○国務大臣(
賀屋興宣君)
昭和三十九
年度法務省所管予算の
内容につきまして、大要を御
説明申し上げます。
昭和三十九
年度の予定
経費要求額は四百九十四億一千二百九十万四千円であります。このほかに官庁営繕費として建設省
所管予算中に、法務本省第二新館新営工事費六千六百九十九万六千円が計上されております。前
年度当初
予算額四百二十二億二千六百二十四万円に比して、
法務省所管分は七十一億八千六百六十六万四千円の増額となっております。なお、前
年度の補正後
予算額四百三十五億七千三百八十三万六千円に比較して五十八億三千九百六万八千円の増額となっております。増額分の
内訳を大別して御
説明いたしますと、第一に、
人件費関係の四十二億一千二百八十二万五千円であります。これは、昨年十月から実施されました公務員
給与ベースの改訂に伴う増額分及び昇給等原資としての
職員俸給等の増額分がおもなものでありますが、そのほかに検事・副検事・検察
事務官・
登記関係職員・入団審査官・公安
調査官等六百十名の増員(別に大村入国者収容所の収容人員減に伴う
関係職員二十四名の減員があります。)に伴う所要
人件費が含まれております。
第二に、営繕施設費の十九億四千五百七十万六千円であります。これには、名古屋・福岡両刑務所の
国庫債務負担行為契約に基づいて名古屋市及び福岡市の建設した施設を取得する
経費が計上されたことによる増額分が含まれております。
第三に、その他
一般事務費としての十億二千八百十三万三千円であります。これは、
事務量の
増加に対応して増額されたもののほか、積算単価の是正及び
事務能率器具その他の備品の整備等、
事務の改善に伴う増額分等でありますが、そのおもな事項について申し上げますと、
一、法秩序の確立のためのものとしまして、暴力・公安検察・麻薬犯罪取り締まりの強化をはかるための検察体制の拡充強化
経費、刑法改正作業の迅速をはるための
経費、不法出入国者取り締まりのための違反調査
経費及び破壊活動調査機能の充実のための団体調査
経費の増額分として一億五千七百二十九万九千円があります。
二、非行青少年対策としまして、青少年検察・少年院の教化活動・少年鑑別・保護観察・少年非行予防対策の研究等の充実強化をはかるための
経費の増額分として一億四千五百二十二万六千円があります。
三、道路交通法違反、業務上過失致死傷事件等の交通事件に関する検察取り締まりの充実をはかるための
経費の増額分として四千二百四十六万四千円があります。
四、矯正
関係収容者の処遇改善のため収容者に支給する作業償与金、菜代、
生活用品・薬品の単価の増額等に伴う増額分として一億六千七百五十七万二千円があります。
五、刑務所における刑務作業を充実するため、紙細工等の低格作業を出所後の更生に役立つ有用作業に切りかえることに要する機械器具の整備及び原材料購入に要する
経費の増額分として一億五千九百五十一万一千円があります。
六、基本的人権擁護の伸長をはかるために行なわれております扶助の充実を期するのに要する
経費等の増額分として四千六百二十三万三千円があります。
さらに、
昭和三十九
年度新たに
予算に計上された事項
経費として、
第一に、本年十月東京において開催を予定されているオリンピック大会に伴う出入国者の審査を迅速、適正に行なう必要がありますので、これに要する
経費として五百六十七万一千円が計上されております。
第二に、商業
登記法に基づく商業及び法人
登記の
事務を改善する必要がありますので、これに要する
経費として一千二百二十一万四千円が計上されております。
次に、増員六百十名の
内容としましては、一、破壊活動調査機能を充実するため公安
調査官二百名、二、公判審理を迅速に処理するため検事五名、検察
事務官五名計十名、三、交通事件の
事務処理機能を充実強化するため副検事十名、検察
事務官七十一名、鑑別技官十名、計九十一名、四、非行青少年対策を強化するため七十二名、1、少年院教化活動の充実、教官五十名、2、保護観察所機能の充実、保護観察官二十二名、五、
登記台帳事件の
増加に対処して、その
事務処理を円滑、適正化するため、法務
事務官二百名、六、羽田入国
管理事務所における出入国者の
増加に対処して、その出入国審査業務を適正、迅速化するため、入国審査官十二名、七、その他の入国
管理事務所出張所新設に対処して入国審査官三名、入国警備官二名、計五名、八、出入国、在留資格等審査業務の
増加に対処して、その
事務処理を適正、迅速化するため、入国審査官六名、入国警備官六名、計十二名、九、国を当事者とする民事及び行政事件の訴訟
事務の
増加に処して、その
事務処理を適正、迅速化するため法務
事務官三名、十、法務本省の健康
管理要員として(医療
職員)薬剤士一名、看護婦四名、計五名となっております。(なお別に、前述いたしましたが、大村入国者収容所の収容人員の減少に伴ない、入国警備官十一名、
事務員四名、用人九名計二十四名の減員があります。)
次に、おもなる事項の
経費について、概略を御
説明申し上げます。
第一に、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録
事務を処理するために要する
経費として一億二千九百三十三万八千円、
第二に、法務局、地方法務局において
登記・台帳・供託・戸籍等の
事務を処理するために要する
経費として七億一千七百九十二万九千円、
第三に、検察庁において処理する
一般刑事事件その他各種犯罪事件についての直接検察活動に要する
経費として六億一千九百二十四万一千円、
第四に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の一日平均収容予定人員の合計七万九千七百人の衣食、医療及び就労等に要する
経費として、五十九億三千七百七十三万二千円、
第五に、犯罪者予防更生法、更生緊急保護法及び執行猶予者保護観察法に基づき、刑余者及び執行猶予者を補導監督し、これを更生せしめるための補導援護に要する
経費として七億五百九十一万五千円、
第六に、出入国
管理令に基づき、退去を強制される者の護送、収容、送還に必要な衣食、医療等に要する
経費として五千六百五十七万八千円、
第七に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する
経費として八億五千六百四十八万五千円、
第八に、検察庁、法務局等の庁舎及び刑務所、少年院等収容施設の新営、整備、移転に要する
経費として四十二億五千二百三十四万一千円が、それぞれ計上されております。
以上が、
法務省所管歳出予算予定
経費要求の大要であります。
最後に、当省主管歳入
予算について一言御
説明申し上げます。
昭和三十九
年度法務省主管歳入
予算額は百九十四億一千九百九十一万二千円でありまして、前
年度予算額百二十億二千四百七十六万三千円に比し、七十三億九千五百十四万九千円の増額となっております。
これは、過去の実績等を
基礎として算出したものでありまして、増額となったおもなものは、罰金及び科料と刑務作業収入であります。
以上、
法務省所管昭和三十九
年度予算について、その
概要を御
説明申し上げました。何とぞよろしく御
審議を賜わりますようお願い申し上げます。