も得なくちゃならぬけれども、やっぱり行くまでに通訳というのをちゃんと中に予算として入れなければ、人数は私は減してもいいと思う。減してもいいからということで、するほうがほんとうなんであって、いままでの行き方はどうもきびしいといいますか、感心しないといいますか、と思うのですが、これは来年度予算の実行にあたって、それこそまだ人もおきまりになっていないというお話ですが、そういうことも考慮して、できるだけこの計画を有効に使われるようにやっていただいたらと思います。一応私の質問を終わります。
  288. 矢山有作

    矢山有作君 もう時間が時間ですから、こまかい点から質問したいのですが、はしょって簡単に済ましたいと思います。  先ほど私が大臣にお問いした中で、一つお答えをいただけなかったので、参考のために初等中等局長のほうからお答えいただきたいのですが、実はこの間私帰りましてずっといろいろいなかを歩いてみた。そうしたところが、やはりその学校の先生から出てくる質問というのが、ぼくは胸にこたえたから大臣にお尋ねした。というのは、いま言いましたように、うちのおやじは牛を飼っているのだと、ところが乳をしぼればしぼるほど、おやじは損がいく、損がいくと言ってもう弱ってしまっていると、一体、乳がどうしてそんなに値下がりするのだといって聞いたら、お父さんは乳が余ったからといって会社が値下げをするのだと、こう言うのだと、それくらい乳がたくさんあるなら、どうしてなま乳を飲ましてくれぬのでしょうといって子供が先生に聞いたというのですね。その先生にちょうど私は会いまして、矢山さん、実はこれは困ってしまうと、答弁に。一体どういう説明をしたらいいのでしょうかと、こうおっしゃるわけなんですよ。だから、私は私たちの考えておる立場から、率直に説明してやったらいいじゃないかと言いましたけれども学校の先生がそれを教室でぼくの育ったとおりを説明をすると、これはまた文部省のほうからけしからぬ説明だと、こう言われるかもしれない。一体、意地の悪いような質問ということにおとりにならずに、どういうふうな説明をしてやったらいいのかということなんです。これは学校の先生の非常に大きな悩みのようです、どうお考えになりますか。
  289. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 先ほど大臣もちょっとお触れになったのでございますが、まあ酪農家の子供のところでは、なま乳を飲ませるようなことが望ましいわけでございますけれども、しかし、具体的には御指摘のようなことがあろうかと思いますが、学校給食そのものが、私どもといたしましては、ある程度統一的にこれをやるということがいままでのやり方でございます。したがいまして、自分のところで生産するもの以外のものでも、やはり学校で共同してやるという場合には、やむを得ない場合があり得ると思います。したがいまして、そういう点から申しまして、まあやむを得ないのでございますけれども学校給食そのものが、教育の一環としてこれが実施されるというたてまえから申しまして、個々の具体的な場合には当てはまらない場合もございますけれども、できる限り、やはりみんなで仲よく共同して食事をとる、あるいは脱脂粉乳を飲む、こういうこともひとつのしつけであろうと思います。そういう点から考えまして、先生も事実は事実として考えて、適切な指導をしていただきたいと考えております。
  290. 矢山有作

