○
木村禧八郎君
社会保障が不十分だからやむを得ず自己貯蓄をする、自己貯蓄が銀行に行って大資本のほうにこれが利用されている、それで高度成長をもたらしている、こういうような矛盾がある。諸外国で貯蓄率が低いのは
社会保障が非常に発達しているから無理して食を節してまでも貯蓄をする必要はない、こういう点があると思います。この点も十分お
考えの上で厚生行政をやっていただきたい。
それからそうやって苦心惨たんをして汗水たらして涙ぐましい貯蓄をして、その貯蓄が、
物価がどんどん上がって減価しておるのですよ。貯蓄の値打ちが下がってきておる、これも重大な問題だと思います。それからこの間の公聴会で公述があったのでございますが、久保まち子さんという方が、日本フェビアン研究所の方ですが、
社会保障についての公述があったわけです。所得保障等について、年金とかいろいろお
考えのようでありますが、その掛金等は逆進
課税的になっている、低所得の人が不利のような
状態になっている、こういう点も十分
考えなければならぬという公述があったのです。こういう点も今後留意していただきたいと思うのです。
次に、最低
課税限について
大蔵大臣に伺いますが、今度最低
課税限を引き上げました、引き上げましたけれ
ども、三十九年度に四・二%
物価が上がりますと、また夫婦子供三人では、いわゆる基準生計費に
所得税が食い込んでしまうのです。ですから、もう一度これは調整しなければならぬわけです。いままでの最低
課税限につきましては、前年度の
物価調整をやっておる、本年度の
物価値上がりは調整しない、これはまた来年度でやる、こういうことになっております。時間がありませんから計数的には申しませんけれ
ども、そういう矛盾があるわけです、
大蔵大臣。今度の最低
課税限の引き上げだけでは足りないわけです。この点をどういうふうにお
考えか。
それからもう
一つ、これは
大蔵大臣に対する最後の
質問であります、時間がなくなりましたから……。これまで
質問してまいりましたように、日本の
税制には非常な矛盾があるわけです。そこで
税制調査会も諮問に答申をしておるようでありますが、今後、シャウプ
税制改正以来の混乱した
税制を根本的にどういうふうに改正しようとしているか、シャウプ
税制は
一つの体系を持っており、あれ
一つを動かしたのでは、全体の体系がくずれる、こういうことだったのです。ところが、たとえば富裕税はやめてしまう、譲渡
所得税はやめてしまう、税体系がすっかりくずれちゃっているんですよね。それで、まあわれわれの
立場からいえば、大企業とか大資本に有利なような税体系にどんどんいっちゃっている。そして
減税と言ったって、これは
名目的な
減税です、
実質的な
減税ではないです。
実質的な
減税があっても、
政府が誇張するように、二千億とかなんとか言っているけれ
ども、そうじゃないですよ。もっとこれはそういうところを正確にする必要がある。どういうふうにシャウプ
税制改正以来、非常に混乱してしまっている税体系を、根本的に整えようとしておるのか、この点。
それから
自治大臣に最後に
質問いたしますが、これまでずっと
質問してまいりましたことでおわかりになりますように、国の税金、
国税では、
基礎控除を
昭和三十六年以後ずっと引き上げているわけです。ところが
地方税は、御
承知のように三十七年の
税制改正ですか、このオプション・ワンですね、第一
課税方式から第二
課税方式に統一したわけですね。つまり、
所得税を基準とする
住民税所得割りの
課税の仕方から、所得額を基準とする
課税方式に変えました。そこで、
基礎控除というものがあるわけです。ところが三十六年に九万円の
基礎控除が、そのままいまだにずっと九万円です、本年度も改正されてない。
国税のほうは十二万円であります、今度は十二万円になるのです。どうして
国税のほうにおいて
基礎控除をずっと上げているのに、
地方税のほうで
基礎控除がそのままにしてあるのか、
基礎控除を三十六年以来そのまま九万円にしておきますと、市町村民税の所得割りは累進
課税ですよ、十三
段階か何かですね、御
承知のように十三
段階。府県民税は二
段階になっています。そうすると、調整しませんから増税になるわけですよ。
地方税においては明らかに増税になるのです。ですから、先ほど
自然増収が非常に大きくなる
一つの大きな
原因として、特に
地方税においては
物価が上がって、
名目所得がふえるのに、
基礎控除をそのまま全然引き上げない、そのまま据え置いておる。
基礎控除だけではございません、あるいは専従者控除におきましても、医療費控除におきましても、その他の控除についても、ちっとも引き上げないのです。ですから
実質的な増税になるわけです。
名目的には
減税減税と言われますけれ
ども、しさいにこういうように調べてまいりますれば、
政府の
減税というのは、
実質的には増税ですよ、
減税になっておらないです。かりに
国税で
実質的に多少
減税になるものがあっても、
地方税のほうの増税によって私は相殺されてしまうと思う。それに今度は固定資産税でしょう。固定資産税は、どうして宅地の分において引き上げるのですか。固定資産税の引き上げが今度は
物価にはね返りますよ。
物価政策との
関係をどういうふうに
考えておるか、この点、今後
自治省においては
地方税、
住民税、所得割りの
基礎控除を、
国税と同じように調整するかどうか、これについては、
地方税は
国税と違って負担分任だからどうこう云々という申
しわけがありますけれ
ども、しかしそれは私は理屈に合わぬと思う。
基礎控除というものを置いた以上、これはいわゆる最低生活を一応保障するものなんですから、
国税のほうはやって
地方税をやらないというのはどういうわけなんですか。非常な矛盾があると思いますから、最後にこの点を御
質問いたします。