    矢山有作君 じゃ、やっぱり子供にほんとうのことを教えてやったほうがいいですね。国内で、乳は学校給食に回そうと思えば十分回すだけの乳はあるんだ。ところがそれがやれないというのは、日本の政府が金をなかなか出さないということが一つと、もう一つは、なるべく安上がりでいこうという考え方があるので、アメリカには脱脂粉乳がたくさん余まって売り口に困っておる。で、アメリカでそれをそのままにしておくと、アメリカの酪農家がへたばってしまうので、日本がそれを買わされて、やむを得ずあなた方に飲ましておるのだ、こういうふうに率直に説明してやったほうが、私はかえっていいじゃないかと思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
  291. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 私の担当のことでございますので、私からお答えいたしたいと思うのですが、私ども、まあ全般的にまず申し上げたいのでございますが、来年度四十万石農林省が飲ませるということだから、四十万石飲んでおるという計画でございまして、別に私のほうは五十万石飲めと言われていないので、四十万石飲んでおるのが現状でございまして、そこのところはひとつ御了解をいただきたいと、大臣もおっしゃいましたが、私も、もちろんかねがね古くから学校給食は国産品でまかなうことが最もいい、そういう基本的な考え方だけは絶対に私、自分としては持っております。したがって、思想としては、先生のおっしゃるとおり、私どもも考えておりますが、現状におきましては、脱脂粉乳を入れざるを得ない。しかも、ミルクが学校給食の基幹物資であるということは、これはもう世界的なことでございまして、国によっては脱脂粉乳の国もあれば、国によってはなま牛乳、イギリスのごときは大部分なま牛乳でございます。しかし、イギリスといえども、山の中へ行きますと、牛が足らないもんですから、脱脂粉乳を飲んでいるのが現状でございまして、いまのイギリスのような考え方で私どもやっておるわけでございます。  それからもう一つ、いま何と教えたらいいかというお話が一つございましたので、私、教育者ではございませんが、私ちょっと伺ったところで感じましたのですが、牛の一頭からおおむね七升ぐらい乳が出るということでございますが、かりにその村で七升あがった場合に、その村で百人のこどもがおったら一合ずつ飲んでも足りない。そうした場合に、片方のこどもはなま牛乳を飲み、片方の子供は脱脂粉乳を飲むということではやはりいけないので、教育上からいっても、環境を同一にするというのが、一つの理想なんでございますから、そういう立場から申しましてやむを得ない現実上、したがって、より早くなま牛乳をみんなが飲める、そこの村でございますれば、一日も早くなま牛乳が出るようにすることが、みんなが飲める考え方じゃないかと私は思っておりまして、これは私の申しましたことが当たっているかどうか知りませんけれども、やっぱり学校の先生は、その辺は決して私ども文部省と申しますか、日本全体として脱脂粉乳でなければいかぬというたてまえでないことを十分御理解願って、こどもへの教育の場合には、事実そうなんでございますから、そういう話し方をして、アメリカで余っているものがあって困っているのだ、アメリカを救うためにやるのだという考え方で教えられることは、私どもといたしましては、はなはだ迷惑に存じておるのでございます。
  292. 矢山有作

    矢山有作君 まあしかし、最後に局長のおっしゃったのがほんとうなんですがね。まあほんとうのことを子供にあまり教えたら、いまの文部省立場としては悪いのでしょうね。  それから、その次は、私が受ける印象では、おっしゃるとおり、なま乳の給食ということに、最近、文部省も本気に取り組んでおられるということは、了解いたします。しかしながら、その反面で、何というのか、ミルク給食の普及率を高めたい、早く高めたい、こういう気持ちが非常に強いのじゃないか。私きょうは持ってきていないのですが、文部省から脱脂粉乳給食の普及を促進する宣伝文書のようなものも出ているようですし、あまり脱粉の給食の普及率を高めることに急なために、案外もっと大切な国内の施策に合わしてなま乳を飲ませようということのほうが、おるすになっているようなことがあってはならぬと、こういう心配がありますので、その点をやはり今後の施策の中でよく考えていただいて、私どもも農林省には常にやかましく言っておるわけです。需給状態は決して乳は逼迫していない。先ほど言いましたように、年に百万石以上ふえているのだから、それは供給しようと思えば、三年もあれば全学童供給できるのじゃないか、こう言っておりますので、文部省のほうも、ひとつ普及率を高めるのだということだけに専心するよりも、ひとつ国の施策として積極的にわれわれも農林省にやかましく言いますから、文部省のほうからもなま乳でやれるように極力御努力を願いたいと思います。  それからそれをやっていただきます場合に、財政負担の問題がよく出てくるのですけれども、私は財政負担の問題は、それほどたいしたことはないと思うのです。それはやっておらない学校も全部今度やるという分を含めると、これはかなりになってくると思います。しかし、現在やっておる学校と、輸入脱粉から国内産の乳に切りかえていくという場合の増加額というのは、これはいろいろ新聞にも出ておりますし、それからわれわれが、たとえば私は岡山県の出身ですが、岡山の県庁あたりでずっと調べてみましても、たいして相違はないのですね。ここでひとつ資料を持っておるので、申し上げてみますと、たとえば群馬県の場合、なま乳で学校給食をやった場合、これは国庫補助三円七十銭のときの、ことしのとは違うのですが、昨年三十八年度の分です。三円七十銭の場合、父兄負担が五円九十銭なんです。それからなま乳を三割混合した場合、これは同じく群馬県の調査のようですが、この場合が、父兄負担が四円二十六銭なんですね。それから千葉県でなま乳三割混入した場合は、父兄負担が四円十八銭と、こうなっておるのですね。それから岡山県では脱脂粉乳だけで給食をやっておる。それを調べてみると、これはバターをまぜたり何かして加工をするのに、委託をしてやっておりますから、その関係でちょっと高くついたと思うのですが、父兄負担が四円四十七銭なんですよ。これは脱脂粉乳の場合ですね。そうするとこれで見ると、脱脂粉乳による給食となま乳による給食との父兄負担の差額というのは、きわめて少額なんですよね。したがって、こういう点も十分お含みおきをいただいて、高度成長下なんですから、ひとつ非常に大切な子供の保健衛生上の問題なんで、ぜひなま乳切りかえに最善の努力をひとつ今後払っていただきたいということを、私はお願いを申し上げておきたいと思うのです。われわれのほうもそういう方向に進めるように、今度学校給食関係の法律もぜひ国会に出したいと思っておりますので、そういう際、文部省としては私は積極的にひとつ取り組んでいただく姿勢がほしいと思うのです。そういう点でひとつどうでしょうね。
  293. 前田充明

    政府委員(前田充明君) いろいろ数字的におっしゃいまして、岡山のいわゆる全部脱脂粉乳で委託乳で四円四十七銭というのは、いささか私は高過ぎると思います。しかし、学校でやるより委託乳をすれば高くなるのももっともでございます。  それからなま乳をもっと全面的に入れていくということに対するお考えでございますが、先ほど来大臣もおっしゃっておりますように、農林省の数字から申しますと、どこまで入れるかということに対しては、まだまだという感じがございます。  それからもう一つ私どもが非常に心配いたしております点を申し上げますと、たとえば大阪のようなところでは、いわゆる牛乳が非常にたくさんほしいのでございます。ところが、大阪へはいわゆる補助金のついた牛乳が配給にならない。で、いまお話しのように、岡山県とか、それから群馬県とか、岩手県とか、こうわりあい山村の多い土地へ行きますと、そうするとそういうところには非常に多く配給になる。特に香川県のごときは多いのでございますが、そういうアンバランスなんでございます。したがって、各県ごとで申しますと、ほしいところへ来ないで、要らないところ、要らないところへくるということばは、悪いかもしれませんが、まあちょうど反対で言えばそういうことなんです。そういう辺をどうやって一体全国的に調整するか。この問題は道路をつくることも問題でございましょうし、あるいはなま乳をどこまで運べるかという問題も問題でございます。その辺の問題になりますと、文部省だけではとうてい解決はいたしませんので、したがいまして、これは関係各省十分話し合いをしなくちゃならない。それから殺菌の方法についても同様でございます。これは厚生省の問題でございます。それらこれら考えますと、非常に私どもとしてはそう簡単にやってしまうと、あとで困ってしまうということもあり得るから、その辺はぜひ慎重に十分連絡の上で、日本の酪農振興に協力する意味において学校給食はできるだけそういうなま牛乳をふやすことについては、今後とも検討し、努力いたしたいと、かように考えております。
  294. 矢山有作

    矢山有作君 よくわかりました。おっしゃるように、この問題の中心は確かに農林省にあるわけです。私どもは農林省の施策に対しては機会あるごとにきびしく追及しております。で、農林省でなかなか乳が足らないから学校給食に回わせないのだという言い方は、これは農林省自体が、ことばが過ぎるかもしれませんが、メーカーの力に左右されておるというふうに、私たちは常に追及しているのです。実際に考えていった場合には、私どもは今の需給状態で、学校給食に年に百万石回わしてみたところで、一年に増加分がそれ以上あるのですから、これは易々たるものです。ただそれ以上に解決しなければならない問題は、いま言った地域的にできるところとできないところがありますから、そういった輸送の問題は解決しなければなりません。しかし、これはやってできない問題ではないのです。それと同時に、山村の奥地に行きました場合には、牛の乳がやれないというときには、なま乳でやれないというときには、これは国内のいわゆる人間向きの脱脂粉乳でやる、こういうことももちろん考えられるわけです。だからそういう方向でも、われわれは今後農林省を督励してまいります。それからさらにもう一つは、学校給食等の集団飲用促進のために、これは現在の食品衛生関係法規に問題があるし、御存じのように、この問題についてはかって厚生省のほうから、集団飲用については食品衛生法規の適用を緩和するような措置の通達が出た。出たけれども、根本的に法の改正がなされませんために、これが末端で実際に行なわれにくい状態になっているのです。したがって私ども厚生省がいまきめておる食品衛生関係法規も、学校給食なり集団飲用に向くような形に、ぜひこれは改正をやらせなければならぬ。そういうようなすべての問題を総合しながら、学校給食というものを国産のなま乳でやっていく方向というものでわれわれも努力いたしますが、文部省もひとつこういう機会一そうの御検討をいただきたいと思います。これは私の希望ですから、もう答弁は要りませんから、どうぞよろしく。
  295. 鈴木一弘

    主査鈴木一弘君) ほかに御発言もなければ、文部省所管に関する質疑は終了したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。   午後六時二十分散会